JP2023019588A - 熱硬化性樹脂組成物および構造体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物および構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐トラッキング性に優れ、高ガラス転移温度の硬化物を実現できる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂および硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、記エポキシ樹脂が、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基とイソシアヌル酸構造とを備えるイソシアヌル型エポキシ樹脂を含み、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物をサンプルとして用いて、国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が500V以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物および構造体に関する。
これまで熱硬化性樹脂組成物について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物が記載されている(特許文献1の表1)。
特開2016-003335号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物において、耐トラッキング性および高ガラス転移温度の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、イソシアヌル型エポキシ樹脂を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物において、耐トラッキング性およびガラス転移温度を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
エポキシ樹脂および硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基とイソシアヌル酸構造とを備えるイソシアヌル型エポキシ樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物をサンプルとして用いて、国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が500V以上である、
熱硬化性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、
上記の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備える、構造体が提供される。
本発明によれば、耐トラッキング性に優れ、高ガラス転移温度の硬化物を実現できる熱硬化性樹脂組成物および構造体が提供される。
本実施形態に係る電子装置の構成の一例を示す模式的断面図である。 耐トラッキング性試験に用いる装置の構成を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を概説する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂および硬化剤を含み、エポキシ樹脂が、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基とイソシアヌル酸構造とを備えるイソシアヌル型エポキシ樹脂を含むものである。この熱硬化性樹脂組成物は、自身の硬化物をサンプルとして用いて、国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠して測定したときの比較トラッキング指数(CTI)が500V以上となるように構成される。
本発明者の知見によれば、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物において、イソシアヌル酸構造を有するイソシアヌル型エポキシ樹脂を用いることによって、熱硬化性樹脂組成物の硬化物におけるCTIおよびTg(ガラス転移温度)を向上できることが見出された。
詳細なメカニズムは定かでないが、上記のイソシアヌル型エポキシ樹脂は、分子内中にベンゼン環を有しない構造のため、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に含まれるベンゼン環含有量を低く抑えられる。それによって、通電による発熱によって硬化物の表面に炭化層が形成され難くなる。このため、硬化物の表面に形成された炭化層を通電することで引き起こされるトラッキングを大幅に抑制すること、すなわち、耐トラッキング性を向上させることが可能になると、考えられる。
また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物中にイソシアヌル酸構造が含まれるため、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた場合と比べて、そこを架橋点とした強固な構造を実現できる等により、硬化物におけるガラス転移温度、すなわち耐熱性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物における、国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)は、500V以上、好ましくは525V、より好ましくは550V以上である。このようなCTIは、耐トラッキング性が要求される用途向けの特性を意味する。
上記CTIの上限は、とくに限定されないが、600V以下としてもよい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移温度が、例えば、165℃以上、好ましくは170℃以下、より好ましくは180℃以上である。これにより、封止材としての耐熱性等の熱特性を向上できる。
上記ガラス転移温度の上限は、とくに限定されないが、例えば、300℃以下としてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、電子部品の、封止材料、基板材料、放熱材料、絶縁材料等として用いることが可能である。耐トラッキング性および高耐熱性の観点から、この中でも、パワーデバイス等の高電圧・高電流デバイスに好適に用いることができる。
封止材料は、例えば、電子部品パッケージやウェハレベルパッケージを形成する等に用いる封止材、電子部品と基板との間隙に充填する等に用いるモールドアンダーフィル材等が挙げられる。
