JP2023002894A - ふろ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】追焚循環動作中の浴槽水の温度変化の影響を受けることなく、浴槽の水位センサを用いて追焚循環動作中の入退浴を正確に検知する。【解決手段】判定部は、追焚循環動作の停止中に水位検出器による浴槽の水位検出値に基づいて入浴状態か退浴状態かを判定する。生成部は、判定部における判定に用いる基準水位を生成する。生成部は、退浴状態であり、かつ、追焚循環動作の停止中において、現在から所定時間前の水位検出値に従って基準水位を定期的に更新する一方で、入浴状態又は追焚循環動作の実行中、基準水位の更新を停止する。生成部は、追焚循環動作が終了すると、追焚循環動作の実行前後での浴槽内の湯水の温度の変化量に基づいて、基準水位を補正する。判定部は、追焚循環動作の実行後、補正された基準水位に対する現在の水位検出値の上昇量が判定値以上となると、入浴状態と判定する。【選択図】図12
Description
本発明は、ふろ装置に関する。
例えば、特開2003-83606号公報(特許文献1)には、浴槽の水位検出値に基づいて、入浴者の存在を検出すること、即ち、浴槽に対する入浴及び退浴を検知する風呂装置が開示されている。特許文献1に記載されるふろ装置は、一定時間間隔内での水位の変化(上昇又は低下)を検知することによって、入浴及び退浴を検知するように構成されている。
一方、浴槽の水位を検出する水位センサが圧力センサであって、浴槽の湯水を給湯装置内で循環するための循環路内の水圧に基づいて浴槽内の水位を検出するように構成されている場合には、循環ポンプの作動によって循環路内の湯水が加圧されるため、水位センサによる水位検出値に誤差が発生する。そのため、循環ポンプの作動による追焚循環動作中の水位検出値を用いることができない。従って、追焚循環動作の前後における水位検出値の変化を検知することによって、追焚循環動作中の入浴及び退浴を検知することになる(例えば、特開2020-73857号公報(特許文献2)参照)。
しかしながら、浴槽の設置形態が階上配置又は階下配置である場合には、循環路内の湯水の温度の変化に伴う密度の変化に起因して水位検出値が変化するため、追焚循環動作の前後の水位検出値の変化に、湯水の温度変化に起因する変化分が含まれることになり、入浴及び退浴を誤検知することが懸念される。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、追焚循環動作中の浴槽水の温度変化の影響を受けることなく、浴槽の水位センサを用いて入退浴を正確に検知することである。
本発明のある局面では、浴槽を含むふろ装置は、給湯装置と、循環路と、水位検出器と、第1の温度センサと、制御部と、判定部と、生成部とを含む。循環路は、循環ポンプを有し、給湯装置と浴槽との間で浴槽内の湯水を循環する。水位検出器は、循環路内の水圧に基づいて浴槽内の水位を検出する。第1の温度センサは、浴槽内の湯水の温度を検出する。制御部は、循環ポンプの作動による追焚循環動作を制御する。判定部は、追焚循環動作の停止中において、水位検出器による浴槽の水位検出値に基づいて入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する。生成部は、判定部における、入浴状態及び退浴状態の判定に用いられる基準水位を生成する。生成部は、退浴状態であり、かつ、追焚循環動作の停止中において、現在から予め定められた所定時間前の水位検出値に従って基準水位を定期的に更新する一方で、入浴状態又は追焚循環動作の実行中には、基準水位の更新を停止する。生成部はさらに、追焚循環動作が終了すると、第1の温度センサの検出値から算出される追焚循環動作の実行前後での湯水の温度の変化量に基づいて、基準水位を補正する。判定部は、追焚循環動作の実行後において、補正された基準水位に対する現在の水位検出値の上昇量が予め定められた判定値以上となる状態が予め定められた第1の時間以上継続したときに、入浴状態であると判定する。
本発明によれば、ふろ動作中の浴槽水の温度変化の影響を受けることなく、浴槽の水位センサを用いて入退浴を正確に検知することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
(給湯システムの構成例)
図1は、本実施の形態に係るふろ装置を含む給湯システムの概略構成図である。
図1は、本実施の形態に係るふろ装置を含む給湯システムの概略構成図である。
図1を参照して、給湯システム300は、給湯装置100を備える。給湯装置100は、給湯回路5、追焚回路7、循環路8、及び、コントローラ12を備える。給湯装置100は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
給湯回路5は、導入された低温水を加熱するための加熱機構(図示せず)を含むように構成される。加熱機構は、例えば、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱、及び、発電時の排熱又はヒートポンプによる加熱の何れを利用する構成であってもよい。又、給湯回路5は、加熱された高温水がそのまま出湯される構成の他、加熱された高温水を貯留する貯湯式の構成であってもよい。
給湯回路5は、加熱機構の作動により、ユーザによる設定温度に従う温水を出力することができる。一方で、当該加熱機構の停止時には、低温水が加熱されることなく給湯回路5から出力される。
給湯回路5の出湯経路(図示せず)は、浴槽20へ至る注湯配管13aと接続される。注湯配管13aには、ふろ注湯弁13が介挿接続される。ふろ注湯弁13は、例えば、開閉制御可能な電磁弁によって構成することができる。ふろ注湯弁13を開放することにより、給湯回路5から注湯配管13aへ湯水が出力される経路を形成することができる。これにより、給湯装置100は、給湯栓等に加えて、給湯先に浴槽20を含むことができる。以下では、給湯回路5からの出力温度に関わらず、ふろ注湯弁13の開放により、湯又は水が、注湯配管13aを経由して浴槽20へ供給される動作を「注湯」と称する。注湯配管13aには、図示しない流量センサが設けられており、当該流量センサによって注湯流量を検出することができる。
循環路8は、浴槽20の湯水21(以下、「浴槽水21」とも称する)を給湯装置100内で循環するためのものであり、戻り配管8a及び往き配管8bと、循環ポンプ10とを有する。戻り配管8aの一方端は、浴槽20内の循環アダプタ25と接続され、他端は、追焚回路7の入力側と接続される。往き配管8bの一端は、追焚回路7の出力側と接続され、他端は循環アダプタ25と接続される。
循環ポンプ10の作動により、循環アダプタ25から吸入された浴槽水21が、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して、循環アダプタ25から吐出される経路(追焚循環経路)が形成される。追焚回路7は、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱機構(図示せず)を含むように構成することができる。追焚回路7は、追焚循環経路の形成時に作動して、戻り配管8aから導入された浴槽水21を加熱して、往き配管8bに出力する。加熱後の浴槽水21が往き配管8bによって浴槽20へ供給されることにより、浴槽水21の温度を上昇する追焚運転を行うことができる。
戻り配管8aには、温度センサ9及び水位センサ11が接続されている。温度センサ9により、浴槽水21の温度を検出することができる。温度センサ9は、例えば、サーミスタによって構成することができる。温度センサ9は「第1の温度センサ」の一実施例に対応する。
水位センサ11は、例えば、圧力センサによって構成され、浴槽水21の水圧に基づいて、浴槽20内での浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検出する。温度センサ9及び水位センサ11は、循環ポンプ10の停止時においても、戻り配管8a内で浴槽水21が浸入する領域に配置される。水位センサ11は「水位検出器」の一実施例に対応する。
水位センサ11は温度特性を有している場合がある。水位センサ11の温度特性は、所定の基準温度における出力値に対して、雰囲気温度を定格まで変化させたときの出力値の変位幅をフルスケールに対する比率で定義することができる。温度センサ14により、水位センサ11の雰囲気温度を検出することができる。温度センサ14は、例えばサーミスタによって構成することができる。温度センサ14は「第2の温度センサ」の一実施例に対応する。
