JP2022500378A - ユビキチン結合酵素e2k(ube2k)を阻害することによる癌の治療法 - Google Patents

ユビキチン結合酵素e2k(ube2k)を阻害することによる癌の治療法 Download PDF

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Abstract

本開示は、対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)の阻害剤を投与することを含む、対象における癌の治療のための方法を提供する。UBE2K阻害剤は、単剤療法として、または抗癌剤等の追加の薬剤と組み合わせて対象に投与することができる。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/729,348号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、EFS−Webを介してASCIIフォーマットで提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2019年9月9日に作成された上記のASCIIコピーは、119992_19420_Sequence_Listing.txtという名称であり、サイズは3KBである。
技術分野
本発明は、ユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)を阻害することによる癌の治療法に関する。
癌は現在、先進国における主要な死因の1つである。癌の診断は、従来深刻な健康上の合併症を伴う。癌は、外観の劣化、慢性もしくは急性の疼痛、病変、臓器不全、またはさらには死を引き起こす可能性がある。従来的に、多くの癌は、外科手術、化学療法、放射線、またはそれらの組み合わせによって治療される。癌の治療に使用される化学療法剤は、患者にいくつかの深刻かつ不快な副作用を引き起こすことが知られている。例えば、いくつかの化学療法剤は、神経障害、腎毒性(例えば、高脂血症、タンパク尿、低タンパク血症、それらの組み合わせ等)、口内炎、粘膜炎、脱毛症、食欲不振、食道炎、無月経、免疫力低下、貧血、高音性難聴、心毒性、疲労、神経障害、骨髄抑制、またはそれらの組み合わせを引き起こす。多くの場合、化学療法は、効果がないか、または治療中、もしくは治療計画が終了した直後のいずれかの有効期間後に有効性を失う(すなわち、治療計画は治癒をもたらさない)。癌の治療のための改善された方法が依然として望ましい。
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与し、それによって対象における癌を治療することを含む、方法に関する。
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象における癌細胞の増殖を低減する方法であって、対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与し、それによってUBE2K阻害剤を投与されていない対象と比較して対象における癌細胞の増殖を低減することを含む、方法に関する。
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象における癌細胞の死滅を誘導する方法であって、対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与し、それによって対象における癌細胞の死滅を誘導することを含む、方法に関する。特定の実施形態において、癌細胞の死は、アポトーシスによって誘導される。
特定の実施形態において、UBE2K阻害剤は、UBE2Kの特異的阻害剤である。特定の実施形態において、UBE2K阻害剤は、小分子を含む。特定の実施形態において、UBE2K阻害剤は、核酸阻害剤を含む。特定の実施形態において、核酸阻害剤は、アンチセンス核酸分子を含む。特定の実施形態において、核酸阻害剤は、二本鎖核酸分子を含む。特定の実施形態において、二本鎖核酸分子は、siRNA、shRNA、およびダイサー基質siRNA(DsiRNA)からなる群から選択される二本鎖RNAを含む。特定の実施形態において、UBE2K阻害剤は、抗体を含む。
特定の実施形態において、癌は固形腫瘍を含む。特定の実施形態において、固形腫瘍は、癌腫、黒色腫、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態において、固形腫瘍は、膵臓癌、肝臓癌、結腸直腸癌、およびリンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態において、固形腫瘍は、膵臓癌または肝臓癌である。特定の実施形態において、癌は白血病である。
特定の実施形態において、UBE2K阻害剤は、追加の薬剤とともに投与される。特定の実施形態において、追加の薬剤は抗癌剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は化学療法剤である。特定の実施形態において、化学療法剤は、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ドセタキセル、フルダラビン、シタラビン、シクロホスファミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ブスルファン、メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メルファラン、クラドリビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、クロランブシル、タモキシフェン、タキソール、カンプトテシン、アクチノマイシン−D、マイトマイシンC、コンブレタスタチン、シスプラチン、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン、および5−フルオロウラシルからなる群から選択される。特定の実施形態において、追加の薬剤は、抗血管新生剤である。
特定の実施形態において、追加の薬剤は免疫療法剤である。特定の実施形態において、免疫療法剤は、免疫チェックポイント分子の免疫チェックポイントモジュレーターである。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、CD122、OX40、GITR、ICOS、4−1BB、ADORA2A、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、LAG−3、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM−3、およびVISTAから選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、刺激性免疫チェックポイント分子であり、免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子は、抑制性免疫チェックポイント分子であり、免疫チェックポイントモジュレーターは、抑制性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストである。特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、小分子、阻害性RNA、アンチセンス分子、および免疫チェックポイント分子結合タンパク質から選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子はPD−1であり、免疫チェックポイントモジュレーターはPD−1阻害剤である。特定の実施形態において、PD−1阻害剤は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、SHR−1210、MEDI0680R01、BBg−A317、TSR−042、REGN2810およびPF−06801591から選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子はPD−L1であり、免疫チェックポイントモジュレーターはPD−L1阻害剤である。特定の実施形態において、PD−L1阻害剤は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MDX−1105、AMP−224およびLY3300054から選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子はCTLA−4であり、免疫チェックポイントモジュレーターはCTLA−4阻害剤である。特定の実施形態において、CTLA−4阻害剤は、イピリムマブ、トレメリムマブ、JMW−3B3およびAGEN1884から選択される。
ユビキチンプロテアソーム系の概要を示す。 Miapaca2、HepG2、およびSKHEP1細胞におけるsiRNAトランスフェクションの24時間後および96時間後のUBE2K転写物のノックダウンを示す。 Miapaca2、HepG2、およびSKHEP1細胞におけるsiRNAトランスフェクションの24時間後および96時間後のUBE2Kタンパク質のノックダウンを示す。 トランスフェクションの96時間に、基礎条件下でUBE2K siRNA媒介性ノックダウンが細胞数に与える影響を示す。 UBE2K siRNA媒介性ノックダウンがドキソルビシン感受性に与える影響を示す。 UBE2K siRNA媒介性ノックダウンが関連するE2のmRNA発現に与える影響を示す。 0.5%または5%の血清を含む培地で培養した場合に、UBE2K siRNA媒介性ノックダウンが細胞数/生存率に与える影響を示す。 UBE2K siRNA媒介性ノックダウンが細胞死および細胞周期の進行に及ぼす影響を示す。 図9Aおよび図9B:MG132を用いた場合および用いない場合の、UBE2Kノックダウン細胞と、非標的化siRNAでトランスフェクトしたMiaPaca2細胞のタンパク質レベル(A)および転写物レベル(B)でのUBE2Kインタラクターの調節を示す。 図9Aの続きである。 MiaPaca2細胞の同期集団および非同期集団の細胞周期分析を示す。ペレット化したMiaPaca2細胞をHoechst染色で10分間処理した。細胞周期分析は、フローサイトメトリーを使用してFL−3チャネルのHoechst染色のMFIを測定することによって分析した。 20%FBSによる血清枯渇からの解放後48、72、および96時間の、UBE2Kノックダウンによる同期MiaPaca2細胞のCell Titer−Fluor細胞生存率アッセイを示す。 細胞周期全体を通したサイクリン濃度の変化を示す。サイクリンの蓄積と3つの主要な細胞周期チェックポイントとの間には直接的な相関関係がある。 同期MiaPaca2細胞における重要な細胞周期調節因子のレベルの時間経過を示す。 トランスフェクションの72時間後のMiaPaca2細胞におけるCdc34およびUBE2Kのノックダウンの確認を示す。 MiaPaca2細胞におけるUBE2Kノックダウンにより、トランスフェクションの72時間後に生細胞数が約20%減少したことを示す。Cdc34のノックダウンは、生細胞数に影響を与えなかった。 UBE2K shRNA2およびshRNA3で形質導入したMiaPaca2細胞株におけるUBE2Kノックダウンの確認を示す。G2/M細胞周期調節タンパク質レベルの上昇がUBE2Kノックダウン細胞で観察された。 72時間のプレーティング後のCell Titer−Fluor細胞生存率アッセイにより、生細胞の総数が、非標的化(NT)siRNA対照shRNA細胞よりもUBE2Kノックダウン細胞で有意に少なかったことが明らかになったことを示す。 MiaPaca2細胞における直接細胞数および個々の核数を示す。UBE2Kノックダウン細胞は、非標的化(NT)shRNA対照の対応物と比較した場合、プレーティング後96時間で有意に少ない細胞数/ウェルを示した。 UBE2K遺伝子発現と膵管腺癌患者の生存率との相関関係を示す。 膵臓腫瘍組織と正常な隣接組織におけるUBE2K免疫組織化学的染色のデータセットの例を示す。
発見プラットフォーム技術を用いて、ユビキチン結合酵素E2 K(UBE2K)を、ヒト癌細胞で有意に調節される中央ノードとして特定した。癌細胞、例えば膵臓癌および肝細胞癌細胞株におけるUBE2Kのノックダウンは、インビトロで癌細胞数を減少させ、さらなる研究により、UBE2Kノックダウンが癌細胞の増殖を低減し、癌細胞死を誘導したことが示された。したがって、本発明は、UBE2K阻害剤を投与することによって、癌細胞の増殖を低減する、および/または癌細胞の死滅を誘導する方法を提供する。本発明はさらに、対象にUBE2K阻害剤を投与することによって対象における癌を治療する方法を提供する。
I.定義
「投与する」、「投与すること」または「投与する」という用語は、対象の体内に、または対象の中もしくは上の特定の領域に、医薬組成物または薬剤を送達する任意の方法を含む。特定の実施形態において、薬剤は経口的に送達される。特定の実施形態において、薬剤は非経口的に投与される。特定の実施形態において、薬剤は、経粘膜を含めて局所的に送達される。特定の実施形態において、薬剤は吸入によって送達される。本発明の特定の実施形態において、薬剤は、静脈内、筋肉内、皮下、髄内注射、および髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達によって投与される。一実施形態において、本明細書に提供される組成物は、腫瘍に直接注射することによって投与することができる。いくつかの実施形態において、薬剤は注射または注入によって送達される。特定の実施形態において、投与は全身的である。特定の実施形態において、投与は局所的である。いくつかの実施形態において、例えば、静脈内および腫瘍内、または静脈内および経口、または静脈内および経口、静脈内および局所、または静脈内および経皮もしくは経粘膜等の1つ以上の投与経路を組み合わせてもよい。薬剤の投与は、多くの人が協力して取り組むことによって行われ得る。薬剤の投与は、例えば、対象に投与される薬剤を処方すること、および/または、自己送達、例えば、経口送達、皮下送達、中心ラインからの静脈内送達等によって、もしくは訓練を受けた専門家による送達、例えば、静脈内送達、筋肉内送達、腫瘍内送達等のために、直接的にまたは別の方法で、特定の薬剤を服用するよう指示を与えることを含む。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせ等の標的を認識して、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、その抗体が所望の生物学的活性を示す限り、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント)、一本鎖Fv(scFv)変異体、二重特異性抗体等の多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子等を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、またはこれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)のいずれかのものであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元構成を有する。抗体は裸であってもよいか、または毒素、放射性同位元素等の他の分子に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、抗体は、天然に存在しない抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、天然の成分から精製される。いくつかの実施形態において、抗体は組換え産生される。いくつかの実施形態において、抗体はハイブリドーマによって産生される。
「抗体フラグメント」という用語は、インタクトな抗体の一部を指し、またインタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例として、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFフラグメント、線状抗体、一本鎖抗体、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体の「抗原結合性フラグメント」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを含む。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の特定のフラグメントによって遂行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合性フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例として、(限定されないが)以下が含まれる:(i)Fabフラグメント、V、V、C、およびCH1ドメインからなる一価のフラグメント(例えば、パパインで消化された抗体は、2つの抗原結合Fabフラグメント、および抗原に結合しない1つのFcフラグメントの3つのフラグメントを生じる);(ii)F(ab’)フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価性フラグメント(例えば、ペプシンによって消化された抗体は、二価性抗原結合F(ab’)フラグメント、および抗原に結合しないpFc’フラグメントの2つのフラグメントを生じる)およびその関連するF(ab’)の一価ユニット、(iii)VおよびCH1ドメインからなるFフラグメント(すなわち、Fabに含まれる重鎖の部分);(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインからなるFフラグメント、および関連するジスルフィド連結F;(v)VドメインからなるdAb(ドメイン抗体)またはsdAb(単一ドメイン抗体)フラグメント(Ward et al.,Nature 341:544−546,1989)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域の各々には3つのCDRが存在し、可変領域の各々についてCDR1、CDR2、およびCDR3と表される。本明細書で使用される「CDRセット」という用語は、抗原に結合することができる単一の可変領域で生じる3つのCDRのグループを指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに応じて異なって定義される。Kabatによって記載されたシステム(Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)and(1991))は、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基番号付けシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを定義する正確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称される場合がある。Chothiaおよび共同研究者は、Kabat CDR内の特定のサブ部分が、アミノ酸配列レベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格コンフォメーションをとることを見出した(Chothia et al.(1987)J.MOL.BIOL.196:901−917、およびChothia et al.(1989)NATURE 342:877−883)。これらのサブ部分は、L1、L2およびL3、またはH1、H2およびH3として表され、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖領域および重鎖領域を表す。これらの領域はChothia CDRと称される場合があり、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan et al.(1995)FASEB J.9:133−139およびMacCallum et al.(1996)J.MOL.BIOL.262(5):732−45によって記載されている。さらに他のCDR境界の定義は、上記のシステムの1つに厳密には従わない場合もあるが、それでもKabat CDRと重複し、特定の残基もしくは残基の群、またはCDR全体であっても抗原結合に大きな影響を及ぼさないという予測または実験結果に照らして短縮または延長される場合がある。本明細書で使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って定義されたCDRを利用してもよいが、好ましい実施形態は、KabatまたはChothiaで定義されたCDRを使用する。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、単一の抗原決定基またはエピトープの非常に特異的な認識および結合に関与する均一な抗体集団を指す。これは、異なる抗原決定基に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクトかつ完全長のモノクローナル抗体だけでなく、抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)、F等)、一本鎖(scFv)抗体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子も包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない、任意の数の様式で作製されるそのような抗体を指す。
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、または非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するそのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合配列等)である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体およびその抗体フラグメントは、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラットまたはウサギ等の非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体または抗体フラグメント)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられる。さらに、ヒト化抗体/抗体フラグメントは、レシピエント抗体にも、インポートされたCDRまたはフレームワーク配列にも見られない残基を含み得る。これらの修飾により、抗体または抗体フラグメントの性能をさらに改善および最適化することができる。一般に、ヒト化抗体またはその抗体フラグメントは、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、FR領域の全てまたはかなりの部分が、ヒト免疫グロブリン配列の領域である。ヒト化抗体または抗体フラグメントはまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部も含み得る。さらなる詳細については、Jones et al.(1986)NATURE 321:522−525;Reichmann et al.(1988)NATURE 332:323−329;およびPresta(1992)CURR.OP.STRUCT.BIOL.2:593−596を参照されたく、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
「二価性抗体」は、2つの抗原結合部位を含む抗体またはその抗原結合性フラグメントを指す。2つの抗原結合部位は同じ抗原に結合し得るか、または各々が異なる抗原に結合してもよく、その場合、抗体または抗原結合性フラグメントは「二重特異性」であると特徴付けられる。「四価抗体」は、4つの抗原結合部位を含む抗体またはその抗原結合性フラグメントを指す。特定の実施形態において、四価抗体は二重特異性である。特定の実施形態において、四価抗体は、多重特異性、すなわち、2つより多くの異なる抗原に結合する。
Fab(抗原結合性フラグメント)抗体フラグメントは、重鎖可変領域(V)および重鎖定常領域1(CH1)部分からなるポリペプチドと、軽鎖可変(V)および軽鎖定常(C)部分からなるポリペプチドとから構成される抗体の一価抗原結合ドメインを含む免疫反応性ポリペプチドであり、CおよびCH1部分は、好ましくは、Cys残基間のジスルフィド結合によって一緒に結合される。
「癌」または「腫瘍」という用語は当該技術分野で周知であり、例えば、対象において、制御されていない増殖、不死、転移能、急速な成長および増殖速度、細胞死/アポトーシスの減少、ならびに特定の特徴的な形態学的特徴等の、癌を引き起こす細胞に典型的な特徴を有する細胞の存在を指す。
本明細書で使用される場合、「癌」は、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫および肉腫を含むがこれらに限定されない、ヒトに見られる全ての種類の癌または新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書で使用される場合、「癌」、「新生物」、および「腫瘍」という用語または言語は、互換的に、単数形または複数形のいずれかで用いられ、宿主生物に対して病的となる悪性形質転換を受けた細胞を指す。原発性癌細胞(すなわち、悪性形質転換部位の近くから得られた細胞)は、十分に確立された技術、特に組織学的検査によって、非癌性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される癌細胞の定義には、原発性癌細胞だけでなく、癌幹細胞、および癌前駆細胞、または癌細胞の祖先に由来する任意の細胞も含まれる。これには、転移した癌細胞、ならびに癌細胞に由来するインビトロ培養物および細胞株が含まれる。特定の実施形態において、癌は固形腫瘍である。特定の実施形態において、癌は血液腫瘍(すなわち、非固形腫瘍)である。
「固形腫瘍」は、例えば、CATスキャン、MR画像、X線、超音波もしくは触診等の手順によって腫瘍量に基づいて検出可能な、および/または患者から得ることができる試料中の1つ以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能な腫瘍である。腫瘍は測定可能な寸法を有する必要はない。
癌の病期分類に関する特定の基準は、腫瘍サイズ、組織学的特徴、腫瘍マーカー、および当業者に既知の他の基準に基づく特定の癌の種類に依存する。一般的に、癌の病期は以下のように説明することができる:
ステージ0―上皮内癌
