JP2023025760A - 車両および塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の塗装状態を正確に把握する。【解決手段】車両が有する車体上の第一の部位に、事後的に剥離可能な第一の塗装膜を形成し、当該車体の外部から視認できない第二の部位に、第一の塗装膜と連続していない第二の塗装膜を形成する。【選択図】図1
Description
本開示は、車両に関する。
自動車の車体に上塗りされた塗装を剥離することで、塗装と一緒に傷を除去する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本開示は、車両の塗装状態を正確に把握することを目的とする。
本開示の第一の態様は、車体上の第一の部位に、事後的に剥離可能な第一の塗装膜が形成され、前記車体の外部から視認できない第二の部位に、前記第一の塗装膜と連続していない第二の塗装膜が形成された車両である。
また、本開示の第二の態様は、車両が有する車体上の第一の部位に、事後的に剥離可能な第一の塗装膜を形成する第一ステップと、前記車体の外部から視認できない第二の部位に、前記第一の塗装膜と連続していない第二の塗装膜を形成する第二ステップと、を含む、塗装方法である。
また、本開示の他の態様は、上記の車両の製造方法、上記の塗装方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
本開示によれば、車両の塗装状態を正確に把握することができる。
易剥離層を含む塗装膜を利用して、車両のボディに剥がせる塗装を施す技術がある。斯様な塗装膜は容易に剥離することができるため、任意のタイミングで車体色を変更することができる。これにより、例えば、車両の購入時に、中古車市場において人気のある車体
色を選択したうえ、自分の好みの色を上塗りして使用し、売却時に元の色に戻すといったことが可能になる。また、上塗り塗装を施すことによって、オリジナルの塗装膜が保護されるため、上塗り塗装を施さない場合と比較して中古車の価値を向上させることができる。
色を選択したうえ、自分の好みの色を上塗りして使用し、売却時に元の色に戻すといったことが可能になる。また、上塗り塗装を施すことによって、オリジナルの塗装膜が保護されるため、上塗り塗装を施さない場合と比較して中古車の価値を向上させることができる。
なお、本明細書において、「上塗り」とは、車両が有するオリジナルの塗装膜の上に、事後的に剥離可能な塗装膜を形成することを指す。また、「(塗装の)剥離」とは、剥離可能な塗装膜を除去することを指す。また、「上塗り塗装」とは、易剥離層を含む塗装膜を使用して、既存の塗装膜の上に重ね塗りされた、剥離可能な塗装を指す。
なお、本明細書において、塗装膜とは、塗装の過程において施工される塗料の膜、剥離可能な膜、または、これらの組み合わせを指す語として用いる。
なお、本明細書において、塗装膜とは、塗装の過程において施工される塗料の膜、剥離可能な膜、または、これらの組み合わせを指す語として用いる。
このような、塗装の上塗りが容易に行えるシステムが普及すると、車体の外観だけでは、車両の来歴を推定することが難しくなることが予想される。例えば、上塗り塗装を剥離した直後は、新車同様の外観に見えるため、車両のコンディションと外観が一致していないということが起こりうる。さらに、ボディの塗装膜に傷がつくような車両事故が発生した場合、上塗り塗装を剥離することで、事故歴を隠せてしまうといったことが起こりうる。
本開示に係る車両は、かかる問題を解決する。
本開示に係る車両は、かかる問題を解決する。
本開示の第一の態様に係る車両は、事後的に剥離可能な第一の塗装膜および第二の塗装膜を車体に形成してなる車両である。具体的には、第一の部位に、前記第一の塗装膜が形成され、前記車両の外部から視認できない第二の部位に、前記第一の塗装膜と同色の前記第二の塗装膜が形成され、前記第一の部位および前記第二の部位の境界において、前記第一の塗装膜および前記第二の塗装膜が連続していないことを特徴とする。
事後的に剥離可能な塗装膜とは、車体に施工可能であり、かつ、任意のタイミングで剥がせる塗装膜を指す。易剥離層を含む塗装膜とは、例えば、剥離可能なフィルム状の膜と通常の塗装膜の組み合わせであってもよいし、色を持つ塗装膜自体が剥離可能なもの(以下、易剥離性塗料)であってもよい。
車両が本来有する塗装膜の上に、易剥離層を含む塗装膜を形成することで、上塗りされた塗装を事後的に剥離できる(すなわち、車体色を元に戻すことができる)ようになる。上塗りされた塗装膜は、外部から力を加えることで容易に引き剥がすことができる。
