JP2022176692A - 保持装置 - Google Patents

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Mitsuyoshi Kawanabe
友希 岡田
Yuki Okada
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Abstract

【課題】対象物を保持する板状部材に設けた複数の加熱ゾーンを、互いに異なる温度に容易に制御可能な保持装置を提供する。【解決手段】保持装置1は、第1の方向に直交する第1表面S1を有する板状部材10と、前記板状部材10において第1の方向について同じ位置に配された複数の発熱体50と、を備え、ウェハWを加熱しつつ第1表面S1に保持する。板状部材10には、第1の方向から視て、各々の内部に配された発熱体50A,50B1,50B2,50Cによって互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZが設けられるとともに、第1の方向から視て複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの間に配され、第1の方向について発熱体50A,50B1,50B2,50Cと同じ位置において、第1の方向に直交する方向に延びる下層面並行部分(空所)65Tが形成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、対象物を保持する保持装置に関する。
従来、半導体を製造する際にウェハ等の対象物を保持する保持装置として、板状部材を備え、板状部材の一方の面に対象物を静電引力によって吸着し保持する静電チャックが用いられている。静電チャックでは、対象物の温度を所望の温度に制御することが求められる。例えば下記特許文献1には、板状部材の内部にヒータ(発熱体)とガス流路が形成され、板状部材の他方の面に冷却機構を備えるベース板が積層された静電チャックが開示されている。このような静電チャックでは、一方の面に保持された対象物は、ヒータによって温められる一方、ベース板の冷却機構によって冷却される。加温と冷却のバランスを調整することにより、対象物の温度は所望の温度に制御される。このとき、ヘリウムガス等の熱伝導性の不活性ガスが、板状部材の他方の面に設けたガス流入孔からガス流路に流入され、一方の面に設けたガス流出孔から流出して、板状部材と対象物の間に供給される。これにより、板状部材の温度が対象物に伝わり易くなって、対象物の温度制御性が向上する。
静電チャックのように、対象物を板状部材に保持させて加工処理する保持装置では、対象物の加工レートの制御等を目的として、板状部材に複数の加熱ゾーンを設け、各加熱ゾーンを互いに異なる温度に加熱することが求められる場合がある。
特許第6678458号公報
本技術は、上記状況に鑑み、対象物を保持する板状部材に設けた複数の加熱ゾーンを、互いに異なる温度に容易に制御可能な保持装置を提供することを課題とする。
本開示に係る保持装置は、第1の方向に対して直交する第1表面及び第2表面を有する板状部材と、前記板状部材において前記第1の方向について同じ位置に配された複数の発熱体と、を備え、対象物を加熱しつつ前記第1表面に保持する保持装置であって、前記板状部材には、前記第1の方向から視て、各々の内部に配された前記発熱体によって互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンが設けられるとともに、前記第1の方向から視て前記複数の加熱ゾーンの間に配され、前記第1の方向について前記発熱体と同じ位置において、前記第1の方向に直交する方向に延びる空所が形成されている、保持装置である。
本開示によれば、対象物を保持する板状部材に設けた複数の加熱ゾーンを、互いに異なる温度に容易に制御可能な保持装置を提供できる。
図1は、実施形態1に係る保持装置の一部を破断して概略構成を模式的に示した斜視図である。 図2は、保持装置の内部構造の概要を模式的に示したXY断面図である。 図3は、図1の保持装置を、図2のP1-P1に対応する断面で切断したときの保持装置の内部構造の概要を模式的に示した図である。 図4は、変形例1-1に係る保持装置の内部構造の概要を模式的に示したXY断面図である。 図5は、変形例1-1に係る保持装置を、図4のP2-P2に対応する断面で切断したときの保持装置の内部構造の概要を模式的に示した図である。 図6は、実施形態2に係る保持装置の内部構造の概要を模式的に示したXY断面図である。 図7は、実施形態2に係る保持装置を、図6のP3-P3に対応する断面で切断したときの保持装置の内部構造の概要を模式的に示した図である。 図8は、変形例2-1に係る保持装置の内部構造の概要を模式的に示したXY断面図である。 図9は、変形例2-1に係る保持装置を、図6のP4-P4に対応する断面で切断したときの保持装置の内部構造の概要を模式的に示した図である。 図10は、変形例2-2に係る保持装置の内部構造の概要を模式的に示したXY断面図である。 図11は、変形例2-2に係る保持装置を、図10のP5-P5に対応する断面で切断したときの保持装置の内部構造の概要を模式的に示した図である。 図12は、他の実施形態に係る保持装置の内部構造の概要を模式的に示した断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
<1> 本開示の保持装置は、第1の方向に対して直交する第1表面及び第2表面を有する板状部材と、前記板状部材において前記第1の方向について同じ位置に配された複数の発熱体と、を備え、対象物を加熱しつつ前記第1表面に保持する保持装置であって、前記板状部材には、前記第1の方向から視て、各々の内部に配された前記発熱体によって互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンが設けられ、前記板状部材には、前記第1の方向から視て前記複数の加熱ゾーンの間に配され、前記第1の方向について前記発熱体と同じ位置において、前記第1の方向に直交する方向に延びる空所が形成されている、保持装置である。
上記<1>の構成によれば、複数の加熱ゾーンの各々に割り当てられ、各加熱ゾーンを互いに異なる温度帯に加熱する発熱体の間に、空所が形成される。よって、板状部材において加熱ゾーンを跨いだ熱移動が起こり難くなり、複数の加熱ゾーンの間に温度差を形成し易くなる。この結果、上記構成の保持装置では、複数の加熱ゾーンを容易に互いに異なる温度に加熱可能となる。なお、空所は、第1の方向について、一部が発熱体と同じ位置(同じ高さ)にあればよい。また、空所は、第1の方向から視て、各加熱ゾーンの外郭に沿って延在していることが好ましく、各加熱ゾーンを取り囲むように延在していることがより好ましい。
