JP2023015701A - 有機発光素子及び有機化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高色純度で発光効率に優れる有機発光素子を提供する。【解決手段】第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に配されている発光層と、を有し、記発光層は、ドーパント材料と、ホスト材料と、を含み、ドーパント材料は、特定のイリジウム錯体であり、ホスト材料は、炭化水素である有機発光素子。【選択図】なし

Description

本発明は、有機発光素子及び有機化合物に関する。
有機発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセンス素子」あるいは「有機EL素子」と称する場合がある)は、一対の電極と、これら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。
有機発光素子の最近の進歩は著しく、その特徴として、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。
発光素子の高効率化に関しては、燐光発光材料等の高効率化材料を用いた素子が挙げられる。特許文献1には、下記化合物A-1、A-2が記載されている。
Figure 2023015701000001
米国特許出願公開第2019/0252619号明細書
特許文献1に記載の化合物A-1、A-2を有機発光素子中の発光層に用いた場合、発光効率に改善の余地がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされるものであり、その目的は、高色純度で発光効率に優れる有機発光素子及び有機化合物を提供することである。また本発明の他の目的は、発光効率と駆動耐久特性に優れる有機発光素子を提供することである。
本発明の有機発光素子は、第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配されている発光層と、を有する有機発光素子であって、
前記発光層は、ドーパント材料と、ホスト材料と、を含み、
前記ドーパント材料は、下記一般式[1]または[2]で表される化合物であり、
前記ホスト材料は、炭化水素であることを特徴とする。
Figure 2023015701000002
式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。
mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
Xは2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
Figure 2023015701000003
式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。
また、本発明の有機化合物は、下記一般式[1]または[2]で表されることを特徴とする。
Figure 2023015701000004
式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。但し、R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基である。
mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
Xは2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
Figure 2023015701000005
式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。
本発明に係る有機発光素子は、緑として色純度が良い発光を示し、発光効率が高く、駆動耐久特性に優れる。
また、本発明に係る有機化合物は、緑色発光に適した発光を呈し、化学的安定性が高い化合物である。このため本発明に係る有機化合物を有機発光素子の構成材料として用いることで、良好な発光特性と優れた耐久特性を有する有機発光素子を得ることができる。
(a)本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の一例を表す概略断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る車両用灯具を有する移動体の一例を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの他の例を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の露光光源の一例を表す模式図である。
本発明の有機発光素子は、第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に配されている発光層と、を有する。そして、発光層は、ドーパント材料と、ホスト材料と、を含み、ドーパント材料は、下記一般式[1]または[2]で表される化合物であり、ホスト材料は、炭化水素である。
Figure 2023015701000006
式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。
mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
Xは2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
Figure 2023015701000007
式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。
(1)有機発光素子の特徴
本実施形態の有機発光素子は、第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に配されている発光層と、を有する有機発光素子であって、以下の特徴を有する。
(1-1)発光層はドーパント材料とホスト材料とを含み、ドーパント材料は一般式[1]または[2]で表される化合物であり、ホスト材料は炭化水素であることで、ドーパント材料とホスト材料との相互作用が強く、エネルギー移動しやすい。
(1-2)上記(1-1)の効果はドーパント材料とホスト材料間での正孔の輸送ホッピングを促進するため、発光層中での正孔輸送性を向上する。
以下、これらの特徴について説明する。
(1-1)発光層はドーパント材料とホスト材料とを含み、ドーパント材料は一般式[1]または[2]で表される化合物であり、ホスト材料は炭化水素であることで、ドーパント材料とホスト材料との相互作用が強く、エネルギー移動しやすい。
一般式[1]または[2]で表される化合物は、配位子に、ベンゼン環が3つ縮合する炭化水素から構成される縮合多環であるフェナンスレン環を有する。一方、ホスト材料は炭化水素、好ましくは縮合多環化合物を用いる。ドーパント材料が、配位子に極性が低く芳香性がある縮環構造を有しているので、ホスト材料に炭化水素を選択する、好ましくは縮環多環基を導入する。これにより、ホスト材料とドーパント材料(ゲスト材料)の配位子がππ相互作用を起こしやすいようにして、ホスト材料からのエネルギー移動を起きやすくする。
ここで、燐光発光素子に用いられる三重項エネルギーは、デクスター機構によるエネルギー移動が行われることが知られている。デクスター機構は分子同士の接触により、エネルギー移動が行われる。すなわち、ホスト材料とドーパント材料との分子間距離が短くなることで、効率よくホスト材料からドーパント材料へのエネルギー移動が行われることになる。ドーパント材料が、配位子に極性が低く芳香性がある縮環構造を有しているので、ホスト材料に炭化水素を選択する、好ましくは炭化水素系の縮環構造を導入する。これにより、ホスト材料とドーパント材料の配位子がππ相互作用を起こしやすいようにして、ホスト材料からのエネルギー移動を起きやすくする。
上記効果により、ホスト材料で生成した三重項励起子が素早く発光に消費されるため、高効率発光の有機発光素子となる。また、発光に使われない三重項励起子がさらに励起することで生ずる高エネルギー三重項励起状態による材料劣化を低減することができるため、有機発光素子の駆動耐久特性が良い。
(1-2)上記(1-1)の効果はドーパント材料とホスト材料間での正孔の輸送ホッピングを促進するため、発光層中での正孔輸送性を向上する。
一般式[1]または[2]で示される化合物は、配位子にフェナンスレン環を有する効果でHOMOが低い(真空準位に近い)ため、ホスト材料よりHOMOが低い傾向にある。正孔輸送層から注入された正孔はホスト材料が輸送するが、ドーパント材料とホスト材料間で、正孔がトラップ、デトラップを繰り返しながら輸送される。その際、ホスト材料とドーパント材料で類似の骨格が用いられることが好ましい。その場合、ホスト材料とドーパント材料の縮合環同士の重なりあいが強く、ドーパント材料とホスト材料間で正孔移動が効率良く行われる。これにより、発光層での電圧上昇が抑えられ、低電圧で駆動耐久特性が良好な有機発光素子を提供する。
さらに、本実施形態の有機発光素子は以下の特徴を有することが好ましい。
(1-3)発光層はアシスト材料をさらに含み、アシスト材料のLUMOはホスト材料のLUMOより小さい(真空準位から遠い)。これにより、電子と正孔の両キャリアが発光層中に閉じ込められ、高効率素子を提供する。