車両が本来有する塗装膜の上に、易剥離層を含む塗装膜を形成することで、上塗りされた塗装を事後的に剥離できる(すなわち、車体色を元に戻すことができる)ようになる。上塗りされた塗装膜は、外部から力を加えることで容易に引き剥がすことができる。
本開示に係る車両は、第一の部位と第二の部位に、それぞれ同色の塗装膜が形成されている。第二の部位は、通常の使用形態において車両の外部から視認できない部位である。第一の部位と第二の部位の境界では、第一および第二の塗装膜が連続していない。
かかる構成において、第一の塗装膜を除去しようとすると、車両の外部から視認できない部分に第二の塗装膜が残留する。これにより、「剥離可能な塗装膜が何らかの理由によって除去された」ことを示すエビデンスを車体に残すことができるようになる。
かかる構成において、第一の塗装膜を除去しようとすると、車両の外部から視認できない部分に第二の塗装膜が残留する。これにより、「剥離可能な塗装膜が何らかの理由によって除去された」ことを示すエビデンスを車体に残すことができるようになる。
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されている構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両1を示す斜視図である。車両1は、複数の外板および外装部品を有している。外板は、車体を構成する部材であって、ボンネットフード10、ルーフパネル11、フロントフェンダーパネル12、リヤフェンダーパネル13、フロントドアアウター14、リヤドアアウター15、フロントピラー16、センターピラー17、
リヤピラー18などを含む。外板は、典型的には鋼板であり、新車製造時に所定の色で塗装される。
また、外装部品は、車体に組み付けられる艤装部品である。外装部品は、例えば、樹脂などによって形成される。外装部品として、例えば、フロントバンパー20、リアバンパー21、ロッカパネルモールディング22、サイドミラー23などが例示できる。外装部品も、外板と同様に、新車製造時に所定の色で塗装される。なお、外装部品の一部は、前述した色とは異なる色で塗装されてもよいし、無塗装であってもよい。
図1は、本実施形態に係る車両1を示す斜視図である。車両1は、複数の外板および外装部品を有している。外板は、車体を構成する部材であって、ボンネットフード10、ルーフパネル11、フロントフェンダーパネル12、リヤフェンダーパネル13、フロントドアアウター14、リヤドアアウター15、フロントピラー16、センターピラー17、
リヤピラー18などを含む。外板は、典型的には鋼板であり、新車製造時に所定の色で塗装される。
また、外装部品は、車体に組み付けられる艤装部品である。外装部品は、例えば、樹脂などによって形成される。外装部品として、例えば、フロントバンパー20、リアバンパー21、ロッカパネルモールディング22、サイドミラー23などが例示できる。外装部品も、外板と同様に、新車製造時に所定の色で塗装される。なお、外装部品の一部は、前述した色とは異なる色で塗装されてもよいし、無塗装であってもよい。
外板および外装部品には、易剥離層を含む塗装膜が形成される。所定の車体色を有する外板および外装部品の外表面、および側端面(または、裏面の一部)に、易剥離層を含む塗装膜を重ねることで、車両の車体色を変更することができる。以下、外板および外装部品のことをボディ部材と称する。
図2は、斯様な塗膜膜が形成される場所を説明する図である。図2は、ボンネットフード10の断面を示した図である。紙面上方向が車外側であり、下方向がエンジンルーム側である。符号10が外板であり、ハッチングで示した領域(符号10A)が、易剥離層を含む塗装膜を示す。ボンネットフード10は、車両の製造時に所定の色で塗装されているものとする。
点線はフロントフェンダーパネルである。図示したように、易剥離層を含む塗装膜は、車体の外部から視認できる位置に形成される。
点線はフロントフェンダーパネルである。図示したように、易剥離層を含む塗装膜は、車体の外部から視認できる位置に形成される。
ここで、易剥離層を含む塗装膜について簡単に説明する。図3(A)は、車体が有するボディ部材(例えば鋼板)と、ボディ部材に施工された塗装膜を示す概略断面図である。図示したように、ボディ部材は、金属加工され、電着層が形成された鋼板100と、電着層の上に順に形成された中塗り層200、ベース層300、および、クリア層400を有する。これらの層が、一層目の塗装(車両が持つオリジナルの塗装)に該当する。
