JP2022550068A - 興奮毒性関連病態の治療 - Google Patents

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Abstract

治療又は予防を必要とする被験体に有効量のLimドメインキナーゼ1(LIMK1)の阻害剤を投与することを含む、興奮毒性関連病態、任意に発作に関連する病態、及び/又は脳虚血イベントに起因するか、若しくはそれに関連する病態を治療又は予防する方法を本明細書に開示する。発作を治療又は予防する方法、並びにニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護する方法も提供する。

Description

本開示は概して、興奮毒性を低減させる方法、並びに脳虚血イベントに起因する癲癇及び発作等の興奮毒性関連病態を治療及び予防する方法に関する。
グルタミン酸は、脳内で広範に発現される主要な興奮性神経伝達物質の1つである。N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体は、脳内の興奮性シナプス伝達を媒介するグルタミン酸受容体群であり、興奮毒性、シナプス可塑性、シナプス形成、記憶獲得及び学習において重要な役割を果たす。ニューロン過剰興奮によって特徴付けられ、細胞及び/又はニューロンの回路網機能障害又は死滅を引き起こす病態生理学的過程である興奮毒性は、発作の主要原因であり、様々な神経学的病態及び虚血イベントに関連する。発作は、認識の喪失又は意識の喪失を伴う場合も又は伴わない場合もある。発作は通例、脳の一領域における異常な電気的活動に起因する焦点発作、又は脳の複数の領域における異常な電気的活動に起因する全般発作に分類される。また、全般発作は、発作の臨床症状を参照することにより分類することができ、欠神発作(うつろな表情及び微妙な身体の動きによって特徴付けられる小発作)、強直発作(筋肉硬直)、脱力発作(筋肉制御の喪失)、間代発作(繰り返す筋肉の痙動)、ミオクロニー発作(突然の痙動又は攣縮)及び強直間代発作(身体の硬直、震え、意識の喪失、膀胱制御喪失の可能性及び/又は咬舌によって特徴付けられる大発作)が含まれる。
発作は、ニューロン過剰興奮の一般的な症状であり、癲癇は、より多く見られる神経学的病態の1つであり、人口の1%~5%が罹患していると推定される。癲癇は、認識の喪失、意識の喪失及び/又は運動障害を引き起こし得る再発性発作、通例、強直間代(大)発作の傾向によって特徴付けられる。癲癇発作の主な病理は、大脳皮質の多数のニューロン間の電気的活動の異常な過同期化(hypersynchronization)である。
発作は、脳卒中又は外傷性脳損傷等の脳虚血イベントに起因する場合もある。脳卒中は、局所的脳虚血が重度であり、及び/又は長引く場合に起こる。脳卒中は、高齢者における発作の主な原因であり、脳卒中患者の一部が脳卒中後癲癇を発症するようになる。外傷性脳損傷は通例、頭部への鈍器外傷によって起こる。発作は、アルツハイマー病等のように神経変性にも起因する。かかる発作は、脳波検査記録における顕性の癲癇又は不顕性の非痙攣発作活動の発生率の上昇として現れることがある。
興奮毒性を低減させるための現在の努力は、殆ど成果をもたらしていない。興奮毒性を低減させ、癲癇及び虚血後発作等の興奮毒性に関連する病態を治療する新たな治療を開発することが明らかに必要とされている。
本開示は、LIMドメインキナーゼ1(LIMK1)の遺伝的枯渇及び薬理学的阻害が、マウスモデルにおいてニューロンの興奮毒性を低減させ、興奮毒性発作を低減し、興奮毒性発作を防ぐという本発明者らの発見に基づいている。
本開示の第1の態様によると、被験体に有効量のLimドメインキナーゼ1(LIMK1)の阻害剤を投与することを含む、被験体における興奮毒性関連病態を治療又は予防する方法が提供される。
通例、興奮毒性関連病態は、発作に関連する。病態は、脳虚血イベントに起因するか、又はそれに関連する場合がある。例として、脳虚血イベントは、外傷性脳損傷又は脳卒中を含み得る。興奮毒性関連病態は、癲癇である場合がある。発作又は癲癇は、癲癇症候群又は癲癇に関連する症候群を引き起こす1つ以上の潜在的な遺伝的変異体の存在に起因することがある。
興奮毒性関連病態の治療又は予防は、発作(単数又は複数)の重症度を経時的に軽減し、発作(単数又は複数)の発生までの潜伏時間を経時的に延長し、及び/又は発作の頻度を低減させることを含み得る。興奮毒性関連病態の治療又は予防は、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護することを含み得る。
阻害剤は、LIMK1発現の阻害剤及び/又はLIMK1活性の阻害剤であってもよい。阻害剤は、選択的LIMK1阻害剤であってもよい。阻害剤は、特異的LIMK1阻害剤であってもよい。
例示的な実施の形態においては、阻害剤は、低分子阻害剤であり得る。
例示的な実施の形態においては、阻害剤は、式(I):
Figure 2022550068000001
(式中、
Zは、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアリーレン及び任意に置換されたアニリンからなる群より選択され、
、R及びRは、独立してH、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアミン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル及び任意に置換されたアルケニルからなる群より選択され、
YはO、S、NCN、NCS及びNSOMeからなる群より選択され、
Arは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群より選択される)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むことができる。
幾つかの実施の形態においては、Zは、以下の構造:
Figure 2022550068000002
(式中、
、R、R及びRは、上記R、R及びRと同じ定義を有し、
XはCH又はNであり、
はH又は任意に置換されたアルキルである)の1つから選択される。
特定の実施の形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia):
Figure 2022550068000003
(式中、可変部分R~R、X、Y及びArは、上で定義される通りである)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
実施の形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、
、R、R、R及びRはHであり、
はメチルであり、
は(S)-メチルであり、
XはNであり、
YはNCNであり、
Arは3-ブロモフェニルである。
実施の形態においては、式(Ia)の化合物は、以下の構造:
Figure 2022550068000004
を有する。
本開示の第2の態様によると、被験体に有効量のLIMK1の阻害剤を投与することを含む、治療又は予防を必要とする被験体における発作を治療又は予防する方法が提供される。
発作は、焦点発作であっても又は全般発作であってもよい。発作は、例えば欠神発作、強直発作、脱力発作、間代発作、ミオクロニー発作又は強直間代発作であり得る。
例示的な実施の形態においては、発作の治療又は予防は、発作(単数又は複数)の重症度を経時的に軽減し、発作(単数又は複数)の発生までの潜伏時間を経時的に延長し、及び/又は発作の頻度を低減させることを含み得る。発作の治療又は予防は、ニューロンを興奮毒性から保護することを含み得る。
