本技術の一実施形態に係る解凍庫について、図1から図13を適宜参照しつつ説明する。なお、図1から図8の各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、解凍庫1の前後方向における前,後,正面から見たときの幅方向における左,右,鉛直方向の上,下を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
解凍庫1は、例えば冷凍して保存している食材等の冷凍物を、例えば調理に適した温度にまで品質を保ちながら解凍し、解凍後は引き続き品質を保ちながら保管することができる保管庫である。一例では、-15℃以下(例えば-20℃~-25℃)で冷凍されていた冷凍物を、例えば、パーシャルフリージング温度である-3℃付近や、チルド温度である0℃付近まで解凍し、この温度で保冷する温度制御機構を備えている。この解凍庫1は、図1等に示すように、概して縦長の略直方体形状の解凍庫本体10を主体として構成されており、この解凍庫本体10の上方に機械室5が配され、これらを脚部9によって下方から支持している。以下、各構成要素について説明する。
解凍庫本体10は、前方の一面が開口された断熱筐体11と、断熱筐体11の開口を開閉する扉15と、を備えている。断熱筐体11は、ステンレス鋼板製の外箱12の内側に、同じくステンレス鋼板製の内箱13が嵌め込まれ、外箱12と内箱13との間に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材14が充填されることで構成されている。断熱筐体11は、上壁11Aと、左側壁11Bと、右側壁11Cと、背壁11Dと、底壁11Eと、を有している。上壁11Aには、機械室5と連通する開口11Fが設けられている。
断熱筐体11の上方には、冷却室ダクト7Aが取り付けられることによって冷却室7が画成され、断熱筐体11の下方には、ドレンパン41等が取り付けられることによって底部ダクト40が画成されている。冷却室7は、本技術における第1空間の一例であり、底部ダクト40は、本技術における第2空間の一例である。そして断熱筐体11の内部の残りの領域であって、断熱筐体11、冷却室ダクト7A、およびドレンパン41で取り囲まれる部分が、解凍対象である冷凍物等を収容するための解凍室3となっている。
扉15は、ステンレス鋼板製の外形材16の内部に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材17が充填されることで構成されている。扉15は、解凍室3の開口を開閉する要素であり、解凍室3の開口を扉15で覆うことによって解凍空間が構築されるとともに、解凍空間(以下、単に庫内という場合がある。)を外部から断熱できるようになっている。扉15には、正面から見て右側に取手18が設けられており、扉15は、その右側端部を揺動軸として、揺動開閉できるように取り付けられている。扉15を閉じたときに庫内側を向く背面15Aの周縁部には、パッキン19が装着されている。パッキン19は、弾性体からなるシール部材であり、扉15を閉じたときに扉15と断熱筐体11の開口縁部との間に介在して、扉15と開口縁部とを気密に封止する。
機械室5は、図1から図4に示すように、断熱筐体11の上方に配されており、解凍室3の内部(庫内)の空気を冷却するための冷却ユニット20(冷却装置の一例)の一部と、解凍庫1の各部を制御する制御装置100と、を収容している。機械室5と冷却室7とは、断熱筐体11の上壁11Aに設けられた開口11Fによって連通可能とされているものの、この開口11Fには、断熱仕切板29が機械室5の側から嵌め込まれることで断熱的に封止できるようになっている。制御装置100は、図示しない外部電源に電気的に接続可能とされており、例えば解凍庫1の各部には、制御装置100を介して電力が供給されるようになっている。
機械室5の前面パネル5Aの一部には開口が設けられており、図1に示すように、その開口から表示部4(報知部の一例)、および操作部6が外部に露出している。表示部4および操作部6は、制御装置100と電気的に接続されている。表示部4は、解凍庫1の各種情報が表示される表示画面である。表示部4には、例えば、後述する各温度センサ26,53,60により検出される温度、および解凍庫1の運転状態を示す情報(具体的には、後述する「スピード解凍」「仕込み解凍」「保冷」の各文字等)が表示される。操作部6は、使用者によって解凍庫1の解凍運転の開始等を指示するための押しボタンである。また、機械室5の前面パネル5Aは、少なくとも一部が開閉可能に構成されており、前面パネル5Aを開くことで、通常は前面パネル5Aに覆われている操作部6の一部(他の操作ボタン)が現れるようになっている。前面パネル5Aを開いて現れる当該操作ボタンによって、表示部4に表示される各種情報を切り替えたり、解凍庫1の運転に関わる各種設定値を設定したりできる。なお、操作部6のうち、前面パネル5Aの開口から露出している押しボタンを区別する必要がある場合には、以下、解凍開始ボタンと称する。
冷却ユニット20は、主として解凍室3の空気を外気よりも低い温度に冷却するとともに、解凍室3の温度が低すぎる場合は解凍室3の空気を温めるための要素である。冷却ユニット20は、おおまかには、圧縮機21、凝縮器22、凝縮器ファン22A、膨張弁(図示せず)、蒸発器24(冷却器の一例)、蒸発器ファン24A(第1送気装置の一例)、冷媒を流通させる冷媒管25、庫内温度センサ26(室内温度センサの一例)、および除霜用ヒータ27(加熱手段の一例)を含む。冷却ユニット20においては、圧縮機21、凝縮器22、膨張弁、蒸発器24の間をこの順に冷媒管25で繋いで冷媒を循環させることで、既知の冷凍サイクルを構成している。冷却ユニット20のうち、圧縮機21、凝縮器22、および凝縮器ファン22Aは、断熱仕切板29の上に載置されて、機械室5に配されている(換言すれば、外気に晒されている)。冷却ユニット20のうち、蒸発器24、蒸発器ファン24A、庫内温度センサ26、除霜用ヒータ27、および膨張弁は、断熱仕切板29の下方に設置されて、冷却室7に配されている。圧縮機21、凝縮器ファン22A、蒸発器ファン24A、庫内温度センサ26、および除霜用ヒータ27は、制御装置100に電気的に接続されている。