ステージI、ステージII、ステージIII―数字が大きいほど、より広範な疾患を示す:より大きな腫瘍サイズ、ならびに/あるいは癌が最初に発生した臓器を超えた、付近のリンパ節および/または原発腫瘍の場所に隣接する組織もしくは臓器への癌の広がり
ステージIV―癌が遠くの組織または臓器まで広がっている
RECIST基準は、固形腫瘍測定に標準的なアプローチを提供するために用いられる臨床的に承認された評価基準であり、臨床試験において使用するために、腫瘍サイズの変化を客観的に評価するための定義を提供する。このような基準は、固形腫瘍の治療を受けている個人の応答を監視するためにも用いることができる。RECIST 1.1基準については、Eisenhauer et al.(New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1)Eur.J.Cancer.45:228−247,2009)において詳細に論じられ、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。標的病変の応答基準は以下を含む:
完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。任意の病理学的なリンパ節(標的または非標的であろうと)は、短軸が<10mmに減少していなくてはならない。
部分奏効(PR):ベースラインの合計直径を基準として用いた場合、標的病変の直径の合計における少なくとも30%の減少。
進行(PD):試験における最小の合計(これは、試験において最小であるベースライン合計を含む)を基準として用いた場合、標的病変の直径の合計における少なくとも20%の増加。20%の相対的な増加に加えて、合計は少なくとも5mmの絶対的な増加も示さなければならない。(注:1つ以上の新たな病変の出現も進行と見なされる。)
安定(SD):試験における最小の合計直径を基準として用いた場合、PRと見なすには十分な収縮がなく、PDと見なすには十分な増加がない。
RECIST 1.1基準は、測定可能であり得るが測定する必要がなく、所望の時点で定性的に評価されるのみであるべき病変として定義される非標的病変も考慮する。非標的病変の応答基準は以下を含む:
完全奏効(CR):全ての非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節は非病理学的サイズでなければならない(短軸が<10mmである)。
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変(複数可)の持続および/または正常限界を超える腫瘍マーカーレベルの維持。
進行(PD):既存の非標的病変の明確な進行(強調は原文のまま)。1つ以上の新たな病変の出現も進行と見なされる。非標的疾患に基づいて「明確な進行」を達成するためには、非標的疾患の全体的なレベルが実質的に悪化しなければならず、それにより、標的疾患にSDまたはPRが存在する場合であっても、全体的な腫瘍量が治療の中止に値するのに十分増加している。1つ以上の非標的病変のサイズのわずかな「増加」は、通常、明確な進行状態と見なすには十分ではない。したがって、標的疾患におけるSDまたはPRの面で非標的疾患の変化のみに基づいて全体的な進行を指定することは極めて稀である。
急性白血病の治療に対する応答の臨床的に許容される基準は以下の通りである:
完全奏効(CR):患者は白血病に関連する全ての症状を示さず、好中球の絶対数が>1.0×10/Lであり、血小板数が>100×10/Lであり、正常骨髄細胞の芽球が<5%であり、アウエル小体が認められないものとする。
不完全な血球数の回復(Cri)を伴う完全奏効:CEのようであるが、残存血小板減少症(血小板数<100×10/L)または残存好中球減少症(絶対好中球数<1.0×10/L)を伴う。
部分奏効(PR):骨髄芽球の>50%の減少から、骨髄中の5〜25%の異常細胞;または、アウエル小体が存在する場合は、<5%の芽球を有するCR。
治療不成功:治療によりCR、Cri、またはPRを達成することができなかった。再発。
CRが確認された後の再燃:末梢血中の白血病性芽球の出現、またはいずれか他の原因(例えば、統合療法後の骨髄再生)に起因しない骨髄中の>5%芽球、または新たな異形成変化の出現。
「化学療法剤」は、癌の治療に使用される薬物を指す。化学療法剤には、限定されないが、小分子、ホルモンおよびホルモン類似体、ならびに生物製剤(例えば、抗体、ペプチド薬、核酸薬)を含む。特定の実施形態において、化学療法は、ホルモンおよびホルモン類似体を含まない。
「化学療法レジメン」は、特定のスケジュールで対象に特定の量の1つ以上の化学療法剤を投与することを含む、癌の治療のための臨床的に認められた投薬プロトコルである。特定の実施形態において、化学療法剤は、臨床試験中の薬剤であり得る。
化学療法レジメンは、癌の治療のために1つ以上の薬剤を投与するおよび投与しない間隔を含む、所定の「サイクル」での薬物の投与を含み得る。例えば、4週間のサイクルを提供するために、薬剤を3週間連続して週に1回以上投与した後、1週間薬剤を投与しなくてもよい。対象が、所望のサイクル数の間、治療の3週間、治療なしの1週間、治療の3週間、治療なしの1週間等に供されるようにサイクルを繰り返すことができる。特定の実施形態において、治療有効性および臨床検査値(例えば、肝酵素、血球数、腎機能)が、各サイクルの終わりにまたは1サイクルおきに評価される。
本明細書で使用される「免疫療法剤」は、免疫応答を誘導または増強する、薬学的に許容される化合物、組成物、または治療法を指す。免疫療法剤は、限定されないが、免疫チェックポイントモジュレーター、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、細胞ベースの治療、サイトカイン、および癌ワクチンを含む。
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント」または「免疫チェックポイント分子」は、シグナルを調節する免疫系の分子である。免疫チェックポイント分子は、刺激性チェックポイント分子であり得る、すなわちシグナルを増加させるか、または抑制性チェックポイント分子であり得る、すなわちシグナルを減少させる。本明細書で使用される「刺激性チェックポイント分子」は、シグナルを増加させるか、または共刺激性である免疫系の分子である。本明細書で使用される「抑制性チェックポイント分子」は、シグナルを減少させるか、または共抑制性である免疫系の分子である。
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイントモジュレーター」は、対象における免疫チェックポイントの活性を変化させることができる薬剤である。特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27、CD28、CD40、CD122、OX40、GITR、ICOS、4−1BB、ADORA2A、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、LAG−3、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM−3、およびVISTAを含むがこれらに限定されない1つ以上の免疫チェックポイント分子の機能を変化させる。免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイントのアゴニストまたはアンタゴニストであり得る。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイント結合タンパク質(例えば、抗体、抗体Fabフラグメント、二価抗体、抗体薬物コンジュゲート、scFv、融合タンパク質、二価性抗体、または四価抗体)である。他の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは小分子である。特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、抗PD1、抗PD−L1、または抗CTLA−4結合タンパク質、例えば、抗体または抗体フラグメントである。
本明細書で使用される場合、「増加する」(または「活性化する」)および「減少する」という用語は、それぞれ、基準と比較してパラメータのより多いまたはより少ない量、機能または活性をもたらす調節を指す。例えば、本明細書に記載のUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)の投与後、パラメータ(例えば、腫瘍サイズ、癌細胞増殖、または癌細胞死)は、投与前のパラメータの量と比較して、またはUBE2K阻害剤を投与されていない対象もしくは癌細胞と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%以上、対象において増加または減少し得る。一般に、投与が記載される効果を示した時点で、例えば、治療レジメンが開始された後、少なくとも1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後に、測定基準が測定される。さらに、測定基準は、UBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を投与されていない癌細胞または対象と比較して測定され得る。同様に、前臨床パラメータ(インビトロでの癌細胞の死もしくは増殖、および/または本明細書に記載のUBE2K阻害剤によるUBE2K活性の低下等)は、UBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)の投与前のパラメータの量と比較して、またはUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)で処理されていない癌細胞またはUBE2K酵素と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%以上増加または減少し得る。
本明細書で使用される場合、UBE2Kの発現または活性の低下は、遺伝子および/またはタンパク質の発現または活性の変化を含むと理解される。一実施形態において、発現または活性は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%減少する。
本明細書で使用される場合、「核酸」UBE2K阻害剤は、UBE2Kの発現および/または活性の低下を引き起こす任意の核酸ベースの阻害剤である。特定の実施形態において、核酸阻害剤は、対応する遺伝子(UBE2K)からのRNA転写物の少なくとも一部とハイブリダイズすることによって作用し、UBE2Kの発現低下をもたらす。核酸阻害剤には、例えば、一本鎖核酸分子、例えば、アンチセンス核酸、および二本鎖核酸、例えば、siRNA、shRNA、dsiRNAが含まれる(例えば、米国特許公開第US2007/0104688号を参照)。本明細書で使用される場合、二本鎖核酸分子は、少なくとも12、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドにわたって二本鎖になるように設計される。二本鎖核酸分子は、それ自体にハイブリダイズするように設計された単一の核酸鎖、例えばshRNAであり得る。核酸阻害剤は、単離された核酸として投与され得ることを理解されたい。代替として、核酸阻害剤は、細胞内で阻害剤を産生させるための発現構築物として投与することもできる。特定の実施形態において、核酸阻害剤は、核酸阻害剤の活性および/または安定性を改善するために1つ以上の化学修飾を含む。そのような修飾は当該技術分野で周知である。使用される特定の修飾は、例えば、核酸阻害剤の種類に依存する。特定の実施形態において、核酸UBE2K阻害剤は、UBE2Kの特異的阻害剤であり、すなわち、UBE2K以外の他の遺伝子またはタンパク質の発現または活性を低下させない。
本明細書で使用される場合、「小分子」UBE2K阻害剤は、1000Da未満、好ましくは750Da未満、または好ましくは500Da未満の分子量を有するUBE2K阻害剤分子である。特定の実施形態において、「小分子」は合成有機化合物であり、核酸分子を含まない。特定の実施形態において、「小分子」は合成有機化合物であり、3アミノ酸を超える長さのペプチドを含まない。「小分子」UBE2K阻害剤は、UBE2Kに特異的に結合し、UBE2Kを少なくとも部分的に阻害する分子である。特定の実施形態において、小分子UBE2K阻害剤は、UBE2Kの特異的阻害剤であり、すなわち、UBE2K以外の他の遺伝子またはタンパク質の発現または活性を実質的に低下させない。例えば、いくつかの実施形態において、小分子UBE2K阻害剤は、活性化されたB細胞(NF−κB)の核因子κ軽鎖エンハンサーの活性を低下させない。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、動物対象を含む、ヒトおよび非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物、ならびに非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類等の非哺乳動物を含む。好ましい実施形態において、対象はヒトであり、患者と称される場合がある。
「治療有効量」は、対象の疾患を治療するのに十分な量である。治療有効な量は、1回以上の投与で投与することができる。
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、好ましくは、有益なまたは所望の臨床結果、例えば、限定されないが、疾患または状態の1つ以上の徴候または症状の軽減または改善(例えば、部分または完全退行)、疾患程度の低減、疾患の安定性(すなわち、悪化しない、安定した疾患の達成)状態、病態の改善または緩和、進行速度または進行時間の低下、および寛解(部分または全体のいずれか)を得るための行為を指す。癌の「治療」はまた、治療を行わない場合に予想される生存と比較して、生存期間を延長することを意味し得る。治療は治癒的である必要はない。特定の実施形態において、治療は、資格のある個人、例えば、治療する医師によって、例えば、疼痛および生活の質(QOL)の承認された評価ツールを用いて判断されるような疼痛の減少またはQOLの増加の1つ以上を含む。特定の実施形態において、例えば、治療する医師によって、例えば、疼痛および生活の質(QOL)の承認された評価ツールを用いて判断されるような疼痛の減少またはQOLの増加は、癌の「治療」とは見なされない。
冠詞「a」、「an」および「the」は、明らかにそうではないと示されない限り、冠詞の文法的目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
「含む」という用語は、「〜を含むがこれに限定されない」という句を意味するために本明細書において使用され、またそれと互換的に使用される。
「または」という用語は、文脈が明らかにそうではないと示さない限り、「および/または」という用語を意味するために本明細書において使用され、またそれと互換的に使用される。
「そのような」という用語は、「〜等であるがこれに限定されない」という句を意味するために本明細書において使用され、またそれと互換的に使用される。
具体的に述べられていないか、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当該技術分野における通常の許容範囲内、例えば平均の2標準偏差内であると理解される。約は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解され得る。文脈から明らかでない限り、本明細書に提供される全ての数値は、約という用語によって修飾され得る。
本明細書に提供される範囲は、範囲内の全ての値の省略形であると理解されたい。例えば、1〜50の範囲は、任意の数、数の組み合わせ、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50からなる群からの部分範囲を含むと理解される。
本明細書における変数の任意の定義における化学基(複数可)のリストの列挙は、任意の単一の基として、または列挙される基の組み合わせとして、その変数の定義を含む。本明細書における変数または態様の実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせて、その実施形態を含む。
本明細書に提供される任意の組成物または方法は、投与速度、投与時間、投与量、治療方法、監視方法、および選択方法の組み合わせを含むがこれらに限定されない、本明細書に提供される他の組成物および方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
II.UBE2K
UBE2Kは、タンパク質分解に関与するユビキチン依存性タンパク質分解の成分である。ユビキチン依存性タンパク質分解は、ユビキチン活性化(E1)、ユビキチン結合(E2)、およびユビキチン連結(E3)酵素を利用して、順次、ユビキチン(Ub)を活性化し、標的タンパク質のリジン残基に転移し、連結する。このカスケードの中間ステップの間に、ユビキチンはそのC末端カルボキシレートとE2酵素の触媒システインとの間に共有結合性のチオエステル複合体(E2〜Ub)を形成する。次いで、基質への転移は、足場タンパク質として機能するRING E3リガーゼ、または基質標識の前にユビキチンとさらに共有結合性のチオエステル複合体を形成するHECTE3リガーゼのいずれかによって媒介される。このプロセスの繰り返しサイクルは、ユビキチンに見られる7つの利用可能なリジン残基(すなわち、K6、K11、K27、K29、K33、K48および/またはK63)の1つ以上を使用してポリユビキチン鎖を形成する。Cook et al.,2015,PLoS ONE 10(3):e0120318を参照されたい。
UBE2Kは、このユビキチンプロテアソーム系のタンパク質成分であり、様々なタンパク質のユビキチン化に関与する酵素として十分に特徴付けられている。ハンチントン相互作用タンパク質2(HIP2)としても知られている。ユビキチン系の約50のE2酵素の1つであるUBE2Kは、25kDaのタンパク質である。ヒトUBE2Kアミノ酸および核酸配列は、それぞれ、配列番号1および配列番号2として本明細書に提供される。UBE2Kは、E1酵素からユビキチン部分を受け取り、チオエステル結合を介してそれらを他のタンパク質基質に共有結合させ、それらにプロテアソームによる分解のための印を付けるように機能する。UBE2Kは、ユビキチンと非共有結合的に相互作用することも知られている。UBE2KはLys 48に結合したポリユビキチン鎖を合成することが知られており、クラスIII E2ファミリーのメンバーである。保存されたUBCドメインに加えて、C末端ユビキチン関連(UBA)ドメインを有するため、他のE2の中でも特有である。UBE2KのUBAドメインは、ポリユビキチン鎖結合の特異性を指向することが報告されている。また、Lys48に結合されたポリユビキチン鎖合成における処理能力も向上させる。酵母ツーハイブリッドスクリーンを使用して、UBE2Kはいくつかのリングフィンガータンパク質と相互作用することが分かった。また、RNF2のリングフィンガードメインはUBE2Kの認識に不可欠であり、RNF2はE3リガーゼとしての役割を果たすことも明らかになった。さらに、UBE2Kは、E3リガーゼとは独立して基質をユビキチン化する能力を有する。インビトロユビキチン化アッセイにより、UBCドメインの活性部位システイン残基の突然変異が、モノまたはポリユビキチン鎖を形成するUBE2Kの能力を損なうことが示された。
癌におけるユビキチンプロテアソーム系に関する広範な文献は存在するが、特定のE2酵素の役割に関する報告はほとんど存在しない。重要なことに、UBE2Kは、2つの関連する腫瘍抑制因子と協調して作用し、癌関連の表現型を調節すると報告されている。UBE2Kは、BRCA1と相互作用し、G2/M細胞周期タンパク質であるサイクリンB1およびcdc25をユビキチン化し、増殖に影響を与える一方で、BRCA1は、この設定でE3リガーゼとして機能する。さらに、UBE2Kは、MDM2をE3リガーゼとして用いることによりp53をユビキチン化し、その分解を促進することが示されている。
UBE2K活性は、UBE2K酵素を蛍光標識されたユビキチンとともにインキュベートした後、ユビキチン化複合体のSDS−PAGEによってアッセイすることができる。例えば、UBE2Kは、蛍光標識されたユビキチンを含有するバッファー中でインキュベートした後、酢酸マグネシウムおよびATPを添加してもよい。2.5μlの10%(w/v)SDSを添加し、75℃で6分間加熱することにより、反応を停止させることができる。次に、チオールの非存在下で試料をSDS−PAGEに供する。UBE2K活性をアッセイする方法は、例えば、Cook et al.,2015,PLoS ONE10(3):e0120318;Middleton et al.,Sci.Rep.(5):16793;およびStrickson et al.,2013,Biochem Journal 451:427−437に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
III.UBE2K阻害剤
本明細書で使用される場合、UBE2K阻害剤は、酵素の発現および/もしくは活性を、例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、もしくは少なくとも100倍等低下させることによって酵素を部分的にもしくは完全に阻害する;または、UBE2Kの発現および/もしくは活性を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%低下させる、小分子化合物(すなわち、合成有機化合物)、核酸(例えば、アンチセンス、siRNA、shRNA、dsiRNA等)、タンパク質、または抗体(例えば、タンパク質または酵UBE2Kに特異的に結合する抗体)を指す。本明細書で使用される場合、「UBE2K阻害剤」は、任意の機構によって、例えば、RNAもしくはタンパク質レベルでUBE2Kの発現を阻害することによって、または、UBE2Kの活性を阻害することによって、例えば、UBE2Kへのユビキチンの付加を阻害することによって、作用することができる。好ましい実施形態において、UBE2K阻害剤は、UBE2Kの特異的阻害剤であり、すなわち、UBE2K以外のポリペプチドの発現または活性を実質的に低下させない。いくつかの実施形態において、UBE2K特異的阻害剤は、1つ以上の異なるE2タンパク質(UBE2Kではない)と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍UBE2Kを優先的に阻害する。いくつかの実施形態において、阻害されるUBE2Kは、ヒトUBE2Kである。いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤は、活性化されたB細胞(NF−κB)の核因子κ軽鎖エンハンサーの活性を低下させない。いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤は、UBE2K以外の他のE2酵素の発現または活性を低下させない。
UBE2K阻害剤は、当該技術分野で既知の方法を用いて同定することができる。例えば、UBE2Kの発現を低下させる化合物は、推定UBE2K阻害剤を用いて細胞をインビトロで処理し、UBE2Kの発現、例えば、mRNAまたはタンパク質の発現に対するその影響を測定することにより同定することができる。UBE2Kのタンパク質レベルは、ELISAまたはウエスタンブロットを含む当該技術分野で既知の好適な技術によって測定することができる。UBE2K核酸(例えばmRNA)のレベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅反応、逆転写酵素PCR分析、定量的リアルタイムPCR、一本鎖コンフォメーション多型分析(SSCP)、ミスマッチ切断検出、ヘテロ二重鎖分析、ノーザンブロット分析、インサイチュハイブリダイゼーション、アレイ分析、デオキシリボ核酸配列決定、制限断片長多型分析、およびそれらの組み合わせまたは副組み合わせを含む、当該技術分野で既知の好適な技術を用いて測定することができる。
UBE2K阻害剤はまた、上記のような当該技術分野で既知の方法を用いて、UBE2K活性に対するそれらの効果を測定することによっても同定され得る。例えば、推定上の阻害剤がUBE2K酵素のユビキチン化を防止するかどうかを決定するために、推定上のUBE2K阻害剤をUBE2K酵素および蛍光標識されたユビキチンとともにインキュベートしてもよい。インキュベーション後、試料をSDS−PAGEに供し、ユビキチン/UBE2K複合体を検出する。
A.小分子UBE2K阻害剤
小分子UBE2K阻害剤は、(E)3−¥[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2−プロペンニトリル(BAY 11−7082)を含む。この化合物は、UBE2K等のE2結合酵素へのユビキチンの付加を阻害することが示されている。参照により全体が本明細書に組み込まれるStrickson et al.,2013,Biochem Journal 451:427−437を参照されたい。BAY11−7082は、例えば、US2005/0124590およびUS2009/0082371に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。BAY11−7082の化学構造を以下に示す。
Figure 2022500378
いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤は、BAY 11−7082を含まない。いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤は、小分子を含まない。
B.核酸UBE2K阻害剤
いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)は、核酸である。核酸阻害剤は当該技術分野で周知である。核酸阻害剤は、細胞内の標的配列に相補的な一本鎖および二本鎖核酸(すなわち、少なくとも15ヌクレオチド長の相補領域を有する核酸)の両方を含む。核酸は、例えば、核酸を、単独で、または細胞への核酸の取り込みを促進するための薬剤とともに培養培地に添加することによって、培養中の細胞に送達することができる。核酸は、任意の投与経路によって、対象の細胞に、すなわちインビボで送達することができる。具体的な製剤は、投与経路に依存する。
本明細書で使用される場合、別途記載のない限り、「相補的」という用語は、第2のヌクレオチド配列に関連して第1のヌクレオチド配列を説明するために使用される場合、当業者には理解されるように、特定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズして二重鎖構造を形成するように第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ストリンジェントな条件は、400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、50℃または70℃で12〜16時間、その後の洗浄を含み得る。生物内で遭遇する可能性のある生理学的に適した条件等の他の条件が適用されてもよい。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に応じて、2つの配列の相補性の試験に最も適切な一連の条件を決定することができるであろう。
