JP2022521610A - 二重特異性抗egfr/c-met抗体による併用療法及び患者層別化 - Google Patents

二重特異性抗egfr/c-met抗体による併用療法及び患者層別化 Download PDF

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Abstract

本発明は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による併用療法及び患者層別化に関する。

Description

本発明は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による併用療法及び患者層別化に関する。
(配列表)
本願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。2020年2月13日に作成されたASCIIテキストファイルは、JBI6051WOPCT1ST25.txtという名前であり、サイズは19キロバイトである。
がんにおけるEGFR及びc-Metの両方の個々の役割は十分に確立されているので、これらの標的は併用療法にとって魅力的なものになっている。いずれの受容体も、同じ生存及び抗アポトーシス経路(ERK及びAKT)を通してシグナルを伝達し;このため、この経路対を共に阻害すると、代償経路が活性化される可能性を制限して、それによって全有効性を改善させ得る。
再発又は既存の治療薬に対する抵抗性は一般的である。したがって、EGFR又はc-Met陽性がんなどの疾患のより有効な治療を開発するために、改善された治療薬又は治療薬と患者層別化バイオマーカーとの組み合わせが必要とされている。
本開示は、EGFR又はc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、対象におけるマクロファージ活性を強化する薬剤と組み合わせて、治療的に有効な量の単離二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象を診断及び治療する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象が、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有すると診断することと、抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された対象に、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、EGFR又はc-Met発現がんを有すると疑われるか又は有する対象を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療する方法であって、対象が、閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定することと、閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定された対象に、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に対するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象の応答を予測する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象が応答者であると予測することと、を含む方法を提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、EGFR又はc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するかどうかを判定し、対象を治療するかどうかを判断する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが閾値よりも高いとき、EGFR若しくはc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断するか、又は生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが閾値よりも低いとき、EGFR若しくはc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断することと、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された二重特異性抗EGFR/c-Met抗体対象を投与するか、又は二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断された対象に二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与することを控えることと、を含む方法も提供する。
NucLight Red細胞数/mmを使用して測定したときの、最長120時間の培養下、指定のJNJ-372濃度で、PBMCの存在下における、NucLight Redで標識されたNCI-H1975細胞の増殖のJNJ-372の媒介による阻害を示す。 NucLight Red細胞数/mmを使用して測定したときの、最長120時間の培養下、指定のJNJ-372濃度で、PBMCの非存在下における、NucLight Redで標識されたNCI-H1975細胞の増殖に対するJNJ-372の媒介による効果を示す。 PBMCの存在下における、NucLight Redで標識されたNCI-H1975細胞の増殖の、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、JNJ-372.NF、又はアイソタイプ対照の媒介による阻害を示す。増殖は、PBMCの非存在下においても、アイソタイプ対照によっても、FcエフェクタサイレントJNJ-372.IgG2シグマによっても阻害されなかった。PBMCの存在下で培養したJNJ-372.NFは、増殖を部分的に阻害した。アイソ:アイソタイプ対照;IgG2s:JNJ-372.IgG2シグマ;EGFRxMet NF:JNJ-372.NF。 48時間の培養後の、PBMCの存在下における、NucLight Redで標識されたNCI-H1975細胞の、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、JNJ-372.NF、又はアイソタイプ対照の媒介によるアポトーシスを示す。アポトーシスは、PBMCの非存在下においても、アイソタイプ対照によっても、FcエフェクタサイレントJNJ372.IgG2シグマによっても誘導されなかった。PBMCの存在下で培養したJNJ-372.NFは、アポトーシスを部分的に媒介した。アイソ:アイソタイプ対照;IgG2s:JNJ-372.IgG2シグマ;EGFRxMet NF:JNJ-372.NF。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、4、24、48、又は72時間、PBMCの存在下又は非存在下で培養したNCI-H1975試料中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質を示す、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。PBMCの存在は、JNJ-372の媒介によるEGFR及びc-Metタンパク質のダウンレギュレーション並びにpEGFRの阻害を増強した。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、4、24、48、又は72時間、PBMCの存在下又は非存在下で培養したNCI-H1975試料中のEGFRの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。PBMCの存在は、JNJ-372の媒介によるEGFRのダウンレギュレーションを増強した。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、4、24、48、又は72時間、PBMCの存在下又は非存在下で培養したNCI-H1975試料中のpEGFR(pY1173)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。PBMCの存在は、JNJ-372の媒介によるpEGFRのダウンレギュレーションを増強した。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、4、24、48、又は72時間、PBMCの存在下又は非存在下で培養したNCI-H1975試料中のc-Metの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。PBMCの存在は、JNJ-372の媒介によるc-Metのダウンレギュレーションを増強した。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、7人の異なるドナーからのPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975試料中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質を示す、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、7人の異なるドナーからのPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975試料中のEGFRの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、7人の異なるドナーからのPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975試料中のpEGFR(pY1173)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、7人の異なるドナーからのPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975試料中のc-Metの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 各ドナーのPBMC試料中の単球率(%)と、NCI-H1975細胞中のEGFRタンパク質の量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)によって測定したときの、PBMCの存在下におけるJNJ-372によるEGFR阻害の変化率(%)(PBMCなしに対する相対倍数変化)との間の相関を示す。 各ドナーのPBMC試料中の単球率(%)と、NCI-H1975細胞中のpEGFRタンパク質の量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)によって測定したときの、PBMCの存在下におけるJNJ-372によるpEGFR Y1173阻害の変化率(%)(PBMCなしに対する相対倍数変化)との間の相関を示す。 各ドナーのPBMC試料中の単球率(%)と、NCI-H1975細胞中のc-Metタンパク質の量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)によって測定したときの、PBMCの存在下におけるJNJ-372によるc-Met阻害の変化率(%)(PBMCなしに対する相対倍数変化)との間の相関を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975細胞中のEGFRの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975中のpEGFR(pY1173)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975中のc-Metの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、同じドナーからのPBMC、単離NK細胞、単離単球、MCSF分化M1マクロファージ、又はGMCSF分化M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。 図に示す通り、同じドナーから単離したPBMC、単球、MCSF分化M1マクロファージ、又はGMCSF分化M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のEGFRの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、同じドナーから単離したPBMC、単球、MCSF分化M1マクロファージ、又はGMCSF分化M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のpEGFR(pY1173)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、同じドナーから単離したPBMC、単球、MCSF分化M1マクロファージ、又はGMCSF分化M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のc-Metの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理し、M1マクロファージ(M1)又はM2aマクロファージ(M2a)の存在下で培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。アイソ:アイソタイプ対照、372:JNJ-372、IgG2シグマ:JNJ-372.IgG2シグマ。 図に示す通り、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理し、M2cマクロファージ(M2c)の存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。アイソ:アイソタイプ対照、372:JNJ-372、IgG2シグマ:JNJ-372.IgG2シグマ。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養したSNU-5細胞中のEGFR、c-Met、pEGFR、及びpMetタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したSNU-5細胞中のEGFRの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したSNU-5細胞中のpEGFR(pY1173)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372、アイソタイプ対照、又はPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したSNU-5細胞培養試料中のc-Metの相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したSNU-5細胞中のpMet(pY1234/1235)の相対量(ローディング対照であるアクチンに対して正規化)を示す。 BIWで3週間、10mg/kgアイソタイプ対照(n=8)、JNJ-372(n=8)、又はJNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)(n=8)で処理した、皮下注射されたH1975細胞株異種移植腫瘍の腫瘍体積を示す。24日目に、TGI%を計算した。 BIWで3週間、ビヒクル(PBS)(n=8)、5mg/kg JNJ-372(n=8)、又はJNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)(n=8)で処理した、皮下注射されたSNU5細胞株異種移植腫瘍の腫瘍体積を示す。34日目に、TGI%を計算した。全てのデータを各処理群内の平均±S.E.Mとして表した。 それぞれ25:1、5:1、及び5:1のE:T比で、同じドナーから単離されたPBMC、NK細胞、又は単球の存在下において、JNJ-372で2時間処理したBATDAがロードされたH1975細胞、並びにユーロピウム放出によって測定したADCC溶解を示す。 抗マウスCSF1R抗体による枯渇後の腫瘍内のマクロファージ(CD45+CD11b+Ly6G-Ly6C-F4/80+)率(%)を調べるための、10mg/kgアイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマ処理(n=5マウス/処理)の2回投与の24時間後に単離されたH1975腫瘍試料のマルチカラーフローサイトメトリー分析を使用した腫瘍関連マクロファージの数を示す。 マクロファージを枯渇させるために週3回抗マウスCSF1R又はそのアイソタイプ対照と組み合わせて、BIWで3週間、10mg/kg JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ(処理群当たりn=8マウス)で処理した、皮下注射されたH1975細胞株異種移植腫瘍の腫瘍体積を示す。21日目にTGI%を計算し、****、p値<0.0001は、17日目に2元配置分散分析により計算した(研究において全ての群が全てのマウスを有していた場合)。 PBMCの存在下における、アイソタイプに対する、JNJ-372又はJNJ-372.IgG2シグマで4時間処理した後のH1975細胞によって産生された指定のケモカイン及びサイトカインの相対倍数変化を表す棒グラフを示す。 PBMCの存在下における、アイソタイプに対する、JNJ-372又はJNJ-372.IgG2シグマで72時間処理した後のH1975細胞によって産生された指定のケモカイン及びサイトカインの相対倍数変化を表す棒グラフを示す。 5:1のエフェクタ:標的比(E:T=5:1)における、PBMC(E:T=10:1)(左から最初の5本の棒)、NK細胞(左から6~10番目の棒)、又は単球(右から最初の5本の棒)の存在下で4時間、指定の用量範囲のJNJ-372で処理したH1975細胞における、未処理に対するMCP-1産生の相対的倍率変化を示す。 PBMC、NK細胞、又は単球の存在下においてJNJ-372でH1975細胞を処理した際のMCP-3レベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 5:1のエフェクタ:標的比(E:T=5:1)における、PBMC(E:T=10:1)(左から最初の5本の棒)、NK細胞(左から6~10番目の棒)、又は単球(右から最初の5本の棒)の存在下で4時間、指定の用量範囲のJNJ-372で処理したH1975細胞における、未処理に対するIL1-RA(図中に示すILRA)産生の相対的倍数変化を示す。 PBMC、NK細胞、又は単球の存在下においてJNJ-372でH1975細胞を処理した際のMIP-1βレベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 M1マクロファージ(M1 macs)の存在下においてJNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)、又はアイソタイプ対照でH1975細胞を処理した際のMIP-1βレベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 M2マクロファージ(M2 macs)の存在下においてJNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)、又はアイソタイプ対照でH1975細胞を処理した際のMIP-1βレベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 M1マクロファージ(M1 macs)の存在下においてJNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)、又はアイソタイプ対照でH1975細胞を処理した際のMIP-1αレベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 M2マクロファージ(M2 macs)の存在下においてJNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)、又はアイソタイプ対照でH1975細胞を処理した際のMIP-1αレベルにおける(未処理対照と比較した)倍数変化を測定するMSDベースのサイトカイン分析からの用量反応曲線を示す。灰色の点線は、未処理対照の値を示す。 標識されたアイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)で3時間H1975細胞をオプソニン化した際の、CD11b陽性M1マクロファージ内のAF488標識率(%)を測定するフローサイトメトリーベースのトロゴサイトーシスアッセイからの用量反応曲線を示す。JNJ-372による処理は、M1マクロファージによる用量依存的トロゴサイトーシスを誘導したが、アイソタイプ又はIgG2は誘導しなかった。 標識されたアイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマ(図中IgG2σ)で3時間H1975細胞をオプソニン化した際の、CD11b陽性M2マクロファージ内のAF488標識率(%)を測定するフローサイトメトリーベースのトロゴサイトーシスアッセイからの用量反応曲線を示す。JNJ-372による処理は、M2マクロファージによる用量依存的トロゴサイトーシスを誘導したが、アイソタイプ又はIgG2は誘導しなかった。 オプソニン化の11分(min)又は44分後の、AF647標識JNJ-372(上部パネル)又はJNJ-372.IgG2シグマ(底部パネル)でオプソニン化されたH1975 NucLight Red細胞との共培養下(E:T比=5:1)における、FITC-CD11b(マクロファージ原形質膜を標識)及びヘキスト(核を標識)で標識されたM2マクロファージのトロゴサイトーシスを示すハイコンテンツ共焦点顕微鏡からの代表的な画像を表す。白矢印は、標的細胞からM2マクロファージへのAF647標識JNJ-372抗体の移動によって測定されるトロゴサイトーシス事象を示す。JNJ-372.IgG2ではトロゴサイトーシスは明白ではなかった。スケールバー=20μm。M:マクロファージ;T:H1975細胞。 (WOPCT1グレースケールのためのレジェンド)オプソニン化の77分又は110分後の、AF647標識JNJ-372(上部パネル)又はJNJ-372.IgG2シグマ(底部パネル)でオプソニン化されたH1975 NucLight Red細胞との共培養下(E:T比=5:1)における、FITC-CD11b(マクロファージ原形質膜を標識)及びヘキスト(核を標識)で標識されたM2マクロファージのトロゴサイトーシスを示すハイコンテンツ共焦点顕微鏡からの代表的な画像を表す。白矢印は、標的細胞からM2マクロファージへのAF647標識JNJ-372抗体の移動によって測定されるトロゴサイトーシス事象を示す。JNJ-372.IgG2ではトロゴサイトーシスは明白ではなかった。スケールバー=20μm。M:マクロファージ;T:H1975細胞。
定義
本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(但しそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用され、限定することを意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特にその内容が明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
