JP2022173840A - 組成物セット、硬化性組成物、接着剤組成物、硬化物、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材及び表面被覆材 - Google Patents

組成物セット、硬化性組成物、接着剤組成物、硬化物、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材及び表面被覆材 Download PDF

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Abstract

【課題】塩素含有ジエン系重合体を用いない場合であっても、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して、塩素含有ジエン系重合体を用いる場合と同等の接着強度を有する硬化物を得ることが可能な組成物セットを提供する。【解決手段】ジエン系重合体及びポリビニルアルコールを含有する組成物Aと、イソシアネート化合物を含有する組成物Bと、を備え、前記ジエン系重合体が、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さない、組成物セット。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物セット、硬化性組成物、接着剤組成物、硬化物、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材、表面被覆材等に関する。
従来、接着剤の分野においては、接着強度を向上させるための技術として2液硬化型接着剤の検討が行われている。例えば、下記特許文献1では、エマルジョン型水性接着剤と、水溶性高分子、界面活性剤等を含有し得る接着促進剤とからなる2液硬化型接着剤が開示されている。下記特許文献2では、アニオン性クロロプレンラテックスに対して界面活性剤等を混合して得られる主剤成分と、多価金属塩を含有する硬化剤成分とからなる2液硬化型接着剤が開示されている。下記特許文献3では、クロロプレン系重合体と、ポリビニルアルコール等の界面活性剤成分とを含有するクロロプレン系重合体ラテックス組成物が開示されている。
特開昭56-59874号公報 特開平9-188860号公報 国際公開第2018/143159号
2液硬化型接着剤として用いることが可能な組成物セットに対しては、コンクリートのような硬質な被着体に対して充分な接着強度を有する硬化物を得ることが求められ、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を有する硬化物を得ることが求められる。
また、環境への配慮の観点から、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有する塩素含有ジエン系重合体(例えばクロロプレン重合体)を用いないことが望ましい。そのため、塩素含有ジエン系重合体を用いない場合であっても、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して、塩素含有ジエン系重合体を用いる場合と同等の接着強度を有する硬化物を得ることが求められる。
本発明の一側面は、塩素含有ジエン系重合体を用いない場合であっても、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して、塩素含有ジエン系重合体を用いる場合と同等の接着強度を有する硬化物を得ることが可能な組成物セットを提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、当該組成物セットを用いて得ることが可能な硬化性組成物、接着剤組成物、硬化物、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材及び表面被覆材を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、ジエン系重合体及びポリビニルアルコールを含有する組成物Aと、イソシアネート化合物を含有する組成物Bと、を備え、前記ジエン系重合体が、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さない、組成物セットに関する。
本発明の他の一側面は、上述の組成物セットにおける組成物A及び組成物Bの混合物である、硬化性組成物に関する。本発明の他の一側面は、上述の硬化性組成物である、接着剤組成物に関する。
本発明の他の一側面は、上述の硬化性組成物の硬化物に関する。本発明の他の一側面は、上述の硬化性組成物を含有する、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材、又は、表面被覆材に関する。
本発明の一側面によれば、塩素含有ジエン系重合体を用いない場合であっても、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して、塩素含有ジエン系重合体を用いる場合と同等の接着強度を有する硬化物を得ることが可能な組成物セットを提供することができる。本発明の他の一側面によれば、当該組成物セットを用いて得ることが可能な硬化性組成物、接着剤組成物、硬化物、土木補修・補強材、止水材、剥落防止材及び表面被覆材を提供することができる。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本明細書において、数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、及び、それに対応するメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロニトリル」等の他の類似の表現においても同様である。「固形分」とは、組成物に含まれる揮発性物質(水、溶媒等)を除いた不揮発分のことであり、組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を指す。本明細書に記載されているハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
