JP2022529059A - バリアントicosリガンド(icosl)融合タンパク質の方法および使用 - Google Patents

バリアントicosリガンド(icosl)融合タンパク質の方法および使用 Download PDF

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Abstract

ICOSLバリアントを含む免疫調節タンパク質および当該タンパク質をコードする核酸が本明細書において提供される。当該免疫調節タンパク質は、様々な免疫学的病態および腫瘍学的病態に対する治療有用性を提供する。当該タンパク質を作製および使用するための組成物および方法が提供される。TIFF2022529059000073.tif87128

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年4月17日に出願された米国仮特許出願第62/835,488号、2019年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/855,830号、2019年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/931,212号、2019年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/945,071号、2020年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/962,832、および2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,854号の優先権を主張するものであり、これらの各内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
配列表の参照による組み入れ
本願は電子フォーマットの配列表と一緒に出願されている。配列表は、2020年4月16日に作成された761612003240SeqList.txtという表題の116,543バイトサイズのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットの情報は、その全体が参照により組み入れられる。
分野
本開示は、がんおよび免疫疾患の処置における免疫応答を調節するための治療用組成物に関する。いくつかの局面では、本開示は、同族結合パートナータンパク質ICOSまたはCD28の一方または両方に対する改善された結合性(例えば、改善された親和性または選択性)を示す、特定のICOSリガンド(ICOSL)バリアントに関する。
背景
抗原提示細胞(APC)または標的細胞とリンパ球とにより、かつこれらの細胞間で形成される免疫シナプス(IS)で起こるプロセスへの介入により免疫応答を調節することに医学的関心が高まっている。機構的には、ISにある細胞表面タンパク質が、複数種のタンパク質標的とそれらが結合する1種類のタンパク質との協調した、多くの場合、同時に起こる相互作用に関与し得る。ISにおける相互作用は2つの細胞の接合と密接に関連して起こり、この構造体にある1種類のタンパク質は、同じ細胞(シス)上にあるタンパク質と、結合している細胞(トランス)上にあるタンパク質の両方と、おそらく同時に相互作用することができる。ISを調節することができる治療薬が知られているが、改善された治療薬が必要とされている。このようなニーズを満たす、可溶性タンパク質、または細胞上で発現することができる膜貫通型免疫調節タンパク質を含む免疫調節タンパク質が提供される。
概要
任意の態様の一部では、対象において自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、対象において自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、処置期間中に、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57YおよびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、1mg/kgまたは約1mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、1mg/kgまたは約1mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、1mg/kgまたは約1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、1mg/kgまたは約1mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、1mg/kgまたは約1mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、3mg/kgまたは約3mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、3mg/kgまたは約3mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、3mg/kgまたは約3mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、3mg/kgまたは約3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、6mg/kgまたは約6mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、6mg/kgまたは約6mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、6mg/kgまたは約6mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、10mg/kgまたは約10mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、10mg/kgまたは約10mg/kgから、15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される。
任意の態様の一部では、処置期間中に単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質だけが投与される。任意の態様の一部では、処置期間中に複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質が投与される。任意の態様の一部では、複数の用量は2つ、3つ、4つ、または5つの用量である。任意の態様の一部では、処置期間は少なくとも20日である。任意の態様の一部では、処置期間は20~40日である。
任意の態様の一部では、対象において自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質は、20~40日の処置期間にわたって3つ、4つ、および5つより選択される複数の用量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。
任意の態様の一部では、対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質は少なくとも20日の処置期間にわたって複数の用量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は30日の最長処置期間にわたる。任意の態様の一部では、各用量は、複数の用量のそれぞれが互いに少なくとも5日間空いている。任意の態様の一部では、処置期間は21日または約21日である。任意の態様の一部では、処置期間は28日または約28日である。任意の態様の一部では、複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される。
任意の態様の一部では、対象において自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質は少なくとも4週間の処置期間内に複数の用量で投与される。任意の態様の一部では、各用量は0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量であり、週1回以下で投与される。
任意の態様の一部では、急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、バリアントICOSL融合タンパク質の用量が、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、aGVHDは幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与される。任意の態様の一部では、aGVHDは幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けると同時に、または対象が幹細胞移植を受けた後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与される。任意の態様の一部では、aGVHDは幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けると同時に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与される。任意の態様の一部では、aGVHDは幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けた後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与される。
任意の提供される態様の一部では、対象において移植片対宿主病(GVHD)を処置する方法であって、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質が、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法が本明細書において提供される。提供される任意の態様の一部では、GVHDは急性GVHD(aGVHD)である。提供される任意の態様の一部では、GVHDは慢性GVHDである。
任意の提供される態様の一部では、対象において移植片対宿主病(GVHD)を処置する方法であって、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質が、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与され、対象が免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性である、方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、免疫抑制剤はコルチコステロイド、例えば、グルココルチコイドである。いくつかの態様では、免疫抑制剤はシクロスポリンである。提供される任意の態様の一部では、GVHDは急性GVHD(aGVHD)である。提供される任意の態様の一部では、GVHDは慢性GVHDである。
任意の態様の一部では、処置期間は4週間または約4週間である。任意の態様の一部では、複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される。任意の態様の一部では、各用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、3mg/kgまたは約3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量である。任意の態様の一部では、用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、3mg/kgまたは約3mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kg、3mg/kgまたは約3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、または6mg/kgまたは約6mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は1mg/kgまたは約1mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は3mg/kgまたは約3mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は6mg/kgまたは約6mg/kgの量である。任意の態様の一部では、各用量は10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は1mg/kgまたは約1mg/kgの量である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は3mg/kgまたは約3mg/kgの量である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は6mg/kgまたは約6mg/kgの量である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。
任意の態様の一部では、投与は皮下投与による投与である。任意の態様の一部では、投与は静脈内投与による投与である。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は皮下投与を介して投与される。任意の態様の一部では、少なくとも1つの用量は静脈内投与を介して投与される。任意の態様の一部では、処置期間は繰り返される。任意の態様の一部では、寛解に達するまで、部分寛解に達するまで、または対象において疾患もしくは状態が進行しなくなるまで、処置期間は繰り返される。
対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法が本明細書において提供される。対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を低減または予防する方法であって、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質は、本明細書に記載の任意のもの、例えば、CD28および/またはICOSに対する結合性を向上させる1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、1つまたは複数のアミノ酸置換)を有し、多量体化ドメイン、例えば、Fcドメインと融合したバリアントICOSLポリペプチドを含んでもよい。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変は置換N52H/N57Y/Q100Rである。
任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にアミノ酸置換N52H/N57Y/Q100Rを含む。任意の態様の一部では、CD28の外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して向上している。任意の態様の一部では、ICOSの外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して実質的に同じか、または向上している。任意の態様の一部では、結合親和性は、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合親和性の80%もしくは約80%であるか、またはそれより大きい。任意の態様の一部では、ICOSおよびCD28の外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合性は、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して向上している。任意の態様の一部では、結合性は、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、もしくは60倍より大きく、または約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、もしくは60倍より大きく向上加している。
任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、Cmaxで、CD28に対して25%もしくは約25%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される;および/またはバリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の24時間以内にCD28に対して10%もしくは約10%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して85%または約85%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して90%または約90%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して95%または約95%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の21日以内または28日以内にCD28に対して10%または約10%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量は、用量投与の21日以内または28日以内にCD28に対して20%または約20%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される。
任意の態様の一部では、CD28はヒトCD28である。任意の態様の一部では、ICOSはヒトICOSである。任意の態様の一部では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列、SEQ ID NO:1に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいはIgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片またはその両方を含む、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO:1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列の一部を含む。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインまたはその特異的結合断片を含む。任意の態様の一部では、IgVドメインまたはその特異的結合断片は、バリアントICOSLポリペプチドまたはバリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である。任意の態様の一部では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるICOSL細胞外ドメイン配列を基準にアミノ酸1~112を含む連続したアミノ酸配列と、少なくとも25アミノ酸のC末端短縮を含む短縮型ICOSL細胞外ドメインである。任意の態様の一部では、C末端短縮は、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125アミノ酸残基のC末端短縮である。
任意の態様の一部では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸204~209として示されるプロテアーゼ切断部位において変化しているか、または該部位を欠く。任意の態様の一部では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:36に示される配列、またはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換を含む。
任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:36に示される配列を有する。任意の態様の一部では、細胞から発現されたときのバリアントICOSLポリペプチドのタンパク質切断が、同じ細胞から発現されたときのバリアントICOSLポリペプチドの完全長細胞外ドメインと比較して低下している。任意の態様の一部では、前記細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
任意の態様の一部では、多量体化ドメインは免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む。任意の態様の一部では、バリアントICOSLポリペプチドはリンカーを介して多量体化ドメインに連結されている。任意の態様の一部では、リンカーはペプチドリンカーである。任意の態様の一部では、リンカーは1~10個のアミノ酸を含む。任意の態様の一部ではリンカーはAAAである。任意の態様の一部では、リンカーはG4S(SEQ ID NO:52)である。任意の態様の一部では、リンカーは(G4S)2(SEQ ID NO:53)である。任意の態様の一部では、リンカーはGSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:58)である。
任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質は、第1の多量体化ドメインと連結した第1のバリアントICOSLポリペプチドと、第2の多量体化ドメインと連結した第2のバリアントICOSLポリペプチドを含む多量体である。
任意の態様の一部では、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメインは同じである。任意の態様の一部では、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメインは免疫グロブリンのFc領域である。任意の態様の一部では、多量体は二量体である。任意の態様の一部では、二量体はホモ二量体である。
任意の態様の一部では、Fc領域は、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下した1つまたは複数のエフェクター機能を示すバリアントFc領域である。任意の態様の一部では、Fc領域は、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:37に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す配列を含む。任意の態様の一部では、バリアントFc領域は、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。任意の態様の一部では、バリアントFc領域はアミノ酸置換C220Sをさらに含み、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。任意の態様の一部では、Fc領域はK447delを含み、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:43またはSEQ ID NO:46に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:44またはSEQ ID NO:47に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:40に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様の一部では、Fc領域は、SEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列を含む。
任意の態様の一部では、バリアントICOSL融合タンパク質は対象において免疫応答を減少させる。任意の態様の一部では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、脈管炎、自己免疫性皮膚疾患、移植、リウマチ性疾患、炎症性胃腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性神経学的疾患、炎症性肺疾患、炎症性内分泌疾患、または自己免疫性血液疾患である。任意の態様の一部では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は、炎症性腸疾患、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、喘息、関節リウマチ、乾癬性関節炎、または乾癬である。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は乾癬性関節炎である。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は関節リウマチである。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態はクローン病である。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫性疾患は潰瘍性大腸炎である。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫疾患はブドウ膜炎である。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は全身性エリテマトーデス(SLE)である。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態はシェーグレン症候群である。いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は移植片対宿主病(GVHD)である。いくつかの態様では、GVHDは急性GVHDである。いくつかの態様では、GVHDは慢性GVHDである。いくつかの態様では、GVHDは抵抗性または難治性である。いくつかの態様では、GVHDは慢性GVHDである。いくつかの態様では、GVHDは免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性である。いくつかの態様では、免疫抑制剤はコルチコステロイドである。いくつかの態様では、コルチコステロイドはグルココルチコイドである。いくつかの態様では、免疫抑制剤はシクロスポリンである。
任意の態様の一部では、処置する方法は予防的処置を含む。任意の態様の一部では、炎症性もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の発症前に少なくとも1つの用量が与えられる。いくつかの態様では、炎症性もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の発症と同時に、または発症の後に少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与される。いくつかの態様では、炎症性もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の発症前に少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与され、炎症性もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の発症と同時に、または発症の後に少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与される。
任意の態様の一部では、対象はヒトである。
以下は、本開示の例示的なナンバリングされた態様である:
態様1. 急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
態様2. 前記対象が同種造血幹細胞移植(HSCT)を以前に受けたことがあり、該同種HSCTを受けた後に該対象においてaGVHDが発生する、態様1の方法。
態様3. 前記対象がグレードII~IVのaGVHDを有する、態様1または態様2の方法。
態様4. 前記対象のaGVHDが免疫抑制剤による処置に対して抵抗性または難治性である、態様1~3いずれか一項の方法。
態様5. 前記免疫抑制剤がコルチコステロイドを含む、態様4の方法。
態様6. 前記免疫抑制剤がシクロスポリンを含む、態様4または態様5の方法。
態様7. ウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
態様8. 前記ウイルスがコロナウイルスである、態様7の方法。
態様9. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2であり、前記感染症がCOVID-19である、態様8の方法。
態様10. 前記炎症がサイトカイン放出症候群(CRS)に関連する、態様7~9のいずれか一つの方法。
態様11. 前記CRSが、重度CRSまたはグレード3以上のCRSである、態様10の方法。
態様12. 前記対象が、前記投与の時点または直前に、前記ウイルス感染症に関連または起因する、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、または敗血症ショックを有する、態様7~11のいずれか一つの方法。
態様13. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、処置期間中に、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
態様14. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1~13のいずれか一つの方法。
態様15. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が急性状態である、態様14の方法。
態様16. 単一用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質のみが前記対象に投与される、態様1~15のいずれか一つの方法。
態様17. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が慢性状態である、態様14の方法。
態様18. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が全身性エリテマトーデス(SLE)である、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様19. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がシェーグレン症候群である、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様20. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が乾癬性関節炎である、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様21. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が関節リウマチである、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様22. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がクローン病である、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様23. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が潰瘍性大腸炎である、態様13、態様14、または態様17の方法。
態様24. 複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質が前記対象に投与される、態様1~15および17~23のいずれか一つの方法。
態様25. 前記複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される、態様24の方法。
態様26. 前記複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される、態様24または態様25の方法。
態様27. 前記複数の用量のそれぞれが2週間に1回(Q2W)投与される、態様24または態様25の方法。
態様28. 前記複数の用量のそれぞれが1ヶ月に1回(Q4W)投与される、態様24または態様25の方法。
態様29. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kgの量で投与される、態様1~28のいずれか一つの方法。
態様30. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、または3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kgの量で投与される、態様1~29のいずれか一つの方法。
態様31. 前記1つまたは複数の用量の各用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、態様1~30のいずれか一つの方法。
態様32. 前記1つまたは複数の用量の各用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、態様1~30のいずれか一つの方法。
態様33. 前記1つまたは複数の用量の各用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、態様1~30のいずれか一つの方法。
態様34. 前記1つまたは複数の用量の各用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、態様1~30のいずれか一つの方法。
態様35. 前記1つまたは複数の用量の各用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1~30のいずれか一つの方法。
態様36. 前記1つまたは複数の用量の各用量が15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される、態様1~28のいずれか一つの方法。
態様37. 前記1つまたは複数の用量の各用量が20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、態様1~28のいずれか一つの方法。
態様38. 前記処置期間が繰り返される、態様1~37のいずれか一つの方法。
態様39. 前記投与が皮下投与による投与である、態様1~38のいずれか一つの方法。
態様40. 前記投与が静脈内投与による投与である、態様1~38のいずれか一つの方法。
態様41. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法。
態様42. 前記眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患がブドウ膜炎である、態様41の方法。
態様43. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、約0.01mgから約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから10mgまたは約10mg(両端の値を含む)の用量で投与される、態様41または態様42の方法。
態様44. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.2mL未満、任意で0.1mL未満の体積で投与される、態様41~43のいずれか一つの方法。
態様45. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.05mLまたは約0.05mLの体積で投与される、態様41~44のいずれか一つの方法。
態様46. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:32に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む(i)および/または(ii)の一部分を含む、態様1~45のいずれか一つの方法。
態様47. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、前記IgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、態様1~46のいずれか一つの方法。
態様48. 前記IgVドメインまたはその特異的結合断片が、前記バリアントICOSLポリペプチドまたは前記バリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である、態様1~47のいずれか一つの方法。
態様49. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む、態様1~48のいずれか一つの方法。
態様50. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる、態様1~48のいずれか一つの方法。
態様51. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列、あるいはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、態様1~50のいずれか一つの方法。
態様52. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列を有する、態様1~51のいずれか一つの方法。
態様53. 前記多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む、態様1~52のいずれか一つの方法。
態様54. 前記Fc領域が、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下したエフェクター機能を示すバリアントFc領域である、態様53の方法。
態様55. 前記Fc領域が、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である、態様53または態様54の方法。
態様56. 前記バリアントFc領域が、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様54または態様55の方法。
態様57. 前記バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様54~56のいずれか一つの方法。
態様58. 前記Fc領域がK447delを含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様53~57のいずれか一つの方法。
態様59. 対象において急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドであるか、またはそれを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
態様60. 急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
態様61. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、態様59の使用のための薬学的組成物または態様60の使用。
態様62. 前記aGvHDがグレードII~IVのaGVHDである、態様59もしくは態様61の使用のための薬学的組成物または態様60もしくは態様61の使用。
態様63. 前記aGVHDが、免疫抑制剤による処置に対して抵抗性または難治性である、態様59、61、および62のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61、および62のいずれか一つの使用。
態様64. 前記免疫抑制剤がコルチコステロイドを含む、態様59および61~63のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60および61~63のいずれか一つの使用。
態様65. 前記免疫抑制剤がシクロスポリンを含む、態様63もしくは態様64の使用のための薬学的組成物または態様63もしくは態様64の使用。
態様66. 対象においてウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
態様67. ウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
態様68. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、態様66の使用のための薬学的組成物または態様67の使用。
態様69. 前記ウイルスがコロナウイルスである、態様66もしくは態様68の使用のための薬学的組成物または態様67もしくは態様68の使用。
態様70. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2であり、前記感染症がCOVID-19である、態様69の使用のための薬学的組成物または態様69の使用。
態様71. 前記炎症がサイトカイン放出症候群(CRS)に関連する、態様66、68、および69のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様67~69のいずれか一つの使用。
態様72. 前記CRSが、重度CRSまたはグレード3以上のCRSである、態様71の使用のための薬学的組成物または態様71の使用。
態様73. 前記対象が、前記投与の時点または直前に、前記ウイルス感染症に関連または起因する、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、または敗血症ショックを有する、態様68、および69~72のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様68、および69~72のいずれか一つの使用。
態様74. 対象における自己免疫性または炎症性の疾患または状態の処置における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
態様75. 自己免疫性または炎症性の疾患または状態の処置における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
態様76. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、態様74の使用のための薬学的組成物または態様75の使用。
態様77. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、および76のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、および76のいずれか一つの使用。
態様78. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が急性状態である、態様77の使用のための薬学的組成物または態様77の使用。
態様79. 単一用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質のみが前記対象に投与される、態様61~65、68~73、および76~78のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、および76~78のいずれか一つの使用。
態様80. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が慢性疾患または慢性状態である、態様77の使用のための薬学的組成物または態様77の使用。
態様81. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が全身性エリテマトーデス(SLE)である、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様82. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がシェーグレン症候群である、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様83. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が乾癬性関節炎である、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様84. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が関節リウマチである、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様85. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がクローン病である、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様86. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が潰瘍性大腸炎である、態様74、77、および80のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様75、77、および80のいずれか一つの使用。
態様87. 複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質が前記対象に投与される、態様61~65、68~73、および76~78のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、および76~78のいずれか一つの使用。
態様88. 前記複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される、態様87の使用のための薬学的組成物または態様87の使用。
態様89. 前記複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される、態様87記載もしくは態様88の使用のための薬学的組成物または態様87もしくは態様88の使用。
態様90. 前記複数の用量のそれぞれが2週間に1回(Q2W)投与される、態様87もしくは態様88の使用のための薬学的組成物または態様87もしくは態様88の使用。
態様91. 前記複数の用量のそれぞれが1ヶ月に1回(Q4W)投与される、態様87もしくは態様88の使用のための薬学的組成物または態様87もしくは態様88の使用。
態様92. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用。
態様93. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、または3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~92のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~92のいずれか一つの使用。
態様94. 前記1つまたは複数の用量の各用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用。
態様95. 前記1つまたは複数の用量の各用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用。
態様96. 前記1つまたは複数の用量の各用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用。
態様97. 前記1つまたは複数の用量の各用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用。
態様98. 前記1つまたは複数の用量の各用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一つの使用。
態様99. 前記1つまたは複数の用量の各用量が15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用。
態様100. 前記1つまたは複数の用量の各用量が20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一つの使用。
態様101. 前記処置期間が繰り返される、態様61~65、68~73、76~78、および87~100のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~100のいずれか一つの使用。
態様102. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が皮下投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一つの使用。
態様103. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が静脈内投与される、態様61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一つの使用。
態様104. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
態様105. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
態様106. 前記眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患がブドウ膜炎である、態様104の使用のための薬学的組成物または態様105の使用。
態様107. 前記方法が、1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、約0.01mgから約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから10mgまたは約10mg(両端の値を含む)の用量で投与される、態様104もしくは態様106の使用のための薬学的組成物または態様105もしくは態様106の使用。
態様108. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.2mL未満、任意で0.1mL未満の体積で投与される、態様107の使用のための薬学的組成物または態様107の使用。
態様109. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.05mLまたは約0.05mLの体積で投与される、態様107もしくは態様108の使用のための薬学的組成物または態様107もしくは態様108の使用。
態様110. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:32に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む(i)および/または(ii)の一部分を含む、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~109のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、105、および106、107~109のいずれか一つの使用。
態様111. 前記バリアントICOSLポリペプチドがIgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~110のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~110のいずれか一つの使用。
態様112. 前記IgVドメインまたはその特異的結合断片が、前記バリアントICOSLポリペプチドまたは前記バリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~111のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~111のいずれか一つの使用。
態様113. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~112のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~112のいずれか一つの使用。
態様114. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~113のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~113のいずれか一つの使用。
態様115. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列、またはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~114のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~114のいずれか一つの使用。
態様116. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列を有する、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~115のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~115のいずれか一つの使用。
態様117. 前記多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む、態様59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~116のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~116のいずれか一つの使用。
態様118. 前記Fc領域が、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下したエフェクター機能を示すバリアントFc領域である、態様117の使用のための薬学的組成物または態様117の使用。
態様119. 前記Fc領域が、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である、態様117もしくは態様118の使用のための薬学的組成物または態様117もしくは態様118の使用。
態様120. 前記バリアントFc領域が、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様118もしくは態様119の使用のための薬学的組成物または態様118もしくは態様119の使用。
態様121. 前記バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様118~120のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様118~120のいずれか一つの使用。
態様122. 前記Fc領域がK447delを含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様117~121のいずれか一つの使用のための薬学的組成物または態様117~121のいずれか一つの使用。
図1A~1Bは、分子の模式図を図示する。図1Aは、Fc鎖と融合したバリアントIgSFドメイン(vIgD)を含有する可溶性分子を図示する。 図1Bは、ICOSLのIgVドメインにおいて、頻繁に観察された変異を含有する分子を図示する。 図2A~2Bは、抗CD3と同時固定化されたときの野生型(WT)またはバリアントICOSLの共刺激能力をサイトカイン放出によって証明する。96ウェル平底ポリスチレン組織培養プレートのウェルに10nMの抗CD3と40nM(矢印)または10nMのWTまたはバリアントICOSLをウエットコーティングした。100,000個の精製CD4+およびCD8+(パン)T細胞を添加し、72時間後に、サイトカイン放出を対象にしたELISA分析のために上清を収集した。図2Aは、パンT細胞から分泌されたIFN-γタンパク質レベルを示し、図2Bは、パンT細胞から分泌されたIL-17タンパク質レベルを示す。グラフは、パンT細胞の共刺激による典型的なIFN-γ応答とIL-17応答を表す。 図2Aの説明を参照。 図3A~3Bは、抗CD3と同時固定化されたときの野生型(WT)またはバリアントICOSLの共刺激能力を増殖によって証明する。以前に説明したように、抗CD3とICOSLでコーティングしたプレートの中でCFSE標識パンT細胞を72時間インキュベートした。細胞を収集し、洗浄し、蛍光結合した抗CD4抗体または抗CD8抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析した。非刺激対照CFSE標識T細胞を用いてゲートおよびサイトメーター電位(cytometer voltage)を設定した。対照からのCFSE希釈によって増殖を求めた。図3Aは、40nM ICOSL共刺激後の全増殖細胞(矢印)、CD4+細胞(中を塗りつぶしたバー)、およびCD8+細胞(斜線で埋めたバー)T細胞の割合(%)を示す。図3Bは、10nM ICOSL共刺激後の全パンT細胞増殖の割合(%)を示す。グラフは、パンT細胞の共刺激による典型的な増殖応答を表す。 図3Aの説明を参照。 図4は、ヒト混合リンパ球培養反応(MLR)においてICOSL vIgD候補が機能することを図示する。ICOSLバリアントとその変異を、野生型ICOSL、負の対照PDL2-Fc、およびヒトIgG、ならびに正の対照であるベンチマーク分子CTLA-Igベラタセプトと共にx軸に列挙した。グラフの両端にかかる線は、負の対照培養物の上清中で検出されたIFN-γのベースライン量を表す。それぞれのICOSLバリアント候補または対照について3つの異なる濃度を試験した。矢印は、培養中の最高濃度40nMのタンパク質を示している。培養中の低濃度のIFN-γにより反映されるように、ICOSLバリアント候補の大多数は、試験した3種類全ての濃度でベラタセプトと比較して優れたアンタゴニスト活性を示す。 図5A~5Dは、B-T同時培養アッセイにおける可溶性ICOSL Fc融合タンパク質によるB細胞応答およびT細胞応答の阻害を図示する。図5Aは、可溶性ICOSL Fc融合タンパク質による、T細胞によって引き起こされるB細胞増殖の阻害を図示する。1人のドナーから精製されたCD4+T細胞およびB細胞をCFSE標識し、1:1比(ration)で、示されているICOSL Fc融合タンパク質存在下または非存在下で、示されているマイトジェンの存在下または非存在下でコインキュベートした。細胞を、100ng/mLのStaphエンテロトキシンB(SEB)、1mg/mLのポークウィードマイトジェン(PWM)、またはその両方で刺激した。ICOSL Fc融合タンパク質を40nMの最終濃度で含め、培養物を7日間インキュベートし、FACS分析に供した。分裂B細胞の数を、CFSEを希釈した培養物中にある細胞の数から求めた。野生型を除く、試験したICOSL Fc融合タンパク質の全てがB細胞増殖を低減した。図5B~5Dは、B-T同時培養物中でICOSL Fc融合タンパク質がサイトカインT細胞サイトカイン産生を阻害したことを示す。上記の培養物に由来する上清を7日目に収集し、LEGENDplex Human Th Cytokine Panel(Biolegend)を用いてサイトカイン含有量について分析した。ICOSL Fc融合タンパク質を含めることによって、IL-5(図5B)、IL-13(図5C)、およびIL-21(図5D)のT細胞産生が弱まった。 図5-1の説明を参照。 図6A~6Fは、ヒトPBMC細胞を免疫不全NSGマウス宿主に養子移入したマウス移植片対宿主病(GVHD)モデルにおける様々なエンドポイントを図示する。図6Aは処置動物の生存曲線を示す。食塩水対照動物では攻撃的な疾患経過と、その後の死亡が観察された。野生型ICOSL-FcならびにN52H/I143T ICOSLバリアントで処置した動物では類似する生存率が観察された。バリアントN52H/N57Y/Q100Pには、臨床ベンチマークであるベラタセプトと同等の改善した生存率があった。 図6Bは同様の体重減少傾向を示し、ICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100Pは、ベラタセプトで処置した動物と類似する体重維持を証明したが、他の全ての群は急激な重量減少を経験した。 図6Cは、標準化されたGVHD疾患活動指数(Disease Activity Index)(DAI)観察からの臨床スコアを示す。ICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100Pで処置した動物では、臨床ベンチマークであるベラタセプトと同等の低いスコアが再度、示された。これに対して、他の動物群は、これより高いDAIスコアを経験した。 図6Dは、14日目に測定した、実験動物からの血液中のCD4およびCD8の割合(%)のフローサイトメトリー測定を図示する。実験群間でCD8細胞の割合(%)はおおむね同じであったが、ICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100Pで処置した動物と、ベラタセプトで処置した動物のCD4細胞の割合(%)は他の実験群と比較して低い。 図6Eは、さらなるICOSLバリアント分子を試験した同様の実験からの生存曲線を図示する。 図6Fは、さらなるICOSLバリアント分子を試験した同様の実験からの臨床スコアを図示する。 標準的な遅延型過敏(DTH)モデルからのマウスにおける耳の厚さの変化をまとめたものである。オボアルブミンで感作させ、その後に、耳において同じタンパク質に曝露したPBS処置動物は最も高いレベルの耳介腫脹測定値を示す。臨床ベンチマークであるアバタセプトで処置したマウスは、耳曝露後に、わずかに低減した耳介腫脹を有する。5つ全てのICOSLバリアント治療群がアバタセプトと比較して等しいか、または改善した耳介腫脹低減を示した。 10nM抗CD3を40nMのFc対照タンパク質、野生型ICOSL-Fc、野生型CD80-Fc、これらのタンパク質の両方とも、または示されている変異を有するバリアントICOSL Fc融合タンパク質とインキュベートしたときの初代ヒトT細胞のNanostring転写シグネチャー(transcriptional signature)を図示する。収集した細胞から、試料に由来する全RNAを調製し、RNAをNanostringに転写し、Cancer Immuneチップを用いて各試料中にある750の遺伝子の転写物を定量した。変化した転写物は、注目した転写物を含む、レベルが対角線より上または下にある転写物を含む。 様々な免疫調節性タンパク質の存在下で、示されている時間にわたって図8に記載のようにインキュベートしたときの例示的な転写物の転写物レベルを図示する。 図10A~10Gは、様々な参照配列において作製した変異N52H/N57Y/Q100R/F172Sを含有するバリアントICOSL Fc融合分子、例えば、短縮型ICOSL ECD Fc融合体、ICOSL IgVドメインのみのFc融合体、および/またはSEQ ID NO:1に示される参照ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列を基準にN207G/L208Gに変異があるICOSLバリアントFc融合タンパク質におけるタンパク質分解のSEC分析を示す。分子を、ExpiCHO-S由来細胞を用いて発現させた。 図10Aの説明を参照。 図10Aの説明を参照。 図10Aの説明を参照。 図10Aの説明を参照。 図10Aの説明を参照。 図10Aの説明を参照。 図10Hは、CD28およびICOSに対するバリアントICOSL IgV-Fcの標的結合を示すが、対照タンパク質の標的結合を示さない。 図10Iは、フローサイトメトリーおよびIC50レベルによって測定したときに、バリアントICOSL IgV-Fcが標的受容体CD28およびICOSに対するリガンド結合をブロックできたことを示す。 図10Jは、バリアントICOSL IgV-FcがCD28およびICOS共刺激を両方ともブロックしたことを示す。 図11A~11Eは、肢のスコアの合計の平均値(図11A)、検出されたCII IgG(図11B)、血清中サイトカインレベル(図11C)、CD44+活性化T細胞またはTFH細胞(図11D)、および流入領域リンパ節中にあるB細胞画分(図11E)を含む、コラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおける例示的なICOSL IgV-Fc融合分子の予防的投薬の抗炎症活性を図示する。 図11Aの説明を参照。 図11Aの説明を参照。 図11Aの説明を参照。 図11Aの説明を参照。 図12A~12Dは、肢のスコアの合計の平均値(図12A)および血清中サイトカインレベル(図12C~12D)を含む、コラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおける例示的なICOSL IgV-Fc融合分子の遅延投薬の抗炎症活性を図示する。 図12-1の説明を参照。 図12-2の説明を参照。 図13A~13Dは、EAEスコア(図13A)、経時的な平均%体重(図13B)、鼠径部リンパ節T細胞のフローサイトメトリー分析(図13C)、および炎症性サイトカイン(図13D)を含む、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおける例示的なICOSL IgV-Fc融合分子の遅延投薬の抗炎症活性を図示する。 図13-1の説明を参照。 図13-1の説明を参照。 図14A~14Bは、様々な用量(20μg、100μg、または500μg)のバリアントICOSL IgV-Fc分子で処置した移植片対宿主病(GvHD)マウスの生存率およびDAIスコアを図示する。 図15A~15Fは、様々な用量(20μg、100μg、または500μg)のバリアントICOSL IgV-Fc分子で処置した移植片対宿主病(GvHD)マウスに由来する、研究終了時に収集した血液中にあるヒト細胞/マウス細胞の移植片対宿主病(GvHD)比(図15A)またはT細胞総数(図15B)のフローサイトメトリー分析からの結果と、ICOS+CD4+もしくはCD8+細胞(図15C~15D)またはCD28+CD4+もしくはCD8+細胞(図15E~15F)の評価を図示する。 図15-1の説明を参照。 図15-1の説明を参照。 図16A~16Bは、様々な用量(20μg、100μg、または500μg)のバリアントICOSL IgV-Fc分子で処置した移植片対宿主病(GvHD)マウスに由来するT細胞活性化マーカーまたは疲弊マーカーの発現を図示する。 図16Aの説明を参照。 図16Cは、様々な用量(20μg、100μg、または500μg)のバリアントICOSL IgV-Fc分子で処置した移植片対宿主病(GvHD)マウスに由来するTエフェクター細胞(Teff)とT調節細胞(Treg)の比を図示する。 図17A~17Dは、様々な用量(20μg、100μg、または500μg)のバリアントICOSL IgV-Fc分子で処置した移植片対宿主病(GvHD)マウスに由来する血清中炎症性サイトカインを図示する。 図17Aの説明を参照。 図17Aの説明を参照。 図17Aの説明を参照。 図17Eは、正常マウスと比較したGVHDモデルにおけるバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の血清中曝露を図示する。 例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを用いて処置したCD4+CD45RBhigh誘導性大腸炎モデルからの、図18Aは体重と便スコア(stool score)から計算した疾患活動指数(DAI)の結果を図示し、図18Bは組織学の結果を図示する。 図18Aの説明を参照。 図19A~19Nは、Fc対照、プレザルマブ(prezalumab)(prez)、アバタセプト(Aba)、アバタセプトとプレザルマブの組み合わせ(A+P)、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)の存在下でのシェーグレン症候群(SjS)または健常ドナーに由来するPBMCと人工抗原提示細胞(aAPC)との同時培養を伴う、SjSモデルにおけるサイトカイン放出のインビトロ刺激を図示する。図19Aは、SjS PBMCからのIL-2産生を図示する。 図19Bは、健常ドナーPBMCからのIL-2産生を図示する。 図19Cは、SjS PBMCからのIFN-γ産生結果を図示する。 図19Dは、健常ドナーPBMCからのIFN-γ産生結果を図示する。 図19Eは、Fc対照、アバタセプト、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)の存在下で人工APCと同時培養した後のSjS PBMC適合ドナーからのIFN-γを図示する。 図19Fは、Fc対照、アバタセプト、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)の存在下で人工APCと同時培養した後のSjS PBMC適合ドナーからのIL-2を図示する。 図19G~19Iは、サイトカイン応答の例示的な結果を図示する。 図19Gの説明を参照。 図19Gの説明を参照。 図19Jは、SjS、SLE、およびPsA患者集団を対象にした遺伝子分析を図示する。 図19Kは、T細胞増殖、CD40L+T細胞回復、およびB細胞増殖、ならびに同時培養中のナイーブT細胞の割合(%)の増加によって示されるB細胞分化を図示する。 図19Lは、細胞活性化/増殖に対する効果のIC50値を図示する。 図19Mは、ヒトIgG1、IgG3、IgA、およびIgMの分泌の結果を図示する。 図19Nは、バリアントICOSL IgV-Fcによる阻害レベルによって分類された、B-T細胞協力に関与する遺伝子の次世代シークエンシング結果を図示する。赤色の程度は各遺伝子の発現値が高いことを示し、青色の程度は各遺伝子の値が低いことを示す。 図20A~20Hは、Fc対照、アバタセプト、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)で処置されている、ナイーブマウスまたは抗PD-L1誘導性唾液腺炎のNODx抗PDL1マウスモデルからのマウスから収集した、顎下腺(SMG)、臓器の組織学結果と血清結果を図示する。H&E染色後の例示的な組織学画像が図20Aおよび20Cに示されている。 図20Bおよび図20Dは、0~3のスケールで処置マウスの炎症スコアを図示する。 図20Aの説明を参照。 図20Bの説明を参照。 図20Eは個々のSMGスコアを図示する。 図20Fは、10日目に収集し、ELISAで分析した血清からの血清中自己抗体を図示する。 図20Gは、10日目に収集したSMGから単離したRNAからの相対的遺伝子発現レベルを図示する。 図20Hは、SLEに似た症状があるcGvHD疾患につながる、レシピエント抗原提示細胞によるドナーCD4+T細胞のアロアクチベーション(alloactivation)が関与するSLEモデルにおける1個の脾臓あたりのGC B細胞およびCD4+Tfh細胞のレベルと、Fc対照と比較した血清中抗dsDNAの減少を図示する。 図21A~21Eは、Fc対照、プレザルマブ(prez)、アバタセプト(Aba)、アバタセプトとプレザルマブの組み合わせ(A+P)、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)の存在下での、対象健常ドナー(HD)もしくは関節リウマチ(RA)または乾癬性関節炎(PA)がある対象に由来するPBMCと人工抗原提示細胞(aAPC)の同時培養を伴う関節炎モデルにおけるサイトカイン放出のインビトロ刺激を図示する。IL-2(図21A)、IFN-γ(図21B)、TNFα(図21C)、およびIL-17A(図21D)の結果を示した。図21Eは、Fc対照と比べたサイトカイン分泌の阻害%を図示する。 図21-1の説明を参照。 図21-1の説明を参照。 図22A~22Dは、Fc対照、プレザルマブ(prez)、アバタセプト(Aba)、アバタセプトとプレザルマブの組み合わせ(A+P)、またはICOS-IgV Fc(N52H/N57Y/Q100R)の存在下での、健常ドナー(HD)または関節リウマチ(RA)もしくは乾癬性関節炎(PA)がある対象に由来するPBMCと人工抗原提示細胞(aAPC)の同時培養を伴う関節炎モデルにおけるサイトカイン放出のインビトロ刺激から単離したRNA結果を図示する。図22Aは、ICOSL IgV-Fcによってダウンレギュレートされた、発病に関連する遺伝子を図示する。ICOSL IgV-Fc対Th17関連エフェクター分子(図22B)、共刺激分子(図22C)、および炎症性TH1またはTH2関連エフェクター分子(図22D)の対照薬による遺伝子の低減および/または調節の結果を示した。 図22-1の説明を参照。 図22-1の説明を参照。 図23A~23Cは、偏倚(skewing)なし(K562/OKT3/CD80+CD86+IL-2)またはTh17偏倚(K562/OKT3/ICOSL+Th17偏倚培地)の条件下での、aAPCによる一次刺激下にあるヒトPBMCの結果を図示する。図23Aは、刺激して4日後のICOSまたはCD28のフローサイトメトリー分析を図示する。T細胞増殖(図23B)およびIL-17Aサイトカイン分泌(図23C)の結果を示した。 図23-1の説明を参照。 図24A~24Eは、18日目のコラーゲンブースト投与前に開始した、ビヒクル(ダルベッコリン酸緩衝食塩水/DPBS)、Fc対照、アバタセプト(Orencia(商標))、または半治療(semi-therapeutic)レジメンでの例示的なバリアントICOSL IgV-Fcもしくはアバタセプトを用いて合計5回の投薬にわたって3日ごと(Q3Dx5)に腹腔内(IP)処置したマウスを対象にしたコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルの結果を図示する。図24Aはパウ炎症と構造的損傷を図示する。 図24Bは、脱灰されたパウのトルイジンブルー染色を図示する。 図24Cは、CD4+細胞または総生細胞に対する割合(%)によって測定したサイトカイン数を図示する。 図24Dは、総抗マウスII型コラーゲンIgG抗体の濃度を図示する。 図24Eは、ビヒクル(DPBS)処置マウスと比べた、Fc対照、アバタセプト、または例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置したマウスからの個々のマウスについて求めたサイトカインの阻害%を図示する。 図25Aは、示されている用量の例示的なICOSL IgV-Fcで処置した対象において28日間測定したときの例示的なICOSL IgV-Fcの薬物動態を示す。図25Bは、示されている用量の例示的なICOSL IgV-Fcで処置した対象において28日間測定したときのCD4+標的飽和%を図示する。 図26Aおよび26Bは、ヒト対象における例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質の免疫調節活性を図示する。融合タンパク質は、免疫賦活薬への暴露後に対象において抗体応答を抑制し(図26A)、エクスビボでブドウ球菌エンテロトキシンBへの暴露時に対象の細胞によるIL-2産生を阻害した(図26B)。 図27Aおよび27Bは、クローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)がある患者から単離し、インビトロで人工抗原提示細胞で刺激したPBMCからのサイトカイン放出に対する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を示す。図27Aは、人工抗原提示細胞との48時間のインキュベーションと、示したような処理後の上清中のTNF-α、IFNγ、IL-6、およびIL-12p70濃度を示す。 図27Bは、Fc対照処理と比べた、示したような処理に対するサイトカイン放出の阻害%を示す。 図28は、インビボT細胞移入マウス大腸炎モデルにおける例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効力について説明する。図28Aは、体重、便スコア、およびDAI結果を図示する。 図28Bは、血液(左)および腸間膜リンパ節(右)からのフローサイトメトリー分析によるT細胞抑制を示す(説明文は図28Aに示されているものと同じである)。 図28Cは、ビヒクル対照(大腸炎なし)、Fc対照、または本明細書に記載の例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置したマウスからの血清中炎症性サイトカインを図示する。 図28Dは、結腸の重さ:長さの比および複合組織学的スコアについて、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによる処置からの組織学結果を図示する。 代表的な結腸組織染色を図28Eに示し、さらに倍率が高いものを図28Fに示した。 図28Eの説明を参照。 図29Aおよび29Bは、実験的ブドウ膜炎モデルにおける処置眼および未処置眼を対象にした非盲検臨床スコア(unmasked clinical score)の中央値および平均値をそれぞれ示す。図29Cは、両眼を対象にした処置別の14日目の非盲検臨床スコアの中央値を示す。図29Dおよび29Eは、右(処置)眼だけを対象にした1日ごとの非盲検臨床スコアの中央値を示す。(8/10または10/12は、投与された日を示す)。 図29-1の説明を参照。 図30Aは、実験的ブドウ膜炎モデルにおける処置眼および未処置眼を対象にした盲検OCTスコア(masked OCT score)の中央値を示す。図30Bは、処置眼を対象にした盲検OCTスコアの中央値を示す。図30Cは、処置眼を対象にした1日ごとの盲検OCTスコアの中央値を示す。(8/10または10/12は、投与された日を示す)。 図31は、示されているように処置(右)眼および未処置(左)眼を対象にした14日目の盲検組織学的スコアの中央値を示す。(8/10または10/12は、投与された日を示す)。 図32は、日数および処置間でのベースラインからの体重変化(平均および標準偏差)を示す。 図33は、単一用量後の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質の薬物動態を示す。平均濃度を経時的にプロットした(SC=皮下;その他は静脈内(i.v.))。 図34は、単一用量の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質後のCD4+T細胞上での標的飽和の平均および標準偏差を経時的に示す(SC=皮下;その他は静脈内(i.v.))。 図35は、単一用量の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質が投与された対象におけるベースラインと比べた抗KLH IgG対時間の平均および標準偏差を示す(SC=皮下;その他は静脈内(i.v.))。 図36は、複数の用量(i.v.)後の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質の薬物動態を示す。平均濃度を経時的にプロットした。 図37は、複数の用量(i.v.)の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質後のCD4+T細胞上での標的飽和の平均および標準偏差を経時的に示す。 図38は、複数の用量(i.v.)の例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質が投与された対象における、ベースラインと比べた抗KLH IgG対時間の平均および標準偏差を示す。
詳細な説明
少なくとも1つの標的リガンド同族結合パートナー(カウンター構造タンパク質(counter-structure protein)とも呼ぶ)に結合する活性を示す、ICOSリガンド(ICOSL)のバリアントもしくは変異体またはその特異的結合断片であるか、またはそれを含む、免疫調節タンパク質が本明細書において提供される。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加)を含有する。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加)は参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン(例えば、IgV)の中にある。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、少なくとも1つの同族結合パートナー、例えば、ICOS、CD28、またはCTLA-4の少なくとも1つに対して変化した、例えば、向上または低下した結合活性または親和性を示す。いくつかの態様では、免疫調節タンパク質は可溶性である。いくつかの態様では、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドと1つまたは複数の他の部分またはポリペプチドを含有するコンジュゲートまたは融合体である1つまたは複数の他の免疫調節タンパク質も本明細書において提供される。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質は、免疫学的な免疫応答、例えば、免疫応答の増強または低減を調節する。いくつかの態様では、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質は、調節不全の免疫応答に関連する疾患または状態を処置するために使用することができる。
いくつかの態様では、提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、共刺激シグナル伝達分子との相互作用を介してT細胞活性化を調節する。一般的に、抗原特異的T細胞活性化は2つの別個のシグナルを必要とする。第1のシグナルは、T細胞受容体(TCR)と、抗原提示細胞(APC)上に存在する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)結合抗原の相互作用によって供給される。第2のシグナルはTCR結合の共刺激であり、T細胞アポトーシスまたはアネルギーを回避するのに必要である。
いくつかの態様では、正常な生理学的条件下でT細胞性免疫応答はT細胞受容体(TCR)による抗原認識から開始し、共刺激シグナルと阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイント受容体)のバランスによって調節される。免疫系は、自己免疫(すなわち、自己寛容)を阻止するために、および免疫応答中の、例えば、病原性感染に対する攻撃中の過度の損傷から組織を守るために免疫チェックポイント受容体に頼る。しかしながら、場合によっては、腫瘍を含む疾患および状態では、これらの免疫調節タンパク質は免疫系から逃れるための機構として調節不全になることがある。
