JP2022176716A - ミシン及び上糸先端部分をガイドするためのガイド装置 - Google Patents

ミシン及び上糸先端部分をガイドするためのガイド装置 Download PDF

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Abstract

【課題】縫い始めに保持した上糸先端部分の縫い目への巻き込みを抑止するための簡素な構成を提供する。【解決手段】釜(4)の近傍に設けられ、縫い始めにおいて上糸先端部分(T)を保持する上糸保持部(13,15)と、該上糸保持部により保持された上糸先端部分を上糸本体から切断する切断装置(8,10,11)とを備えるミシンにおいて、上糸先端部分(T)をガイドするためのガイド装置(21)を設ける。ガイド装置(21)は、釜(4)の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す規制部材(21b)を備え、上糸保持部により保持されて垂れ下がった状態の上糸先端部分(T)の釜(4)の内方への動きを規制し、縫い目への巻き込みを抑止する。規制部材(21b)は、釜軸方向に相対的に凹んだ凹み部分(21c)と、該凹み部分に連続し、釜軸方向に相対的に突出した突出部分(21e)を有し、さらに傾斜部分(21d)を有する。【選択図】 図5

Description

本発明は、縫い始めにおける上糸先端部分を処理する機能を備えたミシンに関し、さらには、上糸先端部分をガイドするためのガイド装置に関する。
縫い始め時に縫い針の目孔から上糸が糸抜けすることなく縫い目を形成するためには、縫い針の目孔に挿通して延びる上糸の先端部分を、或る程度の長さに確保する必要がある。しかし、この上糸先端部分が長いと、縫い上がった状態において、布の下側に垂れ下がる上糸先端部分が長くなるので、見栄えが悪くなる。また、長すぎる上糸先端部分を手作業でカットする場合は、その手間も余分に必要となる。さらに、縫い始め点(1針目)において布の下面に垂れ下がる上糸先端部分が2針目以降の縫い目に巻き込まれることにより、いわゆる鳥の巣と呼ばれる糸絡み状態が発生することもあり、そうすると、縫い品質が低下する。そこで、下記非特許文献1においては、針板と釜の間に上糸保持部及び切断機構を設け、縫い始めにおいて針板の下側に或る程度の長さで延びた上糸先端部分を保持し、数針の縫いを行った後に(つまり、縫い針の目孔から上糸が糸抜けするおそれが無くなった後に)、該保持された上糸先端部分を自動的に切断することを開示している。また、下記特許文献1においても同様の上糸保持部及び切断機構を開示している。
特許文献1においては、動メスに縫い針が挿通可能な貫通孔を備え、貫通孔の内縁部に糸切断部を設けている。そして、縫い始めの1針目を動メスの貫通孔に針落ちさせた後に動メスを固定メスとの挟持位置に移動させることで、縫い始めの上糸先端部分を針落ち位置から離し、動メスと固定メスとの間で挟持することにより上糸先端部分を保持する。これにより、保持された上糸先端部分が針落ち位置から離されるので、2針目以後数針の縫い目形成時に上糸先端部分の縫い込みによる鳥の巣の発生を低減できる。さらに、動メスを駆動することにより挟持位置で保持された上糸先端部分を切断し、これにより布の下側に垂れ下がる上糸先端部分を短くして見栄えのよい仕上がりとすることができる。
このように、縫い始めに上糸先端部分を針落ち位置から離れた位置で保持しておき、ある程度の縫目が形成された後に該保持された上糸先端部分を切断する方法は、鳥の巣防止に有効であるものの、次のような解決すべき課題を有する。すなわち、挟持位置から下方に垂れ下がる切断前の上糸先端部分はフリーであるため、特にコシ(弾性)が弱い柔らかい上糸の場合、この上糸先端部分が釜の奥側に入り込んでしまうことがあり得る。上糸先端部分が釜の奥側に入り込んだ状態で2針目以降の縫いを行うと、釜の外釜の剣先に捕捉された上糸のループが釜の内釜の外周をくぐり抜けるときに、挟持位置から垂れ下がる上糸先端部分を巻き込むことになる。