複数の列挙された要素間を接続する用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において一般的に受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。句「備える/含む(comprising)」(又はその同等語)に関して記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」に関して独立して記載されるものを提供する。
「同時投与」、「と共に投与」、「と組み合わせて投与」、「と組み合わせて」などは、選択された治療薬又は薬物の単一の患者への投与を包含し、治療薬又は薬物が同じ若しくは異なる投与経路によって又は同じ若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことを意図する。
「単離された」は、組み換え細胞などの、ある分子が産生される系の他の成分から実質的に分離及び/又は精製された分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、又はウイルス)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離された」とは、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない分子を指し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された分子を包含する。
がんなどの疾患又は障害の「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、以下のうちの1つ又は2つ以上を達成することを指す:障害の重篤度及び/若しくは期間を低減する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を阻害する、以前に障害を有していた対象における障害の再発を制限若しくは予防する、又は以前に障害について症候性であった対象における症状の再発を制限若しくは予防する。
疾患又は障害を「予防する」、「予防している」、「予防」、又は「予防処置」は、対象における障害の発生を防ぐことを意味する。
「診断する」又は「診断」は、対象が所与の疾患若しくは病態に罹患しているかどうか、又は将来的に所与の疾患若しくは病態を発症し得るかどうか、又は予め診断された疾患若しくは病態に対する治療に応答する可能性が高いかどうかを判定する、すなわち、治療に応答する可能性について患者集団を層別化する方法を指す。診断は、典型的には、診断される疾患についての一般的な指針、又は対象が特定の治療に応答する可能性が高いことを示す他の基準に基づいて医師によって行われる。
「応答する」、「応答性」、又は「応答する可能性が高い」は、検出可能か又は検出不可能であるかにかかわらず、任意の種類の改善又は陽性応答、例えば、1つ又は2つ以上の症状の緩和又は回復、疾患の程度の減少、安定化した(すなわち悪化しない)疾患状態、疾患の蔓延の防止、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的であっても全体的であっても)を指す。
「新たに診断された」とは、EGFR又はc-Met発現がんと診断されているが、多発性骨髄腫の治療を未だ受けていない対象を指す。
「治療有効量」は、必要な投与量及び期間で所望の治療結果を達成するための有効量を指す。治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す1つの治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。有効な1つの治療薬、又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
「難治性」とは、治療に応答しない疾患を指す。難治性疾患は、治療前又は治療開始時に治療に抵抗性であり得るか、又は難治性疾患は、治療中に耐性疾患となり得る。
「再発性」とは、治療薬による前治療後の改善期間後に疾患又は疾患の徴候及び症状が再開することを指す。
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
「がん」は、無制御なかたちで増殖し、場合によっては、患者の身体の他の領域へに転移(拡散)する傾向がある細胞の異常な成長を指す。
「EGFR又はc-Met発現がん」は、EGFR若しくはc-Metの検出可能な発現を有するか、又はEGFR若しくはc-Metの変異若しくは増幅を有するがんを指す。EGFR又はc-Metの発現、増幅、及び変異状態は、配列決定、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学的検査、フローサイトメトリー、又はウェスタンブロッティングなどの既知の方法を使用して検出することができる。
「上皮成長因子受容体」又は「EGFR」は、GenBankアクセッション番号NP_005219に示されているアミノ酸配列を有するヒトEGFR(HER1又はErbB1としても知られている(Ullrich et al.,Nature 309:418-425,1984)に加えて、その天然に存在するバリアントを指す。
「肝細胞成長因子受容体」又は「c-Met」は、本明細書で使用するとき、GenBankアクセッション番号NP_001120972に示されているアミノ酸配列を有するヒトc-Metに加えて、その天然のバリアントを指す。
「二重特異性抗EGFR/c-Met抗体」又は「二重特異性EGFR/c-Met抗体」は、EGFRに特異的に結合する第1のドメイン及びc-Metに特異的に結合する第2のドメインを有する二重特異性抗体を指す。EGFR及びc-Metに特異的に結合するドメインは、典型的には、VH/VL対であり、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFR及びc-Metに対する結合に関して一価である。
「特異的結合」、又は「特異的に結合する」、又は「特異的な結合」、又は「結合する」とは、抗体が、抗原又は抗原内のエピトープに、他の抗原に対するよりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約5×10-8M以下、例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(K)で、典型的には、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するそのKよりも少なくとも100倍低いKで抗原又は抗原内のエピトープに結合する。解離定数は、既知のプロトコルを用いて測定することができる。しかしながら、抗原又は抗原内のエピトープに結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、又はPan troglodytes(チンパンジー、chimp)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに結合するが、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに結合する。
「抗体」は、広義が意図され、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多重特異性抗体、二量体の、四量体の、若しくは多量体の抗体、一本鎖抗体、抗体ドメイン、及び必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構造を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
「相補性決定領域」(CDR)は、抗原に結合する抗体領域である。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970) J Exp Med 132:211-50) (Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia (Chothia et al.(1987) J Mol Biol 196:901-17),IMGT (Lefranc et al.(2003) Dev Comp Immunol 27:55-77)、及びAbM (Martin and Thornton (1996) J Bmol Biol 263:800-15)などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と、可変領域の付番との対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003) Dev Comp Immunol 27:55-77、Honegger and Pluckthun,(2001) J Mol Biol 309:657-70、International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース;ウェブリソース、http://www_imgt_orgを参照のこと)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを描写することができる。本明細書で使用する場合、「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、本明細書に別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
「抗原結合断片」とは、抗原に結合する免疫グロブリン分子の一部を指す。抗原結合断片は合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチド、又は遺伝子組換えされたポリペプチドであってよく、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)、サメ可変性IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの、抗体のCDRを再現したアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3が挙げられる。VH及びVLドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができ、VH及びVLドメインが、個別の一本鎖抗体構築物により発現される場合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対形成し、一価の抗原結合部位、例えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又は二重特異性抗体を形成することができ、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
「モノクローナル抗体」は、抗体分子の実質的に均質な母集団(すなわち、母集団を構成する個別の抗体が、抗体重鎖からのC末端リジンの除去などの可能な周知の変更、あるいはアミノ酸異性化若しくはアミド分解、メチオニン酸化、又はアスパラギン若しくはグルタミンアミド分解などの翻訳後修飾を除いて同一である)から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であってよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってよく、一価、二価、又は多価であってよい。
「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖細胞系列遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
「ヒト抗体」とは、ヒト対象に投与されるときに、最小の免疫応答を有するように最適化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、当該定常領域もヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合、ヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。このような例示的な系は、ファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばマウス又はラットを含む。「ヒト抗体」は、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために使用した系の違い、フレームワーク若しくはCDRへの体細胞変異の導入若しくは置換の意図的な導入、又はこれらの両方により、ヒトで発現した免疫グロブリンと比較したときにアミノ酸の違いを含有する。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えばKnappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,(2010)J MolBiol 397:385-96及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
「組み換え」は、異なる供給源のセグメントを接合して、組み換えDNA、抗体、又はタンパク質を生成するときに、組み換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されたDNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープに特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)の同じ抗原に対して交差反応性を有し得るか、あるいは2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
「多重特異性」とは、同じ抗原内の2つ以上の異なる抗原又は2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する抗体を指す。多重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト若しくはサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)、若しくはPan troglodytesなどの他の種からの、同じ抗原(ホモログ)に対する交差反応性を有し得るか、又は2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
「マクロファージ」は、骨髄起源の細胞を意味する。マクロファージは、主に結合組織及び血流中に存在するか又は組織若しくは腫瘍微小環境に常在する、大きな白血球である。これは、食作用によって異物及び感染性微生物を摂取し、抗原提示能力を有する。前駆体由来の非活性化マクロファージは、局所組織環境に応じて特定の分化を受ける。非活性化マクロファージは、損傷した細胞、活性化リンパ球、又は微生物産物などの組織内の環境要因に応答して、異なる機能性表現型に分化する。例えば、血液中の単球は、炎症又は侵襲中に組織に入ることができ、局所微小環境に依存して、M1又はM2表現型に極性化する。M1マクロファージ表現型は、高レベルの炎症促進性サイトカインの産生、病原体に対する抵抗性を媒介する能力、強力な殺微生物特性、反応性窒素及び酸素中間体の高い産生量、Th1応答の促進、並びに病原体及び腫瘍細胞の殺傷を特徴とする。対照的に、M2マクロファージは、寄生体の制御、組織のリモデリング、免疫調節、腫瘍促進、及び効率的食作用活性への関与を特徴とする。M2マクロファージは、M2a、M2b、M2c、及びM2dと呼ばれる4つの異なるサブタイプに更に細かく分類される。「マクロファージ」は、全てのマクロファージサブタイプを含む。
「単球」は、第一線防御機構に関与する白血球の種類に属するCD14CD34単核白血球を指し、樹状細胞又はマクロファージ前駆体に分化することが可能であると認識されている。単球は、通常、血液系内を移動する。外部刺激シグナルに応答して、単球は多くの免疫調節物質であるサイトカインを分泌し、組織における感染部位又は腫瘍部位に移動し、マクロファージに分化する。具体的には、単球は、上昇したレベルのCD14表面抗原マーカーを発現し、CD64、CD93、CD180、CD328、CD329、又はピーナッツ凝集素タンパク質(PNA)から選択される少なくとも1つのバイオマーカーを発現し得る。
「強化する」又は「誘導する」とは、対照(例えば、マクロファージ活性を強化する薬剤の存在下又は非存在下における増強)と比較したときに、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%を超えて、又は統計的に有意に、マクロファージの1つ又は2つ以上の機能又は活性を増強することを指す。
「マクロファージ活性を強化する」とは、単球の表現型変化及び/若しくは単球のマクロファージへのマクロファージ分化を誘導するか、又は非活性化マクロファージを活性化する、1つ又は2つ以上のマクロファージ活性の増強を指す。
「マクロファージ活性」とは、食作用、抗原提示、IL-12、IL-1、TNFαの産生、又はCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CCL2、CCL3、CCL4、CCL11、CCL17、CCL22などの炎症性ケモカインの産生などの、任意のマクロファージ機能を指す。
「マクロファージ活性を強化する薬剤」は、低分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、合成結合分子、アプタマー、RNA分子、DNA分子、オリゴマー、ポリマー、脂質、又はリポソームであり得る。例示的なマクロファージ機能を強化する薬剤としては、サイトカイン、ケモカイン、パターン認識受容体リガンド、ホルモン、アドレナリン作動性及びコリン作動性アゴニスト、脂肪酸、リン脂質、免疫グロブリン又はその一部、免疫グロブリンのFcドメイン、リポ多糖類(LPS)、toll様受容体(TLR)リガンド、ヒスタミン、並びにペルオキシソーム増殖因子活性化受容体リガンドが挙げられる。
「トロゴサイトーシス」は、細胞膜の一部がドナー細胞からアクセプタ細胞に移動することを特徴とするプロセスを指す。典型的なアクセプタ細胞としては、マクロファージ及び単球が挙げられる。更なるアクセプタ細胞としては、NK細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞、及び好中球が挙げられる。細胞膜の一部のトロゴサイトーシスの媒介による移動は、例えばEGFR若しくはc-Metなどの膜タンパク質、又は抗体が細胞表面分子に結合している抗体-抗原複合体の移動を含み得る。抗体の媒介によるトロゴサイトーシスは、アクセプタ細胞上で発現しているFcγ受容体(FcγR)に抗体のFc部分が結合することによって生じ得る。
「抗EGFR/c-Met抗体の媒介によるトロゴサイトーシス」とは、ドナー細胞膜のEGFR及び/又はc-Metに結合している抗EGFR/c-Met抗体によって媒介されるドナー細胞からアクセプタ細胞への細胞膜のEGFR及び/又はc-Met含有部分のトロゴサイトーシスを指す。
「閾値」とは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象の集団からの生体試料中で観察されたマクロファージ又は単球の約30パーセンタイル値以上である、マクロファージ又は単球のレベルを指す。
「アゴニスト」とは、細胞タンパク質に結合したとき、タンパク質の天然のリガンドによって誘導される少なくとも1つの反応又は活性を誘導する分子を指す。少なくとも1つの反応若しくは活性が、アゴニストの非存在下(例えば、陰性対照)において誘導される少なくとも1つの反応若しくは活性よりも少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く誘導されたとき、又はアゴニストの非存在下における誘導と比較して誘導が統計学的に有意であるとき、その分子はアゴニストである。
「アンタゴニスト」又は「阻害剤」とは、細胞タンパク質に結合したときに、タンパク質の天然のリガンドによって誘導される少なくとも1つの反応又は活性を抑制する分子を指す。少なくとも1つの反応若しくは活性が、アンタゴニストの非存在下(例えば、陰性対照)で抑制される少なくとも1つの反応若しくは活性よりも少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く抑制されたとき、又はアンタゴニストの非存在下における抑制と比較して抑制が統計的に有意であるとき、その分子はアンタゴニストである。
「PD-(L)1軸阻害剤」は、PD-1下流シグナル伝達を阻害する分子を指す。PD-(L)1軸阻害剤は、PD-1、PD-L1、又はPD-L2に結合する分子であってよい。
「生体試料」は、対象から単離された類似の流体、細胞、又は組織並びに、対象の体内に存在する流体、細胞、又は組織の集合体を指す。例示的な試料は、生物学的流体、例えば、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙液、糞便、喀痰、分泌組織及び器官の粘膜分泌液、膣分泌液、腹水、胸膜腔、心膜腔、腹膜腔、腹腔、及び他の体腔の流体、気管支洗浄によって回収された流体、滑液、対象又は生物学的起源、例えば、細胞又は器官の馴化培地を含む細胞及び器官の培養培地、洗浄液などと接触した液体溶液、組織生検材料、腫瘍組織生検材料、腫瘍組織試料、穿刺吸引、外科的に切除された組織、器官培養液又は細胞培養液である。
「低フコース」又は「低フコース含量」とは、本願で使用するとき、約1%~15%のフコース含量を有する抗体を指す。
「正常なフコース」又は「正常なフコース含量」とは、本明細書で使用するとき、約50%を超える、典型的には約80%を超える、又は85%を超えるフコース含量を有する抗体を指す。
本開示の方法
JNJ-61186372(JNJ-372)は、米国特許第9,593,164号に記載されているIgG1抗EGFR/c-Met二重特異性抗体である。以前の研究によって、JNJ-372は、3つの異なる機序:各受容体へのリガンドの結合を遮断することを介したリガンド誘導活性化の阻害、分解を介した受容体の不活化、並びにADCC及びADCPによるEGFR及びc-Met発現腫瘍のFcエフェクタの媒介による殺傷によって腫瘍の成長及び進行を阻害することが示された(Moores et al.,Cancer Research 76(13),2016.;2016年5月23日にオンラインで公開;DOI:10.1158/0008-5472)。
本発明は、JNJ-372 Fc相互作用がADCC及びADCPを媒介するだけでなく、EGFR/c-Metシグナル伝達のJNJ-372の媒介による阻害も増強すること、並びに単球又はマクロファージは、トロゴサイトーシスを通じたJNJ-372の媒介による抗腫瘍効果に十分かつ必要であるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づく。
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本明細書に開示される驚くべき結果に基づいて、患者の血液中の単球のレベルは、患者の腫瘍におけるマクロファージのレベルと正の相関を示し得ると予測することができ、このことからJNJ-372に対するより良好な応答を予測することができる。同様に、IHC又は免疫遺伝子シグネチャによりマクロファージのレベルが増加しているか又はFcγRI若しくはFcγRIIIaのレベルが増加している腫瘍組織試料は、より多くの免疫細胞相互作用を提供することによって、JNJ-372に対してより良好に応答すると予測することができる。また、本明細書に記載の結果に基づいて、JNJ-372と組み合わせて使用されるマクロファージ活性を強化する治療は、JNJ-372の全体的な有効性を増大させると予測することができる。例えば、GM-CSFによる治療は、循環単球の腫瘍関連マクロファージへの分化を駆動し、これによってJNJ-372の有効性が増加し得る。抗CD47療法による治療は、マクロファージの負の阻害を遮断し、それによって、マクロファージを活性化して、JNJ-372活性を強化することができる。同様に、PD-(L)1軸の阻害、HDACの阻害、又はCD11bの刺激は、腫瘍関連マクロファージの極性化をシフトさせることができ、その結果、マクロファージの活性がより高くなり、したがって、JNJ-372治療と相乗的に作用して腫瘍の殺傷を強化する。
