JP2022179044A - イミド結合含有重合体およびその製造方法 - Google Patents

イミド結合含有重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱分解性および低誘電特性に優れるポリイミド、ポリアミドイミド樹脂等のイミド結合含有重合体、およびその製造方法を提供する。【解決手段】 ポリオレフィンポリオールおよびダイマージオールからなる群より選ばれる1以上のポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)およびトリメリット酸無水物を構造単位として有し、ウレタン結合を実質的に有さない、イミド結合含有重合体。【選択図】 なし

Description

本発明は、誘電特性、耐熱分解性に優れるイミド結合含有重合体およびイミド結合含有重合体の製造方法に関するものである。
フレキシブルプリント配線板(FPC)は、優れた屈曲性を有することから、パソコン(PC)やスマートフォンなどの多機能化、小型化に対応することができ、そのため狭く複雑な内部に電子回路基板を組み込むために多く使用されている。近年、電子機器の小型化、軽量化、高密度化、高出力化が進み、これらの流行から配線板(電子回路基板)の性能に対する要求がますます高度なものとなっている。特にFPCにおける伝送信号の高速化に伴い、信号の高周波化が進んでいる。これに伴い、FPCには、高周波領域での低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)の要求が高まっている。また、FPCは柔軟性や省スペース性が必要な電子機器の配線板材料、実装用基板材料へ適用されるなど、高耐熱性を要求される用途でもある。こうした背景から、低誘電率化に有効なオレフィン系化合物を原料とした変性ポリイミド樹脂の提案がなされている。(特許文献1)
特許4929623号
しかし、低誘電特性および耐熱性の要求が高まる中、特許文献1の変性ポリイミド樹脂は、低誘電特性および耐熱分解性の両面で十分に満足できるものではなかった。本発明は、耐熱分解性および低誘電特性に優れるイミド結合含有重合体を提供することを目的とする。
本発明者らが検討した結果、ポリイミド樹脂製造の過程で生成するウレタン結合が、低誘電特性および耐熱分解性に悪影響を与えることを解明し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
[1] ポリオレフィンポリオールおよびダイマージオールからなる群より選ばれる1以上のポリオール(A)、ならびにポリイソシアネート(B)およびトリメリット酸無水物を構造単位として有し、ウレタン結合を実質的に有さない、イミド結合含有重合体。
[2] 10GHzで測定した誘電正接(Df)が0.0025以下であり、かつ5%重量減少温度が350℃以上である、前記[1]に記載のイミド結合含有重合体。
[3] 前記ポリオール(A)とトリメリット酸無水物とを構造単位として有し、かつ酸無水物環構造を2以上有する酸無水物化合物(C)と、前記ポリイソシアネート(B)とを反応させる工程Aを有する、前記[1]または[2]に記載のイミド結合含有重合体の製造方法。
[4] 前記の工程Aが、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノンおよびジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1以上を含有する溶剤中で行われる、前記[3]に記載のイミド結合含有重合体の製造方法。
本発明によれば、耐熱分解性および低誘電特性に優れるポリイミド、ポリアミドイミド樹脂等のイミド結合含有重合体、およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の一形態について以下に詳述する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、既述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できる。
<ポリオール(A)>
本発明のイミド結合含有重合体は、ポリオレフィンポリオールおよびダイマージオールからなる群より選ばれる1以上のポリオール(A)を構造単位として有する。
ポリオール(A)としてポリオレフィンポリオールまたはダイマージオールを有することで、イミド結合含有重合体の低誘電特性を向上させることができる。ポリオレフィンポリオールまたはダイマージオールは単独で、または併用することもできる。ポリオレフィンポリオールは、2以上のヒドロキシ基を有するポリオレフィンであり、ポリオレフィンとしては例えばポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。ヒドロキシ基は、ポリオレフィン鎖の両末端に位置していることが好ましい。このようなポリオレフィンポリオールの具体例としては、例えば、G-1000、G-3000、GI-1000、GI-3000(以上、日本曹達(株)製)、Poly ip、エポール(以上、出光興産(株)製)などが挙げられる。