上糸ループに巻き込まれた上糸先端部分は、切断後に糸屑となるものの、縫い目に縫い込まれた状態で布裏に残ってしまうことや、布の上面に引き上げられてしまうといった問題が生じる場合がある。これに対し、特許文献1に示されたミシンにおいては、エアブロー機構を備え、縫い始めの上糸先端部分にエアを吹き付けることで一定の方向へなびかせるようにし、挟持位置から垂れ下がる上糸先端部分の縫い目への巻き込みを防ぐことができるようにしている。しかし、エアブロー機構を採用しているため、ノズル配置、エア供給装置、及びそれらの制御手段を装備しなければならなく、構造が複雑化すると共に、コストがかかるといった問題がある。特に多頭ミシンにおいては、この問題が顕著となる。
特開2020-267号
公開技報2010-504794号
本発明は、上述の点に鑑み、縫い始めに保持した上糸先端部分の縫い目への巻き込みを抑止するための簡素な構成からなる装置、及びそのような装置を備えたミシンを提供しようとするものである。
本発明に係るミシンは、釜の近傍に設けられ、縫い始めにおいて上糸先端部分を保持する上糸保持部と、該上糸保持部により保持された上糸先端部分を上糸本体から切断する切断装置とを備えるミシンにおいて、前記釜の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す規制部材を備え、前記上糸保持部により保持されて垂れ下がった状態の上糸先端部分の前記釜の内方への動きを前記規制部材によって規制することを特徴とする。
規制部材は、釜の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成している。これにより、上糸保持部により保持された上糸先端部分が釜の周辺で垂れ下がった状態で、該釜の内方へ向かう動きをなすとき、規制部材によって該上糸先端部分の釜の内方への動きが規制される(止められる)。したがって、規制部材によって釜内方への動きが規制された上糸先端部分は、釜の外側へとガイドされる若しくはガイドされ易くなる。規制部材は、釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す、というだけの極めて簡素な構成からなっている。
規制部材の具体的形状を適宜に工夫することにより、上糸先端部分の釜内方への動きを規制し、外側へガイドする性能を向上させる若しくは適切化することができる。好ましい実施例として、規制部材は、釜軸方向に相対的に凹んだ凹み部分と、該凹み部分に連続し、釜軸方向に相対的に突出した突出部分とを有するとよい。更なる実施例において、前記規制部材は、前記凹み部分と前記突出部分との間に、該凹み部分から該突出部分に至る傾斜部分を有するとよい。このような傾斜部分によって、凹み部分によって一旦規制された上糸先端部分は、凹み部分から突出部分へと該傾斜部分をたどって滑らかに釜の外側へとガイドされる若しくはガイドされ易くなる。
本発明は、ミシンの部品であるガイド装置として把握することも可能である。すなわち、本発明に係るガイド装置は、縫い始めにおいてミシンの釜の周辺に垂れ下がった状態の上糸先端部分をガイドするためのガイド装置であって、前記釜の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す規制部材を備え、前記垂れ下がった状態の上糸先端部分の前記釜の内方への動きを前記規制部材によって規制することを特徴とする。
本発明の一実施例に係るミシンの釜土台を示す平面図。 図1に示す釜土台の正面図。 図1及び図2に示す釜土台の上部に設けられた糸切り装置(上糸保持部及び切断装置)の拡大分解斜視図。 縫い始めにおける上糸保持動作を説明するための図であり、糸切り装置(上糸保持部及び切断装置)の拡大平面図。 図2に示されるように釜の外周に配置されたガイド装置を抽出して示す拡大斜視図。 縫い始めにおいて上糸先端部分がガイド装置によってガイドされる動作を説明するための拡大正面図。 本発明の別の実施例に係るミシンの釜土台(シリンダーベッド)を示す平面図及び正面図。