この新規機序の同定は、血液又は腫瘍試料中の患者の相対的又は絶対的単球及び/又はマクロファージ量に基づく、JNJ-372に対してより応答し得る、治療の患者の選択と、JNJ-372と組み合わせてマクロファージ活性を強化する分子を使用する併用治療法との基準を提供する。
本開示は、EGFR又はc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、対象におけるマクロファージ活性を強化する薬剤と組み合わせて、治療的に有効な量の単離二重特異性上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象を診断及び治療する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象が、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有すると診断することと、抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された対象に、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、EGFR又はc-Met発現がんを有すると疑われるかか又は有する対象を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療する方法であって、対象が、閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定することと、閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定された対象に、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に対するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象の応答を予測する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象が応答者であると予測することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR又はc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、対象を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療することと、を含む方法も提供する。
本開示はまた、EGFR又はc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するかどうかを判定し、対象を治療するかどうかを判断する方法であって、対象からの生体試料を提供することと、生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが閾値よりも高いとき、EGFR若しくはc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断するか、又は生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが閾値よりも低いとき、EGFR若しくはc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断することと、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された二重特異性抗EGFR/c-Met抗体対象を投与するか、又は二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断された対象に二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与することを控えることと、を含む方法も提供する。
マクロファージ又は単球の「レベル」は、定性的(例えば、存在若しくは非存在)又は定量的(例えば、絶対細胞数、相対数、全細胞数からのパーセント(%)、若しくは視野内の陽性細胞%)であり得る。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球は、生体試料中に存在しない。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、健常対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の平均値を上回る。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約30パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約35パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約40パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約45パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約50パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約60パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約65パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約70パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約75パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約80パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約85パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約90パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約95パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、マクロファージ又は単球のレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料において観察されるマクロファージ又は単球の約100パーセンタイル値である。
EGFR又はc-Met発現がんを有する対象におけるマクロファージ又は単球のレベルを、健常対象からの生体試料におけるマクロファージ又は単球のレベルに対して比較してもよい。マクロファージ又は単球の増加したレベルは、例えば、健常対象からの生体試料中のマクロファージ又は単球のレベルと比較したとき、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、又は約10倍高いものであり得る。
マクロファージは、例えば、CD68、iNOS(誘導性一酸化窒素合成酵素)、及びCD163を、汎マクロファージ、M1マクロファージ、又はM2マクロファージのマーカーとしてそれぞれ使用し、陽性染色の領域の割合を評価し、非腫瘍組織と比較して、例えば、EGFR又はc-Met発現腫瘍を有する対象から得られた腫瘍組織生検材料から同定することができる(例えば、CD68の陽性染色の面積%が、腺がん、扁平上皮、又は大細胞がんでは非腫瘍に対して2倍増加したことが記載されている、Almatoodi et al.,Cancer Micreoenvironment 9:1-11,2016を参照されたい)。マクロファージは、例えば、免疫遺伝子シグネチャを使用して、EGFR又はc-Met発現腫瘍を有する対象から得られた腫瘍組織生検材料から同定することができる。
単球は、単球マーカーCD14を使用し、蛍光細胞選別を使用して、EGFR又はc-Met発現腫瘍を有する対象からの血液試料から同定することができる。
いくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料である。
いくつかの実施形態では、生体試料は、腫瘍組織生検材料である。
同様に、より多くの免疫細胞相互作用を提供することによってJNJ-372に対する患者の応答を予測するために、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルを使用してもよい。
いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、健常対象からの生体試料において観察されるFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの平均値を上回る。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約30パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約35パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約40パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約45パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約50パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約60パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約65パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約70パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約75パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約80パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約85パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約90パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約95パーセンタイル値である。いくつかの実施形態では、FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、EGFR又はc-Met陽性がんを有する対象からの生体試料中で観察されたFcγRI又はFcγRIIIaのレベルの約100パーセンタイル値である。
FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、腫瘍組織試料(新鮮凍結又はパラフィン包埋腫瘍組織切片などにおいて免疫組織化学的検査を用いて測定することができる。FcγRI又はFcγRIIIaのレベルは、顕微鏡視野内のFcγRI又はFcγRIIIa細胞率(%)として表すことができる。FcγRI又はFcγRIIIaのレベルはまた、免疫遺伝子シグネチャパネルの一部として又は個々の遺伝子として、腫瘍組織試料から単離されたRNAを使用して、遺伝子発現レベルで測定することもできる。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、
配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR3を含む、EGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、c-Metに結合する第2のドメインと、を含む。
いくつかの実施形態では、EGFRに結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。IgG1定常ドメイン内にはいくつかの多様性(例えば、周知のアロタイプ)が存在し、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU付番に従った残基の付番)に多様性を有する(例えば、IMGT Webリソース;IMGT Repertoire (IG and TR);Proteins and alleles;allotypesを参照されたい)。二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、GM-CSF、CD47アンタゴニスト、抗CD47抗体、HDAC阻害剤、PD-(L)1軸阻害剤、又はCD11bアゴニストである。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、GM-CSFである。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、抗CD47アンタゴニストである。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、抗CD47抗体である。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、HDAC阻害剤である。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、PD-(L)1軸阻害剤である。
いくつかの実施形態では、マクロファージ活性を強化する薬剤は、CD11bアゴニストである。
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、HDAC2阻害剤である。
例示的なCD47アンタゴニストは、CD47リガンド-Fc融合体、例えば、TTI621及び抗CD47抗体などのSIRPα-Fc融合体である。
例示的な抗CD47抗体は、国際公開第2016/081423号に開示されているHu5F9-G4、TI-061、TTI-622、AO-176、IBI-188、ALX-148、SRF-231、CC-90002、及び抗CD47抗体である。
例示的なHDAC阻害剤は、ボリノスタット、ロミデプシン、チダミド、パノビノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、アベキシノスタット、エンチノスタット、バフィデムスタット、GSK-2879552、リコリノスタット、イアダデムスタット、ドマチノスタット、レスミノスタット、AZD-9468、ナナチノスタット、CG-200745、モセチノスタット、INCB-59872、IMG-7289、チノスタムスチン、RDN-929、YM-753、HG-146、NBM-BMX、TAK-418、セクリデムシタット、CKD-504、CKD-506、CC-90011、KA-2507、及びシトリノスタットである。
例示的なPD-(L)1軸阻害剤は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペンブロリムマブ(KEYTRUDA(登録商標))、シンチリマブ、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、トリポリバマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、ドストラリマブ、ゲノリムズマブ、若しくはセトレリマブなどのPD-1に結合する抗体、又はPD-L1に結合する抗体であり、例えば、PD-1抗体は、エンバホリマブ、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))、及びアベルマブ(BAVENCIO(登録商標))である。
市販の抗体は、認可された販売業者又は薬局を介して購入することができる。低分子のアミノ酸配列構造は、CAS registryからの企業によるUSAN及び/又はINN寄託から見出すことができる。
いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、野生型EGFR、EGFR活性化変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met活性化変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する。
がんに関連し得る例示的なEGFR活性化変異としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのEGFRの少なくとも1つの生物活性を増加させる点変異、欠失変異、挿入変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。変異は、EGFR遺伝子又はEGFR遺伝子に関連する調節領域の任意の部分に位置し得、エキソン18、19、20、若しくは21における変異又はキナーゼドメインにおける変異が挙げられる。EGFR活性化変異の他の例は、当該技術分野において既知である(例えば、米国特許出願公開第2005/0272083号を参照されたい)。受容体ホモ及びヘテロ二量体、受容体リガンド、自己リン酸化部位、並びにErbBの媒介によるシグナル伝達に関与するシグナル伝達分子を含むEGFR及び他のErbB受容体に関する情報は、当該技術分野において既知である(例えば、Hynes and Lane,Nature Reviews Cancer 5:341-354,2005を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、L718Q、G719A、G719X(Xは、任意のアミノ酸である)、L861X(Xは、任意のアミノ酸である)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C797S、L858P、若しくはT790Mの置換、E746~A750の欠失、R748~P753の欠失、M766とA767との間へのAla(A)の挿入、S768とV769との間へのSer、Val、及びAla(SVA)の挿入、P772とH773との間へのAsn及びSer(NS)の挿入、D761とE762、A763とY764、Y764とY765、M766とA767、A767とV768、S768とV769、V769とD770、D770とN771、N771とP772、P772とH773、H773とV774、V774とC775との間への1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入、EGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の欠失又は1つ又は2つ以上の挿入である。
例示的なc-Met活性化変異としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのc-Metタンパク質の少なくとも1つの生物活性を増加させる点変異、欠失変異、挿入変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。変異は、c-Met遺伝子の任意の部分又はc-Metのキナーゼドメインにおける変異などの遺伝子に関連する制御領域に位置し得る。例示的なc-Met活性化変異は、残基位置N375、V13、V923、R175、V136、L229、S323、R988、S1058/T1010、及びE168における変異である。EGFR及びc-Metの変異又は遺伝子増幅を検出する方法は周知である。
いくつかの実施形態では、変異体KRASは、G12V、G12C、又はG12Aの置換を有する。
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現がんを有する。
いくつかの実施形態では、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現がんを有する対象は、1つ又は2つ以上のEGFRエキソン20変異を有する。エキソン20変異(1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して一般的に抵抗性である(例えば、国際公開第2018/094225号を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、対象は、以前の抗がん療法による治療に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している。
いくつかの実施形態では、以前の抗がん療法は、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤である。
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である。
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。
いくつかの実施形態では、対象は、EGFR阻害剤に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している。がんが抵抗性を獲得し得る例示的なEGFR阻害剤は、抗EGFR抗体であるセツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パンチヌムマブ(VECTIBIX(登録商標))、マツズマブ、ニモツズマブ、低分子EGFR阻害剤であるエルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、EKB-569(ペリチニブ、不可逆的EGFR TKI)、汎ErbB及び他の受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、ペリチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、バンデタニブ(ZD6474、ZACTIMA(商標)、EGFR、VEGFR2、及びRET TKI)、PF00299804(ダコミチニブ、不可逆的汎ErbB TKI)、CI-1033(不可逆的汎erbB TKI)、アファチニブ(BIBW2992、不可逆的汎ErbB TKI)、AV-412(二重EGFR及びErbB2阻害剤)、EXEL-7647(EGFR、ErbB2、GEVGR、及びEphB4阻害剤)、CO-1686(不可逆的変異体選択的EGFR TKI)、AZD9291(不可逆的変異体選択的EGFR TKI)、並びにHKI-272(ネラチニブ、不可逆的EGFR/ErbB2阻害剤)である。
様々な定性的及び/又は定量的な方法を用いて、対象が抗がん療法による治療に対して抵抗性であるかどうか、抵抗性を発現しているかどうか、又は抵抗性を発現しやすいかどうかを判定することができる。抗がん療法に対する抵抗性に関連し得る症状としては、患者の健康の低下若しくは定常状態、腫瘍サイズの増大、腫瘍の成長の低減の停止若しくは減速、及び/又は1つの位置から他の器官、組織、若しくは細胞への体内におけるがん性細胞の拡散が挙げられる。食欲低下、認知障害、うつ病、呼吸困難、疲労、ホルモン撹乱、好中球減少、疼痛、末梢神経障害、及び性機能不全などのがんに関連する様々な症状の再確立又は悪化も、対象が抗がん療法に対する抵抗性を発現しているか又は発現しやすいことの指標となり得る。がんに関連する症状は、がんの種類に応じて異なり得る。例えば、子宮頸部がんに関連する症状としては、異常出血、異常な激しい膣分泌物、通常の月経周期に関連しない骨盤痛、膀胱痛又は排尿中の疼痛、及び定期的な月経期間の間、性交、膣洗浄、又は内診後の出血を挙げることができる。肺癌に関連する症状としては、しつこい咳、喀血、息切れ、ぜーぜーする胸痛、食欲減退、意図しない体重減少、及び疲労を挙げることができる。肝がんの症状としては、食欲及び体重の減少、特に背部及び肩部に及び得る腹部の右上部分における腹痛、悪心及び嘔吐、全身の衰弱及び疲労、肝肥大、腹部膨潤(腹水)、並びに皮膚及び白眼の黄変(黄疸)を挙げることができる。腫瘍学の当業者であれば、特定の種類のがんに関連する症状を容易に特定することが可能である。