本実施形態に係る組成物セット(液セット)は、ジエン系重合体及びポリビニルアルコールを含有する組成物Aと、イソシアネート化合物を含有する組成物B(例えば液体イソシアネート組成物)と、を備え、ジエン系重合体が、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さない(塩素原子を含む共役ジエン系単量体に由来する単量体単位を有さない)。本実施形態に係る組成物セットは、組成物A及び組成物Bを互いに混合することにより用いることが可能であり、2液硬化型組成物セットとして用いることができる。ジエン系重合体は、ハロゲン原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さなくてもよい(ハロゲン原子を含む共役ジエン系単量体に由来する単量体単位を有さなくてもよい)。
本実施形態に係る硬化性組成物は、本実施形態に係る組成物セットにおける組成物A及び組成物Bの混合物(混合組成物)であり、組成物Aと組成物Bとを互いに混合することにより得ることができる。本実施形態に係る硬化性組成物は、常温硬化(23℃)させることができる。
本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る硬化性組成物の硬化物であり、本実施形態に係る硬化性組成物が硬化することにより得られる。本実施形態に係る積層体は、本実施形態に係る硬化物と、当該硬化物に接する基材とを備える。
本実施形態によれば、塩素含有ジエン系重合体(塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有するジエン系重合体)を用いない場合であっても、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して、塩素含有ジエン系重合体を用いる場合と同等の接着強度を有する硬化物を得ることができる。本実施形態によれば、土木学会基準JSCE-K 531に準拠して得られる引張接着強度として、湿潤状態のコンクリートに対して0.60N/m以上を得ることができる。
本実施形態は、コンクリート以外の材質の被着体の接着に用いられてよい。コンクリート以外の材質としては、モルタル、木材、ガラス、セラミック、金属(鉄、亜鉛、銅等)、プラスチック(ポリプロピレン、ポリエチレン等)などが挙げられる。
本実施形態は、地盤の空洞部への充填;表面被覆材;ひび割れ、背面への適用;止水材;防水材;剥落防止材;目地部、ジョイント部等の充填材;振動吸収などの目的で、土木補修・補強用途、建築用途等に好適に使用することができる。本実施形態に係る硬化性組成物は、被着体同士の接着に用いられる接着剤組成物として用いてよい。すなわち、本実施形態に係る接着剤組成物は、本実施形態に係る硬化性組成物である。本実施形態は、被着体同士の接着以外の用途においても好適に使用することができる。
本実施形態に係る組成物セット、硬化性組成物及び硬化物は、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有するジエン系重合体(クロロプレン重合体、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体等)を含有しなくてよく、クロロプレン重合体を含有しなくてよく、塩素原子を含有しなくてよい。本実施形態に係る組成物セット、硬化性組成物及び硬化物は、ハロゲン原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有するジエン系重合体を含有しなくてもよく、ハロゲン原子を含有しなくてもよい。組成物A及び組成物Bからなる群より選ばれる少なくとも一種は、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有するジエン系重合体を含有しなくてよく、クロロプレン重合体を含有しなくてよく、塩素原子を含有しなくてよい。組成物A及び組成物Bからなる群より選ばれる少なくとも一種は、ハロゲン原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有するジエン系重合体を含有しなくてもよく、ハロゲン原子を含有しなくてもよい。
組成物Aは、イソシアネート化合物を含有しなくてよい。組成物Bは、ジエン系重合体及びポリビニルアルコールを含有しなくてよい。組成物Aは、ジエン系重合体ラテックスとポリビニルアルコールとを混合することにより得られてよい。ジエン系重合体ラテックスは、乳化剤(脂肪酸、界面活性剤等)の存在下で分散しているジエン系重合体を含有する組成物である。
組成物Aは、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さないジエン系重合体(ジエン系ゴム重合体)を含有する。「ジエン系重合体」は、共役二重結合を有する共役ジエン系単量体を重合させることにより得ることが可能な重合体であり、当該重合体の水素添加物であってもよい。塩素原子を含む共役ジエン系単量体としては、クロロプレンの単量体単位等が挙げられる。ジエン系重合体は、塩素原子を含まなくてよく、ハロゲン原子を含まなくてよい(非ハロゲン系であってよい)。