(1-4)上記(1-3)の効果は発光層を通過して隣接する輸送層にキャリアが注入するのを低減し、輸送層の劣化を低減するため、高耐久性素子を提供する。
以下、これらの特徴について説明する。
(1-3)発光層はアシスト材料をさらに含み、アシスト材料のLUMOはホスト材料のLUMOより小さい(真空準位から遠い)。これにより、電子と正孔の両キャリアが発光層中に閉じ込められ、高効率素子を提供する。
一般式[1]または[2]で示されるイリジウム錯体は、発光層中へ正孔が注入することを促進するため、電子と正孔をバランス良く発光層へ注入させることで効率を高めることが好ましく、電子を発光層へ注入することを促進することが好ましい。ホスト材料は炭化水素であるため、バンドキャップが広い特徴がある。そのため、ホスト材料はLUMOが大きく(真空準位に近く)、電子輸送層や正孔ブロック層から電子が注入しにくい可能性がある。そこで、電子を発光層に注入しやすくするために、さらに、アシスト材料を含むことが好ましい。また、アシスト材料のLUMOは、ホスト材料のLUMOより小さいことが好ましい。これにより、正孔と電子の両方の発光層への注入性が向上することで発光層でのキャリアバランスが保たれ、高効率な発光素子を提供する。
(1-4)上記(1-3)の効果は発光層を通過して隣接する輸送層にキャリアが注入するのを低減し、輸送層の劣化を低減するため、高耐久性素子を提供する。
本実施形態の素子は、上述したように発光層中でドーパント材料が正孔注入性を促進し、正孔トラップにより発光層中で正孔を発光層中に閉じ込める効果を示す。これにより正孔が発光層から正孔ブロック層、電子輸送層へ注入することを低減し、正孔ブロック層や電子輸送層が正孔により劣化することを低減する。
また、ホスト材料よりLUMOが小さいアシスト材料が電子注入性を促進し、電子トラップにより電子を発光層中に閉じ込める効果を示す。これにより電子が発光層から電子ブロック層、正孔輸送層へ注入することを低減し、電子ブロック層、正孔輸送層が電子により劣化することを低減する。
(2)ドーパント材料(本発明の有機化合物)
ドーパント材料は、下記一般式[1]または[2]で表される化合物である。尚、ドーパント材料のうち、R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基である化合物が、本発明の有機化合物である。
Figure 2023015701000008
<R1乃至R12、R21乃至R32
式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、3-ペンチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ターシャリペンチル基、3-メチルペンタン-3-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基が好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2-エチル-オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルコキシ基としては、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基が好ましい。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、アントラニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アリール基としては、炭素原子数6以上30以下のアリール基が好ましい。
複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジべンゾチオフェニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。複素環基としては、炭素原子数3以上27以下の複素環基が好ましい。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-ベンジルアミノ基、N,N-ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ジナフチルアミノ基、N,N-ジフルオレニルアミノ基、N-フェニル-N-トリルアミノ基、N,N-ジトリルアミノ基、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジアニソリルアミノ基、N-メシチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジメシチルアミノ基、N-フェニル-N-(4-ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N-ピペリジル基、カルバゾリル基、アクリジル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アミノ基としては、炭素原子数1以上32以下のアミノ基が好ましい。
アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基、複素環基、シリル基、アミノ基がさらに有してもよい置換基としては、例えば、重水素、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等の複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、チオール基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることが好ましい。また、R9乃至R12の少なくとも一つ、R29乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることがより好ましい。
炭素数4以上の3級アルキル基としては、例えば、ターシャリーブチル基、ターシャリペンチル基、3-メチルペンタン-3-イル基、1-アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでも、ターシャリーブチル基が好ましい。
ドーパント材料は、一般式[1]で表される化合物であることが好ましく、R11がターシャリーブチル基であることがより好ましい。
<m、n>
式[1]乃至[2]において、mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
<X>
Xは、2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
Figure 2023015701000009
[R41乃至R55
式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。
41乃至R55で表される、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基、複素環基、シリル基、アミノ基の具体例としては、R1乃至R12、R21乃至R32で説明したものと同様のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基が好ましい。アリール基としては、炭素原子数6以上30以下のアリール基が好ましい。複素環基としては、炭素原子数3以上27以下の複素環基が好ましい。アミノ基としては、炭素原子数1以上32以下のアミノ基が好ましい。また、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基、複素環基、シリル基、アミノ基がさらに有してもよい置換基の具体例としては、R1乃至R12、R21乃至R32で説明したものと同様のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。隣接するR52乃至R55が互いに結合して環を形成するとは、R52とR53、R53とR54、R54とR55が結合して形成される環と、R52乃至R55が結合しているベンゼン環が縮合環を形成することを意味する。隣接するR52乃至R55が結合して形成される環は、芳香族環であってもよい。
一般式[1]または[2]で示される化合物は、以下の特徴を有する。
(2-1)配位子がフェナンスレン環を有することで、緑色発光ドーパントとして必要な520nmから540nm、好ましくは520nmから535nmの発光波長を有する。
(2-2)配位子がフェナンスレン環を有することで、正孔輸送性が高い。
以下、これらの特徴について説明する。
(2-1)配位子がフェナンスレン環を有することで、緑色発光ドーパントとして必要な520nmから540nm、好ましくは520nmから535nmの発光波長を有する。
一般式[1]または[2]で示されるイリジウム錯体は、イリジウムに、ベンゼン環が3つ縮合するフェナンスレン環が配位することで、振動子強度が高く、錯体の量子収率が高い。また、表1に示す様に、配位子がフェナンスレン環を有する化合物1,2は、比較化合物1と比べて発光波長が長波長化し、緑色発光ドーパントとして必要な520nmから540nm、好ましくは520nmから535nmの発光波長を有する事が分かる。化合物1は、後述する例示化合物B-1、化合物2は、後述する例示化合物H-1である。尚、発光波長はトルエン希薄溶液中での発光スペクトルのピーク値を発光波長に用いた。