戻り配管8aは、更に、接続点8cにおいて、注湯配管13aと接続される。この結果、循環ポンプ10の停止時に給湯装置100から注湯すると、注湯配管13aから、接続点8c及び戻り配管8aを経由して浴槽20へ至る第1の注湯経路と、注湯配管13aから、接続点8c、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して浴槽20へ至る第2の注湯経路とを形成することができる。これにより、給湯装置100からの注湯によるふろ湯張り運転を行うことができる。
この様に、給湯装置100(注湯回路)からの湯水は、第1及び第2の注湯経路による、循環路8を含む注湯経路を介して、浴槽20へ供給される。浴槽20には、排水栓26が設けられる。
コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。コントローラ12は、給湯回路5、追焚回路7、温度センサ9,14、循環ポンプ10、水位センサ11、及び、ふろ注湯弁13等と電気的に接続されている。コントローラ12は、図示しない電気配線を介して電源と接続されて、電力供給を受ける。コントローラ12には、温度センサ9,14及び水位センサ11による検出値が入力される。
更に、コントローラ12は、リモコン30及びリモコン50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。
リモコン30は、浴室200の壁面に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン30は、情報を表示するための表示部31と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部32とを含む。表示部31は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽水位及び温度を表示可能に構成されている。操作部32は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、浴槽水位及び温度に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
リモコン50は、浴室200の外部に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモコン50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52とを含む。
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、及び、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
コントローラ12は、リモコン30,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯システム300がユーザ指示に従って運転されるように、給湯装置100の動作を制御する。コントローラ12は「制御部」の一実施例に対応する。
当該制御の一例として、コントローラ12は、リモコン30,50の操作により、ふろ自動運転が指示されると、浴槽20への湯張り運転を実行する。当該湯張り運転は、給湯装置100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
給湯システム300では、浴槽20への湯張り運転の終了後、給湯装置100によって浴槽水21の温度及び水位を維持する自動モードを設定することが可能である。当該自動モードの選択時には、温度センサ9によって検出された浴槽水温度が、ふろ設定温度に対応されて設定された基準温度(例えば、ふろ設定温度よりも2~3℃低く設定)よりも低下すると、保温制御のために追焚運転が自動的に起動される。更に、水位センサ11によって検出された浴槽水位が設定水位よりも低下すると、給湯装置100から浴槽20へ追加的に注湯する足し湯運転が起動される。
(入退浴判定処理)
本実施の形態に係る給湯システムでは、浴槽20の水位センサ11の検出値を用いて、浴槽20への入退浴が検知される。
本実施の形態に係る給湯システムでは、浴槽20の水位センサ11の検出値を用いて、浴槽20への入退浴が検知される。
図2には、水位センサ11の検出値を用いた入退浴の検知を説明する概念図が示される。図2を参照して、浴槽20への湯張り運転の終了時には、水位センサ11によって検出される浴槽水位は、設定水位に達している。この状態が「退浴状態」として初期設定される。「退浴状態」とは、浴槽20に入浴者が存在していない状態に相当する。
退浴状態において、水位上昇に関する予め定められた入浴判定条件が成立すると、退浴状態から入浴状態への遷移、即ち、入浴が検知される。「入浴状態」とは、浴槽20に入浴者が存在している状態に相当する。これに対して、入浴状態において、水位低下に関する予め定められた退浴判定条件の成立が検知されると、入浴状態から退浴状態への遷移、即ち、退浴が検知される。
図3及び図4には、本実施の形態に係る入退浴判定を説明するための概略的な波形図が示される。図3及び図4を参照して、水位検出値Xは、水位センサ11による各時点での出力値をそのまま用いてもよく、或いは、ローパスフィルタ等によって当該出力値からノイズ(高周波成分)を除去したものであってもよい。
水位センサ11が圧力センサであって、浴槽水を給湯装置100内で循環するための循環路8内の水圧に基づいて浴槽水位を検出するように構成されている場合、循環ポンプ10の作動によって循環路8内の湯水が加圧されるため、水位センサ11による水位検出値に誤差が発生する。給湯装置100から浴槽20に注湯するとき(湯張り運転、足し湯運転等)においても、循環路8内の湯水が加圧されるため、水位検出値に誤差が発生する。この様に誤差を含んだ水位検出値を用いて入退浴判定を行うと、入浴又は退浴を誤検知する可能性がある。本実施の形態では、ふろ動作時等の、水位センサ11により浴槽水位を検出できない場合を考慮した入退浴判定について説明する。
尚、本明細書において「ふろ動作」は、循環ポンプ10の作動により追焚循環経路を形成する循環動作と、ふろ湯張り運転及び足し湯運転における注湯動作とを含む。循環動作には、追焚運転における追焚回路7の加熱機構の燃焼を伴う循環動作(追焚循環動作)と、追焚回路7の加熱機構の燃焼を伴わない循環動作(非燃焼循環動作)とを含む。非燃焼循環動作には、例えば、ドレン排水後の配管洗浄運転及びエアパージ運転等における非燃焼循環動作が含まれる。
図3及び図4には、水位検出値Xの波形(実線)が示されている。図3の例では、水位検出値Xは、時刻t2~t3の期間にふろ動作(追焚循環動作)が実行されたことによって、一時的に上限値Xmaxに張り付いており、実際の浴槽水位(以下、「実水位」とも称する)とは乖離している。このふろ動作中の時刻taでの入浴に応じて、実水位は上昇する。ふろ動作が終了した後、時刻tbにて入浴者が退浴することで、実水位は低下する。
本実施の形態では、入浴状態か退浴状態かを判定するために、基準水位Xrefを用いる。基準水位Xrefは、退浴状態であって、ふろ動作中でないときに取得された水位検出値に基づいて生成される。図3及び図4には、基準水位Xrefの波形(破線)が示されている。
基準水位Xrefは、退浴状態において、ふろ動作中でないときに、現在から所定のTx(秒)前における水位検出値Xtxに従って定期的に更新される。時刻t2にてふろ動作が開始されると、基準水位Xrefの更新が停止される。このときの基準水位Xrefは、更新停止時点である時刻t2からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値Xtxである。
時刻t2以降のふろ動作中において、基準水位Xrefは更新されない。よって、基準水位Xrefは、時刻t1の水位検出値Xtxに維持される。これによると、誤差を含んだ水位検出値を用いて基準水位Xrefが生成されることを防止できる。
時刻t3にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtn及び基準水位Xref(時刻t1における水位検出値Xtx)に基づいて、入退浴を判定する。
具体的には、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtnから基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量(水位上昇量)ΔXtnを算出する(ΔXtn=Xtn-Xref)。そして、コントローラ12は、算出された水位変化量ΔXtnと、予め設定されている入浴判定値ΔXinとを比較する。
尚、入浴判定値ΔXinは、所定体積の体積増減に対応する水位変化量として予め定めて、コントローラ12に記憶することができる。例えば、浴槽20の配設を含む給湯システム300の施工時において、浴槽20の機種番号又はサイズ(浴槽20の断面積を特定できるデータ)を施工者が入力することで、コントローラ12が、当該入力値を用いて入浴判定値ΔXinを算出し、かつ、記憶することが可能である。