ジエン系重合体は、塩素原子を含まない共役ジエン系単量体を単量体単位として有する(塩素原子を含まない共役ジエン系単量体に由来する単量体単位を有する)。塩素原子を含まない共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。組成物Aのジエン系重合体は、共役ジエン系単量体以外の単量体(例えば、塩素原子を含まない単量体)を単量体単位として有してよい。このような単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、水素化NBR、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、水素化SBR、スチレン-メチル(メタ)アクリレート-ブタジエン共重合体、メチル(メタ)アクリレート-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム等が挙げられる。
ジエン系重合体は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、脂肪族共役ジエン重合体(ポリブタジエン、ポリイソプレン等)を含んでよく、芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体(スチレン-ブタジエン共重合体等)を含んでよく、シアン化ビニル-共役ジエン共重合体((メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)等)を含んでよい。ジエン系重合体は、エラストマーを含んでよい。
ジエン系重合体は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、及び、天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。すなわち、ジエン系重合体は、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体を含む態様、スチレン-ブタジエン共重合体を含む態様、又は、天然ゴムを含む態様であってよい。
ジエン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点、及び、充分な機械的強度(例えば引張破断強度)を得やすい観点から、下記の範囲であってよい。ジエン系重合体のガラス転移温度は、-10℃以下であってよい。ジエン系重合体のガラス転移温度は、-80℃以上であってよい。これらの観点から、ジエン系重合体のガラス転移温度は、-80~-10℃であってよい。ジエン系重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定DSC(ブルカー・エイエックスエス株式会社、「DSC 3100SA」)により測定できる。
組成物Aは、ポリビニルアルコール(ジエン系重合体に該当する化合物を除く)を含有する。ポリビニルアルコールは、界面活性剤(例えばノニオン系乳化剤)として用いることができる。ポリビニルアルコールは、ビニルエステルの単独重合体、又は、ビニルエステル及びビニルエステルと共重合可能な単量体の共重合体をケン化させることによって得ることができる。
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステルは、重合時の安定性に優れる観点から、酢酸ビニルを含んでよい。
ビニルエステルと共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のオレフィン;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸;当該不飽和酸の塩;(メタ)アクリルアミド、炭素数1~18のN-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩等の(メタ)アクリルアミド化合物;3,4-ジアセトキシ-1-ブテン;グリセリンモノアリルエーテル;炭素数1~18のアルキル鎖を有するアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアミド;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール等のアリル化合物:ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
ポリビニルアルコールのケン化度は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、下記の範囲であってよい。ケン化度は、50.0mol%以上、60.0mol%以上、70.0mol%以上、75.0mol%以上、80.0mol%以上、又は、85.0mol%以上であってよい。ケン化度は、99.0mol%以下、97.0mol%以下、96.5mol%以下、95.0mol%以下、90.0mol%以下、85.0mol%以下、又は、80.0mol%以下であってよい。これらの観点から、ケン化度は、50.0~99.0mol%、70.0~96.5mol%、又は、75.0~90.0mol%であってよい。
