JP2023008789A - 接着剤層形成用組成物、積層体、積層体の製造方法および積層体の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】355nmのレーザー照射による被着体の剥離が容易であり、かつ被着体の接着剤層への接着性および耐溶剤性が良好な接着剤層形成用組成物を提供すること。【解決手段】支持体と被着体とを接着し、かつ、光を照射されることにより前記支持体と前記被着体とを分離可能とする接着剤層を形成するための接着剤層形成用組成物に関する。前記組成物は、(A)不飽和基含有重合性化合物と、(B)紫外線吸収剤と、(F)溶剤と、を含み、前記(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、接着剤層形成用組成物、積層体、積層体の製造方法および積層体の処理方法に関する。
(第1の開示に関する背景技術)
近年、デジタル機器などの高機能化に伴い、搭載されるフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどの薄型化が進んでいる。しかし、薄型化によって強度が低下したフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどを、従来の自動搬送で搬送することは困難である。
近年、デジタル機器などの高機能化に伴い、搭載されるフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどの薄型化が進んでいる。しかし、薄型化によって強度が低下したフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどを、従来の自動搬送で搬送することは困難である。
そこで、薄型化されたフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどを安全かつ容易に搬送するための方法が検討されている。たとえば、ガラス基板等の光透過性の支持体上に接着剤層を介してフレキシブルディスプレイおよび半導体チップなど被着体を固定した積層体を作成し、この積層体ごと、上記フレキシブルディスプレイおよび半導体チップなどを搬送する方法が検討されている。このとき、上記接着剤層として、光を照射されると変質または分解して接着力が低減する組成物を使用することがある。上記接着剤層を用いると、搬送後に、支持体側から接着剤層に向けて光を照射することにより、被着体を支持体から分離(剥離)して、たとえば他の基板に転写することができる(レーザーリフトオフプロセス、以下単に「LLOプロセス」ともいう。)。
LLOプロセスを可能とする接着剤用の組成物として、特許文献1には、9,9’-ジフェニルフルオレン(カルド)構造および不飽和基を有する硬化性樹脂を溶媒に溶解させた組成物が記載されている。特許文献1には、この組成物をガラス支持体上に塗布し、加熱して形成された接着層は、308nmの波長を有するレーザーの照射によって被着体からガラス支持体を容易に剥離することができたと記載されている。また、特許文献1には、ベンゾトリアゾール構造を有する樹脂を溶媒に溶解させた組成物をガラス支持体上に塗布し、加熱して形成された接着層は、355nmの波長を有するレーザーの照射によって被着体からガラス支持体を容易に剥離することができたと記載されている。
また、特許文献2には、上記接着剤用の組成物として、カルド構造および不飽和基を含有する硬化性樹脂と、光重合性モノマーと、光吸収剤(カーボンブラック)と、を有する感光性組成物が記載されている。この感光性組成物は、ガラス支持体上に塗布し、加熱して形成された硬化膜の、被着体への接着性に優れていたと、特許文献2には記載されている。
(第2の開示に関する背景技術)
また、デジタルカメラ、カメラ付きの携帯電話等の撮像装置には、CCD(charge coupled device)イメージセンサやCMOS(complementaly metal-oxide semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子が搭載されている。上記イメージセンサは、集光率の向上を目的として、微細な集光レンズ(マイクロレンズ)を有する。近年では、上記イメージセンサの高画素化、高感度化、微細化が求められており、それらに対応し得るマイクロレンズ用の材料の開発が行われている。
また、デジタルカメラ、カメラ付きの携帯電話等の撮像装置には、CCD(charge coupled device)イメージセンサやCMOS(complementaly metal-oxide semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子が搭載されている。上記イメージセンサは、集光率の向上を目的として、微細な集光レンズ(マイクロレンズ)を有する。近年では、上記イメージセンサの高画素化、高感度化、微細化が求められており、それらに対応し得るマイクロレンズ用の材料の開発が行われている。
たとえば、特許文献3には、ガラス転移温度(Tg)が70℃以下であるアルカリ可溶性樹脂および感光剤を含む、マイクロレンズパターンの形成に用いられる樹脂組成物が開示されている。特許文献3によると、上記樹脂組成物は、低温(60~100℃)の熱フローによっても微細なドットパターンを形成することができるとされている。特許文献3には、上記樹脂組成物は、露光部を除去するポジ型のパターン形成により、マイクロレンズパターンを形成できると記載されている。
また、特許文献4には、シロキサン樹脂、金属含有粒子、およびエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物を含むシロキサン樹脂組成物が開示されている。特許文献4によると、上記シロキサン樹脂組成物は、金属含有粒子に含まれるTiとZrの比率を特定の範囲にすることにより、シロキサン樹脂組成物の硬化物の高屈折率を維持しつつ、耐光性をより高めることができるとされている。特許文献4には、上記シロキサン樹脂組成物は、未露光部を除去するネガ型のパターン形成により、マイクロレンズパターンを形成できると記載されている。
(第1の課題)
従来、LLOプロセスに用いる接着剤の開発は、エネルギーが高く加工性に優れた短波長レーザー(波長248nmおよび266nmなど)による被着体の剥離が可能な組成を中心に検討が進められてきた。しかし、これらの波長のレーザーで加工するためには、短波長領域の透過性が高い石英ガラスやサファイア基板などの、高価な材料からなる支持体を用いる必要がある。そのため、従来のLLOプロセスには、ランニングコストが高くなるという問題があった。そこで、より安価な透明ガラスを使用できるようにするため、より長波長のレーザー(たとえば355nmなど)による被着体の剥離が可能な接着剤層の開発が要求されている。
従来、LLOプロセスに用いる接着剤の開発は、エネルギーが高く加工性に優れた短波長レーザー(波長248nmおよび266nmなど)による被着体の剥離が可能な組成を中心に検討が進められてきた。しかし、これらの波長のレーザーで加工するためには、短波長領域の透過性が高い石英ガラスやサファイア基板などの、高価な材料からなる支持体を用いる必要がある。そのため、従来のLLOプロセスには、ランニングコストが高くなるという問題があった。そこで、より安価な透明ガラスを使用できるようにするため、より長波長のレーザー(たとえば355nmなど)による被着体の剥離が可能な接着剤層の開発が要求されている。
しかし、従来知られている接着剤組成物は、355nmにおける透過率が高く、レーザー照射による被着体の剥離が困難であった。なお、特許文献1には355nmのレーザーの照射によって被着体の剥離が可能な組成物が記載されているが、本発明者らの知見によれば、この組成物は、被着体の接着剤層への接着強度が低かったり、硬化膜の耐溶剤性が低かったりする、という問題を有している。
本明細書における第1の開示に関する発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、355nmのレーザー照射による被着体の剥離が容易であり、かつ被着体の接着剤層への接着性および耐溶剤性が良好な接着剤層形成用組成物、当該接着剤層形成用組成物を用いて支持体と被着体とを接着してなる積層体、ならびに当該積層体の製造方法および処理方法を提供することを目的とする。
上記第1の開示に関する課題を解決するための本発明の一態様は、支持体と被着体とを接着し、かつ、光を照射されることにより前記支持体と前記被着体とを分離可能とする接着剤層を形成するための接着剤層形成用組成物に関する。前記組成物は、(A)不飽和基含有重合性化合物と、(B)紫外線吸収剤と、(F)溶剤と、を含み、前記(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である。
上記第1の開示に関する課題を解決するための本発明の別の態様は、支持体と、被着体と、前記支持体と前記被着体との間に配置された前記接着剤層形成用組成物の硬化物を含む接着剤層と、を有する積層体に関する。
上記第1の開示に関する課題を解決するための本発明のさらに別の態様は、支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、前記接着剤層形成用組成物を付与して接着剤層を形成する工程と、前記形成された接着剤層を介して、前記支持体と前記被着体とを接着させる工程と、を含む積層体の製造方法に関する。
上記第1の開示に関する課題を解決するための本発明のさらに別の態様は、前記積層体を準備する工程と、前記接着剤層に光を照射して前記支持体と前記被着体とを分離する工程と、を有する、積層体の処理方法に関する。
本明細書における第1の開示に関する発明によれば、355nmのレーザー照射による被着体の剥離が容易であり、かつ被着体の接着剤層への接着性および耐溶剤性が良好な接着剤層形成用組成物、当該接着剤層形成用組成物を用いて支持体と被着体とを接着してなる積層体、ならびに当該積層体の製造方法および処理方法が提供される。
本明細書における第2の開示に関する発明によれば、使用できる樹脂の限定が少なく、かつ現像時に残渣が生じにくいマイクロレンズ形成用組成物、当該組成物を用いたマイクロレンズの製造方法、当該組成物を硬化してなる硬化膜、当該マイクロレンズを備えた固体撮像素子および当該固体撮像素子を有する撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本発明において、各成分の含有量について、小数第一位が0であるときは、小数点以下の表記を省略することがある。また、これ以降に例示する化合物または官能基もしくは構造は、特に言及されない限り、例示されたもののうち1種類のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
上記第1の課題を解決するための、本明細書における第1の開示は、
(A)不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である、硬化性の接着剤層形成用組成物に関する。
(A)不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である、硬化性の接着剤層形成用組成物に関する。
また、後述する第2の課題を解決するための本明細書における第2の開示は、
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物に関する。
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物に関する。
これらの組成物は、使用する材料が共通しているため、まず使用する材料について説明し、その後、当該材料を用いたそれぞれの組成物の好ましい態様について説明する。
1.材料
1-1.(A)不飽和基含有重合性化合物
(A)不飽和基含有重合性化合物(以下、単に「(A)成分」ともいう。)は、重合性不飽和基を有し、熱および光などの刺激により重合性不飽和基が重合反応を生じて硬化する化合物である。
1-1.(A)不飽和基含有重合性化合物
(A)不飽和基含有重合性化合物(以下、単に「(A)成分」ともいう。)は、重合性不飽和基を有し、熱および光などの刺激により重合性不飽和基が重合反応を生じて硬化する化合物である。
(A)成分は、それぞれの組成物を硬化してなる硬化膜の、被着体または基材への接着性および耐溶剤性を高める。
(A)成分は、被着体または基材への接着性および耐溶剤性を確保できるものであればよく、アルカリ可溶性樹脂やアクリル樹脂などの公知の不飽和基含有重合性化合物とすることができる。
(A)成分は、アルカリ可溶性樹脂である(A1)成分と、アルカリ可溶性基を有さないその他の不飽和基含有重合性化合物である(A2)成分に大別される。
(A1)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、1分子中に重合性不飽和基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)と、アルカリ可溶性を発現するための酸性基(アルカリ可溶性基)を有していることが好ましく、重合性不飽和基とカルボキシ基との両方を含有していることがより好ましい。上記樹脂であれば、特に限定されることなく、広く使用することができる。上記アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基とカルボキシ基とを併せ持つため、それぞれの組成物のパターニングが必要な際に、優れた光硬化性を与えるほか、良好な現像性およびパターニング特性を与える。
本実施の形態に係る(A1)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、さらに多塩基酸カルボン酸またはその無水物と反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の製造時に、ヒドロキシ基と多塩基酸カルボン酸との反応でポリエステルが生成するが、その平均の重合度は2~500程度の低分子量が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、これらの一方または両方を意味する。
上記エポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であることが好ましい。このようなエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物(たとえば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(たとえば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ビフェニル型エポキシ化合物(たとえば、jER YX4000:三菱ケミカル株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリル基を有するモノマーの共重合体、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(たとえば、セロキサイド 2021P:株式会社ダイセル製)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(たとえば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製)、四国化成工業株式会社製のHiREM-1に代表されるエポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(たとえば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(たとえば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)、エポキシ化ポリブタジエン(たとえば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製)、およびシリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
(A1)成分であるアルカリ可溶性樹脂としては、アクリル共重合体も好ましく用いられる。
アクリル共重合体の例には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体であって、(メタ)アクリロイル基およびカルボキシ基を有する樹脂が含まれる。上記樹脂の例には、グリシジル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリル酸エステル類を溶剤中で共重合させて得られた共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させ、最後にジカルボン酸またはトリカルボン酸の無水物を反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂が含まれる。上記共重合体は、特開2014-111722号公報に示されている、両端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化されたジエステルグリセロールに由来する繰返し単位20~90モル%、およびこれと共重合可能な1種類以上の重合性不飽和化合物に由来する繰返し単位10~80モル%で構成され、数平均分子量(Mn)が2000~20000かつ酸価が35~120mgKOH/gである共重合体、および特開2018-141968号公報に示されている、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来するユニットと、(メタ)アクリロイル基およびジまたはトリカルボン酸残基を有するユニットと、を含む、重量平均分子量(Mw)3000~50000、酸価30~200mg/KOHの重合体である重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂を参考にできる。
硬化膜の耐熱性、耐溶剤性および被着体または基材への密着性をより高める観点からは、(A1)成分は複数個の芳香環を有することが好ましく、フルオレン構造を含む繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましく、ビスアリールフルオレン骨格を含む繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂であることがさらに好ましい。たとえば、(A1)成分は、下記一般式(1)で表される樹脂であることが好ましい。
式(1)中、Arは、独立して炭素数6以上14以下の芳香族炭化水素基であり、Arを構成する水素原子の一部は、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基またはアリールアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、またはハロゲン基で置換されていてもよい。R1は、独立して炭素数2以上4以下のアルキレン基である。lは、独立して0以上3以下の数である。Gは、独立して(メタ)アクリロイル基、または下記一般式(2)もしくは下記一般式(3)で表される置換基である。Yは、4価のカルボン酸残基である。Zは、独立して水素原子または下記一般式(4)で表される置換基であり、Zの少なくとも1個は下記一般式(4)で表される置換基である。nは、平均値が1以上20以下の数である。
式(2)および(3)中、R2は、水素原子またはメチル基であり、R3は、炭素数2以上10以下のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R4は、炭素数2以上20以下の飽和または不飽和の炭化水素基であり、pは、0以上10以下の数である。
式(4)中、Wは、2価または3価のカルボン酸残基であり、mは1または2の数である。
一般式(1)で表される樹脂は、以下の方法で合成することができる。
まず、下記一般式(5)で表される、1分子内にいくつかのアルキレンオキサイド変性基を有してもよい、ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物(a-1)(以下、単に「エポキシ化合物(a-1)」ともいう。)に、(メタ)アクリル酸、下記一般式(6)で表される(メタ)アクリル酸誘導体、および下記一般式(7)で表される(メタ)アクリル酸誘導体の少なくとも1種を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレートであるジオール化合物を得る。なお、上記ビスアリールフルオレン骨格は、ビスナフトールフルオレン骨格またはビスフェノールフルオレン骨格であることが好ましい。
式(5)中、Arは、それぞれ独立して、炭素数6以上14以下の芳香族炭化水素基であり、Arを構成する水素原子の一部は、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基またはアリールアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、またはハロゲン基で置換されていてもよい。R1は、独立して炭素数2以上4以下のアルキレン基である。lは、独立して0以上3以下の数である。