基板材料としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シート;熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成される樹脂基板;熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグ、プリプレグの硬化物で構成される積層板;樹脂シート、樹脂基板及び積層板のいずれかの少なくとも一面に銅層が形成された銅張積層板、銅張積層板の銅層に回路加工されてなる回路基板;等が挙げられる。
電子部品は、たとえば、通常の半導体装置(電子部品として半導体素子を備える電子装置)やパワーモジュール(電子部品としてパワー半導体素子を備える電子装置)等を用いることができる。パワー半導体素子は、SiC、GaN、Ga、またはダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ材料を使用したものであり、高電圧・大電流で使用されるように設計されているため、通常のシリコンチップ(半導体素子)よりも発熱量が大きくなるので、さらに高温の環境下で動作することになる。パワー半導体素子には、たとえば、200℃以上や250℃以上等の高温の動作環境下で、長時間の使用が要求される。パワー半導体素子の具体例としては、たとえば、整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、パワーデバイスを構成する部品(電子部品など)を封止するために用いる封止材料を提供することができる。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を詳述する。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を一または二以上含む熱硬化性樹脂組成物である。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、1分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基とイソシアヌル酸構造とを備えるイソシアヌル型エポキシ樹脂を含む。
イソシアヌル酸構造は、下記式(I)で表される構造を備える。式(I)中、波線は、他の基との結合手を表す。
Figure 2023019588000001
上記イソシアヌル型エポキシ樹脂は、下記の一般式(II)で表される化合物を含んでもよい。
Figure 2023019588000002
上記一般式(II)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、エポキシ基、アルキル基、アリル基のいずれかを表し、a、b、およびcは、それぞれ、0から5の整数を表す。
上記一般式(II)中、R、R、およびRの少なくとも2つ以上は、エポキシ基であるが、すべてエポキシ基であってもよい。
上記一般式(II)中、a、b、およびcは、それぞれ、0から5の整数でもよく、1~3の整数でもよく、1でもよい。
イソシアヌル型エポキシ樹脂は、イソシアヌル酸構造中の3つのN原子にそれぞれエポキシ基が結合した、3官能のイソシアヌル型エポキシ樹脂を含んでもよい。すなわち、イソシアヌル型エポキシ樹脂は、上記一般式(II)中、R、R、およびRがエポキシ基である化合物を含んでもよい。これにより、硬化物のCTIおよびTgをさらに向上できる。
イソシアヌル型エポキシ樹脂は、分子内に、炭素-炭素二重結合を有しないものであってもよい。すなわち、イソシアヌル型エポキシ樹脂は、上記一般式(II)中、R、R、およびRがアリル基を有しない化合物を含んでもよい。これにより、硬化物の難燃性が低下する恐れを抑制できる。
イソシアヌル型エポキシ樹脂の含有量の下限は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、例えば、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。これによって、硬化物のCTIおよびTgを向上できる。
一方、イソシアヌル型エポキシ樹脂の含有量の上限は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、例えば、8質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6.5質量%以下である。これにより、熱硬化性樹脂組成物の成形安定性や硬化物の熱時機械的強度を向上できる。
エポキシ樹脂は、イソシアヌル型エポキシ樹脂以外の芳香族環を備えるエポキシ樹脂を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物における諸物性のバランスを図ることができる。
芳香族環を備えるエポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール基メタン型ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂,縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂の含有量の下限は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。これによって、成形時の熱硬化性樹脂組成物の流動性を適切に制御できる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、13質量%以下であることが更に好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数を適切な範囲内とすることができる。したがって、高温保管特性を向上することができる。
本明細書中、熱硬化性樹脂組成物の固形分とは、熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分のうち、溶媒を除く成分の合計のことを示す。また、「~」は、特に明示しない限り、上限と下限を含むことを表す。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の他に、他の熱硬化性樹脂を含んでもよいが、含まなくてもよい。
他の熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂、またフェノール誘導体これらの誘導体等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(硬化剤)
上記熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含む。
上記硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じて選択され、これと反応するものであれば特に限定されない。硬化剤としては、具体的には、重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤などが挙げられる。
上記重付加型の硬化剤としては、具体的には、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミン;ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどのポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物;無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などの酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノール、アラルキル型フェノール樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられる。重付加型の硬化剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記触媒型の硬化剤としては、具体的には、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP-30)などの3級アミン化合物;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸などが挙げられる。触媒型の硬化剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記縮合型の硬化剤としては、具体的には、レゾール型フェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂などの尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂などのメラミン樹脂などが挙げられる。縮合型の硬化剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤としては、上記具体例のうち、フェノール樹脂系硬化剤を含んでもよい。
上記フェノール樹脂系硬化剤としては、フェノール樹脂を用いることができ、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂、ノボラック樹脂、トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、ノボラック型フェノール樹脂を用いることができる。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂の含有量に応じて適切に設定できる。
上記熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含んでもよい。
充填材としては、無機粒子及び/又は有機粒子が用いられる。
無機粒子として、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。
これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填材又は無機粒子の含有量の下限は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、例えば、50質量%以上であることが好ましく、60量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における機械的特性を高められる。
一方、充填材又は無機粒子の含有量の上限は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、例えば、93質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における難燃性等の諸特性のバランスを図ることができる。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン、2-メチルイミダゾール等が例示されるアミジンや3級アミン、上記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性を向上させる観点からはリン原子含有化合物を含むことがより好ましい。また、成形性と硬化性のバランスを向上させる観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有するものを含むことがより好ましい。
(難燃剤)
難燃剤としては、無機系難燃剤を含んでもよい。
無機系難燃剤の具体例は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼン、カーボンブラックなどを挙げることができる。難燃剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。この中でも、難燃性の観点から、水酸化アルミニウムを用いてもよい。
無機系難燃剤の含有量の下限は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、3質量%以上、好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。これにより、硬化物の難燃性を向上できる。
一方、無機系難燃剤の上限は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、例えば、10質量%以下としてもよい。これにより、硬化物の諸物性のバランスを図ることができる。
(その他の成分)
熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、カップリング剤、流動性付与剤、離型剤、イオン捕捉剤、低応力剤、有機充填材、および着色剤等の各種添加剤のうち1種または2種以上を適宜配合することができる。
(カップリング剤)
熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、カップリング剤を含んでもよい。
カップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン;イソシアヌレートシラン;アルキルシラン;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランなどのウレイドシラン;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシラン;チタン系化合物;アルミニウムキレート類;アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。カップリング剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(流動性付与剤)