ポリビニルアルコールの重合度は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、下記の範囲であってよい。重合度は、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、350以上、400以上、450以上、又は、500以上であってよい。重合度は、5000以下、4500以下、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、800以下、600以下、500以下、450以下、400以下、350以下、又は、300以下であってよい。これらの観点から、重合度は、100~5000、200~4500、又は、300~1000であってよい。
組成物A、組成物セット又は硬化性組成物におけるポリビニルアルコールの含有量は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、界面活性剤成分の全量(ポリビニルアルコール及び他の界面活性剤の合計量。固形分)を基準として、固形分で、50質量%以上、50質量%超、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。組成物A、組成物セット又は硬化性組成物に含まれる界面活性剤成分が実質的にポリビニルアルコールからなる態様(ポリビニルアルコールの含有量が、組成物A、組成物セット又は硬化性組成物に含まれる界面活性剤成分の全質量を基準として実質的に100質量%である態様)であってよい。
組成物A、組成物セット又は硬化性組成物におけるポリビニルアルコールの含有量は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、ジエン系重合体100質量部に対して、固形分で下記の範囲であってよい。ポリビニルアルコールの含有量は、1質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、80質量部以上、又は、100質量部以上であってよい。ポリビニルアルコールの含有量は、1000質量部以下、800質量部以下、500質量部以下、300質量部以下、200質量部以下、100質量部以下、100質量部未満、80質量部以下、50質量部以下、30質量部以下、又は、10質量部以下であってよい。これらの観点から、ポリビニルアルコールの含有量は、1~1000質量部、5~500質量部、10~100質量部、10~50質量部、又は、50~100質量部であってよい。
組成物Bは、イソシアネート化合物(イソシアネート基を有する化合物。ジエン系重合体又はポリビニルアルコールに該当する化合物を除く)を含有する。イソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物;トリイソシアネート化合物;ポリイソシアネート化合物(ジイソシアネート化合物及びトリイソシアネート化合物を除く);ポリウレタン化合物;これらの化合物と、ポリアミン化合物、多価アルコール等との反応物(末端に反応性イソシアネート基を有するプレポリマー)などが挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。トリイソシアネート化合物としては、ビフェニルトリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、上述のジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物等の重合物などが挙げられる。
ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキサシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリフェニルメタンポリアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のアルコール化合物;当該アルコール化合物とアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)との付加重合により得られるポリエーテルポリオール化合物;当該アルコール化合物と多塩基酸(マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)との縮合反応により得られるポリエステルポリオール化合物;ラクトン類(ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン等)の開環重合により得られるポリエステルポリオール化合物;水酸基含有重合性モノマー(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸モノエステル等)の単独重合体又は共重合体;前記水酸基含有重合性モノマーと他の単量体((メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン等)との共重合体;ヒマシ又はその誘導体などが挙げられる。
組成物セット又は硬化性組成物においてイソシアネート化合物の含有量は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、ジエン系重合体100質量部に対して下記の範囲であってよい。イソシアネート化合物の含有量は、1質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、又は、50質量部以上であってよい。イソシアネート化合物の含有量は、1000質量部以下、800質量部以下、500質量部以下、300質量部以下、200質量部以下、180質量部以下、150質量部以下、120質量部以下、100質量部以下、100質量部未満、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、又は、50質量部以下であってよい。これらの観点から、イソシアネート化合物の含有量は、1~1000質量部、5~500質量部、10~200質量部、10~50質量部、又は、50~200質量部であってよい。