Figure 2023015701000010
(2-2)配位子がフェナンスレン環を有することで、正孔輸送性が高い。
一般式[1]または[2]で示されるイリジウム錯体は、配位子がフェナンスレン環を有することで、正孔輸送性が高い。配位子のフェナンスレン環同士が重なりやすく、配位子間で正孔をホッピングしやすい構造によるものであると考えられる。
さらに、一般式[1]または[2]で表される化合物は、以下の特徴を有することが好ましい。
(2-3)R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基であることで昇華性が改善される。
(2-4)R9乃至R12の少なくとも一つ、R29乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることがさらに好ましい。
(2-5)一般式[1]で表される化合物は、一般式[2]で表される化合物に比べ発光波長がさらに緑発光ドーパントとして最適な波長を有する。
以下、これらの特徴について説明する。
(2-3)R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基であることで昇華性が改善される。
一般式[1]または[2]で表されるイリジウム錯体は、配位子がフェナンスレン環を有することにより上記(2-1)(2-2)の特徴を有する一方、縮合多環を有することで錯体の分子量が大きく、昇華性が悪い場合がある。具体的には、昇華精製時の温度が高温である場合や、昇華精製後に錯体が一部分解する場合がある。そのため、R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることが好ましい。これにより、錯体同士の分子スタッキングが抑えられ、昇華温度が低下する。炭素数が4以上のアルキル基であることで、錯体同士の排除効果が大きく、分子スタッキングを抑える効果が大きい。3級アルキル基であることで、温度負荷が高い場合に、温度によりベンジル位の水素がラジカル開裂することを低減することができる。
ここで、表2に、ACC.Chem.Res.36,255-263,(2003)に記載の炭素-水素結合の結合解離エネルギーを示す。
Figure 2023015701000011
結合解離エネルギーが大きい数値の方が強い結合であり、小さい数値の方が弱い結合である。つまり、ベンジル位の炭素-水素結合は弱い結合であることが分かる。これは、ベンジル位の水素原子が脱離し、ラジカルとなった際に、隣り合うベンゼン環とのπ電子の共鳴により、ラジカルが安定するためである。このため、ベンジル位の炭素-水素結合は弱い結合である。すなわち、ベンジル基のような構造を分子構造中に有さない場合、炭素-水素結合の結合が切断されにくい化合物となるため好ましい。
表3に、各材料の昇華精製時の昇華温度を示す。尚、昇華精製時の真空度は1×10-3から1×10-2Paである。化合物5は、後述する例示化合物A-1である。表3より、R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基であると、昇華温度が低くなることがわかる。
Figure 2023015701000012
(2-4)R9乃至R12の少なくとも一つ、R29乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることがさらに好ましい。
(2-3)で述べた炭素数4以上の3級アルキル基は、電子供与性が高い置換基になる。一般式[1]または[2]で表されるイリジウム錯体は、配位子のフェナンスレン環と結合するピリジン環側にLUMOが分布している。そのため、R9乃至R12の少なくとも一つ、R29乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基であることで、発光波長が短波長化し、より緑として色純度の良い発光波長になる。表4は一般式[1]においてR11がターシャリーブチル基であるか否かによる発光波長の違いを示したものである。R11がターシャリーブチル基であることで発光波長が5nmほど短波長化し、より緑として色純度の良い発光波長になる。
Figure 2023015701000013
また、(2-2)で述べたように、一般式[1]または[2]で示されるイリジウム錯体は、配位子がフェナンスレン環を有することで、正孔輸送性が高い。その理由は、配位子のフェナンスレン環同士が重なりやすく、配位子間で正孔をホッピングしやすい構造によると考えられる。そのため、フェナンスレン環同士の重なりを低減しない様に、R9乃至R12の少なくとも一つ、R29乃至R32の少なくとも一つが、炭素数4以上の3級アルキル基であることがさらに好ましい。
(2-5)一般式[1]で表される化合物は、一般式[2]で表される化合物に比べ発光波長がさらに緑発光ドーパントとして最適な波長を有する。
表1で化合物1と化合物2を比較すると、化合物1のほうが短波長発光で、より緑として色純度の良い発光波長になる。一般式[1]で表される化合物の方が、フェナンスレン環の電子供与性が低いと考えられるため、発光波長が短波長化する。
<具体例>
本発明に係るドーパント材料である一般式[1]または[2]で表される化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 2023015701000014
Figure 2023015701000015
Figure 2023015701000016
Figure 2023015701000017
Figure 2023015701000018
Figure 2023015701000019
Figure 2023015701000020
Figure 2023015701000021
Figure 2023015701000022
Figure 2023015701000023
A群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を2つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を2つ有することで正孔移動度が高く、化合物の配向度が高いため、発光素子の光取り出しが向上する。
B群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を2つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
C群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を1つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を有することで正孔移動度が高い。また、A群に属する化合物に比べ分子量が低く、昇華温度が低い。
D群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を1つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。C群の化合物より分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
E群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を3つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を3つ有することで正孔移動度が非常に高い。
F群に属する例示化合物は、一般式[1]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を3つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。E群の化合物より分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
G群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物においてフェナンスレン環を有する配位子を2つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を2つ有することで正孔移動度が高く、化合物の配向度が高いため、発光素子の光取り出しが向上する。
H群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を2つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
I群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を1つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を有することで正孔移動度が高い。また、G群に属する化合物に比べ分子量が低く、昇華温度が低い。
J群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を1つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。I群の化合物より分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