いくつかの態様では、既知のT細胞共刺激受容体の中には、両方ともAPC上に存在するリガンドB7-1(CD80)とB7-2(CD86)に対するT細胞共刺激受容体であるCD28がある。これらの同じリガンドが、CD28よりも高い親和性で阻害性T細胞受容体CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)にも結合することができる。CTLA-4との結合は免疫応答を下方制御するように働く。ICOS(誘導性共刺激分子)は、APC上のICOSリガンド(ICOSL)に結合する別のT細胞共刺激受容体である。いくつかの場合には、CD28とCTLA-4はまた、ICOSLとT細胞共刺激受容体ICOSの結合と重複する結合部位においてICOSLとも相互作用することが知られている(Yao et al.(2011) Immunity, 34:729-740)。
CD28およびICOSは、密接に関連するT細胞共刺激分子であり、リガンドCD80およびCD86、およびICOSLがそれぞれ結合すると、免疫において部分的に重複する役割をもたらす細胞シグナル伝達が誘導される。従って、CD28とICOSは、関連するCD28ファミリー活性化受容体であり、いくつかの細胞内シグナル伝達モチーフを共有するが、CD28とICOSとの間で共刺激効果はいくつかの点で異なる場合がある。例えば、CD28は、活性化されていないT細胞と活性化されているT細胞の両方で発現し、そのシグナル伝達はIL-2産生と、その後のT細胞エフェクター機能に重要であり、CD28はネイティブT細胞活性化に関与する。CD28経路の治療用阻害剤(例えば、アバタセプト、CTLA4-Ig;およびベラタセプト、第二世代CTLA4-Ig)は一部の炎症性関節炎状態(例えば、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎)の処置と腎臓同種移植片拒絶反応の予防に有用なことが判明している(Wekerle et al. Transpl. Int., 2012, 25:139-50)。しかしながら、主としてアバタセプトを用いて研究された、CD28経路の治療的遮断は、他のいくつかの炎症性疾患(例えば、クローン病、ループス腎炎、多発性硬化症)には、このような疾患適応症が発病にT細胞が関与していても、うまくいかないことが判明している。これらの承認された適応症の中であっても、CTLA4-Ig化合物による処置は大半の患者で完全寛解および/または炎症活性抑制につながらない(Masson, Cochrane Database Sys. Rev., 2014, CD010699; Singh, Cochrane Database Sys. Rev., 2017, CD012657)。これは、これらの処置によって依然として対処されていない、さらなる発病性の共刺激経路と一致している。
ICOSは一般的にT細胞活性化後までT細胞表面で発現しておらず、活性化T細胞上でのICOSを介したシグナル伝達は、特殊化したT細胞サブセット分化を裏付ける。従って、いくつかの場合には、CD28とICOSによる共刺激によって、重複し補完する効果が得られる。従って、ICOSは、CD28のみを標的とする治療剤では対処されない別の発病性経路であるかもしれない。
いくつかの局面では、T細胞は共刺激分子CD28とICOSを発現し、共刺激分子CD28およびICOSは、それぞれ、抗原提示細胞(APC)上にあるCD80/CD86およびICOSLと相互作用する。リンパ器官では、プロフェッショナルAPC(すなわち、樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞)がCD80、CD86、およびICOSLを発現し、CD28+/ICOS+T細胞に結合する。ICOSはナイーブT細胞では発現しないが、活性化後に急速にアップレギュレートする。次いで、いくつかの態様では、活性化T細胞は、エフェクター細胞、例えば、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、IL-17A/F分泌CD4+Th17細胞、またはCD4+濾胞性ヘルパー(TFH)細胞に分化することができる。CD40L発現TFHはリンパ濾胞の中でB細胞に結合し、B細胞から抗体(Ab)分泌プラズマ細胞への分化を誘導するサイトカイン(例えば、IL-21)を放出する。プラズマ細胞は、組織損傷抗体、例えば、ヒトではリウマチ因子(RF)および抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)、マウスでは抗コラーゲン(CII)抗体を産生することがあり、これらは免疫複合体を形成し、関節および他の組織に沈着することがある。ICOSLはまた非プロフェッショナルAPC上でも発現し、非リンパ系組織においてT細胞を活性化し、組織と関節をさらに傷つけることもある。
ICOSは、いくつかの活性化された、および/またはエフェクターT細胞サブセットの機能において、例えば、分化したタイプ1、2および17ならびに濾胞性ヘルパーにおいて役割を果たすように見える(Wikenheiser, Front. Immunol., 2016 7:304)。実際に、活性化T細胞は、多くの場合、CD28をダウンレギュレートする、および/またはCD28共刺激への依存が低下し、様々な炎症性疾患ではCD28陰性T細胞が蓄積し、これは疾患活動およびアバタセプトに対する応答性の欠如と相関する(Garin et al., Eur J Haematol, 1996, 56:119-23; Schmidt et al., J. Clin. Invest., 1996, 97:2027-37; Yang et al., Chin J Microbiol Immunol, 2005, 25:248-251; Scarsi et al., J. Rheumatol., 2011, 38:2105-11; Mou et al., Am J Transplant, 2014, 14:2460-6; Zabinska et al., J Immunol Res., 2016, 2016:1058165; Piantoni et al., Lupus, 2018, 27:143-149)。CD28とICOSを、例えば、本明細書において提供される分子を介して組み合わせて阻害すると、自己免疫性疾患および/または炎症性疾患に対する改善された療法が得られるかもしれない。
いくつかの局面では、CD4+Th1-、Th9-、およびTh17-細胞は、多発性硬化症(MS)および実験的自己免疫性脳脊髄炎の両方においてCNS内の炎症を増大させることで多発性硬化症の主因として意味づけられ、CD4+ICOS+CXCR5+T濾胞性ヘルパー細胞は再発寛解型MSではPBMCの中で増加し、二次性進行型MSでは疾患進行と相関関係にある。いくつかの態様では、二次性進行型MSの脳脊髄液細胞中ではICOS遺伝子発現が有意に増加し、総単球およびICOSLを発現する単球の割合(%)の増加が観察された。ICOSLはまた非プロフェッショナルAPC上でも発現し、非リンパ系組織においてT細胞活性化と、さらなる組織損傷をもたらす。
提供されるバリアントICOSLポリペプチドの中には、ICOSL参照ポリペプチドのIgSFドメインの1つまたは複数のアミノ酸改変によって改変されたときにCD28および/またはICOSに対する結合親和性の向上を示すポリペプチドがある。いくつかの場合には、野生型ICOSLのICOSに対する結合親和性はCD28よりもかなり高いことが既に証明されているので、提供されるバリアントにおけるICOS結合の全増加はCD28結合増加よりも少ない。提供されるバリアントポリペプチドの様々なフォーマットも提供される。例えば、可溶性フォーマットをとる強化されたICOSLタンパク質を送達すると、CD28および/またはICOSシグナル伝達を阻害することによってT細胞活性化をアンタゴナイズすることが本明細書において示される。
特に、バリアントICOSLポリペプチドは、その同族結合パートナー、例えば、ICOSおよび/またはCD28の活性をアンタゴナイズする、またはブロックするフォーマットで、例えば、Fc融合タンパク質として提供される。いくつかの態様では、CD28またはICOSを介した共刺激シグナル伝達の遮断または阻害は免疫応答抑制に有用である可能性があり、免疫応答抑制は炎症性障害または自己免疫性障害(例えば、多発性硬化症もしくは脳炎症)あるいは臓器移植の処置において有用であるかもしれない。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節ポリペプチドによって成し遂げられる免疫シグナル伝達の調節は、他の処置と比較して、炎症性および自己免疫性の障害ならびに他の疾患および病態の処置に利益をもたらす。いくつかの場合には、両受容体の共刺激作用に介入する、およびそれを変える療法は、免疫シナプスの範囲によって課される空間的方向の要件ならびにサイズ制約によって制限される。いくつかの局面では、抗体薬物を含む既存の治療薬物は、これらの相互作用の調整に関与する複数種の標的タンパク質と同時に相互作用できない可能性がある。さらに、これらの2種類の受容体の一方または他方を独立して標的とする薬物間で薬物動態学的な差異があるために、処置の全期間にわたって、このような薬物の組み合わせの望ましい血中濃度を正しく維持することが難しい場合がある。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質は、共刺激受容体CD28またはICOSによって誘導される免疫学的活性を調節する(例えば、増強する)。従って、いくつかの態様では、提供されるポリペプチドは、CD28とICOSの両方に対して、いくつかの場合には、CTLA-4に対する結合親和性が変化した(例えば、向上または低下した)バリアントICOSL(誘導性共刺激分子リガンド)を提供し、それによって、受容体による共刺激の補完的作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることによって、これらの制約を克服する。これらのバリアントICOSLを作製および使用する方法も提供される。
いくつかの局面において、提供される分子はまた、他の可溶性治療用タンパク質薬剤よりも効果が高い場合がある。例えば、アバタセプト(CTLA-4-Fc)は、自己免疫疾患状況において、例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、および若年性特発性関節炎を処置する場合に、バリアントCTLA-4-Fc分子であるベラタセプトは移植片拒絶を処置する場合にT細胞応答を減弱するようにT細胞共刺激を妨害することが示されている。しかしながら、これらのCTLA-4-Fcタンパク質はCD80およびCD86に結合し、これらの共刺激リガンドがCD28にだけ結合し、CD28だけを誘発するのを阻止する。本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、いくつかの場合にはCD28とICOSの両方に対して結合親和性と向上した活性を示す。
本明細書において言及される全ての刊行物(特許、特許出願、科学論文およびデータベースを含む)は、それぞれ個々の刊行物(特許、特許出願、科学論文およびデータベースを含む)が参照によって組み入れられると具体的にかつ個別に示されたかのように同程度に、参照によってその全体が全ての目的において本明細書に組み入れられる。本明細書に示されている定義が参照によって本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願および他の刊行物に示されている定義に反しているかまたは他に矛盾している場合、本明細書に示されている定義が参照によって本明細書に組み入れられる定義より優先される。
本明細書において使用される項目の見出しは、単に構成を目的としたものであって、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
I.定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、注記、ならびに他の技術および科学用語または関連用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合では、通常理解されている意味を有する用語は、明確化のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義され、そして、本明細書におけるこのような定義の包含は、必ずしも一般に当技術分野において理解されているものと大きな差異をなすと解釈されるべきではない。
本明細書を通して使用される用語は、特定の事例において別段限定されない限り、以下のとおり定義される。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語、頭字語、ならびに略称は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。別段の指示のない限り、化学名および生化学名の略称および記号は、IUPAC-IUB命名法による。別段の指示のない限り、全ての数値範囲は、その範囲を規定する値だけでなくその間の全ての整数値も含む。
用語「親和性改変」は、免疫グロブリンスーパーファミリードメインの文脈において使用される場合、親の野生型または未改変の(すなわち、親和性が改変されていない)IgSF対照ドメインと比較してその同族結合パートナー(あるいは「カウンター構造体」)のうちの少なくとも1つに対する結合親和性またはアビディティが(対応する野生型の親または未改変IgSFドメインと比べて)向上または低下するように変化したアミノ酸配列を有する哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを意味する。この文脈において、親和性が改変されたICOSL IgSFドメインが含まれる。いくつかの態様において、親和性が改変されたIgSFドメインは、参照(例えば未改変)IgSFドメインまたは野生型IgSFドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれより多くのアミノ酸の差異(例えば、アミノ酸置換)を含有することができる。結合親和性またはアビディティの向上または低下は、フローサイトメトリーなどの周知の結合アッセイを使用して決定することができる。Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005)。また、Linsley et al., Immunity, Vol. 1: 793-801 (1994) も参照されたい。その同族結合パートナーに対するタンパク質の結合親和性またはアビディティの向上は、野生型IgSFドメイン対照よりも少なくとも10%大きい値、いくつかの態様において、野生型IgSFドメイン対照値よりも少なくとも20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、500%、1000%、5000%、または10000%大きい値になる向上である。その同族結合パートナーのうちの少なくとも1つに対するタンパク質の結合親和性またはアビディティの低下は、対照の90%以下であるが野生型IgSFドメイン対照値の10%以上の値、いくつかの態様において、野生型IgSFドメイン対照値の80%、70%、60%、50%、40%、30%、または20%以下であるが10%以上の値になる低下である。親和性が改変されたタンパク質は、アミノ酸残基の置換、付加、または欠失によって一次アミノ酸配列が変化している。用語「親和性改変IgSFドメイン」は、親和性改変IgSFドメインが作製された任意の特定の出発組成物または方法のあらゆる条件を強要するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の親和性改変IgSFドメインについては、任意の特定の親和性改変プロセスによって野生型IgSFドメインが親和性改変IgSFドメインへと変換されるのに限定されない。親和性改変IgSFドメインポリペプチドは、例えば、野生型哺乳動物IgSFドメイン配列情報から開始して生成され、次いで、その同族結合パートナーに対する結合性についてインシリコでモデル化され、そして、最後に組換えまたは化学合成されて、主題の親和性改変IgSFドメイン組成物を生成することができる。別のほんの一例として、親和性改変IgSFドメインは、野生型IgSFドメインの部位特異的変異誘発によって作製することができる。したがって、親和性改変IgSFドメインは、任意の所与のプロセスによって生産されるが必ずしもその必要はない、生成物を表す。組換え法、化学合成、またはその組み合わせを含む様々な技術を用いてもよい。
用語「同種」は、本明細書において使用される場合、ある生物から取り出され、次いで同じ種の遺伝的に異なる生物に注入または養子移入される、細胞または組織を意味する。本発明のいくつかの態様において、種はネズミまたはヒトである。
用語「自家」は、本明細書において使用される場合、同じ生物から取り出され、後に前記生物に注入または養子移入される、細胞または組織を意味する。自家の細胞または組織を、例えば、組換えDNA法によって、生物から取り出される天然の細胞または天然の組織とはもはや遺伝的に同一ではないように改変することができる。例えば、天然の自家T細胞を、膜貫通型免疫調節タンパク質および/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家の改変細胞となるように組換えDNA技術によって遺伝的に改変することができ、これは、いくつかの場合では、T細胞またはTIL(腫瘍浸潤性リンパ球)を改変することを包含する。次いで、改変細胞を、天然のT細胞が単離された患者へ注入する。いくつかの態様において、生物は、ヒトまたはマウスである。
用語「結合親和性」および「結合アビディティ」は、本明細書において使用される場合、それぞれ、特異的結合条件下での、あるタンパク質のそのカウンター構造体に対する、特異的結合親和性および特異的結合アビディティを意味する。生化学速度論では、アビディティは、例えばICOSLとそのカウンター構造体であるICOSおよび/またはCD28との間のような、個々の非共有結合相互作用の複数の親和性の累積強度を指す。このように、アビディティは、単一の相互作用の強度を表す親和性とは異なる。親和性が改変されたICOSLのIgSFドメインを含有するバリアントICOSLのそのカウンター構造体に対する結合親和性の向上または低下は、未改変ICOSL(例えば、天然または野生型IgSFドメイン(例えばIgVドメイン)を含有する未改変ICOSL)の結合親和性と比べて決定される。結合親和性またはアビディティを決定するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005) を参照されたい。いくつかの態様において、本発明のバリアントICOSL(すなわち、親和性改変IgSFドメインを含有するICOSLタンパク質)は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、例えば実施例6に記載される結合アッセイにおいて、野生型ICOSL対照よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きい平均蛍光強度(MFI)値をもたらす結合親和性で、CD28および/またはICOSに特異的に結合する。
用語「生物学的半減期」は、ある物質(例えば、本発明のバリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチド)が、その薬理学的または生理学的活性または濃度の半分を喪失するのに要する時間を指す。生物学的半減期は、物質の排除、排出、分解(例えば、酵素的分解)、または体内の特定の臓器もしくは組織における吸収および濃縮によって影響を受ける可能性がある。いくつかの態様において、生物学的半減期は、物質の血漿中濃度がその定常状態レベルの半分に達するのに要する時間(「血漿半減期」)を決定することによって評価することができる。本発明のポリペプチドを誘導体化してその生物学的半減期を延長するために使用することができるコンジュゲートは、当技術分野において公知であり、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN(伸長組換えペプチド;WO 2013130683を参照のこと)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質(アシル化)、およびポリ-Pro-Ala-Ser(PAS)、ポリグルタミン酸(グルタミル化)を含む。
用語「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、本明細書において使用される場合、少なくともエクトドメイン、膜貫通ドメイン、およびエンドドメインを含む、哺乳動物細胞上に発現する人工の(すなわち、人造の)膜貫通型タンパク質を指す。任意で、CARタンパク質は、エクトドメインを膜貫通ドメインに共有結合により連結する「スペーサー」を含む。スペーサーは、多くの場合、ペプチド結合を介してエクトドメインを膜貫通ドメインに連結するポリペプチドである。CARは、典型的には、哺乳動物リンパ球上に発現する。いくつかの態様において、CARは、T細胞または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)などの哺乳動物細胞上に発現する。T細胞上に発現するCARは、本明細書において「CAR T細胞」または「CAR-T」と称される。いくつかの態様において、CAR-Tは、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、またはγδT細胞である。例えば養子細胞移入において臨床的に使用される場合、患者の腫瘍に対する抗原結合特異性を有するCAR-Tは、典型的には、患者から得られる天然T細胞上に発現するように改変されている。CARを発現する改変されたT細胞は、次いで注入により患者に戻される。したがって、CAR-Tは、多くの場合、自家CAR-Tではあるが、同種CAR-Tも本発明の範囲内に含まれる。CARのエクトドメインは、生理学的条件下で標的抗原(例えば、腫瘍特異的抗原)と特異的に結合する抗原結合領域(例えば、抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv))を含む。特異的結合によって、一連の生化学的事象(すなわち、シグナル伝達)は、CAR-Tの免疫活性の調節をもたらす。したがって、例えば、CAR-Tの抗原結合領域によるその標的抗原への特異的結合によって、細胞傷害性、増殖、またはサイトカイン産生の変化によって反映されるように、T細胞活性の免疫活性の変化を導くことができる。いくつかの態様において、CAR-T活性化によるシグナル伝達は、天然の哺乳動物T細胞におけるシグナル伝達に関与するCD3ζ鎖(「CD3-z」)によって達成される。CAR-Tは、T細胞の免疫調節応答をさらに調節する複数のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD28、41BB、またはOX40)をさらに含むことができる。CD3-zは、T細胞受容体シグナル伝達に関与する免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られている保存されたモチーフを含む。
用語「総合して」または「総合的」は、インビトロアッセイにおいて2つ以上の本発明のバリアントICOSLの存在によって誘導されるサイトカイン産生に関して使用されるとき、個々のバリアントICOSLによって誘導されるサイトカイン産生に関係なくサイトカイン発現レベル全体を意味する。いくつかの態様において、アッセイされるサイトカインは、インビトロ初代T細胞アッセイにおけるIFN-γである。
用語「同族結合パートナー」(「カウンター構造体(対抗構造体)」と互換的に使用される)は、ポリペプチド(例えば、バリアントICOSLのIgSFドメイン)に関して、言及されているポリペプチドが特異的結合条件下で特異的に結合する少なくとも1つの分子(典型的には、天然の哺乳動物タンパク質)を指す。いくつかの局面において、親和性改変IgSFドメインを含有するバリアントICOSLは、対応する天然または野生型ICOSLのカウンター構造体に、向上または低下した親和性で特異的に結合する。特異的結合条件下で認識されてその同族受容体に特異的に結合するリガンドの一種は、その受容体のカウンター構造体または同族結合パートナーの一例である。「細胞表面同族結合パートナー」は、哺乳動物細胞表面上に発現する同族結合パートナーである。「細胞表面分子種」は、免疫シナプス(IS)を形成する細胞(例えば、哺乳動物細胞)上に発現するまたは該細胞が発現する、免疫シナプスのリガンドの同族結合パートナーである。
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」、「コンジュゲーション」またはそれらの文法上の変形は、当技術分野において公知の任意の接続または連結法によって、2つ以上の化合物を一緒に接続または連結して、別の化合物の形成をもたらすことを指す。それはまた、2つ以上の化合物を一緒に接続または連結することによって生成される化合物を指すこともできる。例えば、1つまたは複数の化学部分またはポリペプチドに直接的または間接的に連結されたバリアントICOSLポリペプチドが例示的なコンジュゲートである。そのようなコンジュゲートは、融合タンパク質、化学的コンジュゲートによって生産されるもの、および任意の他の方法によって生産されるものを含む。
用語「競合的結合」は、本明細書において使用される場合、あるタンパク質が、少なくとも2種の同族結合パートナーに特異的に結合することができるが、1つの同族結合パートナーの特異的結合が第二の同族結合パートナーの同時結合を阻害する(例えば、妨害するまたは妨げる)ことを意味する。したがって、いくつかの場合では、あるタンパク質が2つの同族結合パートナーに同時に結合することはできない。一般に、競合結合物は、特異的結合のための同じまたは重複した結合部位を含有するが、これは必須要件ではない。いくつかの態様において、競合的結合は、第二の同族結合パートナーの特異的結合に起因して、その同族結合パートナーの1つへのタンパク質の特異的結合の測定可能な(部分的または完全な)阻害を引き起こす。ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)などの競合的結合を定量する様々な方法が公知である。
用語「保存的アミノ酸置換」は、本明細書において使用される場合、あるアミノ酸残基が類似の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を備える側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されている、アミノ酸置換を意味する。類似の化学特性を備える側鎖を有するアミノ酸の群の例は、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンを含む。保存的アミノ酸置換の群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。
タンパク質の位置に関する「対応する」という用語、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置が(例えば、配列表に示されている)開示されている配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の位置に「対応する」という記述は、構造配列アライメントに基づいてまたは標準的なアライメントアルゴリズム(例えば、GAPアルゴリズム)を使用して、開示されている配列とのアライメントによって同定される、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置を指す。例えば、本明細書に記載の構造アライメント法による、SEQ ID NO:1に示される配列(ECDドメイン)またはSEQ ID NO:2もしくは3に示される配列(IgVドメイン)を有する参照配列とのアライメントによって、対応する残基を同定することができる。配列をアライメントすることによって、当業者は、例えば保存されているアミノ酸残基および同一のアミノ酸残基を規準として使用して、対応する残基を同定することができる。
用語「低下させる」または「減弱させる」または「抑制する」は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量の低下を意味する。低下は、対照値(例えば、非ゼロ対照値)に対する少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低下であることができる。
用語「低下した」または「低減した」は、哺乳動物リンパ球の免疫学的活性を低下させる文脈で本明細書において使用される場合、対照、例えば、未処置対照、または未改変対照もしくは非バリアント対照を用いた処置が同じ条件下で用いられた対照と比較して、リンパ球の1つまたは複数の活性が低下することを意味する。活性の低下は、例えば、統計的に有意な分だけ、細胞周期を阻害すること、細胞生存を低減すること、細胞増殖を低減すること、サイトカイン産生を低減すること、またはT細胞の細胞傷害性を低減することの1つまたは複数を指すことがある。いくつかの態様において、免疫学的活性の低減への言及は、処置が無いことと比較してインターフェロンγ(IFN-γ)産生を低減すること、例えば、統計的に有意な分だけ低減することを意味する。いくつかの態様において、免疫学的活性は混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて評価することができる。MLRアッセイを実行する方法は当技術分野において公知である。Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56。リンパ球の活性を評価する他の方法は、本明細書に記載の任意のアッセイを含めて当技術分野において公知である。いくつかの態様において、増強は、対照値、例えば、未処置対照値または非ゼロ対照値と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%低下することでもよい。
用語「誘導体」または「誘導体化された」は、あるタンパク質の治療的利益を保持または向上させながら、生物学的半減期、バイオアベイラビリティ、免疫原性、溶解性、毒性、効能、または効力などの特徴を変えるように組成物に直接または間接的に共有結合させることによってタンパク質を改変することを指す。本発明の免疫調節ポリペプチドの誘導体は本発明の範囲内であり、例えば、グリコシル化、ペグ化、脂質付加、またはFc融合によって作製することができる。
ドメイン(典型的には3個以上、概して5個もしくは7個またはそれより多いアミノ酸、例えば、10~200個のアミノ酸残基の配列)が本明細書において使用される場合、分子の他の部分とは構造的および/または機能的に異なり、かつ特定可能な、分子、例えば、タンパク質またはコード核酸の一部分を指す。例えば、ドメインは、1つまたは複数の構造モチーフで構成される、および/または結合活性などの機能活性よって認識される、タンパク質内部で独立して折り畳まれた構造を形成することができるポリペプチド鎖部分を含む。タンパク質は1つまたは複数の別個のドメインを有してもよい。例えば、ドメインは、一次配列または一次構造と関連ファミリーメンバーとの相同性、例えば、モチーフとの相同性によって特定、規定、または区別することができる。別の例では、ドメインは、その機能、例えば、生体分子、例えば、同族結合パートナーと相互作用する能力によって区別することができる。ドメインは独立して、または別の分子と融合した状態で活性、例えば、結合を行うことができるように生物学的な機能または活性を独立して示すことができる。ドメインはアミノ酸の直鎖配列でもよく、アミノ酸の非直鎖配列でもよい。多くのポリペプチドが複数のドメインを含有する。このようなドメインは公知であり、当業者によって特定することができる。本明細書における例示のために定義が示されるが、特定のドメインを名前で認識することは十分に当業者の水準の範囲内であることが理解される。必要であれば、適切なソフトウェアを用いてドメインを特定することができる。
用語「エクトドメイン」は、本明細書において使用される場合、小胞膜の外側にある膜タンパク質、例えば、膜貫通型タンパク質の、領域を指す。エクトドメインは、多くの場合、リガンドまたは細胞表面受容体に、例えば、リガンドまたは細胞表面受容体に特異的に結合する結合ドメインを介して特異的に結合する結合ドメインを含む。細胞の膜貫通型タンパク質のエクトドメインは別名で細胞外ドメインとも呼ばれる。
用語「有効量」または「治療有効量」は、単独で(すなわち、単独療法として)、またはさらなる治療剤と組み合わせて、エクスビボで(患者に由来する細胞と接触させて)、またはインビボ(患者に投与することで)で投与されたときに、疾患進行を統計的に有意に遅らせる、例えば、疾患の症状および/または原因を寛解させるか、または無くすことで疾患進行を統計的に有意に遅らせる、タンパク質組成物または細胞組成物を含む本発明の治療用組成物の量および/または濃度を指す。有効量は、疾患または障害に関連する少なくとも1つの症状または生物学的な応答もしくは効果を緩和する、減らす、もしくは軽減する、疾患もしくは障害の進行を阻止する、あるいは患者の身体機能を改善する量でもよい。細胞療法の場合、有効量は、養子細胞療法によって患者に投与された細胞の有効な用量または数である。いくつかの態様において、患者は非ヒト霊長類またはヒト患者などの哺乳動物である。
用語「エンドドメイン」は、本明細書において使用される場合、いくつかの膜タンパク質、例えば、膜貫通タンパク質に見られる、細胞表面膜によって規定される内部空間内に延びる領域を指す。哺乳動物細胞では、エンドドメインは膜タンパク質の細胞質領域である。細胞内でエンドドメインは細胞内構成成分と相互作用し、シグナル伝達において役割を果たすことができる、従って、いくつかの場合には細胞内シグナル伝達ドメインであることもある。細胞の膜貫通タンパク質のエンドドメインは別名で細胞質ドメインとも呼ばれ、いくつかの場合には細胞質シグナル伝達ドメインであることもある。
用語「増強した」または「向上した」は、哺乳動物リンパ球の免疫学的活性を向上させる文脈で本明細書において使用される場合、対照、例えば、未処置対照、または未改変対照もしくは非バリアント対照を用いた処置が同じ条件下で用いられた対照と比較して、リンパ球の1つまたは複数の活性が向上することを意味する。活性の向上は、細胞生存、細胞増殖、サイトカイン産生、またはT細胞の細胞傷害性が向上すること、例えば、統計的に有意な量分だけ向上することの1つまたは複数でもよい。いくつかの態様において、免疫活性の向上への言及は、インターフェロンγ(IFNγ)産生を、例えば、統計的に有意な量分だけ向上させることを意味する。いくつかの態様において、免疫学的活性は混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて評価することができる。MLRアッセイを実行する方法は当技術分野において公知である。Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56。リンパ球の活性を評価する他の方法は、本明細書に記載の任意のアッセイを含めて当技術分野において公知である。いくつかの態様において、増強は、非ゼロ対照値より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、200%、300%、400%、または500%向上することでもよい。
用語「改変された細胞」は、本明細書において使用される場合、組換えDNA法またはウイルス形質導入などのヒト介入によって遺伝子組換えされている哺乳動物細胞を指す。いくつかの態様において、前記細胞は、免疫細胞、例えば、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞)または抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)である。前記細胞は患者に由来する初代細胞でもよく、細胞株でもよい。いくつかの態様において、本発明の改変された細胞は、本明細書において提供されるバリアントICOSLを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、改変された細胞上で発現している膜貫通免疫調節タンパク質(以下では「TIP」と呼ぶ)である。いくつかの態様において、TIPは、膜貫通ドメイン(例えば、ICOSL膜貫通ドメイン)と、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインと連結したIgVドメインを含有する細胞外ドメインまたはその一部分を含有する。いくつかの場合には、TIPは、異種細胞質シグナル伝達ドメインまたはエンドドメインを含有するキメラ受容体として並べられる。いくつかの態様において、改変された細胞は、本明細書において説明されるように免疫調節タンパク質を発現および分泌することができる。提供される改変された細胞の中には、改変されたT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含有する細胞もある。
用語「改変されたT細胞」は、本明細書において使用される場合、ヒトによる介入(例えば、組換えDNA法またはウイルス形質導入法)によって遺伝的に改変されたT細胞(例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞(あるいは、細胞傷害性Tリンパ球またはCTL)、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、メモリーT細胞、またはγδT細胞)を指す。改変されたT細胞は、該T細胞上に発現する本発明のバリアントICOSL膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)または分泌型免疫調節タンパク質(SIP)を含み、該TIPまたはSIPは、改変されたT細胞自体の免疫活性を調節するか、または該T細胞上に発現するバリアントICOSLが特異的に結合する哺乳動物細胞の免疫活性を調節するように改変されている。改変されたT細胞は、該T細胞によって発現および/または分泌されて、改変されたT細胞自体の、または該T細胞によって分泌されたときにバリアントICOSLが特異的に結合する哺乳動物細胞の免疫活性を調節するように改変された、本発明のバリアントICOSL分泌型免疫調節タンパク質(SIP)を含んでもよい。
用語「改変(された)T細胞受容体」または「改変(された)TCR」は、選択され、クローニングされ、かつ/またはその後T細胞の集団に導入される(当該T細胞の集団は多くの場合、養子免疫療法に使用される)、主要組織適合複合体(MHC)/ペプチド標的抗原に対して所望の親和性で特異的に結合するように改変されたT細胞受容体(TCR)を指す。改変されたTCRとは対照的に、CARは、MHC依存的に標的抗原に結合するように改変される。
用語「~上に発現する」は、本明細書において使用される場合、細胞(例えば哺乳動物細胞)の表面に発現するタンパク質に関して使用される。したがって、当該タンパク質は膜タンパク質として発現する。いくつかの態様において、発現する当該タンパク質は、膜貫通型タンパク質である。いくつかの態様において、当該タンパク質は、低分子部分(例えば、薬物または検出可能標識)にコンジュゲートされる。細胞の表面に発現するタンパク質は、哺乳動物細胞上に発現する細胞表面タンパク質(例えば細胞表面受容体)を含むことができる。
用語「半減期延長部分」は、ポリペプチド融合体または化学的コンジュゲートの一部分であって、そのように該部分にコンジュゲートされていないタンパク質の半減期と比較して哺乳動物血清中に循環するタンパク質の半減期を延長する部分を指す。いくつかの態様において、半減期は、1.2倍、1.5倍、2.0倍、3.0倍、4.0倍、5.0倍、もしくは6.0倍より大きく、または約1.2倍、約1.5倍、約2.0倍、約3.0倍、約4.0倍、約5.0倍、もしくは約6.0倍より大きく延長される。いくつかの態様において、半減期は、半減期延長部分を有さないタンパク質と比較して、インビボ投与後、6時間超、12時間超、24時間超、48時間超、72時間超、96時間超、または1週間超延長される。半減期は、タンパク質がその濃度、量、または活性の半分を喪失するのに要する時間を指す。半減期を、例えば、ELISAアッセイまたは活性アッセイを使用することによって決定することができる。例示的な半減期延長部分には、Fcドメイン、多量体化ドメイン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN(伸長組換えペプチド;WO 2013130683を参照のこと)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質(アシル化)、およびポリ-Pro-Ala-Ser(PAS)、およびポリグルタミン酸(グルタミル化)が含まれる。
用語「免疫シナプス」は、本明細書において使用される場合、MHC I(主要組織適合性複合体)またはMHC IIを発現する哺乳動物細胞(例えば、抗原提示細胞または腫瘍細胞)と、哺乳動物リンパ球(例えば、エフェクターT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞)との間の界面を意味する。
免疫グロブリン分子(Fcポリペプチドとも呼ばれる)のFc(結晶性断片)領域またはドメインは、主に免疫グロブリン重鎖の定常領域に相当し、かつ、抗体のエフェクター機能を含む種々の機能に関与している。Fcドメインは、免疫グロブリン分子のヒンジドメインの一部分または全てとCH2ドメインおよびCH3ドメインとを含有する。Fcドメインは、1つまたは複数のジスルフィド結合によって接続された2つのポリペプチド鎖の二量体を形成することができる。いくつかの態様において、Fcは、エフェクター機能を促進する活性が低減された(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またそれより大きく低減された)バリアントFcである。いくつかの態様において、Fc領域中のアミノ酸置換への言及は、特定のSEQ ID NOを基準に記載されない限りは、EUナンバリングシステムによる言及である。EUナンバリングは、公知であり、最近更新されたIMGT Scientific Chart(IMGT(登録商標)、すなわちinternational ImMunoGeneTics information system(登録商標) http://www.imgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.html(作成日:2001年5月17日、最終更新日:2013年1月10日)およびKabat, E.A. et al. Sequences of Proteins of Immunological interest. 5th ed. US Department of Health and Human Services, NIH publication No. 91-3242 (1991) に報告されているとおりのEUインデックスに従う。
免疫グロブリンFc融合体(「Fc融合体」)、例えば免疫調節Fc融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域に機能的に連結された1つまたは複数のポリペプチド(または1つまたは複数の低分子)を含む分子である。Fc融合体は、例えば、抗体のFc領域(エフェクター機能および薬物動態を促進する)およびバリアントICOSLを含み得る。免疫グロブリンFc領域は、1つまたは複数のバリアントICOSLまたは低分子(融合パートナー)に間接的または直接的に連結され得る。種々のリンカーが当技術分野において公知であり、任意でこれを使用して、Fcを融合パートナーに連結させてFc融合体を生成することができる。同一種のFc融合体を、二量体化して、Fc融合ホモ二量体を形成することも、非同一種を使用して、Fc融合ヘテロ二量体を形成することもできる。いくつかの態様において、Fcは、哺乳動物Fc、例えばネズミまたはヒトFcである。いくつかの態様において、Fcはエフェクター機能の無いFcである。
用語「宿主細胞」は、組換え発現ベクターによってコードされているタンパク質を発現させるために使用することができる細胞を指す。宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(E. coli)であることができるか、または、宿主細胞は、真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであることができる。宿主細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはそれらの誘導体、例えば、無血清培地で成長するVeggie CHOおよび関連細胞株またはDHFR欠損であるCHO系統DX-B11が含まれる。いくつかの態様において、宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)である。
用語「免疫グロブリン」(「Ig」と略記される)は、本明細書において使用される場合、5種のヒトクラスの抗体:IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、およびIgMのいずれかを含む哺乳動物免疫グロブリンタンパク質を指す。該用語はまた、完全または部分的合成(例えば、組換えまたは化学合成)であるか天然に産生されるかにかかわらず全長未満である免疫グロブリン、例えば、抗原結合断片(Fab)、VHおよびVLを含有する可変断片(Fv)、1つの鎖中で一緒に連結されたVHおよびVLを含有する単鎖可変断片(scFv)、ならびに他の抗体V領域断片(Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、dsFvダイアボディ、Fc、およびFdポリペプチド断片)を含む。ホモ二重特異性およびヘテロ二重特異性の二重特異性抗体は、該用語の範囲内に含まれる。
用語「免疫グロブリンスーパーファミリー」または「IgSF」は、本明細書において使用される場合、細胞の、認識、結合、または接着プロセスに関与する、細胞表面タンパク質および可溶性タンパク質の群を意味する。分子は、免疫グロブリン(すなわち、抗体)と共通の構造的特徴に基づいて、このスーパーファミリーのメンバーとして類別され;これらは全て、免疫グロブリンドメインまたはフォールドとして公知のドメインを保有する。IgSFのメンバーは、免疫系の、細胞表面抗原受容体、共受容体および共刺激分子、リンパ球への抗原提示に関与する分子、細胞接着分子、特定のサイトカイン受容体ならびに細胞内筋タンパク質を含む。これらは、通常、免疫系における役割と関連する。免疫シナプス中のタンパク質は、IgSFのメンバーであることが多い。IgSFはまた、機能のような共通の特性に基づいて「サブファミリー」に分類することができる。このようなサブファミリーは、典型的には、4~30のIgSFメンバーからなる。
用語「IgSFドメイン」または「免疫グロブリンドメイン」または「Igドメイン」は、本明細書において使用される場合、IgSFタンパク質の構造ドメインを指す。Igドメインは、免疫グロブリン分子に因んで命名されている。これらは、約70~110アミノ酸を含有し、それらのサイズおよび機能に従って類別される。Igドメインは、逆平行β鎖の2つのシートによって形成されるサンドイッチ様構造を有する、特徴的なIgフォールドを保有する。サンドイッチの内側の疎水性アミノ酸間の相互作用ならびにBおよびF鎖中のシステイン残基間で形成される高度に保存されているジスフィルド結合は、Igフォールドを安定化させる。Igドメインの一端は、抗体のそれらのリガンドに対する特異性に重要な相補性決定領域と呼ばれる部分を有する。Ig様ドメインは、IgV、IgC1、IgC2、またはIgIとして(クラスに)分類することができる。ほとんどのIgドメインは、可変(IgV)ドメインまたは定常(IgC)ドメインのいずれかである。9つのβ鎖を有するIgVドメインは、概して、7つのβ鎖を有するIgCドメインより長い。IgSFのいくつかのメンバーのIgドメインは、アミノ酸配列中のIgVドメインと似ているが、なおIgCドメインとサイズが類似している。これらは、IgC2ドメインと呼ばれ、一方で、標準的なIgCドメインは、IgC1ドメインと呼ばれる。T細胞受容体(TCR)鎖は、細胞外部分における2つのIgドメイン(1つはN末端におけるIgVドメインおよび1つは細胞膜に隣接するIgC1ドメイン)を含有する。ICOSLは、2つのIgドメイン:IgVおよびIgCを含有する。
用語「IgSF種」は、本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の一次アミノ酸配列を有するIgSFメンバータンパク質の集団を意味する。各哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)メンバーは、そのIgSFメンバーに属する全てのIgSF種にユニークの同一性を規定する。したがって、各IgSFファミリーメンバーは、他のIgSFファミリーメンバーと比べてユニークであり、したがって、特定のIgSFファミリーメンバーの各種は、別のIgSFファミリーメンバー種と比べてユニークである。それにもかかわらず、同じIgSF種の分子間の相違が、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化などの翻訳後修飾の差異が原因で生じ得る。さらに、遺伝子多型性が原因の単一のIgSF種内の小さな配列差異は、例えばタンパク質分解切断が原因のIgSF種の野生型短縮形態と同様、単一のIgSF種内の別の形態の相違も成す。「細胞表面IgSF種」は、細胞(概して哺乳動物細胞)の表面に発現するIgSF種である。
用語「免疫活性」は、本明細書においてT細胞のような哺乳動物リンパ球の文脈で使用される場合、1つまたは複数の細胞生存、細胞増殖、サイトカイン産生(例えば、インターフェロン-γ)、またはT細胞傷害性活性を指す。いくつかの場合では、免疫活性は、ケモカインまたはインターロイキンのようなサイトカインの細胞における発現を意味することができる。免疫活性の増強または抑制を決定するためのアッセイは、培養上清中のインターフェロン-γサイトカインレベルを測定するMLR(混合リンパ球反応)アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、SEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB(staphylococcal enterotoxin B))T細胞刺激アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、および抗CD3 T細胞刺激アッセイ(Li and Kurlander, J Transl Med. 2010: 8: 104)を含む。T細胞活性化は、IFN-γサイトカインの分泌と関連するので、これらのインビトロヒトT細胞アッセイからの培養上清中のIFN-γレベルの検出は、市販のELISAキットを使用してアッセイすることができる(Wu et al, Immunol Lett 2008 Apr 15; 117(1): 57-62)。免疫応答の誘導は、静止リンパ球と比べて免疫活性の増強をもたらす。本明細書において提供されるとおりの免疫調節タンパク質(例えば、親和性改変IgSFドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチド)は、いくつかの態様において、初代T細胞アッセイにおいて、野生型IgSFメンバーまたはIgSFドメイン対照と比べてIFN-γ(インターフェロン-γ)発現を増加させることができ、または、代替態様において減少させることができる。当業者は、IFN-γ発現の増加を決定するために使用される初代T細胞アッセイのフォーマットが、IFN-γ発現の減少についてアッセイするために採用されるフォーマットと異なることを認識するだろう。初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を減少させる本発明の免疫調節タンパク質または親和性改変IgSFドメインの能力についてアッセイする際に、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを実施例6に記載されるとおり使用することができる。好都合なことに、本発明の可溶性形態の親和性改変IgSFドメインを採用して、同じく実施例6に記載されるとおり、IFN-γ発現に拮抗することによりその発現を減少させるその能力をMLRにおいて決定することができる。あるいは、初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を増加させる本発明の免疫調節タンパク質または親和性改変IgSFドメインの能力についてアッセイする際に、同時固定アッセイを使用することができる。同時固定アッセイでは、T細胞受容体シグナル(いくつかの態様において、抗CD3抗体によって提供される)を同時固定された親和性改変IgSFドメイン、例えばバリアントICOSLと併用して、野生型IgSFドメイン対照と比べてIFN-γ発現を増加させる能力を決定する。バリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質の活性を評価することを含め、改変細胞の免疫活性をアッセイする方法は、当技術分野において公知であり、限定されないが、抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でT細胞の増殖を持続する能力、および適切な動物モデルにおける抗がん活性を含む。アッセイはまた、標準的な51Cr放出アッセイ(例えば、Milone et al., (2009) Molecular Therapy 17: 1453-1464 を参照のこと)もしくはフローベース細胞傷害性アッセイ、またはインピーダンスベース細胞傷害性アッセイ(Peper et al. (2014) Journal of Immunological Methods, 405:192-198)を含む、細胞傷害性を評価するアッセイを含む。
「免疫調節ポリペプチド」または「免疫調節タンパク質」は、免疫活性を調節するポリペプチドまたはタンパク質分子である。免疫応答の「調節」とは、免疫活性の増強または抑制のいずれかを意味する。免疫調節タンパク質は、単一のポリペプチド鎖であるか、または(例えば、鎖間ジスフィルド結合によって)互いに共有結合された少なくとも2つのポリペプチド鎖の多量体(二量体またはより高次の多量体)であることができる。したがって、単量体、二量体、およびより高次の多量体ポリペプチドは、その定義された用語の範囲内である。多量体ポリペプチドは、(同一のポリペプチド鎖の)ホモ多量体または(異なるポリペプチド鎖の)ヘテロ多量体であることができる。本発明の免疫調節タンパク質は、バリアントICOSLを含む。
用語「向上させる」は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量だけ向上させることを意味する。向上は、非ゼロ対照値よりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、またはより大きい向上であることができる。
ICOSL(inducible costimulator ligand;CD275)の「アイソフォーム」は、アミノ酸配列が異なる、複数の天然に存在するICOSLポリペプチドのうちの1つである。アイソフォームは、単一の遺伝子によって発現されるRNA転写産物のスプライスバリアントの産物であることも、遺伝子重複から生じ得るような機能的に類似のタンパク質を生成する高度に類似するが異なる遺伝子の発現産物であることもできる。本明細書において使用される場合、ICOSLの「アイソフォーム」なる用語は、ICOSL遺伝子の異なるアレルの産物(例えば、ICOSLG)も指す。
用語「リンパ球」は、本明細書において使用される場合、哺乳動物免疫系の白血球の3つのサブタイプのいずれかを意味する。これらは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)(細胞媒介性の細胞傷害性自然免疫において機能する)、T細胞(細胞媒介性の細胞傷害性獲得免疫に関する)、およびB細胞(体液性の抗体による獲得免疫に関する)を含む。T細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、またはγδT細胞を含む。また、自然リンパ球(ILC)もリンパ球の定義の範囲内に含まれる。
用語「哺乳動物」または「患者」は、具体的には、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、カニクイザル、イヌ、ネコ、マウス、またはラットのうちの少なくとも1つへの言及を含む。
用語「膜タンパク質」は、本明細書において使用される場合、生理的条件下で脂質二重層に直接または間接的に付着(結合)するタンパク質を意味する。膜を形成する脂質二重層は、生体膜、例えば真核生物(例えば、哺乳動物)の細胞膜または人工の(すなわち、人造の)膜、例えばリポソーム上に見いだされる膜であることができる。脂質二重層への膜タンパク質の結合は、共有結合による結合であるか、または非共有相互作用(例えば、疎水性相互作用もしくは静電相互作用)による結合であることができる。膜タンパク質は、内在性膜タンパク質または表在性膜タンパク質であることができる。表在性膜タンパク質である膜タンパク質は、脂質二重層に非共有相互作用により結合されるか、または内在性膜タンパク質に非共有相互作用により結合される。表在性膜タンパク質は、哺乳動物において生理的な範囲の条件下で表在性膜タンパク質が脂質二重層と相互作用するおよび/または脂質二重層から解離することができるように、脂質二重層への一時的な結合を形成する。表在性膜タンパク質とは対照的に、内在性膜タンパク質は、哺乳動物において生理的な範囲の条件下で内在性膜タンパク質が脂質二重層への結合から解離しないように、膜の脂質二重層への実質的に恒久的な結合を形成する。膜タンパク質は、脂質二重層の一層による膜への結合を形成することができる(モノトピック型)か、または膜の両方の層によって結合することができる(ポリトピック型)。1つの脂質二重層とだけ相互作用する内在性膜タンパク質は、「内在性モノトピック型タンパク質」である。脂質二重層の両方と相互作用する内在性膜タンパク質は、「内在性ポリトピック型タンパク質」である。あるいは、本明細書において「膜貫通型タンパク質」と称される。
用語「調節」または「調節する」は、本明細書において免疫応答(例えば哺乳動物の免疫応答)の文脈で使用される場合、本発明のバリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドの投与の結果としてまたは本発明の免疫調節タンパク質(例えば、バリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質)を発現する改変細胞の投与の結果として起こる、既存のまたは潜在的な免疫応答の任意の変化(例えば、増強または低減)を指す。したがって、調節は、バリアントICOSLを含む免疫調節タンパク質またはそのような免疫調節ポリペプチドを発現する細胞の投与の非存在下で起こるまたは存在する免疫応答と比較して、免疫応答の変化(例えば、増強または低減)を指す。そのような調節は、免疫細胞の免疫活性のある度合いもしくは程度の任意の誘導、活性化、抑制、または変化を含む。免疫細胞は、B細胞、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、NK T細胞、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)、および非プロフェッショナル抗原提示細胞、ならびに炎症細胞(好中球、マクロファージ、単球、好酸球、および好塩基球)を含む。調節は、既存の免疫応答、発生段階にある免疫応答、潜在的な免疫応答に、または免疫応答を誘導する、調節する、それに影響を及ぼす、もしくは応答する能力に与えられる、任意の変化を含む。調節は、免疫応答の一部としての、免疫細胞における遺伝子、タンパク質および/または他の分子の発現および/または機能の任意の変化を含む。免疫応答の調節または免疫活性の調節は、例えば、以下を含む:免疫細胞の排除、欠失、または隔離;自己反応性リンパ球、抗原提示細胞、または炎症細胞のような他の細胞の機能的能力を調節することができる、免疫細胞の誘導または生成;免疫細胞における無応答状態の誘導(すなわち、アネルギー);免疫細胞の活性または機能を増強または抑制すること(これらの細胞によって発現されるタンパク質のパターンを変化させることを非限定に含む)。例は、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、転写因子、キナーゼ、共刺激性分子、もしくは他の細胞表面受容体などの特定の分子クラスの産生および/もしくは分泌の変化、またはこれらの調節事象の任意の組み合わせを含む。調節を、例えば、初代T細胞アッセイにおける野生型ICOSL対照と比べたIFN-γ(インターフェロンγ)発現の変化によって評価することができる(Zhao and Ji, Exp Cell Res. 2016 Jan1; 340(1) 132-138 を参照のこと)。調節を、例えば、野生型ICOSL膜貫通型タンパク質で改変された細胞と比べた、改変細胞の免疫活性の変化、例えば改変細胞の細胞傷害性活性の変化または改変細胞のサイトカイン分泌の変化によって、評価することができる。
用語「分子種」は、本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の一次アミノ酸配列を備えたタンパク質の集団を意味する。各哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)メンバーは、同一のまたは実質的に同一の分子種の集合体を規定する。したがって、例えば、ヒトICOSLはIgSFメンバーであり、各ヒトICOSL分子はICOSの一分子種である。同じ分子種の分子間の相違が、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化のような翻訳後修飾の差異が原因で起こり得る。さらに、遺伝子多型性が原因の単一の分子種内の小さな配列差異は、例えばタンパク質分解切断が原因の単一の分子種の野生型短縮形態と同様、単一の分子種内の別の形態の相違も成す。「細胞表面分子種」は、哺乳動物細胞の表面に発現する分子種である。各々がISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちのうちの一方のみ又はもう一方のみに存在する(しかし両方ではない)、2つ以上の異なるタンパク質種は、互いに「シス」または「シス配置」にあると言われる。第一のものがISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちの第一の細胞のみに存在し、第二のものがISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちの第二の細胞のみに存在する、2つの異なるタンパク質種は、「トランス」または「トランス配置」にあると言われる。各々がISを形成する2つの哺乳動物細胞の両方に存在する、2つの異なるタンパク質種は、これらの細胞上でシス型およびトランス型の両配置にある。
用語「多量体化ドメイン」は、ポリペプチド分子と1つまたは複数のさらなるポリペプチド分子との安定した相互作用を促進するアミノ酸配列であって、それぞれのポリペプチド分子が、同じ多量体化ドメインでもよく異なる多量体化ドメインでもよい相補的多量体化ドメイン(例えば、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメイン)を含有するアミノ酸配列を指す。相補的多量体化ドメイン間の相互作用、例えば、第1の多量体化ドメインと第2の多量体化ドメインとの間の相互作用によって、安定したタンパク質間相互作用が形成して、ポリペプチド分子とさらなるポリペプチド分子の多量体が生じる。いくつかの場合には、多量体化ドメインは同じであり、自身と相互作用して、2本のポリペプチド鎖間で安定したタンパク質間相互作用を形成する。概して、ポリペプチドは多量体化ドメインに直接つなげられるか、または間接的につなげられる。例示的な多量体化ドメインには、免疫グロブリン配列またはその一部分、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、および適合性のタンパク質間相互作用ドメインが含まれる。多量体化ドメインは、例えば、免疫グロブリン定常領域またはドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブタイプを含むIgG、IgA、IgE、IgD、およびIgM、ならびにその改変された形態に由来するFcドメインまたはその一部分でもよい。概して、ポリペプチドは、多量体化ドメインに直接的または間接的に接続される。例示的な多量体化ドメインは、免疫グロブリン配列またはその部分、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、および適合性のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインを含む。多量体化ドメインは、例えば、免疫グロブリン定常領域またはドメイン、例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプを含む)、IgA、IgE、IgDおよびIgMならびにその改変型由来の、Fcドメインまたはその部分であることができる。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用され、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の核酸残基(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)のポリマーを指す。別段の限定されない限り、該用語は、公知の天然ヌクレオチドの類似体を含有する核酸、およびそれと類似の結合特性を有する核酸、および天然に存在するヌクレオチドと同様な様式で代謝される核酸を包含する。他に指定のない限り、特定の核酸配列はまた、明示的に示されている配列(「参照配列」)だけでなく、保存的に改変されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補的ヌクレオチド配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第三の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成してもよい。核酸またはポリヌクレオチドという用語は、遺伝子によってコードされているcDNAまたはmRNAを包含する。
用語「非競合的結合」は、本明細書において使用される場合、少なくとも2つの同族結合パートナーに同時に特異的に結合するタンパク質の能力を意味する。したがって、タンパク質は、少なくとも2つの異なる同族結合パートナーに同時に結合することができるが、結合相互作用は、同じ期間である必要はないので、いくつかの場合では、タンパク質は、同族結合パートナーの1つにのみ特異的に結合される。いくつかの態様において、結合は、特異的結合条件下で起こる。いくつかの態様において、同時結合は、1つの同族結合パートナーの結合が第二の同族結合パートナーへの同時結合を実質的に阻害しないようなものである。いくつかの態様において、非競合的結合は、タンパク質上のその結合部位への第二の同族結合パートナーの結合が、タンパク質上のその結合部位への第一の同族結合パートナーの結合に置き換わらないことを意味する。非競合的結合を評価する方法は、Perez de La Lastra et al., Immunology, 1999 Apr: 96(4): 663-670 に記載されている方法など、当技術分野において周知である。いくつかの場合では、非競合的相互作用において、第一の同族結合パートナーは、第二の同族結合パートナーの相互作用部位と重複しない相互作用部位で、第二の同族結合パートナーの結合が第一の同族結合パートナーの結合と直接干渉しないように、特異的に結合する。したがって、第二の同族結合パートナーの結合による同族結合パートナーの結合へのあらゆる影響は、第一の同族結合パートナーの結合との直接的な干渉以外の機序を介するものである。例えば、酵素-基質相互作用の状況では、非競合的阻害剤は、酵素の活性部位以外の部位に結合する。非競合的結合は、第二の同族結合パートナーが、第一の同族結合パートナーの結合と重複しない相互作用部位で特異的に結合するが、第一の相互作用部位が第一の同族結合パートナーに占有されているときだけ第二の相互作用部位に結合する、非競合的な結合相互作用を包含する。
用語「薬学的組成物」は、哺乳動物対象、しばしばヒトにおける、薬学的用途に好適な組成物を指す。薬学的組成物は、典型的には、有効量の活性剤(例えば、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドまたはバリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質を発現する改変細胞)と担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。担体、賦形剤、または希釈剤は、それぞれ、典型的には、薬学的に許容し得る担体、賦形剤または希釈剤である。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用され、かつ、ペプチド結合を介して連結されている2つ以上のアミノ酸の分子鎖を指す。該用語は、その産物の特定の長さを指すわけではない。したがって、「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、ポリペプチドの定義の範囲内に含まれる。該用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。該用語はまた、合成するかまたは公知のタンパク質改変技術を使用して組換え発現することができるような、1つまたは複数のアミノ酸類似体または非標準なもしくは非天然アミノ酸が含まれる分子も含む。加えて、タンパク質は誘導体化されていてもよい。
用語「初代T細胞アッセイ」は、本明細書において使用される場合、インターフェロン-γ(「IFN-γ」)発現を測定するためのインビトロアッセイを指す。使用されるアッセイは、抗CD3同時固定アッセイである。このアッセイでは、初代T細胞が、追加の組換えタンパク質と共にまたはそれなしで固定された抗CD3によって刺激される。ある時点(通常24~72時間)で培養上清を収集する。別の態様において、使用されるアッセイはMLRである。このアッセイでは、初代T細胞が、同種異系APCで刺激される。ある時点(通常24~72時間)で培養上清を収集する。標準的なELISA技術によって培養上清中のヒトIFN-γレベルを測定する。市販のキットが供給業者から入手可能であり、製造業者の推奨に従ってアッセイを実施する。
用語「精製されている」は、核酸(例えば、本発明の免疫調節タンパク質をコードする核酸)に適用される場合、一般に、当技術分野において周知の分析技術によって決定したときに他の成分を実質的に含まない核酸またはポリペプチドを表す(例えば、精製されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフ溶出液、および/または密度勾配遠心分離に供された媒体中で、離散バンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲル中で基本的に1つのバンドを生じる核酸またはポリペプチドは、「精製されている」。精製された本発明の核酸またはタンパク質は、少なくとも約50%純粋、通常、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、99%またはそれ以上純粋(例えば、重量パーセントまたはモルベース)である。
用語「組換え」は、物質(例えば、核酸またはポリペプチド)がヒトの介入によって人工的に(すなわち、非天然に)変化していることを示す。該変化は、その天然の環境もしくは状態内のまたはそこから取り出された物質に対して実施することができる。例えば、「組換え核酸」は、例えば、クローニング、親和性改変、DNAシャッフリングまたは他の周知の分子生物学的手順の間に、核酸を組換えることによって製造されるものである。「組換えDNA分子」は、このような分子生物学的技術によって一緒に接合されたDNAのセグメントから構成される。用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、本明細書において使用される場合、組換えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸を含有するおよび/もしくは発現する細胞であるか、またはそうではなく(例えば、組換えタンパク質(例えば、本明細書において提供される膜貫通型免疫調節タンパク質)をコードする核酸分子を細胞に導入することによって)遺伝子工学により改変された細胞である。真核生物における転写制御シグナルは、「プロモーター」および「エンハンサー」エレメントを含む。プロモーターおよびエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する短いDNA配列アレイからなる。プロモーターおよびエンハンサーエレメントは、酵母、昆虫および哺乳動物細胞ならびにウイルス中の遺伝子を含め様々な真核生物源から単離されている(類似した制御エレメント、すなわち、プロモーターはまた原核生物中にも見いだされる)。特定のプロモーターおよびエンハンサーの選択は、関心対象のタンパク質を発現させるためにどんな細胞タイプが使用されるべきであるかに依存する。用語「機能的な組み合わせにある」、「機能的な順序にある」および「機能的に連結されている」は、本明細書において使用される場合、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成を指令することが可能な核酸分子が産生される様式または配向での核酸配列の連結を指す。
用語「組換え発現ベクター」は、本明細書において使用される場合、所望のコード配列とその機能的に連結されているコード配列の特定の宿主細胞における発現に必要な適切な核酸配列とを含有するDNA分子を指す。原核生物における発現に必要な核酸配列は、プロモーター、場合によりオペレーター配列、リボソーム結合部位およびおそらく他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終止およびポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。所望により、細胞からの融合タンパク質のより簡易な単離のため、発現された融合タンパク質が組換え宿主細胞によって分泌されることができるように、分泌シグナルペプチド配列がまた、場合により、組換えタンパク質(例えば、組換え融合タンパク質)のコード配列に機能的に連結されている組換え発現ベクターによってコードされることができる。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、ならびにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。このようなベクターには、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターがある。
用語「選択性」は、1つの基質(例えば1つの同族結合パートナー)に対する対象タンパク質またはポリペプチドの特異的結合の、別の基質(例えば異なる同族結合パートナー)に対する当該対象タンパク質の特異的結合と比較しての優先度を指す。選択性は、対象タンパク質と第一の基質(例えば第一の同族結合パートナー)との結合活性(例えば、結合親和性)(例えば、Kd1)と、同じ対象タンパク質と第二の同族結合パートナーとの結合活性(例えば、結合親和性)(例えば、Kd2)との比率として反映することができる。
用語「配列同一性」は、本明細書において使用される場合、遺伝子またはタンパク質間の、それぞれヌクレオチドまたはアミノ酸レベルでの配列同一性を指す。「配列同一性」は、アミノ酸レベルでのタンパク質間の同一性の尺度およびヌクレオチドレベルでの核酸間の同一性の尺度である。タンパク質の配列同一性は、配列を整列したときの各配列中の所与の位置におけるアミノ酸配列を比較することによって決定され得る。同様に、核酸の配列同一性は、配列を整列したときの各配列中の所与の位置におけるヌクレオチド配列を比較することによって決定され得る。比較のための配列の整列(アライメント)のための方法は、当技術分野において周知であり、そのような方法には、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTAが含まれる。BLASTアルゴリズムは、配列同一性パーセントを計算し、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
用語「可溶性」は、タンパク質に関して本明細書において使用される場合、タンパク質が膜タンパク質ではないことを意味する。概して、可溶性タンパク質は、IgSFドメインまたはその特異的結合断片を含有するIgSFファミリーメンバー受容体の細胞外ドメインもしくはその一部分のみを含有するが、膜貫通ドメインを含有せず、かつ/または細胞の表面には発現することができない。いくつかの場合では、Fcドメインへ直接またはリンカーを介して間接的に連結または結合させることによってタンパク質の溶解性を改善することができ、これは、いくつかの場合では、タンパク質の安定性および/または半減期も改善することができる。いくつかの局面において、可溶性タンパク質は、Fc融合タンパク質である。
用語「種」は、ポリペプチドまたは核酸に関して本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の配列を有する分子の集団を意味する。同じ種であるポリペプチド間の違いが、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化等の翻訳後修飾の差異が原因で起こり得る。完全長種とアミノ末端またはカルボキシ末端がわずか1、2、または3アミノ酸残基だけ異なる(または差異をコードする)わずかに短縮されたポリペプチド配列は、単一種の配列であると見なされる。そのような微小不均一性は、製造されたタンパク質の共通の特徴である。
用語「特異的結合断片」は、本明細書において完全長野生型哺乳動物ICOSLポリペプチドまたはそのIgVもしくはIgCドメインに関して使用される場合、IgVおよび/またはIgCドメインの部分配列を有し、かつ、インビトロおよび/またはインビボで哺乳動物ICOSおよび/または哺乳動物CD28(例えば、ヒトまたはネズミICOSまたはCD28)に特異的に結合する、ポリペプチドを意味する。いくつかの態様において、ICOSL IgVまたはICOSL IgCの特異的結合断片は、完全長野生型配列の配列長の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%である。本発明のバリアントICOSLを形成させるために、特異的結合断片の配列を変化させることができる。
用語「特異的に結合する」は、本明細書において使用される場合、その親和性またはアビディティが、十分な統計的サイズのランダムペプチドまたはポリペプチドの集合体に対する同じタンパク質の平均親和性またはアビディティの少なくとも5倍大きく、しかし場合により少なくとも10、20、30、40、50、100、250、または500倍大きく、またはさらに少なくとも1000倍大きくなるように、特異的結合条件下で、標的タンパク質に結合するタンパク質の能力を意味する。特異的に結合するタンパク質は、単一の標的分子のみに結合する必要はないが、標的と非標的(例えば、パラログまたはオーソログ)との間の立体配置の類似性に起因して非標的分子に特異的に結合し得る。当業者は、異なる動物種における同じ機能を有する分子(すなわち、オーソログ)への特異的結合または標的分子と実質的に類似のエピトープを有する非標的分子(例えば、パラログ)への特異的結合が、可能であり、かつ、固有の非標的(例えば、ランダムポリペプチド)の統計的に有効な集合体に対して決定される結合の特異性を損なわないことを認識するだろう。したがって、本発明のポリペプチドは、交差反応性に起因して、複数の別個の標的分子種に特異的に結合し得る。固相ELISAイムノアッセイまたはビアコア(Biacore)測定を使用して、2つのタンパク質間の特異的結合を決定することができる。概して、2つの結合タンパク質間の相互作用は、1×10-5 M未満、しばしば1×10-12 Mまでの低さの解離定数(Kd)を有する。本開示の特定の態様において、2つの結合タンパク質間の相互作用は、1×10-6 M、1×10-7 M、1×10-8 M、1×10-9 M、1×10-10 Mまたは1×10-11 Mの解離定数を有する。
ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞に関して、用語「表面発現する」、「表面発現」または「表面に発現する」は、当該ポリペプチドが膜タンパク質として発現することを意味する。いくつかの態様において、膜タンパク質は、膜貫通型タンパク質である。
本明細書において使用される場合、「合成(の)」は、例えば、合成核酸分子または合成遺伝子または合成ペプチドに関して、組換え法および/または化学合成法によって生産される核酸分子またはポリペプチド分子を指す。
用語「ターゲティング部分」は、本明細書において使用される場合、本発明のバリアントICOSLを含むポリペプチドに共有結合もしくは非共有結合により結合されるか、またはそれを物理的にカプセル化する、組成物を指す。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、標的分子(例えば、細胞の表面に発現する標的分子)に対して特異的結合親和性を有する。典型的には、標的分子は、特定の組織または細胞タイプ上に局在化される。ターゲティング部分は、抗体、抗原結合断片(Fab)、VHおよびVLを含有する可変断片(Fv)、1つの鎖中で一緒に連結されたVHおよびVLを含有する単鎖可変断片(scFv)、ならびに他の抗体V領域断片、例えばFab’、F(ab)2、F(ab’)2、dsFvダイアボディ、ナノボディ、可溶性受容体、受容体リガンド、親和性成熟された受容体もしくはリガンド、ならびに低分子(<500ダルトン)組成物(例えば、特異的結合受容体組成物)を含む。ターゲティング部分はまた、本発明のポリペプチドをカプセル化するリポソームの脂質膜に共有結合または非共有結合により結合(付着)させることもできる。
本明細書において使用される場合、用語「膜貫通型タンパク質」は脂質二重層を実質的にまたは完全に貫通する膜タンパク質を意味し、脂質二重層は、例えば、哺乳動物細胞などの生体膜中に、またはリポソームなどの人工構築物中に見いだされる。膜貫通型タンパク質は、脂質二重層に統合されかつその統合が生理的条件下で熱力学的に安定である、膜貫通ドメイン(「膜貫通ドメイン」)を含む。膜貫通ドメインは概して、膜貫通ドメインの疎水性が、タンパク質における水性環境(例えば、細胞質ゾル、細胞外流体)と相互作用する領域と比較して高いことに基づいて、幾つもの市販の生命情報科学ソフトウェアアプリケーションを介して、膜貫通ドメインのアミノ酸配列から予測可能である。膜貫通ドメインは多くの場合、膜を貫通する疎水性αヘリックスである。膜貫通型タンパク質は、脂質二重層の両層を1回または複数回貫通していてもよい。本明細書に記載される提供される膜貫通型免疫調節タンパク質は、膜貫通型タンパク質に含まれる。本発明の膜貫通型免疫調節タンパク質は、膜貫通ドメインに加えて、エクトドメインをさらに含み、いくつかの態様においてはエンドドメインをさらに含む。