<2> 上記<1>の保持装置において、前記空所は、前記板状部材の内部に設けられた管路である。
ここで、「管路」は、外周面が閉塞されたトンネル状の空所をいうものとする。<2>の構成によれば、空所は、第2表面に開口する溝状をなすものではないため、空所の第2表面側にも、例えば発熱体に接続するドライバ配線を含む内部導電層等の構造体を埋設できる。この結果、上記構成の保持装置では、空所が板状部材の表面に開口するように設けられた溝である構成等と比較して、板状部材の内部構造の設計自由度が高くなる。
<3> 上記<2>の保持装置において、前記板状部材には、前記第1表面に設けられたガス流出孔と、前記第2表面に設けられたガス流入孔とを接続するガス流路が形成され、前記ガス流路は、前記第1の方向について前記発熱体よりも前記第1表面側に配され前記第1の方向に直交する方向に延びる面並行流路部分を含み、前記管路は、前記ガス流路に連通されている。
<3>の構成において、ガス流路の面並行流路部分に加え、管路にも熱伝導率が比較的高いヘリウムガス等の不活性ガスを流通させれば、加熱ゾーン間の熱移動を低減しながら板状部材の冷却を行って、第1表面の温度制御性を高めることができる。ここで、板状部材の第2表面に設けられるガス流入孔は、他の箇所とは温度が異なる温度特異点となって第1表面の温度分布に影響を与える。<3>の構成によれば、管路がガス流路に連通されることにより、ガス流路のガス流入孔と、空所へのガス流入孔とを共通化できる。この結果、上記構成の保持装置では、温度特異点の増加を抑えながら、各加熱ゾーンの温度制御性を高めることができる。
<4> 上記<1>から上記<3>の保持装置において、前記空所は、前記第1の方向について、前記発熱体の前記第2表面側の端部よりも前記第2表面側まで延びている。
発熱体から生じた熱は第1表面側に伝えられ、第1表面ひいては当該面に保持された対象物を温める。また、発熱体から生じた熱は第2表面側にも伝えられ、通常は第2表面側に配置される金属製ベース部材等によって冷却(抜熱)される。第1表面の温度分布は、発熱体よりも第2表面側における抜熱状態に影響され易いと推察される。<4>の構成によれば、発熱体の間から第2表面側に延びる空所が形成されていることで、特に抜熱時の、板状部材における加熱ゾーン間の熱移動が低減される。この結果、保持装置における各加熱ゾーンの温度制御の独立性を効果的に高めることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の保持装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、各図面の一部には、直交座標系XYZのX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図において同一方向となるように描かれている。以下の説明では、Z軸方向を上下方向とし、図3の上側を上、図3の下側を下とするが、保持装置が必ずこのような姿勢で設置されることを意味するものではない。以下の説明において、上下方向(Z軸方向)が、請求項の「第1の方向」に対応する。各図面において、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して他の部材の符号を省略することがある。また、各図面における部材の相対的な大きさや配置は必ずしも正確ではなく、説明の便宜を考慮して一部の部材の縮尺等を変更しているものがある。以下の説明において、「平行」「直交」は必ずしも厳密にこのような位置関係にあることを要さず、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、「略平行」「略直交」であることを含むものとする。
<実施形態1の詳細>
(保持装置)
以下、本実施形態に係る保持装置1を、図1から図3を参照しつつ説明する。保持装置1は、対象物(例えば、ウェハW)を所定の処理温度(例えば、50℃~400℃)に加熱しながら、静電引力によって吸着し保持する静電チャックである。静電チャックは、例えば減圧されたチャンバー内でプラズマを用いてエッチングを行うプロセスにおいて、ウェハWを載置するテーブルとして使用される。
図1は、保持装置1の概略構成を模式的に示した図である。保持装置1は、円板状の板状部材10と、同じく円板状のベース部材20と、を備える。ベース部材20の径は板状部材10よりも大きく、例えば板状部材10が直径300mm×厚み3mmの円板状をなす場合、ベース部材20は直径340mm×厚み20mmの円板状とすることができる。なお、板状部材10及びベース部材20は何れも略円板状をなすものであって、これらに、位置合わせを行うための凹凸等が設けられていてもよい。板状部材10とベース部材20は、上下方向に配列され、接合材30によって接合されている。板状部材10の上側の第1表面S1が、ウェハWを吸着し保持する吸着面とされ、板状部材10の下側の第2表面S2が、接合材30を介してベース部材20と接合される。ベース部材20の下側の面を、第3表面S3とする。
(板状部材)
板状部材10は、その第1表面S1及び第2表面S2となる(第1の方向に直交する)ように配されるものとして説明する(図3等参照)。板状部材10は絶縁性の基板であって、例えば、窒化アルミニウム(AlN)やアルミナ(Al)を主成分とするセラミックスにより形成できる。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。
図1等に示すように、板状部材10の内部において、上側すなわち第1表面S1側には、チャック電極40が配され、チャック電極40の下方すなわち第2表面S2側には、板状部材10を加熱するためのヒータ電極として機能する複数の発熱体50が配されている。チャック電極40及び発熱体50は、例えば、タングステンやモリブデン等を含む導電性材料によって形成できる。
チャック電極40は、例えば第1表面S1に平行な平面状をなし、端子等を介して電源に接続される。チャック電極40への給電が行われることによって静電引力が生じ、板状部材10の第1表面S1にウェハWが吸着保持される。発熱体50は、第1表面S1に平行な平面に沿って(第1の方向に直交する方向に)延びる電極であって、図2について後述するように、上方から視て線状パターンを形成するように配置され、ヒータ給電端子91,93を介して電源に接続される(図3等参照)。ヒータ給電端子91,93から発熱体50への給電が行われることによって板状部材10が加熱され、板状部材10の第1表面S1に保持されたウェハWが加熱される。