被験体は、癲癇等の興奮毒性関連病態を有するか、それに罹患しやすいか、又はそれを発症するリスクがある場合がある。
例示的な実施の形態においては、阻害剤は、以上に定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み得る。
本開示の第3の態様によると、ニューロンを有効量のLIMK1の阻害剤に曝露することを含む、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護する方法が提供される。
ニューロンは、in vivo又はex vivoで阻害剤に曝露することができる。
第3の態様によると、LIMK1阻害剤を、興奮毒性関連病態を有するか、それに罹患しやすいか、若しくはそれを発症するリスクがある被験体、又は発作を起こしているか、起こしやすいか、若しくは起こすリスクがある被験体に投与することができる。
例示的な実施の形態においては、阻害剤は、以上に定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み得る。
本開示の第4の態様は、興奮毒性関連病態を治療又は予防するための医薬の製造へのLIMK1の阻害剤の使用を提供する。
通例、興奮毒性関連病態は、発作に関連する。病態は、脳虚血イベントに起因するか、又はそれに関連する場合がある。例として、脳虚血イベントは、外傷性脳損傷又は脳卒中を含み得る。興奮毒性関連病態は、癲癇である場合がある。
本開示の第5の態様は、発作を治療又は予防するための医薬の製造へのLIMK1の阻害剤の使用を提供する。
本開示の第6の態様は、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護するための医薬の製造へのLIMK1の阻害剤の使用を提供する。
本開示の態様及び実施形態は、本明細書において、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照して説明される。
APPトランスジェニックマウスにおけるLIMK1枯渇後の癲癇活性及び回路網過同期性の低減を示す図である。(A)左のグラフ:自由行動マウスにおける遠隔計測海馬脳波検査(EEG)記録時の非トランスジェニック(Limk1+/+)及びLimk1ノックアウト(Limk1-/-)同腹仔と比較したAPPトランスジェニックAPP23マウス(APP23/Limk1+/+)における1分当たりのスパイク数の有意な増加。スパイク頻度は、APP23/Limk1-/-マウスのEEG記録においては、APP23/Limk1+/+同腹仔と比較して有意に低く、Limk1+/+及びLimk1-/-対照との有意差はなかった(ns)。n=11、p<0.05、***p<0.001(スチューデントt検定)。右のグラフ:左のグラフにおいて統計分析される個々のLimk1+/+、Limk1-/-、APP23/Limk1+/+及びAPP23/Limk1-/-マウスにおけるEEG記録のスパイク頻度の提示。(B)APP23/Limk1-/-同腹仔並びにLimk1+/+及びLimk1-/-対照と比較したAPP23/Limk1+/+マウスにおける周波数間カップリング(cross frequency coupling)の変調指数の有意な低減。n=8、***p<0.001(スチューデントt検定)。(C)APP23/Limk1-/-同腹仔並びにLimk1+/+及びLimk1-/-対照と比較したAPP23/Limk1+/+マウスのEEG記録における振幅位相の有意な破壊。n=8、p<0.05、**p<0.01(ANOVA)。(A)及び(B)について、左から右にLimk1+/+;Limk1-/-;APP23/Limk1+/+;APP23/Limk1-/- Limk1-/-マウスにおける発作の誘導に対する感受性の低減を示す図である。興奮毒性発作を50mg/kg(体重)のペンチレンテトラゾール(PTZ)の急性腹腔内注射によって誘導し、続いて発作発生の計時及びスコアリング(0=発作なし~7=末期癲癇重積状態)を行った。左のグラフ:Limk1-/-(下の線)マウスにおけるLimk1+/+同腹仔と比較して同様の軽度発作(すなわち、スコア<5)の発生までの潜伏時間。Limk1+/+マウスのみが時間とともに重症の発作段階を発生する(すなわち、スコア≧5)。右のグラフ:非突然変異Limk1+/+同腹仔(左側のカラム)と比較したLimk1-/-マウス(右側のカラム)における発作重症度の有意な低減。n=6、p<0.05(スチューデントt検定)。 LIMK1阻害がマウスにおいて発作の誘導に対する感受性を低減させ、神経回路網過同期性を緩和したことを示す図である。(A)興奮毒性発作を50mg/kg(体重)のペンチレンテトラゾール(PTZ)の急性腹腔内注射によって誘導し、続いて発作発生の計時及びスコアリング(0=発作なし~7=末期癲癇重積状態)を行った。マウスを発作誘導の30分前にビヒクル又は10mg/kg(体重)のLIMK1阻害剤(LIMKi)で腹腔内処置した。左のグラフ:ビヒクル対照と比較したLIMKi処置マウス(濃い線)における軽度発作(すなわち、スコア<5)の発生までの潜伏時間の遅延。ビヒクル処置マウスのみが時間とともに重症の発作段階を発生する(すなわち、スコア=5)。右のグラフ:ビヒクル対照(左側のカラム)と比較したLIMKi処置マウス(右側のカラム)における発作重症度の有意な低減。n=9、**p<0.001(スチューデントt検定)。(B)LIMKi又はビヒクル投与の2時間前(Pre)及び2時間後(Post)を含む、非トランスジェニック(wt)及びAPPトランスジェニック(APP23)マウスにおける4時間にわたる複合海馬脳波検査(EEG)記録。腹腔内LIMKi及びビヒクル投与の時点を矢印で示す。左:wtマウスにおけるビヒクル又はLIMKi注射の前後の明白なスパイク活動の非存在。APP23マウスにおけるビヒクル投与の前後の頻繁なスパイク。対照的に、LIMKi注射により、注射後のAPP23におけるスパイク活動が緩和される。右のグラフ:前後のスパイク数と比較した場合のビヒクル処置APP23におけるスパイク頻度の有意な変化の非存在及びLIMKi処置APP23マウスにおけるスパイク頻度の有意な低減。n=8、p<0.05(スチューデントt検定)。(C)APP23マウス(ビヒクル)の周波数間カップリングの変調指数の有意な低減をLIMKi投与の1時間後に補正し、wt対照(ビヒクル/LIMKi処置)との差をなくした。n=8、**p<0.01(スチューデントt検定)。左から右に非Tg+ビヒクル;非Tg+LIMKi;APP23+ビヒクル;APP23+LIMKi。(D)APP23マウス(ビヒクル)のEEG記録における振幅位相の有意な破壊をLIMKi送達の1時間後に補正し、wt対照(ビヒクル/LIMKi処置)との差をなくした。n=8、p<0.05(ANOVA)。
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示全体を通して参照される全ての特許、特許出願、公開された出願及び公報、データベース、ウェブサイト及び他の公開資料は、特に指定のない限り、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。用語の定義が複数ある場合には、本節における定義が優先される。URL又は他のかかる識別子若しくはアドレスに言及する場合、かかる識別子が変化することがあり、インターネット上の特定の情報が移り変わることがあるが、同等の情報をインターネット検索によって見つけることができると理解される。識別子への言及は、かかる情報の入手可能性及び一般への普及を証明するものである。