式(6)、(7)中、R2は、水素原子またはメチル基であり、R3は、炭素数2以上10以下のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R4は、炭素数2以上20以下の飽和または不飽和の炭化水素基であり、pは、0以上10以下の数である。
上記エポキシ化合物(a-1)と(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応は、公知の方法を使用することができる。たとえば、特開平4-355450号公報には、2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物1モルに対し、約2モルの(メタ)アクリル酸を使用することにより、重合性不飽和基を含有するジオール化合物が得られることが記載されている。本実施形態において、上記反応で得られる化合物は、下記一般式(8)で表される重合性不飽和基を含有するジオール(d)(以下、単に「ジオール(d)」ともいう。)である。
式(8)中、Arは、それぞれ独立して、炭素数6以上14以下の芳香族炭化水素基であり、Arを構成する水素原子の一部は、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基またはアリールアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、またはハロゲン基で置換されていてもよい。Gは、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイル基、一般式(2)または一般式(3)で表される置換基であり、R1は、独立して炭素数2以上4以下のアルキレン基である。lは、独立して0以上3以下の数である。
式(2)および(3)中、R2は、水素原子またはメチル基であり、R3は、炭素数2以上10以下のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R4は、炭素数2以上20以下の飽和または不飽和の炭化水素基であり、pは、0以上10以下の数である。
次に、上記得られるジオール(d)と、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはその酸一無水物(b)と、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)とを反応させて、一般式(1)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有する不飽和基含有硬化性樹脂を得ることができる。
上記酸成分は、ジオール(d)分子中の水酸基と反応し得る多価の酸成分である。一般式(1)で表される樹脂を得るためには、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)と、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)と、を併用することが必要である。上記酸成分のカルボン酸残基は、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基のいずれでもよい。また、これらのカルボン酸残基には-O-、-S-、カルボニル基などのヘテロ元素を含む結合を含んでいてもよい。
上記ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)の例には、鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸、脂環式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸、芳香族炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸、およびこれらの酸一無水物などが含まれる。
上記鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、およびジグリコール酸など、ならびに任意の置換基が導入されたこれらのジカルボン酸またはトリカルボン酸などが含まれる。
上記脂環式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、ヘキサヒドロトリメリット酸およびノルボルナンジカルボン酸など、ならびに任意の置換基が導入されたこれらのジカルボン酸またはトリカルボン酸などが含まれる。
上記芳香族炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、およびトリメリット酸など、ならびに任意の置換基が導入されたこれらのジカルボン酸またはトリカルボン酸が含まれる。
上記ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸は、これらのうち、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸、およびトリメリット酸が好ましく、コハク酸、イタコン酸、およびテトラヒドロフタル酸がより好ましい。
上記ジカルボン酸またはトリカルボン酸は、その酸一無水物を用いることが好ましい。
上記テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)の例には、鎖式炭化水素テトラカルボン酸、脂環式炭化水素テトラカルボン酸、芳香族炭化水素テトラカルボン酸、およびこれらの酸二無水物などが含まれる。
上記鎖式炭化水素テトラカルボン酸の例には、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸、ならびに、脂環式炭化水素基および不飽和炭化水素基などの置換基が導入されたこれらの鎖式炭化水素テトラカルボン酸などが含まれる。
上記脂環式炭化水素テトラカルボン酸の例には、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、およびノルボルナンテトラカルボン酸、ならびに、鎖式炭化水素基および不飽和炭化水素基などの置換基が導入されたこれらの脂環式テトラカルボン酸などが含まれる。
上記芳香族炭化水素テトラカルボン酸の例には、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、およびナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸などが含まれる。
上記テトラカルボン酸は、これらのうち、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸が好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸がより好ましい。
上記テトラカルボン酸は、その酸二無水物を用いることが好ましい。
また、上記テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)のかわりに、ビス無水トリメリット酸アリールエステル類を用いることもできる。ビス無水トリメリット酸アリールエステル類とは、たとえば国際公開第2010/074065号に記載された方法で製造される化合物であり、構造的には芳香族ジオール(ナフタレンジオール、ビフェノール、およびターフェニルジオールなど)の2個のヒドロキシル基と2分子の無水トリメリット酸のカルボキシ基がそれぞれ反応してエステル結合した形の酸二無水物である。
ジオール(d)と酸成分(b)および(c)との反応方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。たとえば、特開平9-325494号公報には、反応温度が90~140℃でエポキシ(メタ)アクリレートとテトラカルボン酸二無水物を反応させる方法が記載されている。
このとき、化合物の末端がカルボキシ基となるように、エポキシ(メタ)アクリレート(ジオール(d))、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)、およびテトラカルボン酸二無水物(c)のモル比が、(d):(b):(c)=1.0:0.01~1.0:0.2~1.0となるように反応させることが好ましい。
たとえば、酸一無水物(b)、酸二無水物(c)を用いる場合には、ジオール(d)に対する酸成分の量〔(b)/2+(c)〕のモル比[〔(b)/2+(c)〕/(d)]が0.5より大きく1.0以下となるように反応させることが好ましい。上記モル比が1.0以下だと、一般式(1)で表される不飽和基含有硬化性樹脂の末端が酸無水物とならないので、未反応酸二無水物の含有量が増大するのを抑制して、それぞれの組成物の経時安定性を高めることができる。また、上記モル比が0.5より大きいと、重合性不飽和基を含有するジオール(d)のうち未反応の成分の残存量が増大するのを抑制して、それぞれの組成物の経時安定性を高めることができる。なお、一般式(1)で表される不飽和基含有硬化性樹脂の酸価、分子量を調整する目的で、(b)、(c)および(d)の各成分のモル比を、上述の範囲で任意に変更することができる。
なお、ジオール(d)の合成、およびそれに続く多価カルボン酸またはその無水物の反応は、通常、溶媒中で必要に応じて触媒を用いて行う。
上記溶媒の例には、エチルセロソルブアセテート、およびブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、ジグライム、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの高沸点のエーテル系またはエステル系の溶媒、ならびに、シクロヘキサノン、およびジイソブチルケトンなどのケトン系溶媒等が含まれる。なお、使用する溶媒、触媒等の反応条件に関しては特に制限されないが、たとえば、水酸基を持たず、反応温度より高い沸点を有する溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
また、エポキシ基とカルボキシ基またはヒドロキシル基との反応は、触媒を使用して行うことが好ましい。上記触媒として、特開平9-325494号公報には、テトラエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、およびトリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィンなどのホスフィン類などが記載されている。
一般式(1)で表される不飽和基含有硬化性樹脂は、酸価が50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が50mgKOH/g以上であると、アルカリ現像時に残渣が残りにくくなり、200mgKOH/g以下であると、アルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎないので、剥離現像を抑制することができる。なお、酸価は、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めることができる。
(A1)成分のアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1000以上40000以下であることが好ましく、1500以上30000以下であることがより好ましく、2000以上15000以下であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が1000以上であると、支持体と被着体との密着性を向上させることができる。また、重量平均分子量(Mw)が40000以下であると、塗布に好適な組成物の溶液粘度に調整しやすく、支持体または被着体の表面への塗布に時間を要しすぎることがなく、被着体への接着性がより高まりやすい。接着強度を重視する場合には、重量平均分子量(Mw)は1000以上4500以下であることが好ましい。
(A2)成分であるその他の不飽和基含有重合性化合物(以下、単に「(A2)成分」ともいう。)は、2個以上の重合性不飽和基を有し、熱および光などの刺激により重合反応を生じる、アルカリ可溶性基を有さない化合物である。
(A2)成分は、それぞれの組成物を硬化してなる硬化膜の、被着体または基材への接着強度および耐溶剤性を高めるほか、露光感度および現像性を良好なものとすることができる。(A2)成分は、(A1)成分が有する重合性不飽和基、または他の(A2)成分の分子が有する重合性不飽和基、と反応(重合)し得る重合性不飽和基を少なくとも2個以上有すればよい。上記重合性不飽和基は、(A1)成分と併用するときは(A1)成分が有する重合性不飽和基と同一の官能基であることが好ましい。具体的には、上記重合性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。なお、(A2)成分は、モノマーであってもよいし、オリゴマー、ポリマーであってもよい。(A1)成分と併用するときは、(A2)成分は、モノマーまたはオリゴマーであることが好ましい。
(A2)成分の例には、
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、の(メタ)アクリル酸エステル類;
ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどのウレタンアクリレートモノマー類;
ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジフェニルフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールアラルキル型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート;ならびに
エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリル基を有する樹枝状ポリマーなどが含まれる。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、の(メタ)アクリル酸エステル類;
ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどのウレタンアクリレートモノマー類;
ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジフェニルフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールアラルキル型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート;ならびに
エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリル基を有する樹枝状ポリマーなどが含まれる。
(A2)成分は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。上記(A2)成分が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することにより、架橋密度が向上し、硬化膜の耐溶剤性が向上する。
1-2.(B)紫外線吸収剤
[(B)成分]
(B)成分は、紫外線吸収剤である。
[(B)成分]
(B)成分は、紫外線吸収剤である。
なお、本明細書において、紫外線吸収剤とは、紫外領域に明確な吸収ピークを有する化合物、具体的には有機化合物を意味する。ブロードな吸収を示すカーボンブラックなどは、本明細書における紫外線吸収剤には含まれない。上記紫外線吸収剤は、可視光領域の光を吸収しないため、着色残渣が発生しにくい。また、上記紫外線吸収剤は、アルカリ剥離液に溶解しやすく、剥離後の洗浄が容易である。
(B)成分は、250nm以上450nm以下、好ましくは300nm以上450nm以下の波長の間に吸収ピークを有する化合物であればよい。
(B)成分の例には、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造、トリアジン構造、サリチル酸構造、ベンゾエート構造、桂皮酸誘導体構造、ナフタレン誘導体構造、アントラセンおよびその誘導体に基づく構造、ジナフタレン構造を有する構造、およびフェナントロリン構造を有する構造などを有する化合物が含まれる。これらのうち、355nmの紫外線を効率よく吸収することから、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造およびトリアジン構造を有する化合物が好ましい。
ベンゾトリアゾール構造を有する化合物の例には、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、C7-C9-アルキル-3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオンエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン構造を有する化合物の例には、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノントリヒドレート、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシドデシルベンゾフェノンなどが含まれる。
トリアジン構造を有する化合物の例には、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4-((2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどが含まれる。
1-3.(C)エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物
(C)エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は、十分な架橋構造を形成して、硬化膜の耐薬品性を向上させる。
(C)エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は、十分な架橋構造を形成して、硬化膜の耐薬品性を向上させる。
(C)成分の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ビフェニル型エポキシ化合物(例えば、jER YX4000:三菱ケミカル株式会社製、「jER」は同社の登録商標)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリル基を有するモノマーの共重合体、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、「セロキサイド」は同社の登録商標)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製、「エポリード」は同社の登録商標)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB JP-100:日本曹達株式会社製、「NISSO-PB」は同社の登録商標)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。なお、これらの化合物は、その1種類の化合物のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の中では、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物であることが好ましく、ビフェニル型エポキシ化合物であることがより好ましい。ビフェニル型のエポキシ化合物を用いることにより、要求特性に合わせた硬化物の機械的強度や耐薬品性と、光硬化時のマイクロレンズ形成用組成物のパターニング性を両立することができるとともに、マイクロレンズ形成用組成物を設計する自由度を大きくできる。
(C)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量は100g/eq以上300g/eq以下であることが好ましく、100g/eq以上250g/eq以下であることがより好ましい。また、(C)成分のエポキシ化合物の数平均分子量(Mn)は100以上5000以下であることが好ましい。上記エポキシ当量が100g/eq以上であり、上記エポキシ化合物の数平均分子量(Mn)が100以上であると、良好な耐溶剤性を有する硬化膜となり得、エポキシ当量が300g/eq以下であり、数平均分子量(Mn)が5000以下であると、後工程でアルカリ性の薬液を使う場合でも十分な耐アルカリ性を維持することができる。
なお、(C)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量は、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-過塩素酸溶液で滴定して求めることができる。また、上記エポキシ化合物の数平均分子量(Mn)は、例えば、上述のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)で求めることができる。
(C)成分を使用する際には、硬化剤および硬化促進剤を併用してもよい。