いくつかの実施形態では、EGFR及びc-Met発現がんは、上皮細胞がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺がん、小細胞肺がん、結腸直腸がん、肛門がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頚部がん、咽頭がん、鼻のがん、膵臓がん、皮膚がん、口腔がん、舌のがん、食道がん、膣がん、子宮頚がん、脾臓のがん、精巣がん、胃がん、胸腺のがん、結腸がん、甲状腺がん、肝臓がん、肝細胞がん(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞がん(PRCC)である。
いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、上皮細胞がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、乳がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、卵巣がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、肺がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、肺腺がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、結腸直腸がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、肛門がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、前立腺がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、腎臓がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、膀胱がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、頭頸部がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、咽頭がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、鼻のがんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、膵臓がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、皮膚がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、口腔がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、舌のがんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、食道がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、膣がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、子宮頸がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、脾臓のがんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、精巣がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、胃がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、胸腺のがんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、結腸がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、甲状腺がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、肝がんである。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、肝細胞がん(HCC)である。いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現がんは、散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞がん(PRCC)である。
いくつかの実施形態では、NSCLCは、扁平上皮がん、腺がん、及び大細胞がんを含む。いくつかの実施形態では、NSCLCの細胞は、上皮表現型を有する。いくつかの実施形態では、NSCLCは、1つ又は2つ以上のEGFR阻害剤による治療に対する抵抗性を獲得している。
NSCLCでは、EGFR遺伝子における特定の変異は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)に対する高い応答率(70~80%)に関連する。エキソン19における5つのアミノ酸欠失又はEGFRにおける点変異L858Rは、EGFR TKIの感度に関連している(Nakata and Gotoh,Expert Opin Ther Targets 16:771-781,2012)。これら変異は、EGFRキナーゼ活性のリガンド非依存性活性化をもたらす。EGFR変異の活性化は、NSCLC患者の10~30%において発生し、東アジア人、女性、喫煙未経験者、及び腺がんの組織学的所見を有する患者において有意により一般的である(Janne and Johnson Clin Cancer Res 12(14 Suppl):4416s-4420s,2006)。EGFR遺伝子増幅は、EGFR TKI治療後の応答にも強く相関する(Cappuzzo et al.,J Natl Cancer Inst 97:643-55,2005)。EGFRエキソン20挿入は、EGFR TKI抵抗性と関連している。
EGFR変異を有するNSCLC患者の大部分は、初期にはEGFR TKI療法に応答するが、事実上全てが、持続的応答を防止する抵抗性を獲得する。患者の50~60%は、EGFRのキナーゼドメインにおける第二部位点変異(T790M)に起因して抵抗を獲得する。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対して抵抗性となった全ての腫瘍のほぼ60%で、c-Met発現が増加する、c-Metが増幅する、又はその唯一の公知のリガンドであるHGFが増加する(Turke et al.,Cancer Cell,17:77-88,2010)。
いくつかの実施形態では、対象は、CD16の158位でフェニルアラニンについてホモ接合型であるか、又はCD16の158位でバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である。
CD16の158位におけるフェニルアラニンについてホモ接合型である対象は、FcγRIIIa-158F/F遺伝子型を有する。CD16の158位におけるバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である対象は、FcγRIIIa-158F/V遺伝子型を有する。CD16は、Fcガンマ受容体IIIa(FcγRIIIa)又は低親和性免疫グロブリンガンマFc領域受容体III-Aアイソフォームとしても知られている。FcγRIIIaタンパク質残基の158位におけるバリン/フェニルアラニン(V/F)多型性は、ヒトIgGに対するFcγRIIIa親和性に影響を及ぼすことが示されている。FcγRIIIaー158F/F又はFcγRIIIa-158F/V多型性を有する受容体は、FcγRIIIa-158V/Vと比較するとき、Fc結合の低減を示し、したがってADCCの低減を示す。ヒトN結合オリゴ糖状のフコースの欠如又は低量のフコースは、抗体のヒトFcγRIIIa(CD16)への結合の改善に起因して、抗体のADCCを誘発する能力を改善する(Shields et al.,J Biol Chem 277:26733~40、2002年)。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約10%の低フコース含量を有する。低フコース含量を有する二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、FcγRIIIa-158F/F又はFcγRIIIa-158F/V遺伝子型を有する患者の治療においてより有効であり得る。日常的方法を用いて、患者をFcγRIIIa多型性について分析することができる。
低フコース含量を有する抗体は、培養物の浸透圧の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64(:249-65,2012)、宿主細胞株としてのバリアントCHO株Lec13の適用(Shields et al.,J Biol Chem 277:26733-26740,2002)、宿主細胞株としてのバリアントCHO株EB66の適用(Olivier et al.,MAbs;2(4),2010;印刷に先立つ電子公開、PMID:20562582)、ラットハイブリドーマ細胞株YB2/0の宿主細胞株としての適用(Shinkawa et al.,J Biol Chem 278:3466-3473,2003)、α1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対して特異的な低分子干渉RNAの導入(Mori et al.,Biotechnol Bioeng 88:901-908,2004)、あるいはβ-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII及びゴルジα-マンノシダーゼII又は強力なα-マンノシダーゼI阻害物質のキフネンシンの共発現(Ferrara et al.,J Biol Chem281:5032-5036,2006、Ferrara et al.,Biotechnol Bioeng93:851-861,2006、Xhou et al.,Biotechnol Bioeng 99;652-65,2008)などの、二分岐複合型のFcオリゴ糖を有する比較的高度に脱フコシル化された抗体の効果的な発現につながることが報告されている様々な方法を用いて得ることができる。
いくつかの実施形態では、対象には、第3の抗がん療法が更に施される。
いくつかの実施形態では、第3の抗がん療法は、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤である。
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、c-Metの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER2の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER3の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER4の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、VEGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、又はAXLの阻害剤である。
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、バンデタニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、オシメルチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ラゼルチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ポジオチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、クリオチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、カボザンチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、カプマチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アキシチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、レンバチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ニンテダニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、レゴラフェニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、パゾパニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ソラフェニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、スニチニブである。
本開示の方法において二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて施され得る抗がん療法としては、化学療法薬又は当業者に既知の他の抗がん治療薬のうちの任意の1つ又は2つ以上が挙げられる。化学療法剤は、がんの治療に有用な化学化合物であり、増殖阻害剤又は他の細胞毒性剤を含み、アルキル化剤、抗代謝剤、抗微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤などが挙げられる。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))など;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパなど;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばアクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート及び5-FUなど;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;副腎皮質ホルモン合成阻害薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤(folic acid replenisher)、例えばフォリン酸(frolinic acid)など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2′,2″-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド又はタキサンファミリーのメンバー、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))及びその類似体;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(商標))、トセラニブ(PALLADIA(商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(商標))、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、レゴラフェニブ(BAY73-4506)、アキシチニブ(AG013736)、レスタウルチニブ(CEP-701)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(商標))、アファチニブ(BIBW 2992)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、ネラチニブ(HKI-272)などを含む受容体チロシンキナーゼ及び/又は血管新生の阻害剤、並びに上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。腫瘍に対するホルモン作用を制御又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含む抗エストロゲン薬など;並びに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;並びに上述のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体もまた、この定義に含まれる。Wiemann et al.,1985,Medical Oncology(Calabresi et aL,eds.),Chapter 10,McMillan Publishingに記載されているような他の一般的な細胞毒性化合物もまた、本発明の方法に適用可能である。
投与
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びマクロファージ活性化剤は、混合物で一緒に、単剤として同時に、又は任意の順序で単剤として逐次対象に投与され得る。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、マクロファージ活性化剤の投与前に投与される。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、マクロファージ活性化剤の投与後に投与される。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、マクロファージ活性化剤の投与と同時に投与される。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、第3の抗がん剤の投与前に投与される。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、第3の抗がん剤の投与後に投与される。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、第3の抗がん剤の投与と同時に投与される。
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びマクロファージ活性化剤又は第3の抗がん療法の投与間の時間の長さは、数分間、例えば、約1、2、5、10、30、若しくは660分間、又は数時間、例えば、約2、4、6、10、12、24、若しくは36時間、又は例えば、約2、4、7、14、21、28、35、42、49、56日間以上であり得る。
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びマクロファージ活性化剤又は第3の抗がん剤は、医薬的に許容される担体中で投与され得る。「担体」は、本発明の抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用して、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を製剤化してもよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらは、通常の周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。散剤カプセル剤、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。経口固形製剤は、糖などの物質でコーティングしてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶性コーティングしてもよい。非経口投与の場合、担体は、滅菌水を含み得、溶解度の上昇又は保存のために他の賦形剤を添加してもよい。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて製造してもよい。好適なビヒクル、及び他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691-1092に記載され、特にpp.958-989を参照されたい。
組成物は、生理学的条件を近似するために必要とされる医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤などを含有し得る。医薬製剤中の二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びマクロファージ活性化剤の濃度は、約0.5重量%未満から、通常少なくとも約1重量%まで、最大で15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、又は50重量%まで変動し得、また、選択される具体的な投与モードに従って、必要用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。固体形態を含む医薬組成物は、約0.1mg~約2000mg、例えば、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約500mg、約600mg、又は約1000mgの活性成分を含有し得る。
投与モードは、錠剤、カプセル剤、液剤、散剤、ゲル剤、粒子の製剤を用いた、宿主に抗体を送達する任意の好適な経路、例えば、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)であってもよく、シリンジ、埋込デバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに含まれていてもよく、又は当該技術分野において周知の、当業者によって認識される他の手段に含まれ得る製剤を用いた、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜投与(経口、鼻腔内、膣内、直腸)などの、抗体を宿主に送達する任意の好適な経路であり得る。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体の作製
本開示の方法において使用することができる例示的な抗EGFR/c-Met抗体は、JNJ-372である。JNJ-273は、以下のアミノ酸配列を特徴とする:
EGFR結合アーム
>配列番号1(HCDR1、EGFR結合アーム)
TYGMH
>配列番号2(HCDR2、EGFR結合アーム)
VIWDDGSYKYYGDSVKG
>配列番号3(HCDR3、EGFR結合アーム)
DGITMVRGVMKDYFDY
>配列番号4(LCDR1、EGFR結合アーム)
RASQDISSALV
>配列番号5(LCDR2、EGFR結合アーム)
DASSLES
>配列番号6(LCDR3、EGFR結合アーム)
QQFNSYPLT
>配列番号7(HCDR1、c-Met結合アーム)
SYGIS
>配列番号8(HCDR2、c-Met結合アーム)
WISAYNGYTNYAQKLQG
>配列番号9(HCDR3、c-Met結合アーム)
DLRGTNYFDY
>配列番号10(LCDR1、c-Met結合アーム)
RASQGISNWLA
>配列番号11(LCDR2、c-Met結合アーム)
AASSLLS