本実施形態に係る板状部材10には、上方(第1の方向)から視て、互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンが設けられている。図2は、板状部材10を、発熱体50が配置された層で切断したときの断面の様子を、模式的に示した図である。加熱ゾーンは、例えば図2に異なる網掛けによって示したように、板面中心を含む内周ゾーンAZと、外周縁部を含む外周ゾーンCZと、内周ゾーンAZと外周ゾーンCZの間に位置する中間ゾーンBZと、を含むように設けることができる。本実施形態では、さらに中間ゾーンBZを2種類に分け、図2における12時の位置から時計回りに、第1中間ゾーンB1Z、第2中間ゾーンB2Z、第1中間ゾーンB1Z、第2中間ゾーンB2Z、のように配置している。各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZは、互いに異なる温度帯に調整されることが求められる場合がある。例えば、内周ゾーンAZの目標温度600±5℃に対し、第1中間ゾーンB1Zの目標温度帯は620±5℃、第2中間ゾーンB2Zの目標温度帯は630±5℃、外周ゾーンCZの目標温度帯は660±5℃、といった具合である。なお、ここに記載する加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの数や配置、目標温度帯は一例に過ぎず、種々に変更が可能である。
図2に示すように、各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの内部には、当該ゾーンを加熱する発熱体50A,50B1,50B2,50Cがそれぞれ配される。すなわち、本実施形態に係る複数の発熱体50には、内周ゾーンAZの内部に配されて内周ゾーンAZを加熱する内周発熱体50Aと、第1中間ゾーンB1Zの内部に配される第1中間発熱体50B1と、第2中間ゾーンB2Zの内部に配される第2中間発熱体50B2と、外周ゾーンCZの内部に配される外周発熱体50Cと、が含まれる。図3に示すように、これら複数の発熱体50A,50B1,50B2,50Cは、すべて略同じ高さに配される。
発熱体50には、ヒータ給電端子である入力端子91と出力端子93が接続される。本実施形態では、図2に示すように、各加熱ゾーンに配置された発熱体50の各々に、導電性の接続部材(個別ドライバ電極)55を介して(図3参照)、入力端子91と出力端子93が接続される。具体的には、内周発熱体50Aに、内周入力端子91A及び内周出力端子93Aが、外周発熱体50Cに、外周入力端子91C及び外周出力端子93Cが、それぞれ接続される。また、2つの第1中間発熱体50B1には、第1入力端子91B1及び第1出力端子93B1が、2つの第2中間発熱体50B2には、第2入力端子91B2と第2出力端子93B2が、それぞれ接続される。各発熱体50A,50B1,50B2,50Cは互いに独立して制御可能とされており、目標温度帯に応じて各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZを個別に加熱できるようになっている。
図1等に示すように、板状部材10の第1表面S1には、複数(図1等では4つ)のガス流出孔61が設けられている。第1表面S1の外周縁部は、内周部分に比べて僅かに上方に突出するように形成されており、第1表面S1にウェハWが吸着保持されると、ウェハWと第1表面S1の間にギャップが形成される。他方、板状部材10の第2表面S2には、ガス流入孔62が設けられている(図3等参照)。そして、板状部材10の内部には、複数のガス流出孔61とガス流入孔62とを連通するガス流路60が形成されている。図1に示すように、ガス流路60は、後述する上層ガス流路63及び下層ガス流路65を含み、全長に亘ってこの内部を流体が移動可能に形成され、板状部材10の内部を上下方向に貫通している。ガス流路60のガス流入孔62には、後述するベース部材20の内部に形成されたベース内流路80が連通される(図3参照)。ベース内流路80に熱伝導流体であるヘリウムガス等の不活性ガスが導入されると、第2表面S2のガス流入孔62からガス流路60に流入したガスは、ガス流路60内を流れて第1表面S1のガス流出孔61から流出し、板状部材10とウェハWと間のギャップに充填される。これにより、第1表面S1の温度がウェハWに伝わり易くなり、ウェハWの温度制御性が向上する。
(接合材)
図1等に示すように、接合材30は、板状部材10とベース部材20の間に位置して、両者を接合する。接合材30には、例えばシリコーン系の有機接合剤、無機接合剤や、Al系の金属接着剤を含むボンディングシート等を用いることができる。接合材30は、板状部材10及びベース部材20の双方に対して高い接着力を有していることに加え、高い耐熱性と熱伝導性を有していることが好ましい。図には表れていないが、接合材30において板状部材10に形成されたガス流入孔62に対向する位置には、穴が設けられており、接合材30を上下方向に貫通する接合材内流路が形成されている。
(ベース部材)
図1等に示すように、ベース部材20は、接合材30により、板状部材10の下側すなわち第2表面S2側に接合される。ベース部材20の下側の面(板状部材とは反対側の面)を第3表面S3とする。ベース部材20は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金や、金属とセラミックスの複合体(Al-SiC)、又はセラミックス(SiC)を主成分として構成できる。ベース部材20は、既述したように板状部材10より大径な円板状をなし、この上に板状部材10の全体が載置される。
図1等に示すように、ベース部材20の内部には、冷媒路21が形成されている。冷媒路21に水やフッ素系不活性液体等の冷媒が流されることで、プラズマ熱の冷却が行われる。冷媒路21を冷媒が流れると、ベース部材20が冷却され、接合材30を介した熱伝導によって板状部材10が冷却され、さらに板状部材10の第1表面S1に保持されたウェハWが冷却される。冷媒の流れを調整することにより、ウェハWの温度が制御される。
図3に示すように、ベース部材20の第3表面S3には、下面開孔81が設けられている。そして、ベース部材20の内部には、上下方向(第1表面S1に垂直)に延びて、下面開孔81を、ガス流入孔62に対向する位置に設けられた接合材内流路に連通する(ベース部材20の内部を上下方向に貫通する)ベース内流路80が形成されている。