上記硬化剤の例には、アミン系化合物、多価カルボン酸系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、およびルイス酸錯化合物などが含まれる。
上記硬化促進剤の例には、エポキシ樹脂の硬化促進に寄与する三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、およびイミダゾール類などが含まれる。上記熱重合禁止剤および酸化防止剤の例には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、およびヒンダードフェノール系化合物などが含まれる。上記可塑剤の例には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、およびリン酸トリクレジルなどが含まれる。上記充填剤の例には、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、およびアルミナなどが含まれる。上記消泡剤およびレベリング剤の例には、シリコーン系、フッ素系、およびアクリル系の化合物が含まれる。上記界面活性剤の例には、フッ素系界面活性剤、およびシリコーン系界面活性剤などが含まれる。上記カップリング剤の例には、3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが含まれる。
1-4.(D)光重合開始剤
(D)光重合開始剤は、光が照射された部分の反応が十分に進行させ、現像時の硬化した部分の溶解性を低下させて所望する微細なパターンを形成させることができる。
(D)光重合開始剤は、光が照射された部分の反応が十分に進行させ、現像時の硬化した部分の溶解性を低下させて所望する微細なパターンを形成させることができる。
(D)成分の例には、2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2、4,5-トリアリールビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類;2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾ-ル、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物類;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(イルガキュアOXE01、BASFジャパン社製、「イルガキュア」は同社の登録商標)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾア-ト、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボシキレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボシキレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-O-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-O-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-O-アセチルオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02)等のO-アシルオキシム系化合物類;ベンジルジメチルケタール;2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物などが含まれる。なお、これら光重合開始剤は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、(D)成分は、アシルオキシム系(ケトオキシムを含む)光重合開始剤が好ましい。アシルオキシム系光重合開始剤は、感度が高いため、硬化性樹脂組成物の感光性を十分に高めることができ、樹脂硬化膜の現像性(解像性)を十分に高めることができる。
アシルオキシム系光重合開始剤の例には、一般式(9)または一般式(10)で表されるO-アシルオキシム系光重合開始剤が含まれる。
式(9)中、R5、R6は、それぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基または炭素数4~12の複素環基を表し、R7は炭素数1~15のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基を表す。ここで、アルキル基およびアリール基は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルカノイル基、ハロゲンで置換されていてもよく、アルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合を含んでいてもよい。また、アルキル基は直鎖、分岐、または環状のいずれのアルキル基であってもよい。
(式(10)中、R8およびR9はそれぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるか、炭素数4~10のシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基もしくはアルキルシクロアルキル基であるか、または炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。R10はそれぞれ独立に、炭素数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基であり、当該アルキル基またはアルケニル基中の-CH2-基の一部が-O-基で置換されていてもよい。さらに、これらR8~R10の基中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。)
本明細書において、光重合開始剤のモル吸光係数は、紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、0.001重量%濃度のアセトニトリル溶液の吸光度を、光路長1cm石英セル中にて測定し求めた値とすることができる。
1-5.(E)増感剤
(E)増感剤は、(D)光重合開始剤による硬化反応のより精度良い制御を可能とする。
(E)増感剤は、(D)光重合開始剤による硬化反応のより精度良い制御を可能とする。
(E)成分の例には、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のチオキサントン系、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が含まれる。なお、これら増感剤は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1-6.(F)溶剤
(F)溶剤(以下、単に「(F)成分」ともいう。)は、それぞれの組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、それぞれの組成物の塗布性を高める。
(F)溶剤(以下、単に「(F)成分」ともいう。)は、それぞれの組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、それぞれの組成物の塗布性を高める。
(F)成分の例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-ヒドロキシ-2-ブタノン、およびジアセトンアルコールなどのアルコール類;α-もしくはβ-テルピネオールなどのテルペン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、およびN-メチル-2-ピロリドンなどのケトン類;トルエン、キシレン、およびテトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-ブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類などが含まれる。これらを用いて溶解、混合させることにより、それぞれの組成物を均一な溶液状にすることができる。
1-7.その他の成分
それぞれの組成物は、必要に応じて、熱重合禁止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、充填剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、およびカップリング剤などを配合することができる。
それぞれの組成物は、必要に応じて、熱重合禁止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、充填剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、およびカップリング剤などを配合することができる。
熱重合禁止剤および酸化防止剤の例には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等が含まれる。
連鎖移動剤の例には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、β-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、3,3’-チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸等のチオール化合物などが含まれる。
可塑剤の例には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等が含まれる。充填剤の例には、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等が含まれる。
消泡剤やレベリング剤の例には、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物が含まれる。
界面活性剤の例には、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが含まれる。
カップリング剤の例には、3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。
2.第1の開示
2-1.組成物
本明細書における第1の開示は、
(A)不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である、硬化性の接着剤層形成用組成物に関する。上記接着剤層形成用組成物は、必要に応じて、(C)エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、(D)光重合開始剤、(E)増感剤などを含んでもよい。
2-1.組成物
本明細書における第1の開示は、
(A)不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である、硬化性の接着剤層形成用組成物に関する。上記接着剤層形成用組成物は、必要に応じて、(C)エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、(D)光重合開始剤、(E)増感剤などを含んでもよい。
上記第1の開示に関する接着剤層形成用組成物によれば、355nmのレーザー照射による被着体の剥離が容易であり、かつ被着体の接着剤層への接着性および耐溶剤性が良好である。
なお、接着剤層形成用組成物は、(A1)成分のみを含んでもよいし、(A2)成分のみを含んでもよいし、(A1)成分および(A2)成分を併用してもよい。
2-1-1.第1の開示に好適な化合物
[(A2)成分]
(A2)を用いる場合、被着体に対する硬化膜の接着性をより高める観点からは、(A2)成分は、アルキレンオキサイド変性またはラクトン変性された化合物であることが好ましい。これらの変性物は、被着体との界面における接着剤層形成用組成物の流動性を高め、被着体と接着剤層形成用組成物との間の微小な隙間を埋めて接触面積(接着面積)を高めることにより、被着体に対する硬化膜の接着性をより高めると考えられる。特に、(B)成分が高分子量の化合物であるとき、上記変性物である(A2)成分が、(B)成分による接着剤層形成用組成物の流動性の低下を補償することによる、上記接着性の向上効果が顕著である。
[(A2)成分]
(A2)を用いる場合、被着体に対する硬化膜の接着性をより高める観点からは、(A2)成分は、アルキレンオキサイド変性またはラクトン変性された化合物であることが好ましい。これらの変性物は、被着体との界面における接着剤層形成用組成物の流動性を高め、被着体と接着剤層形成用組成物との間の微小な隙間を埋めて接触面積(接着面積)を高めることにより、被着体に対する硬化膜の接着性をより高めると考えられる。特に、(B)成分が高分子量の化合物であるとき、上記変性物である(A2)成分が、(B)成分による接着剤層形成用組成物の流動性の低下を補償することによる、上記接着性の向上効果が顕著である。
上記アルキレンオキサイド変性物は、炭素数2以上6以下のアルキレンオキサイド基を有する化合物であることが好ましく、炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド基を有する化合物であることがより好ましく、炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド基を有する化合物であることがさらに好ましい。
上記ラクトン変性物は、炭素数2以上6以下のラクトンが開環した構造(-C(=O)-(CH2)k-O-、kはラクトンの炭素数より1少ない数)を有する化合物であることが好ましく、炭素数4以上6以下のラクトンが開環した構造を有する化合物であることがより好ましく、炭素数6のラクトンが開環した構造を有する化合物であることがさらに好ましい。
上記アルキレンオキサイド基およびラクトンが開環した構造は、分子内に単独で存在してもよいし、2個以上6個以下の上記アルキレンオキサイド基またはラクトンが連続していてもよいが、単独で存在するか、2個の上記アルキレンオキサイド基またはラクトンが連続していることが好ましい。
上記変性物は、たとえば下記一般式(11)で表される化合物とすることができる。
式(11)中、Vは、独立してアルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基である。a~eは独立に0~6の整数であり、ただしa~eのうち少なくとも1つは1~6の整数である。a~eは、1または2が好ましい。R11~R15は、独立して(メタ)アクリロイル基またはヒドロキシ基が好ましく、ただしR11~R15の少なくとも2つは(メタ)アクリロイル基である。R5~R9は、すべて(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。Tは、置換または非置換の1~4価の炭化水素基、-O-および-S-からなる群から選択される基であり、置換または非置換の2価の炭化水素基、-O-および-S-が好ましく、-O-がより好ましい。qは独立に0または1であり、0が好ましい。rはZの価数と同じ1~4の整数であり、2が好ましい。
一般式(11)で表される変性物の例には、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールジカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールトリカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリカプロラクトンヘキサアクリレート(いずれも日本化薬株式会社製)、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、およびトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(いずれも東亜合成株式会社製)などが含まれる。
一般式(9)で表される化合物以外の上記変性物の例には、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジおよびトリアクリレート、ジグリセリンエチレンオキサイド変性アクリレート(いずれも東亜合成株式会社製)、ならびにフォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレートなどが含まれる。
[(A)成分((A1)成分/(A2)成分に共通)]
(A)成分は、重合性不飽和基の重合反応により得られる硬化物が、適量の電磁波(好ましくは紫外領域の波長を有する電磁波)を吸収することにより変質または分解する樹脂であってもよい。たとえば、(A)成分は、上記得られる硬化物が、重合性不飽和基と、ベンゼン環、縮合環および複素環などの共役π電子系を含む繰り返し構造とを、分子内に含む樹脂となるような化合物であってもよい。なお、上記ベンゼン環、縮合環および複素環は、置換されていてもよい。たとえば、(A)成分は、上記硬化物として、フルオレン構造を含む繰り返し単位を有する樹脂が得られる化合物であってもよいし、ベンゾフェノン構造、ジフェニルスルホキシド構造、ジフェニルスルホン構造、ジフェニル構造、ジフェニルアミン構造およびベンゾトリアゾール構造などを側鎖に有する樹脂が得られる化合物であってもよい。
(A)成分は、重合性不飽和基の重合反応により得られる硬化物が、適量の電磁波(好ましくは紫外領域の波長を有する電磁波)を吸収することにより変質または分解する樹脂であってもよい。たとえば、(A)成分は、上記得られる硬化物が、重合性不飽和基と、ベンゼン環、縮合環および複素環などの共役π電子系を含む繰り返し構造とを、分子内に含む樹脂となるような化合物であってもよい。なお、上記ベンゼン環、縮合環および複素環は、置換されていてもよい。たとえば、(A)成分は、上記硬化物として、フルオレン構造を含む繰り返し単位を有する樹脂が得られる化合物であってもよいし、ベンゾフェノン構造、ジフェニルスルホキシド構造、ジフェニルスルホン構造、ジフェニル構造、ジフェニルアミン構造およびベンゾトリアゾール構造などを側鎖に有する樹脂が得られる化合物であってもよい。
[(B)成分]
第1の開示において、(B)成分(紫外線吸収剤)は、接着剤層形成用組成物を硬化してなる硬化膜中でレーザーを良好に吸収して発熱する。そして、この熱により(A)成分を変質させて、硬化膜を剥離させる。
第1の開示において、(B)成分(紫外線吸収剤)は、接着剤層形成用組成物を硬化してなる硬化膜中でレーザーを良好に吸収して発熱する。そして、この熱により(A)成分を変質させて、硬化膜を剥離させる。
(B)成分は、250nm以上450nm以下、好ましくは300nm以上450nm以下の波長の間に吸収ピークを有する化合物であればよいが、より長波長のレーザー(たとえば355nmなど)による被着体の剥離が可能な接着剤層を形成可能にする観点からは、(B)成分は、波長355nmの光の吸光度が0.10以上であることが好ましく、0.12以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。上記吸光度は、紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、0.001重量%濃度のアセトニトリル溶液の吸光度を、光路長1cm石英セル中にて測定された値とすることができる。なお、(B)成分がアセトニトリルに溶解しにくいときは、かわりにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた溶液の吸光度を測定してもよい。
また、(A1)成分としてフルオレン構造を含む繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂を用いるときは、当該(A1)成分との相溶性が良好で硬化膜のヘイズ値を高めにくく、かつ硬化膜の耐溶剤性を低下させにくいことから、ベンゾトリアゾール構造およびベンゾフェノン構造を有する化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール構造(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール構造)を有する化合物がより好ましい。
さらには、接着剤を硬化させる際に硬化膜からの(B)成分のブリードアウトを抑制する観点から、(B)成分は、重量平均分子量(Mw)が1000以上の高分子の紫外線吸収剤であることが好ましい。上記高分子の紫外線吸収剤は、上記構造(特に好ましくはベンゾトリアゾール構造)および重合性不飽和基を有する化合物の単独重合体、または化合物と他のモノマーとの共重合体とすることができる。
なお、本発明者らの知見によると、高分子の紫外線吸収剤は、硬化膜の耐熱性を高めるものの、一方で接着剤層形成用組成物の被着体への接着性(流動性)や、硬化膜の耐溶剤性を低下させる傾向がある。これに対し、本実施形態では、(A)成分が硬化することにより被着体への接着性を担保し、かつ耐溶剤性を担保するため、上記接着性および耐溶剤性の低下が問題となりにくい。上記接着性および耐溶剤性の担保効果は、(A)成分が架橋性の化合物であり、硬化時に架橋構造を形成するときに顕著に奏される。また、上述したように、(A2)成分がアルキレンオキサイド変性またはラクトン変性された変性物であると、高分子の紫外線吸収剤による接着剤層形成用組成物の流動性の低下をこれらの変性物が補償するため、被着体への硬化膜の接着性も顕著に改善する。