>配列番号12(LCDR3、c-Met結合アーム)
QQANSFPIT
>配列番号13(VH、EGFR結合アーム)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSS
>配列番号14(VL、EGFR結合アーム)
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIK
>配列番号15(VH、c-Met結合アーム)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSS
>配列番号16(VL、c-Met結合アーム)
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIK
>配列番号17 HC1
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>配列番号18 LC1
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
>配列番号19 HC2
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>配列番号20 LC2
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
米国特許第9,593,164号に記載のJNJ-372と比較したときに同様の特徴を示す限り、公的に入手可能な他の二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を本開示の方法において使用してもよい。本開示の方法において使用することができる二重特異性抗EGFR/c-Met抗体はまた、公的に入手可能なEGFR結合VH/VLドメイン及びc-Met結合VH/VLドメインを組み合わせ、得られた二重特異性抗体を、米国特許第9,593,164号に記載の特徴について試験することによっても作製することができる。
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、例えば、無細胞環境においてインビトロで、又は共発現を使用して、異なる特異性を有する2つの抗体半分子のヘテロ二量体を形成しやすくなるように各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することによって、2つの単一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して作製することができる。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうちの1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離-会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体形成よりヘテロ二量体形成を好むように改変されてもよい。得られる生成物は、それぞれ異なるエピトープ、すなわち、EGFRにおけるエピトープ及びc-Metにおけるエピトープに結合する2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。例えば、本発明の二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載の技術を使用して作製することができる。IgG1抗体の場合、一方の重鎖における変異F405L及び他方の重鎖におけるK409Rを使用することができる。IgG2抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG2及びIgG2抗体を使用してもよい。IgG4抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG4及びIgG4抗体を使用してもよい。二重特異性抗体を生成するために、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体を、Fc領域に前述の変異を有するように操作し、ヒンジ領域でシステインがジスルフィド結合異性化を受けることができる十分な還元条件下で、抗体を一緒にインキュベートし、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-mercaptoethylamine、2-MEA)、ジチオスレイトール(dithiothreitol、DTT)、ジチオエリスリトール(dithioerythritol、DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCEP)、L-システイン、及びβ-メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ノブ-イン-ホール(Genentech)、CrossMAb(Roche)及び静電的適合(electrostatically-matched)(Chugai,Amgen,NovoNordisk,Oncomed)、LUZ-Y(Genentech)、Strand Exchange Engineered Domain body(SEEDbody)(EMD Serono)、及びBiclonic(Merus)などの設計を使用して作製することもできる。
「ノブ-イン-ホール」戦略(例えば、国際公開第2006/028936号を参照されたい)において、ヒトIgGのCH3ドメインの界面を形成する選択アミノ酸は、ヘテロ二量体形成を促進するために、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置に変異を導入され得る。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換ペアは、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)。
Fabアーム交換のプロモータへの「ノブ-イン-ホール」戦略の利用に加えて、CrossMAb技術は、半アームのうちの1つにCH1/CLドメイン交換を利用して、得られる二重特異性抗体の正しい軽鎖の対合を保証する(例えば、米国特許第8,242,247号を参照されたい)。
他の交差法を使用して、二重特異性抗体の重鎖と軽鎖の間又は重鎖内で、一方又は両方のアームにおいて、可変又は定常、又は両ドメインを交換することによって、本発明の完全長二重特異性抗体を作製してもよい。これらの交換としては、例えば、国際特許公開第2009/080254号、同第2009/080251号、同第2009/018386号、及び同第2009/080252号に記載されるVH-CH1とVL-CL、VHとVL、CH3とCL、及びCH3とCH1が挙げられる。
他の戦略、例えば、あるCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進が、米国特許出願公開第2010/0015133号、同第2009/0182127号、同第2010/028637号、又は同第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の手法では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は米国特許出願公開第2013/0195849号に記載されているように、以下の置換:L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表す)により促進することができる。
SEEDbody技術を利用して、本発明の二重特異性抗体を作製してもよい。SEEDbodyは、それらの定常ドメインにおいて、米国特許出願公開第2007/0287170号に記載されるように、ヘテロダイマー化を促進するためにIgA残基で置換された選択IgG残基を有する。
変異は、通常、標準的な方法を使用して、抗体の定常ドメインなどの分子に対してDNAレベルで行われる。
次に、本発明を以下の特定の非限定的な実施例を参照して説明する。
材料及び方法
PBMC、並びにPBMCからのNK細胞及び単球の単離
末梢血単核細胞(PBMC)及び単離免疫細胞(NK細胞及び単球)は、Hemacareから購入した。PBMCは、IRBに同意した健常ヒトドナーからcGMP及びcGTP収集指針に従ってHemaCareのFDA登録コレクションセンターで収集されたleukopakから単離した。末梢血単核細胞(PBMC)は、密度勾配遠心分離により精製し、凍結保存フォーマットでHemaCareから購入し、使用するまで液体窒素中で保管した。
ドナーの一部については、同じドナーのleukopakからPBMC、NK細胞、及び単球を単離するためにleukopakを3つに分けた。CD56陰性選択を使用してNK細胞を単離し、CD14陰性選択を用いて単離した。単離されたNK細胞及び単球は、凍結保存フォーマットでHemaCareから購入し、使用するまで液体窒素中で保管した。
単球のM1、M2a、及びM2cマクロファージへの分化
単球(Hemacareから購入)を、10% FBSを補給したXVIVO 15培地で解凍し、組織培養処理されたT75フラスコにプレーティングした。0日目に、単球を50ng/mL M-CSF(カタログ番号216-MC-025/CF、R&D systemsから購入)を含む培地にプレーティングして、Moマクロファージを得た。M0マクロファージをM2aマクロファージに極性化させるために、5日目に、培地を50ng/mL M-CSF及び20ng/mL IL-4(カタログ番号204-IL-020/CF、R&D systemsから購入)及び20ng/mL IL-13(カタログ番号213-ILB-025/CF、R&D systemsから購入)と交換し、48時間インキュベートした。M0マクロファージをM2cマクロファージに極性化させるために、5日目に、培地を50ng/mL M-CSF及び20ng/mL IL-10(カタログ番号217-IL-025/CF、R&D systemsから購入)と交換し、48時間インキュベートした。M1マクロファージを得るために、6日目に、培地を50ng/mL M-CSF及び100ng/mL IFN-g(カタログ番号285-IF-100/CF、R&D systemsから購入)と交換し、24時間インキュベートした。次いで、極性化したM1、M2a、及びM2cマクロファージをAccutaseを使用してフラスコから取り出し、アッセイに利用した。
PBMCからのNK細胞及び単球の枯渇
STEMCELL Technologies製のEasySep Human CD56 Positive Selection kit II(カタログ番号17855)を使用してNK細胞の枯渇を実施し、STEMCell Technologies製のEasySep Human CD14 Positive Selection kit II(カタログ番号17858)を使用して、単球の枯渇を実施した。PBMC(Hemacareから購入)を、10% FBSを含むX-VIVO-15培地で解凍し、計数した。PBMC(枯渇当たり1000万個の細胞)を、1億細胞/mLの所望の濃度でEasySepバッファに再懸濁させた。NK細胞及び単球の枯渇は、製造業者のプロトコルに従って行った。簡潔に述べると、それぞれの抗体選択カクテル50μlを添加し、室温で10分間インキュベートした。磁性粒子を30秒間ボルテックスし、50μlをPBMC+抗体カクテルに添加した。これを室温で3分間インキュベートし、EasySepバッファを用いて2.5mLにした。次いで、チューブをEasySep Magnet(カタログ番号18000、STEMCell Technologies製)に入れ、3分間インキュベートした。次いで、上清を新しいチューブに注意深く移した。磁気分離工程を2回繰り返して、NK細胞が枯渇したPBMC及び単球が枯渇したPBMCを得た。フローサイトメトリー(以下に記載の通り)を使用して枯渇を確認し、次いで、これらのPBMCをSimple Westernアッセイに利用して、EGFR及びMetタンパク質レベルを検出した。
PBMC内の免疫細胞組成の決定
PBMC(Hemacareから購入)を、10% FBSを含むX-VIVO-15培地で解凍し、計数した。計数後、約300,000~400,000細胞/ウェルをプレーティングし(トリプリケート)、プレートを4℃において1500rpmで3分間スピンした。上清を廃棄し、細胞を150μl/ウェルのDPBSで洗浄した。プレートを上記の通り再度スピンして、ペレット化した。150μlのDMSOを生死染色の内容物に添加することによって、Near IR-Live/Dead stain(Life Technologies、カタログ番号L10119)の原液を作製した。次いで、50μlのストックを10mLのDPBSに添加することによって、作業液(working solution)を作製した。次に、50μLの作業液をプレートの各ウェルに添加し、再懸濁させた。プレートを暗所で(ホイルで被覆)室温で30分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、プレートを4℃及び1500rpmで5分間スピンした。次いで、150μl/ウェルを添加することによって、細胞をFACS/Stainバッファ(BD番号554657)バッファで洗浄した。マルチカラーフローサイトメトリーパネル用の抗体を、計算に従ってカクテルに調製し、25μl/ウェルを添加した。パネルで使用した抗体は、CD19(FITC)、CD56(BV711)、Cd11b(BUV395)、CD14(PE-cy7)、CD3(BV605)、CD4(BV785)、CD8(PerCP-cy5.5)、CD25(PE)、及びPD-1(APC)を含んでいた。プレートを暗所で室温で30分間インキュベートした。計算に従ってコンペンセーションビーズ及び上記パネルからの単一チャネル抗体を使用してコンペンセーションプレートを調製し、暗所で室温で30分間インキュベートした。全てのプレートを4℃において1500rpmで5分間スピンし、150μlのFACSバッファで2回洗浄した。アッセイプレートを、150μlのFACSバッファに、コンペンセーションプレートを200uLのFACSバッファに再懸濁させた。プレートをFortessa上で実行し、コンペンセーションビーズプレートからの単一チャネル制御値を使用して補正を設定した。次いで、アッセイプレートを、補正を適用して1.5μl/秒の流速で実行した。次いで、データをエクスポートし、FLOWJoで分析し、適切なゲーティングを行って、PBMC内の個々の免疫細胞集団のそれぞれの割合を得た。
増殖及びアポトーシスアッセイ
HCI-H1975細胞(本明細書ではH1975細胞とも呼ばれる)をATCCから入手し、10% Hi FBS、1×NEAA、1×ピルビン酸ナトリウムを補給したRPMI(Invitrogen、カタログ番号72400-047)中で培養した。Incucyteを使用した増殖及びアポトーシスアッセイでは、H1975細胞をIncucyte NucLight Redレンチウイルス試薬(カタログ番号4476、Essen Biosciences製)に感染させ、1μg/mlピューロマイシンで選択して、H1975 NucRed細胞を作製した。これらの細胞を、実験のために、10% HI FBS、1×NEAA、1×ピルビン酸ナトリウムを補給したRPMI-フェノールレッド不含培地にプレーティングした。
H1975-NucRed細胞をInvitrogen Cell Dissociation Buffer(トリプシンが細胞表面受容体/分子を分解するため)を用いて解離させ、計数した。細胞を1200rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。次いで、ペレットを、適切な体積のフェノールレッド不含培地に再懸濁させた。NucRed細胞(標的細胞)を、組織培養処理した黒色平底プレートの100μlのフェノールレッド培地中に12,500細胞/ウェルでプレーティングし、37℃及び5%COで一晩インキュベートした。翌日、10% FBSを含むX-VIVO-10培地でPBMC(HemaCareから購入)を解凍し、計数した。PBMCを50μl中125,000細胞/ウェルの濃度に希釈し、10:1のエフェクタ:標的(E:T)比を得た。Incucyte Annexin V Green試薬(カタログ番号4642、Essen Biosciencesから購入)を100μlの培地に再懸濁させ、100ウェル又は1枚の96ウェルプレートを染色するために使用した。希釈したアネキシン試薬をPBMC又は培地に添加した。50ulのPBMC/培地(アネキシンを含む)をアッセイプレートの適切なウェルに添加した。次いで、治療抗体を1:5で連続希釈し、計算に従って4×濃度で調製し、50μlLの所望の抗体をアッセイプレートの適切なウェルに添加した。次いで、アッセイプレートをIncucyte S3内の適切なスロットに入れ、スキャンする前に20分間Incucyte内で平衡化した。プレートを4枚の画像/ウェル/スキャンで4時間毎に120時間までスキャンして、標的細胞増殖及びアポトーシスを経時的に判定した。標的細胞(NucRed)の蛍光及びアネキシン(Green)の蛍光を、プロセス定義を使用して定量し、標的細胞の増殖を示す総NucRed H1975面積(μm2/ウェル)を計算した。標的細胞のアポトーシスを示す、総Green NucRed H1975面積(um2/ウェル)も計算した。この分析から、Graphpad Prismを使用して曲線下面積(AUC)を計算し、非線形用量応答曲線を作成した。
EGFR、c-Met、pEGFR、及びpMetタンパク質レベルを検出するためのSimple Western
H1975細胞及びSNU-5細胞をATCCから入手し、10% Hi FBS、1×NEAA、1×ピルビン酸ナトリウムを補給したRPMI(Invitrogen、カタログ番号72400-047)中で培養した。Cell Dissociation Bufferを用いてH1975細胞を解離させ、各細胞懸濁液を50mLのコニカルチューブに入れ、計数した。SNU-5(懸濁細胞株)を用いたアッセイでは、細胞懸濁液を50mLのコニカルチューブに移し、計数した。細胞を4℃において1300rpmで5分間ペレット化し、適切な体積のRPMI培地に再懸濁させた。標的細胞を、100,000細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートにプレーティングし、一晩インキュベートした。翌日、10% FBSを含むX-VIVO-15培地でPBMC(HemeCareから購入)を解凍し、計数した。PBMCを希釈し、1,000,000細胞/ウェルの濃度でプレーティングして、10:1のE:T比を得た。NK細胞、単球、又はマクロファージなどの個々の免疫細胞を使用した場合、これらを希釈し、500,000細胞/ウェルの濃度でプレーティングして、5:1のE:T比を得た。次いで、計算に従って2×濃度で治療抗体を調製し、1.5mLの所望の抗体をアッセイプレートの適切なウェルに添加した。プレートを48時間(大部分のアッセイに関して)又は様々な時点インキュベートした。
インキュベーション期間の最後に、100μlの新たに調製した溶解バッファを各ウェルに添加し、氷上で5分間インキュベートした。10mLのRIPAバッファ(ThermoFisher;カタログ番号89901)を、1錠のホスファターゼ阻害剤PhosSTOP(Sigma;カタログ番号4906837001)及び1錠のプロテアーゼ阻害剤cOmplete(商標)、Mini、EDTA不含プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma;カタログ番号04693159001)と共に使用して、溶解バッファを調製した。プレートスクレーパを使用して、溶解物を2mLのエッペンドルフチューブに移し、時折ボルテックスしながら氷上で30分間インキュベートした。溶解物を、4℃において13,200rpmで25分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。製造業者のプロトコルに従って、Pierce BCA Proteinアッセイキット(カタログ番号23227、ThermoFisherから入手)を使用して、溶解物のタンパク質濃度を求めた。Pierce Bovine Serum Albumin Standard Pre-Diluted標準(カタログ番号23208、ThermoFisherから入手)を使用して、アッセイの標準曲線を得た。簡潔に述べると、25μlの予め希釈した標準をトリプリケートで添加し、25μlの試料(1:5希釈)を96ウェル平底プレート上にデュープリケートで添加した。調製したBCA作業試薬を1ウェル当たり200ul添加した。プレートをプレートシェーカー上で1分間穏やかに混合し、ホイルで被覆して37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを室温で5分間冷ました後、SpectraMAX分光光度計を用いて562nmでタンパク質定量を測定した。
PeggySueを使用してキャピラリーベースの電気泳動を実施するために、いずれもProtein Simpleから購入した抗ウサギ検出モジュール(カタログ番号DM-001)及び抗マウス二次抗体(カタログ番号042-205)と共に、12~230kDa Peggy Sue Separationモジュール(カタログ番号SM-S001、Protein Simpleから購入)を単独で利用した。試料、抗体、及び試薬を調製し、製造業者のプロトコルに従ってキャピラリーベースの電気泳動を実施した。簡潔に述べると、2つの標準的なパックの構成要素を使用して、ビオチン化ラダー及び5×マスターミックスを調製した。タンパク質溶解物を、BCAタンパク質アッセイからの値を用いた計算に従って、0.1×試料バッファを用いて0.25mg/mLの濃度に希釈した。調製した溶解物4部を、1部の5×Fluorescent Master Mixと合わせて、最終濃度0.2mg/mLを得た。試料及びビオチン化アダー(adder)を、95℃で5分間PCRサーモサイクラーを用いて変性させた。アッセイに利用した一次抗体を、抗体希釈剤を用いて以下の通り希釈した:EGFR(カタログ番号2646、Cell Signaling Technologies製)、1:50;pEGFR(カタログ番号AF1095、R&D Systems製)、1:50;c-Met(カタログ番号3148、Cell Signaling Technologies製)、1:50;pMet(カタログ番号3077、Cell Signaling Technologies製)、1:50、及びローディング対照アクチン(カタログ番号4970、Cell Signaling Technologies製)、1:200又は(カタログ番号4947、Cell Signaling Technologies製)、1:100。ラダー、試料、一次及び二次抗体、分離及びスタッキングマトリックスを、プレートレイアウトに従って384ウェルのPeggy Sueプレートに添加した。プレートをRTにおいて2500rpmで5分間スピンした後、機械にロードした。このデータを、SWソフトウェアのためのCompassを用いて分析した。目的のタンパク質の分子量に基づいてピークを決定し、試料のそれぞれにおける各タンパク質について曲線下面積(AUC)を計算した。次いで、目的のタンパク質の密度測定値を、試料のそれぞれについてローディング対照アクチンに対して正規化し、次いで、未処理対照に対して正規化して、処理による相対変化を得た。
共焦点イメージングトロゴサイトーシスアッセイ