図3に示すように、ベース部材20の内部には、これを上下方向に貫通するように、ヒータ給電端子91,93が挿通されている。ヒータ給電端子91,93は、例えばニッケル(Ni)等の金属で形成できる。各ヒータ給電端子91,93の下端はベース部材20の下面に露出し、図示しない電源にそれぞれ接続される。また、各ヒータ給電端子91,93の上端は接合材30の上面に露出し、接続部材55等を介して発熱体50に接続されている。ヒータ給電端子91,93に接続された電源からの給電により、発熱体50が発熱する。既述したように、本実施形態では、発熱体50A,50B1,50B2,50Cの各々に、入力端子91A,91B1,91B2,91Cと出力端子93A,93B1,93B2,93Cが接続され、各発熱体50A,50B1,50B2,50Cは互いに独立して制御可能とされている。
(ガス流路)
板状部材10の内部に形成されたガス流路60について、改めて説明する。図1について既述したように、本実施形態に係るガス流路60は、上下方向(第1の方向)について、第1表面S1寄りの位置に形成された上層ガス流路63と、上層ガス流路63よりも第2表面S2側に形成された下層ガス流路65と、を含む。本実施形態に係るガス流路60は、全長に亘り、断面が略矩形のトンネル状の管路をなすように形成されている。管路の断面形状は、特に限定されるものではなく、略矩形、略円形、略半円形等の断面形状をなすように形成できる。本実施形態に係るガス流路60は、全長に亘り、略矩形の断面形状をなすように形成されている。
上層ガス流路63は、図3に示すように、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)上層面並行部分63Tと、ガス流出孔61と上層面並行部分63Tを接続する上層接続部分63Vと、を含む。上層面並行部分63Tは、板状部材10の内部において、チャック電極40の下方で発熱体50の上方に形成されている。本実施形態に係る上層面並行部分63Tは、図2に示すように、上方から視て(第1の方向から視て)、中間ゾーンBZの径方向中央部を周回する円環状に延びており、中間ゾーンBZに設けられた第1中間ゾーンB1Z及び第2中間ゾーンB2Zの各々に1つずつ、合計4つのガス流出孔61が形成されている。
下層ガス流路65は、図3等に示すように、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)下層面並行部分65Tと、上層面並行部分63Tと下層面並行部分65Tを接続する第1接続部分65V1と、下層面並行部分65Tとガス流入孔62とを接続する第2接続部分65V2と、を含む。本実施形態では、下層面並行部分65Tが、請求項の「空所」に対応する。本実施形態に係る下層面並行部分65Tは、ガス流路60の一部であって、ガス流路60に連通されている。下層面並行部分65Tは、板状部材10の内部において、複数の発熱体50と略同じ高さに配される。より詳しくは、本実施形態に係る下層面並行部分65Tは、その天面が発熱体50の上端部と略同じ高さに、その底面が発熱体50の下端部よりも下方に位置しており、下層面並行部分65Tの一部が発熱体50と同じ高さに位置している。
下層面並行部分65Tは、図2に示すように、上方から視て(第1の方向から視て)、板状部材10に設けられた各加熱ゾーンの間に配されている。具体的には、下層面並行部分65Tは、内周ゾーンAZと中間ゾーンBZの間、中間ゾーンBZと外周ゾーンCZの間において、これらの境界に沿って周方向に延在しているのに加え、中間ゾーンBZに設けられた第1中間ゾーンB1Zと第2中間ゾーンB2Zの間においては、これらの境界に沿って径方向に延在している。なお、本実施形態において、第1接続部分65V1は、図2における左上側の第2中間ゾーンB2Zと外周ゾーンCZの境界に位置し、第2接続部分65V2は、図2における右上側の第1中間ゾーンB1Zと外周ゾーンCZの境界に位置している。
下層面並行部分65Tを含むガス流路60の形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の公知の方法を採用できる。例えば、窒化アルミニウム粉末等を含む複数枚のグリーンシートを用いて板状部材10を作製する場合は、特定のパターンでメタライズペーストを付与した複数枚のグリーンシートを積層してブロック体を複数個作成し、1つもしくは複数のブロック体の一方もしくは双方の面に溝を形成し、溝が形成された面に他のブロック体を貼り合わせる。しかる後に、圧着、焼成、研磨穴あけ等の工程を実施することで、板状部材10の内部に、任意の高さ及び形状の面並行部分を有するガス流路60を形成できる。
(保持装置の使用)
保持装置1は、例えば半導体製造装置の一部として使用される。半導体製造装置のチャンバー内に設置された保持装置1の第1表面S1上にウェハWが載置され、電源からチャック電極40への給電が行われると、静電引力が生じて第1表面S1にウェハWが吸着される。チャンバー内に原料ガスが導入され電圧が印加されると、プラズマが発生してウェハWの処理が行われる。
ウェハWを処理する際、電源からヒータ給電端子91,93を介して発熱体50への給電が行われると、板状部材10ひいてはウェハWが加熱される。他方、冷媒路21に冷媒が流されると、ウェハWは冷却される。このとき、ベース部材20の下面開孔81から熱伝導ガスが導入され、ベース内流路80及びガス流路60を流れたガスが、板状部材10の第1表面S1のガス流出孔61から流出し、第1表面S1とウェハWの間に形成されたギャップに充填されることで、ウェハWの温度が高い精度で制御される。本実施形態に係る保持装置1では、発熱体50A,50B1,50B2,50Cを個別に制御することで、板状部材10の各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZが異なる目標温度帯になるように調整可能とされている。この結果、第1表面S1上に保持されたウェハWを、板状部材10の各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZに対向する領域ごとに異なる目標温度帯に加温し、各領域について所望の加工レート等を得ることができる。
(本実施形態の効果)
