JP2022155429A - 化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い意匠性を有し、経時による意匠性の劣化が少ない化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法を提供する。【解決手段】 本開示の化粧シートは、基体シートの一方の面側に着色された着色塩化ビニル系樹脂層が設けられ、他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層が設けられた化粧シートであり、着色塩化ビニル系樹脂層の基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が設けられ、基体シートは繊維質基材を含み、化粧シートの熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である。【選択図】 図1

Description

本開示は、化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法に関するものである。
東日本大震災などでの天井落下による被害拡大を受けて、膜天井材(膜天井用シート)などの軽量な内装材に用いられる建築土木材の需要が高まっている。膜天井材において近年では木目絵柄などのような高い意匠性も求められている。そこで、ガラス繊維や塩化ビニルシートを使用した製品が提案されている。また、施工性の観点からは適度な柔軟性を有することが好ましい。
例えば特許文献1においては、ガラス繊維基材の両面にシートを貼り合わせた耐火性シート(カーテン用途)が提案されている。
また特許文献2においては、ガラス繊維からなる平織物の両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したインクジェット印刷用メディアについて、その少なくとも一面に広告向けなどの意匠を付与したプリント物が提案されている。
また特許文献3においては、ガラス繊維の一方の面にグラビア印刷にて絵柄を付与した着色塩化ビニル樹脂層を熱ラミネートにより積層し、ガラス繊維の他方の面に塩化ビニル系樹脂からなる補助層を積層した化粧シートが提案されている。
特開平8-132241号公報 特開2011-161645号公報 特開2014-117850号公報
しかしながら特許文献1においては、溶接や溶断作業時に火花の飛散を防止する溶接・溶断工事用シートとしての使用を想定したものであり、意匠性を施すことはほとんど想定されていない。
また特許文献2においては、印刷対象となる塩化ビニル系樹脂面の色に関する記載はない。仮に特許文献2のプリント物を膜天井材に適用しようとした場合において、白色基材上に濃色の絵柄を形成する場合、観察時における透過光の影響も鑑みるならば、必要な濃度を得るためには多量のインクが必要となる。さらに、経時劣化により、絵柄を形成する層にクラックなどが生じた場合、基材面の白色が目立ってしまうという問題もある。
また特許文献3の化粧シートにおいては、絵柄が付与される着色塩化ビニル樹脂層に関しては、絵柄の背景色として使用できるとの記載はあるものの、耐久性(退色性)を考慮したものではなく、該着色塩化ビニル樹脂層上に、絵柄の背景色としてのベタ柄を印刷することも記載されている。また、補助層に関しては色への言及がない。該着色塩化ビニル樹脂層が白色の場合において、濃色のベタ柄を印刷してその後絵柄を印刷した場合には、初期の意匠は優れたものとなる。しかし経時に伴い、該ベタ柄あるいは絵柄に係る印刷層が剥離することにより、着色塩化ビニル樹脂層の白色が目立ってしまい意匠性を損なう問題がある。さらに該化粧シートを膜天井材として、あるいは屋外において使用する場合、化粧シートの裏面にあたる補助層面にも太陽光、あるいは室内光源による熱線にさらされることがある。この様な場合、補助層が白色であればその多くを反射することができ温度上昇が抑えられるが、補助層が濃色の場合には、熱線の吸収により補助層ひいては化粧シート全体の温度が上昇し、その結果絵柄に係る印刷層の劣化が促進されるという問題がある。
以上から、本開示の目的は、高い意匠性を有すると共に、熱線吸収が少ないことにより温度上昇を抑制して経時による意匠性の劣化が少ない化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法を提供することである。
本開示の化粧シートは、基体シートの一方の面側に着色された着色塩化ビニル系樹脂層が設けられ、他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層が設けられた化粧シートであり、着色塩化ビニル系樹脂層の基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が設けられ、基体シートは繊維質基材を含み、化粧シートの熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である。
上記化粧シートにおいて、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上であってもよい。
上記化粧シートにおいて、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は、少なくとも無機粒子、金属粒子のいずれかを含むものであってもよい。
上記化粧シートにおいて、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は金属粒子を含み、金属粒子はアルミニウム元素を含むものであってもよい。
上記化粧シートにおいて、着色塩化ビニル系樹脂層における絵柄層側の面と絵柄層との下記関係式で規定される色差ΔE*が15以下であってもよい。JIS Z8729に規定するL***表色系における、着色塩化ビニル系樹脂層における絵柄層側の面の色をL* 1* 1* 1、絵柄層の色をL* 2* 2* 2とすると、
ΔE*=((ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ΔL*=L* 2-L* 1
Δa*=a* 2-a* 1
Δb*=b* 2-b* 1
上記化粧シートにおいて、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は可塑剤部数が40質量部以上であってもよい。
上記化粧シートにおいて、繊維質基材がガラス繊維を含むものであってもよい。
上記化粧シートにおいて、繊維質基材がポリエステル繊維を含むものであってもよい。
上記化粧シートは、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下であってもよい。
上記化粧シートにおいて、化粧シートは多数の貫通開口部を有し、貫通開口部の平均開口径は2.3mm以下であり、貫通開口部の開口率は0.4%以上40%以下であってもよい。
本開示は、上記化粧シートを有する建築土木材を含むものである。
本開示の化粧シートの製造方法は、着色塩化ビニル系樹脂層と基体シートと熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とを含む化粧シートの製造方法であって、着色されたシート状の着色塩化ビニル系樹脂層を準備する工程と、着色塩化ビニル系樹脂層の一方の面側に絵柄層を積層する絵柄層積層工程と、繊維質基材を含む基体シートを準備する工程と、シート状であり、JIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層を準備する工程と、基体シートの一方の面側と、着色塩化ビニル系樹脂層の絵柄層側の面とは反対の面側とが対向する様に積層する工程と、基体シートの他方の面側と、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とが対向する様に積層する工程とを有し、化粧シートの熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、化粧シートの製造方法である。
本開示の化粧シートの製造方法は、着色塩化ビニル系樹脂層と基体シートと熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とを含む化粧シートの製造方法であって、繊維質基材を含む基体シートを準備する工程と、基体シートにJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である塩化ビニル系樹脂を含浸させることにより、基体シートの一方の面側に着色塩化ビニル系樹脂層を、基体シートの他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層を形成する工程と、着色塩化ビニル系樹脂層の基体シート側の面とは反対側の面にインクジェット印刷にて絵柄層を積層する絵柄層積層工程とを有し、化粧シートは多数の貫通開口部を有し、貫通開口部の平均開口径は2.3mm以下であり、貫通開口部の開口率は0.4%以上40%以下であり、化粧シートの熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、化粧シートの製造方法である。
本開示によれば、高い意匠性を有すると共に、熱線吸収が少ないことにより温度上昇を抑制して経時による意匠性の劣化が少ない化粧シート、建築土木材、および化粧シートの製造方法を提供することができる。
本開示の第1実施形態の化粧シートの層構成の概略を示す断面図 本開示の第1実施形態の化粧シートの平面写真 本開示の化粧シートに係る繊維質基材の平面写真 本開示の第2実施形態の化粧シートの層構成の概略を示す断面図 本開示の第2実施形態の化粧シートの平面写真 本開示の変形形態の化粧シートの層構成の概略を示す断面図 本開示の第1実施形態に係る化粧シートの製造方法を説明する層構成の概略を示す断面図 本開示の第2実施形態に係る化粧シートの製造方法を説明する層構成の概略を示す断面図
〔化粧シート〕
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状、装飾などは理解を容易にするため適宜誇張、単純化などしている。また説明に直接的に関係しない構成などについては適宜省略している。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これら
は、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書でもそれに倣って使用している。層を形成するために、板、シート、フィルム等を用いる場合がある。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は適宜置き換えても、本開示の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。本開示においては、シートの語を、いわゆる板、シート、およびフィルムと通常呼称されている厚みの形態のものも包含する広義の意味で用いるものとする。
また、本明細書において表面、裏面の言葉を使用しているが、表面、裏面の区別に技術的な意味は無く、シートの一方の面を表面としたときに、他方の面が裏面である。本明細書における化粧シートにおいては、化粧シートを使用する際に通常の観察面となる側の面を表面と、その反対側の裏面として説明している。
図1に本開示の第1実施形態に係る化粧シート1の層構成の概略を示す断面図を示す。また、化粧シート1を表面側(絵柄層22の側)から撮影した平面写真を図2(a)に、その拡大写真を図2(b)に示す。
化粧シート1は、基体シート10の一方の面側に着色塩化ビニル系樹脂層21が、他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12が各設けられ、着色塩化ビニル系樹脂層21の基体シート10側の面とは反対の面側に絵柄層22が設けられ、基体シート10は繊維質基材11を含む。