水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態が、予め定められたTj1(秒)継続した場合、コントローラ12は、入浴状態であると判定する(時刻t4)。図3の例では、ふろ動作の実行前は退浴状態であるため、コントローラ12は、ふろ動作中に退浴状態から入浴状態への遷移(入浴)が生じたと判定して、入浴を検知する。この様にTj1(秒)に亘る継続判定により、瞬間的な水位上昇によって入浴を誤検知することを防止できる。
時刻t4にて入浴状態であると判定されると、基準水位Xrefの更新停止が継続される。よって、基準水位Xrefは、時刻t1の水位検出値Xtxに維持される。
水位検出値Xは、時刻tbでの退浴に対応して低下する。ふろ動作中でないときには、コントローラ12は、Tx(秒)間隔での水位検出値の差分である水位変化量ΔXtnに基づいて入退浴を判定する。具体的には、コントローラ12は、現在の水位検出値XtnからTx(秒)前の水位変化量Xtxを減算することにより、Tx(秒)前からの水位変化量ΔXtnを算出し(ΔXtn=Xtn-Xtx)、算出された水位変化量ΔXtnと予め設定されている退浴判定値ΔXoutとを比較する。退浴判定値ΔXoutは、負値であり、入浴判定値ΔXinと対応付けて設定することができる。
水位変化量ΔXtnが退浴判定値ΔXout未満となる状態が、予め定められたTj2(秒)継続した場合、コントローラ12は、入浴状態から退浴状態への遷移を生じたと判定して、退浴を検知する。即ち、入浴状態であって、ふろ動作中でないときには、Tx(秒)前からの水位低下量ΔXtnが退浴判定値ΔXout未満となる状態がTj2(秒)継続したときに、退浴が検知される。この様にTj2(秒)に亘る継続判定により、瞬間的な水位低下によって退浴を誤検知することを防止できる。尚、当該継続判定のためのTj2(秒)と、基準水位Xrefの生成のためのTx(秒)との間には、Tx>Tj2の関係が設定される。
時刻t6にて退浴が検知されると、基準水位Xrefの更新が再開される。但し、退浴検知時点である時刻t6では、Tx(秒)前の水位検出値Xtx(退浴状態で取得された水位検出値)が存在しないため、基準水位Xrefは更新されない。
退浴検知時点(時刻t6)からTx(秒)が経過した時刻t7において、Tx(秒)前の水位検出値Xtxが存在すると判定されると、基準水位Xrefの更新が再開される。基準水位Xrefは、時刻t7からTx(秒)遡った時点(時刻t6)における水位検出値Xtxに更新される。
図4の例では、水位検出値Xは、時刻taでの入浴に応じて上昇した後、時刻t4~t5の期間にてふろ動作(追焚循環動作)が実行されたことによって、一時的に上限値Xmaxに張り付いている。但し、ふろ動作中の時刻tbでの退浴に応じて、実水位は低下する。
基準水位Xrefは、上述したように、退浴状態において、ふろ動作中でないときには、現在からTx(秒)前における水位検出値Xtxに従って定期的に更新される。コントローラ12は、現在の水位検出値XtnからTx(秒)前の水位検出値Xtxを減算することにより、Tx(秒)前からの水位変化量ΔXtnを算出し(ΔXtn=Xtn-Xtx)、算出された水位変化量ΔXtnと上記入浴判定値ΔXinとを比較する。
Tx(秒)前からの水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj2(秒)継続した場合、コントローラ12は、入浴を検知する(時刻t3)。即ち、退浴状態であって、ふろ動作中でないときには、Tx(秒)前からの水位上昇量ΔXtnが入浴判定値ΔXinを超えた状態がTj2(秒)継続したときに、入浴が検知される。
時刻t3にて入浴が検知されると、基準水位Xrefの更新が停止される。このときの基準水位Xrefは、更新停止時点である時刻t3からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値Xtxである。さらに、時刻t4にてふろ動作が開始されると、基準水位Xrefの更新停止が継続される。よって、時刻t4以降のふろ動作中、基準水位Xrefは、時刻t1の水位検出値Xtxに維持される。
時刻t5にてふろ動作が終了すると、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtn及び基準水位Xref(時刻t1における水位検出値Xtx)に基づいて、入退浴を判定する。
具体的には、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtnから基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量(水位上昇量)ΔXtnを算出し(ΔXtn=Xtn-Xref)、算出された水位変化量ΔXtnと入浴判定値ΔXinとを比較する。水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin未満であり、水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続しない場合には、コントローラ12は、退浴状態であると判定する(時刻t6)。
時刻t6にて退浴が検知されると、基準水位Xrefの更新が再開される。具体的には、退浴検知時点(時刻t6)からTx(秒)が経過した時刻t7にて、Tx(秒)前の水位検出値Xtxが存在すると判定されると、基準水位Xrefの更新が再開される。基準水位Xrefは、時刻t7からTx(秒)遡った時点(時刻t6)における水位検出値Xtxに更新される。
(基準水位生成処理)
図5は、基準水位の生成処理、及び、入退浴判定処理を説明するためのフローチャートである。例えば、図5に示される各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。即ち、本実施の形態では、コントローラ12が「生成部」及び「判定部」の一実施例に対応する。
図5は、基準水位の生成処理、及び、入退浴判定処理を説明するためのフローチャートである。例えば、図5に示される各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。即ち、本実施の形態では、コントローラ12が「生成部」及び「判定部」の一実施例に対応する。
図5に示す様に、コントローラ12は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)30により、給湯装置100がふろ動作中であるか否かを判定する。上述の様に、ふろ動作は注湯動作及び循環動作を含む。給湯装置100がふろ動作中でない場合(S30のNO判定時)、コントローラ12は、S31により、退浴状態であるか否かを判定する。
退浴状態である場合(S31のYES判定時)、コントローラ12は、S32により、現在からTx(秒)前の水位検出値Xtxが存在するかを判定する。S31では、現在からTx(秒)前の水位検出値Xtxが入浴状態及びふろ動作中の何れかにおいて取得された水位検出値でないことが判定される。言い換えれば、Tx(秒)前の水位検出値Xtxが、退浴状態において水位センサ11により正常に取得された水位検出値であるかが判定される。
現在からTx(秒)前の水位検出値Xtxが存在する場合(S32のYES判定時)、コントローラ12は、S33に進み、Tx(秒)前の水位検出値Xtxを読み出す。この際に、既に蓄積されている水位検出値の一部を削除することで、入退浴判定に使用するメモリ容量を抑制することができる。
コントローラ12は、S34により、S33で読み出した水位検出値Xtxを基準水位Xrefに設定することにより、基準水位Xrefを更新する。
S30に戻って、給湯装置100がふろ動作中である場合(S30のYES判定時)には、コントローラ12は、S35により、ふろ動作が終了したか否かを判定する。ふろ動作が終了すると(S35のYES判定時)、水位センサ11による浴槽水位の検出が可能となる。そこで、コントローラ12は、S34で更新された基準水位Xrefと現在の水位検出値Xtnとに基づいて、入退浴を判定する。
具体的には、コントローラ12は、S36にて基準水位Xrefを読み出すとともに、S37にて現在の水位検出値Xtnを記憶する。コントローラ12は、S38により、S36で読み出した基準水位Xrefに入浴判定値ΔXinを加算した値(Xref+ΔXin)と、現在の水位検出値Xtnとを比較する。Xref+ΔXin>Xtnとなる場合(S38のNO判定時)、コントローラ12は、S42により、タイマ値をクリア(Cnt=0)するとともに、S43により、退浴状態であると判定する。
これに対して、Xref+ΔXin≦Xtnとなる場合(S38のYES判定時)には、コントローラ12は、S39に進み、タイマ値Cntをカウントアップするとともに、S40により、カウントアップ後のタイマ値Cntを判定値C(Tj1)と比較する。判定値C(Tj1)は、予め定められたTj1(秒)が経過する間に増加するタイマ値Cntで定義される。
