JP2023009420A - 光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、光ファイバ用母材の製造方法に関する。
特許文献1には、多孔質母材の下端部を加熱するとき、多孔質母材の中間部を加熱するときよりも加熱温度を高くする又は移動速度を遅くする様に調整する光ファイバ用母材の製造方法が記載されている。特許文献1には、多孔質母材の下端部の加熱温度と多孔質母材の中間部の加熱温度との差を5℃以上100℃以下にすることも記載されている。
特許文献2には、加熱炉の中に光ファイバ多孔質母材の一部を挿入させたまま、上記加熱炉内の温度を上昇させ、当該温度が上記光ファイバ多孔質母材を透明化するのに最低限必要な温度まで達したら、光ファイバ多孔質母材を挿入方向に移動させながら上記加熱炉の温度を更に上昇させることを特徴とする、光ファイバ多孔質母材の焼結方法が記載されている。特許文献2に記載の焼結方法は、光ファイバ多孔質母材が長尺化し、光ファイバ多孔質母材の先端(下端)がヒータによって加熱される領域に最初から入り込んでいるような位置関係になった場合において、先端が加熱されすぎないように先端の加熱温度を光ファイバ多孔質母材の他の部分の加熱温度よりも低くするものである。
特許文献1に記載された製造方法は、多孔質母材の下端部を加熱するときに加熱温度を高くするものであるが、多孔質母材の下端部の先端付近は外径が細く、ヒータからの距離が遠くなっているため、当該先端付近は加熱されにくく、透明化しにくい。
特許文献2に記載された焼結方法は、光ファイバ多孔質母材の先端の加熱温度を光ファイバ多孔質母材の他の部分の加熱温度よりも低くするものであるため、当該先端は当該他の部分よりも加熱されにくく、透明化しにくい。
光ファイバのコア用の多孔質母材は、透明化工程(焼結工程)において先端が透明ガラス化(以下、単に「透明化」とも称する)していないと、後の工程で問題が生じてしまう。コア用の多孔質母材は、例えば、透明化工程の後、得られた透明ガラス母材の先端にダミー棒を溶着接続して延伸工程へ進むが、透明ガラス母材の先端が透明化していないと、溶着接続の際に当該先端が発泡してしまい上手く溶着接続することができない。そのため、透明化していない先端を更に加熱して透明化させる等の追加工程が必要になり、製造効率が落ちてしまう。
本開示の目的は、多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減することが可能な光ファイバ用母材の製造方法を提供することである。
本開示の一態様に係る光ファイバ用母材の製造方法は、
多孔質母材を、ヒータを備えた加熱炉の上下方向に順次移動させることにより透明化を行う光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ヒータで加熱されたヒートゾーン内に前記多孔質母材の先端部を挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持するステップと、
前記保持するステップの後に、前記透明化温度で前記多孔質母材を下降させ、前記多孔質母材の中間部を透明化するステップと、を備える。
多孔質母材を、ヒータを備えた加熱炉の上下方向に順次移動させることにより透明化を行う光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ヒータで加熱されたヒートゾーン内に前記多孔質母材の先端部を挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持するステップと、
前記保持するステップの後に、前記透明化温度で前記多孔質母材を下降させ、前記多孔質母材の中間部を透明化するステップと、を備える。
上記開示の構成によれば、多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減することが可能である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光ファイバ用母材の製造方法は、
多孔質母材を、ヒータを備えた加熱炉の上下方向に順次移動させることにより透明化を行う光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ヒータで加熱されたヒートゾーン内に前記多孔質母材の先端部を挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持するステップと、
前記保持するステップの後に、前記透明化温度で前記多孔質母材を下降させ、前記多孔質母材の中間部を透明化するステップと、を備える。
この構成によれば、多孔質母材の先端部をヒートゾーン内に挿入した状態にて透明化温度で一定時間保持することにより、先端部を十分に加熱することができるため、多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減することが可能である。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光ファイバ用母材の製造方法は、
多孔質母材を、ヒータを備えた加熱炉の上下方向に順次移動させることにより透明化を行う光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ヒータで加熱されたヒートゾーン内に前記多孔質母材の先端部を挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持するステップと、
前記保持するステップの後に、前記透明化温度で前記多孔質母材を下降させ、前記多孔質母材の中間部を透明化するステップと、を備える。