着色塩化ビニル系樹脂層21、あるいは熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を基体シート10により密着させるために、基体シート10と着色塩化ビニル系樹脂層21との間に絵柄接着剤層31を設けても良く、基体シート10と熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12との間に基体接着剤層32を設けても良い。密着が十分であれば、絵柄接着剤層31および基体接着剤層32のいずれかあるいは両方は必ずしも必要ではない。
第1実施形態における両接着剤層(絵柄接着剤層31および基体接着剤層32)を含む形態を図1に示す。第1実施形態に係る化粧シート1は、図1における下側から順に、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12、基体接着剤層32、繊維質基材11(基体シート10)、絵柄接着剤層31、着色塩化ビニル系樹脂層21、および絵柄層22がこの順に設けられている。なお上記配置順を乱さず、本開示の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けてもよい。
なお後述する様に、繊維質基材11は多数の貫通開口を有しているが、第1実施形態に係る化粧シート1においては、化粧シート1全体を表裏に貫通する貫通開口部は生成されない。
<基体シート>
以下、本開示の化粧シート1における各構成について詳細に説明する。
本開示の化粧シート1において、基体シート10は繊維質基材11を有している。繊維質基材11として、例えばガラス繊維シートやポリエステル繊維シートを挙げることができる。繊維質基材11は、その厚さ方向において多数の貫通開口を有している。
一例として、繊維質基材11がガラス繊維織布シートである場合について、その概略平面図を図3(a)に、顕微鏡写真を図3(b)に示す。図3(a)においては貫通開口の1つをOPとして示している。
繊維質基材11がポリエステル繊維シートである場合には、繊維質基材11はポリエステル繊維を含み、ポリエステル繊維はポリエステル系樹脂を含む。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(略称PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸-イソフタル酸-エチレングリコール共重合体、テレフタル酸-エチレングリコール-1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、各種ポリエステル系熱化塑性エラストマー等を挙げることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を適宜質量比で混合した混合物の形で用いることができる。
ポリエステル繊維シートに含まれるポリエステル繊維は、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂を融解し、例えば所定の吐出条件で吐出するなどして繊維状にしたものである。
ポリエステル繊維シートは、ポリエステルマルチフィラメント糸条(フィラメント数192本:750デニール)を経糸条群および緯糸条群として、経糸条群は1インチ間28本の織組織とし、また緯糸条群は1インチ間30本の織組織とする平織物を挙げることができる。ポリエステル繊維シートは、ポリエステル不織布シートであっても良く、ポリエステル織布シートであっても良い。
ポリエステル不織布シートの一例としては、坪量8g/m2以上150g/m2以下、厚さ30μm以上300μm以下のものを使用することができる。坪量150g/m2を上回り、厚さが300μm以上の場合には、化粧シート1として形成された際の厚さ、重量などが化粧シート1として好ましいものではなくなってくる。
ポリエステル繊維シートがポリエステル不織布シート、ポリエステル織布シートのいずれの場合であっても、ポリエステル繊維シートの厚さは30μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは75μm以上300μm以下である。ポリエステル繊維シートはガラス繊維シートに比べ軽量かつ安価であるという利点を有する。
繊維質基材11がガラス繊維シートである場合には、繊維質基材11はガラス織布シートあるいはガラス不織布シートなどの様なシート状のガラス繊維を含む。ガラス繊維シートの厚さは50μm以上500μm以下が好ましい。化粧シート1として形成された際の厚さ、強度、重量などを加味し適当なものを選択すればよく、一例として100μmである。
ガラス繊維シートに含まれるガラス繊維は、ガラス、好ましくは石英ガラスなどの無アルカリガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
ガラス繊維としては、シラン化合物で表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理剤としてのシラン化合物としては、カップリング剤や、その重合物からなるポリシロキサンが使用できる。このようなシラン系カップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランの他、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン等を挙げることが出来る。ガラス繊維に表面処理を行う方法は、例えば、シラン化合物を含有する溶液をガラス繊維表面に塗布、乾燥して行うことが出来る。シラン化合物の付着量は、通常、ガラス繊維100質量部に対して0.05~5質量部程度である。なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリルまたはメタクリル」を意味する。以下も同様である。
ガラス繊維シートは、ガラス織布シートあるいはガラス不織布シートであることが好ましい。ガラス織布シートとは、ガラス繊維の束を糸として、経糸と緯糸から製織してシート状としたものである。製織する前に、二つ以上のガラス繊維の束を予め合撚してもよい。経糸の織り密度を20~75本/25mm、緯糸の織り密度を20~75本/25mmとなるように平織りで形成されたものであることが好ましく、織り密度の一例としては、経糸、緯糸とも32本/25mmである。ガラス織布シートは、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、またガラス不織布シートより引張強度に優れるからである。
繊維質基材11は、ガラス不織布シートを含む層であってもよい。ガラス不織布シートは例えば、ガラス繊維を水中に分散させ、抄紙機で抄造する湿式法で製造され、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを用いて、ガラス繊維同士を結着させたものである。ガラス不織布シートは、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、かつガラス織布シートより安価である。
ガラス繊維シートはポリエステル繊維シートに比べ、引張強度が高く、また無機物であるため一層高い不燃性能を有するという利点を有する。
<着色塩化ビニル系樹脂層>
第1実施形態に係る化粧シート1においては、着色塩化ビニル系樹脂層21は着色されている。仮に、着色塩化ビニル系樹脂層21が着色されていなかった場合には、化粧シート1における通常の観察面である表面側(着色塩化ビニル系樹脂層21に対して基体シート10側の面とは反対の面側)から、絵柄層22および着色塩化ビニル系樹脂層21を通して基体シート10に係る繊維質基材11が視認できてしまう事により、化粧シート1の意匠性が低下してしまう。一方、着色塩化ビニル系樹脂層21が着色されていれば、繊維質基材11を視覚的に隠蔽することや、絵柄層22の見かけ上の色を補うことにより、化粧シート1を意匠性の高いものとすることができる。
着色塩化ビニル系樹脂層21は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。このような着色された着色塩化ビニル系樹脂層21は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れており、可塑剤の添加量によって表面硬度や伸び率(剛性)が容易に調整可能だからである。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多い。白色に着色する場合には、例えば酸化チタンあるいは体質顔料としてシリカ、あるいはその両方などが用いられる。これらのように、無機顔料で白色化されたものは、熱線の他、紫外線の反射率も上がるため、耐久性が向上する。茶色に着色する場合には、例えば、酸化鉄(Fe23)などが用いられる。
また、本開示に係る着色塩化ビニル系樹脂層21は、可塑剤部数が30質量部以下、すなわち半硬質であってもよい。着色塩化ビニル系樹脂層21に対し絵柄層22を印刷(積層)する際に、着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部を上回る場合には、溶剤系のインクジェット印刷やグラビア印刷では、着色塩化ビニル系樹脂層21への溶剤アタックや乾燥時の熱、テンションにより着色塩化ビニル系樹脂層21の伸びやガイドロールへの貼り付きにより印刷(製造)が困難となる場合が考えられる。UV系インクジェット印刷であれば印刷可能ではあるものの、膜天井材に使用する様な約2m幅の着色塩化ビニル系樹脂層21に対する連続印刷においては、搬送時にテンションにより、しわ等が発生し、連続印刷が困難となる場合が考えられる。
着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部以下と半硬質である場合には、上記各問題が生じ難く、その表面に絵柄層22をグラビア印刷法などで良好に形成することができる。すなわち着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部以下(半硬質)である場合には印刷適性が良く、意匠性の高い絵柄の印刷が可能となる。
着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部を上回る場合、すなわち軟質の塩化ビニル系樹脂層であっても構わない。着色塩化ビニル系樹脂層21と絵柄層22との間にプライマー層を適用する場合や、紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷を適用する場合などには、上記不具合の影響を軽減することができる。着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部を上回る場合には、化粧シート1としてしなやかさが保たれるため、例えば建築土木材の一形態として膜天井材として施工する場合などにおいては、施工性が向上する。
着色塩化ビニル系樹脂層21の厚さは25μm以上300μm以下が好ましい。印刷に対する適用性や、化粧シート1として形成された際の重量、厚さ、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
本開示の実施形態においては、着色塩化ビニル系樹脂層21は、塩化ビニル系樹脂を主成分とする着色されたフィルムであることが好ましい。しかし、着色塩化ビニル系樹脂層21に代えて、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-4フッ化エチレン共重合体、ポリ4フッ化エチテン等のフッ素系樹脂を主成分とする着色されたフィルムであってもよい。着色されたフッ素系樹脂層の場合であっても、着色された着色塩化ビニル系樹脂層21の場合の上記各特性、すなわち不燃性能、防炎性能、適度なしなやかさをほとんど損なうことなく、耐候性や耐溶剤性などを向上させることができる。
<熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層>
熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、基体シート10に対し、絵柄層22が設けられる面側(一方の面側)とは反対の面側(他方の面側)に設けられるものである。熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。
熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、赤外線(熱線)の吸収率が少ないという特徴を持つ層である。熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、赤外線の反射率を高くすることにより、赤外線の吸収率を低くしている。また、後述する第2実施形態においては、化粧シート101は貫通開口部を有するため、第2実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は貫通開口を有する。第2実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112においては、貫通開口が存在するため、赤外線の反射率は低下するが、貫通開口を赤外線が透過する効果と相殺されることにより、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112においても赤外線の吸収率を低くすることができる。以下、第1実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12について説明するが、第2実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112についても同様である。
熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は赤外線の吸収率が低いため、赤外線を主とした熱線の吸収により熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12が加熱されることを抑制することができる。そのため化粧シート1全体としても、その裏面側(熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12側)からの熱線を吸収することによる加熱を抑制することができる。化粧シート1の裏面側に熱線が照射される場合としては、例えば、化粧シート1が建築土木材の一形態として膜天井材として天井付近に設置された場合における、天窓、あるいは天井近くの通気窓からの日光の照射である。
本開示においては、化粧シート1の加熱を抑制することができるため、絵柄層22の熱による劣化、該劣化により絵柄層22が着色塩化ビニル系樹脂層21から剥離、脱落すること、それらによる意匠性の悪化などを抑制することができる。すなわち化粧シート1における経時的な意匠性の悪化を抑制することができる。
熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12において、上記の通り赤外線の反射率を高くするためには、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の繊維質基材11側の面とは反対側の面は、明度の高い白色系に近い外観であることが好ましい。換言すれば、繊維質基材11側の面とは反対側の面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上であることが好ましい。
この様に白色系に近い外観、すなわちL*値を65以上とすることで、赤外線の反射率を高くすることができるため、化粧シート1において熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を50%以下とすることが容易となる。
このような熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多い。熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を白色系に近い外観とするための白色顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、亜鉛華(酸化亜鉛)、鉛白(塩基性炭酸鉛)、アンチモン白(三酸化アンチモン)、硫化亜鉛、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムあるいは体質顔料としてシリカ等の無機粒子、あるいはアルミニウム、銀、錫、ニッケル、インジウム等からなる金属粒子を挙げることができる。なお、金属粒子は表面ないし表面近傍が酸化物となったものでも良い。これら白色顔料は、1種単独でもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
あるいは熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12として、塩化ビニル系樹脂シートに対し、化粧シート1として設けられた際にその裏面側となる面に、白色顔料とバインダー樹脂とを含む白色インクを印刷、塗布、コートなどにより積層してもよい。この場合には、該塩化ビニル系樹脂シートとそれに積層される該白色インクとを含め熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12とすることができる。白色顔料としては、着色剤配合コンパウンドに配合する白色顔料として前記で例示した二酸化チタン等を挙げることができる。これら白色顔料は、1種単独でもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、後述する絵柄層の説明において例示するバインダー樹脂と同様である。上記塩化ビニル系樹脂シートに設けられる白色インクに係るバインダー樹脂は、積層対象である塩化ビニル系樹脂シートとの密着性の観点から塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系の樹脂であることが好ましい。
上記塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合する場合であっても、白色インクを印刷する場合であっても、白色顔料として上記例示した無機粒子、あるいは金属粒子のうち、分光吸収率の観点からは、酸化アルミニウム、あるいは表面のみ酸化された金属アルミニウムを考慮して換言すれば、アルミニウム元素を含む金属粒子であることが好ましい。アルミニウム元素を含む金属粒子は、例えば二酸化チタンに対しては安価かつ容易に入手することに加え、樹脂を劣化させる光触媒活性がない、化学的に安定で耐薬品性にも優れ、高硬度、高耐熱といった利点を有する。
二酸化チタンは化学的安定性(耐光触媒活性)、耐候性、分散性などの観点に表面を酸化アルミニウム(アルミナ)などにより処理される場合がほとんどである。アルミナは、二酸化チタンと比較して、化学的に安定で、耐薬品性にも優れ、高硬度、高耐熱といった特徴がある。
なお、白色系に近い外観と記載してきたが、例えば顔料が酸化アルミニウムの場合は、アルミナ色、金属色、明るい灰色、明るいグレーなどとも表現できよう。この様に白色とは若干離れた色彩についてもここでは白色系と表現している。本開示においてはL*値が65以上であることをもって白色系としている。
これらのように、前記で列記した特定の無機粒子、あるいは金属粒子による顔料で白色化されたものは、熱線の他、紫外線の反射率も上がるため、耐久性が向上する。
熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の厚さは25μm以上300μm以下が好ましい。化粧シート1として形成された際の重量、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
ここで、塩化ビニル系樹脂とは、以下のいずれかの形態の樹脂を意味する総称である。
(1)塩化ビニル単量体(monomer)の単独重合体、すなわち狭義のポリ塩化ビニル。
(2)塩素化ポリ塩化ビニル。
(3)塩化ビニル単量体に塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させた塩化ビニル共重合体、ここで他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
(4)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか2種または3種の混合物。
(5)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか1種または2種以上、あるいは(4)の混合物に、さらに、他の樹脂を混合した混合物。ここで他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
なお、前記(1)から(5)に列記の各種塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、各種添加剤を添加する。該添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤等)、紫外線吸収剤(UVA)、界面活性剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤のうち、可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(略称DOP)、ジイソノニルフタレート(略称DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート(略称TOTM)、トリ-n-オクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
紫有機系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、平均粒径200nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の金屬酸化物粒子等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、具体的には、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
また、本開示に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は軟質であり、具体的には可塑剤部数が40質量部以上であることが好ましい。上記説明した様に、着色塩化ビニル系樹脂層21は、主に印刷適性の観点から半硬質であることが好ましい。ここで熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12も硬質、あるいは半硬質であった場合には、化粧シート1を建築土木材の一形態として膜天井材として大面積で施工しようとした場合、硬すぎて伸びが悪く、施工し難いものとなってしまう。一方、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12が軟質であれば、着色塩化ビニル系樹脂層21が半硬質であっても、化粧シート1全体としてある程度の柔軟性を確保することができる。そのため、化粧シート1を膜天井材として大面積で施工する場合であっても施工性を確保することができる。
<絵柄層>
本開示に係る絵柄層22は、着色塩化ビニル系樹脂層21の基体シート10側の面とは反対の面側に設けられる。第1実施形態に係る絵柄層22は、着色塩化ビニル系樹脂層21に対し、その一方の面側に積層(印刷)される。その後、着色塩化ビニル系樹脂層21の絵柄層22側の面とは反対の面側に基体シート10が積層される(後述)。
