JP2023028441A - グラウト材料、グラウトモルタル組成物及び硬化体 - Google Patents

グラウト材料、グラウトモルタル組成物及び硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】流動性が高く、自己治癒効果をより高めることができ、かつ、強度、耐摩耗性が向上するグラウト材料、グラウトモルタル組成物及び硬化体を提供する。【解決手段】γ-2CaO・SiO2、3CaO・2SiO2、α-CaO・SiO2及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物を含むグラウト用混和材、及びセメント、ガス発泡物質、減水剤、細骨材を含有するグラウト材料。【選択図】なし

Description

本発明は、土木・建築業界において使用されるグラウト材料、グラウトモルタル組成物及びグラウトモルタル組成物を用いてなる硬化体に関する。
グラウト材料は、モルタル、コンクリートの作業性や充填性を改善し、グラウト工事を円滑に行うために使用されている。
主な用途としては、地下構造物の施工、橋梁支承部の据付け、各種機械類の据付け、耐震補強における壁、柱の間隙充填等であり、構造物の間隙を充填して一体化するために、(1)充填箇所及び充填方法等に応じた所要の流動性、(2)充填後にブリーディング、沈下及び空隙を発生させない無収縮性、(3)構造物の使用条件に応じた所要の各種強度などが要求される(例えば、非特許文献1参照)。
セメント硬化体は、セメントの水和又は乾燥に伴って体積が減少することから、ひび割れが発生したり、既存構造体との付着性能が低下したりする危険性がある。ひび割れの発生は美観を損ねるばかりか、構造物の安定性、防水性及び水密性に悪影響を与える危険性がある。
そのため、セメントの収縮を補償し、ひび割れ発生抑制や、構造体との付着性能を保持する目的で、使用される膨張材としては、例えば、3CaO・3Al・CaSO(アウイン)、CaSO及びCaOを主成分とするカルシウムサルホアルミネート系(アウイン系膨張材)、遊離石灰を主成分とする石灰系(石灰系膨張材)のほか、遊離石灰-水硬性物質-セッコウ類を含有してなる膨張材等がある。
セメント、膨張材の他、特定の減水剤を組み合せることにより、温度依存性が少なく、流動性・充填性保持効果が著しく高く、長期に亘り強度増進効果を付与したグラウト材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、優れた流動性、泡発生の抑制、最適な長さ変化率、体積膨張率を保持した高強度グラウト材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来のグラウト材料は、流動性が低く、硬化体にひび割れが発生し、またひび割れ発生後も、自己治癒効果が低く、長期的な強度及び耐摩耗性が低い課題がある。
特許3894780号公報 国際公開第2007/029399パンフレット
新セメント・コンクリート用混和材料、304-307頁、笠井芳夫・坂井悦郎著、技術書院、平成19年1月15発行
そこで、本発明は、流動性が高く、自己治癒効果をより高めることができ、かつ、自然炭酸化により緻密となり、強度、耐摩耗性が向上するグラウト材料、グラウトモルタル組成物及び硬化体を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の努力を重ねた結果、特定の非水硬性材料を含むグラウト用混和剤を含有することで、強度、耐摩耗性をより高めることができ、耐久性が向上できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物を含むグラウト用混和材、セメント、ガス発泡物質、減水剤、及び細骨材を含有するグラウト材料。
[2]前記非水硬性化合物中にLiを含有し、前記非水硬性化合物中におけるLiの含有率が酸化物換算で0.001~1.0質量%である[1]に記載のグラウト材料。
[3]前記グラウト材料であって、SOの量が0.5質量%以上10.0質量%以下、MgOの量が0.1質量%以上3.0質量%以下である、[1]又は[2]に記載のグラウト材料。
[4]化学成分として、前記グラウト用混和材100質量部中、LiOを0.001~1.0質量部、CaOを45~70質量部、SiOを29~55質量部、Alを0~10質量部含む、[1]~[3]いずれかに記載のグラウト材料。
[5]さらに膨張材を含有する[1]~[4]のいずれかに記載のグラウト材料。
[6]さらに急硬材を含有し、前記急硬材は、カルシウムアルミネートを含有し、前記カルシウムアルミネートがCaO/Alモル比1.0以上3.0以下であり、前記カルシウムアルミネートの含有割合は、前記セメント100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のグラウト材料。
[7]前記細骨材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、40質量部以上300質量部以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のグラウト材料。
[8][1]~[7]のいずれかに記載のグラウト材料と水とを含有するグラウトモルタル組成物。
[9][8]に記載のグラウトモルタル組成物を用いてなる硬化体。
本発明によれば、流動性が高く、自己治癒効果をより高めることができ、かつ、自然炭酸化により緻密となり、強度、耐摩耗性が向上するグラウト材料、グラウトモルタル組成物及び硬化体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書における部や質量%は特に規定しない限り質量基準である。
また、本明細書でいうグラウトモルタルとは、粗骨材のないペースト、細骨材を含有するモルタルを総称するものである。