ボディ部材の外側面には、二層目の塗装として、剥離層500が形成されている。剥離層500は、易剥離性を持つ塗料(易剥離性塗料)の層であって、通常の塗装膜と比べ、力を加えることで容易に剥離できるという性質を持っている。剥離層500が、本開示における「易剥離層」であり、二層目として図示した塗装膜が、「易剥離層を含む塗装膜」である。剥離層500は、例えば噴霧法で易剥離性塗料をボディ部材に塗装することにより形成される。易剥離性塗料としては、例えばキシレン、エチルベンゼン、酸化防止剤、メチルエチルケトン、シリカ反応物、酸化チタン(ナノ粒子)、および、有機溶剤等からなる塗料が挙げられる。
易剥離性塗料による車両の上塗り塗装は、所定の車両拠点において行うことができる。これにより、車両の車体色を容易に変更(すなわち、第一車体色から第二車体色へ変更)することができる。剥離層500の剥離も同様である。剥離層500を、所定の車両拠点において剥離することで、車両の車体色をオリジナルのものに戻す(すなわち、第二車体色から第一車体色へ戻す)ことができる。
なお、本例ではボディ部材として鋼板を例示したが、ボディ部材は、樹脂部材であってもよい。この場合、中塗り層200はプライマー層となる。また、剥離層500の上にさらにクリア層を設けてもよい。クリア層を設けることで、艶感を出すとともに、耐候性を高めることができる。
なお、図3(A)の例は、塗料自体に易剥離性を与えたものであるが、易剥離性を有する層の上に通常の塗装を施してもよい。例えば、図3(B)に示したように、剥離層500と同様の材料によって、着色されていない剥離層600を形成し、剥離層600の上に、ベース層300Aおよびクリア層400Aを形成してもよい。ベース層300Aは、ベ
ース層300とは異なる色を持つ塗料の層である。かかる形態においても、剥離層600を剥離することで、塗料の層を除去することができる。この場合、剥離層600が、本開示における「易剥離層」となり、二層目として図示した塗装膜が、「易剥離層を含む塗装膜」となる。
なお、図3(A)の例は、塗料自体に易剥離性を与えたものであるが、易剥離性を有する層の上に通常の塗装を施してもよい。例えば、図3(B)に示したように、剥離層500と同様の材料によって、着色されていない剥離層600を形成し、剥離層600の上に、ベース層300Aおよびクリア層400Aを形成してもよい。ベース層300Aは、ベ
ース層300とは異なる色を持つ塗料の層である。かかる形態においても、剥離層600を剥離することで、塗料の層を除去することができる。この場合、剥離層600が、本開示における「易剥離層」となり、二層目として図示した塗装膜が、「易剥離層を含む塗装膜」となる。
なお、本例では、車体色、および、上塗り塗装の色として一色を例示したが、複数の色からなる塗装を行ってもよい。例えば、複数の色を所定のパターンによって配置したものを、車体色としてもよい。また、本明細書における「色」とは、単一の層だけでなく、複数の塗料ないし材料の層によって表現されるものであってもよい。複数の層は、例えば、クリア層、ガラスフレーク層、マイカ層、パール層などを含んでいてもよい。
また、上塗り塗装は、オリジナル塗装の少なくとも一部に対して行うものであってもよい。すなわち、上塗り塗装は、オリジナル塗装のすべてを覆うものでなくてもよい。例えば、オリジナルの車体色が黒色である場合、その一部に青色の上塗りを行うことで、黒色と青色のツートンカラーを持つ車両を得ることができる。
また、上塗り塗装は、オリジナル塗装の少なくとも一部に対して行うものであってもよい。すなわち、上塗り塗装は、オリジナル塗装のすべてを覆うものでなくてもよい。例えば、オリジナルの車体色が黒色である場合、その一部に青色の上塗りを行うことで、黒色と青色のツートンカラーを持つ車両を得ることができる。
本実施形態では、第一の部位に形成された塗装膜と、第二の部位に形成された塗装膜がそれぞれ独立しており、互いが連続していない。第一の部位とは、少なくとも一部が、ボンネットフード、トランクリッド、ドア等の開口部を閉じた状態で外部から視認できる部位である。第一の部位は、ボディ部材の表面側に位置する領域と、ボディ部材の裏側に回り込んだ領域の双方を含んでいてもよい。
また、第二の部位とは、その全てが外部から視認できない部位である。第二の部位は、例えば、前述した開口部を閉じた状態で、外部から視認できない部位であればよい。
また、第二の部位とは、その全てが外部から視認できない部位である。第二の部位は、例えば、前述した開口部を閉じた状態で、外部から視認できない部位であればよい。
第一の部位と第二の部位の配置について、図を用いて具体的に説明する。