この構成によれば、多孔質母材の先端部をヒートゾーン内に挿入した状態にて透明化温度で一定時間保持することにより、先端部を十分に加熱することができるため、多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減することが可能である。
前記光ファイバ用母材の製造方法は、
前記多孔質母材において、前記中間部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されており、前記先端部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されていない領域を含むものであってもよい。
コア用の多孔質母材の中間部は、その径方向中心部分にゲルマニウムが添加されており、透明化しやすい。一方、コア用の多孔質母材の先端部の径方向の中心部(非有効部)にはゲルマニウムが添加されていないため、中間部等のゲルマニウムが添加された部分(有効部)と比較して透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。
前記多孔質母材において、前記中間部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されており、前記先端部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されていない領域を含むものであってもよい。
コア用の多孔質母材の中間部は、その径方向中心部分にゲルマニウムが添加されており、透明化しやすい。一方、コア用の多孔質母材の先端部の径方向の中心部(非有効部)にはゲルマニウムが添加されていないため、中間部等のゲルマニウムが添加された部分(有効部)と比較して透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。
前記光ファイバ用母材の製造方法において、
前記中間部の外径は200mm以上であり、
前記先端部の外径は前記中間部の外径の5%以下であってもよい。
多孔質母材の外径が大きい場合、炉心管の内径が大きくなり、ヒータの内径も大きくなる。この場合、多孔質母材の外径が小さい場合に比べ、多孔質母材の先端部とヒータまでの距離がより離れてしまうため、先端部は透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。
前記中間部の外径は200mm以上であり、
前記先端部の外径は前記中間部の外径の5%以下であってもよい。
多孔質母材の外径が大きい場合、炉心管の内径が大きくなり、ヒータの内径も大きくなる。この場合、多孔質母材の外径が小さい場合に比べ、多孔質母材の先端部とヒータまでの距離がより離れてしまうため、先端部は透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。
前記光ファイバ用母材の製造方法において、
前記中間部の外径は200mm以上であり、
前記先端部は外径が前記中間部の外径の40%以下の部分であってもよい。
多孔質母材の外径が大きい場合、炉心管の内径が大きくなり、ヒータの内径も大きくなる。この場合、多孔質母材の外径が小さい場合に比べ、多孔質母材の先端部とヒータまでの距離がより離れてしまうため、先端部は透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。また、この構成によれば、トラバース開始位置がトラバース終了位置に近いため、先端部が早くトラバース終了位置に到達する。結果として、先端部を透明化し易いだけではなく、製造時間をも短縮することができる。
前記中間部の外径は200mm以上であり、
前記先端部は外径が前記中間部の外径の40%以下の部分であってもよい。
多孔質母材の外径が大きい場合、炉心管の内径が大きくなり、ヒータの内径も大きくなる。この場合、多孔質母材の外径が小さい場合に比べ、多孔質母材の先端部とヒータまでの距離がより離れてしまうため、先端部は透明化しにくい。しかし、そのような場合であっても、本開示を適用することで、容易に先端部を透明化することができる。また、この構成によれば、トラバース開始位置がトラバース終了位置に近いため、先端部が早くトラバース終了位置に到達する。結果として、先端部を透明化し易いだけではなく、製造時間をも短縮することができる。
前記光ファイバ用母材の製造方法は、
前記透明化するステップにおいて得られた透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続するステップと、
前記石英ダミー棒が溶着接続された前記透明ガラス母材を延伸するステップと、
をさらに備えてもよい。
本開示は、透明化工程において多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減するものである。よって、石英ダミー棒の溶着接続の際に透明ガラス母材の先端部が発泡するような事態が生じにくいため、容易に透明ガラス母材と石英ダミー棒とを溶着接続して延伸することができる。
前記透明化するステップにおいて得られた透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続するステップと、
前記石英ダミー棒が溶着接続された前記透明ガラス母材を延伸するステップと、
をさらに備えてもよい。
本開示は、透明化工程において多孔質母材の先端部が透明化しないという事態が生じる可能性を低減するものである。よって、石英ダミー棒の溶着接続の際に透明ガラス母材の先端部が発泡するような事態が生じにくいため、容易に透明ガラス母材と石英ダミー棒とを溶着接続して延伸することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係るガラス微粒子堆積体の製造方法および製造装置の実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