数量を特定しない冠詞(articles "a" and "an")は、冠詞の文法上の対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
本明細書の文脈において、「約」という用語は、同じ機能又は結果を達成する文脈において当業者が記載の値と同等とみなす数値の範囲を指すことが理解される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という単語及び「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」等の変化形は、記載の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を除外しないことを意味すると理解される。
「任意に」という用語は、その後に記載される特徴が存在しても若しくは存在しなくてもよいこと、又はその後に記載される事象若しくは状況が発生しても若しくは発生しなくてもよいことを意味するために本明細書において使用される。したがって、本明細書は、特徴が存在する実施形態及び特徴が存在しない実施形態、並びに事象又は状況が発生する実施形態及び事象又は状況が発生しない実施形態を含み、包含すると理解される。
「阻害剤」という用語は、本明細書において使用される場合、標的分子、例えばLIMK1の少なくとも1つの機能又は生物活性を直接又は間接的に減少又は阻害する作用物質を指す。「選択的」という用語及びその文法的変形語は、別の分子の機能を実質的に阻害することなく標的分子を阻害する作用物質を指すために本明細書において使用される。
本開示の文脈において、「阻害する」という用語及び文法的同等語は、指定の事象、活性又は機能の完全な阻害を必ずしも意味するわけではない。むしろ、阻害は、所望の効果をもたらすのに十分な程度及び/又は時間であってもよい。阻害は事象、活性又は機能の予防、遅延、低減又は別様の妨害であり得る。かかる阻害は、大きさ及び/又は時間的な性質であってもよい。特定の文脈において、「阻害する」及び「防止する」という用語、並びにそれらの変化形は、区別なく使用されることがある。同様に、第1のサンプルにおける又は第1の時点での物質、現象、機能又は活性のレベル又は値よりも低い、第2のサンプルにおける又は第2の時点での物質、現象、機能又は活性のレベル又は値に関して、「阻害する」、「減少させる」及び「低減する」という用語は、区別なく使用されることがある。低減は、主観的又は客観的に決定又は測定してもよく、当該技術分野において認められる統計的分析法に従ってもよい。
本明細書における「に関連する」という用語の使用は、事象、症状又は病状の間の時間的、物理的又は空間的な関係を説明するものである。このため、例えば、本開示の文脈において、発作に関連するか、又は脳虚血イベントに関連する興奮毒性関連病態は、病態が発作又は脳虚血イベントによって少なくとも部分的に特徴付けられるか、又は直接若しくは間接的にそれに起因することを意味する。病態は、虚血イベントの時点で発生又は開始する可能性がある。代替的には、虚血イベント及び病態は、病態の発症が虚血イベントの発生の数分後、数時間後、数日後、数週間後、数ヶ月後又は数年後であるように時間間隔が空いていてもよい。
本明細書において使用される場合、「治療する」、「治療」、「予防する」、「予防」という用語及び文法的同等語は記載の神経変性疾患を改善するか、疾患の確立を阻止、遅延若しくは遅滞させるか、又は他の形で疾患の進行を阻止、妨害、遅延若しくは逆転させる任意及び全ての用途を指す。このため、「治療する」及び「予防する」等の用語は、その最も広い文脈で考慮すべきである。例えば、治療は、必ずしも患者が完全回復まで治療されることを意味するわけではない。疾患が複数の症状を示すか、又は複数の症状によって特徴付けられる場合、治療又は予防は、必ずしも上記症状の全てを改善、阻止、妨害、遅延又は逆転させる必要はなく、上記症状の1つ以上を阻止、妨害、遅延又は逆転させるものであってもよい。
本明細書において使用される場合、「有効量」という用語は、作用物質又は化合物の非毒性であるが、所望の効果をもたらすのに十分な量又は用量をその意味に含む。必要とされる正確な量又は用量は、治療される種、被験体の年齢、体格、体重及び全身状態、治療される疾患又は病態の重症度、投与される特定の作用物質、並びに投与方法等の要因に応じて被験体によって異なる。このため、正確な「有効量」を特定することはできない。しかしながら、任意の所与の場合について、適切な「有効量」は、当業者であれば日常実験のみを用いて決定することができる。
「被験体」という用語は、本明細書において使用される場合、哺乳動物を指し、ヒト、霊長類、家畜動物(例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、実験室試験用の動物(例えばマウス、ウサギ、ラット、モルモット)、興行及びショー用の動物(例えばウマ、家畜、イヌ、ネコ)、伴侶動物(例えばイヌ、ネコ)、並びに捕獲野生動物を含む。哺乳動物は、ヒト又は実験室試験用の動物であるのが好ましい。更により好ましくは、哺乳動物はヒトである。
プロテインキナーゼのLIMドメインファミリーは、LIMドメインキナーゼ1(LIMK1)及びLIMドメインキナーゼ2(LIMK2)を含む。LIMキナーゼは、アクチンと結合し、リン酸化を介してコフィリンタンパク質の活性を調節することによってアクチン細胞骨格の構成に影響を与えるセリン/トレオニンプロテインキナーゼである。脳において最も高度に発現されるニューロンLIMK1は、シナプス形態の確立された調節因子である。本発明より前には、神経学的疾患におけるLIMK1の機能的役割については殆ど知られていなかった。ヒトLIMK1は、7番染色体にコードされるLIMK1遺伝子から産生される647アミノ酸のタンパク質(UniProtタンパク質データベースアクセッション番号P53667)である。選択的スプライシングにより、LIMK1の4つのアイソフォームが生成する。
本明細書において例示されるように、本発明者らは、LIMK1の遺伝的枯渇により、マウスが興奮毒性発作を起こしにくくなることを実証し、LIMK1の薬理学的阻害がニューロンを興奮毒性から保護し、興奮毒性発作の重症度を軽減し、重症発作の発生までの潜伏時間を延長することを更に実証した。
一態様では、本開示は、被験体に有効量のLimドメインキナーゼ1(LIMK1)の阻害剤を投与することを含む、被験体における興奮毒性関連病態を治療又は予防する方法を提供する。
本開示の別の態様は、被験体に有効量のLIMK1の阻害剤を投与することを含む、治療又は予防を必要とする被験体における発作を治療又は予防する方法を提供する。被験体は、興奮毒性関連病態を有するか、それに罹患しやすいか、又はそれを発症するリスクがある場合がある。本開示の更なる態様は、ニューロンを有効量のLIMK1の阻害剤に曝露することを含む、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護する方法に関する。