<ポリイソシアネート(B)>
本発明のイミド結合含有重合体を構成するポリイソシアネート(B)(以下、成分(B)とも言う)は、ポリイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートもしくは脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、又は3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジメチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジエチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジメトキシジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネート、ベンゾフェノン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-[2,2ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、3,3’または2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。耐熱性、密着性、溶解性、コスト面などを考慮すれば芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネートがより好ましい。これらを単独で、または2種以上を併用することができる。
なお、ポリイソシアネート化合物の代わりとして、対応するポリアミン化合物を使用しても本発明のイミド結合含有重合体を製造することが可能である。製造コストや副反応による水発生等の観点から、好ましい製造法は脱炭酸反応により重合体を得られるイソシアネート法である。
本発明のイミド結合含有重合体は、トリメリット酸無水物に由来する構造単位を有する。トリメリット酸無水物は、モノカルボン酸側でポリオール(A)と反応してエステル結合を、酸無水物環側でポリイソシアネート(B)と反応してイミド結合を生成し、本発明のイミド結合含有重合体を作成することができる。後述するとおり、トリメリット酸無水物の単位として、モノカルボン酸側がハライド化された無水トリメリット酸ハライドを用いて、ポリオール(A)との反応に供してもよい。
<イミド結合含有重合体>
本発明のイミド結合含有重合体は構造中にウレタン結合を実質的に有さないことが必要である。ウレタン結合を有さないことで耐熱分解性、低誘電特性が優れると考察される。
本発明のイミド結合含有重合体の10GHzで測定した誘電正接は、0.0025以下が好ましい。より好ましくは0.0020以下、さらに好ましくは0.0015以下である。誘電正接は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明のイミド結合含有重合体の5%重量減少温度は350℃以上が好ましい。より好ましくは370℃以上である。5%重量減少温度は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明のイミド結合含有重合体は、前記のとおりウレタン結合を実質的に有さない。そのため、重合段階でウレタン結合が実質的に生成しない製造方法であることが好ましい。そのような製造方法としては、たとえば、第一段階としてポリオール(A)とトリメリット酸無水物とを構造単位として有し、かつ酸無水物基を2以上有する酸無水物化合物(C)を合成し、第二段階として、得られた酸無水物化合物(C)の酸無水物基とポリイソシアネート(B)を反応させ、イミド結合を生成させる方法が挙げられる。このように反応段階を分けることで、ポリオール(A)のヒドロキシ基とポリイソシアネート(B)のイソシアネート基との反応によるウレタン結合の生成を回避することができる。
前記の第一段階における前記の酸無水物化合物(C)の合成方法としては、ポリオール(A)とトリメリット酸無水物とのエステル化反応により合成する方法や、ポリオール(A)と無水トリメリット酸ハライドとを反応させる方法が挙げられる。無水トリメリット酸ハライドを用いる方法が、反応性の観点から好ましい。具体的には以下の方法が例示される。すなわち、第一段階として、反応容器に窒素雰囲気下で、無水トリメリット酸ハライド、ポリオール(A)、溶媒および発生するハロゲン化水素を捕捉するアミンを加え、5℃未満で不揮発成分が10~50質量%、好ましくは20~30質量%で、攪拌し反応させる。手順としては、例えば、窒素雰囲気下、5℃未満にて無水トリメリット酸ハライドを先に溶剤に溶解させ、ポリオール(A)と塩基性化合物を別途溶解させた混合物を液温が5℃未満の状態を保ちながら滴下添加する。この時、アンチモン、チタン、錫、亜鉛、コバルト、ゲルマニウム、アルミ等の触媒を用いても良い。又、反応副生物としてハロゲン化水素が生成する為、捕捉するために塩基性化合物を用いる。塩基性化合物としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン等の有機三級アミン類、プロピレンオキサイド等のエポキシ類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。通常は、反応終了後、ハロゲン化水素と塩基化合物が反応して生成した塩を濾別し、精製する。
