JP2023030158A - 外傷性脳傷害を治療するための組成物および方法 - Google Patents

外傷性脳傷害を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外傷性脳傷害を治療するための組成物および方法を提供すること。【解決手段】外傷性脳傷害の治療を必要とする被験体において外傷性脳傷害を治療する方法。【選択図】なし

Description

関連出願
本願は、2017年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/489,735号の利益を主張する。該出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
本発明は、外傷性脳傷害を治療するための組成物および方法に関する。
発明の背景
外傷性脳傷害(TBI)は、脳に損傷を与える物理的衝撃または他の外傷により引き起こされる。外傷の原因に応じて、生じる衝撃は、開放性頭部外傷または閉鎖性頭部外傷を引き起こし得る。開放性頭部外傷は典型的に、貫通物質(例えば弾丸または他の発射体)により引き起こされる。閉鎖性頭部外傷はしばしば、交通事故の際にフロントガラスに頭部をぶつけることなどの鈍い力の外傷により引き起こされる。開放性および閉鎖性頭部外傷の両方において、即時的で一次的な脳への損傷(脳出血など)の後、経時的に進行する二次的な脳損傷(頭蓋内の圧力の増加および発作など)がある。二次的な脳損傷はしばしば、学習および記憶に関与する脳の海馬領域に影響を及ぼす。TBI後の二次的な脳損傷はまた、種々の程度に、認知、行動および感覚運動の機能に影響を及ぼし得る。
TBIのための治療は、傷害の種類および重症度に基づいて変化する。一時的な脳の損傷に対処するためおよび患者の状態を安定化するためにしばしば手術が必要とされる。二次的な損傷を最小化するためにしばしば急性の治療が必要とされ得るが、かかる治療は待機的になる傾向がある。例えば、患者の動揺を低減し、治癒を促進する、昏睡を誘導する鎮静薬が患者に投与されることがある。患者が機能を回復する際に、痙縮を低減するための医薬も使用され得る。注意および集中の問題を補助するための他の薬物(例えば、アマンタジン、メチルフェニデート、ブロモクリプチンおよび抗鬱薬を含む)または積極的な行動を抑制するための他の薬物(例えば、カルバマゼピン(carbamamazapine)およびアミトリプチリン)が使用されることがある。しかしながら、脳を直接治療するかまたは二次的な脳損傷から脳を保護する有効な薬物はほとんどない。
国際公開公報WO 2015/174948
広範囲の影響および有効な治療選択肢の欠如を考慮すれば、TBIにより引き起こされる脳損傷(例えば二次的な脳損傷)を治療するかまたは予防するための新規の方法を同定するための有意なまだ対処されていない医学的必要性が残る。
発明の概要
本明細書に記載される発明は、例えば外傷性脳傷害により引き起こされる神経変性損傷の二次的カスケードを治療し、かつ外傷性脳傷害後の認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果(functional outcome)を向上する方法を提供することにより、TBIにより引き起こされる二次的な脳損傷を含むTBIを治療および/または予防するための新規の方法についての医学的必要性に対処する。
ある態様において、本発明は、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体において、TBIを治療および/または予防するため(例えば、外傷性脳傷害により引き起こされる神経変性損傷を治療または予防するため;外傷性脳傷害後の認知、行動および/または感覚運動機能に関連する機能的結果を向上するため)の方法を提供する。特定の態様において、本発明の方法は、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体に、構造式I:
Figure 2023030158000001
(式中、
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換され;
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基で置換され;
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は
Figure 2023030158000002
とアミド結合を形成するように配向される)
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含む。
種々の態様において、本発明はまた、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体におけるTBIの治療および/または予防における使用のための組成物、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体においてTBIを治療および/または予防するための医薬の製造における使用のための化合物、ならびにTBIにより引き起こされる二次的な脳損傷を治療および/または予防するための医薬組成物を調製する方法を提供する。したがって、本発明の態様は、TBIの治療および/または予防(例えば治療)における使用のための、構造式(I)により表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである。本発明の別の態様は、TBIの治療および/または予防(例えば治療)のための医薬の製造のための構造式(I)により表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの使用である。
本発明の構造式(I)、(Ia)、(II)および(IIa)のリポイル化合物(本明細書において「開示化合物」とも称される)、組成物および方法は、TBIにより引き起こされる二次的な脳損傷を含むTBIの治療および/またはTBIの後の認知、行動および感覚運動の機能に関連する長期の機能的結果に有効である。
即ち、本発明の要旨は、以下のものに関する。
項1
外傷性脳傷害の治療を必要とする被験体において外傷性脳傷害を治療する方法であって、該被験体に、構造式I:
Figure 2023030158000003
(式中、
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基により置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される;
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3zH、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基により置換される;ならびに
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は、
Figure 2023030158000004
とアミド結合を形成するように配向される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含む、方法。
本発明により、外傷性脳傷害を治療するための組成物および方法が提供され得る。
図面の簡単な説明
図1は、びまん性外傷性脳傷害(TBI)の流体パーカッションモデル(fluid percussion model)における化合物N-(R)-リポイル-グルタミルアラニン(RLip-Glu-Ala、本明細書においてCMX-2043とも命名される)の異なる用量を用いた処理後のラットにおける肢配置試験(limb placing test)の結果を示す。***P<0.01は、食塩水処理動物との有意差を示す。 図2は、びまん性TBIの流体パーカッションモデルにおけるCMX-2043の異なる用量を用いた処理後のラットにおける体揺れ試験(body swing test)の結果を示す。*P<0.05は、食塩水処理動物との有意差を示す。 図3は、びまん性TBIの流体パーカッションモデルにおけるCMX-2043の異なる用量を用いた処理後のラットにおける体重変化を示す。H=ビヒクル、I=CMX 2043 30mg/kg、M=CMX 2043 15mg/kg、O=CMX 2043 45mg/kgおよびZ=CMX 2043 7.5mg/kg。 図4Aおよび4Bは、モリス水迷路プールの模式的な説明である。 図5は、外傷性脳傷害の局所性モデル(focal model)におけるラットの体重に対するCMX-2043を用いた処理の効果を示す。データは平均±SEMで表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図6は、梁バランス時間に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは平均±SEMで表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図7は、モリス水迷路からの脱出潜伏時間(escape latency)に対するCMX-2043を用いた処理の効果を示す。データは平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。*P<0.05は、食塩水処理動物との有意差を示す。 図8は、モリス水迷路からの脱出潜伏時間における向上に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。*P<0.05は、食塩水処理動物との有意差を示す。 図9は、モリス水迷路訓練中の水泳距離に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは、平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図10は、モリス水迷路訓練中の水泳速度に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは、平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図11は、モリス水迷路プローブ試験中の各四分円で過ごした時間に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは、平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図12は、モリス水迷路プローブ試験中の標的プラットフォーム領域への進入に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を示す。データは、平均±SEMを表す。n=10食塩水;n=9 CMX-2043。 図13は、仔豚での局所性TBIモデルにおけるCMX-2043のコンセプト試験(concept trial)の盲検プラシーボ対照プルーフにおけるCCIの24時間後に測定した呼吸調節比(respiratory control ratio) (酸化リン酸化CI+CII/漏れ呼吸(Leak respiration)CI+CII)に対するCMX-2043の効果を示す。 図14は、仔豚での局所性TBIモデルにおけるCMX-2043のコンセプト試験の盲検プラシーボ対照プルーフにおけるCCIの24時間後に測定したミトコンドリア活性酸素種に対するCMX-2043の効果を示す。 図15Aは、局所性TBIモデルにおけるCMX-2043のコンセプト試験の盲検プラシーボ対照プルーフにおけるCCI後の仔豚から回収した皮質半影において4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)により測定した脂質過酸化を示す。図15Bは、局所性TBIモデルにおけるCMX-2043のコンセプト試験の盲検プラシーボ対照プルーフにおけるCCI後の仔豚から回収した皮質半影においてELISAにより測定したタンパク質カルボキシル化を示す。
発明の詳細な説明
本発明の例示態様の記載を以下にする。
本発明は一般的に、本明細書に記載される神経保護(neuroprotective)リポイル化合物を使用した、TBIの予防および/または治療を必要とする被験体においてTBIを予防および/または治療するための化合物、組成物および方法に関する。本明細書で使用する場合「TBIの治療」は、外傷性脳傷害により引き起こされる神経変性損傷(例えば神経変性損傷の二次的カスケード)を治療すること、および外傷性脳傷害の後、長期の機能的結果(例えば認知、行動および感覚運動の機能に関連する結果)を向上することを含む。
本発明をよりよく理解するために、以下の用語を以下の通りに定義する:
そうではないと特定されない限り、本発明の方法において有用な化合物は、種々の立体異性体形態またはそれらの混合物で存在する。「立体異性体」は、それらの空間配列のみにおいて異なる化合物である。「エナンチオマー」は、ほとんどの場合に共通して、キラル中心として作用する非対称的に置換された炭素原子を含むために、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の組である。
「ジアステレオマー」は、ほとんどの場合に共通して、2つ以上の非対称的に置換された炭素原子を含むために、鏡像として関係がない立体異性体である。「R」および「S」は、1つ以上のキラル炭素原子の周囲の置換基の配置を示す。
「ラセミ化合物」または「ラセミ混合物」は、本明細書で使用する場合、化合物の等モル量の2つのエナンチオマーを含む混合物をいう。かかる混合物は、光学活性を示さない(すなわち、これらの化合物は偏光面を回転しない)。
パーセントエナンチオマー過剰(enantiomeric excess)(ee)は、それぞれのエナンチオマーのモル画分の間の差の絶対値に100%をかけたものとして定義され、以下の式:
Figure 2023030158000005
(式中、RおよびSは、混合物中の各エナンチオマーのそれぞれの画分を示し、R+S=1である)により表され得る。単一のエナンチオマーを構造により命名または指定する場合、指定されたかまたは命名されたエナンチオマーは、少なくともまたは約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%もしくは約99.9%のeeで存在する。
パーセントジアステレオマー過剰(diastereomeric excess)(de)は、それぞれのジアステレオマーのモル画分の間の差の絶対値に100%をかけたものとして定義され、以下の式:
Figure 2023030158000006