通例、興奮毒性関連病態の患者は、発作を起こす。発作は、焦点発作であっても又は全般発作であってもよく、例えば欠神(小)発作、強直発作、脱力発作、間代発作、ミオクロニー発作又は強直間代(大)発作として特徴付けられ得る。発作は、重症度が異なる場合もある。Chalfont Seizure Severity Scale(Duncan and Sander, 1991, J Neurol Neurosurg Psychiatry 54:873-876)及びNational Hospital Seizure Severity Scale(O'Donoghue et al., 1996, Epilepsia 37:563-571)を含む幾つかの発作重症度スケールが開発されている。かかるスケールは、本開示に従って治療される被験体が患う病態を診断する例示的な手段、及び本開示に従って行われる治療の進捗及び結果をモニタリングする例示的な手段を提供する。例えば、興奮毒性関連病態の治療又は発作の治療若しくは予防は、発作又は複数の発作の重症度を経時的に軽減することを含み得る。同様に、興奮毒性関連病態の治療又は発作の治療若しくは予防は、発作(単数又は複数)の発生までの潜伏時間を経時的に延長し、及び/又は発作の頻度を低減させることを含み得る。
本開示に従って治療又は予防することができる興奮毒性関連病態は、癲癇、及び後天的脳損傷若しくは外傷性脳損傷又は脳卒中等の脳虚血イベントに関連するか、又はそれに起因する病態を含む。
癲癇は、発作によって特徴付けられる神経学的病態の群を指し、本開示の範囲は、いずれか1つの特定の形態又はタイプの癲癇への言及によって限定されない。上述のように、癲癇に関連する発作は、焦点発作であっても又は全般発作であってもよく、例えば欠神(小)発作、強直発作、脱力発作、間代発作、ミオクロニー発作又は強直間代(大)発作として特徴付けられ得る。癲癇は、遺伝性であっても若しくは後天性であってもよく(例えば海馬硬化症、周産期感染症、脳外傷又は脳感染、脳卒中、脳血管障害、脳免疫障害又は他の神経学的病態に起因する)、又は代替的には、癲癇は原因不明であってもよい。癲癇は例えば、ドラベ症候群、ウェスト症候群、ドーゼ症候群(ミオクロニー失立癲癇)、ローランド癲癇、ラスムッセン症候群、レノックス-ガストー症候群、ランドウ-クレフナー症候群、スタージ-ウェーバー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、Glut1欠損症候群、PCDH19癲癇、進行性ミオクロニー癲癇、神経皮膚症候群、前頭葉癲癇、又は若年性ミオクロニー若しくは欠神癲癇であり得る。
後天的脳損傷という用語は、出生後に生じ、それ自体が先天性又は変性病態に関連しない脳への損傷を指すために使用される。このため、後天的脳損傷は、脳が急性外傷による損傷を受けた場合に生じる外傷性脳損傷を含む。外傷性脳損傷は、軽度の外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症又は脳振盪を含み得る。外傷性脳損傷の重症度は、軽度から中程度又は重度まで様々な場合があり、症状は、外傷イベント後即座に、又は数日、数週間、数ヶ月若しくは数年のうちに現れることがある。外傷性脳損傷の症状としては、頭痛、錯乱、眩暈、気分変調、並びに記憶、学習及び注意等の認知機能の障害、嘔気、痙攣又は発作、不明瞭な発語、四肢のしびれ、並びに協調運動障害を挙げることができる。外傷性脳損傷は、頭部への軽度、中程度又は重度の外傷又は損傷に起因する。発作及び興奮毒性関連病態を引き起こし得る外傷性脳損傷としては、例えば脳振盪を引き起こす自動車事故、スポーツ外傷、職業災害、身体的暴力及び転倒が挙げられる。外傷性脳損傷の例としては、自動車事故、スポーツ外傷、職業災害、身体的暴力及び転倒が挙げられる。脳卒中、低酸素虚血、出血、脳炎及び関連の後天性脳障害が、本開示の実施形態が関係する後天性又は外傷性脳損傷として特徴付けられても又はそうでなくてもよい、脳虚血イベントの他の例示的な形態である。
本開示は、LIMK1キナーゼの阻害剤の投与を企図する。阻害剤は、LIMK1の発現及び/又は活性に影響を及ぼし得る。阻害剤は、LIMK1の特異的阻害剤であっても、又はLIMK1に対して選択的なものであってもよい。このため、阻害剤がLIMK2に対して阻害活性を示すこともある。阻害剤は、LIMK1の1つ以上のアイソフォームに対して阻害活性を示していてもよい。
例えば、低分子阻害剤、核酸ベース(通例、RNAベース)の阻害剤、例えばRNAi、shRNA及びリボザイム、ペプチド阻害剤、並びに抗体又はその抗原結合フラグメントの形態のLIMK1阻害剤が本明細書において企図される。本開示の特定の例示的な実施形態においては、阻害剤は低分子阻害剤である。本開示の範囲がLIMK1阻害剤の任意の特定の形態又は同一性への言及によって限定されないことが当業者には理解される。
例として、アミノチアゾール骨格を有するLIMK1阻害剤が、Ross-Macdonald et al., 2008, Mol Cancer Ther 7:3490-3498及びHe et al, 2012, Bioorg Med Chem Lett 22:5995-5998)に開示されている。アミノチエノピリミジン(Sleebs et al., 2011, Bioorg Med Chem Lett 21:5992-5994及びSleebs et al., 2011, Med Chem Commun 2:982-986を参照されたい)、ピロールピリミジン(Manetti, 2018, Eur J Med Chem 155:445-448及びHarrison et al., 2009, J Med Chem 52:6515-6518)及び他の様々な複素環骨格(例えば、Manetti(上掲)の図2及び表7を参照されたい)を有する他の小分子もLIMK1阻害剤として特定されている。
特定の例示的な実施形態においては、阻害剤は、式(I):
Figure 2022550068000005
(式中、
Zは、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアリーレン及び任意に置換されたアニリンからなる群より選択され、
、R及びRは独立してH、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアミン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル及び任意に置換されたアルケニルからなる群より選択され、
YはO、S、NCN、NCS及びNSOMeからなる群より選択され、
Arは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群より選択される)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
幾つかの実施形態においては、Zは、以下の構造:
Figure 2022550068000006
(式中、
、R、R及びRは、上記R、R及びRと同じ定義を有し、
XはCH又はNであり、
はH又は任意に置換されたアルキルである)の1つから選択される。
「アルキル」は、直鎖状でも又は分岐していてもよく、好ましくは1個~10個の炭素原子、又はより好ましくは1個~6個の炭素原子を有する一価アルキル基を指す。かかる基の例としては、メチル、エチル、n-イソプロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル等が挙げられる。
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、直鎖状でも又は分岐していてもよく、好ましくは2個~10個の炭素原子を有する一価脂肪族炭素環(carbocyclic)基を指す。かかる基の例としては、ビニル又はエテニル基(-CH=CH)、n-プロペニル(-CHCH=CH)、イソプロペニル(-C(CH)=CH)、ブタ-2-エニル(-CHCH=CHCH)等が挙げられる。