以下、本開示に係るガラス微粒子堆積体の製造方法および製造装置の実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
(光ファイバ用母材の製造装置)
まず、図1を用いて、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法に用いられる製造装置について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法に用いられる製造装置10を示す概略構成図である。製造装置10は、炉心管11と、ヒータ12と、支持棒13と、昇降装置14と、制御装置15と、処理ガス供給管16と、処理ガス排気管17と、を備えている。
まず、図1を用いて、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法に用いられる製造装置について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法に用いられる製造装置10を示す概略構成図である。製造装置10は、炉心管11と、ヒータ12と、支持棒13と、昇降装置14と、制御装置15と、処理ガス供給管16と、処理ガス排気管17と、を備えている。
製造装置10は、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法を実施する加熱炉である。製造装置10は、多孔質母材1の透明化工程に用いられ、多孔質母材1に与える単位時間当たりの熱量を制御することができる。また、製造装置10は、透明化工程の前工程である脱水工程にも用いられうる。
炉心管11内には、多孔質母材1が吊り下げられる。多孔質母材1は、例えば、火炎加水分解反応によりガラス微粒子を出発ガラスロッド2に堆積させて得られるガラス微粒子堆積体である。多孔質母材1は、その上端部1Aが支持棒13を介して昇降装置14に固定される。炉心管11の内径d3は、特に制限されず、多孔質母材1の大きさに応じて適宜決定すればよい。炉心管11の内径d3は、多孔質母材1の中間部1Cの外径d1より50mm程度大きいことが好ましい。
ヒータ12は、炉心管11の中間部付近において炉心管11の外周壁を囲むように設けられている。ヒートゾーン20は、ヒータ12によって炉心管11内に形成される領域である。ヒートゾーン20は、例えば、炉心管11内における、ヒータ12に囲まれた部分である。すなわち、ヒートゾーン20の上端はヒータ12の上端と同じ高さに位置し、ヒートゾーン20の下端はヒータ12の下端と同じ高さに位置する。ヒートゾーン20の温度は、ヒータ12によって加熱されることにより、ガラス微粒子堆積体を透明ガラス化することが可能な温度である透明化温度(例えば、1400℃以上)まで達しうる。
支持棒13は、制御装置15によって制御される昇降装置14により上下方向(多孔質母材1の長手方向)に移動可能である。昇降装置14は、透明化工程において、多孔質母材1を所定の下降速度(トラバース速度)でヒータ12のヒートゾーン20に対して上方から下方へ向けて移動させる。昇降装置14による多孔質母材1の上下方向への移動は、例えば、多孔質母材1の全長にわたってほぼ一定の速度で行われる。
処理ガス供給管16は、炉心管11の下部に設けられている。脱水工程や透明化工程の際には、処理ガス供給管16から炉心管11内に、処理ガス(例えば、ヘリウムや塩素ガス等)が不図示のガス供給制御装置によって供給される。処理ガス排気管17は、炉心管11の上部に設けられている。処理ガス排気管17から炉心管11の外に、脱水工程や透明化工程において多孔質母材1から放出された水分や処理ガス等が排出される。
(光ファイバ用母材の製造方法)
引き続き、図1を参照しながら、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法について説明する。本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法は、多孔質母材1を、ヒータ12を備えた製造装置10の上下方向に順次移動させることにより透明ガラス化を行うことを含む。具体的には、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法は、以下の工程A及び工程Bを有する透明化工程と、以下の工程C及び工程Dを有する延伸工程と、を含む。
引き続き、図1を参照しながら、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法について説明する。本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法は、多孔質母材1を、ヒータ12を備えた製造装置10の上下方向に順次移動させることにより透明ガラス化を行うことを含む。具体的には、本実施形態に係る光ファイバ用母材の製造方法は、以下の工程A及び工程Bを有する透明化工程と、以下の工程C及び工程Dを有する延伸工程と、を含む。
工程A:ヒータ12で加熱されたヒートゾーン20内に多孔質母材1の先端部(下端部)1Bを挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持する。
工程B:工程Aの後に、透明化温度で多孔質母材1を下降(トラバース)させ、多孔質母材1の中間部1Cを透明ガラス化する。
工程C:工程Bにおいて得られた透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続する。
工程D:工程Cにおいて石英ダミー棒が溶着接続された透明ガラス母材を延伸する。
工程B:工程Aの後に、透明化温度で多孔質母材1を下降(トラバース)させ、多孔質母材1の中間部1Cを透明ガラス化する。
工程C:工程Bにおいて得られた透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続する。