(式中、D1および(D2+D3+D4...)は、混合物中の各ジアステレオマーのそれぞれの画分を示し、D1+(D2+D3+D4...)=1である)により表され得る。単一のジアステレオマーが構造により命名されるかまたは指定される場合、指定されたかまたは命名されたジアステレオマーは、少なくともまたは約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%もしくは約99.9%のdeで存在する。
開示化合物が立体化学を示すことなく構造により命名または指定され、化合物が1つのキラル中心を有する場合、名称または構造が、対応する光学異性体から実質的に区別される化合物の1つのエナンチオマー、化合物のラセミ体混合物およびその対応する光学異性体に対して一方のエナンチオマーに富む混合物を含むことが理解される。
開示化合物が立体化学を示すことなく構造により命名または指定され、2つ以上のキラル中心を含む場合、名称または構造が、他のジアステレオマーから実質的に区別されるジアステレオマー、他のジアステレオマー対から実質的に区別される一組のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー対の混合物、他のジアステレオマー(1つまたは複数)に対して1つのジアステレオマーが富化されたジアステレオマーの混合物および他のジアステレオマー対(1つまたは複数)に対して1つのジアステレオマー対が富化されたジアステレオマー対の混合物を含むことが理解される。
「(R)-リポイル」は、リポイル部分を含む化合物をいい、ここでリポイル部分における立体中心は(R)配置にある。(R)-リポイル部分は、以下:
Figure 2023030158000007
で示される。
(R)-リポイル化合物の例は、以下:
Figure 2023030158000008
で示される。
本発明の一態様において、(R)-リポイル立体異性体は、本発明の方法における使用のための構造式(I)を有する化合物の(S)-リポイル立体異性体とは区別される。
「(S)-リポイル」は、リポイル部分を含む化合物をいい、ここでリポイル部分における立体中心は(S)配置にある。(S)-リポイル部分は、以下:
Figure 2023030158000009
で示される。
(S)-リポイル化合物の例は、以下:
Figure 2023030158000010
で示される。
本発明の一態様において、(S)-リポイル立体異性体は、本発明の方法における使用のための構造式(I)を有する化合物の(R)-リポイル立体異性体とは区別される。
「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、飽和脂肪族の分岐または直鎖の一価炭化水素ラジカルを意味する。したがって、「(C1-C6)アルキル」は、線形または分岐の配列で1~6個の炭素原子を有するラジカルを意味する。「(C1-C6)アルキル」としては、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、i-ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。典型的に、アルキルは、1~20、1~15、1~10、1~5または1~3個の炭素原子を有する。
用語「アルコキシ」は、-O-アルキルを意味し、ここでアルキルは先に定義されるとおりである。
用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
用語「アリール」は、炭素環式芳香族環を意味する。「(C6-C14)アリール」としては、フェニル、ナフチル、インデニルおよびアントラセニルが挙げられる。典型的に、アリールは、6~20、6~14、6~10、6~9または6個の炭素原子を有する。
本明細書で使用する場合、「実質的に区別される」または「実質的に純粋」は、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが少なくともまたは約50%であることを意味する。例えば、「実質的に区別される」または「実質的に純粋」は、指定されるかまたは命名されるエナンチオマーのeeまたはdeが、少なくともまたは約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%もしくは約99.9%であることを意味し得る。一態様において、実質的に区別されるまたは実質的に純粋は、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが、少なくともまたは約75%であることを意味する。特定の態様において、実質的に区別されるは、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが、少なくともまたは約90%であることを意味する。さらに特定の態様において、実質的に区別されるは、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが、少なくともまたは約95%であることを意味する。なおさらに特定の態様において、実質的に区別されるは、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが、少なくともまたは約99%であることを意味する。別の特定の態様において、実質的に区別されるは、指定されるかまたは命名される化合物のeeまたはdeが、少なくともまたは約99.9%であることを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」は、アミン基、カルボン酸基、および異なるアミノ酸の間で異なる側鎖を含む分子を意味し、天然に存在するアミノ酸および天然には存在しないアミノ酸の両方が挙げられる。一態様において、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸をいうために使用される。
本明細書で使用する場合、用語「天然に存在するアミノ酸」は、式NH2-CHR-COOHで表される化合物を意味し、ここでRは、下記の表で列挙または命名されるアミノ酸などの天然に存在するアミノ酸の側鎖である。「天然に存在するアミノ酸」は、d-およびl-配置の両方を含む。アミノ酸が、立体化学を示すことなく構造により命名または指定され、少なくとも1つのキラル中心を有する場合、名称または構造が、1つのエナンチオマーまたはジアステレオマーが他のエナンチオマーまたはジアステレオマー(1つまたは複数)に対して富化される他のエナンチオマーまたはジアステレオマーとは実質的に区別される1つのエナンチオマーまたはジアステレオマー、エナンチオマーまたはジアステレオマー(1つまたは複数)のラセミ混合物またはジアステレオマー混合物およびその対応する光学異性体または他のジアステレオマー(1つまたは複数)に対して1つのエナンチオマーまたはジアステレオマーが富化される混合物を包含することが理解される。
Figure 2023030158000011
「天然にないアミノ酸」は、核酸コドンがないアミノ酸を意味する。天然にないアミノ酸の例としては、天然にない側鎖を有する天然のα-アミノ酸;β-アミノ酸(例えばβ-アラニン);およびγ-アミノ酸(例えばγ-アミノ酪酸)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「有効量」は、投与の条件下で、所望の治療または予防効果を必要とする被験体において、所望の治療または予防効果を達成するのに十分な量、例えばTBIから(例えばその結果の)二次的な脳損傷を治療または阻害する(例えば予防または遅延する)のに十分な量である。治療の有効性は、当業者に知られる適切な方法により決定され得る。有効量としては、治療される状態、障害または疾患の開始を予防する、その症状を緩和する、その進行を停止する、および/または被験体における長期の機能的結果(例えばTBIのための二次的な脳損傷)における向上を促進する化合物(例えば構造式(I)の化合物)の任意の量が挙げられる。
用語「治療(treating)」は、本明細書において、治療を必要とする被験体に、治療される状態、障害または疾患の開始を予防する、その症状を緩和する、その進行を停止するのに十分な化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与することと定義される。
用語「被験体」は、本明細書で使用する場合哺乳動物をいう。特定の態様において、被験体はヒトである。
用語「その必要のある被験体」は、持続するTBIを有するかまたはTBIを持続するリスクを有する被験体をいう。
「有効量」は、研究者、獣医学者、医師または他の臨床医により調べられる細胞、組織、系、動物、哺乳動物またはヒトの生物学的または医学的な応答を誘発する化合物の量をいう。有効量は0.001mg/kg~1000mg/kgの範囲であり得る。有効量は0.lmg/kg~100mg/kgの範囲でもあり得る。有効量は1mg/kg~20mg/kgの範囲でもあり得る。有効量は、所望の結果を達成するために必要とされるような、急性、亜急性または慢性の養生法として投与され得る。
本発明の方法は、TBIにより引き起こされる神経変性損傷の二次的カスケードを予防および/または治療するため、および/またはTBI後の認知、行動および感覚運動機能に関連する機能的結果を向上するために特に有用である。神経変性損傷の二次的カスケードは、局所性(focal)またはびまん性外傷性脳傷害に関連し得る。一態様において、TBIは、鈍い力の外傷、爆風衝撃または過度の加速および/または減速により引き起こされる。TBIを引き起こす鈍い力の外傷は、頭部への鈍い道具の突然の衝突により引き起こされる重度の外傷性症状である。鈍い力の外傷は、自動車事故の際の自動車のなんらかの部品(例えば、ダッシュボード、ハンドル、運転者の後部もしくは同乗者のサイドシートまたはフロントガラス)との衝突後に経験され得る。鈍い力の外傷はまた、握りこぶし、木片、野球のバットまたはそのような傷害を引き起こす他の道具を使用した犠牲者に対する攻撃により引き起こされ得る。爆風傷害は、例えば爆発装置(例えば爆弾または即席爆発装置(IED))の爆発後の、頭部への直接の打撃(blow)があるかまたはない主な爆風波への暴露により生じ得る。加速および減速傷害は、頭蓋骨の動きの突然の加速または突然の減速後の頭蓋腔内の脳の突然の動きおよび変形により生じる。かかる傷害は、自動車事故または痛打型傷害を引き起こす他の事故に共通する。
本発明の方法はまた、例えば高い衝撃のスポーツにおいて経験される多数の震盪傷害を含む震盪傷害を治療するために特によく適する。したがって、持続的震盪傷害を有する被験体に、本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、持続的震盪傷害を有する被験体において、震盪傷害を治療するための方法が本明細書において提供される。
本発明の方法はまた、TBI後の脳の海馬領域への損傷を治療および予防するために特によく適し得る。この種類の二次的な脳損傷は、海馬が一体的に学習および記憶に関与するために、TBI患者に甚大な被害をもたらし得る。本発明の方法において使用される化合物は、重要な脳機能を保存する、およびTBI後の患者の学習し記憶する能力を(例えば神経保護効果を介して)修復または高めることを補助し得る。したがって、被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、TBI後の被験体の脳の海馬領域への損傷を治療および/または予防するための方法が本明細書において提供される。被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、重要な脳の機能を保存するため、および/またはTBI後の患者の学習および記憶する能力を修復または高めるための方法も本明細書において提供される。
また、本明細書の実施例に記載されるように、本発明の方法は、TBIの動物モデルにおいてTBI後の認知、行動および感覚運動の向上をもたらす治療的利益を提供することが示される。したがって、本発明の方法は、TBIに苦しむ患者において、認知、行動および感覚運動の回復を促進するために使用され得る。そのため、被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、TBIに苦しむ患者において、認知、行動および感覚運動の回復を促進するための方法も本明細書において提供される。一態様において、該方法は、被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、TBIに苦しむ被験体において認知回復を促進するための方法である。別の態様において、該方法は、被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、TBIに苦しむ被験体において行動回復を促進するための方法である。さらに別の態様において、該方法は、被験体に本明細書に開示される化合物(例えば構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ)の有効量を投与する工程を含む、TBIに苦しむ被験体において感覚運動回復を促進するための方法である。
一態様において、本発明は、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体に、構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ(例えばその薬学的に許容可能な塩)の有効量を投与する工程を含む、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体において、(例えばTBIにより引き起こされる神経変性損傷の二次的カスケードを治療することおよび/またはTBIにより引き起こされる認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上することにより)TBIを治療および/または予防する(例えば治療する)ための方法に関する。いくつかの態様において、該化合物は、構造式(Ia):
Figure 2023030158000012
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグにより表される。
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