組成物セット又は硬化性組成物においてイソシアネート化合物の含有量は、コンクリートにおける湿潤状態の表面に対して充分な接着強度を得やすい観点から、ポリビニルアルコール100質量部に対して下記の範囲であってよい。イソシアネート化合物の含有量は、1質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、50質量部超、80質量部以上、100質量部以上、100質量部超、120質量部以上、200質量部以上、225質量部以上、300質量部以上、400質量部以上、又は、500質量部以上であってよい。イソシアネート化合物の含有量は、1000質量部以下、800質量部以下、600質量部以下、500質量部以下、400質量部以下、300質量部以下、225質量部以下、200質量部以下、120質量部以下、100質量部以下、100質量部未満、80質量部以下、又は、50質量部以下であってよい。これらの観点から、イソシアネート化合物の含有量は、1~1000質量部、10~800質量部、50~500質量部、50~200質量部、50~100質量部、又は、100~500質量部であってよい。
組成物A、組成物B、組成物セット又は硬化性組成物は、水を含有してよい。組成物A、組成物B、組成物セット又は硬化性組成物は、ジエン系重合体、ポリビニルアルコール、イソシアネート化合物及び水以外の成分を含有してよい。このような成分としては、界面活性剤(ポリビニルアルコールを除く)、金属水酸化物、金属酸化物、粘着付与樹脂、粘着防止剤、安定剤、pH調整剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤、増粘剤、減粘剤、消泡剤、シランカップリング剤、無機系フィラー等が挙げられる。組成物A、組成物B、組成物セット又は硬化性組成物は、これらの成分の少なくとも一つを含有しなくてよく、金属水酸化物を含有しなくてよい。
組成物A、組成物B、組成物セット又は硬化性組成物において界面活性剤成分の含有量(ポリビニルアルコール及び他の界面活性剤の合計量。固形分)は、ジエン系重合体100質量部、又は、ジエン系重合体及びポリビニルアルコールの合計100質量部に対して、0質量部を超えており、下記の範囲であってよい。界面活性剤成分の含有量は、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20.5質量部未満、20質量部以下、15質量部以下、15質量部未満、又は、10質量部以下であってよい。
組成物A、組成物B、組成物セット又は硬化性組成物において金属水酸化物の含有量は、ジエン系重合体100質量部、又は、ジエン系重合体及びポリビニルアルコールの合計100質量部に対して下記の範囲であってよい。金属水酸化物の含有量は、50質量部以下、30質量部以下、30質量部未満、又は、10質量部以下であってよい。金属水酸化物の含有量は、0質量部であってよく、0質量部を超えてよい。
組成物Aの固形分濃度は、良好な生産性及び粘度が得られやすい観点から、10~30質量%であってよい。
本実施形態に係る処理方法(例えば土木処理方法)は、本実施形態に係る硬化性組成物を処理対象物(被着体。例えばコンクリート部材)に接触させる処理工程を備える。処理工程は、本実施形態に係る組成物セットの組成物A及び組成物Bを処理対象物上で混合することにより硬化性組成物を得てもよい。処理工程では、硬化性組成物、又は、組成物セットにおける組成物A及び組成物Bを処理対象物に塗布、注入又は吹き付けてよく、刷毛で塗布する方法、コーキングガンで注入する方法等を用いることができる。
本実施形態に係る処理方法は、処理工程の前に、本実施形態に係る組成物セットの組成物A及び組成物Bを互いに混合することにより硬化性組成物を得る混合工程を備えてよい。本実施形態に係る処理方法は、処理工程の後に、硬化性組成物を硬化させる硬化工程を備えてよい。硬化工程では、処理工程の後に、硬化性組成物を放置することにより自然硬化(常温硬化)させてよい。本実施形態に係る処理方法は、処理工程の後に、成形又は施工する工程を備えてよい。
本実施形態に係る組成物セット、硬化性組成物、硬化物及び積層体は、土木処理方法として、土木補修・補強工法に用いることができる。土木補修・補強工法としては、止水工法(例えば注入止水工法)、剥落防止工法、表面被覆工法、断面修復工法、表面含浸工法、プレバックド工法、ひび割れ注入工法、RC巻き立て工法、鋼板巻き立て工法、炭素繊維補強工法、炭素繊維シート現場接着工法、アラミド繊維シート接着工法、導水工法、鋼板接着工法、縦桁増設工法、裏込め注入工法、埋設ジョイント工法、ポーラスコンクリート舗装、早期交通開放型コンクリート舗装等が挙げられる。本実施形態に係る土木補修・補強材(土木補修材又は補強材)は、本実施形態に係る硬化性組成物を含有する。
止水工法とは、農水路の配管、コルゲート管、コンクリート構造物等のひび割れ部又は隙間から生じる漏水を止水する工法である。本実施形態に係る硬化物は、止水工法の止水材として使用することができる。本実施形態に係る止水材は、本実施形態に係る硬化性組成物を含有する。