絵柄層22の絵柄としては、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。
絵柄層22の形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、オフセット印刷法等の有版印刷法、インクジェット印刷法、各種転写印刷法等の無版印刷法等の各種印刷方法が適用可能であるが、グラビア印刷法が好ましい。高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため費用面で有利である。
第1実施形態に係る絵柄層22は、好ましくは基体シート10と接着される前に、着色塩化ビニル系樹脂層21の一方の面側に形成(通常は印刷)される。着色塩化ビニル系樹脂層21は、その表面は基体シート10表面に比べはるかに平滑性が高く、かつ半硬質であるため適度な剛性を有し、グラビア印刷法により絵柄層22を好適に形成することが可能である。仮に基体シート10に積層後の着色塩化ビニル系樹脂層21に対し絵柄層22を形成しようとする場合においてグラビア印刷法を適用する場合には、絵柄層22の高い意匠性を確保するために、平坦化する層を別途介在させることが好ましい。その場合には、工程負荷が高くなる、化粧シートとしての厚さが増し、重量も重くなるなど好ましくない。
しかし上記によらず、基体シート10に積層後の着色塩化ビニル系樹脂層21に対し絵柄層22を形成する場合もある。この場合には、表面凹凸が大きい被印刷物に対しても良好な印刷が可能であるインクジェット印刷法を適用することが好ましい。
なお、グラビア印刷法にて形成された絵柄層22とインクジェット印刷法にて形成された絵柄層22とは、網点の形状により区別することが可能である。すなわち、グラビア印刷法にて形成された絵柄層22に係る網点形状は、版胴に係るセル目の形状が反映されることにより角に丸みを帯びた正方形状となる。一方インクジェット印刷法にて形成された絵柄層22に係る網点形状はおよそ円形となる。
絵柄層22の形成(通常は印刷)に用いるインクは、公知の着色剤(染料又は顔料)を樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤として、無機顔料、有機顔料、金属粉顔料、真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等が挙げられる。例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、黄鉛、カドミウムレッド等を、有機顔料としては、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料、各種色相の有彩色アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ニッケル-アゾ錯体、ジオキサジン顔料等を、金属粉顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の鱗片状箔片を、真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片を挙げることができる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用したり、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに使用したりしてもよい。
絵柄層22に使用する樹脂(バインダー樹脂)としては、各種ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体のアクリル系樹脂、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等を使用することもできる。上記樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂には架橋剤、重合開始剤、または、重合促進剤を添加して、塗膜強度、および耐久性を向上させることが好ましく、上記樹脂のなかでは アクリル系樹脂またはアクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物の場合、混合の質量比は、[アクリル系樹脂の質量]/[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の質量]は2/8~8/2の範囲とすることが、絵柄層22の着色塩化ビニル系樹脂層21への印刷適性と密着性、並びに耐候性、耐擦傷性等の耐久性の点で好ましい。
絵柄層22の厚さは、通常は0.5μm以上49μm以下であり、好ましくは2μm以上25μm以下である。
<基体接着剤層>
上述の通り、基体接着剤層32は本開示においては必須の構成ではない。基体接着剤層32は、繊維質基材11を有する基体シート10と熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12との間に設けられ、両者の密着性を高めるための層である。基体接着剤層32は、接着剤を含み、その組成として塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。基体接着剤層32は、繊維質基材11と熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12とを基体接着剤層32を介して熱圧着によるラミネートで形成されることが好ましい。
基体接着剤層32が設けられない形態としては、例えば、基体シート10における着色塩化ビニル系樹脂層21が設けられる面側とは反対の面側に、白色系を呈する着色剤を含む塩化ビニル樹脂の液状組成物をコーティングし該液状組成物を固化することにより熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を形成した場合は、基体接着剤層32の介在無しに直接、基体シート10上に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12が形成される。なお、この形態の場合、該液状組成物の固化層が基体接着剤層32および熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の両層を兼備していると見なすこともできる。
また、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12と同様に白色系とした塩化ビニル系樹脂組成物からなる基体接着剤層32を基体シート10にコーティングして、別途成膜済みの熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12と該基体接着剤層32がコーティングされている基体シート10とを熱圧着によるラミネートしたような場合には、化粧シート1において、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12と基体接着剤層32とが異なる層として識別できないこともあり得る。
<絵柄接着剤層>
上述の通り、絵柄接着剤層31は本開示においては必須の構成ではない。絵柄接着剤層31は、着色塩化ビニル系樹脂層21と、繊維質基材11を有する基体シート10と、の間に設けられ、両者の密着性を高めるための層である。絵柄接着剤層31は、接着剤を含み、その組成は上記基体接着剤層32と同様であり、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。絵柄接着剤層31は、基体シート10と、着色塩化ビニル系樹脂層21とを絵柄接着剤層31を介した熱圧着によるラミネートに用いられることが好ましい。
<平均分光吸収率>
化粧シート1において熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を50%以下である。ここでは、波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を、波長780nm以上2500nm以下の範囲における
平均分光吸収率(%)=100(%)-平均分光透過率(%)-平均分光反射率(%)
として定義する。
ここで、波長780nm以上2500nm以下の平均分光透過率(%)は、波長780nmから波長2500nmまで波長を1nmずつ変化させながら、各波長(すなわち、波長780nm、781nm、・・・2499nm、2500nm)の分光透過率(%)を各測定し、測定した1721個の分光透過率の和を1721で割ることにより算出する。各波長の分光透過率(%)は、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス UH4150)を使用して、化粧シート1の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面に入射角0度(化粧シート1または熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の表面の法線方向を0度とする)で各波長の光を照射し、平行入射光束に対する全透過光束の割合(すなわち全光線透過率)として測定する。全光線透過率の測定方法は、JIS K 7375:2008に準拠する。
また、波長780nm以上2500nm以下の平均分光反射率(%)は、波長780nmから波長2500nmまで波長を1nmずつ変化させながら、各波長(すなわち、波長780nm、781nm、・・・2499nm、2500nm)の分光反射率(%)を各測定し、測定した1721個の分光反射率の和を1721で割ることにより算出する。各波長の分光反射率(%)は、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス UH4150)を使用して、化粧シート1の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面に入射角5度(化粧シート1または熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の表面の法線方向を0度とする)で各波長の光を照射し、平行入射光束に対する全反射光束の割合(すなわち全光線反射率)として測定する。全光線反射率の測定方法は、JIS K 7375:2008に準拠する。
化粧シート1を建築土木材の一形態として膜天井材として使用する場合、化粧シート1の裏面にあたる熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12側の面にも太陽光、あるいは室内光源による熱線にさらされることがある。この様な場合、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12が白色系に近い外観ではない場合(L*値を65を下回る場合)には、熱線の吸収により熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12ひいては化粧シート1全体の温度が上昇し、その結果絵柄層22の劣化が促進される。一方、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を白色系に近い外観(L*値が65以上)の場合には、化粧シート1の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下とすることができる。そのため上記波長範囲の赤外線(熱線)の半分以上を透過または反射することができるため化粧シート1の温度上昇を抑えることができ、そのため絵柄層22の経時劣化を抑制することができる。
<着色塩化ビニル系樹脂層における絵柄層側の面の色と絵柄層の色との関係>