コントローラ12は、タイマ値Cntが判定値C(Tj1)より小さいときには(S40のNO判定時)、S42のスキップによりタイマ値Cntを維持した上で、退浴状態と判定する。その後、起動タイミングが到来すると、再びS30以降の処理が起動される。
一方、S39のタイマ値Cntが判定値C(Tj1)以上であると(S40のYES判定時)、コントローラ12は、S41により、入浴状態であると判定する。即ち、Xref+ΔXin≦Xtnとなる状態がTj1(秒)継続したときに、入浴状態であると判定される。
以上説明した様に、ふろ動作前の退浴状態において取得された水位検出値を用いて生成された基準水位Xrefに対する、ふろ動作後に取得される水位検出値の変化量に基づいて入浴状態であるか退浴状態であるかが判定される。
上記構成において、基準水位Xrefは、退浴状態であって、ふろ動作中でないときには、現在からTx(秒)前に取得された水位検出値Xtxに従って定期的に更新される。これによると、退浴状態において、シャワー又はカラン等から浴槽20内へ追加的に注湯する足し湯又は、浴槽20から湯水を汲み出す汲み湯がなされたことによる浴槽水位の変化を基準水位Xrefに反映させることができる。
しかしながら、図1に示した給湯システム300においては、浴槽20と水位センサ11との間の配置高さの差が大きいとき、浴槽20及び水位センサ11間の湯水の温度が変化すると、この温度変化に応じて水位センサ11による水位検出値が変化する現象が生じる場合がある。
図6には、浴槽の配置高さの分類を説明する概念図が示される。
図6を参照して、給湯装置100内での水位センサ11の配置高さを基準高さ(H=0)とすると、浴槽20の配置高さは、当該基準高さに対する図1に示された循環アダプタ25の配置高さの差である高さ差ΔHで定義することができる。
例えば、図6に示す様に、高さ差ΔHと、予め定められた境界値H1,-H2との比較により、屋外で地上配置される給湯装置100(水位センサ11)に対する浴槽20の配置高さを、2階以上への配置に対応する「階上配置」、1階への配置に対応する「平地配置」、及び、地階への配置に対応する「階下配置」に層別することができる。
図7には、浴槽の配置高さに依存した水位検出値の変化を説明する概念図が示される。図7には、ふろ湯張り運転の完了後、時間経過に応じて、浴槽20(循環アダプタ25)及び水位センサ11間に滞留する湯水の温度が徐々に低下する際の、圧力センサで構成された水位センサ11の出力電圧(即ち、水位検出値)の推移が示される。
図7を参照して、時間経過に応じて上記滞留湯水の温度Tbtが低下するのに応じて、当該滞留湯水の密度が徐々に増加する。水位センサ11よりも高い位置に浴槽20が配置されたケース(階上配置)では、密度の増加が水圧上昇として水位センサ11に作用する。従って、特性線L1に示される様に、温度低下に応じて、水位センサ11の水位検出値が徐々に上昇する。
これに対して、水位センサ11よりも低い位置に浴槽20が配置されたケース(階下配置)では、密度の増加が水圧低下として水位センサ11に作用する。従って、特性線L2に示される様に、温度低下に応じて、水位センサ11の水位検出値が徐々に低下する。一方で、水位センサ11と浴槽20との配置高さの差が小さいケース(平地配置)では、滞留湯水の温度に依存して、水位センサ11の水位検出値が上昇又は低下する現象は生じない。
この様に、階上配置及び階下配置の場合には、水位センサ11による水位検出値には、湯水の温度変化に起因する誤差が含まれる虞がある。そのため、退浴状態であって、ふろ動作中でないときの水位検出値の変化に追従するように基準水位Xrefを更新させる構成では、基準水位Xrefが湯水の温度変化に起因する誤差を含んだものとなり、入浴状態か退浴状態かを正確に判定できないことが懸念される。
図8には、このような懸念点を説明するための概念的な波形図が示される。図8には、階下配置の場合における水位検出値Xの波形(実線)とともに、基準水位Xrefの波形(破線)が示されている。
図8の例では、水位検出値Xは、入退浴に応じた変化がない一方で、時刻t1~t2の期間及び時刻t4~t5の期間にふろ動作(追焚循環動作)が実行されたことによって、一時的に上限値Xmaxに張り付いている。更に、水位検出値Xは、浴槽20及び水位センサ11の間の湯水の温度変化に応じて変化する。
具体的には、時刻t2にてふろ動作が終了すると、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtn及び基準水位Xrefに基づいて、入退浴を判定する。基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin未満である場合、コントローラ12は退浴状態の判定を維持する。
時刻t2以降、時間経過に応じて、浴槽20及び水位センサ11間に滞留する湯水の温度が徐々に低下する。この温度低下に応じて、滞留湯水の密度が徐々に増加する。階下配置では、上述したように、密度の増加が水圧低下として水位センサ11に作用するため、温度低下に応じて水位検出値Xが徐々に低下する。
退浴状態であって、ふろ動作中でないときには、基準水位Xrefは、現在からTx(秒)前における水位検出値Xtxに従って更新される。従って、時刻t2以降、水位検出値Xの低下に追従して基準水位Xrefも徐々に低下する。即ち、基準水位Xrefは、湯水の温度変化に起因する誤差を含んだものとなる。
時刻t4にてふろ動作(追焚循環動作)が開始されると、基準水位Xrefの更新が停止される。このときの基準水位Xrefは、更新停止時点である時刻t4からTx(秒)前の時刻t3における水位検出値Xtxである。ふろ動作中において基準水位Xrefは更新されず、基準水位Xrefは、ふろ動作前の時刻t3における水位検出値Xtxに維持される。
一方で、時刻t4~t5の追焚循環動作によって浴槽水21が循環加熱されると、浴槽20及び水位センサ11間の湯水の温度が徐々に上昇するのに応じて、当該湯水の密度が徐々に減少する。階下配置では、密度の減少が水圧上昇として水位センサ11に作用するため、温度上昇に応じて水位検出値Xが上昇する。その結果、追焚循環動作が終了した時刻t5における水位検出値Xは、ふろ動作前の時刻t3における水位検出値Xから上昇している。
時刻t5にてふろ動作が終了すると、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtn及び基準水位Xref(時刻t3における水位検出値Xtx)に基づいて、入退浴を判定する。誤差を含んだ状態の基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である場合には、ΔXtn≧ΔXinの状態がTj1(秒)継続したことに応じて、入浴状態であると誤判定されることになる(時刻t6)。即ち、入浴が誤検知されることになる。
尚、階上配置の場合においても、上述した階下配置と同様に、湯水の温度変化に起因する誤差を含んだ基準水位Xrefを用いた入退浴判定において、入浴状態の誤判定の可能性がある。
又、温度変化に応じて水位センサ11による水位検出値が変化するという現象は、上述した階上配置及び階下配置の場合に限らず、圧力センサで構成される水位センサ11が有する温度特性に起因しても起こり得る。水位センサ11の出力値に、水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する誤差が含まれることにより、入浴状態を誤判定する可能性がある。
このような懸念点に対応するために、本実施の形態では、以下に説明する様に、ふろ動作中の湯水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化を基準水位Xrefに反映させるように、基準水位Xrefを補正する。
(基準水位補正処理)
図9及び図10は、本実施の形態に係る基準水位Xrefの補正処理を説明するためのフローチャートである。図9及び図10に示された各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。
図9及び図10は、本実施の形態に係る基準水位Xrefの補正処理を説明するためのフローチャートである。図9及び図10に示された各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。
図9を参照して、コントローラ12は、S01では、浴槽20の配置高さΔHを算出する。浴槽20の配置高さΔHは、図6に示した様に、給湯装置100内での水位センサ11の配置高さを基準高さ(H=0)として、当該基準高さに対する循環アダプタ25の配置高さの差である高さ差ΔHで定義することができる。