本発明のイミド結合含有重合体の製造方法の前記第一段階に用いられる溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、シクロペンタノン、2-メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ガンマブチロラクトンなどが挙げられる。得られた酸無水物化合物(C)とポリイソシアネート(B)との反応を考慮した場合、低極性のポリオール(A)残基の構造と高極性のアミドイミド構造の両方に対する溶解性の観点から、2-メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシドが望ましい。
無水トリメリット酸ハライドとポリオール(A)の反応仕込量は、無水トリメリット酸ハライド/ポリオール(A)のモル比で0.475~0.500が好ましく、より好ましくは0.498~0.500が好ましい。0.500を超えるとポリオール(A)が未反応物として残り、次工程のポリイソシアネート(B)が添加された際、ウレタン結合が生成してしまい、耐熱分解性、誘電特性が悪化する要因となる。また、0.475を下回ると未反応の無水トリメリット酸ハライドが濾別中など操作時に空気中の水分と反応して失活する際に塩が析出するため、好ましくない。無水トリメリット酸ハライドとしては、安価であり、かつ入手性が良いことから、無水トリメリット酸クロライドが好適に用いられる。
前記の第二段階としては、例えば、前記の第一段階で得られた酸無水物化合物(C)、ポリイソシアネート(B)、溶媒および重合触媒を用いて、窒素雰囲気下、80~190℃、好ましくは100~160℃で、不揮発成分が10~50質量%、好ましくは30~40質量%で5時間以上反応させた後、前記溶媒で適当な粘度まで希釈し、冷却することで目的のイミド結合含有重合体を得ることができる。
前記の酸無水物化合物(C)と、ポリイソシアネート(B)の反応仕込量は、ポリイソシアネート(B)/酸無水物化合物(C)のモル比で1.01~5であることが好ましく、より好ましくは1.01~2である。仕込量が1.01を下回ると分子量が低くもろい樹脂となり、一方、5を超えると反応時に粘度が高くなりゲル化しやすいため、いずれも好ましくない。
また、前記の酸無水物化合物(C)に、さらにトリメリット酸無水物やピロメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートなどの多価カルボン酸無水物を添加し、ポリイソシアネート(B)との共重合体としてもよい。前記の酸無水物化合物(C)とトリメリット酸無水物を併用する場合、ポリイソシアネート(B)との反応仕込量は前記と同様であり、すなわち、ポリイソシアネート(B)/(酸無水物化合物(C)と多価カルボン酸無水物の合計)がモル比で1.01~5であることが好ましく、より好ましくは1.01~2である。仕込量が1.01を下回ると分子量が低くもろい樹脂となり、一方、5を超えると反応時に粘度が高くなりゲル化しやすいため、いずれも好ましくない。前記の酸無水物化合物(C)と多価カルボン酸無水物を併用する場合、両者の比率は要求される耐熱性、低誘電特性、コストなどを考慮して任意に設定できる。好ましくは酸無水物化合物(C)と多価カルボン酸無水物の合計100モル部に対し、酸無水物化合物(C)が40モル部以上であり、より好ましくは60モル部以上、さらに好ましくは80モル部以上である。
イミド結合含有重合体を製造する際の触媒としては通常の反応触媒が用いられる。例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、ウンデセン、トリエチレンジアミン(1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン)等のアミン類等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<5%重量減少温度(5%Td)>
示差熱‐熱重量同時測定装置「DTG-60」(島津製作所社製)にて、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、窒素雰囲気下にて室温から5℃/分の昇温速度で測定した。測定試料には、試料溶液を塗膜化し、170℃で15分乾燥させ、溶剤を除去したものを用いた。
<誘電正接>