本発明のグラウト材料は、γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物を含むグラウト用混和材、及びセメント、ガス発泡物質、減水剤、細骨材からなるグラウト材料である。
また、グラウト用混和材は、さらに非水硬性化合物中にLiを含有し、非水硬性化合物中におけるLiの含有率が酸化物換算で0.001~1.0%であることが好ましい。また、非水硬性化合物中におけるLiの含有率は、酸化物換算で0.005~1.0%であることが好ましく、0.010~0.90%であることがより好ましく、0.015~0.80%であることがさらに好ましい。この所定量のLiにより、C-S-H(ケイ酸カルシウム水和物)の炭酸化のうち、炭酸カルシウムの1種であるバテライトの生成が促進されると推定され、炭酸(塩)化によってより緻密な硬化状態が得られ、強度増進、耐摩耗性の向上、低収縮となりやすくなると考えられる。
ここで、「非水硬性化合物中にLiを含有」しているとは、非水硬性化合物中に化学組成としてLiOを含む(ICP発光分光分析で存在を確認できる)が、X線回折測定ではLiOが同定されない(LiOの明確なピークが見られない)状態をいい、単に、非水硬性化合物とLi化合物とが物理的に混合された状態ではないことをいう。このような状態は、それぞれの原料を混合して1,000℃以上の高温での熱処理をすることで得られる。以下、各成分等について説明する。
(γ-2CaO・SiO
γ-2CaO・SiOとは、2CaO・SiOで表される化合物のうちで、低温相として知られるものであり、高温相であるα-2CaO・SiOやα’-2CaO・SiO、β-2CaO・SiOとは全く異なるものである。これらはいずれも、2CaO・SiOで表されるが、結晶構造や密度は異なっている。
(3CaO・2SiO
3CaO・2SiOとは、偽ケイ灰石にCaOを含有する鉱物でランキナイトと呼ばれる。水和活性は無く化学的に安定な鉱物であるが、炭酸(塩)化促進効果が大きい。
(α-CaO・SiO
α-CaO・SiO(α型ワラストナイト)とは、CaO・SiOで表される化合物のうちで、高温相として知られるものであり、低温相であるβ-CaO・SiOとは全く異なるものである。これらはいずれも、CaO・SiOで表されるが、結晶構造や密度は異なっている。
天然に産出するワラストナイトは低温相のβ-CaO・SiOである。β-CaO・SiOは針状結晶を有し、ワラストナイト繊維等のような無機繊維質物質として利用されてはいるが、本実施形態に係るα-CaO・SiOのような炭酸(塩)化促進効果はない。
(カルシウムマグネシウムシリケート)
カルシウムマグネシウムシリケートとは、CaO-MgO-SiO系化合物を総称するものであるが、本実施形態では、3CaO・MgO・2SiO(CMS)で表されるメルヴィナイト(Merwinite)であることが好ましく、メルヴィナイトによれば大きい炭酸(塩)化促進効果が達成される。
上記のような非水硬性化合物は1種でも2種以上でもよいが、非水硬性化合物中におけるLiの含有率は酸化物換算で0.001~1.0%であり、0.005~1.0%であることが好ましく、0.010~0.90%であることがより好ましく、0.015~0.80%であることがさらに好ましい。Liの含有率が酸化物換算で0.001%以上であることで、炭酸化促進効果が得られやすい。また、Liの含有率が酸化物換算で1.0%以下であることで、コストを低減することができる。なお、酸化物換算のLiの含有率は、実施例に記載の方法にて測定することができる。
なお、非水硬性化合物が2種以上である場合、Liの含有率とは、2種以上の非水硬性化合物の合計に対する該Liの酸化物換算での含有率をいう。
上記の非水硬性化合物の中でも、特にγ-2CaO・SiOは、製造時にダスティングと呼ばれる粉化現象をともなうため他の化合物に比べて粉砕に要するエネルギーが少ないこと、長期にわたって炭酸(塩)化促進効果が大きいこと、一方、低水結合材比で高炉セメントと組み合わせた場合には中性化抑制効果が非常に大きい点で好ましい。
本実施形態に係る非水硬性化合物は、CaO原料、SiO原料、MgO原料及びLi原料を所定のモル比で配合して熱処理することによって得られる。CaO原料としては、例えば、石灰石などの炭酸カルシウム、消石灰などの水酸化カルシウム、アセチレン副生消石灰などの副生消石灰、廃コンクリート塊から発生する微粉末、などが挙げられる。SiO原料としては、例えば、ケイ石や粘土、さらには、シリカフュームやフライアッシュに代表されるような産業副産物として発生する様々なシリカ質ダストなどが挙げられる。MgO原料としては、例えば、水酸化マグネシウムや塩基性炭酸カルシウム、ドロマイトなどを挙げることができる。また、Li原料としては、炭酸リチウムなどを挙げることができる。なお、CaO原料、SiO原料、MgO原料にLiが含まれる場合は、Li原料を新たに加える必要はない。熱処理時の非エネルギー由来CO排出量の削減からも、副生消石灰、廃コンクリート塊から発生する微粉末、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰など、CaOを含む産業副産物から選ばれる1種又は2種以上を利用できる。中でも他の産業副産物に比べて不純物量が少ない副生消石灰の使用がさらに好ましい。
副生消石灰としては、カルシウムカーバイド法によるアセチレンガスの製造工程で副生される副生消石灰(アセチレンガス製造方法の違いで、湿式品と乾式品がある)、カルシウムカーバイド電気炉の湿式集塵工程で捕獲されるダスト中に含まれる副生消石灰といったアセチレン副生消石灰等が挙げられる。副生消石灰は、例えば、水酸化カルシウムが65~95%(好ましくは、70~90%)で、その他に、炭酸カルシウムを1~10%、酸化鉄を0.1~6.0%(好ましくは、0.1~3.0%)含む。これらの割合は蛍光X線測定、及び示差熱重量分析(TG-DTA)で求まる質量減量分(Ca(OH):405℃~515℃付近、CaCO:650℃~765℃付近)にて確認することができる。レーザー回折・散乱法で測定する体積平均粒子径は、50~100μm程度である。さらに、JIS K 0068「化学製品の水分測定方法」中、乾燥減量法で測定される水分率は、10%以下であることが好ましい。また、CaS、A1、及びCaC・CaSなどイオウ化合物を含んでもよいが、2%以下であることが好ましい。