冷却室ダクト7Aは、より詳細には、図3等に示すように、後方に向けて下方に傾斜しており、前方に吸込口7Bが、後方に吹出口7Cが設けられている。吸込口7Bの上方には、蒸発器ファン24Aが設けられている。蒸発器24は、蒸発器ファン24Aの後方側に配されている。蒸発器ファン24Aは、モータ駆動型のファンであり、吸込口7Bを通過した解凍室3の空気をモータの回転軸方向に沿って吸い込んで、そのままの方向に沿って斜め上方に吹き出す。蒸発器ファン24Aに備えられるモータは、DCモータであって、モータに供給される電流量によってモータの回転速度を連続的に変更可能である。これにより、蒸発器ファン24Aの送風量は容易に調整可能となっている。例えば後述する解凍運転時、および冷凍運転時には送風量が多くなるように蒸発器ファン24Aを最大回転速度にて駆動し、冷却運転時には、冷却温度に対する解凍室3の室内温度T26に応じて送風量が変化するように回転速度を変動できる。本例の蒸発器ファン24Aは、図2および図4に示すように、左右方向に二つ並んで設けられている。冷却室ダクト7Aには、各蒸発器ファン24Aに対向するように、二つの吸込口7Bが形成されている。
蒸発器ファン24Aの上方には、庫内温度センサ26が設けられている。蒸発器ファン24Aによって吸い込まれた解凍室3の空気が庫内温度センサ26に当たることで、庫内温度センサ26によって解凍室3の温度(室内温度T26)が検出される。庫内温度センサ26は、例えばサーミスタによって構成されている。
除霜用ヒータ27は、蒸発器24の下方に設けられている。除霜用ヒータ27は、通電によって発熱することで、後述する除霜運転時には、蒸発器24に付着した霜を加熱融解する。また、除霜用ヒータ27は、後述する解凍運転時には、蒸発器24を通過する空気を温め、ひいては解凍室3に戻される空気を加熱(加温)するために用いられる。除霜用ヒータ27の発熱量は、例えば通電時間を制御することで調整可能である。
冷却室ダクト7Aの二つの吸込口7Bの間には、図2および図4に示すように、赤外線温度センサ60が備えられている。赤外線温度センサ60は、物体(冷凍物)から放射される赤外線を集光する集光部61(具体的にはレンズ)と、集光された赤外線を検出して電気信号に変換する検出変換部63(具体的にはサーモパイル)と、を備えており、検出変換部63から出力される電圧に基づいて冷凍物の温度を検出する。赤外線温度センサ60によれば、解凍室3に収容された冷凍物の温度を、非接触で、かつ、直接的に、高速で測定できる。赤外線温度センサ60は、冷却室ダクト7Aを貫通する形で設けられており、少なくとも集光部61が解凍室3内に露出している。これにより、冷凍物からの赤外線が集光部61に到達し、赤外線温度センサ60によって冷凍物の温度が検出可能となっている。
赤外線温度センサ60は、二つの吸込口7Bの間に設けられ、各吸込口7Bと隣接している。赤外線温度センサ60は、その構成部(集光部61および検出変換部63等)に霜が付着すると、誤動作する懸念がある。例えば、冷凍物を収容するために扉15を開くと、温かく湿った外気が解凍室3内に流入し、集光部61の表面に霜が付着しやすくなる。付着した霜によって、冷凍物からの赤外線が赤外線温度センサ60の集光部61に届きにくくなってしまい、誤動作する可能性がある。そこで本例では、赤外線温度センサ60を吸込口7Bと隣接するように設け、蒸発器ファン24Aによって吸込口7Bに集められる空気の流れによって、赤外線温度センサ60に付着した霜が吹き飛ばされるようになっている。これにより、赤外線温度センサ60の誤動作を抑制できる。なお、赤外線温度センサ60の配設位置は、冷凍物からの赤外線が集光部61に到達し、かつ赤外線温度センサ60に付着した霜を空気の流れによって吹き飛ばすことができれば、吸込口7Bと隣接する場所以外であっても構わない。
解凍室3の背壁11Dには、図3および図7に示すように、上下方向に沿って背面ダクト50が設けられている。背面ダクト50は、冷却室7と底部ダクト40とに連通し、例えば、吹出口7Cから吹き出された冷却室7の空気を底部ダクト40に送ることができるように構成されている。背面ダクト50は、概して、ダクト本体51と、背面ヒータ52(加熱手段の一例)と、背面ダクト温度センサ53と、を備えている。背面ヒータ52および背面ダクト温度センサ53は、制御装置100に電気的に接続されている。また本例の背面ダクト50には、棚受構造54が備えられている。
ダクト本体51は、例えばアルミニウム合金等の金属材料からなる平板状の板材を、断面略凸状に曲げ加工することにより形成されており、幅方向の中央に配される本体部51Aと、本体部51Aの両端に連続する一対の壁部51Bと、壁部51Bの両端に連続する一対の固定部51Cと、を含む。ダクト本体51の上端は、冷却室ダクト7Aの後方の端部に接続されており、ダクト本体51の下端は、ドレンパン41の後方の端部に接続されている。これにより、背面ダクト50の内側には、上方から下方に向かう空気の流路が形成される。
ダクト本体51の本体部51Aの下端の幅方向の中央には、図3に示すように、背面ダクト50内に形成された流路を流れる空気の温度を計測する背面ダクト温度センサ53が備えられている。背面ダクト50内を流下した空気は、背面ダクト50の下端から底部ダクト40に送り出される際に、背面ダクト温度センサ53に当たることとなる。これにより、背面ダクト温度センサ53によって背面ダクト50内の温度(背面ダクト内温度T53)が検出される。背面ダクト温度センサ53は、例えばサーミスタによって構成されている。
ダクト本体51の本体部51Aの裏面(背壁11Dに対向する面)には、図6に示すように、背面ヒータ52が備えられている。本例の背面ヒータ52は、リード線(銅線)をシリコーンゴムによって被覆した所謂シリコーンコードヒータであり、ダクト本体51の上方部分と下方部分とに分けて1つずつ配されている。背面ヒータ52は、ダクト本体51の上方部分と下方部分のそれぞれにおいて、上下方向に沿って蛇行しながら複数列に亘って配策されており、アルミ箔テープによってダクト本体51の裏面に固定されている。背面ヒータ52に通電することで、背面ダクト50内を流下する空気を加熱(加温)できる。背面ヒータ52の発熱量は、例えば通電時間を制御することで調整可能である。