上記耐熱性の向上効果をより十分に得る観点からは、高分子の紫外線吸収剤である(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、1000以上100000以下であることが好ましく、5000以上90000以下であることがより好ましく、10000以上80000以下であることがさらに好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により測定され、ポリスチレン換算して得られた値とすることができる。たとえば、HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000およびTSKgel Super HZ2000(いずれも東ソー株式会社製)のいずれか1つ以上を用いることによって上記GPCを行うことができる。溶離液はTHF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
2-1-2.配合量
接着剤層形成用組成物は、(A)成分の含有量が、固形分の全質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、接着強度を重視する場合には40質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分の上記含有量が10質量%以上であると、被着体に対する硬化膜の接着性が高まり、かつ、硬化膜が、照射されるレーザー(たとえば紫外線)を吸収して変質または分解しやすいため、支持体と被着体とをより分離しやすくなる。また、90質量%以下であると、硬化後の接着剤層の硬度(架橋密度)が高くなりすぎないため、光を照射された際にアブレーションされやすく、残渣が生じにくい。
接着剤層形成用組成物は、(A)成分の含有量が、固形分の全質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、接着強度を重視する場合には40質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分の上記含有量が10質量%以上であると、被着体に対する硬化膜の接着性が高まり、かつ、硬化膜が、照射されるレーザー(たとえば紫外線)を吸収して変質または分解しやすいため、支持体と被着体とをより分離しやすくなる。また、90質量%以下であると、硬化後の接着剤層の硬度(架橋密度)が高くなりすぎないため、光を照射された際にアブレーションされやすく、残渣が生じにくい。
(A1)成分と(A2)成分とを併用するときの、接着剤層形成用組成物中の(A2)成分の含有量は、(A1)成分の全質量を100質量部としたときに5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上600質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上300質量部以下であることがさらに好ましい。(A2)成分の上記含有量が5質量部以上であると、樹脂に占める重合性不飽和基が十分にあるため、十分な架橋構造を形成できるので耐薬品性が向上する。また、1000質量部以下であると、硬化後の接着剤層の架橋密度が十分であるため、光を照射された際にアブレーションされやすく、残渣が生じにくい。
光加工性および耐熱性が求められる場合、(A2)成分の含有量は、(A1)成分の全質量を100質量部としたときに20質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
室温での粘着性が求められる場合、(A2)成分を単独で用いるか、(A1)成分の全質量を100質量部としたときに100質量部以上1000質量部以下の(A2)成分と併用することが好ましい。
(B)成分の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である。上記含有量がより多いほど、(B)成分が紫外線を吸収することによる剥離性の向上効果がより高まる。一方で上記含有量がより少ないほど、高温時における(B)成分のブリードアウトや硬化膜の耐溶剤性の低下が問題になりにくい。これらのバランスをとる観点から、(B)成分の含有量は、固形分の全質量に対して20質量%以上65質量%以下であることが好ましく、接着強度をより重視したいときは20質量%以上45質量%以下であることが好ましく、剥離性をより重視したいときは35質量%以上65質量%以下であることが好ましい。
(C)成分の含有量は、固形分の全質量に対して0質量部以上60質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。(C)成分の含有量が5質量部以上であると、十分な架橋構造を形性して耐薬品性をより高めることができる。また、(C)成分の含有量が60質量部以下であると、硬化後の接着剤層の架橋密度が高くなりすぎないため、光を照射された際にアブレーションされやすく、残渣が生じにくい。
(D)成分の含有量は、(A)成分の全質量を100質量部としたときに0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。(D)成分の上記含有量が0.1質量部以上であると、光重合を促進して、光重合の速度を速めることができる。また、(D)成分の上記含有量が30質量部以下であると、感度の過剰な高まりを抑制して、光を照射してアブレーションする際に、焦げ、剥離カスなどを生じにくくすることができる。なお、接着剤層形成用組成物は、フォトリソグラフィーによりパターンを形成する場合には(D)成分を含有することが好ましいが、パターンを形成しない場合またはフォトリソグラフィー以外の方法でパターンを形成する場合には(D)成分を含有しなくてもよい。
また、本開示において、接着剤層にパターニングを施す際には、(D)成分は、365nmにおけるモル吸光係数が10000L/mol・cm以上であることが好ましい。このような光重合開始剤は、感度が高いため、アクリル当量が比較的大きい(A2)成分を含む硬化性樹脂組成物でも、十分な感光性を担保することができ、硬化性樹脂組成物の現像性(解像性)を十分に高めることができる。このような光重合開始剤の例には、Omnirad1312(IGM Resins B.V.社製、「Omnirad」は同社の登録商標)、およびアデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA製、「アデカアークルズ」は同社の登録商標)などが含まれる。
(E)成分の含有量は、(D)成分の全質量を100質量部としたときに0.5質量部以上400質量部以下であることが好ましく、1質量部以上300質量部以下であることがより好ましい。(E)成分の上記含有量が0.5質量部以上であると、(D)成分の感度を向上させて、光重合の速度を速めることができる。また、(E)成分の上記含有量が400質量部以下であると、感度の過剰な高まりを抑制して、光を照射してアブレーションする際に、焦げ、剥離カスなどを生じにくくすることができる。
(F)成分の含有量は、硬化性組成物の目標とする粘度などによって変化するものの、硬化性組成物の全質量に対して50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
2―2.積層体の製造方法
第1の開示の他の実施形態に関する積層体の製造方法は、(1)支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、上述の接着剤層形成用組成物を付与して接着剤層を形成する工程と、(2)形成された接着剤層を介して、上記支持体と上記被着体とを接着させる工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
第1の開示の他の実施形態に関する積層体の製造方法は、(1)支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、上述の接着剤層形成用組成物を付与して接着剤層を形成する工程と、(2)形成された接着剤層を介して、上記支持体と上記被着体とを接着させる工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
[接着剤層を形成する工程]
接着剤層の形成工程は、支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、上述の接着剤層形成用組成物を含む接着剤層を形成する工程である。
接着剤層の形成工程は、支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、上述の接着剤層形成用組成物を含む接着剤層を形成する工程である。
(支持体)
支持体は、その表面に接着剤層を形成することができれば、その種類は限定されない。
支持体は、その表面に接着剤層を形成することができれば、その種類は限定されない。
本実施形態において、上記支持体はレーザー透過性を有することが好ましい。とくに、上記支持体は、10nm以上450nm以下の波長の光(レーザー)を透過させることがより好ましく、100nm以上450nm以下の波長の光(レーザー)を透過させることがさらに好ましく、350nm以上450nm以下の波長の光(レーザー)を透過させることが特に好ましい。上記レーザー透過性を有する支持体の例には、ガラス基板、アクリル基板、サファイア基板、および石英ガラス基板などが含まれる。ただし、ガラス基板、アクリル基板については、使用する光の波長の透過率が十分である組成の基板を用いることが必要である。上記支持体のうち、安価であることからガラス基板であることが好ましい。
上記支持体は、350nm以上450nm以下の波長の光の透過率が上記波長の全範囲で70%以上の支持体であることが好ましい。上記透過率を有する支持体は、支持体側から照射された長波長のレーザー(たとえば355nmなど)を十分に透過させて、接着剤層に到達させることができる。
上記透過率は、紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、大気の透過率をベースラインとした際の数値として測定することができる。
(被着体)
被着体の例には、半導体ウエハ、半導体チップ、発光素子、光学系ガラスウエハ、金属箔、研磨パッド、樹脂塗膜、および配線層などが含まれる。
被着体の例には、半導体ウエハ、半導体チップ、発光素子、光学系ガラスウエハ、金属箔、研磨パッド、樹脂塗膜、および配線層などが含まれる。
(接着剤層)
接着剤層は、接着剤層形成用組成物を、上述の支持体および上述の被着体の少なくとも一方の表面に付与することで形成される。接着剤層形成用組成物は、硬化した後の硬化膜が長波長のレーザー(たとえば355nmなど)を十分に吸収する。そのため、長波長のレーザーの照射によっても、十分にアブレーションされて被着体を容易に剥離することができる(レーザー加工性に優れる)。
接着剤層は、接着剤層形成用組成物を、上述の支持体および上述の被着体の少なくとも一方の表面に付与することで形成される。接着剤層形成用組成物は、硬化した後の硬化膜が長波長のレーザー(たとえば355nmなど)を十分に吸収する。そのため、長波長のレーザーの照射によっても、十分にアブレーションされて被着体を容易に剥離することができる(レーザー加工性に優れる)。
上記接着剤の付与方法の例には、公知の溶液浸漬法、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法、ならびに、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機およびスピナー機を用いる方法などが含まれる。
上記付与方法で、接着剤を付与した後、溶剤を乾燥させる(プリベーク)ことにより、接着剤層が形成される。なお、プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、たとえば、60~110℃の温度で1~10分間行われる。
接着剤層の厚さは、任意に選択することができる。本実施形態においては、接着剤層の厚さは、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.5μm以上30μm以下であることがより好ましい。接着剤層の厚さが0.1μm以上であると、接着剤層が被着体を接着するための十分な保持力を有することができる。また、50μm以下であると、光または熱硬化により十分に接着剤層を硬化させることができる。
また、本工程では、接着剤を、上述の支持体および上述の被着体のいずれか一方または双方の表面に付与した後、接着剤層にパターニングを施すための、露光工程および現像工程を有していてもよい。接着剤層にパターニングを施すことにより、被着体を接着させる部分にのみ接着剤層を形成することができ、支持体と被着体を分離する工程(後述)における、被着体の剥離不良や位置ずれを抑制することができる。
露光工程に使用する光の例には、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等が含まれる。上記光は、紫外線(波長250~400nm)であることが好ましい。また、現像工程では、アルカリ現像に適した現像液を用いる。上記現像液の例には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の水溶液が含まれる。これらの現像液は、樹脂層の特性に合わせて適宜選択されうるが、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。現像温度は、20℃以上35℃以下であることが好ましく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗される。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、およびパドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
[支持体および被着体を接着させる工程]
支持体および被着体を接着させる工程は、上述の接着剤層を介して、上述の支持体および被着体を接着させる工程である。
支持体および被着体を接着させる工程は、上述の接着剤層を介して、上述の支持体および被着体を接着させる工程である。
上記支持体と上記被着体とを接着させる方法の例には、支持体の表面に形成された接着剤層の表面に、被着体(接着剤層と接触する面に接着剤が付与されている)を接触させて加熱しながら加圧する方法が含まれる。また、支持体と被着体との接着条件は、加圧時の温度が、室温以上200℃以下であることが好ましく、30℃以上150℃以下であることがより好ましい。接着時の圧力は、0.01MPa以上20MPa以下であることが好ましく、0.03MPa以上15MPa以下であることがより好ましい。また、必要に応じて、加圧熱圧着終了後に、120℃以上250℃以下の温度で接着剤層を熱硬化させることもできる。支持体と被着体とを上記条件で接着させることにより、被着体が接着剤層を介して支持体の表面により強固に固定される。
また、上記接着させる工程では、光硬化で支持体および被着体を接着させてもよい。接着剤層を光硬化させる方法の例としては、高圧水銀ランプを用いて光を照射する方法がある。また、支持体と被着体との接着条件は、照射する光の波長が200nm以上500nm以下であることが好ましい。照射する光の露光量は、25mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下であることが好ましく、50mJ/cm2以上2000mJ/cm2以下であることがより好ましい。
このようにして、支持体と、被着体と、前記支持体と前記被着体との間に配置された、上述した接着剤層形成用組成物の硬化物を含む接着剤層と、を有する積層体が形成される。
2-3.積層体の処理方法
本発明の一実施形態に係る積層体の処理方法は、(1)上述の積層体を準備する工程と、(2)上記積層体に光を照射して上記支持体と上記被着体とを分離する工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
本発明の一実施形態に係る積層体の処理方法は、(1)上述の積層体を準備する工程と、(2)上記積層体に光を照射して上記支持体と上記被着体とを分離する工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
[積層体を用意する工程]
積層体を用意する工程は、上述のように積層体を形成するか、または、すでに形成されている積層体を用意する工程である。
積層体を用意する工程は、上述のように積層体を形成するか、または、すでに形成されている積層体を用意する工程である。
[支持体と被着体とを分離する工程]
支持体と被着体とを分離する工程は、接着剤層に光を照射することにより、支持体と被着体とを分離する工程である。
支持体と被着体とを分離する工程は、接着剤層に光を照射することにより、支持体と被着体とを分離する工程である。
照射される光は、支持体と被着体とを分離できれば、特に限定されない。本実施形態においては、上記光は紫外線であることが好ましい。上記光の波長は、10nm以上450nm以下であることがより好ましく、100nm以上450nm以下であることがさらに好ましく、350nm以上450nm以下であることが特に好ましい。上記光の波長が10nm以上であると、接着剤層の成分である重合体が光を吸収することで変質または分解して、強度および接着力が低下させるので、支持体と被着体とを容易に分離することができる。また、上記光の波長が450nm以下であると、加工部の接着剤層が光を吸収するので、硬化膜の残渣が生じるのを抑制することができる。また、上記紫外線の波長が350nm以上であると、安価なガラス基板およびアクリル基板、特にはガラス基板を用いることができるので、ランニングコストを抑制することができる。
上記光の光源の例には、低水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、遠紫外線灯レーザー光源が含まれる。上記光源は、レーザーを照射するレーザー光源が好ましい。
上記レーザーの例には、固体レーザー、液体レーザー、気体レーザーが含まれる。また、上記固体レーザーの例には、半導体励起レーザーなどが含まれる。液体レーザーの例には、色素レーザーなどが含まれる。気体レーザーの例には、エキシマレーザーなどが含まれる。これらのうち、上記レーザーは、半導体励起レーザーが好ましい。
上記半導体励起レーザーの例には、Nd:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:ガラスレーザー、Nd:YVO4レーザー、Yb:YAGレーザー、Ybドープファイバーレーザー、Er:YAGレーザー、Tm:YAGレーザーなどが含まれる。エキシマレーザーの例には、KrFレーザー、XeClレーザー、ArFレーザー、F2レーザーなどが含まれる。これらのうち、上記レーザーは、Nd:YAGレーザーが好ましい。
また、接着剤層に照射する光の出力および積算光量は、光源等の種類によって異なるが、照射する光がレーザーである場合には、上記出力は、0.1mW以上200W以下であるものを用いることができる。また、上記積算光量は、1mJ/cm2以上50J/cm2以下であることが好ましい。積算光量が、0.1mJ/cm2以上であると、アブレーションの際に生じる焦げ、剥離カスなどが生じにくい。50J/cm2以下であるとアブレーションの速度を適正に制御して適正な加工をすることができる。
接着剤層に光(レーザー)を照射する際には、支持体側からレーザーを接着剤層の全面に照射することが好ましい。レーザーを照射する方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
本実施形態は、支持体と被着体とを分離する工程の前に、用意された積層体を加工する工程を含んでもよい。
上記積層体を加工する方法には、ダイシング、裏面研削などの被着体の薄膜化、フォトファブリケーション、半導体チップの積層、各種素子の搭載、樹脂封止などが含まれる。
また、本実施形態は、上記加工処理された積層体をある装置から別の装置へ移動させる工程を含んでもよい。上記積層体の移動させる方法としては、ロボットアームによる移動方法などが含まれる。
このようにして、本実施形態の積層体が処理される。
3.第2の開示
(第2の課題)
特許文献3および特許文献4に記載のように、マイクロレンズ形成用の樹脂組成物としては、ポジ型のパターン形成ができる樹脂組成物およびネガ型のパターン形成ができる樹脂組成物の両方が知られている。
(第2の課題)
特許文献3および特許文献4に記載のように、マイクロレンズ形成用の樹脂組成物としては、ポジ型のパターン形成ができる樹脂組成物およびネガ型のパターン形成ができる樹脂組成物の両方が知られている。
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献3や特許文献4などに記載の従来の樹脂組成物は、現像時に残渣が生じやすいという問題があった。また、レンズ間距離が狭いときには、この残渣によりマイクロレンズ同士が繋がってしまうこともあった。一方で、マイクロレンズ形成用の樹脂組成物には、形成したマイクロレンズパターンが基板への良好な密着性を有することも要求される。
