JP2022551662A - Bcmaを標的とする、ヒトサルの交差反応性を有するヒト化モノクローナル抗体 - Google Patents

Bcmaを標的とする、ヒトサルの交差反応性を有するヒト化モノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

ヒトBCMAとサルBCMAの両方に結合できる、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする単離されたモノクローナル抗体が提供される。また、その抗体をコードする核酸、その抗体を製造する方法、及びその抗体を含む医薬組成物も提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)とサルBCMA抗原に同時に特異的に結合するモノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む、BCMAに特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
本発明は、BCMAに特異的に結合し、BAFF及びAPRILのBCMA受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体及びそのフラグメントに関する。
本発明はまた、BCMAに特異的に結合し、優れたエンドサイトーシス効果を有するモノクローナル抗体及びそのフラグメントに関する。
B細胞は骨髄で成熟して形質細胞になり、外来のウイルスや細菌に対する抗体を分泌することができる。形質細胞が癌性になり骨髄腫細胞になると、より悪性の骨髄腫細胞を増殖させ続け、大量の無用な抗体を分泌する。骨髄腫は通常、脊椎、頭蓋骨、骨盤、胸腔などに発生し、腫瘍または溶骨性疾患として現れる。骨髄腫の状態は通常、重要性が不明なモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)から、低リスクのスモーキー多発性骨髄腫へ、さらに高リスクのスモーキー多発性骨髄腫(SMM)へ徐々に進行し、最終的には多発性骨髄腫に進行する(Nature Reviews Disease Primers,2017,3,17046.)。多発性骨髄腫(Multiple myeloma、MM)の主な特徴には、高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨機能障害などがあり、重度の骨痛を伴い、骨折が繰り返される傾向がある(Nature Reviews Clinical Oncology,2012,9(3),135-143.)。国際骨髄腫財団の統計によると、2017年8月まででも、世界中の患者数は約75万に達し、毎年約11.4万人が新たに発症し、約9万人がこの疾患で亡くなっていた。
腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーであるB細胞成熟抗原(BCMA)は、主に記憶細胞、形質芽細胞、及び形質細胞の表面に発現するが、他の細胞の表面にはほとんど発現しない。一方、BCMAは細胞表面の膜貫通受容体であり、その遺伝子は16番目の染色体のTNFRSF17部位に位置している。BCMA欠損マウスは、外観とB細胞の数が比較的正常であるが、形質細胞の生存能力が非常に低いことは文献で報告されている(Blood Cancer Journal,2015,5(2),e282-e282.)。
BCMAのリガンドは、B細胞活性化因子(BAFF)と増殖誘導リガンド(APRIL)を含む。その中で、BAFFの受容体は、BAFF-RとTACIをさらに含み、APRILの受容体は、TACIをさらに含む。BCMAシグナル伝達経路の主な役割は、B細胞の生存と分化、及び制御性T細胞の活性化を促進することである。それに対して、TACIシグナル伝達経路は、B細胞の成熟を阻害する(Nature reviews Immunology,2009,9(7):491.)。これらの3つの受容体(BAFF-R、TACI、およびBCMA)の場合、B細胞の発達中、未成熟B細胞、移動中のB細胞及び初期B細胞の表面にはBAFF-Rのみが発現し、GC B細胞の表面にはBAFF-RとBCMAがいずれも発現し、記憶細胞の表面にもBAFF-R、TACIおよびBCMAがいずれも発現する。形質芽細胞または形質細胞の表面にTACIおよびBCMAがいずれも発現する。形質細胞が癌性になって多発性骨髄腫細胞になると、BCMAはその表面に高度に発現し、TACIが発現し得るが、BAFF-Rは発現しない(Nature reviews Immunology,2009,9(7):491.)。これより分かるように、ほとんどのB細胞はBCMAを発現しない。さらに、他の臓器の細胞はBCMAをほとんど発現しないことが研究によって示されている。臨床的には、多発性骨髄腫患者の血清中のBCMA、BAFF、APRILのレベルは高く、全生存期間と予後は悪化している。したがって、多発性骨髄腫の治療において、BCMAはCD19などよりも優れた新しい標的であり、特異性が高く、標的の副作用が少ない。したがって、BCMA標的に対するブロッキング効果またはエンドサイトーシス効果を有する抗体薬の開発は、多発性骨髄腫の治療効果を改善するだけでなく、治療の副作用を大幅に低減し、莫大な経済的および社会的価値を生み出すことができる。
現在、ADC(抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate、ADC))薬に関しては、Glaxo Group社とSeattle Genetics社が共同開発したBelantamab mafodotin(GSK2857916と略称)には有意な効果があり、35例の過剰前治療(ほとんどの患者は少なくとも5つの療法を受けたが治療が失敗した)R/R MM患者では、ORRは60%に達し、PFS(Progression-Free-Survival(無増悪生存期間))の中央値は12か月であった(NCT03848845)。CAR-T細胞に関しては、NeogeneおよびBluebird BioのCAR-T細胞療法Idecabtagene vicleucel(bb2121と略称)では、以前に少なくとも3つの療法を受けたが治療が失敗した33例のR/R MM患者において、総寛解率は85%に達し、PFSの中央値は11.8か月であった(NCT02658929)。二重特異性抗体に関しては、アムジェンのAMG 420は最も急速に成長している治療法である。このタイプの抗体は、従来の抗体よりも小さく、2つの抗体ドメインフラグメントが連結してなり、良好な活性を示すが、その半減期が完全長抗体より短い(NCT02514239)。臨床結果に関しては、BMCA標的に対する薬物について、モノクローナル抗体、二重抗体、ADC、CAR-T細胞療法のいずれであっても、注目すべき結果を収め、臨床結果は、BMCA標的による副作用が、他の標的による副作用より遥かに低いことを示している。
上記の背景に基づいて、本発明は、BCMAを標的とする新規抗体を開発することを意図している。
本発明は、BCMAを、マウスを免疫するための免疫原として使用し、ファージディスプレイ技術によって抗体ライブラリーを構築してスクリーニングし、ヒトとサルの両方のBCMA抗原に結合するモノクローナル抗体を取得する。その後の抗体ヒト化により、マウスモノクローナル抗体をヒト化抗体に変換し、親和性、ブロッキング、エンドサイトーシスなどの機能実験により、ヒト化候補抗体が優れた機能を示し、細胞レベルでのエンドサイトーシス機能は、競合品であるGSK2857916よりも優れている。
本明細書に開示されているすべての特許および参考文献は、参照により明確かつ完全に本明細書に組み込まれる。
本発明は、ヒトBCMAとサルBCMAの両方に結合できる、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする単離されたモノクローナル抗体に係る。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号1若しくは2に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、及び/または配列番号3若しくは4に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、及び/または配列番号5若しくは6に示される重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号7若しくは8に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9若しくは10に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11若しくは12に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号1若しくは2に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、及び/または配列番号3若しくは4に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、及び/または配列番号5若しくは6に示される重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域と、配列番号7若しくは8に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9若しくは10に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11若しくは12に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域とを含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、上記抗体のバリアントを含み、本発明に記載の上記抗体と同等または類似の活性を有する。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号13もしくは14示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号15もしくは16示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む重鎖可変領域を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号13もしくは14示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域と、配列番号15もしくは16示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む重鎖可変領域とを含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体の重鎖可変領域が、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体の重鎖可変領域が、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体の軽鎖可変領域が、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体の軽鎖可変領域が、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含む。
具体的な一態様では、本発明の抗体の軽鎖可変領域が、配列番号13または14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
具体的な一態様では、本発明の抗体の重鎖可変領域が、配列番号15または16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含む重鎖可変領域と、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含む軽鎖可変領域とを含む。
さらに、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号13に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号15に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
具体的な一態様では、本発明の抗体は、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含む重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含む軽鎖可変領域とを含む。
さらに、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
本発明はさらに、本発明に記載の上記抗体と同じエピトープを認識する、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体に係る。
本発明はさらに、本発明に記載の上記抗体と競合してB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体に係る。
本発明はさらに、本発明に記載の抗体をコードする核酸に係る。
本発明はさらに、本発明に記載の核酸を含む発現ベクターに係る。
本発明はさらに、本発明に記載の発現ベクターを含み、またはそのゲノムに本発明に記載の核酸が組み込まれた、宿主細胞に係る。
本発明はさらに、本発明に記載の宿主細胞を培養することによって本発明に記載のモノクローナル抗体を産生する、モノクローナル抗体を産生する方法に係る。
本発明はさらに、本発明に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物に係る。
本発明はさらに、本発明に記載のモノクローナル抗体または本発明に記載の医薬組成物を含む、キットまたは製品に係る。
本発明はさらに、本発明に記載のモノクローナル抗体または本発明に記載の医薬組成物または本発明に記載のキット若しくは製品を、それを必要とする被験者に投与することを含む、BCMAの発現に関連する疾患を治療するための方法に係る。
具体的な一態様では、上記疾患は、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される。
具体的な一態様では、上記疾患は多発性骨髄腫である。