図4は、ボンネットフード10の端部と、フロントフェンダーパネル12の端部を拡大した断面図である。紙面奥方向が、車両の前後方向である。ハッチングで示した部分(符号10Aおよび12A)が第一の部位であり、黒塗りで示した部分(符号10Bおよび12B)が第二の部位である。第一の部位および第二の部位には、易剥離層を含む塗装膜が形成される。図示したように、第二の部位は、エンジンルームの内部に位置するため、ボンネットフードを閉じた状態において車両の外部から視認することはできない。矢印は、第一の部位と第二の部位の境界を示す。第一の部位と第二の部位の境界においては、塗装膜が連続してない。この状態において、車体の外部から力を加えて易剥離層を剥離しようとすると、第一の部位(10A,12A)に対応する塗装膜のみが剥がれ、第二の部位(10B,12B)に対応する塗装膜は残留する。第一の部位と第二の部位で塗装膜が分離しているため、第二の部位に対しては、塗装膜を引き剥がそうとする力が及ばないためである。この結果、図5に示したように、外部から視認できない部分に塗装膜が残留する。すなわち、所定の部位に塗装膜が残留している車両は、易剥離層を含む塗装膜を除去した履歴がある車両であるとみなすことができる。
図4は、ボンネットフード10の端部と、フロントフェンダーパネル12の端部を拡大した断面図である。紙面奥方向が、車両の前後方向である。ハッチングで示した部分(符号10Aおよび12A)が第一の部位であり、黒塗りで示した部分(符号10Bおよび12B)が第二の部位である。第一の部位および第二の部位には、易剥離層を含む塗装膜が形成される。図示したように、第二の部位は、エンジンルームの内部に位置するため、ボンネットフードを閉じた状態において車両の外部から視認することはできない。矢印は、第一の部位と第二の部位の境界を示す。第一の部位と第二の部位の境界においては、塗装膜が連続してない。この状態において、車体の外部から力を加えて易剥離層を剥離しようとすると、第一の部位(10A,12A)に対応する塗装膜のみが剥がれ、第二の部位(10B,12B)に対応する塗装膜は残留する。第一の部位と第二の部位で塗装膜が分離しているため、第二の部位に対しては、塗装膜を引き剥がそうとする力が及ばないためである。この結果、図5に示したように、外部から視認できない部分に塗装膜が残留する。すなわち、所定の部位に塗装膜が残留している車両は、易剥離層を含む塗装膜を除去した履歴がある車両であるとみなすことができる。
なお、第一の部位の端部と、第二の部位の端部は、所定の距離(好ましくは、数センチメートルから数ミリメートル程度)以内にあるか、略接していることが好ましい。双方の部位を近接して配置することで、あたかも塗装膜が連続しているかのように見せることができる。
また、本例では、エンジンコンパートメント内に第二の部位を配置したが、第二の部位は、ラゲッジコンパートメント内(例えば、トランクルーム)等に配置してもよい。
また、本例では、エンジンコンパートメント内に第二の部位を配置したが、第二の部位は、ラゲッジコンパートメント内(例えば、トランクルーム)等に配置してもよい。
第二の部位の配置位置について、別の例を挙げて説明する。
図6は、フロントドアアウター14と、ロッカパネルモールディング22の接合部を示した断面図である。図4と同様に、ハッチングで示した部分(符号14Aおよび22A)が第一の部位であり、黒塗りで示した部分(符号22B)が第二の部位である。また、紙
面奥方向が、車両の前後方向である。
図示したように、第二の部位は、車体の底部に位置するため、車両をジャッキアップするか、ボディ底部を覗き込まない限り、第二の部位を視認することはできない。図7は、第二の部位をボディの底部から見上げた場合の斜視図である。このように、第二の部位は、車両を利用する場合の通常の視点では視認することができない位置に配置されていてもよい。
図6は、フロントドアアウター14と、ロッカパネルモールディング22の接合部を示した断面図である。図4と同様に、ハッチングで示した部分(符号14Aおよび22A)が第一の部位であり、黒塗りで示した部分(符号22B)が第二の部位である。また、紙
面奥方向が、車両の前後方向である。
図示したように、第二の部位は、車体の底部に位置するため、車両をジャッキアップするか、ボディ底部を覗き込まない限り、第二の部位を視認することはできない。図7は、第二の部位をボディの底部から見上げた場合の斜視図である。このように、第二の部位は、車両を利用する場合の通常の視点では視認することができない位置に配置されていてもよい。
なお、第二の部位は、車体に外装部品を取り付けることによって視認できなくなる部位であってもよい。換言すると、第二の部位は、外装部品を取り外すことによって視認可能になる部位であってもよい。このような外装部品として、例えば、フロントバンパー、リアバンパー、ロッカパネルモールディング、ルーフレール、ルーフアンテナなどが例示できる。このような外装部品は、通常、塗装膜の剥離作業を行う際に取り外される。