K群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を3つ有する化合物である。平面性が高いフェナンスレン環を3つ有することで正孔移動度が非常に高い。
L群に属する例示化合物は、一般式[2]で表される化合物において、フェナンスレン環を有する配位子を3つ有し、かつフェナンスレン環を有する配位子が、炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。K群の化合物より分子間スタッキングが低減することで、昇華性が向上し、発光層中での濃度消光を低減することができる。
これらのうちでも、以下に示す化合物が好ましい。
Figure 2023015701000024
(3)ホスト材料
ホスト材料は、炭化水素である。ホスト材料は、T1(最低三重項励起エネルギー)が、ドーパント材料である、一般式[1]または[2]で表されるイリジウム錯体よりも高いことが好ましい。具体的には、本実施形態のドーパント材料は520nmから540nm、好ましくは520nmから535nmの発光領域のため、ホスト材料のT1は2.4eV以上であることが好ましい。また、上述の通り、ドーパント材料の配位子のフェナンスレン環との相互作用を高めるため、好ましくは3環以上の縮合多環化合物が好ましい。
さらに、ホスト材料は以下の特徴を有することが好ましい。
(3-1)少なくともトリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環のいずれかを骨格に有する。
(3-2)SP3炭素を有さない。
以下、これらの特徴について説明する。
(3-1)少なくともトリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環のいずれかを骨格に有する。
本実施形態のドーパント材料は、配位子にフェナンスレン骨格を有している。フェナンスレン骨格は平面性の高い構造である。上述の(1-1)及び(1-2)のようにドーパント材料とホスト材料が相互作用するために、ホスト材料は、同様に、平面性が高い構造を有することが好ましい。なぜなら、平面性の高い構造を有することで、平面性の高い部位同士が相互作用にて接近することができるからである。より具体的には、ドーパント材料のフェナンスレン部位と、ホスト材料の平面性部位が接近しやすくなる。このため、ドーパント材料とホスト材料の分子間距離が短くなることが期待できる。以上の効果は(1-1)で述べたエネルギー移動の効率が高くなる効果につながる。
ここで、平面性の高い構造とは、例えば、トリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環、フェナンスレン環のような、炭化水素であって縮合多環を含む構造が挙げられる。これらのうちでも、トリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環は、ドーパント材料の配位子が有するフェナンスレン環と構造が異なり、ドーパント材料との相互作用が適度である。そのため、ドーパント材料の発光波長が短波長化し、好ましい。
(3-2)ホスト材料は、SP3炭素を有さない。
上記説明(3-1)で述べたように、本実施形態のドーパント材料は、ホスト材料との距離を改善することで相互作用や発光特性が改善される特徴を有する化合物である。ホスト材料としては、さらにSP3炭素を有さない化合物となることで、ドーパント材料との距離を短くすることができる。
<具体例>
ホスト材料の具体例を以下に示すが、もちろんこれらに限られるものではない。
Figure 2023015701000025
Figure 2023015701000026
上記例示化合物は、少なくともトリフェニレン環、フェナンスレン環、クリセン環、フルオランテン環のいずれかを骨格に有し、かつ、SP3炭素を有さない化合物である。このため、これらの化合物は本実施形態のドーパント材料と距離をより接近することができるため、相互作用が強く、ドーパント材料への良好なエネルギー移動するホスト材料である。このうち、トリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環のいずれかを骨格に有する化合物が好ましく、トリフェニレン環を骨格に有する化合物は平面性が高く、特に好ましい。
(4)アシスト材料
発光層は、アシスト材料をさらに含むことが好ましい。アシスト材料のLUMOはホスト材料のLUMOより小さい(真空準位から遠い)ことが好ましい。アシスト材料は、下記いずれかの構造を部分的に有する化合物であることが、より好ましい。
Figure 2023015701000027
(上記構造中、Xは酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の炭素原子を表す。)
上記構造は電子吸引性を有し、アシスト材料のLUMOを小さくすることができるため有効である。また、部分構造として、上記構造を含むアシスト材料は、電子吸引性が適度に高く、構造が適度な大きさであるため、本実施形態のドーパント材料とエキサイプレクスを形成しにくいと考えられ、好ましい。本実施形態のドーパント材料とエキサイプレクスを形成しやすいと考えられるアシスト材料としては、部分構造としてトリアジン環を含む化合物が挙げられる。
尚、上記構造は無置換でも置換基を有しても良い。また、Xで表される炭素原子は無置換でも置換基を有しても良い。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基、複素環基、シリル基、アミノ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2-エチル-オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、アントラニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジべンゾチオフェニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-ベンジルアミノ基、N,N-ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ジナフチルアミノ基、N,N-ジフルオレニルアミノ基、N-フェニル-N-トリルアミノ基、N,N-ジトリルアミノ基、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジアニソリルアミノ基、N-メシチル-N-フェニルアミノ基、N,N-ジメシチルアミノ基、N-フェニル-N-(4-ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N-ピペリジル基、カルバゾリル基、アクリジル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基、シリル基がさらに置換基を有しても良く、有してもよい置換基として、例えば、重水素、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等の複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<具体例>
アシスト材料の具体例を以下に示すが、もちろんこれらに限られるものではない。
Figure 2023015701000028
Figure 2023015701000029
Figure 2023015701000030
(5)有機発光素子の詳細
次に、本実施形態の有機発光素子について詳細に説明する。
本実施形態の有機発光素子は、第一電極と、第二電極と、第一電極と前記第二電極との間に配されている有機化合物層と、を少なくとも有する。本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層は発光層を有していれば単層であってもよいし複数層からなる積層体であってもよい。ここで有機化合物層が複数層からなる積層体である場合、有機化合物層は、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を有してもよい。また発光層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層の少なくとも一層に本実施形態に係る有機化合物が含まれている。具体的には、本実施形態に係る有機化合物は、上述した発光層、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等のいずれかに含まれている。本実施形態に係る有機化合物は、好ましくは、発光層に含まれる。
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物が発光層に含まれる場合、発光層は、本実施形態に係る有機化合物のみからなる層であってもよいし、本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層であってもよい。ここで、発光層が本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層である場合、本実施形態に係る有機化合物は、発光層のホストとして使用してもよいし、ゲスト(ドーパント)として使用してもよい。また発光層に含まれ得るアシスト材料として使用してもよい。
ここでホストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比が最も大きい化合物である。またゲストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さい化合物であって、主たる発光を担う化合物である。またアシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さく、ゲストの発光を補助する化合物である。
ここで、本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる場合、ゲストの濃度は、発光層全体に対して0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る有機化合物を発光層のアシスト材料として用いる場合、アシスト材料の濃度は、発光層全体に対して0.1質量%以上45質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
本発明者らは種々の検討を行い、本実施形態に係る有機化合物を、発光層のホスト、ゲストまたはアシスト材料として、特に、発光層のゲストとして用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。さらに、発光層のアシスト材料として用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。この発光層は単層でも複層でも良いし、複数の発光材料を含むことも可能である。複層とは発光層と別の発光層とが積層している状態でも良く複数の発光層の間に中間層を積層しても良い。また、タンデム素子やスタック素子でも良い。これらの場合、有機発光素子の発光色は単色に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。
また、製膜方法も蒸着もしくは塗布製膜で製膜を行う。この詳細については、後述する実施例で詳しく説明する。
本実施形態に係る有機化合物は、本実施形態の有機発光素子を構成する発光層以外の有機化合物層の構成材料として使用することができる。具体的には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層、ホールブロッキング層等の構成材料として用いてもよい。
ここで、本実施形態に係る有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系のホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、ホストとなる化合物、発光性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にして、かつ注入されたホールを発光層へ輸送できるようにホール移動度が高い材料が好ましい。また有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を低減するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記のホール注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。以下に、ホール注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2023015701000031
正孔輸送材料としてあげた中でも、HT16乃至HT18は、陽極に接する層に用いることで駆動電圧を低減することができる。HT16は広く有機発光素子に用いられている。HT16に隣接する有機化合物層に、HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、HT10、HT12を用いてよい。また、一つの有機化合物層に複数の材料を用いてもよい。
本実施形態の発光ドーパント以外にさらに発光ドーパントを用いても良い。例えば、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。以下に、発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2023015701000032
Figure 2023015701000033
発光材料は炭化水素化合物である場合、エキサイプレックス形成による発光効率低下や発光材料の発光スペクトルが変化による色純度悪化を低減し、好ましい。炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、BD7、BD8、GD5からGD9、RD1が相当する。
発光材料は5員環を含む縮合多環である場合、イオン化ポテンシャルが高いため、酸化しにくく、高耐久な寿命の素子を提供するためさらに好ましい。BD7、BD8、GD5からGD9、RD1が相当する。
本実施形態のホスト材料あるいはアシスト材料以外にホスト材料あるいはアシスト材料を用いても良い。例えば、芳香族炭化水素化合物もしくはその誘導体の他、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体等が挙げられる。
以下に、化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2023015701000034
ホスト材料は炭化水素化合物である場合、本実施形態の化合物が電子や正孔をトラップしやすくなるため高効率化の効果が大きく好ましい。炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、EM1からEM12及びEM16からEM27が相当する。
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2023015701000035
電子注入性材料としては、陰極からの電子注入が容易に可能なものから任意に選ぶことができ、正孔注入性とのバランス等を考慮して選択される。有機化合物としてn型ドーパント及び還元性ドーパントも含まれる。例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属を含む化合物、リチウムキノリノール等のリチウム錯体、ベンゾイミダゾリデン誘導体、イミダゾリデン誘導体、フルバレン誘導体、アクリジン誘導体があげられる。
<有機発光素子の構成>
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。第二電極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[有機化合物層]
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
[保護層]
第二電極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、第二電極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、第二電極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、第二電極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[マイクロレンズ]
有機発光素子または有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光素子または有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
[画素回路]
有機発光素子を有する有機発光装置は、有機発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
[画素]
有機発光素子を有する有機発光装置は、複数の画素を有してよい。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えば、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
<本実施形態に係る有機発光素子の用途>
本実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。表示装置は、複数の画素を有し、複数の画素の少なくとも一つが、本実施形態の有機発光素子と、有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有してよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。図1は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるトランジスタとを有する表示装置の例を示す断面模式図である。トランジスタは、能動素子の一例である。トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。