ダクト本体51の本体部51Aの表面(前方を向く面)には、図2に示すように、冷凍物を載置することができる棚網55を上下方向に並ぶ形で載置可能な4つの棚受構造54が備えられている。本例の棚受構造54では、9つの棚網55を、基本の取付位置で支持する様子を示している。
解凍室3には、図3および図4に示すように、左右の側壁11B,11Cにそれぞれ、中空の柱状ダクト30が上下方向に沿う姿勢で備えられている。各柱状ダクト30は、図7に示すように、前後方向についての配置が重ならないように、互い違いに配されている。なお、一つの柱状ダクト30が解凍室3の前端に配されていることで、この柱状ダクト30から吹出される空気がエアカーテンとして機能し、例えば冷凍物を遅れて解凍室3に入れるために扉15を開けたときなどに、解凍室3への空気の出入りにより庫内の温度が不安定となる事態を抑制することができる。以上の4つの柱状ダクト30のうち、左側壁11Bに設けられた2つの柱状ダクト30と、右側壁11Cの中央よりやや後方に設けられた1つの柱状ダクト30(以下、区別する必要がある場合には、第1柱状ダクト30Aという。)は同一の構造を有している。一方、右側壁11Cの前方に設けられた1つの柱状ダクト30(以下、区別する必要がある場合には、第2柱状ダクト30Bという。)は、棚受構造54が取り付けられている。
第1柱状ダクト30Aは、概して長尺の柱状をなしており、ステンレス鋼,アルミニウム合金等の金属材料によって構成されている。第1柱状ダクト30Aは、例えば図3に示すように、基材31と、凸状部材32と、蓋部材34と、底部材35と、風向板36と、ブロアファン38(第2送気装置の一例)と、を備えている。第1柱状ダクト30Aの上端は解凍室3に配されているものの、第1柱状ダクト30Aの下端は、底部ダクト40に配されている。
まず、凸状部材32は、上下方向に延びる空気の流路を構成する要素であり、解凍室3の側壁11B,11Cに対して室内側に膨出するように構成されている。基材31は、凸状部材32の剛性を高めるための付加的な要素である。凸状部材32には、上下方向に所定の間隔で、複数の吹出し孔33が貫通形成されている。吹出し孔33は、柱状ダクト30を流通する空気が解凍室3に吹出されるときの出口である。各吹出し孔33は、水平方向(前後方向)に延びる長角孔として形成されている。この吹出し孔33は、棚受構造54において基本の取付位置に取り付けられた棚網55のすぐ下側に配されるように、上下方向の位置が調整されている。
複数の吹出し孔33は上下方向に沿って異なる位置に配されているため、柱状ダクト30内に送り込まれた空気を上下方向について分配して解凍室3内に送ることができる。また、例えば冷凍物によって庫内に送られた空気の流れの一部が遮られても、この冷凍物の上方および下方に空気の流れが形成されるため、冷凍物に遮られることによって解凍室内の空気の流れが大きく乱れることが抑制される。その結果、解凍室3内の温度をより高いレベルで均一化することができる。ひいては、後述する解凍運転において、解凍不足や解凍ムラ、過解凍等による品質の低下を抑制することができる。
風向板36は付加的に備えられる要素であり、吹出し孔33から吹出される空気の吹出す向きを制御する要素である。本例の風向板36は、全ての吹出し孔33に対し、その板面が吹出し孔33の上縁部から水平方向に延びるように設置されている。これにより、吹出し孔33から水平方向に空気を吹出すことができ、解凍室3において空気の流れが冷凍物に遮られることを抑制することができる。
蓋部材34は、第1柱状ダクト30Aの上端を閉じるための部材であり、第1柱状ダクト30Aの上端は蓋部材34によって閉塞されている。底部材35は、第1柱状ダクト30Aの下端を閉じるための部材であり、第1柱状ダクト30Aの下端は底部材35によって閉塞されている。第1柱状ダクト30Aには、底部ダクト40内に配される下部においてブロアファン38が接続されている。
第2柱状ダクト30Bは、大まかには第1柱状ダクト30Aと同様の構成を有し、接続部37における流路が後方に向けて90度曲げられる姿勢で右側壁11Cに取り付けられている。第2柱状ダクト30Bは、図5に示すように、凸状部材32に設けられる複数の吹出し孔33の位置が、ブロアファン38の接続方向(ここでは後方)とは反対側(ここでは前方)に変位されている。第2柱状ダクト30Bには、このようにして形成されたスペースに、棚受構造54における棚柱56および棚受部材57が取り付けられている。
ブロアファン38は、底部ダクト40内に配されて、柱状ダクト30の下部に接続されている。ブロアファン38は、解凍室3から吸い出された空気を柱状ダクト30内に送るための送気装置であり、空気を吸い込む吸気口38Aと、空気を送り出す送気口38Bとを有している。本例のブロアファン38は略円盤状をなしており、モータによって回転駆動される。円盤状のブロアファン38の中心部分には吸気口38Aが設けられ、モータの駆動によって軸方向に空気を吸い込むとともに、円周部分に設けられた送気口38Bから接線方向に空気を送り出すように構成されている。
ブロアファン38は、吸い込み方向とは異なる方向に、指向性の高い空気を送り出すことができるため、底部ダクト40内の空気を効率よく柱状ダクト30に送り込むことができる。ブロアファン38は、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。ブロアファン38に備えられるモータは、ブラシレスDCモータであって、モータに供給される電流量によってモータの回転速度を連続的に変更可能である。これにより、ブロアファン38の送風量は容易に調整可能となっている。例えば後述する解凍運転時、および冷凍運転時には送風量が多くなるようにブロアファン38を最大回転速度にて駆動し、冷却運転時には、冷却温度に対する解凍室3の室内温度T26に応じて送風量が変化するように回転速度を変動できる。