図1は、原反物(例えば布地)を保持する矩形状の原反枠をミシンテーブル上で移動制御させながら縫い(例えば刺繍縫い)を施す、所謂、平縫いと称されるタイプのミシンの釜土台1を示す平面図である。図2は、この釜土台1の正面図である。公知のように、釜土台1はミシンヘッド(不図示)の下方に配置されている。なお、便宜上、一つの釜土台1のみを図示し説明するが、多頭式ミシンにおいては各ミシンヘッドに対応して、同様の複数の釜土台1を備えている。
釜土台1の上面には、縫い針(不図示)を通過させるための針孔2を備えた針板3が固定されている。針板3の下方には釜4が配置されている。一例として、釜4は周知の垂直全回転釜(2回転釜)であり、内釜5と外釜6で構成されている。外釜6は、釜土台1に回転自在に支持された釜軸7の先端部に固定されており、釜軸7の回転に応じて、内釜5の周囲で相対的に反時計方向に回転する。ボビンケース5aを収容する内釜5は回転することなく、該ボビンケース内には下糸ボビン(不図示)が収納される。外釜6は針落ちした縫い針の上糸ループを捕捉する剣先(フック)6aを備えており、周知のとおり、外釜6の回転に伴って剣先6aが捕捉した上糸ループを広げながら内釜5をくぐらせることで上糸と下糸を絡め、絡んだ上糸と下糸を縫い針の上昇に伴って引き上げることで1縫い目を形成する。
釜土台1の上部には、針板3と釜4との間に糸切り装置8が設けられている。糸切り装置8は、縫い始めにおいて上糸先端部分を保持する上糸保持部としての機能と、該上糸保持部により保持された上糸先端部分を上糸本体から切断する切断装置としての機能を有する。詳しくは、図3の分解図に示すように、糸切り装置8は、釜土台1に固定されたメスベース9上に固定メス10と可動メス11を備えている。固定メス10は、その下面に配置した下糸押え12とその上面に配置した上糸押え13とともにネジ14でメスベース9上に固定されている。また、固定メス10は、その先端部に断面形状が鋭角な刃部10aを備えている。上糸押え13は板バネ状であり、その先端に可動メス11の上面と当接して上糸を保持するための突部13aが形成されている。
可動メス11は、糸切り部材15と糸分け部材16とによって構成されている。糸切り部材15には、その先端側に切断部15aが形成されており、この切断部15aと固定メス10の刃部10aとの協働によって糸を切断するようになっている。糸分け部材16は、糸分け部16aと糸捕捉部16bを有する二股形状であり、糸分け部16aと糸捕捉部16bの間には開放空間16c(縫い針の通過を許容する空間)が形成されている。糸分け部16aの先端側には糸掛け片16dが形成されている。
可動メス11は、糸切り部材15の下面に糸分け部材16を配した状態で、メスベース9に対して回転自在に支持されたメス軸17の上端部にネジ18で固定されている。図2に示すように、メス軸17は、釜土台1の下方に配置された駆動ロッド19の往復スライドによって軸心回りに往復回動するように、リンク20を介して駆動ロッド19に連結されている。そして、駆動ロッド19は制御モータ等を駆動源とするメス駆動装置(不図示)に連結されている。したがって、メス駆動装置の制御によって駆動ロッド19が往復スライドすると、これに連動してメス軸17が可動メス11とともに軸線回りに往復回動することになる。
図4は、縫い始めにおける上糸保持動作を説明する図であり、図3に示した糸切り装置8を拡大平面図で示している。図4(a)は、可動メス11が所定の初期位置に設定された状態を示す。初期位置とは、可動メス11の糸分け部材16に形成された開放空間16cが針板3の針孔2の下方になる位置であり、縫い針(不図示)がこの開放空間16cを介して可動メス11を通過することを可能にする位置である。図4(b)は、可動メス11が所定の保持位置に設定された状態を示す。保持位置とは、上糸押え13の先端に設けられた突部13aと可動メス11の糸切り部材15とが重複した状態となる位置であり、この状態で、突部13aの下面と糸切り部材15の上面との間で上糸先端部分を挟持することができる。図示のように、保持位置に設定された可動メス11は針孔2から外れており、縫い針の上下動を妨げることはない。
