JP2023031410A - 樹脂構造体及び樹脂構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材と樹脂部材との接合強度が高く、なおかつ、基材において樹脂部材が接合された面の反対面に突出部に起因する凹凸が生じ難い樹脂構造体および樹脂構造体の製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む板状の基材12と、基材12の一方の面12Bに接合された樹脂部材20と、を備え、樹脂部材20のうち基材12との接合部分である接合面21に、当該接合面21から基材12の内部に突出する突出部22が設けられており、突出部22は、基材12の内部において、接合面21から基材12に向けて延びる基部23と、基部23の先端側に連なり、基部23の接合面21からの突出方向と交差する方向に延びる交差部24と、を備える、樹脂構造体10。【選択図】図7
Description
本明細書に開示される技術は、樹脂構造体及び樹脂構造体の製造方法に関する。
従来、車両内装材等に用いられる樹脂構造体として、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、樹脂構造体の一例として、発泡体からなる基材の裏面(意匠面の反対面)に合成樹脂製のブラケット(樹脂部材)が接合された内装材が開示されている。このものは、基材とブラケットの接合強度を高めるために、ブラケット側の接合面に当該接合面から突出する複数の尖頭部を設け、これらの尖頭部を基材に突き刺す構成とされている。
上記構成において、基材と樹脂部材との接合強度を高めるべく突出部(尖頭部)の突出寸法を大きくすると、基材の意匠面に突出部に起因する凹凸が生じる虞がある。このため、突出部の突出寸法を大きくするのには限界があり、さらに接合強度を高める方法が望まれている。
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基材と樹脂部材との接合強度が高く、なおかつ、基材において樹脂部材が接合された面の反対面に突出部に起因する凹凸が生じ難い樹脂構造体および樹脂構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本明細書に開示される樹脂構造体は、熱可塑性樹脂を含む板状の基材と、前記基材の一方の面に接合された樹脂部材と、を備え、前記樹脂部材のうち前記基材との接合部分である接合面に、当該接合面から前記基材の内部に突出する突出部が設けられており、前記突出部は、前記基材の内部において、前記接合面から前記基材に向けて延びる基部と、前記基部の先端側に連なり、前記基部の前記接合面からの突出方向と交差する方向に延びる交差部と、を備える。
上記構成によれば、突出部の先端側が、基部の接合面からの突出方向と交差する方向に延びるアンダー形状とされているため、突出部が基材に対して真っ直ぐ突き刺さっただけの従来の構成と比較して、接合強度が高く、なおかつ、基材において樹脂部材が接合された面の反対面に突出部に起因する凹凸が生じ難い樹脂構造体が得られる。
前記基部と前記交差部とは屈曲した角部により連なっており、前記角部には、前記基部と前記交差部との面同士が互いに対向する対向部が形成され、前記対向部は、当該角部の内周側から外周側に向けて延在していてもよい。
このような構成によれば、基材の内部において、突出部がその先端側に交差部有する構成(アンダー形状とされた構成)の樹脂構造体を実際に製造可能である。つまり、真っ直ぐな突出部に一部が切り欠かれた形の切欠部を設け、樹脂部材の接合時に、基材から受ける反力により突出部の先端側を切欠部を起点として屈曲させることにより、基材の内部において交差部を有する突出部を形成可能である。
前記基部と前記交差部とは屈曲した角部により連なっており、前記突出部は、前記角部において、前記交差部と異なる方向かつ前記接合面に沿う方向に、前記交差部の長さ寸法よりも小さい寸法で膨出する膨出部を備えていてもよい。
このような構成によれば、膨出部により、樹脂構造体の基材に対する接合強度がより高まる。