流動性付与剤は、リン原子含有硬化促進剤などの潜伏性を有さない硬化促進剤が、樹脂組成物の溶融混練時に反応することを抑制できる。これにより、熱硬化性樹脂組成物の生産性を向上できる。
(離型剤)
離型剤としては、具体的には、カルナバワックスなどの天然ワックス;モンタン酸エステルワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの合成ワックス;ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩;パラフィン;エルカ酸アミドなどのカルボン酸アミドなどが挙げられる。離型剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(イオン捕捉剤)
上記イオン捕捉剤は、具体的には、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などのハイドロタルサイト類;マグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。イオン捕捉剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(低応力剤)
低応力剤としては、具体的には、シリコーンオイル、シリコーンゴムなどのシリコーン化合物;ポリブタジエン化合物;アクリロニトリル-カルボキシル基末端ブタジエン共重合化合物などのアクリロニトリル-ブタジエン共重合化合物などを挙げることができる。低応力剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
(着色剤)
着色剤としては、具体的には、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタンなどを挙げることができる。着色剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の製造方法について説明する。
熱硬化性樹脂組成物の製造方法は、例えば、上述の原料成分、を混合する混合工程を含む。
混合工程は、原料成分を混合し、混合物を作製工程である。混合する方法は限定されず、用いられる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。
混合工程としては、具体的には、上述した熱硬化性樹脂組成物が含む原料成分を、ミキサーなどを用いて均一に混合する。次いで、ロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、混合物を作製する。
熱硬化性樹脂組成物の製造方法は、得られた混合物を成形する成形工程を含んでもよい。
成形する方法としては限定されず、熱硬化性樹脂組成物の形状に応じて、公知の方法を用いることができる。熱硬化性樹脂組成物の形状としては限定されず、例えば、顆粒形状、粉末形状、タブレット形状、シート形状などが挙げられる。半導体封止用の熱硬化性樹脂組成物として、例えば、顆粒状、またはタブレット状であってもよい。
熱硬化性樹脂組成物の形状は、成形方法に応じて選択できる。
顆粒形状とした熱硬化性樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、溶融混練後、冷却した混合物を粉砕する工程が挙げられる。なお、例えば、顆粒形状とした熱硬化性樹脂組成物をふるい分けして、顆粒の大きさを調節してもよい。また、例えば、顆粒形状とした熱硬化性樹脂組成物を、遠心製粉法またはホットカット法などの方法で処理し、分散度または流動性などを調製してもよい。
また、粉末形状とした熱硬化性樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、混合物を粉砕し顆粒形状の熱硬化性樹脂組成物とした後、該顆粒形状の熱硬化性樹脂組成物をさらに粉砕する工程が挙げられる。
また、タブレット形状とした熱硬化性樹脂組成物を作製する成形工程としては、例えば、混合物を粉砕し顆粒形状の熱硬化性樹脂組成物とした後、該顆粒形状の熱硬化性樹脂組成物を打錠成型する工程が挙げられる。
以下、熱硬化性樹脂組成物の特性について説明する。
当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物における250℃の曲げ応力の下限は、例えば、4MPa以上、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。これにより、熱時耐久性を向上できる。
一方、上記250℃の曲げ応力の上限は、とくに限定されないが、例えば、100MPa以下としてもよい。
当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物における200℃~250℃の温度域における線膨張係数α2の上限は、例えば、48ppm/℃以下で、好ましくは47ppm/℃以下、より好ましくは46ppm/℃以下である。これにより、熱時の寸法変化を抑制できる。
一方、上記線膨張係数α2の下限は、とくに限定されないが、例えば、20ppm/℃以上としてもよい。
本実施形態では、たとえば熱硬化性樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、熱硬化性樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記CTI、ガラス転移温度、曲げ応力及び線膨張係数を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、イソシアヌル型エポキシ樹脂の官能基数や含有量を適切に調整すること等が、上記CTI、ガラス転移温度、曲げ強度及び線膨張係数を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
次に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備える構造体の一例として、電子装置について説明する。
本実施形態の電子装置において、熱硬化性樹脂組成物は、電子部品を封止する封止材(封止樹脂層)を形成するために用いることができる。
封止樹脂層に用いられる。封止樹脂層を形成する方法は限定されないが、例えば、トランスファー成形法、圧縮成形法、インジェクション成形などが挙げられる。これらの方法により、熱硬化性樹脂組成物を、成形し、硬化させることにより封止用樹脂層を形成することができる。
電子部品としては、限定されるものではないが、半導体素子が好ましい。
半導体素子としては、限定されるものではないが、たとえば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が有用な半導体素子としては、金属部分が露出している半導体素子である。これにより、該金属部分の腐食を抑制できる。このような金属部分が露出している半導体素子としてはトランジスタが挙げられる。トランジスタの中でも、ゲート電極が露出しているMISトランジスタの封止に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は有効に用いることができる。