図1(a)は、本実施形態に係る表示装置の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出射する光がカラーフィルタ等により、選択的に透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素10は、層間絶縁層1の上に第一電極2である反射電極、第一電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極2と絶縁層3とを覆う有機化合物層4、第二電極5である透明電極、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子が配されていてよい。トランジスタと第一電極2は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極2の端を覆っており、第一電極2を囲って配されている。絶縁層3の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
保護層6は、有機化合物層4に水分が浸透することを低減する。保護層6は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタ7は、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ7上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタ7は、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられてよい。
図1(b)の表示装置100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18を有する。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層12の上には、TFT18等の能動素子が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にもドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜19に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極21、陰極23)とTFT18に含まれる電極(ソース電極17、ドレイン電極16)との電気接続の方式は、図1(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極21又は陰極23のうちいずれか一方とTFT18のソース電極17またはドレイン電極16のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
図1(b)の表示装置100では有機化合物層22を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子26の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
図1(b)の表示装置100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
また図1(b)の表示装置100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図1(b)の表示装置100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図2は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図3(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本実施形態の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
図3(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器1200は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部1201に映される。電子機器1200としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
図4は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図4(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光素子が用いられてよい。額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図4(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図4(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図4(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光素子を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図5(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光源1402が発する光を透過する光学フィルタ1404と光拡散部1405と、を有してよい。光源1402は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタ1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ1404、光拡散部1405は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本実施形態の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図5(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプ1501は、有機発光素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓1502は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
図6を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
図6(a)は、本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。図6(a)を用いて、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
図6(b)は、本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの他の例を示す模式図である。図6(b)を用いて、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、図6(a)の撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。
制御装置1612は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定する。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域が決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
図7(a)は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。画像形成装置40は電子写真方式の画像形成装置であり、感光体27、露光光源28、帯電部30、現像部31、転写器32、搬送ローラー33、定着器35を有する。露光光源28から光29が照射され、感光体27の表面に静電潜像が形成される。この露光光源28が本実施形態に係る有機発光素子を有する。現像部31はトナー等を有する。帯電部30は感光体27を帯電させる。転写器32は現像された画像を記録媒体34に転写する。搬送ローラー33は記録媒体34を搬送する。記録媒体34は例えば紙である。定着器35は記録媒体34に形成された画像を定着させる。
図7(b)および図7(c)は、露光光源28を示す図であり、発光部36が長尺状の基板に複数配置されている様子を示す模式図である。矢印37は、感光体の軸に平行な方向であり、有機発光素子が配列されている列方向を表わす。この列方向は、感光体27が回転する軸の方向と同じである。この方向は感光体27の長軸方向と呼ぶこともできる。図7(b)は発光部36を感光体27の長軸方向に沿って配置した形態である。図7(c)は、図7(b)とは異なる形態であり、第一の列と第二の列のそれぞれにおいて発光部36が列方向に交互に配置されている形態である。第一の列と第二の列は行方向に異なる位置に配置されている。第一の列は、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。第二の列は、第一の列の発光部36同士の間隔に対応する位置に発光部36を有する。すなわち、行方向にも、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。図7(c)の配置は、たとえば格子状に配置されている状態、千鳥格子に配置されている状態、あるいは市松模様と言い換えることもできる。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