疾患または障害の「治療」、または「治療法」という用語は、本明細書において使用される場合、本発明の治療用組成物(例えば、免疫調節タンパク質または改変細胞を含有するもの)を、単独、または本明細書に記載されている別の化合物との組み合わせのいずれかで投与することによる、臨床または診断症状のいずれかの低減、停止、または排除によって証明される、疾患または障害の進行を遅延、中断、または反転させることを意味する。「治療」または「治療法」は、急性もしくは慢性の疾患もしくは障害における症状の重症度の低下、または再発率の低下(例えば、自己免疫疾患経過を再発するまたは寛解する場合のような)、または自己免疫疾患の炎症的側面の場合の炎症の低減も意味する。がんの文脈において本明細書で使用される場合、がんの「治療」またはがんを「阻害する」またはがんの「阻害」という用語は、限定されないが、Response Evaluation Criteria for Solid Tumors(RECIST)のような標準的な基準によって測定した場合の、腫瘍成長率の統計的に有意な低下、腫瘍成長の停止、または腫瘍の、サイズ、質量、代謝活性もしくは体積の低下、または無増悪生存率(PFS)もしくは全生存率(OS)の統計的に有意な向上のうちの少なくとも1つを指す。疾患または障害の「予防」は、本発明の文脈において使用される場合、本発明の免疫調節ポリペプチドまたは改変細胞を単独または別の化合物との組み合わせのいずれかで投与して、疾患もしくは障害の出現もしくは発症または疾患もしくは障害の症状の一部もしくは全てを予防するか、または疾患もしくは障害の発症の可能性を低下させることを指す。
用語「腫瘍特異的抗原」または「TSA」は、本明細書において使用される場合、哺乳動物対象の腫瘍細胞上に主に存在するが一般に哺乳動物対象の正常細胞上には見いだされないカウンター構造体を指す。腫瘍特異的抗原は、腫瘍細胞のみに存在する必要はないが、抗腫瘍治療薬(例えば、本発明の免疫調節ポリペプチド)でターゲティングできかつ腫瘍の影響から哺乳動物を予防または治療することを提供できるように、腫瘍特異的抗原を有する特定の哺乳動物の細胞の割合が十分に高いかまたは腫瘍の表面の腫瘍特異的抗原のレベルが十分に高い。いくつかの態様において、腫瘍を有する哺乳動物由来の細胞のランダム統計試料では、TSAを提示する細胞の少なくとも50%ががん性である。他の態様において、TSAを提示する細胞の少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%ががん性である。
用語「バリアント」(「改変された」または「変異体」ともいう)は、バリアントICOSLに関して使用される場合、ヒト介入によって作り出されたICOSL、例えば、哺乳動物(例えば、ヒトまたはマウス)ICOSLを意味する。バリアントICOSLは、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLと比べて変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドである。バリアントICOSLは、1つまたは複数の改変、例えば、1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、またはその組み合わせの分だけ参照ICOSL、例えば、野生型ICOSLアイソフォーム配列とは異なるポリペプチドである。本明細書における目的のために、バリアントICOSLは少なくとも1つの親和性が改変されたドメインを含有し、アミノ酸の違いの1つまたは複数はIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)において生じる。バリアントICOSLは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、またはそれより多くのアミノ酸の違い、例えば、アミノ酸置換を含有してもよい。バリアントICOSLポリペプチドは、概して、対応する参照(例えば、未改変ICOSL)または野生型に対して、例えば、SEQ ID NO:4の配列、その成熟配列、またはその細胞外ドメインもしくはIgSFドメインを含有するその一部分に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示す。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、対応する参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL、例えば、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2もしくは3に示される参照ICOSLに対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示す。非天然アミノ酸ならびに天然アミノ酸は、許容し得る置換または付加の範囲内で含まれる。バリアントICOSLは、どの特定の作製方法にも限定されず、例えば、新規化学合成、新規組換えDNA法、またはその組み合わせを含む。本発明のバリアントICOSLは、哺乳動物種のCD28、ICOS、および/またはCTLA-4に特異的に結合する。いくつかの態様において、アミノ酸配列を変えると、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLタンパク質と比較してICOSおよび/またはCD28に対する結合親和性またはアビディティが変化する(すなわち、向上または低下する)。結合親和性またはアビディティの向上または低下は、フローサイトメトリーなどの周知の結合アッセイを用いて確かめることができる。Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005)。Linsley et al., Immunity, Vol. 1(9): 793-801(1994)も参照されたい。ICOSおよび/またはCD28に対するバリアントICOSLの結合親和性またはアビディティの向上は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLの結合親和性またはアビディティより少なくとも5%大きな値までの向上であり、いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL対照値の結合親和性またはアビディティより少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、100%大きな値までの向上である。ICOSおよび/またはCD28に対するICOSL結合親和性またはアビディティの低下は、野生型対照値の95%以下の値までの低下であり、いくつかの態様では、野生型ICOSおよび/またはCD28対照値の80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下の値までの低下、または検出可能な結合親和性もしくはアビディティは無い。バリアントICOSLはアミノ酸残基の置換、付加、または欠失によって一次アミノ酸配列が変化している。用語「バリアント」はバリアントICOSLの文脈では、バリアントICOSLが作り出される、どの特定の出発組成物または方法の条件も課すものだと解釈されない。本発明のバリアントICOSLを得るために、バリアントICOSLは、例えば、参照ICOSLまたは野生型哺乳動物ICOSLの配列情報から開始して作製され、次いで、ICOSおよび/またはCD28に結合するかどうかインシリコでモデル化され、最後に、組み換えにより合成されるか、または化学合成されてもよい。たった一つの代替例では、バリアントICOSLが参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLの部位特異的変異誘発によって作り出されてもよい。従って、バリアントICOSLは組成物を表し、特定のプロセスによって産生された産物を必ず表すとは限らない。組換え方法、化学合成、またはその組み合わせを含む様々な技法を使用することができる。
用語「野生型」または「天然の」または「ネイティブ」は生物学的材料、例えば、核酸分子、タンパク質(例えば、ICOSL)、IgSFメンバー、宿主細胞などに関連して本明細書において使用される場合、天然で見出され、ヒト介入によって改変されていないものを指す。
さらに、以下で議論される本発明の種々の態様は、上記で開示されている定義済みの用語の意味の範囲内で頻繁に提供される。従って、特定の定義において説明される態様は、本明細書に記載の種々の局面および属性の議論において定義済みの用語が利用されるときに参照により組み入れられると解釈しなければならない。従って、見出し、種々の局面および態様の提示の順序、ならびに各々独立した属性の別々の開示は本開示の範囲に対する限定を意味するものではない。
II. バリアントICOSLポリペプチド融合タンパク質
ICOSL同族結合パートナーの1つまたは複数に対する結合活性または親和性が変化(向上または低下)したバリアントICOSLポリペプチドが本明細書において提供される。いくつかの態様において、ICOSL同族結合パートナーはCD28、ICOS、またはCTLA-4の1つまたは複数である。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、野生型もしくは未改変のICOSLポリペプチド、または免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを含有する野生型もしくは未改変のICOSLの一部分、あるいはその特異的結合断片と比べて、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン(IgD)において1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、1つまたは複数の置換(または「変異」もしくは「交換」)、欠失、あるいは付加を含有する。従って、提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)がIgDにあるバリアントIgD(以下では「vIgD」と呼ぶ)であるか、またはそれを含む。
A. バリアントICOSLポリペプチド
いくつかの態様において、IgDは、IgVドメイン、もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはIgVドメインもしくはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの態様において、IgDは、IgVのみ、細胞外ドメイン(ECD)全体を含むIgVおよびIgCの組み合わせ、またはICOSLのIgドメインの任意の組み合わせでもよい。表2は、ICOSLのIgV領域またはIgC領域に対応する例示的な残基を示す。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、アミノ酸改変(例えば、置換)の少なくとも1つがIgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片にある、IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含有する。いくつかの態様では、結合活性または親和性の変化により、IgVドメインまたはIgCドメインは、親和性が改変されたIgSFドメインである。
いくつかの態様において、バリアントは、参照(例えば、未改変)ICOSL配列の配列と比べて1つまたは複数のIgSFドメインにおいて改変されている。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)ICOSL配列は野生型ICOSLである。いくつかの態様において、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLは、ネイティブなICOSLまたはそのオルソログの配列を有する。いくつかの態様において、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLは、1つまたは複数のIgSFドメイン(表1を参照されたい)を含有する、ICOSLの細胞外ドメイン(ECD)もしくはその一部分であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドの細胞外ドメインはIgVドメインとIgCドメインを含む。しかしながら、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインとIgCドメインを両方とも含む必要はない。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインもしくはその特異的結合断片を含むか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgCドメインもしくはその特異的結合断片を含むか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、バリアントICOSLは可溶性であり、膜貫通ドメインを欠く。いくつかの態様において、バリアントICOSLは膜貫通ドメインをさらに含み、いくつかの場合には細胞質ドメインもさらに含む。
バリアントICOSLポリペプチドが参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して1つまたは複数のリガンドICOSおよび/またはCD28に対して変化した(例えば向上した)結合活性または親和性を示すように、参照(例えば、未改変)ICOSLもしくは野生型ICOSLポリペプチド中に含まれるIgSFドメインにおいて少なくとも1つの親和性が改変されたIgSFドメイン(例えば、IgVもしくはIgC)またはその特異的結合断片を含有するバリアントICOSLポリペプチドが本明細書において提供される。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、固相ELISAイムノアッセイ、フローサイトメトリー、またはBiacoreアッセイによって確かめられたときに参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチド対照配列とは異なる、CD28および/またはICOSに対する結合親和性を有する。いくつかの態様では、CD28および/またはICOSに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。CD28および/またはICOSは、哺乳動物タンパク質、例えば、ヒトタンパク質またはマウスタンパク質でもよい。
同族結合パートナーのそれぞれに対する結合親和性は独立している。すなわち、いくつかの態様では、CD28および/またはICOSの一方または両方に対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。いくつかの態様では、CD28およびICOSの両方に対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。
いくつかの態様では、CD28に対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。いくつかの態様では、ICOSに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。いくつかの態様では、CD28およびICOSに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べて向上している。
いくつかの態様では、CD28および/またはICOSに対する結合親和性が向上したまたは大きなバリアントICOSLポリペプチドは、CD28および/またはICOSに対する結合親和性が参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチド対照と比べて少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、35%、または50%向上している。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比べた結合親和性の向上は、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍より大きい。このような例では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)を含有しないことを除けばバリアントICOSLポリペプチドと同じ配列を有する。
いくつかの態様では、CD28および/またはICOSに対する前述の態様のいずれかの平衡解離定数(Kd)は、1×10-5M、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、または1×10-11M、または1×10-12Mより小さくてもよい。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはCD28に対する結合親和性が向上しているか、または高くなっている。いくつかの態様では、CD28に対する結合親和性が向上しているか、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドは、CD28に対する結合親和性が参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチド対照と比べて少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、または60%向上している。いくつかの態様では、CD28に対する結合親和性が向上した、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドの平衡解離定数(Kd)はCD28について200pM、300pM、400pM、500pM、または600pMより小さい。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはICOSに対する結合親和性が向上しているか、または高くなっている。いくつかの態様では、ICOSに対する結合親和性が向上しているか、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドは、CD28に対する結合親和性が参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチド対照と比べて少なくとも約10%、例えば、少なくとも約15%、20%、25%、30%、40%、50%、または60%向上している。いくつかの態様では、ICOSに対する結合親和性が向上した、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドの平衡解離定数(Kd)はICOSについて200pM、300pM、400pM、500pM、または600pMより小さい。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列において1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列の外部ドメイン(細胞外ドメイン)にあってもよい。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換はIgVドメインまたはその特異的結合断片にある。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準に位置52、57、および/または100に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にして、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、N52H、N57Y、および/もしくはQ100Rより選択される置換、またはその保存的アミノ酸改変、例えば、置換を有する。
保存的アミノ酸改変、例えば、置換は、参照(例えば、未改変)または野生型アミノ酸以外の、置換されたアミノ酸と同じアミノ酸クラスに分類される任意のアミノ酸である。アミノ酸クラスは、脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)、ヒドロキシルまたは含硫黄(セリン、システイン、スレオニン、およびメチオニン)、環式(プロリン)、芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、塩基性(ヒスチジン、リジン、およびアルギニン)、ならびに酸性/アミド(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミン)である。
いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にしてN52H/N57Y/Q100Rである。
他に定めのない限り、本開示全体を通して示されるように、アミノ酸改変は、SEQ ID NO:1に示される参照ECD配列の位置のナンバリングに対応するアミノ酸位置番号によって指定される。ICOSLポリペプチドのIgSFドメイン(例えば、IgV)を含有するICOSLポリペプチドの一部を含む、ICOSLポリペプチドにおける改変、例えば、アミノ酸置換の対応する位置を、例えば、参照配列(例えば、SEQ ID NO:2、3、5~33)とSEQ ID NO:1とのアライメントによって特定することは当業者の水準の範囲内である。本開示全体にわたる改変のリストにおいてアミノ酸位置が中央に示され、対応する参照(例えば、未改変または野生型)アミノ酸が数字の前に記載され、特定されたバリアントのアミノ酸置換が数字の後ろに記載される。改変がその位置の欠失である場合は「del」と表示され、改変がその位置における挿入である場合は「ins」と表示される。いくつかの場合には、挿入が記載され、アミノ酸位置が中央に示され、対応する参照アミノ酸が、その数字の前後に記載され、特定されたバリアントのアミノ酸挿入が未改変(例えば、野生型)アミノ酸の後ろに記載される。
いくつかの態様では、前記バリアントは、参照(例えば、未改変)ICOSL配列の配列と比べて1つまたは複数のIgSFドメインにおいて改変されている。いくつかの態様では、参照(例えば、未改変)ICOSL配列は野生型ICOSLである。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLは、ネイティブICOSLまたはそのオルソログの配列を有する。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLは、1つまたは複数のIgSFドメイン(表1を参照されたい)を含有するICOSL細胞外ドメイン(ECD)もしくはその一部であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドの細胞外ドメインはIgVドメインとIgCドメインを含む。しかしながら、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインとIgCドメインを両方とも含む必要はない。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインもしくはその特異的結合断片を含むか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様では、バリアントICOSLは可溶性であり、膜貫通ドメインを欠く。
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列は哺乳動物ICOSL配列である。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列は、ヒト、マウス、カニクイザル、またはラットを含むが、これに限定されない哺乳動物ICOSLでもよい。いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列はヒトである。
参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列の様々な特徴を表1に示した。表1の1列目は、この特定のIgSFメンバーの名称と、任意で、可能性のある、いくつかの別名の名称を示す。2列目は、uniprot.orgでインターネットを介してアクセス可能な、公的に利用可能なデータベースであるUniProtKBデータベースのタンパク質識別子を示し、いくつかの場合にはGenBank番号を示す。Universal Protein Resource(UniProt)はタンパク質配列および注釈データ用の包括的リソースである。UniProtデータベースはUniProt Knowledgebase(UniProtKB)を含む。UniProtは、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)(EMBL-EBI)、SIBスイスバイオインフォマティクス研究所(SIB Swiss Institute of Bioinformatics)とタンパク質情報リソース(Protein Information Resource)(PIR)間の共同研究であり、主に、米国立保健研究所(NIH)の助成金によって支援されている。GenBankはNIHの遺伝子配列データベースであり、全ての公的に利用可能なDNA配列が注釈付きで集められたものである(Nucleic Acids Research, 2013 Jan;41(D1):D36-42)。3列目は、表示のIgSFドメインが位置する領域を示す。この領域は、ドメインが、範囲を規定している残基を包含する範囲として指定される。3列目はまた、指定されたIgSF領域のIgSFドメインクラスも示す。4列目は、表示の追加のドメインが位置している領域を示す(シグナルペプチド、S;細胞外ドメイン、E;膜貫通ドメイン、T;細胞質ドメイン、C)。ドメインの記載はドメインの特定または分類に用いた方法に応じて変化する場合があること、および異なる供給源から異なって特定される場合があることを理解されたい。表1のドメインに対応する残基の説明は例示にすぎず、数アミノ酸(例えば、1個、2個、3個、または4個)長くても短くてもよい。5列目は、その細胞表面同族結合パートナーのうちのいくつかを示す。
(表1)本開示のIgSFメンバー
Figure 2022529059000002
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列は、(i)SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列、またはシグナル配列を欠く、その成熟型、(ii)SEQ ID NO:4もしくはその成熟型に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を有するか、あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含有する、(i)または(ii)の一部分である。
いくつかの態様では、参照ICOSL配列はICOSL細胞外ドメインもしくはその一部であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、参照または野生型ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列またはそのオルソログを含む。
Figure 2022529059000003
いくつかの場合には、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドは、(i)SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:1に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む場合があるか、または(iii)IgVドメインまたはIgCドメインを含む、(i)もしくは(ii)の配列の特異的結合断片である。
いくつかの態様では、参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示される参照ICOSL細胞外ドメイン配列を基準に、C末端短縮を含む短縮型細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、C末端短縮は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125アミノ酸残基のC末端短縮である。いくつかの態様では、C末端短縮は少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35アミノ酸残基のC末端短縮である。いくつかの態様では、C末端短縮を含むICOSLポリペプチドは、短縮点のC末端を越えて野生型ICOSLの連続アミノ酸残基を含有しない。従って、提供されるICOSL参照配列の中には、野生型ICOSL(例えば、SEQ ID NO:1に示される野生型ICOSL)の完全細胞外ドメインよりも短いものがある。いくつかの態様では、C末端短縮を含むICOSLポリペプチドは、細胞外ドメインを越えてICOSLドメインのアミノ酸残基を含有しないか、またはそれと融合されない。
いくつかの態様では、ICOSL参照ポリペプチドは、1つまたは複数のプロテアーゼ切断部位において変化している(例えば、変異または欠失している)。本明細書において見出されるように、野生型ICOSLポリペプチドは、いくつかの場合には、細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)の中で発現されるとタンパク質の切断をもたらすプロテアーゼ切断部位を含有し、それによって、異なる長さまたはサイズの種を含む複数の種の不均一な産物が生じる。例えば、ICOSLポリペプチドが切断されると、SEQ ID NO:1の残基207と208の間にLQQN/LTプロテアーゼ切断部位が生じることがある(「/」は潜在的な切断部位を示す)。いくつかの態様では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸204~209として示されるプロテアーゼ切断部位において変化しているか、または該部位を欠いている。いくつかの態様では、短縮型ICOSLポリペプチドは、野生型または非短縮型ICOSLポリペプチドと比較して、プロテアーゼ切断耐性が高い。LQQN/LTプロテアーゼ切断部位の全てまたは一部を欠く例示的な短縮型ICOSLポリペプチドECD短縮型(短縮型#2、#3、#4、#5、#6、#7、または#8と名付けた)はSEQ ID NO:5~11に示される。
Figure 2022529059000004
Figure 2022529059000005
いくつかの態様では、ICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1を基準にアミノ酸204~209に対応する1つまたは複数のアミノ酸において変えられる。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準に位置207および/または208に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、N207A、N207G、L208Gから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、またはその保存的アミノ酸改変、例えば、置換を有する。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換はN207A/L208GまたはN207G/L208Gである。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドの完全長参照ECDまたは短縮型参照ECDは、N207A、N207G、L208Gから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、または保存的アミノ酸改変を含有するように改変される。1つまたは複数の改変を有する例示的な完全長または短縮型参照ECDをSEQ ID NO:12~33に示した。SEQ ID NO:1に示される位置を基準にして切断部位N207および/またはL208に変異を含有する例示的な参照配列をSEQ ID NO:29~33に示した。いくつかの場合には、提供される改変は、ICOSLポリペプチドのプロテアーゼ切断、例えば、LQQN/LTプロテアーゼ切断部位で起こる可能性がある切断を低減し得る。
いくつかの態様では、参照ICOSL ECD配列において上記の短縮戦略と改変戦略の組み合わせを使用することができる。いくつかの態様では、短縮型参照ICOSLポリペプチド、例えば、SEQ ID NO:5~11に示されている例示的な参照ICOSL配列に、提供される改変、例えば、置換が加えられる。潜在的なプロテアーゼ切断部位N207および/またはL208に改変がある例示的なバリアントICOSLポリペプチド配列をSEQ ID NO:12~33に示した。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、野生型ICOSLポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:1に示されるECD配列を含有する野生型ICOSLポリペプチド)と比較して減少したプロテアーゼ切断を示す。
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドはIgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む。いくつかの態様では、IgVドメインを含有するICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:4のアミノ酸残基19~129に対応する)、またはそのオルソログを含む。
Figure 2022529059000006
いくつかの態様では、IgVドメインを含有するICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示されるナンバリングを基準に少なくともアミノ酸1~112、1~113、1~114、1~115、1~116、1~117、1~118、1~119、1~120、1~121、1~122を含有する。いくつかの態様では、IgVドメインを含有するICOSL参照ポリペプチドは、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:4のアミノ酸残基19~140に対応する)、またはそのオルソログを含む。いくつかの態様では、IgVドメインはICOSL参照ポリペプチドの唯一のIgSFドメインである。
Figure 2022529059000007
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドのIgVドメインは、(i)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:2に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいは(iii)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列の特異的結合断片、または(i)もしくは(ii)の配列の特異的結合断片を含有する場合がある。いくつかの態様では、参照(例えば、未改変)IgVドメインは、1つまたは複数のICOSL同族結合タンパク質、例えば、CD28およびICOSの一方または両方に結合することができる。
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドのIgVドメインは、(i)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:3に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいは(iii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列の特異的結合断片、または(i)もしくは(ii)の配列の特異的結合断片を含有する場合がある。いくつかの態様では、参照(例えば、未改変)IgVドメインは、1つまたは複数のICOSL同族結合タンパク質、例えば、CD28およびICOSの一方または両方に結合することができる。
いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドは、ICOSLの特異的結合断片、例えば、IgVドメインの特異的結合断片を含有する。いくつかの態様では、特異的結合断片はCD28および/またはICOSに結合することができる。特異的結合断片は、少なくとも50アミノ酸、例えば、少なくとも60、70、80、90、100、または110アミノ酸のアミノ酸長を有してもよい。いくつかの態様では、IgVドメインの特異的結合断片は、SEQ ID NO:4のアミノ酸19~129として示したIgVドメインの長さの少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるアミノ酸配列を含有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、1つまたは複数の親和性が改変されたIgSFドメインを含む、ECDドメイン、短縮型ECDドメイン、またはその一部を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはIgVドメインの特異的結合断片が1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)を含有するIgVドメインを含んでもよい。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインおよびIgCドメイン、またはIgVドメインの特異的結合断片およびIgCドメインの特異的結合断片を含んでもよい。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは完全長IgVドメインを含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは完全長IgCドメインを含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはIgCドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは完全長IgVドメインと完全長IgCドメインを含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは完全長IgVドメインとIgCドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片と完全長IgCドメインを含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片とIgCドメインの特異的結合断片を含む
このような任意の態様では、バリアントICOSLポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)はICOSLポリペプチドドメインのいずれか1つまたは複数に配置することができる。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、例えば、SEQ ID NO:1に示される、バリアントICOSLポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)に配置される。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸置換はIgVドメインまたはIgVドメインの特異的結合断片に配置される。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20までのアミノ酸改変、例えば、置換を有する。改変、例えば、置換はIgVドメインまたはIgCドメインにあってもよい。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片において1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20までのアミノ酸置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、IgCドメインまたはその特異的結合断片において1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20までのアミノ酸置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドまたはその特異的結合断片、例えば、SEQ ID NO:1、2、または3のアミノ酸配列と少なくとも約85%、86%、86%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準に位置10、11、13、16、18、20、25、27、30、33、37、42、43、47、52、54、57、61、62、67、71、72、74、77、78、75、80、84、89、90、92、93、94、96、97、98、99、100、102、103、107、109、110、111、113、115、116、117、119、120、121、122、126、129、130、132、133、135、138、139、140、142、143、144、146、151、152、153、154、155、156、158、161、166、168、172、173、175、190、192、193、194、198、201、203、207、208、210、212、217、218、220、221、224、225、または227に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準に位置10、11、13、16、18、20、25、26、27、30、33、37、38、42、43、47、52、54、57、61、62、67、71、72、74、75、77、78、80、84、89、90、92、93、94、96、97、98、99、100、102、103、107、109、110、111、113、115、116、117、119、120、121、122、126、129、130、132、133、135、137、138、139、140、142、143、144、146、151、152、153、154、155、156、158、161、164、166、168、172、173、175、190、192、193、194、198、201、203、207、208、210、212、217、218、220、221、224、225、または227に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、
Figure 2022529059000008
より選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、または保存的アミノ酸改変、例えば、その置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、
Figure 2022529059000009
より選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、またはその保存的アミノ酸置換を有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、
Figure 2022529059000010
より選択される1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換を有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、
Figure 2022529059000011
より選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、またはその保存的アミノ酸置換を有する。
いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換は、
Figure 2022529059000012
Figure 2022529059000013
Figure 2022529059000014
である。
いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変は、
Figure 2022529059000015
Figure 2022529059000016
Figure 2022529059000017
より選択される。
いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にN52H/N57Y/Q100Rである。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換は、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にN52L/N57H/Q100Rである。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換は、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にN52H/Q100Rである。いくつかの態様では、1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換は、SEQ ID NO:1のナンバリングを基準にN52Dである。
一般的に、ポリペプチドの様々な性質(例えば、CD28および/または ICOSに対するICOSLの親和性、ポリペプチド鎖ごとのバリエーションの数、連結されているポリペプチド鎖の数、バリアントICOSLごとのアミノ酸変化の数および内容など)がそれぞれ、別々に開示される。しかしながら、当業者に明らかなように、どの特定のポリペプチドも、これらの独立した性質の組み合わせを含んでもよい。IgSFドメインのドメイン構成を説明するために用いられるSEQ ID NOで示した特定の配列への言及を含めたアミノ酸についての言及は例示を目的とし、提供される態様の範囲を限定することを意味しないことが理解される。ポリペプチドおよびそのドメインの説明は、類似の分子との相同性分析およびアライメントに基づいて理論的に導出されることが理解される。従って、正確な遺伝子座は変化することがあり、タンパク質毎に必ず同一になるとは限らない。従って、特定のIgSFドメイン、例えば、特定のIgVドメインまたはIgCドメインは数個(例えば、1個、2個、3個、または4個)のアミノ酸だけ長くても短くてもよい。
参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL配列は、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドを作製するために出発組成物として必ずしも使用しなければならないというわけではない。従って、用語「置換」などの「改変」の使用は、本態様がバリアントICOSLポリペプチドを作製する特定の方法に限定されることを意味しない。バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、新規ペプチド合成によって作製されてもよく、従って、改変、例えば、置換をコードするようにコドンを変える意味で「置換」などの「改変」を必ずしも必要とするわけではない。この原則はまた、アミノ酸残基の「付加」および「欠失」という用語まで及び、同様に特定の作製方法を意味しない。バリアントICOSLポリペプチドが設計される、または作り出される手段は、どの特定の方法にも限定されない。しかしながら、いくつかの態様では、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLをコードする核酸は、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSL遺伝物質から変異誘発され、望ましい特定の結合親和性および/またはIFN-γ発現もしくは他の機能活性の調節があるかどうかスクリーニングされる。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、任意の数の公的に利用可能なデータベースにおいて入手可能なタンパク質配列または核酸配列を利用して新規合成され、次いでその後にスクリーニングされる。このような情報を米国立バイオテクノロジー情報センターは提供しており、そのウエブサイトは、既に議論されているUniProtKBデータベースのようにインターネットを介して公的に利用することができる。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、表2に列挙した変異を含む。表2はまた、野生型ICOSL(すなわち、参照(例えば、未改変))または例示的なバリアントICOSLポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)またはIgVドメインのSEQ ID NOを参照することによって例示的な配列も示す。示されているように、特定のドメインに対応する正確な遺伝子座または残基は、例えば、ドメインを特定または分類するのに用いられた方法に応じて変化することがある。また、いくつかの場合には、特定のドメイン(例えば、IgV)の隣接するN末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸も、バリアントIgSFポリペプチドの配列に、例えば、発現時に正しいドメインフォールディングを確実なものにするために入れられることがある。従って、表2におけるSEQ ID NOの例示は限定だと解釈してはならないと理解される。例えば、バリアントICOSLポリペプチドの特定のドメイン、例えば、ECDドメインは、それぞれのSEQ ID NOに示されるアミノ酸配列よりも数アミノ酸長くても短くてもよく、例えば、1~10、例えば、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸長くても短くてもよい。
(表2)例示的なバリアントICOSLポリペプチド
Figure 2022529059000018
バリアントICOSLポリペプチドは、本明細書に記載の任意のアミノ酸置換(変異)を含有していてもよい。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、表2に列挙した任意の変異を含む。いくつかの例では、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含有する参照ICOSL、SEQ ID NO:2もしくは3に示されているICOSLのIgVドメインを含有する参照ICOSL、またはSEQ ID NO:5~33のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有する短縮および/もしくは改変された参照ICOSLに、変異が加えられる。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:34に示される細胞外ドメイン(ECD)配列を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:34に示される細胞外ドメイン(ECD)配列に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示すポリペプチド配列を含み、参照(例えば、未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変、例えば、置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:34に示される細胞外ドメイン(ECD)配列の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変、例えば、置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:35に示されるIgV配列を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:35に示されるIgV配列に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示すポリペプチド配列を含み、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変、例えば、置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:35に示されるIgV配列の特異的結合断片を含み、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変、例えば、置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:36に示されるIgV配列を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:36に示されるIgV配列に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示すポリペプチド配列を含み、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変、例えば、置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:36に示されるIgV配列の特異的結合断片を含み、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLに存在しないアミノ酸置換、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有する。
いくつかの態様では、CD28の外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性が、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して、SEQ ID NO:1、2、または3に示される配列を含む参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して向上している。いくつかの態様では、ICOSの外部ドメインに対する前記ICOSLポリペプチドの親和性が、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLと比較して、例えば、SEQ ID NO:1、2、または3に示される配列を含む参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して向上している。いくつかの態様では、CD28の外部ドメインとICOSの外部ドメインに対する前記ICOSLポリペプチドの親和性が、参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLと比較して、例えば、SEQ ID NO:1、2、または3に示される配列を含む参照(例えば未改変)ICOSLまたは野生型ICOSLポリペプチドと比較して向上している。
B. 多量体化ドメイン
vIgDが中に含まれる、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドを含むバリアントICOSLポリペプチド融合タンパク質は可溶性タンパク質として様々なやり方で並べることができる。いくつかの態様では、バリアントICOSL融合タンパク質は多量体化ドメインを含有する。いくつかの場合には、バリアントICOSL融合タンパク質は、その同族結合パートナー、例えば、CD28および/またはICOSLの活性をアンタゴナイズする、またはブロックすることができる。いくつかの態様では、CD28および/またはICOSLのアンタゴニズムは炎症または自己免疫を処置するのに有用な可能性がある。当業者は、細胞表面タンパク質が典型的には細胞内、膜貫通、および細胞外ドメイン(ECD)を有し、このようなタンパク質の可溶型は細胞外ドメインまたはその免疫学的に活性な部分配列を用いて作製できることを理解する。従って、いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質は膜貫通ドメインまたは膜貫通ドメインの一部を欠く。いくつかの態様では、バリアントICOSLを含有する免疫調節タンパク質は細胞内(細胞質)ドメインまたは細胞内ドメインの一部を欠く。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質は、アミノ酸改変を含有する、IgVドメインおよび/もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメインを含有するECDドメインもしくはその一部を含有するvIgD部分、またはその特異的結合断片しか含有しない。
いくつかの態様では、コンジュゲートは、別のタンパク質またはポリペプチド部分と直接的に、またはリンカーを介して連結されたバリアントICOSLポリペプチドの融合タンパク質である。いくつかの態様では、融合タンパク質はICOSL-Fcバリアント融合体であり、この場合、前述したバリアントポリペプチドのいずれか2つまたはそれより多くをFcに取り付けることができる。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、図1に示されている可溶性タンパク質の構造を有する。
いくつかの態様では、バリアントICOSLを含む融合タンパク質は本発明の1つまたは複数のバリアントICOSLポリペプチドを含んでもよい。いくつかの態様では、本発明のポリペプチドは正確に1つ、2つ、3つ、4つ、5つのバリアントICOSL配列を含む。いくつかの態様では、バリアントICOSL配列のうち少なくとも2つは、同一のバリアントICOSL配列である。
いくつかの態様では、提供される免疫調節ポリペプチドはICOSLの2つ以上のvIgD配列を含む。このポリペプチド鎖の中にある複数のバリアントICOSLポリペプチドは互いに同一でもよく(すなわち、同じ種)、同一でない(すなわち、異なる種)バリアントICOSL配列でもよい。1本のポリペプチド鎖の態様に加えて、いくつかの態様では、2本、3本、4本、またはそれより多くの本発明のポリペプチドを共有結合または非共有結合により互いに取り付けることができる。従って、単量体、二量体、およびさらに高次の(例えば、3本、4本、5本、またはそれより多い)多量体タンパク質が本明細書において提供される。例えば、いくつかの態様では、ちょうど2つの本発明のポリペプチドが共有結合または非共有結合により互いに取り付けられて二量体を形成することができる。いくつかの態様では、取り付けは鎖間システインジスルフィド結合によって行われる。2種類以上の本発明のポリペプチドを含む組成物は同一のポリペプチド種または実質的に同一のポリペプチド種の組成物(例えば、ホモ二量体)でもよく、同一でないポリペプチド種の組成物(例えば、ヘテロ二量体)でもよい。複数の連結された本発明のポリペプチドを有する組成物は、前記のように、それぞれのポリペプチド鎖において1つまたは複数の同一の、または同一でない本発明のバリアントICOSLポリペプチドを有してもよい。
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含有する免疫調節タンパク質は多価、例えば、二価である。局面において、免疫調節タンパク質は多量体化ドメインに直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている。いくつかの局面では、多量体化ドメインによって、この分子の半減期が延びる。
2つ以上のバリアントICOSLポリペプチドの相互作用は、これらを、任意の部分、またはそれ自身が相互作用して安定した構造を形成することができる他のポリペプチドに直接的または間接的に連結することで容易にすることができる。例えば、別々のコードされるバリアントICOSLポリペプチド鎖を多量体化によってつなぐことができ、ポリペプチドの多量体化は多量体化ドメインによって媒介される。典型的には、多量体化ドメインによって、第1のバリアントICOSLポリペプチドと第2のバリアントICOSLポリペプチドとの間に安定したタンパク質間相互作用が形成される。ホモまたはヘテロ多量体ポリペプチドは、別々のバリアントICOSLポリペプチドを共発現させることから作製することができる。第1および第2のバリアントICOSLポリペプチドは同じでもよく異なってもよい。
いくつかの態様において、多量体化ドメインは、安定したタンパク質間相互作用を形成することができる任意のものを含む。多量体化ドメインは、免疫グロブリン配列(例えば、Fcドメイン;例えば、国際特許公開番号WO93/10151およびWO2005/063816 US;米国特許出願公開番号2006/0024298;米国特許第5,457,035号を参照されたい);ロイシンジッパー(例えば、核形質転換タンパク質(nuclear transforming protein)fosおよびjunに由来する、またはがん原遺伝子c-mycもしくはGeneral Control of Nitrogen(GCN4)に由来する)(例えば、Busch and Sassone-Corsi (1990) Trends Genetics, 6:36-40; Gentz et al., (1989) Science, 243:1695-1699を参照されたい);疎水性領域;親水性領域;あるいはホモ多量体またはヘテロ多量体のキメラ分子間で分子間ジスルフィド結合を形成する遊離チオールを介して相互作用することができる。さらに、多量体化ドメインは、例えば、米国特許第5,731,168号; 国際特許公開番号WO98/50431およびWO2005/063816; Ridgway et al. (1996) Protein Engineering, 9:617-621に説明されたようなホールを含むアミノ酸配列に相補的な突起を含むアミノ酸配列を含んでもよい。立体相互作用が安定した相互作用を促進するだけでなく、キメラ単量体の混合物からホモ二量体よりも多くヘテロ二量体の形成をさらに促進するように、このような多量体化領域を改変することができる。概して、突起は、第1のポリペプチドの境界面に由来する小さなアミノ酸側鎖をもっと大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と交換することによって構築される。突起と同一の、または類似するサイズの補完的(compensatory)空洞は、任意で、大きなアミノ酸側鎖をもっと小さな側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)と交換することによって第2のポリペプチドの境界面に作り出される。例示的な多量体化ドメインは下記で説明される。
バリアントICOSLポリペプチドはどこにつなげられてもよいが、典型的には、そのN末端またはC末端を介して、多量体化ドメインのN末端またはC末端につなげられてキメラポリペプチドを形成することができる。連結は直接的でもよく、リンカーを介して間接的でもよい。また、キメラポリペプチドは融合タンパク質でもよく、化学的連結によって、例えば、共有結合相互作用または非共有結合相互作用を介して形成されてもよい。例えば、多量体化ドメインを含有するキメラポリペプチドを調製するときには、バリアントICOSLポリペプチドの全てまたは一部をコードする核酸は、直接的もしくは間接的に、または任意でリンカードメインを介して多量体化ドメイン配列をコードする核酸に機能的に連結されてもよい。いくつかの場合には、前記構築物は、バリアントICOSLポリペプチドのC末端が多量体化ドメインのN末端につながれているキメラタンパク質をコードする。いくつかの場合には、構築物は、バリアントICOSLポリペプチドのN末端が多量体化ドメインのN末端またはC末端につながれているキメラタンパク質をコードしてもよい。
ポリペプチド多量体は、多量体化ドメインに直接的または間接的に、同じまたは異なるバリアントICOSLポリペプチドのうちの2つを直接的または間接的に連結することによって作り出された2つのキメラタンパク質を含有する。多量体化ドメインがポリペプチドである、いくつかの例では、バリアントICOSLポリペプチドと多量体化ドメインをコードする遺伝子融合体が適切な発現ベクターに挿入される。結果として生じたキメラタンパク質または融合タンパク質を、組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞において発現させ、集合させて多量体を構築することができる。この場合、多量体化ドメインが相互作用して多価ポリペプチドを形成する。多量体化ドメインとバリアントICOSLポリペプチドはヘテロ二官能性リンカーを用いて化学的に連結することができる。
結果として生じたキメラポリペプチド、例えば、融合タンパク質と、これから形成した多量体は、任意の適切な方法によって、例えば、プロテインAカラムまたはプロテインGカラム上でのアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。異なるポリペプチドをコードする2つの核酸分子が形質転換により細胞に導入された場合、ホモ二量体およびヘテロ二量体が形成する。ホモ二量体形成よりもヘテロ二量体形成に有利になるように発現条件を調節することができる。
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域に取り付けられたバリアントICOSLポリペプチド(「免疫調節性Fc融合体」、例えば「ICOSL-Fcバリアント融合体」;ICOSL vIgD-Fc融合体とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体はまた、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン、例えば、ICOSLのvIgDに連結される1つまたは複数のさらなるvIgDも含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドまたはさらなるIgSFドメインの取り付けはFcのN末端で行われる。いくつかの態様において、バリアントICOSLまたはさらなるIgSFドメインポリペプチドの取り付けはFcのC末端で行われる。いくつかの態様において、2つ以上のICOSLまたはさらなるIgSFドメインバリアントポリペプチド(同じまたは異なる)はN末端およびC末端に独立して取り付けられる。
いくつかの態様において、FcはマウスまたはヒトのFcである。いくつかの態様において、Fcは哺乳動物またはヒトのIgGl、lgG2、lgG3、またはlgG4Fc領域である。いくつかの態様において、FcはIgG1、例えば、ヒトIgG1に由来する。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:37に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、Fc領域は、その正常機能の1つまたは複数を変える(例えば、低減する)ように、もう1つの改変を含有する。概して、Fc領域は、免疫グロブリンの主な機能である抗原結合能に加えて、エフェクター機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を担っている。さらに、Fc領域に存在するFcRn配列は、インビボFcRn受容体との結合体化によりインビボ半減期を延ばすことで血清中でIgGレベルを調節する役割を果たしている。いくつかの態様において、このような機能は、提供されるFc融合タンパク質と共に使用するためにFcにおいて低減していてもよく、変化していてもよい。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変が、本明細書において提供されるICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域に導入されてもよく、それによってFc領域バリアントが作製される。いくつかの態様において、Fc領域バリアントはエフェクター機能が低下している。エフェクター機能を変えることができるFc配列に対する変化または変異の例が多数ある。例えば、WO2000/42072、WO2006/019447、WO2012/125850、WO2015/107026、US2016/0017041およびShields et al. J Biol. Chem. 9(2): 6591-6604(2001)は、FcRに対する結合性が改善された、または低下した例示的なFcバリアントについて説明している。このような刊行物の内容は参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSL-Fc融合体は、低下したエフェクター機能を示し、このためにICOSL-Fcバリアント融合体のインビボでの半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば、CDCおよびADCC)が不要または有害である用途に望ましい候補となるFc領域(不活性Fcまたはエフェクターの無いFcとも呼ぶ)を含む。インビトロおよび/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、ICOSL-Fcバリアント融合体がFcγR結合性を欠く(従って、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確かなものにすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞はFcγRIIIしか発現しないのに対して、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464頁の表3にまとめられている。関心対象の分子のADCC活性を評価するインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい)およびHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照されたい)に記載されている。または、非放射性アッセイ方法が用いられることがある(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, Calif.;およびCytoTox96(商標)非放射細胞毒性アッセイ(Promega, Madison, Wis.)を参照されたい)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。または、もしくはさらに、関心対象の分子のADCC活性はインビボで、例えば、動物モデルにおいて、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示される動物モデルにおいて評価されることがある。C1q結合アッセイはまた、ICOSL-Fcバリアント融合体がC1qに結合できず、従って、CDC活性を欠くことを確認するために行われることがある。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402にあるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するためにCDCアッセイが行われることがある(例えば、Gazzano-Santoro et al, J. Immunol. Methods 202: 163 (1996); Cragg, M. S. et al, Blood 101: 1045-1052 (2003);およびCragg, M. S. and M. J. Glennie, Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合およびインビボクリアランス/半減期も、当技術分野において公知の方法を用いて求めることができる(例えば、Petkova, S. B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)。
低下したエフェクター機能を有するICOSL-Fcバリアント融合体は、EUナンバリングによるFc領域の238、265、269、270、297、327、および329番目の残基のうちの1つまたは複数の置換を有するものを含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、265および297番目の残基とアラニンとの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、EUナンバリングによるアミノ酸位置265位、269位、270位、297位、および327位のうちの2つ以上において置換を有するFc変異体を含む。
いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、ネイティブなFc領域と比較して、(EUナンバリングにより示される)位置234位、235位、236位、237位、238位、239位、270位、297位、298位、325位、および329位にあるアミノ酸の1つまたは複数が、異なるアミノ酸で置換されているFc領域を有する。Fc領域のこのような変化は前記の変化に限定されず、例えば、変化、例えば、Current Opinion in Biotechnology (2009) 20 (6), 685-691に記載の脱グリコシルされた鎖(N297AおよびN297Q)、IgG1-N297G、IgG1-L234A/L235A、IgG1-L234A/L235E/G237A、IgG1-A325A/A330S/P331S、IgG1-C226S/C229S、IgG1-C226S/C229S/E233P/L234V/L235A、IgG1-E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、IgG1-L234F/L235E/P331S、IgG1-S267E/L328F、IgG2-V234A/G237A、IgG2-H268Q/V309L/A330S/A331S、IgG4-L235A/G237A/E318A、およびIgG4-L236E;WO2008/092117に記載の変化、例えば、G236R/L328R、L235G/G236R、N325A/L328R、およびN325LL328R;233位、234位、235位、および237位におけるアミノ酸挿入(EUナンバリングにより示される);ならびにWO2000/042072記載の部位における変化を含む。
FcRに対する結合性が改善された、または低下した、特定のFcバリアントが説明されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、WO2006/019447、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604(2001)を参照されたい)。
いくつかの態様において、半減期を延ばす、および/または胎児性Fc受容体(FcRn)に対する結合性を改善する1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。半減期が延び、かつFcRnとの結合性が改善した抗体はUS2005/0014934A1(Hinton et al.)またはWO2015107026に記載されている。これらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合性を改善する1つまたは複数の置換があるFc領域を含む。このようなFcバリアントには、EUナンバリングによるFc領域の238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434番目の残基のうちの1つまたは複数における置換、例えば、Fc領域の434番目の残基の置換(米国特許第7,371,826号)を有するFcバリアントが含まれる。
いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、EUナンバリングによる1つまたは複数のアミノ酸置換E356DおよびM358Lを含む。いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、EUナンバリングによる1つまたは複数のアミノ酸置換C220S、C226S、および/またはC229Sを含む。いくつかの態様において、ICOSLバリアント融合体のFc領域は1つまたは複数のアミノ酸置換R292CおよびV302Cを含む。Fc領域バリアントの他の例については、Duncan & Winter, Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照されたい。
いくつかの態様において、野生型IgG1 Fcは、EUナンバリングによる356位および358位に残基Glu(E)およびMet(M)を含有するアロタイプ(例えば、fアロタイプ)を有する、SEQ ID NO:37に示されるFcでもよい。他の態様において、野生型IgG1 Fcは、例えば、SEQ ID NO:38に示されるように、ヒトG1m1アロタイプのアミノ酸、例えば、356位および358位にAsp(D)およびLeu(L)を含有する残基を含有する。従って、いくつかの場合には、本明細書において提供されるFcは、アロタイプG1m1(例えば、αアロタイプ)の残基を再構成するようにアミノ酸置換E356DおよびM358Lを含有してもよい。いくつかの局面において、野生型Fcは、エフェクター活性を低減するように、またはFcがFcエフェクター機能に対して不活性になるように1つまたは複数のアミノ酸置換によって改変される。例示的なエフェクターの無い、または不活性な変異は、本明細書に記載の変異を含む。本明細書において提供される構築物のFcに含めることができるエフェクターの無い変異の中には、EUナンバリングによるL234A、L235E、およびG237Aがある。いくつかの態様において、野生型Fcは、1つまたは複数のシステイン残基の除去によって、例えば、EUナンバリングによる220位にあるシステイン残基とセリン残基を交換すること(C220S)によって、さらに改変される。エフェクター機能が低下した例示的な不活性なFc領域を、SEQ ID NO:39または40およびSEQ ID NO:41または42に示した。これらは、それぞれ、SEQ ID NO:37またはSEQ ID NO:38に示されるアロタイプに基づいている。いくつかの態様において、本明細書において提供される構築物において用いられるFc領域はC末端リジン残基をさらに欠いてもよい。
いくつかの態様において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al., J. Immunol. 164: 4178-4184(2000)に記載のように、C1q結合性および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を低減する変化がFc領域に加えられる。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体であって、バリアントFc領域がヒトIgG1などのIgG1に由来する、ICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列に由来する。いくつかの態様において、Fcは、低下したエフェクター機能を示す。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:37のナンバリングによってN82G(EUナンバリングによるN297Gに対応する)である少なくとも1つのアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:37のナンバリングによりR77CまたはV87C(EUナンバリングによるR292CまたはV302Cに対応する)である少なくとも1つのアミノ酸置換をさらに含有する。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、SEQ ID NO:37のナンバリングによりC5Sアミノ酸改変(EUナンバリングによるC220Sに対応する)をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、バリアントFc領域は、以下のアミノ酸改変:EUナンバリングによるV297Gと、以下のアミノ酸改変C220S、R292C、またはV302Cの1つまたは複数(SEQ ID NO:37を基準にN82Gと、以下のアミノ酸改変C5S、R77C、またはV87Cの1つまたは複数に対応する)を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:43に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、アミノ酸改変C220S、L234A、L235E、またはG237Aの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:40に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、アミノ酸改変C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、またはS267Kの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:44に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFcはアミノ酸改変C220S、L234A、L235E、G237A、E356D、またはM358Lの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:41に示される配列を含む。
いくつかの態様において、Fc領域は、SEQ ID NO:45に示される参照(例えば、未改変)または野生型Fcの232位に対応するC末端リジンを欠く(EUナンバリングによるK447delに対応する)。いくつかの態様において、C末端リジンは生合成中に異なって除去されることがあるので、このタンパク質を細胞において発現されたときにC末端リジン残基が除去されると、もっと均一な産物が得られる。いくつかの局面において、このようなFc領域は、1つまたは複数のさらなる改変、例えば、アミノ酸置換、例えば、説明された任意のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このようなFc領域の例をSEQ ID NO:46、39、47、または42に示した。
いくつかの態様では、バリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体であって、バリアントFcが、SEQ ID NO:41、43、40、44、48、46、39、47、もしくは42のいずれかに示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:41、43、40、44、48、46、39、47、もしくは42のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、ICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。いくつかの態様では、Fcは、低下したエフェクター機能を示す。