また、本明細書に開示される技術は、熱可塑性樹脂を含む板状の基材と、前記基材の一方の面に接合された樹脂部材と、を備える樹脂構造体の製造方法であって、前記基材を加熱する加熱工程と、前記加熱工程により加熱された状態の前記基材の前記一方の面に前記樹脂部材を接合する樹脂部材接合工程と、を含み、前記基材に接合される前の前記樹脂部材は、前記基材との接合部分である接合面に、当該接合面から突出する突出部を有し、前記突出部は、その突出方向と交わる方向に一部が切り欠かれた形の切欠部を有しており、前記樹脂部材接合工程において、前記樹脂部材は、前記突出部の先端側から前記基材に押圧されるとともに、その押圧によって前記突出部が前記基材からの反力を受けつつ前記基材の内部に挿入されるものとされ、その反力により、前記突出部は、前記切欠部を基点として折れ曲がり、前記基材の内部において、前記接合面から前記基材に向けて延びる基部と、前記基部の先端側に連なり、前記基部の前記接合面からの突出方向と交差する方向に延びる交差部と、を備えるものとされる。
上記製造方法により、接合強度が高く、なおかつ、基材において樹脂部材が接合された面の反対面に突出部に起因する凹凸が生じ難い樹脂構造体を得ることができる。
また、前記樹脂構造体は、前記基材の他方の面を覆う表皮材を備え、前記表皮材を前記基材に貼着する表皮材貼着工程は、前記加熱工程の前に実行されてもよい。
また、前記加熱工程の後、前記基材を一対の成形型によりプレス成形するプレス成形工程を含み、前記樹脂部材接合工程は、前記一対の成形型内に前記樹脂部材をインサートすることにより前記プレス成形工程と同時に実行されてもよい。このような製造方法により、樹脂構造体の製造効率を向上させることができる。
本明細書に開示される技術によれば、基材と樹脂部材との接合強度が高く、なおかつ、基材において樹脂部材が接合された面の反対面に突出部に起因する凹凸を生じ難い樹脂構造体および樹脂構造体の製造方法が得られる。
一実施形態を図1から図8の図面を参照しながら説明する。以下の説明では、図1および図2の上方を表側とし、下方を裏側とする。また、図3の上側を上方とし、下側を下方とする。
本実施形態に係る樹脂構造体は、乗物用ドアの室内意匠面を構成するブラケット付きドアトリム10であって、図1に示すように、板状のトリムボード11と、トリムボード11の裏面側に設けられた合成樹脂製のブラケット(樹脂部材の一例)20とを有している。トリムボード11は、表側が室内意匠面とされ、裏側が室外面とされている。なお、トリムボード11には複数のブラケット20が設けられているものの、説明の便宜のために、各図においては、一つのブラケット20のみを示している。
トリムボード11は、図1に示すように、平板状をなし、基材12と、基材12の表面(室内側の面、他方の面の一例)12Aを被覆する表皮材13とを備えて構成されている。表皮材13は、合成皮革、天然皮革あるいは繊維製とされ、基材12の表面12Aに図示しない接着層を介して貼り付けられている。本実施形態では、PET繊維製の表皮材13が使用されている。
基材12は、繊維木材等を解織して得た木質繊維、あるいはケナフ等の靭皮植物繊維を熱可塑性樹脂に含浸させることで形成されている。つまり、基材12は、繊維が熱可塑性樹脂によって結着されてなる。基材12を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず種々のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル樹脂(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエチレン樹脂)、ポリスチレン、ポリアクリル樹脂(メタアクリレート、アクリレート等)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂のうちの少なくとも一方であることが好ましく、更には、ポリオレフィンのなかではポリプロピレンがより好ましい。
本実施形態の基材12は、ケナフとポリプロピレンを含有するものとされ、ケナフとポリプロピレンの含有比(植物繊維:熱可塑性樹脂)が5:5(質量比)程度とされている。なお、繊維と熱可塑性樹脂の割合は、これに限定されるものではない。基材12は、マット状のプレボード12P(図2参照)をプレス成形することで圧縮し、プレボード12Pよりも密度が高い状態とすることにより形成されている。
上述したブラケット20は例えばポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなり、予め基材12とは別体に形成され、基材12の裏面(一方の面の一例)12Bに接合されている。このブラケット20は、例えば、ドアパネルを係止するためのクリップを取り付けるクリップ座である。なお、ブラケット20については、後にさらに詳細に説明する。