第1および第2のヌクレオチド配列の全長にわたって第1のヌクレオチド配列のヌクレオチドと第2のヌクレオチド配列のヌクレオチドとの塩基対形成が存在する場合、配列は互いに対して「完全に相補的」であり得る。しかしながら、本明細書において第1の配列が第2の配列に対して「実質的に相補的である」と称される場合、2つの配列は完全に相補的であり得るか、またはそれらの最終的な用途に最も適した条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、ハイブリダイゼーション時に、1つ以上であるが、一般的に4つ、3つ、もしくは2つを超えないミスマッチ塩基対を形成してもよい。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーション時に、二本鎖核酸治療薬において一般的であるような1つ以上の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、そのようなオーバーハングは、相補性の決定に関してミスマッチと見なされないものとする。例えば、21ヌクレオチド長の1つのオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAは、より長いオリゴヌクレオチドがより短いオリゴヌクレオチドに完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む場合であっても、本明細書に記載される目的のためにやはり「完全に相補的である」と称される。
本明細書で使用される「相補的」配列はまた、それらのハイブリダイズする能力に関する上記の要件が満たされる限り、非ワトソンクリック塩基対ならびに/または非天然および修飾ヌクレオチドから形成される塩基対を含み得るか、または完全にそれらから形成され得る。そのような非ワトソンクリック塩基対は、限定されないが、G−Uゆらぎ塩基対またはフーグスティーン塩基対を含む。
本明細書における「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」という用語は、これらが使用される文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間、またはdsRNAのアンチセンス核酸もしくはアンチセンス鎖と標的配列との間の塩基一致に関して使用され得る。
本明細書で使用される場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の「少なくとも一部に実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、5’UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、または3’UTRを含む、目的のmRNA(例えば、HSP90、特にHSP90βをコードするmRNA)の隣接する部分に実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、配列がUBE2KをコードするmRNAの中断されていない部分に実質的に相補的である場合、ポリヌクレオチドは、UBE2K mRNAの少なくとも一部に相補的である。
アンチセンス核酸、化学修飾、および治療用途に関する特許は、例えば、化学修飾RNA含有治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、およびこれらの化合物を治療薬として使用する方法に関する米国特許第6,107,094号に提供される。一本鎖化学修飾RNA様化合物を投与することにより患者を治療する方法に関する米国特許第7,432,250号;および一本鎖化学修飾RNA様化合物を含有する医薬組成物に関する米国特許第7,432,249号。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドおよび少なくとも1つの化学修飾を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて標的mRNAを切断する方法に関する。本段落に列挙される特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
核酸阻害剤は、天然(すなわち、A、G、U、C、またはT)または修飾(7−デアザグアノシン、イノシン等)塩基を含み得る。さらに、ヌクレオチドの塩基は、ハイブリダイゼーションを妨害しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって結合され得る。したがって、阻害性核酸は、構成塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって結合されたペプチド核酸であり得る。阻害性核酸は、既知の方法を用いてRNAをcDNAに変換することによって調製することができる(例えば、Ausubel et.al.,Current Protocols in Molecular Biology Wiley1999を参照)。阻害性核酸はまた、cRNAであってもよい(例えば、Park et.al.,(2004)Biochem.Biophys.Res.Commun.325(4):1346−52)を参照)。
核酸阻害剤は、ホスホルアミダイト法、H−ホスホネート法、およびホスファイトトリメスター(phosphite trimester)法等の合成法から生成することができる。阻害性核酸は、PCR法によっても生成することができる。そのような方法は、mRNAに相補的なcDNAおよびcRNA配列を生成する。治療用核酸の合成方法は、本発明の限定ではない。
核酸阻害剤は、典型的には、それらの安定性を改善し、それらの薬物動態特性および薬力学的特性を調節するために、1つ以上の化学修飾を含む。例えば、ヌクレオチドに対する修飾は、限定されないが、LNA、HNA、CeNA、2’−メトキシエチル、2’−O−アルキル、2’−O−アリル、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−デオキシ、2’−ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせを含み得る。
核酸阻害剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはその両方(センス鎖を含む核酸治療において)の任意のヌクレオチド上で、鎖の任意の位置で起こり得る。例えば、ヌクレオチド間結合修飾は、センス鎖またはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチドで起こり得る。各ヌクレオチド間結合修飾は、センス鎖またはアンチセンス鎖上で交互のパターンで起こり得る。または、センス鎖またはアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合修飾を含み得る。センス鎖上のヌクレオチド間結合修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同じであっても異なっていてもよく、センス鎖上のヌクレオチド間結合修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間結合修飾の交互パターンと比較してシフトを有し得る。
他の修飾は、リボ核酸(すなわち、A、C、G、およびU)およびデオキシリボ核酸(すなわち、A、C、GおよびT)において生じる標準的な塩基、糖および/またはリン酸骨格化学構造の変異である修飾塩基(または修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチド)の組み込みを含む。例えば、Gm(2’−メトキシグアニル酸)、Am(2’−メトキシアデニル酸)、Cf(2’−フルオロシチジル酸)、Uf(2’−フルオロウリジル酸)、Ar(リボアデニル酸)が、この範囲に含まれる。アプタマーはまた、シトシン、または5−メチルシトシン、4−アセチルシトシン、3−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、2−チオシトシン、5−ハロシトシン(例えば、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、および5−ヨードシトシン)、5−プロピニルシトシン、6−アゾシトシン、5−トリフルオロメチルシトシン、N4,N4−エタノシトシン、フェノキサジンシチジン、フェノチアジンシチジン、カルバゾールシチジンもしくはピリドインドールシチジンを含む任意のシトシン関連塩基を含み得る。アプタマーは、グアニン、または6−メチルグアニン、1−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルグアニン、7−メチルグアニン、2−プロピルグアニン、6−プロピルグアニン、8−ハログアニン(例えば、8−フルオログアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、および8−ヨードグアニン)、8−アミノグアニン、8−スルフヒドリルグアニン、8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニン、7−メチルグアニン、8−アザグアニン、7−デアザグアニンもしくは3−デアザグアニンを含む任意のグアニン関連塩基をさらに含み得る。アプタマーはさらに、アデニン、または6−メチルアデニン、N6−イソペンテニルアデニン、N6−メチルアデニン、1−メチルアデニン、2−メチルアデニン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、8−ハロアデニン(例えば、8−フルオロアデニン、8−ブロモアデニン、8−クロロアデニン、および8−ヨードアデニン)、8−アミノアデニン、8−スルフヒドリルアデニン、8−チオアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニン、7−メチルアデニン、2−ハロアデニン(例えば、2−フルオロアデニン、2−ブロモアデニン、2−クロロアデニン、および2−ヨードアデニン)、2−アミノアデニン、8−アザアデニン、7−デアザアデニンもしくは3−デアザアデニンを含む任意のアデニン関連塩基を含み得る。また、ウラシル、または5−ハロウラシル(例えば、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル)、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、1−メチルシュードウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アゾウラシル、もしくは4−チオウラシルを含む任意のウラシル関連塩基も含まれる。
当該技術分野で既知の他の修飾塩基変異体の例は、限定されないが、例えば、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン、2’−メトキシシチジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルシュードウリジン、b−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチルシュードウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、b−D−マンノシルクエオシン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、N−((9−b−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、N−((9−b−D−リボフラノシルプリン−6−イル)N−メチル−カルバモイル)スレオニン、ウルジン−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウリジン−5−オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウリジン、クエオシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−b−D−リボフラノシルプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、およびウィブトシン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジンを含む。
また、米国特許第3,687,808号、同第3,687,808号、同第4,845,205号、同第5,130,302号、同第5,134,066号、同第5,175,273号、同第5,367,066号、同第5,432,272号、同第5,457,187号、同第5,459,255号、同第5,484,908号、同第5,502,177号、同第5,525,711号、同第5,552,540号、同第5,587,469号、同第5,594,121号、同第5,596,091号、同第5,614,617号、同第5,645,985号、同第5,830,653号、同第5,763,588号、同第6,005,096号、および同第5,681,941号に記載される修飾核酸塩基も含まれ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当該技術分野で既知の修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチド糖骨格変異体の例は、限定されないが、例えば、F、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO、CH、ONO、NO、N、NH、OCHCHOCH、O(CHON(CH、OCHOCHN(CH、O(C1−10アルキル)、O(C2−10アルケニル)、O(C2−10アルキニル)、S(C1−10アルキル)、S(C2−10アルケニル)、S(C2−10アルキニル)、NH(C1−10アルキル)、NH(C2−10アルケニル)、NH(C2−10アルキニル)、およびO−アルキル−O−アルキル等の2’リボシル置換を有するものを含む。望ましい2’リボシル置換基は、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’OCHCHCHNH)、2’−O−アリル(2’−CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−−CH−CH=CH)、2’−アミノ(2’−NH)、および2’−フルオロ(2’−F)を含む。2’−置換基は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置にあってもよい。
一本鎖核酸治療薬
アンチセンス核酸治療薬は、典型的には約16〜30ヌクレオチド長の一本鎖核酸治療薬であり、培養物または生物のいずれかにおいて標的細胞中の標的核酸配列に相補的である。
別の態様において、薬剤は一本鎖アンチセンスRNA分子である。アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列に相補的である。アンチセンスRNAは、mRNAと塩基対を形成して翻訳機構を物理的に妨害することにより、翻訳を化学量論的に阻害することができる。Dias,N.et al.,(2002)Mol Cancer Ther 1:347−355.を参照されたい。アンチセンスRNA分子は、標的mRNAに相補的な約15〜30ヌクレオチドを有し得る。例えば、アンチセンスRNA分子は、標的mRNAに相補的な少なくとも15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の連続したヌクレオチドの配列を有し得る。
アンチセンス核酸、化学修飾、および治療用途に関する特許は、例えば、化学修飾RNA含有治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、およびこれらの化合物を治療薬として使用する方法に関する米国特許第6,107,094号に提供される。一本鎖化学修飾RNA様化合物を投与することにより患者を治療する方法に関する米国特許第7,432,250号;および一本鎖化学修飾RNA様化合物を含有する医薬組成物に関する米国特許第7,432,249号。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドおよび少なくとも1つの化学修飾を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて標的mRNAを切断する方法に関する。本段落に列挙される特許の各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
二本鎖核酸治療薬
核酸阻害剤は二本鎖核酸も含む。「RNAi剤」、「二本鎖RNAi剤」、二本鎖RNA(dsRNA)分子は、本明細書で互換的に使用される場合、「dsRNA剤」、「dsRNA」、「siRNA」、「iRNA剤」とも称され、逆平行であり、かつ以下に定義されるように、実質的に相補的な核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を意味する。本明細書で使用される場合、RNAi剤はまた、dsiRNAを含み得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開2007/0104688号を参照)。一般に、各鎖のヌクレオチドの大部分はリボヌクレオチドであるが、本明細書に記載されるように、一方または両方の鎖は、1つ以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドも含み得る。さらに、本明細書で使用されるように、「RNAi剤」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含んでもよく、RNAi剤は、複数のヌクレオチドに実質的な修飾を含んでもよい。そのような修飾は、本明細書に開示されるか、または当該技術分野で既知のすべての種類の修飾を含み得る。siRNA型の分子で使用される場合、そのような修飾は、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」に包含される。
二重鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きなRNA分子の異なる部分であり得るか、またはそれらは別個のRNA分子であり得る。2本の鎖が1つのより大きな分子の一部であり、したがって、二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれぞれのもう一方の鎖の5’末端との間の途切れのないヌクレオチドの鎖によって接続されている場合、接続しているRNA鎖は「ヘアピンループ」と称される。2本の鎖が、二重構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれぞれのもう一方の鎖の5’末端との間の途切れのないヌクレオチドの鎖以外の手段によって共有結合されている場合、その接続している構造は「リンカー」と称される。RNA鎖は、同じ数または異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最短鎖のヌクレオチドから二重鎖に存在するオーバーハングを差し引いた数である。二重鎖構造に加えて、RNAi剤は1つ以上のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。「siRNA」という用語はまた、上記のようなRNAi剤を指すために本明細書において使用される。
多くの実施形態において、二重鎖領域は、15〜30ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態において、二重鎖領域は、17〜23ヌクレオチド対の長さ、17〜25ヌクレオチド対の長さ、23〜27ヌクレオチド対の長さ、19〜21ヌクレオチド対の長さ、または21〜23ヌクレオチド対の長さである。
特定の実施形態において、各鎖は15〜30ヌクレオチドを有する。
本発明の方法に使用されるRNAi剤は、例えば、2011年11月18日に出願された米国仮出願第61/561,710号、2010年9月15日に出願された国際出願第PCT/US2011/051597号、およびPCT公開WO2009/073809に開示されているような化学修飾を有する薬剤を含み、これらの各々の内容全体が参照により本発明に組み込まれる。「アンチセンス鎖」という用語は、標的配列(例えば、ヒトTTR mRNA)に実質的に相補的な領域を含む二本鎖RNAi剤の鎖を指す。本明細書で使用される場合、「トランスサイレチンをコードするmRNAの部分に相補的な領域」という用語は、TTR mRNA配列の部分に実質的に相補的なアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性の領域が標的配列に完全に相補的でない場合、ミスマッチは末端領域で最も許容され、存在する場合、一般に末端領域(単数または複数)、例えば、5’および/または3’末端の6、5、4、3、または2ヌクレオチド内にある。
本明細書で使用される「センス鎖」という用語は、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むdsRNAの鎖を指す。
C.抗体UBE2K阻害剤
いくつかの実施形態において、UBE2Kの発現または活性を低下させる阻害剤は抗体である。本発明の治療方法は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む抗体の使用を含み得る。「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、特定のエピトープと免疫反応することができる1種のみの抗原結合部位を含む抗体分子の集団を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に使用するための抗体は、UBE2Kに特異的に結合する、すなわち、UBE2K以外の他のポリペプチドには結合しない。抗体は、商業的供給源から入手することができるか、または既知の方法を用いて生成することができる。
ポリクローナル抗体は、本発明のタンパク質を免疫原として用いて好適な対象を免疫することによって調製することができる。免疫された対象における抗体力価は、固定化ポリペプチドを使用する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いる等、標準的な技術によって経時的に監視することができる。免疫後の適切な時点に、例えば、特異的抗体の力価が最も高いときに、抗体産生細胞を対象から得て、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495−497によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.,1983,Immunol.Today 4:72を参照)、EBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al.,pp.77−96 In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,1985を参照)、またはトリオーマ技術等の標準的技術によってモノクローナル抗体(mAb)を調製するために使用することができる。ハイブリドーマを産生するための技術は周知である(Current Protocols in Immunology,Coligan et al.ed.,John Wiley&Sons,New York,1994を一般的に参照)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的なELISAアッセイを使用して、目的のポリペプチドに結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出される。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を目的のポリペプチドでスクリーニングすることにより、本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体を同定および単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01、およびStratagene SurfZAPファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングに使用するのに特に適した方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号、PCT公開第WO92/18619号;PCT公開第WO91/17271号;PCT公開第WO92/20791号;PCT公開第WO92/15679号;PCT公開第WO93/01288号;PCT公開第WO92/01047号;PCT公開第WO92/09690号;PCT公開第WO90/02809号;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum. Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281;Griffiths et al.(1993)EMBO J.12:725−734に見出すことができる。
