JP2022186642A - 多層シート、容器、電子レンジ用容器及び多層シートの製造方法 - Google Patents

多層シート、容器、電子レンジ用容器及び多層シートの製造方法 Download PDF

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崇徳 大坪
Takanori Otsubo
直樹 宮本
Naoki Miyamoto
川 殷
Chuan Yin
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Abstract

【課題】耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる、多層シート、容器及び電子レンジ用容器、ならびに前記多層シートの製造方法を提供する。【解決手段】発泡ポリスチレンを含む基材層と、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含む延伸された表面層と、を含む、多層シート。【選択図】 なし

Description

本発明は、多層シート、容器、電子レンジ用容器及び多層シートの製造方法に関する。
具体的には、本発明は、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる、多層シート、容器及び電子レンジ用容器、ならびに前記多層シートの製造方法に関する。
特許文献1には、スチレン系樹脂積層シートを成形してなる容器が開示されている。
特開2004-230795号公報
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の技術には、容器の耐熱性、耐油性及び意匠性を向上する観点でさらなる改善の余地が見出された。
本発明の目的の1つは、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる、多層シート、容器及び電子レンジ用容器、ならびに前記多層シートの製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、発泡ポリスチレンを含む基材層と、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含む延伸された表面層と、を含む多層シートが、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の多層シート等を提供できる。
1.発泡ポリスチレンを含む基材層と、
シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含む延伸された表面層と、
を含む、多層シート。
2.前記表面層の厚さが5~100μmである、1に記載の多層シート。
3.前記基材層と前記表面層との間に印刷層を含む、1又は2に記載の多層シート。
4.前記基材層と前記表面層との間に接着層を含む、1~3のいずれかに記載の多層シート。
5.前記表面層のシンジオタクチック構造を有するポリスチレンが、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体である、1~4のいずれかに記載の多層シート。
6.前記共重合体における前記パラメチルスチレンの含有量が1~50mol%である、5に記載の多層シート。
7.前記発泡ポリスチレンの発泡倍率が8~15倍である、1~6のいずれかに記載の多層シート。
8.前記表面層の延伸倍率が、縦方向に1.5~4.0倍、横方向に1.5~4.0倍である、1~7のいずれかに記載の多層シート。
9.1~8のいずれかに記載の多層シートを含む、容器。
10.電子レンジ調理に用いる、9に記載の容器。
11.9又は10に記載の容器からなる、電子レンジ用容器。
12.1~8のいずれかに記載の多層シートを製造する方法であって、延伸された前記表面層を180℃以上の温度で熱固定することを含む、方法。
本発明によれば、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる、多層シート、容器及び電子レンジ用容器、ならびに前記多層シートの製造方法を提供することができる。
実施例及び比較例におけるレンジ加熱試験を説明する写真(容器を上方から撮影した写真)である。 レンジ加熱試験1の結果を示す写真である。 レンジ加熱試験1の結果を示す写真である。 レンジ加熱試験2の結果を示す写真である。 レンジ加熱試験3の結果を示す写真である。
以下、本発明の多層シート、容器、電子レンジ用容器及び多層シートの製造方法について詳述する。
尚、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
1.多層シート
本発明の一態様に係る多層シートは、発泡ポリスチレンを含む基材層と、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含む延伸された表面層と、を含む。
