JP3066962B2 - ガラス母材の延伸方法及び延伸装置 - Google Patents

ガラス母材の延伸方法及び延伸装置

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JP3066962B2
JP3066962B2 JP10274358A JP27435898A JP3066962B2 JP 3066962 B2 JP3066962 B2 JP 3066962B2 JP 10274358 A JP10274358 A JP 10274358A JP 27435898 A JP27435898 A JP 27435898A JP 3066962 B2 JP3066962 B2 JP 3066962B2
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昇次 星野
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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガラス母材
の外径修正等を行うための加工技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ファイバを製造するにあたり、
いきなり極細のファイバを作ると屈折率分布を最適に制
御するのが困難である等の理由から、まず第1段階とし
て、同じ屈折率分布を有する棒状の光ファイバ母材(プ
リフォーム)といわれるガラス母材が製造される。
【0003】このようなガラス母材の製造方法には、例
えばいわゆる外付けCVD法(OVD法)があり、これ
はコア母材の表面に光ファイバ原料の四塩化ケイ素等を
酸素、水素ガスとともに吹付け、酸水素バーナにより火
炎加水分解反応を起こさせてスートを堆積して多孔質母
材を形成し、これを脱水、焼結ガラス化を行ってガラス
母材を製造する。その他の製造方法にはVAD法あるい
はMCVD法等の製造方法がある。そして、得られたガ
ラス母材を次工程の線引機の設備に対応した外径、長さ
に修正するため、例えばガラス旋盤等で延伸する加工を
行っている。
【0004】このガラス母材の延伸は、例えば図3に示
すようなガラス旋盤といわれる延伸装置11を用い、ガ
ラス母材Wの長手方向両端部にガラス母材の保護等のた
めのダミーWdを溶着し、このダミーを一対のチャック
5、5で保持して回転させつつ、加熱源7をガラス母材
Wの長手方向に移動させながら加熱し、所望の径になる
ように左右のチャック5、5の間隔を開くように移動制
御して延伸加工をしている。ガラス母材外径制御の方法
としては、予め外径測定器8にてガラス母材Wの外径を
測定しておき、その外径測定により加熱源7の移動速
度、チャック5、5の移動速度、あるいは加熱源の熱量
等の加熱条件を設定する方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、このようなガラ
ス母材の延伸を行うにあたっては、まず加熱源とチャッ
クを停止させたまま、チャックに保持されたガラス母材
を溶融軟化する温度になるまで加熱源により予備加熱を
行い、次に加熱源とチャックを、延伸初期から延伸終了
まで一定移動速度で移動させることでガラス母材の延伸
を行っていた。
【0006】ところが、この方法によりガラス母材の延
伸を行うと、予備加熱から延伸を開始する延伸初期にお
いて、ガラス母材の予備加熱を行った部分が所望した外
径よりも大きくくびれて縮径してしまい、またこの細く
なった部分の隣の部分は逆に延伸縮径することができず
所望径より大きくふくらんでしまう。さらに、この状態
は交互に繰り返されるので、延伸初期においては径変動
が起こりやすいという問題があった。
【0007】ガラス母材のこのような径変動の起こった
部分は、製品として使用することが難しく、光ファイバ
等を製造する場合の品質や歩留りを大幅に悪化させる原
因となり、有効な解決手段が望まれていた。
【0008】そこで本発明は、上記ガラス旋盤のような
ガラス母材の延伸を行う場合において、延伸初期のガラ
ス母材の径変動を防止することができるガラス母材の延
伸方法及び延伸装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の請求項1に記載した発明は、ガラス母材の長手