工程D:工程Cにおいて石英ダミー棒が溶着接続された透明ガラス母材を延伸する。
工程A及び工程Bにおいて用いられる多孔質母材1は、上端部1A、先端部(下端部)1B、及び中間部1Cを含む。上端部1Aは、中間部1Cの上方に位置し、上方に向かうにつれ外径が小さくなるようなテーパ状である。中間部1Cは、例えば、外径が一定となる部分である。中間部1Cの外径は、特に制限はされず、例えば、200mm以上であってもよく、250mm以上であってもよく、270mm以上であってもよい。
先端部1Bは、中間部1Cの下方に位置する下端部の少なくとも一部である。ここで、「下端部」とは、多孔質母材1において下方に向かうにつれ外径が小さくなっているテーパ部分のことをいう。先端部1Bの最大外径である外径d2は、例えば、中間部1Cの外径d1の5%以上であることが好ましい。言い換えると、工程Aにおいてヒートゾーン20内に挿入される先端部1Bは、例えば、多孔質母材1の下端部において外径が中間部1Cの外径d1の5%以下となっている部分であることが好ましい。さらに、先端部1Bの最大外径である外径d2は、例えば、中間部1Cの外径d1の40%以上であることがより好ましい。言い換えると、工程Aにおいてヒートゾーン20内に挿入される先端部1Bは、例えば、多孔質母材1の下端部において外径が中間部1Cの外径d1の40%以下となっている部分であることがより好ましい。
多孔質母材1が、光ファイバのコア部分を形成するものである場合、その一部に屈折率を高めるためのドーパントとしてゲルマニウム(Ge)が添加されている。この場合、例えば、多孔質母材1の有効部にはゲルマニウムが添加されているが、非有効部にはゲルマニウムが添加されていない。なお、本明細書において、「有効部」とは、光ファイバ等の製品として使用できる部分のことをいい、中間部1Cの径方向の中心部などが含まれる。また、「非有効部」とは、光ファイバ等の製品として使用できない部分のことをいい、先端部1Bの径方向の中心部の一領域などが含まれる。
工程Aでは、ヒートゾーン20内に多孔質母材1の先端部1Bを挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持する。工程Aでは、ヒートゾーン20内に先端部1Bを挿入した後は多孔質母材1を下降させない。工程Aでは、ヒートゾーン20内を透明化温度にしてから先端部1Bをヒートゾーン20に挿入してもよいし、先端部1Bをヒートゾーン20に挿入してからヒートゾーン20内を透明化温度にしてもよい。先端部1Bは、工程A又は工程Bの初期段階において透明化する。
透明化温度は、例えば、1400℃以上であることが好ましく、1450℃以上であることがより好ましい。また、透明化温度は、例えば、1650℃以下であることが好ましく、1600℃以下であることがより好ましい。
透明化温度にて保持する時間は、多孔質母材1の大きさ(特に、先端部1Bの外径)や、透明化温度に応じて適宜決定すればよい。保持する時間は、例えば、5分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましい。また、保持する時間は、例えば、60分以下であることが好ましく、30分以下であることがより好ましい。
工程Bでは、ヒートゾーン20を透明化温度に保ちながら、多孔質母材1を下降させ、多孔質母材1の中間部1C等を透明化する。透明化温度は、工程Aと異なる温度であってもよいし、同じ温度であってもよい。工程Bにおいて多孔質母材1は透明化し、透明ガラス母材となる。
工程Cでは、透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続する。透明ガラス母材の先端部とは、多孔質母材1の先端部1Bが透明化した部分である。溶着接続の方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。工程Cは、製造装置10内で実施されてもよいし、工程Bで得られた透明ガラス母材を製造装置10から取り出して製造装置10の外部で実施されてもよい。
工程Dでは、石英ダミー棒が溶着接続された透明ガラス母材を延伸する。工程Dでは、透明ガラス母材を加熱して軟化させながら張力をかけることにより、透明ガラス母材を軸方向に延伸する。延伸の方法は、特に制限されず、従来公知の方法を適宜採用することができる。工程Dは、製造装置10とは異なる延伸炉(図示せず)において実施される。
以下、本開示に係る実施例及び比較例を示して、本開示をさらに詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1(比較例))
図2は、製造例1を説明するための模式図である。図2の縦軸は、上下方向における相対的な距離を示すものである。図2の縦軸は、ヒートゾーン20の上端の位置を0とし、下方向を正の値としている。製造例1では、ヒートゾーン20を1500℃にし、多孔質母材1の先端部1Bが0mmの位置にある状態で10分間保持した。その後、ヒートゾーン20を1500℃に保ちながら、矢印aに示すように先端部1Bを下降(トラバース)させ、中間部1C等を透明化させた。製造例1の条件および結果は、後掲の表1に示す。
図2は、製造例1を説明するための模式図である。図2の縦軸は、上下方向における相対的な距離を示すものである。図2の縦軸は、ヒートゾーン20の上端の位置を0とし、下方向を正の値としている。製造例1では、ヒートゾーン20を1500℃にし、多孔質母材1の先端部1Bが0mmの位置にある状態で10分間保持した。その後、ヒートゾーン20を1500℃に保ちながら、矢印aに示すように先端部1Bを下降(トラバース)させ、中間部1C等を透明化させた。製造例1の条件および結果は、後掲の表1に示す。
(製造例2(実施例))