基材としては、限定されるものではないが、例えば、インターポーザ等の配線基板、リードフレーム等が挙げられる。
電子部品と、基材との電気的な接続が必要な場合、適宜接続してもよい。電気的に接続する方法は、限定されるものではないが、例えば、ワイヤボンディング、フリップチップ接続などが挙げられる。これらの中でも、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が有用な半導体素子としては、金属部分が露出している半導体素子である。これにより、該金属部分の腐食を抑制できる。このような金属部分が露出している電気的接続方法としてはワイヤボンディングが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物によって電子部品を封止する封止樹脂層を形成することで、電子装置が得られる。電子装置としては、限定されるものではないが、半導体素子をモールドすることにより得られる半導体装置が好ましい。
半導体装置の種類としては、具体的には、MAP(Mold Array Package)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)、LF-BGA(Lead Flame BGA)、FCBGA(Flip Chip BGA)、MAPBGA(Molded Array Process BGA)、eWLB(Embedded Wafer-Level BGA)、Fan-In型eWLB、Fan-Out型eWLBなどの種類が挙げられる。
以下に、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いた電子装置の一例について説明する。
図1は本実施形態に係る電子装置100を示す断面図である。
図1の電子装置100は、基材30と、基材30上に設けられた電子部品20と、電子部品20を封止する封止材(封止樹脂層50)と、を備える。
封止樹脂層50は、前述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。
電子部品20は、ボンディングワイヤ40によって外部と電気的に接続されてもよい。
具体的には、電子部品20は、基材30上にダイアタッチ材10を介して固定されており、電子装置100は、電子部品20上に設けられた図示しない電極パッドからボンディングワイヤ40を介して接続されるアウターリード34を有する。ボンディングワイヤ40は用いられる電子部品20等を勘案しながら設定することができるが、たとえばCuワイヤを用いることができる。
以下に、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いた電子装置の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、例えば、上述した熱硬化性樹脂組成物の製造方法により、熱硬化性樹脂組成物を得る製造工程と、基板上に電子部品を搭載する工程と、前記熱硬化性樹脂組成物を用いて、前記電子部品を封止する工程と、を備える。
電子装置100は、例えば、以下の方法で形成される。
まず、基板上に電子部品を搭載する。具体的には、ダイアタッチ材10を用いてダイパッド32(基板30)上に電子部品20を固定し、ボンディングワイヤ40によりリードフレームであるダイパッド32(基材30)を接続する。これにより、被封止物を形成する。
この被封止物を、熱硬化性樹脂組成物を用いて封止し、封止樹脂層50を形成することにより、電子装置100が製造される。
電子部品20が封止された電子装置100は、必要に応じて、80℃から200℃程度の温度で10分から10時間程度の時間をかけて熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後、電子機器等に搭載される。
電子装置100は、前述の熱硬化性樹脂組成物を封止樹脂50として用いており、封止樹脂層50と電子部品20、ボンディングワイヤ40、電極パッド22等との間の密着性が十分であり、高温保管特性にも優れる。ボンディングワイヤ40にCuワイヤを用いた場合であっても、十分な高温保管特性等を発揮することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(熱硬化性樹脂組成物)
表1に示す配合割合に従い、各原料成分をミキサーで混合し、10~100℃で加熱しながら混錬し、冷却後粉砕し、打錠して、タブレット状の熱硬化性樹脂組成物を作製した。
以下、表1中の原料成分の情報を示す。
(無機粒子)
・シリカ1:溶融球状シリカ(マイクロン社製、平均粒子径(d50):24μm)
・シリカ2:溶融球状シリカ(デンカ社製、平均粒子径(d50):10.8μm)
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(長春人造樹脂社製、CNE-195LL)
・エポキシ樹脂2:下記の化学式で表されるイソシアヌル型エポキシ樹脂(日産化学工業社製、TEPIC-S、粉末)
Figure 2023019588000003
・エポキシ樹脂3:下記の化学式で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、EX-252)
Figure 2023019588000004
(硬化剤)
・フェノール樹脂1:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR-HF-3)
(硬化促進剤)
・有機ホスフィン1:トリフェニルホスフィン(ケイ・アイ化成社製、PP-360)
(難燃剤)
・無機系難燃剤1:水酸化アルミニウム(住友化学社製、CL-303、粉末)
(添加剤)
・添加剤1
Figure 2023019588000005
得られた熱硬化性樹脂組成物について、以下の評価項目を評価した。
(ガラス転移温度)
得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて175℃、3分、10MPaで成形し、180℃、4時間の加熱処理を行い、硬化物を得た。この硬化物を用いてガラス転移温度(Tg)を、DMA(動的粘弾性測定)により昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
(線膨張係数)