JIS C2565に準拠した空洞共振器(エーイーティー社製)を使用し、空洞共振器摂動法による測定から、周波数10GHzにおける誘電正接(tanδ)を算出した。測定試料には、試料溶液を離型基材に乾燥後の厚みが25μmとなるよう塗布し、170℃で15分間乾燥後、離型フィルムから剥離して得られた樹脂を用いた。
(製造例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、グローブボックス内を窒素で満たした状態で無水トリメリット酸ハライドとして無水トリメリット酸クロライド(東京化成工業社製)15.00g(0.071モル)をシクロヘキサノン(富士フィルム和光純薬社製)150gに溶解させた。その後、容器を氷浴に浸し液温を5℃未満に保った。別途、ポリオレフィンポリオールであるGI-1000(日本曹達社製、ポリブタジエンポリオール)56.70g(0.035モル)とトリエチルアミン(東京化成工業社製)7.89g(0.078モル)をシクロヘキサノン(富士フィルム和光純薬社製)133gに溶解させた。その後、滴下ロートを用いて温度5℃未満を保ちながら、ポリオレフィンポリオールの溶液を無水トリメリット酸クロライドの溶液中に滴下添加を行った。滴下完了後、氷浴を外し常温に戻った後、生成した塩酸塩を濾別し、精製し、酸無水物化合物(C1)の溶液を得た。この時の反応液をゲルクロマトフラフィー(GPC)で分析した結果、GI-1000や無水トリメリット酸クロライドとは異なる保持時間にピークが確認できた。
また、反応溶液を乾燥した試料10mgをCDCl 0.6mlに溶解後、その溶液をNMRチューブに充填し核磁気共鳴法(H-NMR)で測定を行った。ロック溶媒にはCDClを用い、積算回数は64回とした。測定装置はBRUKER社製NMR装置AVANCE-NEO 600(共鳴周波数600MHz)を用いて測定を行った。CDClのピークを7.3ppmとした時、GI-1000の末端ヒドロキシ基の最近傍の炭素に結合するプロトンに由来するピーク(3.6ppm)が、ほとんどが消失していた事から、反応終了を確認した。
(実施例1)
製造例1で得られた酸無水物化合物(C1)の溶液全量から、エバポレータにてシクロヘキサノンの一部を揮発させた。この時、全量は186g、不揮発分は38.6質量%であった。セパラブルフラスコに溶液全量を移し、窒素気流下にて、不揮発分が35.0質量%になるようにシクロヘキサノン36.0g、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を9.12g(0.036モル)添加した。その後、130℃で1時間反応させ、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.028g(0.184ミリモル)を添加し、さらに130℃で4時間反応させた。反応終了後、シクロヘキサノンで希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分30質量%の濃赤褐色で粘調なポリイミド樹脂(P1)の溶液を得た。
(実施例2)
酸無水物化合物(C1)とトリメリット酸無水物(TMA)との合計が0.035モル、モル比がC1/TMA=70/30となるようにトリメリット酸無水物を添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分30質量%の濃赤褐色で粘調なポリアミドイミド樹脂(P2)の溶液を得た。
(実施例3)
酸無水物化合物(C1)とトリメリット酸無水物(TMA)との合計が0.035モル、モル比がC1/TMA=50/50となるようにトリメリット酸無水物を添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分30質量%の濃赤褐色で粘調なポリアミドイミド樹脂(P3)の溶液を得た。
(製造例2)
ポリオールとしてダイマージオールであるPripol2033(クローダジャパン社製)20.20g(0.035モル)を用いた以外は製造例1と同様の手順により、酸無水物化合物(C2)の溶液を得た。この時の反応液をゲルクロマトフラフィー(GPC)で分析した結果、Pripol2033や無水トリメリット酸クロライドとは異なる保持時間にピークが確認できた。
また、製造例1と同様にH-NMR測定を行い、Pripol2033の末端ヒドロキシル基の最近傍の炭素に結合するプロトンに由来するピーク(3.9ppm、4.4ppm)が、ほとんどが消失していた事から、反応終了を確認した。
(実施例4)
酸無水物化合物として製造例2で得られた酸無水物化合物(C2)を用いた以外は実施例1と同様に行い、不揮発分30質量%の濃赤褐色で粘調なポリアミドイミド樹脂(P4)の溶液を得た。
(製造例3)
ポリオールとしてポリカーボネートポリオールであるデュラノールT5651(旭化成社製)35.44g(0.035モル)を用いた以外は製造例1と同様の手順により、酸無水物化合物(C3)の溶液を得た。この時の反応液をゲルクロマトフラフィー(GPC)で分析した結果、デュラノールT5651や無水トリメリット酸クロライドとは異なる保持時間にピークが確認できた。