以上記載したように、本実施形態に係る保持装置1は、第1の方向(上下方向、Z軸方向)に対して直交する第1表面S1及び第2表面S2を有する板状部材10と、板状部材10において前記第1の方向について同じ位置に配された複数の発熱体50と、を備え、ウェハ(対象物)Wを加熱しつつ第1表面S1に保持する保持装置1であって、板状部材10には、前記第1の方向から視て、各々の内部に配された発熱体50A,50B1,50B2,50Cによって互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZが設けられ、板状部材10には、前記第1の方向から視て複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの間に配され、前記第1の方向について発熱体50A,50B1,50B2,50Cと同じ位置において、前記第1の方向に直交する方向に延びる下層面並行部分(空所)65Tが形成されている。
複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの各々に発熱体50A,50B1,50B2,50Cを割り当てて、個別に制御可能としても、実際には、板状部材10に設けられた加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZは互いに連結しているため、各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの境界を超えて熱移動が生じ得る。例えば第1中間発熱体50B1から生じた熱は、第1表面S1に平行な平面に沿って第1の方向に直交する方向にも移動し、第1中間ゾーンB1Zから径方向に隣接する内周ゾーンAZや外周ゾーンCZ、また周方向に隣接する第2中間ゾーンB2Zにまで伝えられる。このため、隣接する加熱ゾーンAZ,B2Z,CZの間に温度差を生じ難く、各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZを、互いに異なる目標温度帯に調整することが難しい場合があった。
本実施形態に係る保持装置1では、上方(第1の方向)から視て、複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの各々に割り当てられて各加熱ゾーンを互いに異なる目標温度帯に加熱する発熱体50A,50B1,50B2,50Cの間に、下層面並行部分(空所)65Tが形成される。この下層面並行部分(空所)65Tの存在により、板状部材10において加熱ゾーンを跨いだ熱移動が起こり難くなり、複数の加熱ゾーン間に温度差を形成し易くなる。この結果、本実施形態に係る保持装置1では、複数の加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZを、互いに異なる目標温度帯に容易に加熱可能となる。本実施形態の下層面並行部分(空所)65Tは、上方(第1の方向)から視て、各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの外郭に沿って延在している。特に内周ゾーンAZについては、このゾーン全体を取り囲むように延在しており、加熱ゾーン間の熱移動を抜けなく効果的に低減可能である点で好ましい。
また、本実施形態に係る保持装置1において、下層面並行部分(空所)65Tは、板状部材10の内部に設けられた管路である。すなわち、下層面並行部分65Tは外周面が閉塞されたトンネル状の空所であって、第2表面S2に開口する溝状をなすものではない。よって、下層面並行部分65Tの第2表面S2側にも、例えば発熱体50に接続する接続部材55等の内部導電層を埋設できる。この結果、本実施形態に係る保持装置1は、空所が板状部材の表面に設けられた溝である構成(図12参照)等と比較して、板状部材10の内部構造の設計自由度が高くなる。
また、本実施形態の保持装置1において、板状部材10には、第1表面S1に設けられたガス流出孔61と、第2表面S2に設けられたガス流入孔62とを接続するガス流路60が形成され、ガス流路60は、第1の方向について発熱体50よりも第1表面S1側に配され第1の方向に直交する方向に延びる上層面並行部分(面並行流路部分)63Tを含み、下層面並行部分(管路)65Tは、ガス流路60に連通されている。
保持装置1において、ガス流路60の上層面並行部分63Tに加え、下層面並行部分(管路)65Tにも熱伝導率が比較的高いヘリウムガス等の不活性ガスを流通させれば、下層面並行部分65Tに不活性ガスを流通させない時と比較して、第1表面S1の温度制御性を高めることができる。なお、上方から視て下層面並行部分65Tを挟んだ両側に位置する加熱ゾーンを、互いに異なる目標温度帯に加熱するためには、下層面並行部分65Tを通る熱移動が起こり難いことが好ましい。このため、ガス流路60を連通させる不活性ガスには、板状部材10を形成する材料よりも熱伝導率が低いものを用いる。下層面並行部分65Tに空気より熱伝導率の高い不活性ガスを流通させると、下層面並行部分65T内が空気で満たされている場合と比べて、加熱ゾーンを跨ぐ熱移動が起こり易くなる可能性があるが、下層面並行部分65Tが形成されていない従来の構成と比較すれば、加熱ゾーンを跨ぐ熱移動は低減される。また、板状部材10の第2表面S2に設けられるガス流入孔62、ひいてはこれに接続されるベース部材20の下面開孔81は、他の箇所とは温度が異なる温度特異点となって第1表面S1の温度分布に影響を与えるが、本実施形態に係る保持装置1では、下層面並行部分(管路)65Tがガス流路60に連通されることにより、ガス流路60のガス流入孔62と、下層面並行部分(管路)65Tへのガス流入孔62とを共通化できる。この結果、本実施形態に係る保持装置1では、温度特異点の増加を抑えながら、各加熱ゾーンの温度制御性を高めることができる。
また、本実施形態に係る保持装置1において、下層面並行部分(空所)65Tは、第1の方向について、発熱体50の第2表面側の端部(下端部)よりも第2表面S2側まで延びている。換言すれば、本実施形態に係る下層面並行部分65Tは、その天面が発熱体50の上端部と略同じ高さに、その底面が発熱体50の下端部よりも下方に位置しており、一部が発熱体50と同じ高さ(第1の方向について同じ位置)に、残りの部分が発熱体50よりも下方(第1の方向について第2表面S2側)に、位置している。
発熱体50から生じた熱は第1表面S1側に伝えられ、第1表面S1ひいては当該面に保持されたウェハ(対象物)Wを温める。また、発熱体50から生じた熱は第2表面S2側にも伝えられ、第2表面S2に接合されたベース部材20によって冷却(抜熱)される。第1表面S1の温度分布は、発熱体50よりも第2表面S2側における抜熱状態に影響され易いと考えられている。保持装置1では、発熱体50の間から第2表面S2側に延びる下層面並行部分(空所)65Tが形成されていることで、特に抜熱時の、板状部材10の内部における加熱ゾーン間の熱移動が低減される。この結果、保持装置1では、各加熱ゾーンの温度制御の独立性を効果的に高めることができる。