一態様において、Rは、(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。別の態様において、Rは(C1-C3)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。さらなる態様において、Rは(C3)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。さらなる態様において、Rは(C2)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。代替的に、Rは(C1)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。
別の態様において、Rは(C6-C18)アリールであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。さらなる態様において、Rは(C6)アリールであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
別の態様において、Rは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。さらなる態様において、Rは(C6)アリール(C1-C3)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6)アリール(C1-C3)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。代替的に、Rは(C6)アリール(C1-C2)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6)アリール(C1-C2)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
別の態様において、Rは(C6)アリール(C2)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6)アリール(C2)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。さらなる態様において、Rは(C6)アリール(C1)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6)アリール(C1)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
少なくとも1つの酸性置換基は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される。一態様において、少なくとも1つの酸性置換基は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群より選択される。
Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。一態様において、Rは、1、2または3個の酸性置換基により置換される。さらなる態様において、Rは、1または2個の酸性置換基により置換される。
アリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。一態様において、アリールは、さらに、1、2または3個の置換基により置換される。別の態様において、アリールは、1個の置換により置換される、代替的に、アリールは非置換である。さらなる態様において、アリールは、ヒドロキシまたはハロからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで該(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基で置換される。一態様において、R'は水素である。
一態様において、R'は(C1-C18)アルキルである。別の態様において、R'は(C1-C3)アルキルである。さらなる態様において、R'は(C3)アルキルである。さらなる態様において、R'は(C2)アルキルである。代替的に、R'は(C1)アルキルである。
R'は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。一態様において、R'は、1、2または3個の酸性置換基により置換される。別の態様において、R'は、1または2個の酸性置換基により置換される。さらなる態様において、R'は、1個の酸性置換基により置換される。代替的に、R'は非置換である。
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、該アミノ酸は、
Figure 2023030158000013
とアミド結合を形成するように配向される。例えば、N-リポイル-グルタミルアラニン中の該部分は、以下の構造式:
Figure 2023030158000014
に示されるように配向される。
一態様において、Xは非存在である。代替的に、Xはアミノ酸である。さらなる態様において、Xは天然に存在するアミノ酸である。なおさらなる態様において、Xは、アスパラギン酸、チロシン、グルタミン酸またはアラニンである。
第1の特定の態様において、化合物は、構造式(I)および/または(Ia)で表され、ここで変数についての値および代替的な値は上述のとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第1の局面において、構造式(I)または(Ia)で表される化合物の(R)-リポイル立体異性体は、(S)-リポイル立体異性体(1つまたは複数)と実質的に区別される。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様に上述されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第2の局面において、R'はHである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第3の局面において、R'はHであり、Xは天然に存在するアミノ酸である。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1もしくは第2の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第4の局面において、RおよびR'はそれぞれ、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群よりそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第3の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第5の局面において、R'はHであり、Xは非存在である。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第4の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第6の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群よりそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第5の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第7の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群よりそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C6)アリール(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第6の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第8の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群よりそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C2)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第7の局面に記載されるとおりである。
本発明の第1の特定の態様の第9の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群より選択される1つの酸性置換基により置換される(C6)アリールである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第8の局面に記載されるとおりである。
第1の特定の態様の第10の局面において、化合物は構造式(I)により表され、ここで値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第9の局面に記載されるとおりである。
第1の特定の態様の第11の局面において、化合物は構造式(Ia)により表され、ここで値および代替的な値は、構造式(I)もしくは(Ia)について、または第1の特定の態様もしくはその第1~第10の局面に記載されるとおりである。
第2の特定の態様において、化合物は、表A中の構造式のいずれか1つにより表されるかまたはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ(例えば薬学的に許容可能な塩)である。
Figure 2023030158000015
Figure 2023030158000016
Figure 2023030158000017
Figure 2023030158000018
本発明の第2の特定の態様の第1の局面において、表A中の化合物のいずれかの(R)-リポイル立体異性体は、(S)-リポイル立体異性体(1つまたは複数)と実質的に区別される。
第3の特定の態様において、化合物は、以下の構造式:
Figure 2023030158000019
により表されるかまたはその薬学的に許容可能な塩である。
第3の特定の態様の第1の局面において、化合物は、以下の構造式:
Figure 2023030158000020
により表されるかまたはその薬学的に許容可能な塩である。
本発明の第3の特定の態様の第2の局面において、構造式IIまたはIIaの化合物の(R)-リポイル立体異性体は、(S)-リポイル立体異性体(1つまたは複数)と実質的に区別される。
一態様において、本発明は、神経変性損傷の二次的カスケードを治療および/または予防する、および/またはTBIにより引き起こされる認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上する方法に関し、該方法は、(治療および/または予防および/または向上を必要とする被験体に)構造式(Ia)により表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ(例えば化合物の有効量)を投与する工程を含む。
別の態様において、本発明は、神経変性損傷の二次的カスケードを治療および/または予防する、および/またはTBIにより引き起こされる認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上する方法に関し、該方法は、(治療および/または予防および/または向上を必要とする被験体に)構造式(I)で表される化合物(例えば化合物の有効量)を投与する工程を含み、ここでRは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
別の態様において、Rは(C1-C18)アルキルである。別の態様において、Rは(C1-C3)アルキルである。さらなる態様において、Rは(C3)アルキルである。さらなる態様において、Rは(C2)アルキルである。代替的に、Rは(C1)アルキルである。
別の態様において、Rは(C6-C18)アリールである。さらなる態様において、Rは(C6)アリールである。
別の態様において、Rは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルである。さらなる態様において、Rは(C6)アリール(C1-C3)アルキルである。代替的に、Rは(C6)アリール(C1-C2)アルキルである。
別の態様において、Rは(C6)アリール(C2)アルキルである。さらなる態様において、Rは(C6)アリール(C1)アルキルである。
さらに別の態様において、少なくとも1つの酸性置換基は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される。一態様において、少なくとも1つの酸性置換基は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からなる群より選択される。
別の態様において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。一態様において、Rは、1、2または3個の酸性置換基により置換される。さらなる態様において、Rは、1または2個の酸性置換基により置換される。
別の態様において、アリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1-C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。一態様において、アリールはさらに、1、2または3個の置換基により置換される。別の態様において、アリールは、1個の置換基により置換される。代替的に、アリールは非置換である。さらなる態様において、アリールは、ヒドロキシルおよびハロからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される。
別の態様において、R'は水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで該(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基で置換される。一態様において、R'は水素である。
一態様において、R'は(C1-C18)アルキルである。別の態様において、R'は(C1-C3)アルキルである。さらなる態様において、R'は(C3)アルキルである。さらなる態様において、R'は(C2)アルキルである。代替的に、R'は(C1)アルキルである。
別の態様において、R'は、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換される。一態様において、R'は、1、2または3個の酸性置換基により置換される。別の態様において、R'は、1または2個の酸性置換基により置換される。さらなる態様において、R'は1個の酸性置換基により置換される。代替的に、R'は非置換である。