いくつかの態様では、FcはIgG2、例えば、ヒトIgG2に由来する。いくつかの態様では、Fcは、SEQ ID NO:49に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:49に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様では、Fcは、SEQ ID NO:50に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:50に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IgG4 Fcは、ヒトIgG4のCH3ドメインがヒトIgG1のCH3ドメインと置換されており、阻害された凝集物形成を示す安定化Fc、ヒトIgG4のCH3およびCH2ドメインが、それぞれ、ヒトIgG1のCH3ドメインおよびCH2ドメインと置換されている抗体、またはKabatらによって提唱されたEUインデックスで示されるヒトIgG4の位置409にあるアルギニンがリジンと置換されており、阻害された凝集物形成を示す抗体(例えば、米国特許第8,911,726号を参照されたい)である。いくつかの態様では、Fcは、Fabアーム交換による治療用抗体と内因性IgG4との間の組換えを阻止することが示されているS228P変異を含有するIgG4である(例えば、Labrijin et al. (2009) Nat. Biotechnol., 27(8)767-71を参照されたい)。いくつかの態様では、Fcは、SEQ ID NO:51に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO:51に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドはFc配列に直接、連結される。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、リンカーを介してFc配列に間接的に連結される。いくつかの態様では、1つまたは複数の「ペプチドリンカー」はバリアントICOSLポリペプチドとFcドメインを連結する。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは長さが1アミノ酸残基以上でもよい。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは少なくとも1つのアミノ酸残基を有するが、長さが20アミノ酸残基以下、19アミノ酸残基以下、18アミノ酸残基以下、17アミノ酸残基以下、16アミノ酸残基以下、15アミノ酸残基以下、14アミノ酸残基以下、13アミノ酸残基以下、12アミノ酸残基以下、11アミノ酸残基以下、10アミノ酸残基以下、9アミノ酸残基以下、8アミノ酸残基以下、7アミノ酸残基以下、6アミノ酸残基以下、5アミノ酸残基以下、4アミノ酸残基以下、3アミノ酸残基以下、2アミノ酸残基以下、または1アミノ酸残基以下である。いくつかの態様では、前記リンカーは3つのアラニン(AAA)である。いくつかの態様では、リンカーは(一文字アミノ酸コードで):GGGGS(「4GS」;SEQ ID NO:52)または4GSリンカーの多量体、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの4GSリンカーの反復、例えば、SEQ ID NO:53に示される反復(2xGGGGS)もしくはSEQ ID NO:54に示される反復(3xGGGGS)である。いくつかの態様では、前記リンカーは強固なリンカーである。例えば、前記リンカーはα-ヘリックスリンカーである。いくつかの態様では、前記リンカーは、(一文字アミノ酸コードで):EAAAKまたはEAAAKリンカーの多量体、例えば、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの4GSリンカーの反復、例えば、SEQ ID NO:55に示される反復(EAAAK)またはSEQ ID NO:56に示される反復(3xEAAAK)またはSEQ ID NO:57に示される反復(5xEAAAK)である。いくつかの態様では、リンカーは1つまたは複数のEAAAK単位から開始し、A、AA、AAA、AAAA、EAAAA、およびEAAAK配列の付加によって延長することができる。いくつかの態様では、前記リンカーは、クローニングによって導入されたアミノ酸および/または制限部位に由来するアミノ酸をさらに含む場合があり、例えば、前記リンカーは、制限部位BAMHIを用いることで導入されるアミノ酸GS(一文字アミノ酸コードで)を含む場合がある。いくつかの態様では、前記リンカー(一文字アミノ酸コードで)はGSGGGGS(SEQ ID NO:58)である。いくつかの例では、前記リンカーは、2xGGGGSの後ろに3つのアラニンがあるリンカー(GGGGSGGGGSAAA;SEQ ID NO:59)である。
いくつかの態様では、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質は、Fcドメインに連結された2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドによって形成された二量体である。いくつかの特定の態様では、ホモ二量体となるように、ICOSL-Fcバリアント融合ポリペプチドの同一のまたは実質的に同一の種(3つまたはそれより少ないN末端またはC末端アミノ酸配列の違いを許容する)が二量体化される。いくつかの態様では、前記二量体は、2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドが同一であるホモ二量体である。または、ヘテロ二量体となるようにICOSL-Fcバリアント融合ポリペプチドの異なる種を二量体化することができる。従って、いくつかの態様では、前記二量体は、2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドが異なるヘテロ二量体である。
いくつかの態様では、Fc領域に直接的または間接的に連結された、本明細書に記載のように参照ICOSLにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの場合には、バリアントICOSLポリペプチドのC末端がFc領域のN末端につながれる。いくつかの態様では、ICOSL-Fc融合体のバリアントICOSLは、SEQ ID NO:3に示される参照IgVドメインのアミノ酸配列において1つまたは複数のアミノ酸改変を含有する。特定の場合において、このような免疫調節タンパク質は、IgVドメイン、例えば、SEQ ID NO:35に示されるIgVドメイン、またはSEQ ID NO:35に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有するIgVドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチドを含有する。特定の場合において、このような免疫調節タンパク質は、IgVドメイン、例えば、SEQ ID NO:36に示されるIgVドメイン、またはSEQ ID NO:36に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、N52H/N57Y/Q100Rを含有するIgVドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチドを含有する。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、アミノ酸改変N52H/N57Y/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:36に示されるIgVドメインであるか、またはこれを含む)。
このようなバリアントICOSL-Fc融合タンパク質の特定の態様では、Fcポリペプチドは、低下したエフェクター機能、例えば、説明されたような任意のものを示すヒトIgG1 Fc領域のバリアントである。いくつかの態様では、Fc領域は、アミノ酸改変N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aを含有するヒトIgG1であり、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。いくつかの態様では、バリアントIgG1 Fc領域はアミノ酸置換C220Sをさらに含有し、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。いくつかの態様では、Fc領域はK447delを含有し、残基はKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている。いくつかの局面では、Fc領域は、SEQ ID NO:41、43、40、44、39、もしくは42のいずれかに示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:41、43、40、44、39、もしくは42のいずれかに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示し、それぞれのSEQ ID NOのアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列の配列を含有する。バリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)ポリペプチドとFcとの間の連結は、ペプチドリンカー、例えば、説明されたような任意のペプチドリンカーを介した連結でもよい。いくつかの態様では、リンカーは、GGGGS(「4GS」;SEQ ID NO:52)、SEQ ID NO:53(2xGGGGS)、またはSEQ ID NO:54(3xGGGGS)である。特定の例では、成分の順序がバリアントICOSL-リンカー-Fcになるように、バリアントICOSLポリペプチドのC末端がFc領域のN末端につながれる。
いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:52に示されるリンカー、および SEQ ID NO:42に示されるFcポリペプチドを含有する、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:52に示されるリンカー、および SEQ ID NO:41に示されるFcポリペプチドを含有する、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:52に示されるリンカー、および SEQ ID NO:40に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:52に示されるリンカー、および SEQ ID NO:39に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:53に示されるリンカー、および SEQ ID NO:42に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:53に示されるリンカー、および SEQ ID NO:41に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:53に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:40に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:53に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:39に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:54に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:42に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:54に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:41に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:54に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:40に示されるFcポリペプチドを含有する、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様では、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:54に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:39に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様では、SEQ ID NO:60に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:60に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を示すアミノ酸配列を有するバリアントICOSL IgSF Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの態様では、バリアントICOSL IgSF Fc融合タンパク質は、参照(野生型)ICOSL-Fc融合タンパク質と比較して向上した結合親和性でCD28およびICOSに結合する。いくつかの態様では、バリアントICOSL IgSF Fc融合体は、野生型ヒトIgG1のFcとの融合体と比較して低下したFcエフェクター機能を示す。
III. ポリペプチドまたは細胞を産生するための核酸、ベクター、および方法
本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節性融合ポリペプチドの様々な提供される態様のいずれかをコードする、総称して「核酸」と呼ばれる、単離された核酸または組換え核酸が本明細書において提供される。いくつかの態様では、下記で説明される全てを含む、本明細書において提供される核酸は、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節性融合ポリペプチドの組換え産生(例えば、発現)において有用である。本明細書において提供される核酸はRNAの形をとってもよく、DNAの形をとってもよく、mRNA、cRNA、組換えまたは合成のRNAおよびDNA、ならびにcDNAを含む。本明細書において提供される核酸は典型的にはDNA分子であり、通常、二本鎖DNA分子である。しかしながら、本発明の任意のヌクレオチド配列を含む、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、およびハイブリッドDNA/RNA核酸、またはその組み合わせも提供される。
また、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節融合ポリペプチドを生産する際に有用な、組換え発現ベクターおよび組換え宿主細胞が本明細書において提供される。
上に提供される態様のいずれかにおいて、本明細書において提供されるバリアントポリペプチドまたは免疫調節融合ポリペプチドをコードする核酸を、組換えDNAおよびクローニング技術を使用して細胞に導入することができる。そのようにするために、免疫調節ポリペプチドをコードする組換えDNA分子が調製される。そのようなDNA分子を調製する方法は、当技術分野において周知である。例えば、ペプチドをコードする配列を、好適な制限酵素を使用してDNAから切り取ることもできる。あるいは、ホスホロアミダイト法のような化学合成技術を使用してDNA分子を合成することもできる。また、これらの技術の組み合わせを使用することもできる。いくつかの場合で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により組換えまたは合成核酸を生成してよい。いくつかの態様において、少なくとも1つの親和性改変IgSFドメインを含有する1つまたは複数のバリアントICOSLポリペプチドをコードするDNAインサートを、提供される説明に従って生成することができる。このDNAインサートを、当業者に公知のとおり、適切な形質導入/トランスフェクションベクターにクローニングすることができる。また、当該核酸分子を含有する発現ベクターも提供される。
いくつかの態様において、発現ベクターは、タンパク質の発現に適する条件下で免疫調節タンパク質を適切な細胞において発現することができる。いくつかの局面において、核酸分子または発現ベクターは、適切な発現制御配列に機能的に連結された免疫調節タンパク質をコードするDNA分子を含む。DNA分子がベクターに挿入される前か後かのいずれかのこの機能的連結を達成する方法は周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、および転写または翻訳の制御に関与する他のシグナルを含む。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質の発現は、プロモーターまたはエンハンサーによって制御されて、発現を制御または調節する。プロモーターは、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードする核酸分子の部分に機能的に連結されている。
いくつかの態様において、誘導性プロモーターは、転写の適切な誘導因子の存在または非存在を制御することによって核酸の発現が制御可能であるように、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結されている。例えば、プロモーターは、コードされているポリペプチドの調節された発現を可能にする、調節されたプロモーターおよび転写因子発現系、例えば公開されているテトラサイクリンで調節された系または他の調節可能な系(例えば、公開されている国際PCT出願WO 01/30843を参照のこと)であることができる。例示的な調節可能なプロモーター系は、例えばClontech(Palo Alto, CA)から入手可能なTet-On(およびTet-Off)系である。このプロモーター系は、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン誘導体、例えばドキシサイクリンによって制御される、導入遺伝子の調節された発現を可能にする。他の調節可能なプロモーター系は公知である(例えば、リガンド結合ドメインおよび転写調節ドメイン、例えばホルモン受容体由来のものを含有する遺伝子スイッチを説明している「Regulation of Gene Expression Using Single-Chain, Monomeric, Ligand Dependent Polypeptide Switches」という表題の公開されている米国特許出願第2002-0168714号を参照のこと)。
DNA分子をその上に有する得られた組換え発現ベクターを使用して、適切な宿主を形質転換する。当技術分野において周知の方法を使用してこの形質転換を実施することができる。いくつかの態様において、本明細書において提供される核酸は、結果として得られる可溶性免疫調節ポリペプチドが培養培地、宿主細胞、または宿主細胞ペリプラズムから回収されるように、免疫調節ポリペプチドをコードする核酸に機能的に連結された分泌性またはシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。さらに、市販のキットおよび委託製造会社を利用して、本明細書において提供される改変細胞または組換え宿主細胞を製造することもできる。
いくつかの態様において、DNA分子をその上に有する得られた発現ベクターを使用して、適切な細胞を形質転換、例えば形質導入する。導入を、当技術分野において周知の方法を使用して実施することができる。例示的な方法は、ウイルス、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルス、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを介することを含む、受容体をコードする核酸の移送のためのものを含む。いくつかの態様において、発現ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様において、核酸は、レンチウイルスまたはレトロウイルス形質導入法によって細胞に移送される。
多数の公的に入手可能で周知の哺乳動物宿主細胞のいずれかを、ポリペプチドを調製する際に使用することができる。細胞の選択は、当技術分野によって認識される多数の要因に依存する。これらは、例えば、選択された発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされているペプチドの毒性、形質転換率、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生物安全性およびコストを含む。これらの要因のバランスは、全ての細胞が特定のDNA配列の発現に等しく効果的であるとは限らないという理解に立たなければならない。
いくつかの態様において、宿主細胞は、様々な真核細胞、例えば、酵母細胞、または哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)またはHEK293細胞でもよい。いくつかの態様において、宿主細胞は懸濁細胞であり、前記ポリペプチドは培養懸濁液中で、例えば、CHO細胞、例えば、CHO-S細胞の培養懸濁液中で改変または産生される。いくつかの例では、細胞株は、DHFRが欠損しているCHO細胞株(DHFR-)、例えば、DG44およびDUXB11である。いくつかの態様において、前記細胞は、グルタミン合成酵素(GS)が欠損している、例えば、CHO-S細胞、CHOK1 SV細胞、およびCHOZN((R))GS-/-細胞である。いくつかの態様において、CHO細胞、例えば、懸濁CHO細胞は、CHO-S-2H2細胞、CHO-S-クローン14細胞、またはExpiCHO-S細胞でもよい。
いくつかの態様において、提供されるICOSLポリペプチドをCHO細胞から発現させると、産生タンパク質のもっと均一な組成物が得られる。いくつかの態様において、提供されるICOSLポリペプチドは、CHO細胞から発現するときに、完全ECD参照配列を含有し、かつ/またはプロテアーゼ切断部位(例えば、LQQN/LT)を含有するICOSLポリペプチドと比較してもっと均一な産物をもたらす。いくつかの態様において、本明細書において産生されたICOSLバリアントポリペプチドを含有する、産生されたタンパク質の組成物の少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%は、同じアミノ酸長を有し、同じサイズである。サイズ均一性を評価するための技法には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGE、または配列決定が含まれる。
いくつかの態様において、宿主細胞は、酵母細胞のような多種多様な真核細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)またはHEK293細胞のような哺乳動物細胞であることができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)のような原核細胞であることもできる。形質転換された組換え宿主は、ポリペプチドを発現する条件下で培養され、次いで精製されて可溶性タンパク質を得る。組換え宿主細胞を、所望のポリペプチドを発現するような慣用の発酵条件下で培養することができる。そのような発酵条件は、当技術分野において周知である。最後に、本明細書において提供されるポリペプチドを、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および親和性クロマトグラフィーを含む当技術分野において周知の多数の方法のいずれかによって、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。所望であれば、成熟タンパク質の立体配置の完成においてタンパク質のリフォールディング工程を使用することができる。最後に、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程に採用することができる。
いくつかの態様において、組換えベクターは、ウイルスベクターである。例示的な組換えウイルスベクターは、レンチウイルスベクターゲノム、ポックスウイルスベクターゲノム、ワクシニアウイルスベクターゲノム、アデノウイルスベクターゲノム、アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノム、ヘルペスウイルスベクターゲノム、およびアルファウイルスベクターゲノムを含む。ウイルスベクターは、生ウイルスベクター、弱毒化ウイルスベクター、複製コンディショナルもしくは複製欠損ウイルスベクター、非病原性(欠陥)ウイルスベクター、複製能力のあるウイルスベクターであることができ、かつ/または、異種の遺伝子産物、例えば、本明細書において提供されるバリアント免疫調節ポリペプチドを発現するように改変される。ウイルスの生成のためのベクターはまた、転写または翻訳負荷を増加または減少する任意の方法を含め、ウイルスの弱毒化を変更するように改変されることができる。
使用することができる例示的なウイルスベクターは、改変されたワクシニアウイルスベクター(例えば、Guerra et al., J. Virol. 80:985-98 (2006); Tartaglia et al., AIDS Research and Human Retroviruses 8: 1445-47 (1992); Gheradi et al., J. Gen. Virol. 86:2925-36 (2005); Mayr et al., Infection 3:6-14 (1975); Hu et al., J. Virol. 75: 10300-308 (2001); 米国特許第5,698,530号、第6,998,252号、第5,443,964号、第7,247,615号および第7,368,116号を参照のこと);アデノウイルスベクターまたはアデノウイルス随伴ウイルスベクター(例えば、Molin et al., J. Virol. 72:8358-61 (1998); Narumi et al., Am J. Respir. Cell Mol. Biol. 19:936-41 (1998); Mercier et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:6188-93 (2004); 米国特許第6,143,290号; 第6,596,535第; 第6,855,317第; 第6,936,257第; 第7,125,717第; 第7,378,087第; 第7,550,296第を参照のこと);ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、同種指向性レトロウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、および組み合わせに基づくものを含むレトロウイルスベクター(例えば、Buchscher et al., J. Virol. 66:2731-39 (1992); Johann et al., J. Virol. 66: 1635-40 (1992); Sommerfelt et al., Virology 176:58-59 (1990); Wilson et al., J. Virol. 63:2374-78 (1989); Miller et al., J. Virol. 65:2220-24 (1991); Miller et al., Mol. Cell Biol. 10:4239 (1990); Kolberg, NIH Res. 4:43 1992; Cornetta et al., Hum. Gene Ther. 2:215 (1991) を参照のこと);ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、HIV-2、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、およびマエディ/ビスナウイルスに基づくものを含むレンチウイルスベクター(例えば、Pfeifer et al., Annu. Rev. Genomics Hum. Genet. 2: 177-211 (2001); Zufferey et al., J. Virol. 72: 9873, 1998; Miyoshi et al., J. Virol. 72:8150, 1998; Philpott and Thrasher, Human Gene Therapy 18:483, 2007; Engelman et al., J. Virol. 69: 2729, 1995; Nightingale et al., Mol. Therapy, 13: 1121, 2006; Brown et al., J. Virol. 73:9011 (1999); WO 2009/076524; WO 2012/141984; WO 2016/011083; McWilliams et al., J. Virol. 77: 11150, 2003; Powell et al., J. Virol. 70:5288, 1996を参照のこと)もしくはその任意のバリアント、および/または上記のウイルスのいずれかを生成するために使用できるベクターを含む。いくつかの態様において、組換えベクターは、例えばRNAウイルスの場合、パッケージング細胞株において、ウイルスゲノムの発現を調節することができる、調節配列、例えばプロモーターまたはエンハンサー配列を含むことができる(例えば、米国特許第5,385,839号および第5,168,062号を参照のこと)。
いくつかの態様において、本明細書において提供されるポリペプチドを合成法によって製造することもできる。固相合成は、低分子ペプチドを製造する最も費用対効果の良い方法であるので、個々のペプチドを製造する好ましい技術である。例えば、周知の固相合成技術は、保護基、リンカー、および固相支持体の使用、ならびに特定の保護および脱保護反応条件、リンカー切断条件、捕捉剤の使用、および固相ペプチド合成の他の局面を含む。次いで、ペプチドを本明細書において提供されるとおりのポリペプチドへと組み立てることができる。
IV. バリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質の免疫調節活性を評価する方法
いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチド(例えば、全長および/またはその特異的結合断片もしくは免疫調節性融合体)は、T細胞活性化を調節する免疫調節活性を示す。いくつかの態様において、ICOSLポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、参照(例えば未改変)または野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を調節する。いくつかの場合では、IFN-γ発現の調節は、対照と比べて、IFN-γ発現を増加または減少させることができる。特異的結合およびIFN-γ発現を決定するアッセイは、当技術分野において周知であり、培養上清中のインターフェロン-γサイトカインレベルを測定するMLR(混合リンパ球反応)アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、SEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB)T細胞刺激アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、および抗CD3 T細胞刺激アッセイ(Li and Kurlander, J Transl Med. 2010: 8: 104)を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ(インターフェロン-γ)発現をいくつかの態様において増加させることができ、または代替態様において減少させることができる。可溶性バリアントICOSL配列を含有する提供されるポリペプチドのいくつかの態様において、該ポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させることができ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させることができる。複数のバリアントICOSL配列を含有する提供されるポリペプチドのいくつかの態様において、該ポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させることができ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させることができる。
当業者は、IFN-γ発現の増加を決定するために使用される初代T細胞アッセイのフォーマットが、IFN-γ発現の減少をアッセイするために採用されるものと異なっていることができることを認識するだろう。初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を減少させるバリアントICOSLの能力をアッセイする際に、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用することができる。いくつかの場合では、MLRにおけるIFN-γ発現に拮抗しそれによってその発現を減少させるバリアントICOSLの能力を決定するために、可溶性形態のバリアントICOSLを採用することができる。あるいは、初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を増加させるバリアントICOSLの能力をアッセイする際に、同時固定アッセイを使用することができる。同時固定アッセイでは、TCRシグナル(いくつかの態様において、抗CD3抗体によって提供される)を、同時固定されたバリアントICOSLと併用して、ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させる能力が決定される。
いくつかの態様では、IFN-γ発現の増加または減少を調節するバリアントICOSLの能力をアッセイする際にはT細胞レポーターアッセイを使用することができる。いくつかの態様では、T細胞はジャーカットT細胞株であるか、またはジャーカットT細胞株に由来する。レポーターアッセイでは、レポーター細胞株(例えば、ジャーカットレポーター細胞)はまた、バリアントIgSFドメインポリペプチドの同族結合パートナーを過剰発現させるために作製される。いくつかの態様において、レポーターT細胞はまた、レポーターに機能的に連結されたT細胞活性化に応答する誘導性プロモーターを含有するレポーター構築物も含有する。いくつかの態様において、レポーターは蛍光またはルミネセンスレポータ-である。いくつかの態様において、レポーターはルシフェラーゼである。いくつかの態様において、プロモーターはCD3シグナル伝達に応答する。いくつかの態様において、プロモーターはNFATプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは共刺激シグナル伝達、例えば、CD28共刺激シグナル伝達に応答する。いくつかの態様において、プロモーターはIL-2プロモーターである。
レポーターアッセイの局面において、レポーター細胞株は、例えば、抑制性受容体の野生型リガンド、例えば、ICOSLを発現する抗原提示細胞(APC)とコインキュベートすることによって刺激される。いくつかの態様において、APCは人工APCである。人工APCは当業者に周知である。いくつかの態様において、人工APCは1種類または複数種の哺乳動物細胞株、例えば、K562、CHOまたは293細胞に由来する。
いくつかの態様において、ジャーカットレポーター細胞は、バリアントIgSFドメイン分子または免疫調節タンパク質、例えば、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質の存在下でリガンドを過剰発現する人工APCとコインキュベートされる。いくつかの態様において、レポーター発現は、例えば、細胞のルミネセンスまたは蛍光を確かめることによってモニタリングされる。いくつかの態様において、その受容体とリガンドが正常に相互作用すると、例えば、対照、例えば、受容体とリガンドの相互作用が存在しない、対照T細胞およびAPC、例えば、ICOSLを過剰発現しないAPCのコインキュベーションによるレポーター発現と比較してレポーターシグナルが抑制されるかまたは低減する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質は、例えばバリアントICOSL-Fcとして可溶型で提供されたときに、相互作用をアンタゴナイズし、その結果として、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質の非存在下と比較してレポーターシグナルが増強される。
適切な対照の使用は、当業者に公知であるが、前述の態様において、対照は、典型的には、参照ICOSL、例えば、バリアントICOSLが由来したまたは発生した同じ哺乳動物種由来の野生型の天然ICOSLアイソフォームの使用を伴う。ICOSおよびCD28のうちの一方または両方への結合親和性が向上するか低下するかに関係なく、バリアントICOSLは、初代T細胞アッセイにおいて、いくつかの態様において野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させる。
いくつかの態様において、バリアントICOSLは、参照(例えば未改変)または野生型ICOSL対照と比べて、IFN-γ発現(すなわち、タンパク質発現)を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはより多く増加させる。他の態様において、バリアントICOSLは、野生型または未改変ICOSL対照と比べて、IFN-γ発現(すなわち、タンパク質発現)を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはより多く減少させる。いくつかの態様において、野生型ICOSL対照は、野生型ネズミICOSL配列から配列が変化しているバリアントICOSLに典型的に使用されるような、ネズミICOSLである。いくつかの態様において、野生型ICOSL対照は、野生型ヒトICOSL配列、例えばSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2もしくは3のアミノ酸配列を含むICOSL配列から配列が変化しているバリアントICOSLに典型的に使用されるような、ヒトICOSLである。
V. 薬学的製剤
本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド(例えば免疫調節融合タンパク質)のいずれかを含有する組成物が本明細書において提供される。薬学的組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含むことができる。例えば、薬学的組成物は、例えば、組成物の、pH、オスモル濃度、粘性、透明性、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着、または浸透を調節、維持、または保存するための1つまたは複数の賦形剤を含有することができる。いくつかの局面において、当業者は、細胞を含有する薬学的組成物がタンパク質を含有する薬学的組成物と異なってよいことを理解する。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、固体、例えば粉末、カプセル、または錠剤である。例えば、薬学的組成物の成分を凍結乾燥することができる。いくつかの態様において、固体薬学的組成物は、投与の前に液体中で再構成されるかまたは溶解される。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、液体、例えば、水溶液(例えば、生理食塩水またはリンゲル液)に溶解されたバリアントICOSLポリペプチドである。いくつかの態様において、薬学的組成物のpHは、約4.0~約8.5(例えば、約4.0~約5.0、約4.5~約5.5、約5.0~約6.0、約5.5~約6.5、約6.0~約7.0、約6.5~約7.5、約7.0~約8.0、または約7.5~約8.5)である。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤、例えば充填剤、結合剤、コーティング剤、保存料、滑剤、着香料、甘味料、着色剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、または安定剤を含む。薬学的に許容し得る充填剤の例は、セルロース、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルトール、アルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンを含む。薬学的に許容し得る結合剤の例は、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、またはセルロースを含む。薬学的に許容し得るコーティング剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、またはゼラチンを含む。薬学的に許容し得る崩壊剤の例は、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、またはデンプングリコール酸ナトリウムを含む。薬学的に許容し得る滑剤の例は、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸を含む。薬学的に許容し得る保存料の例は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、またはソルビン酸を含む。薬学的に許容し得る甘味料の例は、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、またはソルビトールを含む。薬学的に許容し得る緩衝剤の例は、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、または酒石酸塩を含む。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、生成物の制御されたまたは持続された放出のための物質、例えば注射用マイクロスフェア、生体内分解性粒子、高分子化合物(ポリ乳酸、ポリグリコール酸)、ビーズ、またはリポソームをさらに含む。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、滅菌されている。滅菌は、滅菌濾過膜に通す濾過または照射によって達成してよい。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を使用した滅菌は、凍結乾燥および再構成の前に実行してもその後に実行してもよい。非経口投与用組成物は、凍結乾燥形態で貯蔵しても溶液で貯蔵してもよい。加えて、非経口組成物は、概して、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静注液バッグまたはバイアル中に入れられる。
そのような製剤は、例えば、静脈内注入に好適な形態であり得る。薬学的に許容し得る担体は、1つの組織、臓器、または身体の一部から別の組織、臓器、または身体の一部への関心対象の細胞の運搬または輸送に関与する、薬学的に許容し得る材料、組成物、またはビヒクルであり得る。例えば、担体は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、もしくは封入材料、またはそれらのいくつかの組み合わせであり得る。担体の各成分は、製剤のその他の有効成分と適合可能でなければならないという点で「薬学的に許容し得る」でなければならない。それはまた、その治療的恩恵を過度に上回る毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、または任意の他の合併症のリスクを有するべきではないという意味で、直面し得るあらゆる組織、臓器、または身体の一部との接触に好適でなければならない。
いくつかの態様では、薬学的組成物は、1mgもしくは約1mgから、100mgもしくは約100mg、例えば、1mgもしくは約1mgから、75mgもしくは約75mg、1mgもしくは約1mgから、50mgもしくは約50mg、1mgもしくは約1mgから、25mgもしくは約25mg、1mgもしくは約1mgから、10mgもしくは約10mg、1mgもしくは約1mgから、5mgもしくは約5mg、5mgもしくは約5mgから、100mgもしくは約100mg、5mgもしくは約5mgから、75mgもしくは約75mg、5mgもしくは約5mgから、50mgもしくは約50mg、5mgもしくは約5mgから、25mgもしくは約25mg、5mgもしくは約5mgから、10mgもしくは約10mg、10mgもしくは約10mgから、100mgもしくは約100mg、10mgもしくは約10mgから、75mgもしくは約75mg、10mgもしくは約10mgから、50mgもしくは約50mg、10mgもしくは約10mgから、25mgもしくは約25mg、25mgもしくは約25mgから、100mgもしくは約100mg、25mgもしくは約25mgから、75mgもしくは約75mg、25mgもしくは約25mgから、50mgもしくは約50mg、50mgもしくは約50mgから、100mgもしくは約100mg、50mgもしくは約50mgから、75mgもしくは約75mg、または75mgもしくは約75mgから、100mgもしくは約100mgの量のバリアントICOSLポリペプチド、例えば、バリアントICOSL IgSF-Fcを含有するように調製される。いくつかの態様では、薬学的組成物は、10mgもしくは約10mg、25mgもしくは約25mg、50mgもしくは約50mg、75mgもしくは約75mg、または100mgもしくは約100mgの量のバリアントICOSLポリペプチド、例えば、バリアントICOSL IgSF-Fcを含有するように調製される。
いくつかの態様では、薬学的組成物は、0.5mLもしくは約0.5mLから、10mLもしくは約10mL、例えば、0.5mLもしくは約0.5mLから、5mLもしくは約5mL、0.5mLもしくは約0.5mLから、2mLもしくは約2mL、0.5mLもしくは約0.5mLから、1mLもしくは約1mL、1mLもしくは約1mLから、10mLもしくは約10mL、1mLもしくは約1mLから、5mLもしくは約5mL、または5mLもしくは約5mLから、10mLもしくは約10mLの体積で調製される。いくつかの態様では、薬学的組成物は、0.5mLもしくは約0.5mL、1mLもしくは約1mL、2mLもしくは約2mL、2.5mLもしくは約2.5mL、3mLもしくは約3mL、4mLもしくは約4mL、5mLもしくは約5mL、6mLもしくは約6mL、7mLもしくは約7mL、8mLもしくは約8mL、9mLもしくは約9mL、または10mLもしくは約10mLの体積で調製される。いくつかの態様では、前記組成物の濃度は、1mgもしくは約1mg/mLから、50mgもしくは約50mg/mL、例えば、1mgもしくは約1mg/mLから、25mg/mLもしくは約25mg/mL、1mgもしくは約1mg/mLから、15mgもしくは約15mg/mL、1mgもしくは約1mgmLから、5mgもしくは約5mg/mL、5mgもしくは約5mg/mLから、50mgもしくは約50mg/mL、5mgもしくは約5mg/mLから、25mgもしくは約25mg/mL、5mgもしくは約5mg/mLから、15mgもしくは約15mg/mL、15mgもしくは約15mg/mLから、50mgもしくは約50mg/mL、15mgもしくは約15mg/mLから、25mgもしくは約25mg/mL、または25mgもしくは約25mg/mLから、50mgもしくは約50mg/mLである。いくつかの態様では、前記組成物の濃度は、1mgもしくは約1mg/mL、5mgもしくは約5mg/mL、10mgもしくは約10mg/mL、15mgもしくは約15mg/mL、20mgもしくは約20mg/mL、25mgもしくは約25mg/mL、30mgもしくは約30mg/mL、40mgもしくは約40mg/mL、または50mgもしくは約50mg/mLである。バイアルなどの容器に収容された、このような任意の組成物が本明細書において提供される。特定の局面では、容器、例えば、バイアルは無菌である。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、対象に投与される。概して、薬学的組成物の投与量および投与経路は、対象のサイズおよび状態に応じて、標準的な薬務に従って決定される。例えば、最初に、細胞培養アッセイ、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ、もしくはサルのような動物モデルのいずれかで治療有効用量を推定することができる。また、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために動物モデルを使用してもよい。次いで、そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定することができる。正確な投与量は、対象が必要とする処置に関連する要因に照らして決定されるだろう。投与量および投与は、活性化合物の十分なレベルを提供するようにまたは所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因は、疾患状態の重症度、対象の総体的な健康、対象の年齢、体重、および性別、投与の時間および頻度、薬物併用、反応感度、ならびに治療への応答を含む。
長期作用型薬学的組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス率に応じて、3~4日毎、毎週、または隔週で投与してよい。投薬頻度は、使用される製剤中の分子の薬物動態パラメーターに依存するだろう。典型的には、組成物は、所望の効果を達成する投与量に達するまで投与される。それゆえ、組成物を、単回投与として投与してもよいし、複数回投与として(同じまたは異なる濃度/投与量で)経時的に投与してもよいし、持続注入として投与してもよい。適切な投与量のさらなる改良がルーチンに行われる。適切な用量-応答データの使用を通して適切な投与量を突き止めてよい。T細胞活性化もしくは増殖、サイトカイン合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、種々の活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、関節の腫脹もしくは圧痛、C-反応性タンパク質の血清中レベル、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答を含む、治療効果についての多数のバイオマーカーまたは生理学的マーカーをモニタリングすることができる。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、経口、経皮、吸入による、静脈内、動脈内、筋肉内、創傷部位への直接適用、手術部位への適用、腹腔内、坐剤による、皮下、皮内、経皮、噴霧による、胸膜内、脳室内、関節腔内、眼内、または髄腔内を含む、任意の経路を通して対象に投与される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、対象に硝子体内投与される。
いくつかの態様において、薬学的組成物の投与は、単回投与または反復投与である。いくつかの態様において、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回以上、対象に投与される。いくつかの態様において、1週間に約1回用量以上(例えば、約2回用量以上、約3回用量以上、約4回用量以上、約5回用量以上、約6回用量以上、または約7回用量以上)が与えられる。いくつかの態様において、複数回用量が、数日、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたって与えられる。いくつかの態様において、一連の処置は、約1回用量以上(例えば、約2回用量以上、約3回用量以上、約4回用量以上、約5回用量以上、約7回用量以上、約10回用量以上、約15回用量以上、約25回用量以上、約40回用量以上、約50回用量以上、または約100回用量以上)である。
いくつかの態様において、投与される薬学的組成物の用量は、対象の体重1kg当たりタンパク質約1μg以上(例えば、対象の体重1kg当たりタンパク質約2μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約5μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約10μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約25μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約50μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約100μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約250μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約500μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約1mg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約2mg以上、または対象の体重1kg当たりタンパク質約5mg以上)である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は0.3mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約0.3mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は1mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約1mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は3mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約3mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は6mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約6mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は10mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約10mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は15mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約15mgタンパク質/kg対象体重である。いくつかの態様では、薬学的組成物の投与される用量は20mgタンパク質/kg対象体重であるか、または約20mgタンパク質/kg対象体重である。
望ましくない免疫応答を媒介するもしくは媒介することができる免疫細胞を排除、隔離、もしくは不活性化すること;防御免疫応答を媒介するもしくは媒介することができる免疫細胞を誘導、生成、もしくは刺激すること;免疫細胞の物理的もしくは機能的特性を変化させること;またはこれらの効果の組み合わせによって、本発明の治療用組成物の投与が免疫活性を十分に調節するかどうかを決定するための多種多様な手段が公知である。免疫活性の調節の測定例は、限定されないが、免疫細胞集団の有無の検査(フローサイトメトリー、免疫組織化学、組織学、電子顕微鏡法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する);シグナルに応答して増殖もしくは分化する能力または増殖もしくは分化への抵抗性を含む、免疫細胞の機能的能力の測定(例えば、T細胞増殖アッセイ、および抗CD3抗体、抗T細胞受容体抗体、抗CD28抗体、カルシウムイオノフォア、PMA(ホルボール12-ミリスタート13-アセタート)、ペプチドまたはタンパク質抗原を負荷した抗原提示細胞で刺激した後の、3H-チミジン取込に基づいたpepscan分析;B細胞増殖アッセイを使用する);他の細胞を殺傷または溶解する能力の測定(例えば、細胞傷害性T細胞アッセイ);サイトカイン、ケモカイン、細胞表面分子、抗体および細胞の他の産物の測定(例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ、ウェスタンブロット分析、タンパク質マイクロアレイ分析、免疫沈降分析による);免疫細胞または免疫細胞内のシグナル伝達経路の活性化の生化学マーカーの測定(例えば、チロシン、セリンまたはトレオニンリン酸化、ポリペプチド切断、およびタンパク質複合体の形成または解離のウェスタンブロットおよび免疫沈降分析;タンパク質アレイ分析;DNAアレイまたはサブトラクティブハイブリダイザーションを使用するDNA転写プロファイリング);アポトーシス、壊死または他の機序による細胞死の測定(例えば、アネキシンV染色、TUNELアッセイ、DNAラダリングを測定するゲル電気泳動、組織学;蛍光発生カスパーゼアッセイ、カスパーゼ基質のウェスタンブロット分析);免疫細胞によって産生される遺伝子、タンパク質、および他の分子の測定(例えば、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、2次元ゲル電気泳動、ウェスタンブロット分析、酵素結合免疫吸着アッセイ、フローサイトメトリー);ならびに自己タンパク質または自己ポリペプチドが関与する自己免疫疾患、神経変性性疾患、および他の疾患の臨床症状または臨床転帰(例えば改善)の、例えば、多発性硬化症の場合には再発率または疾患重症度を測定することによる(当業者に公知の臨床スコアを使用する)、I型糖尿病の場合には血糖を、または関節リウマチの場合には関節の炎症を測定することよる、測定(臨床スコア、追加の治療法を使用する要件、機能的状態、画像研究)を含む。
VI. 製造物品およびキット
適切な包装の中にある、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)を含む製造物品も本明細書において提供される。製造物品に適した包装には、1つまたは複数の容器、典型的には、複数の容器と、包装材料と、前記容器および/もしくは包装の表面にあるか、または前記容器および/もしくは包装に付けられたラベルまたは添付文書が含まれ、一般的には、ラベルまたは添付文書は前記組成物を対象に投与するための説明書を含む。本明細書に記載の組成物を包装するための適切な容器は当技術分野において公知であり、例えば、バイアル(例えば、密封されたバイアル)、器、アンプル、瓶、ジャー、柔軟性のある包装(例えば、密封されたマイラー(sealed Mylar)またはプラスチックバック)などを含む。これらの製造物品はさらに滅菌および/または密封されてもよい。
さらに、製造物品は、1つもしくは複数の識別情報および/または使用のための説明書が付いた添付文書またはラベルを備えてもよい。いくつかの態様では、情報または説明書は、特定の状態もしくは疾患を処置するために、その内容を使用することができるか、もしくは使用しなければならならいこと、および/またはそのために説明書を提供することを示す。ラベルまたは添付文書は、疾患または状態を処置するために製造物品の中身が用いられることを示してもよい。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書は、例えば、提供される方法の任意の態様に従って、対象を処置するための説明書を提供する。いくつかの態様では、説明書は、対象に1つまたは複数の単位用量を投与することを指定する。
本明細書に記載の薬学的組成物(または製造物品)を備えるキットがさらに提供され、このキットは、前記組成物を使用する方法、例えば、本明細書に記載の使用に関する説明書をさらに備えてもよい。本明細書に記載のキットはまた、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、および本明細書に記載の任意の方法を実施するための説明書が付いた添付文書を含む商業的な、かつ使用者の観点から望ましい他の資料を含んでもよい。
VII. 治療用途
本明細書に記載のバリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含有する提供される分子およびそれを含有する薬学的組成物を使用する方法およびそれらの使用が本明細書において提供される。このような方法および使用には、対象における、例えば、ヒト患者における疾患または状態の処置に関連して免疫応答を調節するための方法を含む、免疫応答を調節するための方法が含まれる。本明細書中の使用する方法および使用における、このような分子の中には、親和性が改変されたIgSFドメイン(例えば、IgV)を含有するICOSLバリアントポリペプチドの細胞外ドメインまたはその一部が多量体化ドメイン、例えば、Fcドメインまたは領域に直接的または間接的に連結されている免疫調節性融合タンパク質フォーマットが含まれる。いくつかの態様では、このような治療剤はバリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、バリアントICOSL IgV-Fv融合タンパク質である。いくつかの態様では、薬学的組成物は、炎症性障害もしくは自己免疫性障害を処置するのに、または哺乳動物における臓器移植に関連して処置するのに用いられる。
いくつかの局面では、薬学的組成物は、疾患を処置するために免疫応答を調節(例えば、減少)することができる。本発明の治療用組成物の投与が、免疫細胞の活性を減少もしくは低減させることによって、免疫細胞の物理的特性もしくは機能的特性を変えることによって、またはこれらの効果の組み合わせによって免疫学的活性を十分に調節するかどうか確かめるための様々な手段が知られている。免疫学的活性の調節の測定の例には、(フローサイトメトリー、免疫組織化学、組織学、電子顕微鏡、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する)免疫細胞集団の有無の検査;(例えば、抗CD3抗体、抗T細胞受容体抗体、抗CD28抗体、カルシウムイオノフォア、PMA(ホルボール12-ミリステート13-アセテート)、ペプチドまたはタンパク質抗原が装填された抗原提示細胞を用いた刺激後の3H-チミジンの取り込みに基づいたT細胞増殖アッセイおよびペップスキャン(pepscan)分析;B細胞増殖アッセイを使用する)シグナルに応答して増殖もしくは分裂できること、または増殖もしくは分裂しにくいことを含む免疫細胞の機能的能力の測定;他の細胞を死滅させるか、または溶解する能力の測定(例えば、細胞傷害性T細胞アッセイ);(例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫測定法、ウエスタンブロット分析、タンパク質マイクロアレイ分析、免疫沈降分析による)サイトカイン、ケモカイン、細胞表面分子、抗体、および他の細胞産物の測定;免疫細胞または免疫細胞内にあるシグナル伝達経路の活性化の生化学マーカーの測定(例えば、チロシン、セリン、またはスレオニンリン酸化のウエスタンブロットおよび免疫沈降分析、ポリペプチド切断、ならびにタンパク質複合体の形成または解離;タンパク質アレイ分析;DNAアレイまたはサブトラクティブハイブリダイゼーションを使用するDNA転写プロファイリング);アポトーシス、壊死、または他の機構による細胞死の測定(例えば、アネキシンV染色、TUNELアッセイ、DNAラダリング(laddering)を測定するゲル電気泳動、組織学;蛍光発生的カスパーゼアッセイ、カスパーゼ基質のウエスタンブロット分析);免疫細胞によって産生される遺伝子、タンパク質、および他の分子の測定(例えば、ノザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、2次元ゲル電気泳動、ウエスタンブロット分析、酵素結合免疫測定法、フローサイトメトリー);ならびに臨床症状またはアウトカムの測定、例えば、(当業者に公知の臨床スコアを使用する)再発率または疾患重篤度の測定による臨床症状またはアウトカムの測定が含まれるが、これに限定されない。
提供される方法および使用の中には、治療的方法および使用、例えば、処置を必要とする疾患、状態、または障害を有する対象への、前記分子または前記分子を含有する組成物の投与が関与する治療的方法および使用が含まれる。いくつかの態様では、提供される方法はまた、疾患、状態、もしくは障害の発症前の対象への、または疾患、状態、もしくは障害が発症する可能性が高い対象への、前記分子または前記分子を含有する組成物の投与が関与する予防的処置も含む。本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、例えば、自己免疫性または炎症性の疾患または障害の処置を含む、様々な治療的処置または予防的処置用途、例えば、説明された治療的処置または予防的処置用途において使用することができる。いくつかの態様では、前記分子は、疾患または障害の処置をもたらすのに有効な量で投与される。使用には、このような方法および処置における、ならびに、このような治療的方法を実施するための医薬の調製におけるバリアントICOSLポリペプチド、例えば、免疫調節性融合タンパク質を含有する分子の使用が含まれる。いくつかの態様では、前記方法は、疾患もしくは状態を有するか、または疾患もしくは状態を有すると疑われる対象に、バリアントICOSLポリペプチド、例えば、免疫調節性融合タンパク質、またはこれを含む組成物を投与することによって実施される。いくつかの態様では、これによって、前記方法は、対象における疾患または状態または障害を処置する。
いくつかの態様では、提供される方法は、バリアントICOSLポリペプチド、例えば、本明細書に記載の免疫調節性融合タンパク質の治療的投与に適用することができる。いくつかの態様では、薬学的組成物は免疫応答を抑制し、これは、炎症性障害もしくは自己免疫性障害または臓器移植の処置において有用な場合がある。いくつかの態様では、薬学的組成物は、その同族結合パートナーCD28もしくはICOSのアンタゴニスト活性を示す、および/またはCD28もしくはICOSを介した共刺激シグナル伝達をブロックもしくは阻害するフォーマットでバリアントICOSLポリペプチドを含有する。このような治療用途に関連した使用のためのICOSLポリペプチドの例示的なフォーマットには、例えば、可溶性のバリアントICOSLポリペプチド(例えば、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質)が含まれる。
提供される方法および使用は、CD28および/またはICOS経路が関与する疾患または状態の処置を含む。いくつかの態様では、提供される方法および使用は、CD28および/またはICOS経路が関与する疾患または状態の処置を含む。CD28およびICOSは、それぞれのリガンドであるCD80(B7-1)およびCD86(B7-2)ならびにICOSLに結合したときに、最適なT細胞活性化に必要な共刺激シグナルを供給する。CD28は、特定の炎症性疾患、例えば、移植片対宿主病(GVHD)における発病プロセスの開始に関与する。いくつかの局面では、CD28経路阻害剤の使用によるCD28の標的化は、予防および/または処置を含む、このような疾患および状態に対する治療的有用性をもたらす可能性がある。しかしながら、いくつかの場合には、CD28経路阻害だけでは、多くの患者において、確立した疾患を管理するのに十分でないことがある。これに関連して、初期活性化後に、CD28はダウンレギュレートされることが多いが、それに対して、その最も密接に関連するファミリーであるICOSはアップレギュレートされ、胃腸症状を含む疾患、例えば、GVHDを持続し得る、さらなるT細胞共刺激を供給すると認識されている(Adom et al. Blood 2018; 132-355)。提供される態様は、CD28経路またはICOS経路単独のばらばらの遮断を示す薬剤と比較して、CD28およびICOSの組み合わされた遮断を示すバリアントICOSL分子、例えば、バリアントICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の優れた有用性に基づいている。本明細書に記載のように、特に、CD28およびICOSに対する高親和性結合、強力なT細胞活性化、および様々な炎症性動物モデル、例えば、マウスにおけるヒト異種GVHDモデルにおける疾患活動の抑制を示す、バリアントICOSL分子、例えば、バリアントICOSL vIgD-Fc融合タンパク質が提供される。このような例では、このような効果は、たった1用量のバリアントICOSL分子の後に認められる。
A. 疾患または状態
いくつかの態様では、提供される方法は、炎症性障害または自己免疫性障害、例えば、本明細書に記載の任意の炎症性障害または自己免疫性障害を処置するための方法である。いくつかの態様では、処置は、障害の症状の発症時に、またはほぼ、障害の症状の発症時に投与される。いくつかの態様では、処置は、疾患の発症および/または症状の発症と比べて遅延した時間に投与される。処置投与の遅延は、移植(transplanation)、例えば、本明細書中で説明された移植と比べたものでもよいと理解されるはずである。いくつかの態様では、遅延の量は、疾患および/もしくは症状の発症から1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、または少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、もしくはそれより長い。いくつかの態様では、遅延の量は、疾患および/または症状の発症から2週間である。いくつかの態様では、遅延の量は、疾患および/もしくは症状の発症から3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年であるか、もしくはそれより長いか、約3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年であるか、もしくはそれより長いか、または少なくとも3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、もしくはそれより長い。いくつかの態様では、任意の時間遅れ、例えば、本明細書に記載のような時間遅れの後に投与される処置は、本明細書に記載の計画された任意の処置レジメン(regime)、投薬量、または投薬に従って投与される。
1. 炎症性障害または自己免疫性障害
いくつかの態様では、提供される方法は、炎症性障害または自己免疫性障害、例えば、本明細書に記載の任意の炎症性障害または自己免疫性障害を発症する可能性が高いか、または発症すると疑われる対象の予防的処置を含む。例えば、特定の自己免疫性障害または炎症性障害、例えば、急性GVHDの発症は造血細胞移植に関連するか、または造血細胞移植後に発症することがある。いくつかの場合には、本明細書に記載の予防的処置は、炎症性障害または自己免疫性障害を発症する対象のリスクを最小限にするか、または低減する。
いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、脈管炎、自己免疫性皮膚疾患、移植、リウマチ性疾患、炎症性胃腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性神経学的疾患、炎症性肺疾患、炎症性内分泌疾患、または自己免疫性血液疾患である。
いくつかの態様において、本明細書に記載の薬学的組成物によって処置することができる炎症性および自己免疫性の障害は、アジソン病、アレルギー、円形脱毛症、アルツハイマー病、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(ヒューズ症候群)、喘息、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ球増殖性症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫精巣炎、無精子症、ベーチェット病、バージャー病、水疱性類天疱瘡、心筋症、心血管疾患、セリアックスプルー/セリアック病、慢性疲労免疫不全症候群(chronic fatigue immune dysfunction syndrome)(CFIDS)、慢性特発性多発性神経炎(chronic idiopathic polyneuritis)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(chronic inflammatory demyelinating, polyradicalneuropathy)(CIDP)、慢性再発性多発ニューロパチー(ギラン・バレー症候群)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症(CAD)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、CREST症候群、クローン病、ヘルペス状皮膚炎(dermatitis, herpetiformus)、皮膚筋炎、糖尿病、円板状エリテマトーデス(discoid lupus)、湿疹、後天性表皮水疱症、本態性混合性クリオグロブリン血症(essential mixed cryoglobulinemia)、エヴァンス症候群、眼球突出(exopthalmos)、線維筋痛症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫増殖性の疾患または障害、炎症性腸疾患(IBD)、間質性肺疾患、若年性関節炎、若年性特発性関節炎(JIA)、川崎病、ランバート・イートン筋無力症症候群、扁平苔癬、ループス腎炎、リンパ球性下垂体炎、メニエール病、ミラー・フィッシャー症候群/急性播種性脳脊髄神経根障害(acute disseminated encephalomyeloradiculopathy)、混合性結合組織病、多発性硬化症(MS)、筋肉リウマチ、筋痛性脳脊髄炎(ME)、重症筋無力症、眼の炎症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(ウイタカー症候群(Whitaker’s syndrome))、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変/自己免疫性胆管症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群/反応性関節炎、再狭窄、リウマチ熱、リウマチ性疾患、類肉腫症、シュミット症候群、硬皮症、シェーグレン症候群(Sjorgen’s Syndrome)、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬皮症、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、間質性腸疾患(interstitial bowel disease)、またはヴェーゲナー肉芽腫症である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は、間質性腸疾患、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、喘息、関節リウマチ、および乾癬から選択される。
いくつかの態様では、炎症性または自己免疫性の疾患または状態は結合組織病である。結合組織病には、広範にわたる結合組織の免疫学的変化および炎症性変化が共通してある疾患が含まれる。共通の所見には、関節炎または滑膜炎、胸膜炎、心筋炎、心内膜炎、心外膜炎、腹膜炎、脈管炎、筋炎、皮膚炎、腎炎、および結合組織の変化が含まれる。結合組織病は実質的に任意の臓器系を伴う。特に、提供される方法は、免疫調節パターンの変化による皮膚、関節、および軟部組織の炎症を伴う結合組織病、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、進行性全身性硬化症、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、および混合性結合組織病を処置するための方法を含む。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は、感染症に続発する障害である。いくつかの態様では、感染症はウイルス感染症である。いくつかの態様では、感染症は細菌感染症である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は、薬物または療法による処置に応答して発生した障害である。いくつかの態様では、処置は免疫療法である。いくつかの態様では、免疫療法は、キメラ抗原受容体を発現するように操作された自己T細胞の養子細胞移入、例えば、CAR-T細胞療法である。いくつかの態様では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤を用いた処置である。感染症、例えば、ウイルス感染症、または薬物処置もしくは療法に続発する炎症性障害または自己免疫性障害の例には、サイトカインストーム、サイトカイン放出症候群、全身性炎症反応症候群、マクロファージ活性化症候群(MAS)、および血球貪食性リンパ組織球症(例えば、続発性血球貪食性リンパ組織球症)が含まれるが、これに限定されない。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はサイトカインストームである。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はサイトカイン放出症候群(CRS)である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は全身性炎症反応症候群である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はマクロファージ活性化症候群(MAS)である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は血球貪食性リンパ組織球症である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は続発性血球貪食性リンパ組織球症である。いくつかの態様では、サイトカイン放出症候群、全身性炎症反応症候群、マクロファージ活性化症候群(MAS)、および血球貪食性リンパ組織球症(例えば、続発性血球貪食性リンパ組織球症)はサイトカインストームのサブセットである。
サイトカインストーム、例えば、サイトカイン放出症候群(CRS)に関連する例示的なアウトカムには、発熱、硬直、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳症、ALT/AST上昇、腎不全、心臓障害、低酸素、神経障害、および死亡が含まれる。神経学的合併症には、せん妄、発作様活動、錯乱、喚語障害、失語症、および/または昏迷状態が含まれる。他のアウトカムには、疲労、悪心、頭痛、発作、頻拍、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能障害、および腎不全が含まれる。いくつかの局面では、サイトカインストーム、例えば、CRSは、1種類または複数種の因子、例えば、血清-フェリチン、D-ダイマー、アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびトリグリセリドの増加に関連するか、または低フィブリノゲン血症もしくは肝脾腫に関連する。サイトカインストーム、例えば、CRSに関連する他の例示的な徴候または症状には、血行動態不安定、発熱性好中球減少症、血清C反応性タンパク質(CRP)の増加、凝固パラメータ(例えば、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PTI)、および/もしくはフィブリノゲン)の変化、心臓および他の臓器の機能の変化、ならびに/または好中球絶対数(ANC)が含まれる。
いくつかの態様では、サイトカインストーム(例えばCRS)に関連するアウトカムには、持続性の発熱、例えば指定された温度の発熱、例えば2日以上、例えば3日以上、例えば4日以上にわたる、または少なくとも3日間連続する指定された温度の発熱、例えば摂氏38度または約38度より高い発熱;摂氏38度または約38度より高い発熱;サイトカインの上昇、例えば最大倍率変化、例えば、少なくとも2種類のサイトカイン(例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/もしくは腫瘍壊死因子α(TNFα)からなる群のうちの少なくとも2つ)の処置前レベルと比較して少なくとも75もしくは約75の最大倍率変化、または、例えば、このようなサイトカインのうちの少なくとも1つの少なくとも250もしくは約250の最大倍率変化;ならびに/あるいは毒性、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬(intravenous vasoactive pressor)によって測定されたとき);低酸素(例えば、90%または約90%より低い血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1つまたは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)のうちの少なくとも1つの臨床徴候の1つまたは複数が含まれる。
例示的なサイトカインストームに関連する、例えば、CRSに関連するアウトカムには、サイトカインおよびケモカインならびにサイトカインストームに関連する他の因子を含む1種類または複数種の因子の増加した、または高い血清レベルが含まれる。例示的なアウトカムには、このような因子の1つまたは複数の合成または分泌の増加がさらに含まれる。このような合成または分泌は、T細胞、またはT細胞、例えば、自然免疫細胞もしくはB細胞と相互作用する細胞によるものでもよい。
いくつかの態様では、サイトカインストームに関連する、例えば、CRS、血清因子または関連するアウトカムには、インターフェロンγ(IFN-γ)、TNF-a、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Ra、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、腫瘍壊死因子α(TNFα)、IL-6、およびIL-10、IL-1β、IL-8、IL-2、MIP-1、Flt-3L、フラクタルカイン、ならびに/またはIL-5を含む炎症性サイトカインおよび/またはケモカインが含まれる。いくつかの態様では、前記因子またはアウトカムにはC反応性タンパク質(CRP)が含まれる。CRPは早期に、かつ容易に測定可能な危険因子であることに加えて細胞増殖マーカーでもある。いくつかの態様では、高レベルのCRP、例えば、≧15mg/dLのCRPがあると測定された対象はサイトカインストーム、例えば、CRSを有する。いくつかの態様では、高レベルのCRPがあると測定された対象はサイトカインストーム、例えば、CRSを有さない。いくつかの態様では、サイトカインストームの尺度は、CRP、およびサイトカインストーム、例えば、CRSを示す別の因子の測定を含む。
いくつかの態様では、サイトカインストームを評価するために1種類または複数種の炎症性のサイトカインまたはケモカインがモニタリングされる。いくつかの局面では、1種類または複数種のサイトカインまたはケモカインには、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)が含まれる。いくつかの態様では、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6がモニタリングされる。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はCRSである。いくつかの態様では、炎症はCRSに関連する。どの患者が、CRSを発症するリスクがある可能性が高いかを予測するために、CRSの発症と相関するように思われるCRS基準が開発されている。因子には、発熱、低酸素、低血圧、神経変化、炎症性サイトカイン、例えば、7種一組のサイトカイン(IFNγ、IL-5、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびGM-CSF)の血清レベルの上昇が含まれる。いくつかの態様では、CRSグレードを反映する基準は、以下の表Aに詳述した基準である。