浴槽20の配置高さΔHは、浴槽20への湯張り動作時における水位センサ11のオフ電圧の調整に伴って、算出することができる。例えば、オフ電圧の調整量Vref[mV]を水位センサ11の分解能[mV/mm]で除算することで求めることができる。階上配置の場合には配置高さΔHは正値となり(ΔH>0)、階下配置の場合には配置高さΔHは負値(ΔH<0)となる。ふろ試運転時に試験的に実行されるふろ湯張り運転の際に、浴槽20の配置高さΔHを示す情報を取得することができる。或いは、浴槽20の配置高さΔHを示す情報は、施工者によるコード入力等によって取得することも可能である。この様に浴槽20の配置高さは任意の手法で取得することができる。
コントローラ12は、S02により、浴槽20内における浴槽水の有無を検知する。S02では、循環路8における浴槽水の循環の有無が検知される。具体的には、コントローラ12には、循環ポンプ10を作動させた状態において、循環路8上に配置された水流スイッチ(図示せず)による検出信号が入力される。当該検出信号は、循環路8に所定流量を超える通流がある場合にオンされる一方で、当該通流がない場合にオフされる。浴槽水位が循環アダプタ25の設定水位に対応する所定水位よりも低い場合には、循環ポンプ10を作動させても循環路8に浴槽水が導入されないため、水流スイッチの検出信号がオフされる。したがって、検出信号がオフであるときには、浴槽20内に浴槽水が無いと判定される。一方、当該検出信号がオンであるときには、浴槽20内に浴槽水が有ると判定される。
浴槽20内に浴槽水が有ると判定された場合(S02のYES判定時)には、コントローラ12は、S03に進み、退浴状態であるか否かを判定する。退浴状態でない(即ち、入浴状態である)場合(S03のNO判定時)、処理はS02に戻る。
S03にて退浴状態であると判定された場合(S03のYES判定時)には、コントローラ12は、S04により、給湯装置100が追焚循環動作中であるかを判定する。リモコン30,50の操作により追焚運転が指示されたことに応じて給湯装置100が追焚運転を実行している場合、S03はYES判定とされる。一方、追焚運転が指示されず、追焚運転が実行されていない場合には、S04はNO判定とされ、S05~S07の処理がスキップされる。
追焚循環動作中である場合(S04のYES判定時)には、コントローラ12は、S05により、追焚循環動作が終了したか否かを判定する。追焚循環動作が終了したと判定されると(S05のYES判定時)、コントローラ12は、S06により、追焚循環動作が終了した時点における水位センサ11による水位検出値X0を取得する。
コントローラ12は、S07では、S06で取得された水位検出値X0を基準水位Xrefに設定して基準水位Xrefを更新するとともに、この更新された基準水位Xrefを記憶する。S07では、追焚循環動作の終了時点における水位検出値X0に基づいた基準水位Xrefが「参考値」として記憶される。
コントローラ12は、S08により、給湯装置100がふろ動作中であるか否かを判定する。上述の様に、ふろ動作は循環動作及び注湯動作を含む。給湯装置100がふろ動作中である場合(S08のYES判定時)、コントローラ12は、S09に進み、現在の水位検出値Xtnを取得して記憶する。これにより、各時点での水位検出値を、S02~S09の処理が実行される毎に周期的に蓄積することができる。
コントローラ12は、S10では、現在からTx(秒)前に取得された水位検出値Xtxを読み出す。この際、既に蓄積されている水位検出値の一部を削除することで、入退浴判定に用いるメモリ容量を抑制することができる。
コントローラ12は、S11により、S10で読み出した水位検出値Xtxを基準水位Xrefに設定することにより、基準水位Xrefを更新する。
コントローラ12は、S12では、リモコン30,50の操作によりふろ動作が指示されているかを判定する。ふろ動作が指示されていない場合(S12のNO判定時)、コントローラ12は、S02に戻り、S02~S11の処理を繰り返す。これにより、退浴状態において、ふろ動作中でないときには、現在からTx(秒)前における水位検出値Xtxに従って基準水位Xrefが定期的に更新される。又、追焚循環動作が行われる毎に、追焚循環動作の終了時点における水位検出値X0に基づいた基準水位Xrefが参考値として記憶される。
ふろ動作が指示されると(S12のYES判定時)、コントローラ12は、S13に進み、S07で記憶した参考値を読み出す。読み出した参考値は、追焚循環動作の終了時点に取得された水位検出値X0に等しい。
コントローラ12は、S14では、ふろ動作の実行前である現在の水位検出値Xtxと、S13で読み出した参考値との差分(Xtn-X0)を算出し、算出した差分(Xtn-X0)の絶対値と予め定められた閾値Aとを比較する。
S14にて差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値Aよりも小さい場合(S14のNO判定時)には、コントローラ12は、S15~S17をスキップする。コントローラ12は、S18により、温度センサ9の検出値に基づいて、ふろ動作の実行前である現在の浴槽水21の温度T1[℃]を取得し、記憶する。コントローラ12は更に、温度センサ14の検出値に基づいて、現在の水位センサ11の雰囲気温度F1[℃]を取得し、記憶する。
コントローラ12は、S19により、ふろ動作を実行する。ふろ動作が追焚循環動作である場合には、追焚回路7の加熱機構の燃焼によって浴槽水21が循環加熱されるため、ふろ動作中、浴槽水21の温度が徐々に上昇する。この温度上昇に応じて、浴槽水21の密度が徐々に減少する。又、給湯装置100内では、追焚回路7の加熱機構の燃焼に伴い、水位センサ11の雰囲気温度が徐々に上昇する。
コントローラ12は、S20により、ふろ動作が終了したか否かを判定する。S20では、リモコン30,50の動作及び/又は各種センサ(注湯配管13aに設けられた流量センサ(図示せず)、及び温度センサ9等)の検出値に基づいて、ふろ動作が終了したか否かが判定される。
ふろ動作が終了したと判定されると(S20のYES判定時)、コントローラ12は、S21に進み、温度センサ9の検出値に基づいて、ふろ動作の実行後である現在の浴槽水21の温度T2[℃]を取得し、記憶する。コントローラ12は更に、温度センサ14の検出値に基づいて、現在の水位センサ11の雰囲気温度F2[℃]を取得し、記憶する。尚、S19のふろ動作が追焚循環動作である場合には、ふろ動作中の浴槽水21の温度上昇に応じて、浴槽水21の温度にはT1<T2の関係が成り立つ。又、水位センサ11の雰囲気温度にはF1<F2の関係が成り立つ。
コントローラ12は、S22では、ふろ動作中の浴槽水21の温度及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化量ΔXcを算出する。図8に示した様に、階下配置では、浴槽水21の温度上昇によって浴槽水21の密度が減少することに応じて、水位センサ11による水位検出値が上昇する。従って、ふろ動作の実行後の水位検出値はふろ動作の実行前の水位検出値よりも高くなり、水位検出値の変化量ΔXcは正値となる。反対に、階上配置では、浴槽水21の密度の減少に応じて、水位センサ11による水位検出値が低下する。従って、ふろ動作の実行後の水位検出値はふろ動作の実行前の水位検出値よりも低くなり、水位検出値の変化量ΔXcは負値となる。
図11は、図10のS22の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図11を参照して、コントローラ12は、最初にS220により、予め取得している浴槽水の温度と浴槽水の密度との関係(図中のグラフ410参照)を用いて、S18及びS21にて取得された浴槽水21の温度T[℃]を浴槽水21の密度ρ[kg/m3]に換算する。
グラフ410に示す様に、浴槽水は、或る温度(約4℃)以上の温度領域において、温度が高くなるに従って密度が低下するという特性を有している。コントローラ12は、グラフ410を参照することにより、S18にて取得された、ふろ動作の実行前の浴槽水21の温度T1[℃]を密度ρ1[kg/m3]に換算するとともに、S21にて取得された、ふろ動作の実行後の浴槽水21の温度T2[℃]を密度ρ2[kg/m3]に換算する。
コントローラ12は、次にS222により、予め取得している、水位センサ11の温度特性(図中のグラフ410参照)を用いて、S18及びS21にて取得された水位センサ11の雰囲気温度F[℃]を水位センサ11の出力変位量V[mm]に換算する。
グラフ410は、水位センサ11の温度特性の一例であり、基準温度Frefにおける出力値に対する出力値の偏差(以下、「出力変位量」とも称する)と水位センサ11の雰囲気温度との関係を示している。出力変位量は雰囲気温度に応じて変化する。グラフ410では、雰囲気温度が高くなるに従って、出力変位量が大きくなっている。尚、水位センサによっては、グラフ410とは対照的に、雰囲気温度が高くなるに従って出力変位量が小さくなるという温度特性を有する場合がある。或いは、基準温度Frefからの温度差が大きくなるに従って、出力変位量が大きくなるという温度特性を有する場合がある。