別の態様において、Xは非存在であるかまたはアミノ酸であり、該アミノ酸は、-N(R')(R)とアミド結合を形成するように配向される。例えば、N-リポイル-グルタミルアラニン中の該部分は、以下の構造式:
Figure 2023030158000021
に示されるように配向される。
一態様において、Xは非存在である。代替的に、Xはアミノ酸である。さらなる態様において、Xは天然に存在するアミノ酸である。なおさらなる態様において、Xはアスパラギン酸、チロシン、グルタミン酸またはアラニンである。
第4の特定の態様において、神経変性損傷の二次的カスケードを治療または予防するため、およびTBIにより引き起こされる認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上するための方法は、構造式(I)もしくは(Ia)により表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含み、ここで変数についての値および代替的な値は上述のとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第1の局面において、構造式(I)により表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの(R)-リポイル立体異性体は、(S)-リポイル立体異性体(1つまたは複数)またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグと実質的に区別される。変数の残りについての値および代替的な値は構造式(I)について、または第4の特定の態様に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第2の局面において、R'はHである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第3の局面において、R'はHであり、Xは天然に存在するアミノ酸である。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1もしくは第2の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第4の局面において、RおよびR'はそれぞれ、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第3の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第5の局面において、R'はHであり、Xは非存在である。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第4の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第6の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第5の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第7の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C6)アリール(C1-C3)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第6の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第8の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2からそれぞれ独立して選択される1または2個の酸性置換基により置換される(C2)アルキルである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第7の局面に記載されるとおりである。
本発明の第4の特定の態様の第9の局面において、Rは、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3Hおよび-OPO3H2から選択される1個の酸性置換基により置換される(C6)アリールである。変数の残りについての値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第8の局面に記載されるとおりである。
第4の特定の態様の第10の局面において、化合物は構造式(I)により表され、ここで値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第9の局面に記載されるとおりである。
第4の特定の態様の第11の局面において、化合物は構造式(I)により表され、値および代替的な値は、構造式(I)について、または第4の特定の態様もしくはその第1~第10の局面に記載されるとおりである。
第5の特定の態様において、神経変性損傷の二次的カスケードを治療または予防するためおよびTBIにより引き起こされる認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上するための本発明の方法は、以下の構造式:
Figure 2023030158000022
Figure 2023030158000023
Figure 2023030158000024
Figure 2023030158000025
の1つにより表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含む。
本発明はまた、本発明の開示化合物の薬学的に許容可能な塩に関する。用語「薬学的に許容可能な塩」は、アルカリ金属塩を形成するためおよび遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を含む。塩の性質は重要ではないが、ただし塩は、薬学的に許容可能である。
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、塩基付加塩が挙げられる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛で構成される金属塩、またはN,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、リシンおよびプロカインで構成される有機塩が挙げられる。これらの塩の全ては、例えば本明細書に記載される化合物を適切な酸または塩基で処理することにより、本発明の対応する化合物から従来の方法により調製され得る。
一態様において、薬学的に許容可能な塩は、一価または二価のカチオンを含む。本明細書で使用する場合、「カチオン」は、正の電荷を有する原子または分子をいう。カチオンは、例えば金属またはアミンであり得る。特定の態様において、カチオンは、ナトリウムカチオンなどの金属カチオンである。
本明細書で使用する場合、「アミン塩」は、プロトン化されたアミノ基を含むカチオンをいう。アミン塩としては、リシン塩などのアミノ酸塩が挙げられる。別の態様において、カチオンはアミンであり、薬学的に許容可能な塩はアミン塩である。特定の態様において、薬学的に許容可能な塩はリシンを含む。
塩はキラルであり得る。開示される塩が少なくとも1つのキラル中心を有し、立体化学を示すことなく構造により命名または指定される場合、名称または構造は、1つの立体異性体または対応する立体異性体(1つまたは複数)もしくはエナンチオマーを含まない化合物のエナンチオマー、化合物のラセミ混合物、またはその対応する立体異性体(1つまたは複数)もしくはエナンチオマーに対して1つの立体異性体もしくはエナンチオマーが富化される混合物を包含することが理解される。
本発明はまた、本発明の開示化合物の薬学的に許容可能なプロドラッグに関する。
一態様において、本発明は、(例えばTBIの治療および/または予防を必要とする被験体に)構造式(I)の化合物の有効量を投与する工程を含む、TBIを治療および/または予防する(例えばTBI由来の神経変性損傷の二次的カスケードを、認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上することにより)ための方法に関し、ここで、それぞれの酸性官能基(例えば-COOH、-SO3H、-OSO3H、-PO(OH)2、-OPO(OH)2)の水素は、任意にかつ独立して、加水分解可能な基により置換される。本発明はまた、該加水分解可能な基を含む化合物の薬学的に許容可能な塩の使用を包含する。
本明細書で使用する場合、用語「加水分解可能な基」は、本発明の分子中に存在する場合、加水分解の際にカルボン酸またはその塩を生じる部分をいう。加水分解は、例えば生理学的環境(例えば血液、代謝的に活性な組織、例えば肝臓、腎臓、肺、脳)内で酸性もしくは塩基性の条件下で自発的に生じ得るか、または酵素(1つまたは複数)(例えばエストラーゼ、ペプチダーゼ、ヒドロラーゼ、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、リアーゼまたはリガーゼ)により触媒され得る。加水分解可能な基は、本発明の化合物に、向上された水溶性、向上された血中循環半減期、向上された取り込み、向上された活性持続時間または向上された作用開始などのインビボにおける有利な特性を付与し得る。
一態様において、加水分解可能な基は、化合物の生物学的活性を破壊しない。代替的な態様において、加水分解可能な基を有する化合物は、生物学的に不活性であり得るが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換され得る。
加水分解可能な基を含む本発明の化合物は、プロドラッグとして作用し得る。本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下で加水分解、酸化、代謝または別の方法で反応して、本発明の化合物を提供し得る化合物を意味する。プロドラッグは、生物学的条件下、かかる反応中に活性であり得るか、またはそれらの未反応形態で活性を有し得る。プロドラッグは、生理学的条件下で(例えば加水分解可能な基の存在のために)低減された代謝を被り、それにより、向上されたプロドラッグの循環半減期(例えば血中)を生じ得る。プロドラッグは典型的に、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery (1995) 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff ed., 5th Ed)に記載されるものなどの周知の方法を使用して調製され得る。
一態様において、加水分解可能な基は、(C1-C10)アルキル、(C2-C10)アルケニル、(C2-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ(C1-C10)アルコキシ(C1-C10)アルキル、アリールおよびアリール(C1-C10)アルキルからなる群より選択され、それぞれは任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、(C1-C6)アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルコキシ、モルホリノ、フェニルおよびベンジルからなる群より選択される1~3個の置換基により置換される。
別の態様において、加水分解可能な基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、アリル、エトキシメチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メトキシエトキシエチル、ベンジル、ペンタフルオロフェニル、2-N-(モルホリノ)エチル、ジメチルアミノエチルおよびパラ-メトキシベンジルからなる群より選択される。
本発明の特定の方法は、認知、行動および感覚運動機能に関連する長期の機能的結果を向上するために有用である。かかる機能的結果における向上は、当該技術分野の通常の技術の範囲内にある認知、行動および感覚運動試験を使用して評価され得る。
本発明の方法はまた、医薬組成物中の構造式(I)の化合物を投与する工程を含む。したがって、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体に、薬学的に許容可能な担体または希釈剤および構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を含む医薬組成物を投与する工程を含む、TBIの治療および/または予防を必要とする被験体においてTBIを治療および/または予防する(例えば治療する)ための方法が本明細書において提供される。本明細書に開示される医薬組成物は、標準的な手順に従って調製され、治療される状態を低減、予防、排除またはその進行を遅延もしくは停止するために選択される用量で投与される。例えば、ヒト治療のために種々の薬剤を投与するための方法の一般的な記載についてその内容が参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Remington, J. P., Easton, PA, Mack Publishing Company, 2005およびGoodman and Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, 12th ed., Brunton, L. et. als., eds., New York, McGraw-Hill, 2010参照。医薬組成物は、制御放出または持続放出の送達系(例えばカプセル、生体腐食性マトリクス)を使用して送達され得る。医薬組成物の投与に適切な、薬物送達のための例示的な遅延放出送達系は、米国特許第5,990,092号 (Walshに発行);同5,039,660号(Leonardに発行);同4,452,775号 (Kentに発行);および同3,854,480号 (Zaffaroniに発行)に記載される。
本発明の組成物は、構造式(I)および/または(Ia)の1つ以上の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグを、本明細書においてまとめて「担体」材料と称される1つ以上の無毒性の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤および/またはアジュバントおよび/または賦形剤、ならびに任意に他の有効成分と合わせて含む。該組成物は、投与方法に応じて、有効成分の約0.01重量%~約99重量%を含み得る。