次に、本実施形態のブラケット付きドアトリム10を製造する製造装置30について説明する。製造装置30は、図3等に示すように、後述する板状体11Pを上下方向からプレスし、図1に示すブラケット付きドアトリム10を形成するための一対の成形型31,41を有している。一対の成形型31,41は、上方に配され、板状体11Pを表面(室内面、表皮材13の表面)となる面側(上面側)からプレスする上型31と、上型31に対向するように下方に配され、板状体11Pを裏面(室外面、基材12の裏面12B)となる面側(下面側)からプレスする下型41と、によって構成されている。
上型31の型面(下面)は、端部に位置して水平方向に延びる上側基部32と、上側基部32から下方に向けて扁平な状態で突出する突出部34とから構成されている。突出部34の側面は、上側基部32からから下方かつ中央側に向けて傾く上側傾斜部33とされている。この上型31は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等)によって、上下方向へ移動が可能な可動型とされる。
一方、下型41の型面(上面)は、全体的には上型31の型面に概ね沿った形状とされており、上型31の型面との間に所定の間隔が設けられるように設定されている。具体的には、下型41の型面(上面)は、端部に位置して水平方向に延びる下側基部42と、下側基部42から下方に向けて扁平な状態で窪んだ窪み部44とを有して構成されている。窪み部44の内側面は、上側に向けて端部側に傾いた下側傾斜部43とされている。下型には駆動装置は設けられておらず、固定型とされている。
窪み部44の中央には、上述したブラケット20を内側に嵌め入れて保持するためのブラケット保持部45が、その上面から下方に窪んだ状態で形成されている。ブラケット保持部45は、図4に示すように、ブラケット20を、後述する板状体11P(基材12)と接合する接合面21が型内に露出するように保持する。またブラケット保持部45は、ブラケット20を保持した状態において、ブラケット20の接合面21が窪み部44の型面44A(上面)と面一になる深さに設定されている。
図3、図4、図8は、上型31が下型41から離れる方向へ移動した状態、つまり一対の成形型31,41が開いた状態を示している。一方、図6では、上型31が下型41に近づく方向へ移動し、一対の成形型31,41が閉じた状態を示している。一対の成形型31,41が閉じた状態における上型31の型面と下型41の型面との間に形成される空間が、板状体成形空間S1とされる。
次に、本実施形態のブラケット付きドアトリム10の製造方法について説明する。ブラケット付きドアトリム10の製造方法は、プレボード12Pを成形するプレボード成形工程と、プレボード12Pの一面側に表皮材13を貼着する表皮材貼着工程と、表皮材13が貼着されたプレボード12P(板状体11P)を加熱する加熱工程と、一対の成形型31,41内にブラケット20をインサートして加熱された板状体11Pをプレスすることにより、板状体11Pをプレス成形するとともにブラケット20を板状体11Pの裏面に接合するプレス成形工程およびブラケット接合工程(樹脂部材接合工程の一例)と、形成されたブラケット付きドアトリム10を一対の成形型31,41から離脱する離脱工程と、を備える。
<プレボード成形工程>
プレボード成形工程では、ケナフ繊維とポリプロピレンが混合されたマット材を加熱してプレス成形し、これを所定長さ(成形後の基材12の長さ寸法よりも長めの寸法)で切断することにより平板状のプレボード12Pを形成する。
プレボード成形工程では、ケナフ繊維とポリプロピレンが混合されたマット材を加熱してプレス成形し、これを所定長さ(成形後の基材12の長さ寸法よりも長めの寸法)で切断することにより平板状のプレボード12Pを形成する。
<表皮材貼着工程>
表皮材貼着工程では、プレボード12Pの一の面上に載置した表皮材13を熱板で押圧することで、プレボード12Pの一の面を表皮材13で被覆する(図2参照)。熱板は、押圧面がフラット状をなすとともに、表皮材13の接着層(図示せず)およびプレボード12Pを構成するポリプロピレンを溶融可能な温度に加熱されている。このため、表皮材貼着工程において、溶融した表皮材13の接着層と、溶融したプレボード12P側のポリプロピレンが混ざり合うようにして、表皮材13がプレボード12Pに対して溶着されるとともに、プレボード12Pの一の面が熱板の押圧面に倣って平坦化された状態となる。以下、プレボード12Pに表皮材13が貼付された状態のものを、板状体11Pとして説明する。このように、本実施形態では、表皮材13を基材12に対して貼り着ける表皮貼着工程は、基材12に後述するブラケット20を接合する前に行われる。