本発明はさらに、BCMAの発現に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における、本発明に記載のモノクローナル抗体の使用に係る。
具体的な一態様では、上記疾患は、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される。
具体的な一態様では、上記疾患は多発性骨髄腫である。
具体的には、本発明は下記の態様に係る。
1、ヒトBCMAとサルBCMAの両方に結合できる、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする単離されたモノクローナル抗体。
2、前記抗体は、
(1)配列番号1若しくは2に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、及び/または配列番号3若しくは4に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、及び/または配列番号5若しくは6に示される重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(2)配列番号7若しくは8に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9若しくは10に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11若しくは12に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域を含む抗体;
(3)(1)に記載の抗体の重鎖可変領域及び(2)に記載の抗体の軽鎖可変領域を含む抗体;
(4)(1)~(3)のいずれか1項に記載の抗体のバリアントであり、(1)~(3)のいずれか1項に記載の抗体と同等または類似の活性を有する抗体
から選択されるいずれかである、項1に記載のモノクローナル抗体。
3、前記抗体は、
(1)配列番号13もしくは14示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域を含む抗体;
(2)配列番号15もしくは16示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む重鎖可変領域を含む抗体;
(3)(1)に記載の抗体の重鎖可変領域及び(2)に記載の抗体の軽鎖可変領域を含む抗体
から選択されるいずれかであることを特徴とする、項1または2に記載の抗体。
4、前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含むことを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
5、前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含むことを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
6、前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含むことを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
7、前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含むことを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
8、前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号13または14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有することを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
9、前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号15または16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有することを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
10、項1~9のいずれか1項に記載の抗体と同じエピトープを認識することを特徴とする、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体。
11、項1~9のいずれか1項に記載の抗体と競合してB細胞成熟抗原(BCMA)に結合することを特徴とする、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体。
12、項1~11のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸。
13、項12に記載の核酸を含む発現ベクター。
14、項13に記載の発現ベクターを含み、またはそのゲノムに項12に記載の核酸が組み込まれた、宿主細胞。
15、項14に記載の宿主細胞を培養することによって項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生する、モノクローナル抗体を産生する方法。
16、項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
17、項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または項16に記載の医薬組成物を含む、キットまたは製品。
18、項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または項16に記載の医薬組成物または項17に記載のキット若しくは製品を、それを必要とする被験者に投与することを含む、
BCMAの発現に関連する疾患を治療するための方法。
19、前記疾患が、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される、項18に記載の方法。
20、前記疾患が多発性骨髄腫である、項18または19に記載の方法。
21、BCMAの発現に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における、項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の使用。
22、前記疾患が、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される、項21に記載の使用。
23、前記疾患が多発性骨髄腫である、項21または22に記載の使用。
本発明の効果
Belantamab mafodotin抗体(GSK2857916と略称)と比較して、本発明の抗体は、ヒトBCMAおよびサルBCMAの両方に結合することができ、親和性の点でBelantamab mafodotin抗体に近いか、またはそれよりも優れている。本発明の抗体は、BCMAがBCMAのリガンドBAFFまたはAPRILに結合することをブロッキングする効果では、GSK2857916に近いか、またはそれよりも優れている。本発明の抗体はエンドサイトーシス効果では、GSK2857916よりも優れたエンドサイトーシス効果を有する。熱安定性では、本発明の抗体は、GSK2857916よりも優れた熱安定性を有する。免疫原性では、本発明の抗体は、より低い免疫原性を有するヒト化抗体である。
図1は、抗体産生のプロセスを示し、BCMAを標的とするヒトサル交差反応性を有する抗体産生のプロセスを示す図である。 図2は、組換えタンパク質BCMA、BAFF、およびAPRILの活性測定を示す図である。その結果は、各タンパク質の活性が正常であることを示している。図2Aは、異なるタグ(FcおよびHis)のヒトおよびサルBCMA抗原と、陽性対照抗体GSK2857916との結合結果を示す図である。図2Bは、ヒトBCMA抗原と、異なる濃度でコーティングされたBAFFとの結合結果を示す図である。図2Cは、ヒトBCMA抗原と、異なる濃度でコーティングされたAPRILとの結合結果を示す図である。 図3は、ヒトまたはサルのBCMAを過剰発現している細胞への候補抗体の結合アッセイを示す図である。その結果は、候補抗体がヒトサル交差反応性を持っていることを示している。図3Aは、ヒトBCMAを過剰発現するHEK293細胞への一部の候補抗体の結合をFACSによって確定すること示す図である。図3Bは、サルBCMAを過剰発現するCHO細胞への一部の候補抗体の結合をFACSによって確定すること示す図である。 図4は、一部の候補抗体と、ヒトおよびサルのBCMAとの交差親和性の検出結果を示す図である。図4Aは、ElisaレベルでのヒトBCMAに対する一部の候補抗体の親和性効果を示す図である。その結果は、一部の候補抗体がGSK2857916抗体と比較してGSK2857916抗体に近いまたはさらに優れた親和性を持っていることを示している。図4Bは、ElisaレベルでのサルBCMAに対する一部の候補抗体の親和性効果を示す図である。その結果は、一部の候補抗体がGSK2857916抗体と比較してGSK2857916抗体に近いまたはさらに優れた親和性を持っていることを示している。 図5は、一部の候補抗体のブロッキング効果の検出結果を示す図である。図5Aは、一部の候補抗体がElisaレベルでBCMAとBAFFの結合をブロッキングすることを示す図である。その結果は、一部の候補抗体がGSK2857916抗体と比較してGSK2857916抗体に近いまたはさらに優れたブロッキング効果を持っていることを示している。図5Bは、一部の候補抗体がElisaレベルでBCMAとAPRILの結合をブロッキングすることを示す図である。その結果は、一部の候補抗体がGSK2857916抗体と比較してGSK2857916抗体に近いまたはさらに優れたブロッキング効果を持っていることを示している。 図6は、エンドサイトーシス効果測定の結果を示す図である。図6AおよびBは、ヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対する一部の候補抗体のエンドサイトーシス効果を示している。その結果は、一部の候補抗体がGSK2857916抗体よりも優れたエンドサイトーシス効果を持っていることを示している。 図7は、候補抗体の機能の概要を示す図である。図7に、ヒトBCMAを発現するHEK293細胞に対する一部の候補抗体の親和性効果、サルBCMAを発現するCHO細胞に対する親和性効果、ElisaレベルでのヒトおよびサルBCMAに対する親和性効果、ElisaレベルでのBAFFとBCMAの結合に対するブロッキング効果、ElisaレベルでのAPRILとBCMAの結合に対するブロッキング効果、およびヒト骨髄腫細胞H929に対する抗体のエンドサイトーシス効果を示している。ここで、「+」の数は多いものから少ないものまであり、つまり、抗体の親和性、ブロッキング、エンドサイトーシスの効果が強いものから弱いものまである。その結果は、抗体SY14-3rd-5-6-7およびSY14-3rd-5-6-32がより優れた全体的な効果を表したことを示している。 図8は、ヒト化抗体(5-6-7-hu-2)とヒトおよびサルのBCMAとの交差親和性活性の検出結果を示す図である。図8Aは、ヒト化前後のElisaレベルでのSY14-3rd-5-6-7(5-6-7または5-6-7-WTともいう)抗体のヒトBCMAとの親和効果の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、ヒトBCMAに対する抗体の親和性がヒト化前と一致していることを示している。図8Bは、ヒト化前後のElisaレベルでのSY14-3rd-5-6-7抗体のサルBCMAに対する親和性の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、サルBCMAに対する抗体の親和性がヒト化前と一致していることを示している。 図9は、ヒト化抗体(5-6-32-hu-2)とヒトおよびサルのBCMAとの交差親和性活性の検出結果を示す図である。図9Aは、ヒト化前後のElisaレベルでのSY14-3rd-5-6-32(5-6-32または5-6-32-WTともいう)抗体のヒトBCMAとの親和効果の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、ヒトBCMAに対する抗体の親和性が依然として陽性抗体(GSK2857916)より優れていることを示している。図9Bは、ヒト化前後のElisaレベルでのSY14-3rd-5-6-32抗体のサルBCMAに対する親和性の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、サルBCMAに対する抗体の親和性が依然として陽性抗体GSK2857916より優れていることを示している。 図10は、ヒト化後の抗体(5-6-7-hu-2)のブロッキング効果の検出結果を示す図である。図10Aは、ヒト化後のSY14-3rd-5-6-7(5-6-7または5-6-7-WTともいう)抗体がElisaレベルでのBCMAとBAFFの結合に対するブロッキング能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、BCMAとBAFFの結合に対する抗体のブロッキング効果が陽性抗体(GSK2857916)よりもわずかに劣ることを示している。図10Bは、ヒト化後のSY14-3rd-5-6-7抗体がElisaレベルでのBCMAとAPRILの結合に対するブロッキング能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、BCMAとAPRILの結合に対する抗体のブロッキング効果が陽性抗体(GSK2857916)よりもわずかに劣ることを示している。 図11は、ヒト化後の抗体(5-6-32-hu-2)のブロッキング効果の検出結果を示す図である。図11Aは、ヒト化後のSY14-3rd-5-6-32(5-6-32または5-6-32-WTともいう)抗体がElisaレベルでのBCMAとBAFFの結合に対するブロッキング能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、BCMAとBAFFの結合に対する抗体のブロッキング効果が陽性抗体(GSK2857916)よりもわずかに劣ることを示している。