(表A)CRSの例示的なグレード分類基準
Figure 2022529059000019
いくつかの態様では、CRSは重度CRSまたはグレード3以上のCRSである。いくつかの態様では、重度CRSまたはグレード3以上(例えばグレード4以上)のCRSに関連するアウトカムには、持続性の発熱、例えば、指定された温度の発熱、例えば、2日以上、例えば、3日以上、例えば、4日以上にわたる、または少なくとも3日間連続する指定された温度の発熱、例えば、摂氏38度または約38度より高い発熱;摂氏38度または約38度より高い発熱;サイトカインの上昇、例えば、最大倍率変化、例えば、少なくとも2種類のサイトカイン(例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/もしくは腫瘍壊死因子α(TNFα)からなる群のうちの少なくとも2つ)のベースラインレベルと比較して少なくとも75もしくは約75の最大倍率変化、または、例えば、このようなサイトカインのうちの少なくとも1つの少なくとも250もしくは約250の最大倍率変化;ならびに/あるいは毒性、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬によって測定されたとき);低酸素(例えば、90%または約90%より低い血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1つまたは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)のうちの少なくとも1つの臨床徴候の1つまたは複数が含まれる。いくつかの態様では、重度CRSには、集中治療室(ICU)での管理または看護を必要とするCRSが含まれる。
いくつかの態様では、重度CRSまたはグレード3のCRSは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、悪寒、発熱性好中球減少症、頭痛、左室機能不全、脳症、水頭症、および/または振戦を包含する。
いくつかの態様では、サイトカインストーム、例えば、CRSは感染症に応答して発生するか、または感染症に続発する。いくつかの態様では、感染症はウイルス感染症または細菌感染症である。いくつかの態様では、ウイルス感染症はコロナウイルス感染症である。いくつかの態様では、ウイルス感染症はSARS-CoV-2感染症である。いくつかの態様では、ウイルス感染症はSARS-CoV感染症である。いくつかの態様では、ウイルス感染症はMERS-CoV感染症である。
いくつかの態様では、サイトカインストームは、感染症、状態、もしくは疾患に続発して発生するか、または感染症、状態、もしくは疾患に続発する。例えば、サイトカインストーム、例えば、CRSは、感染症、状態、または疾患の経過中に発生することがある。いくつかの態様では、サイトカインストーム、例えば、CRSはコロナウイルス2019において発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは肺炎において発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームはショックにおいて発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは敗血症において発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは多臓器系機能不全において発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)において発生する。
いくつかの態様では、サイトカインストームは薬物または療法による処置に応答して発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは免疫療法による処置に応答して発生する。例えば、いくつかの場合には、サイトカインストームは、キメラ抗原受容体を発現するように操作された自己T細胞の養子細胞移入、例えば、CAR-T細胞療法の後に発生する。いくつかの態様では、サイトカインストームは、チェックポイント阻害剤による処置後に発生する。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はサイトカインストームを処置するのに用いられる。いくつかの態様では、処置しようとするサイトカインストームはSARS-CoV-2感染症に続発する。いくつかの態様では、SARS-CoV-2による感染症は、陽性のRT-PCR検査によって確認される。いくつかの態様では、処置しようとするSARS-CoV-2が陽性の対象は、さらに、SARS-CoV-2感染症に起因する重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、敗血症ショック、または多臓器系機能不全を示す。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は慢性自己免疫疾患である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はシェーグレン症候群(pSS)または全身性エリテマトーデス(SLE)である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は炎症性腸疾患(IBD)である。いくつかの態様では、IBDは慢性IBDである。いくつかの例では、炎症性障害または自己免疫性障害はクローン病である。いくつかの例では、炎症性障害または自己免疫性障害は潰瘍性大腸炎である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害はIBD関連疾患または障害、例えば、間質性肺疾患(ILD)である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は乾癬性関節炎または関節リウマチである。
いくつかの態様では、薬学的組成物は自己免疫性状態を調節するために投与される。例えば、免疫応答の抑制は、レシピエントによる、ドナーからの組織、細胞、または臓器移植の拒絶反応を阻害するための方法において有用な場合がある。従って、いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物は、移植片に関連する、または移植に関連する疾患または障害、例えば、移植片対宿主病(GvHD)を制限または予防するのに用いられる。いくつかの態様では、薬学的組成物は、移植された(transplanted)または移植された(grafted)骨髄、臓器、皮膚、筋肉、ニューロン、島、または実質細胞の自己免疫性拒絶反応を抑制するのに用いられる。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は唾液腺炎に関連する。いくつかの場合には、唾液腺炎は、ウイルスまたは細菌によって引き起こされる唾液腺の感染症である。いくつかの態様では、耳下腺または顎下腺が唾液腺炎の影響を受ける。いくつかの態様では、唾液腺炎は、患部の疼痛、圧痛、発赤、およびゆるやかな局所的腫脹(sqelling)に関連する。
いくつかの態様では、炎症性障害または免疫障害は膵島炎に関連する。いくつかの態様では、膵島炎は膵臓にあるランゲルハンス島の炎症を伴う。いくつかの態様では、膵臓β細胞を含有する島には、Bリンパ球およびTリンパ球、マクロファージまたは樹状細胞が浸潤している。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は乾癬性関節炎(PsA)を処置するのに用いられる。いくつかの場合には、PsAは、1つまたは複数の関節、例えば、肘、手首、手、および足、または仙腸関節(sacroliliac joint)を含む、手指、足指、腕、または脚に影響を及ぼす。いくつかの場合には、PsAは軽度である、および/または4以下の関節に影響を及ぼす。いくつかの場合には、PsAは中程度である、および/または4以上の関節に影響を及ぼす。いくつかの場合には、PsAがある対象は、脊椎もしくは首において、または1つもしくは複数の(one more)関節において、疼痛、こわばり、または炎症を示すことがある。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は関節リウマチ(RA)を処置するのに用いられる。いくつかの場合には、RAは、関節、関節の裏打ち、および/または体内にある非関節構造(例えば、皮膚、眼、肺、心臓、腎臓、唾液腺、神経組織、骨髄、もしくは血管)に影響を及ぼす。いくつかの態様では、RAまたはRA症状は慢性である。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は慢性障害である。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害は急性障害である。
いくつかの場合には、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は慢性の炎症性障害または自己免疫性障害を処置するのに用いられることがある。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた、慢性の炎症性障害または自己免疫(autimmune)障害の処置は対象への連続投与を含む。いくつかの態様では、連続投与は反復投与である。いくつかの場合には、処置レジメンを含む処置期間は繰り返される。本明細書に記載のように、いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は、前の処置期間の直後に発生する。いくつかの態様では、投与は、当業者が望ましいように任意の時間まで繰り返される。例えば、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置は無期限に対象に処置を投与する工程を含んでもよい。
いくつかの場合には、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害を処置するための、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は間欠投与を含む。例えば、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置は、特定の処置レジメン、例えば、処置期間中の処置レジメンが対象に任意の回数で繰り返し投与されるように周期的に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、処置期間および処置レジメンは、処置期間の間に遅延を伴って繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。いくつかの態様では、処置は、当業者が望む任意の回数で対象に投与される。
いくつかの態様では、処置は、望ましい効果を維持するために対象に投与される。例えば、いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害が慢性の炎症性疾患または自己免疫性疾患である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。いくつかの態様では、処置は、慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害の症状の再発を予防するために、および/または慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害の症状の寛解もしくは低減を維持するために継続される場合がある。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間まで継続する。いくつかの態様では、継続される投与は、本明細書に記載のように、繰り返される処置期間の形をとる。
本明細書に記載の慢性炎症性障害または慢性自己免疫性障害、例えば、慢性GvHD、慢性炎症性腸疾患、シェーグレン症候群(pSS)もしくは全身性エリテマトーデス(SLE)、COPD、クローン病、潰瘍性大腸炎、間質性肺疾患(ILD)、乾癬性関節炎、関節リウマチ、または本明細書に記載の炎症性もしくは自己免疫性の疾患もしくは障害の任意の慢性型のどれであっても、上記の慢性処置に従って処置を投与することによって処置することができる。
いくつかの場合には、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は急性の炎症性障害または自己免疫性障害を処置するのに用いられることがある。例えば、急性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた急性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置は、規定された、または制限された期間にわたって対象に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、投与は、繰り返されない1回の処置期間にわたる。いくつかの態様では、投与は単一用量である。いくつかの態様では、持続時間または処置期間は、当業者が望むように設定される。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害が急性の炎症性障害または自己免疫性障害である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、急性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に中断される。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間で中断される。
本明細書に記載の急性の炎症性障害または自己免疫性障害、例えば、急性GvHD、または本明細書に記載の任意の急性型の炎症性障害もしくは自己免疫性障害のどれであっても、上記に従って処置を投与することによって処置することができる。いくつかの態様では、サイトカインストームは急性の炎症性疾患または自己免疫性疾患である。いくつかの態様では、CRSは急性の炎症性疾患または自己免疫性疾患である。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はGVHDを処置するのに用いられる。
いくつかの態様では、GVHDは慢性GVHDである。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はGVHDを処置するのに用いられる。いくつかの態様では、GVHDは慢性GVHDである。いくつかの場合には、慢性GVHDは、同種造血幹細胞移植(HSCT)および/または宿主組織に対するドナー免疫細胞の反応の後に発生する。いくつかの場合には、慢性GVHDは皮膚、肝臓、または胃腸管において現れる。いくつかの態様では、慢性GVHDは抵抗性または難治性である。いくつかの態様では、慢性GVHDは免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性である。いくつかの場合には、免疫抑制剤はコルチコステロイドおよび/またはシクロスポリンである。いくつかの場合には、コルチコステロイドはグルココルチコイドである。
いくつかの態様では、GVHDは急性GVHD(aGVHD)である。いくつかの場合には、aGVHDは、同種造血幹細胞移植(HSCT)および/または宿主組織に対するドナー免疫細胞の反応の後に発生する。いくつかの態様では、aGVHDは抵抗性または難治性である。いくつかの態様では、aGVHDは免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性である。いくつかの場合には、aGVHDは皮膚、肝臓、または胃腸管において現れる。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はGVHDを処置するのに用いられる。いくつかの態様では、GVHDは急性GVHD(aGVHD)である。いくつかの場合には、aGVHDは、同種造血幹細胞移植(HSCT)および/または宿主組織に対するドナー免疫細胞の反応の後に発生する。いくつかの場合には、aGVHDは皮膚、肝臓、または胃腸管において現れる。いくつかの態様では、aGVHDは抵抗性または難治性である。いくつかの態様では、aGVHDは免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性である。いくつかの場合には、免疫抑制剤はコルチコステロイドおよび/またはシクロスポリンである。いくつかの場合には、コルチコステロイドはグルココルチコイドである。
いくつかの態様では、抵抗性または難治性のaGvHDは、≧2mg/kg/日のプレドニゾンまたはその等価物による処置を開始した後、5日以内にaGVHDが進行することを含む。いくつかの態様では、進行は、任意の臓器における寛解を伴って、もしくは伴わずに少なくとも1つの臓器においてGVHDが悪化することであるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、抵抗性または難治性のaGVHDは、≧2mg/kg/日のプレドニゾンまたはその等価物による処置を開始した後、7日以内に改善できないことを含む。いくつかの態様では、改善できないとは、任意の臓器における寛解を伴って、もしくは伴わずに少なくとも1つの臓器においてGVHDが悪化すること、または任意の臓器において同じグレードのGVHDが維持されること、もしくはGVHDが進行すること、または死亡すること、あるいは計画された救援療法を過ぎて二次GVHD療法が加えられることであるか、あるいはそれを含む。いくつかの態様では、抵抗性または難治性のaGVHDは、28日間のステロイドを含む免疫抑制処置後の、例えば、≧2mg/kg/日のプレドニゾンまたはその等価物による処置後の不完全応答を含む。いくつかの態様では、不完全応答は、計画された救援療法を過ぎて二次GVHD療法無しで、全ての臓器におけるaGVHD症状の完全消散に達することができないこと、またはそれを含む。いくつかの態様では、抵抗性または難治性のaGVHDは、本明細書に記載のあらゆる状態を含む。
いくつかの場合には、aGVHDは、Mount Sinai Acute GVHD International Consortium(MAGIC)Guidelineに従ってグレード分類またはステージ分類される。表Bは例示的なGVHD標的臓器ステージ分類を示す。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はグレードII~IVのaGVHDを処置するのに用いられる。
(表B)GVHD標的臓器ステージ分類
Figure 2022529059000020
全臨床グレード(最も重度の標的臓器合併症に基づく)
●グレード0: どの臓器にもステージ1~4がない
●グレードI: 肝臓、上部GI、または下部GI合併症を伴わないステージ1~2皮膚
●グレードII: ステージ3発疹および/またはステージ1肝臓および/またはステージ1上部GIおよび/またはステージ1下部GI
●グレードIII: 0~3皮膚および/または0~1上部GIを伴う、ステージ2~3肝臓および/またはステージ2~3下部GI
●グレードIV: 0~1上部GIを伴う、ステージ4皮膚、肝臓、または下部GI合併症
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、処置開始時にカルノフスキーグレードが40以上のaGVHD対象を処置するのに用いられる。表Cはカルノフスキーグレード分類法(Karnofsky grading scheme)を示す。
(表C)カルノフスキー・ステータス
Figure 2022529059000021
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、処置開始時に、例えば、1回目の投薬(first dose)時に40以上のカルノフスキーグレードを有する、本明細書に記載のようなグレードII~IVの抵抗性または難治性のaGVHDがある対象を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、対象は少なくとも18歳以上でなければならない。いくつかの態様では、対象は救援療法でさらに処置されてもよい。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を投与する少なくとも2日前に救援療法を開始する。いくつかの態様では、救援療法を受けている対象には、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を投与する前に少なくとも2日間にわたって適切な用量で投与しなければならない。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を投与した後に救援療法を開始しない場合がある。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、幹細胞移植(例えば、造血幹細胞移植、例えば、同種ドナーからの造血幹細胞移植)に関連する炎症性状態または自己免疫性状態のリスクを、例えば予防的処置によって、予防または低減するために用いられる。いくつかの態様では、予防的処置は、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量の本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を投与する工程を含む。いくつかの態様では、予防的処置は、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量の本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を投与する工程、および対象が幹細胞移植を受けると同時に少なくとも1つの用量を投与する工程を含む。いくつかの態様では、幹細胞移植に関連する炎症性状態または自己免疫性状態は急性GVHDである。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は中程度のaGVHDを予防的に処置するために用いられる。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は重度のaGVHDを予防的に処置するために、または予防するために用いられる。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた予防的処置は中程度または重度のaGVHDを予防または制限する。いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物は、移植片に関連する、または移植に関連する疾患または障害、例えば、免疫抑制剤、例えば、コルチコステロイド(例えば、グルココルチコイド)またはシクロスポリンに対して抵抗性または難治性のaGVHDを制限または予防するために用いられる。
いくつかの態様では、幹細胞移植に関連する炎症性状態または自己免疫性状態(例えば、造血幹細胞移植、例えば、同種ドナーに由来する造血幹細胞移植)を処置する工程は、状態の予防的処置(例えば、状態を予防する工程)を含む。いくつかの態様では、予防的処置は移植片周囲(peri-transplant)処置を含む。いくつかの場合には、移植片周囲処置は、幹細胞移植に関連するGVHDのリスクを予防するか、または下げる。いくつかの態様では、移植片周囲処置は、幹細胞移植前に処置を投与する工程、および幹細胞移植と同時に、または幹細胞移植の後に処置を投与する工程を含む。いくつかの態様では、処置投与は移植と比べて遅延される。いくつかの態様では、遅延の量は、移植時間から1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、または少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、もしくはそれより長い。いくつかの態様では、遅延の量は移植から100日より短い。いくつかの態様では、GVHDは急性移植片対宿主病(aGVHD)である。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、臓器移植に関連する自己免疫性状態を処置するのに用いられる。いくつかの場合には、臓器移植に関連する自己免疫性状態を処置する工程は、宿主および移植された臓器の生存を延長する可能性がある。いくつかの態様では、臓器移植に関連する自己免疫性状態を処置する工程は、臓器移植のレシピエントである対象による移植片拒絶の予防、または臓器移植のレシピエントである対象による移植片拒絶を阻害もしくは予防する工程を含む。
いくつかの態様では、臓器移植に関連する炎症性状態または自己免疫性状態を処置する工程は移植片周囲処置を含む。いくつかの場合には、移植片周囲処置は、臓器移植のレシピエントである対象による移植片拒絶のリスクを予防するか、または下げる。いくつかの態様では、移植片周囲処置は、移植前に処置を投与する工程、および移植と同時に、または移植の後に処置を投与する工程を含む。いくつかの態様では、処置投与は移植と比べて遅延される。いくつかの態様では、遅延の量は、移植時間から1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長いか、または少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、もしくはそれより長い。いくつかの態様では、遅延の量は移植から100日より短い。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は炎症性腸疾患(IBD)を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、IBDは慢性IBDである。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はクローン病を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、クローン病は、クローン大腸炎、クローン腸炎、クローン回腸炎、またはクローン全腸炎からのサブタイプを含んでもよい。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質で処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は炎症性腸疾患(IBD)である。いくつかの場合には、IBDは、消化管の全てまたは一部の慢性炎症を伴う障害を包含する。いくつかの態様では、IBDは慢性IBDである。いくつかの態様では、IBD(例えば、慢性IBD)のタイプには潰瘍性大腸炎およびクローン病が含まれる。いくつかの態様では、慢性IBDにはクローン病および潰瘍性大腸炎が含まれる。いくつかの態様では、IBD(例えば、慢性IBD)の症状には、下痢、発熱および疲労、腹痛および痙攣、血便、食欲低下、ならびに意図的でない体重減少が含まれる。いくつかの態様では、IBDの症状はクローン病および潰瘍性大腸炎の両方に共通して見られる。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はクローン病(CD)を処置するのに用いられる。いくつかの場合には、CDは、口から肛門までの胃腸管のいずれか、または胃腸管の全ての炎症をもたらす。いくつかの場合には、CDは、消化管の裏打ちに影響を及ぼす慢性炎症性腸疾患である。いくつかの場合には、CDは、持続性の下痢、尿意促迫、不完全な排便の感じ、および/または便秘を含む腸運動に影響を及ぼす。いくつかの場合には、CDがある患者は腹部痙攣および疼痛を経験する。いくつかの場合には、CDがある患者は直腸出血を経験する。いくつかの場合には、CDの症状は患者間で異なる。いくつかの場合には、CDがある患者は、合併症、例えば、亀裂、フィステル、および狭窄を発症する。いくつかの場合には、CDの全身症状には、眼の発赤または疼痛、視力の変化、口の痛み、関節腫脹および/または有痛関節、皮膚合併症(例えば、発疹、こぶ、痛み)、発熱、食欲消失、体重減少、貧血、疲労、寝汗、正常な月経周期の消失、骨粗鬆症、腎結石、ならびに肝臓合併症(例えば、原発性硬化性胆管炎、硬変)が含まれる。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は潰瘍性大腸炎(UC)を処置するのに用いられる。いくつかの場合には、UCは消化管において持続性の炎症および/または潰瘍をもたらす。いくつかの場合には、UCは、大腸(結腸)および直腸の最も内側の裏打ちに影響を及ぼした。いくつかの場合には、UCの症状は長い期間をかけて発症する。いくつかの場合には、UCは、血液もしくは膿を伴う下痢、尿意促迫、および/または尿意促迫があるのにもにもかかわらず腸が運動できないことを含む腸運動に影響を及ぼす。いくつかの場合には、UCがある患者は、直腸出血、体重減少、疲労、発熱、および小児では発育不全を経験する。いくつかの場合には、症状は強さ(intesitiy)が軽度から中程度である。いくつかの場合には、UCがある患者は長期の寛解を経験することがある。いくつかの態様では、UCは潰瘍性直腸炎である。いくつかの態様では、潰瘍性直腸炎は、肛門に近い領域(直腸)に限定される。いくつかの場合には、潰瘍性直腸炎がある患者は直腸出血を経験する。いくつかの態様では、UCは直腸S状結腸炎である。いくつかの場合には、直腸S状結腸炎は直腸およびS字結腸に影響を及ぼす。いくつかの場合には、直腸S状結腸炎がある患者は、血性下痢、腹部痙攣および腹痛、ならびに尿意促迫があるのにもにもかかわらず腸が運動できないこと(テネスムス)を経験する。いくつかの場合には、UCは左側大腸炎である。いくつかの態様では、左側大腸炎は、直腸からS字結腸および下行結腸に及ぶ炎症をもたらす。いくつかの場合には、左側大腸炎がある患者は、血性下痢、左側の腹痛および痙攣、ならびに意図的でない体重減少を経験する。いくつかの場合には、UCは全大腸炎である。いくつかの態様では、全大腸炎は結腸全体に影響を及ぼす。いくつかの場合には、全大腸炎がある患者は血性下痢の発作、腹部痙攣および腹痛、疲労、ならびに著しい体重減少を経験する。いくつかの場合には、UCは急性重度UCである。いくつかの態様では、急性重度UCは、結腸全体に影響を及ぼす、まれな種類のUCである。いくつかの場合には、急性重度UCがある患者は、激痛、大量の下痢、出血、発熱、および摂食不能を経験する。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は全身性エリテマトーデス(SLE)を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はシェーグレン症候群を処置するのに用いられる。
投与量および投与
いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は対象に投与される。一般的に、薬学的組成物の投与量および投与経路は標準的な薬務に応じて対象のサイズおよび状態に従って決定される。いくつかの態様では、対象の状態は、処置される障害が慢性障害または急性障害であるかどうかを含む。例えば、治療的に有効な用量は、最初に、細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ、またはサルにおいて推定することができる。動物モデルはまた適切な濃度範囲および投与経路を決定するのにも用いられることがある。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定することができる。正確な投与量は、処置を必要とする対象に関連する因子を考慮して決定することができる。投与量および投与は、十分なレベルの活性化合物を供給し、望ましい効果を維持するように調整することができる。考慮され得る因子には、疾患状態の重篤度、対象の身体全体の健康、対象の年齢、体重、および性別、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに療法に対する応答が含まれる。
いくつかの態様では、対照動物ならびに疾患の動物モデル(例えば、がんモデル)において観察された薬物動態学的(PK)プロファイルおよび薬力学的(PD)プロファイルのモデリングおよびシミュレーションを用いて患者投薬を予測または決定することができる。例えば、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)からのPKデータを用いてヒトPKを推定することができる。同様に、マウスのPKデータおよびPDデータを用いてヒト投薬を予測することができる。観察された動物データを用いて、ヒトでの用量反応をシミュレートするのに使用できる計算モデルを特徴付けることができる。
いくつかの態様では、本明細書において提供される方法は、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)を、用量が、その同族リガンド、例えば、CD28および/またはICOSに対して、治療効果に十分な標的結合飽和に達することが知られているか、または達すると予測される量で投与する工程を含む。同族リガンドに対する結合の標的結合飽和は実験的または経験的に求めることができる。いくつかの態様では、標的結合飽和は、同族リガンド、例えば、ヒトCD28またはヒトICOSを発現する哺乳動物細胞に対するインビトロ結合データから求めることができる。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、Cmaxで25%もしくは約25%より大きな、例えば、maxで30%もしくは約30%より大きな、Cmaxで35%もしくは約35%より大きな、Cmaxで40%もしくは約40%より大きな、Cmaxで50%もしくは約50%より大きな、またはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、Cmaxで85%、少なくとも85%、または約85%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の24時間以内に10%もしくは約10%より大きな、例えば、15%もしくは約15%より大きな、20%もしくは約20%より大きな、25%もしくは約25%より大きな、30%もしくは約30%より大きな、50%もしくは約50%より大きな、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の2日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の7日(1週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%または約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の14日(2週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の21日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の28日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、Cmaxで25%もしくは約25%より大きな、例えば、maxで30%または約30%より大きな、Cmaxで35%または約35%より大きな、Cmaxで40%または約40%より大きな、Cmaxで50%もしくは約50%より大きな、またはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の24時間以内に10%もしくは約10%より大きな、例えば、15%もしくは約15%より大きな、20%もしくは約20%より大きな、25%もしくは約25%より大きな、30%もしくは約30%より大きな、50%もしくは約50%より大きな、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の2日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の7日(1週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%または約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の14日(2週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の21日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の28日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い、または約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い持続時間にわたって25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな、または約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い、または約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い持続時間にわたって50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな、または約50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、24時間または約24時間の持続時間にわたって50%または約50%より大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて3~4日ごとに、毎週、隔週、3週間ごとに、1ヶ月に1回など投与されてもよい。投薬頻度は、使用される製剤中にある分子の薬物動態学的パラメータに左右される。典型的には、望ましい効果を生む投与量に達するまで前記組成物は投与される。従って、前記組成物は単一用量として投与されてもよく、ある期間にわたって(同じ、もしくは異なる濃度/投与量で)複数の用量として投与されてもよく、または連続注入として投与されてもよい。適切な投与量のさらなる改善が日常的に加えられる。適切な投与量は適切な用量反応データを用いることで確かめられる場合がある。いくつかの場合には、例えば、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害が、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質で処置される場合、前記組成物はある期間にわたって連続して、例えば、繰り返して、またはある期間にわたって間欠的に投与される。例えば、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の炎症性障害または自己免疫性障害の処置は、無期限に対象に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害が慢性の炎症性障害または自己免疫性障害である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。いくつかの態様では、 投与は、当業者が望む任意の時間まで継続する。いくつかの場合には、例えば、急性の炎症性障害または自己免疫性障害が、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質で処置される時に、前記組成物は、規定された、または制限された期間にわたって対象に投与される。いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害が急性の炎症性障害または自己免疫性障害である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、急性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に中断される。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間で中断される。
典型的には、投与しようとする、本明細書において提供される組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染症または転移の程度、および状態の一人一人の違いを考慮して医師が決定することができる。いくつかの態様では、対象の1kgあたりのmgに基づく投与量について言及している時に、平均的なヒト対象は、約70kg~75kgの体重、例えば、70kgと1.73m2の体表面積(BSA)を有するとみなされている。
いくつかの態様では、投与量、例えば、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の治療有効量に達する投与量は、処置期間中の単一用量または反復用量、例えば、処置期間中の複数の用量の投与による反復用量である。いくつかの態様では、処置期間中に、単一用量の、バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含有する本明細書において提供される薬学的組成物が投与される。いくつかの態様では、処置期間中に、複数の反復用量の、バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含有する本明細書において提供される薬学的組成物が投与される。
いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。例えば、処置しようとする障害が慢性の炎症性障害または自己免疫性障害である場合、特定の処置レジメン、例えば、本明細書に記載の処置レジメンを含む処置期間は任意の回数で繰り返すことができる。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は、2年、3年、4年、5年、6年、もしくはそれより長く、または約2年、3年、4年、5年、6年、もしくはそれより長く繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は6年または約6年にわたって繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は3年または約3年にわたって繰り返される。いくつかの態様では、処置期間の反復回数は、当業者が望む任意の回数である。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は連続処置とみなされる場合がある。例えば、4週間の処置期間中に投与が週1回行われ、前の処置期間が終了した直後に処置期間が繰り返され、処置期間が無期限に繰り返される時に、繰り返される処置は連続処置である場合がある。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は間欠処置とみなされる場合がある。例えば、4週間の処置期間中に投与が週1回行われ、第1の処置期間が終了して2週間後に処置期間が繰り返され、このサイクルが繰り返される、例えば、無期限に繰り返される時に、繰り返される処置は間欠処置である場合がある。いくつかの態様では、間欠処置は連続処置である。
いくつかの態様では、処置期間中に、約1つまたは複数の(例えば、約2つ以上の、約3つ以上の、約4つ以上の、約5つ以上の、約6つ以上の、または約7つ以上の)複数の用量が与えられる。いくつかの態様では、処置期間は、20日より長い、例えば、20日~40日、例えば、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、もしくは40日、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、もしくは40日である。いくつかの態様では、処置期間は、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日であるか、少なくとも41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日であるか、または約41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日である。いくつかの態様では、処置期間は、28日または約28日から、42日または約42日である。いくつかの態様では、処置期間は42日または約42日(6週間または約6週間)である。いくつかの態様では、処置期間は21日または約21日から、28日または約28日である。いくつかの態様では、処置期間は21日または約21日である。いくつかの態様では、処置期間は28日または約28日(4週間)である。いくつかの態様では、処置期間は6ヶ月以上である。いくつかの態様では、処置期間は、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、またはそれより長い。いくつかの態様では、処置期間は約1年~約3年である。いくつかの態様では、処置期間は約3年~約6年である。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。例えば、無期限の処置は、慢性の炎症性障害または自己免疫性障害を処置するために用いられる場合がある。いくつかの態様では、処置期間は、前の処置期間の直後に繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は、前の処置期間後、時間遅れを伴って繰り返される。いくつかの態様では、遅延は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、または少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間である。いくつかの態様では、遅延は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までであるか、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までであるか、または少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までである。
いくつかの態様では、複数の処置期間および/またはレジメンが組み合わされてもよい。例えば、いくつかの場合には、最初の処置期間は4週間であり、2週間ごとの投与を含んでもよく、第2の処置期間は4週間であり、投与が4週間ごとでもよい。いくつかの態様では、第1の処置期間または第2の処置期間は繰り返されてもよい。例えば、いくつかの態様では、投与が4週間ごとに行われる4週間の第2の処置期間が、例えば、当業者が望むように何回でも繰り返されてもよい。
いくつかの態様では、複数の用量の各用量が処置期間中に週2回投与される。特定の態様では、複数の用量の各用量が処置期間中に週1回以下で投与される。いくつかの態様では、複数の用量の各用量が処置期間中に週1回(Q1W)投与される。いくつかの態様では、投与計画は、4週間の間に週1回与えられる4用量の投与を含む。いくつかの態様では、投与計画は、初回投与、初回投与の2週間後および4週間後の投与、ならびにその後、4週間ごとの投与を含む。
いくつかの態様では、複数の用量の各用量が毎日投与される。これは、例えば、炎症性疾患または自己免疫疾患が急性疾患であり、対象が病院または他の医療施設で処置されている場合に行われる場合がある。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから、20mg/kgまたは約20mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgから、1mg/kgまたは約1mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kg、1mg/kgまたは約1mg/kgから、3mg/kgまたは約3mg/kg、3mg/kgまたは約3mg/kgから、6mg/kgまたは約6mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、6mg/kgもしくは約6mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、6mg/kgもしくは約6mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、または10mg/kgもしくは約10mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、経口、経皮、吸入、静脈内、動脈内、筋肉内、創傷部位への直接適用、手術部位への適用、腹腔内、坐剤、皮下、皮内、経皮、吸入投与、胸膜内、脳室内、関節内、眼内、脊髄内、腫瘍内、または全身を含む任意の経路を通じて対象に投与される。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は非経口投与される。本明細書において提供される実施例は、特に適した投与経路が静脈内投与、皮下投与、または腫瘍内投与を含むことを証明する。いくつかの態様では、薬学的組成物は、注射、例えば、大量瞬時投与による投与に適した形をとる。いくつかの態様では、薬学的組成物は、注入注射、例えば、静脈内注射による注入注射に適した形をとる。いくつかの態様では、注入時間は、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間であるか、少なくとも30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間であるか、または約30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間である。いくつかの態様において、注入時間は約30分~6時間である。いくつかの態様では、注入時間は約30分~5時間である。いくつかの態様では、注入時間は約30分~4時間である。いくつかの態様では、注入時間は約30分~3時間である。いくつかの態様では、注入時間は約30分~2時間である。いくつかの態様では、注入時間は約30分~1時間である。いくつかの態様では、注入時間は30分であるか、または約30分である。
いくつかの態様では、本明細書に記載の投与計画は治療有効量に達するように投与される。
投薬(例えば、複数の用量)は、当業者が望む任意の時間まで継続できると意図される。例えば、投薬は、望ましい疾患応答、例えば、疾患の寛解もしくは部分寛解、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減に達するまで継続し得る。いくつかの態様では、投薬は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。
前記方法のいくつかの態様では、処置は臨床寛解をもたらすことができる。いくつかの局面では、処置は、1回目の投薬から約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約22週間、約24週間、約26週間、約28週間、約30週間、約32週間、約34週間、約36週間、約38週間、約40週間、約42週間、約44週間、約46週間、約48週間、約50週間、約52週間、約54週間、約56週間、約58週間、約60週間、約62週間、約64週間、約66週間、約68週間、約70週間、約72週間、約74週間、約76週間、約78週間、または約80週間経過せずに臨床寛解をもたらすことができる。いくつかの態様では、処置は1回目の投薬から約10週間以内に臨床寛解をもたらす。いくつかの態様では、処置は1回目の投薬から約6週間以内に臨床寛解をもたらす。いくつかの態様では、処置は、1回目の投薬から約6週間で臨床寛解をもたらし、1回目の投薬から約10週間で臨床寛解をもたらす。
上記の任意の方法のいくつかの態様では、臨床寛解は持続性寛解である。例えば、いくつかの態様では、持続性寛解は、1回目の投薬から約10週間、約15週間、約20週間、約25週間、約30週間、約35週間、約40週間、約45週間、約50週間、約52週間、約55週間、約60週間、約65週間、約70週間、約72週間、約75週間、約80週間、約85週間、約90週間、約95週間、約100週間、約102週間、約105週間、または約110週間経過した時の臨床寛解である。いくつかの態様では、持続性寛解は、1回目の投薬から約10週間、および1回目の投薬から約30週間経過した時の臨床寛解である。いくつかの態様では、持続性寛解の長さは、少なくとも約30週間、または少なくとも約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、もしくは約12ヶ月である。前述の局面のいずれかのうちのいくつかの態様では、疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の寛解、臨床寛解、および/または臨床応答は、処置終了後に、少なくとも1ヶ月(例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、またはそれより長く)維持される。
2.眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患
いくつかの態様では、提供される組成物および方法は、眼に影響を及ぼす炎症性障害または自己免疫性障害を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、全身性自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、シェーグレン症候群、腸疾患に基づく関節炎(Enteropathic arthritis)、乾癬性関節炎、多発性硬化症(Mutliple Sclerosis)、巨細胞性動脈炎、グレーブス病、重症筋無力症、類肉腫症、高安動脈炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、再発性多発性軟骨炎、多発血管炎性肉芽腫症(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた)、硬皮症、ベーチェット病、反応性関節炎(以前はライター症候群と呼ばれた)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)、シェーグレン症候群、ならびに強直性脊椎炎は、例えば、白血球による、免疫炎症性攻撃の標的として眼を含む。いくつかの場合には、全身性の炎症性疾患または自己免疫性疾患の眼症状は、乾性角結膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、潰瘍性角膜炎、脈絡膜炎、網膜血管炎、強膜上小結節(episcleral nodule)、網膜剥離、黄斑浮腫、上強膜炎、辺縁潰瘍性角膜炎(peripheral ulcerative keratitis)、結膜炎、ブドウ膜炎、強膜炎、網膜出血(reinal hemorrage)、増殖性網膜症、虚血性視神経障害(ischemic optic neuopathy)、半盲、黒内障、核間性眼筋麻痺、瞳孔異常、眼球運動異常、視覚性幻覚、球後視神経炎、視野欠損、核間性眼筋麻痺、ディスメトリア、眼振、脳神経麻痺、一過性黒内障、複視、視力喪失、突出(proptosis)/眼球突出(exophthalmos)、眼瞼おくれ(lid lag)および退縮(retraction)、視力低下、視野縮小、相対的求心性瞳孔反応欠損、色覚喪失、複視、眼瞼下垂、結膜小結節、脳神経麻痺、涙腺拡大、眼窩蜂巣炎、角膜潰瘍、前房蓄膿、血管閉塞性網膜症、白内障、ならびに/または眼瞼/結膜浮腫(edeam)である。いくつかの場合には、眼症状は全身性の炎症性疾患または自己免疫性疾患に特異的である。
いくつかの場合には、眼は、自己免疫疾患の影響を受ける特異的な、かつ唯一の標的、例えば、眼特異的である。眼特異的な自己免疫疾患の例には、眼瘢痕性類天疱瘡、モーレン角膜潰瘍(Mooren’s corneal ulcer)、およびブドウ膜炎が含まれるが、これに限定されない。
コルチコステロイドの局所眼投与、例えば、硝子体内注射による局所眼投与は、一般的に、眼に影響を及ぼす炎症性疾患または自己免疫性疾患、例えば、ブドウ膜炎に対する標準治療だとみなされている。しかしながら、コルチコステロイドの使用には、例えば、白内障および緑内障を含む副作用のリスクがある。本明細書において提供される組成物および方法は、眼に影響を及ぼす炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置における使用が意図される。いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物および方法は、ステロイド使用に関連する副作用なく、眼に影響を及ぼす全身性自己免疫疾患または眼特異的な自己免疫疾患を処置する。いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物および方法は、予防薬として、例えば、眼特異的な炎症性疾患または自己免疫性疾患を予防するために投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物および方法は、予防薬として、例えば、全身性の炎症性疾患または自己免疫性疾患の眼症状を予防するために投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物および方法は、治療的処置として、例えば、眼特異的な炎症性疾患または自己免疫性疾患を処置するために投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物および方法は、治療的処置として、例えば、全身性の炎症性疾患または自己免疫性疾患の眼症状を処置するために投与される。いくつかの態様では、処置は、眼に影響を及ぼす、自己免疫性疾患または炎症性疾患の症状を低減するか、または寛解させる。
いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす、例えば、眼症状をもたらす全身性自己免疫疾患である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす関節リウマチである。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす若年性関節リウマチである。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼすシェーグレン症候群である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす乾癬性関節炎である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす全身性エリテマトーデスである。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす類肉腫症である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす皮膚筋炎である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす結節性多発動脈炎である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす再発性多発性軟骨炎である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす多発血管炎性肉芽腫症である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす硬皮症である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼすベーチェット病である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす反応性関節炎である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に影響を及ぼす強直性脊椎炎である。いくつかの態様では、全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患は眼に影響を及ぼし、眼症状、例えば、上記の眼症状の原因となる。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に炎症応答を生じさせることで眼に影響を及ぼす。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼への免疫細胞の浸潤を引き起こすことで眼に影響を及ぼす。いくつかの態様では、処置は予防的処置である。例えば、全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する対象が、眼炎症の症状(例えば、眼症状)を示す前に、本明細書において提供される組成物で処置されてもよい。いくつかの態様では、全身性の自己免疫疾患または炎症性疾患を有する対象は、眼症状、例えば、炎症応答を発症すると疑われる場合がある。いくつかの態様では、処置は治療的処置であり、眼の症状の発症後に送達される。
いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患は眼瘢痕性類天疱瘡である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患はモーレン角膜潰瘍である。いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患はブドウ膜炎またはその特定のタイプである。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼に炎症応答を生じさせることで眼に影響を及ぼす。いくつかの態様では、炎症性疾患または自己免疫性疾患は、眼への免疫細胞の浸潤を引き起こすことで眼に影響を及ぼす。いくつかの態様では、処置は予防的処置である。例えば、眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患を有すると疑われる対象、例えば、眼特異的な自己免疫または炎症性疾患の1種類または複数種のバイオマーカーが陽性の対象が、症状、例えば、眼炎症を示す前に、本明細書において提供される組成物で処置されてもよい。いくつかの態様では、処置は治療的処置であり、眼の症状、例えば、炎症の発症後に送達される。
いくつかの態様では、処置される炎症性疾患または自己免疫性疾患はブドウ膜炎である。いくつかの場合には、ブドウ膜炎は、眼の壁にある中央の組織層(ブドウ膜)の炎症をもたらす。いくつかの場合には、ブドウ膜炎は虹彩の炎症を伴う。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は毛様体の炎症を伴う。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は脈絡膜の炎症を伴う。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は網膜の炎症を伴う。いくつかの態様では、ブドウ膜炎はブドウ膜の全層の炎症を伴う。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、炎症性硝子体(inflamed vitreous)および/または硝子体への炎症細胞の浸潤に関連する。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は片眼または両眼に影響を及ぼす。
いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はブドウ膜炎を処置するのに用いられる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は虹彩炎(前部ブドウ膜炎)である。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は毛様体炎(中間部ブドウ膜炎)である。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は脈絡膜炎である。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は網膜炎(retinitus)である。いくつかの態様では、ブドウ膜炎はびまん性ブドウ膜炎(diffuse uveitis)(全ブドウ膜炎)である。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は炎症性硝子体に関連する。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は硝子体への炎症細胞の浸潤に関連する。いくつかの態様では、ブドウ膜炎(uvieitis)は片眼または両眼に影響を及ぼす。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、眼の発赤、眼痛、光過敏性、かすみ目、視野の中にある暗い点および/もしくは漂っている点、ならびに/または視力減退に関連する。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は類肉腫症によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は強直性脊椎炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎はクローン病によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は潰瘍性大腸炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は関節リウマチによって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は若年性関節リウマチによって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は反応性関節炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、腸疾患に基づく関節炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は乾癬性関節炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は全身性エリテマトーデスによって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎はベーチェット症候群によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は皮膚筋炎によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は多発血管炎性肉芽腫症によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、感染症、例えば、ネコひっかき病、帯状疱疹、梅毒、トキソプラズマ症、結核、ライム病、または西ナイルウイルスによって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、眼に影響を及ぼすがん、例えば、リンパ腫によって引き起こされる。いくつかの態様では、ブドウ膜炎は、眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患、例えば、全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患によって引き起こされない眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患である。
いくつかの場合には、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患は慢性疾患である。例えば、疾患が、慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害、例えば、本明細書に記載の慢性の炎症性障害もしくは自己免疫性障害の眼症状であるか(例えば、セクションVII-A-1を参照されたい)、または上記の眼特異的な炎症性疾患の慢性型である時に、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患は慢性疾患だとみなされ得る。いくつかの場合には、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患は急性疾患である。例えば、疾患が、急性の炎症性障害または自己免疫性障害、例えば、本明細書に記載の急性の炎症性障害または自己免疫性障害の眼症状であるか(例えば、セクションVII-A-1を参照されたい)、または上記の眼特異的な炎症性疾患の急性型である時に、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患は急性疾患だとみなされ得る。
いくつかの場合には、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を処置するのに用いられることがある。いくつかの態様では、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫疾患の処置は対象への連続投与を含む。いくつかの態様では、連続投与は反復投与である。いくつかの場合には、処置レジメンを含む処置期間は繰り返される。本明細書に記載のように、いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は、前の処置期間の直後に発生する。いくつかの態様では、投与は、当業者が望ましいように任意の時間まで繰り返される。例えば、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置は、無期限に対象に処置を投与する工程を含んでもよい。
いくつかの場合には、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を処置するための、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は間欠投与を含む。例えば、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置は、特定の処置レジメン、例えば、処置期間中の処置レジメンが対象に任意の回数で繰り返し投与されるように周期的に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、処置期間および処置レジメンは処置期間の間に遅延を伴って繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。いくつかの態様では、処置は、当業者が望む任意の回数で対象に投与される。
いくつかの態様では、処置は、望ましい効果を維持するために対象に投与される。例えば、いくつかの態様では、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患が慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、慢性の眼の炎症性障害もしくは自己免疫性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。いくつかの態様では、処置は、慢性の眼の炎症性障害もしくは自己免疫性障害の症状の再発を予防するために、および/または慢性の眼の炎症性障害もしくは自己免疫性障害の症状の寛解もしくは低減を維持するために継続される場合がある。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間まで継続する。いくつかの態様では、継続される投与は、本明細書に記載のように、繰り返される処置期間の形をとる。
いくつかの場合には、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、急性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を処置するのに用いられることがある。例えば、急性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた急性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置は、規定された、または制限された期間にわたって対象に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、投与は、繰り返されない1回の処置期間にわたる。いくつかの態様では、持続時間または処置期間は、当業者が望むように設定される。
いくつかの態様では、炎症性障害または自己免疫性障害が急性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患である時に、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、急性疾患もしくは急性障害を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に中断される。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間で中断される。
投与量および投与
眼の炎症性疾患および自己免疫疾患、例えば、本明細書に記載の眼の炎症性疾患および自己免疫疾患を処置するための方法は、全身投与、局所投与、またはその両方を含んでもよい。眼疾患の呈する症状および/または根底にある原因は投与方法を特徴付けることができる。いくつかの態様では、眼疾患の呈する症状および/または根底にある原因は、急性処置または慢性処置が投与されるかどうか特徴付けることができる。
いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を有する対象に全身投与される。例えば、全身投与は、本明細書に記載の任意の態様に従って行うことができる。いくつかの態様では、全身投与は、セクションVII-A-1に記載の方法に従って成し遂げられる。いくつかの態様では、対象が、眼症状、例えば、眼炎症を呈する可能性がある全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患、例えば、上記の全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する時に、全身投与が用いられる。いくつかの態様では、対象が、眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患、例えば、上記の眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患を有する時に、全身投与が用いられる。
いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を有する対象に局所投与、例えば、眼内投与される。いくつかの態様では、投与は硝子体内投与である。
いくつかの態様では、硝子体内投与後に対照動物ならびに疾患の動物モデル(例えば、ブドウ膜炎モデル)において観察された薬物動態学的(PK)プロファイルおよび薬力学的(PD)プロファイルのモデリングおよびシミュレーションを用いて患者投薬を予測または決定することができる。例えば、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)からのPKデータを用いてヒトPKを推定することができる。同様に、マウスおよび/またはラットのPKデータおよびPDデータを用いてヒト投薬を予測することができる。観察された動物データを用いて、ヒトでの用量反応をシミュレートするのに使用できる計算モデルを特徴付けることができる。
いくつかの態様では、本明細書において提供される方法は、本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)を、用量が、その同族リガンド、例えば、CD28および/またはICOSに対して、治療効果に十分な標的結合飽和に達することが知られているか、または達すると予測される量で投与する工程を含む。同族リガンドに対する結合の標的結合飽和は実験的または経験的に求めることができる。いくつかの態様では、標的結合飽和は、同族リガンド、例えば、ヒトCD28またはヒトICOSを発現する哺乳動物細胞に対するインビトロ結合データから求めることができる。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、Cmaxで25%もしくは約25%より大きな、例えば、maxで30%もしくは約30%より大きな、Cmaxで35%もしくは約35%より大きな、Cmaxで40%もしくは約40%より大きな、Cmaxで50%もしくは約50%より大きな、またはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、Cmaxで85%、少なくとも85%、または約85%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の24時間以内に10%もしくは約10%より大きな、例えば、15%もしくは約15%より大きな、20%もしくは約20%より大きな、25%もしくは約25%より大きな、30%もしくは約30%より大きな、50%もしくは約50%より大きな、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の2日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の7日(1週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%または約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の14日(2週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の21日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、CD28に対する結合について、用量投与の28日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、Cmaxで25%もしくは約25%より大きな、例えば、maxで30%または約30%より大きな、Cmaxで35%または約35%より大きな、Cmaxで40%または約40%より大きな、Cmaxで50%もしくは約50%より大きな、またはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の24時間以内に10%もしくは約10%より大きな、例えば、15%もしくは約15%より大きな、20%もしくは約20%より大きな、25%もしくは約25%より大きな、30%もしくは約30%より大きな、50%もしくは約50%より大きな、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の2日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の7日(1週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%または約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の14日(2週間)以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の21日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、用量投与の28日以内に50%もしくは約50%より大きな、例えば、60%もしくは約60%より大きな、70%もしくは約70%より大きな、80%もしくは約80%より大きな、85%もしくは約85%より大きな、90%もしくは約90%より大きな、95%もしくは約95%より大きな、または100%もしくは約100%の標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い、または約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い持続時間にわたって25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな、または約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い、または約24時間、36時間、48時間、60時間、72時間の、もしくはそれより長い持続時間にわたって50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな、または約50%、60%、70%、80%、90%、95%より大きな、もしくはそれより大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。いくつかの態様では、投与されるバリアントICOSL IgSF融合タンパク質の用量は、ICOSに対する結合について、24時間または約24時間の持続時間にわたって50%または約50%より大きな標的結合飽和を示すか、または示すと予測される量である。
本明細書に記載の薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて3~4日ごとに、毎週、隔週、3週間ごとに、1ヶ月に1回など投与されてもよい。投薬頻度は、使用される製剤中にある分子の薬物動態学的パラメータに左右される。典型的には、望ましい効果を生む投与量に達するまで組成物が投与される。従って、前記組成物は、ある期間にわたって単一用量として投与されてもよく、(同じ、もしくは異なる濃度/投与量で)複数の用量として投与されてもよい。適切な投与量のさらなる改善が日常的に加えられる。適切な投与量は適切な用量反応データを用いることで確かめられる場合がある。いくつかの場合には、例えば、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患が、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質で処置される場合、前記組成物は連続して、例えば、繰り返して、ある期間にわたって、またはある期間にわたって間欠的に投与される。例えば、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置、例えば、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患の処置は、無期限に対象に処置を投与する工程を含んでもよい。いくつかの態様では、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患が慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患である場合、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間まで継続する。いくつかの場合には、例えば、急性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患が、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いて処置される場合、前記組成物は、規定された、または制限された期間にわたって投与される。いくつかの態様では、眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患が急性疾患である場合、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質を用いた処置は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、急性疾患を有する対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に中断される。いくつかの態様では、投与は、当業者が望む任意の時間で中断される。