方向両端部をそれぞれチャックで直接または間接的に保
持して、加熱源をガラス母材の長手方向に相対的に移動
させながら加熱し、チャックの間隔を拡げることにより
ガラス母材を延伸する方法において、延伸初期は加熱源
の相対的移動速度を定常時の移動速度より低くし、加熱
源が移動するに従って定常時の移動速度まで上昇させる
ことを特徴とするガラス母材の延伸方法である。
【0010】このように、ガラス母材を延伸する方法に
おいて、延伸初期は加熱源の相対的移動速度を定常時の
移動速度より低くし、加熱源が移動するに従って定常時
の移動速度まで上昇させるようにすれば、ガラス母材の
延伸初期において、加熱手段からの熱がガラス母材にス
ムーズに伝達されるためガラス母材の径変動を防止する
ことができる。
【0011】この場合、請求項2に記載したように、前
記加熱源の延伸初期の相対的移動速度を、延伸装置の制
御できる最低の速度とすることが好ましい。このよう
に、加熱源の延伸初期の相対移動速度を、延伸装置の制
御できる最低の速度とすれば、さらにスムーズに加熱手
段からの熱がガラス母材に伝達されるため、ガラス母材
の径変動を防止する効果はさらに大きなものとなる。
【0012】また、請求項3に記載したように、前記加
熱源の延伸初期の相対的移動速度を、加熱源が100〜
200mm移動する間に、定常時の移動速度まで上昇さ
せることが好ましい。これは、ガラス母材の予備加熱を
行った部分から100mm未満の範囲では、まだ径変動
が起きやすい範囲であり、200mmを越えると径変動
はあまり起こらないので効果は少なく、逆に時間の無駄
となるからである。
【0013】そして、本発明の請求項4に記載した発明
は、ガラス母材の長手方向両端部を直接または間接的に
保持し且つ対向方向に相対移動可能な一対のチャック
と、保持されたガラス母材の長手方向に沿って相対的に
移動可能となり且つガラス母材を加熱することが出来る
加熱源とを備えたガラス母材の延伸装置であって、延伸
初期は加熱源の相対的移動速度を定常時の移動速度より
低い速度に制御し、加熱源が移動するに従って定常時の
移動速度まで上昇させるように制御するものであること
を特徴とするガラス母材の延伸装置である。
【0014】このようにガラス母材の延伸装置におい
て、延伸初期は加熱源の相対的移動速度を定常時の移動
速度より低い速度に制御し、加熱源が移動するに従って
定常時の移動速度まで上昇させるように制御するもので
あれば、加熱源の熱がガラス母材にスムーズに伝達され
るため、ガラス母材の延伸初期における径変動を防止す
ることができる装置となる。
【0015】この場合、請求項5に記載したように、前
記加熱源の延伸初期の相対的移動速度は延伸装置の制御
できる最低速度であることが好ましく、また請求項6に
記載したように、前記加熱源の延伸初期の相対的移動速
度は、加熱源が100〜200mm移動する間に、定常
時の移動速度まで上昇させるように制御されることが好
ましい。
【0016】このような装置であれば、延伸初期のガラ
ス母材の径変動を防止する効果がより高い装置となり、
また延伸初期の加熱源の移動速度を低下させたことによ
って作業時間が長くなるのを最小限にすることができ
る。
【0017】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明は、ガラス母材を延伸する方法において、延伸初期
は加熱源の相対的移動速度を定常時の移動速度より低く
し、加熱源が移動するに従って定常時の移動速度まで上
昇させることにより、従来の方法では問題であった延伸
初期のガラス母材の径変動を防ぐことが可能であるとの
知見に基づき、諸条件を精査して完成に至ったものであ
る。
【0018】本発明者らは、まず従来法においてガラス
母材の延伸を行った場合に、どのようにしてガラス母材
の径変動が起こるかについて調査を行い、径変動が起こ
る過程及び原因について詳細に知ることができた。以
下、図4にガラス母材を延伸する際に径変動が生じる過
程を示した。
【0019】すなわち、予備加熱において加熱源を動か
さずに所定時間加熱を続けると、その加熱した部分のみ
ガラス母材が軟化し延伸し易くなる(図4(1))。そ
の状態で加熱源をいきなり定常時の速度で移動開始させ
ると、加熱源が移動した箇所に熱が十分に伝導されて予
備加熱した部分と同様に軟化し延伸し易くなるのにはあ