分化したマクロファージを収集し、一晩1,00,000細胞/ウェル(Perkin-Elmer;カタログ番号6055302)でCellCarrier96ウルトラプレートにプレーティングした。接着及び非接着の標的細胞を両方使用して、アッセイを実施した。接着標的細胞を用いたアッセイでは、H1975 NucLight Red細胞を20,000/ウェルでプレーティングし、4時間接着させ、次いで、4℃で1時間、標識Abカクテルで処理した。非接着標的細胞を用いたアッセイでは、標的細胞のみをAF647標識JNJ-372又は対照Abで染色した。全てのライブイメージング研究を5:1のE:T比で実施した。標識抗体カクテルは、抗CD11b(BD Pharmingen;カタログ番号557701)、抗CD14(BD Pharmingen;カタログ番号562689)、及び1:8000 Hoechst33342(Biotium;カタログ番号40046)で構成されていた。60×水浸漬対物レンズを使用して、Perkin-Elmer Phenix Operaにおいて11分間隔で画像を得、Columbusを使用して分析した。
ADCCアッセイ
10%加熱不活性化FBS(GIBCO、カタログ番号16140)を補給した)VIVO 10培地(Lonza、カタログ番号04-380Q)でアッセイの1日前にPBMCを解凍し、標準的なインキュベーション条件(37℃、5%CO、湿度95%)下で一晩静置した。アッセイ日に、NCI-H1975標的細胞にDELFIA BATDA試薬(PerkinElmer Inc.、カタログ番号C136-100)を30分間ロードし、3回洗浄し、RPMI培地に再懸濁させた。PBMC及びBATDAをロードした標的細胞を、漸増濃度の試験抗体と共に、エフェクタの標的細胞比に対する比25:1で96ウェルU底プレートに添加した。RPMI培地又は2%Triton X-100(EMD Millipore、カタログ番号648463)を含有するRPMI培地を、それぞれ自然及び最大TDA放出の測定のために対照ウェルに添加した。プレートを2時間インキュベートした後、20uLの上清を取り出し、200μlのDELPHIA Europium溶液(Perkin Elmer、カタログ番号C135-100)と合わせた。RTで15分間インキュベートした後、EnVision 2104 Multilabel Plate Reader(PerkinElmer、カタログ番号2104-0010)を使用して、相対蛍光単位(RFU)を測定した。溶解率を、(実験放出-自然放出)/(最大放出-自然放出)×100として計算した。
単球のM1、M2a、及びM2cマクロファージへの分化
単球(Hemacare)をXVIVO-15培地で解凍し、50ng/mLのM-CSF(R&D systems;カタログ番号216-MC-025/CF)で6日間分化させて、M0マクロファージを得た。M1マクロファージを得るために、5日目に、M0マクロファージを50ng/mL M-CSF及び100ng/mL IFN-γ(R&D systems;カタログ番号285-IF-100/CF)で48時間極性化させた。M2マクロファージを得るために、5日目に、M0マクロファージを、M2aについては20ng/mL IL-4(R&D systems;カタログ番号204-IL-020/CF)及びIL-13(R&D systems;カタログ番号213-ILB-025/CF)又はM2cマクロファージについては、20ng/mL IL-10(R&D systems;カタログ番号217-IL-025/CF)で48時間極性化させた。
インビボ試験
6~8週齢の雌BALB/cヌードマウス(CAnN.Cg-Foxn1nu/Crl、Charles River Laboratories(Wilmington,MA))にH1975細胞株を皮下移植した。腫瘍が平均72±8.7mmになったとき、マクロファージの枯渇を促進するために化合物投与開始の5日前に開始して、研究期間にわたって週3回抗mCSF-1R抗体(400μg/マウス)を腹腔内投与した。5日目(平均腫瘍体積=102±36.6mm)に、10mg/kgアイソタイプ対照Ab、JNJ-372、又はEGFR/cMet IgG2σ Abの腹腔内投与によって週2回処理した。腫瘍をサンプリングして、化合物の2回投与後にマクロファージ浸潤をモニタリングした。SNU5腫瘍モデル試験では、7~8週齢の雌CB17/SCIDマウス(HFK Bio-Technology Co.Ltd.(Beijing,China))にSNU5細胞を皮下移植した。腫瘍が平均155±21.4mmになったとき、マウスを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、JNJ-372(5mg/kg)、又はEGFR-cMet IgG2σ抗体(5mg/kg)で3週間にわたって週2回腹腔内処理した。両研究について、腫瘍測定値及び体重を週2回記録した。計算[1-(T/C)]×100を使用して、>80%の対照マウスが研究にとどまっている最後の日に腫瘍成長阻害(TGI)を計算した。全てのインビボ実験は、Johnson and Johnson Institutional Animal Care and Use Committee及びthe Guide for Care and Use of Laboratory Animalsに従って行われた。
腫瘍関連マクロファージのフローサイトメトリーベースの判定
腫瘍をマウスから摘出し、計量し、2~4mmの切片を作製し、2.5mLのRPMIを含有するC-チューブ(Miltenyi、カタログ番号130-093-237)に入れ、氷上で維持した。製造業者の指示に従って、Human Tumor Dissociation Kit(Miltenyi、カタログ番号130-095-929)に含まれている凍結乾燥酵素を再構成し、2×酵素カクテルを調製し、製造プロトコル「h_tumor_01」を用いてGentleMACS Octo Dissociator(Miltenyi、カタログ番号130-095-937)で腫瘍を解離させ、続いて、37℃で30分間のインキュベートを2ラウンド行った。解離した細胞をFACS Stain Buffer(BD Pharmingen、カタログ番号554657)で2回洗浄し、Falcon 40μmセルストレイナー(Corning、カタログ番号352340)に通した。細胞を、FACSバッファで1:1000に希釈したGolgiPlug(BD、カタログ番号555029)中でインキュベートし、37℃で3時間インキュベートし、2回洗浄し、100μLの抗体染色カクテルに再懸濁させた。抗体カクテルは、抗CD45(カタログ番号103138)、抗F4/80(カタログ番号123137)、抗Ly6G(カタログ番号127639)、抗MHCII(カタログ番号107612)、抗EpCAM(カタログ番号324214)、抗PD1(カタログ番号135231)、抗PD-L1(カタログ番号393606)、抗CD206(カタログ番号141729)(BioLegend製)、抗CD11b(カタログ番号563553)及び抗Ly6C(カタログ番号561237)(Becton-Dickinson製)、抗iNOS(カタログ番号25-5920-82)及びFixable Live/Dead stain(カタログ番号L10119)(Invitrogen製)からなっていた。細胞を、光から保護して、外部細胞表面マーカー抗体と共に4℃で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄し、Fixable Live/Dead stainを含有するPBSに再懸濁させ、4℃で30分間インキュベートし、FACSバッファ(BD Pharmingen;カタログ番号554657)で2回洗浄した。製造業者の指示に従って細胞を固定/透過処理し(Invitrogen、カタログ番号88-8824-00)、内部標的抗体と共に4℃で30分間インキュベートし、FACSバッファで2回洗浄し、BD LSR Fortessaで分析するために200μLに再懸濁させた。UltraComp Beads(抗体の場合;Invitrogen、カタログ番号01-2222-42)及びArC Amine Reactiveビーズ(Fixable Live/Deadの場合;Invitrogen、カタログ番号A10346)を用いて補正を実施した。FMO対照を全てのマーカーについて行った。腫瘍関連マクロファージ枯渇を判定するために、マクロファージをCD45CD11bLy6CLy6GF4/80として定義した。
MSDマルチプレックスアッセイ及び統計分析
PBMC、NK細胞、及び単球実験については、NCI-H1975細胞を96ウェルプレートにプレーティングし、37℃及び5%COで一晩インキュベートした。翌日、PBMC、単球、又はNK細胞を、それぞれ10:1、5:1、及び5:1の比で添加した。マクロファージ実験については、単球を前述のように分化させ、StemPro Acutase(Gibco、カタログ番号A11105-01)を使用して解離させ、96ウェルプレートにプレーティングし、37℃及び5%COで一晩インキュベートした。翌日、NCI-H1975細胞を5:1のE:T比で添加した。様々な濃度のアイソタイプ対照、JNJ-61186372、又はIgG2シグマで細胞を処理し、37℃及び5%COで4時間、24時間、48時間、及び/又は72時間インキュベートした。指定の時間で、プレートを室温で1200rpmで10分間スピンした。上清を除去し、製造業者の指示書に従って、それぞれのサイトカインアッセイについてMesoScale Discovery(MSD)U-plex及びV-plexフォーマットを使用して評価した。簡潔に述べると、U-plexプレートについては、アッセイの前日に、製造業者のプロトコルに従って抗体及びリンカーでプレートをコーティングし、4℃で一晩オービタルシェイカー上でインキュベートした。実験日、U-plex又はV-plexプレートをMSD洗浄バッファ及び上清で3回洗浄し、標準及び較正物質をプレートに加え、製造業者のプロトコルに従って実行した。プレートをMSD Sector機器で読み取り、GTS Spotfireを使用して分析して、標準曲線を使用して各サイトカインについての計算レベル(pg/ml)を得た。
計算された濃度から、応答の大きさを比較するために、各処理、細胞型、及びインキュベーション時間ごとに台形法によって曲線下面積(AUC)を計算した。観察された値が検出下限未満である場合、応答データを除外し、8つの投与濃度の少なくとも6つの有効な観察結果が存在していた場合のみ、AUCを計算した。次いで、全てのサイトカイン及び条件にわたって、データの有効性(データなし、十分なデータではない、又は計算可能なAUCデータ)を示すために使用して、ヒートマップを作成した。次いで、インキュベーション時間によって使用して、対数変換したAUCのヒートマップを作成し、H1975+PBMC細胞型において少なくとも1つの測定可能なAUCを有するサイトカインに限定した。全てのヒートマップは、統計ソフトウェアRバージョン3.5.0におけるパッケージハートマップ.2を使用して作成した(R Core Team 2018;R:A language and environment for statistical computing;http://www.R-project.org/)。最後に、アイソタイプと比較したJNJ-372及びIgG2σ処理の相対変化を各条件で計算し、Graphpad Prismを使用して棒グラフ又は用量曲線を作成した。
実施例1.腫瘍細胞に対するJNJ-372の媒介による抗増殖及びアポトーシス効果は、免疫細胞とのFc相互作用によって駆動される
JNJ-372の3つの抗腫瘍機序に対するFc相互作用の効果を評価するために、標準的なクローニング方法を使用して、FcエフェクタサイレントIgG2シグマ(野生型IgG2と比較してV234A G237A P238S H268A V309L A330S P331S変異を含むIgG2シグマ)でJNJ-372野生型IgG1を置換することによって、JNJ-372を遺伝子操作してFcエフェクタサイレント分子にした(JNJ-372.IgG2シグマ)。遺伝子操作を受けたエフェクタサイレント抗体は、JNJ-372.IgG2シグマ(又はいくつかの図ではIgG2s)と呼ばれる。JNJ-372は、FcγRIII/CD16及びADCCへの結合を強化するために、低濃度(<9%)のフコースを組み込んだ細胞株で産生される。したがって、別の対照として、JNJ-372は、正常なフコースレベルを組み込んだCHO細胞においても発現し、この分子は、JNJ-372.NF(NF:正常フコース)と呼ばれる。NCI-H1975細胞(ATCCカタログ番号CRL-5908)を用いて腫瘍細胞殺傷を評価し;細胞株は、変異体L858R/T790M EGFR及び野生型c-Metを発現する。
NCI-H1975 NucLight Red発現細胞をアイソタイプ対照、JNJ-372、JNJ-372.IgG2s、又はJNJ-372.NFで処理し、10:1のエフェクタ:標的比においてPBMCの存在下又は非存在下で培養し、共培養の開始後5日間にわたってNCI-H1975細胞の増殖を評価した。PBMCの存在は、用量依存的に経時的に腫瘍細胞増殖を阻害するJNJ-372の能力を強化したが(図1)、JNJ-372は、試験した濃度ではPBMCの非存在下において増殖を阻害しなかった(図2)。
PBMCに対するFc係合が効果に関与していることを確認するために、H1975 NucLight Red発現細胞をJNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、及びJNJ-372.NFで処理し、10:1のE:T比でPBMCの存在下又は非存在下において4、24、48、72、又は96時間培養し、その後、H1975細胞の増殖及びアポトーシスを評価した。PBMCの存在は、24、48、72、及び96時間でJNJ-372により誘導される用量依存的抗増殖効果及び用量依存的アポトーシス(アネキシン陽性により測定)を強化した。アイソタイプ又はJNJ-372.IgG2シグマでは効果が全く又は最小限しかみられなかった。図3は、72時間培養した後のPBMCの存在下又は非存在下における、アイソタイプ対照、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はJNJ-372.NFの媒介によるH1975細胞増殖の阻害の用量応答を示す。図4は、48時間培養した後のPBMCの存在下又は非存在下における、アイソタイプ対照、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はJNJ-372.NFの媒介によるアポトーシスの用量応答を示す。JNJ-372.NFは、JNJ-372と比較したときに増殖(図3)及びアポトーシス(図4)に対して部分的な効果を有しており、これは、FcγRIIIが役割を果たしているが、Fc相互作用の媒介による効果を完全に説明するものではないことを示唆している。
アッセイでは、10:1のエフェクタ:標的比で7人の異なるドナーからのPBMCを使用した。6人のドナーについての、NCI-H1975増殖アッセイにおけるIC50値及び最大殺傷%を表1に示す。1人のドナーからのPBMCは効果を有していなかった。異なるドナーから得られたPBMC全体にわたって、IC50及び最大殺傷%のばらつきが観察された。
Figure 2022521610000002
実施例2.EGFR変異体腫瘍細胞株におけるEGFR及びc-Metタンパク質並びにこれらの下流シグナル伝達のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションは、免疫細胞とのFc相互作用によって媒介される
免疫細胞(PBMC)の存在は、EGFR及びc-Metタンパク質のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーション並びにこれらのリン酸化の阻害を増強した。
NCI-H1975細胞を10μg/mLアイソタイプ又はJNJ-372で処理し、1人のドナーからのPBMCの存在下又は非存在下において10:1のE:T比で4、24、48、又は72時間培養し、EGFR、c-Met、及びpEGFR(pY1173)の量を測定した。アクチンをローディングコントロールとして用いた。PBMCの存在は、試験した全ての時点において、EGFR、c-Met、及びpEGFR(pY1173)のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションを増強した。図5は、図に示す通り、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養した試料中のEGFR及びc-Metタンパク質並びにpEGFRを示す、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図6は、各試料中のEGFRの相対量を示す。図7は、各試料中のpEGFR pY1173の相対量を示す。図8は、各試料におけるc-Metの相対量を示す。試料を、各試料中に存在するローディング対照アクチンの量に対して正規化し、次いで、対照(未処理)試料に対して正規化した。
7人のドナーからのPBMCを、EGFR及びc-Metタンパク質レベル並びにpEGFRのJNJ-372の媒介による阻害を増強する能力について試験した。ドナーPBMC間でばらつきが観察された。ドナー1、3、4、及び6からのPBMCは、JNJ-372の媒介による効果を増強するのに最も強力であった。図9は、図に示す通り、7人の異なるドナーからのPBMCの存在下又は非存在下で培養した、アイソタイプ対照又はJNJ-372で処理した試料中のEGFR及びc-Metタンパク質並びにpEGFRを示す、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図10は、各試料中のEGFRの相対量を示す。図11は、各試料中のpEGFR pY1173の相対量を示す。図12は、各試料におけるc-Metの相対量を示す。試料を、各試料中に存在するローディング対照アクチンの量に対して正規化し、次いで、対照(未処理)試料に対して正規化した。
実施例3.単球又はマクロファージの存在は、EGFR及びc-Metシグナル伝達に対するJNJ-372の阻害効果のFcの媒介による増強に十分かつ必要である
EGFR及びc-Metシグナル伝達をダウンレギュレーションするJNJ-372の能力を増強する様々なPBMC試料の能力のばらつきを理解するために、マルチカラーフローサイトメトリーを使用して、実施例2で使用した7人の異なるドナーからのPBMC内の免疫細胞の組成を評価した。個々の免疫細胞の割合において、ドナー間でばらつきが検出された(データは図示せず)。7人のドナーのそれぞれにおける個々の免疫細胞の割合と、EGFR/pEGFR/Metのダウンレギュレーションを媒介する各ドナーPBMCの能力との相関を行った。NK細胞、B細胞、又はT細胞と、EGFR、pEGFR、又はc-Metのダウンモジュレーションを増強するPBMCの能力との間に相関は観察されなかった(データは示さず)。しかしながら、PBMC中の単球%とEGFRタンパク質レベルのダウンモジュレーションを増強するPBMCの能力との間(図13)、PBMC中の単球%とpEGFRのダウンモジュレーションを増強するPBMCの能力との間(図14)、及びPBMC中の単球%とc-Metタンパク質レベルのダウンモジュレーションを増強するPBMCの能力との間(図15)には、正の相関が同定された。これは、JNJ-372の媒介によるシグナルダウンレギュレーションには、PBMCにおける単球率がより高い必要があることを示唆した。
1人のドナーからのPBMCからNK細胞又は単球を枯渇させ、EGFR及びc-Met経路のJNJ-372の媒介によるダウンモジュレーションに対するNK又は単球枯渇PBMCの効果を評価した。H1975細胞を10μg/mLアイソタイプ対照又はJNJ-372で処理し、1人のドナーから得られたNK細胞枯渇PBMC又は単球枯渇PBMCの存在下又は非存在下において、10:1のE:T比で48時間培養した。以前の結果と一致して、PBMCの存在は、H1975細胞株におけるEGFR、pEGFR、及びc-MetのJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションを強化した。NK細胞のみを枯渇させてもわずかな影響しかなかったが、PBMCから単球を枯渇させると、JNJ-372の媒介によるシグナルのダウンモジュレーションを増強するPBMCの能力が有意に回復した。図16は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図17は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975中のEGFRの相対量を示す。図18は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975中のpEGFR(pY1173)の相対量を示す。図19は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのNK細胞枯渇PBMC又は単球(モノ)枯渇PBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975中のc-Metの相対量を示す。試料を、各試料中に存在するローディング対照アクチンの量に対して正規化し、次いで、対照(未処理)試料に対して正規化した。
骨髄コンパートメントの役割を更に評価するために、JNJ-372 Fc相互作用によって駆動されるEGFR/c-Metダウンレギュレーションに対する、1人のPBMCドナーから単離された単球又はM1マクロファージの効果を評価した。任意の潜在的な差動効果を評価するために、M-CSF及びGM-CSFを用いて2つの方法で単球を分化させることによって、M1マクロファージを得た。H1975細胞を10μg/mLアイソタイプ、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマで処理し、10:1(PBMCの場合)又は5:1(個々の免疫細胞(単球、NK細胞、MCSF M1、又はGMCSF M1マクロファージの場合)のE:T比で、1人のドナーからのPBMCの存在下又は非存在下において48時間培養した。PBMCの存在は、EGFR、pEGFR、及びc-Metタンパク質のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションを強化した。NK細胞は有意な効果を有していなかったが、同じPBMCドナーから単離された単球又はM1マクロファージ(M-CSF又はGM-CSFによって分化)は、JNJ-372の媒介によるシグナルダウンモジュレーションの能力を著しく強化した。これは、骨髄細胞系列が、Fc相互作用、及びJNJ-372シグナルダウンレギュレーションにおけるPBMCの媒介による強化にとって十分であることを示唆した。図20は、図に示す通り、同じドナーからのPBMC、単離単球、単離NK細胞、MCSF分化M1マクロファージ、又はGMCSF分化M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図21は、図に示す通り同じドナーから単離したPBMC、NK細胞、単球、MCSF M1マクロファージ、又はGMCSF M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のEGFRの相対量を示す。図22は、図に示す通り、同じドナーから単離したPBMC、NK細胞、単球、MCSF M1マクロファージ、又はGMCSF M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のpEGFR(pY1173)の相対量を示す。図23は、図に示す通り、同じドナーから単離したPBMC、NK細胞、単球、MCSF M1マクロファージ、又はGMCSF M1マクロファージの存在下又は非存在下で48時間、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理したNCI-H1975細胞中のc-Metの相対量を示す。試料を、各試料中に存在するローディング対照アクチンの量に対して正規化し、次いで、対照(未処理)試料に対して正規化した。