縫いの開始に先立って、図示しないミシンの制御装置(例えばコンピュータ)による制御によって前記メス駆動装置を駆動して可動メス11を回動し、該可動メス11を図4(a)に示す初期位置に設定する。次いで、該ミシンの制御装置による制御によって公知のように縫いが開始されると、1針目は可動メス11の開放空間16cに針落ちが行われる。上糸先端部分は、1針目の針落ち後に上昇した縫い針から垂れ下がって針孔2を通って針板3の下方に残されている。
2針目の縫いのために縫い針が下降する前に、前記ミシンの制御装置による制御によって前記メス駆動装置を駆動して、可動メス11を図4で時計回りに所定角度だけ回動することにより、可動メス11を図4(b)に示す保持位置に設定する。可動メス11が初期位置から保持位置まで回動するとき、可動メス11の糸分け部材16も一緒に回動し、その過程で、針板3の下方に残されている上糸先端部分を、糸分け部材16の先端の糸掛け片16bで引っ掛け、針落ち位置から固定メス10の下方へ誘導する。さらに可動メス11の回動が進むと、該保持位置において上糸押え13の先端の弾性突部13aと糸切り部材15の上面との間で上糸先端部分が挟持される。なお、保持位置は針落ち位置から横方向に適宜ずれた位置である。こうして、縫い始めにおいて上糸先端部分が上糸押え13と糸切り部材15との間で保持されて、垂れ下がった状態となる。したがって、上糸押え13は、糸切り部材15と協働して(詳しくは糸切り動作を行う直前の糸切り部材15と協働して)、縫い始めにおいて上糸先端部分を保持する上糸保持部として機能する。なお、このような上糸保持部の具体的構成は、これに限らず、公知/未公知を問わず適宜の構成からなるものを採用してよい。例えば、上述のように可動メス11(上糸押え13及び糸切り部材15)によって上糸先端部分を保持する構成に限らず、可動メス11とは別体の上糸保持装置によって縫い始めにおいて上糸先端部分を保持するような構成であってもよい。そのような別体の上糸保持装置としては、例えば特許第5982228号公報に示されたようなものが知られている。
縫い始めから2乃至数針の縫いが行われたら、前記ミシンの制御装置による制御によって前記メス駆動装置を駆動して、可動メス11を上記保持位置から更に回動することにより上糸先端部分を切断する。すなわち、糸切り部材15の切断部15aを固定メス10の刃部10aと交差することによって、保持していた上糸先端部分を切断する。このように、糸切り装置8、特に可動メス11と固定メス10の組合せ(特に切断部15aと刃部10aの組合せ)が、上糸保持部により保持された上糸先端部分を上糸本体から切断するための切断装置として機能する。なお、このような切断装置の具体的構成も、これに限らず、公知/未公知を問わず適宜の構成からなるものを採用してよい。なお、釜土台1の下方に、糸屑となった上糸先端部分を回収するためのダストボックスを配設してもよい。
本明細書の冒頭でも説明したように、縫い始めにおいて保持されて垂れ下がった状態をなした長めの上糸先端部分が、引き続く縫い進行に伴い、縫い目に巻き込まれることで、不具合をもたらす原因になる。本実施例においては、次に述べるように、ガイド装置21を設けることにより、そのような不具合が起こらない又は起こりにくいように改善を施している。