底部ダクト40は、図8に示すように、断熱筐体11の下方を、ドレンパン41、底側部カバー部材42、および前面カバー43で覆うことによって構成されている。ドレンパン41、底側部カバー部材42、および前面カバー43はそれぞれ、断熱筐体11、背面ダクト50、柱状ダクト30、および柱部材58に対して、水密に接続されている。ドレンパン41の前方の幅方向の中央には、排水口44が設けられており、ドレンパン41の上面は、この排水口44に向かって下傾するテーパ面となっている。断熱筐体11の底壁11Eには、排水口44と対応する位置に一回り大きい排水孔45が設けられている。そしてドレンパン41の排水口44には、底部ダクト40の側にドレンホース46(図3参照)が接続されており、ドレンホース46の下端が排水孔45に挿通されていることで、解凍室3内に発生した水分を解凍庫1の外部に排水できるようになっている。
底側部カバー部材42は、前面カバー43と背壁11Dを接続するように前後方向に延出しており、断面略L字状をなしている(図2参照)。底側部カバー部材42は、ドレンパン41に対して左右両側(側壁11B,11Cの側)に一つずつ(計二つ)配されて、柱状ダクト30の下部、および当該下部に接続されているブロアファン38を上方から覆っている。ブロアファン38は、ドレンパン41、底側部カバー部材42、および前面カバー43によって覆われており、底部ダクト40内に収容されている。これにより、解凍室3内に発生した水分がブロアファン38のモータに付着してしまう事態を防ぐことができる。特に、冷凍物が食材の場合には、冷凍食材に含まれる水分がドリップとして流れ出て、棚網55等に付着したり、ドレンパン41に落下したりして、解凍室3が汚れやすくなる。底部ダクト40が水密に構成されていることで、使用者は、解凍室3内の汚れを水や洗剤を用いて手動洗浄することができる。また、その際に生じた洗浄水やすすぎ水は、ブロアファン38にかかることなく、ドレンパン41の排水口44から排水されるようになっている。
次に、解凍庫1の電気的構成について説明する。制御装置100は、図9に示すように、CPUやマイコン等からなる制御部70と、ROMやRAM等のメモリからなる記憶部71と、時刻を計時する計時部72と、を備える。記憶部71は、解凍庫1の制御プログラムの他、運転に関わる各種設定値を記憶している。各種設定値には、後述する解凍運転に関わる値(具体的には、解凍済判定温度、開始判定温度、終了判定温度、第1時間帯等)が含まれており、これらは操作部6を操作することで、適宜変更可能である。計時部72は、具体的にはウィークリータイマーである。制御部70には、庫内温度センサ26、赤外線温度センサ60、背面パネル温度センサ53、操作部6、圧縮機21、凝縮器ファン22A、除霜用ヒータ27、蒸発器ファン24A、背面ヒータ52、ブロアファン38、および表示部4が電気的に接続されている。制御部70は、記憶部71に記憶された制御プログラムを実行することで、各種設定値、使用者による操作部6の操作、および各温度センサ26,53,60の検出結果に基づいて、制御部70と電気的に接続された解凍庫1の各部を制御する。
続いて、解凍庫1の運転方法について説明する。解凍庫1が電源ONとなった後、解凍運転が開始されるまでの間は、所定の初期運転が行われる。初期運転としては、例えば、庫内温度センサ26が検出する解凍室3の室内温度T26が所定の冷却温度(例えば、パーシャルフリージング温度である-3℃付近や、チルド温度である0℃付近)となるように冷却運転を行う。初期運転として冷却運転を行うことで、解凍室3に冷凍物が収容された際に、冷凍物が常温に曝されて品質劣化することを抑制できる。また、電源ON後、解凍運転の開始までは、別の貯蔵物(例えば、解凍済みの冷凍物)を保冷状態で保管しておくこともできる。なお、電源ON後の冷却運転の冷却温度は、操作部6によって適宜変更可能であり、例えば冷凍温度(例えば-20℃~-25℃)まで冷却するように設定することで、冷凍運転を実行するようにしても構わない。このようにすれば、解凍運転が開始されるまでは、冷凍物を冷凍状態で保管しておくことができる。
以下、本実施形態では、電源ONの後、初期運転として解凍室3の室内温度が-3℃から0℃の温度範囲となるように冷却運転が行われるものとして説明する。また、解凍室3に収容される冷凍物は、収容前は-15℃以下で冷凍保存されているものと想定する。
制御部70はまず、図10に示すように、電源ON後の初期運転として冷却運転(ステップS12)を実行する。また制御部70は、冷却運転の実行時(少なくとも開始時)は、解凍庫1の運転状態を使用者に報知するために、表示部4に冷却運転を示す表記である「保冷」を表示させる(S10)。冷却運転では、制御部70は、圧縮機21、凝縮器ファン22Aを駆動して冷却ユニット20において冷媒を循環させると共に、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38を駆動する。すると、解凍室3の空気は、図3の矢線で示されるように、冷却室7に吸い上げられ、蒸発器24を通過する間に蒸発器24との間で熱交換することにより冷却される。冷却された空気は、冷却室7の吹出口7Cから背面ダクト50内を流下し、背面ダクト50の下端から底部ダクト40に吹き出される。底部ダクト40内の空気は、ブロアファン38によって効率よく柱状ダクト30に送り込まれる。柱状ダクト30に送られた空気は、図2および図7の矢線で示されるように、上下方向に配された吹出し孔33を通じ、解凍室3の内部に上下方向に亘って均等に吹出される。このように蒸発器24によって冷却された空気が解凍室3に戻されて循環されることによって、解凍室3内の空気が冷却される。
制御部70は、冷却室7に吸い上げられた解凍室3の空気の温度(室内温度T26)を庫内温度センサ26によって計測しながら、室内温度T26が予め設定された冷却温度に到達するように、さらに、冷却温度に到達した後は室内温度T26が冷却温度を維持する(-3℃から0℃の温度範囲内となる)ように、圧縮機21、凝縮器ファン22A、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38の駆動を制御する。制御部70は、冷却運転中は、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38の回転速度を、室内温度T26に応じて送風量が調整されるように変動制御する。例えば、室内温度T26が冷却温度に到達する前は、各ファン24A,38の送風量を大きくし、冷却温度に到達した後は送風量を小さくする。