図11Bは、ヒト化後のSY14-3rd-5-6-32抗体がElisaレベルでのBCMAとAPRILの結合に対するブロッキング能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後に、BCMAとAPRILの結合に対する抗体のブロッキング効果が陽性抗体(GSK2857916)よりもわずかに劣ることを示している。 図12は、ヒトおよびサルBCMAを高発現する細胞に対するヒト化前後の抗体の結合活性の測定結果を示す図である。図12Aは、ヒトBCMAを過剰発現するHEK293細胞に対するヒト化前後の5-6-7および5-6-32抗体の結合能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後にそれに対する抗体の結合能力が、ヒト化前と一致しており、しかもGSK2857916抗体より優れていることを示している。図12Bは、サルBCMAを過剰発現するCHO細胞に対するヒト化前後の5-6-7および5-6-32抗体の結合能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後にそれに対する抗体の結合能力が、ヒト化前と一致しており、しかもGSK2857916抗体より優れていることを示している。図12Cは、骨髄腫細胞株H929細胞に対するヒト化前後の5-6-7および5-6-32抗体の結合能力の検出を示す図である。その結果は、ヒト化後にそれに対する抗体の結合能力が、ヒト化前と一致しており、しかもGSK2857916抗体より優れていることを示している。 図13は、抗体のヒト化前後にH929細胞に対するエンドサイトーシス効果の測定結果を示す図である。図13Aは、BCMAを発現するヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対するヒト化前後の5-6-7抗体のエンドサイトーシス効果の検出を示す図である。その結果は、抗体のヒト化後のエンドサイトーシス効果が、ヒト化前と一致しており、しかもGSK2857916抗体より優れていることを示している。図13Bは、BCMAを発現するヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対するヒト化前後の5-6-32抗体のエンドサイトーシス効果の検出を示す図である。その結果は、抗体のヒト化後のエンドサイトーシス効果が、ヒト化前と一致しており、しかもGSK2857916抗体より優れていることを示している。 図14は、ヒト化抗体の機能の概要を示す図である。図14に、ヒト化抗体のヒト化程度、ヒトBCMAを発現するHEK293細胞に対する親和性効果、サルBCMAを発現するCHO細胞に対する親和性効果、ElisaレベルでのヒトおよびサルBCMAに対する親和性効果、BAFFとBCMAの結合に対するブロッキング効果、APRILとBCMAの結合に対するブロッキング効果、およびヒト骨髄腫細胞H929に対する抗体のエンドサイトーシス効果を示している。ここで、「+」の数は多いものから少ないものまであり、つまり、抗体の親和性、ブロッキング、エンドサイトーシスの効果が強いものから弱いものまである。その結果は、ヒト化後の抗体の機能がヒト化前と一致しており、ヒト化抗体の一部の機能がGSK2857916抗体の機能に近いか、それよりも優れていることを示している。
本発明の目的、技術案、および利点をより明確にするために、本発明を、具体的な実施形態と併せて、添付の図面を参照して、以下でさらに詳細に説明する。
本明細書に記載されている科学技術用語は、当業者が一般に理解している用語と同じ意味を有するが、矛盾する場合には、本明細書の定義に準ずる。
一般的に、本明細書で使用されている用語は、以下の意味を有する。
本明細書において、「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から分離された抗体をいう。特定の一部の実施形態では、抗体を95%または99%を超える純度に精製し、前記純度は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE等電集束(IEF)、毛細管電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって確定される。
本明細書で使用される「BCMA」という用語は、CD269としても知られるB細胞成熟抗原であり、これは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー、すなわちTNFRSF17である(Thompson et al.,J.Exp.Medicine,192(1):129-135,2000)。ヒトBCMAは、形質細胞と多発性骨髄腫細胞でほぼ独占的に発現している(Novak et al.,Blood,103(2):689-694,2004;Neri et al.,Clinical Cancer Research,73(19):5903-5909;Felix et al.,Mol.Oncology,9(7):1348-58,2015などを参照)。BCMAはB細胞活性化因子(BAFF)および増殖誘導リガンド(APRIL)に結合できる(例えば、Mackay et al.,2003、及びKalled et al.,Immunological Review,204:43-54,2005)。BCMAは、多発性骨髄腫の免疫療法剤の適切な腫瘍抗原標的であり得る。
「抗原(Ag)」は、動物における抗体産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質を指し、動物に注射または吸収される組成物(例えば、がん特異的タンパク質を含む組成物)を含む。抗原は、(異種抗原(開示された抗原など)によって誘導される産物を含む)特異的体液または細胞性免疫の産物と反応する。特定の実施形態において、標的抗原は、BCMAポリペプチドのエピトープである。
「エピトープ」または「抗原決定基」は、結合剤によって結合される抗原の領域を指す。エピトープは、連続したアミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並列結合された連続しないアミノ酸によって形成することができる。連続したアミノ酸によって形成されたエピトープは、通常、変性溶媒にさらされたときに残るが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、通常、変性溶媒で処理されたときに消える。エピトープは通常、独特の空間的コンフォメーションで少なくとも3つ、より通常は少なくとも5個、約9個、または約8~10個のアミノ酸を含む。
抗体は、その抗原結合フラグメント、例えば、ラクダIg、Ig NAR、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’2フラグメント、F(ab)’3フラグメント、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、二重-scFv、(scFv)2、ミニ抗体、二機能性抗体、三機能性抗体、四機能性抗体、ジスルフィド結合安定化Fvタンパク質(「dsFv」)および単一ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)、並びに抗原結合に関与する完全長抗体の一部を含む。この用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ハイブリッド抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびそれらの抗原結合フラグメントなどの遺伝子操作された形態を含む。Pierce Catalog and Handbook,1994-1995,PierceChemical Co.,Rockford,IL;Kuby,Journal of Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman&Co.,New York,1997を参照されたい。
当業者によって理解されるように、また、本明細書の他の箇所で説明されるように、完全な抗体は、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。各重鎖は可変領域と第1、第2、および第3の定常領域で構成され、各軽鎖は可変領域と定常領域で構成される。哺乳類の重鎖は、α、δ、ε、γ、およびμに分類される。哺乳類の軽鎖はλまたはκに分類される。α、δ、ε、γ、およびμ重鎖を含む免疫グロブリンは、免疫グロブリン(Ig)A、IgD、IgE、IgG、およびIgMに分類される。完全な抗体は「Y」字型を形成する。Yのステムは、2本の重鎖の第2と第3の定常領域(IgEとIgMの場合は第4の定常領域)が結合して構成され、ヒンジにジスルフィド結合(鎖間)が形成される。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム(一列に並んだ)Igドメインからなる定常領域、および柔軟性を高めるためのヒンジ領域を有する;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメイン領域からなる定常領域を有する。第2と第3の定常領域はそれぞれ「CH2ドメイン」と「CH3ドメイン」と呼ばれる。Yの各アームには、単一の軽鎖の可変領域および定常領域に結合している単一の重鎖の可変領域と第1の定常領域が含まれる。軽鎖および重鎖の可変領域が抗原結合に関与している。
軽鎖および重鎖可変領域には、3つの超可変領域(「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる)が点在する「フレームワーク」領域が含まれている。CDRは、従来の方法、例えば、Kabatらの配列(Wu,TT & Kabat,E.A.,Journal of Experimental Medicine 132(2):211-50,(1970);Borden,P. & Kabat E.A.,PNAS,84:2440-2443(1987);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S. Department of Health and Human Services,1991を参照;それらが参照により本明細書に組み込まれる)、またはChothiaらの構造(Choithia,C. & Lesk、A.M.,J Mol.Biol.),196(4):901-917(1987);Choithia,C. et al.,Nature,342:877-883(1989))によって定義または特定できる。
異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種(ヒトなど)で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域(軽鎖と重鎖を組み合わせたフレームワーク領域)は、CDRの3次元空間での位置付けと比較に使用される。CDRは主に抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは通常、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、N末端から順番に番号が付けられ、通常、特定のCDRが配置されている鎖によって識別される。したがって、抗体の重鎖の可変ドメインに位置するCDRはCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3と呼ばれ、抗体の軽鎖の可変ドメインに位置するCDRはCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3と呼ばれる。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対して異なる組み合わせ部位がある)を持つ抗体は、異なるCDRを持っている。CDRは抗体と抗体で異なるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接関与している。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。本明細書に含まれるヒト化BCMA CARの構築に適した軽鎖CDRの例示的な例には、配列番号1~3に示されるCDR配列が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に含まれるヒト化BCMA CARの構築に適した重鎖CDRの例示的な例には、配列番号4~6に示されるCDR配列が含まれるが、これらに限定されない。
「V」または「VH」への言及は、抗体、Fv、scFv、dsFv、Fab、または本明細書に開示された他の抗体フラグメントの重鎖可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「V」または「VL」への言及は、抗体、Fv、scFv、dsFv、Fab、または本明細書に開示された他の抗体フラグメントの軽鎖可変領域を含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによって、または単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に知られている方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞の融合物からハイブリッド抗体形成細胞を調製することによって生成される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。一実施形態では、二重鎖Fv種は、緊密な非共有結合性会合にある重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインの二量体から構成される。単鎖Fv(scFv)種では、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが柔軟なペプチドリンカーを介して共有結合することによって、軽鎖と重鎖は二重鎖Fv種に類似した「二量体」構造で会合できる。この構成では、各可変ドメインの3つの超可変領域(HVR)が相互作用して、VH-VL二量体の表面の抗原結合部位を定義する。6つのHVRは一緒に、抗体に対する抗原結合特異性を付与する。ただし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でも、抗原を認識して結合する能力があるが、親和性は完全な結合部位より低い。