図2において正面視で示されたガイド装置21は、釜4の外周に配置され、縫い始めにおいて上糸先端部分をガイドするように機能するものである。図5は、ガイド装置21のみを抽出して示す拡大斜視図である。図5に示すように、ガイド装置21の本体は、釜4の円筒側面に沿って湾曲した形状からなる規制部材21bからなっており、この規制部材21bは大略円弧状に湾曲した板片(例えば金属製の湾曲板片)からなっている。釜4の外周に配置されるガイド装置21の本体すなわち湾曲形状の規制部材21bは、外釜6の外周壁から適宜の間隔を空けるように形成・配置され、回転する外釜6には接触しないようになっている。規制部材21bは、釜4(外釜6)の全周を囲むものではなく、外釜6の回転方向の上流の上寄り(正面視で外釜6の左側)から下方に向けて外釜6を囲むように形成・配置される。図5に示すように湾曲板片状の規制部材21bの適宜部位から下方に平板片状の支持部21aが延びており、図2に示すようにネジ22によって釜土台1の下部に支持部21aを固定することにより、ガイド装置21は釜4の外周に所定の配置で固定される。なお、図2から理解できるように、ガイド装置21の規制部材21bは、少なくとも前記上糸保持部(上糸押え13等)の下方に位置するように配置されている。
ガイド装置21を構成している湾曲板片状の規制部材21bは、釜4の周辺で垂れ下がった状態をなしている上糸先端部分を、釜4の外側へとガイドするのに適している。すなわち、前記上糸保持部(上糸押え13と糸切り部材15の組合せ)により保持された上糸先端部分が釜4の周辺で垂れ下がった状態をなすとき、釜4の外周に配置された湾曲板片状の規制部材21bに上糸先端部分が当接し、もって、釜4の内方に向かう上糸先端部分の動きが該規制部材21bによって規制される(止められる)。これにより、垂れ下がった上糸先端部分が縫い目に巻き込まれることを可及的に抑制し得る。また、ガイド装置21は、釜4の回転方向に沿って湾曲した形状を成した規制部材21bを備えるだけの極めて簡素な構成からなっており、従来必要とされたエアブロー機構のような大がかりな機構又は装置が不要である。
一実施例として、図5に示すように、ガイド装置21の規制部材21bは、釜軸方向(図中、一点鎖線Yの方向)に相対的に凹んだ凹み部分21cと、該凹み部分21cに連続し、釜軸方向に相対的に突出した突出部分21eとを有する。なお、正面視したミシンの前面を前といい、背面を後ということにする。釜軸7は、図1に示すように前後方向に水平に延びているので、釜軸方向Yに相対的に凹んだ凹み部分21cとは、正面視で後方に凹んでいること(つまり規制部材21bの前縁が凹んでいる部分)を意味する。また、釜軸方向Yに相対的に突出した突出部分21eとは、正面視で前方に突出していること(つまり規制部材21bの前縁が突出している部分)を意味する。
凹み部分21cと突出部分21eとの配置は、釜軸7に垂直な方向(上下方向)に関して、凹み部分21cは下寄りに、突出部分21eは上寄りに位置し、かつ、外釜6の回転方向(図中、矢印Rの方向)の上流の上寄り(正面視で外釜6の左側)に突出部分21eが位置し、下流の下寄りに凹み部分21cが位置する。このような構成は、詳しくは後述するように、縫い始めにおいて、凹み部分21cが作る開放空間を介して上糸先端部分を釜4の前方に逃し、逃された上糸先端部分が上糸のコシ(弾性)により釜4の前方へとさらに抜け出て、突出部分21eによって規制されることで釜4の後方(奥側)へと移動しないように、有利に機能する。
図5に示された好ましい実施例において、ガイド装置21は、凹み部分21cと突出部分21eとの間に、該凹み部分21cから該突出部分21eに至る適宜の傾斜部分21dを有する。これにより、凹み部分21cが作る開放空間に一旦ガイドされた(逃された)上糸先端部分を、傾斜部分21dを介して、突出部分21eの方にスムーズにガイドすることができるので、有利である。
上述から理解し得るように、ガイド装置21の規制部材21bは、釜4(外釜6)の全周を囲む必要はなく、適宜の範囲にわたって設けられていればよい。すなわち、規制部材21bは、上寄り端部と下寄り端部によって規定された範囲を有していればよく、ここで、該上寄り端部は釜4の回転の上流寄りであり、該下寄り端部は釜4の回転の下流寄りである。一例として、規制部材21bは、適宜の角度範囲例えば180度未満の範囲にわたって設けられていればよく、また、少なくとも90度以上の範囲にわたって設けられていればよい。図5に示された例では、凹み部分21cと突出部分21eが設けられた範囲は、概ね、140度程度の範囲である。なお、ガイド装置21が上糸先端部分を釜外にガイドする機能を果たすためには、凹み部分21cよりも少なくとも上流側に突出部分21eが設けられていることが好ましい。