典型的には、投与しようとする、本明細書において提供される組成物の正確な量は、患者(対象)の状態の一人一人の違いを考慮して医師、例えば、眼科医が決定することができる。
いくつかの態様では、投与量、例えば、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の治療有効量に達する投与量は、処置期間中の単一用量または反復用量、例えば、処置期間中の複数の用量の投与による反復用量である。いくつかの態様では、処置期間中に、単一用量の、バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含有する本明細書において提供される薬学的組成物が投与される。いくつかの態様では、処置期間中に、複数の反復用量の、バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含有する本明細書において提供される薬学的組成物が投与される。
いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。例えば、処置しようとする障害が慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患である場合、特定の処置レジメン、例えば、本明細書に記載の処置レジメンを含む処置期間が任意の回数で繰り返すことができる。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は、2年、3年、4年、5年、6年、もしくはそれより長く、または約2年、3年、4年、5年、6年、もしくはそれより長く繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は6年または約6年にわたって繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は3年または約3年にわたって繰り返される。いくつかの態様では、処置期間の反復回数は、当業者が望む任意の回数である。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は連続処置とみなされる場合がある。例えば、4週間の処置期間中に投与が週1回行われ、前の処置期間が終了した直後に処置期間が繰り返され、処置期間が無期限に繰り返される時に、繰り返される処置は連続処置である場合がある。いくつかの態様では、繰り返される処置期間は間欠処置とみなされる場合がある。例えば、4週間の処置期間中に投与が週1回行われ、第1の処置期間が終了して2週間後に処置期間が繰り返され、このサイクルが繰り返される、例えば、無期限に繰り返される時に、繰り返される処置は間欠処置である場合がある。いくつかの態様では、間欠処置は連続処置である。
いくつかの態様では、処置期間中に、約1つまたは複数の(例えば、約2つ以上の、約3つ以上の、約4つ以上の、約5つ以上の、約6つ以上の、または約7つ以上の)複数の用量が与えられる。いくつかの態様では、処置期間は、20日より長い、例えば、20日~40日、例えば、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、もしくは40日、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、もしくは40日である。いくつかの態様では、処置期間は、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日であるか、少なくとも41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日であるか、または約41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、もしくは50日である。いくつかの態様では、処置期間は28日または約28日から、42日または約42日である。いくつかの態様では、処置期間は42日または約42日(6週間または約6週間)である。いくつかの態様では、処置期間は21日または約21日から、28日または約28日である。いくつかの態様では、処置期間は21日または約21日である。いくつかの態様では、処置期間は28日または約28日(4週間)である。いくつかの態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週2回投与される。特定の態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週1回以下で投与される。いくつかの態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週1回(Q1W)投与される。いくつかの態様では、投与計画は、4週間の間に週1回与えられる4用量の投与を含む。いくつかの態様では、複数の用量の各用量は週2回(BIW)投与される。いくつかの態様では、処置期間は6ヶ月以上である。いくつかの態様では、処置期間は1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、またはそれより長い。いくつかの態様では、処置期間は約1年~約3年である。いくつかの態様では、処置期間は約3年~約6年である。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は無期限に繰り返される。例えば、無期限の処置は慢性の眼の炎症性疾患または自己免疫性疾患を処置するために用いられる場合がある。いくつかの態様では、処置期間は、前の処置期間の直後に繰り返される。いくつかの態様では、処置期間は、前の処置期間後、時間遅れを伴って繰り返される。いくつかの態様では、遅延は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間であるか、または少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間である。いくつかの態様では、遅延は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までであるか、約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までであるか、または少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、もしくは1年までである。
いくつかの態様では、複数の処置期間および/またはレジメンが組み合わされてもよい。例えば、いくつかの場合には、最初の処置期間は4週間であり、2週間ごとの投与を含んでもよく、第2の処置期間は4週間であり、投与が4週間ごとでもよい。いくつかの態様では、第1の処置期間または第2の処置期間は繰り返されてもよい。例えば、いくつかの態様では、投与が4週間ごとに行われる4週間の第2の処置期間が、例えば、当業者が望むように何回でも繰り返されてもよい。
いくつかの態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週2回投与される。特定の態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週1回以下で投与される。いくつかの態様では、複数の用量の各用量は処置期間中に週1回(Q1W)投与される。いくつかの態様では、投与計画は、4週間の間に週1回与えられる4用量の投与を含む。いくつかの態様では、投与計画は、初回投与、初回投与の2週間後および4週間後の投与、ならびにその後、4週間ごとの投与を含む。
いくつかの態様では、複数の用量の各用量は毎日投与される。これは、例えば、炎症性疾患または自己免疫疾患が急性疾患であり、対象が病院または他の医療施設で処置されている場合に行われる場合がある。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから、1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから、3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから、6mg/kgもしくは約6mg/kg、6mg/kgもしくは約6mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kg、6mg/kgもしくは約6mg/kgから、10mg/kgもしくは約10mg/kg、または10mg/kgもしくは約10mg/kgから、20mg/kgもしくは約20mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は10mg/kgまたは約10mg/kgの量である。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、もしくは50mg、約0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、もしくは50mg、または少なくとも0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、もしくは50mgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.01mgまたは約0.01mgから、10mgまたは約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから、10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから、10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから、10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから、10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから、10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから、10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから、10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから、10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから、10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから、10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから、10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから、10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから、10mgまたは約10mgの量である。いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の投与される用量は、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、もしくは5mg、約0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、もしくは5mg、または少なくとも0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、もしくは5mgの量である。
いくつかの態様では、投与される用量は眼の体積と直接的または間接的に関連する。いくつかの態様では、投与される用量は眼の表面積、例えば、内部表面積と直接的または間接的に関連する。
いくつかの態様では、薬学的組成物(バリアントICOSL IgSFドメイン融合タンパク質を含む薬学的組成物を含む)の用量は、眼内圧に最小限および/または一時的に影響を及ぼす体積で投与される。いくつかの態様では、投与される体積は眼の体積によって決定される。いくつかの態様では、投与される体積は0.05mLであるか、または約0.05mLである。いくつかの態様では、投与される体積は0.1mL以下であるか、または約0.1mL以下である。いくつかの態様では、投与される体積は0.2mL以下であるか、または約0.2mL以下である。
いくつかの態様では、本明細書に記載の投与計画は治療有効量に達するように投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の投与計画は予防的有効量に達するように投与される。
投薬(例えば、複数の用量)は、当業者が望む任意の時間まで継続できると意図される。例えば、投薬は、望ましい疾患応答、例えば、疾患の寛解もしくは部分寛解、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減に達するまで継続し得る。いくつかの態様では、投薬は、疾患の寛解もしくは部分寛解の後に、ならびに/または疾患の徴候および/もしくは症状の低減もしくは寛解、例えば、対象における炎症の1つもしくは複数の徴候の低減の後に継続される。
前記方法のいくつかの態様では、処置は臨床寛解をもたらすことができる。いくつかの局面では、処置は、1回目の投薬から約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約22週間、約24週間、約26週間、約28週間、約30週間、約32週間、約34週間、約36週間、約38週間、約40週間、約42週間、約44週間、約46週間、約48週間、約50週間、約52週間、約54週間、約56週間、約58週間、約60週間、約62週間、約64週間、約66週間、約68週間、約70週間、約72週間、約74週間、約76週間、約78週間、または約80週間経過せずに臨床寛解をもたらすことができる。いくつかの態様では、処置は1回目の投薬から約10週間以内に臨床寛解をもたらす。いくつかの態様では、処置は1回目の投薬から約6週間以内に臨床寛解をもたらす。いくつかの態様では、処置は、1回目の投薬から約6週間で臨床寛解をもたらし、1回目の投薬から約10週間で臨床寛解をもたらす。
上記の任意の方法のいくつかの態様では、臨床寛解は持続性寛解である。例えば、いくつかの態様では、持続性寛解は、1回目の投薬から約10週間、約15週間、約20週間、約25週間、約30週間、約35週間、約40週間、約45週間、約50週間、約52週間、約55週間、約60週間、約65週間、約70週間、約72週間、約75週間、約80週間、約85週間、約90週間、約95週間、約100週間、約102週間、約105週間、または約110週間経過した時の臨床寛解である。いくつかの態様では、持続性寛解は、1回目の投薬から約10週間、および1回目の投薬から約30週間経過した時の臨床寛解である。いくつかの態様では、持続性寛解の長さは、少なくとも約30週間、または少なくとも約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、もしくは約12ヶ月である。前述の局面のいずれかのうちのいくつかの態様では、疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の寛解、臨床寛解、および/または臨床応答は、処置終了後に、少なくとも1ヶ月(例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、またはそれより長く)維持される。
B. 処置の有効性の判定または予測
いくつかの態様では、前記方法は、応答およびまたはアウトカムを予測するために、疾患または状態がある対象をアッセイする工程を含む。特定の態様は、試料の1つまたは複数の遺伝子産物の発現、例えば、遺伝子発現プロファイルがバリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)に対する応答の有効性を予測する、それと相関付けられる、および/またはそれに関連付けられることを意図する。
いくつかの態様では、前記方法は、ICOSおよびCD28の活性を阻害または低減するための、提供されるバリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)の活性に関連する1種類または複数種のバイオマーカーの評価を含む。いくつかの態様では、1種類または複数種のバイオマーカーは、CCL17、CXCR5、GATA3、IL12RB2、IL18R1、IL18RAP、KITLG、TTA、PVR、SOCS3、TFRC、TNFRSF8、BATF3、CTLA4、FLT1、FOSL1、IL12、IL17F、IL1R2、IL23R、IL4、IL5またはVEGFA、CCL20、CD40LG、CSF2、ICOS、ID2、IFNG、IGSF3、IL17A、IL1R1、IL2、IL21、IL24、IL3、IL31、IL6、IL9、LIF、NFKBID、PDCD1、もしくはTNF、または前述のいずれかの組み合わせである遺伝子産物である。いくつかの態様では、1種類または複数種のバイオマーカーは、CCL17、CXCR5、GATA3、IL12RB2、IL18R1、IL18RAP、KITLG、TTA、PVR、SOCS3、TFRC、もしくはTNFRSF8、または前述のいずれかの組み合わせである遺伝子産物である。いくつかの態様では、1種類または複数種のバイオマーカーは、BATF3、CTLA4、FLT1、FOSL1、IL12、IL17F、IL1R2、IL23R、IL4、IL5、もしくはVEGFA、または前述のいずれかの組み合わせである遺伝子産物である。いくつかの態様では、1種類または複数種のバイオマーカーは、CCL20、CD40LG、CSF2、ICOS、ID2、IFNG、IGSF3、IL17A、IL1R1、IL2、IL21、IL24、IL3、IL31、IL6、IL9、LIF、NFKBID、PDCD1、もしくはTNF、または前述のいずれかの組み合わせである遺伝子産物である。任意の態様の一部では、バイオマーカーはタンパク質である。いくつかの態様では、バイオマーカーは核酸、例えば、RNA、例えばmRNAである。
いくつかの態様では、上記の任意の遺伝子産物のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、34、25、またはそれより多くが評価、測定、検出、および/または定量される。いくつかの態様では、試料中にある上記の遺伝子産物のうちのいずれか1つまたは複数の測定、評価、および/または決定における使用のためのパネル、プロファイル、および/またはアレイが本明細書において提供される。特定の態様では、パネル、プロファイル、および/またはアレイは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10の、10より多くの、または20より多くの遺伝子産物の測定、評価、および/または定量を含む。
特定の態様では、試料中にある1種類または複数種のバイオマーカーまたは遺伝子の発現が測定、評価、および/または決定される。いくつかの態様では、遺伝子産物は、遺伝子によってコードされている情報を用いて組み立てられた、作製された、および/または合成された任意の生体分子であり、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含んでもよい。特定の態様では、遺伝子発現の評価、測定、および/または決定は遺伝子産物のレベル、量、または濃度の決定もしくは測定であるか、または遺伝子産物のレベル、量、または濃度の決定もしくは測定を含む。特定の態様では、遺伝子産物のレベル、量、または濃度は変換(例えば、基準化)されてもよく、直接分析されてもよい(例えば、未加工)。いくつかの態様では、遺伝子産物は、遺伝子によってコードされているタンパク質である。特定の態様では、遺伝子産物は、遺伝子によってコードされているポリヌクレオチド、例えば、mRNAまたはタンパク質である。
いくつかの態様では、遺伝子産物とは、その遺伝子によって発現および/またはコードされるポリヌクレオチドである。特定の態様では、ポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの態様では、遺伝子産物は、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA、低分子核内RNA、低分子核小体内RNA、アンチセンスRNA、長鎖ノンコーディングRNA、マイクロRNA、Piwi結合RNA、低分子干渉RNA、および/またはショートヘアピンRNAである。特定の態様では、遺伝子産物はmRNAである。
特定の態様では、試料中にあるポリヌクレオチドの量またはレベルは、当技術分野において公知の任意の適切な手段によって評価、測定、決定、および/または定量することができる。例えば、いくつかの態様では、ポリヌクレオチド遺伝子産物の量またはレベルは、逆転写酵素(rt)PCR、ドロップレットデジタルPCR(droplet digital PCR)、リアルタイム、および定量PCR(qPCR)法を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、TAQMAN(登録商標)、分子ビーコン、LIGHTUP(商標)、SCORPION(商標)、SIMPLEPROBES(登録商標)を含む;例えば、米国特許番号5,538,848;5,925,517;6,174,670;6,329,144;6,326,145、および6,635,427を参照されたい);ノザンブロッティング;サザンブロッティング、例えば、逆転写産物および誘導体のサザンブロッティング;ブロットされたアレイ(blotted array)、マイクロアレイ、もしくはインサイチューにより合成されたアレイを含むアレイベースの方法、;ならびにシークエンシング、例えば、合成によるシークエンシング、パイロシークエンシング、ジデオキシシークエンシング、もしくは連結によるシークエンシング、または当技術分野において公知の他の任意の方法、例えば、HELICOS(登録商標)、ROCHE(登録商標)454、ILLUMINAR(登録商標)/SOLEXA(登録商標)、ABI SOLiD(登録商標)、およびPOLONATOR(登録商標)シークエンシングなどの特定のプラットフォームを含む、Shendure et al., Nat. Rev. Genet. 5:335-44 (2004)またはNowrousian, Euk. Cell 9(9): 1300-1310 (2010)に記載の方法によって評価、測定、決定、および/または定量することができる。特定の態様では、核酸遺伝子産物のレベルは、qRT-PCRなどの定量PCR(qPCR)法によって測定される。いくつかの態様では、qRT-PCRは各遺伝子について3つの核酸セットを使用し、これらの3つの核酸は、プライマーペアと、プライマーが結合する標的核酸領域の間に結合するプローブを含み、TAQMAN(登録商標)アッセイとして商業的に知られている。
特定の態様では、RNA遺伝子産物の量またはレベルの評価、測定、決定、および/または定量は、RNA遺伝子産物からcDNAポリヌクレオチドおよび/またはcDNAオリゴヌクレオチドを作製する、重合する、および/または導き出す工程を含む。特定の態様では、RNA遺伝子産物は、RNA遺伝子産物から導き出されたcDNAポリヌクレオチドおよび/またはcDNAオリゴヌクレオチドを直接的に評価、測定、決定、および/または定量することによって評価、測定、決定、および/または定量される。
いくつかの態様では、1つまたは複数の遺伝子産物、例えば、ポリヌクレオチド遺伝子産物の発現は、遺伝子産物を配列決定することによって、および/または遺伝子産物に由来するcDNAポリヌクレオチドを配列決定することによって確かめられる。いくつかの態様では、配列決定は、非サンガー(Sanger)シークエンシング法および/または次世代シークエンシング(NGS)法によって行われる。次世代シークエンシング法の例には、超並列シグネチャーシークエンシング(Massively Parallel Signature Sequencing)(MPSS)、ポロニー(Polony)シークエンシング、パイロシークエンシング、可逆的ダイターミネーターシークエンシング(Reversible dye-terminator sequencing)、SOLiDシークエンシング、イオン半導体(Ion semiconductor)シークエンシング、DNAナノボール(DNA nanoball)シークエンシング、Helioscope 1分子シークエンシング(Helioscope single molecule sequencing)、1分子リアルタイム(Single molecule real time)(SMRT)シークエンシング、1分子リアルタイム(Single molecule real time)(RNAP)シークエンシング、およびナノポアDNA(Nanopore DNA)シークエンシングが含まれるが、これに限定されない。
いくつかの態様では、NGS法はRNAシークエンシング(RNA-Seq)である。特定の態様では、RNA-Seqによって1つまたは複数のポリヌクレオチド遺伝子産物の発現が測定、決定、および/または定量される。RNA-Seqは全トランスクリプトームショットガンシークエンシングとも呼ばれ、試料中にあるRNAの存在と数量を決定する。RNAシークエンシング法は、最も一般的なDNAシークエンシングプラットフォーム[HiSeq systems(Illumina)、454Genome Sequencer FLX System(Roche)、Applied Biosystems SOLiD(Life Technologies)、IonTorrent(Life Technologies)]に合わせられてきた。これらのプラットフォームは、最初にRNAをcDNAに逆転写することを必要とする。その反対に、1分子シークエンサーであるHelioscope(Helicos BioSciences)はシークエンシング用のテンプレートとしてRNAを使用することができる。PacBio RSプラットフォームにおける直接RNAシークエンシングのための原理証明も証明されている(Pacific Bioscience)。いくつかの態様では、1つまたは複数のRNA遺伝子産物はRNA-seqによって評価、測定、決定、および/または定量される。
いくつかの態様では、遺伝子産物は、タンパク質、すなわち、遺伝子によってコードされている、および/または発現されるポリペプチドであるか、またはそれを含む。特定の態様では、遺伝子産物は、細胞表面に局在している、および/または露出しているタンパク質をコードする。いくつかの態様では、前記タンパク質は可溶性タンパク質である。特定の態様では、前記タンパク質は細胞によって分泌される。
特定の態様では、遺伝子発現とは、遺伝子によってコードされているタンパク質の量、レベル、および/または濃度である。特定の態様では、1つまたは複数のタンパク質遺伝子産物が、当技術分野において公知の任意の適切な手段によって測定される。1つまたは複数のタンパク質遺伝子産物のレベル、量、または濃度を評価、測定、決定、および/または定量するための適切な方法には、イムノアッセイ、核酸ベースまたはタンパク質ベースのアプタマー法、HPLC(高精度液体クロマトグラフィー)、ペプチドシークエンシング(例えば、エドマン分解シークエンシングまたは質量分析法(例えばMS/MS)、任意で、HPLCとつながったもの)、および(核酸、抗体、またはタンパク質-タンパク質(すなわち、非抗体)アレイを含む)前述のいずれかのマイクロアレイ改造を用いた検出が含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様では、イムノアッセイは、免疫学的反応に基づいて、例えば、抗体または抗原結合抗体断片と遺伝子産物との結合を検出することによってタンパク質を検出する方法もしくはアッセイであるか、またはそれを含む。イムノアッセイには、定量的免疫細胞化学(immunocytochemisty)もしくは免疫組織化学(immunohistochemisty)、ELISA(直接的な、間接的な、サンドイッチの、競合的な、複数の(multiple)、および携帯型のELISAを含む(例えば、米国特許第7,510,687号を参照されたい)、ウェスタンブロッティング(一次元、二次元、もしくはさらに高次元のブロッディング、または他のクロマトグラフィー手段、任意で、ペプチドシークエンシングを含むクロマトグラフィー手段を含む)、酵素イムノアッセイ(EIA)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ならびにSPR(表面プラズモン共鳴)が含まれるが、これに限定されない。
提供される態様では、試料は、バリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)の投与を受けたことがあるか、受けることになっているか、または受ける候補である対象から採取、収集、および/または入手された生物学的試料である。いくつかの態様では、対象は、バリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)を受けたことがあるか、または投与されたことがある。特定の態様では、試料は血液または血清試料である。特定の態様では、試料は血液試料である。特定の態様では、試料は、療法による処置または投与の前に採取、収集、および/または入手される。いくつかの態様では、試料は、療法による処置または投与の後に採取、収集、および/または入手される。いくつかの態様では、試料は、バリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)の投与開始後、1時間以内もしくは約1時間以内もしくは約1時間で、2時間以内もしくは約2時間以内もしくは約2時間で、6時間以内もしくは約6時間以内もしくは約6時間で、12時間以内もしくは約12時間以内もしくは約12時間で、24時間以内もしくは約24時間以内もしくは約24時間で、2日以内もしくは約2日以内もしくは約2日で、3日以内もしくは約3日以内もしくは約3日で、4日以内もしくは約4日以内もしくは約4日で、5日以内もしくは約5日以内もしくは約5日で、6日以内もしくは約6日以内もしくは約6日で、7日以内もしくは約7日以内もしくは約7日で、2週間以内もしくは約2週間以内もしくは約2週間で、3週間以内もしくは約3週間以内もしくは約3週間で、1ヶ月以内もしくは約1ヶ月以内もしくは約1ヶ月で、またはそれより長い期間の後で収集される。
いくつかの態様では、前記方法は、遺伝子産物の閾値に対する、試料中にある1つまたは複数の遺伝子産物のレベル、量、または濃度の評価を含む。いくつかの態様では、閾値は、1人の健常対象における遺伝子産物のレベル、量、もしくは濃度であるか、または複数人の健常対象における遺伝子産物のレベル、量、もしくは濃度の中央値もしくは平均であり、この場合、このような健常対象は処置を受けたことがない。いくつかの態様では、閾値は、1人の病気の対象における遺伝子産物のレベル、量、もしくは濃度であるか、または複数人の病気の対象、例えば、同じ疾患を有するが、処置を受けたことがない対象における遺伝子産物のレベル、量、もしくは濃度の中央値もしくは平均である。いくつかの態様では、閾値と比較して遺伝子産物のレベル、量、または濃度が低下すると、バリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)を用いた処置が有効であると示されるか、または予測される。
いくつかの態様では、遺伝子産物のレベル、量、または濃度の評価はベースライン値と比較される。いくつかの態様では、ベースライン値は、処置の1日前、2日前、3日前、4日前、または5日前に同じ患者から得られる。いくつかの態様では、ベースライン値は、処置開始の1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、または24時間前に同じ患者から得られる。いくつかの態様では、ベースライン値と比較して遺伝子産物のレベル、量、または濃度が低下すると、バリアントICOSLポリペプチド(例えばバリアントICOSL IgV-Fc)を用いた処置が有効であると示されるか、または予測される。
いくつかの態様では、遺伝子産物が2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、または10倍より大幅に少ないと確かめられる場合、応答は有効だと予測される。いくつかの態様では、遺伝子発現が2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、または10倍より大幅に少ないと確かめられる場合、応答は有効だと予測される。
VIII. 例示的な態様
提供される態様には、以下のものがある:
1. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、処置期間中に、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
2. 各用量が、0.001mg/kgもしくは約0.001mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kg、約0.001mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、約0.001mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、約0.001mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、約0.001mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、約0.001mg/kgから0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kg、約0.1mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、約0.1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、約0.1mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、約1mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、約3mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、約6mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kg、6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、または10mg/kgもしくは約10mg/kgから20mg/kgもしくは約20mg/kgの量で投与される、態様1記載の方法。
3. 各用量が、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1または態様2記載の方法。
4. 各用量が、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1~3のいずれか一つに記載の方法。
5. 処置期間中に単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質だけが投与される、態様1~4のいずれか一つに記載の方法。
6. 処置期間中に複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質が投与され、任意で、該複数の用量が2つ、3つ、4つ、または5つの用量である、態様1~4のいずれか一つに記載の方法。
7. 処置期間が少なくとも20日である、態様1~6のいずれか一つに記載の方法。
8. 処置期間が20~40日である、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
9. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、
バリアントICOSL融合タンパク質が20~40日の処置期間内に3つ、4つ、および5つより選択される複数の用量で投与され、各用量が0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、方法。
10. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、
バリアントICOSL融合タンパク質が少なくとも20日の処置期間内に複数の用量で投与され、各用量が0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で、任意で30日の最長処置期間にわたって投与され、さらに、任意で複数の用量のそれぞれが互いに少なくとも5日間空いている、方法。
11. 処置期間が21日または約21日である、態様1~10のいずれか一つに記載の方法。
12. 処置期間が28日または約28日である、態様1~10のいずれか一つに記載の方法。
13. 複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される、態様6~12のいずれか一つに記載の方法。
14. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象にバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、
バリアントICOSL融合タンパク質が少なくとも4週間の処置期間内に複数の用量で投与され、各用量が0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与され、週1回以下で投与される、方法。
15. 処置期間が4週間または約4週間である、態様14記載の方法。
16. 複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される、態様6~15のいずれか一つに記載の方法。
17. 急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、バリアントICOSL融合タンパク質の用量が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
18. aGVHDが幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与される、態様17記載の方法。
19. aGVHDが幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けると同時に、または対象が幹細胞移植を受けた後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に与えられる、態様17または態様18記載の方法。
20. aGVHDが幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けると同時に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に与えられる、態様17~19のいずれか一つに記載の方法。
21. aGVHDが幹細胞移植に関連し、対象が幹細胞移植を受ける前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に投与され、対象が幹細胞移植を受けた後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が対象に与えられる、態様17~19のいずれか一つに記載の方法。
22. 対象において移植片対宿主病(GVHD)を処置する方法であって、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
23. 対象において移植片対宿主病(GVHD)を処置する方法であって、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、前記バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、単一用量のバリアントICOSL融合タンパク質が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与され、対象が免疫抑制剤、任意でコルチコステロイドおよび/またはシクロスポリンに対して抵抗性または難治性である、方法。
24. GVHDが急性GVHD(aGVHD)である、態様22または態様23記載の方法。
25. GVHDが慢性GVHDである、態様22または態様23記載の方法。
26. 各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kgの量である、態様1~25のいずれか一つに記載の方法。
27. 各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、または3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kgの量である、態様1~26のいずれか一つに記載の方法。
28. 各用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
29. 各用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
30. 各用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
31. 各用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
32. 各用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
33. 少なくとも1つの用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
34. 少なくとも1つの用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
35. 少なくとも1つの用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
36. 少なくとも1つの用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
37. 少なくとも1つの用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、態様1~27のいずれか一つに記載の方法。
38. 少なくとも1つの用量が皮下投与を介して投与される、態様1~37のいずれか一つに記載の方法。
39. 少なくとも1つの用量が静脈内投与を介して投与される、態様1~37のいずれか一つに記載の方法。
40. 投与が皮下投与による投与である、態様1~37のいずれか一つに記載の方法。
41. 投与が静脈内投与による投与である、態様1~37のいずれか一つに記載の方法。、
42. 自己免疫性疾患または炎症性疾患が眼の自己免疫状態または炎症状態である、態様1~16のいずれか一つに記載の方法。
43. 投与が硝子体内投与による投与である、態様42記載の方法。
44. 処置期間が繰り返される、任意で、寛解に達するまで、部分寛解に達するまで、または対象において疾患もしくは状態が進行しなくなるまで処置期間が繰り返される、態様1~43のいずれか一つに記載の方法。
45. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法。
46. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を低減または予防する方法であって、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含む、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法。
47. 眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患がブドウ膜炎である、態様42または44記載の方法。
48. 眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患が全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患によって引き起こされる、態様42~47のいずれか一つに記載の方法。
49. 全身性の自己免疫性疾患または炎症性疾患が、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、反応性関節炎、腸疾患に基づく関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ベーチェット症候群、皮膚筋炎、または多発血管炎性肉芽腫症である、態様48記載の方法。
50. 眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患が眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患である、態様42~47のいずれか一つに記載の方法。
51. 眼特異的な自己免疫性疾患または炎症性疾患が眼瘢痕性類天疱瘡、モーレン角膜潰瘍、またはブドウ膜炎である、態様42~47および50のいずれか一つに記載の方法。
52. ICOSL融合タンパク質が、少なくとも0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、または50mg、任意で、1mg、2mg、3mg、4mg、または5mgの用量で投与される、態様42~51のいずれか一つに記載の方法。
53. ICOSL融合タンパク質が、約0.01mgから約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから10mgまたは約10mg(両端の値を含む)の用量で投与される、態様42~51のいずれか一つに記載の方法。
54. ICOSL融合タンパク質が、0.2mL未満、任意で0.1mL未満の体積で投与される、態様42~53のいずれか一つに記載の方法。
55. ICOSL融合タンパク質が約0.05mLの体積で投与される、態様42~54のいずれか一つに記載の方法。
56. バリアントICOSLポリペプチドがSEQ ID NO:1のナンバリングを基準にアミノ酸置換N52H/N57Y/Q100Rを含む、態様1~55のいずれか一つに記載の方法。
57. CD28の外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性が、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して向上している、態様1~56のいずれか一つに記載の方法。
58. ICOSの外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合親和性が、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して実質的に同じか、または向上しており、任意で、結合親和性が、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合親和性の80%もしくは約80%であるか、またはそれより大きい、態様1~57のいずれか一つに記載の方法。
59. ICOSおよびCD28の外部ドメインに対するバリアントICOSLポリペプチドの結合性が、同じ外部ドメインに対するICOSL参照ポリペプチドの結合性と比較して向上している、態様1~58のいずれか一つに記載の方法。
60. 結合性が、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、もしくは60倍、または約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、もしくは60倍より大きく向上している、態様58または態様59記載の方法。
61. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、Cmaxで、CD28に対して25%もしくは約25%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される;および/または
バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の24時間以内に、CD28に対して、10%もしくは約10%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される、態様1~60のいずれか一つに記載の方法。
62. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して85%または約85%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される、態様1~61のいずれか一つに記載の方法。
63. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して90%または約90%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される、態様1~62のいずれか一つに記載の方法。
64. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の24時間以内に、2日以内に、または7日以内にCD28に対して95%または約95%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される、態様1~63のいずれか一つに記載の方法。
65. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の21日以内または28日以内にCD28に対して10%または約10%より大きな標的結合飽和に達するか、または達すると予測される、態様1~64のいずれか一つに記載の方法。
66. バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が、用量投与の21日以内または28日以内にCD28に対して20%または約20%より大きな標的結合飽和に達するか、もしくは達すると予測される、態様1~65のいずれか一つに記載の方法。
67. CD28がヒトCD28である、態様57~66のいずれか一つに記載の方法。
68. ICOSがヒトICOSである、態様58~67のいずれか一つに記載の方法。
69. ICOSL参照ポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii) SEQ ID NO:32に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む(i)および/または(ii)の一部分を含む、態様1~68のいずれか一つに記載の方法。
70. バリアントICOSLポリペプチドがIgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、態様1~69のいずれか一つに記載の方法。
71. IgVドメインまたはその特異的結合断片がバリアントICOSLポリペプチドまたはバリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である、態様1~70のいずれか一つに記載の方法。
72. ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:1に示されるICOSL細胞外ドメイン配列を基準にアミノ酸1-112を含む連続したアミノ酸配列と、少なくとも25アミノ酸のC末端短縮を含む短縮型ICOSL細胞外ドメインである、態様1~71のいずれか一つに記載の方法。
73. C末端短縮が、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、または少なくとも125アミノ酸残基のC末端短縮である、態様72記載の方法。
74. ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:1のアミノ酸204-209と示されるプロテアーゼ切断部位において変化しているか、または該部位を欠く、態様1~73のいずれか一つに記載の方法。
75. ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む、態様1~74のいずれか一つに記載の方法。
76. ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる、態様1~75のいずれか一つに記載の方法。
77. バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列、あるいはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、態様1~76のいずれか一つに記載の方法。
78. バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列を有する、態様1~77のいずれか一つに記載の方法。
79. 細胞から発現されたときのバリアントICOSLポリペプチドのタンパク質分解切断が、同じ細胞から発現されたときのバリアントICOSLポリペプチドの完全長細胞外ドメインと比較して低下しており、任意で、細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、態様1~78のいずれか一つに記載の方法。
80. 多量体化ドメインが免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む、態様1~79のいずれか一つに記載の方法。
81. バリアントICOSLポリペプチドがリンカーを介して多量体化ドメインに連結されており、任意でリンカーがペプチドリンカーである、態様1~80のいずれか一つに記載の方法。
82. リンカーが1~10個のアミノ酸を含む、態様81記載の方法。
83. リンカーがAAAである、態様81または態様82記載の方法。
84. リンカーがG4S(SEQ ID NO:52)である、態様81または態様82記載の方法。
85. リンカーが(G4S)2(SEQ ID NO:53)である、態様81または態様82記載の方法。
86. リンカーがGSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:58)である、態様81または態様82記載の方法。
87. バリアントICOSL融合タンパク質が、第1の多量体化ドメインと連結した第1のバリアントICOSLポリペプチドと、第2の多量体化ドメインと連結した第2のバリアントICOSLポリペプチドを含む多量体であり、任意で、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメインが同じであり、任意で、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメインが免疫グロブリンのFc領域である、態様1~86のいずれか一つに記載の方法。
88. 多量体が二量体である、態様87記載の方法。
89. 二量体がホモ二量体である、態様88記載の方法。
90. Fc領域が、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下したエフェクター機能を示すバリアントFc領域である、態様80~89のいずれか一つに記載の方法。
91. Fc領域が、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である、態様80~90のいずれか一つに記載の方法。
92. Fc領域が、SEQ ID NO:37に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す配列を含む、態様80~91のいずれか一つに記載の方法。
93. バリアントFc領域が、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様80~92のいずれか一つに記載の方法。
94. バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様93記載の方法。
95. Fc領域がK447delを含み、残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、態様93または態様94記載の方法。
96. Fc領域が、SEQ ID NO:43またはSEQ ID NO:46に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
97. Fc領域が、SEQ ID NO:44またはSEQ ID NO:47に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
98. Fc領域が、SEQ ID NO:40に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
99. Fc領域が、SEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
100. Fc領域が、SEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
101. Fc領域が、SEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列を含む、態様93~95のいずれか一つに記載の方法。
102. バリアントICOSL融合タンパク質が対象において免疫応答を減少させる、態様1~101のいずれか一つに記載の方法。
103. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、脈管炎、自己免疫性皮膚疾患、移植、リウマチ性疾患、炎症性胃腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性神経学的疾患、炎症性肺疾患、炎症性内分泌疾患、または自己免疫性血液疾患である、態様1~16、26~41、および56~102のいずれか一つに記載の方法。
104. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が、炎症性腸疾患、任意で、クローン病または潰瘍性大腸炎;移植;多発性硬化症;喘息;関節リウマチ;乾癬性関節炎または乾癬である、態様1~16、26~41、および56~103のいずれか一つに記載の方法。
105. 炎症性腸疾患が慢性炎症性腸疾患である、態様104記載の方法。
106. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が乾癬性関節炎である、態様1~16、26~41、および56~104のいずれか一つに記載の方法。
107. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が関節リウマチである、態様1~16、26~41、および56~104のいずれか一つに記載の方法。
108. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態がクローン病である、態様1~16、26~41、および56~105いずれか一つに記載の方法。
109. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が潰瘍性大腸炎である、態様1~16、26~41、および56~105のいずれか一つに記載の方法。
110. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が眼の炎症性疾患、任意でブドウ膜炎である、態様1~15、26~41、および56~102のいずれか一つに記載の方法。
111. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が全身性エリテマトーデス(SLE)である、態様1~16、26~41、および56~103のいずれか一つに記載の方法。
112. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態がシェーグレン症候群である、態様1~16、26~41、および56~103のいずれか一つに記載の方法。
113. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態が移植片対宿主病(GVHD)である、態様1~16、26~41、および56~103のいずれか一つに記載の方法。
114. GVHDが急性GVHD(aGVHD)である、態様113記載の方法。
115. GVHDが慢性GVHDである、態様113記載の方法。
116. GVHDが、免疫抑制剤、任意でコルチコステロイドおよび/またはシクロスポリンに対して抵抗性または難治性である、態様113~115のいずれか一つに記載の方法。
117. 処置する方法が予防的処置を含む、態様1~114のいずれか一つに記載の方法。
118. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態の発症前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与される、態様1~16、26~103、116、および117のいずれか一つに記載の方法。
119. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態の発症と同時に、または発症の後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与される、態様1~16、および26~118のいずれか一つに記載の方法。
120. 炎症性または自己免疫性の疾患または状態の発症前に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与され、炎症性または自己免疫性の疾患または状態の発症と同時に、または発症の後に、少なくとも1つの用量のICOSL融合タンパク質が投与される、態様1~16、26~114、および116~119のいずれか一つに記載の方法。
121. 対象がヒトである、態様1~120のいずれか一つに記載の方法。
IX. 実施例
以下の実施例は単に例示目的で含まれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
ICOSL IgSFドメインバリアントの結合性および活性の評価
結合パートナーICOSL、CD28、および/またはCTLA-4との結合性が変化したバリアントICOSLポリペプチドが選択された。バリアントICOSLポリペプチドは、
Figure 2022529059000022
のECDドメインを含有するSEQ ID NO:1に示される野生型ヒトICOSL配列をベースとして作製された縮重酵母ディスプレイライブラリーをスクリーニングすることによって選択された。
変異ライブラリーメンバーをコードするベクターDNAをエレクトロポレーションによって酵母コンピテント細胞に導入した。ライブラリーから酵母細胞を解凍し、次いで、誘導培地(induction media)(5.4グラムのNa2HPO4、8.56グラムのNaH2PO4・H20、20グラムのガラクトース、2.0グラムのデキストロース、6.7グラムのDifcoイーストニトロジェンベース、および1.6グラムのロイシン非含有酵母合成ドロップアウト培地サプリメント(yeast synthetic drop out media supplement)を水に溶解し、0.22μmメンブレンフィルター装置で滅菌した)の存在下で増殖させ、培養物を20℃で2日間増殖させて、酵母細胞表面においてライブラリータンパク質発現を誘導した。非結合因子を減らし、外因性組換え逆構造(counter-structure)タンパク質に結合する能力があるICOSLバリアントを濃縮するために、細胞を磁気ビーズ(New England Biolabs, USA)で処理した。標的リガンドタンパク質は、以下:ヒトrCD28.Fc(すなわち、組換えCD28-Fc融合タンパク質)、rCTLA4.Fc、およびrICOS.FcのようにR&D Systems(USA)から調達した。次いで、この後に、改善した結合因子をディスプレイする酵母細胞画分を濃縮するために、外因性逆構造タンパク質染色を用いて2~3回のフローサイトメトリーソーティングを行った。磁気ビーズ濃縮とフローサイトメトリーによる選択は本質的にMiller, K.D. Current Protocols in Cytometry 4.7.1-4.7.30, July 2008に記載のとおりである。
さらに高い特異的結合親和性があるかどうか、フローサイトメトリーソートからの酵母アウトプットをアッセイした。ソートアウトプット酵母を増やし、ソートアウトプット酵母がコードする特定のIgSF親和性改変ドメインバリアントを発現するように再誘導した。次いで、この集団を、親野生型酵母株、またはいくつかの場合には、フローサイトメトリーによる別の選択されたアウトプット、例えば、ビーズアウトプット酵母集団と比較した。
選択されたバリアントICOSL ECDドメインを融合タンパク質としてさらに並べ、下記のように結合および機能的活性について試験した。フローサイトメトリーソートからの各アウトプット細胞に由来するプラスミドDNAを、酵母プラスミドDNA単離キット(Zymo Research, USA)を用いて単離した。Fc融合のために、Fc融合ベクターへのクローニングに適した付加制限部位があるPCRプライマーを用いて、変異標的ECDのコーディングDNAをプラスミドDNAプレップからバッチ増幅(batch-amplify)した。制限消化後に、PCR産物を適切なFc融合ベクターと連結し、それに続いて、化学的形質転換によって、供給業者が指示するように株E.coli XL1 Blue (Agilent, USA)またはNEB5alpha(New England Biolabs, USA)に導入した。全クローンにおける変異を特定することを目的としたECDインサートのDNAシークエンシングのために形質転換試料のアリコートを提出した。いくつかの例では、変異を検証するためにリシークエンシングを行った。Genewizによって作成されたDNAシークエンシングデータの分析後に、マスタープレートから関心対象のクローンを回収した。次いで、以下の判断基準:1.)同一のクローンがアラインメントに少なくとも2回生じること、2.)変異がアラインメントに、好ましくは、別個のクローンに少なくとも2回生じること、を用いて、関心対象のクローンを特定した。これらの判断基準の少なくとも1つを満たしたクローンは、十中八九、結合性が改善したために、ソーティングプロセスによって濃縮されたクローンであった。
少なくとも1つの親和性改変ドメインがあるICOSLのECDを含有するFc融合タンパク質(例えば、バリアントICOSL ECD-Fc)である組換え免疫調節性タンパク質を作製するために、以下:シグナルペプチドに続いて、バリアント(変異体)ICOSL ECDに続いて、3個のアラニン(AAA)のリンカーに続いて、SEQ ID NO:37に示される野生型ヒトIgG1 Fcを基準に変異N82G(EUナンバリングによりN297Gに対応する)を含有するヒトIgG1 Fcの通りに設計されたタンパク質をコードするように、コード核酸分子を作製した。この例示的なFcはまた、EUナンバリングにより安定化システイン変異R77CおよびV87Cと、位置220でのシステイン残基からセリン残基への交換(C220S)(SEQ ID NO:37に示される野生型ヒトIgG1 Fcを基準に位置5(C5S)に対応する(EUナンバリングにより、それぞれ、R292C、V302C、およびC220Sに対応する)も含んだ。いくつかの場合には、ICOSL ECDとFcの最初の部分との直接融合体を作製するために、AAAリンカー配列に寄与するNotIクローニング部位を欠失させた。この構築物は、システインと共有結合を形成することができる抗体軽鎖を全く含まないので、ヒトIgG1 Fcは、SEQ ID NO:37に示される野生型または未改変Fcと比較して位置5にシステイン残基とセリン残基との交換(C5S)も含んだ。
組換えバリアントFc融合タンパク質を、Expi293発現系(Invitrogen, USA)を用いて懸濁液適合ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞から産生させた。製造業者のプロトコール(Catalog number 45202, Life Technologies, USA)を用いて、ハイスループット96ウェルプロテインA精製キットを使用して上清からタンパク質を精製した。例示的な組換えバリアントFc融合タンパク質の模式図を図1Aに示した。
A. 結合および機能的特徴付け
同族結合パートナーに対するICOSLドメインバリアント免疫調節性タンパク質の特異性および親和性を評価するために結合研究を行った。結合研究は、一過的トランスフェクション系(Life Technologies, USA)を用いて、完全長哺乳動物(ヒト)表面リガンド、CD28、ICOS、またはCTLA-4を発現するように作製されたトランスフェクトされたHEK293細胞に対して行った。対照として、モック(トランスフェクトされていない)細胞に対する結合性も評価した。フローサイトメトリーによる染色のために、200,000個の適切な一過的トランスフェクション細胞または負の対照(モック)を96ウェル丸底プレートにプレートし、次いで、非特異的結合をブロックするために染色用緩衝液(PBS、リン酸緩衝食塩水;1%BSA、ウシ血清アルブミン;および0.1%アジ化ナトリウム)の中で20分間インキュベートした。50μL中に100nM~1nMのバリアント免疫調節性タンパク質を含有する染色用緩衝液に細胞を再懸濁した。Cell Quest Pro software(Becton Dickinson, USA)またはHypercytフローサイトメーター(Intellicyte, USA)を用いて各トランスフェクタントと負の親株について平均蛍光強度(MFI)を計算した。
抗CD3同時固定化(coimmobilization)アッセイまたはヒト混合リンパ球培養反応(MLR)においてECD ICOSLバリアントの生理活性も評価した。MLRアッセイのために、200μlの最終体積のEx-vivo 15培地が入っている96ウェル丸底プレートの中で、約10,000個の成熟初代ヒト樹状細胞を100,000個の精製された同種CD4+T細胞(BenTech Bio, USA)と、ICOSLバリアントFc融合タンパク質および対照の存在下で同時培養した。4~5日目に、Human IFN-gamma Duoset ELISAキット(R&D Systems, USA)を用いて培養上清中のIFN-γ分泌を分析した。
抗CD3同時固定化アッセイのために、10nMマウス抗ヒトCD3(OKT3, Biolegends, USA)を、40nM rICOSL.Fcバリアントタンパク質を含むPBSで希釈した。プレートウェルへの刺激タンパク質の付着を容易にするために、この混合物を組織培養処理平底96ウェルプレート(Corning, USA)に一晩添加した。翌日、結合しなかったタンパク質をプレートから洗い落とし、100,000個の精製ヒトパンT細胞(BenTech Bio, US)またはヒトT細胞クローンBC3(Astarte Biologics, USA)を、200μlの最終体積のEx-vivo 15培地(Lonza, Switzerland)が入っている各ウェルに添加した。いくつかの場合には、ヒトパンT細胞を0.25μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE, ThermoFisher Scientific, USA)で標識した。培養上清を収集し、Duoset ELISAキット(R&D Systems, USA)でヒトIFN-γレベルを測定する3日前に細胞を培養した。細胞増殖は、LSR II(BD, USA)におけるフローサイトメトリー分析によって、蛍光に結合した抗CD4抗CD8抗体(BD, USA)で染色した細胞上または全T細胞上でのCFSE希釈によって測定したときの、分裂に入ったインプット細胞の割合(%)によって求めた。
表3は、抗CD3同時固定化アッセイまたはMLRアッセイにおける、選択されたICOSL IgSFドメインバリアントと細胞発現逆構造との結合および生理活性についての例示的な結果を図示する。表3に示されている例示的なアミノ酸置換は、SEQ ID NO:1に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定された。アミノ酸位置を真ん中に示し、番号の前に、対応する未改変(例えば、野生型)アミノ酸を列挙し、番号の後に、特定されたバリアントアミノ酸置換を列挙した。
表3の結果は、それぞれのバリアントFc融合分子と、同族逆構造リガンドを発現するように操作された細胞との結合の平均蛍光強度(MFI)値と、アミノ酸置換を含有しない対応する参照(例えば、未改変)ECD-Fc融合分子と同じ細胞発現逆構造リガンドの結合と比較したMFI比によって測定したときの結合活性を図示する。T細胞活性を調節するバリアントFc融合分子の機能的活性も、i)抗CD3と同時固定した、示されているバリアントECD-Fc融合分子、またはii)MLRアッセイでは、示されているバリアントECD-Fc融合分子のいずれかを用いて発生した培養上清中のIFN-γレベルの計算値(pg/mL)に基づいて示した。この表は、両機能アッセイにおける、対応する未改変(親)ECD-Fcと比較した、各バリアントECD-Fcによって産生されたIFN-γの比も図示する。
結果から、少なくとも1つの同族逆構造リガンドに対する親和性改変ICOSL IgSFドメインバリアントの結合親和性の向上を含む結合親和性の変化、および/または免疫学的活性の改善が示される。選択によって、少なくとも1つの、いくつかの場合には複数の同族逆構造リガンドに対する結合性が向上するように親和性が改変された多数のICOSL IgSFドメインバリアントが特定された。ICOSに対するネイティブICOSLの親和性は、CD28に対するネイティブICOSLの親和性と比較して比較的高いので、選択1回あたりの向上した結合親和性の差は、最初に野生型ICOSLにほとんど結合しなかったCD28結合性の向上よりも控えめであった。CD28結合性が高まるように選択すると、それに付随してCTLA4に対する結合性も、この相互作用が有利になるように特異的に選択しなかったという事実にもかかわらず高くなった。この観察から、ICOSL関連タンパク質であるCD80およびCD86との結合を担う、CTLA4およびCD28の中にある高度に保存された配列ともっと効果的に相互作用するバリアントが選択されたことが示唆される。
(表3)ICOSLバリアント:結合データおよび共刺激生理活性データ
Figure 2022529059000023
Figure 2022529059000024
Figure 2022529059000025
B. 変異を有するICOSLタンパク質構造
例えば、表3に示されているように、ICOSとCD28の両方に対する親和性が向上したICOSLバリアントの選択から、複数のクローン間で保存されているように思われ、かつICOSLのICOS/CD28結合IgVドメインに存在するように思われる、いくつかのアミノ酸置換が明らかになった。これらの残基の役割をさらに解明するために、反復突然変異(recurring mutation)をICOSL構造に位置付けた。ICOSL-ICOS複合体の構造を、SWISS-MODELサーバー(Biasini et al., 2014 Nucleic Acids Res. 42:p.W252-8)を使用し、ホモロジーモデリングのテンプレートとしてCD80-CTLA4 X線結晶構造(PDB 1D:1l8L)を用いてモデル化した。ICOSLおよびICOSの配列をそれぞれCD80およびCTLA4構造とアラインメントした。2つのモデル:(1)ICOSLのホモ二量体モデル、および(2)1つのICOSLユニットとICOSとの間の結合ヘテロ複合体を独立して作製した。次に、PyMOL Molecular Graphics Systemを用いて、ヘテロ複合体のICOSLをホモ二量体ICOSLモデルの各単量体ユニットと重ね合わせることによって完全ホモロジーモデルを構築した。これにより、ICOSと結合した完全ICOSLホモ二量体が得られ、次いで、これを、Swiss-PDB Viewerを用いて最終ホモロジーモデルを生じるように最終回のエネルギー最小化に供した。
図1Bに示されているように、C198を除いて、頻繁に観察される変異はICOSLのIgVドメインに限定された(ICOSの位置の代理としてCTLA4の場所については左パネルを参照し、右パネルと比較されたい)。対照的に、選択されたバリアントにおいて頻繁に変異しないことが見出された残基はICOSL IgVおよびIgCドメイン全体にわたって分布していたが、IgCドメインにいくらか偏る傾向があった。これらの結果は、IgVドメインにある反復突然変異残基がICOSL/ICOS境界面に影響を及ぼすのに対して、IgCドメインにある変異が異なるクローン間で頻繁に生じず、従って、ランダム変異誘発によるライブラリー作製の産物である非機能的な「バイスタンダー(bystander)」変異である可能性が高いという観察と一致している。ICOSと相互作用するICOS予測部位から5オングストローム以内にあるICOSLアミノ酸残基に影響を及ぼした反復突然変異は位置98しかなかった。ICOS結合部位から5オングストローム以内にある他の変異残基は位置96であり、クローン間でまれにしか観察されなかった。しかしながら、残基96と残基98は近いことから、残基96は、結合境界面の一部である別の残基であり得ることが示唆される。この考えと一致して、構造上、残基96および98に対応するCD80残基はCTLA4に対する接触残基である(Peach et al. 1994 J Exp Med, 180:2049-58)。ICOSLの位置96(もしかすると98)以外の位置にある強く選択された変異は予測ICOS結合境界面にあると予測されなかった。理論に拘束されるつもりはないが、結合境界面の外側にある変異は、モデル化された構造から予測されるように、IgVドメインを通ってICOSとの境界面の中に伝えられるアロステリック効果によってリガンド結合を間接的に調節するのかもしれない。注目すべきことに、残基52はグリコシル化されていると予測され、アスパラギン変異によってグリカンが除去されるとICOSL三次構造が変化することで結合性が影響を受けるかもしれない。
結果は、強く選択された変異がICOS境界面に直接的または間接的に影響を及ぼすという観察と一致している。この境界面はCD80/CTLA4境界面と類似しており(Chattopadhyay et al. 2006 J Immunol, 177:3920-9e)、CD80上にあるCD28結合エピトープはCTLA4結合エピトープと重複し、両リガンドとも、CD80に接触するために類似する配列特徴を利用する(Peach et al. 1994)。この構造/機能分析からの結果から、選択薬剤としてICOS-FcまたはCD28-Fcを用いて変異体が選択されたが、ICOS結合性の改善はCD28との結合性の改善と関連する可能性がある理由が明らかになった。
B. 抗CD3共刺激アッセイにおけるサイトカイン産生
上記の例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、上記の抗CD3共刺激(同時固定)生物活性アッセイにおけるサイトカインIL-17の刺激についてさらに評価した。ヒトT細胞を、プレートに結合した10nMの抗CD3および40nMのICOSL Fcバリアントタンパク質の混合物と共に培養した。上清を収集し、ELISAによってIL-17レベルを決定した。抗CD3と共に固定化された表示のバリアントECD-Fc融合分子および対応する未改変(親)ECD-Fcで生成された培養上清中のIL-17の量(pg/mL)を測定した。比較のために、この表に、例示的なバリアントに対する表3に示されている同じアッセイにおけるIFN-γの産生の結果も示されている。
測定された上清中のIL-17のpg/mLならびに対応する未改変(野生型)ECD-Fcと比較して各バリアントECD-Fcによって産生されたIL-17の比率(増加倍率)を示す結果が表4に示されている。IFN-γについても類似の結果が示されている。また、細胞によって産生された総IL-17またはIFN-γサイトカインの割合(%)も示されている。結果は、バリアント分子の親和性改変が、共刺激アッセイにおいてIFN-γに加えてIL-17を増加させる変化した機能的T細胞活性を発揮したことを示した。
(表4)ICOSL IgSFドメインバリアントの共刺激生物反応性データ
Figure 2022529059000026
実施例2
ICOSL IgSFドメインバリアントの精製および精製されたICOSL IgSFドメインバリアントの評価
上記の例示的な候補ヒットについて精製戦略を採用した。293細胞株(Expi293)に由来するヒト細胞に発現構築物を一過性にトランスフェクトし、ECD ICOSL Fc融合分子を細胞において発現させた。次いで、Fc融合タンパク質を、親和性クロマトグラフィー(MabSelect SuRe)によってプロテインAで上清から精製した。この初期の精製工程に続いて、分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)工程を行って、タンパク質をさらに精製した(Superdex200 16×60)。両精製工程からの試料を貯留し、分析用SECによって比較した。プロテインA精製後にタンパク質の濃度を決定した。得られた精製タンパク質をまた、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)での分析用SECによって分析して純度を評価した。
精製された試料中の主要ピークの割合(%)を決定し、初期プロテインA工程で精製されたタンパク質(プロテインAプールの主要ピーク%)対プロテインAに続き分取SECで精製されたタンパク質(SECプール(T=D0)の主要ピーク%)と比較した。表5に示すとおり、追加のSEC工程は、精製タンパク質のタンパク質純度を実質的に向上させた。タンパク質の安定性をさらに評価するために、分取SECによって精製されたタンパク質を室温で24時間放置し、次に、HPLCによる主要ピーク%(SECプール(T=D24)の主要ピーク%)を評価し、D0試料と比較した。D0対D24の主要ピーク%の変化を決定した(SECプールの主要ピーク▲%)。表5に示すとおり、試験した例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子の大部分は、この時点で主要ピーク%はほとんど変化を示すことなく、このことは、タンパク質バリアントの最小限の凝集が起こったことを示している。
(表5)ICOSLタンパク質バリアントの精製
Figure 2022529059000027
実施例13
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの共刺激生物活性の評価
実施例2に記載のとおり精製された例示的なECD ICOSL Fc融合分子を、実施例6に実質的に記載のとおりMLRによって生物活性について評価した。10nMまたは40nMのICOSL Fcバリアントタンパク質の混合物を、10nMの抗CD3の存在下で96ウェルプレートに一晩結合させた。プレートを洗浄し、100,000のCFSE標識パンT細胞を96時間加えた。上清を収集し、IFN-γおよびIL-17レベルをELISAによって測定した。