る程度時間がかかってしまう。一方、ガラス母材を保持
したチャックも定常時の速度で移動するため、その時加
熱源により加熱されている部分よりも、予備加熱された
部分の方が延伸されやすく、結果として予備加熱をした
部分が過剰に延伸されくびれが生じることになる(図4
(2))。そして、予備加熱をした部分が冷却して固化
すると、今度はその時加熱源により加熱されている部分
の延伸がより進行することになり、連続した径変動が続
くことになる(図4(3))。この径変動は延伸開始場
所から100mmの付近までで発生しやすく、この場所
より延伸が進むとガラス母材への熱供給・軟化の速さと
延伸の速度とのバランスがとれて定常状態となるので、
径変動は起こらなくなる(図4(4))。また、この径
変動は延伸する割合が大きいほど径変動も大きいことが
判った。
【0020】そこで本発明者らは、延伸初期に加熱源の
移動速度を定常時の速度より低くすることにより、延伸
初期におけるガラス母材への熱供給・軟化の速さと延伸
の速度とのバランスをとり、ガラス母材延伸初期の径変
動を防止することを発想した。図2は、本発明の方法に
よりガラス母材が延伸される様子を示したものである。
【0021】すなわち、本発明でも従来法と同様に予備
加熱を行うが(図2(1))、本発明の方法では、延伸
初期の加熱源の速度が定常時よりも低く抑えられるの
で、加熱源の移動した箇所にも十分に熱が伝導されて、
予備加熱した部分と同様に軟化し延伸し易くなり、くび
れの発生は最小限に抑えられる(図2(2))。そし
て、このバランスがとれた状態を崩さないように加熱源
の速度と延伸の速度を定常時の速度に徐々に上昇させて
いけば、延伸初期から定常時までガラス母材への熱供給
・軟化の速さと延伸の速度のバランスが保たれ、径変動
を防止することができる(図2(3))。
【0022】この場合、加熱源の速度変化と対応して延
伸の速度、つまり両チャックの間隔が拡がる速度も変化
させるべきである。具体的には、延伸前と延伸後のガラ
ス母材の物質収支が合うようにすれば良い。例えば、こ
こでガラス母材の延伸する前の元径をD1 、縮径する目
標径をD2 、加熱源の移動速度をv1 、延伸の速度をv
2 として、その時加熱された部分以外では延伸は起こら
ず、加熱延伸される部分は極めて小さいと仮定すると、 D1 21 =D2 2(v1 +v2 ) が成り立つので、これに従って延伸するガラス母材の元
径及び目標径から、加熱源の移動速度、延伸の速度を設
定するようにすれば良い。
【0023】本発明では、加熱源の移動速度をできるだ
け低速度から徐々に上昇させて定常時の移動速度にする
ことが好ましいが、実際に用いられる延伸装置の機能を
考慮すると、使用される延伸装置が制御できる最低の速
度とすることが好ましい。
【0024】また、加熱源は100〜200mmの距離
を移動する間に、定常時の移動速度まで上昇させること
が好ましい。100mm移動する前では、前述のように
まだ径変動が起こる範囲であり、200mm移動した後
では、もはや径変動は起こらず、却って時間の無駄とな
ってしまうからである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付
した図面に基づき説明する。ここで図1は本発明の加工
装置の一例を正面から見た概略構成図である。本発明に
係るガラス母材の延伸装置は、例えば外付けCVD法
(OVD法)や、VAD法あるいはMCVD法等で作製
されたガラス母材を、所定の長さ、所定の外径に延伸す
るような加工工程に適用され、従来の装置では発生して
いた延伸初期の径変動の発生を防止し得るように構成さ
れている。
【0026】本発明の加工装置1は、従来のガラス旋盤
を基本とした構成にしており、図1に示すように、機台
2上の長手方向に沿って対向配置され且つ不図示の相対
移動機構によって相互間隔が調整自在な左右一対のコラ
ム3、4と、各コラム3、4の前面側に取付けられる各
チャック5、5と、機台2の長手方向に沿って移動自在
な移動台6と、装置1の作動を制御する制御コンピュー
タ9を備えており、前記移動台6には、両チャック5、
5で保持されるガラス母材Wの表面に向けて火炎を吹き
付けることにより加熱することができる加熱源7と、ガ
ラス母材Wの外径を測定する外径測定器8が取付けられ
ている。
【0027】またガラス母材Wの両端には、後述する要
領で溶着されるダミーWdが一体化されており、前記チ