図8は、ルーフレールと車体(ルーフパネル)の接合面に第二の部位を配置した場合の例を示す斜視図である。図8は、図1における点線部を拡大したものである。
符号81はルーフレールであり、符号82は、ルーフレールとルーフパネルの接合面である。接合面82は、ルーフレールを取り付けることで外部から視認できなくなる。図中、ハッチングで示した領域(符号83)が、第二の部位である。第一の部位と第二の部位の境界は、装着されたルーフレールによって隠蔽される。
すなわち、ルーフレールを取り外さないまま易剥離層を除去すると、ハッチングで示した領域83に塗装膜が残留する。すなわち、ルーフレールとルーフパネルの接合面に塗装膜が残留している車両は、易剥離層を含む塗装膜を除去した履歴がある車両であるとみなすことができる。
なお、本例では、ルーフレールを例示したが、第二の部位は、他の外装部品によって隠蔽される場所に配置してもよい。
符号81はルーフレールであり、符号82は、ルーフレールとルーフパネルの接合面である。接合面82は、ルーフレールを取り付けることで外部から視認できなくなる。図中、ハッチングで示した領域(符号83)が、第二の部位である。第一の部位と第二の部位の境界は、装着されたルーフレールによって隠蔽される。
すなわち、ルーフレールを取り外さないまま易剥離層を除去すると、ハッチングで示した領域83に塗装膜が残留する。すなわち、ルーフレールとルーフパネルの接合面に塗装膜が残留している車両は、易剥離層を含む塗装膜を除去した履歴がある車両であるとみなすことができる。
なお、本例では、ルーフレールを例示したが、第二の部位は、他の外装部品によって隠蔽される場所に配置してもよい。
図9は、本実施形態に係る車両に対して塗装膜を形成する方法のフローチャートである。
まず、ステップS11で、第一の部位に塗装膜を形成する。本ステップでは、易剥離性塗料によって塗装膜を形成してもよいし、透明な剥離層を形成した後で、塗装を上塗りしてもよい。塗装膜が完全に形成されたら、処理はステップS12に遷移する。
ステップS12では、第二の部位に塗装膜を形成する。本ステップも、ステップS11と同様に、易剥離性塗料によって塗装膜を形成してもよいし、透明な剥離層を形成した後で、塗装を上塗りしてもよい。これにより、第一の部位と連続していない塗装膜が得られる。なお、ステップS11とS12の実行順は逆であってもよい。
まず、ステップS11で、第一の部位に塗装膜を形成する。本ステップでは、易剥離性塗料によって塗装膜を形成してもよいし、透明な剥離層を形成した後で、塗装を上塗りしてもよい。塗装膜が完全に形成されたら、処理はステップS12に遷移する。
ステップS12では、第二の部位に塗装膜を形成する。本ステップも、ステップS11と同様に、易剥離性塗料によって塗装膜を形成してもよいし、透明な剥離層を形成した後で、塗装を上塗りしてもよい。これにより、第一の部位と連続していない塗装膜が得られる。なお、ステップS11とS12の実行順は逆であってもよい。
以上説明したように、第一の実施形態に係る車両は、易剥離層を含む塗装膜を形成する際に、塗装を行う部位を第一の部位と第二の部位に分割し、それぞれに対して独立して塗装膜を形成する。塗装膜は、外部から視認できない位置で分割されているため、外部から力を加えることで易剥離層を除去した場合に、内部に塗装膜が残留する。これにより、易剥離層を除去した履歴があるか否かを事後的に判別することが可能になる。
(第一の実施形態の変形例)
第一の実施形態では、第一の部位と第二の部位の双方に対して、易剥離性塗料を用いた塗装を行った。一方、第二の部位に対しては、剥離可能ではない通常の塗装を施してもよい。かかる形態によっても、塗装膜の剥離の有無を事後的に確認することができる。
さらに、第一の実施形態では、第一の部位と第二の部位の双方に対して同色の塗装膜を形成したが、塗装を剥離したことが判別できれば、双方の部位は必ずしも同色で塗装する必要はない。
第一の実施形態では、第一の部位と第二の部位の双方に対して、易剥離性塗料を用いた塗装を行った。一方、第二の部位に対しては、剥離可能ではない通常の塗装を施してもよい。かかる形態によっても、塗装膜の剥離の有無を事後的に確認することができる。
さらに、第一の実施形態では、第一の部位と第二の部位の双方に対して同色の塗装膜を形成したが、塗装を剥離したことが判別できれば、双方の部位は必ずしも同色で塗装する必要はない。
また、第一の実施形態では、通常の使用において視認しにくい箇所に第二の部位を配置したが、第二の部位は、外部から手が届きにくい箇所に配置してもよい。例えば、エンジンコンパートメント内の、部品を取り外さなければアクセスできないような箇所に第二の部位を配置するようにしてもよい。これにより、第二の部位に塗装された塗装膜の除去を防ぐことができる。