上記の通り、着色塩化ビニル系樹脂層21は着色されている。繊維質基材11を視覚的に隠蔽したり、絵柄層22の見かけ上の色を補ったりすることができるからである。ここで着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面の色と絵柄層22の色とが近い色であることが好ましい。
具体的には、着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面と絵柄層22との下記関係式で規定される色差ΔE*が15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。ここで、JIS Z8729に規定するL***表色系における、着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面の色をL* 1* 1* 1、絵柄層22の色をL* 2* 2* 2とすれば、
ΔE*=((ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ΔL*=L* 2-L* 1
Δa*=a* 2-a* 1
Δb*=b* 2-b* 1
として求めることができる。
明度L* 1、色度a* 1、色度b* 1、および明度L* 2、色度a* 2、色度b* 2は、市販の分光測色計を用い、JIS Z8781-4:2013に準拠して、CIE(国際照明委員会)L***表色系の明度L*、色度a*、色度b*として各測定することができる。市販の分光測色計としては、例えばコニカミノルタホールディングス株式会社の分光測色計(商品名:CM-3500d)、日本電色工業株式会社の分光色彩計・色差計(商品名:SE6000)などを挙げることができる。
測定方法は以下の通りである。
着色塩化ビニル系樹脂層21については通常無地であるため、絵柄層22を形成する前であれば着色塩化ビニル系樹脂層21のいずれかの面について、絵柄層22が形成された後であれば着色塩化ビニル系樹脂層21の表裏面のうち絵柄層22が形成されていない方の面について、任意の一箇所について測定する。
絵柄層22については、化粧シート1の絵柄層22側の面、を測定対象とし、単色ベタ柄であれば任意の一箇所について測定すればよい。単色ベタ柄ではない場合には、化粧シート1(各大きさ:100cm×100cm)を100に分割し(分割した一つあたりの大きさ:10cm×10cm)、分割した化粧シートの任意の20の各々について、任意の50箇所について測定し、該測定値の平均値を分割したシート各々の測定値とし、該分割した20のシート各々の測定値の平均値を明度L* 2、色度a* 2、色度b* 2とする。また、測定時の光入射角は10度として、光源はD65光源を用いた。
本開示に係る化粧シート1を建築土木材の一形態として膜天井材に適用しようとした場合において、仮に着色塩化ビニル系樹脂層21が白色に着色され、絵柄層22に係る絵柄が濃色の絵柄である場合の様に、両者の色差ΔE*が15を上回る場合を想定すると、観察時における透過光の影響も鑑みるならば、絵柄層22が必要な濃度を得るためには多量のインクが必要となる。この場合さらに、経時劣化により、絵柄層22にクラックなどが生じた場合、着色塩化ビニル系樹脂層21面の白色が目立ってしまうという問題もある。
しかるに本開示においては、着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面と絵柄層22との色差ΔE*が15以下である。そのため、着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面の色は、絵柄層22の色を補う様な関係となり、観察時における透過光の影響を鑑みても絵柄層22が必要な濃度を得るためのインクの量は、上記ΔE*が15を上回る仮定の場合に比べて少なくすることができる。また仮に経時劣化により、絵柄層22にクラックなどが生じた場合であっても、着色塩化ビニル系樹脂層21面の色と絵柄層22の色とが近いため、該クラックが目立たない、という効果も奏する。
以下、本開示に係る化粧シート1の効果について説明する。化粧シート1は、その裏面側(熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側)において、白色系に近い外観、すなわちL*値が65以上であることにより、波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である。そのため、化粧シート1を建築土木材の一形態として膜天井材として使用する場合に想定される、化粧シート1の裏面側(熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12側)から太陽光、あるいは室内光源による熱線にさらされる様な場合であっても、熱線の吸収率を半分以下に抑えることができる。そのため化粧シート1の温度上昇を抑えることができ、絵柄層22の劣化を抑制することができる。すなわち、経時による意匠性の劣化が少ない化粧シート1とすることができる。
第1実施形態に係る化粧シート1は図1に示す通り、繊維質基材11を有する基体シート10、着色塩化ビニル系樹脂層21、および熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を主体として構成されている。上述の通り、着色塩化ビニル系樹脂層21、および熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12はともに塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであり、塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れる。また繊維質基材11もガラス繊維シートやポリエステル繊維シートであるため不燃性能、防炎性能に優れる。化粧シート1は、最外層に絵柄層22が位置するものの、上記の通り着色塩化ビニル系樹脂層21における絵柄層22側の面と絵柄層22との色差ΔE*が15以下であることにより、絵柄層22の塗布量を少なくすることができ、そのため不燃性能に優れたものとなっている。
本開示の化粧シート1に係る絵柄層22は、着色塩化ビニル系樹脂層21に対し、その一方の面側に積層(印刷)される。そして上述の通り、着色塩化ビニル系樹脂層21は可塑剤部数が30質量部以下、すなわち半硬質である場合には印刷適性が良い。すなわち、印刷対象である着色塩化ビニル系樹脂層21に伸縮や、ガイドロールへの貼り付き、しわ等が生じ難いため、グラビア印刷においても、インクジェット印刷においても高品質な印刷が可能となる。従って、本開示に係る化粧シート1は高い意匠性を有することができる。
本開示の化粧シート1は、基体シート10を挟み込む表裏の塩化ビニル系樹脂層の内の一方が、可塑剤部数が40質量部以上と軟質である熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12となっている。そのため、塩化ビニル系樹脂層の内の他方が半硬質である着色塩化ビニル系樹脂層21であったとしても、化粧シート1全体としてある程度の柔軟性を確保することができる。そのため、化粧シート1を膜天井材として大面積で施工する場合であっても施工性を確保することができる。
この様な化粧シート1は、建築土木用途に用いることができる。例えば、意匠性に優れるため屋内空間の天井付近に設置するなどにより膜天井材、あるいは吊り天井用シートとして好適に使用することができる。また、屋内における工事現場などで、工事現場の内外を区分する目隠しシートあるいは養生シートとして使用することもできる。
なお、化粧シートを膜天井材などの建築土木材として使用する場合においては、不燃性能を持つことが必要となる場合がある。かかる膜天井材における燃焼試験での不燃性能獲得には、下記2つの項目を満たす必要がある。
ア.発熱速度200kW/m2超過時間(10s以内)
イ.総発熱量8MJ/m2以内
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る化粧シート101の層構成の概略を示す断面図を図4に示す。また、化粧シート101を表面側(絵柄層22の側)から撮影した平面写真を図5(a)に、その拡大写真を図5(b)に示す。
化粧シート101は、基体シート110の一方の面側に着色塩化ビニル系樹脂層121が、他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112が、各設けられており、着色塩化ビニル系樹脂層121の基体シート110側の面とは反対の面側に絵柄層122が設けられ、基体シート110は繊維質基材111を含む。
また、化粧シート101は多数の貫通開口部40を有し、貫通開口部40は、平均開口径は2mm以下、開口率は5%以上20%以下である。平均開口径が2mmを上回る場合や、開口率が20%を上回る場合には、貫通開口部が視認され易くなることにより、意匠性が低下する。
すなわち、第2実施形態に係る化粧シート101の層構成は、図4における下側から順に、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112、繊維質基材111(基体シート110)、着色塩化ビニル系樹脂層121、および絵柄層122がこの順に設けられている。
第2実施形態に係る化粧シート101が第1実施形態に係る化粧シート1と異なる点は、化粧シート101は多数の貫通開口部40を有している点、および絵柄接着剤層31、基体接着剤層32を各有さない点である。なお上記配置順を乱さず、本開示の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けてもよい。
第2実施形態に係る化粧シート101を構成する各層の各々には多数の貫通開口が設けられている。すなわち、繊維質基材111(基体シート110)は多数の貫通開口を有し、着色塩化ビニル系樹脂層121は多数の貫通開口を有し、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は多数の貫通開口を有し、絵柄層122は多数の貫通開口を有している。
上記各層に係る各貫通開口は、平面視上対応する位置に設けられている。そのため、各層の多数の貫通開口が各々連通することにより、化粧シート101は化粧シート101を表裏に貫通する多数の貫通開口部40有する。
<基体シート>
以下、第2実施形態に係る化粧シート101における各構成について説明する。
第2実施形態に係る化粧シート101における基体シート110は、化粧シート1における基体シート10と同様に、繊維質基材111を有している。第2実施形態に係る繊維質基材111は、第1実施形態に係る繊維質基材11と材料などについて同様であるため、以降の説明は省略する。
第2実施形態に係る繊維質基材111が第1実施形態に係る繊維質基材11と異なる点としては、後述の通り、繊維質基材111が有する貫通開口の一部に塩化ビニル系樹脂が含浸している点である。
<着色塩化ビニル系樹脂層>
第2実施形態に係る化粧シート101においては、詳細は後述するが、着色塩化ビニル系樹脂層121は、繊維質基材111に塩化ビニル系樹脂を含浸させ、繊維質基材111の繊維間の空隙の一部に塩化ビニル系樹脂を充填させて、繊維質基材111と塩化ビニル系樹脂とを複合一体化させたもの一方の面として形成される。そして該複合一体化させたもの他方の面は熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112として形成される。そのため、着色塩化ビニル系樹脂層121は熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112と同じ色に着色されている。
上記の通り、繊維質基材111の繊維間の空隙の一部に塩化ビニル系樹脂が充填され、繊維間の空隙の他の一部は塩化ビニル系樹脂で埋められることなく貫通開口として残る。すなわち繊維質基材111(基体シート110)、着色塩化ビニル系樹脂層121、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は、平面視上相互に対応する位置に貫通開口を有する。