その後、JNJ-372 Fc相互作用によって駆動されるEGFR/c-Metダウンレギュレーションにおける様々なマクロファージサブタイプの効果を評価した。1人のドナー由来の単球をM1、M2a、及びM2cマクロファージに分化させ、JNJ-372の媒介によるEGFR/c-Metダウンモジュレーションを増強する能力を評価した。H1975細胞を10μg/mLアイソタイプ対照、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマで処理し、1人のドナーからの単球を分化させることによって得られたM1、M2a、及びM2cマクロファージの存在下又は非存在下において、5:1のE:T比で48時間培養した。M1、M2a、及びM2cの存在は全て、EGFR、pEGFR、及びc-Metタンパク質のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションを著しく強化した。図24は、図に示す通り、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理し、M1マクロファージ(M1)又はM2aマクロファージ(M2a)の存在下で培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図25は、図に示す通り、JNJ-372、JNJ-372.IgG2シグマ、又はアイソタイプ対照で処理し、M2cマクロファージ(M2c)の存在下又は非存在下で48時間培養したNCI-H1975細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRレベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。
実施例4.EGFR及びc-Metタンパク質並びにこれらの下流シグナル伝達のJNJ-372の媒介によるダウンレギュレーションは、c-Met増幅腫瘍細胞株におけるFc相互作用によって媒介される
SNU-5細胞(c-Met増幅細胞株)を、10μg/mL JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、1人のドナーからのPBMCの存在下又は非存在下において、10:1のE:T比で48時間培養した。PBMCの添加は、JNJ-372がEGFR、pEGFR、c-Met、及びp-Metをダウンレギュレーションする能力を増強した。図26は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養したSNU-5細胞中のEGFR、c-Met、及びpEGFRタンパク質レベルを検出する、キャピラリーベースの電気泳動(PeggySueを用いたSimple Western)からの画像を示す。図27は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養したSNU-5細胞中のEGFRの相対量を示す。図28は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養したSNU-5細胞中のpEGFR(pY1173)の相対量を示す。図29は、図に示す通り、JNJ-372、アイソタイプ対照、又はPBMCの存在下又は非存在下で48時間培養したSNU-5細胞培養試料中のc-Metの相対量を示す。図30は、図に示す通り、JNJ-372又はアイソタイプ対照で処理し、PBMCの存在下又は非存在下で培養したSNU-5細胞中のpMet(pY1234/1235)の相対量を示す。試料を、各試料中に存在するローディング対照アクチンの量に対して正規化し、次いで、対照(未処理)試料に対して正規化した。
実施例5.インビボにおけるFcγRの媒介による腫瘍増殖阻害とのJNJ-372 Fc相互作用
次いで、H1975及びSNU5細胞株異種移植モデルを使用して、Fc/FcγR相互作用の役割及び関連性をインビボで評価した。
6~8週齢の雌BALB/cヌードマウス(CAnN.Cg-Foxn1nu/Crl、Charles River Laboratories(Wilmington,MA))にNCI-H1975細胞株を皮下移植した。腫瘍が平均72±8.7mmになったとき、マクロファージの枯渇を促進するために化合物投与開始の5日前に開始して、研究期間にわたって週3回抗mCSF-1R抗体(400μg/マウス)を腹腔内投与した。5日目、腫瘍が平均102±36.6mmになったとき、アイソタイプ対照Ab(10mg/kg)、JNJ-372(10mg/kg)、又はJNJ-372.IgG2シグマ(10mg/kg)の腹腔内投与によって週2回処理した。マウスのコホートから腫瘍をサンプリングして、化合物の2回投与後にマクロファージ浸潤をモニタリングした。7~8週齢の雌CB17/SCIDマウス(HFK Bio-Technology Co.Ltd.(Beijing,China))にSNU5細胞株を皮下移植した。腫瘍が平均155±21.4mmになったとき、マウスを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、JNJ-372(5mg/kg)、又はJNJ-372.IgG2シグマ(5mg/kg)で3週間にわたって週2回腹腔内処理した。各研究の期間にわたって、両研究について、腫瘍測定値及び体重を週2回記録した。計算[1-(T/C)]×100を使用して、>80%の対照マウスが研究にとどまっている最後の日に腫瘍成長阻害(TGI)を計算した。全てのインビボ実験は、Johnson and Johnson Institutional Animal Care and Use Committee及びthe Guide for Care and Use of Laboratory Animalsに従って行われた。
H1975モデルでは、JNJ-372処理の結果、アイソタイプ対照と比較してが75%の腫瘍増殖阻害(TGI)がもたらされた(図31)。しかしながら、JNJ-372.IgG2シグマはかなり効果が低く、TGIはわずか30%であった(図31)。同様に、JNJ-372処理は、MET増幅SNU5モデルにおける腫瘍成長の低減に非常に有効であり、TGIは96%であったが、JNJ-372.IgG2シグマ処理は無効であった(TGIは-17%)(図32)。これらの腫瘍モデルのいずれにおいても抗体処理によるマウス体重に対する効果はみられなかった(図32)。
実施例6.Fc相互作用は、NK細胞の媒介によるADCCを誘導したが、CDCは誘導しなかった
様々なFcエフェクタ機能を誘導するJNJ-372の能力について調べた。7人の異なるドナーからのPBMCの存在下でユーロピウム放出アッセイを使用して、JNJ-372の誘導によるADCCを測定した。抗体の媒介によるH1975細胞溶解は、ドナー間でばらついており、一部のドナーは約60~70%のADCC活性を示したが、他のドナーは測定可能なADCC活性を有していなかった(データは示さず)。Fc/FcγR係合の寄与を評価するために、2人のドナーからのPBMCの存在下で、アイソタイプ対照、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマでH1975細胞を処理した。JNJ-372は用量依存性ADCCを誘導したが、アイソタイプ対照でもJNJ-372.IgG2シグマ処理でも細胞死は観察されなかった(データは示さず)。JNJ-372の誘導によるADCCに関与するPBMC内の免疫細胞サブタイプを決定するために、同じドナーからの単離NK細胞又は単離単球に対する、PBMCの存在下で惹起されたADCC溶解を評価した。PBMC及びNK細胞はいずれもJNJ-372依存性ADCC溶解を誘導したが、単離単球は誘導せず(図33)、これは、NK細胞がJNJ-372の誘導によるADCC活性に関与していることを示す。JNJ-372又はJNJ-372.IgG2シグマでは、H1975及びH292 NSCLC細胞株に向かう測定可能なCDC活性は観察されず(データは示さず)、これは、JNJ-372がこれらのNSCLC細胞株に対してCDCを誘導しないことを示唆している。
実施例7.インビボにおけるJNJ-372の媒介による腫瘍細胞殺傷に対するマクロファージの効果
インビボでのマクロファージの役割を調べるために、抗CSF1R抗体を用いてH1975異種移植腫瘍を保有しているマウスにおいて腫瘍関連マクロファージを枯渇させ、JNJ-372の有効性を測定した。抗CSF1R抗体による処理は、未処理と比較してTAMの有意な減少を示し(**、p<0.002)、マクロファージは11~15%から約2%に枯渇した(図34)。次いで、3週間にわたってアイソタイプ対照、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマで動物を処理したが、いずれの群においてもマウスの体重減少は観察されなかった(データは示さず)。既に示した通り、JNJ-372による処理は、非CSF1R抗体で処理された腫瘍におけるアイソタイプ対照(***、p<0.0001)又はJNJ-372.IgG2シグマ処理(**、p=0.004)と比較して有意に高い抗腫瘍有効性を示した(図35)。際立ったことに、腫瘍関連マクロファージ(抗CS1R処理)の枯渇は、TGIを72.8%から38.5%に有意に減少させ(***、p<0.0001)(図35)、これは、インビボでのJNJ-372の抗腫瘍有効性の媒介においてマクロファージが重要な役割を果たすことを示唆している。
これらの結果は、マクロファージがインビボでの抗腫瘍有効性に不可欠であることを実証した。
実施例8.免疫細胞とのJNJ-372 Fc相互作用は、抗体依存性サイトカイン及びケモカイン放出(ADCR)を誘導する
治療抗体のFc領域と免疫細胞上のFcγRとの相互作用は、ケモカイン及びサイトカイン(ADCR)の分泌を誘導することが知られている(Kinder et al.,mAbs 7:494-504,2015)。71-plex MSDサイトカインパネルを利用して、PBMCの非存在の存在下において4又は72時間、アイソタイプ対照、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマで処理した際に分泌されたケモカイン及びサイトカインを評価した。処理及び時点依存的に、いくつかの分泌されたサイトカインにおいて特徴的な違いが観察され;試験した71種のサイトカインのうちの32種及び71種サイトカインのうちの42種が、それぞれ4及び72時間で確実に測定可能な応答(AUC)を有していた。処理間で>1.5倍の差を有するサイトカインに着目した更なる分析は、処理後4時間(図36)及び72時間(図37)に、それぞれ13種及び7種のサイトカインが、H1975+PBMCの共培養におけるアイソタイプ対照又はJNJ-372.IgG2シグマと比較して、JNJ-372で処理した際にアップレギュレーションされたことを示した。変化したサイトカインの多くは、走化性サイトカインのファミリー(CCケモカイン)に属しており(図6B-MIP1β、MCP-1、MCP-3、エオタキシン、エオタキシン-2)、これらは、自然免疫細胞、単球、及びマクロファージの走化性因子として機能することが知られている(Graves et al.,Crit Rev Oral Biol Med 6:109-18,1995;Uguccioni et al.,Eur J Immunol 25:64-8,1995;Balkwill,Nat Rev Cancer 4:540-50,2004)。
これらのサイトカインを更に評価し、その分泌における個々の免疫細胞の役割を調べるために、23種のサイトカインを選択し(その機能及びJNJ-372で処理した際の変化に基づいて)、同じドナーから単離された個々の免疫細胞に対して、PBMCの存在下においてアイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマ抗体で処理した際に評価した。ヒートマップ分析により、個々の免疫細胞によるサイトカイン発現パターンの特徴的な変化が明らかになり、CCケモカインが、全ての免疫細胞にわたってJNJ-372で処理した際に最も頻繁にアップレギュレーションされたファミリーであった。PBMCの存在において>1.5倍の差を有するサイトカインをより集中的に分析したことにより、PBMC、単球、及びマクロファージには特異的であるがNK細胞には特異的でない、JNJ-372で処理した際のアップレギュレーションのパターンが明らかになった。例えば、JNJ-372による処理の結果、PBMC又は単球の存在下ではMCP-1(図38)及びMCP-3(図39)のレベルは用量依存的に増加したが、アイソタイプ又はJNJ-372.IgG2シグマでも、NK細胞の存在下でも増加しなかった。刺激の活性化に応答して単球及びマクロファージによって分泌されることが知られている(Janson et al.,J Immunol 147:4218-23,1991;Arend et al.,Ann Rheum Dis 59 Suppl 1:i60-4,2000)IL1-RAは、PBMC及び単球の存在下ではJNJ-372で処理した際に用量依存的に増加したが、NK細胞では増加しなかった(図40)。更に、免疫細胞の存在下において、JNJ-372で処理した際にはMIP1βレベルの用量依存的増加が観察されたが、アイソタイプ対照又はJNJ-372.IgG2シグマでは観察されなかった(図41)。また、MIPファミリータンパク質であるMIP1α及びMIP1βはいずれも、M1及びM2マクロファージとの共培養下でJNJ-372で処理した際にアップレギュレーションされ、M2cマクロファージではMIP1βのより大きな規模の倍数変化がみられる。図42は、M1マクロファージの存在下で培養したH1975細胞中のMIP-1βのレベルの用量応答曲線を示す。図43は、M2マクロファージの存在下で培養したH1975細胞中のMIP-1βのレベルの用量応答曲線を示す。図44は、M1マクロファージの存在下で培養したH1975細胞中のMIP-1αのレベルの用量応答曲線を示す。図45は、M2マクロファージの存在下で培養したH1975細胞中のMIP-1αのレベルの用量応答曲線を示す。
分泌されたケモカインのEGFR/cMetのダウンレギュレーションに対する効果を評価するために、4時間又は72時間PBMCの存在下又は非存在下でアイソタイプ対照、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマで処理したH1975細胞からの馴化培地を、未処理のH1975細胞に移し、EGFR及びcMet経路の変化を評価した。EGFR、pEGFR、及びcMetタンパク質レベルの測定可能なダウンレギュレーションは、いずれの時点においても馴化培地の存在下で観察された(データは示さず)。これは、分泌されたサイトカイン及びケモカインが、EGFR/cMetのダウンレギュレーションの強化を誘導するのに十分ではなかったことを示唆しているが、その理由は、これが、腫瘍細胞と免疫細胞との間に抗体の媒介による直接接触を必要とするためである。
実施例9.単球及びマクロファージとのJNJ-372 Fc相互作用は、トロゴサイトーシス(ADCT)を誘導する
別の重要なFcエフェクタ機能であるトロゴサイトーシス(ADCT)を、標的細胞に結合している標識された抗体のエフェクタ細胞(マクロファージ)への移動を測定するフローサイトメトリーベースのアッセイを用いて評価した。H1975 NucLight Red細胞を、M1又はM2cマクロファージと共培養したAF488標識アイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマでオプソニン化し、AF488+マクロファージの割合を評価した。標識されたJNJ-372は、M1(図46)及びM2c(図47)マクロファージの両方に用量依存的に移動したが、アイソタイプ対照もJNJ-372.IgG2シグマ標識抗体も、CD11b+マクロファージでは検出されなかった(データは示さず)。認識可能なNucLight Red+マクロファージは検出されず、これは食作用の欠如を示す。これは、トロゴサイトーシスがこのアッセイにおける主要な機序であることを示唆する。
JNJ-372の誘導によるマクロファージのトロゴサイトーシスを視覚的に確認するために、タイムラプス顕微鏡観察を実施し、マクロファージをCD11b/CD14抗体カクテルで、核についてはヘキスト染色で可視化し、そのNucLight Red+核によってH1975標的細胞を同定した。H1975標的細胞を、AF647標識アイソタイプ、JNJ-372、又はJNJ-372.IgG2シグマ抗体でオプソニン化し、M1又はM2cマクロファージと共培養し、ハイコンテンツ共焦点画像を得た。標識されたJNJ-372でオプソニン化された標的細胞と共培養すると、AF647+斑点(JNJ-372)の別個の蓄積が、M1及びM2マクロファージ内で観察されたが、標識されたアイソタイプ又はJNJ-372.IgG2シグマ処理では蓄積は見られなかった。前のアッセイと同様に、これらのアッセイでも最小限の食作用しか観察されず、これは、JNJ-372による受容体のダウンレギュレーションの主要な機序がトロゴサイトーシスであることを示す。図48は、44分間の培養の11分におけるハイコンテンツ共焦点顕微鏡検査からの代表的な画像を示す。図49は、110分間の培養の77分におけるハイコンテンツ共焦点顕微鏡検査からの代表的な画像を示す。
次に、単球がトロゴサイトーシスを行う能力について調べた。マクロファージと同様に、JNJ-372(AF647標識)と共培養された単球は標的細胞をオプソニン化し、これは、標識されたJNJ-372抗体の単球への特異的な移動を実証した(データは示さず)。最後に、腫瘍微小環境内の抗体相互作用をシミュレートするために、M1又はM2cマクロファージ及びH1975標的細胞のAF647標識アイソタイプとの共培養物を、JNJ-372又はJNJ-372.IgG2シグマ抗体で処理した。これらの条件下では、アイソタイプ対照はM1及びM2cマクロファージにのみに結合し、JNJ-372.IgG2シグマは標的細胞にのみ結合するが、JNJ-372は、標的細胞及びマクロファージの両方に結合し(データは示さず)、したがって、各抗体の結合特異性が確認される。JNJ-372の媒介によるトロゴサイトーシスは、標識されたJNJ-372抗体のマクロファージへの明確な移動によって測定された通り、同様に共培養条件においても容易に観察されたが、アイソタイプ又はJNJ-372.IgG2シグマ抗体では観察されなかった。
まとめると、これらの所見は、JNJ-372がマクロファージ及び単球上のFcγ受容体との相互作用を通じてトロゴサイトーシスを誘導することを実証する。
考察
本明細書に記載の実験は、EGFR/cMet二重特異性抗体であるJNJ-372が、その抗腫瘍有効性に寄与する複数のFc依存性機序を有していることを実証した。NK細胞の媒介によるADCCを誘導することに加えて、JNJ-372と免疫細胞上のFcγ受容体との相互作用は、トロゴサイトーシスを介して受容体チロシンキナーゼEGFR及びcMet並びにそのリン酸化形態のダウンモジュレーションも媒介する。この新規のFc機能は、単球及びマクロファージによって促進され、これはインビボでの抗腫瘍有効性にも必要とされる。
免疫細胞とのJNJ-372のFc相互作用は、インビトロにおける抗増殖及びアポトーシス効果、並びにインビボにおける抗腫瘍有効性に必要であることが実証された。インビトロでは48時間以降に最大抗増殖効果が観察され、ADCCが早期に発生する(約2~4時間(29))ことに鑑みて、ADCCの全腫瘍細胞殺傷への寄与が最小であり得ると仮定した。評価した細胞株においてCDC活性は観察されなかったが、NSCLC細胞株は、補体阻害タンパク質、CD46、CD55、及びCD59を発現することが知られている(Varsano et al.,Clin Exp Immunol 113:173-82,1998)。これは、試験した細胞においてJNJ-372はCDCを誘導しなかったが、二重特異性抗体は、他の細胞株又は腫瘍の種類においてCDC活性を誘導することができる可能性があることが示唆していた。最後に、JNJ-372がインビトロでADCPを誘導したことは既に報告されている(Moores et al.,Cancer Res 76:3942-53,2016)が、この研究におけるフロー及び共焦点顕微鏡ベースのトロゴサイトーシスアッセイで使用した条件下では、ADCPが最小限~全く観察されなかった。これらの結果は、JNJ-372が複数の作用機序を介して機能すること、及びこれらのFcエフェクタ機能のそれぞれの寄与が患者間で異なり得ることを示唆していた。
JNJ-372がADCRを誘導したことも実証され、JNJ-372によってアップレギュレーションされたサイトカインの機能の探索から、大部分がケモカインと呼ばれる走化性サイトカインのファミリー、具体的にはCCケモカインに属していることが明らかになった(Graves et al.,Crit Rev Oral Biol 6:109-18,1995;Balkwill,Nat Rev Cancer 4:540-50,2004)。CCケモカインは、単球及びマクロファージのような自然免疫細胞の走化性因子として機能することが知られている、2つの主要なサブファミリー、単球走化性タンパク質(MCP)及びマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)で構成されている(Uguccioni et al.,Eur J Immunol 25:64-8,1995;Loetscher et al.,FASEB J 8:1055-60,1994)。MCPファミリーメンバー、MCP-1(CCL2)及びMCP-3(CCL7)は、炎症性単球及びCD8+Tリンパ球の動員を増加させることが示されている(Uguccioni et al.,Eur J Immunol 25:64-8,1995;Loetscher et al.,FASEB J 8:1055-60,1994;Jia et al.,J Immunol 180:6846-53,2008)。MCP-1及びMIP1β(CCL4)はまた、NSCLCの腫瘍微小環境(TME)への単球及びマクロファージの動員を誘導することも報告されている(Uguccioni et al.,Eur J Immunol 25:64-8,1995;Arenberg et al.,Cancer Immunol Immunother 49:63-70,2000)。
これらのサイトカインは、免疫細胞をTMEに誘引し、それを活性化させることができるが、抗体の媒介による細胞間接触の必要性及びトロゴサイトーシスの誘導は、JNJ-372 Fc相互作用がEGFR及びcMetシグナル伝達のダウンモジュレーションを媒介する機序が、単球又はマクロファージの媒介によるトロゴサイトーシスを介していることを示唆していた。いくつかの最近の報告は、トロゴサイトーシスによるマクロファージ及び好中球のような免疫細胞へのHer2受容体の同様の移動によって、治療抗体オプソニン化腫瘍細胞が死に至ることを示している(Velmurugan et al.,Mol Cancer Ther 15:1879-89,2016;Matlung et al.,Cell Rep 23:3946-59,2018)。これは、以前は、トロゴサイトーシスがリツキシマブなどの抗体の抵抗性の機序であると考えられていたが、Fcエフェクタ機能として抗腫瘍効果を媒介する機能も有し得ることを示唆していた(Taylor and Lindofer,Blood 125:762-6,2015;Pham et al.,PLoS One 6:e14498,2011)。
結論として、JNJ-372は、その抗腫瘍活性に寄与するいくつかのFc依存性及びFc非依存性機能を備える複数の異なる作用機序を提示することが実証された。インビトロ及びインビボモデルは、単球及びマクロファージ上のFcγRsとのJNJ-372相互作用が、EGFR/Metのダウンモジュレーション及び抗腫瘍有効性に必要であり、これは、これらの免疫細胞のレベルから、臨床状況におけるJNJ-372有効性を予測し得ることを示唆している。

Claims (70)

  1. EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、前記対象におけるマクロファージ活性を強化する薬剤と組み合わせて、治療的に有効な量の単離二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体を前記対象に投与することを含む、前記方法。