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、直鎖状でも又は分岐していてもよく、好ましくは2個~10個の炭素原子を有する一価脂肪族炭素環(carbocyclic)基を指す。かかる基の例としては、アセチレン又はエチニル基(-C≡CH)、プロパルギル(-CHC≡CH)等が挙げられる。
「アリール」は、単一の環(例えばフェニル)又は複数の縮合環(例えばナフチル、アントラセニル)を有し、好ましくは6個~14個の炭素原子を有する一価不飽和芳香族炭素環基を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル等が挙げられる。
「アルコキシ」及び「アリールオキシ」は、それぞれ「-O-アルキル」及び「-O-アリール」基を指し、ここでアルキル及びアリール基は、上記のものである。
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
「ヘテロアリール」は、好ましくは6個~14個の炭素原子及び1個~4個のヘテロ原子を有し、ヘテロ原子が環内にあり、酸素、窒素及び硫黄から独立して選択される、一価芳香族炭素環基を指す。かかるヘテロアリール基は、単一の環(例えばピリジル、ピロリル又はフリル)又は複数の縮合環(例えばインドリル及びベンゾフリル)を有し得る。
「ヘテロシクリル」は、単一の環又は複数の縮合環を有し、好ましくは4個~10個の炭素原子及び1個~4個のヘテロ原子を有し、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレン及びリンから独立して選択される、一価の飽和又は不飽和の基を指す。
ヘテロシクリル及びヘテロアリール基の例としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリノ、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、特定の基との関連で「任意に置換された」という用語は、その基がヒドロキシル、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アミノ、アミノアシル、アルキルアリール、アリール、アリールオキシ、カルボキシル、アシルアミノ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、スルフェート、ホスフェート、ホスフィン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキシアシル、オキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、トリハロメチル等から選択される1つ以上の基で更に置換されていても又は置換されていなくてもよいことを意味するとみなされる。
特に好適な任意の置換基の例としては、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、CF、OCF、NO、NH、COCH及びCNが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、親化合物の所望の生物活性を保持する塩を指し、薬学的に許容可能な酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。式(I)の化合物の好適な薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸又は有機酸から調製することができる。無機酸の例としては、塩酸、硫酸及びリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式カルボン酸及びスルホン酸有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルロン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸が挙げられる。式(I)の化合物が固体である場合、化合物及びその塩は、1つ以上の異なる結晶又は多形形態で存在していてもよく、これらは全て、式(I)の範囲に含まれることが意図される。
特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia):
Figure 2022550068000007
(式中、可変部分R~R、X、Y及びArは、上で定義される通りである)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。
実施形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、
、R、R、R及びRはHであり、
はメチルであり、
は(S)-メチルであり、
XはNであり、
YはNCNであり、
Arは3-ブロモフェニルである。
本開示の例示的な実施形態においては、式(Ia)の化合物は、以下の構造を有する(本明細書においてLIMKiとも称される):
Figure 2022550068000008
本開示の実施形態は、治療を必要とする被験体への任意の好適な手段による、通例、医薬組成物の形態でのLIMK1阻害剤の送達を企図し、組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、添加剤又は希釈剤を含み得る。かかる組成物は、任意の簡便又は好適な経路にて、例えば非経口(例えば腹腔内、皮下、動脈内、静脈内、筋肉内、髄腔内、脳内、眼内)、経口(舌下を含む)、経鼻、経粘膜又は局所経路によって投与することができる。適切な濃度の分子を治療すべき体内の部位に直接送達することが必要される状況では、投与は、全身的ではなく局所的であってもよい。局所投与は、非常に高い局所濃度の分子を必要な部位に送達する能力をもたらすため、身体の他の器官がベクター及び分子に曝露されるのを回避し、それにより潜在的に副作用を軽減した上で、所望の治療効果又は予防効果を達成するのに適している。
当業者には理解されるように、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤の選択は、投与経路、並びに治療すべき病態及び被験体の性質に左右される。特定の担体又は希釈剤及び投与経路は、当業者によって容易に決定され得る。担体又は希釈剤及び投与経路は、化合物の活性が製剤の調製中に枯渇せず、化合物が作用部位に無傷で到達することができるように慎重に選択する必要がある。
薬学的に許容可能な担体又は希釈剤の例は、脱塩水又は蒸留水;生理食塩水;ピーナッツ油(peanut oil)、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、ラッカセイ油(arachis oil)又はヤシ油等の植物由来の油;メチルポリシロキサン、フェニルポリシロキサン及びメチルフェニルポリシロキサン等のポリシロキサンを含むシリコーン油;揮発性シリコーン;流動パラフィン、軟パラフィン又はスクアラン等の鉱油;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;低級アルカノール、例えばエタノール又はイソプロパノール;低級アラルカノール(aralkanols);低級ポリアルキレングリコール又は低級アルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はグリセリン;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル又はオレイン酸エチル等の脂肪酸エステル;ポリビニルピロリドン;寒天;カラギーナン;トラガカントゴム又はアラビアゴム、及びワセリンである。通例、担体(単数又は複数)は、組成物の10重量%~99.9重量%を占める。