既述の1,000℃以上の高温での熱処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ロータリーキルンや電気炉などによって行うことができる。その熱処理温度は、一義的に定められるものではないが、通常、1,000~1,800℃程度の範囲で行われ、1,200~1,600℃程度の範囲で行われることが多い。
本実施形態は、既述の非水硬性化合物を含む産業副産物を用いることもできる。この際には不純物が共存する。このような産業副産物として、製鋼スラグ等が挙げられる。
CaO原料、SiO原料には不純物を含む場合があるが、本発明の効果を阻害しない範囲内では特に問題とはならない。不純物の具体例としては、例えば、Al、Fe、TiO、MnO、NaO、KO、S、P、F、B、塩素などが挙げられる。また、共存する化合物としては、遊離酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノシリケート、カルシウムフェライトやカルシウムアルミノフェライト、カルシウムフォスフェート、カルシウムボレート、マグネシウムシリケート、リューサイト(KO、NaO)・Al・SiO、スピネルMgO・Al、マグネタイトFe、前述のCaS、A1、及びCaC・CaSなどイオウ化合物などが挙げられる。
これらの不純物のうち、非水硬性化合物中のS(硫黄)の含有率は酸化物(SO)換算で1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、さらに0.5%以下であることが好ましい。1.0%以下であることで、十分な炭酸(塩)化促進効果が得られ、また、凝結や硬化性状を適切な範囲にすることができる。酸化物(SO)換算でのSの含有率は、蛍光X線測定により測定することができる。なお、非水硬性化合物中のS(硫黄)は、酸化物換算で2%程度であれば存在していてもよい。
グラウト用混和材において、非水硬性化合物の含有率(複数種含む場合は合計量に占める含有率)は65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。なお、γ-2CaO・SiO以外の水硬性の2CaO・SiOが混在していることも可能であり、最大35%まで混在可能である。
グラウト用混和材におけるγ-2CaO・SiOの含有率は、35%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。また、γ-2CaO・SiOの含有率の上限値は特に限定されない。製鋼スラグの中では、γ-2CaO・SiO含有率が多い電気炉還元期スラグ又はステンレススラグが好ましい。
また、グラウト用混和材においてはその効果をより発現しやすくする観点から、化学成分として、グラウト用混和材100質量部中、LiOを0.001~1.0質量部、CaOを45~70質量部、SiOを29~55質量部、Alを0~10質量部含むことが好ましい。LiOの含有量は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。また、CaO、SiO、Alは蛍光X線により測定することができる。
化学成分としては、グラウト用混和材100質量部中、LiOは0.002~0.5質量部、CaOは60~70質量部、SiOは29~45質量部、Alは0.5~5質量部含むことがより好ましい。
さらに、化学成分として、グラウト用混和材100質量部中、LiO、CaO、SiO、及びAlの合計は、90質量部以上であることが好ましく、95~100質量部であることがより好ましい。
グラウト用混和材中の非水硬性化合物を定量する方法として、粉末X線回折法によるリートベルト法等が挙げられる。
グラウト用混和材のブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、1,500cm/g以上が好ましく、また上限は8,000cm/g以下が好ましい。なかでも、2,000~6,000cm/gがより好ましく、4,000~6,000cm/gが最も好ましい。ブレーン比表面積が2,000cm/g以上であることで、良好な材料分離抵抗性が得られ、炭酸(塩)化促進効果が十分になる。また、8,000cm/g以下であることで粉砕する際の粉砕動力が大きくならず経済的であり、また、風化が抑制され品質の経時的な劣化を抑えることができる。
本発明におけるグラウト材料に含まれるSOの量は、流動性を高め、自己治癒効果を向上させる観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがさらに好ましい。また、グラウト材料に含まれるSOの量は、同様の観点から、10.0質量%以下であることが求められるが、8.0質量%以下であることが好ましく、6.0質量%以下であることがさらに好ましい。
グラウト材料に含まれるMgOの量は、流動性を高め、自己治癒効果を向上させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。また、グラウト材料に含まれるMgOの量は、同様の観点から、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
グラウト材料に含まれるSO、MgO量の量は、例えば、グラウト材料を作製する際にSO、MgOを含有する混和剤を添加して調整することができる。また、SO、MgO量は、蛍光X線回折法(XRF)で測定することができる。