Fabフラグメントは、重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、いくつかの残基が重鎖のCH1ドメインのカルボキシル末端に付加されるという点でFabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、本明細書ではFab’に関する名称であり、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持っている。F(ab’)2抗体フラグメントは、元々、ヒンジシステインを間に挟んだFab’フラグメントのペアとして生成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
上記のように、本発明は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする単離されたモノクローナル抗体に関するものであり、前記抗体は、ヒトBCMAおよびサルBCMAの両方に結合することができる。具体的には、本発明において、フローサイトメーター操作法(FACS法)を使用して、ヒトおよびサルのBCMAを発現する細胞に対する本発明の抗体の親和性効果を検証した。本発明で得られたモノクローナル抗体は、陽性対照抗体(GSK2857916)よりもヒトBCMA-HEK293細胞に対してより優れた親和性効果を有する。本発明で得られたモノクローナル抗体は、陽性対照抗体(GSK2857916)に近いか、またはそれよりも優れているサルBCMA-CHO細胞に対する親和性効果を有する。本発明により得られたモノクローナル抗体は、ヒトとサルのBCMA抗原に高い親和性で同時に結合することができ、サルのBCMA抗原に結合し、抗体が臨床試験に入る前にサル(カニクイザル)をモデルとして使用し、毒物学的評価および薬物動態学的評価を実施することに寄与する。同時に、本発明のモノクローナル抗体は親和性が高く、親和性の高い抗体は薬力学においてより有利である。例えば、抗体は標的抗原分子に結合した後、解離がより遅くなり、細胞内での抗体のエンドサイトーシス効果がよりよくなる。同等の細胞または動物薬効果を達成するために、必要な抗体の投与量も少なくなる可能性がある。
本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「特異的認識」または「…に対して特異的」という用語は、標的と抗原結合タンパク質間結合など、測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、他の標的との結合よりも高い親和性、アフィニティ、容易性、および/またはより長い持続時間を有する抗原結合タンパク質である。いくつかの実施形態において、関連のない標的への抗原結合タンパク質の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって決定されるように、標的への抗原結合タンパク質の結合よりも約10%少ない。いくつかの実施形態において、標的に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、解離定数(Kd)が1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下である。
具体的には、本発明の抗体は、配列番号1(GHIFTNFHFH)もしくは2(GYIFTNYHMH)に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、および/または配列番号3(GIYPGNGDTF)もしくは4(GIYPGNGDIF)に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、および/または配列番号5(GSYYGYIDAMDY)もしくは6(GSYYGYIDAMDY)を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域を含む。
具体的には、本発明の抗体は、配列番号7(RASQDISNYLN)若しくは8(RASQDISNDLN)に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9(YTSRLHS)若しくは10(YTSRLPS)に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11(QQGNTLPWT)若しくは12(QQGHTLPWT)に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域を含み得る。
具体的には、本発明の抗体は、配列番号1若しくは2に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、及び/または配列番号3若しくは4に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、及び/または配列番号5若しくは6に示される重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域と、配列番号7若しくは8に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9若しくは10に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11若しくは12に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域とを含み得る。
具体的には、本発明の抗体は、
配列番号13:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGNTLPWTFGQGTKLEIK
または
配列番号14:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNDLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRLPSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGHTLPWTFGQGTKLEIK
に示されるアミノ酸配列、または上記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域を含み得る。
具体的には、本発明の抗体は、
配列番号15:
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKISCKASGHIFTNFHFHWVRQAPGQGLEWIGGIYPGNGDTFYNQKFQGRATITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCVRGSYYGYIDAMDYWGQGTSVTVSS
または
配列番号16:
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKISCKASGHIFTNFHFHWVRQAPGQGLEWIGGIYPGNGDTFYNQKFQGRATITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCVRGSYYGYIDAMDYWGQGTSVTVSS
に示されるアミノ酸配列、または上記配列のバリアントを含む重鎖可変領域を含み得る。
具体的には、本発明の抗体は、配列番号13もしくは14示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域と、配列番号15もしくは16示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む重鎖可変領域とを含む。
具体的には、本発明の1つの抗体の重鎖可変領域は、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含む。本発明の別の抗体の重鎖可変領域は、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含む。
具体的には、本発明の1つの抗体の軽鎖可変領域は、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含む。本発明の別の抗体の軽鎖可変領域は、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含む。
具体的には、本発明の抗体の軽鎖可変領域が、配列番号13または14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。具体的には、本発明の抗体の重鎖可変領域が、配列番号15または16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
具体的には、本発明の1つの抗体は、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含む重鎖可変領域と、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含む軽鎖可変領域とを含む。具体的には、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号13に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号15に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
具体的には、本発明の別の抗体は、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含む重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含む軽鎖可変領域とを含む。具体的には、前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有する。
本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、1、2、または3つのアミノ酸の置換、欠失、または付加など、少なくとも1つが修飾された重鎖可変領域または軽鎖可変領域を指し、ここで、重鎖または軽鎖バリアントを含む修飾された抗原結合タンパク質は実質的に、修飾前の抗原結合タンパク質の生物学的特性を保持している。一実施形態では、バリアントの重鎖可変領域または軽鎖可変領域の配列を含む抗原結合タンパク質は、修飾前の抗原結合タンパク質の生物学的特性の60%、70%、80%、90%、100%を保持する。各重鎖可変領域または軽鎖可変領域は、単独で、または別の重鎖可変領域もしくは軽鎖可変領域と組み合わせて修飾することができることを理解されたい。本開示の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載の重鎖可変領域のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有する重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。本開示の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有する軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。相同性パーセントは、重鎖可変領域全体および/または軽鎖可変領域全体にあり得るか、または相同性パーセントは、フレームワーク領域に限定され得、そしてCDRに対応する配列は、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域において本明細書に開示されるCDRと100%の同一性を有する。本明細書で使用される場合、「CDRバリアント」という用語は、1、2または3つのアミノ酸の置換、欠失または付加など、少なくとも1つが修飾されたCDRを指し、ここで、CDRバリアントを含む修飾された抗原結合タンパク質は実質的に、修飾前の抗原結合タンパク質の生物学的特性を保持している。一実施形態では、バリアントCDRを含む抗原結合タンパク質は、修飾前の抗原結合タンパク質の生物学的特性の60%、70%、80%、90%、100%を保持する。修飾可能な各CDRは、単独で、または別のCDRと組み合わせて修飾できることを理解されたい。一実施形態では、修飾は、置換、特に保存的置換である。
上記のように、本発明の抗体は、陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れたエンドサイトーシス効果を有する。エンドサイトーシス(endocytosis)は、細胞侵入またはトランスサイトーシスとしても知られており、原形質膜の変形を介して細胞外物質を細胞内に輸送するプロセスである。細胞に入る物質のサイズの違いと侵入のメカニズムに応じて、エンドサイトーシスを、食作用(Phagocytosis)、飲作用(ピノサイトーシス、Pinocy-tosis)、受容体を介したエンドサイトーシスの3つのタイプに分けることができる。本発明の抗体のエンドサイトーシスは、受容体媒介性エンドサイトーシスを指し、BCMAを標的とするモノクローナル抗体をBCMAと組み合わせた後、BCMA-抗体複合体を媒介してエンドソームを形成してリソソームと融合した後、リソソームでは、BCMA-抗体複合体がリソソームによって分解され、BCMAまたはBCMA-抗体複合体の一部を細胞膜に戻すこともできる。本発明のモノクローナル抗体が小さな毒素分子にカップリングしてADC薬物を形成した場合、それらはエンドサイトーシスを介して細胞に輸送され、放出された毒素分子は標的細胞(多発性骨髄腫細胞など)を殺すことができる。したがって、本発明のモノクローナル抗体がADC薬物として開発される場合、より良好なエンドサイトーシス効果は、薬物を標的細胞に媒介することに寄与するために非常に重要である。
また、本発明の抗体はヒト化抗体であり、ヒトおよびサルのBCMAに対する本発明のヒト化前後の抗体の結合活性は基本的に同じであり、BCMAとBAFFの結合をブロッキングするヒト化前後の抗体の効果は基本的に同じである。サルBCMA-CHO細胞に対する本発明のヒト化前後の抗体の結合効果は基本的に同じであり、いずれも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れており、しかもH929細胞に対するヒト化前後の抗体の結合効果が基本的に同じであり、どちらも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れている。さらに、ヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対するヒト化前後の抗体のエンドサイトーシス効果は基本的に同じであり、どちらも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れている。