例示的な試験バリアント(10nMおよび40nMのICOSL Fc)との抗CD3共刺激によって誘導されたサイトカイン分泌の結果を図2Aおよび2Bを示し、それはICOSLのECDにおける例示的なIgSFドメインアミノ酸置換(交換)を表示する。図2Aおよび2Bの棒グラフは、それぞれ、ELISAによる上清中の分泌されたIFN-γおよびIL-17の量(pg/mL)を示す。WT ICOSLとの抗CD3共刺激によって誘導されたレベルと比較して試験バリアントとの抗CD3共刺激によって誘導されたサイトカイン放出のレベルを水平線によって表示する。結果は、バリアント分子の親和性改変が、共刺激アッセイにおいてIFN-γおよびIL-17分泌を実質的に増加させることを含め、機能的T細胞活性を調節する活性を発揮したことを示した。向上した免疫活性をいくつかのバリアントで観察した。
実施例4
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの増殖の評価
実施例2に記載のとおり精製された例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、T細胞の抗CD3誘導性増殖を共刺激する能力について評価した。
初代T細胞を、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した。10nMまたは40nMのバリアントECD ICOSL Fcまたは野生型ECD ICOSLタンパク質の混合物を、10nMの抗CD3の存在下で96ウェルプレートに一晩結合させ、次いで、標識T細胞を加えて3日間インキュベートした。対照として、結合した抗CD3およびIgGまたはIgG単独の存在下で増殖も評価した。細胞をCD4またはCD8表面マーカーについて染色し、フローサイトメトリーによってCFSE希釈を評価することによって、全T細胞、CD4+T細胞またはCD8+T細胞の増殖を決定した。
結果を、図3Aおよび図3Bに、それぞれ、40nMおよび10nMのICOSLで試験した例示的なバリアントについて示す。図3Aに示すとおり、ほとんど全ての試験バリアントECD ICOSL Fc融合分子がWT対照より大きい増殖を誘導した。図3Bに示すとおり、増殖の違いは10nMでより顕著であったが、特定のバリアントはこのより低い濃度でさえ最大の増殖を提供した。
実施例5
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの結合および活性の評価
実施例2に記載のとおり精製された例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、実施例1に記載のとおりの方法を実質的に使用して結合および機能的活性について評価した。
A. フローサイトメトリー結合アッセイ
293細胞株(Expi293)に由来するヒト細胞にCD28、CTLA-4、またはICOSをトランスフェクトしたかまたはモックトランスフェクトした。次いで、細胞を、100,000pM~46pMで力価測定したECD ICOSL Fc融合分子または野生型ECD ICOSL-Fc分子とインキュベートし、実施例1に記載のとおりフローサイトメトリーによって結合を観察した。フローサイトメトリーおよび平均蛍光強度(MFI)によって結合を評価し、Cell Quest Pro software(Becton Dickinson, USA)を使用してシグナルに陽性の細胞の割合(%)を決定した。半最大MFI応答(MFI EC50)または陽性細胞%((+)EC50%)を与えたICOSL-Fcの濃度を決定した。
表6は、結果を示す。表18に示されるICOSLアミノ酸置換は、SEQ ID NO:1に示されるそれぞれの参照(例えば未改変)ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定される。いくつかの値(例えば、CD28へのWT結合)について、EC50を得ることは不可能であったので、データフォーマット目的で1,000,000pMを任意に選んだ。上の実施例1に記載のとおりの先の結合アッセイから得られた結果と同様に、少なくとも1つの同族カウンター構造体リガンドに対するバリアントICOSL ECD-Fc融合分子の結合親和性の変化が観察された。
(表6)ICOSLバリアントについてのフローサイトメトリーEC50
Figure 2022529059000028
D. ForteBio結合アッセイ
受容体とICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質との間のタンパク質-タンパク質相互作用を、Fortebio結合アッセイを使用してさらに評価した。ICOS、CD28、およびCTLA-4受容体を抗ヒト捕捉センサー(ForteBio Octet AHC)上に個別にロードし、野生型未改変ICOSL ECD-Fc融合分子、野生型PD-L2 ED-Fc融合分子またはバリアントICOSL Fc融合分子を受容体に4点力価測定で結合させた。各力価測定を包括的に適合させて、各タンパク質の会合(kon)および解離(Kdis)を計算した。バリアントICOSL ECD-Fc融合分子と共に試験した各受容体の抗ヒト捕捉センサーのローディング応答を決定した。解離定数(KD)を計算し、野生型と比較して改善倍率値(fold imp.)を決定した。
ICOSへの結合結果を表7に示し、CD28への結合結果を表8に示し、CTLA-4への結合結果を表9に示す。表7~9に示される例示的なアミノ酸置換は、SEQ ID NO:1に示されるそれぞれの参照未改変ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定される。
(表7)ICOS ForteBio結合アッセイ
Figure 2022529059000029
(表8)CD28 ForteBio結合アッセイ
Figure 2022529059000030
(表9)CTLA-4 ForteBio結合アッセイ
Figure 2022529059000031
C. 同時固定アッセイ
ICOSL融合バリアントの共刺激生物活性を、実施例1に記載のとおり、抗CD3同時固定アッセイにおいて実質的に決定した。およそ0.37nM、1.3nM、または10nMのマウス抗ヒトCD3(OKT3, Biolegend, USA)を、10nMまたは40nMのバリアントICOSL ECD Fcまたは野生型ICOSL ECD-Fcを含むPBS中で希釈した。この混合物を組織培養処理平底96ウェルプレートに一晩加え、刺激タンパク質のプレートのウェルへの付着を促進させた。翌日、未結合タンパク質をプレートから洗い出し、100,000個の精製ヒトパンT細胞を各ウェルに加えた。細胞を3日間培養した後、培養上清を採取し、ヒトIFN-γレベルをELISAキットで測定した。
表10は、抗CD3同時固定アッセイにおいて種々の条件下で細胞によって産生されたIFN-γの量(pg/mL)を示す。この表において、例示的なバリアントECD ICOSL-Fc融合体のアミノ酸置換は、SEQ ID NO:1に示される未改変ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定されている。機能的アッセイにおいて各バリアントICOSL ECD-Fcの存在下で産生されたIFN-γの、対応する未改変(野生型)ECD-Fcの存在下と比較した比率を示す(倍率↑WT)。示すとおり、バリアントICOSL-ECD-Fc分子の共刺激シグナル伝達は、野生型ICOSLと比較して大幅に大きかった。
(表10)共刺激アッセイにおけるIFN-γ応答の評価
Figure 2022529059000032
D. 生物反応性抑制の評価のための混合リンパ球反応
融合バリアントによるT細胞活性の調節を、実施例1に記載のとおり、実質的に混合リンパ球反応(MLR)で決定した。ヒト単球を、IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間インキュベートし、最後の24時間で追加のLPSを用いて樹状細胞へと成熟させた。1ウェル当たり1×104の樹状細胞および1×105のヒトCFSE標識T細胞をプレーティングし、PBS中で希釈した3つの異なる濃度(40nM、13.3nMまたは4.4nM)の野生型または組換えバリアントICOSL ECD-Fc分子の存在下で4日間インキュベートした。同じ濃度のヒトIgG、PD-L2-Fcまたはベラタセプト(L104EおよびA29Y変異を含有するCTLA4-Fc)を対照として使用した。上清を採取し、IFN-γ応答をELISAによって特性解析した。
図4は、種々の条件下でのIFN-γ産生を示す。野生型ICOSLの存在下で細胞によって産生されたIFN-γのレベルを水平線によって示す。陰性対照タンパク質PD-L2-Fcの存在下では、IFN-ガンマ産生の抑制は観察されなかった。対照的に、試験ICOSLバリアントの大部分は、MLRにおいてIFN-γ産生のある程度の阻害を示した。特定のバリアントは、試験した最低濃度の4.4nMでさえ、培養物中で産生された検出可能なIFN-γが非常に低いか全くないIFN-γの大幅な阻害を示した。バリアントECD ICOSL-Fcの4.4nMのバリアントの存在下でのMLR抑制割合(%)を表11に示す。この表において、負の値は、アッセイにおける炎症効果を表示する。
(表11)MLRにおけるICOSLについての共刺激生物活性データ
Figure 2022529059000033
E. フローサイトメトリーによる増殖および細胞内サイトカインマーカーの評価
野生型または組換えバリアントICOSL ECD-Fc分子の存在下で4日間インキュベートした上記のとおりのMLR研究からのカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)標識パンT細胞を、ゴルジ阻害剤(Golgi/Block/Plug)の存在下でのホルボールミリスタートアセタート(PMA)/イオノマイシンとの6時間の再刺激によって、サイトカインレベルについてさらに試験した。ヒトIgG、抗CD28、抗ICOSL、PD-L2-Fc、またはベラタセプト(L104EおよびA29Y変異を含有するCTLA4-Fc)とインキュベートしたMLR研究からのT細胞もまた再刺激した。T細胞をCD4またはCD8表面マーカーについて染色し、固定し、透過処理し、そして、表12および13に示すとおりの種々のサイトカインについて細胞内染色した。
特定の細胞内サイトカインに陽性であったCD4+およびCD8+T細胞の割合(%)をそれぞれ表12および13に示す。結果は、多数のバリアントICOSL ECD-Fc分子がまた、1つまたは複数のサイトカイン(いくつかの場合では、大半のサイトカインを含む)を抑制できたことを示した。総スコアおよび平均スコアを計算して、このアッセイで調べたパラメーター全体で試験した個々の分子の効果の合計を評価した。また、増殖も評価し、そして、CFSE希釈によって決定した場合の分化した細胞の割合(%)も表12および13に示す。提供した結果の中で、特にCD8+細胞から、特定のバリアントがベラタセプトと同等またはより良好な活性を示すことを結果は示している。
(表12)CD4+T細胞の増殖および細胞内サイトカインレベルの評価
Figure 2022529059000034
Figure 2022529059000035
(表13)CD8+T細胞の増殖および細胞内サイトカインレベルの評価
Figure 2022529059000036
Figure 2022529059000037
実施例6
B細胞とT細胞の共培養におけるサイトカイン産生の評価
B細胞およびCD4+T細胞を同じドナーから精製し、CSFEで標識し、1:1の細胞比にて、各々1ウェル当たり5×104の細胞で96ウェルプレートにプレーティングした。バリアントICOSL ECD-Fc融合分子またはベラタセプトを1ウェル当たり終濃度40nMで加えた。細胞を刺激しないか、または100ng/mLのブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、1μg/mLのヤマゴボウマイトジェン(PWM)もしくは両方と200μl/ウェルの終容量にて37℃で7日間インキュベートした。
細胞を採取し、表面を以下のBおよびT細胞系列マーカーについて染色した(IgM、IgD、CD38、CD138、CD27、CD19、CD4、CD3)。フローサイトメトリーによって増殖を評価し、培養上清を、LEGENDplex human Th cytokine detection kit(Biolegend, USA)を使用してIL-5、IL-13またはIL-21サイトカインについて解析した。
図5Aに示すとおり、分化したB細胞の数は、B/T細胞共培養物において、バリアントICOSL ECD Fc融合分子の存在下でインキュベートしたときタンパク質なし対照と比較して低減した。試験した例示的なバリアントに対する拮抗効果の程度は、CTLA-4-Igベラタセプト(L104E、A29Y)と似ていた。同じく、図5B~5Dに示すとおり、バリアントICOSL ECD Fc融合分子は、インビトロの初代ヒトB細胞/T細胞共培養において、タンパク質なし対照ならびに野生型ICOSL対照を含有する培養物と比較してサイトカイン産生を阻害した。ベラタセプトと比較して、例示的な試験バリアントICOSL ECD Fc融合分子は、いくつかの場合ではサイトカイン産生の遮断においてより効果的であった。
実施例7
移植片対宿主-疾患(GvHD)モデルにおける生存および疾患活動の評価
例示的なICOSLバリアントECD-Fcタンパク質を、移植片対宿主疾患(GvHD)モデルにおいて活性について評価した。雌のNSGマウス(1群当たりn=10)に照射し(100ラド)、-1日目にγグロブリン10mgを皮下投与した。0日目に、マウスは、1000万のヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、ならびに、100μgのWT-ICOSL ECD Fc、バリアントICOSL ECD Fc分子N52H/I143T(SEQ ID NO:61に示されるECD)、バリアントICOSL ECD Fc分子N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:62に示されるECD)、対照として75μgのベラタセプト(CTLA-4-Ig L104E/A29Y; 米国特許出願公報第US20160271218号)または食塩水のいずれかの腹腔内注射投薬を受けた。15日目に、移植したヒトCD45+細胞の表現型をフローサイトメトリーによって決定した。35日目に研究を終了した後、生存、体重減少、および疾患活動のエンドポイント測定値を評価した。
図6Aは、食塩水、WT ICOSL-ECD Fc、バリアントICOSL ECD-Fc分子、またはベラタセプトで処置された、GVHDマウスの生存を示す。食塩水またはWT ICSOL ECD-Fcを投与したマウスと比較して、バリアントICOSL ECD-Fc N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:62に示されるECD)を投与したマウスの生存の有意な差が観察された(マンテル-コックスおよびゲーハン-ブレスロウ-ウィルコクソン検定によってp<0.0001)。図6Bは、食塩水、WT ICOSL ECD-Fc、バリアントICOSL ECD-Fc分子、またはベラタセプトで処置されたマウスの体重減少に、研究過程にわたって類似の差があることを示す。
疾患活動指数(DAI)を研究中1週間に3回決定し、マウスの体重減少、姿勢、活動、被毛状態の外観および皮膚のスコアリングを評価した。研究過程にわたる疾患の等級を図6Cに示す。ICOSL FcバリアントN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:62に示されるECD)またはベラタセプトを受けた処置群は、大幅に改善されたDAIスコアを示した。また、研究14日目の末梢血中のヒトT細胞の割合(%)もフローサイトメトリーによって評価した。測定値を処置群で平均化し、誤差バーは平均の標準誤差(SEM)を表す。図6Dは、血液中の生CD3+/CD4+またはCD3+/CD8+細胞の割合(%)を示す。N52H/N57Y/Q100Pを有するバリアントICOSL ECD Fc(SEQ ID NO:62に示されるECD)またはベラタセプトを受けた処置群は、食塩水処置群と比較して有意に異なるCD4+T細胞のレベルを示した(それぞれ対応のないt検定によってp=0.008および0.006)。この研究は、インビボモデリング中のヒト初代T細胞およびGVHDに対するバリアントICOSL Fcバリアントタンパク質の治療効果を実証する。
バリアントICOSL ECD-Fc N52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:63に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:64に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:65に示されるECD)を含む、さらなるバリアントICOSL ECD-Fc融合分子を用いて類似研究を行った。N52H/Q100R(SEQ ID NO:66に示されるECD)は上記で示したようにインビトロMLR研究において活性が低かった。NSGマウス(n=9/群)を上記のように処置した。この研究では、ICOSL-Fcまたはベラタセプトを用いた投薬は1週間に3回、0日目~37日目まで継続し、生き残ったマウスを49日目に殺した。群間の生存率の統計的差異を求めるために、データをマンテル・コックス(Mantel-Cox)(ログランク(log rank))検定を用いて分析した。結果として生じた生存曲線を図6Eに示した。ベラタセプトと、ICOSL-FcバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:63に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:64に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:65に示されるECD)は食塩水およびWT ICOSL-Fcと比較して生存期間を有意に延ばした(p<0.001)。実験の時間経過にわたって平均DAIスコアをプロットした。最後の観察(すなわち、終了日に収集した平均スコア)は、計画された最終試験日(49日目)の前に終了した群についてはグラフの前の方に記載した。経時データ(すなわち、DAIスコア)の群間の有意差を、「処置」効果について二元配置反復測定(2-way repeated measures)ANOVAを用いて求めた。結果として生じたDAIスコアを図6Fに示した。ベラタセプトとICOSL-FcバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:63に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:64に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:65に示されるECD)は、DAIスコアの二元配置ANOVAにより食塩水およびWT ICOSL-Fcと比較して(p<0.001)、ベラタセプトとN52H/N57Y/Q100R/C198Rを有するICOSL-Fcバリアントとの間(p=0.035)でDAIスコアを有意に低減した。
いくつかの場合にはバリアントICOSL-Fc活性はベラタセプト処置と比較して改善した。ベラタセプトに匹敵するか、またはベラタセプトより優れたレベルの生存の向上および疾患発達の減弱により証明されたように、ICOSL-Fcバリアント投与はGVHDの影響から保護された。このモデルにおいてWT ICOSL-Fcと変異N52H/Q100Rを有するバリアントICOSL-Fc(SEQ ID NO:66に示されるECD)は効果がなかったので、このモデルでの活性はインビトロ活性と相関関係にあった。
実施例8
インビボ遅延型過敏症の評価
バリアントICOSL ECD-Fc融合分子を、マウス遅延型過敏症(DTH)モデルでインビボ抗炎症活性について評価した。オボアルブミン(OVA)で感作したマウスで遅延型過敏症免疫反応を誘発し、チャレンジ後の応答を評価した。試験したバリアントICOSL ECD-Fc融合分子は、以下のアミノ酸置換を有するバリアントECDを含有していた:N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:62に示されるECD)、N52H/Q100R(SEQ ID NO:66に示されるECD)、またはN52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:64に示されるECD)。SEQ ID NO:40に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有するFc骨格(Fc#1と指定される)またはSEQ ID NO:44に示されるEUナンバリングによる変異C220S/E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含有するFc骨格(Fc#2と指定される)のいずれかに、G4S(GGGGS; SEQ ID NO:52)リンカーありまたはなしのいずれかでバリアントを融合させた。表14は、試験した構築物を示す。
(表14)ICOSL ECD-Fc融合体構築物
Figure 2022529059000038
感作のために、8週齢の雌のBALB/cマウスに、Sigma Adjuvant(100μL;カタログ番号S6322-1VL)に乳化したOVA 100μgを尾の基部に0日目に皮下注射した。1日目および4日目に、マウスに、バリアントICOSL ECD-Fc融合タンパク質、75μgのCTLA-4 Fc(アバタセプト)、または陰性対照としてPBSを腹腔内注射によって投与した。7日目、OVAチャレンジの2~3時間前に、マウスに、対照としてPBS、75μgのCTLA-4 Fc(Orencia社のアバタセプト)、または表示のバリアントICOSLポリペプチドを腹腔内注射によってさらに投与した。アバタセプトおよびバリアントICOSL-Fc融合分子をモル当量で投薬した。
OVAチャレンジのために、左耳介へのPBS 10μL容量中のOVA 10μgの皮内注射を、治療的処置の2~3時間後にイソフルランガス麻酔下で送達した。ベースラインの耳介厚を、OVAチャレンジ前に測定した。
8日目に、イソフルラン麻酔下でMitutoyoキャリパーを使用して耳介厚を測定し、OVAチャレンジ前後の耳介厚の変化を決定した。図7に示すとおり、表示のバリアントICOSL ECD-Fc融合分子で処置されたマウスは、PBS対照と比較して有意に低いOVA誘導性耳介腫脹を示した(1元配置ANOVAによって<0.0001)。試験した表示のバリアントICOSL ECD-Fc融合分子のいずれかと比較してアバタセプトで処置されたマウスの耳介厚間でも、バリアントICOSL処置間でも有意な差はなかった。これらの結果は、バリアントICOSL分子が免疫応答をインビボで低減することができることを実証する。
実施例9
初代ヒトT細胞のNanostringの転写シグネチャー
組織培養プレートを、10nMの抗CD3で、40nMのFc対照タンパク質、野生型ICOSL-Fc、野生型CD80-Fc、これらのタンパク質の両方、または表示のとおりの変異を有するバリアントICOSL Fc融合タンパク質と共にコートした。次いで、精製ヒトT細胞を、タンパク質でコートしたプレート上にプレーティングし、37℃でインキュベートした。上記の各処置群からの培養物を24、48および72時間で採取し、各細胞試料からトータルRNAを調製した。RNAをNanostringに転写し、Cancer Immune chipを使用して各試料における750の遺伝子の転写産物を定量化した。処置群間および種々の時点にわたる転写産物レベルの比較を可能にするNanostringのプロプライエタリーソフトウエアを使用して、転写産物値をノーマライズした。図8および図9に示すとおり、試験したバリアントICOSL ECD-Fcポリペプチドは、野生型CD80 ECD-Fc、野生型ICOSL ECD-Fc、または両方の組み合わせと比較して変化した炎症活性を示す。
実施例10
Fc融合免疫調節タンパク質の作製および評価
様々なリンカーとFc分子を使用したこと以外は実質的に実施例1に記載のように、バリアントICOSL IgSF(例えば、ECD)ドメイン含有分子をFc融合タンパク質として並べた。ICOSLのECDと、少なくとも1つの親和性改変ドメインを含有するFc融合タンパク質(例えば、バリアントICOSL ECD-Fc)である免疫調節タンパク質を作製するために、コード核酸分子は、以下:不活性ヒトIgG1 Fcに直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されたバリアント(変異体)ECDのように設計されたタンパク質をコードするように作製した。詳細に述べると、作製した免疫調節タンパク質はリンカーを含有せず(なし)、AAAもG4S(SEQ ID NO:52)リンカーも含有しなかった。不活性ヒトIgG1 Fcは、EUナンバリングによる以下の変異: C220S/R292C/N297G/V302C (SEQ ID NO: 43)、C220S/E233P/L234V/L235A/G236del/S267K (SEQ ID NO: 44)、C220S/L234A/L235E/G237A (SEQ ID NO: 40)またはそれらのアロタイプを含有した。交換C220Sを含めた。なぜなら、結果として生じるタンパク質が、システインと共有結合を形成することができる抗体軽鎖を含まないからである。組換えバリアントFc融合タンパク質を293細胞において産生させ、実施例1において実質的に説明したようにプロテインAを用いて精製した。
バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質を、同族結合パートナーに対する結合性を評価する結合研究において評価した。結合研究において、同族結合パートナーであるヒトCD28、ICOS、およびCTLA4でトランスフェクトしたExpi293細胞を標的細胞として使用した。それぞれの結合パートナーを発現する標的細胞に対するバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質の結合のMFIを求め、対応する未改変(野生型)ICOSL ECD-Fcと、同じ標的細胞との結合性について比較した。バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質によるT細胞活性の調節も、実施例1において実質的に説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いて確かめた。
様々なリンカーとFc領域を含有する例示的なバリアントICOSL ECD-Fc融合免疫調節タンパク質の結合の結果を表15に示した。この表は、SEQ ID NO:1に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにバリアントICOSLのECDにおけるアミノ酸置換を示している。2列目は、Fc融合タンパク質に使用したリンカーと、リンカーのSEQ ID NO識別子を示す。3列目は、EUナンバリングによるFc変異と、バリアントICOSL Fc融合タンパク質に含まれるFcのSEQ ID NO識別子を示す。
表15に示されているように、試験したバリアントICOSL Fc融合タンパク質の中で、同族結合パートナーとの結合について同様の結果が観察された。これらの結果から、異なるFc分子または異なるリンカーを用いたFc融合体のフォーマットは、ICOSL IgSFドメインバリアントの、その同族結合パートナーに対する結合に影響を及ぼさなかったことが分かる。さらに、Fc融合体フォーマットの全てがMLR反応中で溶解状態で二価Fc分子として提供されたときに、アミノ酸置換を含有しない参照(例えば、未改変または野生型)ECD-Fc分子と比較してT細胞活性化を低減するアンタゴニスト活性を示した。いくつかの場合には、上清中に、検出可能なIFN-γは測定されなかった。このことは、共刺激リガンド同族結合パートナーと、IFN-γ分泌を誘導するリガンドとの相互作用が完全にブロックされたことと一致した。
(表15)バリアントICOSL ECD-Fc分子の分子配列、結合データ、および共刺激生理活性データ
Figure 2022529059000039
実施例11
CHO細胞におけるバリアントICOSL分子の発現
実施例2に記載のようにExpi293細胞においてバリアントICOSL Fc融合タンパク質を発現させる代わりとして、懸濁チャイニーズハムスター卵巣細胞(ExpiCHO-S)細胞を用いて様々なICOSL分子を産生した。SEQ ID NO:40に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有する不活性FcまたはSEQ ID NO:42に示されるそのアロタイプにGSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:58)を用いて連結されたバリアント(変異型)ECD N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:64)を含有する例示的なバリアントICOSL IgSF(例えば、ECD)Fc融合タンパク質をコードするDNA構築物を用いて細胞をトランスフェクトした。
ExpiCHO-S細胞と、ExpiCHO(商標)発現系を用いたトランスフェクション用試薬はThermoFisher Scientific(Cat#A29133)から購入した。細胞を解凍し、製造業者の推奨プロトコールに従って拡大させた。少なくとも2回継代した後に、トランスフェクションの24時間前に細胞を分割し、高密度になるまで拡大させた。次いで、細胞をトランスフェクション用の細胞数まで希釈し、DNA複合体をExpiFectamine(商標)CHO試薬を用いて形成し、細胞に添加した。DNA複合体を添加して1日後に、ExpiCHO(商標)feedとExpiFectamine(商標)CHO Enhancerを培養物に添加し、次いで、32℃インキュベーターに入れた。細胞生存率および細胞質量をモニタリングし、生存率が80%未満になったときに培養物を収集した。次いで、細胞ペレットを除去するために培養物を低速で遠心分離し、透明化した上清を0.2μm濾過滅菌した。タンパク質を実施例1に記載のように精製した。
A. タンパク質分析
精製されたバリアントICOSL Fc融合タンパク質をSDS-PAGEに流し、タンパク質染色によって分析した。CHO細胞から生じた細胞では複数のバンドが観察されたが、293細胞から生じた細胞では観察されなかった。このことは、CHO細胞において発現させたときにタンパク質分解によるICOSL切断が起こったという観察と一致する。表16は、SDS-PAGEによって観察されたときのアミノ酸配列と潜在的な糖(carbohydrate)に基づいて計算した、インタクトなタンパク質、単一切断型(single-clipped)、および二重切断型(double clipped)タンパク質の分子量を図示する。低分子量の還元/非還元切断種(単一切断型および二重切断型)の存在によって示されたように、ExpiCHO-S由来細胞において発現させたICOSL Fc融合タンパク質のタンパク質分解が観察された。観察されたバンドのサイズおよびマススペクトロメトリー(Mass Sprectromety)分析に基づいて、これらの結果は、配列LQQN/LTに対応するICOSL ECDにある潜在的な切断部位と一致し(「/」は潜在的な切断部位を示す)、それによって、Fc融合タンパク質の一方または両方の鎖においてECDのスターク(stalk)領域前の切断と、この配列のFc部分の除去が起こる。観察されたプロテアーゼ切断によって、CHO細胞において産生させたときに不均一なタンパク質産物が生じることがある。また、膜貫通免疫調節タンパク質として発現させたフォーマットの場合、特定の細胞において起こるプロテアーゼ切断によって、細胞から可溶性タンパク質が放出され、それによって、改変された細胞上にある細胞表面発現型のバリアントタンパク質が低減する可能性がある。
(表16)タンパク質分解を圧制するために、SDS-PAGEを用いたプロテインAカラムクロマトグラフィーからの捕捉および溶出後に検出された還元/非還元種
Figure 2022529059000040
1タンパク質MWマーカーと比べたSDS-PAGEからのMW推定値
実施例12
ICOSL IgSFドメイン含有分子のタンパク質分解耐性バリアントの作製
CHO細胞などの細胞において発現させたときにバリアントICOSLポリペプチドをタンパク質分解耐性にするために、様々なさらなる形態のバリアントICOSLポリペプチドを作製した。以下のさらなる改変されたICOSL ECD参照配列:(1)LQQN/LTプロテアーゼ切断部位の全てまたは一部を欠く様々なECD短縮型(短縮型#4、#5、#6、#7、もしくは#8と名付けた);(2)SEQ ID NO:1に示される位置を基準に切断部位N207および/もしくはL208に変異を含有するICOSLバリアント参照配列;またはIgVドメインを、この分子の唯一のIgSFドメインとして含有するICOSL単独IgV参照配列(SEQ ID NO:1の1~122番目のアミノ酸に対応するSEQ ID NO:3に示される)を作製した。いくつかの場合には、上記の戦略の組み合わせをICOSL ECD参照配列において示した。以下の表17は、作製した様々な参照配列を示す。
SEQ ID NO:1に示されるナンバリングを基準に例示的な変異N52H/N57Y/Q100R/F172Sを様々な参照配列に導入した。SEQ ID NO:3に示される参照ICOSL IgVは、F172Sに対応する位置を含有しないので、バリアントICOSL IgVは変異F172Sを含有しなかった。作製したバリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:39に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237A/K447delを含有する不活性FcまたはSEQ ID NO:42に示されるそのアロタイプに(G4S)2リンカー(SEQ ID NO:53)を介して連結されている、作製した参照ICOSL IgSFドメインを含有する、Fc融合タンパク質として並べられた。
(表17)例示的なICOSL IgSF含有ドメイン参照配列
Figure 2022529059000041
A. タンパク質分解の評価
上記のバリアントICOSL Fc融合分子をコードするDNA構築物をトランスフェクションによってチャイニーズハムスター卵巣細胞(ExpiCHO-S)に導入した。次いで、実施例2に記載のようにアフィニティクロマトグラフィー(affinity chromatograpy)によってプロテインAを用いてICOSL Fc融合タンパク質を上清から精製した。精製されたタンパク質を分析用SECによって分析した。
SECによって、インタクトなタンパク質はシングルピークを示すのに対して、切断されたタンパク質は、低分子量種を含む複数のピークを示した。実施例11記載のSDS-PAGE結果と一致して、バリアントICOSL ECD Fc融合タンパク質をExpiCHO-S由来細胞において発現させ、SECによって評価したときに、図10Aに示されている複数のピークによって示されているようにタンパク質分解が観察された。図10B~10Gに示されているように、推定ECDプロテアーゼ切断部位が除去されたかまたは変異した改変参照ICOSLポリペプチドを用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質のSEC分析によってシングルピークが観察された。このことから、このタンパク質の切断が低減したことが分かる。しかしながら、ある精製ロットでは、SEQ ID NO:9に示される参照ICOSLポリペプチドを用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質(短縮型#5)のSEC分析によって低分子量種が観察されたが、このロットに、これらの種が存在した理由は分からなかった。図10Gに示されているように、ICOSL IgV単独参照配列を用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質のSEC分析でも、低分子量種の生成、従って、タンパク質分解が観察されなかった。
B. 結合性および活性
CHO細胞において、上記の様々な参照配列中にバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質をコードするDNA構築物をトランスフェクトした後に産生および精製したタンパク質の結合性および活性を比較した。いくつかの場合には、以下で評価した精製クローンは、上記の変異以外に、試験したタンパク質の免疫調節性活性に影響を及ぼすと思われない、さらなる変異を含有することが後で発見された。
結果として生じた精製されたバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質を、同族結合パートナーに結合するかどうか、実質的に上記で説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いてT細胞活性を調節するかどうか評価した。表18は、SEQ ID NO:1に示されるそれぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにICOSL参照配列中のアミノ酸置換を示し、それぞれのICOSL参照配列のSEQ ID NO識別子を示す。示されているように、試験した全てのフォーマットについて、結合性およびMLRアンタゴニスト活性はおおむね似ていた。
(表18)バリアントICOSL分子の分子配列、結合データ、および共刺激生理活性データ
Figure 2022529059000042
C. 293(Expi293)またはCHO細胞において発現させたタンパク質の結合性および活性
上記のICOSL参照配列に基づいて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質を、293(Expi293)細胞またはCHO細胞において発現させた後の結合性および活性について評価した。さらに、表19Aに示されているように、例示的なICOSL参照配列中に例示的なIgSFドメインICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198RまたはN52H/Q100RをコードするDNA構築物も、SEQ ID NO:40に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有する不活性Fcに連結し、293細胞またはCHO細胞をDNA構築物でトランスフェクトした後に産生および精製した。さらに、例示的なバリアント免疫調節タンパク質を単量体として作製し、細胞を、バリアントICOSL ECD参照配列においてバリアントをコードするが、Fc配列との融合を含まないDNA構築物でトランスフェクトした。
結果として生じた精製されたバリアントICOSL Fc融合タンパク質またはバリアントICOSL単量体を、同族結合パートナーに結合するかどうか、実質的に上記で説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いてT細胞活性を調節するかどうか評価した。表19Aは、SEQ ID NO:1に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにバリアントICOSLの参照配列中のアミノ酸置換を示し、それぞれの参照ICOSL配列のSEQ ID NO識別子を示す。3列目は、ICOSLタンパク質を産生するのに使用した細胞タイプ(ExpiCHO-SまたはExpi293)を示す。表19Aに示されているように、結果は、バリアントICOSL免疫調節タンパク質がCHO細胞で産生されても293細胞で産生されても、かなり似た結合性と活性を示す。
(表19A)様々な細胞を用いて産生されたバリアントICOSL ECD Fc融合分子の分子配列、結合データ、および共刺激生理活性データ
Figure 2022529059000043
D. リガンド結合およびブロッキング
リガンド結合は、AlexaFluor-647で標識した決まった量のCD86またはICOSLとインキュベートした、CD28またはICOSを発現するCHO細胞を使用し、漸増濃度(100pM~1,000,000pM)の野生型ICOSL-Fc、バリアントICOSL IgV-Fc(不活性Fc(例えば、ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示されるN52H/N57Y/Q100Rを有するバリアントICOSL IgVを含有する)、または比較のために、CD28のみの阻害剤であるアバタセプトであるICOS経路阻害剤、プレザルマブ(AMG-557; 抗ICOSL, Creative Biolabs)、もしくはベラタセプトの存在下で評価した。結合したタンパク質を抗ヒトIgG-PEによって検出し、フローサイトメトリーによって測定した(図10H)。これから、CD28およびICOSの両方に対してバリアントICOSL IgV-Fcの強い標的結合性が示されたが、対照タンパク質では示されない。リガンド結合のIC50を表19B.1に示した。バリアントICOSL IgV-Fcは、フローサイトメトリーおよびGraphpad Prismで求めたIC50レベルによって測定したときに、標的受容体CD28およびICOSに対するリガンド結合をブロックすることが確認された(図10I)。
共刺激活性に及ぼす影響を評価するために、健常ドナーおよびシェーグレン症候群(SjS)対象に由来するPBMCを、人工抗原提示細胞(CD80、CD86、ICOSリガンド、および抗CD3(OKT3)を発現するK562細胞)を用いて20:1の細胞:人工APC比で、100nMのバリアントICOSL IgV-Fcの存在下で、または比較のためにCD28のみの阻害剤であるアバタセプト、ICOS経路阻害剤であるプレザルマブ(AMG-557; 抗ICOSL, Creative Biolabs)、もしくはアバタセプトとプレザルマブの組み合わせの存在下で刺激した。Fc単独を対照として使用した。
CD28共刺激活性に対する効果を評価するために、IL-2ポモーター(pomoter)(Promega)に由来するIL-2-ルシフェラーゼレポーターを発現するジャーカットエフェクター細胞を、抗CD3 OKT3+ヒトCD86(CD28共刺激遮断)を発現する人工APC(aAPC)と同時培養した。ICOS共刺激活性に対する効果を評価するために、ジャーカット/IL-2レポーター細胞にヒトICOSの細胞外ドメインとCD28の細胞内ドメインをさらに形質導入し、抗CD3 OKT3+ヒトICOSL(ICOS共刺激遮断)を発現するaAPCと同時培養した。滴定(titrating)量の(100pM~1,000,000pM)のバリアントICOSL IgV-Fcを同時培養物に添加した。CD28共刺激活性に対するブロッキング効果を比較するために、アバタセプトまたはベラタセプトを対照として添加した。ICOS共刺激活性に対するブロッキング効果を比較するために、プレザルマブを対照として添加した。インキュベーション開始後に相対的ルミネセンスシグナルをモニタリングすることによって共刺激活性を評価した。図10Jに示されているように、バリアントICOSL IgV-FcはCD28共刺激とICOS共刺激を両方ともブロックした。
(表19B.1)リガンド結合IC50(nM)
Figure 2022529059000044
E. 標的結合の比較
不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示されるN52H/N57Y/Q100Rを有するバリアントICOSL IgVを含有する例示的なバリアントICOSL vIgD-Fc融合分子の標的結合を、異なる種間で評価した。結合は、ヒト、カニクイザル、ラット、またはマウスに由来する完全長表面リガンドCD28、ICOS、またはCTLA-4を発現するように作製したトランスフェクトHEK293細胞上で、実質的に実施例1に記載のように評価した。トランスフェクションは一過的トランスフェクション系(Life Technologies, USA)を用いて行った。対照として、モック(トランスフェクトされていない)細胞に対する結合も評価した。結果を表19B.2に示した。示されているように、例示的なバリアントICOSL vIgD-Fc融合分子はヒトICOSおよびCD28の両方に対して高親和性で結合を示した。カニクイザルについて同等の結合性が観察されたが、げっ歯類対応物に対しては低い親和性が観察された。CTLA-4結合に関してカニクイザル(bynomolgus moneky)とラットはヒトと同等であり、これに対してマウスの親和性はより低い。対照的に、野生型ICOSL-FcはICOSに対して検出可能な結合を示したが、CD28に対する検出可能または定量可能な結合はほとんど観察されなかった(データは示さない)。
(表19B.2)種間の標的結合の比較
Figure 2022529059000045
実施例13
CIAモデルにおけるICOSL IgV-Fc融合分子の投薬およびインビボ効果の評価
バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を、予防的投薬または治療的投薬を用いるコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおいて抗炎症性活性があるかどうか評価した。疾患発症の前または直後にバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を最大4回投薬した。試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子は、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:67に示されるN52H/N57Y/Q100PまたはSEQ ID NO:36に示されるN52H/N57Y/Q100Rを有するバリアントICOSL IgVを含有した。
関節炎を誘導するために、-18日目または-21日目にマウスの尾に、ニワトリまたはウシコラーゲンII/CFAエマルジョンを注射し、0日目にニワトリまたはウシコラーゲンII/IFAエマルジョン(「ブースト」)を注射した。予防的投薬のためにバリアントICOSL IgV-Fc融合分子(N52H/N57Y/Q100P)をマウスに投薬し、疾患発症前にブースト日から4回の投薬を開始した。治療的/遅延処置の場合、観察された肢のスコアが1より大きくなったときから開始して、バリアントICOSL IgV-Fc融合分子(N52H/N57Y/Q100R)をマウスに投薬した。投薬は、2日ごとに合計4回の投薬が行われた。対照として、Fcだけの分子とCTLA-4-Fc(アバタセプト)分子も試験した。発赤または膨張に基づいて肢のスコアを確かめた。抗コラーゲン(CII IgG)抗体ならびにIL-6およびTNFα炎症性サイトカインを測定するために血清も収集した。流入領域リンパ節からの細胞を収集し、CD4、CD8、CD44、またはT濾胞性ヘルパー(TFH)細胞マーカー(CD25-CD4+PD-1+CXCR5+)を対象にして染色した。図11A~11Dは予防的投薬の結果を示す。予防的投薬処置時にバリアントICOSL IgV-Fc融合分子で処置したマウスは、低い平均合計肢スコア(図11A)、および検出された少ないCII IgG(図11B)により示されるように、関節リウマチのCIAマウスモデルにおいて疾患を抑制した。*ICOSL IgV-Fc対アバタセプトについてはp<0.05。**ICOSL IgV-Fc対PBSについてはp<0.001(二元配置反復測定ANOVAによる)。バリアントICOSL IgV-Fc融合分子処置マウスでは、Fc対照と比較して低レベルの血清中サイトカイン(図11C)とCD44+活性化T細胞またはTFH細胞(図11D)も観察された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(一元配置ANOVAによる)。ICOSL IgV-Fc処置群対Fc対照群では流入領域リンパ節中のB細胞画分も有意に低減した(p<0.05)(図11E)。
図12A~12Dは遅延投薬の結果を示す。バリアントICOSL-IgV Fcはアバタセプト対照を含む他の群と比較して最低の平均合計肢スコア(図12A)と最高の体重変化パーセント(図12B)をもたらした。図12Cおよび図12Dに示されているように、治療CIAモデルにおいて、バリアントICOS IgV-Fcで処置したマウスでは血清中サイトカインも抑制された。群間の統計的有意性:独立スチューデントt検定により*p<0.05; **p<0.01; ***p<0.001。図12Cおよび図12Dでは水平の点線は各サイトカインのアッセイ定量下限(LLOQ)を示している。
まとめると、これらのデータから、CD28およびICOS経路は炎症性関節炎において重要な役割を果たしていることが証明される。特に、バリアントICOSLデュアルCD28/ICOSアンタゴニストの優れた活性は、両経路の遮断が必要であり、かつ1つだけの経路遮断では部分的な利益しか得られないという観察と一致する。
実施例14
EAEモデルにおけるICOSL IgV-Fc融合分子のインビボ効果の評価
養子移入実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおいてバリアントICOSL IgV-Fc融合分子の抗炎症活性を評価した。試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子は、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびG237Aを含有する)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/ N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する。
雌C57BL/6マウスにMOG35-55/CFAエマルジョンを皮下注射した。11日後に脾臓細胞を入手し、MOG35-55ペプチド、IL-12、および抗IFNγと共に培養した。培養して3日後に、脳炎惹起性T細胞を腹腔内注射により送達した(0日目)。0日目から開始して1日おきにマウスにバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を合計5回の投薬で投薬した。対照として、Fcのみの分子およびCTLA-4-Fc分子(アバタセプト)も試験した。T細胞を注射して20日後に、マウスの体重を量り、表20に記載のようにEAEスコアについてモニタリングおよび評価した。試験終了時に、炎症促進性サイトカインを分析するために血清を収集し、フローサイトメトリー分析のために流入領域リンパ節からの細胞を収集した。
(表20)EAEスコアリング
Figure 2022529059000046
図13Aに示されているように、バリアントICOSL IgV-Fc融合分子で処置したマウスは、低いEAEスコアによって示されているようにEAEマウスモデルにおいて疾患を抑制した。*p<0.0001。一元配置ANOVA曲線下面積(AUC)による;バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を対照と比較した。図13Bは、経時的な体重平均値の変化を示す。
鼠径部リンパ節T細胞のフローサイトメトリー分析のために、前記細胞をviability dyeで染色し、抗CD44抗体、抗CD62L抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体で分析し、生きているナイーブ(CD62L+CD44-)ならびにTエフェクターメモリー(Tem)(CD62L-CD44+)CD4+およびCD8+T細胞の割合(%)について評価した。図13Cに示されているように、CD4+およびCD8+Tem細胞はバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を用いた処置により低減した(****p<0.0001; ***p<0.001。一元配置ANOVAによる)。
血清中サイトカインを0日目(1回目の投薬の2時間後)および6日目(4回目の投薬の1時間前)に評価した。図13Dに示されているように、試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子によって、0日目に、IL-5、IL-10、IL-12p70、およびTNFαを含む血清中炎症促進性サイトカインが低減した。バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を用いた処置によって6日目に、血清中のIFN-γおよびIL-6のレベルはFc対照と比較して低減した。
実施例15
移植片対宿主病(GvHD)モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの用量設定試験
用量設定試験は、移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデルにおいて不活性Fc(ヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する20μg、100μg、または500μgのバリアントICOSL IgV-Fc分子を用いて行った。バリアントICOSL IgV-Fc分子の活性をベラタセプト(CTLA-4-FcL104E/A29Y;米国特許出願公開番号US2016/0271218)と比較した。
雌NSGマウス(群1、処置なしについてはn=5/群;治療群2~7についてはn=10/群)に10mgのガンマグロブリンを皮下投与し、次いで、-1日目に放射線照射した(100cGy/rad)。0日目(放射線照射後24時間以内)に、表21に示されているように群2~7のマウスに試験物品を投薬し、次いで、投薬後、全マウスに1×107個のヒトPBMCを尾静脈を介してIV注射した。
疾患活動指数(DAI)は、マウスを試験中に週3回評価し、マウスの体重減少、姿勢、活動、毛の外観、および皮膚に基づいて疾患をスコア付けすることによって求めた。42日目に試験を終了した後に、生存、体重減少、および疾患活動のエンドポイント測定値を評価した。試験エンドポイントまで生き残っている動物の割合(%)を表すカプラン・マイヤー生存プロットを作成し、生存曲線比較をマンテル・コックスおよびゲハン・ブレスロウ・ウィルコックス(Gehan-Breslow-Wilcox)検定(95%CI)によって分析した。血液/血清試料を、試験の終了時に(42日目)生き残っている動物から収集し、細胞をフローサイトメトリーによって、マウスまたはヒトマーカーであるCD4、CD8、CD28、ICOS、活動マーカーまたは疲弊(exhaustion)マーカー(PD-1、Ki67)およびFoxP3(Tregマーカー)を含むT細胞マーカーについて評価した。血清中の炎症促進性サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-10、IL-12(p70)、IL-17A、IL-4、IL-5、およびTNFα)のレベルも評価した。
(表21)投与計画
Figure 2022529059000047
図14A~14Bは、それぞれの投与計画に従って処置したGVHDマウスの生存率およびDAIスコアを示す。示されているように、試験した全ての用量レベルにおいて、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、ベラタセプトで処置したマウスと比較して生存性を有意に向上させ(図14A)、疾患スコアを低減した(図14B)(すなわち、それぞれ、42日目に100%対40%生存; マンテル・コックスログランク検定によりp<0.01)。注目すべきことに、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の単回投与(100μg)による疾患からの保護は、100μgベラタセプトの反復投薬と同様であった。
試験の終了時に収集した血液のフローサイトメトリー分析から、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、ヒト細胞/マウス細胞比の低下(図15A)と全T細胞数の大幅な低下(図15B)により観察されるように移入ヒトT細胞の拡大を効果的に抑制したことが証明された。図15C~15Fに示されているように、ICOS(図15C~15D)およびCD28(図15E~15F)を対象にして同時染色した、CD4+およびCD8+T細胞の試験終了時に収集した血液のフローサイトメトリー染色から、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では染色は本質的に示されなかったが、ベラタセプト処置マウスでは、ICOSを発現するCD4+およびCD8+T細胞を容易に検出することができた。これらの結果は、ICOSL IgV-Fc処置マウスにはT細胞が残っていないことと、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)がその標的分子CD28とICOSに結合し、フローサイトメトリー抗体によるCD28とICOSの検出をブロックできることとも一致する。ほとんど残っていないヒトT細胞上でのバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の結合は、抗ヒトIgG Fcを用いた検出によって確認された。注目すべきことに、移入ヒトT細胞の大部分は初めはCD28を発現し、10~20%しかICOS+でなかったが、試験の終結/終了時に食塩水処置マウスまたはベラタセプト処置マウスに残っている活性化T細胞は>80%ICOS+であった。
バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)で処置した群では、CD4+およびCD8+T細胞におけるPD1の低発現と、CD4+T細胞におけるKi67の低発現により証明されたように(図16A~16B)、T細胞の活性化マーカーまたは疲弊マーカーの存在も抑制された。エフェクターT細胞とTregの比は、ベラタセプトと比較してバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では依然として安定していた(図16C)。血清中炎症性サイトカインも、ベラタセプトと比較してバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では抑制された(図17A~17D)。
バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の血清曝露をモニタリングするために薬物動態学的(PK)分析も行った。抗ヒトICOSL mAb捕捉抗体と、検出試薬としてFc特異的マウス抗ヒトIgGを用いた定量PK ELISAを用いてマウス血清試料中の試験物品濃度を測定した。
GVHDモデルにおけるバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の観察された血清曝露は、別の研究において確かめられた正常マウスの血清曝露より45%少なかった(図17E)。GvHDモデルにおいてバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の終末半減期が長くなったことは、GvHDの後の時点では(ヒトT細胞が消失するので)標的(CD28、ICOS)の低減が原因であるかもしれない、および/または正常マウスでは、薬物曝露を妨害することができる抗薬物抗体(ADA)形成が原因であるかもしれない。バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の血清曝露が正常マウスと比較して少なかったという観察は、GvHDモデルにおける標的介在性薬物動態(target mediated drug disposition)(TMDD)が原因であるかもしれない(すなわち、マウスオルソログと比較してヒトCD28およびICOSに対する親和性が高い)、ならびに/またはこのモデルにおいて使用したNOD/SCID(NSG)マウスではFcRnが無いことが原因であるかもしれない。
まとめると、これらの結果は、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)が単回投与だけでも強力なアンタゴニスト活性を示し、ベラタセプトよりも優れた活性を示すという観察と一致する。この観察は、優れたICOS+T細胞制御を示したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)に起因する可能性がある。それ以外の場合では、ICOS+T細胞は1つだけのICOSまたはCD28の経路遮断、例えば、CD28経路アンタゴニストであるベラタセプトによる遮断から逃れる。
実施例16
CD4+CD45RBhigh誘導性大腸炎モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの評価
CD4+CD45RBhigh誘導性大腸炎モデルにおける疾患発達に対する、不活性Fc(ヒトIgG1 FcヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した。
CD4+CD45RBhighドナー細胞を、15匹の雄BALB/Cドナーマウスから入手した脾臓細胞懸濁液から負の選択によって濃縮した。0日目に、大腸炎を誘導するために、30万個のCD4+CD25-CD45RBhigh(Treg枯渇)ドナー細胞を免疫不全C.B17(SCID)マウス(1群あたりn=12または21)に静脈内注射した。対照として、このモデルにおいて大腸炎の発達を誘導しない、30万個のCD4+細胞(Treg細胞を含有する)をSCIDマウスレシピエント(n=12)に注射した。細胞移入日に、各群のマウスにバリアントICOSL-IgV Fc、またはFcのみ、またはビヒクル対照を投薬した。表22は試験群の処置レジメンをまとめたものである。
(表22)処置レジメン
Figure 2022529059000048
体重(0日目から測定した)と便の硬さスコア(10日目から測定した)を週3回評価した。体重と便スコアから、一日疾患活動指数(DAI)を計算した。試験を42日目に終わらせた後、結腸の長さと重量を求め、組織学的的に分析するために収集した。バリアントICOSL-IgV Fc処置群対ビヒクル群の最終体重ならびに最終結腸重量および長さの統計解析を、両側スチューデントt検定を用いて評価した。便スコアとDAIスコアをウィルコクソンノンパラメトリックt検定を用いて比較した。
DAI結果を表23(DAI)と図18Aに示し、結腸の測定値を表37に示し、結腸の組織学結果を表25と図18Bに示した。示されているように、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、このモデルにおいて大腸炎の発達を有意に低減した。このことは、このCD28/ICOSデュアルアンタゴニストが炎症性腸疾患(IBD)を効果的に処置するのに役に立つことと一致する。
(表23)疾患活動スコア
Figure 2022529059000049
^大腸炎の誘導なし/ビヒクルと比較
*ビヒクルと比較
Fc対照, 300μgと比較
(表24)結腸測定
Figure 2022529059000050
^大腸炎の誘導なし/ビヒクルと比較
*ビヒクルと比較
Fc対照, 300μgと比較
(表25)組織学の結果
Figure 2022529059000051
Figure 2022529059000052
Figure 2022529059000053
実施例17
ICOSL IgV-Fc融合タンパク質の毒物学および毒物動態学的プロファイルのインビボ評価
例示的なICOSL IgV-Fc融合タンパク質を4~5週間にわたって週1回、反復用量で静脈内(IV)注射または皮下(SC)注射したラットおよびカニクイザルにおいて毒物学および毒物動態学的プロファイル(TK)を評価した。4ヶ月にわたって動物の回復をモニタリングした。
実質的に実施例11に記載のように、例示的な組換えICOSL vIgD-Fc融合タンパク質を懸濁液適合チャイニーズハムスター卵巣細胞(ExpiCHO-S)から作製した。不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:67に示されるN52H/N57Y/Q100Pを有するバリアントICOSL IgVまたはSEQ ID NO:36に示されるN52H/N57Y/Q100Rを有するバリアントICOSL IgVを含有する、例示的なバリアントICOSL vIgD-Fc融合分子をコードするDNA構築物を用いて、ExpiCHO-S細胞をトランスフェクトした。
スプラーグドーリーラットに例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質を10mg/kg、100mg/kg、もしくは200mg/kgで皮下(SC)に、または200mg/kgで静脈内(IV)大量瞬時投与(bolus)で1ヶ月間、週1回(5回の投薬、例えば、1日目、8日目、15日目、22日目、および29日目)投与し、その後に4ヶ月間回復させた。
カニクイザルには、例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質を10mg/kg、100mg/kg、もしくは150mg/kg SCで週1回、または150mg/kg IV大量瞬時投与で1ヶ月間(5回の投薬、例えば、1日目、8日目、15日目、22日目、および29日目)投与し、その後に4ヶ月間回復させた。
臨床徴候(ケージ側(cage side)の詳細観察および投薬後観察によって確かめた)、体重、定性的食品検査、臨床病理学パラメータ(血液学、凝固、臨床化学、および尿検査)、肉眼的剖検所見、臓器重量、および病理組織学的検査、ならびに毒物動態学的(toxiokinetic)(TK)評価および抗体分析を含む標準的な毒物学的評価を投薬期の終了(30日目)まで評価した。カニクイザルでは、追加の評価には、眼科検診、心電図学(electrocardiology)、フローサイトメトリー免疫表現型検査、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)エクスビボ、および血清サイトカイン分析アッセイが含まれた。毒物動態学的(TK)パラメータ、例えば、Tmax、Cmax、AUC0-7d、およびt1/2をノンコンパートメント分析法を用いて見積もった。
A. スプラーグドーリーラット
スプラーグドーリーラット試験では、100mg/kgおよび200mg/kg SCならびに200mg/kg IV大量瞬時投与で週1回投与した後に、曝露を30日目まで維持した(表26)。10mg/kg用量レベルではICOSL vIgD-Fc融合タンパク質曝露は動物の多くにおいて反復投薬後に少なくなったか、または失われた。SC投薬後に、CmaxおよびAUC0-7dayの平均に基づいたICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の曝露は10mg/kg、100mg/kg、および200mg/kg用量レベルの間で用量比例未満で増加した。200mg/kg用量レベルでのバイオアベイラビリティは約18%であった。22日目のARCmaxおよびARAUC値の平均は0.856~1.52であった。SCおよびIV投薬を週1回、繰り返し行って観察されたICOSL vIgD-Fc融合タンパクの蓄積はほとんど無いか、全く無かった。測定できた場合、投薬間隔内で見積もられたICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のt1/2は、約1~3日であった。
ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の投与は全ての用量レベルで忍容性が良かった。本発明者らは、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質に関連する徴候、または体重、定量摂食量、眼科学、もしくは臓器重量の変化を観察しなかった。関連する所見は、予想された薬理学と一致する、全用量レベルでのリンパ節中にあるリンパ球細胞性(cellularity)の減少;ならびに軽度の有害でない注射部位変化(赤色の変色、顕微鏡的出血、混合細胞浸潤物)を含んだ。好中球、リンパ球、単球、および大きな未染色の細胞、ビリルビンおよびフィブリノゲンのわずかな増加;ならびにアルブミンのわずかな減少を含む、軽度の、一過的な、かつ有害でない臨床病理学変化を認めた。尿量のわずかな減少と尿比重の増加は、臨床化学または顕微鏡的相関物(microscopic correlate)なしで認められた。
無毒性量(NOAEL)は、200mg/kgのSCおよびIV ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質で評価した最高用量になるように求められ、それぞれ、219μg・日/mLのAUC0-7d、および53.4μg/mLのCmax;ならびに1250μg・hr/mLのAUC0-7d、および4120μg/mLのCmaxに対応する。
(表26)スプラーグドーリーラットにおけるICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の反復用量平均毒物動態学的パラメータの概要
Figure 2022529059000054
B. カニクイザル
カニクイザルでの試験では、10mg/kg、100mg/kg、および150mg/kg SC、ならびに150mg/kg IV大量瞬時投与で週1回投与した後に30日目まで曝露を維持した(表27)。SC投与後に、観察された最大濃度の平均に基づいたICOSL vIgD-Fc融合タンパク質曝露は、10mg/kg、100mg/kg、および150mg/kg用量の間でほぼ用量に比例して増加した。Cmax値の平均は1:9.33:16.8の比で増加し、AUC0-7day値の平均は1:7.36:10.4の比で増加した。150mg/kgのSCバイオアベイラビリティは約39%であった。週1回、繰り返しSC投薬またはIV投薬しても蓄積はほとんど無いか、全く無かった。投薬間隔内で見積もられたICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の、みかけの終末相排出半減期(t1/2)は全ての用量レベルについて約2日であった。
カニクイザルでは、試験30日目の計画された剖検まで全動物が生存した。ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の投与は全ての用量レベルで忍容性が良かった。ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質に関連する変化は、全用量でのリンパ節および脾臓にあるリンパ球細胞性の減少を含み、これは一部の動物での脾臓重量の減少と相関した。他のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質に関連する効果は、死亡率、臨床観察、体重、摂食量、眼科検診、心電図学、生命徴候、臨床病理学パラメータ、肉眼評価、または血清中サイトカイン(IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12/23(p40)、IL-13、IL-17A、MCP-1、MIP-1β、IFN-γ、TNF-α、G-CSF、およびGM-CSF)に対して観察されなかった。
NOAELは、評価した最高用量である150mg/kg SCおよびIVとみなされ、これらは、それぞれ、480μg・hr/mLのAUC0-7d、および204μg/mLのCmax;ならびに1320μg・hr/mLのAUC0-7dおよび3040μg/mLのCmaxに対応する。
(表27)カニクイザルにおけるICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の群平均反復用量毒物動態学的パラメータの概要
Figure 2022529059000055
C. 概要
合わせると、これらのデータは、モノクローナル抗体または抗体様薬物のプロファイルと一致する、経時的な血清濃度の二相性排出プロファイルと一致している。
実施例18
ヒト薬物動態学的モデリングによるICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の投与量および処置の決定
実施例17に記載したカニクイザル研究およびスプラーグドーリーラット研究からのPKデータモデリングとアロメトリースケーリング(allometric scaling)に基づいて、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示される例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質N52H/N57Y/Q100Rのヒト薬物動態学的モデル(PK)を作成した。異なる用量レベルにおける直線的なPKがヒト曝露を予測すると想定した。CD28受容体占有が免疫阻害活性と正の相関関係があるという観察と一致するICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のインビトロ結合データに基づいて、選択された用量レベルをモデル化した。
A. PKモデリング
投薬後24時間までに10%未満に急減するCmaxで26%の標的飽和予測値に基づいて、0.001mg/kgという低い開始用量レベルが推定最小薬理作用量(Minimum Anticipated Biological Effect Level)(MABEL)だと求められた。カニクイザルでは150mg/kg、ラットでは200mg/kgのNOAEL用量の暴露と比較した安全域に基づいて、最大用量レベルは10mg/kgだと求められた。10mg/mkg IV用量でのヒトCmaxおよびAUC予測値は、150mg/kgのサルNOAEL用量でのCmaxおよびAUC観察値の1/9および1/18になると予測された。10mg/kg IV用量でのヒトCmaxおよびAUC予測値は、200mg/kgのラットNOAEL用量でのCmaxおよびAUC観察値の1/9および1/26になると予測された。
表28は、単一用量のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質後の標的飽和予測値を示す。表29は、単一IV用量のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質後のヒト曝露および安全域の予測値を示す。SC用量(単一用量および複数用量)の標的飽和および曝露予測値は、70%バイオアベイラビリティだと仮定してIV用量レベルの範囲内であると予測された。
(表28)単一IV用量後の標的飽和予測値(%)a,b
Figure 2022529059000056
a. 標的飽和はヒトCD28結合親和性EC50=648pM(52ng/mL)に基づいて計算した。
b. PKおよび標的飽和の予測値は30分以上のIV注入に基づいた。
EC50 - 50%有効濃度
(表29)単一IV用量後のヒト曝露および安全域の予測値
Figure 2022529059000057
1. 保守的なアプローチとしてヒト曝露を予測するために直線的なPKを想定した。
2. サルNOAEL(150mg/kg IV、1ヶ月間、毎週):AUC0-7d=1310μg・日/mL、Cmax=2950μg/mL
3. ラットNOAEL(200mg/kg IV、1ヶ月間、毎週):AUC0-7d=1250μg・日/mL、Cmax=4120μg/mL
略語: NOAEL-無毒性量;AUC-曲線下面積;AUC0-7d-0~7日までの曲線下面積;Cmax-観察された最大薬物濃度
B. ヒト投薬
上記のようにCD28標的飽和およびNOAEL安全域を考慮する例示的なヒト単一漸増用量(single-ascending dose)(SAD)および反復漸増用量(multiple-ascending dose)(MAD)をヒト対象への静脈内投与用および皮下投与用にデザインした。ヒトにおけるICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のSC投薬の吸収を検討するために、1mg/kgおよび6mg/kgの2種類の単一SC用量をヒト対象に投与する。
単一漸増用量プロトコールでは、ヒト対象に、不活性Fc(例えば、ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示される例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質N52H/N57Y/Q100Rまたはプラセボを、表30に例示した投与計画に従って単一用量として静脈内(IV)投与または皮下(SC)投与する。1mg/kgより大きな用量レベルでは、免疫応答に対する例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の効果を評価するために単一SC用量のキーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin)(KLH)を加える。
(表30)提案されたSAD用量漸増
Figure 2022529059000058
反復漸増用量プロトコールの場合、対象には、表31に概説したように、4週間にわたってプラセボまたは例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の4回の毎週用量(合計で4用量)を与える。免疫応答に対する例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の効果を評価するために2日目に単一用量のKLHが提案される。
(表31)提案されたMAD用量漸増
Figure 2022529059000059
実施例19
結合組織病モデル、例えば、シェーグレン症候群モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの評価
シェーグレン症候群(SjS)および全身性エリテマトーデス(SLE)を含む他の結合組織病の基礎をなすエフェクター機構を評価するモデルにおいて、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcに活性があるかどうか評価した。
A. PBMC刺激アッセイ
インビトロ初代細胞アッセイのために、健常ドナーに由来するPBMCとSjS対象に由来するPBMCを人工抗原提示細胞(CD80、CD86、ICOSリガンド、および抗CD3(OKT3)を発現するK562細胞)を用いて20:1の細胞:人工APC比で、100nMのバリアントICOSL IgV-Fcの存在下で、または比較のためにCD28のみの阻害剤であるアバタセプト、ICOS経路阻害剤であるプレザルマブ(AMG-557; 抗ICOSL, Creative Biolabs)、もしくはアバタセプトとプレザルマブの組み合わせの存在下で刺激した。Fc単独を対照として使用した。48時間のインキュベーション後に上清を収集し、IFN-γおよびIL-2を含む炎症性サイトカインが産生されたかどうかアッセイした。アバタセプト、プレザルマブ、またはアバタセプト+プレザルマブの組み合わせと比較して、バリアントICOSL IgV-Fcは、刺激された健常ドナーPBMCまたはSjS患者PBMCからの炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-17A、GM-CSF)放出の優れた抑制を示した。IL-2応答の例示的な結果を図19A(SjS PBMC)および図19B(健常ドナー)に示し、IFN-γ応答の例示的な結果を図19C(SjS PBMC)および図19D(健常ドナー)に示した。図19E(IFN-γ)および19F(IL-2)に示されているように、適合したドナーからの結果から、バリアントICOSL IgV-Fcは一貫してサイトカイン産生をアバタセプトより大きく抑制することが分かった。
上記と類似する試験において、健常ドナーに由来するPBMCとSjS対象またはSLE対象に由来するPBMCを人工抗原提示細胞(CD80、CD86、ICOSリガンド、および抗CD3(OKT3)を発現するK562細胞)を用いて、100nMのバリアントICOSL IgV-Fcの存在下、または比較のためにCD28のみの阻害剤であるアバタセプト、ICOS経路阻害剤であるプレザルマブ、もしくはアバタセプト+プレザルマブの組み合わせの存在下を含む、おおむね上記で述べた条件下で刺激し、IFN-γ、IL-6、およびIL-17Aを含む炎症性サイトカインの産生があるかどうかアッセイした。IFN-γ、IL-6、およびIL-17A応答の例示的な結果を図19Gに示しが、測定した全てのサイトカインについて同様の傾向が観察された(図19Hおよび図19I、健常ドナーPBMCを図19Hおよび図19Iの右パネルに示した)。合わせると、結果は、試験されたドナーおよび分析物の大多数についてプレザルマブ、アバタセプト、またはプレザルマブ+アバタセプトの組み合わせよりも統計的に有意に優れていることを示した。合わせると、結果から、インビトロでのヒトSjSおよびSLE特許(patent)PBMCからのサイトカイン産生を、バリアントICOSL IgV-Fcは1種類のCD28阻害剤またはICOS経路阻害剤よりも強力に阻害したことが証明される。
上記のアッセイにおいて作製した患者PBMC試料からRNAを単離し、遺伝子発現を評価した。比較のために、乾癬性関節炎(PsA;実施例20を参照されたい)患者に由来するPBMC試料からRNAも単離した。SjS、SLE、およびPsAにまたがって有意にダウンレギュレートされた遺伝子を図19Jに示した。PsA、SjS、およびSLE刺激患者集団におけるICOSL IgV-Fcの遺伝子分析から、ICOSL IgV-Fcは、多くの自己免疫疾患にまたがって関与する発病性の遺伝子および/または経路を有意にダウンレギュレートできることが分かる。PsA、SjS、およびSLE刺激患者集団にまたがってバリアントICOSL IgV-Fcに応答して有意にダウンレギュレートされた遺伝子はバリアント分子活性の遺伝子シグネチャーとなる。
B. ヒト濾胞性BヘルパーT(B-Tfh)細胞の同時培養
ヒトB細胞およびTfh細胞における増殖および抗体応答を抑制する能力があるかどうか例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果をさらに評価した。健常ドナーに由来するPBMCから単離した自己循環性ヒトB細胞およびTfh細胞を、人工APC(K562/CD80)および可溶性OKT3と共に、バリアントICOSL IgV-Fcの滴定(titration)の存在下で、または比較のために、アバタセプト、プレザルマブ、アバタセプト+プレザルマブの組み合わせ、もしくはベラタセプトの存在下で混合した。7日目に同時培養物の細胞活性化/増殖を評価した。
図19Kに示されているように、バリアントICOSL IgV-FcはT細胞増殖、CD40L+T細胞回復、およびB細胞増殖を抑制し、同時培養中のナイーブB細胞の割合(%)の増加と、並行する活性化B細胞の減少により反映されるようにB細胞分化に関与する。細胞活性化/増殖に対する効果のIC50値を図19Lにまとめた。
上記と類似する試験において、同時培養物からの上清を8日目に収集し、1:10まで希釈し、免疫グロブリン分泌があるかどうかアッセイした。ヒトIgG1、IgG3、IgA、およびIgMの分泌は例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの存在下で大幅に低下した(図19M)。データは8人のドナーからの結果を表す。
おおむね上記で述べたように、B細胞およびTfh細胞の同時培養物から単離したRNAの相対的遺伝子発現レベルを、B-T細胞協力に関与する遺伝子の次世代シークエンシングによって分析した。RPKM(Reads Per Kilobase of transcript, per Million mapped reads)の単位での発現値を、処理群間で各遺伝子について0から1の相対スケールでプロットした。赤色の程度は、各遺伝子の発現値が高いことを示し、青色の程度は、各遺伝子の値が低いことを示す(図19N)。図19Nでは、遺伝子のリストをバリアントICOSL IgV-Fcによる阻害レベルによって分類した(左から右)。