従って、解凍室3の空気は、冷却室7、背面ダクト50、底面ダクト40、柱状ダクト30を順に通って、再び解凍室3に戻るようになっており、解凍庫1は、このような循環流路が形成されるように構成されている。後述する解凍運転時においても、解凍室3の空気は同じ循環流路に沿って循環される。解凍室3の空気は、冷却運転時、および冷凍運転時には循環流路における冷却室7内の蒸発器24によって冷却され、解凍運転時には循環流路における冷却室7内の除霜用ヒータ27、および背面ダクト50内の背面ヒータ52によって加熱される仕組みとなっている。なお、本例では、加熱手段として除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52が共に備えられ、解凍運転時には、両ヒータ27,52が作動されるものとするが、いずれか一方のみが備えられたり、いずれか一方のみを作動させたりするようにしても構わない。
上記冷却運転は、解凍運転が開始されるまで継続される。使用者は、冷却運転中の解凍庫1の扉15を開けて解凍室3の棚網55に冷凍物を載置し、扉15を閉めて操作部6の解凍開始ボタンをONにすることで、解凍運転の開始を指示する。制御部70は、図10に示すように、解凍開始ボタンがONとなって操作部6から送信された解凍開始信号を受信すると(S14のYES)、使用者による誤操作の可能性を確認して、解凍運転に移行するかどうかを判定するために、赤外線温度センサ60によって冷凍物温度T60を検出する(S16)。そして制御部70は、検出された冷凍物温度T60が解凍済判定温度(例えば-5℃)以上であるか否かを判定する(S18)。本例では、冷凍物は、上記したように解凍室3への収容前に-15℃以下で冷凍されていることを想定しているため、冷凍物温度T60が解凍済判定温度である-5℃より高い場合には(S18のYES)、解凍室3には解凍済みの冷凍物が収容されている、あるいは、解凍室3内に冷凍物が収容されていない状況にあると言える。従って、操作部6の解凍開始ボタンが誤操作によりONになったと考えられ、この場合には解凍運転の実行に進むことは適切ではない。
そこで制御部70は、冷凍物温度T60が解凍済判定温度(例えば-5℃)以上である場合には(S18のYES)、解凍運転を実行せずに、冷却運転を継続すると共に(S12)、表示部4に「保冷」を表示する(S10)。これにより、冷凍物が解凍済にも関わらず、操作部6の誤操作によって解凍運転の開始が指示された場合に、解凍運転が意図せず実行されてしまう事態を防ぐことができる。また、表示部4に「保冷」を表示することで、使用者に対して、解凍運転が実行されず、冷却運転が維持されることを報知できる。
なお、表示部4に表示される表記は「保冷」に限らず、「解凍済」等であっても構わない。冷却運転を示す「保冷」表示は、冷却運転の開始から一定時間経過後は、省電力化のため非表示としても構わないが、本ステップS18の判定後は、仮にこのような理由で非表示となっている場合であっても、「保冷」を再表示するものとする。これにより、使用者は、冷凍物が解凍済みであり、冷却運転によって保冷状態(解凍状態を保ちつつ冷却された状態)にあることを確実に認識できる。
一方、ステップS18において冷凍物温度T60が解凍済判定温度(例えば-5℃)以上でない場合には(S18のNO)、冷凍物温度T60が開始判定温度(例えば-10℃)以下であるか否かを判定する(S20)。本実施形態では、冷凍物は、解凍室3への収容前に-15℃以下で冷凍されていることを想定しており、冷凍物温度T60が開始判定温度である-10℃以下である場合には、冷凍物が収容されている状態にあると確定できる。従って、この場合には(S20のYES)、解凍運転の運転モードを判定するための次のステップS22に進む。一方で、冷凍物温度T60が開始判定温度である-10℃より高い場合、冷凍されている冷凍物が収容されているとは確定できないため、もう一度ステップS16に戻り、赤外線温度センサ60によって冷凍物温度T60を再検出して判定をやり直す。
解凍庫1は、解凍運転として2種類の解凍運転モードを選択的に実行することで、使用者の用途や使用目的に応じて、より適した解凍方法を提供可能となっている。具体的にはスピード解凍モード(第1モードの一例)と、仕込み解凍モード(第2モードの一例)を実行できる。2種類の解凍運転モードは、おおまかには解凍運転開始から解凍運転終了までに要する時間、すなわち解凍時間が異なる。スピード解凍モードでは、冷凍物温度T60に対する解凍室3の室内温度T26の温度差ΔTが、仕込み解凍モードよりも大きくなるように温度制御される。スピード解凍モードでは、仕込み解凍モードに比べて室内温度T26が高い状態で推移するため、解凍が促進され、解凍時間が短縮化される。一方、仕込み解凍モードでは、スピード解凍モードに比べて室内温度T26が低い状態で推移し、徐々に上昇することとなるため、より高精度に温度制御でき、解凍品質をより向上できる。仕込み解凍モードは、スピード解凍モードのように解凍時間は短縮化されないため、例えば冷凍物が食材の場合、冷凍食材を下ごしらえ(仕込み)として解凍するように用いることができる。スピード解凍モード、および仕込み解凍モードの具体的な制御フローについては、図12および図13を参照して詳しく後述する。
制御部70は、解凍運転を実行するにあたって、スピード解凍モードと仕込み解凍モードのうち、適する解凍運転モードを判定、選択する。より詳しくは、制御部70は、図10に示すように、計時部72によってカウントされている現在時刻が第1時間帯に属するか否かを判定し(S22)、その判定結果に基づき、スピード解凍モード(S22のYES)、または仕込み解凍モード(S22のNO)を選択する。これにより、解凍運転の開始時刻に応じて、適する解凍運転のモードが自動的に選択されるようになり、使用者の利便性を向上できる。
ここで、適する解凍運転モードの判定(S22)に用いられる第1時間帯について説明する。第1時間帯は、0時から23時までの24時間について曜日毎に予め設定されている設定値である。第1時間帯は、解凍運転開始時にスピード解凍モードが選択されることが好ましい時間帯であり、使用者の使用状況を考慮して設定される。図11に一例を示すように、例えば解凍庫1が店舗において使用される場合、第1時間帯は、使用店舗の営業時間(例えば11時の開店から0時の閉店まで)、および店員(使用者)の出勤時刻を考慮して設定することができる。