ャック5、5で保持する際、ダミーWdを掴むことで間
接的に保持されるようにしている。そしてこのダミーW
dを掴むことによって、直接ガラス母材Wの両端部を掴
んで傷を発生させるような不具合を防止するようにして
いる。また、チャック5、5で保持されたガラス母材W
は、駆動モータによって軸周りに回転自在にされてい
る。
【0028】前記加熱源7は、酸素、水素ガスを燃焼さ
せてガラス母材Wの表面に酸水素火炎を吹き付けること
が出来るようにされ、ガラス母材Wを加熱して軟化さ
せ、延伸による外径修正が行えるようになっている。
【0029】さらに、移動台6の駆動用モータ、コラム
3、4の相対移動機構駆動用モータさらにチャック5、
5の回転駆動用モータと外径測定器8は、それぞれ制御
コンピュータ7に接続され、外径測定器8からの情報に
より、加熱源7の移動速度、延伸速度、及びガラス母材
Wの回転速度を制御することにより、本発明の延伸方法
を実施し得るようになっている。
【0030】次に、以上のような装置1による本発明の
延伸方法について説明する。まず、ガラス母材Wの両端
にダミーWdを溶着する。このダミーWdの溶着は、例
えば右側チャック5でダミーWdを掴むと同時に、左側
チャック5でガラス母材Wを掴み、両者を駆動モータで
回転させながら加熱源7によりダミーWdとガラス母材
Wの接合部を同時に加熱して軟化させ溶着接合した後、
一体化された接合物を右側チャック5で保持し、左側チ
ャック5で新たなダミーWdを掴み、同様な手順でガラ
ス母材Wの他端側にダミーWdを溶着する。因みに、以
上の操作は殆ど手動で行われる。
【0031】次に、両方のチャック5、5でそれぞれの
ダミーWdを掴んだ状態で、ガラス母材Wの延伸加工が
行われる。この延伸加工は自動制御され、まずチャック
5、5のみが回転することによってガラス母材Wを所定
の速度で回転させ、移動台6及びコラム3、4は停止し
たままとされる。この状態で加熱源7によりガラス母材
Wの予備加熱が所定時間行われて、ガラス母材Wの所定
部位が溶融軟化され、延伸可能な状態とされる。
【0032】そして延伸初期において、移動台6は制御
可能な最低の速度で移動を開始する。そしてコラム3、
4も、この移動台6の移動速度(加熱源7の移動速度)
に対応した定常時より低い速度でガラス母材Wの延伸を
開始する。その後、移動台6の移動速度は100〜20
0mmの距離を移動する間に定常時の移動速度まで上昇
されるように制御され、コラム3、4の延伸速度も移動
台6の速度に対応して上昇されるように制御される。本
装置1では、このようにガラス母材の延伸を行うため、
延伸初期でのガラス母材の径変動を防ぐことができる。
【0033】そして所望の外径に延伸されると、両端の
ダミーWdを取り除く準備として、ガラス母材Wの両端
部を絞り加工して径を細くし、最終的に装置から取外し
て溶断(別のガスバーナで加熱して切り離す)する時の
作業の容易化を図るようにしている。そして、その後の
火炎研磨加工等の一連の加工工程が終了すると、ガラス
母材Wが冷却するのを待って装置から取外し、両端の絞
り加工した部分を別のガスバ−ナで加熱溶融させて切り
離し、両端のダミーWdを取り除く。
【0034】
【実施例】次に本発明の実施例と比較例について説明す
る。(実施例1、比較例1)図1に示す延伸装置を用い
て石英ガラス母材の延伸を行った。外径が65mmφ、長
さ980mmの光ファイバ母材Wの両端に、外径が60mm
φ、長さ250mmのダミーWdを前記要領で溶着した。
この溶着時の光ファイバ母材WとダミーWdの軸周りの
回転数は30rpm であり、加熱源7としては、酸水素バ
ーナを用いた。加熱源7から供給される酸素ガスは13
0リットル/min 、水素ガスは300リットル/min で
あった。
【0035】そして、前記所定の予備加熱を行った後、
実施例1として加熱源7を図5に示すように、装置1の
制御できる最低移動速度である4mm/min から、定常時
の移動速度である13mm/min まで定加速度で増速する
ように制御しつつ移動させ、加熱源の移動速度に対応し
て延伸速度を制御し、目標径である50mmの外径になる
ようにガラス母材の延伸を行った。
【0036】一方、比較例1として加熱源7を図5に示
すように、延伸初期から定常時の移動速度である13mm
/min で定速移動させて、同様にガラス母材の延伸を行