目的のタンパク質(すなわち、UBE2K)に特異的に結合する組換え抗体もまた、本発明の方法に使用することができる。好ましい実施形態において、組換え抗体は、目的のタンパク質(すなわち、UBE2K)またはそのフラグメントに特異的に結合する。組換え抗体は、限定されないが、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含むキメラおよびヒト化モノクローナル抗体、一本鎖抗体および多重特異性抗体を含む。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、マウスmAbに由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域とを有する分子である。(例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれるCabillyらの米国特許第4,816,567号およびBossらの米国特許第4,816,397号を参照。)一本鎖抗体は、抗原結合部位を有し、単一のポリペプチドからなる。それらは、当該技術分野で既知の技術によって、例えば、Ladnerらの米国特許第4,946,778号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);Bird et al.,(1988)Science 242:423−426;Whitlow et al.,(1991)Methods in Enzymology 2:1−9;Whitlow et al.,(1991)Methods in Enzymology 2:97−105;およびHuston et al.,(1991)Methods in Enzymology Molecular Design and Modeling:Concepts and Applications 203:46−88に記載される方法を用いて生成することができる。多重特異性抗体は、異なる抗原に特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を有する抗体分子である。そのような分子は、例えば、Segalの米国特許第4,676,980号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法を用いて、当該技術分野で知られている技術によって生成することができる。Holliger et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Whitlow et al.,(1994)Protein Eng.7:1017−1026および米国特許第6,121,424号。
ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域とを有する非ヒト種からの抗体分子である。(例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれるQueen、米国特許第5,585,089号を参照。)ヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の組換えDNA技術によって、例えばPCT公開第WO87/02671号;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Better et al.(1988)Science 240:1041−1043;Liu et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liu et al.(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sun et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimura et al.(1987)Cancer Res.47:999−1005;Wood et al.(1985)Nature 314:446−449;およびShaw et al.(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559);Morrison(1985)Science 229:1202−1207;Oi et al.(1986)Bio/Techniques 4:214;U.S.Patent 5,225,539;Jones et al.(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534;およびBeidler et al.(1988)J.Immunol.141:4053−4060に記載される方法を用いて生成することができる。
より具体的には、ヒト化抗体は、例えば、内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生させることができる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、本発明のマーカーに対応するポリペプチドの全部または一部を用いて、通常の様式で免疫される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスが保有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再構成し、その後、クラス転換および体細胞突然変異を受ける。したがって、そのような技術を用いて、治療上有用なIgG、IgAおよびIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体を生成するためのこの技術に関する概要については、Lonberg and Huszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65−93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの技術およびそのような抗体を生成するためのプロトコルに関する詳細な考察については、例えば、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,661,016号、および米国特許第5,545,806号を参照されたい。さらに、企業は、上記のものに類似する技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事することができる。
選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択」と称される技術を用いて作製することができる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体を使用して、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を誘導する(Jespers et al.,1994,Bio/technology 12:899−903)。
本発明の抗体は、産生(例えば、対象の血液または血清から)または合成の後に単離して、周知の技術によってさらに精製することができる。例えば、IgG抗体はプロテインAクロマトグラフィーを用いて精製することができる。本発明のタンパク質に特異的な抗体は、例えば、アフィニティークロマトグラフィーによって、選択され得るかまたは(例えば、部分的に精製されるか)または精製され得る。例えば、組換えによって発現および精製された(または部分的に精製された)本発明のタンパク質は、本明細書に記載されるように産生され、例えば、クロマトグラフィーカラム等の固体支持体に共有結合的にまたは非共有結合的に連結される。次に、カラムを使用して、多数の異なるエピトープに対する抗体を含有する試料から本発明のタンパク質に特異的な抗体をアフィニティー精製し、それにより、実質的に精製された抗体組成物、すなわち、汚染抗体を実質的に含まないものを生成することができる。実質的に精製された抗体組成物とは、本文脈において、抗体試料が、本発明の所望のタンパク質のエピトープ以外のエピトープに対する汚染抗体の最大でもわずか30%(乾燥重量)しか含有しないこと、また好ましくは試料の最大20%、さらにより好ましくは最大10%、最も好ましくは最大5%(乾燥重量)が汚染抗体であることを意味する。精製された抗体組成物は、組成物中の抗体の少なくとも99%が本発明の所望のタンパク質に対するものであることを意味する。
タンパク質に対する抗体(すなわちUBE2K)を使用して、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降等の標準的な技術によってタンパク質を単離することができる。さらに、そのような抗体は、標的タンパク質の発現のレベルおよびパターンを評価するために、標的タンパク質、例えば、UBE2K、またはそのフラグメント(例えば、細胞溶解物または細胞上清中)を検出するために使用することができる。抗体はまた、例えば、所与の治療レジメンの有効性を決定するために、臨床試験手順の一環として、組織または体液(例えば、疾患状態または毒性状態に関連する体液)中のタンパク質レベルを監視するために診断的に使用され得る。検出可能な物質に連結した本発明の抗体を含む抗体誘導体を使用することにより、検出を容易にすることができる。検出可能な物質の例として、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が挙げられる。好適な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み;好適な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み;好適な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンを含み;発光物質の例は、ルミノールを含み;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、好適な放射性物質の例は125I、131I、35SまたはHを含む。
IV.癌の治療
いくつかの実施形態において、本開示は、UBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を対象に投与することによって、前記対象、例えば、それを必要とする対象における癌の治療のための方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、癌細胞の増殖を低減する方法であって、癌細胞をUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)と接触させ、それによって癌細胞の増殖を低減することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、癌細胞の増殖を低減する方法であって、癌細胞にUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を投与し、それによって、例えば、UBE2K阻害剤で治療されていない癌細胞と比較して、癌細胞の増殖を低減することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象、例えば、それを必要とする対象における癌細胞の増殖を低減する方法であって、対象にUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を投与し、それによって、例えば、UBE2K阻害剤を投与されていない対象における癌細胞と比較して、対象における癌細胞の増殖を低減することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、癌細胞の死を誘導する方法であって、癌細胞をUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)と接触させ、それによって癌細胞の死滅を誘導することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、癌細胞の死滅を誘導する方法であって、癌細胞にUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を投与し、それによって癌細胞の死滅を誘導することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象、例えば、それを必要とする対象における癌細胞の死滅を誘導する方法であって、対象にUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)を投与し、それによって癌細胞の死滅を誘導することを含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、癌は固形腫瘍を含む。特定の実施形態において、癌は白血病を含む。特定の実施形態において、癌は、UBE2K阻害剤のみで治療される。特定の実施形態において、癌は、UBE2K阻害剤および追加の薬剤で治療される。特定の実施形態において、追加の薬剤は化学療法剤である。
一実施形態において、UBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)の投与は、腫瘍のサイズ、重量または体積の減少、進行までの時間の増加、腫瘍増殖の阻害および/または腫瘍学的障害を有する対象の生存期間の延長のうちの1つ以上をもたらす。特定の実施形態において、UBE2K阻害剤の投与は、UBE2K阻害剤を投与されていない対応する対照対象と比較して、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または500%、腫瘍のサイズ、重量または体積を減少させ、進行までの時間を増加させ、腫瘍増殖を阻害し、かつ/または対象の生存期間を延長する。いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤の投与は、治療前に進行性の腫瘍学的障害を有していた対象における癌を安定化する。
癌の治療において、製剤は、単剤療法として、所与の適応症のために少なくとも1つの他の抗癌剤、例えば、化学療法剤と組み合わせて、腫瘍を根治的に除去するための外科的介入後の放射線療法と組み合わせて、癌に対する他の代替的および/または補完的な許容される治療と組み合わせて等のいずれかで、対象に治療有効量で投与され得る薬学的に許容される担体であり得る。
一般に、本明細書に記載のUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)の製剤および方法は、任意の新生物を治療するために使用することができる。特定の実施形態において、製剤および方法は、対象における固形腫瘍を治療するために使用される。特定の実施形態において、製剤および方法は、対象における非固形腫瘍、例えば白血病を治療するために使用される。
一実施形態において、本明細書に記載のUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)の投与は、適切な対照と比較して、少なくとも安定した疾患を達成し、腫瘍サイズを縮小し、腫瘍増殖を阻害し、かつ/または腫瘍を有する対象の生存期間を延長する。したがって、本発明はまた、ヒトまたは動物に有効な非毒性量のUBE2K阻害剤を投与することによって、そのようなヒトまたは他の動物の腫瘍を治療する方法に関する。当業者は、本明細書に提供されるガイダンスを用いた日常的な実験により、癌を治療する目的のためにUBE2K阻害剤の有効な非毒性量が何であるかを決定することができるであろう。例えば、UBE2K阻害剤の治療的に活性な量は、病期(例えば、ステージI対ステージIV)、対象の年齢、性別、医学的合併症(例えば、免疫抑制状態または疾患、凝固障害)および体重、ならびに対象において所望の応答を誘発するUBE2K阻害剤の能力等の要因によって変化し得る。最適な治療応答を提供するように、投与量レジメンを調整することができる。例えば、いくつかの分割された用量が毎日投与され得るか、または用量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例的に減少され得る。
本発明の特定の実施形態において、方法は、外科手術、放射線、化学療法、例えば、ホルモン療法、抗体療法、成長因子による療法、サイトカイン、および抗血管新生療法のうちのいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む治療レジメンをさらに含む。
本発明の方法を用いて治療するための癌は、例えば、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫および肉腫を含むがこれらに限定されない、哺乳動物に見られるすべての種類の癌または新生物または悪性腫瘍を含む。一実施形態において、本発明の方法を用いて治療するための癌は、黒色腫、癌腫、および肉腫を含む。好ましい実施形態において、UBE2K阻害剤組成物は、様々な種類の固形腫瘍、例えば、乳癌、膀胱癌、結腸および直腸癌、子宮内膜癌、腎臓(腎細胞)癌、肺癌、黒色腫、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、皮膚癌、骨癌、脳癌、子宮頸癌、肝臓癌、胃癌、口腔癌、神経芽細胞腫、精巣癌、子宮癌、甲状腺癌、頭頸部、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮および髄芽細胞腫、および外陰部癌の治療に使用される。特定の実施形態において、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳癌を含む乳癌を含む。特定の実施形態において、皮膚癌は、黒色腫、扁平上皮癌、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を含む。特定の実施形態において、癌は白血病を含む。特定の実施形態において、白血病は、急性白血病を含む。特定の実施形態において、白血病は、慢性白血病を含む。特定の実施形態において、白血病は、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、急性骨髄性(または骨髄性または非リンパ性)白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)を含む。さらなる種類の白血病はヘアリーセル白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病を含む。しかしながら、UBE2K阻害剤組成物を使用する治療は、これらの種類の癌に限定されない。
いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤で治療するための癌は、肝臓癌および膵臓癌から選択される。いくつかの実施形態において、UBE2K阻害剤による治療のための癌は、絨毛癌、卵巣癌、白血病(例えば、T細胞白血病、Tリンパ芽球性白血病、および慢性骨髄性白血病)、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫および未分化大細胞リンパ腫)、胚性癌、骨肉腫、皮膚癌、および結腸癌(例えば大腸腺癌)から選択される。
本明細書で使用される場合、「癌」、「新生物」、および「腫瘍」という用語は互換的に、単数形または複数形のいずれかで使用され、宿主生物に対して病的となる悪性形質転換を受けた細胞を指す。原発性癌細胞(すなわち、悪性形質転換部位の近くから得られた細胞)は、十分に確立された技術、特に組織学的検査によって、非癌性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される癌細胞の定義には、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞の祖先に由来する任意の細胞が含まれる。これには、転移した癌細胞、ならびに癌細胞に由来するインビトロ培養物および細胞株が含まれる。固形腫瘍として通常現れる癌の種類に言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、CATスキャン、MR画像、X線、超音波もしくは触診等の手順によって腫瘍量に基づいて検出可能な、および/または患者から得ることができる試料中の1つ以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能な腫瘍である。白血病は、全血球計算、蒼白、血液塗抹標本、および骨髄塗抹標本のうちの1つ以上を用いて臨床的に検出可能である。特定の対象における進行性白血病は、固形腫瘍を発現する可能性がある。
画像診断または触診によって検出できない非固形腫瘍の例、例えば白血病は、例えば、好中球数、血小板数によって、および骨髄中の異常細胞の検出によって、例えば、他に説明できない芽球の存在(例えば、地固め療法後の骨髄再生)、アウエル小体の存在、または新たな形成異常の変化の出現によって検出され得る。
「肉腫」という用語は、一般に、胚性結合組織のような物質で構成され、概して、線維状または均質な物質に埋め込まれた密に詰まった細胞からなる腫瘍を指す。本組成物および任意選択的に追加の抗癌剤、例えば化学療法剤で治療することができる肉腫の例として、限定されないが、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、胚性癌腫,ウィルムス腫瘍肉腫,子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球性肉腫(reticulocytic sarcoma)、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜細胞肉腫、および毛細管拡張性肉腫が挙げられる。
「黒色腫」という用語は、皮膚および他の器官のメラノサイト系から生じる腫瘍を意味すると解釈される。本発明の組成物および任意選択的に追加の抗癌剤、例えば化学療法剤で治療することができる黒色腫は、限定されないが、例えば、末端性黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング−パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、および表在拡大型黒色腫を含む。
「癌腫」という用語は、周囲の組織に浸潤して転移を引き起こす傾向がある上皮細胞からなる悪性の新生物を指す。本発明の組成物および任意選択的に追加の抗癌剤、例えば化学療法剤で治療することができる癌腫は、限定されないが、例えば、腺房癌、腺房細胞癌、腺嚢癌、腺様嚢癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌腫、類基底細胞癌、基底扁平上皮癌、気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱癌、円柱細胞癌、腺管癌、緻密性癌、胚性癌、脳様癌、類表皮癌、上皮アデノイド癌、外方増殖性癌、潰瘍性癌、線維性癌、ゼラチン状癌、膠様癌、巨細胞癌、巨大細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子様癌、副腎様癌、小児胎児性癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌、クロンペッカー癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色癌、軟癌腫、粘液性癌、粘液性癌腫、粘液細胞癌、粘表皮癌、粘膜癌、粘液癌、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、粥状癌、腎臓の腎細胞癌、補充細胞癌、肉腫様癌腫、シュナイダー癌腫、硬性癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、ストリング癌、血管拡張性癌、末梢血管拡張性癌、移行細胞癌、結節性癌、結節状癌、疣状癌、および絨毛癌を含む。
「白血病」という用語は、「芽球」と呼ばれる未成熟な白血球の異常な増加を特徴とする血液または骨髄の癌の一種を指す。白血病は、一連の病気を網羅する広義の用語である。同様に、白血病は、血液、骨髄、およびリンパ系に影響を及ぼすさらに広範な疾患群の一部であり、それらは全て血液新生物として知られている。白血病は、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、急性骨髄性(または骨髄性または非リンパ性)白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)の4つに大きく分類される。さらなる種類の白血病はヘアリーセル白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病を含む。
「急性白血病」は、未成熟な血液細胞の数が急激に増加することを特徴とする。そのような細胞によって密集状態になると、骨髄が健康な血液細胞を生成できなくなる。急性白血病では、悪性細胞が急速に進行して蓄積し、血流に溢れて体の他の期間に広がるため、早急な治療が必要である。白血病の急性型は、小児に最もよく見られる型の白血病である。
「慢性白血病」は、比較的成熟しているが、依然として異常な白血球の過剰な蓄積を特徴とする。典型的には、数ヶ月または数年かけて進行し、細胞が通常よりもはるかに速い速度で生成され、その結果として多くの異常な白血球を生じる。急性白血病は直ちに治療する必要があるが、慢性型は、最大の治療効果を確実にするために、治療前にしばらく監視することがある。
リンパ芽球性またはリンパ性白血病は、リンパ球(白血球)、典型的にはB細胞を産生する骨髄細胞の過剰増殖が原因である。
骨髄性または骨髄性白血病は、赤血球、他のいくつかの種類の白血球、および血小板を産生する骨髄細胞の過剰増殖が原因である。
本明細書に開示される化合物で治療することができる追加の癌は、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵臓島癌、悪性カルチノイド、膀胱癌、前癌性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、泌尿生殖器癌、悪性高カルシウム血症、子宮頸部癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、前立腺癌、膵臓癌、子宮肉腫、粘液脂肪肉腫、平滑筋肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、結腸の結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、扁桃扁平上皮癌、甲状腺乳頭癌、腺様嚢胞癌、滑膜細胞肉腫、悪性線維性組織球腫、線維形成性肉腫、肝細胞癌、紡錘細胞肉腫、胆管癌、およびトリプルネガティブ乳癌を含む。
いくつかの実施形態において、癌はリンパ腫ではない。いくつかの実施形態において、癌はB細胞リンパ腫ではない。いくつかの実施形態において、癌は、MyD88突然変異を有するリンパ腫ではない。
V.併用療法
本明細書に提供される癌の治療方法は、追加の抗癌剤または介入(例えば、放射線、外科手術、骨髄移植)との併用療法を含む。特定の実施形態において、「併用療法」は、腫瘍量を減少させる、および/または臨床反応を改善するためのUBE2K阻害剤(例えば例えばUBE2Kの特異的阻害剤)による治療を含む。緩和治療薬または薬物の副作用を軽減するため(例えば例えば、悪心、疼痛、不安、または炎症を軽減するため、凝固を正常化するため)の治療薬とともにUBE2K阻害剤を投与することは、癌の併用治療とは見なされない。
好ましい実施形態において、UBE2K阻害剤(例えば例えばUBE2Kの特異的阻害剤)による治療は、治療される特定の癌の標準治療と組み合わされる。特定の癌の種類の標準治療は、例えば、癌の種類および重症度、対象の年齢、体重、性別、および/または病歴、ならびに以前の治療の成功または失敗に基づいて、当業者によって決定され得る。
特定の実施形態において、UBE2K阻害剤による固形腫瘍を有する対象の治療は、以下の治療薬のうちの1つ以上と組み合わされる。