本態様に係る多層シートによれば、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる効果が得られる。
この多層シートは、表面層に油が付着した状態で加熱されたときに、表面荒れ、変形及び穴あきが防止される。そのため、この多層シートは、例えば、食品に由来する油が付着した状態で加熱される容器、例えば電子レンジ用容器等に好適に用いられる。この多層シートを用いて製造された容器は、意匠性に優れ、電子レンジ加熱耐性(電子レンジ加熱時の耐熱性及び耐油性)に優れる。
また、この多層シートは、表面層の光沢度が高く、ヘイズが低く、透明性に優れるため、意匠性に優れる。例えば表面層と基材層との間に印刷層が形成される場合においては、表面層を介して印刷層を鮮明に視認できる効果も得られる。
(基材層)
本態様に係る多層シートを構成する基材層は、発泡ポリスチレンを含む。
一実施形態において、発泡ポリスチレンの発泡倍率は8~15倍である。このような発泡倍率の発泡ポリスチレンを含むシートは、ポリスチレンペーパー(略称「PSP」)とも称され、基材層として好適に用いられる。
尚、発泡倍率は、未発泡時の体積に対する発泡時の体積の割合(発泡時の密度に対する未発泡時の密度の割合と言い換えることもできる。)として求めることができる。例えば、厚さ1mmの発泡シートを20cm×20cm(体積:40cm)で切り出した試料の質量が4.2gであれば、発泡時の密度(見掛け密度)は0.105g/cmである。このとき、試料の未発泡時の密度(試料を構成する材料の組成によって定まる真密度)が1.05g/cmであれば、発泡倍率は10倍と算出される。
基材層の材料としては、ポリスチレンを単独で用いてもよく、ゴムを添加したポリスチレン(「耐衝撃性ポリスチレン(略称「HIPS」)」ともいう。)を用いてもよい。
また、基材層の材料として、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのアロイ体、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとの共重合体等を用いてもよい。
基材層を製造する方法は格別限定されず、例えば、押出し発泡による方法、押出しシートを後加熱して発泡させる方法等が挙げられる。また、基材層はPSPとして市販されているものを用いてもよい。
一実施形態において、基材層の厚さは、300μm以上、500μm以上、700μm以上又は1000μm以上であり、また、5000μm以下、3000μm以下又は2000μm以下である。
尚、基材層の厚さは、滑走式ミクロトームを用いて切断した多層シートの断面を光学顕微鏡で観察することにより測定できる。後述する表面層、印刷層及び接着層の厚さについても同様である。
(表面層)
本態様に係る多層シートを構成する表面層は、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含み、かつ延伸されている。
これにより、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンの配向結晶化が起こり、表面層に優れた耐熱性及び耐薬品性(耐油性を含む)が付与される。このような効果は、シンジオタクチック構造を有しないポリスチレンを延伸しても発揮されない。
表面層は多層シートの表面を構成する層である。但し、基材層も多層シートの表面(表面層とは反対側の表面)を構成してもよい。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレンにおいて、シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素-炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有する。
シンジオタクチック構造のタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C-NMR)により定量される。13C-NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。
本態様において好適に用いられるシンジオタクチック構造を有するポリスチレンとしては、例えば、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、又はラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体、これらの混合物、これらを主成分とする共重合体等が挙げられる。
ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等が挙げられる。
ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。
ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等が挙げられる。
ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレンの好ましい例として、スチレンのホモポリマー、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体、スチレンとエチレンとの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体が好適であり、これにより表面層の透明性をさらに向上できる。
一実施形態において、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体におけるパラメチルスチレンの含有量は、1~50mol%、1~40mol%、1~30mol%又は1~20mol%である。
一実施形態において、スチレンとエチレンとの共重合体におけるエチレンの含有量は、1~50mol%、1~40mol%、1~30mol%又は1~20mol%である。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレンのメルトフローレート(MFR)は格別限定されない。
一実施形態において、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンのMFRは、1~30g/10minであり、好ましくは5~15g/10minである。これにより、表面層を形成する際に、押出し成形等の成形方法を好適に適用できる。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレンのMFRは実施例に記載の方法により測定される値である。
表面層は、本発明の効果を損なわない範囲で、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン以外の他の樹脂、添加剤等が挙げられる。
他の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、アタクチック構造を有するポリスチレン、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン三元共重合体等が挙げられる。表面層が他の樹脂を含む場合は、ここに例示したような耐熱性及び耐衝撃性に優れる樹脂が好ましい。
添加剤としては、例えば、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤)、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤等が挙げられる。
一実施形態において、表面層の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.7質量%以上又は実質的に100質量%が、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンであるか、又は、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン及び上述した他の成分から選択される1種以上である。
表面層の延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。表面層は、二軸延伸されていることが好ましく、これにより、本発明の効果がより良好に発揮される。
表面層の延伸倍率は、表面層の透明性をさらに向上する観点で、1.0倍以上、1.2倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上、2.0倍以上、2.2倍以上さらには2.5倍以上であることが好ましい。また、表面層の延伸倍率は、多層シートの耐熱性(熱による収縮及び変形の防止)や成形性(例えば成形時の金型への追従性)を向上する観点で、6.0倍以下、5.0倍以下、4.5倍以下、4.0倍以下、3.8倍以下、3.5倍以下さらには3.3倍以下であることが好ましい。尚、表面層が熱固定される場合、上記延伸倍率は熱固定後の最終的な延伸倍率である。
上記延伸倍率は、表面層が一軸延伸されている場合は、一方向における延伸倍率として適用でき、表面層が二軸延伸されている場合は、二方向(縦方向及び横方向)のそれぞれにおける延伸倍率として適用できる。縦方向の延伸倍率と、横方向の延伸倍率とは、互いに同じでも、異なってもよい。
一実施形態において、表面層の厚さは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上又は5μm以上であり、また、100μm以下、80μm以下、60μm以下又は50μm以下である。
一実施形態において、表面層のいずれか一方の面又は両方の面、好ましくは基材層側の面には、表面処理が施されている。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等が挙げられ、中でもコロナ処理が好ましい。表面処理により、電子レンジ加熱時における表面層の剥離をより確実に防止できる。