「ヒト化抗体」とは、非ヒトドナー免疫グロブリンに由来するCDRを有し、この分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(または複数)のヒト免疫グロブリンタンパク質に由来する、操作された抗体の一類を指す。また、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保持するように変更することができる(例えば、Queen et al.,Proc.Natl Acad Sci USA,86:10029-10032(1989),Hodgson et al.,Bio/Technology,9:421(1991)を参照)。適切なヒト受容体抗体は、データベース、Los Alamosデータベース、およびSwissタンパク質データベースなどの従来のデータベースから、ドナー抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列との相同性によって選択される抗体であり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域に対する相同性(アミノ酸に基づく)を特徴とするヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに適している可能性がある。軽鎖の定常または可変フレームワーク領域を提供することができる適切な受容体抗体を同様の方法で選択することができる。ただし、受容体抗体の重鎖および軽鎖が同じ受容体抗体に由来する必要はない。
本発明のヒト化抗体の熱安定性は、陽性対照抗体(GSK2857916)の熱安定性よりもわずかに優れており、抗体創薬の熱安定性条件を満たす。熱安定性が低いと、抗体発現の低下や抗体凝集などの抗体の創薬可能性の問題が発生する可能性がある。
また、本発明は、本発明に記載の抗体と同じエピトープを認識する、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体に関する。本発明はまた、本発明に記載の上記抗体と競合してB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体に関する。
具体的には、本発明はさらに、本発明に記載の抗体をコードする核酸に係る。本発明はさらに、本発明に記載の核酸を含む発現ベクターに係る。本発明はさらに、本発明に記載の発現ベクターを含み、またはそのゲノムに本発明に記載の核酸が組み込まれた、宿主細胞に係る。
当技術分野で知られているように、本明細書で交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによって鎖に組み込まれることができる任意の基質であり得る。本明細書で使用される場合、「ベクター(vector)」は、1つ以上の目的の遺伝子または配列を宿主細胞に送達することができ、好ましくは前記遺伝子または配列を宿主細胞で発現することができる構築物を指す。ベクターとして、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性凝集剤に関連するDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームにカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクターおよび特定の真核生物細胞(例えば、プロデューサー細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」という用語は交換可能に使用され、これらの細胞の子孫を含む、外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、継代数に関係なく、一次形質転換細胞およびそれに由来する子孫を含む「形質転換体」および「形質転換細胞」を含む。子孫は、核酸含有量の点で親細胞とは完全に同じではないかもしれないが、突然変異を含んでいる可能性がある。本明細書は、最初に形質転換された細胞でスクリーニングまたは選択された細胞と同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫を含む。
本発明はまた、本発明に記載の宿主細胞を培養することによって本発明に記載のモノクローナル抗体を産生する、モノクローナル抗体を産生する方法に関する。
本発明はさらに、本発明に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物に係る。本発明はさらに、本発明に記載のモノクローナル抗体または本発明に記載の医薬組成物を含む、キットまたは製品に係る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、活性成分と組み合わされたときに、成分が生物学的に活性を維持し、対象の免疫系と反応しないことを可能にする任意の材料を含む。その例として、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(油/水エマルジョンなど)、およびさまざまなタイプの湿潤剤などの標準的な医薬担体を含むが、これらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与に好ましい希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または生理食塩水(0.9%)である。公知の従来の方法により、このような担体を含む組成物を配合する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990;およびRemington,The Science and Practice of Pharmacy 21st Ed.MackPublishing,2005を参照)
本発明はさらに、BCMAの発現に関連する疾患を治療するための方法であって、それを必要とする被験者に、本発明に記載のモノクローナル抗体または本発明に記載の医薬組成物または本発明に記載のキット若しくは製品を投与することを含む、方法に係る。具体的には、上記疾患は、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される。具体的には、上記疾患は多発性骨髄腫である。
具体的には、形質細胞骨髄腫またはKahler病(Otto Kahlerの後)としても知られる「多発性骨髄腫(MM)」という用語は、間質細胞と密接に接触する悪性プラズマB細胞が骨髄内に蓄積することを特徴とする難治性クローン性B細胞腫瘍である。MMは進行性疾患であり、特に、例えば、前駆体プラズマB細胞への複数の遺伝的損傷によって、すなわち、主に転座、例えば、t(11;14)、t(4;14)、t(8;14)によって引き起こされる染色体転座、またはdel(13)やdel(17)などの欠失が生じ、腫瘍細胞が大幅に増殖し、アポトーシスに耐性を持つようになる。Bリンパ球は骨髄から始まり、リンパ節に移動する。それらが発達するにつれて、Bリンパ球はその細胞表面に成熟して異なるタンパク質を示す。それらが活性化されて抗体を分泌するとき、それらを形質細胞と呼ぶ。それらが胚中心と呼ばれるリンパ節の一部から離れた後、多発性骨髄腫は、B細胞に発生する。免疫システムは、厳密な制御の下でB細胞の増殖と抗体の分泌を維持する。この制御は、染色体と塩基が損傷すると(通常は再配列によって)失われる。通常、プロモーター遺伝子は染色体に移動(または転座)し、そこで抗体遺伝子の過剰産生を刺激する。
上記のように、多発性骨髄腫患者においては、免疫グロブリン重鎖遺伝子(染色体14、遺伝子座14q32)とがん遺伝子(多くの場合11q13、4p16.3、6p21、16q23、および20q11[10])の間の染色体転座が頻繁に観察される。この突然変異は、前記がん遺伝子の調節不全をもたらし、これは、骨髄腫の発症メカニズムにおける重要な開始イベントであると考えられている。その結果、形質細胞クローンの増殖とゲノム不安定性が生じ、さらなる突然変異と転座を引き起す。14番目の染色体異常は、すべての骨髄腫症例の約50%で観察された。13番目の染色体(の一部)の欠失も約50%の症例で観察された。
本明細書で使用される場合、「被験者」、「個体」または「対象」は、哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、家畜、競走動物、ペット、霊長類、馬、犬、猫、マウス、およびラットも含まれるが、これらに限定されない。本発明において、本発明に記載のモノクローナル抗体または本発明に記載の医薬組成物または本発明に記載のキット若しくは製品を、それを必要とする被験者に投与することは、有効量の医薬組成物または薬剤または製品などを投与することを指す。本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、例えば、研究者または臨床医によって追求されている組織、システム、動物またはヒトにおいて生物学的または薬理学的応答を誘発する薬物または薬剤の量を指す。さらに、「治療有効量」という用語は、該用量を受けていない対応する対象と比較した、疾患、障害または副作用の改善された治療、治癒、予防または緩和をもたらす量、あるいは疾患または状態の進行速度を低下させる量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を含む。
本発明はさらに、BCMAの発現に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における、本発明に記載のモノクローナル抗体の使用に係る。具体的には、上記疾患は、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される。具体的には、上記疾患は多発性骨髄腫である。本明細書で使用される場合、「がん」、「新生物」、および「腫瘍」という用語は、互換可能に使用され、単数形または複数形で使用され、悪性形質転換を受けた、または異常もしくは制御されない増殖または過剰増殖細胞の変化につながる細胞を指す。そのような変化または悪性形質転換は、通常、そのような細胞を宿主生体に対して病原性にするので、病原性になる、または病原性になる可能性があり、介入を必要とする、または介入から利益を得ることができる前がん性または前がん性細胞を含むことも意図されている。原発性がん細胞(すなわち、悪性形質転換部位の近くから得られた細胞)は、確立された技術、特に組織学的検査によって非がん細胞から区別することができる。本発明で使用されるように、がん細胞の定義は、原発性がん細胞だけでなく、がん細胞の祖先(ancestor)に由来する任意の細胞も含む。これは、転移性がん細胞、ならびにインビトロ培養物およびがん細胞に由来する細胞株を含む。典型的には固形腫瘍として現れるがんの種類に言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、腫瘍塊に基づいて検出可能なものであり、例えば、CATスキャン、MRイメージング、X線、超音波、または触診操作によって、および/または患者から入手可能なサンプル中の1つ以上のがん特異的抗原の発現のために検出可能な腫瘍が挙げられる。言い換えれば、本発明の用語は、臨床医が前がん、腫瘍、インサイチュでの増殖、および進行した転移性増殖と呼ぶものを含む、細胞、新生物、がん、および任意の段階の腫瘍を含む。腫瘍は、血球腫瘍、すなわち液体腫瘍などの造血腫瘍であり得る。そのような腫瘍に基づく臨床状態の具体例として、慢性骨髄性白血病または急性骨髄性白血病などの白血病、多発性骨髄腫などの骨髄腫、リンパ腫などが挙げられる。
上記のように、Belantamab mafodotin抗体(GSK2857916と略称)と比較して、本発明の抗体は、ヒトBCMAおよびサルBCMAの両方に結合することができ、親和性の点でBelantamab mafodotin抗体に近いか、またはそれよりも優れている。本発明の抗体は、BCMAがBCMAのリガンドBAFFまたはAPRILに結合するのをブロッキングする効果では、GSK2857916に近いか、またはそれよりも優れている。BCMAのBAFFおよびAPRILへの結合をブロッキングすると、リガンド結合によって引き起こされる細胞内シグナル伝達経路(NFκBシグナル伝達経路など)の活性化を阻害し、それによって形質細胞の生存を阻害することができる。本発明の抗体はエンドサイトーシス効果では、GSK2857916よりも優れたエンドサイトーシス効果を有する。エンドサイトーシス効果は、抗体薬物複合体(ADC)を介した細胞殺傷の重要な機能であり、より優れたエンドサイトーシス効果を有する抗体に対応するADC薬物は殺傷効果においてよリ多くの利点がある。熱安定性では、本発明の抗体は、GSK2857916よりも優れた熱安定性を有する。熱安定性は抗体の創薬可能性の重要な指標であり、熱安定性が優れている抗体は、抗体の発現においてより多くの利点があり得、凝集体を生成する可能性が低下する。免疫原性では、本発明の抗体は、より低い免疫原性を有するヒト化抗体である。免疫原性は人体の免疫応答を刺激し、抗抗体が産生されて抗体薬の効果が低下する一方、強い免疫原性は薬の副作用のリスクを高める可能性がある。ヒト化抗体の場合、抗体のCDR領域以外の配列を変異させて、ヒト抗体配列に近づけ、それによって抗体の強い免疫原性のリスクを低減する。
実施例1
原材料の調製
本実施例では、BCMA抗原とそのリガンドをACRO Biosystemsから購入した。同時に、GlaxoSmithKline(GSK)の陽性抗体GSK2857916を米国特許出願(US20140105915A)に従って調製した。なお、調製された上記陽性抗体は毒素分子にカップリングしていないが、他の可能な機能には影響はない。
1.1 抗原の用意
本願では、human-BCMA-Fc、human-BCMA-His、cyno-BCMA-Fc、及びcyno-BCMA-Hisの4つの抗原が使用され、いずれもACRO Biosystemsから購入したものであり、カタログ番号はそれぞれBC7-H5254、BCA-H522y、BCA-C5253、BCA-C52H7である。さらに、その活性はGSK2857916と相互検証されており、米国特許出願US20140105915Aに開示されているものと一致しており、結果を図2Aに示す。