また、第一の実施形態では、第一の部位と第二の部位のそれぞれに対して独立した塗装工程を実施したが、塗装工程は一回とし、形成された塗装膜に切れ目を入れることで、第一の部位と第二の部位を分離してもよい。例えば、図4の例においては、ハッチングで示した領域と黒塗りで示した領域を一体で塗装する工程と、矢印で示した箇所において塗装膜を切断する工程を実施してもよい。
(他の変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
1・・・車両
100・・・鋼板
200・・・中塗層
300・・・ベース層
400・・・クリア層
500,600・・・剥離層
100・・・鋼板
200・・・中塗層
300・・・ベース層
400・・・クリア層
500,600・・・剥離層
Claims (20)
- 車体上の第一の部位に、事後的に剥離可能な第一の塗装膜が形成され、
前記車体の外部から視認できない第二の部位に、前記第一の塗装膜と連続していない第二の塗装膜が形成された、
車両。 - 前記第一の部位は、前記車両が有する開口部を閉じた状態で、少なくとも一部が外部から視認できる部位であり、
前記第二の部位は、前記開口部を閉じた状態で、全部が外部から視認できない部位である、
請求項1に記載の車両。 - 前記第一の部位および前記第二の部位の境界が、外部から視認できない位置に設けられている、
請求項2に記載の車両。 - 前記第二の塗装膜は、前記第一の塗装膜と同色の塗装膜である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第一の塗装膜は、易剥離層を含む塗装膜である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第一の塗装膜は、前記易剥離層を剥離することで事後的に除去可能な塗装膜である、
請求項5に記載の車両。 - 前記第一の塗装膜および前記第二の塗装膜は、前記車両が本来有している塗装膜に重ねて形成される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第二の部位は、エンジンコンパートメント内に設けられる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第二の部位は、ラゲッジコンパートメント内に設けられる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第二の部位は、車体の下部に設けられる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両。 - 前記第二の部位は、前記車体と外装部品との接合面に設けられる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両。 - 車両が有する車体上の第一の部位に、事後的に剥離可能な第一の塗装膜を形成する第一ステップと、
前記車体の外部から視認できない第二の部位に、前記第一の塗装膜と連続していない第二の塗装膜を形成する第二ステップと、を含む、
塗装方法。 - 前記第一の部位は、前記車両が有する開口部を閉じた状態で、少なくとも一部が外部か
ら視認できる部位であり、
前記第二の部位は、前記開口部を閉じた状態で、全部が外部から視認できない部位である、
請求項12に記載の塗装方法。 - 前記第一の部位および前記第二の部位の境界を、外部から視認できない位置に設ける、
請求項13に記載の塗装方法。 - 前記第二の塗装膜として、前記第一の塗装膜と同色の塗装膜を形成する、
請求項12から14のいずれか1項に記載の塗装方法。 - 前記第一の塗装膜は、易剥離層を含む塗装膜である、
請求項12から15のいずれか1項に記載の塗装方法。 - 前記第一の塗装膜は、前記易剥離層を剥離することで事後的に除去可能な塗装膜である、
請求項16に記載の塗装方法。 - 前記第一の塗装膜および前記第二の塗装膜を、前記車両が本来有している塗装膜に重ねて形成する、
請求項12から17のいずれか1項に記載の塗装方法。 - 前記第二の部位は、エンジンコンパートメント内、または、ラゲッジコンパートメント内に設けられる、
請求項12から18のいずれか1項に記載の塗装方法。 - 前記第二の部位は、前記車体と外装部品との接合面に設けられる、
請求項12から18のいずれか1項に記載の塗装方法。
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