なお、図5の例においては、ガイド装置21の規制部材21bにおいて、凹み部分21cの下流側にも似たような突出部分が設けられているが、この下流側の突出部分は省略してよい。すなわち、ガイド装置21の規制部材21bは、凹み部分21cの下流側終端部位でカットされていてもよく、その場合、正面視で規制部材21bの右下端が凹み部分21cの下流側終端部位で終端し、規制部材21bの左上端が突出部分21eで終端することになる。
また、ガイド装置21の規制部材21bの構造(形状)は、凹み部分21cと突出部分21eを持つものに限らず、上糸先端部分を釜4の外側へガイドする構造を持つもの、すなわち、上糸先端部分の後方(釜4の内方つまり奥側)への移動を阻止する(規制する)構造を持つものであればどのようなものでもよく、種々の変形が許容される。例えば、突出部分21eと傾斜部分のみからなるもの(換言すれば、凹み部分21cそれ自体が釜軸方向に徐々に傾斜する傾斜凹みとして形成されたもの)、あるいは規制部材21bの前縁が全体的に釜軸方向に傾斜しているもの、等であってもよい。なお、これらの傾斜は、略直線状の傾斜に限らず、曲線状(又は非線形)傾斜であってもよい。
一例として、釜軸方向Yに関して、凹み部分21cが釜4の前面位置(ボビンケースの前面)よりも後方に位置するような配置で、規制部材21bを構成し得る。また、一例として、釜軸方向Yに関して、突出部分21eが釜4の前面(ボビンケースの前面)位置よりも前方に位置するような配置で、規制部材21bを構成し得る。参考として、図5において、二点鎖線で釜4を略示し、釜4の前面位置(ボビンケースの前面)を符号4aで略示している。しかし、これに限らず、このような釜軸方向Yに関する、凹み部分21cと突出部分21eの相対的位置関係及びこれらと釜4との相対的位置関係は、規制部材21bによる上糸先端部分の釜4内方への動きの規制を適切に行い得るように、適宜に定めることができる。例えば、凹み部分21cを釜4の前面位置とほぼ同じように位置させ、突出部分21eをそれよりも前方に位置するような配置で、規制部材21bを構成してもよい。
図6は、縫い始めにおいて上糸先端部分Tがガイド装置21によってガイドされる動作を説明するための拡大正面図である。図6において、釜4は二点鎖線で略示し、上糸先端部分Tのうち釜4の外にある部分を実線で示し、釜4の奥側に引き込まれて隠れている部分は点線で示している。以下、図6及び図4を参照しつつ、縫い始めにおいて上糸先端部分Tがガイド装置21によってガイドされる動作を説明する。
前述したように、縫いの開始に先立って、可動メス11は図4(a)に示す初期位置に設定される。そして、1針目の針落ちが行われると、縫い針(不図示)に通された上糸のループが外釜6の剣先6aによって捕捉され、周知のように、外釜6の回転にともなって該ループを広げながら上糸が内釜5の裏側に引き込まれる。1針目においては、外釜6の1回目の回転につれて該広げられたループが解けて、縫い針の目孔から延びた上糸先端部分Tが針板3の下方に引き出される。図6(a)は、このように1針目において上糸先端部分Tが針板3の下方に引き出された状態を示している。
1針目の針落ちを終えた縫い針が上死点まで上昇すると、前述したように、可動メス11が回動されて図4(b)に示す保持位置に設定される。上糸先端部分Tは、可動メス11が回動する過程で糸分け部材16によって捕捉されて該保持位置まで移動し、該保持位置において上糸押え13の先端の弾性突部13aと糸切り部材15の上面との間で挟持され、該挟持位置で屈曲して下方に垂れ下がった状態となる。この状態で外釜6の回転がさらに進み、該外釜6の2回目の回転(縫い針は上死点のままで、外釜6が空転する)にともなって、該保持されている上糸先端部分Tが外釜6の剣先6aに捕捉される。図6(b)は、このように1針目の縫い終了後に上糸先端部分Tが上糸保持部(上糸押え13及び糸切り部材15)により保持され且つ外釜6の剣先6aに捕捉された状態を示している。