1.ゲムシタビン、好ましくは、600mg/mから開始される週用量で静脈内投与され、薬物に対する対象の耐性に基づいて用量が調整される。
2.5−フルオロウラシル(5−FU)、好ましくは、100mg/mのロイコボリンと組み合わせて、週に350mg/mの開始週用量で静脈内投与され、薬物に対する対象の耐性に基づいて用量が調整される。
3.ドセタキセル、好ましくは、20mg/mの開始用量で週1回静脈内投与され、薬物に対する対象の耐性に基づいて用量が調整される。
特定の実施形態において、1、2、3、4、または5サイクルの併用療法が対象に施される。対象は、各サイクルの終わりに反応基準について評価される。対象はまた、治療レジメンが十分に忍容されていることを確認するために、有害事象(例えば例えば、凝固、貧血、肝臓および腎臓機能等)について各サイクルを通して監視される。
特定の実施形態において、UBE2K阻害剤(例えば例えばUBE2Kの特異的阻害剤)は、単独で送達された場合に治療的に有効であろう量で投与される、すなわち、UBE2K阻害剤は、主に他の化学療法もしくは他の癌治療の副作用を改善するための薬剤としてではなく、治療薬として投与されるおよび/または作用する。UBE2K阻害剤および/またはその医薬製剤ならびに他の治療薬は、相加的に、またはより好ましくは相乗的に作用することができる。一実施形態において、UBE2K阻害剤(例えば例えばUBE2Kの特異的阻害剤)および/またはその製剤は、追加の抗癌剤(例えば例えば、化学療法剤、抗血管新生剤)の投与と同時に投与される。別の実施形態において、化合物および/またはその医薬製剤は、別の抗癌剤の投与の前または後に投与され、両方の薬剤が同時に対象に存在するか、または同時に対象において治療活性を有する。一実施形態において、UBE2K阻害剤および追加の抗癌剤は相乗的に作用する。一実施形態において、UBE2K阻害剤および追加の抗癌剤は相加的に作用する。
一実施形態において、本発明の治療方法は、1つ以上の追加の治療薬、例えば例えば1つ以上の抗癌剤、例えば例えば抗血管新生剤、化学療法剤、例えば例えば小分子抗癌剤、タンパク質ベースの治療薬および核酸ベースの治療薬の両方を含む生物学的抗癌剤の投与をさらに含む。例えば、一実施形態において、本発明の治療方法に使用するための追加の抗癌剤は、化学療法剤である。
小分子化学療法剤は、一般に、例えば、以下を含む様々なクラスに属する:1.トポイソメラーゼII阻害剤(細胞毒性抗生物質)、例えば、アントラサイクリン/アントラセンジオン、例えばドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノン、例えば例えば、ミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシン、例えば例えば、エトポシドおよびテニポシド;2.微小管形成に影響を与える薬剤(有糸分裂阻害剤)、例えば植物アルカロイド(例えば例えば、生物学的に活性かつ細胞毒性のある植物に由来するアルカリ性の窒素含有分子のファミリーに属する化合物)、例えば、タキサン、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル、ならびにビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、およびポドフィロトキシンの誘導体;3.アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホン酸塩、およびアルキル化作用を有する他の化合物、例えば、ニトロソ尿素、ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスファミドおよびメルファラン;4.代謝拮抗剤(ヌクレオシド阻害剤)、例えば、葉酸塩、例えば、葉酸、フルオロピリミジン、プリンまたはピリミジン類似体、例えば、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、およびエダトレキサート;5.トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、トポテカン、イリノテカン、および9−ニトロカンプトテシン、カンプトテシン誘導体、およびレチノイン酸;6.白金化合物/錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン。本発明の方法において使用するための例示的な化学療法剤は、限定されないが、アミフォスチン(エチオール)、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルヌスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシンリポ(ドキシル)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ダウノルビシン、ダウノルビシンリポ(ダウノキソーム)、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル(5−FU)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT−I1、10−ヒドロキシ−7−エチル−カンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、S−Iカペシタビン、フトラフール、5’デオキシフルロリジン、UFT、エニルウラシル、デオキシシチジン、5−アザシトシン、5−アザデオキシシトシン、アロプリノール、2−クロロアデノシン、トリメトレキサート、アミノプテリン、メチレン−10−デアザアミノプテリン(MDAM)、オキサプラチン、ピコプラチン、テトラプラチン、サトラプラチン、白金−DACH、CI−973、JM−216、およびその類似体、エピルビシン、リン酸エトポシド、9−アミノカンプトテシン、10、11−メチレンジオキシカンプトテシン、カレニテシン、9−ニトロカンプトテシン、TAS 103、ビンデシン、L−フェニルアラニンマスタード、イホスファミドメホスファミド(ifosphamidemefosphamide)、ペルホスファミド、トロホスファミド、カルムスチン、セムスチン、エポチロンA〜E、トムデックス、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アムサクリン、リン酸エトポシド、カレニテシン、アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン、ラミブジン、ジドブジン、ベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ペントスタチン、トリメトレキサート、クラドリビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロランブシル、シスプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル(タキソール)、ブレオマイシン、mTor、上皮成長因子受容体(EGFR)および線維芽細胞成長因子(FGF)、ならびに特定の腫瘍または癌の適切な標準治療に基づいて当業者に容易に明らかなそれらの組み合わせを含む。
別の実施形態において、本発明の併用療法に使用するための追加の化学療法剤は、生物学的製剤である。生物学的製剤(生物製剤とも称される)は、生物系、例えば、生物、細胞、または組換え系の産物である。そのような生物学的製剤の例として、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子)、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、抗体、例えば、モノクローナル抗体、抗血管新生剤、およびサイトカインが挙げられる。例示的な生物学的製剤は、以下により詳細に論じられ、一般に、例えば、以下を含む様々なクラスに属する:1ホルモン、ホルモン類似体、およびホルモン複合体、例えば、エストロゲンおよびエストロゲン類似体、プロゲステロン、プロゲステロン類似体およびプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質ステロイド、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、抗テストステロン、副腎ステロイド阻害剤、ならびに抗ロイチン化ホルモン;2.酵素、タンパク質、ペプチド、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体、例えばインターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子等。
一実施形態において、生物製剤はインターフェロンである。インターフェロン(IFN)は、体内で自然に発生する生物学的製剤の一種である。インターフェロンはまた実験室においても生成され、生物学的療法で癌患者に投与される。それらは、癌患者の免疫系が癌細胞に対して作用する様式を改善することが示されている。
インターフェロンは、癌細胞に直接働きかけてそれらの成長を遅らせることができるか、または癌細胞をより正常な挙動を示す細胞へと変化させることができる。いくつかのインターフェロンは、癌細胞と戦うのに役立つ血流中の白血球の一種であるナチュラルキラー細胞(NK)細胞、T細胞、およびマクロファージを刺激することもできる。
一実施形態において、生物製剤はインターロイキンである。インターロイキン(IL)は、多くの免疫細胞の成長および活性を刺激するそれらは体内で自然に発生するタンパク質(サイトカインおよびケモカイン)であるが、実験室で作製することもできる。いくつかのインターロイキンは、癌細胞を破壊する働きをするリンパ球等の免疫細胞の成長および活性を刺激する。
別の実施形態において、生物製剤はコロニー刺激因子である。コロニー刺激因子(CSF)は、骨髄内の幹細胞がより多くの血液細胞を産生するよう促すために患者に与えられるタンパク質である。特に癌が存在する場合、体は絶えず新しい白血球、赤血球、および血小板を必要とする。CSFは、化学療法とともに、免疫系を強化するのを助けるために与えられる。癌患者が化学療法を受けると、骨髄が新しい血液細胞を産生する能力が抑制され、患者がさらに感染症を発症しやすくなる。免疫系の一部は血液細胞なしでは機能できないため、コロニー刺激因子は、骨髄幹細胞が白血球、血小板、および赤血球を産生するよう促す。
適切な細胞産生により、他の癌治療は、患者がより高い用量の化学療法を安全に受けることを可能にし続けることができる。
別の実施形態において、生物製剤は抗体である。抗体、例えばモノクローナル抗体は、癌細胞に結合する、実験室で生成される薬剤である。
モノクローナル抗体剤は健康な細胞を破壊しない。モノクローナル抗体は、様々な機構を介してその治療効果を発揮する。それらは、アポトーシスまたはプログラム細胞死をもたらす際に直接的な影響を及ぼし得る。それらは成長因子受容体をブロックし、腫瘍細胞の増殖を効果的に阻止することができる。モノクローナル抗体を発現する細胞において、それらは抗イディオタイプ抗体の形成を引き起こすことができる。
本発明の併用治療に使用することができる抗体の例として、限定されないが、セツキシマブ、トシツモマブ、リツキシマブ、およびイブリツモマブ等の抗CD20抗体が挙げられる。抗HER2抗体も、癌の治療のためにUBE2K阻害剤と組み合わせて使用することができる。一実施形態において、抗HER2抗体はトラスツズマブ(ハーセプチン)である。癌の治療のためにUBE2K阻害剤と組み合わせて使用することができる抗体の他の例として、抗CD52抗体(例えば、アレムツズマブ)、抗CD−22抗体(例えば、エプラツズマブ)、および抗CD33抗体(例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン)が挙げられる。抗VEGF抗体も、癌の治療のためにUBE2K阻害剤と組み合わせて使用され得る。一実施形態において、抗VEGF抗体はベバシズマブである。他の実施形態において、生物学的製剤は、抗EGFR抗体である抗体、例えばセツキシマブである。別の例は、抗糖タンパク質17−1A抗体エドレコロマブである。多数の他の抗腫瘍抗体が当該技術分野で既知であり、本発明に包含されることが当業者によって理解されるであろう。
別の実施形態において、生物製剤はサイトカインである。サイトカイン療法は、対象の免疫系が癌性の細胞を認識して破壊するのを助けるためにタンパク質(サイトカイン)を使用する。サイトカインは免疫系によって体内で自然に産生されるが、実験室で生成することができる。この治療法は、進行性黒色腫に用いられ、補助療法(主要な癌治療の後にまたはそれに加えて行われる治療法)とともに用いられる。サイトカイン療法は、体の全ての部分に到達して癌細胞を死滅させ、腫瘍が成長するのを防ぐ。
別の実施形態において、生物製剤は融合タンパク質である。例えば、組換えヒトApo2L/TRAIL(GENETECH)が併用療法に用いられ得る。Apo2/TRAILは、アポトーシス(プログラム細胞死)の調節に関与するプロアポトーシス受容体DR4およびDR5の両方を活性化するように設計された、最初の二重プロアポトーシス受容体アゴニストである。
一実施形態において、生物製剤は治療用核酸分子である。核酸治療薬は当該技術分野で周知である。核酸治療薬は、細胞内の標的配列に相補的な一本鎖および二本鎖核酸(すなわち、少なくとも15ヌクレオチド長の相補的領域を有する核酸治療薬)の療法を含む。治療用核酸は、細胞内の本質的に任意の標的核酸配列を対象とすることができる。特定の実施形態において、核酸治療薬は、血管新生の刺激因子、例えば、VEGF、FGF、または腫瘍増殖の刺激因子、例えば、EGFRをコードする核酸配列を標的とする。
アンチセンス核酸治療薬は、典型的には約16〜30ヌクレオチド長の一本鎖核酸治療薬であり、培養物または生物のいずれかにおいて標的細胞中の標的核酸配列に相補的である。
別の態様において、薬剤は一本鎖アンチセンスRNA分子である。アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列に相補的である。アンチセンスRNAは、mRNAと塩基対を形成して翻訳機構を物理的に妨害することにより、翻訳を化学量論的に阻害することができる。Dias,N.et al.,(2002)Mol Cancer Ther 1:347−355.を参照されたい。アンチセンスRNA分子は、標的mRNAに相補的な約15〜30ヌクレオチドを有し得る。アンチセンス核酸、化学修飾、および治療用途に関する特許は、例えば、化学修飾RNAを含有する治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、およびこれらの化合物を治療薬として使用する方法に関する米国特許第6,107,094号に提供される。一本鎖の化学修飾RNA様化合物を投与することにより患者を治療する方法に関する米国特許第7,432,250号;および一本鎖化学修飾RNA様化合物を含有する医薬組成物に関する米国特許第7,432,249号。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドおよび少なくとも1つの化学修飾を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて標的mRNAを切断する方法に関する。本段落に列挙される特許の各々の内容全体が、参照により本発明に組み込まれる。
本発明の方法に使用するための核酸治療薬には、二本鎖核酸治療薬も含まれる。「RNAi剤」、「二本鎖RNAi剤」、二本鎖RNA(dsRNA)分子は、本明細書で互換的に使用される場合、「dsRNA剤」、「dsRNA」、「siRNA」、「iRNA剤」とも称され、逆平行であり、かつ以下に定義されるように、実質的に相補的な核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を意味する。本明細書で使用される場合、RNAi剤はまた、dsiRNAを含み得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開2007/0104688号を参照)。一般に、各鎖のヌクレオチドの大部分はリボヌクレオチドであるが、本明細書に記載されるように、一方または両方の鎖は、1つ以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドも含み得る。さらに、本明細書で使用されるように、「RNAi剤」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含んでもよく、RNAi剤は、複数のヌクレオチドに実質的な修飾を含んでもよい。そのような修飾は、本明細書に開示されるか、または当該技術分野で既知のすべての種類の修飾を含み得る。siRNA型の分子で使用される場合、そのような修飾は、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」に包含される。本発明の方法に使用されるRNAi剤は、例えば、2011年11月18日に出願された米国仮出願第61/561,710号、2010年9月15日に出願された国際出願第PCT/US2011/051597号、およびPCT公開WO2009/073809に開示されているような化学修飾を有する薬剤を含み、これらの各々の内容全体が参照により本発明に組み込まれる。
本発明の方法に使用するための追加の例示的な生物学的製剤は、限定されないが、ゲフィチニブ(イレッサ)、アナストロゾール、ジエチルスチルベステロール、エストラジオール、プレマリン、ラロキシフェン、プロゲステロン、ノルエチノドレル、エチステロン、ジメスチステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、メチルテストステロン、テストステロン、デキサメタゾン、プレドニソン、コルチゾール、ソルメドロール、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、アミノグルテチミド、テストラクトン、ドロロキシフェン、アナストロゾール、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ゴセレリン、フルタミド、ロイプロリド、トリプトレリン、アミノグルテチミド、ミトタン、ゴセレリン、セツキシマブ、エルロチニブ、イマチニブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、ベバシズマブ、デニロイキン・ディフティトックス、ダクリズマブ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、抗4−lBB、抗4−lBBL、抗CD40、抗CD154、抗OX40、抗OX40L、抗CD28、抗CD80、抗CD86、抗CD70、抗CD27、抗HVEM、抗LIGHT、抗GITR、抗GITRL、抗CTLA−4、可溶性OX40L、可溶性4−IBBL、可溶性CD154、可溶性GITRL、可溶性LIGHT、可溶性CD70、可溶性CD80、可溶性CD86、可溶性CTLA4−Ig、GVAX(登録商標)、および特定の腫瘍または癌の適切な標準治療に基づいて当業者に容易に明らかなそれらの組み合わせを含む。可溶型の薬剤は、薬剤を、例えばIg−Fc領域と作動可能に連結することにより、例えば融合タンパク質として作製することができる。
免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態において、追加の薬剤は免疫療法剤である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、免疫チェックポイント分子の免疫チェックポイントモジュレーターである。例として、LAG−3(Triebel et al.,1990,J.Exp.Med.171:1393−1405)、TIM−3(Sakuishi et al.,2010,J.Exp.Med.207:2187−2194)およびVISTA(Wang et al.,2011,J.Exp.Med.208:577−592)が挙げられる。免疫応答を改善する共刺激分子の例は、ICOS(Fan et al.,2014,J.Exp.Med.211:715−725)、OX40(Curti et al.,2013,Cancer Res.73:7189−7198)および4−1BB(Melero et al.,1997,Nat.Med.3:682−685)を含む。
免疫チェックポイントは、刺激性免疫チェックポイント(すなわち、免疫応答を刺激する分子)または抑制性免疫チェックポイント(すなわち、免疫応答を阻害する分子)であり得る。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、抑制性免疫チェックポイントのアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性免疫チェックポイントのアゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイント結合タンパク質(例えば、抗体、抗体Fabフラグメント、二価抗体、抗体薬物コンジュゲート、scFv、融合タンパク質、二価性抗体、または四価抗体)である。特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、1つより多くの免疫チェックポイントに結合するか、またはその活性を調節することができる。刺激性および抑制性免疫チェックポイント、ならびに本発明の方法に使用され得るこれらの免疫チェックポイントを調節する分子の例を以下に提供する。
i.刺激性免疫チェックポイント分子
CD27は、ナイーブT細胞の抗原特異的増殖を支持し、T細胞メモリーの生成に不可欠である(例えば、Hendriks et al.(2000)Nat.Immunol.171(5):433−40を参照).CD27はB細胞の記憶マーカーでもある(例えば、Agematsu et al.(2000)Histol.Histopathol.15(2):573−6を参照。CD27の活性は、リンパ球および樹状細胞上のそのリガンドであるCD70の一時的な利用可能性によって支配される(例えば、Borst et al.(2005)Curr.Opin.Immunol.17(3):275−81を参照)。CD27に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27に結合する薬剤(例えば、抗CD27抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD27アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD27アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、バルリルマブ(CelldexTherapeutics)である。追加のCD27結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,248,183号、同第9,102,737号、同第9,169,325号、同第9,023,999号、同第8,481,029号、米国特許出願公開第2016/0185870号、同第2015/0337047号、同第2015/0299330号、同第2014/0112942号、同第2013/0336976号、同第2013/0243795号、同第2013/0183316号、同第2012/0213771号、同第2012/0093805号、同第2011/0274685号、同第2010/0173324号;ならびにPCT公開第WO2015/016718号、同第WO2014/140374号、同第WO2013/138586号、同第WO2012/004367号、同第WO2011/130434号、同第WO2010/001908号、および同第WO2008/051424号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
CD28.分化抗原群28(CD28)は、T細胞に発現するタンパク質の1つであり、T細胞の活性化および生存に必要な共刺激シグナルを提供する。T細胞受容体(TCR)に加えてCD28を介したT細胞刺激は、様々なインターロイキン(特にIL−6)の産生に強力なシグナルを提供することができる。樹状細胞に発現するその2つのリガンドCD80およびCD86との結合は、T細胞の増殖を促進する(例えば、Prasad et al.(1994)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 91(7):2834−8を参照)。CD28に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD28の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD28に結合する薬剤(例えば、抗CD28抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD28アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD28アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD28結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TAB08(TheraMab LLC)、ルリズマブ(BMS−931699としても知られる、Bristol−Myers Squibb)、およびFR104(OSE免疫療法剤)からなる群から選択される。追加のCD28結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,119,840号、同第8,709,414号、同第9,085,629号、同第8,034,585号、同第7,939,638号、同第8,389,016号、同第7,585,960号、同第8,454,959号、同第8,168,759号、同第8,785,604号、同第7,723,482号;米国特許出願公開第2016/0017039号、同第2015/0299321号、同第2015/0150968号、同第2015/0071916号、同第2015/0376278号、同第2013/0078257号、同第2013/0230540号、同第2013/0078236号、同第2013/0109846号、同第2013/0266577号、同第2012/0201814号、同第2012/0082683号、同第2012/0219553号、同第2011/0189735号、同第2011/0097339号、同第2010/0266605号、同第2010/0168400号、同第2009/0246204号、同第2008/0038273号;ならびにPCT公開第WO2015/198147号、同第WO2016/05421号、同第WO2014/1209168号、同第WO2011/101791号、同第WO2010/007376号、同第WO2010/009391号、同第WO2004/004768号、同第WO2002/030459号、同第WO2002/051871号、および同第WO2002/047721に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