本発明の化合物から組成物を調製するために、薬学的に許容可能な担体は、固形または液体のいずれかであり得る。固形製剤としては、散剤、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐剤および崩壊性顆粒が挙げられる。例えば、本発明の化合物は、送達の時点での再構成のために散剤形態であり得る。固形の担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤または封入物質としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。散剤において、担体は、細かく分割された有効成分との混合物中にある細かく分割された固体である。
錠剤において、有効成分は、必要な結合特性を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状およびサイズで成形される。
好ましくは散剤および錠剤は、約1~約70パーセントの有効成分を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター等である。錠剤、散剤、カシェ剤、トローチ剤、高速融解ストリップ(fast-melt strip)、カプセルおよび丸薬は、経口投与に適切な有効成分を含む固形剤型として使用され得る。
液体形態製剤としては、溶液、懸濁液、停留浣腸剤およびエマルジョン、例えば水または水プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口注射のために、液体製剤は、水性ポリエチレングリコール中溶液で調製され得る。
経口投与に適切な水溶液は、有効成分を水に溶解して、所望の場合は適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤および増粘剤を添加することにより調製され得る。経口投与のための水性懸濁液は、微細化された有効成分を、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の周知の懸濁剤などの粘性材料と共に水中に分散することにより調製され得る。
代替的に、本発明の化合物または組成物は、送達の時点での再構成のための粉末形態であり得る。
組成物は、好ましくは単位剤型である。かかる形態において、組成物は、適切な量の有効成分を含む単位用量にさらに分割される。単位剤型は封入された製剤であり得、該パッケージは、バイアルまたはアンプル中に、例えば錠剤、散剤およびカプセルの個別の量を含む。また、単位剤型は、錠剤、カシェ剤、カプセルまたはトローチ剤自体であり得るか、またはパッケージ化形態中のこれらのいずれかの適切な量であり得る。単位用量製剤中の有効成分の量は、変化し得るかまたは約0.1mg~約1000mg、好ましくは約0.1mg~約100mg(例えば静脈内投与用)または約1.0mg~約1000mg(例えば経口投与用)に調整され得る。しかしながら該用量は、被験体の要件、治療される状態の重症度、使用される化合物および投与経路に応じて変化し得る。特定の状況についての適切な用量の決定は当該技術分野の技術の範囲内にある。一態様において、用量は約0.01mg/kg~約100mg/kgである。
一般的に、開示される化合物および本発明の医薬組成物をインビボで送達するための方法は、実質的な手順の変更が、当該技術分野で認識されるプロトコルにおける薬物について開示される化合物のいずれかにより表される化合物の置換のみである、薬剤を送達するための当該技術分野で認識されるプロトコルを利用する。
本発明の方法に有用な医薬組成物は、限定されないが、非経口、経口、気管内、舌下、肺、局所、直腸、経鼻、頬内、経膣または埋め込まれるレザバーを介するものを含む種々の経路または形態により投与され得る。埋め込まれるレザバーは、機械的、浸透圧的または他の手段で機能し得る。化合物および組成物はまた、脈管内、筋内、皮下、腹腔内、心臓内、経口的または局所的に投与され得る。用語「非経口」は、本明細書で理解および使用される場合、静脈内、頭蓋内、腹腔内、脊柱傍、関節周囲、骨膜、皮下、皮内、動脈内、筋内、関節内、滑液包内、胸骨内、鞘内、および病変内の注射または注入技術を含む。好ましくは、かかる組成物は、非経口投与、および最も好ましくは静脈内、頭蓋内または動脈内の投与のために調製される。一般的に、特に投与が静脈内または動脈内である場合は、医薬組成物は、ボーラス、時間内に分離される2つ以上の用量、または一定もしくは非線形フローの注入として与えられ得る。
構造式Iの化合物を作製する方法およびそれらの生物学的活性の詳細は、例えばそれらの関連のある教示がそれらの全体で参照により本明細書に援用される国際公開公報WO 2010/132657および国際公開公報WO 2012/067947に開示される。
また、本発明の方法に有用なリポイル化合物の合成および調製は、それらの全体において参照により本明細書に援用される米国特許第9,540,417および同9,359,325号に記載される。また、本発明のリポイル化合物を合成および精製するための方法は、それらの全体において方法が参照により本明細書に援用されるKates, S.A., Casale, R.A., Baguisi, A., Beeuwkes, R. Bioorganic and Medicinal Chemistry, 2014, 22, 505-512に記載される。
構造式Iの化合物を含む医薬組成物および構造式Iの化合物を含む医薬組成物を調製するための方法は、例えば関連のある教示がそれらの全体において参照により本明細書に援用される国際公開公報WO 2015/174948に開示される。
本発明の方法に有用な医薬組成物は、他の治療的、予防的および診断的な薬剤、特に治療的ホルモンペプチドを含む組成物と同様の様式で、哺乳動物、特にヒトなどの被験体に投与され得る。投与される用量および投与の形態は、被験体の年齢、体重、性別、状態、および遺伝的要因を含む種々の要因に依存し、最終的にかかりつけの医師または獣医学者により決定される。一般的に、診断感度または治療有効性のために必要な用量は、約0.001~1000.0mg/宿主体重量kg(本明細書において体重とも称される)の範囲である。
本発明に有用なリポイル化合物の薬学的に許容可能な塩としては、例えば薬学的に許容可能な無機および有機の酸および塩基由来のものが挙げられる。適切な酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、パモ酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、タンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体では薬学的に許容可能ではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容可能な酸付加塩の入手において中間体として有用な塩の調製に使用され得る。適切な塩基由来の塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウムおよびN-(C1-4アルキル)4 +塩が挙げられる。
本発明の方法に有用なリポイル化合物は、特定の生物学的特性、特にTBIにより引き起こされる二次的な脳損傷を治療または予防する能力を高めるために修飾され得ることが理解されるべきである。かかる修飾は当該技術分野で公知であり、リポイル化合物が所定の生物学系(例えば循環系、リンパ系)に進入するかまたは移送される能力を高める、経口アベイラビリティーを高める、注射による投与を可能にするために溶解性を高める、リポイル化合物の代謝を改変する、およびリポイル化合物の排出速度を改変するものが含まれる。また、リポイル化合物は、プロドラッグに対する代謝的または他の生化学的プロセスの作用の結果として所望のリポイル化合物が個体の体内で生成されるように、プロドラッグ形態に改変され得る。かかるプロドラッグ形態は、典型的に、インビトロアッセイにおいて活性がほとんどないかまたは活性がないことを示す。プロドラッグ形態のいくつかの例としては、ケトン基またはアルデヒド基を含む化合物のケタール、アセタール、オキシムおよびヒドラゾンの形態が挙げられ得る。プロドラッグ形態の他の例としては、ヘミケタール、ヘミアセタール、アシルオキシケタール、アシルオキシアセタール、ケタールおよびアセタールの形態が挙げられる。
本発明の方法に有用な医薬組成物において使用され得る薬学的に許容可能な担体、アジュバントおよびビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などのバッファ物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、三ケイ酸マグネシウムなどの塩または電解質、コロイド状シリカ、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
本発明の方法に使用される医薬組成物は、滅菌された注射可能製剤、例えば滅菌された注射可能な水性または油性懸濁物の形態であり得る。かかる懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤(例えばTween 80など)および懸濁剤を使用して、当該技術分野で公知の技術により製剤化され得る。滅菌された注射可能製剤はまた、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌された注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。特に、使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、マンニトール、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、溶媒または懸濁媒体として、滅菌された固定油が従来的に使用される。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の低刺激固定油が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容可能な油、特にそれらのポリオキシエチル化のものである場合に、注射可能物質の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、Pharmacoplia Halselicaに記載されるものなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。
本発明の方法に有用な医薬組成物は、限定されないが、水溶液および懸濁液、カプセル、錠剤、キャプレット、丸薬、油性懸濁液および溶液、シロップ剤、ならびにエリキシル剤を含む任意の経口的に許容可能な剤型で投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も典型的に添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。カプセル、錠剤、丸薬およびキャプレットは、遅延放出または持続放出のために製剤化され得る。
経口投与のために、該組成物はまた、例えば錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態であり得る。好ましくは、該組成物は有効成分の有効量を含む用量単位の形態で作製される。かかる用量単位の例は錠剤およびカプセルである。治療目的で、錠剤およびカプセルは、有効成分に加えて、結合剤、例えばアラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ソルビトールもしくはトラガカント;充填剤、例えばリン酸カルシウム、グリセリン、ラクトース、トウモロコシデンプン、ソルビトールもしくはスクロース;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカもしくはタルク;崩壊剤、例えばジャガイモデンプン、矯味矯臭剤もしくは着色剤、または許容可能な湿潤剤などの従来の担体を含み得る。一般的に水性または油性の溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ剤またはエリキシル剤の形態の経口液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、非水性剤、保存剤、着色剤および矯味矯臭剤などの従来の添加剤を含み得る。液体製剤のための添加剤の例としては、アラビアゴム、アーモンド油、エチルアルコール、分画ココナッツ油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、硬化食用油脂、レシチン、メチルセルロース、メチルまたはプロピルパラ-ヒドロキシ安息香酸、プロピレングリコール、ソルビトール、またはソルビン酸が挙げられる。
水性懸濁液が経口投与される場合、本発明の方法に使用される医薬組成物に、他の乳化剤および/または懸濁剤が添加され得る。所望の場合、特定の甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤が添加され得る。経口投与のための製剤は、10%~95%(重量/体積、w/v)、好ましくは25%~70%(w/v)の有効成分を含み得る。好ましくは経口投与のための医薬組成物は、消化系によるリポイル化合物の加水分解を防ぐかまたは阻害するが、血流への吸収は可能にする。
該組成物はまた、例えば注射により非経口的に投与され得る。非経口投与のための製剤は、水性または非水性の等張滅菌注射溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液または懸濁液は、経口投与のための製剤における使用のための上述の担体の1つ以上を有する滅菌散剤または顆粒から調製され得る。化合物は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウムおよび/または種々のバッファ中に溶解され得る。
また、送達は、患者の脳または体腔へは注射により、または定期的な放出もしくは持続的な放出マトリックス送達系の使用により、またはミセル、ゲルおよびリポソームを使用したその場での(onsite)送達によりなされ得る。噴霧化デバイス、粉末吸入器およびエアロゾル化溶液は、かかる製剤を気管に投与するために使用され得る方法の代表である。送達は、インビトロ、インビボまたはエキソビボであり得る。
本発明の特定の方法のために、医薬組成物はまた、経膣または経直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、本明細書に記載されるリポイル化合物と、室温では固体であるが体温では液体であるために組成物が関連のある体内の空間で溶解して有効成分が放出される適切な非刺激性賦形剤を混合することにより調製され得る。かかる材料としては、限定されないが、カカオバター、ミツロウおよびポリエチレングリコールが挙げられる。坐剤による投与のための製剤は、0.5%~10%(w/v)、好ましくは1%~2%(w/v)の有効成分を含み得る。