外釜6の回転がさらに進むと、上糸先端部分Tは自由端であるため、上糸先端部分Tは、外釜6の剣先6aからすり抜け、外釜6の上バネに案内されて前方へ押し出されていき、上糸先端部分Tの糸端T1がガイド装置21の規制部材21bの凹み部分21cから釜4の前方へ抜け出る。図6(c)は、このように1針目の針落ち終了後の外釜6の2回目の回転時に、上糸先端部分Tの糸端T1が規制部材21bの凹み部分21cから釜4の前方へ抜け出た状態(つまり、凹み部分21cが作る開放空間に逃された状態)を示している。
上糸先端部分Tの糸端T1が凹み部分21cに逃されることで、上糸が持つコシ(弾性)により前記挟持位置における自然な屈曲角度に戻るように、該挟持位置から垂れ下がった上糸先端部分Tの全体がさらに前方へと抜け出る。抜け出た上糸先端部分Tは規制部材21bによって後方への移動を規制されながら(挟持位置における屈曲角度に戻るように)上方へ移動する。従って、上糸先端部分Tは、凹み部分21cが作る開放空間から、外釜6の回転の上流寄り(図で左上方向)にある突出部分21eの方へと移行し易い。また、好適な実施例においては、凹み部分21cと突出部分21eの間には傾斜部分21dが形成されていることにより、上糸先端部分Tは、該傾斜部分21dに沿って、凹み部分21cから突出部分21eの方へとより一層移行し易い。図6(d)は、上糸先端部分Tが突出部分21eにガイドされた状態(突出部分21eの前縁に当接して、それよりも後方に移行することが阻止された状態)を示している。
このようにして、上糸保持部(上糸押え13及び糸切り部材15)により保持されて下方に垂れ下がった上糸先端部分Tは、ガイド装置21の規制部材21bの前縁(傾斜部分21d、突出部分21eのいずれかの前縁)に当接し、それよりも後方に(釜4の奥側へ)移動しないように規制/ガイドされる。この状態で2針目以降の縫い動作が行われる。周知のように、2針目以降の縫い動作では、外釜6の回転に伴って上糸ループに下糸が絡められ、且つ、縫い針の上昇に伴って上糸と下糸が締めつけられて、縫い目が形成される。このとき、上糸先端部分Tは針落ち位置から離れた保持位置で保持されており、且つ、該保持位置から垂れ下がった状態をなす該上糸先端部分Tが規制部材21bによって上記のように釜4の内方(つまり奥側)への移動が規制され、もって釜4の外側へガイドされるので、上糸先端部分Tが縫い目に巻き込まれることを可及的に抑制し得る。
一例として、2針目の縫い目を形成した後に、可動メス11を上記保持位置から更に回動することにより上糸先端部分Tを上糸本体から切断する。切断された上糸先端部分Tは糸屑となって下方に落下するが、該上糸先端部分Tが前記保持された状態でガイド装置21の規制部材21bによって上記のように釜4の外側へガイドされているため、糸屑となって落下する上糸先端部分Tが縫い目に巻き込まれることが防止される。なお、可動メス11による上糸先端部分Tの切断は、2針目の縫い目形成後に限定されることなく、縫い開始から数ステッチ後に行うようにしてもよい。
上記実施例(図1~図6)においては、本実施例に係るガイド装置21を、平縫いと称されるタイプの釜土台1を備えたミシンに適用した例を説明した。しかし、それに限定されることなく、本実施例に係るガイド装置21は、他の任意のタイプの釜土台を備えたミシンに対して適用可能である。