以下、実施例により本発明を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1(例示化合物C-1の合成)]
以下のスキームに従い、例示化合物C-1を合成した。
Figure 2023015701000036
(1)化合物f-3の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-1:6.08g(20.0mmol)
化合物f-2:2.27g(20.0mmol)
炭酸ナトリウム:5.3g(50.0mmol)
Pd(PPh34:578mg
トルエン:35ml
水:35ml
エタノール:10ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、60℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、トルエンで抽出し、有機層を濃縮乾固した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、透明固体(f-3)を3.0g(収率:58%)得た。
(2)化合物f-5の合成
50mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-4:3.10g(20.0mmol)
イリジウムクロライド水和物:1.60g
エトキシエタノール:18ml
水:6ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、130℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を濾過し、得られた固体を水及びメタノールで濾過器上洗浄を行った。黄色固体(f-5)を3.4g(収率:63%)得た。
(3)化合物f-6の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-5:1.07g(1.00mmol)
銀トリフラート:0.514g(2.00mmol)
塩化メチレン:30ml
メタノール:1.3ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、室温で7時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を40℃で溶媒留去した。黄褐色固体(f-6)を1.56g得た。
(4)例示化合物C-1の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-6:1.50g
化合物f-3:2.55g(1.00mmol)
エタノール:50ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、90℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を濾過し、得られた固体を水及びメタノールで濾過器上洗浄を行った。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体(例示化合物C-1)を0.17g(収率:23%)得た。
例示化合物C-1について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=755 計算値:C4128IrN3=755
[実施例2至及24(例示化合物の合成)]
表5乃至7に示す通り、実施例2乃至24に示す例示化合物について、実施例1の原料f-1を原料1、原料f-2を原料2、原料f-4を原料3に変えた他は実施例1と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例1と同様にして測定した質量分析結果の実測値:m/zを示す。
Figure 2023015701000037
Figure 2023015701000038
Figure 2023015701000039
[実施例25(例示化合物A-16の合成)]
以下のスキームに従い、例示化合物A-16を合成した。
Figure 2023015701000040
(1)化合物f-7の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-3:5.10g(20.0mmol)
イリジウムクロライド水和物:1.60g
エトキシエタノール:36ml
水:12ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、130℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、反応溶液を濾過し、得られた固体を水及びメタノールで濾過器上洗浄を行った。黄色固体(f-7)を4.3g(収率:58%)得た。
(2)例示化合物A-16の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物f-7:1.47g(1.00mmol)
化合物f-8:0.40g(4.00mmol)
炭酸ナトリウム:1.06g(10.0mmol)
エトキシエタノール:30ml
水:12ml
次に、反応溶液を、窒素気流下、100℃で6時間加熱攪拌した。冷却後、メタノールを加え、ろ過しメタノールで洗浄した。黄色固体(例示化合物A-16)を0.42g(収率:52%)得た。
例示化合物A-16について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=800 計算値:C4332IrO23=800
[実施例26至及30(例示化合物の合成)]
表8に示す通り、実施例26乃至30に示す例示化合物について、実施例25の原料f-3を原料1、原料f-8を原料2に変えた他は実施例25と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例25と同様にして測定した質量分析結果の実測値:m/zを示す。
Figure 2023015701000041
[実施例31(例示化合物E-1の合成)]
以下のスキームに従い、例示化合物E-1を合成した。
Figure 2023015701000042
(1)例示化合物E-1の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物A-16:0.80g(1.00mmol)
化合物f-3:0.64g(2.50mmol)
炭酸ナトリウム:1.06g(10.0mmol)
グリセロール:30ml
次に、反応溶液を、窒素脱気後、180℃で6時間加熱攪拌した。冷却後、メタノールを加え、ろ過しメタノールで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル混合)にて精製し、黄色固体(例示化合物E-1)を0.14g(収率:15%)得た。
例示化合物E-1について、MALDI-TOF-MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI-TOF-MS]
実測値:m/z=955 計算値:C5736IrN3=955
[実施例32至及33(例示化合物の合成)]
表9に示す通り、実施例32乃至33に示す例示化合物について、実施例31の原料A-16を原料1、原料f-3を原料2に変えた他は実施例31と同様にして例示化合物を合成した。また、実施例31と同様にして測定した質量分析結果の実測値:m/zを示す。
Figure 2023015701000043
[実施例34]
基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
先ずガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、1.33×10-4Paの真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、表10に示す有機化合物層及び電極層を連続成膜した。尚、この時、対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mm2となるようにした。
Figure 2023015701000044
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。表11に示す様に、発光素子の最大発光波長は529nmであり、効率は57cd/Aであった。さらに、電流密度50mA/cm2での連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間を測定した。
本実施例において、測定装置は、具体的には電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。
また、表11の括弧内に、ホスト材料及びアシスト材料のLUMOを示す。LUMOの算出には、理研計器社製の大気中光電子分光装置AC-3により、イオン化ポテンシャル(IP)を求め、日本分光社製の紫外可視分光光度計により求めた光学バンドギャップ(BG)を差し引くことで、LUMO準位を算出している。
[実施例35乃至41]
実施例35乃至41において、表11に示される発光層の材料に適宜変更する以外は、実施例34と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例34と同様に評価した。輝度劣化率が5%に達した時の時間は、実施例34の時間を1.0としたときの比率で示す。測定の結果を表11に示す。また、実施例34と同様にして算出した、ホスト材料及びアシスト材料のLUMOを、表11の括弧内に示す。