上述した表面処理によって、被処理面の表面エネルギーを向上させてもよい。表面処理としてコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等を施すことによって、被処理面の表面エネルギーを、例えば、36mN/m以上、好ましくは37mN/m以上、より好ましくは38mN/m以上にしてもよい。上限は格別限定されないが、例えば、70mN/m以下である。尚、表面エネルギーは、JIS K6768(1971年制定、1999年改正)に準拠して、ダインペンを用いて測定されるダインレベルである。尚、未処理の表面層の表面エネルギーは、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンの高い結晶性に由来して、通常は35mN/m以下である。
上述した表面処理は、表面層の延伸前後のいずれにおいて施してもよいが、好ましくは延伸後に施すことである。
(印刷層)
一実施形態において、多層シートは、基材層と表面層との間に印刷層を含む。
印刷層は、表面層上に印刷された模様や文字等によって構成される。印刷層は、表面層の一部又は全部を被覆し得る。印刷層は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散された染料や顔料などの着色材と、を含むことができる。
印刷層の形成方法(印刷方法)は格別限定されず、例えば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、インクジェット法等が挙げられる。
例えば、グラビア印刷法をおこなう場合はグラビア印刷用のインキを用いることができ、インキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社のフィナート(登録商標)等が挙げられる。
印刷層の厚さは格別限定されず、例えば0.1~2μmである。
(接着層)
一実施形態において、多層シートは、基材層と表面層との間に接着層を含む。
接着層は、該接着層の両側に積層される層間を接着できるものであれば格別限定されない。接着層は、例えば、自体公知のアンカーコート剤及びドライラミネート剤等から選択される1種以上の接着成分を含むことができる。
接着層の形成方法は格別限定されず、例えば、接着成分を有機溶媒に溶解させた塗工液を、延伸済みの表面層上(あるいは表面層上に印刷層が形成されている場合は印刷層上)に塗布し、有機溶媒を蒸発させて除去することにより形成することができる。
一実施形態において、接着層の厚さは、0.1μm以上、0.2μm以上又は0.5μm以上であり、また、50μm以下、30μm以下又は10μm以下である。
一実施形態において、多層シートは、上述した印刷層と上述した接着層の両方を含む。この場合、これらの層は、例えば、基材層/接着層/印刷層/表面層の順で積層される。
2.容器
本発明の一態様に係る容器は、上述した本発明の一態様に係る多層シートを含む。本態様に係る容器によれば、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる効果が得られる。
一実施形態において、多層シートの表面層は、容器の内部(食品等の内容物と接触する側)に向けられ、基材層は、容器の外部に向けられる。
一実施形態において、容器は、電子レンジ調理に用いられる。ここでいう「調理」は、容器の内部に載置された食品を電子レンジによって単に加熱することを含む。このような用途において、本態様に係る容器は、電子レンジ加熱耐性(電子レンジ加熱時の耐熱性及び耐油性)に優れる効果を発揮できる。食品が油を含むものである場合、耐油性の効果が良好に発揮される。
本態様に係る容器は、複数回の調理に繰り返し使用してもよいが、通常は、一回の調理で使い捨てるものである。そのような容器は、該容器の内部に食品が載置された状態で消費者に提供され得る。このとき、容器の開口部は、例えば樹脂フィルム等によって密封されていてもよい。
3.電子レンジ用容器
本発明の一態様に係る電子レンジ用容器は、上述した本発明の一態様に係る容器からなる。本態様に係る電子レンジ用容器によれば、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れる効果が得られる。本態様に係る電子レンジ用容器については、本発明の一態様に係る容器についてした説明を援用し、ここでの詳細な説明は省略する。
4.多層シートの製造方法
本発明の一態様に係る多層シートの製造方法は、上述した本発明の一態様に係る多層シートを製造する方法であって、延伸された表面層を180℃以上の温度で熱固定することを含む。本態様に係る多層シートの製造方法によれば、耐熱性、耐油性及び意匠性に特に優れる多層シートが得られる。
本態様において、多層シートを構成する各層については、本発明の一態様に係る多層シートについてした説明が援用され、ここでの詳細な説明は省略する。
一実施形態において、多層シートの製造方法は、表面層を溶融押出すること、表面層を延伸すること、及び、延伸された表面層を180℃以上の温度で熱固定すること、をこの順で含む。
表面層を延伸する方法は格別限定されず、例えば一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸及びこれらを組み合わせた多段延伸法を用いることができる。なかでも同時又は逐次二軸延伸法を用いることが好ましい。延伸にはテンター法等を好ましく用いることができる。延伸温度は、例えば、90~200℃、好ましくは90~150℃である。