当業者であれば、従来のアプローチを用いて、投与される化合物の適切な配合を容易に決定することができる。配合及び投与の手法は例えば、Remington (1980) Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., latest edition及びNiazi (2009) Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations, Informa Healthcare, New York, second editionに見ることができ、それらの内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
好ましいpH範囲(適切な場合)及び好適な添加剤の特定は、例えばKatdare and Chaubel (2006) Excipient Development for Pharmaceutical, Biotechnology and Drug Delivery Systems (CRC Press)に記載されているように当該技術分野において日常的である。
幾つかの実施形態においては、好適な化合物又は作用物質は、被験体による経口摂取のための錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、トローチ剤等の剤形での経口投与のために配合される。特定の実施形態においては、化合物又は作用物質は、錠剤、丸薬、トローチ剤又はカプセル等の固体剤形での経口投与のために配合される。かかる実施形態においては、薬学的に許容可能な担体は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を含むが、これらに限定されない多数の添加剤を含み得る。
好適な希釈剤(「充填剤」とも称される)としては、ラクトース(ラクトースの一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物等を含む)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、圧縮糖(compressible sugar)、イソマルト、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デンプン、アルファ化デンプン、デキストレート(dextrates)、デキストラン、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポロキサマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シリケート(例えば二酸化ケイ素)、ポリビニルアルコール、タルク及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルギン酸ナトリウム及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態の好適な化合物又は作用物質の水溶液を含む。さらに、化合物又は作用物質の懸濁液を適切な油性注射用懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又は担体としては、ゴマ油等の脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン等の懸濁液の粘度を上昇させる物質を含有していてもよい。任意に、懸濁液は好適な安定化剤、又は化合物の溶解性を高め、高濃度の溶液の調製を可能にする作用物質を含有していてもよい。
滅菌溶液は、適切な溶媒中の必要量の化合物又は作用物質を必要に応じて上記のような他の添加剤と組み合わせ、続いて濾過等の減菌を行うことによって調製することができる。概して、分散液は、基本的な分散媒と上記のような必要な添加剤とを含有する滅菌ビヒクルに滅菌した様々な活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌乾燥粉末は、活性化合物と上記のような他の必要な添加剤とを含む滅菌溶液を真空乾燥又は凍結乾燥させることによって調製することができる。
注射用途に適した医薬品形態には、滅菌注射液又は分散液及び滅菌注射液の調製のための滅菌粉末が含まれる。かかる形態は、製造及び貯蔵の条件下で安定している必要があり、還元、酸化及び微生物汚染から保護され得る。注射については、本発明の組成物は水溶液、好適にはハンクス液、リンガー液又は生理食塩緩衝液等の生理学的に適合する緩衝液中で配合することができる。経粘膜投与については、透過すべき障壁に適切な浸透剤が製剤中に使用される。かかる浸透剤は概して、当該技術分野において既知である。
任意の特定の被験体に対する本発明の組成物の特定の用量レベルが、例えば用いられる阻害剤の活性、阻害剤の半減期、治療される個体の年齢、体重、健康全般及び食生活、投与時期、排出率、並びに任意の他の治療又は療法との組合せを含む様々な要因に左右されることが理解される。治療医によって選択される用量レベル及びパターンで単回又は複数回の投与を行うことができる。広範囲の用量が適用可能であり得る。患者を考慮して、例えば、1日に体重1kg当たり約0.1mg~約1mgの作用物質を投与することができる。投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整することができる。例えば、幾つかの分割用量を毎日、毎週、毎月若しくは他の好適な時間間隔で投与してもよく、又は状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に低減させてもよい。
本開示の例示的な実施形態においては、阻害剤が、所望の結果を達成するために必要とされる治療期間にわたって、1日1回又は1日1回未満、例えば2日に1回又は3日に1回被験体に投与され得ることが企図される。投与は、例えば毎日若しくは2日に1回の連続的なものであっても、又は治療に対する被験体の応答及び治療の過程における被験体の進行に応じて、治療する医療専門家によって決定される投与間隔を空けた間欠的なものであってもよい。
本発明は、本明細書に記載されるLIMK1阻害剤が、所望の治療結果又は予防結果を促進し得る他の好適な作用物質と同時投与される併用療法を企図する。「同時投与される」とは、同じ製剤における、若しくは同じ若しくは異なる経路を介した2つの異なる製剤における同時投与、又は同じ若しくは異なる経路による逐次投与を意味する。「同時に」とは、活性作用物質が実質的に同時に投与されることを意味する。「逐次」投与とは、作用物質の投与間の数秒から数分、数時間又は数日の時間差を意味する。投与は、任意の順序であってもよい。
本明細書に記載される各実施形態は、他に具体的に指定されない限り、変更すべき点を変更して、あらゆる実施形態に適用されるものとする。
本明細書における任意の先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は既知の任意の事柄への言及は、その先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は既知の事柄が、本明細書が関連する努力傾注分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認又は容認又はいかなる形の示唆ではなく、そのようにみなすべきではない。