本発明で使用するセメントとは、特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種セメント、これらのセメントに、高炉スラグやフライアッシュやシリカフュームなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、市販されている微粒子セメントなどが挙げられ、各種セメントや各種混合セメントを微粉末化して使用することも可能である。また、通常セメントに使用されている成分(例えばセッコウ等)量を増減して調整されたものも使用可能である。
本発明では、高い流動性、自己治癒効果向上、強度増進、耐摩耗性向上の観点から、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントを選定することが好ましい。
本発明で使用するセメントは、製造コストや強度発現性の観点から、セメントのブレーン比表面積値は、2,500cm/g以上7,000cm/g以下であることが好ましく、2,750cm/g以上6,000cm/g以下であることがより好ましく、3,000cm/g以上4,500cm/g以下であることがさらに好ましい。
ブレーン比表面積値は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準拠して求められる。
本発明のグラウト材料は、膨張性水和物を生成させ、ブリーディングを抑制する観点から、膨張材を含有させることが可能である。
本発明で使用する膨張材は、特に限定されるものではなく、膨張性水和物を生成させ、ブリーディングを抑制するものであれば、いかなるものでも使用可能である。
膨張材としては、例えば、遊離石灰、遊離マグネシア、カルシウムフェライト、エトリンガイト系、石灰系、エトリンガイト-石灰複合系を含むものが知られ特に限定されるものではないが、長期安定性の観点から、遊離石灰を含むものが好ましい。遊離石灰を含むものとしては、例えば、遊離石灰-無水セッコウ系、遊離石灰-水硬性化合物系、ならびに、遊離石灰-水硬性化合物-無水セッコウ系などが挙げられる。
膨張材は各社より市販されており、その代表例としては、例えば、デンカ社製「デンカCSA♯20」、「デンカパワーCSA」、太平洋マテリアル社製「エクスパン」、「ハイパーエクスパン」、「N-EX」、「ブライスター」やこれらの粉砕品などが挙げられる。
本発明で使用する膨張材の粒度は、特に限定されるものではないが、ブレーン比表面積値で2,000cm/g以上25,000cm/g以下の範囲のものが好ましく、2,200cm/g以上15,000cm/g以下の範囲のものがより好ましく、2,400cm/g以上10,000cm/g以下の範囲のものがさらに好ましい。膨張材のブレーン比表面積値が上記下限値以上であることで、ブリーディングを抑制することができる。また、膨張材のブレーン比表面積値が上記上限値以下であることで、十分な膨張性を得ることができる。
本発明で使用する膨張材の含有割合は、セメント100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下が好ましく、1.0質量部以上18質量部以下がより好ましく、2質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。膨張材の含有割合が上記下限値以上であることで、ひび割れ抑制効果を得やすくなる。膨張材の含有割合が上記上限値以下であることで、強度発現性が良好となる。膨張材の含有割合が上記範囲内であることで、本発明の効果を満たすグラウト材料、即ち、流動性を高め、自己治癒効果を向上させ、低収縮なグラウト材料とすることが容易になる。
本発明のグラウト材料は、凝結を促進し、短期での強度増進を図る観点から、急硬材を含有させることが可能である。
本発明に使用する急硬材としては、凝結を促進し、短期での強度増進を図るものであれば、特に限定されるものではない。急硬材は、凝結を促進するものとして、ギ酸カルシウム及び硝酸カルシウムに代表される有機酸のカルシウム塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、チオシアン酸塩、アミン類、無水マレイン酸、水ガラスに代表される珪酸塩、硫酸アルミニウム、及び、ミョウバンに代表されるアルミニウム塩、カルシウムアルミネート(アルミン酸カルシウム)、アルミン酸塩等が挙げられる。これらの中では、強度発現性の点から、アルミン酸塩が好ましく、カルシウムアルミネート(CA)を含むことが好ましい。カルシウムアルミネートは、石膏と併用することで強度発現性が良好となる観点でより好ましい。石膏の使用量は、カルシウムアルミネート100質量部に対して、80質量部以上250質量部以下であることが好ましく、90質量部以上220質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上200質量部以下であることがさらに好ましい。石膏の含有割合が上記下限値以上であることで、早期硬化性を得やすくなる。また、石膏の含有割合が上記上限値以下であることで、強度発現性、自己治癒効果が良好となる。石膏の含有割合が上記範囲内であることで、本発明の効果を満たす自己治癒効果を向上させるグラウト材料とすることが容易になる。
カルシウムアルミネートは、カルシア原料とアルミナ原料などを混合して、キルンで焼成し、あるいは、電気炉で溶融し冷却して得られるCaOとAlとを主成分とする水和活性を有する物質の総称であり、結晶質、又は非晶質のいずれであっても使用可能である。硬化時間が早く、初期強度発現性が高い材料である。カルシウムアルミネートの代表的なものとしてはアルミナセメントが挙げられ、通常、市販品が使用できる。例えば、アルミナセメント1号、アルミナセメント2号などが使用できる。なかでも、アルミナセメントよりも短時間で硬化し、その後の初期強度発現性が高い点から、溶融後に急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