<実施形態1の変形例1-1>
以下、実施形態1の変形例1-1に係る保持装置101を、図4及び図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係る保持装置101は、主として、板状部材110の内部に形成された上層ガス流路163及び下層ガス流路165の構造が、実施形態1に係る保持装置1と相違している。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については説明を割愛する(実施形態2以下でも同様とする)。
図4に示すように、保持装置101の板状部材110には、中間ゾーンBZの1つ(図4における右上の第1中間ゾーンB1Z)と外周ゾーンCZの間にガス流入孔162が設けられている。また、図5に示すように、保持装置101のベース部材120には、第3表面S3の下面開孔181とガス流入孔162を連通するベース内流路180が設けられている。本実施形態に係る板状部材110では、下層面並行部分165Tのうち、図4に示す外周ゾーンCZと中間ゾーンBZの間において周方向に延在する部分、並びに、中間ゾーンBZと内周ゾーンAZの間において周方向に延在する部分が、一方向につながるように形成されている。具体的には、本実施形態に係る上層ガス流路163及び下層ガス流路165は、ガスが以下のように流れる構造とされている。第3表面S3の下面開孔181から熱伝導性ガスが導入されると、第2表面S2のガス流入孔162から下層ガス流路165に流入したガスは、第2接続部分165V2を通って下層面並行部分165Tに到達する。下層面並行部分165Tに到達したガスは、半時計周りに外周ゾーンCZと中間ゾーンB1Z,B2Zの間を周回し、図4における右下の第2中間ゾーンB2Zと右上の第1中間ゾーンB1Zの間で方向転換して、径方向中心側へ流れる。内周ゾーンAZ近傍に達すると、再び方向転換して、時計回りに中間ゾーンBZと内周ゾーンAZの間を周回する。この際、ガスは、第1中間ゾーンB1Zと第2中間ゾーンB2Zの間において、径方向外側へも流れる。右上の第1中間ゾーンB1Zに設けられた第1接続部分165V1に到達したガスは、上方に流れて上層ガス流路163の上層面並行部分163Tに流入し、各中間ゾーンBZに1つずつ設けられた上層接続部分163Vを通って、4つのガス流出孔161から第1表面S1側に流出する。
上層ガス流路163及び下層ガス流路165を本変形例のように形成することで、各加熱ゾーン間の熱移動を低減しながら、ガスをよりスムーズに流すことができる。
<実施形態2の詳細>
実施形態2に係る保持装置201を、図6及び図7を参照しつつ説明する。本実施形態に係る保持装置201は、主として、上層ガス流路263及び下層ガス流路265の構造、並びに、中間発熱体250B1,250B2とヒータ給電端子291,293の接続構造が、実施形態1に係る保持装置1と相違している。
保持装置201は、板状部材210の内部に形成される下層ガス流路265が上層ガス流路263に接続されていない点において、保持装置1と大きく異なっている。すなわち、本実施形態では、発熱体250A,250B1,250B2,250Cの間に配される下層面並行部分265Tが、第1表面S1のガス流出孔261と第2表面S2のガス流入孔262とを接続する上層ガス流路263に連通されない。
上層ガス流路263は、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)上層面並行部分263Tと、第1表面S1に設けられたガス流出孔261と上層面並行部分263Tを接続する第1接続部分263V1に加え、第2表面S2に設けられたガス流入孔262と上層面並行部分263Tを接続する第2接続部分263V2を含む。ガス流出孔261は実施形態1に係るガス流出孔61と、上層面並行部分263Tは実施形態1に係る上層面並行部分63Tと、略同様に形成されている。ガス流入孔262は、図6に示すように、4つの中間ゾーンBZのうち1つ(図6における左下の第1中間ゾーンB1Z)の内部に形成されている。ベース部材220には、図7に示すように、第3表面S3に設けられた下面開孔281とガス流入孔262とを連通するベース内流路280が設けられている。本実施形態では、下面開孔281から熱伝導性ガスが導入されたガスは、ガス流入孔262から上層ガス流路263に直接流入し、第2接続部分263V2を通って上層面並行部分263Tに到達する。上層面並行部分263Tを周回するガスが、第1中間ゾーンB1Z及び第2中間ゾーンB2Zを通過するのに伴い、ガス流出孔261からガスが流出し、第1表面S1とウェハWの間のギャップに充填される。
下層ガス流路265は、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)下層面並行部分265Tと、第2表面S2に設けられた開孔264N,264Xと下層面並行部分265Tを接続する下層接続部分265Vと、を含む。図6に示すように、本実施形態に係る下層面並行部分265Tは、上方から視て(第1の方向から視て)、各加熱ゾーンAZ,B1Z,B2Z,CZの各々を取り囲むように形成されている。そして、計2つの開孔264N,264Xは、下層面並行部分265Tのうち、3つの加熱ゾーン(第1中間ゾーンB1Z、第2中間ゾーンB2Z、外周ゾーンCZ)に隣接する位置の直下に、板面の中心を挟んで設けられている。図7に示すように、各開孔264N,264Xには、ベース部材220の内部に形成されたベース内流路280がそれぞれ接続され、第3表面S3に設けられた下面開孔281と連通されている。2つの開孔264N,264Xのうち一方の開孔264Nからガスを流入し、他方の開孔264Xからガスを流出させることができる。すなわち、開孔264Nに連通する下面開孔281から下層ガス流路265に導入されたガスは、下層面並行部分265T等を通って板状部材210の内部を流れた後、第3表面S3側に還流される。
また、保持装置201では、図6及び図7に示すように、板状部材210の内部に、共通接続部材(共通ドライバ電極)255が形成されており、第1中間発熱体250B1と第2中間発熱体250B2が、共通接続部材255を介して、共通の中間出力端子293Bに接続されている。共通接続部材255は、下層面並行部分265Tの下方に、第1中間ゾーンB1Zと第2中間ゾーンB2Zに跨るように設けることができる。図6及び図7では、第2中間発熱体250B2の一端部の直下に中間出力端子293Bが配され、第1中間発熱体250B1の一方の端部250B1Tが、共通接続部材255を介して中間出力端子293Bに接続される様子を示している。なお、本実施形態では、入力側は共通化しておらず、第1中間発熱体250B1の他方の端部には第1入力端子291B1が、第2中間発熱体250B2の他端部には第2入力端子291B2が、それぞれ接続される。また、内周発熱体250Aには、内周入力端子291Aと内周出力端子293Aが、外周発熱体250Cには、外周入力端子291Cと外周出力端子293Cが、それぞれ接続されている。