図7は、Tシャツなどの袋物に刺繍を施すタイプの細長状の釜土台すなわちシリンダーベッド30を備えたミシンに本実施例に係るガイド装置21を適用した例を示す。図7(a)はシリンダーベッド30の平面図、(b)はシリンダーベッド30の正面図である。図7において、図1~図6に示した部品と同一機能かつ略同一構成の部品は同一の参照番号を付してある。すなわち、図7に示された糸切り装置8の構成は、図1、図3、図4等に示された糸切り装置8と略同一構成からなっており、前述と同様に動作し機能する。また、図7に示されたガイド装置21の構成は、図2、図4、図5、図6等に示されたガイド装置21と略同一構成からなっており、前述と同様に動作し機能する。なお、図7(b)に見られるように、シリンダーベッド30に適用されるガイド装置21における支持部21aの形状は図2、図5に示された支持部21aの形状とは幾分異なっている。これは、単にガイド装置21を取り付ける部位の違いによる。図7に示されたガイド装置21における規制部材21bの構成及び動作は、図5、図6等に示したものと同様であるため、重複して説明することを省略する。
1 釜土台
2 針孔
3 針板
4 釜
5 内釜
6 外釜
7 釜軸
8 糸切り装置(切断装置)
9 メスベース
10 固定メス
11 可動メス
13 上糸押え
15 糸切り部材
16 糸分け部材
21 ガイド装置
21a 支持部
21b 規制部材
21c 凹み部分
21d 傾斜部分
21e 突出部分
30 シリンダーベッド
T 上糸先端部分

Claims (12)

  1. 釜の近傍に設けられ、縫い始めにおいて上糸先端部分を保持する上糸保持部と、該上糸保持部により保持された上糸先端部分を上糸本体から切断する切断装置とを備えるミシンにおいて、
    前記釜の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す規制部材を備え、
    前記上糸保持部により保持されて垂れ下がった状態の上糸先端部分の前記釜の内方への動きを前記規制部材によって規制することを特徴とするミシン。
  2. 前記規制部材は、釜軸方向に相対的に凹んだ凹み部分と、該凹み部分に連続し、釜軸方向に相対的に突出した突出部分とを有する、請求項1のミシン。
  3. 前記規制部材は、前記凹み部分と前記突出部分との間に、該凹み部分から該突出部分に至る傾斜部分を有する、請求項2のミシン。
  4. 前記凹み部分は下寄りに、前記突出部分は上寄りに位置するように、前記規制部材が配置されている、請求項2又は3のミシン。
  5. 前記釜軸方向に関して、前記凹み部分は前記釜の前面位置よりも後方に位置するように、前記規制部材が構成されている、請求項2乃至4のいずれかのミシン。
  6. 前記釜軸方向に関して、前記突出部分は前記釜の前面位置よりも前方に位置するように、前記規制部材が構成されている、請求項2乃至5のいずれかのミシン。
  7. 前記規制部材は、上寄り端部と下寄り端部によって規定された範囲を有し、該上寄り端部は前記釜の回転の上流寄りであり、該下寄り端部は前記釜の回転の下流寄りである、請求項1乃至6のいずれかのミシン。
  8. 前記規制部材は、前記釜の外周の180度未満90度以上の範囲にわたって配置される、請求項7のミシン。
  9. 前記規制部材は、少なくとも前記上糸保持部の下方に位置するように配置される、請求項1乃至8のいずれかのミシン。
  10. 縫い始めにおいてミシンの釜の周辺に垂れ下がった状態の上糸先端部分をガイドするためのガイド装置であって、
    前記釜の外周に配置され、該釜の回転方向に沿って湾曲した形状を成す規制部材を備え、
    前記垂れ下がった状態の上糸先端部分の前記釜の内方への動きを前記規制部材によって規制することを特徴とするガイド装置。
  11. 前記規制部材は、釜軸方向に相対的に凹んだ凹み部分と、該凹み部分に連続し、釜軸方向に相対的に突出した突出部分とを有する、請求項10のガイド装置。
  12. 前記規制部材は、前記凹み部分と前記突出部分との間に、該凹み部分から該突出部分に至る傾斜部分を有することを特徴とする請求項11のガイド装置。
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