表皮材貼着工程では、プレボード12Pの一の面上に載置した表皮材13を熱板で押圧することで、プレボード12Pの一の面を表皮材13で被覆する(図2参照)。熱板は、押圧面がフラット状をなすとともに、表皮材13の接着層(図示せず)およびプレボード12Pを構成するポリプロピレンを溶融可能な温度に加熱されている。このため、表皮材貼着工程において、溶融した表皮材13の接着層と、溶融したプレボード12P側のポリプロピレンが混ざり合うようにして、表皮材13がプレボード12Pに対して溶着されるとともに、プレボード12Pの一の面が熱板の押圧面に倣って平坦化された状態となる。以下、プレボード12Pに表皮材13が貼付された状態のものを、板状体11Pとして説明する。このように、本実施形態では、表皮材13を基材12に対して貼り着ける表皮貼着工程は、基材12に後述するブラケット20を接合する前に行われる。
<加熱工程>
次に、上述した板状体11Pを、加熱装置により、ポリプロピレンが溶融軟化する程度(本実施形態では200℃程度)に加熱しておく。
次に、上述した板状体11Pを、加熱装置により、ポリプロピレンが溶融軟化する程度(本実施形態では200℃程度)に加熱しておく。
<設置工程>
図3および図4に示すように、開いた状態の一対の成形型31,41のうち下型41のブラケット保持部45に、ブラケット20を設置する。ブラケット20は、ブラケット保持部45に設置された状態において、その上面(板状体11Pとの接合面21)が下型41の型内に露出するとともに、窪み部44の型面44Aと面一とされる。また、ブラケット20は、ブラケット保持部45に設置された状態において、ブラケット保持部45との間に隙間をほとんど有さない状態とされている。
図3および図4に示すように、開いた状態の一対の成形型31,41のうち下型41のブラケット保持部45に、ブラケット20を設置する。ブラケット20は、ブラケット保持部45に設置された状態において、その上面(板状体11Pとの接合面21)が下型41の型内に露出するとともに、窪み部44の型面44Aと面一とされる。また、ブラケット20は、ブラケット保持部45に設置された状態において、ブラケット保持部45との間に隙間をほとんど有さない状態とされている。
この、ブラケット保持部45に設置されるブラケット20の単体(接合前のブラケット20)には、接合面21から突出する複数の突出部22が設けられている。突出部22は、図5に示すように、先端側がやや先細とされた丸棒状をなしている。本実施形態において、突出部22は、接合面21から垂直に立ち上がっている。突出部22の高さ寸法は、後述するプレス成形後の基材12の厚み寸法よりやや短い寸法とされている。
突出部22には、その基端から約2/3の高さ位置に、切欠部26が設けられている。切欠部26は、突出部22の外周の一点から接合面21に沿う方向に延びるように一部を切り欠いた断面楔型の溝状とされており、突出部22の半周にわたるように設けられている。つまり、切欠部26は、突出部22を平断面で視た場合に、概ね半円形状となるように、突出部22の軸に到達する深さ寸法で設けられている。切欠部26は、複数の突出部22について、接合面21から同じ高さ位置に形成されている。また切欠部26は、複数の突出部22について、同方向(図5においては右側)に開口するように設けられている。
ブラケット20がブラケット保持部45内に設置されたら、図4に示すように、上型31と下型41の間の所定の位置に、上述した加熱工程により予めポリプロピレンが溶融軟化する程度(本実施形態では200℃程度)に加熱された状態の板状体11Pを配置する。本実施形態において、板状体11Pは、表皮材13が設けられた面(室内面)が上方に位置する向き、すなわち、表皮材13がブラケット20が接合される面(室外面)の反対側に配置される向きとされる。
<プレス成形工程およびブラケット接合工程>