Figure 2023015701000045
表11において、実施例34から36のドーパント材料は、一般式[1]の化合物でR11に炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。そのため、発光波長が529nmから530nmの緑として最適な発光波長である。一方、実施例37から40のドーパント材料は、一般式[2]の化合物でR31に炭素数4以上の3級アルキル基を有する化合物である。そのため、実施例34から36のドーパント材料より長波長発光になる。実施例41のドーパント材料は、一般式[2]の化合物でR31に炭素数4以上の3級アルキル基を有しない化合物のため、発光波長がさらに長波長である。また、実施例34から40の素子は、輝度劣化が小さい。これは、蒸着時の分解による影響が少ないためと思われる。
[実施例42]
実施例34において、表12に示される材料及び膜厚に変更する以外は、実施例34と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例34と同様に素子の特性を測定・評価した。
Figure 2023015701000046
得られた素子について、実施例34と同様にして素子の特性を測定・評価した。表13に示す様に、発光素子の最大発光波長は530nmであり、効率は56cd/Aであった。また、実施例34と同様にして算出した、ホスト材料及びアシスト材料のLUMOを、表13の括弧内に示す。
[実施例43乃至48、比較例1乃至4]
実施例43乃至48及び比較例1乃至4において、表13に示される発光層の材料に適宜変更する以外は、実施例42と同様の方法により有機発光素子を作製した。化合物Q-2-1及びS-4-1を以下に示す。
Figure 2023015701000047
得られた素子について実施例42と同様に評価した。輝度劣化率が5%に達した時の時間は、実施例42の時間を1.0としたときの比率で示す。測定の結果を表13に示す。また、実施例42と同様にして算出した、ホスト材料及びアシスト材料のLUMOを、表13の括弧内に示す。
Figure 2023015701000048
表13より、比較例1から4のホスト材料は窒素や酸素を含むホスト材料であり、炭化水素がホスト材料である実施例42から48の素子に比べると効率が低く、寿命が悪い。また、実施例42から46の素子は、ホスト材料よりLUMOが小さいアシスト材料を含む。そのため、アシスト材料が含まれない実施例47、ホスト材料よりLUMOが大きいアシスト材料を含む実施例48よりも、素子の効率が高い。このことより、ホスト材料として炭化水素を選択すること、ホスト材料よりLUMOが小さいアシスト材料を選択することにより、高効率、長寿命の素子を提供することができる。
1:層間絶縁層、2:第一電極、3:絶縁層、4:有機化合物層、5:第二電極、6:保護層、7:カラーフィルタ、10:副画素、11:基板、12:絶縁層、13:ゲート電極、14:ゲート絶縁膜、15:半導体層、16:ドレイン電極、17:ソース電極、18:TFT、19:絶縁膜、20:コンタクトホール、21:陽極、22:有機化合物層、23:陰極、24:第一の保護層、25:第二の保護層、26:有機発光素子、100:表示装置

Claims (22)

  1. 第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配されている発光層と、を有する有機発光素子であって、
    前記発光層は、ドーパント材料と、ホスト材料と、を含み、
    前記ドーパント材料は、下記一般式[1]または[2]で表される化合物であり、
    前記ホスト材料は、炭化水素であることを特徴とする有機発光素子。
    Figure 2023015701000049
    式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。
    mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
    Xは2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
    Figure 2023015701000050
    式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。
  2. 前記R1乃至R12の少なくとも一つ、前記R21乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記R9乃至R12の少なくとも一つ、前記R29乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 前記炭素数4以上の3級アルキル基は、ターシャリーブチル基であることを特徴とする請求項2または3に記載の有機発光素子。
  5. 前記ドーパント材料は、前記一般式[1]で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  6. 前記R11がターシャリーブチル基であることを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子。
  7. 前記ドーパント材料は、下記いずれかの化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
    Figure 2023015701000051
  8. 前記ホスト材料は、少なくともトリフェニレン環、クリセン環、フルオランテン環のいずれかを骨格に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  9. 前記発光層は、アシスト材料をさらに含み、前記アシスト材料のLUMOは前記ホスト材料のLUMOより小さい(真空準位から遠い)ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  10. 前記アシスト材料は、下記いずれかの構造を部分的に有する化合物であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
    Figure 2023015701000052
    (上記構造中、Xは酸素原子、硫黄原子、置換あるいは無置換の炭素原子を表す。)
  11. 下記一般式[1]または[2]で表されることを特徴とする有機化合物。
    Figure 2023015701000053
    式[1]乃至[2]において、R1乃至R12、R21乃至R32は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。但し、R1乃至R12の少なくとも一つ、R21乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基である。
    mは1以上3以下の整数、nは0以上2以下の整数を表す。ただし、m+nは3である。
    Xは2座配位子を表わし、部分構造IrXは、下記一般式[3]乃至[5]に示される構造のいずれかである。
    Figure 2023015701000054
    式[3]乃至[5]において、R41乃至R55は、それぞれ、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のシリル基、置換あるいは無置換のアミノ基から独立に選ばれる。隣接するR52乃至R55は、互いに結合して環を形成しても良い。
  12. 前記R9乃至R12の少なくとも一つ、前記R29乃至R32の少なくとも一つは、炭素数4以上の3級アルキル基であることを特徴とする請求項11に記載の有機化合物。
  13. 前記炭素数4以上の3級アルキル基は、ターシャリーブチル基であることを特徴とする請求項12に記載の有機化合物。
  14. 前記一般式[1]で示されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の有機化合物。
  15. 前記R11がターシャリーブチル基であることを特徴とする請求項14に記載の有機化合物。
  16. 下記いずれかの化合物であることを特徴とする請求項15に記載の有機化合物。
    Figure 2023015701000055
  17. 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
  18. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする光電変換装置。
  19. 請求項7乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
  20. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
  21. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
  22. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置の露光光源。
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