本発明の方法に使用される医薬組成物の局所投与も有用であり得る。局所適用のために、適切な軟膏担体が添加され得る。局所投与のための担体としては、限定されないが、鉱物油、流動パラフィン、白色ガソリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。代替的に、適切なローションまたはクリーム担体が使用され得る。適切な担体としては、限定されないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セトアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。本発明の医薬組成物はまた、適切な場合はゼリー、ゲルまたは軟化剤として局所または他の適用のために製剤化され得る。医薬組成物はまた、経直腸坐剤製剤または適切な浣腸製剤により下部腸管に局所的に適用され得る。局所投与はまた、経皮パッチにより達成され得る。
局所使用のために、本明細書に開示される化合物はまた、皮膚、または鼻および咽頭の粘膜に適用される適切な形態で調製され得、クリーム、軟膏、液体スプレーもしくは吸入剤、トローチ剤、または咽頭塗料(throat paints)の形態をとり得る。かかる局所製剤はさらに、有効成分の表面貫通を容易にするためのジメチルスルホキシド(DMSO)などの化合物を含み得る。局所投与のための適切な担体としては、鉱物油、石油等を使用した油中水または水中油エマルジョン、およびヒドロゲルなどのゲルが挙げられ得る。代替的な局所製剤としては、シャンプー製剤、経口ペーストおよび口内洗浄剤が挙げられる。
眼または耳への適用のために、本発明の化合物は、軟膏、クリーム、ローション、塗料または散剤として、疎水性または親水性の基材中で製剤化される液体または半液体形態で存在し得る。
本発明の方法に有用な医薬組成物はまた、鼻または口を通る吸入により投与され得、その場合、吸収は鼻もしくは口の粘膜、または肺への吸入を介して起こり得る。かかる投与形態は典型的に、その後、液滴または粒子のエアロゾルまたは懸濁剤を生じるように気体(例えば空気、酸素、窒素またはそれらの混合物)と混合される散剤、溶液または液体懸濁剤の形態で提供される組成物を必要とする。かかる組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該技術分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、食塩水中に溶液として調製され得る。好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、吸入により被験体に投与される。
本発明の方法の特定の態様において、リポイル化合物は、脳に選択的に送達される。本発明の目的で、「脳への選択的な送達」または「脳に選択的に送達される」は、薬剤が、被験体の脳に直接(例えばシャントまたはカテーテルによる;例えば米国特許出願公開公報US 2008/0051691参照)、直接鞘内注射を用いずに被験体の脊髄周囲空間に(例えば米国特許第7,214,658号参照)、または血液脳関門を通過する送達を容易にしてそれにより他の臓器もしくは組織での起こり得る副作用を低減する形態で投与されることを意味することが意図される。これに関して、リポイル化合物の、安定化剤の存在下でモノマーの重合(例えばメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸-ポリグリコール酸-コポリマーまたはポリグルタルアルデヒド)により作製されるナノ粒子への製剤化は、薬剤が他の臓器に影響することなく血液脳関門を通過することを可能にする。例えば、その全体において参照により本明細書に援用される米国特許第7,402,573号参照。
本発明の一態様において、リポイル化合物は、エクソソーム、特に脳の細胞を標的化する部分が改変されたエクソソームを介して脳に送達される。本発明における使用に適したエクソソームは、従来の方法により調製され得、例えばSun, et al. (2010) Mol. Ther. 18:1606-1614参照。同様に、化合物は、従来の方法、例えば化合物を室温で数分間、食塩水中でエクソソーム調製物とインキュベートして、例えばスクロース勾配分離により封入されない化合物および残屑からエクソソームを分離することにより、エクソソーム内に封入され得る。関連分野において記載されるように、脳の細胞を標的化する部分としては、脳の細胞(例えばニューロン、ミクログリアおよび/またはオリゴデンドロサイト)を標的化するペプチド、およびミクログリアの表面マーカーに対して高い親和性を有するリポ多糖などの他の標的化剤が挙げられる(Chow, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:10689-10692)。標的化ペプチドとしては、例えば膜境界タンパク質、例えばLamp2b(リポソーム関連膜タンパク質2b)と融合してエクソソームへの一体化を容易にし得るRVGペプチドが挙げられる。標的化されないかまたは脳を標的化したリポソームも、小分子阻害剤の脳組織への送達を容易にするために成功裡に使用されている(Pardridge, W. M. 2007. Adv. Drug Deliv. Rev. 59:141-152; Pulford et al. 2010. PLoS ONE 5:e11085)。結果的に、本発明の方法の態様は、標的化されるかまたは標的化されないかのいずれかであるリポソームの使用を含む。
本発明の方法に有用な医薬組成物はまた、遅延放出製剤として製剤化され得る。かかる製剤は、埋め込みにより例えば皮下もしくは筋内的に、または筋内注射により投与され得る。かかる製剤は、例えば許容可能な油もしくはイオン交換樹脂中のエマルジョンとして、または難溶性誘導体(例えば難溶性の塩)として、医薬製剤の技術分野に周知の技術に従って調製され得る。
本発明の方法に有用な医薬組成物は、剤型および投与形態に適切な種々の方法でパッケージ化され得る。これらとしては、限定されないが、バイアル、ビン、缶、小包、アンプル、カートン、可撓性容器、吸入器および噴霧器が挙げられる。かかる組成物は、同じ容器からの単回または複数回投与のためにパッケージ化され得る。乾燥粉末または凍結乾燥形態の組成物および投与の少し前に合される適切な希釈剤;ならびに再構成されるかまたはそうでなければ調製された医薬組成物の調製および/または投与のための指示書を含む、1つ以上の用量のキットが提供され得る。医薬組成物はまた、単回使用前充填シリンジまたは自動注射器および針なしのジェット注射器内のためのカートリッジにパッケージ化され得る。
複数回使用パッケージ化は、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムなどの抗菌剤の、細菌、真菌等の増殖を予防するが、患者に投与される場合は無毒性である濃度での添加を必要とし得る。
用量、剤型、投与形態、組成物に関する詳細は、参照により本明細書に援用されるRemington's Pharmaceutical Sciences (1990)などの標準的な薬学教本に見られ得る。
被験体に対する本明細書に開示される化合物の用量は、被験体の要件、治療される状態の重症度、投与経路および使用される化合物に応じて変化し得る。特定の状況に対する適切な用量の決定は当該分野の技術の範囲内である。例えば、ヒトへの投与のための適切な用量は、動物(例えばラット)モデルに対して行われる実験で得られるデータから推定され得る。非ヒト動物モデル用量データからヒト用量を推定するためのガイダンスは、例えばFDA Draft Guidance: Estimating the Safe Starting Dose in Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers (2005)に見られ得る。
例えば、本発明の化合物の適切な静脈内用量は、治療当たり約0.001mg/体重kg~約100mg/体重kg、約0.01mg/体重kg~約100mg/体重kg、約0.01mg/体重kg~約10mg/体重kg、約0.01mg/体重kg~約1mg/体重kgであり得る。特定の薬剤、被験体およびTBIについての用量および投与経路の決定は、良好に、当業者の能力の範囲内である。好ましくは、投与量は、最小の有害副作用を引き起こさないかまたは生じない。
本発明の化合物の有効量は、本明細書に開示される方法において、単独で、または1つ以上の他の治療剤と組み合わせて投与され得る。
したがって、本発明の化合物は、(例えば1つ以上の他の治療剤との)併用療法の一部として投与され得る。本発明の化合物は、1つ以上の他の治療剤の前、後またはそれらと同時に投与され得る。いくつかの態様において、本発明の化合物および他の治療剤は、別の製剤としてまたは合同の製剤としてのいずれかで同時に(simultaneously)(例えば同時に(concurrently))共投与され得る。代替的に、該薬剤は、当該技術分野の臨床により決定されるように適切な時間枠(例えば治療の薬学的効果の重複を可能にするのに十分な時間)内で別々の組成物として連続して投与され得る。リポイル化合物および1つ以上の他の治療剤は、所望の治療効果(例えば関節の炎症の低減および/または阻害;虚血の低減および/または阻害、虚血性傷害の低減および/または阻害;虚血-再灌流傷害の低減および/または阻害)を達成するのに適した順序およびスケジュールで、単回用量または複数回用量で投与され得る。投与の適切な用量および計画は、臨床医により決定され得、選択される薬剤(1つまたは複数)、医薬製剤および投与経路、種々の患者要因ならびに他の理由に依存する。
本発明は、本発明の理解を補助するために記載される以下の実施例に記載され、いかなる方法においても以降の特許請求の範囲において規定されるような本発明の範囲を限定するように企図されるべきではない。
実施例
実施例1:ラットにおけるびまん性外傷性脳傷害(TBI)の流体パーカッションモデルにおけるCMX-2043の有効性
手順
TBI手術の前日(-1日目)に、ラットに、麻酔を誘導するための酸化窒素と酸素の混合物(2:1)中3%イソフルランで麻酔をかけ、次いで酸化窒素と酸素の混合物(2:1)中1~3%イソフルランで維持した。手術部位の皮膚の毛を剃り、次いでラットを定位の枠に配置した。ブプレノルフィンSR、s.c(0.9~1.2mg/kg Zoopharm: Lot: BSR1-142111)およびセファゾリン、i.p.(40~50mg/kg; Hospira: Lot: 101D032)をこの時点で与えた。正中線切開により頭蓋骨を露出させた。トレフィンドリルを使用して、ブレグマの1mm後方および正中線の1mm側方(外周)で矢状開頭術(5mm)を行った。滅菌されたプラスチック製の傷害チューブ(injury tube)(滅菌された針のプラスチックコネクタハブを長さ1cmに切断し、開頭術を確実に満たすように削った)を露出された硬膜上に置き、超強力な接着剤で頭蓋骨に接着した。次いで、歯科用セメントを傷害チューブの周りに流し込み完全な密封を得た。歯科用セメントが固まった後、傷害チューブに滅菌食塩水を充填し、手術用クリップで皮膚を閉じた。次いで、麻酔から回復した後に動物を清潔な部屋のケージに戻した。
TBI手術の日(0日目)、ラットに、酸化窒素と酸素の混合物(2:1)中3%イソフルランで再度麻酔をかけ、挿管し、呼吸器につなぎ、酸化窒素と酸素の混合物(2:1)中1~2%イソフルランで換気した。この時点でセファゾリン(40~50mg/kg)を再度与えた。手術部位を開いて傷害チューブを露出させた。密封および連結を確認し、傷害チューブに滅菌食塩水を再度充填した。次いで、ラットを流体パーカッション(F-P)デバイスに連結した。(F-P)デバイスは、一端でゴムで覆われたプレキシグラスピストンに繋がれて、反対の端で変換器ハウジングに適合されたプレキシグラス製の円筒形のレザバーおよびラットの頭蓋骨に適合された中心傷害コネクタからなる。室温で、系全体に滅菌された蒸留水を充填した。次いで、(無菌)金属傷害コネクタを、挿管および麻酔したラットのプラスチック製傷害チューブにしっかり連結した。ピストンを叩く金属振子の効果により傷害を誘導し、それにより小容量の流体(滅菌食塩水、次いで小量の滅菌蒸留水)を閉じた頭蓋空洞に注射し、神経組織の簡易的な除去を生じた。生じた圧力パルスの大きさは、圧力変換器により雰囲気中で測定した。中程度(2.5~3.0気圧)の傷害を誘導した。傷害チューブを取り外し、次いで手術用クリップで皮膚を閉じた。チューブを抜いて麻酔から回復した後、動物を部屋のケージに戻した。
投与溶液および投与
投与溶液は、使用の準備としてH、I、M、OおよびZのラベルを有する盲検の様式で調製した。動物に、H、I、M、OまたはZの静脈内注射をTBIの30分後およびその後TBIの24時間後に与えた。全てのデータを回収して示した後、溶液を、群:H=ビヒクル、I=CMX 2043 30mg/kg、M=CMX 2043 15mg/kg、O=CMX 2043 45mg/kgおよびZ=CMX 2043 7.5mg/kgに脱暗号化した。
行動試験
以下を使用して機能的活性を評価した:
1. 肢配置試験。この試験は、手術の前(前の日)、TBIの1日後(1日目)、3日後(3日目)、7日後(7日目)、14日後(14日目)、21日後(21日目)および28日後(28日目)に行った。(0日目=TBIの日)。
肢配置試験は、前肢と後肢の試験の両方に分けた。前肢配置試験について、試験者は、ラットをテーブル面上の近くに保持し、ひげ、視覚、触覚または固有受容の刺激に応答して前肢をテーブル面上に置くラットの能力を採点した。後肢配置試験について、試験者は、触覚および固有受容の刺激に応答して後肢をテーブル面上に置くラットの能力を評価した。感覚入力のそれぞれの形態(半分の得点の指定可能性(half-point designations possible))について別々のサブスコアを得て、これを加えて合計スコアを得た(前肢配置試験について:0=正常、12=最大限に損傷;後肢配置試験について:0=正常;6=最大限に損傷)。合計肢配置スコアは1/2(合計左前肢スコア)+合計左後肢スコアとして計算した。
2. 体揺れ試験。これらの試験は、TBIの21日後(21日目、動物#3~#14については22日目)および28日後(28日目)に行った。(0日目=TBIの日)。