った。そして、実施例1と比較例1の延伸したガラス母
材の最小径(くびれの起った部分)を測定して目標径に
対する縮径率を算出して比較した。その結果を表1に示
す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、実施例1の延伸されたガラス母
材の最小径は48mmであり、目標径に対する縮径率は
4.0%と、延伸初期の径変動を防止できることが判
る。一方、比較例1の延伸されたガラス母材の最小径は
42mmであり、目標径に対する縮径率は16%と大きな
ものとなった。この縮径が起こった部分は製品として使
うことができず、歩留りの低下が予想される。
【0039】(実施例2、比較例2)図1に示す延伸装
置を用いて石英ガラス母材の延伸を行った。外径が55
mmφ、長さ980mmの光ファイバ母材Wの両端に、外径
が50mmφ、長さ250mmのダミーWdを前記要領で溶
着した。この溶着時の光ファイバ母材WとダミーWdの
軸周りの回転数は30rpm であり、加熱源7としては、
酸水素バーナを用いた。加熱源7から供給される酸素ガ
スは100リットル/min 、水素ガスは210リットル
/min であった。
【0040】そして、前記所定の予備加熱を行った後、
実施例2として加熱源7を図5に示すように、装置1の
制御できる最低移動速度である4mm/min から、定常時
の移動速度である12mm/min まで定加速度で増速する
ように制御しつつ移動させ、加熱源の移動速度に対応し
て延伸速度を制御し、目標径である40mmの外径になる
ようにガラス母材の延伸を行った。
【0041】一方、比較例2として加熱源7を図5に示
すように、延伸初期から定常時の移動速度である12mm
/min で定速移動させて、同様にガラス母材の延伸を行
った。そして、実施例2と比較例2の延伸したガラス母
材の最小径を測定して目標径に対する縮径率を算出して
比較した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2より、実施例2の延伸されたガラス母
材の最小径は39mmであり、目標径に対する縮径率は
2.5%と、延伸初期の径変動を防止できることが判
る。一方、比較例2の延伸されたガラス母材の最小径は
34mmであり、目標径に対する縮径率は15%と大きな
ものとなった。この縮径が起こった部分は製品として使
うことができず、歩留りの低下が予想される。
【0044】尚、本発明は、上記実施形態に限定される
ものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】例えば、上記実施形態では、いわゆるガラ
ス旋盤と呼ばれる装置であって、加熱源がガラス母材に
対して移動し加熱する形式のものを中心に説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、本発明で加熱
源の移動及び加熱源の移動速度とは、あくまでもガラス
母材に対する相対的移動及び相対的速度のことである。
従って、例えば加熱源はガラス母材を囲繞する円筒型の
固定されたヒータであって、ガラス母材の方がヒータ内
を通過移動することにより加熱・延伸されるような形式
のものであっても良く本発明の範囲に含まれるものであ
る。
【0046】また、このような形式の延伸装置には、ガ
ラス母材の両端をチャックで保持する形式ではなく、ロ
ーラ等で母材を引き取ることにより延伸する形式の装置
もあるが、このような延伸装置であっても実質的に本発
明の技術思想を適用することができ、本発明の範囲に含
まれる。また、ガラス母材を水平にして保持する場合だ
けではなく、垂直にして保持する場合も本発明の範囲に
含まれることはいうまでもない。
【0047】また、延伸初期における加熱源の移動速度
の上昇は、上記実施形態で示したような定加速度による
速度上昇に限られるものではなく、例えば移動速度を4
mm/min 、6mm/min 、8mm/min とステップ状に変化
させても良いし、あるいは延伸開始時は加速度を低く設
定し、加熱源が移動するにつれて加速度を上昇させるよ
うにしても良い。いずれにしても、延伸初期の加熱源の
相対的移動速度を定常時の移動速度より低くし、加熱源
が移動するに従って定常時の移動速度まで上昇させるも
のであれば、本発明の範囲に含まれる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではガラス
母材を延伸するにあたって、延伸初期の加熱手段の移動
速度を定常時より低くし、加熱源が移動するに従って定
常時の移動速度まで上昇させることにより、延伸初期の
径変動を防止することができ、光ファイバ等を製造する
際の歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の延伸装置を正面から見た概略構成図で
ある。
【図2】(1)〜(3)は、本発明の延伸方法によりガ
ラス母材が延伸される様子を示した図である。
【図3】従来の延伸装置を正面から見た概略構成図であ
る。
【図4】(1)〜(4)は、従来の延伸方法によりガラ
ス母材が延伸される様子を示した図である。
【図5】実施例における加熱源の移動速度の変化を示し
た図である。
【符号の説明】
1、11…延伸装置、 2…機台、 3…コラム、 4
…コラム、5…チャック、 6…移動台、 7…加熱
源、 8…外径測定器、9…制御コンピュータ、W…光
ファイバ母材、 Wd…ダミー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 秀紀 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (72)発明者 星野 昇次 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 群馬事業所内 (72)発明者 島田 忠克 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (72)発明者 平沢 秀夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−83726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/012

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス母材の長手方向両端部をそれぞれ
    チャックで直接または間接的に保持して、加熱源をガラ
    ス母材の長手方向に相対的に移動させながら加熱し、チ
    ャックの間隔を拡げることによりガラス母材を延伸する
    方法において、 延伸初期は加熱源の相対的移動速度を定常時の移動速度
    より低くし、加熱源が移動するに従って定常時の移動速
    度まで上昇させることを特徴とするガラス母材の延伸方
    法。
  2. 【請求項2】 前記加熱源の延伸初期の相対移動速度
    を、延伸装置の制御できる最低の速度とすることを特徴
    とする請求項1に記載のガラス母材の延伸方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱源の延伸初期の相対移動速度
    を、加熱源が100〜200mm移動する間に、定常時
    の移動速度まで上昇させることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載のガラス母材の延伸方法。
  4. 【請求項4】 ガラス母材の長手方向両端部を直接また
    は間接的に保持し且つ対向方向に相対移動可能な一対の
    チャックと、保持されたガラス母材の長手方向に沿って
    相対的に移動可能となり且つガラス母材を加熱すること
    が出来る加熱源とを備えたガラス母材の延伸装置であっ
    て、 延伸初期は加熱源の相対的移動速度を定常時の移動速度
    より低い速度に制御し、加熱源が移動するに従って定常
    時の移動速度まで上昇させるように制御するものである
    ことを特徴とするガラス母材の延伸装置。
  5. 【請求項5】 前記加熱源の延伸初期の相対的移動速度
    は延伸装置の制御できる最低速度であることを特徴とす
    る請求項4に記載のガラス母材の延伸装置。
  6. 【請求項6】 前記加熱源の延伸初期の相対的移動速度
    は、加熱源が100〜200mm移動する間に、定常時
    の移動速度まで上昇させるように制御されることを特徴
    とする請求項4または請求項5に記載のガラス母材の延
    伸装置。
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