上記の通り、第2実施形態に係る着色塩化ビニル系樹脂層121は、第1実施形態に係る着色塩化ビニル系樹脂層21とは積層形成の方法が大きく異なる。それに伴い両者の厚さも異なってくる。第2実施形態に係る着色塩化ビニル系樹脂層121の厚さは15μm以上300μm以下が好ましい。印刷に対する適用性や、化粧シート101として形成された際の重量、厚さ、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として65μmである。
上記の形成方法に起因して、着色塩化ビニル系樹脂層121は熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112と同じ色に着色されている。第2実施形態に係る化粧シート101においては、所定の平均分光吸収率を得るために、着色塩化ビニル系樹脂層121と熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の両者は、ともに熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の色とすることが優先される。熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の色は、第1実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12において説明した色と同様である。すなわち、着色塩化ビニル系樹脂層121と熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112はともに、白色系に近い外観である。
着色塩化ビニル系樹脂層121および熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112を白色系に近い外観に着色するには、繊維質基材111に含浸させる塩化ビニル系樹脂に白色顔料を配合すればよい。白色顔料は、第1実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12において説明した白色顔料と同様である。
<熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層>
第2実施形態に係る化粧シート101における、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は、上記着色塩化ビニル系樹脂層121において説明した様に、着色塩化ビニル系樹脂層121と材料、色、貫通開口などすべて同様である。
上記説明した第2実施形態に係る着色塩化ビニル系樹脂層121と同様に、第2実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は、第1実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12とは厚さが異る。第2実施形態に係る熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の厚さは15μm以上300μm以下が好ましい。印刷に対する適用性や、化粧シート101として形成された際の重量、厚さ、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として50μmである。
また白色顔料についても熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12と同様である。すなわち、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112は無機粒子、あるいは金属粒子を含み、金属粒子の中では、アルミニウム元素を含む金属粒子であることが好ましい点においても熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12と同様である。そのため、好ましくは、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の繊維質基材111側の面とは反対側の面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である。そのため化粧シート101において熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を50%以下とすることができる。
<絵柄層>
第2実施形態に係る絵柄層122は、着色塩化ビニル系樹脂層121の基体シート110側の面とは反対の面側に設けられている。第2実施形態に係る絵柄層122は、第1実施形態に係る絵柄層22とは異なり、繊維質基材111に対し着色塩化ビニル系樹脂層121を形成した後で、着色塩化ビニル系樹脂層121の繊維質基材111側の面とは反対の面側に形成される。上述の通り、着色塩化ビニル系樹脂層121には貫通開口が形成されているため、その上に設けられる絵柄層122においても、着色塩化ビニル系樹脂層121の貫通開口に対応する位置に絵柄層122の貫通開口が形成される。そのため化粧シート101は貫通開口部40を有する。
絵柄層122の絵柄としては、絵柄層22と同様である。絵柄層122特有の事情としては、形成対象となる着色塩化ビニル系樹脂層121の色が、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112と同様に白色系に近い色であるため、色差ΔE*が15以下が好ましいことを鑑みれば、絵柄層122についても白色系に近い色の絵柄、すなわち明度の高い絵柄であることが好ましい。
絵柄層122の形成方法としては、絵柄層22と同様に、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、オフセット印刷法等の有版印刷法、インクジェット印刷法、各種転写印刷法等の無版印刷法等の各種印刷方法が適用可能である。第2実施形態に係る絵柄層122の形成においては、インクジェット印刷法が好ましい。印刷対象となる着色塩化ビニル系樹脂層121には貫通開口が形成されているため、着色塩化ビニル系樹脂層121の表面は凹凸の激しいものとなっている。インクジェット印刷法は非接触の印刷法であるため、凹凸の激しい表面に対しても良好な印刷をすることが可能である。そのため化粧シート101を意匠性の高いものとすることができるからである。
絵柄層122の形成(通常は印刷)に用いるインクは、絵柄層22として説明したものと同様であるが、インクジェット法による印刷の場合には、紫外線硬化型のインクであることが好ましい。紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷法であれば、印刷直後に硬化するため乾燥工程が不要で、印刷後すぐに巻き取ることが可能である。さらに、インクのにじみも少なく、またインクを厚めに積層することも比較的容易である。
なお、上述の通り、インクジェット印刷法にて形成された絵柄層122に係る網点形状はおよそ円形であるのに対し、グラビア印刷法にて形成された絵柄層122に係る網点形状は角に丸みを帯びた正方形状である。そのため、絵柄層122がインクジェット印刷法とグラビア印刷法のいずれかで形成されたものであるかは網点形状により識別可能である。
(変形形態)
次に、本開示の変形例について説明する。図6に本開示の変形形態に係る化粧シート201の層構成の概略を示す断面図を示す。
化粧シート201は、第2実施形態に係る化粧シート101において、着色塩化ビニル系樹脂層121と絵柄層122との間にアクリル樹脂層23が設けられた形態である。
すなわち変形形態に係る化粧シート201の層構成は、図6における下側から順に、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112、繊維質基材111(基体シート110)、着色塩化ビニル系樹脂層121、アクリル樹脂層23、および絵柄層122がこの順に設けられている。
化粧シート201は、第2実施形態に係る化粧シート101と同様に多数の貫通開口部40を有しており、貫通開口部40は、平均開口径は2.3mm以下、開口率は0.4%以上40%以下である。
なお上記配置順を乱さず、本開示の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けてもよい。
なお第1実施形態に係る化粧シート1においても同様に、着色塩化ビニル系樹脂層21と絵柄層22との間にアクリル樹脂層23が設けられた形態としても良い。
<アクリル樹脂層>
以下、変形形態に係る化粧シート201における各構成において、化粧シート101において説明していない構成について説明する。
アクリル樹脂層23は、着色塩化ビニル系樹脂層121と絵柄層122との間に設けられる。アクリル樹脂層23は、着色塩化ビニル系樹脂層121に対し設けられ、着色塩化ビニル系樹脂層121の貫通開口に対応する位置に貫通開口を有する。そしてアクリル樹脂層23に対し設けられる絵柄層122においても、アクリル樹脂層23の貫通開口に対応する位置に貫通開口が形成される。そのため化粧シート201は貫通開口部40を有する。
アクリル樹脂層23はアクリル系樹脂を含む材料を含む層である。アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸イソボニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等を挙げることができる。
アクリル系樹脂を含む材料を含むアクリル樹脂層23は、絵柄層122を形成する際に絵柄層122に係るバインダー樹脂との密着性が良いため、アクリル樹脂層23と絵柄層122との密着性を向上させる効果がある。特に絵柄層122に係るバインダー樹脂がアクリル系樹脂を含む場合には、より密着性が高まり、一層効果的である。
アクリル樹脂層23の厚さは0.5μm以上30μm以下であり、0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。アクリル樹脂層23の厚さは、化粧シート201として形成された際の厚さ、強度、重量などを加味し適切に設定すればよい。厚い方が絵柄層22の被印刷面となるアクリル樹脂層23における着色塩化ビニル系樹脂層121側とは反対側の面を平坦化する(表面粗さを小さくする)効果が高くなり、絵柄層22の意匠性が向上する。一例としてアクリル樹脂層23の厚さは3μmである。
第2実施形態に係る化粧シート101、201は、不燃性能の件を除き、上記化粧シート1に係る効果と同様の効果を得ることができる。不燃性能については、第2実施形態に係る化粧シート101、201は貫通開口部を有するため、不燃性試験の評価対象外となる。そのため第2実施形態に係る化粧シート101、201は不燃性が要求される用途に対しては不向きである。
この様な化粧シート101、201は、建築土木用途に用いることができる。例えば、意匠性に優れるため屋内空間の天井付近に設置するなどにより膜天井材、あるいは吊り天井用シートとして好適に使用することができる。
さらに、化粧シート101、201は、例えば工事現場などで、工事現場の内外を区分する目隠しシートあるいは養生シート、通風性メッシュシートとして使用することもできる。貫通開口部40を備えるために適度な隠蔽性を持ち、意匠性に優れ、さらに通風性を有するため、上記各シートとして好適に使用することができる。
また、第2実施形態およびその変形形態に係る化粧シート101、201は、貫通開口部40を備える化粧シートとして、例えば他の吸音性シート材と組み合わせて積層する様に設置した場合などには、優れた意匠性を有する吸音シートとして使用することも可能である。吸音性シート材としては、例えば繊維質シートや発泡性シートなどの吸音性に優れたシート材を挙げることができる。