カルシウムアルミネートのなかでも、CaOとAlとのモル比(CaO/Alモル比)は、1.0以上3.0以下であることが好ましく、1.7以上2.5以下であることがより好ましい。モル比が上記範囲内であることで、硬化時間をより短縮して初期強度発現性を高めることができる。
本発明では、カルシウムアルミネート中に含まれる不純物は15質量%以下であることが初期強度発現性の点から好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。ここで不純物とは、CaOとAl以外の物質をいう。該不純物が15質量%を超えると硬化に時間を費やし、さらに低温時には固まらない場合がある。不純物の代表例としては、酸化ケイ素や酸化マグネシウムや酸化硫黄が挙げられるが、その他に、有機物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、該アルカリ土類金属硫酸塩等がCaOやAlの一部に置換又は固溶したものがある。しかし、これらに限定されない。
本発明で使用するカルシウムアルミネートのガラス化率は、反応活性の面で70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ガラス化率が70質量%未満であると初期強度発現性が低下する場合がある。カルシウムアルミネートのガラス化率は、反応活性の点で70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ガラス化率は、測定サンプルについて、粉末X線回折法により結晶鉱物のメインピーク面積Sを予め測定し、その後1,000℃で2時間加熱後、(1~10℃)/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法による加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積Sを求め、これらのS及びSの値を用い、次の式を用いてガラス化率を算出する。
ガラス化率(質量%)=100×(1-S/S
カルシウムアルミネートの粒度は、初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積値3,000cm/g以上が好ましく、5,000cm/g以上がより好ましい。カルシウムアルミネートの粒度が上記下限値以上であることで、硬化時間が短くなることで初期強度発現性が良好となり、自己治癒性能が良好となる。
本発明で使用する急硬材の含有割合は、セメント100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。また、急硬材としてカルシウムアルミネートを含有する場合、カルシウムアルミネートの含有割合は、セメント100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上18質量部以下であることがより好ましく、4質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。急硬材及びカルシウムアルミネートの含有割合が上記下限値以上であることで、早期硬化性、ひび割れ抑制効果を得やすくなる。また、急硬材及びカルシウムアルミネートの含有割合が上記上限値以下であることで、強度発現性が良好となる。急硬材の含有割合が上記範囲内であることで、自己治癒効果を向上させることが容易となり、本発明の効果を満たすグラウト材料を得られる。
急硬材中におけるカルシウムアルミネートの含有率は、20~100%であることが好ましく、25~80%であることがより好ましく、30~60%であることがさらに好ましい。
本発明で使用するガス発泡物質とは、グラウトモルタル組成物を施工した後、まだ固まらない状態のグラウト材料がブリーディングによる沈下や収縮するのを抑止する目的で用いものをいう。本発明で使用するガス発泡物質としては、水と混練後に気体を発生するものであればよく、特に限定されるものではない。
ガス発泡物質としては、植物油及び鉱物油等の油状物質が挙げられる。また、ガス発泡物質としては、ステアリン酸で表面処理した燐片状のアルミニウム粉末、及びアトマイズ製法で製造したアルミニウム粉末等の粉末物質が挙げられる。また、ガス発泡物質としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物及びヒドラジン誘導体等のアルカリ雰囲気下で窒素ガスを発泡する窒素ガス発泡物質が挙げられる。また、ガス発泡物質としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム及び過炭酸アンモニウムなどの過炭酸塩、過ホウ酸ナトリウムや過ホウ酸カリウム等の過ホウ酸塩、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、並びに、過酸化水素等の過酸化物質が挙げられる。
本発明で使用するガス発泡物質としては、沈下抑制効果が大きいことから、ステアリン酸等で表面処理したアルミニウム粉末を用いることが好ましい。
本発明で使用するガス発泡物質として使用する窒素ガス発泡物質は、グラウト材料中に含まれるセメントが、水と共に練混ぜた際に生成するアルカリとの反応により、窒素ガスを発生する化合物を含有するものであり、一酸化炭素、二酸化炭素、及びアンモニアなどのガスを副生してもよい。
本発明で使用する窒素ガス発泡物質としては、構造物と一体化させるために、また、まだ固まらない状態のグラウトモルタルが沈下や収縮するのを抑止するために、さらには、乾燥状態に置かれた際のひび割れ抵抗性を向上させるために使用できるものであれば特に限定されるものではない。
ガス発泡物質の含有割合は、セメント100質量部に対して、0.0001質量部以上1質量部以下が好ましく、0.0005質量部以上0.5質量部以下がより好ましく、0.001質量部以上0.2質量部以下がさらに好ましい。ガス発泡物質の含有割合が上記下限値以上であることで、充分な初期膨張効果を付与することができる。また、ガス発泡物質の含有割合が上記上限値以下であることで、強度発現性が良好となる。
