JP2023002897A - コーンコブを基材としたブクリョウの栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高収量で短い栽培期間において良質なブクリョウを生産することが可能なブクリョウの人工栽培方法を提供すること。【解決手段】次の工程(1)~(4);(1)菌床中にマツホドの種菌を接種する工程(2)マツホドの種菌を培養して前記菌床表面に菌糸マットを形成させる工程(3)前記菌床表面に形成された菌糸マット上に種ブクリョウを接種する工程(4)前記菌床表面の菌糸マット上で種ブクリョウを培養して肥大させる工程を含有するブクリョウの人工栽培方法であって、前記菌床が基材中にコーンコブを60v/v%以上含有することを特徴とするブクリョウの人工栽培方法。【選択図】図2

Description

本発明は、ブクリョウ(マツホドの菌核)の栽培方法に関し、さらに詳細には、短期間に高収量のブクリョウを生産することが可能な栽培方法に関する。
ブクリョウは、マツホド{Wolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson(又は、Poria cocos Wolf)サルノコシカケ科(Polyporaceae)に属する菌類}の菌核であり、生薬「茯苓」として桂枝茯苓丸、五苓散、茯苓飲をはじめとする多数の漢方処方に配合され、胸脇の逆気、憂恚、驚邪、恐悸、心下の結痛、寒熱、煩満、口焦、舌乾、小便不利を伴う諸疾患に古来から用いられてきた。また近年、利尿作用の他に抗胃潰瘍作用、血糖降下作用、免疫賦活作用が認められている。
ブクリョウは、天然の状態では、伐採してから3~5年経過したマツ類の地下10~30cmの根に付着して形成されるが、現在日本ではこのような野生品の採取はほとんどなされておらず、生薬としてのブクリョウはもっぱら中国からの輸入に依存している。中国では、野生品の採取の他、マツの原木を使用した人工栽培が行われているが、近年森林の伐採が規制される地域が拡大しており、将来にわたって供給量や品質の安定性を確保できるか懸念されている。また原木栽培では栽培期間が約1年と長く、原木の埋設や掘り出しなどの作業負荷が大きいという問題がある。
そこで、オガクズを培地としてブクリョウを栽培する試みがなされており、例えば、網目構造を有するかごを埋没させたオガクズ培地にマツホドの菌糸を接種することにより、かごの内部にブクリョウを形成させる方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法によりブクリョウを栽培すると、ブクリョウにオガクズが混入するためそのままでは生薬として使用できず、オガクズの除去を行う必要があるため、収量が減るとともに、製造コストが上昇するという問題があった。
これに対し、本出願人はすでに、オガクズを基材とする菌床中にマツホドの種菌を接種して、菌床表面へ菌糸マットを形成させ、その上に種となるブクリョウを接種することにより、ブクリョウがオガクズと直接接触することなく、菌糸マットの菌糸を介して栄養分を吸収でき、肥大化の際のブクリョウへのオガクズの混入を防止し得る栽培方法を開発し、特許出願している(特許文献2)。
特開平1-111726号公報 特許第5854169号公報
本発明は、より短期間に高収量で良質なブクリョウを生産することが可能なブクリョウの人工栽培方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、菌床を構成する主要な基材として、コーンコブを用いることにより、従来のオガクズを基材とした菌床と比較して、短期間で菌核が肥大し、肥大率も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の工程(1)~(4);
(1)菌床中にマツホドの種菌を接種する工程
(2)マツホドの種菌を培養して前記菌床表面に菌糸マットを形成させる工程
(3)前記菌床表面に形成された菌糸マット上に種ブクリョウを接種する工程
(4)前記菌床表面の菌糸マット上で種ブクリョウを培養して肥大させる工程
を含有するブクリョウの人工栽培方法であって、前記菌床が基材中にコーンコブを60v/v%以上含有することを特徴とするブクリョウの人工栽培方法である。
本発明の栽培方法によれば、良質なブクリョウを、短期間に高収量で生産することが可能である。