延伸された表面層は、熱固定に供される。熱固定は、延伸された表面層を緊張させた状態(引っ張った状態)で行うことができる。熱固定された表面層は、通常、熱固定の温度以上にならない限り、収縮が防止される(寸法が安定する)。熱固定の温度は、180℃以上、185℃以上又は190℃以上であり得、また、275℃以下、260℃以下又は245℃以下であり得る。熱固定のための加熱方法は格別限定されず、テンター装置により加熱する方法等を用いることができる。熱固定の時間は、例えば、1~300秒間、好ましくは1~60秒間である。
一実施形態において、多層シートの製造方法は、延伸され、熱固定された表面層と、基材層と、を積層することを含む。これにより、各層が一体化された多層シートを得ることができる。このとき、表面層と基材層との間には、印刷層及び接着層の一方又は両方が設けられていてもよい。積層方法は格別限定されず、熱圧着ロールにより圧着するラミネート法等が挙げられる。
5.容器の製造方法
本発明の一態様に係る容器の製造方法は、本発明の一態様に係る多層シートを熱成形することを含む。この熱成形によって、容器を製造することができる。熱成形の方法は格別限定されず、例えば、真空成形、熱板圧空成形等が挙げられる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
1.表面層の作成
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン1(出光興産社製、スチレンのホモポリマー)を、直径50mmの単軸押出機(シリンダー及びコートハンガーダイの温度:300℃)にて押出し、90℃の冷却ロールで冷却して、厚さ102μmの単層未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、テンターにより、118℃で縦方向(MD)に3.4倍に延伸し、次いで、118℃で横方向(TD)に3.4倍に延伸した。その直後、フィルムを緊張させた状態(幅方向に6%弛緩)で、200℃で10秒間、熱固定した。このようにして、厚さ10μmの単層二軸延伸フィルム(熱固定後の最終的な縦方向(MD)の延伸倍率:3.2倍、熱固定後の最終的な横方向(TD)の延伸倍率:3.2倍)からなる表面層を得た。
ここで、材料として用いたシンジオタクチック構造を有するポリスチレン1のMFRは6g/10minである。MFRは、株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサG-02を用いて、JIS K 7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)に準拠し、下記の測定条件で測定した。
[測定条件]
・測定温度:300℃
・測定荷重:1.2kg
2.接着層の形成
表面層上にドライラミネート接着剤(トーヨーモートン社製「TM-275A/B」)を塗布し、厚さ5μmの接着層を形成した。
3.積層
基材層(JSP社製「TN反」、厚さ1500μmの発泡ポリスチレンシート、発泡倍率11倍)と、接着層が形成された表面層(接着層側が基材層側に向けられている)とを、熱圧着ローラー(ロール表面温度140℃、ロール送り速度1m/分、シリンダーの線圧3.7kg/cm)を備える熱ラミネート機(大成ラミネーター社製「NP600」)を用いて熱ラミネートし、多層シートを得た。
4.成形
多層シートを、真空成形機(三和興業社製「FE-36PH」)を用いて成形し、容器を得た。
容器は、容器を上方から撮影した写真である図1(ここでは、容器の内部に焼きサバが載置されている)に示すように、長方形状の底部と、該底部の4辺から外方に傾斜するように立ち上がる4つの側壁とを備えている。底部の4辺には、該4辺に沿うように溝部が設けられている。4つの側壁の上端には、外方に向けてフランジ部が設けられている。容器において、多層シートの表面層は、容器の内部に向けられ、底部上面、内壁面及びフランジ部上面を構成している。
(実施例2)
実施例1において、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン1(出光興産社製、スチレンのホモポリマー、MFR=6g/10min)に代えて、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン2(出光興産社製、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体(パラメチルスチレンの含有量7.5mоl%)、MFR=14.0g/10min)を用い、ポリスチレン2から得た表面層の片面にコロナ処理を施し、当該コロナ処理を施した面に接着層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、容器を得た。