コントローラ12は、グラフ410を参照することにより、S18にて取得された、ふろ動作の実行前の雰囲気温度F1[℃]を出力変化量V1[mm]に換算するとともに、S21にて取得された、ふろ動作の実行後の雰囲気温度F2[℃]を出力変化量V2[mm]に換算する。
コントローラ12は、最後にS224により、ふろ動作中の温度変化に起因する水位センサ11による水位検出値の変化量ΔXcを算出する。水位検出値の変化量ΔXcは、次式(1)を用いて求めることができる。
ΔXc=k[(ρ2-ρ1)×ΔH×g]±|V2―V1| …(1)
ここで、ΔHは浴槽20の配置高さΔH[m]であり、gは重力加速度[m/g2]であり、kは水圧[Pa]を水位[mm]に変換するための変換定数(単位:mm/Pa)である。
ΔXc=k[(ρ2-ρ1)×ΔH×g]±|V2―V1| …(1)
ここで、ΔHは浴槽20の配置高さΔH[m]であり、gは重力加速度[m/g2]であり、kは水圧[Pa]を水位[mm]に変換するための変換定数(単位:mm/Pa)である。
式(1)において、右辺の第1項は、浴槽20の配置高さΔHに起因する、湯水の温度変化に依存した水位検出値の変化量(第1の変化量)に相当する。右辺の第2項は、水位センサ11の温度特性に起因する水位検出値の変化量(第2の変化量)に相当する。尚、第2項に付された符号“±”は、水位センサ11が有する温度特性によって決まる。水位センサ11が、グラフ410の様に雰囲気温度の上昇に応じて出力変位量が大きくなる温度特性を有する場合には、出力変位量を相殺するように、第2項には符号“-”が付される。水位センサ11が、雰囲気温度の上昇に応じて出力変位量が小さくなる温度特性を有する場合には、出力変位量を相殺するように、第2項には符号“+”が付される。
図10に戻って、コントローラ12は、S23により、S22で算出された水位変化量ΔXcを基準水位Xrefに加算することにより、基準水位Xrefを補正する。補正前の基準水位Xrefは、ふろ動作の指示(S12)を受けて更新が停止されており、ふろ動作の実行前に取得された水位検出値に等しい。この基準水位Xrefに対して、ふろ動作中の湯水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に基づいて算出された水位変化量ΔXcを加算することにより、ふろ動作中の温度変化に起因する水位検出値の変化を基準水位Xrefに反映させることができる。
尚、S19のふろ動作が注湯動作である場合には、S23において、コントローラ12は更に、注湯動作による浴槽水位の上昇分ΔXdを基準水位Xrefに加算することにより、注湯動作による水位検出値の上昇を基準水位Xrefに反映させることができる。具体的には、注湯動作中、コントローラ12は、注湯配管13aに設けられた流量センサ(図示せず)の検出値の積算によって注湯量を算出する。この算出された注湯量を浴槽20の断面積で除算することにより、浴槽水位の上昇分ΔXdを求めることができる。
S14に戻って、ふろ動作の実行前である現在の水位検出値Xtnと、S13で読み出した参考値X0との差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値A以上であると判定された場合(S14のYES判定時)には、コントローラ12は、S15に進み、所定時間、非燃焼循環動作を実行する。S15の非燃焼循環動作は、以下に述べる様に、基準水位Xrefを補正するための前処理として、循環路8内に滞留する湯水の温度を均一化させるために実行される。
追焚循環動作の終了時点からの時間経過に応じて、浴槽20及び水位センサ11の間に滞留している湯水の温度低下に伴い、当該滞留湯水に温度分布が生じる場合がある。これは、滞留湯水の温度低下に応じて当該滞留湯水の密度が高くなることで、階上配置又は階下配置の場合に、循環路8内で浴槽20の配置高さΔHに応じた温度分布が生じることによる。
滞留湯水の温度分布が生じることによって、温度センサ9により検出される浴槽水21の温度と、実際の浴槽水21の温度との間に温度差が生じる。そのため、S18にて温度センサ9の検出値に基づいてふろ動作の実行前に取得される浴槽水21の温度T1[℃]が当該温度差を含んだものとなり、ふろ動作中の浴槽水21の温度変化を正確に検出できず、その結果、当該温度変化に起因する水位検出値の変化を正確に算出できなくなる可能性がある。
そこで、ふろ動作が指示されたときに(S12のYES判定時)、追焚循環動作の終了時点での水位検出値X0に基づいた参考値に対する現在の水位検出値Xtnの差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値A以上であると判定された場合(S14のYES判定時)には、浴槽20及び水位センサ11の間の滞留湯水に温度分布が生じている可能性があると判断し、S19のふろ動作を実行するに先立って、所定時間、非燃焼循環動作を実行する(S15)。これにより、循環路8内の滞留湯水を循環させて滞留湯水の温度を均一化させる。尚、所定時間は、非燃焼循環動作によって滞留湯水が循環路8を少なくとも一巡させることができるように、循環路8における循環流量に応じて設定することができる。
この様に追焚循環動作の終了時点での水位検出値X0に基づいた参考値に対する現在の水位検出値Xtnの差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値A以上である場合に、非燃焼循環動作を実行する構成とすることで、滞留湯水の温度低下が小さく温度分布が小さい場合において、不必要な非燃焼循環動作が実行されることを防止することができる。
S15の非燃焼循環動作が終了すると、コントローラ12は、S16により、基準水位Xrefと現在の水位検出値Xtnとに基づいて、退浴状態であるか否かを判定する。S16では、現在の水位検出値Xtnから基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnが算出され(ΔXtn=Xtn-Xref)、算出された水位変化量ΔXtnと入浴判定値ΔXinとが比較される。水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続する場合、入浴状態であると判定される。水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続しない場合には、退浴状態であると判定される。
尚、S16の入退浴の判定は、浴室200内に設置された人感センサ(図示せず)を用いた浴室200内における人の存在の有無の判定と組み合わせてもよい。浴室200内に人が存在していると判定され、かつ、水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続する場合に、入浴状態であると判定することができる。
S16にて退浴状態であると判定された場合(S16のYES判定時)、コントローラ12は、S17により、現在の水位検出値Xtnを基準水位Xrefに設定することにより、基準水位Xrefを更新する。即ち、滞留湯水の温度分布が解消された状態での水位検出値が基準水位Xrefに設定される。一方、S16にて入浴状態であると判定された場合(S16のNO判定時)、コントローラ12は、S17をスキップする。
コントローラ12は、続いてS18~S23の処理を実行することにより、ふろ動作を実行するとともに、ふろ動作の実行後において、ふろ動作の前後にそれぞれ取得される浴槽水21の温度及び水位センサ11の雰囲気温度に基づいて水位検出値の変化量ΔXcを算出し、算出された水位検出値の変化量ΔXcを用いて基準水位Xrefを補正する。
(実施例)
以下では、本実施の形態に係る基準水位の補正処理、及び、基準水位を用いた入退浴判定処理を、実施例を挙げて説明する。
以下では、本実施の形態に係る基準水位の補正処理、及び、基準水位を用いた入退浴判定処理を、実施例を挙げて説明する。
図12は、本実施の形態に係る基準水位の補正及び入退浴判定の第1実施例を説明するための概念的な波形図であり、図8と対比される図である。図12には、階下配置の場合における水位検出値Xの波形(実線)とともに、基準水位Xrefの波形(破線)が示されている。
図12においても、図8と同様に、時刻t1~t2の期間及び時刻t4~t5の期間のふろ動作(追焚循環動作)、並びに、浴槽20及び水位センサ11の間の湯水の温度変化によって水位センサ11による水位検出値Xが変化する。即ち、図12に示された水位検出値Xの挙動は、図8と同じである。