得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて175℃、4時間の加熱処理を行い、4mm□×20mmの試験片を作製した。得られた試験片について、線膨張係数を測定した。TMA(Thermal Mechanical Analyzer)試験装置(セイコーインスツメルツ社製TMA/SS6100)を用いて、昇温速度5℃/分、荷重0.05N、引張モード、測定温度範囲30~320℃の条件で、熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。得られた結果から、50℃~100℃の範囲におけるZ軸方向の線膨張係数α1の平均値、200℃~250℃の範囲におけるZ軸方向の線膨張係数α2の平均値を算出した。なお、線膨脹係数(ppm/℃)は、2サイクル目の値を採用した。
(曲げ応力)
低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS-30」)を用いて、金型に、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間300秒の条件で、得られた熱硬化性樹脂組成物を注入成形し、幅:10mm、厚み:3.8mm、長さ:80mmの硬化体(試験片)を得た。得られた試験片について、175℃、4時間の加熱処理をした後、250℃における曲げ応力(MPa)を、JIS K 6911に準拠して測定した。
(CTI:比較トラッキング指数)
図2に、耐トラッキング性試験に用いる装置7の構成を示す。
国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠し、装置7を用いて、耐トラッキング性試験を行う。
具体的な試験手順は次の通り。
まず、下記の手順で作製したサンプル厚み3.0mmのサンプル5を、装置7のサンプル支持台3に置かれたガラス板6の上に設置した。このとき、温度:23℃、相対湿度50%であった。
続いて、装置7のノズル4からで電解液(塩化アンモニウム濃度が0.1%、抵抗率が3.95Ω・mの塩化アンモニウム水溶液)を30秒間隔で滴下させ、電極固定治具2に固定された2つの白金電極1における電極間距離を4mmとし、この両電極に25V間隔で上昇させる条件で600Vまで電圧を印加し、0.5A以上の電流が2秒以上流れるトラッキングが発生するまでの電解液滴下数を測定する。
電解液滴下数を5回測定し、1回でも50滴以下の結果が得られた場合、25V繰り下げて全て50滴移行となる試験電圧を求める。次に、50滴を超える試験電圧を見つけたら、その試験電圧から25V下げて5回測定し全て100滴超えることを確認する。
確認できた場合、その試験電圧(V)を比較トラッキング指数(CTI)とする。
確認できなかった場合、さらに試験電圧から25Vづつ下げて5回測定し全て100滴超えることを確認する。このとき、試験電圧-25V×電圧を下げた回数から算出される値をCTIする。
・サンプル5の作製:
得られた熱硬化性樹脂組成物を、175℃、3分、10MPaで成形し、175℃、4時間の加熱処理を行い、50mmφ、厚み:3.0mmの硬化物を得て、上記のサンプル5とした。
Figure 2023019588000006
(難燃性)
比較例1、実施例1,5の熱硬化性樹脂組成物をについて、低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で、長さ5inch、幅1/2inch、厚さ1/8inchの試験片を成形し、ポストキュアとして175℃、4時間加熱処理した後、23℃、相対湿度50%の環境下で48時間処理し、UL-94垂直試験に準拠して測定した。
難燃性(V-0)の判定:Fmax 10秒以下
ΣF 50秒以下
2回目接炎後グローの消滅30秒以下
滴下物による綿の着火不可
難燃性(V-1)の判定:Fmax 30秒以下
ΣF 250秒以下
2回目接炎後グローの消滅60秒以下
滴下物による綿の着火不可
難燃性(-)の判定:上記に当てはまらないもの
但し、ΣF:フレーミング時間の合計(秒)
Fmax:フレーミング時間の最大値(秒)
実施例1~5の熱硬化性樹脂組成物は、比較例1と比べて、耐トラッキング性に優れており、比較例2に対して、ガラス転移温度が向上する結果を示した。このような実施例の熱硬化性樹脂組成物は、パワーデバイス用などの封止材料に好適に用いることができる。
1 白金電極
2 電極固定治具
3 サンプル支持台
5 サンプル
6 ガラス板
7 装置
100 電子装置
10 ダイアタッチ材
20 電子素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂層

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂および硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基とイソシアヌル酸構造とを備えるイソシアヌル型エポキシ樹脂を含み、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物をサンプルとして用いて、国際電気標準会議規格IEC-60112に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が500V以上である、
    熱硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移温度が、165℃以上である、熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記イソシアヌル型エポキシ樹脂が、分子内に、炭素-炭素二重結合を有しないものである、熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記イソシアヌル型エポキシ樹脂が、前記イソシアヌル酸構造中の3つのN原子にそれぞれエポキシ基が結合したものを含む、熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が、前記イソシアヌル型エポキシ樹脂以外の芳香族環を備えるエポキシ樹脂を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記硬化剤が、フェノール系硬化剤を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    無機系難燃剤を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物における250℃の曲げ応力が、4MPa以上である、熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物における200℃~250℃の温度域における線膨張係数α2が、48ppm/℃以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    パワーデバイスを構成する部品を封止するために用いられる、熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備える、構造体。
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