尚、コロナ処理を施した表面層の表面エネルギーは、JIS K 6768:1999(プラスチックフィルム及びシート-ぬれ張力試験方法)に準拠し、ダインペンを用いて評価した。ダインレベルが38mN/mのダインペンで、表面層に線を引き、引いた線が水滴にならずに安定に保持されていたことから、表面エネルギーは38mN/m以上であることを確認した。
(実施例3)
1.表面層の作成
実施例1と同様にして表面層を得た。当該表面層の片面にコロナ処理を施した。表面層のコロナ処理を施した面の表面エネルギーは実施例2と同様に評価し、38mN/m以上であることを確認した。
2.印刷層及び接着層の形成
表面層のコロナ処理を施した面に、グラビア印刷法により印刷層を形成した。
次いで、印刷層上に、ドライラミネート接着剤(トーヨーモートン社製「TM-275A/B」)を塗布し、厚さ5μmの接着層を形成した。
3.積層
基材層(JSP社製「TN反」、厚さ1500μmの発泡ポリスチレンシート、発泡倍率11倍)と、印刷層及び接着層が形成された表面層(接着層側が基材層側に向けられている)とを、接着層と発泡ポリスチレンシートが接するように重ね、熱圧着ローラー(ロール表面温度140℃、ロール送り速度1m/分、シリンダーの線圧3.7kg/cm)を備える熱ラミネート機(大成ラミネーター社製「NP600」)を用いて熱ラミネートし、多層シート(基材層/接着層/印刷層/表面層の順で積層)を得た。
4.成形
多層シートを、真空成形機(三和興業社製「FE-36PH」)を用いて成形し、実施例1と同形状の容器(印刷層を含む)を得た。
(実施例4)
実施例3において、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン1(出光興産社製、スチレンのホモポリマー、MFR=6g/10min)に代えて、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン2(出光興産社製、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体、当該共重合体におけるパラメチルスチレンの含有量7.5mоl%、MFR=14.0g/10min)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、容器(印刷層を含む)を得た。
この時、用いたポリスチレン2の表面層の表面エネルギーは、実施例3と同様に評価したところ、38mN/m以上であった。
(比較例1)
実施例1の「1.表面層の作成」において、延伸及び熱固定を省略し、厚さ50μmの単層未延伸フィルムを得た。この単層未延伸フィルムを表面層として用いることを試みたが、柔軟性がないため、上述した積層ができず、容器を得ることができなかった。
(比較例2)
実施例1の「1.表面層の作成」において、100質量部のシンジオタクチック構造を有するポリスチレン1に、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ社製「セプトン8006」)20質量部を添加したものを用いて、延伸及び熱固定を省略し、厚さ50μmの単層未延伸フィルムを得た。この単層未延伸フィルムを表面層として用いたこと以外は実施例1と同様にして、容器を得た。
(比較例3)
厚さ25μmのポリプロピレン単層未延伸フィルム(出光ユニテック社製「ユニラックスRS-503C」)を表面層として用いたこと以外は実施例1と同様にして、容器を得た。
(比較例4)
厚さ25μmのポリプロピレン単層未延伸フィルム(出光ユニテック社製「ユニラックスRS-503C」)を表面層として用いたこと、当該表面層へのコロナ処理を施さなかったこと以外は実施例3と同様にして、容器(印刷層を含む)を得た。
尚、この時用いた出光ユニテック社製「ユニラックスRS-503C」の表面エネルギーは実施例2と同様に評価し、36mN/m以上であることを確認した。前記の評価を行った面に印刷層を形成した。
評価方法及び評価
実施例1~4及び比較例2~4のそれぞれにおいて得られた容器及び接着層を形成する前の表面層について、以下の評価方法により評価した。尚、実施例2については容器の評価を省略した。実施例3、4及び比較例4については、レンジ加熱試験2及び3を省略した。
(1)レンジ加熱試験1
図1に示すように容器の底部中央に焼きサバを載置し、電子レンジに入れて、出力600Wで、40秒、90秒及び180秒(「180秒」は実施例1、3、4及び比較例3、4のみ。実施例3、4及び比較例4は「40秒」及び「90秒」を省略。)のそれぞれの時間で加熱した。次いで、電子レンジから容器を取り出し、容器から焼きサバを除去した。次いで、容器を、食器用洗剤(花王社製「キュキュット」)を用いて洗浄し、容器の外観を観察した。結果を図2及び図3に示す。尚、図3において(a)は容器を上方(表面層側)から見た様子を示し、(b)は容器を下方(基材層側)から見た様子を示している。
図2に示すように、実施例1の容器は、40秒間及び90秒間の加熱後において、全体的な変形は若干有るものの、表面層の表面状態は変わらなかった。溝部の一部において表面層が基材層から剥離したが、いずれの層にも穴の形成は見られなかった。また、洗浄により油が落ちた。180秒間の加熱後において、基材層に穴が開いたが、表面層には穴が開かず、内容物の漏れは生じなかった。