1.2 リガンドの用意
本願で使用されるリガンドは、human-BAFF-Fcとhuman-APRIL-Fcの2種類が使用され、どちらも、ACRO Biosystemsから購入され、カタログ番号はそれぞれBAF-H4268、APL-H5267である。さらに、その活性は、human-BCMAとの受容体リガンド結合について検証されており、米国特許出願US20140105915Aに開示されているものと一致しており、結果を図2Bおよび2Cに示す。
1.3 陽性対照抗体の調製
本願では、陽性対照抗体GSK2857916は、一過性トランスフェクションシステム(ExpiCHO)を使用して発現させ、使用した主な材料は、Gibco培地(カタログ番号A29100-01)、Gibcoトランスフェクションキット(カタログ番号A29129)を含む。まず、GSK2857916の軽鎖配列(配列番号17の配列に示される)および重鎖配列(配列番号18の配列に示される)を、米国特許出願US20140105915Aに開示されている配列に従って合成し、完全なGSK2857916抗体軽鎖および重鎖遺伝子を含むプラスミドを分子クローニングによって構築した。GSK2857916抗体の軽鎖を含むプラスミドと重鎖を含むプラスミドを2:1の質量比で混合し、25mLの発現系で、上記のプラスミド混合物(25μg)を標準的な手順に従ってトランスフェクション試薬を混合して25mLのExpiCHO細胞発現システムに滴下した。完全に混合した後、37℃の細胞インキュベーター内で18~22時間発現させた。続いて、上記のトランスフェクション混合物に補充培地を添加し、32℃の細胞インキュベーターに入れて培養を続けた。トランスフェクション後5日目に、2回目の補充フィードを追加し、細胞を32℃の細胞インキュベーターにさらに10~12日間培養した。そして、発現した細胞懸濁液を高速遠心分離し、上澄みを取り、得られた上澄みを0.22μmフィルターメンブレンでろ過し、Protein A/Gアフィニティークロマトグラフィーカラムアフィニティー法で精製した。精製後、目的タンパク質を100mMグリシネート(pH3.0)で溶出し、濃縮、置換、分注し、SDS-PAGE同定及び活性同定に合格した後、凍結保存のために倉庫に保存した。
実施例2
細胞株の調製
本実施例では、BCMAを発現するヒト骨髄腫細胞株H929を購入し、ヒトBCMAを過剰発現する細胞株BCMA-HEK293細胞およびサルBCMAを過剰発現する細胞株BCMA-CHO細胞を構築した。
2.1 H929細胞株の用意
本願では、H929は北京協和セルバンクから購入され、カタログ番号は3111C0001CCC000360であり、これは、ヒトBCMAを自然に高度に発現する骨髄腫細胞株である。
2.2 BCMA-CHO細胞株の調製
2.2.1 全長サルBCMAを発現するプラスミドの構築
カニクイザルのBCMAタンパク質を含むDNAフラグメントを、遺伝子合成技術によって合成し、発現ベクターにクローニングした。形質転換法により大腸菌に導入し、大腸菌の単一クローンを採取して配列決定し、正しいプラスミドクローンを得た後、プラスミドを抽出し、再度配列決定して確認した。
2.2.2 エレクトロポレーション
CHO-s細胞は、GibcoのCD-CHO無血清培地(カタログ番号10743029)を使用して培養した。エレクトロポレーションの1日前に細胞を5×10/mLで継代し、翌日、Invitrogenのエレクトロポレーションキット(カタログ番号:MPK10096)およびエレクトロポレーター(カタログ番号:MP922947)を使用して、構築されたプラスミドをCHO-s細胞に導入した。エレクトロポレーション後の細胞をCD-CHO培地に移し、37℃の細胞インキュベーターにおいて48時間培養した。
2.2.3 エレクトロポレーション後の細胞プレーティング
エレクトロポレーションしたCHO-s細胞を2000細胞/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングし、最終濃度30μM MSX(Millipore、GSS-1015-F)およびGSサプリメント(Sigma、58672C-100ml)を添加し、37℃の二酸化炭素インキュベーター内で培養し、10日後に30μM MSXおよび1×GSサプリメントを含む培地を補充した。
2.2.4 クローン選択、細胞増殖およびFACS同定
96ウェルプレートで増殖した単一細胞クローンを選び、24ウェル培養プレートに移してさらに増殖させた後、サルBCMAが安定的にトランスフェクトされた細胞株をFACSで同定した。
2.3 BCMA-HEK293細胞株の調製
2.3.1 全長ヒトBCMAを発現するプラスミドの構築
ヒトBCMAタンパク質を含むDNAフラグメントを、遺伝子合成技術によって合成し、発現ベクターにクローニングした。形質転換法により大腸菌に導入し、大腸菌の単一クローンを採取して配列決定し、正しいプラスミドクローンを得た後、プラスミドを抽出し、再度配列決定して確認した。
2.3.2 エレクトロポレーション
HEK293細胞は、GibcoのDMEM無血清培地(カタログ番号12634010)を使用して培養した。エレクトロポレーションの1日前に細胞を2×10/mLで継代し、翌日、Invitrogenのエレクトロポレーションキット(カタログ番号:MPK10096)およびエレクトロポレーター(カタログ番号:MP922947)を使用して、構築されたプラスミドをHEK293細胞に導入した。エレクトロポレーション後の細胞をDMEM培地に移し、37℃の細胞インキュベーターにおいて48時間培養した。
2.3.3 エレクトロポレーション後の細胞プレーティング
エレクトロポレーションしたHEK293細胞を1000細胞/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングし、最終濃度2μg/mlのpuromycinを添加し、37℃の二酸化炭素インキュベーター内で培養し、14日後に2μg/mlのpuromycinを含む培地を補充した。
2.3.4 クローン選択、細胞増殖およびFACS同定
96ウェルプレートで増殖した単一細胞クローンを選び、24ウェル培養プレートに移してさらに増殖させた後、ヒトBCMA安定的にトランスフェクトされた細胞株をFACSで同定した。
実施例3
動物の免疫
本実施例では、動物の免疫化にはいくつかの計画が含まれ、同時に実行される。免疫化プロセス中に、力価検出のためにマウス血清を採取し、免疫化の効果を評価し、最後にライブラリーを構築するマウスの順番を血清力価に従って決定した。
3.1 動物の免疫
3.1.1. 免疫計画1
Babl/cマウス(上海霊暢バイオテクノロジー株式会社、雌、6~8週間、n=2)を皮下注射および腹腔内注射により免疫し、材料は上記のヒトBCMA-FcおよびサルBCMA-Fc抗原タンパク質(ACRO Biosystems)を含み、交差免疫を使用した。最初の免疫化用量は100μg/匹で、CFA(フロイント完全アジュバント)を添加し、次に免疫化用量を50μg/匹に減らし、IFA(フロイント不完全アジュバント)を添加し、両方とも2週間ごとに交差免疫を1回した。対応するマウスには、Mouse 1およびMouse 2の番号が付けられた。
3.1.2 免疫計画2
Babl/cマウス(マウスは計画1と同じバッチ、n=2)を皮下注射および腹腔内注射によって免疫し、材料は上記のヒトBCMA-Fc、サルBCMA-Fc抗原タンパク質(ACRO Biosystems)、ヒトBCMAを高度に発現するHEK293細胞、およびサルBCMAを高度に発現するCHO細胞を含み、交差免疫を使用した。タンパク質免疫の用量は20μg/匹であり、細胞免疫の用量は1×10/匹であり、腹腔内注射し、1週間ごとに交差免疫を1回した。対応するマウスには、Mouse 3とMouse 4の番号が付けられた。
3.2 血清力価のELISAによる検出
3.2.1 抗原のコーティングとブロッキング
ELISAプレート上で、ヒトBCMAおよびサルBCMAを1日前にそれぞれコーティングし、コーティング濃度は2μg/mL、30μL/ウェルであり、4℃で一晩した。免疫力価測定の日に、プレートをPBSTで3回洗浄し、5%脱脂乳で室温、2時間ブロックし、次にプレートをPBSTで3回洗浄した。
3.2.2 一次抗体および二次抗体
各血清サンプルを最初にストック(原液)に基づいて500倍に希釈し、次に3倍の勾配で希釈し、一次抗体としてELISAプレートに添加し、室温、1時間インキュベートし、プレートをPBSTで3回洗浄した後、二次抗体(Goat-anti-mouse-IgG-Fab-HRP、Sigma、M4115)を添加し、室温、1時間インキュベートした。
3.2.3 発色、終止、プレートの読み取り
インキュベーション後、プレートをPBSTで6回洗浄し、TMB(SurModics、TMBS-1000-01)を加えて発色させた。発色結果に応じて、2M HClを加えて反応を終止させた。プレートは、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectreMax190)によってOD450で読み取った。血清力価の結果は、免疫化されたマウスがヒトBCMAおよびサルBCMAに対して高い力価を示し、次の抗体ライブラリー構築のステップに使用できることを示している。結果を以下の表1-1および1-2に示す。
Figure 2022551662000001
Figure 2022551662000002
実施例4
本実施例では、実施例3で最高の力価を有するマウスを好ましく選択し、マウス脾臓中のB細胞の抗体遺伝子を、ファージディスプレイ技術を使用してファージディスプレイベクターにクローン化し、抗体ライブラリーを構築した。スクリーニング抗原としてヒトBCMAおよびサルBCMAを使用し、ライブラリー大規模選択、モノクローナル一次スクリーニングおよび配列決定などのプロセスを通じて、ヒトおよびサルBCMA抗原に結合活性を有する17の抗体分子を最終的に得た。
4.1 ファージディスプレイ抗体遺伝子ライブラリーの構築
免疫化後、安楽死のための標準的な手順に従ってマウスを処理した。マウスの脾臓を採取し、粉砕し、濾過して脾臓細胞を収集し、1mLのTRIzol(商標)試薬(Thermo Fisher、15596026)を加えて脾臓細胞を溶解し、フェノール・クロロホルム法によって全RNAを抽出した。抽出したRNAを逆転写キット(TaKaRa、6210A)によってcDNAに逆転写した。次に、cDNAをPCRテンプレートとして使用し、マウス抗体配列の増幅に特定のプライマーを使用して、抗体の軽鎖遺伝子と重鎖遺伝子をそれぞれ増幅した。最後に、NcoI+NotI二重消化とT4リガーゼを介して、抗体遺伝子フラグメントをファージディスプレイベクターに挿入し、ライゲーション産物をDNA回収キット(Omega、D6492-02)で回収し、最後にエレクトロポレーター(Bio-Rad、MicroPulser)によってコンピテントな大腸菌SS320(Lucigen、MC1061F)に形質転換し、アンピシリンとテトラサイクリンを含む2-YT(C+/K+2-YT)固体プレートに広げて、正しく形質転換された抗体プラスミドのSS320株を増幅し、最後にFabフラグメント抗体配列を含むライブラリーを構築した。
4.2 ファージディスプレイ抗体遺伝子ライブラリースクリーニング
4.2.1 磁気ビーズ法によるファージディスプレイ抗体遺伝子ライブラリーのスクリーニング
磁気ビーズスクリーニングは、Biotin標識抗原タンパク質とAvidin結合磁気ビーズの結合に基づいて、抗原結合磁気ビーズとライブラリーのインキュベーション、洗浄、溶出のプロセスを通じて、2~4ラウンドの大規模選択後、最後に抗原に対する特異的モノクローナル抗体を濃縮するプロセスである。本実施例では、Biotinで標識されたヒトBCMA抗原とサルBCMA抗原の交差選択の原理を使用し、1回目と3回目はヒトBCMA選択を使用し、2回目はサルBCMA選択を使用し、合計3回の大規模選択をした。次に、濃縮された抗体配列の混合物を、ヒトおよびサルのBCMAの一次モノクローナルスクリーニングに供した。
具体的な実施方法は以下のとおりである。
まず、Avidin結合磁気ビーズをBiotin標識ヒトBCMAタンパク質とインキュベートして、ヒトBCMAタンパク質を磁気ビーズに結合させた。BCMA抗原と結合した磁気ビーズおよび構築されたファージライブラリーを室温、2時間インキュベートした。PBSTで6~8回洗浄した後、非特異的に吸着したファージを除去し、Trypsin(Gibco、25200072)を加えて軽く混合し、20分間反応させて、特異的に結合した抗体ディスプレイファージを溶出した。続いて、対数期SS320菌体(Lucigen、MC1061 F)を、溶出したファージに感染させ、30分間静置した後、220rpmで1時間インキュベートした後、VSCM13ヘルパーファージを添加して30分間静置した。続いて、220rpmで1時間培養し、遠心分離してC+/K+2-YT培地に置換し、最終的に得られたファージを次の大規模選択に使用した。
4.4.2 免疫試験管法によるファージディスプレイ抗体遺伝子ライブラリーのスクリーニング
免疫試験管スクリーニングの原理は、BCMAタンパク質を高い吸着力を有する免疫試験管の表面にコーティングし、ファージディスプレイ抗体ライブラリーを免疫試験管に加え、免疫試験管の表面に吸着した抗原タンパク質とインキュベート、洗浄、溶出する大規模選択プロセスによって、2~4ラウンドの大規模選択後、最終的に抗原に対する特異的モノクローナル抗体を濃縮するプロセスである。免疫試験管法と磁気ビーズ法の目的は、抗原に対する特異的抗体を濃縮することであり、これらは2つの補完的な実験方法である。本実施例では、ヒトBCMA抗原とサルBCMA抗原の交差選択の原理を使用し、1ラウンド目と3ラウンド目はヒトBCMAによる選択を使用し、2ラウンド目はサルBCMAによる選択を使用し、合計3ラウンドの選択を行った。そして、濃縮された抗体配列の混合物を、ヒトおよびサルのBCMAの一次モノクローナルスクリーニングに使用した。具体的な実施方法は、スクリーニング用の磁気ビーズ法と同様である。
4.5単一クローンの選択
3ラウンドのスクリーニングの後、第3ラウンドのプールからいくつかのモノクローナルクローンを選択して、ヒトBCMAおよびサルBCMAへの結合を含むELISA検出をした。最終的に、1344個のクローンからヒトとサルBCMAの両方に結合できる合計93個の陽性クローンを選択した。配列決定分析と、ヒトおよびサルのBCMAによるアフィニティーシーケンス結果の分析の後、最後に、次の実験のために全長を構築するために、17個のクローンの配列を選択した。
実施例5
全長抗体の構築、発現および精製