図12の例では、時刻t2にてふろ動作(追焚循環動作)が終了すると、図8と同様に、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtn及び基準水位Xrefに基づいて、入退浴を判定する。退浴状態と判定された場合には、コントローラ12は、追焚循環動作の終了時点で取得される水位検出値X0を基準水位Xrefの参考値として記憶する。
時刻t2以降、浴槽20及び水位センサ11間の滞留湯水の温度低下に応じて水位検出値Xが徐々に低下し、水位検出値Xの低下に追従するように基準水位Xrefも徐々に低下する。
時刻tcにてふろ動作(追焚循環動作)が指示されると、コントローラ12は、参考値X0と現在の水位検出値Xtnの差分(Xtn-X0)の絶対値と、閾値Aとを比較する。差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値A未満である場合、コントローラ12は、温度センサ9,14の検出値に基づいて、ふろ動作の実行前における浴槽水21の温度T1[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F1[℃]を取得し、記憶する。図12の例では、ふろ動作の開始時点である時刻t4からTx(秒)前の時刻t3での浴槽水21の温度T1[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F1[℃]が記憶される。更にコントローラ12は、基準水位Xrefの更新を停止する。このときの基準水位Xrefは、時刻t3における水位検出値Xtxである。
時刻t5にてふろ動作が終了すると、コントローラ12は、温度センサ9,14の検出値に基づいて、ふろ動作の実行後における浴槽水21の温度T2[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F2[℃]を取得し、記憶する。
次に、コントローラ12は、記憶されているふろ動作の実行前後の浴槽水21の温度及び水位センサ11の雰囲気温度と、浴槽20の配置高さΔHとを式(1)に代入することにより、ふろ動作中の湯水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化量ΔXcを算出する。コントローラ12は、算出された水位変化量ΔXcを基準水位Xrefに加算することにより、基準水位Xrefを補正する(時刻t6)。
コントローラ12は、補正された基準水位Xref及び現在の水位検出値Xtnに基づいて、入退浴を判定する。具体的には、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtnから補正された基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnを算出し(ΔXtn=Xtn-Xref)、算出された水位変化量ΔXtnと入浴判定値ΔXinとを比較する。水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続しない場合、コントローラ12は、退浴状態であると判定する(時刻t7)。退浴状態であると判定されると、基準水位Xrefの更新が再開される。
図8で示した様に、ふろ動作中の湯水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因して水位センサ11による水位検出値が変化するため、ふろ動作前の水位検出値に基づいた基準水位Xrefを用いてふろ動作後に入浴状態か退浴状態かを判定した場合、誤って入浴状態と判定し、結果的に入浴を誤検知する可能性がある。
これに対して本実施の形態では、ふろ動作後に、ふろ動作中の温度変化に起因する水位検出値の変化を反映させる様に基準水位Xrefが補正されるため、ふろ動作後に算出される、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnから、ふろ動作中の温度変化に起因する水位検出値の変化を除去することができる。これによると、入浴状態か退浴状態かを正確に判定することができるため、入浴の誤検知を防止することができる。
図13は、本実施の形態に係る基準水位の補正及び入退浴の判定の第2実施例を説明するための概念的な波形図である。図13には、階下配置の場合における水位検出値Xの波形(実線)とともに、基準水位Xrefの波形(破線)が示されている。
図13においても、図12と同様に、時刻t1~t2の期間及び時刻t4~t5の期間のふろ動作(追焚循環動作)並びに、浴槽20及び水位センサ11の間の湯水の温度変化によって水位センサ11による水位検出値Xが変化する。但し、時刻t4~t5の期間中の時刻taでの入浴に応じて、実水位が上昇している点が図12とは異なる。
図12と同様に、時刻t4以降のふろ動作中、基準水位Xrefは更新されず、時刻t3の水位検出値Xtxに維持される。そして、時刻t5にてふろ動作(追焚循環動作)が終了すると、ふろ動作中の浴槽水21の温度及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に基づいて算出された水位検出値の変化量ΔXcが基準水位Xrefに加算されることにより、基準水位Xrefが補正される(時刻t6)。
コントローラ12は、補正された基準水位Xref及び現在の水位検出値Xtnに基づいて、入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する。具体的には、現在の水位検出値Xtnから補正された基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnを算出され(ΔXtn=Xtn-Xref)、算出された水位変化量ΔXtnと入浴判定値ΔXinとが比較される。
水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続する場合、コントローラ12は、入浴状態であると判定する(時刻t7)。時刻t7において入浴状態が検知されると、基準水位Xrefの更新停止が継続される。よって、基準水位Xrefは、補正された基準水位Xrefに維持される。
図14は、本実施の形態に係る基準水位の補正及び入退浴の判定の第3実施例を説明するための概念的な波形図であり、図12と対比される図である。図14には、階下配置の場合における水位検出値Xの波形(実線)とともに、基準水位Xrefの波形(破線)が示されている。
図14に示される水位検出値Xの挙動は、図12に示される水位検出値Xの挙動に対して、時刻t1~t2の期間のふろ動作(追焚循環動作)と、時刻t4~t5の期間のふろ動作(追焚循環動作)との間に、時刻t8~t9の期間の非燃焼循環動作によって水位検出値Xが変化している点が異なる。
図14に示す様に、時刻tcにてふろ動作(追焚循環動作)が指示されると、コントローラ12は、参考値X0に対する現在の水位検出値Xtnの差分(Xtn-X0)の絶対値と、閾値Aとを比較する。差分(Xtn-X0)の絶対値が閾値A以上である場合、コントローラ12は、所定時間、非燃焼循環動作を実行することにより、循環路8内の湯水の温度を均一化させる。
更にコントローラ12は、基準水位Xrefの更新を停止する。このときの基準水位Xrefは、非燃焼循環動作の開始時点である時刻t8からTx(秒)前の時刻t3における水位検出値Xtxである。
時刻t9にて非燃焼循環動作が終了すると、コントローラ12は、基準水位Xref及び現在の水位検出値Xtnに基づいて入浴状態か退浴状態かを判定する。具体的には、現在の水位検出値Xtnから基準水位Xrefを減算することにより、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnが算出され(ΔXtn=Xtn-Xref)、算出された水位変化量ΔXtnと入浴判定値ΔXinとが比較される。水位変化量ΔXtnが入浴判定値ΔXin以上である状態がTj1(秒)継続しない場合、退浴状態であると判定される(時刻t10)。この判定には、浴室200内に設けられた人感センサを用いた浴室200内における人の存在の有無の判定と組み合わせることができる。
退浴状態と判定された場合、コントローラ12は、現在の水位検出値Xtnを基準水位Xrefに設定することにより、基準水位Xrefを更新する(時刻t9)。
続いて、コントローラ12は、図12と同様に、温度センサ9,14の検出値に基づいて、ふろ動作の実行前における浴槽水21の温度T1[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F1[℃]を取得し、記憶する。図14の例では、基準水位Xrefが更新された時刻t9での浴槽水21の温度T1[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F1[℃]が記憶される。