CD40.分化抗原群40(CD40、TNFRSF5としても知られる)は、抗原提示細胞を含む様々な免疫系細胞に見られる。CD154としても知られるCD40Lは、CD40のリガンドであり、活性化CD4T細胞の表面に一過性に発現する。CD40シグナル伝達は、樹状細胞を「ライセンス」して成熟させ、それによってT細胞の活性化および分化を引き起こすことが知られている(例えば、O’Sullivan et al.(2003)Crit.Rev.Immunol.23(1):83−107を参照。CD40に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40に結合する薬剤(例えば、抗CD40抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD40アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ダセツズマブ(Genentech/Seattle Genetics)、CP−870,893(Pfizer)、ブレセルマブ(Astellas Pharma)、ルカツムマブ(Novartis)、CFZ533(Novartis;例えば、Cordoba et al.(2015)Am.J.Transplant.15(11):2825−36を参照)、RG7876(Genentech Inc.)、FFP104(PanGenetics,B.V.)、APX005(Apexigen)、BI 655064(Boehringer Ingelheim)、Chi Lob 7/4(Cancer Research UK;例えば、Johnson et al.(2015)Clin.Cancer Res.21(6):1321−8を参照)、ADC−1013(BioInvent International)、SEA−CD40(Seattle Genetics)、XmAb 5485(Xencor)、PG120(PanGenetics B.V.)、テネリキシマブ(Bristol−Myers Squibb;例えば、Thompson et al.(2011)Am.J.Transplant.11(5):947−57を参照)、およびAKH3(Biogen;例えば、国際公開第WO2016/028810号を参照)からなる群から選択されるCD40結合タンパク質である。追加のCD40結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,234,044号、同第9,266,956号、同第9,109,011号、同第9,090,696号、同第9,023,360号、同第9,023,361号、同第9,221,913号、同第8,945,564号、同第8,926,979号、同第8,828,396号、同第8,637,032号、同第8,277,810号、同第8,088,383号、同第7,820,170号、同第7,790,166号、同第7,445,780号、同第7,361,345号、同第8,961,991号、同第8,669,352号、同第8,957,193号、同第8,778,345号、同第8,591,900号、同第8,551,485号、同第8,492,531号、同第8,362,210号、および同第8,388,971号;米国特許出願公開第2016/0045597号、同第2016/0152713号、同第2016/0075792号、同第2015/0299329号、同第2015/0057437 2015/0315282号、同第2015/0307616号、同第2014/0099317号、同第2014/0179907号、同第2014/0349395号、同第2014/0234344号、同第2014/0348836号、同第2014/0193405号、同第2014/0120103号、同第2014/0105907号、同第2014/0248266号、同第2014/0093497号、同第2014/0010812号、同第2013/0024956号、同第2013/0023047号、同第2013/0315900号、同第2012/0087927号、同第2012/0263732号、同第2012/0301488号、同第2011/0027276号、同第2011/0104182号、同第2010/0234578号、同第2009/0304687号、同第2009/0181015号、同第2009/0130715号、同第2009/0311254号、同第2008/0199471号、同第2008/0085531号、同第2016/0152721号、同第2015/0110783号、同第2015/0086991号、同第2015/0086559号、同第2014/0341898号、同第2014/0205602号、同第2014/0004131号、同第2013/0011405号、同第2012/0121585号、同第2011/0033456号、同第2011/0002934号、同第2010/0172912号、同第2009/0081242号、同第2009/0130095号、同第2008/0254026号、同第2008/0075727号、同第2009/0304706号、同第2009/0202531号、同第2009/0117111号、同第2009/0041773号、同第2008/0274118号、同第2008/0057070号、同第2007/0098717号、同第2007/0218060号、同第2007/0098718号、同第2007/0110754号;ならびにPCT公開第WO2016/069919号、同第WO2016/023960号、同第WO2016/023875号、同第WO2016/028810号、同第WO2015/134988号、同第WO2015/091853号、同第WO2015/091655号、同第WO2014/065403号、同第WO2014/070934号、同第WO2014/065402号、同第WO2014/207064号、同第WO2013/034904号、同第WO2012/125569号、同第WO2012/149356号、同第WO2012/111762号、同第WO2012/145673号、同第WO2011/123489号、同第WO2010/123012号、同第WO2010/104761号、同第WO2009/094391号、同第WO2008/091954号、同第WO2007/129895号、同第WO2006/128103号、同第WO2005/063289号、同第WO2005/063981号、同第WO2003/040170号、同第WO2002/011763号、同第WO2000/075348号、同第WO2013/164789号、同第WO2012/075111号、同第WO2012/065950号、同第WO2009/062054号、同第WO2007/124299号、同第WO2007/053661号、同第WO2007/053767号、同第WO2005/044294号、同第WO2005/044304号、同第WO2005/044306号、同第WO2005/044855号、同第WO2005/044854号、同第WO2005/044305号、同第WO2003/045978号、同第WO2003/029296号、同第WO2002/028481号、同第WO2002/028480号、同第WO2002/028904号、同第WO2002/028905号、同第WO2002/088186号、および同第WO2001/024823号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
CD122.CD122はインターロイキン2受容体ベータサブユニットであり、CD8エフェクターT細胞の増殖を増加させることが知られている。例えば、Boyman et al.(2012)Nat.Rev.Immunol.12(3):180−190を参照されたい。CD122に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD122の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CD122に結合する薬剤(例えば、抗CD122抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD122アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CD22アゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ヒト化MiK−Beta−1(Roche;例えば、参照により組み込まれるMorris et al.(2006)Proc Nat’l.Acad.Sci.USA 103(2):401−6を参照のこと)である。追加のCD122結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,028,830号に開示されている。
OX40.OX40受容体(CD134としても知られる)は、エフェクターおよびメモリーT細胞の増殖を促進する。OX40はまた、調節性T細胞の分化および活性を抑制し、サイトカイン産生を調節する(例えば、Croft et al.(2009)Immunol.Rev.229(1):173−91を参照のこと)。OX40に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、OX40の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、OX40に結合する薬剤(例えば、抗OX40抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、OX40アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、OX40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、MEDI6469(AgonOx/Medmmune)、ポガリズマブ(MOXR0916およびRG7888としても知られる;Genentech、Inc.)、タボリキシズマブ(MEDI0562としても知られる;Medimmune)、およびGSK3174998(GlaxoSmithKline)からなる群から選択されるOX40結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のOX−40結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,163,085号、同第9,040,048号、同第9,006,396号、同第8,748,585号、同第8,614,295号、同第8,551,477号、同第8,283,450号、同第7,550,140号;米国特許出願公開第2016/0068604号、同第2016/0031974号、同第2015/0315281号、同第2015/0132288号、同第2014/0308276号、同第2014/0377284号、同第2014/0044703号、同第2014/0294824号、同第2013/0330344号、同第2013/0280275号、同第2013/0243772号、同第2013/0183315号、同第2012/0269825号、同第2012/0244076号、同第2011/0008368号、同第2011/0123552号、同第2010/0254978号、同第2010/0196359号、同第2006/0281072号;ならびにPCT公開第WO2014/148895号、同第WO2013/068563号、同第WO2013/038191号、同第WO2013/028231号、同第WO2010/096418号、同第WO2007/062245号、および同第WO2003/106498号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
GITR.グルココルチコイド誘発性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)は、Treg、CD4、およびCD8 T細胞で構成的にまたは条件付きで発現する腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。GITRは、TCRのライゲーションおよび活性化後に、エフェクターT細胞で急速に上方制御される。ヒトGITRリガンド(GITRL)は、二次リンパ器官および一部の非リンパ系組織のAPCで構成的に発現する。GITR:GITRL相互作用の下流効果は、Treg活性の減弱を誘導し、CD4T細胞の活性を増強して、Treg媒介性の免疫抑制の逆転および免疫刺激の増加をもたらす。GITRに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、GITRの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、GITRに結合する薬剤(例えば、抗GITR抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、GITRアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、GITRアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TRX518(Leap Therapeutics)、MK−4166(Merck&Co.)、MEDI−1873(MedImmune)、INCAGN1876(Agenus/Incyte)、およびFPA154(Five Prime Therapeutics)からなる群から選択されるGITR結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のGITR結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,309,321号、同第9,255,152号、同第9,255,151号、同第9,228,016号、同第9,028,823号、同第8,709,424号、同第8,388,967号;米国特許出願公開第2016/0145342号、同第2015/0353637号、同第2015/0064204号、同第2014/0348841号、同第2014/0065152号、同第2014/0072566号、同第2014/0072565号、同第2013/0183321号、同第2013/0108641号、同第2012/0189639;ならびにPCT公開第WO2016/054638号、同第WO2016/057841号、同第WO2016/057846号、同第WO2015/187835号、同第WO2015/184099号、同第WO2015/031667号、同第WO2011/028683号、および同第WO2004/107618号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
ICOS.誘導性T細胞共刺激因子(ICOS、CD278としても知られる)は、活性化T細胞に発現する。そのリガンドはICOSLであり、主にB細胞および樹状細胞に発現する。ICOSはT細胞エフェクター機能において重要である。ICOSの発現はT細胞の活性化により上方制御される(例えば、Fan et al.(2014)J.Exp.Med.211(4):715−25を参照のこと)。ICOSに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ICOSの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ICOSに結合する薬剤(例えば、抗ICOS抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、ICOSアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、ICOSアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、MEDI−570(JMab−136としても知られる、Medimmune)、GSK3359609(GlaxoSmithKline/INSERM)、およびJTX−2011(Jounce Therapeutics)からなる群から選択されるICOS結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のICOS結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,376,493号、同第7,998,478号、同第7,465,445号、同第7,465,444号;米国特許出願公開第2015/0239978号、同第2012/0039874号、同第2008/0199466号、同第2008/0279851号;およびPCT公開第WO2001/087981号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
4−1BB.4−1BB(CD137としても知られる)は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバーである。4−1BB(CD137)は、プライミングされたCD4およびCD8T細胞、活性化NK細胞、DC、および好中球で誘導的に発現されるII型膜貫通糖タンパク質であり、活性化マクロファージ、B細胞、およびDCに見られる4−1BBリガンド(4−1BBL)に結合するとT細胞共刺激分子として作用する。4−1BB受容体のライゲーションは、NF−κB、c−Junおよびp38シグナル伝達経路の活性化をもたらし、特に抗アポトーシス遺伝子BcL−x(L)およびBfl−1の発現を上方制御することにより、CD8T細胞の生存を促進することが示されている。このようにして、4−1BBは、準最適な免疫応答を高めるか、またはさらには救済する役割を果たす。4−1BBに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、4−1BBの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、4−1BBに結合する薬剤(例えば、抗4−1BB抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは4−1BBアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは4−1BBアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、4−1BB結合タンパク質であり、ウレルマブ(BMS−663513としても知られる;Bristol−Myers Squibb)またはウトミルマブ(Pfizer)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、4−1BB結合タンパク質(例えば、抗体)である。4−1BB結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,382,328号、同第8,716,452号、同第8,475,790号、同第8,137,667号、同第7,829,088号、同第7,659,384号;米国特許出願公開第2016/0083474号、同第2016/0152722号、同第2014/0193422号、同第2014/0178368号、同第2013/0149301号、同第2012/0237498号、同第2012/0141494号、同第2012/0076722号、同第2011/0177104号、同第2011/0189189号、同第2010/0183621号、同第2009/0068192号、同第2009/0041763号、同第2008/0305113号、同第2008/0008716号;およびPCT公開第WO2016/029073号、同第WO2015/188047号、同第WO2015/179236号、同第WO2015/119923号、同第WO2012/032433号、同第WO2012/145183号、同第WO2011/031063号、同第WO2010/132389号、同第WO2010/042433号、同第WO2006/126835号、同第WO2005/035584号、同第WO2004/010947号;ならびにMartinez−Forero et al.(2013)J.Immunol.190(12):6694−706、およびDubrot et al.(2010)Cancer Immunol.Immunother.59(8):1223−33に開示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
ii.抑制性免疫チェックポイント分子
ADORA2A.アデノシンA2A受容体(A2A4)は、7つの膜貫通型αヘリックスを有するGタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーのメンバーであり、癌治療の重要なチェックポイントと見なされている。A2A受容体は、過剰反応を示す免疫細胞を負に調節することができる(例えば、Ohta et al.(2001)Nature 414(6866):916−20を参照)。ADORA2Aに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ADORA2Aの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ADORA2Aに結合する薬剤(例えば、抗ADORA2A抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ADORA2A結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、ADORA2Aアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、ADORA2Aアンタゴニストである。ADORA2A結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0322236号に開示されている。
B7−H3.B7−H3(CD276としても知られる)は、T細胞応答を共刺激または下方制御する分子のグループであるB7スーパーファミリーに属する。B7−H3は、ヒトT細胞応答を強力にかつ一貫して下方制御する(例えば、Leitner et al.(2009)Eur.J.Immunol.39(7):1754−64を参照)。B7−H3に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H3の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H3に結合する薬剤(例えば、抗B7−H3抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、B7−H3アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、B7−H3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、DS−5573(第一三共株式会社)、エノブリツズマブ(MacroGenics,Inc.)、および8H9(Sloan Kettering Institute for Cancer Research;例えば、Ahmed et al.(2015)J.Biol.Chem.290(50):30018−29を参照)からなる群から選択される抗B7−H3結合タンパク質である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H3結合タンパク質(例えば、抗体)である。B7−H3結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,371,395号、同第9,150,656号、同第9,062,110号、同第8,802,091号、同第8,501,471号、同第8,414,892号;米国特許出願公開第2015/0352224号、同第2015/0297748号、同第2015/0259434号、同第2015/0274838号、同第2014/032875号、同第2014/0161814号、同第2013/0287798号、同第2013/0078234号、同第2013/0149236号、同第2012/02947960号、同第2010/0143245号、同第2002/0102264号;PCT公開第WO2016/106004号、同第WO2016/033225号、同第WO2015/181267号、同第WO2014/057687号、同第WO2012/147713号、同第WO2011/109400号、同第WO2008/116219号、同第WO2003/075846号、同第WO2002/032375;およびShi et al.(2016)Mol.Med.Rep.14(1):943−8に開示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
B7−H4.B7−H4(O8E、OV064、およびVセットドメイン含有T細胞活性化阻害剤(VTCN1)としても知られる)は、B7スーパーファミリーに属する。細胞周期を停止させることにより、T細胞のB7−H4ライゲーションは、成長、サイトカイン分泌、および細胞毒性の発生に対して重大な抑制効果を示す。マウスへのB7−H4Igの投与は、抗原特異的T細胞応答を損なうのに対し、特定のモノクローナル抗体による内因性B7−H4の遮断は、T細胞応答を促進する(例えば、Sica et al.(2003)Immunity 18(6):849−61を参照)。B7−H4に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H4の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H4に結合する薬剤(例えば、抗B7−H4抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、B7−H4結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、B7−H4アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、B7−H4アンタゴニストである。B7−H4結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,296,822号、同第8,609,816号、同第8,759,490号、同第8,323,645;米国特許出願公開第2016/0159910号、同第2016/0017040号、同第2016/0168249号、同第2015/0315275号、同第2014/0134180号、同第2014/0322129号、同第2014/0356364号、同第2014/0328751号、同第2014/0294861号、同第2014/0308259号、同第2013/0058864号、同第2011/0085970号、同第2009/0074660号、同第2009/0208489号;ならびにPCT公開第2016/040724号、同第WO2016/070001号、同第WO2014/159835号、同第WO2014/100483号、同第WO2014/100439号、同第WO2013/067492号、同第WO2013/025779号、同第WO2009/073533号、同第WO2007/067991号、および同第WO2006/104677に開示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