次に、上型31を駆動装置により下型41に近づく方向(下方)に移動させ、一対の成形型31,41により、板状体11Pを冷間プレスする(図6参照)。すると、板状体11Pは、その端部がせん断によって切除されると共に、上型31の型面と下型41の型面との間に形成された板状体成形空間S1の成形面により圧縮されることでトリムボード11に成形される(プレス成形工程)。
次に、上型31を駆動装置により下型41に近づく方向(下方)に移動させ、一対の成形型31,41により、板状体11Pを冷間プレスする(図6参照)。すると、板状体11Pは、その端部がせん断によって切除されると共に、上型31の型面と下型41の型面との間に形成された板状体成形空間S1の成形面により圧縮されることでトリムボード11に成形される(プレス成形工程)。
上型31の移動に伴って、ブラケット20の接合面21に形成された複数の突出部22は、それらの先端側からプレボード12P(基材12)に押圧されるとともに、その押圧によってプレボード12Pからの反力を受けつつプレボード12Pの内部に挿入される。そして、その反力により、突出部22は、切欠部26を基点として、切欠部26の断面楔型に配された溝壁が互いに近づく方向(閉じる方向)に徐々に折れ曲がる。
そして、上型31が下型41に対して型閉じされた状態では、図7に示すように、突出部22は基材12の内部において、接合面21から基材12に向けて(上方に向けて)延びる基部23と、基部23の先端側に連なり、基部23の接合面21からの突出方向と交差する方向に延びる交差部24と、を備えたアンダー形状とされる(ブラケット接合工程)。交差部24の先端24Tは、基部23と交差部24との間に形成される角部25よりも接合面21に近い側に位置している。つまり、突出部22は、鋭角に折れ曲がった状態とされている。また、角部25には、その内周側から外周側に向けて、切欠部26の溝壁(面)同士が互いに重なり合った境界部分である対向部27が延在している。
また、角部25の外周側は、プレボード12P(基材12)が上下方向に圧縮されることにより主に上下方向に押圧されるとともに、熱により緩やかに溶融して潰れ、接合面21に概ね沿う方向に交差部24の長さ寸法よりも小さい寸法で膨出する膨出部28とされる(図7参照)。
なお、このプレス成形工程およびブラケット接合工程におけるプレボード12P(基材12)の硬さは、切欠部26の溝壁同士が重なり合い、突出部22が切欠部26により鋭角に折れ曲がる程度の硬さとされている。
<離脱工程>
プレス成形工程およびブラケット接合工程において所定時間(樹脂が硬化する時間)が経過したら、一体とされたトリムボード11およびブラケット20を一対の成形型31,41から離脱する(図8参照)。このようにして、トリムボード11にブラケット20が接合されたブラケット付きドアトリム10が得られる。
プレス成形工程およびブラケット接合工程において所定時間(樹脂が硬化する時間)が経過したら、一体とされたトリムボード11およびブラケット20を一対の成形型31,41から離脱する(図8参照)。このようにして、トリムボード11にブラケット20が接合されたブラケット付きドアトリム10が得られる。
次に、作用効果について説明する。本実施形態のブラケット付きドアトリム10は、熱可塑性樹脂を含む板状の基材12と、基材12の裏面12B(トリムボード11の室外面)に接合されたブラケット20と、を備え、ブラケット20のうち基材12との接合部分である接合面21に、当該接合面21から基材12の内部に突出する突出部22が設けられており、突出部22は、基材12の内部において、接合面21から基材12に向けて延びる基部23と、基部23の先端側に連なり、基部23の接合面21からの突出方向と交差する方向に延びる交差部24と、を備えている。
このような構成によれば、突出部22の先端側が、基部23の接合面21からの突出方向と交差する方向に延びるアンダー形状とされているため、突出部22が基材12に対して真っ直ぐ突き刺さっただけの従来の構成と比較して、接合強度が高く、なおかつ、基材12の表面12Aひいてはトリムボード11の室内面(表皮材13の表面)に突出部22に起因する凹凸が生じ難いブラケット付きドアトリム10が得られる。
また、基部23と交差部24とは屈曲した角部25により連なっており、角部25には、基部23と交差部24との面同士が互いに対向する対向部27が形成され、対向部27は、角部25の内周側から外周側に向けて延在していている。