ラットを、その尾の基部(base of its tail)から約1インチで保持した。次いでラットをテーブルの表面から上に1インチ上昇させた。ラットを、左側または右側のいずれかに対して10°以下と規定される垂直軸に保持した。ラットが頭を垂直軸の外側のいずれかの側に動かした場合に揺れを記録した。継続される次の揺れのためにラットは垂直位置に戻らなければならなかった。30の合計の揺れを数えた。典型的に、正常なラットは両側に対して等しい回数の揺れを有する。局所性虚血後、ラットは、反対側(contralateral)(左)に揺れるようになる。該試験は、肢配置試験と同時に行った。
屠殺および脳回収
TBIの28日後(行動試験後)、ケタミン/キシラジン(50~100mg/kgケタミン、5~10mg/kgキシラジンi.p.)で動物を深く麻酔した。次いで、通常の食塩水(ヘパリン2単位/mlを有する)、その後10%ホルマリンにより、動物を経心臓的に(transcardially)かん流した。脳を取り出し10%ホルマリン中に保存した。
データ分析:
全てのデータは、平均±S.E.Mで表した。ANOVAおよび/またはANCOVAの反復測定により行動データおよび重量を分析した。肢配置試験について、TBIの前の日(前の日)は分析に含めず、データの正常分布を確実にした。
行動試験
肢配置試験(図1参照):CMX 2043 15mg/kg、30mg/kgおよび45mg/kgを与えた動物は、TBI後1日目に開始して、ビヒクル処理動物と比較して優れた回復を示した(p<0.001)。
体揺れ試験(図2参照):CMX 2043 45mg/kgを与えた動物は、28日目に、ビヒクル処理動物と比較して優れた回復を示した(p<0.05)。
重量変化(図3参照):CMX 2043とビヒクルの処理群の間で、経時的な体重における有意差はなかった。
結論
TBIは、成熟オスSprague-Dawleyラットにおいて形成され、局所性片側脳挫傷を生じた。TBIの30分後に開始してCMX 2043 7.5mg/kg、15mg/kg、30mg/kgまたは45mg/kgを静脈内に与え、TBIの24時間後に反復した。肢配置試験を含む感覚運動機能の行動評価は、TBIの前ならびにTBIの1日後、3日後、7日後、14日後、21日後および28日後に行った。体揺れ試験はTBIの21(または22)日後および28日後に行った。
この盲検無作為化試験は、CMX 2043 (15mg/kg、30mg/kgおよび45mg/kgそれぞれの用量)による肢配置試験;およびTBIの30分後に開始したCMX 45mg/kgによる体揺れ試験における感覚運動性能の有意な増加を示した。これらの結果は、CMX 2043は潜在的に、用量15mg/kg、30mg/kgおよび45mg/kgで、TBI後の感覚運動の回復の向上に有用であり得ることを示唆する。
実施例2:局所性TBIのラットモデルにおけるモリス水迷路試験でのCMX-2043およびCMX-26394の有効性の評価
動物
Charles Riverの成体のオスSpague-Dawleyラットを使用した。動物にPsychoGenicsを与えて、固有の識別番号を割り振った(尾に記した)。微小振動絶縁装置を備えたポリカーボネート製ラットケージ中、1ケージ当たり2匹の動物を飼育し、7日目まで順応させた。試験の開始前に全てのラットを検査して、手で触れて、計量して、適切な健康状態および適切さを確実にした。試験の経過中、12/12明暗周期を維持した。室温は20~23℃に維持し、相対湿度は約50%に維持した。試験中、食餌および水は自由に提供した。動物を、処理群に無作為に割り振った。
両側制御皮質衝撃(Bilateral Controlled Cortical Impact)(BCCI)外傷性脳傷害(TBI)
皮質挫傷デバイス(Custom Design & Fabrication, Inc [CDF], Richmond, VA)により、内側前方皮質(MFC)にBCCI TBIを誘導した。このデバイスは、真鍮の先端の囲い(brass-tipped impounder)により、脳の露出された領域に、信頼性の高い挫傷傷害を生じる。(Hoffman et al., 1994)。イソフルラン(5%) (NovaplusTM)およびO2 (300cm3/分)でラットに麻酔して、定位フレームに載せた。麻酔状態下で、頭皮に矢状切開を行い、筋膜を収縮させて頭蓋を露出させた。次いで、直径6mmのトレフィンドリルを使用して、ブレグマの直前で頭蓋骨に穴を開けた。以下のパラメーターで電子的に推進する、コンピューター制御ピストンに取り付けた5mmの直径の丸型真鍮衝撃装置を用いてMFCのTBIを形成した:速度=2.5m/s;深さ=3mm;持続時間=100ms)。BCCI後、任意の皮質表面出血を抑制して、筋膜および頭皮を縫合した。温めた回復チャンバー中で動物を回復させ、適切な術後ケアを行った。
処理群
処理は、傷害の30分後および傷害の約24時間後に送達した。
Figure 2023030158000026
梁バランス
梁バランス試験により、傷害後の動物の前庭運動反射活性を検査した。手術の前に動物を訓練して、動物の梁上のバランスを60秒まで維持した。傷害後第1週(D3、D5、D7)の間にラットを試験した。動物をゆっくりと、幅1.5cmの粗い表面の吊り下げた狭い梁の上に置き、動物が梁上に残った持続時間を、60秒の最大カットオフ時間で測定した。それぞれの動物に、1試験日当たり3回の試みを受けさせ、試みを平均して、梁バランス時間を得た。床にクッション付きパッドを置き、動物が落ちることによる傷害を防いだ。
モリス水迷路
傷害の2週間後、ラットをモリス水迷路(MWM)で試験した。MWMは、よく特徴付けられた、げっ歯類における空間学習および記憶の試験である。MWMの目的は、大きな水で満たされたプール中のどこかに配置された脱出プラットフォームがあることをラットに教えることである。ラットは、本来はプールから逃げるように動機づけられる。ラットは、一連の試みにわたり、沈めたプラットフォームの位置を示す迷路の外の(extra-maze)視覚的合図を使用する。
MWM試験は外傷性脳傷害の14日後に開始して行った。試験の少なくとも1時間前にラットを試験室に順応させた。MWMは、脱出プラットフォームを隠すために無毒性の黒色塗料で不透明にされた水を含む円形のプール(直径160cm x 高さ50cm)からなる(図4A参照)。水温は25±1℃に保った。水表面はプールの縁から15cmであり、内壁は常に、任意の局所的合図を排除するために注意深く拭き取られた。いくつかの迷路の外の視覚的合図を有し、壁にかけられた良く見える幾何学的画像(正方形、三角形、円等)、散乱照明および実験者を隠すためのカーテンならびに待機するラットを含む、大きな部屋にプールを設置した。行動は、プールの上にかけられたビデオカメラで追跡した。ビデオ追跡ソフトウェア(ANY-maze)により、プール内の動物の行動を記録して分析した。訓練後、ラットをきれいなペーパータオルでやさしく乾かして、ラット用の温められた保持ケージに置いて、乾かした後にホームケージに戻した。
訓練:訓練中、ラットをプールの壁に面した水に入れ、プラットフォームを探させた。ラットがプラットフォームを60秒以内に見つけた場合、試みを停止して、ラットを動かす前に30秒間プラットフォーム上にとどまらせた。60秒以内にプラットフォームが見つからなかった場合、部屋の視覚的合図の関連において、プラットフォームの位置を学習させるためにラットをプラットフォーム上に30秒間置いた。ラットには4日間(14~17日目)のうち1日に4回の試みを与え、試みの間に30秒の間隔を取った。それぞれの試みにおいて全てのラットについて開始点を無作為に回転させた。
プローブ試行:5日目(手術の18日後)に、ラットにプローブ試行を与えた。プローブ試験は、プラットフォームなしのプールに動物を60秒間配置すること、およびプールの四分円の4つにおいて経過した時間をモニタリングすることからなった(図4B参照)。プラットフォームの位置を学習した動物は、プールの標的の四分円を探すことにより多くの時間を費やす。訓練中、沈めて隠された標的プラットフォームをプール内に設置し、この領域を標的四分円と規定する(図4A参照)。プローブ試行の間に、プラットフォームを取り出し、異なる四分円中で水泳する持続時間をビデオカメラおよびコンピューターにより追跡する。以前に標的プラットフォームで占められた領域への進入の回数も追跡する。
統計分析
データは平均±SEMで示し、梁バランス時間およびモリス水迷路性能に対する処理の効果を試験するために反復測定の一元配置分散分析(ANOVA)により分析する。有意な主要な効果は事後比較(post hoc comparison)に従った。p<0.05の場合に効果を有意と見なした。
結果
体重および実施後の観察:体重に対するCMX-2043を用いた処理の効果を図5に示す。動物の重量は手術後すぐに低下したが、3および5日目までに回復し始めた。処理群のいずれの間にも体重の有意差はなく、CMX-2043を用いた処理は、試験中の体重増加に対して有害な効果を有ないことが示された。
第1のCMX-2043群において1匹の動物が手術後24時間以内に死亡した。第2の手術コホートの間に、この群に偶発事象の余分な補充動物を追加した。この第2のコホートにおいて、手術後24時間以内にCMX-2043群の別の動物がさらに死亡し、この群において処理した11匹の動物のうち残りの9匹の生存動物が残った。
梁バランス:傷害後の梁バランスに対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を図6に示す。傷害の前、全ての動物は梁上で少なくとも60秒間のバランスを維持できた。傷害の3日後に、梁バランス時間は全ての群で3秒未満に減少した。
モリス水迷路脱出潜伏時間:TBI傷害ラットにおけるMWM脱出潜伏時間に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を図7に示す。
傷害後14~17日目に、モリス水迷路において脱出プラットフォームを探し当てるように動物を訓練した。より短い脱出潜伏時間は、プラットフォームの位置の学習および記憶の向上を示す。
反復測定ANOVAにより群間の有意差が検出された。事後比較により、訓練の1日目に、30mg/kg CMX-2043で処理した動物は、食塩水処理動物よりも長い潜伏時間を示したことが示された。訓練の2日目と3日目で群間に差はなかった。最終訓練日に、30mg/kg CMX-2043で処理したTBI動物は、食塩水で処理した動物よりも有意に速い脱出潜伏時間を示した。
脱出潜伏時間におけるモリス水迷路の向上:MWM脱出潜伏時間データの代替的な分析において、それぞれ個々の動物の1日目の性能に対して脱出潜伏時間の向上を計算した。脱出潜伏時間の向上に対するCMX-2043またはCMX-26394を用いた処理の効果を図8に示す。食塩水処理動物は2日目に脱出潜伏時間の向上を何ら示さず、訓練の4日目までにわずかに5秒の向上のみを示した。対照的に、30mg/kg CMX-2043で処理した動物は、2日目(4.9秒)、3日目(8.7秒)および4日目(24.2秒)で脱出潜伏時間の安定な向上を示し、向上は、食塩水対照よりも有意に良好であった。15mg/kgで処理した動物も、3日目(6.8秒)および4日目(15.0秒;食塩水処理と比較してp=0.07)で脱出潜伏時間の漸進性の向上を示した。
モリス水迷路水泳距離および水泳速度:TBI傷害ラットにおけるMWM水泳距離および水泳速度に対するCMX-2043を用いたTBI処理の効果を図9および10に示す。
脱出潜伏時間に加えて、モリス水迷路試験は、ラットが脱出プラットフォームを探す際の水泳距離および水泳速度も生じる。
反復測定ANOVAは、処理群の間で水泳距離および水泳速度の両方において差を示さなかった。これらの結果は、30mg/kg CMX-2043で処理した動物において観察された脱出潜伏時間の向上は、水泳中の運動能力における差よりも認知の向上に起因することを示す。
モリス水迷路プローブ試行:TBI傷害ラットにおけるMWMプローブ試行性能に対するCMX-2043を用いた処理の効果を図11および12に示す。
手術後18日目に、動物はモリス水迷路プローブ試行を経験し、動物は、脱出プラットフォームなしの水迷路プール中で60秒間水泳した。脱出プラットフォームを以前に含んだ四分円中で過ごした時間は、プラットフォームの位置の学習を示す。以前にプラットフォームで占められた円形の領域への進入の回数も測定する。
ANOVAは、標的四分円中で過ごした時間において処理群間で全体的な差を示さず、他の四分円においても何ら差を示さなかった。ANOVAはまた、隠されたプラットフォームで以前に占められたプラットフォーム領域への進入の回数において有意差を明らかにしなかった。
まとめ
この前臨床試験は、30mg/kgの静脈内CMX-2043を用いた外傷性脳傷害の治療において有意な有効性を示した。梁バランス運動試験ではなくモリス水迷路認知試験において治療有効性が検出された。有効性におけるこの差は、傷害を受けた脳の領域の間の神経保護の差に由来する。TBIは、一的な病変および傷害中心から離れた領域における神経変性プロセスの二次的カスケードの両方を生じる。現在の研究において、ラットの運動皮質は、内側前頭皮質中の一次病変中心の近位にある。結果は、CMX-2043が、TBIにより開始される二次的変性プロセスにより影響を受ける病変中心から離れた領域に対して、神経保護を発揮し得ることを示唆する。1つのかかる領域は、モリス水迷路において向上が観察された学習および記憶の種類に関与する海馬である。
実施例3:CMX-2043はブタモデルにおいて局所性外傷性脳傷害後の結果を向上する
試験は、局所性外傷性脳傷害後のCMX-2043投与がミトコンドリア生体エネルギー学論、ミトコンドリア活性酸素種生成(mtROS)およびTBIの24時間後の酸化傷害の低減を制限するかどうかを試験するように設計された。
試験設計:CMX-2043のコンセプト試験の盲検プラシーボ対照化プルーフを4週齢の仔豚(8~10kg)で行った。この齢の仔豚は、ヒト幼児と同等の神経発生を有する。16匹の仔豚(n=16)を3つのコホート:1)CMX-2043のボーラスで処理された吻回(rostral gyrus)での制御された皮質衝撃(n=5)、2)プラシーボで処理したCCI傷害動物(n=5)および3)偽動物(n=6)に指定した。CMX-2043処理動物は、TBIの1時間後にCMX-2043の静脈内負荷ボーラス(13.4mg/kg)およびTBIの13時間後に4.5mg/kgのボーラスを与えられた。被験体に挿管して、換気し、イソフルラン(1.0%)で麻酔を維持した。挿管の直後に、痛覚脱失のためにブプレノルフィン(0.02mg/kg IM)を投与した。モニターにより酸素飽和、心拍数、呼吸速度、直腸温度および呼気終末CO2を記録した。動物は最初に、混乱および無呼吸がない失調(ataxia devoid of apnea)を示し、数時間後に正常活動に戻った。全ての仔豚は、TBI後24~25時間の間に屠殺した。