使用店舗では、店員が出勤すると、解凍室3に冷凍物を収容し、その営業日の営業時間内に冷凍物を解凍して解凍物を使用したいという要望が生じると考えられる。この場合、できるだけ迅速に冷凍物を解凍することが好ましく、解凍運転としては、解凍時間が短縮化されるスピード解凍モードが適する。また、使用店舗では、スピード解凍モードによる解凍時間(例えば1.5時間)、および閉店時刻(例えば0時)を考慮すると、その営業日の営業時間内に使用する冷凍物を解凍開始することは、閉店3時間前(例えば21時)には必要なくなると想定される。このため、スピード解凍モードを選択する必要性は、21時以降はなくなる。従って、解凍運転開始時に、スピード解凍モードを選択することが適しているのは、具体的には出勤時刻である9時以降、閉店3時間前の21時前まで(9時以上21時未満の時間帯)となるため、当該時間帯を第1時間帯として設定することができる。なお、解凍庫1の使用店舗は、曜日毎に定休日が定められている場合、第1時間帯は定休日以外の営業日(営業曜日)の9時以上21時未満の時間帯として設定する。本例では、計時部72はウィークリータイマーであり、計時部72によって計時される現在時刻を、曜日毎に設定される第1時間帯と比較できるように構成されている。
第2時間帯は、第1時間帯以外の時間帯となり、図11の設定例の場合、営業日の21時以降、翌営業日の9時前まで(営業日21時以上翌営業日9時未満)となる。第2時間帯ではもう一方の仕込み解凍モードが選択され、例えば、店員が閉店時間(例えば0時)に解凍開始ボタンをONして解凍運転開始を指示すると、仕込み解凍モードが実行されて、翌営業日の出勤時には高品質に解凍された冷凍物を使用できるようになる。上記したように閉店3時間前(例えば21時)から翌営業日の店員の出勤時刻まで(例えば9時より前)は、スピード解凍モードを選択して解凍時間を短縮する必要性はないため、解凍品質をより向上できる仕込み解凍モードが適している。なお、店員の退勤後から出勤までの時間帯は、使用店舗は無人になる。このため、当該時間帯は第2時間帯として設定されるものの、実際には解凍開始ボタンがONされて解凍運転(仕込み解凍モード)が開始されることはないと想定される。
制御部70は、図10に示すように、計時部72によって計時される現在時刻が上記のように設定された第1時間帯に属する場合(S22のYES)、解凍運転としてスピード解凍モード(S26)を実行する。また、制御部70は、スピード解凍モードの解凍運転の実行時(少なくとも開始時)には、解凍庫1の運転状態を使用者に報知するために、表示部4にスピード解凍モードを示す表記である「スピード解凍」を表示させる(S24)。一方、制御部70は、計時部72によって計時される現在時刻が第1時間帯に属さない場合(S22のNO)、すなわち第2時間帯に属する場合、解凍運転として仕込み解凍モード(S30)を実行する。また、制御部70は、仕込み解凍モードの実行時(少なくとも開始時)には、解凍庫1の運転状態を使用者に報知するために、表示部4に仕込み解凍モードを示す表記である「仕込み解凍」を表示させる(S28)。
次に、スピード解凍モードの解凍運転(図10のS26)の制御フローについて、図12を参照して詳しく説明する。ステップS26のスピード解凍モードが開始すると、まず継続中の冷却運転を停止するために、制御部70は、圧縮機21、および凝縮器ファン22Aの駆動を停止する(S40)。そして、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38の回転速度を可変速度域における最大値にすることで、各ファン24A,38の送風量を最大にする(S42)。また、制御部70は、赤外線温度センサ60によって冷凍物温度T60を検出すると共に、庫内温度センサ26によって解凍室3の室内温度T26を検出し、これらの温度差ΔT(=室内温度T26-冷凍物温度T60)を算出する(S44)。さらに、制御部70は、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52を駆動し、算出した温度差ΔTが第1温度差範囲(例えば+15℃以上+20℃以下)となるように、冷凍物温度T60、および解凍室3の室内温度T26に基づいて、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52を制御する(S46)。制御部70は、冷凍物温度T60が終了判定温度(例えば-1.5℃)以上であるか否かを判定し(S48)、冷凍物温度T60が終了判定温度以上である場合(S48のYES)、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の作動を停止して(S50)、スピード解凍モードの解凍運転を終了する。
上記した解凍運転では、蒸発器ファン24Aによって吸い上げられた解凍室3の空気は、図3の矢線で示されるように、蒸発器24を通過する間に除霜用ヒータ27によって加熱され、冷却室7の吹出口7Cから背面ダクト50内を流下する。背面ダクト50内の空気は、背面ヒータ52によって加熱されつつ流下し、背面ダクト50の下端から底部ダクト40に吹き出す。底部ダクト40に吹き出された空気は、ブロアファン38によって効率よく柱状ダクト30に送り込まれる。柱状ダクト30に送られた空気は、図2および図7の矢線で示されるように、上下方向に配された吹出し孔33を通じ、解凍室3の内部に上下方向に亘って均等に吹出される。このように加熱された空気が解凍室3に戻されることによって、解凍室3内の空気が均一に温められ、冷凍物が解凍される。