本明細書における第2の開示に関する発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、使用できる樹脂の限定が少なく、現像時に残渣が生じにくく、かつ基板への密着性が良好なマイクロレンズパターンを形成できるマイクロレンズ形成用組成物、当該組成物を用いたマイクロレンズの製造方法、当該組成物を硬化してなる硬化膜、当該マイクロレンズを有する固体撮像素子および当該固体撮像素子を有する撮像装置を提供することを目的とする。
3-1.組成物
上記第2の課題を解決するための、本明細書における第2の開示は、
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物に関する。
上記第2の課題を解決するための、本明細書における第2の開示は、
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、を含み、
(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物に関する。
上記第2の開示に関するマイクロレンズ形成用組成物によれば、使用できる樹脂の限定が少なく、現像時に残渣が生じにくく、かつ基板への密着性が良好なマイクロレンズパターンを形成できる。
3-1-1.第2の開示に好適な化合物
[(B)成分]
従来ノマイクロレンズの製造時において、ネガ型のパターン形成時には、基材界面に到達した後、界面に沿って広がった放射線により、放射線を照射していない部位においても、基材との界面で組成物が硬化してしまうことがある。これにより、基材界面に沿って硬化した樹脂が広がってしまい、この広がった樹脂が残差となってしまうと考えられる。これに対し、第2の開示において、(B)成分(紫外線吸収剤)は、照射された放射線を吸収して、余剰の放射線の基材界面に沿っての広がりを抑制する。そのため、マイクロレンズ形成用組成物が(B)成分を含むことにより、ネガ型のパターン形成時に特有の残渣の発生を抑制できると考えられる。また、残渣の抑制により、レンズ間距離が狭いときに生じるマイクロレンズ同士の繋がりも抑制できると考えられる。
[(B)成分]
従来ノマイクロレンズの製造時において、ネガ型のパターン形成時には、基材界面に到達した後、界面に沿って広がった放射線により、放射線を照射していない部位においても、基材との界面で組成物が硬化してしまうことがある。これにより、基材界面に沿って硬化した樹脂が広がってしまい、この広がった樹脂が残差となってしまうと考えられる。これに対し、第2の開示において、(B)成分(紫外線吸収剤)は、照射された放射線を吸収して、余剰の放射線の基材界面に沿っての広がりを抑制する。そのため、マイクロレンズ形成用組成物が(B)成分を含むことにより、ネガ型のパターン形成時に特有の残渣の発生を抑制できると考えられる。また、残渣の抑制により、レンズ間距離が狭いときに生じるマイクロレンズ同士の繋がりも抑制できると考えられる。
(B)成分は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物またはトリアジン化合物であることが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、放射線(例えば紫外線)のエネルギーを効率的に吸収し、余剰の放射線の基材界面に沿っての広がりを抑制して、現像後にパターン端部の残渣が生じるのを低減できる。
また、(B)成分は、感光性官能基を有する化合物であることが好ましく、感光性官能基を有するベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物であることがより好ましい。上記感光性官能基は、(A1)成分および(A2)成分との反応性を高める観点から、エチレン性不飽和基であることが好ましい。上記エチレン性不飽和基の例には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチレニル基などが含まれる。これらのうち、(A1)成分および(A2)成分との反応性が高いアクリロイル基およびメタクリロイル基が好ましい。エチレン性不飽和基を有する紫外線吸収剤を用いることにより、紫外線吸収剤の感光性反応基と、(A1)成分または(A2)成分とが反応して、紫外線吸収剤を樹脂中に取り込むことができる。これにより、基材への熱ダメージ低減の観点から、例えば、140℃のような低温で組成物を硬化させた場合であっても、紫外線吸収剤の溶剤への染み出しを抑制して、硬化物の耐薬品性を高めることができる。また、紫外線吸収剤の析出による着色や、ベーク時の昇華なども抑制することができる。
エチレン性不飽和基を有するベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物の例には、2-[2-ヒドロキシ-5-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールなどが含まれる。
また、上記紫外線吸収剤の市販品の例には、RUVA-93(大塚化学株式会社製)などが含まれる。
3-1-2.配合量
(A1)成分の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。(A1)成分の含有量が、10質量%以上とすることにより、微細なパターンであっても、現像密着性に優れ、パターンの剥離が生じるのを抑制でき、90質量%以下とすることにより、良好な光硬化性を示し、現像時の露光部、未露光部のコントラストに優れ、十分なフォトリソグラフィ性を得ることができる。
(A1)成分の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。(A1)成分の含有量が、10質量%以上とすることにより、微細なパターンであっても、現像密着性に優れ、パターンの剥離が生じるのを抑制でき、90質量%以下とすることにより、良好な光硬化性を示し、現像時の露光部、未露光部のコントラストに優れ、十分なフォトリソグラフィ性を得ることができる。
(A2)成分の含有量は、(A1)成分100質量部に対して1質量部以上200質量部以下が好ましく、4質量部以上100質量部以下がより好ましく、10質量部以上70質量部以下がさらに好ましい。(A2)成分の含有量が(A1)成分100質量部に対して1質量部以上である場合には、(A2)成分による露光感度および現像性の向上効果が十分に奏される。また、(A2)成分の含有量が(A1)成分100質量部に対して200質量部以下である場合には、酸性官能基濃度が十分高く、露光部におけるアルカリ現像液に対する良好な溶解性が得られることから、所望するパターンを形成できる。
(B)成分の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下であり、4質量%以上20質量%以下であることが好ましく、6質量%以上18質量%以下であることがより好ましい。(B)成分の含有量を、3質量%以上とすることにより、基材界面に沿って広がる放射線の量を低減して、現像後にパターン端部の残渣が生じるのを低減することができる。(B)成分の含有量を、20質量%以下とすることにより、放射線が照射された部分の反応を十分に進行させることができるので、マイクロレンズ形成用組成物を十分に硬化させることができる。
(C)成分の含有量は、固形分の全質量に対して1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。(C)成分のエポキシ化合物の含有量を1質量部以上とすることにより耐薬品性をより高めることができ、(C)成分のエポキシ化合物の含有量を30質量部以下とすることにより基板との密着性を十分に確保できる。
(D)成分の含有量は、(A1)成分と(A2)成分との合計量100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。(D)成分の含有量が0.1重量部以上の場合には、特に組成物の上面(放射線の照射側)において光重合をより十分に進行させることができる。また、(D)成分の含有量が30重量部以下の場合には、塗膜深部まで硬化反応が進行しにくくなり、熱フローによりレンズ形状を形成することが容易となる。
(E)成分の含有量は、(D)成分の合計100質量部に対して、0.5質量部以上200質量部以下が好ましく、1質量部以上100質量部以下がより好ましい。(E)成分の含有量を、0.5質量部以上とすることにより、光照射によって十分に光重合開始剤を活性化させることができ、200質量部以下とすることにより、光重合開始剤による硬化反応をより精度良く制御できる。
(F)成分の含有量は、マイクロレンズ形成用組成物の全質量に対して40質量%以上80質量%以下であることが好ましい。(F)成分の含有量が、40質量%以上であると、基板上にマイクロレンズ形成用組成物を塗布しやすい粘度とすることができ、80質量%以下であると、膜厚均一性に優れた塗膜を得ることができる。
2-2.マイクロレンズ用組成物の製造方法
第2の開示におけるマイクロレンズ用組成物の製造方法(1)~(3)について、以下に説明する。
第2の開示におけるマイクロレンズ用組成物の製造方法(1)~(3)について、以下に説明する。
[マイクロレンズの製造方法(1)]
本発明の一実施形態に係るマイクロレンズ用組成物の製造方法は、(i)上述のマイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜層形成工程と、(ii)塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(iii)放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、(iv)現像後の露光部を熱フローして、上記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する熱フロー工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
本発明の一実施形態に係るマイクロレンズ用組成物の製造方法は、(i)上述のマイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜層形成工程と、(ii)塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(iii)放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、(iv)現像後の露光部を熱フローして、上記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する熱フロー工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
[塗膜層形成工程]
塗膜層形成工程は、上述のマイクロレンズ形成用組成物を基材上に塗布し、乾燥させて、塗膜層を形成する工程である。
塗膜層形成工程は、上述のマイクロレンズ形成用組成物を基材上に塗布し、乾燥させて、塗膜層を形成する工程である。
上記基材は、公知のものを用いることができる。基材の例には、ガラス基板、シリコンウエハ、プラスチック基板、およびこれらの表面に着色レジスト、オーバーコート、反射防止膜、各種金属薄膜が形成された基板などが含まれる。プラスチック基板の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板などが含まれる。基板には、フォトダイオードなどの受光素子、有機発光素子などの発光素子、カラーフィルターなどの色素含有素子などが設けられていてもよい。
マイクロレンズ形成用組成物の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。上記塗布方法の例には、公知の溶液浸漬法、スプレー法、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコート機やスピナー機を用いる方法などが含まれる。これらの方法によって、マイクロレンズ形成用組成物を所望の厚さに塗布することができる。
上述の方法で塗布されたマイクロレンズ形成用組成物の乾燥方法は、公知の乾燥方法を用いることができる。上記乾燥方法は、オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせることによって行うことができる。上記樹脂膜の加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択することができる。上記加熱温度および加熱時間は、例えば、80~120℃で、1~10分間行われることが好ましい。
[露光工程]
露光工程は、上述の塗膜層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記塗膜(マイクロレンズ形成用組成物)の一部を光硬化させる工程である。
露光工程は、上述の塗膜層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記塗膜(マイクロレンズ形成用組成物)の一部を光硬化させる工程である。
上記フォトマスクは公知のものを用いることができる。フォトマスクの例には、ハーフトーンマス、グレートーンマスク等の多階調マスクが含まれる。グレートーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および回折格子が形成される。回折格子はスリット、ドット、メッシュ等の光透過領域の間隔が、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔であり、当該構成により、光の透過率を制御する。ハーフトーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および半透過部が形成される。半透過部により露光に用いる光の透過率を制御する。
照射される放射線の例には、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線およびX線などが含まれる。上記放射線の中では、紫外線であることが好ましい。また、放射線を照射する装置には、公知の露光装置(超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等)を用いることができる。また、照射する放射線の波長は250nm以上400nm以下であることが好ましい。放射線の露光量は、25mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下であることが好ましく、50mJ/cm2以上2000mJ/cm2以下であることがより好ましい。
[現像工程]
現像工程は、放射線が照射された塗膜をアルカリ現像し、未露光部の塗膜を除去する工程である。
現像工程は、放射線が照射された塗膜をアルカリ現像し、未露光部の塗膜を除去する工程である。
塗膜の現像方法の例には、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、およびパドル(液盛り)現像法などが含まれる。なお、上記現像方法は、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて行うことができる。
また、現像に適した現像液の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕-5-ノナンなどのアルカリ(塩基性化合物)の水溶液などが含まれる。現像条件は、マイクロレンズ形成用組成物により異なるが、20~30℃の温度で、10~120秒行うことが好ましい。
[熱フロー工程]
熱フロー工程は、現像後の露光部(塗膜)を熱フローし、メルトフローさせて、上記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する工程である。
熱フロー工程は、現像後の露光部(塗膜)を熱フローし、メルトフローさせて、上記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する工程である。
現像後の露光部を熱フローする方法は、公知の方法(オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせ)よって行うことができる。熱フローの温度は、塗膜がメルトフローする温度であれば特に制限されない。熱フローの温度は、140~250℃の温度で10~120分間行われることが好ましく、180~230℃の温度で30~90分間行われることがより好ましい。
本発明のマイクロレンズ形成用組成物を用いることにより、製造方法(1)のようなネガ型のフォトリソグラフィ法によるマイクロレンズのパターン形成を行っても、基材界面に沿った放射線の広がりが抑制されて、現像後にパターン端部の残渣が低減するので、マイクロレンズ同士が繋がるのが抑制され、より良好か形状のマイクロレンズのパターンを形成することができる。
[マイクロレンズの製造方法(2)]
本発明のマイクロレンズ形成用組成物は、上記製造方法(1)において残渣の抑制効果を十分に発揮できるが、以下の製造方法(2)や製造方法(3)によるマイクロレンズの形成にも好適に使用し得る。
本発明のマイクロレンズ形成用組成物は、上記製造方法(1)において残渣の抑制効果を十分に発揮できるが、以下の製造方法(2)や製造方法(3)によるマイクロレンズの形成にも好適に使用し得る。
本発明の一実施形態に係るマイクロレンズ用組成物の製造方法は、(i)上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、放射線を照射し、および硬化させて、マイクロレンズ形成用組成物の樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、(ii)樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する工程と、(iii)エッチングレジスト層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(iv)放射線を照射されたエッチングレジスト層を現像する現像工程と、(v)現像後の露光部を熱フローして、露光部をマイクロレンズ形状に加工する熱フロー工程と、(vi)熱フロー後の露光部をマスク層として樹脂層をドライエッチングし、上記マスク層の形状を上記樹脂層に転写する転写工程と、を含む。
[樹脂層形成工程]
樹脂層形成工程は、基材表面に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、放射線を照射し、および乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の樹脂層を形成する工程である。上記工程では、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する前に、基材表面の凹凸を、透明樹脂をスピンコートで塗布して埋め込み、平坦化する。そして、平坦化した基材の表面にマイクロレンズ形成用組成物を塗布した後、放射線(例えば紫外線)を照射し、熱硬化させて樹脂層を形成する。なお、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する方法、塗布したマイクロレンズ形成用組成物に、および放射線を照射する方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。上記熱硬化は、アルカリ可溶性樹脂およびエポキシ樹脂を含む組成物を熱硬化(ポストベーク)する通常の方法で行えばよい。
樹脂層形成工程は、基材表面に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、放射線を照射し、および乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の樹脂層を形成する工程である。上記工程では、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する前に、基材表面の凹凸を、透明樹脂をスピンコートで塗布して埋め込み、平坦化する。そして、平坦化した基材の表面にマイクロレンズ形成用組成物を塗布した後、放射線(例えば紫外線)を照射し、熱硬化させて樹脂層を形成する。なお、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する方法、塗布したマイクロレンズ形成用組成物に、および放射線を照射する方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。上記熱硬化は、アルカリ可溶性樹脂およびエポキシ樹脂を含む組成物を熱硬化(ポストベーク)する通常の方法で行えばよい。
[エッチングレジスト層を形成する工程]
エッチングレジスト層を形成する工程は、上記樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する工程である。
エッチングレジスト層を形成する工程は、上記樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する工程である。