試験例1における各基材での菌糸生育速度を示すグラフである。 試験例1における各基材での菌核肥大率を示すグラフである。
本発明の栽培方法においては、まず菌床中にマツホドの種菌を接種するが(工程(1))、菌床を構成する主要な基材としてコーンコブを用いる。コーンコブはトウモロコシの種実を除いた芯の部分を粉砕したものであり、コーンコブミールとも呼ばれる。中国産、インドネシア産等のコーンコブが、株式会社清水製粉工場、株式会社タイコー、オリエントジェネライズ株式会社、株式会社高見澤等から市販されている。菌床中のコーンコブの含有量は、ブクリョウの菌核肥大率向上及び栽培期間短縮の観点から、60v/v%以上であることが好ましく、75v/v%以上であることがより好ましく、90v/v%以上であることがさらに好ましい。
菌床の基材としては、コーンコブの他に副基材としてオガクズを用いることができる。オガクズとしては、例えば、アカマツ、カラマツ、トドマツ、クロマツ、バシリマツ、ハイマツ、ウンナンマツ、スギ、シナニッケイ(カシア 学名:Cinnamomum cassia Blume)等が例示できるが、このうち、アカマツ、カラマツ、クロマツ、バシリマツ、ウンナンマツ、トドマツが好適であり、特にアカマツ又はカラマツが好ましい。
オガクズの平均粒径は、0.5~20mmが好ましい。20mmよりも大きいと菌床中に水分が十分に保持されない場合がある。
上記コーンコブ及び必要に応じて用いられるオガクズを混合して基材を調製し、これをポット、栽培袋、栽培びんなどの適当な容量の容器に入れて培養に供する。
菌床は、上記コーンコブなどの基材のみで構成されてもよいが、さらに栄養成分を添加してもよい。このような栄養成分としてアンモニウム塩が挙げられる。アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等が挙げられるが、このうち、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムを添加すると、菌糸の生育が促進され、菌床表面に菌糸マットが速やかに形成されて、菌糸への基材の噛み込みが少なくなるため好ましい。また菌糸マットを形成する間に菌床の中~下層においてブクリョウが形成されると、その後種ブクリョウを接種して培養しても、栄養分が、菌床の中~下層に形成されたブクリョウに吸収されてしまい種ブクリョウが十分に肥大できない場合が多いが、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムを添加すると、そのような菌床の中~下層におけるブクリョウの形成が抑制されるため好適である。一方、菌床の上層に形成されたブクリョウは、ほとんど肥大化しないため、接種した種ブクリョウと競合してその肥大化を阻害することはない。ここで菌床の上層とは、一般に菌床の表面から菌床の高さの約5分の1~3分の1程度までを意味する。菌床中のアンモニウム塩の添加量は、基材の乾燥質量に対し、0.01~1.0質量%が好ましく、0.1~0.8質量%がより好ましい。この範囲であると、菌糸の生育速度が速く、菌糸マットが速やかに形成されて基材の噛み込みが少なくなり、菌床の中~下層におけるブクリョウの形成も抑制することができる。一方、1.0質量%よりも多く添加すると、菌糸の生育が抑制される場合がある。
菌床には、硝酸アンモニウムに加えカリウム塩を添加することにより、菌糸の生育が促進され、また菌床の中~下層におけるブクリョウの形成を抑制できる。カリウム塩としては、リン酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウムなどが例示できるが、これらの中でも、リン酸カリウムが菌糸生育促進効果等に優れるため好適である。菌床中のカリウム塩の添加量は、基材の乾燥質量に対し、0.01~4.0質量%が好ましく、0.01~0.6質量%がより好ましい。カリウム塩の添加量が0.1質量%よりも低いと菌糸生育促進が不十分な場合があり、4.0質量%よりも高濃度では、菌糸成育を抑制する場合がある。
菌床には、さらにカルシウム塩を添加することにより、菌糸の生育が促進され形成される菌糸マットの厚みが増加する。カルシウム塩としては、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中でも塩化カルシウムが菌糸生育促進効果等に優れるため好適に用いられる。菌床中のカルシウム塩の添加量は基材の乾燥質量に対し、0.001~1.0質量%が好ましく、菌糸生育効果の観点から、0.01~0.2質量%が好ましい。