ここで、以下の具体的な実施例を参照して本開示を説明するが、これらの実施例は、いかなる形でも本開示の範囲を限定すると解釈すべきではない。
以下の実施例は、本開示の例示であり、本明細書全体を通して記載される開示の一般的性質をいかなる形でも限定すると解釈すべきではない。
一般的方法
マウス。APP23は、ヒトスウェーデン突然変異体(K595N/M596L)アミロイド-β前駆体タンパク質(APP)をニューロンにおいて発現する(Sturchler-Pierrat et al., 1997, Proc Natl Acad Sci USA 94, 13287-13292)。Limk1-/-マウスは、以前に報告されている(Meng et al., 2002, Neuron 35, 121-133)。全てのマウスが純粋なC57Bl/6バックグラウンドであった。マウスは、標準的な個別換気ケージにおいて12時間の明/暗サイクルで標準的な固形飼料及び水を自由摂取させて飼育した。他に指定のない限り、雌雄両方のマウスを使用した。研究者は、データ分析が完了するまで遺伝子型について盲検化された。全ての実験がマッコーリー大学の動物倫理委員会によって承認された。
脳波検査。海馬EEG記録は、以前に記載されているように埋込み遠隔計測電極(D.S.I.)を用いて行った(Ittner et al., 2014, Acta neuropathologica communications 2, 149)。全ての記録を送信器の埋込みの1週間後にマウスをホームケージに個別に収容して行った。化合物の投与は、マウスを一時的に拘束して腹腔内に行った。LIMK1阻害剤LIMKiのビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース606(HPMC 606)をポリビニルピロリドンk17(PVP k17)及びtween 80とともに、それぞれ0.5%、0.5%、0.1%の割合で含有するものであった。スパイク分析は、以前に記載されているようにNeuroscoreソフトウェアモジュール(D.S.I.)を用いて行った(Ittner et al., 2016, Science 354, 904-908)。θ波及びγ波の周波数間カップリングは、以前に記載されているように行った(Ittner et al., 2016, Science 354, 904-908)。
発作モデル。50mg/kg(体重)のペンチレンテトラゾールの腹腔内注射によって興奮毒性発作をマウスにおいて誘導した後、正方形のエリア(40cm×40cm)において観察した。発作のスコアリングは、以前に記載されているように行った(Ittner et al., 2010, Cell 142, 387-397)。LIMKi処置マウスについては、重症発作スコア5~7を単一のスコア5にまとめることによってスコアリングを調整した。どちらのスケールについても、軽度ないし中程度の発作は、5未満のスコアによって反映される。
統計分析。全ての統計分析を、Prism 7ソフトウェア(GraphPad)を用いて行った。全ての値を平均及び標準誤差として提示する。0.05未満のp値を有意とみなした。
実施例1-APP23トランスジェニックマウスにおけるLimk1枯渇
ヒト突然変異体APPのトランスジェニック発現を有するマウスモデルは、記憶欠損、Aβ病変及び早期死亡を呈し、これは興奮毒性と関連付けられている(Ittner and Gotz, 2011, Nat Rev Neurosci 12:67-72)。
APP23マウスは、脳波検査(EEG)記録における非痙攣性の無症候性発作活動、並びにヒトにおけるものを含む記憶形成に関係するモダリティであるEEG記録(Ittner et al., 2014, Acta Neuropath Comm 2:149)の無スパイクエピソード中のγパワーのθ位相変調の周波数間カップリング(CFC)の破壊を呈する。本発明者らは、自由行動マウスにおける記録のためにAPP23/Limk1-/-マウス、並びにAPP23/Limk1+/+、Limk1-/-及びLimk1+/+同腹仔に海馬電極の遠隔計測EEG送信器を埋め込んだ。APP23/Limk1+/+マウスは、EEG記録において頻繁な過同期放電(hypersynchronous discharges)を呈したが、Limk1-/-及びLimk1+/+同腹仔の記録においては、かかる事象は殆ど検出されなかった(図1A)。比較すると、APP23/Limk1-/-マウスは、スパイク数の有意な低減を示したが、対照との有意差はなかった。APP23/Limk1+/+マウスにおいては、無スパイクエピソード中のCFCが破壊された(データは示さない)。対照的に、APP23/Limk1-/-マウスは、Limk1-/-及びLimk1+/+同腹仔の記録において検出されたものと同じCFCを8Hzで示した。したがって、APP23/Limk1+/+マウスの変調指数(図1B)及び振幅位相(図1C)の有意な低減を、APP23/Limk1-/-マウスにおいてLimk1-/-及びLimk1+/+同腹仔の記録のレベルまで正規化した。したがって、APP23マウスの神経回路網異常は、Limk1のノックアウトによって緩和した。
実施例2-Limk1-/-マウスは、興奮毒性発作を起こしにくい
興奮毒性は、APPトランスジェニックマウスにおける欠損に寄与する(例えば、Ittner et al., Science 354:904-908を参照されたい)。本発明者らは、Limk1枯渇が、誘導される発作からマウスを保護し得るかを試験した。50mg/kgペンチレンテトラゾール(PTZ)でチャレンジした場合、Limk1-/-マウスは、Limk1+/+同腹仔よりも有意に少ない重度発作を発症した(図2)。PTZ投与後の低悪性度症状の発生までの潜伏時間は、Limk1-/-マウス及びLimk1+/+マウスにおいて同等であったが、Limk1+/+マウスのみが痙攣発作及び癲癇重積状態まで進行した(図2)。したがって、Limk1は、癲癇マウスモデルにおいて痙攣発作への進行を媒介する。
実施例3-薬理学的LIMK1阻害は、興奮毒性発作を低減する
APP23/Limk1-/-マウスにおいて実証された改善(実施例2)を考慮して、本発明者らは、LIMK1阻害剤による処置が同様にAPP23マウスにおいて興奮毒性発作を低減し得るかを決定した。この目的で、下に示す化合物1(本明細書においてLIMKiとも称される)を使用した。
Figure 2022550068000009
PTZで興奮毒性発作を誘導する30分前の10mg/kgの化合物1の投与は、C57Bl/6マウスにおいて平均発作重症度を有意に低減させ、重症発作の発生までの潜伏時間を増加させた(図3A)。次に、本発明者らは、APP23マウスにおける神経回路網活性に対する急性化合物1投与の影響を試験した。薬物投与前の記録は、APP23マウスにおける頻繁な過同期放電を示した(図3B)。同様に、ビヒクル注射後2時間にわたる記録の継続は、高いスパイク活動を示した。しかしながら、化合物1投与の30分後に、化合物1処置APP23マウスにおいては、ビヒクル処置APP23マウスと比較し、また注射前の記録と比較して過同期性が有意に減少した(図3B)。さらに、化合物1投与の1時間後のCFCは、再確立された(データは示さない)。変調指数(図3C)及び振幅位相(図3D)の有意な低減を、APP23マウスにおける化合物1投与によって正規化した。このため、化合物1によるLIMK1の阻害は、ニューロンにおけるAβ毒性及びin vivoにおける興奮毒性からの保護をもたらした。さらに、化合物1でのAPP23の処置は、CFCを含む回路網異常を矯正した。