この場合は、音源および聴衆側から見て手前側に化粧シート101、201を、奥側に他の吸音性シート材を積層する様に設置することにより、化粧シート101、201に係る貫通開口部40を通過した音はその奥の吸音性シート材でその多くが吸収されることにより、優れた吸音性を示す。また手前側に化粧シート101、201があるため、吸音性と同時に優れた意匠性も得る事ができる。化粧シート101、201の貫通開口部40に係る上記開口率および上記開口径は、優れた吸音性と優れた意匠性との両立の観点からも好適である。
〔建築土木材〕
上記化粧シートは、意匠性が高く、また絵柄層の経時劣化を抑制することができるため、他の部材と組み合わせて建築土木材として利用できる。建築土木材とは、基板、吊り具、枠材、棧、ねじ等他の部材を組み合わせた建築物内装材、建築物外装材や屋外用シートなどを含む。
建築物内装材としては、例えば、空港、駅、店舗内などの天井材の他、天井からの吊り下げ広告、柱巻きなどの店舗装飾、展示会パネル、ビニールカーテン破れ補修や生地の補強材などを挙げることができる。高い不燃性能、高い意匠性、高い耐候性、軽量であること、耐水性などの特長により、不特定多数が利用する空間などで好適に用いることができる。さらに、建築物内装材として、裏面側に他の吸音性シート材を積層する様に設置することにより、吸音シートとすることができる。
建築物外装材としては、例えば、建物の外壁、塀、門扉などに係る各種外装材に対する装飾シートなどを挙げることができる。また、屋外用シートとしては、例えば、簡易間仕切り、養生シート、目隠しシート、通風性メッシュシート、機械などの各種カバー、破れ補修や生地の補強材などを挙げることができる。
〔化粧シートの製造方法〕
(第1実施形態の製造方法)
次に、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法の一例について、層構成の概略を示す断面図である図7を参照して説明する。
まず、着色されたシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21を準備し(図7(a))、シート状の着色塩化ビニル系樹脂層21の一方の面側(図7における上面側)に絵柄層22をグラビア印刷法にて形成する(絵柄層積層工程、図7(b))。好ましくはグラビア印刷法であるが、インクジェット印刷法による印刷でもよい。また、別途、JIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上であるシート状の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12を準備しておく。
次に、繊維質基材11を有する基体シート10を準備し(図7(c))、基体シート10を接着剤に浸すことにより接着剤を基体シート10に含浸させ、その後乾燥させることにより、その一方の面側に絵柄接着剤層31となる接着剤が、他方の面側に基体接着剤層32となる接着剤が塗布された状態とする(図7(d))。
その後、シート状の着色塩化ビニル系樹脂層21の絵柄層22側の面とは反対の面側と基体シート10の一方の面側(図7における上面側)とが対向する様に絵柄接着剤層31を介してラミネートにより接着する(以下絵柄接着とも言う)とともに、基体シート10の他方の面側(図7における下面側)とシート状の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12とが対向する様に基体接着剤層32を介してラミネートにより接着し(以下基体接着とも言う)、化粧シート1を得る(図7(e))。
また上記説明では、絵柄接着と基体接着とを同一工程で行っているがこれに限らず、絵柄接着を先に行いその後基体接着を行ってもよく、また基体接着を先に行いその後絵柄接着を行ってもよい。
本製造方法に係る化粧シート1においても、化粧シート1のシート状の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である。
実施形態に係る化粧シート1は、上記平均分光吸収率が50%以下であるため、化粧シート1を膜天井材として使用する場合に想定される、化粧シート1の裏面にあたるシート状の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12側の面から太陽光、あるいは室内光源による熱線にさらされる様な場合であっても、熱線の吸収率を半分以下に抑えることができる。そのため化粧シート1の温度上昇を抑えることができ、絵柄層22の劣化を抑制することができる。すなわち、経時による意匠性の劣化が少ない化粧シート1とすることができる。
上記の通り、絵柄層22を印刷する工程(絵柄層積層工程)における被印刷物はシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21である。そして上述の通り、シート状の着色塩化ビニル系樹脂層21の可塑剤部数が30質量部以下と半硬質である場合には、軟質の塩化ビニル系樹脂層単体(ここでは軟質基材とも言う)に絵柄層22を印刷する場合に想定される、絵柄層22に係る溶剤が軟質基材に対しアタックしたり、乾燥時の熱、テンションにより、軟質基材が伸びたり、ガイドロールへ貼り付いたり、といった不具合を回避することができる。
また、上記製造方法では、シート状の着色塩化ビニル系樹脂層21が繊維質基材11に積層される前にシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21に対し印刷を行う。そのため繊維質基材11の凹凸に起因して表面の凹凸が激しいシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21に対し印刷するのではなく、表面の凹凸が少ない状態のシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21に対し印刷することができる。すなわち、上記製造方法におけるシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21は印刷適性が良いため、印刷対象であるシート状の着色塩化ビニル系樹脂層21の伸縮や、ガイドロールへの貼り付き、しわ等が生じ難く、グラビア印刷においても、インクジェット印刷においても高品質な印刷が可能となる。従って、第1実施形態の製造方法に係る化粧シート1は高い意匠性を有することができる。
絵柄層積層工程においてグラビア印刷法を適用する場合は、高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため費用面で有利である。
本製造方法に係る化粧シート1は、シート状の着色塩化ビニル系樹脂層21は可塑剤部数が30質量部以下と半硬質であったとしても、シート状の熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は可塑剤部数が40質量部以上と軟質である。そのため、化粧シート1全体としてある程度の柔軟性を確保することができる。そのため、化粧シート1を膜天井材として大面積で施工する場合であっても施工性を確保することができる。
本製造方法に係る化粧シート1は、良好な印刷適性から得られる高い意匠性を有し、同時に実用的な施工性も有するものである。
(第2実施形態の製造方法)
次に、第2実施形態の変形形態に係る化粧シート201の製造方法の一例について、層構成の概略を示す断面図である図8を参照して説明する。
まず繊維質基材111を有する基体シート110を準備する(図8(a))。
次に、基体シート110(繊維質基材111)にJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である塩化ビニル系樹脂を含浸させ、繊維質基材111の繊維間の空隙の一部に該塩化ビニル系樹脂を充填させて、繊維質基材111と該塩化ビニル系樹脂とが複合一体化して、取り出し後乾燥させることで、一方の面に貫通開口を有する着色塩化ビニル系樹脂層121を、他方の面に貫通開口を有する熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112を積層形成する(図8(b))。
次に、着色塩化ビニル系樹脂層121に対し、アクリル樹脂層23をグラビア印刷法などにより積層形成する(図8(c))。アクリル樹脂層23においても、平面視上着色塩化ビニル系樹脂層121に形成された貫通開口に対応する位置にアクリル樹脂層23の貫通開口が形成される。積層形成方法はグラビア印刷法に限らず、インクジェット印刷法など他の方法であっても良い。
次に、アクリル樹脂層23に対し、絵柄層122をインクジェット印刷法により積層形成する(図8(d))。絵柄層122においても、平面視上アクリル樹脂層23に形成された貫通開口に対応する位置に絵柄層122の貫通開口が形成される。
以上の工程により、第2実施形態の変形形態に係る貫通開口部40を有する化粧シート201の製造することができる。なお、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法は、上記製造方法からアクリル樹脂層23を積層形成する工程を省略したものとなる。
上記製造方法によれば、貫通開口部40を有する化粧シート101、201を容易に製造することができる。すなわち、基体シート110(繊維質基材111)に白色系に着色された塩化ビニル系樹脂を含浸させ、取り出し乾燥させることで、貫通開口を有する着色塩化ビニル系樹脂層121および貫通開口を有する熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112を容易に積層形成することができる。
また、貫通開口を有する熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層112の様に表面の凹凸が大きい被印刷物上であっても、インクジェット印刷法であれば、意匠性の高い絵柄層122を形成することが可能である。
(実施例1)
以下本開示に係る実施例および比較例について説明する。
実施例1として、カレンダー法にて製造された、DINPを可塑剤としてその部数が27.5質量部、厚さ150μmであるシート状かつブラウン色の着色塩化ビニル系樹脂層を用意した。その一方の面側に、バインダー樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂との5対5質量比の混合物からなり、着色剤としてキナクリドンレッド、カーボンブラック、シアニンブルー及びイソインドリノンイエローを含むインクを用いて多色刷りのグラビア印刷機にて木目模様層(絵柄層22)を形成した。次に、経糸および緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラス織布(繊維質基材11)に対し塩化ビニル系樹脂の接着剤を40g/m2含浸させ、その後乾燥させることにより、ガラス織布の両面に塩化ビニル系樹脂の接着剤(絵柄接着剤層31および基体接着剤層32)が塗布された状態とした。次にガラス織布の一方の面側と、酸化チタンおよびシリカを含むDINPを可塑剤としてその部数が60質量部、チタン白を10質量部含む厚さ150μmの白色のポリ塩化ビニルフィルム(熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12)とを塩化ビニル系樹脂の接着剤(基体接着剤層32)を介して熱ラミネートにより接着した。次に着色塩化ビニル系樹脂層に係る木目模様層(絵柄層22)が形成された面側とは反対の面側とガラス織布の他方の面側とを塩化ビニル系樹脂の接着剤(絵柄接着剤層31)を介して熱ラミネートにより接着することで実施例1に係る化粧シートを得た。熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値(以下L*値)は95であった。実施例1に係る化粧シートは、第1実施形態の化粧シートに相当する形態である。