また、製造例1と同様に1H-NMR測定を行い、デュラノールT5651の末端ヒドロキシル基の最近傍の炭素に結合するプロトンに由来するピーク(4.3ppm)が、ほとんどが消失していた事から、反応終了を確認した。
(比較例1)
酸無水物化合物として製造例2で得られた酸無水物化合物(C3)を用いた以外は実施例1と同様に行い、不揮発分30質量%の濃赤褐色で粘調なポリアミドイミド樹脂(P5)の溶液を得た。
(比較例2)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器内を窒素で満たした状態で、不揮発分が35質量%になるように、かつ、トリメリット酸無水物とGI-1000のモル比で50:50となるようにトリメリット酸無水物3.47g(0.018モル)、GI-1000 28.88g(0.018モル)、MDI9.12g(0.036モル)をシクロヘキサノン(富士フィルム和光純薬社製)71.1gにて混合、攪拌し溶解させた。その後、130℃まで昇温し5時間反応させ、ポリウレタンアミドイミド樹脂(P6)の溶液を得た。
(比較例3)
ポリオールとしてGI-1000に変えてデュラノールT5651を使用した以外は比較例2と同様に行い、ポリウレタンアミドイミド樹脂(P7)の溶液を得た。
(参考例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器内を窒素で満たした状態で、トリメリット酸無水物3.47g(0.018モル)、MDI9.50g(0.038モル)をシクロヘキサノン(富士フィルム和光純薬社製)71.1gにて混合、攪拌し溶解させた。その後、130℃で反応させたところ、ゲル化した。
(参考例2)
溶剤としてN-メチルピロリドン(NMP)を用いた以外は製造例1と同様に酸無水物化合物を合成し、引き続きNMP溶剤中で実施例1と同様の操作を試みたが、MDI添加後の重合反応中にゲル化した。
(参考例3)
溶剤としてトルエンを用いた以外は製造例1と同様に酸無水物化合物を合成し、引き続きトルエン溶剤中で実施例1と同様の操作を試みたが、MDI添加後の重合反応中にゲル化した。
(参考例4)
溶剤としてメチルエチルケトンを用いた以外は製造例1と同様に酸無水物化合物を合成し、引き続きメチルエチルケトン溶剤中で実施例1と同様の操作を試みたが、MDI添加後の重合反応中にゲル化した。
Figure 2022179044000001
表1で明らかなように、実施例1~4のイミド結合含有重合体は誘電正接が低く、5%重量減少温度が高い。そのため、低誘電特性および耐熱分解性に優れている。一方、比較例1の重合体はポリオール成分としてポリオレフィンポリオールまたはダイマージオールではなく、ポリカーボネートジオールを使用したため、誘電正接が高かった。比較例2の重合体は重合工程においてウレタン結合が生成しており、誘電正接が上昇し、5%重量減少温度が低下した。比較例3の重合体はポリオール成分としてポリカーボネートジオールを使用し、ウレタン結合も含むため、誘電正接が高く、5%重量減少温度が低下した。また、参考例1ではポリオール成分を有さずにトリメリット酸無水物とイソシアネートのみで重合させたため、重合体がシクロヘキサノンに溶解せず、ゲル化した。参考例2~4ではポリオール由来の低極性ユニットを含む重合体が各溶剤に溶解しなかったり、重合の進行とともに溶解性が低下したためゲル化し、重合できなかった。
本発明のイミド結合含有重合体は誘電特性、耐熱分解性に優れている。そのため、高周波領域で使用されるフレキシブル配線板(FPC)などの電子機器類の基盤や接着剤の材料として適用が可能である。

Claims (4)

  1. ポリオレフィンポリオールおよびダイマージオールからなる群より選ばれる1以上のポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)およびトリメリット酸無水物を構造単位として有し、ウレタン結合を実質的に有さない、イミド結合含有重合体。
  2. 10GHzで測定した誘電正接(Df)が0.0025以下であり、かつ5%重量減少温度が350℃以上である、請求項1に記載のイミド結合含有重合体。
  3. 前記ポリオール(A)とトリメリット酸無水物とを構造単位として有し、かつ酸無水物基を2以上有する酸無水物化合物(C)と、前記ポリイソシアネート(B)とを反応させる工程Aを有する、請求項1または2に記載のイミド結合含有重合体の製造方法。
  4. 前記の工程Aが、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノンおよびジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1以上を含有する溶剤中で行われる、請求項3に記載のイミド結合含有重合体の製造方法。
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