エッチングレジストの成分は、後述する転写工程においてマスク層として樹脂層にその形状を転写することができれば、特に制限されない。エッチングレジストは、ポジ型のレジストでもよいし、ネガ型のレジストでもよい。また、樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。
[露光工程]
露光工程は、エッチングレジスト層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記エッチングレジスト層の一部を光硬化させる工程である。なお、エッチングレジスト層を露光する方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で、適宜温度等の条件をエッチングレジストの種類にあわせて変更して行うことができる。
露光工程は、エッチングレジスト層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記エッチングレジスト層の一部を光硬化させる工程である。なお、エッチングレジスト層を露光する方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で、適宜温度等の条件をエッチングレジストの種類にあわせて変更して行うことができる。
[現像工程]
現像工程は、放射線が照射されたエッチングレジスト層をアルカリ現像する工程である。エッチングレジストがポジ型であるときは露光部を除去し、エッチングレジストがネガ型であるときは露光部を除去する。アルカリ現像の方法は、エッチングレジストの種類にあわせて公知の方法から適宜選択すればよい。
現像工程は、放射線が照射されたエッチングレジスト層をアルカリ現像する工程である。エッチングレジストがポジ型であるときは露光部を除去し、エッチングレジストがネガ型であるときは露光部を除去する。アルカリ現像の方法は、エッチングレジストの種類にあわせて公知の方法から適宜選択すればよい。
[熱フロー工程]
熱フロー工程は、現像後のエッチングレジスト層の露光部を熱フローして、メルトフローさせて、エッチングレジスト層の露光部をマイクロレンズ形状に加工する工程である。なお、熱フロー工程は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で、適宜温度等の条件をエッチングレジストの種類にあわせて変更して行うことができる。
熱フロー工程は、現像後のエッチングレジスト層の露光部を熱フローして、メルトフローさせて、エッチングレジスト層の露光部をマイクロレンズ形状に加工する工程である。なお、熱フロー工程は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で、適宜温度等の条件をエッチングレジストの種類にあわせて変更して行うことができる。
[転写工程]
転写工程は、熱フロー後のエッチングレジスト層の露光部をマスク層として上記樹脂層をドライエッチングし、上記マスク層の形状を上記樹脂層に転写する工程である。
転写工程は、熱フロー後のエッチングレジスト層の露光部をマスク層として上記樹脂層をドライエッチングし、上記マスク層の形状を上記樹脂層に転写する工程である。
上記ドライエッチングは、公知の方法を用いることができる。ドライエッチング方法の例には、プラズマエッチング、イオンエッチング、反応性イオンエッチング、スパッタエッチングなどが含まれる。また、ドライエッチングには、公知の装置を用いることができる。ドライエッチングに用いることができるガスの例には、CHF3、CF4、C2F6、C3F8、SF6等のフッ素系ガス、Cl2、BCl3等の塩素系ガス、O2、O3等の酸素系ガス、H2、NH3、CO、CO2、CH4、C2H2、C2H4、C2H6、C3H4、C3H6、C3H8、HF、HI、HBr、HCl、NO、NH3、BCl3等の還元性ガス、He、N2、Arなどの不活性ガス等が含まれる。これらのガスは混合して用いることができる。
[マイクロレンズの製造方法(3)]
本発明の一実施形態に係るマイクロレンズ用組成物の製造方法は、(i)レンズ材料層上に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、(ii)塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(iii)放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、(iv)上記現像後の塗膜を熱フローして、上記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、(v)レンズ材料層および前記マスク層をドライエッチングし、上記塗膜層の形状を上記レンズ材料層に転写する転写工程と、を含む。
本発明の一実施形態に係るマイクロレンズ用組成物の製造方法は、(i)レンズ材料層上に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、(ii)塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(iii)放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、(iv)上記現像後の塗膜を熱フローして、上記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、(v)レンズ材料層および前記マスク層をドライエッチングし、上記塗膜層の形状を上記レンズ材料層に転写する転写工程と、を含む。
[塗膜形成工程]
塗膜形成工程は、レンズ材料層上に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する工程である。このとき、レンズ材料層の表面は、マイクロレンズの製造方法(2)で記載した方法と同じ方法で平坦化されている。なお、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する方法、塗布したマイクロレンズ形成用組成物を乾燥させる方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。
塗膜形成工程は、レンズ材料層上に上記マイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する工程である。このとき、レンズ材料層の表面は、マイクロレンズの製造方法(2)で記載した方法と同じ方法で平坦化されている。なお、マイクロレンズ形成用組成物を塗布する方法、塗布したマイクロレンズ形成用組成物を乾燥させる方法は、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。
レンズ材料層は、公知のレンズ材料による層であればよい。
[露光工程および現像工程]
上記(ii)露光工程および(iii)現像工程は、マイクロレンズの製造方法(1)で記載した方法と同じ方法で行うことができる。
上記(ii)露光工程および(iii)現像工程は、マイクロレンズの製造方法(1)で記載した方法と同じ方法で行うことができる。
[マスク層形成工程]
マスク層形成工程は、現像後の塗膜を熱フローし、メルトフローさせて、上記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成する工程である。上記塗膜の熱フローは、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。
マスク層形成工程は、現像後の塗膜を熱フローし、メルトフローさせて、上記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成する工程である。上記塗膜の熱フローは、上述の製造方法(1)で用いた方法と同様の方法で行うことができる。
[転写工程]
転写工程は、上述の製造方法(2)で用いた方法と同様のドライエッチング方法で行うことができる。
転写工程は、上述の製造方法(2)で用いた方法と同様のドライエッチング方法で行うことができる。
本発明のマイクロレンズ形成用組成物を用いることにより、製造方法(3)のように、マイクロレンズ形成用組成物をレジスト材料とする方法であっても、レンズ層とエッチングレジスト層との界面に沿った放射線の広がりが抑制されて、レジストパターンの端部における残渣の発生を抑制することができる。そのため、本発明のマイクロレンズ形成用組成物の硬化物をマスクとして使用すれば、精度よくレンズ層をエッチングすることができ、より良好な形状のマイクロレンズのパターンを形成することができる。
2-3.固体撮像素子
第2の開示における固体撮像素子は、上述のマイクロレンズを有する。本発明の固体撮像素子は、上述のマイクロレンズを有するための、高画素化および高感度化が可能となる。
第2の開示における固体撮像素子は、上述のマイクロレンズを有する。本発明の固体撮像素子は、上述のマイクロレンズを有するための、高画素化および高感度化が可能となる。
2-4.撮像装置
第2の開示における撮像装置は、上述の固体撮像素子を有する。本発明の撮像装置は、上述の固体撮像素子を有するための、高画質の画像を得ることができる。
第2の開示における撮像装置は、上述の固体撮像素子を有する。本発明の撮像装置は、上述の固体撮像素子を有するための、高画質の画像を得ることができる。
2-5.第2の態様の例
上記技術思想に基づく第2の態様として、以下の内容を例示できる。
[1]マイクロレンズパターンを形成するためのマイクロレンズ形成用組成物であって、
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
前記(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物。
上記技術思想に基づく第2の態様として、以下の内容を例示できる。
[1]マイクロレンズパターンを形成するためのマイクロレンズ形成用組成物であって、
(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物と、
(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(C)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
前記(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して3質量%以上20質量%以下である、マイクロレンズ形成用組成物。
[2]前記(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物は、下記一般式(1)で表される樹脂である、[1]に記載のマイクロレンズ形成用組成物。
(式(1)中、Arは、それぞれ独立に炭素数が6~14の芳香族炭化水素基であり、結合している水素原子の一部分は炭素数が1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数が6~10のアリール基またはアリールアルキル基、炭素数が3~10のシクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基、炭素数が1~5のアルコキシ基、およびハロゲン基からなる群から選択される基で置換されていてもよい。R1は、それぞれ独立に炭素数が2~4のアルキレン基であり、lは、それぞれ独立に0~3の数である。Gは、それぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される置換基であり、Yは、4価のカルボン酸残基である。Zは、それぞれ独立に水素原子または下記一般式(4)で表される置換基であり、1個以上は下記一般式(4)で表される置換基である。nは平均値が1~20の数である。)
(式(2)、(3)中、R2は水素原子またはメチル基であり、R3は炭素数が2~10の2価のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R4は炭素数が2~20の2価の飽和または不飽和の炭化水素基であり、pは0~10の数である。)
(式(4)中、Wは2価または3価のカルボン酸残基であり、mは1または2の数である。)
[3]前記(B)紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物からなる群から選ばれる、[1]または[2]に記載のマイクロレンズ形成用組成物。
[4]前記(B)紫外線吸収剤は、エチレン性不飽和基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物。
[5]前記(A1)アルカリ可溶性樹脂である不飽和基含有重合性化合物は、重量平均分子量が1000以上40000以下であり、酸価が50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物。
[6](E)成分として増感剤を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のマイクロレンズ形成用組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜層形成工程と、
前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、
前記現像後の露光部を熱フローして、前記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する熱フロー工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、
前記現像後の露光部を熱フローして、前記露光部をマイクロレンズ形状に加工しつつ、加熱硬化する熱フロー工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
[8][1]~[6]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物を塗布し、放射線を照射し、硬化させて、マイクロレンズ形成用組成物の樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する工程と、
前記エッチングレジスト層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射されたエッチングレジスト層を現像する現像工程と、
前記現像後の露光部を熱フローして、前記露光部をマイクロレンズ形状に加工する熱フロー工程と、
前記熱フロー後の前記露光部をマスク層として前記樹脂層をドライエッチングし、前記マスク層の形状を前記樹脂層に転写する転写工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
前記樹脂層の表面にエッチングレジスト層を形成する工程と、
前記エッチングレジスト層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射されたエッチングレジスト層を現像する現像工程と、
前記現像後の露光部を熱フローして、前記露光部をマイクロレンズ形状に加工する熱フロー工程と、
前記熱フロー後の前記露光部をマスク層として前記樹脂層をドライエッチングし、前記マスク層の形状を前記樹脂層に転写する転写工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
[9]レンズ材料層上に、[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物を塗布し、乾燥させて、マイクロレンズ形成用組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、
前記現像後の塗膜を熱フローして、前記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記レンズ材料層および前記マスク層をドライエッチングして、前記マスク層の形状を前記レンズ材料層に転写する転写工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
前記放射線を照射された塗膜を現像し未露光部を除去する現像工程と、
前記現像後の塗膜を熱フローして、前記塗膜をマイクロレンズ形状に加工しつつ加熱硬化して、マイクロレンズパターンを有するマスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記レンズ材料層および前記マスク層をドライエッチングして、前記マスク層の形状を前記レンズ材料層に転写する転写工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法。
[10][1]~[6]のいずれかに記載のマイクロレンズ形成用組成物を硬化してなる硬化膜。
[11][10]に記載の硬化膜からなるマイクロレンズ。
[12][11]に記載のマイクロレンズを有する固体撮像素子。
[13][12]に記載の固体撮像素子を有する撮像装置。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、(A1)成分である不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の合成例から説明するが、これらの合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
なお、各種測定機器について、同一の機種を使用した場合には、2か所目から機器メーカー名を省略している。また、実施例において、測定用硬化膜付き基板の作製に使用しているガラス基板は、全て同じ処理を施して使用している。また、各成分の含有量について、小数第一位が0であるときは、小数点以下の表記を省略することがある。
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させて秤量し〔W1(g)〕、160℃にて2時間加熱した後の重量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0)
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させて秤量し〔W1(g)〕、160℃にて2時間加熱した後の重量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0)
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuper H-2000(2本)+TSKgelSuper H-3000(1本)+TSKgelSuper H-4000(1本)+TSKgelSuper H-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuper H-2000(2本)+TSKgelSuper H-3000(1本)+TSKgelSuper H-4000(1本)+TSKgelSuper H-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
合成例で記載する略号は次のとおりである。
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(5)においてArがベンゼン環で、lが0であるエポキシ樹脂、エポキシ当量256g/eq)
BNFE :ビスナフトールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(1)に示されるArがナフタレン環であり、lが0であるエポキシ樹脂、エポキシ当量281g/eq)
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP :トリフェニルホスフィン
AA :アクリル酸
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DCPMA :ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
St :スチレン
AIBN :アゾビスイソブチロニトリル
TDMAMP :トリスジメチルアミノメチルフェノール
HQ :ハイドロキノン
SA :無水コハク酸
TEA :トリエチルアミン
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(5)においてArがベンゼン環で、lが0であるエポキシ樹脂、エポキシ当量256g/eq)
BNFE :ビスナフトールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(1)に示されるArがナフタレン環であり、lが0であるエポキシ樹脂、エポキシ当量281g/eq)
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP :トリフェニルホスフィン
AA :アクリル酸
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DCPMA :ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
St :スチレン
AIBN :アゾビスイソブチロニトリル
TDMAMP :トリスジメチルアミノメチルフェノール
HQ :ハイドロキノン
SA :無水コハク酸