菌床には、さらにビタミン類を添加することにより、菌糸の生育を促進することができる。ビタミンとしては、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンC (アスコルビン酸)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB3 (ニコチン酸) 、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB9(ヨウ酸)、ビタミンB2(ラクトフラビン)、ビタミンB5(パントテン酸)等が例示できるが、これらの中でも菌糸生育促進効果に優れることからビタミンB1が好適に用いられる。菌床中のビタミン類の添加量は、基材の乾燥質量に対し、0.001~0.01質量%が好ましく、0.002~0.005質量%がより好ましい。
菌床には、さらに糖質を添加することにより、菌糸の生育が促進される。糖質としては、グルコース、フルクトース、アラビノース、キシロースなどの単糖類、スクロース、マルトース、トレハロース、ガラクトース、ラクトースなどの二糖類、セルロース、でんぷんなどの多糖類、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコールを用いることができる。これらの中でも、グルコース、マルトース、スクロースが、菌糸の生育を促進する効果が高いため好適であり、特にグルコースが好ましい。基材の乾燥質量に対する糖質の添加量は、0.1~15.0質量%が好ましく、1.0~5.0質量%がより好ましい。
上記基材および必要に応じて添加される栄養成分を混合して調製される菌床は、水分含量を40質量%以上かつ60質量%未満に調整することが好ましく、42~45質量%がより好ましい。40質量%未満であると菌床が乾燥し易く、乾燥により菌糸生育が阻害される場合があり、60質量%以上では、菌床の中~下層にブクリョウが形成され、その後種ブクリョウを接種して培養する際に種ブクリョウの肥大を阻害する場合がある。
上記のようにして調製された菌床にマツホドの種菌を接種する。マツホドの種菌の接種にあたっては、例えば、上記コーンコブやオガクズを基材とし、小麦ふすまやグルコースなどの栄養成分を添加した菌床培地で前培養した種菌を、菌床1kgに対し5~10g程度添加すればよい。前培養で接種するマツホドの菌糸としては、採取した野生のものや、ATCC(American Type Culture Collection)、農業生物資源ジーンバンク(NIAS GeneBank)などの保存機関から分譲を受けたものを使用することができる。
次に接種されたマツホドの種菌を培養して菌床表面に菌糸マットを形成させる(工程(2))。培養の温度は20~32℃が好ましく、22~30℃がより好ましい。この範囲であると、菌糸成育が早くなるため好ましい。また湿度は10~90%とすることが好ましく、60~80%がより好ましい。
上記条件でマツホドの種菌を培養することにより、菌糸が菌床全体に蔓延し、その後菌糸の少なくとも一部が菌床の表面に露出して菌糸マットが形成される。このように菌床の表面において菌糸が生育し菌糸マットを形成することにより、菌糸の生育の過程で基材が噛み込むことが少ないため、菌糸が種ブクリョウと融合する際に、基材がブクリョウに混入することを防止できる。この菌糸マットの厚みは、例えば、0.5~2cm程度が好ましく、1cm以上がより好ましい。このような厚みの菌糸マットが形成されることにより、その上に種ブクリョウを接種して肥大化させる際に、種ブクリョウと基材との接触を遮断して基材の混入を防止するとともに、菌糸マットを介して基材から種ブクリョウへ十分な栄養が供給されるため肥大が促進される。なお、培養の過程にある菌糸は栄養菌糸であるが、栄養菌糸同士が密着し、内部の水分が抜けて組織が硬く密になると菌核であるブクリョウが形成され、その際に栄養菌糸は菌核菌糸に形態変化すると考えられる。菌糸マットは栄養菌糸が密着した状態であるが、その一部において菌核菌糸に形態変化し、ブクリョウを形成していてもよい。