本実施形態のように、上層ガス流路263及び下層ガス流路265は、互いに独立して形成できる。このような保持装置201では、下層ガス流路265に、上層ガス流路263とは異なるガス(気体)や液体等の流体を流したり、或いは、下層ガス流路265には流体を流さなかったりすることが可能となる。下層ガス流路265に流体を流さない場合であっても、下層面並行部分265Tが各加熱ゾーン間に形成されていることで、加熱ゾーンを跨いた熱移動は低減される。下層ガス流路265内に流体を流す場合には、板状部材210を形成する材料よりも熱伝導率が低いものを用いる。或いは、下層ガス流路265内に、板状部材210を形成する材料よりも熱伝導率が低い固体を配置してもよい。
また、本実施形態のように、各加熱ゾーンに配された発熱体に接続する端子は、一部を共通化できる。端子の共通化により、ベース部材220等の構造を簡素化し、必要部品数の削減を図ることができる。本実施形態では、下層面並行部分265Tが、板状部材の内部に管路として形成されているため、下層面並行部分265Tの下方において、第1中間ゾーンB1Zと第2中間ゾーンB2Zとを跨ぐように共通接続部材255を配することが可能とされている。
<実施形態2の変形例2-1>
実施形態2の変形例2-1に係る保持装置301を、図8及び図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る保持装置301は、主として、板状部材310の内部に形成された下層ガス流路365の構造が、実施形態2に係る保持装置201と相違している。なお、本変形例でも、下層ガス流路365は上層ガス流路363に接続されていない。
上層ガス流路363は、基本的に実施形態2に係る上層ガス流路263と同様の構造であり、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)上層面並行部分363Tと、第1表面S1に設けられたガス流出孔361と上層面並行部分363Tを接続する第1接続部分363V1と、第2表面S2に設けられたガス流入孔362と上層面並行部分363Tを接続する第2接続部分363V2と、を含む。
下層ガス流路365は、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)下層面並行部分365Tと、第2表面S2に設けられた開孔364N,364Xと下層面並行部分365Tを接続する下層接続部分365Vと、を含む。本実施形態では、実施形態2とは異なり、図8及び図9に示すように、ガスを流入させるための開孔364Nと、ガスを流出させるための開孔364Xが、2つずつ計4つ形成されている。図8に示すように、開孔364Nと開孔364Xは、下層面並行部分365Tのうち、内周ゾーンAZと中間ゾーンBZの間において周方向に延在する部分に各1つ、中間ゾーンBZと外周ゾーンCZの間において周方向に延在する部分に各1つ、形成されている。図9に示すように、各開孔364N,364Xには、ベース部材320の内部に形成されたベース内流路380が接続され、第3表面S3に設けられた下面開孔381と連通されている。開孔364Nに連通する下面開孔381から下層ガス流路365に導入されたガスは、下層面並行部分365T等を通って板状部材310の内部を流れた後、第3表面S3側に還流される。
下層ガス流路365を本変形例のように形成することで、下層面並行部分365Tのうち、内周ゾーンAZと中間ゾーンBZの間において周方向に延在する部分と、中間ゾーンBZと外周ゾーンCZの間において周方向に延在する部分と、の各々に着実にガスを流入させ、ガスをスムーズに流すことができる。
<実施形態2の変形例2-2>
実施形態2の変形例2-2に係る保持装置401を、図10及び図11を参照しつつ説明する。本実施形態に係る保持装置401も、主として、板状部材410の内部に形成された下層ガス流路465の構造が、実施形態2に係る保持装置201と相違している。なお、本変形例でも、下層ガス流路465は上層ガス流路463に接続されていない。
上層ガス流路463は、基本的に実施形態2に係る上層ガス流路263と同様の構造であり、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)上層面並行部分463Tと、第1表面S1に設けられたガス流出孔461と上層面並行部分463Tを接続する第1接続部分463V1と、第2表面S2に設けられたガス流入孔462と上層面並行部分463Tとを接続する第2接続部分463V2と、を含む。
下層ガス流路465は、第1表面S1と平行な面に沿って延びる(第1の方向に直交する方向に延びる)下層面並行部分465Tと、第2表面S2に設けられた開孔464N,464Xと下層面並行部分465Tを接続する下層接続部分465Vと、を含む。図11に示すように、ベース部材420には、第3表面S3の下面開孔481と開孔464N,464Xを連通するベース内流路480が設けられている。本実施形態では、実施形態2とは異なり、下層面並行部分465Tのうち、図10に示す外周ゾーンCZと中間ゾーンBZの間において周方向に延在する部分、並びに、中間ゾーンBZと内周ゾーンAZの間において周方向に延在する部分が、一方向につながるように形成されており、下層ガス流路465は、ガスが以下のように流れる構造とされている。開孔464Nに連通された下面開孔481から導入されたガスは、開孔464Nから下層ガス流路465に流入し、下層接続部分465Vを通って下層面並行部分465Tに到達する。下層面並行部分465Tに到達したガスは、半時計周りに外周ゾーンCZと中間ゾーンBZの間を略1周した後、径方向中心側へ流れ、時計回りに中間ゾーンBZと内周ゾーンAZの間を周回する。第1中間ゾーンB1Zと第2中間ゾーンB2Zの間において径方向外側へも流れながら、略1周して下層接続部分465Vに到達したガスは、下方に流れて開孔464Xからベース内流路480を通り、下面開孔481から第3表面S3側に流出する。
下層ガス流路465を本変形例のように形成することで、よりスムーズに下層面並行部分465T内にガスを流すことができる。