本発明で使用する減水剤は、各材料の分散を助けるとともに、練り上がったグラウトモルタルの流動性を付与する役割を担う。
本発明で使用する減水剤は、特に限定されるものではなく、例えば、ナフタレン系減水剤、メラミン系流減水剤、アミノスルホン酸系減水剤、及びポリカルボン酸系減水剤が挙げられ、本発明ではこれら減水剤のうちの一種又は二種以上が使用可能である。
減水剤の具体例としては、例えば、ナフタレン系減水剤としては、エヌエムビー社製商品名「レオビルドSP-9シリーズ」、花王社製商品名「マイティ2000シリーズ」、及び日本製紙社製商品名「サンフローHS-100」などが挙げられる。メラミン系減水剤としては、日本シーカ社製商品名「シーカメント1000シリーズ」及び日本製紙社製商品名「サンフローHS-40」などが挙げられる。アミノスルホン酸系減水剤としては、藤沢薬品工業社製商品名「パリックFP-200シリーズ」などが挙げられる。ポリカルボン酸系減水剤としては、エヌエムビー社製商品名「レオビルドSP-8シリーズ」、グレースケミカルズ社製商品名「ダーレックススーパー100PHX」、及び竹本油脂社製商品名「チューポールHP-8シリーズ」、「チューポールHP-11シリーズ」などが挙げられる。
減水剤には粉末状のものも存在する。具体的には、ナフタレン系減水剤としては、花王社製商品名「マイティ100」、三洋化成工業社製商品名「三洋レベロンP」、及び第一工業製薬社製商品名「セルフロー110P」などが挙げられる。メラミン系減水剤としては、BASFポゾリス社製「メルメントF10M」などが挙げられる。ポリカルボン酸系減水剤としては、例えば、三菱化成社製商品名「クインフロー750」や花王社製商品名「CAD9000P」などが挙げられる。
減水剤の含有割合は、セメント100質量部に対して、固形分換算で0.1質量部以上2質量部以下が好ましく、0.2質量部以上1.8質量部以下がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下がさらに好ましい。減水剤の含有割合が上記下限値以上であることで、十分な流動性を得ることができる。また、減水剤の含有割合が上記上限値以下であることで、材料分離を抑制することができる。
本発明で使用する細骨材の化学成分は、CaOの割合が85質量%以上、SiOの割合が0.2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。細骨材の化学成分として、CaOの割合及びSiOの割合が上記範囲内であることで、高い流動性、中性化抵抗性や鉄筋との付着強度、防錆に優れるグラウト材料が得られる。
CaOの割合は、87質量%以上であることが好ましく、89質量%以上であることがより好ましく、91質量%以上であることがさらに好ましい。CaOの割合の上限は、特に限定されないが、99質量%以下であることが好ましく、98.5質量%以下であることがより好ましい。
SiOの割合は、0.25質量%以上13質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上11質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
細骨材の化学成分を上記範囲内及び後述範囲内にするために、珪砂、方解石、変成岩であるスカポライト、火成岩である石英、カリ長石等を混合させて調製する。化学成分は、本発明の範囲に入るよう、蛍光X線回折で確認しながら、各岩を混合し調整する。なお、本発明で使用する細骨材の化学成分は、酸化物換算で計算したものである。
本発明で使用する細骨材としては、通常のセメントモルタルやコンクリートに使用するものと同様の細骨材が使用可能である。即ち、川砂、砕石、砕砂、石灰砂、けい砂、色砂、及び人工軽量骨材等が使用可能であり、これらを組み合わせることも可能である。特に、流動性を高め、自己治癒効果を目的とした用途では、シリカ質のけい砂や石灰砂の使用が好ましく、細骨材の粒度は、JIS6~8号が好ましい。
細骨材の含有割合は、セメント100質量部に対して、40質量部以上300質量部以下であることが好ましく、45質量部以上275質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上250質量部以下であることがさらに好ましい。細骨材の粒度が上記範囲内であることで、十分な流動性及び自己治癒効果、耐摩耗性の向上、低収縮が得られる。
本発明のグラウト材料は、セメント、膨張材、ガス発泡物質、減水剤、細骨材とともに、強度発現性の改善や耐酸性の向上、可使時間の確保に加えて、寸法安定性を良好にする観点から、シリカ質微粉末を含有させることが可能である。
シリカ質微粉末としては、高炉水砕スラグ微粉末等の潜在水硬性物質、フライアッシュや、シリカフュームなどのポゾラン物質を挙げることができ、中でも、シリカフュームが好ましい。
シリカフュームの種類は限定されるものではないが、流動性の観点から、不純物としてZrOを10%以下含有するシリカフュームや、酸性シリカフュームの使用がより好ましい。酸性シリカフュームとは、シリカフューム1gを純水100ccに入れて攪拌した時の上澄み液のpHが5.0以下の酸性を示すものをいう。
シリカ質微粉末の粉末度は特に限定されるものではないが、通常、高炉水砕スラグ微粉末とフライアッシュは、ブレーン値で3,000cm/g以上9,000cm/g以下の範囲にあり、シリカフュームは、BET比表面積で2万cm/g以上30万cm/g以下の範囲にある。
シリカ質微粉末の含有割合は、セメント100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。シリカ質微粉末の含有割合が上記下限値以上であることで、強度発現性の改善、耐酸性の向上、可使時間の確保、及び寸法安定性を良好にすることができる。また、シリカ質微粉末の含有割合が上記上限値以下であることで、流動性を向上させ、自己治癒効果を向上させることができる。