Claims (26)

  1. 被験体に有効量のLimドメインキナーゼ1(LIMK1)の阻害剤を投与することを含む、被験体における興奮毒性関連病態を治療又は予防する方法。
  2. 前記興奮毒性関連病態が発作に関連する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記発作が欠神発作、強直発作、脱力発作、間代発作、ミオクロニー発作又は強直間代発作である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記興奮毒性関連病態が脳虚血イベントに起因するか、又はそれに関連する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記脳虚血イベントが外傷性脳損傷又は脳卒中を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記興奮毒性関連病態が癲癇である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記興奮毒性関連病態の治療又は予防が、発作(単数又は複数)の重症度を経時的に軽減し、発作(単数又は複数)の発生までの潜伏時間を経時的に延長し、及び/又は発作の頻度を低減させることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記興奮毒性関連病態の治療又は予防が、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 被験体に有効量のLIMK1の阻害剤を投与することを含む、治療又は予防を必要とする被験体における発作を治療又は予防する方法。
  10. 前記発作が欠神発作、強直発作、脱力発作、間代発作、ミオクロニー発作又は強直間代発作である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記発作の治療又は予防が、発作(単数又は複数)の重症度を経時的に軽減し、発作(単数又は複数)の発生までの潜伏時間を経時的に延長し、及び/又は発作の頻度を低減させることを含む、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記発作の治療又は予防がニューロンを興奮毒性から保護することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
  13. 前記被験体が興奮毒性関連病態に罹患しているか、それに罹患しやすいか、又はそれを発症するリスクがある、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ニューロンを有効量のLIMK1の阻害剤に曝露することを含む、ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護する方法。
  15. 前記LIMK1の阻害剤を、興奮毒性関連病態に罹患しているか、それに罹患しやすいか、又はそれを発症するリスクがある被験体に投与する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記LIMK1の阻害剤が、式(I):
    Figure 2022550068000010
    (式中、
    Zは、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアリーレン及び任意に置換されたアニリンからなる群より選択され、
    、R及びRは、独立してH、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアミン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル及び任意に置換されたアルケニルからなる群より選択され、
    YはO、S、NCN、NCS及びNSOMeからなる群より選択され、
    Arは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群より選択される)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. Zが以下の構造:
    Figure 2022550068000011
    (式中、
    、R、R及びRは、上記R、R及びRと同じ定義を有し、
    XはCH又はNであり、
    はH又は任意に置換されたアルキルである)の1つから選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記式(I)の化合物が式(Ia):
    Figure 2022550068000012
    (式中、可変部分R~R、X、Y及びArは、請求項1又は2において定義される通りである)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記式(I)の化合物が、前記式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、
    、R、R、R及びRがHであり、
    がメチルであり、
    が(S)-メチルであり、
    XがNであり、
    YがNCNであり、
    Arが3-ブロモフェニルである、請求項16又は17に記載の方法。
  20. 前記式(I)の化合物が以下の構造:
    Figure 2022550068000013
    を有する、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記阻害剤がLIMK1の選択的阻害剤である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記阻害剤がLIMK1の特異的阻害剤である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 興奮毒性関連病態を治療又は予防するための医薬の製造におけるLIMK1の阻害剤の使用。
  24. 発作を治療又は予防するための医薬の製造におけるLIMK1の阻害剤の使用。
  25. ニューロンにおける興奮毒性を低減させ、及び/又はニューロンを興奮毒性から保護するための医薬の製造におけるLIMK1の阻害剤の使用。
  26. 前記LIMK1の阻害剤が、式(I):
    Figure 2022550068000014
    (式中、
    Zは、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアリーレン及び任意に置換されたアニリンからなる群より選択され、
    、R及びRは、独立してH、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアミン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル及び任意に置換されたアルケニルからなる群より選択され、
    YはO、S、NCN、NCS及びNSOMeからなる群より選択され、
    Arは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群より選択される)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の使用。
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