このように形成された菌糸マット上に、種ブクリョウを接種する(工程(3))。種ブクリョウは、ブクリョウ肥大の効率という点から、例えば菌床の質量が2.5kgである場合、1個当たりの質量が15g~40gであることが好ましく、20g~30gであることがより好ましい。また種ブクリョウは、未成熟のもの又は成熟したもののいずれでも良く、大きいものを分割したものでも良い。種ブクリョウの皮はそのままでもよいが、除去してもよい。このような種ブクリョウを、菌床表面に形成された菌糸マット上の中央部に載置すればよい。種ブクリョウは、1つの培地に2個以上接種してもよいが、肥大の効率の観点から1個のみ接種することが好ましい。
上記のようにして接種した種ブクリョウを培養して肥大させる(工程(4))。種ブクリョウを菌床表面に形成された菌糸マットに載置し、そのままの状態で培養してもよいが、菌糸マットの上に砂を積層し、種ブクリョウの一部又は全部をその中に埋没させた状態で培養すると、肥大化したブクリョウの形状が球形になり、剥皮する際にロスが少なくなり、収量が向上するために好ましい。種ブクリョウの一部を露出した状態で培養すると、種ブクリョウの表面が乾燥して割れ等が生じる場合があるため、砂の中に完全に埋没させた状態で培養することが好適である。砂としては、川砂、海砂、山砂等を使用することができ、例えば、平均粒径0.5~2.0mm程度の川砂を厚さ10~30cm程度、好ましくは20~40cm程度菌糸マット上に積層し、種ブクリョウを完全に埋没させた状態で培養することにより球状のブクリョウを得ることができる。
種ブクリョウの肥大の為の培養は、温度20~32℃が好ましく、22~30℃がより好ましい。また培養環境の湿度は、あまり乾燥した状態は好ましくなく、60%以上とすることが好ましい。また培養中は二酸化炭素濃度が高い方が好ましく、そのために密封性の高い容器内で培養することが好ましい。このような条件で、例えば30~90日、好ましくは40~60日培養することにより、ブクリョウが肥大化し、例えば接種した種ブクリョウの質量の3倍以上、好ましくは6倍以上、より好ましくは7倍以上に肥大させることができる。
以下、発明を実施例等に基づき説明する。なお本発明は、実施例等によりなんら限定されるものではない。
試験例1
基材の種類による菌糸生育速度及び菌核形成に対する影響:
菌床に使用する基材として、コーンコブと、スギ、アカマツ又はカラマツのオガクズとを用いた。水分50質量%となるように加水した各基材を菌床袋にそれぞれ250gずつ充填した。菌床を120℃60分間滅菌処理し、放冷した後、以下の条件で前培養したマツホドの種菌約1.5gを菌床中に植菌した。接種後、23.5℃で14日間培養した。培養中、接種2日後(スギは5日後)より、1日ごとに種菌を接種した時点から菌糸の先端の位置までの距離を測定し、菌糸生育速度を評価した。培養終了後、菌床表面に形成された菌糸マット上に、種ブクリョウ約13~15gを接種した。その上に120℃で60分間滅菌処理した砂を積層し菌核を被覆した。適宜砂の追加、攪拌、水の追加等を行いながら、種菌接種2か月後に収穫し、菌核の重量を測定した。菌糸生育速度の結果を図1に、菌核収量の結果を図2にそれぞれ示す。
(前培養条件)
基材としてコーンコブと米ぬかを体積比3:1で混合した菌床培地を水分含量約50%に調整し、これに母菌株となるマツホドの菌糸を植菌して温度23.5℃、湿度60%の環境下で30日間培養した。
図1及び図2より、基材としてコーンコブを用いた場合、菌糸生育速度は他の基材と同等であるにもかかわらず、菌核は明らかに肥大し、顕著に高い収量が得られた。
試験例2
コーンコブとアカマツオガクズの混合比による栽培期間及び菌核収量に対する影響
(1):
菌床に使用する基材として、コーンコブ及びアカマツを含有比(体積比;コーンコブ:アカマツ)100:0、75:25、50:50、0:100でそれぞれ混合して用いた。菌床の水分を50質量%になるように調整したオガクズ2.0kgに、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)0.2質量%を添加した菌床と、さらにリン酸カリウム(K2HPO4,KH2PO4)0.03質量%、塩化カルシウム(CaCl2・H2O)0.03質量% /kg、ビタミンB10.002質量%、上白糖1質量%を添加した菌床を調製した。各基材を菌床袋にそれぞれ1kgずつ充填した。菌床を103℃180分間滅菌処理し、放冷した後、試験例1の条件で前培養したマツホドの種菌約1.5~2gを菌床中に植菌した。接種後、22℃、湿度60~70%で14日間培養した。培養終了後、菌床表面に形成された菌糸マット上に、種ブクリョウ約30gを接種した。その上に120℃で60分間滅菌処理した砂を用いて菌核を被覆した。適宜砂の追加、攪拌、水の追加等を行いながら栽培を継続し、菌核の重量が最大またはプラトーになる時点を栽培終期とした。各含有比の基材におけるブクリョウ種菌接種から栽培終期までの日数を栽培期間として求めた。また各含有比の基材における菌核の肥大率((ブクリョウ収穫重量/種ブクリョウ重量)×100)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2023002897000002