時刻t5にてふろ動作が終了すると、コントローラ12は、温度センサ9,14の検出値に基づいて、ふろ動作の実行後における浴槽水21の温度T2[℃]及び水位センサ11の雰囲気温度F2[℃]を取得し、記憶する。コントローラ12は、記憶されているふろ動作の実行前後の浴槽水21の温度及び水位センサ11の雰囲気温度と、浴槽20の配置高さΔHとを式(1)に代入することにより、ふろ動作中の湯水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化量ΔXcを算出し、算出された水位変化量ΔXcを基準水位Xrefに加算することにより、基準水位Xrefを補正する(時刻t6)。この補正された基準水位Xref及び現在の水位検出値Xtnに基づいて、入退浴が判定される。
以上説明した様に、本実施の形態に係るふろ装置では、退浴状態であって、ふろ動作中でないときに取得される水位センサ11の水位検出値に基づいて生成される基準水位Xrefと、ふろ動作の実行後に取得される水位センサ11の水位検出値とに基づいて、入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する構成において、ふろ動作中の浴槽水の温度変化及び水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化を基準水位に反映させる。この様な構成とすることにより、ふろ動作後に算出される、基準水位Xrefからの水位変化量ΔXtnから、ふろ動作中の温度変化に起因する水位検出値の変化を除去することができるため、入浴状態か退浴状態かを正確に判定することができる。
又、上記構成によれば、浴槽の配置高さ(具体的には、浴槽及び水位センサの配置高低差)及び水位センサ11が有する温度特性に依存する水位検出値の変化が基準水位Xrefに反映されるため、浴槽の配置高さ及び水位センサ11の温度特性に影響されない入退浴判定を実現することが可能となる。
(その他の構成例)
上述した実施の形態では、ふろ動作中の浴槽水21の温度変化に起因する水位検出値の変化量(第1の変化量)と、水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化量(第2の変化量)とをそれぞれ算出し、これらの変化量を足し合わせることでふろ動作中における水位検出値の変化量ΔXcを算出する構成について説明したが、浴槽の配置高さ及び水位センサ11が有する温度特性に応じて、第1の変化量及び第2の変化量の何れか一方に基づいて、ふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出する構成とすることができる。例えば、浴槽20が平地配置の場合には、第1の変化量が小さいため、第2の変化量のみに基づいてふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出することができる。又、水位センサ11が温度特性を有していない(もしくは無視できる)場合には、第1の変化量のみに基づいてふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出することができる。
上述した実施の形態では、ふろ動作中の浴槽水21の温度変化に起因する水位検出値の変化量(第1の変化量)と、水位センサ11の雰囲気温度の変化に起因する水位検出値の変化量(第2の変化量)とをそれぞれ算出し、これらの変化量を足し合わせることでふろ動作中における水位検出値の変化量ΔXcを算出する構成について説明したが、浴槽の配置高さ及び水位センサ11が有する温度特性に応じて、第1の変化量及び第2の変化量の何れか一方に基づいて、ふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出する構成とすることができる。例えば、浴槽20が平地配置の場合には、第1の変化量が小さいため、第2の変化量のみに基づいてふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出することができる。又、水位センサ11が温度特性を有していない(もしくは無視できる)場合には、第1の変化量のみに基づいてふろ動作中の水位検出値の変化量ΔXcを算出することができる。
又、図5、図9、図10及び図11に示した制御処理については、コントローラ12で実行される例を説明したが、当該制御処理を実行する主体はこれに限定されるものではない。例えば、リモコン50又は50に格納されたマイクロコンピュータ(図示せず)によって、当該制御処理を実行することも可能であり、「制御部」、「判定部」及び「生成部」に対応する機器は特定されるものではない。「制御部」、「判定部」及び「生成部」の機能は、給湯システム300の外部機器によって実現することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと感がられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
8 循環路、9,14 温度センサ、10 循環ポンプ、11 水位センサ、12 コントローラ、20 浴槽、21 浴槽水、100 給湯装置、200 浴室、Xref 基準水位、ΔXin 入浴判定値。
Claims (6)
- 浴槽を含むふろ装置であって、
給湯装置と、
循環ポンプを有し、前記給湯装置と前記浴槽との間で前記浴槽内の湯水を循環するための循環路と、
前記循環路内の水圧に基づいて前記浴槽内の水位を検出する水位検出器と、
前記湯水の温度を検出するための第1の温度センサと、
前記循環ポンプの作動による追焚循環動作を制御する制御部と、
前記追焚循環動作の停止中において、前記水位検出器による前記浴槽の水位検出値に基づいて入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する判定部と、
前記判定部における、前記入浴状態及び前記退浴状態の判定に用いられる基準水位を生成する生成部とを含み、
前記生成部は、前記退浴状態であり、かつ、前記追焚循環動作の停止中において、現在から予め定められた所定時間前の前記水位検出値に従って前記基準水位を定期的に更新する一方で、前記入浴状態又は前記追焚循環動作の実行中には、前記基準水位の更新を停止し、
前記生成部はさらに、前記追焚循環動作が終了すると、前記第1の温度センサの検出値から算出される前記追焚循環動作の実行前後での前記湯水の温度の変化量に基づいて、前記基準水位を補正し、
前記判定部は、前記追焚循環動作の実行後において、補正された前記基準水位に対する現在の前記水位検出値の上昇量が予め定められた判定値以上となる状態が予め定められた第1の時間以上継続したときに、前記入浴状態であると判定する、ふろ装置。 - 前記生成部は、前記湯水の温度の変化量から算出される前記湯水の密度の変化量と、前記浴槽及び前記水位検出器の配置高低差とを用いて、前記追焚循環動作中における前記水位検出値の変化量を算出し、算出された前記水位検出値の変化量を前記基準水位に加算することにより、前記基準水位を補正する、請求項1に記載のふろ装置。
- 前記水位検出器の雰囲気温度を検出するための第2の温度センサをさらに備え、
前記生成部は、前記追焚循環動作が終了すると、前記第1の温度センサの検出値から算出される前記追焚循環動作の実行前後での前記湯水の温度の変化量と、前記第2の温度センサの検出値から算出される前記追焚循環動作の実行前後での前記雰囲気温度の変化量とに基づいて、前記基準水位を補正する、請求項1に記載のふろ装置。 - 前記生成部は、前記湯水の温度の変化量から算出される前記湯水の密度の変化量と、前記浴槽及び前記水位検出器の配置高低差とを用いて前記追焚循環動作中における前記水位検出値の第1の変化量を算出するとともに、前記雰囲気温度の変化量を用いて前記追焚循環動作中における前記水位検出値の第2の変化量を算出し、算出された前記第1及び第2の変化量を前記基準水位に加算することにより、前記基準水位を補正する、請求項3に記載のふろ装置。
- 前記生成部は、前記追焚循環動作の終了時点における前記水位検出値を、前記基準水位の参考値として記憶するように構成され、
前記制御部は、前記追焚循環動作が指示された時点における前記水位検出値と、前回の前記追焚循環動作の終了時点に記憶された前記参考値との差分が閾値以上となる場合には、前記追焚循環動作の実行前の予め定められた第2の時間において、前記給湯装置内の加熱機構の燃焼を伴わない非燃焼循環動作を実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載のふろ装置。 - 前記生成部は、前記非燃焼循環動作の実行後において、前記退浴状態である判定される場合には、前記非燃焼循環動作の終了時点における前記水位検出値に従って前記基準水位を更新する、請求項5に記載のふろ装置。
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