TEA :トリエチルアミン
[合成例1]
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
次いで、得られた反応生成物にBPDA(14.37g、0.05mol)およびTHPA(7.43g、0.05mol)を仕込み、115~120℃で6時間攪拌し、不飽和基含有硬化性樹脂(A1)-1を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は57.0質量%であり、酸価(固形分換算)は96mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3600であった。
[合成例2]
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
次いで、得られた反応生成物にBPDA(10.06g、0.03mol)およびTHPA(11.89g、0.08mol)を仕込み、115~120℃で6時間攪拌し、不飽和基含有硬化性樹脂(A1)-2を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は57.0質量%であり、酸価(固形分換算)は98mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは2300であった。
[合成例3]
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(50.00g、0.10mol)、AA(14.07g、0.20mol)、TPP(0.26g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、PGMEA(25.00g)を仕込み固形分が50質量%となるように調整した。
次いで、得られた反応生成物にBPDA(19.25g、0.07mol)およびTHPA(0.30g、0.002mol)を仕込み、115~120℃で6時間攪拌し、不飽和基含有硬化性樹脂(A1)-3を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56.3質量%であり、酸価(固形分換算)は97mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは4700であった。
[合成例4]
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BNFE(50.00g、0.09mol)、AA(12.82g、0.20mol)、TPP(0.23g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、上記反応生成物にPGMEA(25.00g)を加え、固形分が50質量%となるように調整した。
還流冷却機付き250mLの四つ口フラスコ中に、BNFE(50.00g、0.09mol)、AA(12.82g、0.20mol)、TPP(0.23g)、およびPGMEA(40.00g)を仕込み、100~105℃で12時間攪拌して、反応生成物を得た。その後、上記反応生成物にPGMEA(25.00g)を加え、固形分が50質量%となるように調整した。
次いで、得られた反応生成物にBPDA(13.09g、0.04mol)およびTHPA(6.77g、0.04mol)を仕込み、115~120℃で6時間攪拌し、不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(A1)-4の樹脂溶液を得た。樹脂溶液の固形分濃度は56.1質量%であり、酸価(固形分換算)は91mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3500であった。
[合成例5]
還流冷却機付き1Lの四つ口フラスコ中に、PGMEA(300g)を入れ、フラスコ系内を窒素置換した後120℃に昇温した。フラスコ内にモノマー混合物(DCPMA(77.1g、0.35mol)、GMA(49.8g、0.35mol)、St(31.2g、0.30mol))にAIBN(10g)を溶解した混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体溶液を得た。
還流冷却機付き1Lの四つ口フラスコ中に、PGMEA(300g)を入れ、フラスコ系内を窒素置換した後120℃に昇温した。フラスコ内にモノマー混合物(DCPMA(77.1g、0.35mol)、GMA(49.8g、0.35mol)、St(31.2g、0.30mol))にAIBN(10g)を溶解した混合物を滴下ロートから2時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体溶液を得た。
次いで、フラスコ系内を空気に置換した後、得られた共重合体溶液にAA(24.0g、グリシジル基の95%)、TDMAMP(0.8g)およびHQ(0.15g)を添加し、120℃で6時間攪拌し、重合性不飽和基含有共重合体溶液を得た。得られた重合性不飽和基含有共重合体溶液にSA(30.0g、AA添加モル数の90%)、TEA(0.5g)を加え120℃で4時間反応させ、不飽和基含有硬化性樹脂(A1)-5を得た。樹脂溶液の固形分濃度は46.0質量%であり、酸価(固形分換算)は76mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは5300であった。
1.第1の開示に関する実施例・比較例
表1~表3に記載の配合量(単位は質量%)で接着剤層形成用組成物を調製した。表1~表3で使用した配合成分は以下のとおりである。
表1~表3に記載の配合量(単位は質量%)で接着剤層形成用組成物を調製した。表1~表3で使用した配合成分は以下のとおりである。
(不飽和基含有重合性化合物)
(A1)-1:合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-2:合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-3:合成例3で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.3質量%)
(A1)-5:合成例5で得られた樹脂溶液(固形分濃度46.0質量%)
(A2)-1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)
(A2)-2:トリメチロールプロパントリアクリレートのエチレンオキサイド6モル付加物(アロニックスM-360、東亞合成株式会社製)
(A2)-3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのエチレンオキサイド12モル付加物(KAYARAD DPEA-12、日本化薬株式会社製)
(A2)-4:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε-カプロラクトン6モル付加物(KAYARAD DPCA-60、日本化薬株式会社製)
(A1)-1:合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-2:合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-3:合成例3で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.3質量%)
(A1)-5:合成例5で得られた樹脂溶液(固形分濃度46.0質量%)
(A2)-1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)
(A2)-2:トリメチロールプロパントリアクリレートのエチレンオキサイド6モル付加物(アロニックスM-360、東亞合成株式会社製)
(A2)-3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのエチレンオキサイド12モル付加物(KAYARAD DPEA-12、日本化薬株式会社製)
(A2)-4:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε-カプロラクトン6モル付加物(KAYARAD DPCA-60、日本化薬株式会社製)
(紫外線吸収剤)
(B)-1:RUVA-93 (2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルオキシエチルフェニル)-2-H-ベンゾトリアゾール、大塚化学株式会社製、分子量:323.35、波長355nmの光の吸光度:0.25)
(B)-2:Tinuvin477(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、BASF社製、固形分濃度80.0質量%、分子量:1100、波長355nmの光の吸光度:0.28)
(B)-3:UVA-5080 (3-2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル=メタクリラートとメタクリル酸メチルとの共重合体、新中村化学工業株式会社製、固形分濃度41.0質量%、分子量:40,000~60,000、波長355nmの光の吸光度:0.16)
(B)-4:UVA-935LH (ベンゾフェノン系高分子共重合体、BASF社製、固形分濃度30.0質量%、波長355nmの光の吸光度:0.04)
(B)’-5:カーボンブラック濃度25.0質量%、高分子分散剤濃度4.0質量%、分散樹脂(合成例のアルカリ可溶性樹脂(A1)-1(固形分9.0質量%))のPGMEA分散液(固形分38.0質量%)
(B)-1:RUVA-93 (2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルオキシエチルフェニル)-2-H-ベンゾトリアゾール、大塚化学株式会社製、分子量:323.35、波長355nmの光の吸光度:0.25)
(B)-2:Tinuvin477(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、BASF社製、固形分濃度80.0質量%、分子量:1100、波長355nmの光の吸光度:0.28)
(B)-3:UVA-5080 (3-2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル=メタクリラートとメタクリル酸メチルとの共重合体、新中村化学工業株式会社製、固形分濃度41.0質量%、分子量:40,000~60,000、波長355nmの光の吸光度:0.16)
(B)-4:UVA-935LH (ベンゾフェノン系高分子共重合体、BASF社製、固形分濃度30.0質量%、波長355nmの光の吸光度:0.04)
(B)’-5:カーボンブラック濃度25.0質量%、高分子分散剤濃度4.0質量%、分散樹脂(合成例のアルカリ可溶性樹脂(A1)-1(固形分9.0質量%))のPGMEA分散液(固形分38.0質量%)
なお、上記吸光度は、紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、0.001重量%濃度のアセトニトリル溶液の吸光度を、光路長1cm石英セル中にて測定した値である。なお、(B)成分がアセトニトリルに溶解しにくいときは、かわりにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させた溶液の吸光度を測定した。
(溶剤)
(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[評価]
上記接着剤層形成用組成物を硬化してなる硬化膜を用いて、以下の評価を行った。
上記接着剤層形成用組成物を硬化してなる硬化膜を用いて、以下の評価を行った。
[透過率・レーザー加工性評価用の硬化膜付き基板の作製]
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000mJ/cm2の紫外線を照射して表面を洗浄した、125mm×125mmの合成石英ガラス基板(以下「石英ガラス基板」という)上に、加熱硬化処理後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、熱風乾燥機を用いて250℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜(塗膜)付き基板を得た。なお、上記合成石英ガラス基板の、350nm以上450nm以下の波長の光の透過率は、上記波長の全範囲で90%以上である。
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000mJ/cm2の紫外線を照射して表面を洗浄した、125mm×125mmの合成石英ガラス基板(以下「石英ガラス基板」という)上に、加熱硬化処理後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、熱風乾燥機を用いて250℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜(塗膜)付き基板を得た。なお、上記合成石英ガラス基板の、350nm以上450nm以下の波長の光の透過率は、上記波長の全範囲で90%以上である。
なお、上記透過率は、紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、石英ガラス単体の透過率をベースラインとして測定された値である。
[透過率評価]
紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長355nmおよび400nmにおける透過率を測定した。
紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長355nmおよび400nmにおける透過率を測定した。
[レーザー加工性(剥離性)評価]
(評価方法)
本硬化後の硬化膜に対して、フラッシュランプ励起Nd:YAG Q-SWレーザー発振器「Callisto」(株式会社ブイ・テクノロジー製)を用いて、レーザー(レーザー波長:355nm)を石英ガラス基板側から照射した。100~600mJ/cm2のレーザーエネルギーで硬化膜の加工(塗膜除去)を行い、加工した硬化膜を光学顕微鏡にて観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
本硬化後の硬化膜に対して、フラッシュランプ励起Nd:YAG Q-SWレーザー発振器「Callisto」(株式会社ブイ・テクノロジー製)を用いて、レーザー(レーザー波長:355nm)を石英ガラス基板側から照射した。100~600mJ/cm2のレーザーエネルギーで硬化膜の加工(塗膜除去)を行い、加工した硬化膜を光学顕微鏡にて観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
◎:400mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
○:400mJ/cm2超500mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
△:500mJ/cm2超600mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
×:600mJ/cm2超でレーザー照射部に塗膜残渣がある
◎:400mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
○:400mJ/cm2超500mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
△:500mJ/cm2超600mJ/cm2以下でレーザー照射部に塗膜残渣がない
×:600mJ/cm2超でレーザー照射部に塗膜残渣がある
[接着強度評価用の硬化膜付き基板の作成]
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、ガラス基板「#1737」上に、加熱硬化処理後の膜厚が5.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、乾燥膜上に2mm×2mmにカットしたガラス基板「#1737」を置き、110℃のホットプレート上で1分間加熱し仮接着した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜付き基板を得た。
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、ガラス基板「#1737」上に、加熱硬化処理後の膜厚が5.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、乾燥膜上に2mm×2mmにカットしたガラス基板「#1737」を置き、110℃のホットプレート上で1分間加熱し仮接着した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜付き基板を得た。
[接着強度(せん断強度)の評価]
(評価方法)
硬化膜上に接着した2mm×2mmのガラス基板「#1737」について、ダイシェアテスター(アークテック社製)で接着強度の試験を実施した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
硬化膜上に接着した2mm×2mmのガラス基板「#1737」について、ダイシェアテスター(アークテック社製)で接着強度の試験を実施した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
◎:接着強度が、10MPa以上である
○:接着強度が、8MPa以上、10MPa未満である
△:接着強度が、5MPa以上、8MPa未満である
×:接着強度が、5MPa未満である
◎:接着強度が、10MPa以上である
○:接着強度が、8MPa以上、10MPa未満である
△:接着強度が、5MPa以上、8MPa未満である
×:接着強度が、5MPa未満である
[耐熱性評価・相溶性評価・耐薬品性・洗浄性評価用の硬化膜の作製]
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、ガラス基板「#1737」上に、加熱硬化処理後の膜厚が5.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜付き基板を得た。なお、耐熱性評価の際には、得られた硬化膜を削り出して、TG-DTAの測定に用いた。
表1~表3に示した接着剤層形成用組成物を、ガラス基板「#1737」上に、加熱硬化処理後の膜厚が5.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で3分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、硬化膜付き基板を得た。なお、耐熱性評価の際には、得られた硬化膜を削り出して、TG-DTAの測定に用いた。
[耐熱性評価]
(評価方法)
得られた硬化膜の粉末を、TG-DTA装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、空気中、30℃から400℃まで昇温速度5℃/minで昇温し、検体の重量が5%減少する温度を測定した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
得られた硬化膜の粉末を、TG-DTA装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、空気中、30℃から400℃まで昇温速度5℃/minで昇温し、検体の重量が5%減少する温度を測定した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
○:5%重量減少温度が、280℃以上である
△:5%重量減少温度が、250℃以上、280℃未満である
×:5%重量減少温度が、250℃未満である
○:5%重量減少温度が、280℃以上である
△:5%重量減少温度が、250℃以上、280℃未満である
×:5%重量減少温度が、250℃未満である
[相溶性評価]
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、濁度計「NDH5000」(日本電色工業株式会社製)を用いてヘイズ値を測定した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、濁度計「NDH5000」(日本電色工業株式会社製)を用いてヘイズ値を測定した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
○:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は10以下である
△:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は10超50以下である
×:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は50超である
○:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は10以下である
△:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は10超50以下である
×:樹脂硬化膜付き基板のヘイズ値は50超である
[耐溶剤性評価]
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、N-メチルピロリドンに10分間浸漬した後、洗浄・乾燥した。その後、試験後の硬化膜(塗膜)の膜厚を触針式段差形状測定装置「P-17」(ケーエルエー・テンコール株式会社製)を用いて測定した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、N-メチルピロリドンに10分間浸漬した後、洗浄・乾燥した。その後、試験後の硬化膜(塗膜)の膜厚を触針式段差形状測定装置「P-17」(ケーエルエー・テンコール株式会社製)を用いて測定した。なお、△以上を合格とした。
耐薬品性評価における残膜率は、試験前の膜厚をL1とし、試験後の膜厚をL2として、下記式から算出した。
残膜率(%)=L2/L1×100
残膜率(%)=L2/L1×100
(評価基準)
○:残膜率が90%以上である
△:残膜率が80%以上、90%未満である
×:残膜率が80%未満である
○:残膜率が90%以上である
△:残膜率が80%以上、90%未満である
×:残膜率が80%未満である
[洗浄性評価]
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、洗浄液「NK poleve 480」(日本化薬株式会社製)に室温で10分間浸漬し、硬化膜(塗膜)の洗浄を行った。その後、試験後のガラス基板を洗浄・乾燥し、光学顕微鏡にてガラス基板上の残渣の有無を確認した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
得られた硬化膜付き基板の硬化膜(塗膜)を、洗浄液「NK poleve 480」(日本化薬株式会社製)に室温で10分間浸漬し、硬化膜(塗膜)の洗浄を行った。その後、試験後のガラス基板を洗浄・乾燥し、光学顕微鏡にてガラス基板上の残渣の有無を確認した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
○:ガラス基板上に、残渣が認められない
△:ガラス基板上の一部に、残渣が認められる
×:ガラス基板上の全面に、残渣が認められる
○:ガラス基板上に、残渣が認められない
△:ガラス基板上の一部に、残渣が認められる
×:ガラス基板上の全面に、残渣が認められる
評価結果を表4~表6に示す。
表4~表6に示されるように、上述した接着剤層形成用組成物を接着剤層に用いた積層体は、波長355nmのレーザーによる加工性(剥離性)に優れることがわかった。これは、(B)成分の添加により、当該波長の光が効率的に接着剤層に吸収され、接着剤層が変質・分解したためと考えられる。
また、(B)成分の添加量を固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下とすることで、良好なレーザー加工性(剥離性)を担保しつつ、接着強度、耐薬品性に優れた硬化膜が得られることがわかった。これは、(A1)成分と(A2)成分の不飽和基が重合することにより熱硬化し、硬化膜の強度を向上するとともに溶剤への溶出が抑制されるためと考えられる。
(A)成分として、一般式(1)で表される不飽和基含有硬化性樹脂を用いることにより、レーザー剥離性を維持しつつ、耐熱性を向上させることができ、積層体の加工工程におけるプロセスマージンを十分に確保することができる。これは、一般式(1)で表される不飽和基含有硬化性樹脂が芳香環を多数有することにより、熱安定性に優れているためと考えられる。
(B)成分として、波長355nmの光の吸光度が0.10以上である紫外線吸収剤を用いることにより、波長355nmのレーザーによる加工性(剥離性)に優れることがわかった。これは、(B)成分がより効率的に光を吸収するため、接着剤層の変質・分解が促進されたためであると考えられる。
実施例1、3~18で示されるように、(B)成分として、重量平均分子量(Mw)が1000以上の紫外線吸収剤を含む接着剤層形成用組成物は、耐熱性および耐溶剤性に優れることがわかった。これは、加熱時の(B)成分のブリードアウトや、溶剤に暴露した際の溶剤への溶出が抑制されるためと考えられる。
実施例14~16で示されるように、(A2)成分として(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性体又はカプロラクトン変性体を含む接着剤層形成用組成物は、接着強度に優れることがわかった。これは、(A2)成分として加熱時の流動性が高い化合物を含むことにより、加熱接着時の乾燥膜の流動性が向上し、被着体に追従するためと考えられる。
2.第2の開示に関する実施例・比較例
2.第2の開示に関する実施例・比較例
表7、8に記載の配合量(単位は質量%)で実施例21~31、比較例21~23のマイクロレンズ形成用組成物を調製した。表7、8で使用した配合成分は以下のとおりである。
(不飽和基含有重合性化合物)
(A1)-1:合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-2:合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-3:合成例3で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.3質量%)
(A1)-4:合成例4で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.1質量%)
(A1)-5:合成例5で得られた樹脂溶液(固形分濃度46.0質量%)
(A2)-1:ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)
(A1)-1:合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-2:合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度57.0質量%)
(A1)-3:合成例3で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.3質量%)
(A1)-4:合成例4で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.1質量%)
(A1)-5:合成例5で得られた樹脂溶液(固形分濃度46.0質量%)
(A2)-1:ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)
(紫外線吸収剤)
(B)-1:RUVA-93(大塚化学株式会社製)
(B)-6:Tinuvin384-2(BASFジャパン社製、固形分濃度95質量%、「Tinuvin」は同社の登録商標)
(B)-7:Tinuvin400(固形分濃度85質量%)
(B)-8:アデカスタブ1413(株式会社ADEKA製、「アデカスタブ」は同社の登録商標)
(B)-1:RUVA-93(大塚化学株式会社製)
(B)-6:Tinuvin384-2(BASFジャパン社製、固形分濃度95質量%、「Tinuvin」は同社の登録商標)
(B)-7:Tinuvin400(固形分濃度85質量%)
(B)-8:アデカスタブ1413(株式会社ADEKA製、「アデカスタブ」は同社の登録商標)
(エポキシ化合物)
(C):ビフェニル型エポキシ樹脂(jER YX4000、三菱ケミカル株式会社製、「jER」は同社の登録商標、エポキシ当量180~192g/eq)
(C):ビフェニル型エポキシ樹脂(jER YX4000、三菱ケミカル株式会社製、「jER」は同社の登録商標、エポキシ当量180~192g/eq)
(光重合開始剤)
(D)-1:Omnirad907(IGM Resins、B.V.社製、「Omnirad」は同社の登録商標)
(D)-2:Irgacure OXE-01(BASF社製、「Irgacure」は同社の登録商標)
(D)-1:Omnirad907(IGM Resins、B.V.社製、「Omnirad」は同社の登録商標)
(D)-2:Irgacure OXE-01(BASF社製、「Irgacure」は同社の登録商標)
(増感剤)
(E):ミヒラーケトン
(E):ミヒラーケトン
(溶剤)
(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[評価]
表7、8に示される実施例21~31、比較例21~23のマイクロレンズ形成用組成物を硬化してなる硬化膜について、以下の評価を行った。
表7、8に示される実施例21~31、比較例21~23のマイクロレンズ形成用組成物を硬化してなる硬化膜について、以下の評価を行った。
(屈折率測定用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、5inchの基板(シリコンウエハー)上に、加熱硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で500mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、屈折率測定用の硬化膜付き基板を得た。
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、5inchの基板(シリコンウエハー)上に、加熱硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で500mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)し、屈折率測定用の硬化膜付き基板を得た。
[屈折率評価]
エリプソメーター(J.A.Woollam社製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長633nmにおける屈折率を測定した。
エリプソメーター(J.A.Woollam社製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長633nmにおける屈折率を測定した。
(透過率測定用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、加熱硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)することにより、透過率測定用の硬化膜付き基板を得た。
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、加熱硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)することにより、透過率測定用の硬化膜付き基板を得た。
[透過率評価]
紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長400nmにおける透過率を測定した。
紫外可視赤外分光光度計「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、本硬化後の上記硬化膜付き基板の波長400nmにおける透過率を測定した。
(パターン密着性およびパターン端部残渣評価用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して、光硬化反応(露光)を行った。
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して、光硬化反応(露光)を行った。
次いで、上記露光された乾燥膜(露光膜)を23℃の0.8%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)現像液により1kgf/cm2のシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から10秒の現像処理を行った後、5kgf/cm2のスプレー水洗を行い、上記露光膜の未露光部分を除去することによりガラス基板上に5μm径のドットパターンを得た。最後に、得られたドットパターンを、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間、本硬化(ポストベーク)することにより、パターン密着性およびパターン端部残渣評価用の硬化膜付き基板を得た。
[パターン密着性評価]
(評価方法)
上記基板上の5μm径のドットパターン(硬化膜)を、光学顕微鏡を用いて、ドットパターンの剥がれの有無を観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
上記基板上の5μm径のドットパターン(硬化膜)を、光学顕微鏡を用いて、ドットパターンの剥がれの有無を観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
○:ドットパターンに剥がれは確認されない
△:ドットパターンの一部に剥がれが確認される
×:ドットパターンの全てが剥離している
○:ドットパターンに剥がれは確認されない
△:ドットパターンの一部に剥がれが確認される
×:ドットパターンの全てが剥離している
[パターン端部の残渣評価]
(評価方法)
上記基板上の5μm径のドットパターン(硬化膜)を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ドットパターン端部の残渣の有無を観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価方法)
上記基板上の5μm径のドットパターン(硬化膜)を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ドットパターン端部の残渣の有無を観察した。なお、△以上を合格とした。
(評価基準)
○:パターン端部に残渣は確認されない
△:パターン端部の一部に残渣が確認される
×:パターン端部の残渣が顕著である
○:パターン端部に残渣は確認されない
△:パターン端部の一部に残渣が確認される
×:パターン端部の残渣が顕著である
(耐薬品性評価用の硬化膜付き基板の作製)
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて180℃で1時間、もしくは230℃で30分間本硬化(ポストベーク)し、耐薬品性評価用の硬化膜付き基板を得た。
表7、8に示したマイクロレンズ形成用組成物を、ガラス基板上に、加熱硬化後の膜厚が2.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間プリベークをして乾燥膜を作製した。次いで、上記乾燥膜に、超高圧水銀ランプ(波長365nm、照度30mW/cm2)で300mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応(露光)を行った後、熱風乾燥機を用いて180℃で1時間、もしくは230℃で30分間本硬化(ポストベーク)し、耐薬品性評価用の硬化膜付き基板を得た。
[耐溶剤性評価]
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の硬化膜の膜厚(L1)、およびアセトンに10分間浸漬した後、洗浄し、乾燥させた後の上記硬化膜の膜厚(L2)を、それぞれ触針式段差形状測定装置「P-17」(ケーエルエー・テンコール株式会社製)を用いて測定し、下記式から残膜率(%)を算出した。なお、△以上を合格とした。
残膜率(%)=L2/L1×100
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の硬化膜の膜厚(L1)、およびアセトンに10分間浸漬した後、洗浄し、乾燥させた後の上記硬化膜の膜厚(L2)を、それぞれ触針式段差形状測定装置「P-17」(ケーエルエー・テンコール株式会社製)を用いて測定し、下記式から残膜率(%)を算出した。なお、△以上を合格とした。
残膜率(%)=L2/L1×100
(評価基準)
○:残膜率が90%以上である
△:残膜率が80%以上90%未満である
×:残膜率が80%未満である
○:残膜率が90%以上である
△:残膜率が80%以上90%未満である
×:残膜率が80%未満である
上記評価結果を表9、10に示す。
実施例21~31に示されるように、本発明のマイクロレンズ形成用樹脂組成物を用いることにより、高い屈折率および高い透過率を有する硬化膜を形成できることがわかった。
実施例21~31で示されるように、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を用いることにより、ネガ型のパターン形成時に特有の残渣の発生を抑制できることがわかった。これは、紫外線吸収剤が、照射された放射線を吸収して、余剰の放射線が基材界面に沿って広がるのを抑制し、放射線が照射されていない部位において、基材との界面で組成物が硬化してしまうのを抑制するためであると考えられる。
また、実施例24~31で示されるように、エチレン性不飽和基を有する紫外線吸収剤を用いることにより、紫外線吸収剤の溶剤への染み出しを抑制して、硬化物の耐薬品性を高めることができることがわかった。これは、紫外線吸収剤の感光性反応基と、不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂もしくは光重合性モノマーとが反応して、紫外線吸収剤を樹脂中に取り込むことができるためであると考えられる。
本発明の第1の開示によれば、様々な製品の製造時に使用され得る接着剤を有する積層体を提供することができる。特に、半導体ウエハ等の支持体に仮止めして加工する工程にとって好適な積層体を提供することができる。
本発明の第2の開示によれば、高画素化および高感度化を要する固体撮像素子に用いることができるマイクロレンズ形成用樹脂組成物を提供することができる。
Claims (12)
- 支持体と被着体とを接着し、かつ、光を照射されることにより前記支持体と前記被着体とを分離可能とする接着剤層を形成するための組成物であって、
(A)不飽和基含有重合性化合物と、
(B)紫外線吸収剤と、
(F)溶剤と、
を含み、
前記(B)紫外線吸収剤の含有量は、固形分の全質量に対して10質量%以上80質量%以下である、
接着剤層形成用組成物。 - 前記(A)不飽和基含有重合性化合物は、(A1)アルカリ可溶性樹脂を含み、
前記(A1)成分は、重量平均分子量が1000以上40000以下の樹脂である、
請求項1に記載の接着剤層形成用組成物。 - 前記(A1)アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表される樹脂である、請求項1または2に記載の接着剤層形成用組成物。
- 前記(A)不飽和基含有重合性化合物は、(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物。
- 前記(A2)アルカリ可溶性基を有さない不飽和基含有重合性化合物は、アルキレンオキサイド変性またはラクトン変性された、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む、請求項4に記載の接着剤層形成用組成物。
- 前記(B)紫外線吸収剤は、波長355nmの光の吸光度が0.10以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物。
- 前記(B)紫外線吸収剤は、重量平均分子量(Mw)が1000以上の化合物である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物。 - 前記(B)紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物。
- 支持体と、
被着体と、
前記支持体と前記被着体との間に配置された、請求項1~8のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物の硬化物を含む接着剤層と、
を有する積層体。 - 前記支持体は、350nm以上450nm以下の波長の光の透過率が70%以上の支持体である、請求項9に記載の積層体。
- 支持体および被着体の少なくとも一方の表面に、請求項1~8のいずれか1項に記載の接着剤層形成用組成物を付与して接着剤層を形成する工程と、
前記形成された接着剤層を介して、前記支持体と前記被着体とを接着させる工程と、
を含む積層体の製造方法。 - 請求項9または10に記載の積層体を準備する工程と、
前記接着剤層に光を照射して前記支持体と前記被着体とを分離する工程と、
を有する、積層体の処理方法。
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WO2024162054A1 (ja) * | 2023-01-31 | 2024-08-08 | デンカ株式会社 | 複数の薄型ウエハの製造方法 |
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2022
- 2022-03-08 JP JP2022035476A patent/JP2023008789A/ja active Pending
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