本発明では、性能に悪影響を与えない範囲で、凝結調整剤、AE剤、防錆剤、撥水剤、抗菌剤、着色剤、防凍剤、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、下水汚泥焼却灰やその溶融スラグ、都市ゴミ焼却灰やその溶融スラグ、及びパルプスラッジ焼却灰等の混和材料、消泡剤、増粘剤、収縮低減剤、スチールファイバー、ビニロンファイバー、炭素繊維、及びワラストナイト繊維等の繊維物質、ポリマー、ベントナイト、セピオライトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明のグラウト材料において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
混合装置としては、既存のいかなる装置、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。
本発明のグラウトモルタル組成物は、既述の本発明のグラウト材料と水とを含有するものであり、グラウト材料と水とを混錬してなる。
本発明の練り混ぜ水量は、使用する目的・用途や各材料の含有割合によって変化するため特に限定されるものではないが、グラウト材料100質量部に対して、10質量部以上70質量部以下であることが好ましく、14質量部以上65質量部以下であることがより好ましく、16質量部以上60質量部以下であることがさらに好ましい。練り混ぜ水量が上記下限値以上であることで、流動性の低下を抑制し、発熱量が極めて大きくなることを抑制することができる。また、練り混ぜ水量が上記上限値以下であることで、強度発現性を確保することができる。
本発明において、グラウト材料と水との練り混ぜ方法は特に限定されるものではないが、回転数が900rpm以上のハンドミキサ、通常の高速グラウトミキサ、又は二軸型の強制ミキサを使用することが好ましい。
ハンドミキサや高速グラウトミキサでの練り混ぜは、例えば、ペール缶等の容器やミキサにあらかじめ所定の水を入れ、その後ミキサを回転させながらグラウトモルタル組成物を投入し、3分以上練り混ぜることが好ましい。又、強制ミキサでの練り混ぜは、例えば、あらかじめグラウトモルタル組成物をミキサに投入し、ミキサを回転させながら所定の水を投入し、少なくとも4分以上練り混ぜることが好ましい。練り混ぜ時間が所定時間未満では、練り不足のため適切なグラウトモルタルの流動性が得られない場合がある。
練り混ぜられたグラウトモルタルは、通常、手動式注入ガン、ダイヤフラム式手押しポンプ、あるいは、スクイズ式等のモルタルポンプにより施工箇所まで圧送し、充填施工されることで、本発明のグラウトモルタル組成物を用いてなる硬化体となる。
以下、本発明の実験例に基づいて、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験例1]
セメント100質量部に対して、細骨材166.7質量部、膨張材11.7質量部、ガス発泡物質0.0025質量部、減水剤0.5質量部を含有し、グラウト用混和剤をセメント100質量部に対して表1に示す質量部を含有するように調製し、グラウト材料を得た。
得られたグラウト材料100質量部に対して、水23質量部で混練しグラウトモルタル組成物を調製した。
調製したグラウトモルタル組成物の流動性、自己治癒効果、圧縮強度、耐摩耗性試験を測定した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
・セメント:試製セメント(セメント工場の調合原料及び化学成分の調整に各種市販の純薬を用いた。)、ブレーン値3,450cm/g
・膨張材:CaO原料、Al原料、SiO原料、CaSO原料を配合し、混合粉砕した後1,200℃で焼成してクリンカを合成し、ボールミルを用いてブレーン比表面積で3,000cm/gに粉砕して作製した。
・ガス発泡物質:ステアリン酸で表面処理した燐片状のアルミニウム粉末、市販品
・減水剤:ナフタレン系減水剤、市販品(第一工業製薬社製「セルフロ-110P」)
・水:水道水
・細骨材:石灰砂、0.6mm下を50%、0.6~1.2mmを50%混合したものを使用した。
・グラウト用混和剤A:Li含有γ-2CaO・SiO。試薬1級の炭酸カルシウムと試薬1級の二酸化ケイ素とをモル比2:1で混合し、さらに混合物に対してLiの含有量が酸化物(LiO)換算で0.0005~1.1%(内割置換)となるように試薬1級の炭酸リチウムを混合し、1,400℃で2時間熱処理し、室温まで放置して、ブレーン比表面積が4,000cm/gのグラウト用混和材Aを作製した。
なお、各セメント混和材における酸化物換算のLi含有量は、ICP発光分光分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、VISTA-PRO)によって測定した。そして、SPEX社XSTC-22 ICP用混合液を希釈して用いた絶対検量線法から、仕込み量と同量のLi含有量であることを確認している。なお、測定条件は下記のとおりである。
・Li測定波長:670.783nm
・BG補正:フィッティングカーブ法
・検量線用標準溶液:SPEX社XSTC-22 ICP用混合液を希釈して使用
検量線範囲:0-5mg/L(0mg/L,0.1mg/L,0.5mg/L,1mg/
L,5mg/Lの5点検量線)
・絶対検量線法で定量
・グラウト用混和材B:Li含有α-CaO・SiO。試薬1級の炭酸カルシウムと試薬1級の二酸化ケイ素とを1:1のモル比で混合し、さらに混合物に対してLiの含有量が酸化物(LiO)換算で0.0005~1.1%(内割置換)となるように試薬1級の炭酸リチウムを混合し、1,500℃で2時間熱処理し、室温まで放置して、ブレーン比表面積が4,000cm/gのグラウト用混和材Bを作製した。