対向部27は、ブラケット20の突出部22が基材12中に挿入される際に、基材12から受ける反力により切欠部26を起点として折れ曲がり、切欠部26の溝壁同士が重ね合わされることによって形成される部分であって、実質的に、溝壁の境界部分である。なお、この対向部27は、熱により溶融して一部または全部が混ざり合っていてもよい。
また、突出部22は、角部25において交差部24と異なる方向かつ接合面21に沿う方向に、交差部24の長さ寸法よりも小さい寸法で膨出する膨出部28を備えている。このような膨出部28により、ブラケット20の基材12に対する接合強度がより高まる。
また、ブラケット付きドアトリム10の製造方法は、熱可塑性樹脂を含む板状の基材12を加熱する加熱工程と、加熱工程により加熱された状態の基材12の裏面12Bにブラケット20を接合するブラケット接合工程と、を含み、基材12に接合される前のブラケット20は、基材12との接合部分である接合面21に、当該接合面21から突出する突出部22を有し、突出部22は、その突出方向と交わる方向に一部が切り欠かれた形の切欠部26を有しており、ブラケット接合工程において、ブラケット20は、突出部22の先端側から基材12に押圧されるとともに、その押圧によって突出部22が基材12からの反力を受けつつ基材12の内部に挿入されるものとされ、その反力により、突出部22は、切欠部26を基点として折れ曲がり、基材12の内部において、接合面21から基材12に向けて延びる基部23と、基部23の先端側に連なり、基部23の接合面21からの突出方向と交差する方向に延びる交差部24と、を備えるアンダー形状とされる。
このような方法により、突出部22が基材12中でアンダー形状とされることにより接合強度が高く、なおかつ、基材12の表面12A面に突出部22に起因する凹凸が生じ難い、ブラケット付きドアトリム10を実際に製造可能である。
ブラケット付きドアトリム10は、基材12の表面12Aを覆う表皮材13を備えており、表皮材13を基材12に貼着する表皮材貼着工程は、加熱工程の前に実行される。
基材12の表面12Aを表皮材13で被覆する場合、生産上の理由から、ブラケット20を取り付ける前のプレボード12Pに対して先に表皮材13を設け、その後、表皮材13が一体とされたプレボード12P(基材12)に対してブラケット20を取り付ける場合がある。しかし、そのようにした場合、表皮材13をプレボード12Pに貼着する際と、ブラケット20をプレボード12P(基材12)に接合する際の2回にわたって表皮材13を押圧することになるため、表皮材13が潰れて薄くなり、1回の押圧では受けなかったブラケット20の突出部22の影響を受けて、表皮材13の表面、すなわち、ブラケット付きドアトリム10の意匠面に突出部22に起因する凹凸が生じる場合がある。特に、表皮材13および基材12が熱プレスされる場合には、その影響が顕著である。
上記構成によれば、表皮材13が2回にわたって熱プレスされる場合であっても、トリムボード11の表面(表皮材13の表面)に、突出部22に起因する凹凸が生じ難いブラケット付きドアトリム10を得ることができる。
また、加熱工程の後、基材12を一対の成形型31,41によりプレス成形するプレス成形工程を含んでおり、ブラケット接合工程は、一対の成形型31,41内にブラケット20をインサートすることによりプレス成形工程と同時に実行される。
このような製造方法によれば、製造効率を向上させることができる。
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、対向部27は、切欠部26が閉じて断面楔型の溝壁(面)
が互いに重なり合うことにより形成された境界部分とされた構成を示したが、切欠部26の溝壁が完全に重ね合わされない構成も技術的範囲に含まれる。つまり、突出部が途中(溝壁が重ね合わされない状態)まで屈曲され、2つの溝壁の間に基材の一部が挟まれた形態も、技術的範囲に含まれる。
が互いに重なり合うことにより形成された境界部分とされた構成を示したが、切欠部26の溝壁が完全に重ね合わされない構成も技術的範囲に含まれる。つまり、突出部が途中(溝壁が重ね合わされない状態)まで屈曲され、2つの溝壁の間に基材の一部が挟まれた形態も、技術的範囲に含まれる。
(2)上記実施形態では、表皮材貼着工程を加熱工程の前に実行する形態を示したが、表皮材貼着工程は、プレス成形工程と同時に実行されてもよい。
(3)上記実施形態では、ブラケット20をインサート成形により基材12に接合する構成としたが、インサート成形以外にも、樹脂部材を基材に単に押圧して接合するようにしてもよい。