BTLA.CD272としても知られるBおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)は、そのリガンドとしてHVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)を有する。BTLAの表面発現は、ヒトCD8T細胞がナイーブ細胞からエフェクター細胞の表現型に分化する間に徐々に下方制御されるが、腫瘍特異的なヒトCD8T細胞は高レベルのBTLAを発現する(例えば、Derre et al.(2010)J.Clin.Invest.120(1):157−67を参照)。BTLAに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、BTLAの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、BTLAに結合する薬剤(例えば、抗BTLA抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、BTLA結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、BTLAアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、BTLAアンタゴニストである。BTLA結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,346,882号、同第8,580,259号、同第8,563,694号、同第8,247,537号;米国特許出願公開第2014/0017255号、同第2012/0288500号、同第2012/0183565号、同第2010/0172900号、ならびにPCT公開第WO2011/014438号、および同第WO2008/076560号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
CTLA−4.細胞毒性Tリンパ球抗原−4(CTLA−4)は、免疫調節性のCD28−B7免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、ナイーブおよび休止Tリンパ球に作用して、B7依存性経路とB7非依存性経路の両方を介して免疫抑制を促進する(例えば、Kim et al.(2016)J.Immunol.Res.,Article ID 4683607,14pp.を参照)。CTLA−4は、CD152とも称される。CTLA−4は、T細胞活性化の閾値を調節する。例えば、Gajewski et al.(2001)J.Immunol.166(6):3900−7を参照されたい。CTLA−4に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4に結合する薬剤(例えば、抗CTLA−4抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、イピリムマブ(Yervoy;Medarex/Bristol−Myers Squibb)、トレメリムマブ(以前のチシリムマブ;Pfizer/AstraZeneca)、JMW−3B3(University of Aberdeen)、およびAGEN1884(Agenus)からなる群から選択されるCTLA−4結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のCTLA−4結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,697,845号;米国特許出願公開第2014/0105914号、同第2013/0267688号、同第2012/0107320号、同第2009/0123477号;ならびにPCT公開第WO2014/207064号、同第WO2012/120125号、同第WO2016/015675号、同第WO2010/09597号、同第WO2006/066568号、および同第WO2001/054732号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
IDO.インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)は、免疫抑制特性を有するトリプトファン異化酵素である。別の重要な分子は、TDO、トリプトファン2,3−ジオキシゲナーゼである。IDOは、T細胞およびNK細胞を抑制し、Tregおよび骨髄由来のサプレッサー細胞を生成して活性化し、腫瘍の血管新生を促進することが分かっている。参照により本明細書に組み込まれるPrendergast et al.,2014,Cancer Immunol Immunother.63(7):721−35。
IDOに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、IDOの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、IDOに結合する薬剤(例えば、抗IDO抗体等のIDO結合タンパク質)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターはIDOアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターはIDOアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX−2阻害剤、α−メチル−トリプトファン、およびエパカドスタットからなる群から選択される。一実施形態において、モジュレーターはエパカドスタットである。
KIR.キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)は、ナチュラルキラー(NK)細胞の機能を負に調節して、NK媒介性の細胞溶解から細胞を保護するMHCI結合分子の多様なレパートリーを含む。KIRは、概してNK細胞に発現するが、腫瘍特異的CTLでも検出されている。KIRに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、KIRの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、KIRに結合する薬剤(例えば、抗KIR抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、KIR結合タンパク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターはKIRアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、KIRアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、リリルマブ(BMS−986015としても知られる;Bristol−Myers Squibb)である。追加のKIR結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,981,065号、同第9,018,366号、同第9,067,997号、同第8,709,411号、同第8,637,258号、同第8,614,307号、同第8,551,483号、同第8,388,970号、同第8,119,775号;米国特許出願公開第2015/0344576号、同第2015/0376275号、同第2016/0046712号、同第2015/0191547号、同第2015/0290316号、同第2015/0283234号、同第2015/0197569号、同第2014/0193430号、同第2013/0143269号、同第2013/0287770号、同第2012/0208237号、同第2011/0293627号、同第2009/0081240号、同第2010/0189723;ならびにPCT公開第WO2016/069589号、同第WO2015/069785号、同第WO2014/066532号、同第WO2014/055648号、同第WO2012/160448号、同第WO2012/071411号、同第WO2010/065939号、同第WO2008/084106号、同第WO2006/072625号、同第WO2006/072626、および同第WO2006/003179号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
LAG−3、リンパ球活性化遺伝子3(LAG−3、CD223としても知られる)は、MHC IIに競合的に結合し、T細胞活性化の共抑制チェックポイントとして作用するCD4関連膜貫通タンパク質である(例えば、Goldberg and Drake(2011)Curr.Top.Microbiol.Immunol.344:269−78を参照)。LAG−3に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG−3の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG−3に結合する薬剤(例えば、抗PD−1抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、LAG−3アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターはLAG−3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブ(Keytruda;以前のランブロリズマブ;Merck&Co.,Inc.)、ニボルマブ(Opdivo;Bristol−Myers Squibb)、ピジリズマブ(CT−011、CureTech)、SHR−1210(Incyte/Jiangsu Hengrui Medicine Co.,Ltd.)、MEDI0680(AMP−514としても知られる;Amplimmune Inc./Medimmune)、PDR001(Novartis)、BGB−A317(BeiGene Ltd.)、TSR−042(ANB011としても知られる;AnaptysBio/Tesaro、Inc.)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals,Inc./Sanofi−Aventis)、およびPF−06801591(Pfizer)からなる群から選択されるLAG−3結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のPD−1結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,181,342号、同第8,927,697号、同第7,488,802号、同第7,029,674号;米国特許出願公開第2015/0152180号、同第2011/0171215号、同第2011/0171220号;およびPCT公開第WO2004/056875号、同第WO2015/036394号、同第WO2010/029435号、同第WO2010/029434号、同第WO2014/194302号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。
PD−1.プログラム細胞死タンパク質1(PD−1、CD279およびPDCD1としても知られる)は、免疫系を負に調節する抑制性受容体である。主にナイーブT細胞に影響を与えるCTLA−4とは対照的に、PD−1は免疫細胞でより広く発現し、末梢組織および腫瘍微小環境で成熟T細胞の活性を調節する。PD−1は、T細胞受容体シグナル伝達を妨害することによりT細胞応答を阻害する。PD−1は、PD−L1およびPD−L2の2つのリガンドを有する。PD−1に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−1の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−1に結合する薬剤(例えば、抗PD−1抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−1アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブ(Keytruda;以前のランブロリズマブ;Merck&Co.,Inc.)、ニボルマブ(Opdivo;Bristol−Myers Squibb)、ピジリズマブ(CT−011、CureTech)、SHR−1210(Incyte/Jiangsu Hengrui Medicine Co.,Ltd.)、MEDI0680(AMP−514としても知られる;Amplimmune Inc./Medimmune)、PDR001(Novartis)、BGB−A317(BeiGene Ltd.)、TSR−042(ANB011としても知られる;AnaptysBio/Tesaro,Inc.)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals,Inc./Sanofi−Aventis)、およびPF−06801591(Pfizer)からなる群から選択されるPD−1結合タンパク質(例えば、抗体)である。追加のPD−1結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,181,342号、同第8,927,697号、同第7,488,802号、同第7,029,674号;米国特許出願公開第2015/0152180号、同第2011/0171215号、同第2011/0171220号;およびPCT公開第WO2004/056875号、同第WO2015/036394号、同第WO2010/029435号、同第WO2010/029434号、同第WO2014/194302号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
PD−L1/PD−L2.PDリガンド1(PD−L1、B7−H1としても知られる)およびPDリガンド2(PD−L2;PDCD1LG2、CD273、およびB7−DCとしても知られる)はPD−1受容体に結合する。両方のリガンドは、CD28およびCTLA−4と相互作用するB7−1およびB7−2タンパク質と同じB7ファミリーに属する。PD−L1は、例えば、上皮細胞、内皮細胞、および免疫細胞を含む、多くの細胞種で発現し得る。PDL−1のライゲーションは、IFNγ、TNFα、およびIL−2の産生を減少させ、T細胞の反応性および増殖の低下、ならびに抗原特異的T細胞アネルギーに関連する抗炎症性サイトカインであるIL10の産生を刺激する。PDL−2は、主に抗原提示細胞(APC)に発現する。PDL2のライゲーションもT細胞抑制をもたらすが、PDL−1−PD−1の相互作用がG1/G2期の細胞周期停止を介して増殖を阻害する場合、PDL2−PD−1によるエンゲージメントが、低抗原濃度ではB7:CD28シグナルを遮断することによりTCR媒介性シグナル伝達を阻害し、高抗原濃度ではサイトカイン産生を減少させることが示されている。PD−L1およびPD−L2に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−L1の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−L1に結合する薬剤(例えば、抗PD−L1抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−L1アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、デュルバルマブ(MEDI−4736としても知られる;AstraZeneca/Celgene Corp./Medimmune)、アテゾリズマブ(Tecentriq;MPDL3280AおよびRG7446としても知られる;Genetech Inc.)、アベルマブ(MSB0010718Cとしても知られる;Merck Serono/AstraZeneca);MDX−1105(Medarex/Bristol−Meyers Squibb)、AMP−224(Amplimmune、GlaxoSmithKline)、LY3300054(Eli Lilly and Co.)からなる群から選択されるPD−L1結合タンパク質(例えば、抗体またはFc融合タンパク質)である。追加のPD−L1結合タンパク質は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許出願公開第2016/0084839号、同第2015/0355184号、同第2016/0175397号、およびPCT公開第WO2014/100079号、同第WO2016/030350号、同第WO2013/181634号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−L2の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−L2に結合する薬剤(例えば、抗PD−L2抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−L2アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、PD−L2アンタゴニストである。PD−L2結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,255,147号、同第8,188,238号;米国特許出願公開第2016/0122431号、同第2013/0243752号、同第2010/0278816号、同第2016/0137731号、同第2015/0197571号、同第2013/0291136号、同第2011/0271358号;ならびにPCT公開第WO2014/022758号、およびWO2010/036959に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
TIM−3.T細胞免疫グロブリンムチン3(TIM−3、A型肝炎ウイルス細胞受容体(HAVCR2)としても知られる)は、S型レクチンであるガレクチン−9(Gal−9)に結合するI型糖タンパク質受容体である。TIM−3は、リンパ球、肝臓、小腸、胸腺、腎臓、脾臓、肺、筋肉、網状赤血球、および脳組織に広く発現するリガンドである。Tim−3は当初、IFN−γを分泌するTh1およびTc1細胞で選択的に発現すると同定された(Monney et al.(2002)Nature 415:536−41)。TIM−3受容体によるGal−9の結合は、下流のシグナル伝達を引き起こし、T細胞の生存および機能を負に調節する。TIM−3に特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TIM−3の活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TIM−3に結合する薬剤(例えば、抗TIM−3抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、TIM−3アゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、TIM−3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TSR−022(AnaptysBio/Tesaro,Inc.)およびMGB453(Novartis)からなる群から選択される抗TIM−3抗体である。追加のTIM−3結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第9,103,832号、同第8,552,156号、同第8,647,623号、同第8,841,418号;米国特許出願公開第2016/0200815号、同第2015/0284468号、同第2014/0134639号、同第2014/0044728号、同第2012/0189617号、同第2015/0086574号、同第2013/0022623号;ならびにPCT公開第WO2016/068802号、同第WO2016/068803号、同第WO2016/071448号、同第WO2011/155607号、および同第WO2013/006490号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
VISTA.T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA、血小板受容体Gi24としても知られる)は、T細胞応答を負に調節するIgスーパーファミリーリガンドである。例えば、Wang et al.,2011,J.Exp.Med.208:577−92を参照されたい。APCで発現したVISTAは、CD4およびCD8T細胞の増殖ならびにサイトカイン産生を直接抑制する(Wang et al.(2010)J Exp Med.208(3):577−92)。VISTAに特異的な複数の免疫チェックポイントモジュレーターが開発されており、本明細書に開示されるように使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、VISTAの活性および/または発現を調節する薬剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、VISTAに結合する薬剤(例えば、抗VISTA抗体)である。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、VISTAアゴニストである。いくつかの実施形態において、チェックポイントモジュレーターは、VISTAアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、TSR−022(AnaptysBio/Tesaro,Inc.)およびMGB453(Novartis)からなる群から選択されるVISTA結合タンパク質(例えば、抗体)である。VISTA結合タンパク質(例えば、抗体)は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許出願公開第2016/0096891号、同第2016/0096891号;ならびにPCT公開第WO2014/190356号、同第WO2014/197849号、同第WO2014/190356号および同第WO2016/094837号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、1つより多く(例えば、2、3、4、5またはそれ以上)の免疫チェックポイントモジュレーターが対象に投与される。1つより多くの免疫チェックポイントモジュレーターが投与される場合、モジュレーターは、それぞれ刺激性免疫チェックポイント分子を標的とするか、またはそれぞれが抑制性免疫チェックポイント分子を標的とすることができる。他の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性免疫チェックポイントを標的とする少なくとも1つのモジュレーターと、抑制性免疫チェックポイント分子を標的とする少なくとも1つの免疫チェックポイントモジュレーターとを含む。特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、結合タンパク質、例えば、抗体である。本明細書で使用される「結合タンパク質」という用語は、標的分子、例えば免疫チェックポイント分子に特異的に結合することができるタンパク質またはポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合部分であり、標的分子は、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、結合タンパク質は、標的分子(例えば、免疫チェックポイント分子)に特異的に結合するタンパク質またはポリペプチドである。いくつかの実施形態において、結合タンパク質はリガンドである。いくつかの実施形態において、結合タンパク質は融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、結合タンパク質は受容体である。本発明の方法に使用され得る結合タンパク質の例として、限定されないが、ヒト化抗体、抗体Fabフラグメント、二価抗体、抗体薬物コンジュゲート、scFv、融合タンパク質、二価性抗体、および四価抗体が挙げられる。
免疫チェックポイントモジュレーター抗体は、限定されないが、少なくとも4つの主要なカテゴリーを含む:i)T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞上で直接的に阻害経路を遮断する抗体(例えば、ニボルマブおよびペンブロリズマブ等のPD−1標的抗体、TIM−3を標的とする抗体、ならびにLAG−3、2B4、CD160、A2aR、BTLA、CGEN−15049、およびKIRを標的とする抗体)、ii)T細胞またはNK細胞上で直接的に刺激経路を活性化する抗体(例えば、OX40、GITR、および4−1BBを標的とする抗体)、iii)免疫細胞上の抑制経路を遮断する抗体、または抗体依存性細胞傷害に依存して免疫細胞の抑制集団を枯渇させる抗体(例えば、イピリムマブ等のCTLA−4標的抗体、VISTAを標的とする抗体、ならびにPD−L2、Gr1、およびLy6Gを標的とする抗体)、およびiv)癌細胞上で直接的に抑制経路を遮断する抗体、または抗体依存性細胞傷害に依存して癌細胞に対する細胞毒性を増強する抗体(例えば、リツキシマブ、PD−L1を標的とする抗体、ならびにB7−H3、B7−H4、Gal−9、およびMUC1を標的)を含む。チェックポイント阻害剤の例として、例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブ等のCTLA−4の阻害剤;抗PD−1、抗PD−L1または抗PD−L2抗体等のPD−1経路の阻害剤が挙げられる。例示的な抗PD−1抗体は、第WO2006/121168号、同第WO2008/156712号、同第WO2012/145493号、同第WO2009/014708号、および同第WO2009/114335号に記載されている。例示的な抗PD−L1抗体は、第WO2007/005874号、同第WO2010/077634号、および同第WO2011/066389号に記載されており、例示的な抗PD−L2抗体は第WO2004/007679号に記載されている。