また、上記した解凍運転では、図12のステップS42で示されるように、蒸発器ファン24Aおよびブロアファン38の送風量を最大とすることで、循環する空気の流量を大きくすることができる。これにより、解凍室3内の空気を効果的に加熱して、冷凍物の解凍を促進することができる。また、ステップS46で示されるように、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の作動は、解凍室3の室内温度T26だけでなく、冷凍物温度T60の温度を考慮して行われる。これにより、解凍室3の空気の温度制御には、冷凍物の解凍状態(解凍具合)が反映されるようになる。その結果、解凍室3の室内温度T26のみに基づいて制御される場合に比べて、解凍ムラ、解凍不足、および解凍超過を抑制しやすくなり、解凍品質を向上できる。さらに、ステップS48に示されるように、解凍運転の終了は、室内温度T26ではなく、冷凍物温度T60によって判定されており、解凍運転の終了条件に、冷凍物温度T60が終了判定温度以上であることが含まれている。これにより、実際の冷凍物の解凍状態(解凍具合)を考慮して解凍運転が終了されるため、解凍不足、および解凍超過が抑制され、より一層解凍品質を向上できる。
解凍運転の終了後は、図10のステップS26後に示すように、表示部4に「保冷」を表示させ(S10)、冷却運転(S12)を再び実行する。これにより、解凍した冷凍物を解凍状態に保ちつつ冷却し、保冷状態で保管することができる。なお、本実施形態では、電源ON後の初期運転として冷却運転が行われるため、解凍運転後は、初期運転と同じ冷却運転(S12)を繰り返す処理とされている。しかしながら、例えば初期運転として冷凍運転が行われる場合には、解凍運転後は、初期運転と同じ冷凍運転には戻らず、冷却運転を行う。冷却運転に移行することで、解凍物の品質を良好に保つことができると共に、使用者は、解凍物を解凍直後に取り出す必要はなく、使用時まで品質を保ちながら保管できるため、利便性を高められる。ただし、解凍運転、および冷却運転中であっても、利用者が操作部6を操作することによって、実施中の運転を強制的に停止し、再凍結を行うために冷凍運転を実施しても構わない。
次に、仕込み解凍モードの解凍運転(図10のS30)について図13を参照して詳しく説明する。仕込み解凍モードにおいても、解凍室3の空気の循環方法、および解凍室3の空気の加熱によって冷凍物を解凍するメカニズムは、上記したスピード解凍運転と同じである。仕込み解凍モードについては、スピード解凍運転と重複する点については適宜説明を省略しつつ、相違点を中心に説明する。
仕込み解凍モードが開始すると、図13に示すように、まず継続中の冷却運転を停止するために、制御部70は、圧縮機21、および凝縮器ファン22Aの駆動を停止する(S60)。そして、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38の回転速度を可変速度域における最大値にすることで、各ファン24A,38の送風量を最大にし(S62)、所定の待機時間、この状態で待機する(S64)。冷凍物を解凍室3内に収容すると、冷凍物の有する熱量によって解凍室3内が冷却されるため、待機することで、解凍室3の室内温度T26が低下するようになる。室内温度T26は、収容直後の冷凍物の熱量に応じた温度まで低下し、例えば、冷凍物として-25℃に冷凍されている50Kgの食材を解凍室3に収容すると、当該冷凍物の熱量は大きいことから、待機後は、室内温度T26は冷凍物と同じ-25℃まで低下する。
待機後、制御部70は、赤外線温度センサ60によって冷凍物温度T60を検出すると共に、庫内温度センサ26によって解凍室3の室内温度T26を検出し、これらの温度差ΔT(=室内温度T26-冷凍物温度T60)を算出する(S66)。制御部70は、算出した温度差ΔTに基づき冷凍物の熱量を予測し、さらに冷凍物の熱量に基づき解凍時間を予測して設定する(S68)。解凍時間は、加熱手段である除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の熱容量が一定であることから、主に冷凍物の熱量によって変動すると考えられ、冷凍物の熱量に基づき予測可能である。より詳しくは、想定される冷凍物の単位質量当たりの熱量を予め把握しておくことで、算出した温度差ΔTに基づき、収容されている冷凍物の質量を予測し、その質量に応じて解凍時間を予測して設定する。本例では、算出した温度差ΔTに基づき冷凍物の質量が大きく3段階に予測され、それに応じて、解凍時間が3段階に分かれるように予測、設定される。具体的には、温度差ΔTが4℃未満(第1閾値温度未満)の場合には、冷凍物の質量が50kg以上であると予測し、解凍時間を6時間に設定する。また、温度差ΔTが7℃以上(第2閾値温度以上)の場合には、冷凍物の質量が20kg以下であると予測し、解凍時間を2時間に設定する。温度差ΔTが4℃以上7℃未満(第1閾値温度以上第2閾値温度未満)の場合には、冷凍物の質量がおおよそ40Kgであると予測し、解凍時間を4時間に設定する。
解凍時間の設定後、制御部70は、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52を駆動し、算出した温度差ΔTが第2温度差範囲(例えば+5℃以上+10℃以下)となるように、冷凍物温度T60、解凍室3の室内温度T26、および背面ダクト温度センサ53が検出する背面ダクト内温度T53に基づいて、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52を制御する(S70)。第2温度差範囲は、スピード解凍モードにおける第1温度差範囲(例えば+15℃以上+20℃以下)に比べて、小さく設定されている。より詳しくは、第2温度差範囲は、少なくとも上限値(例えば+10℃)が、第1温度差範囲の上限値(例えば+20℃)よりも小さくなるように設定されている。換言すると、第1温度差範囲は、少なくとも上限値が、第2温度差範囲の上限値よりも大きくなるように設定されている。これにより、仕込み解凍モードでは、スピード解凍モードに比べて室内温度T26が低い状態で推移し、徐々に上昇することとなる。また、各ヒータ27,52は、冷凍物温度T60、および室内温度T26に加えて、さらに背面ダクト内温度T53を考慮して制御される。その結果、仕込み運転モードでは、スピード解凍モードに比べて、より高精度に温度制御でき、解凍品質をより向上できるようになる。