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、請求項の空所に対応する下層面並行部分が、何れも板状部材の内部に形成された管路である場合について記載したが、これに限定されない。例えば、図12に示す保持装置501のように、下層接続部分565Vを介して上層面並行部分63Tに連通される下層面並行部分565Tを、実施形態1に係る保持装置1とは異なり、板状部材510の第2表面S2に開口する溝として形成することも可能である。このような構造の下層面並行部分565Tは、板状部材510を作製する際に、最終工程として第2表面S2の所望の位置に溝を切削することで、より簡易に形成できる。なお、図12では、板状部材510において、下層面並行部分565Tの天面が、複数の発熱体50の上端部よりも下方(第2表面S2側)に位置する場合について示している。
(2)上記実施形態では、1つの加熱ゾーンの内部に1つの発熱体が配される場合について記載したが、これに限定されない。例えば、一部もしくは全部の加熱ゾーンの内部に、複数の発熱体を配する構成としても構わない。また、上記実施形態に記載した発熱体の配置パターンも一例に過ぎず、例えば各加熱ゾーン内において発熱体を渦巻状や蛇行状に配置してもよい。
(3)上記実施形態では、ベース部材の内部に、板状部材に形成されたガス流入孔や開孔に連通するベース内流路が形成されている場合について記載したが、これに限定されない。すなわち、ベース部材には流路が形成されていなくてもよい。例えば、板状部材の第2表面S2に、ガス流入孔から径方向外側に向かう溝を形成し、この溝の端部が保持装置の外周側面に開口するように構成してもよい。ガスは、保持装置の外周側面の開口から導入できる。このような保持装置にも本技術を適用し、本技術の効果を得ることが可能である。
(4)ベース部材は、冷媒路が形成されているものに限定されない。ベース部材は、熱伝導性の高い材料で形成され、放冷フィン等の冷却機構を備えていることが好ましい。
(5)上記実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、実施形態1に記載した板状部材10において、実施形態2に記載したような共通接続部材を設け、発熱体への給電端子の共通化を図ってもよい。
(6)上記実施形態の保持装置における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。また、上記実施形態における保持装置の製造方法は、あくまで一例であり、種々に変形が可能である。
(7)本開示は、上記実施形態で例示した静電チャックに限らず、セラミック基材の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、加熱装置等)にも同様に適用可能である。
1,101,201,301,401,501…保持装置
10,110,210,310,410,510…板状部材
20,120,220,320,420…ベース部材
21…冷媒路
30…接合材
40…チャック電極
50…発熱体
50A,250A…内周発熱体
50B1,250B1…第1中間発熱体
250B1T…端部
50B2,250B2…第2中間発熱体
50C,250C…外周発熱体
55…接続部材(個別ドライバ電極)
255…共通接続部材(共通ドライバ電極)
60…ガス流路
61,161,261,361,461…ガス流出孔
62,162,262,362,462…ガス流入孔
264N,264X,364N,364X,464N,464X…開孔
63,163,263,363,463,…上層ガス流路
63T,163T,263T,363T,463T…上層面並行部分(面並行流路部分)
63V,163V…上層接続部分
263V1,363V1,463V1…第1接続部分(上層ガス流路)
263V2,463V2,463V2…第2接続部分(上層ガス流路)
65,165,265,365,465…下層ガス流路
65T,165T,265T,365T,465T…下層面並行部分(空所、管路)
565T… 下層面並行部分(空所)
65V1,165V1…第1接続部分(下層ガス流路)
65V2,165V2…第2接続部分(下層ガス流路)
265V,365V,465V,565V…下層接続部分
80,180,280,380,480…ベース内流路
81,181,281,381,481…下面開孔
91,93,291,293…ヒータ給電端子
91A,291A…内周入力端子(入力端子)
91B1,291B1…第1入力端子(入力端子)
91B2,291B2…第2入力端子(入力端子)
91C,291C…外周入力端子(入力端子)
93A,293A…内周出力端子(出力端子)
93B1…第1出力端子(出力端子)
93B2…第2出力端子(出力端子)
293B…中間出力端子(出力端子)
93C,293C…外周出力端子(出力端子)
264N,264X,364N,364X,464N,464X…開孔
AZ…内周ゾーン(加熱ゾーン)
B1Z…第1中間ゾーン(加熱ゾーン)
B2Z…第2中間ゾーン(加熱ゾーン)
CZ…外周ゾーン(加熱ゾーン)
S1…第1表面
S2…第2表面
S3…第3表面
W…ウェハ(対象物)

Claims (4)

  1. 第1の方向に対して直交する第1表面及び第2表面を有する板状部材と、
    前記板状部材において前記第1の方向について同じ位置に配された複数の発熱体と、を備え、対象物を加熱しつつ前記第1表面に保持する保持装置であって、
    前記板状部材には、
    前記第1の方向から視て、各々の内部に配された前記発熱体によって互いに異なる温度帯に加熱される複数の加熱ゾーンが設けられるとともに、
    前記第1の方向から視て前記複数の加熱ゾーンの間に配され、前記第1の方向について前記発熱体と同じ位置において、前記第1の方向に直交する方向に延びる空所が形成されている、保持装置。
  2. 前記空所は、前記板状部材の内部に設けられた管路である、請求項1に記載の保持装置。
  3. 前記板状部材には、前記第1表面に設けられたガス流出孔と、前記第2表面に設けられたガス流入孔とを接続するガス流路が形成され、
    前記ガス流路は、前記第1の方向について前記発熱体よりも前記第1表面側に配され前記第1の方向に直交する方向に延びる面並行流路部分を含み、
    前記管路は、前記ガス流路に連通されている、請求項2に記載の保持装置。
  4. 前記空所は、前記第1の方向について、前記発熱体の前記第2表面側の端部よりも前記第2表面側まで延びている、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の保持装置。
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