  2. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、
    a)EGFRに結合する第1のドメインであって、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、第1のドメインと、
    b)c-Metに結合する第2のドメインであって、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、第2のドメインと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. a)前記EGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、
    b)前記c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. マクロファージ活性を強化する前記薬剤が、GM-CSF、抗CD47抗体、HDAC2阻害剤、PD-(L)1軸阻害剤、又はCD11bアゴニストである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記EGFR又はc-Met発現がんが、野生型EGFR、EGFR活性化変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met活性化変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記EGFR活性化変異が、L718Q、G719A、G719X(Xは、任意のアミノ酸である)、L861X(Xは、任意のアミノ酸である)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C797S、L858P、若しくはT790Mの置換、E746~A750の欠失、R748~P753の欠失、M766とA767との間へのAla(A)の挿入、S768とV769との間へのSer、Val、及びAla(SVA)の挿入、P772とH773との間へのAsn及びSer(NS)の挿入、D761とE762、A763とY764、Y764とY765、M766とA767、A767とV768、S768とV769、V769とD770、D770とN771、N771とP772、P772とH773、H773とV774、V774とC775との間への1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入、EGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の欠失、又はEGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の挿入、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記変異体KRASが、G12V、G12C、G12A、若しくはG12Dの置換、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
  10. 前記対象が、新たに診断されたEGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記対象が、以前の抗がん療法による治療に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記以前の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんが、上皮細胞がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺がん、小細胞肺がん、結腸直腸がん、肛門がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頚部がん、咽頭がん、鼻のがん、膵臓がん、皮膚がん、口腔がん、舌のがん、食道がん、膣がん、子宮頚がん、脾臓のがん、精巣がん、胃がん、胸腺のがん、結腸がん、甲状腺がん、肝臓がん、肝細胞がん(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞がん(PRCC)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記対象に1つ又は2つ以上の抗がん療法を更に施すことを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記1つ又は2つ以上の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである、請求項18に記載の方法。
  20. 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する対象を診断及び治療する方法であって、
    a)前記対象からの生体試料を提供することと、
    b)前記生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、
    c)前記生体試料からの前記マクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、前記対象が、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答する前記EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有すると診断することと、
    d)前記抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された前記対象に、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと
    を含む、前記方法。
  21. EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有すると疑われるか又は有する対象を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療する方法であって、
    a)前記対象が、閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定することと、
    b)前記閾値よりも高いマクロファージ又は単球レベルを有すると判定された前記対象に、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与するか又は投与するために提供することと
    を含む、前記方法。
  22. 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に対する、EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する対象の応答を予測する方法であって、
    a)前記対象からの生体試料を提供することと、
    b)前記生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、
    c)前記生体試料からの前記マクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、前記対象が応答者であると予測することと
    を含む、前記方法。
  23. 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するEGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する対象を治療する方法であって、
    a)前記対象からの生体試料を提供することと、
    b)前記生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、
    c)前記生体試料からの前記マクロファージ又は単球レベルが閾値よりも高いとき、前記対象を前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体で治療することと
    を含む、前記方法。
  24. EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する対象が二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答するかどうかを判定し、前記対象を治療するかどうかを判断する方法であって、
    a)前記対象からの生体試料を提供することと、
    b)前記生体試料からのマクロファージ又は単球レベルを測定することと、
    c)前記生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが閾値よりも高いとき、前記EGFR、c-Met、若しくはEGFR及びc-Met発現がんを有する前記対象が前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断するか、又は前記生体試料からのマクロファージ若しくは単球レベルが前記閾値よりも低いとき、前記EGFR、c-Met、若しくはEGFR及びc-Met発現がんを有する前記対象が前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断することと、
    d)前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答すると診断された前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体前記対象を投与するか、又は前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体による治療に応答しないと診断された前記対象に前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を投与することを控えることと
    を含む、前記方法。
  25. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、
    a)EGFRに結合する第1のドメインであって、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、第1のドメインと、
    b)c-Metに結合する第2のドメインであって、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、第2のドメインと
    を含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. a)前記EGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13のVH及び配列番号14のVLを含み、
    b)前記c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記閾値が、前記EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met陽性がんを有する対象の集団からの前記生体試料中で観察されたマクロファージ又は単球の30パーセンタイル値以上である、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記生体試料が、血液試料である、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記生体試料が、腫瘍組織生検材料である、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
  32. EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんが、野生型EGFR、EGFR活性化変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met活性化変異、c-Met遺伝子増幅、若しくは変異体KRAS、又はこれらの任意の組み合わせに関連する、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記EGFR活性化変異が、L718Q、G719A、G719X(Xは、任意のアミノ酸である)、L861X(Xは、任意のアミノ酸である)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C797S、L858P、若しくはT790Mの置換、E746~A750の欠失、R748~P753の欠失、M766とA767との間へのAla(A)の挿入、S768とV769との間へのSer、Val、及びAla(SVA)の挿入、P772とH773との間へのAsn及びSer(NS)の挿入、D761とE762、A763とY764、Y764とY765、M766とA767、A767とV768、S768とV769、V769とD770、D770とN771、N771とP772、P772とH773、H773とV774、V774とC775との間への1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入、EGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の欠失、又はEGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の挿入、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項32に記載の方法。
  34. 前記変異体KRASが、G12V、G12C、又はG12Aの置換を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記対象が、新たに診断されたEGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有すると疑われるか又は有する、請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記対象が、以前の抗がん療法による治療に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している、請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記以前の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブを伴う、請求項38に記載の方法。
  40. EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんが、上皮細胞がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺がん、小細胞肺がん、結腸直腸がん、肛門がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頚部がん、咽頭がん、鼻のがん、膵臓がん、皮膚がん、口腔がん、舌のがん、食道がん、膣がん、子宮頚がん、脾臓のがん、精巣がん、胃がん、胸腺のがん、結腸がん、甲状腺がん、肝臓がん、肝細胞がん(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞がん(PRCC)である、請求項20~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象におけるマクロファージ活性を強化する薬剤と組み合わせて投与される、請求項20~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記対象におけるマクロファージ活性を強化する前記薬剤が、GM-CSF、CD47アンタゴニスト、抗CD47抗体、HDAC2阻害剤、PD-(L)1軸阻害剤、又はCD11bアゴニストである、請求項41に記載の方法。
  43. 前記対象に1つ又は2つ以上の抗がん療法を施すことを更に含む、請求項20~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記1つ又は2つ以上の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項44に記載の方法。
  46. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約15%以下のフコース含量を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. ドナー細胞からアクセプタ細胞へのEGFR、若しくはc-Met、又はEGFR及びc-Metのトロゴサイトーシスを誘導する方法であって、前記ドナー細胞から前記アクセプタ細胞へのトロゴサイトーシスを誘導するのに十分な時間、前記ドナー細胞を二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と接触させることを含む、前記方法。
  49. 前記ドナー細胞が、EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Metを発現しているがん細胞である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記アクセプタ細胞が、マクロファージ又は単球である、請求項48又は49に記載の方法。
  51. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、
    a)EGFRに結合する第1のドメインであって、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、第1のドメインと、
    b)c-Metに結合する第2のドメインであって、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、第2のドメインと
    を含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. a)前記EGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13のVH及び配列番号14のVLを含み、
    b)前記c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む、請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Metを発現している前記がん細胞が、野生型EGFR、EGFR活性化変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met活性化変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する、請求項49~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記EGFR活性化変異が、L718Q、G719A、G719X(Xは、任意のアミノ酸である)、L861X(Xは、任意のアミノ酸である)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C797S、L858P、若しくはT790Mの置換、E746~A750の欠失、R748~P753の欠失、M766とA767との間へのAla(A)の挿入、S768とV769との間へのSer、Val、及びAla(SVA)の挿入、P772とH773との間へのAsn及びSer(NS)の挿入、D761とE762、A763とY764、Y764とY765、M766とA767、A767とV768、S768とV769、V769とD770、D770とN771、N771とP772、P772とH773、H773とV774、V774とC775との間への1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入、EGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の欠失、又はEGFRエキソン20における1つ又は2つ以上の挿入、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項55に記載の方法。
  57. 前記変異体KRASが、G12V、G12C、又はG12Aの置換を含む、請求項55に記載の方法。
  58. 前記接触工程が、インビトロで行われる、請求項48~56のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記接触工程が、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を対象に投与することを含む、請求項48~56のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記対象が、EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する、請求項59に記載の方法。
  61. 前記対象が、新たに診断されたEGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Met発現がんを有する、請求項59又は60に記載の方法。
  62. 前記対象が、以前の抗がん療法による治療に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している、請求項59又は60に記載の方法。
  63. 前記以前の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤である、請求項62に記載の方法。
  64. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項63に記載の方法。
  65. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである、請求項63に記載の方法。
  66. 前記EGFR、c-Met、又はEGFR及びc-Metを発現しているがんが、上皮細胞がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、NSCLC、肺腺がん、小細胞肺がん、結腸直腸がん、肛門がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頚部がん、咽頭がん、鼻のがん、膵臓がん、皮膚がん、口腔がん、舌のがん、食道がん、膣がん、子宮頚がん、脾臓のがん、精巣がん、胃がん、胸腺のがん、結腸がん、甲状腺がん、肝臓がん、HCC、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞がんPRCCに由来する、請求項49~65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記対象に1つ又は2つ以上の抗がん療法を更に施すことを含む、請求項59~66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記1つ又は2つ以上の抗がん療法が、化学療法、標的抗がん療法、又はキナーゼ阻害剤を含む、請求項67に記載の方法。
  69. 前記キナーゼ阻害剤が、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である、請求項68に記載の方法。
  70. 前記キナーゼ阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである、請求項69に記載の方法。
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