制御部70は、図13のステップS72からS78で示される複数の判定条件を含む終了条件が成立すると、仕込み解凍モードの解凍運転を終了する。より詳しくは、設定された解凍時間が経過すると(S72のYES)、冷凍物温度T60と終了判定温度(例えば-1.5℃)を比較し(S74)、終了判定温度以上の場合には(S74のYES)、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の通電状態を所定時間毎(例えば30分毎)に検出する(S76)。そして、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52が30分以上の間(30分毎の検出時に2回連続で)、非通電状態である場合には(S78)、冷凍物が解凍されて解凍室3内への熱移動がなくなったと判断されるため、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の作動を停止して(S80)、解凍運転を終了する。
上記した解凍運転の終了条件には、冷凍物温度T60が終了判定温度以上であること(S74)が含まれている。この判定により、実際の冷凍物の解凍状態(解凍具合)を考慮して解凍運転の終了が判断されると言える。また、冷凍物温度T60が終了判定以上である場合には、続いて、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52の通電状態が判定される(S76,S78)。この判定により、冷凍物から解凍室3内への熱移動が無いことが確認され、その後に解凍運転が終了される。従って、このような仕込み解凍モードの解凍運転の終了条件によれば、スピード解凍モードに比べて、解凍不足、および解凍超過がさらに高いレベルで抑制でき、より一層解凍品質を向上できる。
仕込み解凍モードの解凍運転の終了から冷却運転に移行するまでの処理は、スピード解凍モードの場合と基本的には同じである。具体的には、仕込み解凍モードの解凍運転の終了後(図10のステップS30後)は、スピード解凍モードの解凍運転の終了後と同じように、表示部4に「保冷」を表示させ(S10)、冷却運転(S12)を再び実行する。
なお、上記した各運転の他、解凍庫1は、所定の冷却運転時間の経過後等には除霜運転を実行する。除霜運転は、冷却運転によって蒸発器24に付着して成長する霜を融解する。除霜運転においては、制御部70は、圧縮機21、凝縮器ファン22A、および蒸発器ファン24Aの駆動を停止し、除霜用ヒータ27に通電することにより霜を加熱融解させたり(ヒータ加熱方式)、除霜用ヒータ27に通電することなく蒸発器ファン24Aのみを駆動させ、解凍室3内の空気を熱源として霜を融解させたり(オフサイクル方式)する。除霜運転により融解された霜は、冷却室ダクト7Aによって受けられ、背壁11Dの内部に設けられた排出管7Dに送られることで、解凍庫本体10の外部に排出される。
以上説明したように、本技術に関わる解凍庫1は、冷凍物を収容するための解凍室3と、前記解凍室3の空気を吸い込んだのち解凍室3に戻して循環するための蒸発器ファン24Aと、蒸発器ファン24Aによって解凍室3から吸い込まれた空気を加熱するための加熱手段(除霜用ヒータ27、または背面ヒータ52の少なくとも一方)と、解凍室3内の空気の温度を検出するための庫内温度センサ26と、冷凍物の温度を検出するための赤外線温度センサ60と、当該加熱手段によって加熱された空気を解凍室3に戻すことで冷凍物を解凍する解凍運転を実行する制御部70と、を備え、制御部70は、赤外線温度センサ60によって検出される冷凍物温度T60と、庫内温度センサ26によって検出される室内温度T26との温度差ΔTが所定の温度差範囲となるように当該加熱手段を制御する。
このようにすれば、解凍運転時に、加熱手段(除霜用ヒータ27、または背面ヒータ52の少なくとも一方)は、庫内温度センサ26によって検出される解凍室内の空気の温度(室内温度T26)だけでなく、赤外線温度センサ60によって検出される冷凍物温度T60を考慮して制御される。これにより、加熱手段の制御(ひいては、解凍室の室内温度の制御)には、冷凍物の実際の解凍状態(解凍具合)が反映されるようになる。その結果、解凍室の室内温度T26のみに基づいて制御される場合に比べて、解凍ムラ、解凍不足、および解凍超過を抑制しやすくなり、解凍品質を向上できる。
<他の実施形態>
本技術は、上記の実施形態に開示された例に限定されるものではなく、例えば、以下の態様も本技術範囲に含まれる。また、本技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
(1)上記実施形態では、冷凍物温度センサとして赤外線温度センサ60を採用したが、冷凍物の温度を直接的に検出可能であれば、赤外線温度センサ60以外であっても構わず、その種類も非接触型に限定されない。例えば、棚網55に設けられ、棚網55に載置された冷凍物と接触することで冷凍物の温度を検出可能な温度センサであっても構わない。
(2)上記実施形態では、解凍運転時には、蒸発器ファン24A、およびブロアファン38を送風量が可変域の最大値となるように駆動させるものとしたが、送風量を可変に制御しても構わない。また、第1送気装置として蒸発器ファン24A、第2送気装置としてブロアファン38(シロッコファンともいう。)を採用したが、送気装置の種類はこれに限定されない。送気装置としては、例えば、これら以外のターボファン等の遠心式送気装置、プロペラファン等の軸流式送気装置、横流ファン等の横流式送気装置、クロスフローファン等の斜流式送気装置等の各種の送気装置であっても構わない。
(3)上記実施形態では、加熱手段として、除霜用ヒータ27、および背面ヒータ52を採用したが、これら以外のヒータであっても構わない。
(4)上記実施形態では、使用者への報知部として表示部4を用いる仕組みとしたが、これに限定されず、例えば操作部6である解凍開始ボタンを点滅させたり、発音部を設けて音を鳴らしたりする構成であっても構わない。
(5)上記実施形態では、解凍室3の空気は、冷却室7、背面ダクト50、底面ダクト40、柱状ダクト30を順に通って、再び解凍室3に戻るように構成されているが、解凍室3の空気の循環流路の構成はこれに限定されない。本技術は、解凍室3の空気が第1送気装置によって吸い込まれ、吸い込まれた空気が加熱手段によって加熱されて、加熱された空気が第1送気装置によって解凍室3に戻るという循環流路が形成される解凍庫に対して、広く適用可能である。
(6)上記実施形態では、解凍庫本体10が縦長形状である縦型を採用したが、本技術は、縦型の冷凍庫に限らず、他の形状(例えば横型)に対しても適用可能である。