(4)突出部22に設ける切欠部26の構成は、上記実施形態に限るものではなく、要は、基材に挿入された際に屈曲可能な構成であればよい。また上記実施形態では、複数の突出部22の各切欠部26について、同高さ、かつ、同方向に開口する構成を示したが、切欠部の高さや開口方向は個別に設定することができる。
(5)上記実施形態では、基材12中の突出部22について、図7に示すように、その先端24Tが角部25より接合面21に近い側に位置するように、鋭角に折れ曲がった形態を示したが、突出部の屈曲角度は鈍角とされてもよい。
10:ブラケット付きドアトリム、11:トリムボード、12:基材、12A:表面(他方の面)、12B:裏面(一方の面)、12P:プレボード(基材)、13:表皮材、20:ブラケット(樹脂部材)、21:接合面、22:突出部、23:基部、24:交差部、25:角部、26:切欠部、27:対向部、28:膨出部、30:製造装置、31,41:型(成形型)、45:ブラケット保持部
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を含む板状の基材と、前記基材の一方の面に接合された樹脂部材と、を備え、
前記樹脂部材のうち前記基材との接合部分である接合面に、当該接合面から前記基材の内部に突出する突出部が設けられており、
前記突出部は、前記基材の内部において、前記接合面から前記基材に向けて延びる基部と、前記基部の先端側に連なり、前記基部の前記接合面からの突出方向と交差する方向に延びる交差部と、を備える、樹脂構造体。 - 前記基部と前記交差部とは屈曲した角部により連なっており、
前記角部には、前記基部と前記交差部との面同士が互いに対向する対向部が形成され、前記対向部は、当該角部の内周側から外周側に向けて延在している、請求項1に記載の樹脂構造体。 - 前記基部と前記交差部とは屈曲した角部により連なっており、
前記突出部は、前記角部において、前記交差部と異なる方向かつ前記接合面に沿う方向に、前記交差部の長さ寸法よりも小さい寸法で膨出する膨出部を備える、請求項1または請求項2に記載の樹脂構造体。 - 熱可塑性樹脂を含む板状の基材と、前記基材の一方の面に接合された樹脂部材と、を備える樹脂構造体の製造方法であって、
前記基材を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱された状態の前記基材の前記一方の面に前記樹脂部材を接合する樹脂部材接合工程と、を含み、
前記基材に接合される前の前記樹脂部材は、前記基材との接合部分である接合面に、当該接合面から突出する突出部を有し、前記突出部は、その突出方向と交わる方向に一部が切り欠かれた形の切欠部を有しており、
前記樹脂部材接合工程において、前記樹脂部材は、前記突出部の先端側から前記基材に押圧されるとともに、その押圧によって前記突出部が前記基材からの反力を受けつつ前記基材の内部に挿入されるものとされ、その反力により、前記突出部は、前記切欠部を基点として折れ曲がり、前記基材の内部において、前記接合面から前記基材に向けて延びる基部と、前記基部の先端側に連なり、前記基部の前記接合面からの突出方向と交差する方向に延びる交差部と、を備えるものとされる、樹脂構造体の製造方法。 - 前記樹脂構造体は、前記基材の他方の面を覆う表皮材を備えており、
前記表皮材を前記基材に貼着する表皮材貼着工程は、前記加熱工程の前に実行される請求項4に記載の樹脂構造体の製造方法。 - 前記加熱工程の後、前記基材を一対の成形型によりプレス成形するプレス成形工程を含み、
前記樹脂部材接合工程は、前記一対の成形型内に前記樹脂部材をインサートすることにより前記プレス成形工程と同時に実行される、請求項4または請求項5に記載の樹脂構造体の製造方法。
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JP2021136873A JP2023031410A (ja) | 2021-08-25 | 2021-08-25 | 樹脂構造体及び樹脂構造体の製造方法 |
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- 2021-08-25 JP JP2021136873A patent/JP2023031410A/ja active Pending
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