特定の実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、融合タンパク質、例えば、免疫チェックポイントモジュレーターの活性を調節する融合タンパク質である。
一実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、治療用核酸分子、例えば、免疫チェックポイントタンパク質またはmRNAの発現を調節する核酸である。核酸治療薬は当該技術分野で周知である。核酸治療薬は、細胞内の標的配列に相補的な一本鎖および二本鎖核酸(すなわち、少なくとも15ヌクレオチド長の相補的領域を有する核酸治療薬)の両方を含む。特定の実施形態において、核酸治療薬は、免疫チェックポイントタンパク質をコードする核酸配列を標的とする。
1つより多くの、例えば、2、3、4、5、またはそれ以上の追加の抗癌剤が、本明細書に提供されるUBE2K阻害剤(例えば、UBE2Kの特異的阻害剤)製剤と組み合わせて投与され得ることに留意されたい。例えば、一実施形態において、2つの追加の化学療法剤が、UBE2K阻害剤と組み合わせて投与され得る。本明細書に提供される化学療法剤の適切な用量および投与経路は、当該技術分野で既知である。
実施例1:ネットワーク生物学を用いた癌におけるUBE2Kの役割の特定に関する説明
UBE2K(E2−25K)は、インビトロ汎癌モデルでInterrogative Biology(商標)プラットフォームを用いることにより、第1世代の癌ネットワークから特定した。Interrogative Biology(商標)プラットフォームは、例えば、WO/2012/119129に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。インビトロ汎癌モデルは、様々な起源の組織を代表する培養癌細胞、すなわち、肝臓(HepG2)、膵臓(MIA PaCa2)、皮膚(SKMEL28黒色腫)、舌(SCC−25扁平上皮癌)、乳房(SkBr−3、MCF7)、および前立腺(PC−3およびLnCAP)、ならびに乳房、膵臓、前立腺、肝臓、および皮膚に由来する非腫瘍形成性細胞からなっていた。細胞を、以下のような低酸素負荷、低pH、および低栄養微小環境をシミュレートするように設計されたインビトロ条件に曝露した。非腫瘍形成細胞および癌細胞は、低グルコース(5mM)または高グルコース(22mM)で、乳酸(12.5mM)を用いてまたは用いずに、コエンザイムQ10(50および100μM)を用いてまたは用いずに、酸素正常状態(約21%酸素)または低酸素状態(2%酸素)で培養した。プロテオミクス分析のために細胞溶解物を24時間および48時間で回収し、その結果をベイジアンネットワーク推論モデルの入力として用いた。候補腫瘍学標的の優先順位付けおよびランク付けは、インディグリーとアウトディグリーの接続(エッジ)の数および接続の頻度/AUCに基づいて行った。
実施例2:インビトロでの癌細胞株におけるUBE2Kのノックダウン
細胞株選択の根拠
UBE2Kが複数の起源/細胞株の組織を代表する汎癌インビトロモデルから同定されたことを考慮して、初期インビトロ妥当性試験のためにサブセットを選択した。ネットワーク生成に使用したプロテオミクスデータに基づいて、UBE2Kタンパク質発現におけるロバストな変化がMiapaca2膵臓癌細胞株で同定された。さらに、UBE2Kは、2つの関連する腫瘍抑制因子(p53、BRCA1)と協調して作用し得るため、これらの腫瘍抑制因子が関連し、かつ汎癌インビトロモデルに含まれる腫瘍タイプを代表する追加の細胞株、すなわち、乳癌および肝細胞癌(HCC)を選択した。SkBr−3(乳房)およびHepG2(HCC)をネットワーク生成に使用した。これらの状況でUBE2Kの標準的および非標準的機能をキャプチャする可能性を考慮に入れて、p53およびBRCA1のステータスに関してさらなる多様性を提供するために、T47D、MDA−MB231、およびBT549(乳房)、ならびにSKHEP1およびHep3B(HCC)も含めた。初期妥当性試験に使用された細胞株を表1に要約する。
Figure 2022500378
初期妥当性戦略
初期妥当性試験では、Miapaca2、HepG2、SKHEP1、Hep3B、MDAMB231、SKBR3、T47D、およびBT549細胞でsiRNA媒介性アプローチを用いてUBE2Kを一過性にノックダウンした。非標的化(NT)siRNA配列を対照として使用した。転写物レベルおよびタンパク質レベルでノックダウンを確認するための試料をトランスフェクションの24時間後および96時間後に回収し、UBE2Kの一過性ノックダウンの効果を、トランスフェクションの96時間後にCell Titer Fluorを使用して細胞生存率/細胞数で評価した。並行して、siRNA媒介性のUBE2Kノックダウンがドキソルビシン(細胞死を引き起こす薬剤)の感受性に及ぼす影響を、上記の細胞株で評価した。トランスフェクションの24時間後から開始して72時間、細胞をドキソルビシンに曝露した。
インビトロ実験の結果
このsiRNA媒介性アプローチを使用すると、トランスフェクションの24時間後に、試験した全ての細胞株で転写物レベルとタンパク質レベルの両方で70%を超えるUBE2Kノックダウンが達成され(図2および図3を参照)、表現型アッセイにおけるUBE2Kノックダウンの効果を評価するための合理的な手段が提供された。基礎条件下では、UBE2K siRNA媒介性ノックダウンにより、トランスフェクションの96時間後に、Miapaca2膵臓癌細胞株の細胞数が50%減少し、SKHEP1およびHepG2肝細胞癌細胞の細胞数が30%減少した(図4)。残りの5つの癌細胞株ではUBE2K siRNAによる影響は観察されなかった。さらに、ドキソルビシン誘発性の細胞死に対する感受性は、試験した全ての細胞株でUBE2K siRNA媒介性ノックダウンに応答して変化しなかった(図5および表2)。表3に、結果の要約を示す。
Figure 2022500378
Figure 2022500378
細胞内のUBE2Kノックダウンは、他の関連するE2の代償的調節を引き起こす可能性がある。この可能性を理解するために、UBE2KのsiRNA媒介性ノックダウン時に関連するE2の発現を調べた。関連するE2は、基質のユビキチン化のための一般的なE3の存在(E2D1、E2D2、E2D3)またはLys 48結合ユビキチン鎖を合成する能力(E2N、cdc34、E2D)のいずれかに基づいて選択した。E2R2もcdc34と密接に関連しているため、この試験に含めた。Miapaca2細胞からのデータを図6に示す。UBE2Kはトランスフェクションの24時間後および96時間後にノックダウンされることが分かり、関連するE2の発現は、両方の時点でUBE2Kノックダウンによってほとんど変化しないと考えられることから、代償性転写応答がないことが示唆される。評価した他の全ての細胞株(SKHEP1、HepG2、Hep3B、MDAMB231、BT549、SKBR3、およびT47D)でも同様の結果が得られた。したがって、UBE2KのsiRNA媒介性ノックダウンは、関連するE2の代償性転写応答を引き起こさない。
UBE2Kはユビキチンプロテアソーム系の一部であり、細胞内のタンパク質の約80%の代謝回転を担っている。UBE2Kノックダウンの効果が細胞の増殖状態に依存するかどうかを調べるために、UBE2KノックダウンMiapaca2細胞を5%血清(培地)または0.5%血清の存在下で増殖させ、トランスフェクションの96時間後に細胞数を評価した。予想通り、0.5%血清と比較して5%血清条件では細胞数が増加し、血清が増殖を刺激することが示された。それにもかかわらず、UBE2Kノックダウンは両方の血清条件で同程度に細胞数を減少させたため(0.5%血清で64.1%、5%血清で64.3%;図8)、UBE2Kノックダウンの効果が増殖状態とは無関係であることが示された。
Miapaca2細胞におけるUBE2Kノックダウンにより、細胞数が50%減少した。この細胞数の変化が細胞死の増加または細胞増殖の減少に起因するかどうかを理解するために、UBE2K siRNA処理細胞と非標的化siRNA処理細胞を、それぞれPI/アネキシンVおよびPI細胞周期分析を用いて評価した。PI/アネキシンVのデータは、UBE2Kノックダウンにより、siRNAトランスフェクションの96時間後に6〜8%の細胞死がもたらされたことを示した。PI細胞周期分析を用いたUBE2Kノックダウン細胞における細胞増殖の評価(トランスフェクションの48時間後)により、UBE2K siRNAトランスフェクト細胞では非標的化siRNAトランスフェクト細胞と比較してG2/M期に20%多くの細胞が見られたことが明らかになった(図9)。このG2/M期の細胞集団の増加は、G1期の細胞集団の減少に対応しており、G2/M期に細胞が停止することが示唆される。細胞周期変化の陽性対照として血清飢餓を用いたところ、予想通り、G1停止がもたらされた。したがって、UBE2KのsiRNA媒介性ノックダウンは、癌細胞数の減少、ロバストなG2/M細胞周期停止の結果、およびアポトーシス/壊死のわずかな増加を引き起こした。
観察された表現型に機構的に関連した、考えられるUBE2K依存性基質を特定するために、UBE2K酵母ツーハイブリッドスクリーニング/共免疫沈降に利用可能な文献を用いて、UBE2Kインタラクターの精選されたリストを作成した(出典:BioGrid)。基質は、他のE2との相互作用、および細胞増殖/細胞死におけるそれらの役割に基づいて選択した(表4)。7つのUBE2Kインタラクターのうち3つのタンパク質レベルは、UBE2Kノックダウンに応答して増加し、2つは減少し、2つは変化しなかったことが分かった(図9Aおよび図9B)。これらのインタラクターの発現は転写物レベルで変化するとは認められず、調節が翻訳後に起こる可能性があることが示唆される。
Figure 2022500378
実施例3:同期MiaPaca2膵臓癌細胞におけるUBE2KのsiRNA媒介性ノックダウン
M期を脱出するためにサイクリンB1の分解が必要であるため、UBE2KのsiRNA媒介性ノックダウンを伴う細胞におけるサイクリンB1の蓄積はG2/Mの停止と一致する;したがって、G2/Mに停止が起こるとき、そのレベルは上昇したままである。細胞周期調節に対するUBE2Kの影響の機構的基盤、特に、サイクリンB1分解におけるその役割をさらに理解するために、UBE2Kの発現レベルを調節した場合および調節しない場合の同期MiaPaca2細胞における様々な細胞周期調節タンパク質のレベルを経時的に追跡した。実験の設定は次の通りである:(A)血清枯渇によるG0/G1期のMiaPaCa2細胞の同期化とそれに続く48時間のsiRNAによるトランスフェクション(B)2x FBS(DMEM中20%)培地を4日間添加することによる同期細胞の血清枯渇からの解放(C)細胞生存率およびサイクリンD1、E1、A2、B1およびCdc20を含む様々な細胞周期調節因子のレベルの測定。
MiaPaca2細胞の非同期集団(DMEM+10%FBSで増殖)を48時間の血清飢餓状態にした細胞と比較した細胞周期分析では、血清飢餓により約80〜85%の細胞がG1期に同期したことが明らかになった(図10)。
非同期MiaPaca2細胞集団における観察と同様に、siRNA媒介性UBE2Kノックダウン条件での生細胞数の減少が、同期MiaPaCa2集団でも同様に検出された。具体的には、MiaPaCa−2 UBE2Kノックダウン細胞は、同期化からの解放後96時間で、非標的化(NT)siRNA対照よりも約40%少ない生細胞を有していた(図11)。
サイクリンファミリータンパク質は、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)を活性化することにより、細胞周期を通して細胞の進行を制御する。細胞が細胞周期の異なる段階を進行するにつれて、サイクリンが細胞質酵素によって分解されるため、各チェックポイント(G1/SおよびG2/M)の後にサイクリンレベルが急激に低下する。細胞周期の異なる段階を通じたヒトサイクリンの発現レベルを表す図を図12に示す。UBE2Kと相互作用することが示されているサイクリンB1は、有糸分裂に関与する調節タンパク質である。サイクリンB1は、細胞周期プロセスの全体を通して蓄積し、有糸分裂中に活性化されるが、細胞周期が進行するためには有糸分裂の終わりに分解されることが重要である。Cdc20は、後期促進複合体/サイクロソーム(APC/C)の高度に保存された活性化因子であり、細胞周期が調節されたユビキチン化、ならびに有糸分裂サイクリン(AおよびB)およびセキュリンを含む多くの重要な細胞周期調節標的のタンパク質分解を促進する。
細胞の同期化および解放から得られた試料を用いてイムノブロッティングを行い、様々な細胞周期調節因子のレベルをチェックした。ウエスタンブロットの結果により、48時間後にsiRNAトランスフェクションによるUBE2Kのノックダウンが確認された。0時間の時点でのサイクリンE1レベルは、G1期に細胞が停止したことを示した。0、24、および36時間の時点でのサイクリンD1およびE1レベルにより、細胞が、UBE2Kのノックダウンによって乱されることなくG1期およびS期を周期的に繰り返したことが証明された。対照的に、サイクリンA2、サイクリンB1、およびCdc20タンパク質のレベルは同程度に蓄積したが、UBE2K siRNA処理細胞では、それらのレベルがベースラインに戻るのがより遅く、分解障害が示唆された。これらの観察結果は、解放後の生細胞数の減少とともに、MiaPaca2細胞におけるUBE2Kの喪失が中期から後期への移行を妨害し、細胞におけるG2/Mの停止につながることを示している(図13)。
実施例4:MiaPaCa2膵臓癌細胞の生存率に対するUBE2KノックダウンとCdc34ノックダウンの効果の比較
UBE2Kは、その基質上でのLys48結合ポリユビキチン鎖の形成を優先的に触媒し、プロテアソーム分解をもたらすことが知られている。Cdc34(Ube2R1)は、ユビキチンプロテアソーム系における別のLys−48鎖構築E2酵素であり、細胞周期G1調節因子のユビキチン媒介性分解を触媒し、複数の癌種の腫瘍抑制因子を調節する。上記の結果は、MiaPaca2細胞で標的siRNAを使用してUBE2Kをノックダウンすると、ロバストなG2/M細胞周期停止の結果として生細胞数が減少したことを示している。UBE2Kはユビキチン系に見られる約50のE2の1つであるため、細胞内のUBE2K特異性を評価することが重要である。上記の表現型がUBE2Kの機能に特異的であるかどうかを判断するために、機能的に類似したE2酵素cdc34をMiaPaca2細胞で一過性にノックダウンし、UBE2Kノックダウンの効果と比較した。ノックダウンはタンパク質レベルで確認された(図14)。予想通り、UBE2Kノックダウンにより、NT siRNAで処理したMiaPaca2細胞と比較した場合、トランスフェクションの72時間後に細胞生存率が約20%低下した。対照的に、Cdc34ノックダウンはMiaPaca2細胞の生存率に最小限の影響しか与えず(図15)、この細胞種でのUBE2Kに対する特有の役割を支持するものであった。
実施例5:MiaPaca2膵臓細胞におけるUBE2Kの安定したsh−RNA媒介性ノックダウン
インビボでの概念実証研究のために、安定したUBE2Kノックダウンを有するMiaPaca2細胞株を作製した。この目的のために、Miapaca2細胞を、UBE2Kを標的とするshRNAまたは非標的化対照を含むレンチウイルスで形質導入した。細胞株は、細胞の混合集団(「クローンのプール」)として作製した。UBE2Kの効率的なノックダウンは、mRNA(データは示さず)およびタンパク質レベル(図16)で検証された。さらに、UBE2Kの安定したノックダウン(shRNA2およびshRNA3)により、細胞周期調節因子であるサイクリンA2、サイクリンB1、およびcdc20のタンパク質レベルが増加した(図16)。UBE2K shRNAはまた、接種後72時間に、非標的化shRNA形質導入細胞と比べてUBE2Kの安定したノックダウン細胞で細胞数または核数が少ないことから示されるように、より緩徐な成長表現型を誘導した(図17および図18)。まとめると、これらのデータは、UBE2KのsiRNA媒介性ノックダウンを用いて観察された重要な知見が、UBE2Kの安定したノックダウン細胞で再現されていることを証明している。
実施例6:ヒト膵臓腫瘍におけるUBE2Kの発現
ヒト膵臓腫瘍におけるUBE2K発現の評価は、2つのデータセットを使用して行われた。一方は外部の公的に入手可能なデータセットからであり、もう一方は市販の腫瘍組織アレイプロセスからであった。UBE2Kの腫瘍発現(mRNA)および膵管腺癌患者の生存データは、公的に入手可能なTCGAデータベースから得た。結果は、UBE2K発現の低下と患者の生存率の増加との間に相関関係があることを示した(図19)。
75個の膵臓組織試料および一致する正常な隣接組織を含む組織マイクロアレイを使用して、UBE2K発現(タンパク質)の免疫組織化学的分析を行った(図20)。染色された組織を病理医がスコア化し、強い、中程度、弱い染色として推定した。染色の局在性も、膜、細胞質、または核として記録した。染色プロファイルの統計分析により、UBE2K染色が正常な隣接組織と比べて腫瘍組織で有意に強かったことが証明した(表4、p値<2e−16)。さらに、膜へのUBE2K染色は腫瘍組織でのみ観察され、正常な隣接組織では観察されなかった(表5、p値<2e−16)。
Figure 2022500378
実施例7:ヒト癌の細胞培養におけるUBE2Kの小分子阻害剤の効果
上記の実施例2に提供された方法を用いて、以下のヒト癌細胞株の細胞増殖および細胞死に対するUBE2Kの小分子阻害剤の効果を判定する:絨毛癌(JAR)、卵巣癌(PA−1)、T細胞白血病(ジャーカットクローンE6.1)、リンパ腫(SR)、胚性癌(NCCIT)、DB、B細胞リンパ腫(SU−DHL−6)、骨肉腫(MG63)、皮膚癌(DU4475)、Tリンパ芽球性白血病(MOLT−4)、慢性骨髄性白血病(K562およびKU812)、未分化大細胞リンパ腫(SU−DHL−1)、および結腸直腸腺癌(SW48)。UBE2Kの小分子阻害剤は、これらのヒト癌細胞株において細胞増殖を減少させ、細胞死を誘発すると予想される。
実施例8:ヒト癌のマウスモデルにおけるUBE2Kの小分子阻害剤の効果
実施例7に記載される癌のマウスモデルを評価して、インビボでの腫瘍発生に対する小分子UBE2K阻害剤の効果を判定する。各マウスモデルについて、ヒト癌細胞(1×10)をMATRIGEL(登録商標)に懸濁し、免疫不全マウスに注射する。癌は、平均して、治療開始前の少なくとも3週間に発症させる。腫瘍を形成する癌については、触知可能な腫瘍が存在しない限り、治療は開始されない。マウスは次のような2つの群にランダム化される。
i.群1―治療なし
ii.群2―UBE2Kの小分子阻害剤による治療
マウスの生存率および二次的症状を観察し、腫瘍を形成する癌の触診によって腫瘍の成長を監視する。死亡時に、腫瘍をマウスから採取して、測定し、秤量し、腫瘍血管系の存在について分析する。UBE2Kの小分子阻害剤は、マウスの生存率を高め、二次的症状を軽減し、腫瘍サイズを縮小すると予想される。

Claims (33)

  1. 癌を治療することを必要とする対象における癌を治療する方法であって、前記対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与することを含み、それによって前記対象における癌を治療する、方法。
  2. 癌細胞の増殖を低減することを必要とする対象における癌細胞の増殖を低減する方法であって、前記対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与することを含み、それによって前記UBE2K阻害剤を投与されていない対象と比較して前記対象における癌細胞の増殖を低減する、方法。
  3. 癌細胞の死滅を誘導することを必要とする対象における癌細胞の死滅を誘導する方法であって、前記対象にユビキチン結合酵素E2K(UBE2K)阻害剤を投与することを含み、それによって前記対象における前記癌細胞の死滅を誘導する、方法。
  4. 前記癌細胞の前記死滅が、アポトーシスによって誘導される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記UBE2K阻害剤が、UBE2Kの特異的阻害剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記UBE2K阻害剤が小分子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記UBE2K阻害剤が核酸阻害剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記核酸阻害剤がアンチセンス核酸分子を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記核酸阻害剤が二本鎖核酸分子を含む、請求項7に記載の方法。
  10. 前記二本鎖核酸分子が、siRNA、shRNA、およびダイサー基質siRNA(DsiRNA)からなる群から選択される二本鎖RNAを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記UBE2K阻害剤が抗体を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記癌が固形腫瘍を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記固形腫瘍が、癌腫、黒色腫、肉腫、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記固形腫瘍が、膵臓癌、肝臓癌、結腸直腸癌、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  15. 前記固形腫瘍が膵臓癌または肝臓癌である、請求項12に記載の方法。
  16. 前記癌が白血病である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記UBE2K阻害剤が、追加の薬剤とともに投与される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記追加の薬剤が抗癌剤である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記追加の薬剤が化学療法剤である、請求項17に記載の方法。
  20. 前記化学療法剤が、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ドセタキセル、フルダラビン、シタラビン、シクロホスファミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ブスルファン、メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メルファラン、クラドリビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、クロランブシル、タモキシフェン、タキソール、カンプトテシン、アクチノマイシン−D、マイトマイシンC、コンブレタスタチン、シスプラチン、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン、および5−フルオロウラシルからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記追加の薬剤が抗血管新生剤である、請求項17に記載の方法。
  22. 前記追加の薬剤が免疫療法剤である、請求項17に記載の方法。
  23. 前記免疫療法剤が、免疫チェックポイント分子の免疫チェックポイントモジュレーターである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記免疫チェックポイント分子が、CD27、CD28、CD40、CD122、OX40、GITR、ICOS、4−1BB、ADORA2A、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、LAG−3、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM−3、およびVISTAから選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記免疫チェックポイント分子が、刺激性免疫チェックポイント分子であり、前記免疫チェックポイントモジュレーターは、前記刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである、請求項23に記載の方法。
  26. 前記免疫チェックポイント分子が、抑制性免疫チェックポイント分子であり、前記免疫チェックポイントモジュレーターは、前記抑制性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストである、請求項23に記載の方法。
  27. 前記免疫チェックポイントモジュレーターが、小分子、阻害性RNA、アンチセンス分子、および免疫チェックポイント分子結合タンパク質から選択される、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記免疫チェックポイント分子がPD−1であり、前記免疫チェックポイントモジュレーターがPD−1阻害剤である、請求項23に記載の方法。
  29. 前記PD−1阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、SHR−1210、MEDI0680R01、BBg−A317、TSR−042、REGN2810およびPF−06801591から選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記免疫チェックポイント分子がPD−L1であり、前記免疫チェックポイントモジュレーターがPD−L1阻害剤である、請求項23に記載の方法。
  31. 前記PD−L1阻害剤が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MDX−1105、AMP−224およびLY3300054から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記免疫チェックポイント分子がCTLA−4であり、前記免疫チェックポイントモジュレーターがCTLA−4阻害剤である、請求項23に記載の方法。
  33. 前記CTLA−4阻害剤が、イピリムマブ、トレメリムマブ、JMW−3B3およびAGEN1884から選択される、請求項32に記載の方法。
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