表1に示すとおり、コーンコブの割合が高いほど、肥大率が高くなることが明らかになった。
試験例3
コーンコブとアカマツオガクズの混合比による栽培期間及び菌核収量に対する影響
(2):
菌床に使用する基材として、コーンコブ及びアカマツを含有比(体積比;コーンコブ:アカマツ)50:50、60:40、90:10、100:0とした以外は、試験例2と同様にして栽培し、菌核の肥大率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2023002897000003
本発明のブクリョウの栽培方法によれば、基材が混入することなく、良質なブクリョウを短期間に高収量で生産することが可能であり、生薬であるブクリョウの安定供給に有用である。

Claims (8)

  1. 次の工程(1)~(4);
    (1)菌床中にマツホドの種菌を接種する工程
    (2)マツホドの種菌を培養して前記菌床表面に菌糸マットを形成させる工程
    (3)前記菌床表面に形成された菌糸マット上に種ブクリョウを接種する工程
    (4)前記菌床表面の菌糸マット上で種ブクリョウを培養して肥大させる工程
    を含有するブクリョウの人工栽培方法であって、前記菌床が基材中にコーンコブを60v/v%以上含有することを特徴とするブクリョウの人工栽培方法。
  2. アンモニウム塩が、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸アンモニウムよりなる群から選ばれる請求項1記載のブクリョウの人工栽培方法。
  3. アンモニウム塩の添加量が、基材乾燥質量に対して0.01~1.0質量%である請求項1または2記載のブクリョウの人工栽培方法。
  4. 菌床中に、さらにリン酸カリウム、炭酸カリウムおよび塩化カリウムよりなる群から選ばれるカリウム塩を含有する請求項1~3のいずれかの項記載のブクリョウの人工栽培方法。
  5. 菌床中に、さらに塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびリン酸カルシウムよりなる群から選ばれるカルシウム塩を含有する請求項1~4のいずれかの項記載のブクリョウの人工栽培方法。
  6. 菌床中に、さらにビタミンB1(チアミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB3(ニコチン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB9(ヨウ酸)、ビタミンB2(ラクトフラビン)およびビタミンB5(パントテン酸)よりなる群から選ばれるビタミン類を含有する請求項1~5のいずれかの項記載のブクリョウの人工栽培方法。
  7. 菌床中に、さらにグルコース、フルクトース、アラビノース、キシロース、スクロース、マルトース、トレハロース、ガラクトース、ラクトース、セルロース、でんぷん、グリセロール、マンニトールおよびソルビトールよりなる群から選ばれる糖質を含有する請求項1~6のいずれかの項記載のブクリョウの人工栽培方法。
  8. 次の工程(1)~(4);
    (1)菌床中にマツホドの種菌を接種する工程
    (2)マツホドの種菌を培養して前記菌床表面に菌糸マットを形成させる工程
    (3)前記菌床表面に形成された菌糸マット上に種ブクリョウを接種する工程
    (4)前記菌床表面の菌糸マット上で種ブクリョウを培養して肥大させる工程
    を含有するブクリョウの人工栽培方法において、前記菌床の基材中にコーンコブを60v/v%以上添加することを特徴とするブクリョウの収量増加方法。
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