C. シェーグレン症候群のインビボモデル
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはヒツジ赤血球(SRBC)をマウスに腹腔内(IP)投与するマウス免疫化モデルにおいて、投与後のインビボでの抗体応答阻害に対する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果をアバタセプトと比較した。KLH免疫化のために、0.25mg KLHを1日目に投与し、ブーストとして13日目に投与した。SRBC免疫化のために、0日目に100μLの洗浄済みクエン酸塩加SRBCを投与し、14日目にブースト群に再投薬した。ヒトB細胞/T細胞同時培養物におけるバリアントICOSL IgV-Fcまたはアバタセプトの存在下での抗体産生も比較した。バリアントICOSL IgV-Fcは両マウス免疫化モデルにおいて抗体産生を阻害した。増殖と抗体産生の抑制はヒトB細胞/T細胞同時培養物中でも観察された。
NODマウスでの抗PD-L1抗体を介した唾液腺炎促進を伴うSjSマウスモデルでも例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した。PD-L1が遮断されると、SjSの発症および発病が促進されたことを示す、顎下腺(SMG)における白血球浸潤およびカスパーゼ-3活性化、抗核自己抗体および抗M3ムスカリン性アセチルコリン受容体(M3R)自己抗体の産生、ならびに唾液分泌障害が促進される。例えば、Zhou et al. (2016) Sci. Rep. 6:39105)を参照されたい。0日目、2日目、4日目、および6日目に、6週齢NOD/ShiLtJマウスを、(Zhouらに記載のように唾液腺で炎症を誘導するために)0.1mgの遮断抗マウスPD-L1抗体とFc対照(0.3mg)、アバタセプト(0.5mg)、またはバリアントICOSL IgV-Fc(0.5mg)試験物品を用いて腹腔内で処置した。8日目に、顎下腺を収集し、切片化し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色液で染色し、0~3のスケールで炎症のスコアを付けた。この試験の抗PD-L1処置NODマウスでは、SMG組織学によって評価したときに、バリアントICOSL IgV-Fcはアバタセプト単独より大きく唾液腺炎を抑制した(図20A~20B)。
顎下腺、膵臓、および血液/血清を10日目に収集した以外は前記のように、抗PD-L1 mAb誘導シェーグレン症候群NODマウスモデルを用いた類似の試験を行った。この試験では、比較のための試験物品として野生型ICOSL-Fc(0.5mg)も投与した。代表的な組織学H&E画像を図20Cに示した。唾液腺炎発生率(%)を図20Dに示した。図20Dから、バリアントICOSL IgV-Fcによって唾液腺炎の発生率および重篤度が低下したことが証明される。個々のSMGスコアを図20Eに示した(クラスカル・ウォリス検定を用いて統計的有意性を求めた(*p.05、**p<0.01、****p.0001。統計比較のためにナイーブ群には力を与える(power)ことはしなかった)。このモデルでは、10日目に収集した膵臓上での組織学によって証明されたように、バリアントによって膵島炎の重篤度も低下した。10日目に収集した血液/血清中のグルコース測定の結果から、バリアントICOSL IgV-Fcによって血糖値が低下したことが分かった。合わせると、結果から、バリアントICOSL IgV-Fcは唾液腺炎および膵島炎の発生率および重篤度を軽減することが証明された。
10日目に収集した希釈血清中の抗Ro-52抗体および抗La抗体をELISA(Signosis, Santa Clara, CA)によって評価した。図20Fに示されているように、バリアントICOSL IgV-Fcは血清中自己抗体抗RO52および抗Laの産生を抑制した。未修正ノンパラメトリックダン検定(uncorrected non-parametric Dunn’s test)を用いて確かめたときに、バリアントICOSL IgV-Fc群と対照薬処置との間で統計的有意差が観察された。
10日目に収集したSMGからRNAを単離し、次世代シークエンシングによって相対的遺伝子発現レベルについて分析した。図20Gは例示的な遺伝子のRPKMを示す。ノンパラメトリッククラスカル・ウォリス検定を用いて確かめたときに、バリアントICOSL IgV-FcとFc対照群との間で遺伝子のRNA発現における統計差が認められた(*p<0.05、**p<0.01)。
D. 全身性エリテマトーデス(SLE)のインビボモデル
SLEに似た症状があるcGvHD疾患につながる、レシピエント抗原提示細胞によるドナーCD4+T細胞のアロアクチベーションが関与するマウスSLEモデルでも、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した(Klarquist & Jansse, 2015, J. Vis. Exp. (105):e53319)。0日目に、雌I-Abm12B6(C)-H2-Ab1bm12/KhEgJ(「bm12」)マウスに由来する脾細胞懸濁液を同数(1:1)の9週齢雌C57BL/6NJレシピエントマウスにIP注射した。H2-Ab1bm12はH2-Ab1bと3ヌクレオチド分だけ異なり、これによって、MHC I-A分子のβ鎖において3個のアミノ酸が変化する。0日目から開始して、レシピエントマウスを400μgのバリアントICOSL IgV-もしくはアバタセプトまたはモル一致(molar-matched)量(250μg)のFc対照タンパク質で11週間にわたって週2回処置した。82日目の試験終了時に、胚中心(B220+CD19+GL7+CD95+)B細胞および濾胞性ヘルパー(CD4+CD45+CD3+PD1+CD185+)T細胞をフローサイトメトリーによって数えた。14日目に、Chondrex(Redmond WA)のMouse Anti-dsDNA IgG Antibody Assayキットを用いて抗二本鎖DNA IgG力価を測定した。
図20Hに示されているように、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置したマウスは、Fc対照と比較して脾臓1個あたりのGC B細胞およびCD4+Tfh細胞レベルの減少と血清中抗dsDNAの減少を示した。バリアントICOSL IgV-FcとFc対照群との間では、独立t検定を用いてGC BおよびTfhの統計的有意差が観察され、未修正フィッシャー最小有意差検定(uncorrected Fisher’s least significance difference test)を用いて抗dsDNA濃度の統計的有意差が観察された(*p<0.05、**p<0.01、および****p<0.0001)。
これらの結果は、二重CD28/ICOSアンタゴニスト、例えば、例示的な試験されたバリアントICOSL IgV-Fcがヒトインビトロおよび/またはマウスインビボトランスレーショナル研究において、個々に、または組み合わせて投与されたCD28またはICOS共刺激経路阻害剤より優れているという観察をさらに裏付けている。
実施例20
関節炎モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの評価
不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを、関節リウマチ(RA)または乾癬性関節炎(PsA)の基礎をなすエフェクター機構を評価するモデルにおいて活性があるかどうか評価した。
A. PBMC刺激アッセイ
インビトロ初代細胞アッセイのために、健常ドナー(HD)、RA、およびPsA対象に由来するPBMCまたはTh17スキュード(skewed)T細胞培養を、人工抗原提示細胞(CD80、CD86、ICOSL、および抗CD3(OKT3)を発現するK562細胞)を用いて、20:1の細胞:人工APC比で、100nMのバリアントICOSL IgV-Fc、または比較のために、CD28のみの阻害剤であるアバタセプト、ICOS経路阻害剤であるプレザルマブ(AMG-557; 抗ICOSL, Creative Biolabs)、およびアバタセプトとプレザルマブの組み合わせの存在下で刺激した。Fc単独を対照として使用した。
サイトカイン産生を評価するために48時間インキュベートした後に上清を収集した。バリアントICOSL IgV-Fcは、アバタセプト、プレザルマブ、およびアバタセプトとプレザルマブの組み合わせと比較して、刺激された健常PBMCおよび患者PBMCからの炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-17A、GM-CSF、RANKL)放出の優れた抑制を示し、Th17スキュード培養においてT細胞増殖を抑制した。RA、PsA、またはHDに由来するPBMCとの同時培養からの細胞からの例示的な結果を、IFN-γ(図21A)、IL-2(図21B)、TNF-α(図21C)、およびIL-17A(図21D)について示した。Fc対照と比べたサイトカイン分泌阻害率(%)を式((Fc対照値-実験値)/Fc対照値)×100によって求め、図21Eに示した。結果から、バリアントICOSL IgV-Fcは、アバタセプト単独もしくはプレザルマブ単独またはその組み合わせを用いて観察されたサイトカイン阻害よりも大きなサイトカイン阻害を示したことが分かる。
上記のアッセイにおいて作製した患者PBMC試料からRNAを単離し、遺伝子発現をRNAシークエンシングによって評価した。バリアントICOSL IgV-Fcによって異なって低下した遺伝子を評価する場合、カットオフ基準はFDR≦0.05、LOG FC<-0.5であった。アバタセプトによって異なって低下した遺伝子を評価する場合、カットオフ基準はFDR≦0.3、LOG FC<-0.5であった。図22Aに示されているように、アバタセプト単独またはプレザルマブとの組み合わせよりも多くの、発病に関連する遺伝子がICOSL IgV-Fcによって有意にダウンレギュレートされた。IL-17AおよびIL-17FをダウンレギュレートするにはICOS阻害(ICOSL IgV-Fcまたはアバタセプト+プレザルマブ)が必要であった。この試験では、Th17関連エフェクター分子(図22B)、共刺激分子(図22C)、および炎症性TH1またはTH2関連エフェクター分子(図22D)について、ICOSL IgV-Fc対対照薬による有意な遺伝子低下および/または調節が観察された。
B. Th17スキュード活性
ICOSL IgV-FcによるTh17スキュード細胞の抑制をさらに評価し、CD28またはICOSのみの阻害剤と比較した。スキューイングなし(K562/OKT3/CD80+CD86+IL-2)またはTh17スキューイング(K562/OKT3/ICOSL+Th17スキューイング培地(カタログ番号CDK003, R&D Systems))の条件以外はおおむね上記で述べたように、ヒトPBMCにaAPCによる一次刺激を与え、次いで、サイトカインを再度与え、約10~14日間休ませた。次いで、休ませた細胞に、100,000個までのT細胞と10,000個の同種LPS活性化単球由来樹状細胞を使用する混合リンパ球培養反応(MLR)において、3,200pMバリアントICOSL IgV-Fcまたは対照薬タンパク質によって二次刺激を与えた。
刺激して4日後に、図23Aに示されているようにICOSまたはCD28発現について細胞をフローサイトメトリーで分析した。図23Aから、再刺激後を含むTH17スキュード細胞ではCD28およびICOS発現が変化したことが分かる。刺激済みの細胞におけるT細胞増殖の評価(図23B)と、ELISAで測定したIL-17Aサイトカイン分泌(図23C)から、CD218またはICOSのみの阻害剤と比べてバリアントICOSL IgV-FcはTH17スキュード細胞を大幅に抑制することが分かった。
C. コラーゲン誘発関節炎(CIA)のインビボモデル
0日目および18日目にウシコラーゲンを含むフロイントアジュバントを用いて雄DBA/1マウスを免疫化するコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルに投与した後に、インビボで、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果をアバタセプトと比較した。マウスCIAモデルでは、18日目のコラーゲンブースト時またはコラーゲンブースト後に開始するバリアントICOSL IgV-Fc投与によって、アバタセプトの活性に匹敵するか、またはそれを超える有意な疾患(パウ炎症、血清サイトカイン、および抗コラーゲン抗体を含む)の軽減が一貫して生じた。
類似の試験では、18日目のコラーゲンブースト投与前に開始する、ビヒクル(ダルベッコリン酸緩衝食塩水/DPBS)、Fc対照、アバタセプト(Orencia(商標))、または半治療的レジメンでの例示的なバリアントICOSL IgV-Fcもしくはアバタセプトを用いて合計5回の投薬(Q3Dx5)にわたって3日ごとにマウスを腹腔内(IP)処置した。PBSおよびFc単独を対照として使用した。ICOSL IgV-Fcの投与によってパウ炎症と構造的炎症が有意に軽減した(図24A)。脱灰されたパウのトルイジンブルー染色から、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置したときに炎症、パンヌス、軟骨損傷、および骨吸収が存在しないことが証明された(図24B)。具体的には、PBS処置動物(左上パネル)では、染色から、PBS処置動物において重度の浮腫を伴う重度のびまん性炎症性浸潤物と、全体の、またはほぼ全体の関節構造破壊と、関節構造破壊を伴う皮質骨のおける多巣性の軟骨細胞消失および全層欠損が示された。Fc対照処置動物(右上パネル)では、染色から、重度の浮腫を伴う重度の(devere)びまん性炎症性浸潤物と広範な関節構造破壊と、皮質表面の湾曲を伴う皮質骨のおける著しい軟骨細胞消失および全層欠損が示された。アバタセプト処置動物(左下パネル)では、染色から、アバタセプト処置動物における中程度から重度の炎症性浸潤物と著しい関節構造破壊、骨吸収の構造およびいくつかの領域の最小限から軽度の破壊が示された。バリアントICOSL IgV-Fcで処置した動物(右下パネル)では、染色によって炎症もパンヌスも軟骨損傷も骨吸収も存在しないことが示された。
膝窩LNを収集し、シングル細胞懸濁液になるように処理し、TFH細胞(CD3、CD4、CXCR5、およびPD-1);胚中心(GC)B-細胞(CD19、GL-7、CD95)を含む様々なマーカーについて表面染色した。細胞内サイトカイン染色のために、細胞をGolgi StopおよびGolgi Plugの存在下でPMA/イオノマイシンで5時間刺激した。次いで、細胞をCD3、CD4に対して表面染色し、固定し、透過処理し、IFN-γまたはIL-17Aに対して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの投与によって、CD4+または全生細胞に対する割合(%)で測定したときにサイトカイン数が有意に低下した(図24C)。全抗マウスII型コラーゲンIgG抗体の濃度は、ELISA(Chondrex, カタログ番号2036T)で求めたときに、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで免疫化したマウスの血清中で有意に低下した(図24D)。
ビヒクル(DPBS)で処置したマウスと比べた、Fc対照で処置したマウス、アバタセプトで処置したマウス、または例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置したマウスからの個々のマウスのサイトカイン阻害率(%)を、以下の式:((DPBS-実験動物の平均)/DPBSの平均)×100を用いて求めた。血清中に存在するサイトカインの数は、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで免疫化したマウスにおいて有意に低下した(図24E)。
これらの結果は、二重CD28/ICOSアンタゴニスト、例えば、試験したバリアントICOSL IgV-Fcの免疫抑制活性が、ヒトインビトロおよび/またはマウスインビボトランスレーショナル研究において、個々に、または組み合わせて投与されたCD28またはICOS共刺激経路阻害剤より優れているという観察と一致しており、関節リウマチ、乾癬性関節炎、および若年性特発性関節炎を含む炎症性疾患を処置するための、その使用を裏付けている。
実施例21
健常対象におけるバリアントICOSL-IgV Fcの投与
健常成人対象に、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示される例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質N52H/N57Y/Q100Rを投与した。単一漸増用量試験(SAD)および反復漸増用量(MAD)試験を両方とも行った。安全性、忍容性、薬物動態(PK)、および薬物動力学(PD)を分析した。
A. 単一漸増用量試験(SAD)
対象(n=72)を10の静脈内(IV)コホートと2つの皮下(SC)コホートに分けた。IVコホートの対象には、1日目に単回静脈内注入によって単一用量のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質(1μg/kg、3μg/kg、6μg/kg、12μg/kg、30μg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、もしくは10mg/kgで投薬した)またはプラセボを与え、さらに28日間モニタリングした。SCコホートの対象には、1日目に皮下注射によって単一用量の融合タンパク質(1mg/kgもしくは3mg/kgのいずれか)またはプラセボを与え、さらに28日間モニタリングした。
28日にわたって様々な時点で血清中にあるバリアントICOSL vIgD-Fcの濃度をモニタリングすることによって、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のPKを全コホートにおいて評価した。抗ヒトICOSL捕獲(capture)抗体と、捕獲された抗原を検出するためのマウス抗ヒトIgG-HRP抗体コンジュゲートを使用する酵素結合免疫測定法(ELISA)によって、血清中にあるICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の濃度を測定した。全ての用量コホートについて、例示的な融合タンパク質の平均濃度を各時点で求め、経時的にプロットした(IVコホートを図25Aに示した;全コホートを図33に示した)。推定された半減期の平均は1~10mg/kgにわたって4.3~8.6日であり、SCバイオアベイラビリティは3mg/kgで約60%であった。
CD4+標的飽和も全コホートにおいて28日にわたって評価した。
連続全血試料(1mL)を投薬前と、投薬後に、投与が終了して10分後、2時間後、24時間(1日)後、3日後、7日後、14日後、21日後、および28日後に収集した。全血試料を溶解し、細胞ペレットを3つのアリコートに分けた。飽和濃度(400ng/mL)の例示的なバリアントICOSL IgV-Fcをアリコートの1つに添加し、その後に、非特異的結合を低減するためにヒトFcブロック(block)とインキュベートした。フローサイトメトリーを用いて標的結合および循環リンパ球の亜集団を定量した。
標的飽和を計算するために、抗ヒトIgG(対FMO対照)に対して陽性に染色されたCD4+細胞の蛍光強度(MFI)の中央値を報告した。標的飽和は、以下の式:
Figure 2022529059000060
を用いて求めた。
例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを与えた全対象において、SAD用量群間で、各血液試料に由来するCD4+T細胞上およびCD8+T細胞上での例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの標的飽和は一貫して似ていた。
バリアントICOSL vIgD-FcとCD4+細胞の結合は、抗CD4抗体と抗ヒトIgG Fc抗体で細胞を共染色することによって検出された(IVコホートを図25Bに示した;全SADコホートを図34に示した)。
例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの単一IV用量投与後に、CD4+T細胞におけるバリアントICOSL IgV-Fcの標的飽和は注入終了時にピークに達した。最大標的飽和の平均は0.001mg/kgの22.9%から0.1mg/kgの99.2%へと増加した。
高標的飽和(>95%)の持続時間の平均は、0.03mg/kgの1.39日から、10mg/kgの少なくとも28日へと用量依存的に増加した。28日後に標的飽和の平均は1mg/kg未満の用量では低く(<10%)、1mg/kgの58.1%から10mg/kgの99.4%に及んだ。
1mg/kgおよび3mg/kg皮下用量を投与した後に高標的飽和(>95%)に到達する時間の平均はそれぞれ1日および0.083日であった。高標的飽和(>95%)は平均して14.7日間、少なくとも28日間維持され、投薬して28日後の標的飽和の平均は1mg/kgでは35.8%、3mg/kgでは97.7%と計算された。
結果から、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のIV注入によって持続的な高レベルの標的飽和に達したことが分かった。
健常対象においてICOSL vIgD-Fc融合タンパク質が用量依存的な免疫調節を発揮する能力を評価した。対象の体液性応答を測定するために、試験の1日目(IVコホート)または2日目(SCコホート)に、強力な免疫賦活薬であるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)1mgを対象に単回皮下(SC)注射した。KLHに対する曝露前と曝露後の血清中にある抗KLH IgG抗体とIgM抗体の比を測定することによって抗体応答を評価した。抗KLH抗体検出用の血液試料を、投薬前と、投薬して14日後、21日後、および28日後に収集した。IgG抗体とIgM抗体の血清レベルを、抗KLH抗体を捕獲するためのKLHと、IgGまたはIgMに特異的なHRP結合二次抗体を使用するELISAによって定量測定した。抗KLH IgGおよびIgMの応答率は、ベースラインレベルより>2倍の抗体濃度増加を示した対象の割合(%)として計算し、プラセボ群ではそれぞれ100%および69%であった。
バリアントICOSL vIgD-Fc処置群の抗KLH IgG応答率はプラセボ群よりも低かった。バリアントICOSL vIgD-Fc処置群の抗KLH IgM応答率も低下した。以下の表34は、処置による抗KLH抗体応答上昇の発生率を示す。図35に示されているように、全バリアントICOSL IgV-Fc処置群における抗KLH IgGまたはIgMの変化はプラセボ群より小さかった。このことから、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによって抗原特異的な抗体応答が阻害されたことが分かる。
(表34)SAD処置による抗KLH抗体応答上昇(ベースラインの>2倍)の発生率
Figure 2022529059000061
結果から、IVコホートおよびSCコホートにおいて、1mg/kg、3mg/kg、および10mg/kgの用量のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質はKLHに対する抗体応答を抑制できることが明らかになった(IVコホートを図26Aに示した)。
対象の抗原依存性T細胞応答を測定するために別のアッセイを行った。
エクスビボブドウ球菌エンテロトキシンB刺激用の連続全血試料を投薬前と、投薬後に、投与が終了して2時間後、24時間(1日)後、3日後、7日後、14日後、および28日後に収集した。対象のT細胞をエクスビボで培養し、細胞によるIL-2産生を、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)に曝露し、例示的な融合タンパク質で処置した後、3日間にわたって測定した。
結果から、T細胞によるIL-2産生は0.03mg/kg以上の用量の融合タンパク質によって阻害されたことが分かった(図26B)。投薬して2時間後と早い段階で、ベースラインによって調整したSEB誘導性IL-2は例示的なバリアントICOSL IgV-Fc処置によって低下し、例示的なバリアントICOSL IgV-Fc用量の増加に伴って回復時間が長くなる。例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによる阻害の持続時間および大きさは用量依存的であった。例示的なバリアントICOSL IgV-FcによるIL-2の最大阻害は用量0.001mg/kg(-13%)から0.03mg/kg(-49.5%)へと用量が増加するのに伴って増加し、0.03mg/kg以上の用量では約-50%のままであった。同様に、阻害の持続時間(≦-25%の時間と定義された)も、0.003mg/kgの1.08日から10mg/kgの19.9日へと用量が増加するのに伴って増加した。これらの結果は、バリアントICOSL vIgD-Fcがヒト対象に単一用量IV投与された後に用量依存的な免疫調節を媒介したという観察と一致している。
合わせると、結果から、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質は、最高10mg/kg用量レベルまでを含む全用量レベルで対象において忍容性が良いことが分かった。グレード3有害事象もグレード4有害事象も発生しなかった。さらに、この試験では、用量に関連する検査値変化も注入反応もサイトカイン放出症候群(CRS)もアナフィラキシーも観察されなかった。
これらの結果は、健常対象において例示的なICOSL vIgD-Fc融合タンパク質が忍容性が良く、用量依存的な免疫調節活性を示し、試験した用量でCRSも免疫原性も引き起こさないという観察と一致している。
B. 反復漸増用量試験(MAD)
MAD試験は2種類の反復毎週IV用量コホート(0.3mg/kgまたは1mg/kg Q1W、合計4用量)と1種類の反復隔週IV用量コホート(1mg/kg Q2W、合計2用量)を含んだ。例示的なバリアントICOSL IgV-Fcまたはプラセボを6:2の比で与えるように総数24人の対象(8人の対象/用量コホート)をランダム化した。
安全性、PK、T細胞上での標的飽和、循環サイトカイン、およびPDを評価するために対象を49日間追跡した(MAD)。一番最後はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に対するIgG応答の抑制に基づいた。
28日または49日にわたって様々な時点で血清中のバリアントICOSL vIgD-Fc濃度をモニタリングすることによってICOSL vIgD-Fc融合タンパク質のPKを全コホートにおいて評価した。抗ヒトICOSL捕獲抗体と、捕獲された抗原を検出するマウス抗ヒトIgG-HRP抗体コンジュゲートを使用する酵素結合免疫測定法(ELISA)によって、血清中のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質濃度を測定した。図36は、それぞれのMADコホートの薬物動力学を示す。反復IV投薬を用いて、最小から中程度の蓄積が観察された。
例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの標的飽和を評価するために、連続全血試料(1mL)を、投薬前と、投薬後に、各用量を注入終了して4時間後、24時間(1日)後、2日後、ならびにQ1Wコホートについては第4の用量を注入終了して7日後および28日後に、ならびにQ2Wコホートについては第2の用量を注入終了して8日後、9日後、14日後、および35日後に収集した以外はSAD試験について上記で説明した方法に従って、循環CD4+T細胞上およびCD8+T細胞上にある例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの量を求めた。
例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを与えた全対象において、各血液試料に由来するCD4+T細胞上およびCD8+T細胞上での例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの標的飽和は用量群間で一貫して似ていた。図37は、CD4+T細胞における標的飽和を経時的にまとめたものである。
0.3mg/kgおよび1mg/kgで4回(Q1W、4週間)静脈内用量投与した後または1mg/kgで2回投与(Q2W、4週間)した後に、用量投与後に高標的飽和(>95%)に達した。これは概して26.8~39日間維持された。計画された最後の時点で(1回目の投薬の49日後)、0.3mg/kg Q1W、1mg/kg Q2W、および1mg/kg Q1Wの標的飽和の平均は、それぞれ、19.5%、26.6%、および91.7%まで減少した。
これらの結果から、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質の複数のIV注入によって持続的な高レベル標的飽和に達することが分かる。
複数の用量の融合タンパク質を与えた健常対象において、ICOSL vIgD-Fc融合タンパク質が用量依存的な免疫調節を発揮する能力を評価した。
1日目に全MADコホートにバリアントICOSL IgV-Fcまたはプラセボを投与して2時間以内に1mgキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)の皮下投与を与えた。投薬前に、1回目の投薬の7日後、14日後、21日後、28日後、および49日後に抗KLH抗体用の血液試料を収集した。
図38に示されているように、全てのバリアントICOSL IgV-Fc処置群において抗KLH IgGまたはIgMの変化はプラセボ群より小さかった。このことから、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによって抗原特異的抗体応答が阻害されたことが分かる。以下の表35は、処置による抗KLH抗体応答上昇の発生率を示す。
(表35)MAD処置による抗KLH抗体応答上昇(ベースラインの>2倍)の発生率
Figure 2022529059000062
注:4人の対象(1人は0.3mg/kg Q1W、2人は1mg/kg Q1W、1人は1mg/kg Q2W) には、計画した全ての用量を与えなかったので、これらの対象を除外した。
結果から、複数の用量のICOSL vIgD-Fc融合タンパク質はKLHに対する抗体応答を抑制できることが明らかになった。
MADコホートにおいて抗原依存性T細胞応答を測定するためのアッセイを行った。
エクスビボブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)刺激用の連続全血試料を、各用量の前である投薬前に(0日、7日、14日、21日)、1回目の投薬および4回目の投薬の2日後(3日および23日)、28日、ならびに49日に収集した。対象のT細胞をエクスビボで培養し、細胞によるIL-2産生を、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)に曝露し、例示的な融合タンパク質で処置した後、3日間にわたって測定した。
4回の毎週用量の例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの後に阻害の持続時間は0.3mg/kgの25.1日から1mg/kgの44.5日に増加した。これらの結果は、バリアントICOSL vIgD-Fcがヒト対象に複数回IV投与された後に用量依存的な免疫調節を媒介したという観察と一致している。
合わせると、これらの結果は、健常対象において例示的なバリアントICOSL IgV-Fc融合タンパク質が忍容性が良く、用量依存的な免疫調節活性を示し、複数の用量として投与されたときにCRSも免疫原性ももたらさないという観察と一致している。
実施例22
ステロイド抵抗性またはステロイド難治性の急性移植片対宿主病(aGVHD)がある対象におけるバリアントICOSL-IgV Fcの投与
コルチコステロイド(例えば、グルココルチコイド)またはシクロスポリンなどの免疫抑制剤に対して抵抗性または難治性の、Mount Sinai Acute GVHD international Consortium(MAGIC)基準(Harris et al. 2016)に従うグレードII~IVのaGVHDがあり、同種幹細胞移植(例えば、第1の同種幹細胞移植)を受けている成人に、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL vIgD-Fc融合タンパク質N52H/N57Y/Q100Rの単一静脈内用量を救援療法と組み合わせて投与する。この投与は、用量漸増および用量拡大を含む2パートで行った臨床研究の一環である。用量漸増は加速漸増デザイン(accelerated titration design)を用いることによって進行する。対象に、以下の用量:1μg/kg、10μg/kg、30μg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、および20mg/kgのうちの1つの単回静脈内注入を投与し、用量漸増試験の一環として評価する。その後に、選択された用量レベルを、10人の対象からなる拡大コホートにおいて評価する。≧25%(n=3)の対象が奏功を実現したら、15人のさらなる対象を登録する(シモン(Simon)2ステージデザイン)。いくつかの場合には、対象は、予防のために投与された療法を継続することがある、グルココルチコイドを継続するか、もしくは増やすことがある、および/または別の救援療法を追加することがある。グルココルチコイドテーパー(glucocorticoid taper)のためにレスポンダーが考慮される。
上記の投薬プロトコールは、非臨床データからのヒトPKプロファイルおよびCD28標的飽和の予測値、ならびにNOAEL毒物学研究に基づいたヒト曝露予測値の安全域に基づいている。
実施例21に記載のような健常ヒト対象での試験に基づいて、さらなる投薬プロトコールをデザインする。実施例21の試験において健常対象への単回または複数回のIV投薬後に観察された臨床安全性データ、PK、および標的飽和に基づいて0.3mg/kgの開始用量が実行可能だとみなされる。用量漸増は加速漸増デザインを用いて上記のように進行する。対象に、以下の用量:0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、および20mg/kgのうちの1つ、または以下の用量のいずれかの間にある中間用量(20mg/kgまで)の単回静脈内注入を投与し、用量漸増試験の一環として評価する。その後に、選択された用量レベルを、10人の対象からなる拡大コホートにおいて評価する。≧25%(n=3)の対象が奏功を実現したら、15人のさらなる対象を登録する(シモン2ステージデザイン)。いくつかの場合には、対象は、予防のために投与された療法を継続することがある、グルココルチコイドを継続するか、もしくは増やすことがある、および/または別の救援療法を追加することがある。グルココルチコイドテーパーのためにレスポンダーが考慮される。
安全性を28日にわたって有害事象の発生率、重篤度、および重大性に基づいて評価する。奏効率、奏効期間、無再発生存期間、治療奏効維持生存期間(failure-free survival)、無イベント生存期間(event-free survival)、非再発死亡率(non-relapse mortality)、悪性腫瘍の再発/進行、全生存期間、およびグルココルチコイド使用を含むエンドポイントについて効力を評価する。
抗薬物抗体の発生率および力価を評価した。バリアントICOSL vIgD-Fcの血清中濃度を測定し、薬物動態学的(PK)パラメータを見積もった。薬力学的(PD)エンドポイントを評価する。薬力学的(PD)エンドポイントには、循環白血球の標的飽和および免疫表現型検査が含まれ、循環サイトカイン、免疫グロブリン、急性期(acture phase)反応物、および標的化された経路受容体の可溶型の定量、循環白血球におけるmRNA発現変化の評価、リスク対立遺伝子の評価、ならびに応答の相関物が含まれる場合がある。
実施例23
患者由来PBMCを介したバリアントICOSL-IgV Fcのインビトロ評価
サイトカイン放出に対する、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した。
クローン病(CD)患者または潰瘍性大腸炎(UC)患者から単離したPBMCを、人工抗原提示細胞(細胞表面抗CD3(OKT3)、CD80、CD86、およびICOSLを発現するK562細胞)を用いて20:1の比で、100nMの例示的なバリアントICOSL IgV-Fc、単一経路アンタゴニストであるプレザルマブもしくはアバタセプト、またはプレザルマブもしくはアバタセプト両方の組み合わせの存在下で刺激した。48時間後に上清を収集し、図27Aに示されているようにサイトカイン濃度を分析した。例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置した患者細胞からのTNFα、IFNγ、IL-6、およびIL-12p70放出は、単一経路アンタゴニストのいずれか、両方の組み合わせ、またはFc対照抗体で処置した細胞と比較してダウンレギュレートされた。
Fc対照処置に対するサイトカイン放出阻害率(%)を、以下の式:((Fc対照値-実験値)/Fc対照値)×100を用いて計算した。図27Bに示されているように、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcは、アバタセプトまたはプレザルマブによる処置後に観察されたサイトカイン阻害よりも大きなサイトカイン阻害を示した。
実施例24
T細胞誘導性大腸炎マウスモデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの複数回投薬の評価
CD4+CD45RBhigh T細胞誘導性大腸炎マウスモデルにおける疾患進行および重篤度に対する、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した。
雄BALB/Cドナーマウスから得られた脾臓細胞懸濁液からの負の選択によってCD4+CD45RBhighドナー細胞を濃縮した。0日目に、免疫不全C.B17(SCID)雄マウスに、大腸炎を誘導するために30万個のCD4+CD45RBhigh Treg枯渇ドナー細胞を静脈内注射し、対照群として役立つようにCD4+細胞を静脈内注射した。マウスを6つの処置群に分け、表32に示されているように0日目に、および/または試験全体を通して例示的なバリアントICOSL-IgV Fc、Fcのみ、またはビヒクル対照で処置した。
(表32)処置レジメン
Figure 2022529059000063
体重および便スコアを0日目から毎日測定した。13日目、20日目、および27日目に分析用の血液を収集した。42日目または43日目に試験が終了した後に、サイトメトリー分析、長さと重さの測定、ならびに組織学的分析のために腸間膜リンパ節、結腸、および小腸を収集した。補体(complement)中のサイトカイン分泌と、血清から採取したサイトカイン測定値を評価するために、結腸の遠位1/3をエクスビボ培養物として維持した。実施例16において前述したように、疾患活動指数(DAI)を体重と便スコア(体重スコア+便スコア)から計算した。二元配置ANOVAを用いて、例示的なバリアントICOSL-IgV Fc処置群とFc対照群のDAIの統計解析を評価した。
体重、便スコア、およびDAI結果の変化を図28Aに示した。0日目または14日目での単一用量を用いた処置を含む例示的なバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置によって、全DAIの改善ならびに体重および便スコアの改善が認められた。
図28Bは、T細胞数を対象にしたフローサイトメトリー分析の結果を示す。示されているように、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによる処置は、血液と腸間膜リンパ節の両方におけるエフェクターメモリーT細胞(Tem)の抑制に寄与することも示された。
例示的なバリアントICOSL-IgV-Fcによる処置後に炎症性サイトカインTNFα、IL-6、IFNγ、およびIL-12p70血清濃度の減少も観察された(図28C)。
結腸の肉眼的評価および顕微鏡的評価を、それぞれ、図28Dおよび図28E~28Fに見ることができる。図28Dに示されているように、分析から、全ての治療的処置条件がFc対照処置群と比較して重さ:長さの比が小さく、複合組織学的スコアが低いことが明らかになった。組織学的分析によって、例示的なバリアントICOSL IgV-Fcには大腸炎を軽減する効力があることが確認された。バリアントICOSL IgV-Fcの反復投与で処置したマウスの組織学的分析を図28Eの2つの右パネルに、ビヒクルだけの大腸炎なし処置群(左上パネル)またはFc対照処置群(左下パネル)と比較して示した。0日目から試験終了まで反復用量によって処置したマウスには病理学的結腸所見が無く(右上パネル)、14日目から試験終了まで遅延反復用量によって処置した4/12匹のマウスには大腸炎の徴候が無かった(右下パネル)。図28Fは、図28Eの組織学的画像より高倍率の組織学的画像を示す。処置群のマウスにはどれも、炎症の影響を受けた結腸筋層が無かった。これらの結果は、遅延反復用量投与でもバリアントICOSL IgV-Fcが大腸炎の発症を完全に阻止したという所見と一致している。0日目または14日目に単一用量のバリアントICOSL IgV-Fcで処置したマウスもFc対照処置マウスより軽度の大腸炎を示した。
これらのデータは、大腸炎などの炎症性腸障害を処置するための治療剤候補としての例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを裏付けている。
実施例25
実験的自己免疫性ブドウ膜炎におけるバリアントICOSL-IgV Fcの硝子体内投与の評価
実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)に対する、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:36)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの硝子体内注射の効果を評価した。
20(20)匹の雌ルイス(Lewis)ラットを、それぞれ4匹の動物からなる5つの処置群に分けた。2(2)回の実験を、1回につき1種類の処置につき2匹の動物を用いて行った。EAUは、0日目に200μlのフロイント完全アジュバントに溶解した30μgのウシ光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)ペプチドR16(片方の臀部に100μl)を皮下注射することによって全動物に誘導した。群1~4の動物(n=4匹の動物/群、合計n=16)は10日目および12日目にPBS、Fc対照、ステロイド、または例示的なバリアントICOSL IgV-Fcを用いて右硝子体に眼内注射することによって処置した。群5の動物(n=4)は8日目および10日目に例示的なバリアントICOSL IgV-Fcで処置した。処置レジメンを表33にまとめた。
(表33)処置レジメン
Figure 2022529059000064
注射を麻酔(i.p.ケタミン/キシラジンおよび局所テトラカイン)下で行った。5%ベタジンで眼をきれいにし、2.5%フェニレフリンで瞳孔を散大した。注射を、ガラス針と解剖顕微鏡を用いて直接可視化して行った。それぞれの注射について試験化合物の硝子体内留置を確認した。
動物の体重をベースラインで、および麻酔を投与した全ての日に測定した。0日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、および14日目に両眼の非盲検臨床スコアを入手した。確立したスコア体系(Agarwal and Caspi, 2004)を用いて無麻酔の動物を観察することによってスコアを割り当てた。7日目、11日目、および14日目に光干渉断層法(OCT)画像を入手した。処置と日付を知らされていない採点者が画像をスコア付けした。(Pepple and Wang 2016)から改良した画像解析プロトコールを用いてスコアを割り当てた。14日目にラットを安楽死させ、組織学のために眼を収集した。眼と処置条件を知らされていない採点者が、確立したスコア体系(Dick and Forrester, 1994)を用いて組織切片(n=3/眼)をスコア付けした。各処置群の処置眼(右)および未処置眼(左)について、臨床スコア(盲検または非盲検)、盲検OCTスコア、および組織学スコアの中央値または平均を求めた。
Fc対照処置と比較して、8日目から開始した例示的なバリアントICOSL IgV-Fcによる処置は、10日目、11日目、12日目(p<0.05)、および13日目(p<0.01)の毎日非盲検臨床スコアによって有意な炎症抑制を示した(図29A~29E)。最後の投薬の4日後である最終日(14日目)を除く全ての日の臨床スコアの違いから分かるように、8日目/10日目のバリアントICOSL IgV-Fcによる処置は疾患発症を遅延した。さらに、バリアントICOSL IgV-Fcで処置した眼における盲検OCTによってスコア付けした臨床的炎症は11日目(p<0.05)および14日目(p<0.01)の両方ともFc対照眼と比較して有意に小さかった(図30A~30C)。バリアントICOSL IgV-Fcで処置した眼における炎症の組織学的スコアもFc対照処置眼より有意に小さかった(p<0.01)(図31)。
10日目から開始したバリアントICOSL IgV-Fcによる処置はPBSおよび対照処置と比較してブドウ膜炎スコアの進行を阻止し、最終炎症スコアを減少させた(図29A~31)。硝子体内注射後の日に、ICOSL IgV-Fc 10日目/12日目処置眼における非盲検臨床スコアは減少した。
バリアントICOSL IgV-Fcによる8日目/10日目処置動物および10日目/12日目処置動物では、未処置の他眼(左眼)において全身効果も観察された。ステロイド処置動物の未処置の他眼でも同様の全身効果が観察された(図29A~29B、30A、および31)。8日目/10日目のバリアントICOSL IgV-Fcによる処置はEAUを抑制するのにFc対照よりも効果が高かった。
ステロイド処置動物は14日目に12.7%の平均体重減少を示した(図32)。バリアントICOSL IgV-Fcまたは対照(ビヒクル、Fc対照)で処置しても体重は減少しなかった(それぞれ、3%および2%の平均体重増加)。
二重CD28/ICOSアンタゴニストバリアントICOSL IgV-Fcによる局所処置によってルイスラットのEAUが抑制された。さらに、バリアントICOSL IgV-Fc硝子体内注射は、ステロイド処置で認められる体重減少がなく忍容性が良かった。これらのデータは、ブドウ膜炎などの炎症性眼障害を処置するための治療剤候補としてのバリアントICOSL IgV-Fcを裏付けている。
実施例26
SARS-CoV-2感染症(COVID-19)対象におけるバリアントICOSL-IgV Fcの投与
確定したSAR-CoV-2感染症(COVID-19)と、COVID-19感染症に起因する重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、または敗血症ショックがある13歳以上の対象に、1つまたは複数の静脈内用量の、不活性Fc(例えば、ヒトIgG1 Fcに変異L234A、L235E、およびG237Aを含有し、例えばSEQ ID NO:42に示される)と融合した、SEQ ID NO:36に示されるバリアントICOSL vIgD-Fc融合タンパク質N52H/N57Y/Q100Rを投与する。対象に1用量につき10mg/kgまでの静脈内注入を投与し、最後の投薬の56日後まで観察する。
(1)7分類順序尺度(seven-category ordinal scale)に基づいた状態(7-死亡;6-入院が必要であり、ECMO、侵襲的機械的換気、またはその両方が必要である;5-入院が必要であり、ネーザルハイフロー(nasal high-flow)O2療法、非侵襲的機械的換気、またはその両方が必要である;4-入院が必要であり、酸素補充が必要である;3-入院が必要であるが、酸素補充は必要でない;2-入院は必要でないが、正常な活動を再開できない;1-入院は不要であり、正常な活動を再開する);(2)呼吸状態(酸素補充レベル(L/min);PaO2(酸素分圧)/FiO2(吸入酸素濃度)比;SaO2(末梢酸素飽和(peripheral oxygen saturation));X線撮影異常);(3)全体の状態(SOFA(敗血症に関連する臓器不全)スコア、NEWS2(国家早期警告スコア(national early warning score)2に基づいて評価した)、血管作動性薬剤の使用、および/または臓器特異的な臨床検査値異常);(4)例えば、血清フェリチン、プロカルシトニン、D-ダイマー、C反応性タンパク質(CRP)、全白血球数、リンパ球百分率(differential lymphocytic count)、および好中球とリンパ球の比を含む、疾患重篤度に潜在的に関連する検査値;ならびに(5)例示的なバリアントICOSL IgV-Fc融合タンパク質を用いた処置に関連する重大な有害事象を含むが、これに限定されない、臨床アウトカムと評価を記録する。実行可能な場合には、薬物動態(PK)および薬物動力学(PD)を評価するための血液試料を間隔を開けて収集する。PDには循環サイトカインおよび/またはSARS-CoV-2に対する抗体のレベルが含まれ得るが、これに限定されない。
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供された、特定の開示されている態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する様々な変更が本明細書の説明および教示から明らかになる。このような変更は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内にあると意図される。
配列の表
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Claims (122)

  1. 急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
  2. 前記対象が同種造血幹細胞移植(HSCT)を以前に受けたことがあり、該同種HSCTを受けた後に該対象においてaGVHDが発生する、請求項1記載の方法。
  3. 前記対象がグレードII~IVのaGVHDを有する、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 前記対象のaGVHDが免疫抑制剤による処置に対して抵抗性または難治性である、請求項1~3いずれか一項記載の方法。
  5. 前記免疫抑制剤がコルチコステロイドを含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記免疫抑制剤がシクロスポリンを含む、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. ウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法であって、処置期間中に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
  8. 前記ウイルスがコロナウイルスである、請求項7記載の方法。
  9. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2であり、前記感染症がCOVID-19である、請求項8記載の方法。
  10. 前記炎症がサイトカイン放出症候群(CRS)に関連する、請求項7~9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記CRSが、重度CRSまたはグレード3以上のCRSである、請求項10記載の方法。
  12. 前記対象が、前記投与の時点または直前に、前記ウイルス感染症に関連または起因する、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、または敗血症ショックを有する、請求項7~11のいずれか一項記載の方法。
  13. 対象において自己免疫性または炎症性の疾患または状態を処置する方法であって、処置期間中に、自己免疫性または炎症性の疾患または状態を有する対象に1つまたは複数の用量のバリアントICOSL融合タンパク質を投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質の各用量が0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、方法。
  14. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
  15. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が急性状態である、請求項14記載の方法。
  16. 単一用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質のみが前記対象に投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
  17. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が慢性状態である、請求項14記載の方法。
  18. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  19. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がシェーグレン症候群である、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  20. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が乾癬性関節炎である、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  21. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が関節リウマチである、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  22. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がクローン病である、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  23. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が潰瘍性大腸炎である、請求項13、請求項14、または請求項17記載の方法。
  24. 複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質が前記対象に投与される、請求項1~15および17~23のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される、請求項24記載の方法。
  26. 前記複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される、請求項24または請求項25記載の方法。
  27. 前記複数の用量のそれぞれが2週間に1回(Q2W)投与される、請求項24または請求項25記載の方法。
  28. 前記複数の用量のそれぞれが1ヶ月に1回(Q4W)投与される、請求項24または請求項25記載の方法。
  29. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kgの量で投与される、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
  30. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、または3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kgの量で投与される、請求項1~29のいずれか一項記載の方法。
  31. 前記1つまたは複数の用量の各用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
  32. 前記1つまたは複数の用量の各用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
  33. 前記1つまたは複数の用量の各用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
  34. 前記1つまたは複数の用量の各用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
  35. 前記1つまたは複数の用量の各用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
  36. 前記1つまたは複数の用量の各用量が15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
  37. 前記1つまたは複数の用量の各用量が20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
  38. 前記処置期間が繰り返される、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
  39. 前記投与が皮下投与による投与である、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
  40. 前記投与が静脈内投与による投与である、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
  41. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法であって、ある用量のバリアントICOSL融合タンパク質を硝子体内投与する工程を含み、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、方法。
  42. 前記眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患がブドウ膜炎である、請求項41記載の方法。
  43. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、約0.01mgから約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから10mgまたは約10mg(両端の値を含む)の用量で投与される、請求項41または請求項42記載の方法。
  44. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.2mL未満、任意で0.1mL未満の体積で投与される、請求項41~43のいずれか一項記載の方法。
  45. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.05mLまたは約0.05mLの体積で投与される、請求項41~44のいずれか一項記載の方法。
  46. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:32に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む(i)および/または(ii)の一部分を含む、請求項1~45のいずれか一項記載の方法。
  47. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、前記IgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  48. 前記IgVドメインまたはその特異的結合断片が、前記バリアントICOSLポリペプチドまたは前記バリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である、請求項1~47のいずれか一項記載の方法。
  49. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
  50. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
  51. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列、あるいはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、請求項1~50のいずれか一項記載の方法。
  52. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列を有する、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
  53. 前記多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む、請求項1~52のいずれか一項記載の方法。
  54. 前記Fc領域が、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下したエフェクター機能を示すバリアントFc領域である、請求項53記載の方法。
  55. 前記Fc領域が、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である、請求項53または請求項54記載の方法。
  56. 前記バリアントFc領域が、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項54または請求項55記載の方法。
  57. 前記バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項54~56のいずれか一項記載の方法。
  58. 前記Fc領域がK447delを含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項53~57のいずれか一項記載の方法。
  59. 対象において急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドであるか、またはそれを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
  60. 急性移植片対宿主病(aGVHD)を予防または低減する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
  61. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、請求項59記載の使用のための薬学的組成物または請求項60記載の使用。
  62. 前記aGvHDがグレードII~IVのaGVHDである、請求項59もしくは請求項61記載の使用のための薬学的組成物または請求項60もしくは請求項61記載の使用。
  63. 前記aGVHDが、免疫抑制剤による処置に対して抵抗性または難治性である、請求項59、61、および62のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61、および62のいずれか一項記載の使用。
  64. 前記免疫抑制剤がコルチコステロイドを含む、請求項59および61~63のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60および61~63のいずれか一項記載の使用。
  65. 前記免疫抑制剤がシクロスポリンを含む、請求項63もしくは請求項64記載の使用のための薬学的組成物または請求項63もしくは請求項64記載の使用。
  66. 対象においてウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
  67. ウイルス感染症に続発する炎症を予防または低減する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
  68. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、請求項66記載の使用のための薬学的組成物または請求項67記載の使用。
  69. 前記ウイルスがコロナウイルスである、請求項66もしくは請求項68記載の使用のための薬学的組成物または請求項67もしくは請求項68記載の使用。
  70. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2であり、前記感染症がCOVID-19である、請求項69記載の使用のための薬学的組成物または請求項69記載の使用。
  71. 前記炎症がサイトカイン放出症候群(CRS)に関連する、請求項66、68、および69のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項67~69のいずれか一項記載の使用。
  72. 前記CRSが、重度CRSまたはグレード3以上のCRSである、請求項71記載の使用のための薬学的組成物または請求項71記載の使用。
  73. 前記対象が、前記投与の時点または直前に、前記ウイルス感染症に関連または起因する、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、または敗血症ショックを有する、請求項68、および69~72のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項68、および69~72のいずれか一項記載の使用。
  74. 対象における自己免疫性または炎症性の疾患または状態の処置における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
  75. 自己免疫性または炎症性の疾患または状態の処置における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
  76. 前記方法が、処置期間中に1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、0.001mg/kgまたは約0.001mg/kgから20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、請求項74記載の使用のための薬学的組成物または請求項75記載の使用。
  77. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.1mg/kgまたは約0.1mg/kgから10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、および76のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、および76のいずれか一項記載の使用。
  78. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が急性状態である、請求項77記載の使用のための薬学的組成物または請求項77記載の使用。
  79. 単一用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質のみが前記対象に投与される、請求項61~65、68~73、および76~78のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、および76~78のいずれか一項記載の使用。
  80. 前記自己免疫性または炎症性の疾患または状態が慢性疾患または慢性状態である、請求項77記載の使用のための薬学的組成物または請求項77記載の使用。
  81. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  82. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がシェーグレン症候群である、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  83. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が乾癬性関節炎である、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  84. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が関節リウマチである、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  85. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態がクローン病である、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  86. 前記炎症性または自己免疫性の疾患または状態が潰瘍性大腸炎である、請求項74、77、および80のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項75、77、および80のいずれか一項記載の使用。
  87. 複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質が前記対象に投与される、請求項61~65、68~73、および76~78のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、および76~78のいずれか一項記載の使用。
  88. 前記複数の用量のそれぞれが週1回以下で投与される、請求項87記載の使用のための薬学的組成物または請求項87記載の使用。
  89. 前記複数の用量のそれぞれが週1回(Q1W)投与される、請求項87記載もしくは請求項88記載の使用のための薬学的組成物または請求項87もしくは請求項88記載の使用。
  90. 前記複数の用量のそれぞれが2週間に1回(Q2W)投与される、請求項87もしくは請求項88記載の使用のための薬学的組成物または請求項87もしくは請求項88記載の使用。
  91. 前記複数の用量のそれぞれが1ヶ月に1回(Q4W)投与される、請求項87もしくは請求項88記載の使用のための薬学的組成物または請求項87もしくは請求項88記載の使用。
  92. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kg、3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、または6mg/kgもしくは約6mg/kgから10mg/kgもしくは約10mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用。
  93. 前記1つまたは複数の用量の各用量が、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、0.3mg/kgもしくは約0.3mg/kgから1mg/kgもしくは約1mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kgから3mg/kgもしくは約3mg/kg、または3mg/kgもしくは約3mg/kgから6mg/kgもしくは約6mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~92のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~92のいずれか一項記載の使用。
  94. 前記1つまたは複数の用量の各用量が0.3mg/kgまたは約0.3mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用。
  95. 前記1つまたは複数の用量の各用量が1mg/kgまたは約1mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用。
  96. 前記1つまたは複数の用量の各用量が3mg/kgまたは約3mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用。
  97. 前記1つまたは複数の用量の各用量が6mg/kgまたは約6mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用。
  98. 前記1つまたは複数の用量の各用量が10mg/kgまたは約10mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~93のいずれか一項記載の使用。
  99. 前記1つまたは複数の用量の各用量が15mg/kgまたは約15mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用。
  100. 前記1つまたは複数の用量の各用量が20mg/kgまたは約20mg/kgの量で投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~91のいずれか一項記載の使用。
  101. 前記処置期間が繰り返される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~100のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~100のいずれか一項記載の使用。
  102. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が皮下投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一項記載の使用。
  103. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が静脈内投与される、請求項61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項61~65、68~73、76~78、および87~101のいずれか一項記載の使用。
  104. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法における使用のための、バリアントICOSL融合タンパク質を含む薬学的組成物であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、薬学的組成物。
  105. 対象において眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患を処置する方法における使用のための医薬の調製におけるバリアントICOSL融合タンパク質の使用であって、該バリアントICOSL融合タンパク質が、多量体化ドメインと連結したバリアントICOSLポリペプチドを含み、該バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインまたはその特異的結合断片を含むICOSL細胞外ドメインまたはその一部であり、かつ参照ICOSLポリペプチドにおいて、SEQ ID NO:1に示される配列を基準にN52H、N57Y、およびQ100Rより選択されるアミノ酸置換に対応する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、使用。
  106. 前記眼の自己免疫性疾患または炎症性疾患がブドウ膜炎である、請求項104記載の使用のための薬学的組成物または請求項105記載の使用。
  107. 前記方法が、1つまたは複数の用量の前記バリアントICOSL融合タンパク質を対象に投与する工程を含み、該1つまたは複数の用量の該バリアントICOSL融合タンパク質のそれぞれが、約0.01mgから約10mg、0.05mgまたは約0.05mgから10mgまたは約10mg、0.1mgまたは約0.1mgから10mgまたは約10mg、0.5mgまたは約0.5mgから10mgまたは約10mg、1mgまたは約1mgから10mgまたは約10mg、1.5mgまたは約1.5mgから10mgまたは約10mg、2mgまたは約2mgから10mgまたは約10mg、3mgまたは約3mgから10mgまたは約10mg、4mgまたは約4mgから10mgまたは約10mg、5mgまたは約5mgから10mgまたは約10mg、6mgまたは約6mgから10mgまたは約10mg、7mgまたは約7mgから10mgまたは約10mg、8mgまたは約8mgから10mgまたは約10mg、9mgまたは約9mgから10mgまたは約10mg(両端の値を含む)の用量で投与される、請求項104もしくは請求項106記載の使用のための薬学的組成物または請求項105もしくは請求項106記載の使用。
  108. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.2mL未満、任意で0.1mL未満の体積で投与される、請求項107記載の使用のための薬学的組成物または請求項107記載の使用。
  109. 前記バリアントICOSL融合タンパク質が、0.05mLまたは約0.05mLの体積で投与される、請求項107もしくは請求項108記載の使用のための薬学的組成物または請求項107もしくは請求項108記載の使用。
  110. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:32に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む(i)および/または(ii)の一部分を含む、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~109のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、105、および106、107~109のいずれか一項記載の使用。
  111. 前記バリアントICOSLポリペプチドがIgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~110のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~110のいずれか一項記載の使用。
  112. 前記IgVドメインまたはその特異的結合断片が、前記バリアントICOSLポリペプチドまたは前記バリアントICOSL融合タンパク質の唯一のICOSL部分である、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~111のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~111のいずれか一項記載の使用。
  113. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~112のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~112のいずれか一項記載の使用。
  114. 前記ICOSL参照ポリペプチドが、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列からなる、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~113のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~113のいずれか一項記載の使用。
  115. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列、またはSEQ ID NO:36に示される配列に対して少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも91%もしくは約91%、少なくとも92%もしくは約92%、少なくとも93%もしくは約93%、少なくとも94%もしくは約94%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、または少なくとも99%もしくは約99%の配列同一性を示す配列を有し、かつN52H、N57Y、およびQ100Rより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~114のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~114のいずれか一項記載の使用。
  116. 前記バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:36に示される配列を有する、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~115のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~115のいずれか一項記載の使用。
  117. 前記多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域であるか、または該領域を含む、請求項59、61~65、66、68~73、74、76~103、104、および106~116のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項60、61~65、67、68~73、75、76~103、および105~116のいずれか一項記載の使用。
  118. 前記Fc領域が、野生型ヒト免疫グロブリンのFcと比較して低下したエフェクター機能を示すバリアントFc領域である、請求項117記載の使用のための薬学的組成物または請求項117記載の使用。
  119. 前記Fc領域が、野生型ヒトIgG1と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントIgG1 Fc領域である、請求項117もしくは請求項118記載の使用のための薬学的組成物または請求項117もしくは請求項118記載の使用。
  120. 前記バリアントFc領域が、N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237Aより選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項118もしくは請求項119記載の使用のための薬学的組成物または請求項118もしくは請求項119記載の使用。
  121. 前記バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項118~120のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項118~120のいずれか一項記載の使用。
  122. 前記Fc領域がK447delを含み、該残基がKabatのEUインデックスに従って番号が付けられている、請求項117~121のいずれか一項記載の使用のための薬学的組成物または請求項117~121のいずれか一項記載の使用。
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