図3に示すように、実施例3及び4の容器は、180秒間の加熱後において、全体的な変形は若干有るものの、表面層の表面状態は変わらなかった。
図2に示すように、比較例2の容器は、表面層が厚く(50μm)形成されているため、全体的な変形が抑制されたが、焼きサバが載置された部分において、表面層が基材層から剥離した。尚、この結果より、表面層の厚さが実施例1と同じ(10μm)であれば、耐熱性及び耐油性がさらに低下する(実施例1よりも低下する)と推定される。
図2に示すように、比較例3の容器は、40秒間の加熱後において、穴が開くまでには至らないが、表面の荒れが著しかった。また、容器全体としての変形も著しかった。90秒間の加熱後において、表面層が溶融し、表面層から基材層までを貫通するように穴が開いた。また、表面の荒れも著しく、洗浄しても油が落ちなかった。180秒間の加熱後において、表面層から基材層までを貫通する穴はさらに大きくなった。
図3に示すように、比較例4の容器は、180秒間の加熱後において、表面層から基材層までを貫通するように穴が開いた。
(2)レンジ加熱試験2
レンジ加熱試験1において、焼きサバに代えてマヨネーズを用いたこと以外は同様に試験した。結果を図4に示す。図4より、レンジ加熱試験1と同様に、実施例1の容器が耐熱性及び耐油性に優れることが確認された。
(3)レンジ加熱試験3
レンジ加熱試験1において、焼きサバに代えてバターを用いたこと以外は同様に試験した。結果を図5に示す。図5より、レンジ加熱試験1と同様に、実施例1の容器が耐熱性及び耐油性に優れることが確認された。
(4)表面層のヘイズ
表面層(接着層を形成する前のもの)のヘイズを、濁度計(日本電色工業社製「NDH 5000」)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(5)表面層の光沢度
表面層(接着層を形成する前のもの)の光沢度を、光沢度計(日本電色工業社製「VG2000」)を用いて、JIS K 8741:1997に準拠して、60度鏡面光沢として測定した。結果を表1に示す。
(6)容器表面の光沢度
容器表面(底部の上面)の光沢度を、光沢度計(日本電色工業社製「VG2000」)を用いて、JIS K 8741:1997に準拠して、60度鏡面光沢として測定した。結果を表1に示す。尚、容器表面の光沢度は、50%以上であることが、実用上、好ましい。
(6)容器の外観
容器(レンジ加熱試験前のもの)の外観(高級感)を目視で観察し、比較例3を基準とする下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。尚、ここでいう「高級感」とは、様々な方向から目視で観察した時の光沢感や反射の度合いが強いことである。
[評価基準]
AA:比較例3より優れる
A:比較例3と同等である
B:比較例3に劣る
Figure 2022186642000001
以上の評価結果より、本発明に係る多層シート及び容器は、耐熱性、耐油性及び意匠性に優れ、特に電子レンジ加熱耐性(電子レンジ加熱時の耐熱性及び耐油性)にも優れることがわかる。

Claims (12)

  1. 発泡ポリスチレンを含む基材層と、
    シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを含む延伸された表面層と、
    を含む、多層シート。
  2. 前記表面層の厚さが5~100μmである、請求項1に記載の多層シート。
  3. 前記基材層と前記表面層との間に印刷層を含む、請求項1又は2に記載の多層シート。
  4. 前記基材層と前記表面層との間に接着層を含む、請求項1~3のいずれかに記載の多層シート。
  5. 前記表面層のシンジオタクチック構造を有するポリスチレンが、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体である、請求項1~4のいずれかに記載の多層シート。
  6. 前記共重合体における前記パラメチルスチレンの含有量が1~50mol%である、請求項5に記載の多層シート。
  7. 前記発泡ポリスチレンの発泡倍率が8~15倍である、請求項1~6のいずれかに記載の多層シート。
  8. 前記表面層の延伸倍率が、縦方向に1.5~4.0倍、横方向に1.5~4.0倍である、請求項1~7のいずれかに記載の多層シート。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の多層シートを含む、容器。
  10. 電子レンジ調理に用いる、請求項9に記載の容器。
  11. 請求項9又は10に記載の容器からなる、電子レンジ用容器。
  12. 請求項1~8のいずれかに記載の多層シートを製造する方法であって、延伸された前記表面層を180℃以上の温度で熱固定することを含む、方法。

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