(実施例2)
実施例2として、カレンダー法にて製造された、DINPを可塑剤としてその部数が60質量部、厚さ150μmであるシート状の白色塩化ビニル系樹脂層を用意した。次に、経糸および緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラス織布(繊維質基材11)に対し塩化ビニル系樹脂の接着剤を40g/m2含浸させ、その後乾燥させることにより、ガラス織布の両面に塩化ビニル系樹脂の接着剤(絵柄接着剤層31および基体接着剤層32)が塗布された状態とした。次にガラス織布の両面に上記白色塩化ビニル系樹脂層を各接着剤(絵柄接着剤層31および基体接着剤層32)を介して熱ラミネートにより各接着した。その一方の面に透明なアクリル系プライマー(アクリル樹脂層23)をグラビア印刷にて積層した。次いで透明なアクリル系プライマーの上に紫外線硬化型のインクを用いてインクジェット印刷機にて木目模様層(絵柄層22)を形成することで実施例2に係る化粧シートを得た。L*値は70であった。実施例2に係る化粧シートは、第1実施形態に変形形態を適用した化粧シートに相当する形態である。
(実施例3)
実施例3として、白色を呈する株式会社イノベックス製メッシュシート(高強力メッシュM BMTP7630FLS)の一方の面上に紫外線硬化型のインクを用いてEFI社製インクジェット印刷機 VUTEk GS5000LXr Proにより木目模様層(絵柄層22)を形成することで実施例3に係る化粧シートを得た。L*値は95であった。実施例3に係る化粧シートは、第2実施形態の化粧シートに相当する形態である。
(実施例4)
実施例4として、白色を呈する帝人フロンティア株式会社製メッシュシート(クッキー CK20)の一方の面上に実施例3と同様にして木目模様層(絵柄層22)を形成することで実施例4に係る化粧シートを得た。L*値は89であった。実施例4に係る化粧シートは、第2実施形態の化粧シートに相当する形態である。
(比較例1)
比較例1として、実施例1における、可塑剤部数が60質量部、厚さ150μmである白色のポリ塩化ビニルフィルム(熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12)を、可塑剤部数が60質量部、厚さ150μmのまま、その色をブラウン色としたポリ塩化ビニルフィルムに変更した以外は、実施例1と同様として比較例1に係る化粧シートを得た。L*値は53であった。
(比較例2)
比較例2として、実施例4におけるメッシュシートを、ベージュ色を呈する帝人フロンティア株式会社製メッシュシート(クッキー CK17)に変更した以外は、実施例4と同様として比較例2に係る化粧シートを得た。L*値は60であった。
(評価1:熱線吸収率評価)
評価(実施例、比較例)に係る各化粧シートを5cm×5cmの大きさに切断し、木目模様層(絵柄層22)とは反対面における780nm以上2500nm以下の範囲の平均分光反射率および平均分光透過率を測定した。両測定値を「平均分光吸収率(%)=100(%)-平均分光透過率(%)-平均分光反射率(%)」の式にあてはめ平均分光吸収率を得た。その結果、吸収率50%以下を〇と、吸収率50%を超えるものを×とした。
(評価2:発熱性試験)
実施例1、実施例2、比較例1に係る各化粧シートに対し、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機を用いて、加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m2)、および加熱開始後20分間の最大発熱速度として、200kW/m2を超える時間(以下超過時間ともいう)を秒単位で求め、評価基準は以下の通りとした。総発熱量7.2MJ/m2以下、かつ超過時間8秒以下:◎、総発熱量8MJ/m2を超える、あるいは超過時間10秒を超える:×、上記◎にも×にも該当しないもの:〇。なお、実施例3、実施例4、比較例2に係る各化粧シートについては貫通開口部が設けられている形態であるため、発熱性試験の評価対象外とし、評価結果を示す表1においては-とした。
評価に係る各化粧シートに対する評価1及び評価2の結果を表1に示す。
Figure 2022155429000002
(評価1結果)
熱線吸収率を評価する評価1の結果は表1の通り、実施例はいずれも〇、比較例はいずれも×となった。これにより、本開示に係る白色である熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12は、熱線吸収率が低いこと、および熱線吸収率を低くするためには白色であると共に熱線帯域の電磁波の吸収が少ない特定の白色顔料により着色された白色系が好ましいことが確認された。そして、本開示に係る各形態の化粧シートは熱線吸収率が低いため、化粧シートの温度上昇を抑えることができ、その結果、絵柄層22の劣化を抑制することができる。すなわち、経時による意匠性の劣化が少ない化粧シートとすることができることを確認した。
(評価2結果)
発熱性すなわち不燃性能を評価する評価2の結果は表1の通り、評価に係る化粧シートは実施例、比較例ともに◎となった。この結果から、本開示の第1実施形態に係る化粧シートは、熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層12の色の影響は少なく、高い不燃性能を有することが確認された。
以上、本開示に係る化粧シート、建築土木材および化粧シートの製造方法について説明したが、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
1、101、201 化粧シート
10、110 基体シート
11、111 繊維質基材
12、112 熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層
21、121 着色塩化ビニル系樹脂層
22、122 絵柄層
23 アクリル樹脂層
31 絵柄接着剤層
32 基体接着剤層
40 貫通開口部

Claims (13)

  1. 基体シートの一方の面側に着色された着色塩化ビニル系樹脂層が設けられ、他方の面側に熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層が設けられた化粧シートであり、
    前記着色塩化ビニル系樹脂層の前記基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が設けられ、
    前記基体シートは繊維質基材を含み、
    前記化粧シートの前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、化粧シート。
  2. 前記化粧シートにおいて、前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は、少なくとも無機粒子、金属粒子のいずれかを含む、請求項1あるいは請求項2のいずれか1項に記載の化粧シート。
  4. 前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は金属粒子を含み、前記金属粒子はアルミニウム元素を含む、請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記着色塩化ビニル系樹脂層における前記絵柄層側の面と前記絵柄層との下記関係式で規定される色差ΔE*が15以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
    ここで、JIS Z8729に規定するL***表色系における、前記着色塩化ビニル系樹脂層における前記絵柄層側の面の色をL* 1* 1* 1、前記絵柄層の色をL* 2* 2* 2とすると、
    ΔE*=((ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
    ΔL*=L* 2-L* 1
    Δa*=a* 2-a* 1
    Δb*=b* 2-b* 1
  6. 前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層は可塑剤部数が40質量部以上である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記繊維質基材がガラス繊維を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。
  8. 前記繊維質基材がポリエステル繊維を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. ISO5660-1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の化粧シート。
  10. 前記化粧シートは多数の貫通開口部を有し、前記貫通開口部の平均開口径は2.3mm以下であり、前記貫通開口部の開口率は0.4%以上40%以下である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の化粧シート。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の化粧シートを有する建築土木材。
  12. 着色塩化ビニル系樹脂層と基体シートと熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とを含む化粧シートの製造方法であって、
    着色されたシート状の前記着色塩化ビニル系樹脂層を準備する工程と、
    前記着色塩化ビニル系樹脂層の一方の面側に絵柄層を積層する絵柄層積層工程と、
    繊維質基材を含む前記基体シートを準備する工程と、
    シート状であり、JIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層を準備する工程と、
    前記基体シートの一方の面側と、前記着色塩化ビニル系樹脂層の前記絵柄層側の面とは反対の面側とが対向する様に積層する工程と、
    前記基体シートの他方の面側と、前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とが対向する様に積層する工程とを有し、
    前記化粧シートの前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、化粧シートの製造方法。
  13. 着色塩化ビニル系樹脂層と基体シートと熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層とを含む化粧シートの製造方法であって、
    繊維質基材を含む前記基体シートを準備する工程と、
    前記基体シートにJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である塩化ビニル系樹脂を含浸させることにより、前記基体シートの一方の面側に前記着色塩化ビニル系樹脂層を、前記基体シートの他方の面側に前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層を形成する工程と、
    前記着色塩化ビニル系樹脂層の前記基体シート側の面とは反対側の面にインクジェット印刷にて絵柄層を積層する絵柄層積層工程とを有し、
    前記化粧シートは多数の貫通開口部を有し、前記貫通開口部の平均開口径は2.3mm以下であり、前記貫通開口部の開口率は0.4%以上40%以下であり、
    前記化粧シートの前記熱低吸収性塩化ビニル系樹脂層面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、化粧シートの製造方法。
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