図3は、製造例2を説明するための模式図である。図3の縦軸は、図2と同様である。製造例2では、ヒートゾーン20を1500℃にし、多孔質母材1の先端部1Bが0mmの位置にある状態から矢印bに示すように下降させ、先端部1Bが85mmの位置にある状態で10分間保持した。ヒートゾーン20内に挿入された先端部1Bの外径、すなわち、多孔質母材1の最下端から上方へ85mmの位置における外径は、中間部1Cの外径の40%であった。その後、ヒートゾーン20を1500℃に保ちながら、矢印cに示すように先端部1Bを下降させ、中間部1C等を透明化させた。製造例2の条件および結果は、後掲の表1に示す。
図3は、製造例2を説明するための模式図である。図3の縦軸は、図2と同様である。製造例2では、ヒートゾーン20を1500℃にし、多孔質母材1の先端部1Bが0mmの位置にある状態から矢印bに示すように下降させ、先端部1Bが85mmの位置にある状態で10分間保持した。ヒートゾーン20内に挿入された先端部1Bの外径、すなわち、多孔質母材1の最下端から上方へ85mmの位置における外径は、中間部1Cの外径の40%であった。その後、ヒートゾーン20を1500℃に保ちながら、矢印cに示すように先端部1Bを下降させ、中間部1C等を透明化させた。製造例2の条件および結果は、後掲の表1に示す。
また、図4は、製造例1及び製造例2における先端部1Bの位置と所要時間との関係示すグラフである。
表1に示すように、製造例1において透明化されていなかった先端部1Bが、製造例2では透明化されている。また、図4に示すように、製造例2では、製造例1よりも常に先端部の位置が大きくなっていることから、早くトラバース終了位置に到達する。以上のことから、製造例2によれば、先端部1Bを透明化し易いだけではなく、製造時間をも短縮できることが分かる。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
1:多孔質母材
1A:上端部
1B:先端部(下端部)
1C:中間部
2:出発ガラスロッド
10:製造装置(加熱炉)
11:炉心管
12:ヒータ
13:支持棒
14:昇降装置
15:制御装置
16:処理ガス供給管
17:処理ガス排気管
20:ヒートゾーン
d1:中間部の外径
d2:先端部の外径
d3:炉心管の内径
1A:上端部
1B:先端部(下端部)
1C:中間部
2:出発ガラスロッド
10:製造装置(加熱炉)
11:炉心管
12:ヒータ
13:支持棒
14:昇降装置
15:制御装置
16:処理ガス供給管
17:処理ガス排気管
20:ヒートゾーン
d1:中間部の外径
d2:先端部の外径
d3:炉心管の内径
Claims (5)
- 多孔質母材を、ヒータを備えた加熱炉の上下方向に順次移動させることにより透明化を行う光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ヒータで加熱されたヒートゾーン内に前記多孔質母材の先端部を挿入させた状態で、透明化温度で一定時間保持するステップと、
前記保持するステップの後に、前記透明化温度で前記多孔質母材を下降させ、前記多孔質母材の中間部を透明化するステップと、
を備える、光ファイバ用母材の製造方法。 - 前記多孔質母材において、前記中間部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されており、前記先端部の径方向の中心部にはゲルマニウムが添加されていない領域を含む、
請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。 - 前記中間部の外径は200mm以上であり、
前記先端部は外径が前記中間部の外径の5%以下の部分である、
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ用母材の製造方法。 - 前記先端部は外径が前記中間部の外径の40%以下の部分である、
請求項3に記載の光ファイバ用母材の製造方法。 - 前記透明化するステップにおいて得られた透明ガラス母材の先端部に石英ダミー棒を溶着接続するステップと、
前記石英ダミー棒が溶着接続された前記透明ガラス母材を延伸するステップと、
をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021112677A JP2023009420A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 光ファイバ用母材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021112677A JP2023009420A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 光ファイバ用母材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023009420A true JP2023009420A (ja) | 2023-01-20 |
Family
ID=85118399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021112677A Pending JP2023009420A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 光ファイバ用母材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023009420A (ja) |
-
2021
- 2021-07-07 JP JP2021112677A patent/JP2023009420A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
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