この実施例では、実施例4で得られた17のヒト-サル交差Fab抗体をヒトIgG1タイプに構築し、ここで、軽鎖はいずれもKappaであり、抗体タイプはヒト-マウスキメラ抗体である。
5.1 プラスミドの構築
スクリーニングで得られた配列の重鎖配列をヒトIgG1 Fcセグメントと融合して構築し、軽鎖をヒトKappa定常領域と融合して構築した。重鎖と軽鎖のプラスミドをExpiCHO細胞に形質転換し、発現を誘導して全長抗体を得た。
5.2 抗体の発現と精製
本願では、抗体はExpiCHO一過性発現システムを採用し、培地は(Gibco、A29100-01)、トランスフェクションキットは(Gibco、A29129)である。具体的な方法は次のとおりである。トランスフェクションの1日前にExpiCHO細胞を継代し、構築したプラスミド25μgとトランスフェクション試薬を25mLシステムで混合し、25mL ExpiCHO細胞に滴下し、十分に混合した後、37℃細胞インキュベーターで18~22時間発現させた。続いて、上記のトランスフェクション混合物に補充培地を添加し、32℃の細胞インキュベーターに入れて培養を続けた。トランスフェクション後5日目に、2回目の補充フィードを追加し、細胞を32℃の細胞インキュベーターにさらに10~12日間培養した。そして、発現した細胞懸濁液を高速遠心分離し、上澄みを取り、得られた上澄みを0.22μmフィルターメンブレンでろ過し、Protein A/G アフィニティークロマトグラフィーカラムアフィニティー法で精製した。精製後、目的タンパク質を100mMグリシネート(pH3.0)で溶出し、濃縮、置換、分注し、SDS-PAGE同定、SEC純度測定、及び活性同定を経て、凍結保存のために倉庫に保存した。
実施例6
候補抗体ELISAレベルの親和性ブロッキング効果の検出
本実施例では、ELISAの方法により、ヒトおよびサルBCMAに対する候補抗体の親和性効果を検証し、ELISAの方法により、BAFFまたはAPRILへのBCMAの結合のブロッキングに対する候補抗体の効果を検証した。
6.1 ヒトおよびサルBCMAに対する候補抗体の親和性効果のELISAによる検出
96ウェルELISAプレート上で、ヒトBCMAとサルBCMAをそれぞれ2μg/mL、30μL/ウェルでコーティングし、4度で一晩放置した。翌日、ウェルプレートをPBSTで3回洗浄し、5%脱脂乳で2時間ブロックした。プレートをPBSTで3回洗浄した後、段階希釈した候補抗体と陽性対照抗体(GSK2857916)を添加し、1時間インキュベートした。その後、PBSTで3回洗浄した後、二次抗体(anti-human-IgG-Kappa-HRP、abcam、ab79115)を添加し、1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBSTで6回洗浄し、TMB(SurModics、TMBS-1000-01)を加えて発色させた。発色結果によって、反応を終止するために2M HClを添加し、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectreMax 190)によってプレートをOD450で読み取った。その結果を図4Aと図4Bに示す。その結果は、候補抗体が、ヒトBCMAおよびサルBCMAに対するGSK2857916抗体に近いまたはそれ以上の親和性を有していることを示している。
6.2 BCMAとBAFFの結合をブロッキングするための候補抗体のELISAによる検出
本実施例では、ブロッキングシステムは、事前開発のプロセスを含み、開発結果に従って、感度と安定性の両方を備えた実際のブロッキングシステムパラメータが決定された。
BAFFブロッキングについて、ヒトBAFFタンパク質を1μg/mL、30μL/ウェルでコーティングし、4℃で一晩放置した。翌日、プレートをPBSTで3回洗浄し、5%脱脂乳で2時間ブロックした。次に、候補抗体または陽性対照抗体(GSK2857916)を段階希釈し、予めBiotin標識ヒトBCMA(0.6μg/mL)と0.5時間プレミックスし、ブロッキングが完了し、プレートの洗浄が終わった後、96ウェルELISAプレートに添加し、1時間インキュベートした。その後、PBSTで3回洗浄した後、二次抗体(NeutrAvidin-HRP、Thermofisher、31001)を添加し、1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBSTで6回洗浄し、TMB(SurModics、TMBS-1000-01)を添加して発色させた。発色結果に応じて、2M HClを添加して反応を終止し、プレートをOD450でマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectreMax 190)によって読み取った。その結果を図5Aに示す。その結果は、候補抗体が、GSK2857916抗体に近いまたはさらに優れたヒトBCMAとBAFF結合のブロッキング効果を有することを示している。
6.3 BCMAとAPRILの結合をブロッキングするための候補抗体のELISAによる検出
本実施例では、ブロッキングシステムは、事前開発のプロセスを含み、開発結果に従って、感度と安定性の両方を備えた実際のブロッキングシステムパラメータが決定された。
APRILブロッキングについて、ヒトAPRILタンパク質を2μg/mL、30μL/ウェルでコーティングし、4℃で一晩放置した。翌日、プレートをPBSTで3回洗浄し、5%脱脂乳で1時間ブロックした。次に、候補抗体または陽性対照抗体(GSK2857916)を段階希釈し、予めBiotin標識ヒトBCMA(0.6μg/mL)と0.5時間プレミックスし、ブロッキングが完了し、プレートの洗浄が終わった後、96ウェルプレートに添加し、1時間インキュベートした。その後、PBSTで3回洗浄した後、二次抗体(NeutrAvidin-HRP、Thermofisher、31001)を添加し、1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBSTで6回洗浄し、TMB(SurModics、TMBS-1000-01)を添加して発色させた。発色結果に応じて、2M HClを添加して反応を終止し、プレートをOD450でマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectreMax 190)によって読み取った。その結果を図5Bに示す。その結果は、候補抗体が、GSK2857916抗体に近いまたはさらに優れたヒトBCMAとAPRIL結合のブロッキング効果を有することを示している。
実施例7
候補抗体のFACSレベルのヒトおよびサルBCMA発現細胞株との親和性効果の検出
本実施例では、ヒトおよびサルBCMAを発現する細胞に対する候補抗体の親和性効果をFACS法に基づいて検証した。
7.1 ヒトBCMA-HEK293細胞に対する候補抗体の親和性効果のFACSによる検出
指数増殖期のヒトBCMA-HEK293細胞を収集し、300gで遠心分離して上澄みを除去し、細胞を調製したFACSバッファーに再懸濁してカウントし、細胞懸濁液の密度を2×10/mLに調整した。続いて、BCMA-HEK293細胞を96ウェル丸底プレートにウェルあたり100μLで添加し、300gで遠心分離して上澄みを除去した。候補抗体の段階希釈液と陽性対照抗体希釈液を対応するウェルに加え、マルチチャンネルピペットで細胞を均一にブローし、4℃で30分間インキュベートした。インキュベートした細胞混合液を300gで遠心分離して上澄みを除去し、200μLのFACS緩衝液を対応するウェルに加え、マルチチャンネルピペットを使用して細胞を再懸濁した。2回繰り返し、300gで遠心分離して上澄みを除去した。PE標識されたanti-human-IgG-Fcフローサイトメトリー用抗体(Abeam、98596)を添加し、細胞をマルチチャンネルピペットで均一にブローし、4℃で30分間インキュベートし、300gで遠心分離して上澄みを除去した。続いて、FACS緩衝液を添加し、細胞を再懸濁した。2回繰り返した後、FACS緩衝液をウェルに200μL/ウェルで添加し、細胞を再懸濁した。最後に、フローサイトメーター(Beckman、CytoFLEX AOO-1-1102)によって検出された。本実施例では、結果を図3Aに示す。その結果は、抗体SY14-3rd-5-6-7のヒトBCMA-HEK293細胞に対する親和性が、陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れていることを示している。
7.2 サルBCMA-CHO細胞に対する候補抗体の親和性のFACSによる検出
本実施例では、操作プロセスは、細胞がサルBCMA-CHO細胞である以外、7.1とまったく同じである。その結果を図3Bに示す。その結果は、抗体SY14-3rd-5-6-7のサルBCMA-CHO細胞に対する親和性が、陽性対照抗体(GSK2857916)の親和性よりも優れていることを示している。また、ヒトとサルのシグナルの違いは、BCMA-HEK293またはBCMA-CHOでのBCMAの発現の違いが原因であると推測される。
実施例8
候補抗体のエンドサイトーシス効果の検出
本実施例では、ヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対する抗体のエンドサイトーシス効果を検出する方法システムを開発し、それに応じて候補抗体のエンドサイトーシス効果をテストした。その基本原理は、細胞毒性によって抗体のエンドサイトーシス効果を検出することである。Fab-ZAP(Atsbio、IT-51-100)は、タンパク質合成を阻害して細胞死を引き起こし得るリボソーム阻害剤であるsaporin(サポニン)に結合したFabフラグメントである。本実施例では、Fab-ZAPはヒト抗体Fcに結合できるFabフラグメントである。Fab-ZAPと抗BCMA抗体を共培養した後、抗体に毒素がロードされる。抗BCMA抗体がH929細胞によってエンドサイトーシスされると、毒素は抗体とともに細胞に入り、細胞を死滅させる。したがって、抗体のエンドサイトーシス効果は、MTSキット(Promega、G3580)によって細胞の活性を検出することで検出できる。
具体的な検出方法は次のとおりである。H929細胞を1週間前に蘇生し、蘇生後3日ごとに継代し、毎回2×10/mLの細胞播種密度で、3週間以内に継代した。対数増殖期の細胞を吸引し、細胞をよく混合し、カウントして生存率を決定した。96ウェル平底プレート一つを取り、細胞密度を4×10/mLに調整し、各ウェルに50μLの細胞を加え、軽くピペッティングして混合し、細胞培養プレートを37℃の細胞培養インキュベーターに入れて16時間インキュベートした。次に、Fab-ZAPをまず1640+10% FBS+1% PS+50μM β-メルカプトエタノール完全培地で27nM(2.16μg/ml)希釈液に調製し、段階希釈された抗体に添加してインキュベートしたFab-ZAPの最終濃度を13.5nM(1.08μg/ml)にした。設計されたプレートに従って、300μLのマルチチャンネルピペットを使用して希釈プレートから50μLの希釈溶液を取り出して細胞プレートに添加し、軽くピペッティングして均一に混合し、細胞インキュベーターに3日間培養した。その後、事前にMTSを室温で溶かし、細胞プレートをインキュベーターから取り出し、100μLの12チャンネルピペットガンで20μLのMTSを取って各ウェルに加え、軽くピペッティングしてインキュベーター内で2時間インキュベートした。最後に、細胞プレートをマイクロプレートリーダーに入れ、492nmの波長で読み取って保存した。
本実施例では、結果を図6Aおよび6Bに示す。その結果は、候補抗体SY14-3rd-5-6-7およびSY14-3rd-5-6-32のエンドサイトーシス効果がどちらも陽性対照抗体(GSK2857916)に優れていることを示している。
これまでのところ、候補抗体のすべての検出結果を図7にまとめている。
実施例9
抗体のヒト化操作
本実施例では、マウス抗体の重鎖および軽鎖V領域のフレームワークに対してアミノ酸点突然変異を実行して、それらをヒトGermlineに近づけた。それらの中で、操作された候補抗体は、SY14-3rd-5-6-7(5-6-7または5-6-7-WTとも呼ばれる)およびSY14-3rd-5-6-32(5-6-32または5-6-32-WTとも呼ばれる)を含み、操作された好ましい候補抗体は、それぞれ5-6-7-hu-2および5-6-32-hu-2と呼ばれる。
実施例10
ヒト化抗体の機能検証
10.1 ヒト化前後のヒトおよびサルBCMAに対する2つの候補抗体の親和性のELISAによる検出
具体的な操作方法は実施例6を参照されたい。結果を図8A、図8B、図9A、図9Bに示す。その結果は、ヒト化前後の抗体が、ヒトおよびサルBCMA結合活性と基本的に同じであることを示している。
10.2 ヒト化前後のBCMAおよびBAFFのブロッキングにおける2つの候補抗体の効果のELISAによる検出
具体的な操作については、実施例6を参照されたい。結果を図10Aおよび11Aに示す。その結果は、BCMAおよびBAFFの結合をブロッキングするヒト化抗体の効果が陽性抗体の効果よりもわずかに悪いことを示している。
10.3 ヒト化前後のBCMAおよびAPRILのブロッキングにおける2つの候補抗体の効果のELISAによる検出
具体的な操作については実施例6を参照されたい。結果を10Bおよび11Bに示す。その結果は、BCMAおよびAPRILの結合をブロッキングするヒト化抗体の効果が陽性抗体の効果よりもわずかに悪いことを示している。
10.4 ヒトBCMA-HEK293細胞に対する候補抗体の親和性効果のFACSによる検出
具体的な操作については実施例7を参照されたい。結果を図12Aに示す。その結果は、ヒト化前後の抗体とヒトBCMA-HEK293細胞の結合効果が基本的に同じであり、どちらも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れていることを示している。
10.5 サルBCMA-CHO細胞に対する候補抗体の親和性のFACSによる検出
具体的な操作ついては実施例7を参照されたい。結果を図12Bに示す。その結果は、ヒト化前後の抗体とサルBCMA-CHO細胞の結合効果が基本的に同じであり、どちらも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れていることを示している。
10.6 ヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対する候補抗体の親和性効果のFACSによる検出