・グラウト用混和剤C:β-2CaO・SiO。試薬1級の炭酸カルシウムと試薬1級の二酸化ケイ素とをモル比2:1で混合し、1,400℃で2時間熱処理し、室温まで放置して、粉砕してXRDでγ-2CaO・SiOのピークが確認されなくなるまで同様の熱処理を繰り返した。β-2CaO・SiOのみのピークが確認された後、ブレーン比表面積が4,000cm/gのグラウト用混和剤Cを作製した。
<測定項目>
・流動性:JSCE-F541に準拠し、30℃環境下のJ14漏斗流下値で練混ぜ直後(グラウトモルタル組成物を調製直後)と30分後に測定した。
・自己治癒効果:JISA6206に準拠し鉄筋拘束条件下で10cm×10cm×40cmの形状でグラウトモルタル組成物を打設し、材齢56日後、供試体表面に歪ゲージを取り付け曲げ試験を行い、ひび割れ幅が0.1mmのひび割れが生じた時点で、曲げ試験を終了させた。その後、湿度98質量%、35℃の条件下で28日静置後、湿度60質量%、20℃の条件下で7日静置を5サイクル繰り返えし、ひび割れが閉塞している面積割合(閉塞した面積/ひび割れが生じた面積)を測定し、自己治癒効果を確認した。
・圧縮強度:JSCEG505に準拠し、φ5×10cmの型枠にグラウトモルタル組成物を打設し、材齢1日で脱型後、材齢28日まで20℃水中養生した。以降は、気乾養生にて自然炭酸化した。材齢700日で圧縮強度を測定した。
・耐摩耗性試験:φ100×10mmで内径φ6.35mmのドーナツ型の型枠にグラウトモルタル組成物を打設し、材齢1日で脱型後、材齢28日まで20℃水中養生した。以降は、気乾養生にて自然炭酸化した。材齢700日でテーバー摩耗試験(重量減少法)に供した。試験条件は荷重1kg、摩耗輪H-22、試験回数1,000回とした。
Figure 2023028441000001
表1の結果より、特定の非水硬性材料を含むグラウト用混和剤を含有することで、高い流動性、自己治癒効果をより高めることができ、かつ、強度、耐摩耗性が向上することを確認した。
[実験例2]
セメント100質量部に対して、ガス発泡物質0.0025質量部、減水剤0.5質量部を含有し、グラウト用混和剤、膨張材、急硬材、細骨材をセメント100質量部に対して表2に示す質量部を含有するように調製し、グラウト材料を得た。次いで、当該グラウト材料について、蛍光X線回折によりSO含有量を測定し、かつ、蛍光X線回折によりMgO含有量を測定したうえで、その測定値を考慮しながら、最終的なグラウト材料において下記表2に記載のSO含有量及びMgO含有量となるようにSO含有混和剤(材質名:硫酸カリウム)、MgO含有混和剤(材質名:炭酸マグネシウム)を混合し、グラウト材料を調製した。
得られたグラウト材料100質量部に対して、水23質量部で混練しグラウトモルタル組成物を調製した。
調製したグラウトモルタル組成物の流動性、自己治癒効果、圧縮強度、耐摩耗性試験を測定した。結果を表2に併記する。
<使用材料>
・急硬材A:CaO43%、Al53%となるように調整し、電気炉で溶融・急冷した非晶質カルシウムアルミネート(ガラス化率98%以上、ブレーン比表面積6,050cm/g、CaO/Alモル比1.48)と、このカルシウムアルミネート100質量部に石膏を150質量部混合したものを用いた。
・急硬材B:CaO/Alモル比1.20、アルミナセメント1号、デンカ社製
・急硬材C:ギ酸カルシウム、試薬
・急硬材D:硝酸カルシウム、試薬
Figure 2023028441000002
本発明のグラウト材料は、特定の非水硬性材料を含有することで、高い流動性、自己治癒効果をより高めることができ、かつ、強度、耐摩耗性が向上することが可能となり、橋脚の鋼板巻き立て工法、大型しゅう座の充填工法、補強鉄筋の定着材、その他の間隙充填、コンクリートの断面修復、セルフレベリング床材等、並びに、土木・建築用途等、広範囲に利用できる。

Claims (9)

  1. γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物を含むグラウト用混和材、セメント、ガス発泡物質、減水剤、及び細骨材を含有するグラウト材料。
  2. 前記非水硬性化合物中にLiを含有し、前記非水硬性化合物中におけるLiの含有率が酸化物換算で0.001~1.0質量%である請求項1に記載のグラウト材料。
  3. SOの量が0.5質量%以上10.0質量%以下、MgOの量が0.1質量%以上3.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のグラウト材料。
  4. 化学成分として、前記グラウト用混和材100質量部中、LiOを0.001~1.0質量部、CaOを45~70質量部、SiOを29~55質量部、Alを0~10質量部含む、請求項1~3いずれか1項に記載のグラウト材料。
  5. さらに膨張材を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のグラウト材料。
  6. さらに急硬材を含有し、
    前記急硬材は、カルシウムアルミネートを含有し、
    前記カルシウムアルミネートがCaO/Alモル比1.0以上3.0以下であり、
    前記カルシウムアルミネートの含有割合は、前記セメント100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のグラウト材料。
  7. 前記細骨材の含有割合は、前記セメント100質量部に対して、40質量部以上300質量部以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のグラウト材料。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のグラウト材料と水とを含有するグラウトモルタル組成物。
  9. 請求項8に記載のグラウトモルタル組成物を用いてなる硬化体。
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