ミトコンドリア呼吸およびROS生成:CCIの24時間後、同側の半影帯(ipsilateral penumbra)および反転した反対側皮質を回収した。特異的Substrate-Uncouple-Inhibitor-Titration Protocol (SUIT)を有する高分解能Oroboros Oxygraph-2kTMにより酸素消費の速度を記録した。NADH関連物質マレイン酸/ピルビン酸、その後ADP/グルタミン酸の添加後Complex I (OXPHOSCI)活性を得た。次いで、コハク酸によりQ-接合を介して収束電子インプット(OXPHOSCI+CII)を刺激した。その後、オリゴマイシンにより、ATP生成とは独立した呼吸であるState 4呼吸(LEAKCI+CII)を誘導した。プロトノフォア(protonophore)カルボニルシアニドp-(トリフルオロ-メトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)を滴定することにより、電子転移系の最大逆容量(ETSCI+CII)を測定した。最終的に、Complex I阻害剤ロテノン、次いでアスコルビン酸+テトラメチルフェニレンジアミン(TMPD)およびその後のアジ化ナトリウムの連続添加により、Complex II (ETSCII)およびComplex IV (CIV)呼吸が連続的に明らかになった。ミトコンドリアの活性酸素種生成を、一体化された蛍光計を用いたROS生成の同時定量により、それぞれの呼吸相で測定した。組織ホモジネートによる高分解能呼吸計測評価は、細胞の破壊を最小にし、ミトコンドリアネットワークおよび超複合体(supercomplexe)にとって重要な生理学的環境を厳密に模倣する。最終的に、それぞれの試料のミトコンドリア含有量を決定するために、クエン酸シンターゼ(CS)活性を測定するための製造業者の指示書に従って、市販のキット(Citrate Synthase Assay Kit, CS0720, Sigma)を使用した。
ミトコンドリア生体エネルギー論:CCIの24時間後に測定した呼吸調節比(酸化リン酸化CI+CII/呼吸漏れCI+CII)。図13には、呼吸調節比(RCR)、全体的なミトコンドリアの健康の測定は、偽皮質測定(19.44±1.37)と比較して、CCIプラシーボ処理した動物の両方の領域において有意に減少した(同側:6.0±0.26、*p<0.0001;反対側:6.6±0.32、*p<0.0001)ことが示される。CCIの1時間後にCMX-2043の静脈内ボーラスおよび12時間後の反復ボーラスで処理した仔豚は、CCI同側プラシーボと比較して、有意に増加した同側RCR (CMX-2043 11.61±2.28、#p<0.05)を有する処理効果を示した。処理した反対側皮質は、RCR (11.05±1.71)の増加を有したが、有意、P=0.09には達しなかった。CMX-2043を用いた処理は、いずれの領域においても偽レベルで、傷害された皮質において測定されるミトコンドリア呼吸調節比を維持しなかった。海馬において同様の処理効果が観察された。
ミトコンドリア活性酸素種:CMX-2043のコンセプト試験の盲検プラシーボ対照プルーフ:CCIの24時間後に測定したミトコンドリアの活性酸素種生成。ミトコンドリアROS(mtROS)生成は、最大酸化リン酸化CI+CI呼吸の間に、一体化された蛍光計を用いて、ROS生成の同時定量により測定した。図14には、ミトコンドリアROS生成(H2O2/(ρmol O2/s*mgの単位)は、両方の傷害されたコホートにおいて同側および反対側の両方の組織において*p<0.001で有意に増加したことが示される。具体的に、プラシーボで処理されたCCI同側におけるmtROS生成は18.77±1.58単位のH2O2/(ρmol O2/s*mg (p<0.0001)であり、CCI反対側プラシーボは13.7±0.58単位のH2O2/(ρmol O2/s*mg (p<0.0001)であり、偽は2.96±0.19単位のH2O2/(ρmol O2/s*mgであった。TBI後にCMX-2043で処理された動物は、プラシーボで処理したCCI由来のそれぞれの領域と比較して、両側(同側:8.28±1.47、p<0.0001;反対側:5.13±1.67、#p<0.0001)において有意に低いmtROS生成を示した。海馬において同様の処理効果が観察された。
酸化傷害:図15Aには、皮質半影帯において測定された4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)により測定される脂質過酸化が示される。mtROSについて分析された同じ同側傷害領域由来の試料は、ウエスタンブロット分析(EMD Millipore)による脂質過酸化の評価として4-HNEを測定することにより酸化損傷について分析され、GAPDH (EMD Millipore)により標準化され、プラシーボおよび偽と比較された。TBI後にCMX-2043により処理された動物は、プラシーボで処理された動物と比較して脂質過酸化の有意な減少を示した、# p<0.001。海馬において同様の治療効果が観察された。
図15Bには、皮質半影帯においてELISAにより測定されるタンパク質カルボキシル化を示す。mtROSについて分析された同じ同側領域由来の試料は、タンパク質カルボキシル化を測定することにより酸化損傷について分析され(VWR Int'l)、プラシーボおよび偽と比較された。TBI後にCMX-2043で処理された動物は、プラシーボで処理された動物と比較して、タンパク質カルボキシル化において有意な減少を示した、#、p<0.01。海馬において同様の治療効果が観察された。
これらのデータは、CMX-2043が、ミトコンドリアの生体エネルギー論を向上させ、ミトコンドリア活性酸素種生成および局所性TBI後の酸化傷害を制限することを示す。
本明細書に引用される全ての特許、公開特許出願および参照文献の教示は、それらの全体において参照により援用される。
本発明は、その例示態様に関して具体的に示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される態様の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本発明においてなされ得ることが当業者には理解されよう。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
外傷性脳傷害の治療を必要とする被験体において外傷性脳傷害を治療する方法であって、該被験体に、構造式I:
Figure 2023030158000027
(式中、
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基により置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される;
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3zH、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基により置換される;ならびに
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は、
Figure 2023030158000028
とアミド結合を形成するように配向される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含む、方法。
項2
該化合物が、構造式I(a):
Figure 2023030158000029
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、項1記載の方法。
項3
該化合物が、(R)-リポイル化合物であり、実質的に純粋である、項1記載の方法。
項4
該化合物が、
Figure 2023030158000030
Figure 2023030158000031
Figure 2023030158000032
または前述のいずれかの薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグからなる群より選択される、項1、2または3記載の方法。
項5
該化合物が、
Figure 2023030158000033
Figure 2023030158000034
Figure 2023030158000035
Figure 2023030158000036
または前述のいずれかの薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグからなる群より選択される、項1、2または3記載の方法。
項6
該化合物が、
Figure 2023030158000037
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、項1、2または3記載の方法。
項7
該化合物が、
Figure 2023030158000038
またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、項6記載の方法。
項8
外傷性脳傷害により引き起こされる神経変性損傷を治療するための方法である、項1~7いずれか一項記載の方法。
項9
神経変性損傷が、脳の海馬領域に影響を及ぼす、項8記載の方法。
項10
脳の海馬領域に対する神経変性損傷が、学習および記憶に関連する認知機能に影響を及ぼす、項9記載の方法。
項11
神経変性損傷が、感覚運動機能に影響を及ぼす、項8記載の方法。
項12
神経変性損傷が、局所性(focal)またはびまん性外傷性脳傷害に関連する、項8記載の方法。
項13
神経変性損傷が、一次的な病変の部位以外の部位での二次的な損傷である、項8記載の方法。
項14
外傷性脳傷害後の機能的結果を向上するための方法である、項1~7いずれか記載の方法。
項15
機能的結果が、被験体における認知、行動または感覚運動の機能に関連する、項14記載の方法。
項16
外傷性脳傷害の治療および/または予防における使用のための化合物であって、構造式I:
Figure 2023030158000039
(式中、
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される;
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3zH、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基で置換される;ならびに
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は、
Figure 2023030158000040
とアミド結合を形成するように配向される)
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、化合物。
項17
該化合物が、以下の構造式:
Figure 2023030158000041
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、項16記載の化合物。
項18
外傷性脳傷害を治療するための医薬の製造のための化合物の使用であって、該化合物が、構造式I:
Figure 2023030158000042
(式中、
Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基で置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される;
R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3zH、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基で置換される;ならびに
Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は、
Figure 2023030158000043
とアミド結合を形成するように配向される)
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、使用。
項19
該化合物が、以下の構造式:
Figure 2023030158000044
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグである、項18記載の使用。

Claims (1)

  1. 外傷性脳傷害の治療を必要とする被験体において外傷性脳傷害を治療する方法であって、該被験体に、構造式I:
    Figure 2023030158000045
    (式中、
    Rは、(C1-C18)アルキル、(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルであり、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3H、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される少なくとも1つの酸性置換基により置換され、ここで(C6-C18)アリールまたは(C6-C18)アリール(C1-C18)アルキルのアリールは、任意に、ヒドロキシ、ハロ、(C1-C3)アルキル、ハロ(C1-C3)アルキル、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルコキシおよびチオ(C1C3)アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基でさらに置換される;
    R'は、水素または(C1-C18)アルキルであり、ここで(C1-C18)アルキルは、任意に、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-OSO3zH、-OPO3H2、-B(OH)2および-NHOHからなる群より選択される1つ以上の酸性置換基により置換される;ならびに
    Xは、非存在であるかまたはアミノ酸であり、ここで該アミノ酸は、
    Figure 2023030158000046
    とアミド結合を形成するように配向される)
    の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの有効量を投与する工程を含む、方法。
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