具体的な操作については実施例7を参照しされたい。結果を図12Cに示す。その結果は、ヒト化前後の抗体とH929細胞の結合効果が基本的に同じであり、どちらも陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れていることを示している。
10.7 ヒト化前後の抗体のエンドサイトーシス効果の検出
本実施例では、2つの候補抗体のヒト化前後のヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対するエンドサイトーシス効果もテストされた。具体的な操作については、実施例8を参照されたい。結果を図13Aおよび13Bに示す。その結果は、ヒト化抗体5-6-7-huV2のエンドサイトーシス効果がヒト化前(5-6-7-WT)と比較して部分的に改善され、ヒト化前後の他の抗体のヒト骨髄腫細胞株H929細胞に対するエンドサイトーシス効果が基本的に同じであり、すべて陽性対照抗体(GSK2857916)よりも優れていることを示している。
これまでのところ、ヒト化前後の2つの候補抗体のすべての検出結果を図14にまとめている。
実施例11
ヒト化前後の候補抗体のDSF検出
本実施例では、ヒト化前後の2つの候補抗体と陽性対照抗体(GSK2857916)の熱安定性データをテストした。具体的なプロセスは次のとおりである。抗体溶液を調製し、0.25mg/mL、19μL/ウェルで、各テストサンプルに3つの並列ウェルを設定し、PBSとIPIを参照として使用した。次に、1μLのSYPRO оrange色素を100倍の濃度で各ウェルに加え、ロードの準備をした。テストにはABI7500 FAST RT-PCR装置を使用し、テストタイプとして融解曲線を選択し、連続モードを使用し、スキャン温度範囲を25~95℃、加熱速度を1%、25℃で5分間平衡した。加熱プロセス中にデータを収集し、レポーター基をROX、クエンチャー基をNone、反応用量を20μLにし、融解曲線の一次導関数の最初のピークと谷に対応する温度を、候補抗体の変性温度として確定した。結果を表1-3に示す。
Figure 2022551662000003
実施例12
ヒト化前後の候補抗体の親和性検出
本実施例では、Fortebio Octet RED96機器を使用して、ヒトBCMAおよびサルBCMAに対するヒト化前後の5-6-7および5-6-32の候補抗体の親和性を検出した。
12.1 材料の準備
1gのBSAを量り、500μLのTween 20を測定し、1000mLの1×PBSに加えてよく均一に混合した。フィルタリング後、分注して保存した。0.1mLの0.1Mグリシン溶液(pH=2.0)をピペットして0.9mLの超純水に加え、均一に混合した。抗体をKB緩衝液で10μg/mLに希釈し、抗原をKB緩衝液で希釈して、200、50、12.5、および0nMの一連の濃度勾配をこの順で希釈した。
12.2 実験手順
センサー(sensor)(Anti-human Fba-CH1 2nd Generation、FAB2G)を少なくとも10分間遮光予湿した後、サンプルプレート(GreinierBio、PN655209)をテストし、テストが正しく行われた後、予定のプログラムに従って続行した。ここで、200μL/ウェルKB緩衝液をサンプルプレート1の第1、10、12カラムに添加し、0.01M pH2.0グリシン溶液を第11カラムに添加し、調製したサンプル溶液を第2~8カラムに添加し(1つのサンプルに4つのウェルを追加、つまり1つのカラムに2つのサンプル)、第9カラムに、高濃度から低濃度までの順にヒトBCMA-Fcを添加し、すなわち、1番目と5番目のウェルに200nMの抗原溶液を添加し、2番目と6番目のウェルに50nMの抗原溶液を添加し、3番目と7番目のウェルに12.5nMの抗原溶液を添加し、4番目と8番目のウェルに0nMの抗原溶液を添加した。サンプルプレート2の調製は、第9カラムの抗原がサルBCMAタンパク質に置き換えられたことを除いて、変更されなかった。データの結果を表1-4に示す。
Figure 2022551662000004
実施例13
上記の実施例に基づいて5-6-7-hu-2および5-6-32-hu-2を選択し、分析および配列決定を行った。IMGTデータベース(http://www.imgt.org/)に基づいてヒト抗体配列の可変領域を定義し、本発明の抗体の軽鎖および重鎖可変領域の配列(配列番号13~16)を確定し、可変領域配列を分析し、CDRをAbMによって定義する方法によって、抗体の重鎖および軽鎖の相補性決定領域配列(配列番号1~12)を確定した。
本発明によって保護される配列は、具体的には以下の通りである。
配列番号1:
GHIFTNFHFH
配列番号2:
GYIFTNYHMH
配列番号3:
GIYPGNGDTF
配列番号4:
GIYPGNGDIF
配列番号5:
GSYYGYIDAMDY
配列番号6:
GSYYGYIDAMDY
配列番号7:
RASQDISNYLN
配列番号8:
RASQDISNDLN
配列番号9:
YTSRLHS
配列番号10:
YTSRLPS
配列番号11:
QQGNTLPWT
配列番号12:
QQGHTLPWT
配列番号13:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGNTLPWTFGQGTKLEIK
配列番号14:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNDLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRLPSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGHTLPWTFGQGTKLEIK
配列番号15:
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKISCKASGHIFTNFHFHWVRQAPGQGLEWIGGIYPGNGDTFYNQKFQGRATITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCVRGSYYGYIDAMDYWGQGTSVTVSS
配列番号16:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYIFTNYHMHWVRQAPGQGLEWIGGIYPGNGDIFYAQKFQGRATITADKSTSTAYIELSSMRSEDTAVYYCARGSYYGYIDAMDYWGQGTSVTVSS
配列番号17:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIK
配列番号18:
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSS
上記の具体的な実施例は、本発明の目的、技術案、および有益な効果をさらに詳しく説明した。以上は本発明の特定の実施例にすぎず、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の精神および原理内で行われたいかなる修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。

Claims (23)

  1. ヒトBCMAとサルBCMAの両方に結合できる、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする単離されたモノクローナル抗体。
  2. 前記抗体は、
    (1)配列番号1若しくは2に示される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、及び/または配列番号3若しくは4に示される重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、及び/または配列番号5若しくは6に示される重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含む重鎖可変領域を含む抗体;
    (2)配列番号7若しくは8に示される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、及び/または配列番号9若しくは10に示される軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、及び/または配列番号11若しくは12に示される軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む軽鎖可変領域を含む抗体;
    (3)(1)に記載の抗体の重鎖可変領域及び(2)に記載の抗体の軽鎖可変領域を含む抗体;
    (4)(1)~(3)のいずれか1項に記載の抗体のバリアントであり、(1)~(3)のいずれか1項に記載の抗体と同等または類似の活性を有する抗体
    から選択されるいずれかである、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 前記抗体は、
    (1)配列番号13もしくは14示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む軽鎖可変領域を含む抗体;
    (2)配列番号15もしくは16示されるアミノ酸配列または前記配列のバリアントを含む重鎖可変領域を含む抗体;
    (3)(1)に記載の抗体の重鎖可変領域及び(2)に記載の抗体の軽鎖可変領域を含む抗体
    から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗体。
  4. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号1に示されるCDR-H1、配列番号3に示されるCDR-H2、及び配列番号5に示されるCDR-H3を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  5. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号2に示されるCDR-H1、配列番号4に示されるCDR-H2、及び配列番号6に示されるCDR-H3を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  6. 前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号7に示されるCDR-L1、配列番号9に示されるCDR-L2、及び配列番号11に示されるCDR-L3を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  7. 前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号8に示されるCDR-L1、配列番号10に示されるCDR-L2、及び配列番号12に示されるCDR-L3を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  8. 前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号13または14に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  9. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号15または16に示される配列を有するか、または前記配列のいずれか1つと少なくとも80%、例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性を有する配列を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体と同じエピトープを認識することを特徴とする、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体と競合してB細胞成熟抗原(BCMA)に結合することを特徴とする、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするモノクローナル抗体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸。
  13. 請求項12に記載の核酸を含む発現ベクター。
  14. 請求項13に記載の発現ベクターを含み、またはそのゲノムに請求項12に記載の核酸が組み込まれた、宿主細胞。
  15. 請求項14に記載の宿主細胞を培養することによって請求項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生する、モノクローナル抗体を産生する方法。
  16. 請求項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  17. 請求項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または請求項16に記載の医薬組成物を含む、キットまたは製品。
  18. 請求項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または請求項16に記載の医薬組成物または請求項17に記載のキット若しくは製品を、それを必要とする被験者に投与することを含む、
    BCMAの発現に関連する疾患を治療するための方法。
  19. 前記疾患が、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記疾患が多発性骨髄腫である、請求項18または19に記載の方法。
  21. BCMAの発現に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における、請求項1~11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の使用。
  22. 前記疾患が、B細胞急性リンパ球性白血病、T細胞急性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄腫、MGUS、形質細胞腫、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群から選択される、請求項21に記載の使用。
  23. 前記疾患が多発性骨髄腫である、請求項21または22に記載の使用。
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