剥落防止工法とは、コンクリート構造物の施工時に発生するひび割れ等の欠陥;地震、衝突等によるひび割れ、剥離等の損傷;中性化、塩害、アルカリ骨材反応等に由来する劣化によるコンクリート塊の剥落などを防止する工法である。本実施形態に係る硬化物は、剥落防止工法の剥落防止材として使用することができる。本実施形態に係る剥落防止材は、本実施形態に係る硬化性組成物を含有する。
表面被覆工法とは、コンクリート中の鋼材の腐食現象を外部から保護する目的、コンクリートを保護する目的等で塗布する工法である。本実施形態に係る硬化物は、表面被覆工法の表面被覆材として使用することができる。本実施形態に係る表面被覆材は、本実施形態に係る硬化性組成物を含有する。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<接着剤組成物の調製>
(実施例1~11)
表1のポリビニルアルコールを50~70℃の温水に溶解させることによりポリビニルアルコール水溶液を得た。次に、内容積3Lの容器に、このポリビニルアルコール水溶液と、表1のジエン系重合体ラテックス(非ハロゲン系)と、を添加した後、マグネティックスターラー(回転数:300rpm)を用いて20℃で30分間攪拌して混合することにより組成物Aを得た。次に、ハンドミキサーを用いて、この組成物Aと、表1の組成物B(イソシアネート組成物)とを1分間混合することにより接着剤組成物を得た。
表1のジエン系重合体ラテックス(非ハロゲン系)a11~a14、ポリビニルアルコールa21,a22、及び、イソシアネート組成物B1,B2としては、下記の成分を用いた。表1のポリビニルアルコール及びイソシアネート組成物の混合量は、ジエン系重合体ラテックスの固形分100質量部に対するポリビニルアルコール及びイソシアネート化合物の固形分の混合量を示す。
[ジエン系重合体ラテックス]
ジエン系重合体ラテックスa11:スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)、日本ゼオン株式会社製、商品名「Lx421」、重合体のガラス転移温度-18℃
ジエン系重合体ラテックスa12:(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス(NBR)、日本ゼオン株式会社製、商品名「NipoL 1562」、重合体のガラス転移温度-26℃
ジエン系重合体ラテックスa13:(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス(NBR)、日本ゼオン株式会社製、商品名「NipoL Lx511A」、重合体のガラス転移温度-22℃
ジエン系重合体ラテックスa14:天然ゴム(NR)、レヂテックス株式会社製、商品名「ET-Z」、重合体のガラス転移温度-72℃
[ポリビニルアルコール]
ポリビニルアルコールa21:デンカ株式会社製、商品名「B-05」、ケン化度86.5~89.5mol%、重合度500
ポリビニルアルコールa22:クラレ株式会社製、商品名「403」、ケン化度78.5~81.5mol%、重合度300
[イソシアネート組成物]
イソシアネート組成物b1:IPDI(イソホロンジイソシアネート)を含有するイソシアネート組成物、東邦化学工業株式会社製、商品名「ハイセルOH-822N」
イソシアネート組成物b2:MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を含有するイソシアネート組成物、第一工業株式会社製、商品名「ポリグラウトM-2」
(参考例1)
ジエン系重合体ラテックスとしてジエン系重合体ラテックスa15(塩素原子が含まれるゴム系重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、デンカ株式会社製、商品名「LM-61」)を用いたこと以外は実施例8と同様に行うことにより接着剤組成物を得た。
(参考例2)
ジエン系重合体ラテックスとしてジエン系重合体ラテックスa15(塩素原子が含まれるゴム系重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、デンカ株式会社製、商品名「LM-61」)を用いたこと以外は実施例1と同様に行うことにより接着剤組成物を得た。
(比較例1)
ジエン系重合体ラテックスを用いることなく、ハンドミキサーを用いて、実施例1と同様のポリビニルアルコール水溶液50質量部と、実施例1と同様のイソシアネート組成物50質量部とを1分間混合することにより接着剤組成物を得た。
(比較例2)
ポリビニルアルコールを用いることなく、ハンドミキサーを用いて、実施例1と同様のジエン系重合体ラテックス100質量部と、実施例1と同様のイソシアネート組成物50質量部とを1分間混合することにより接着剤組成物を得た。
<接着性試験>
土木学会基準JSCE-K 531に準拠して次の手順で接着性試験(引張接着性)を行った。まず、JIS A5371に準拠したコンクリート平板(寸法:300mm×300mm×60mm)の全体を水槽内で水(23℃)に3時間浸漬させることにより湿潤状態のコンクリート平板を得た。コンクリート平板を水槽から取り出した後の10分以内に、上述の接着剤組成物を得てから速やかに、湿潤状態のコンクリート平板の一方面の全体に接着剤組成物150g/mを塗布することにより接着剤層を得た後、温度23℃、湿度50%RHで24時間放置した。これにより、実施例1~11、参考例1~2及び比較例1では、接着剤層における硬化反応が進行することにより硬化物層を得た。比較例2では、硬化反応が進行せず、以降の操作を行わなかった。実施例1~11、参考例1~2及び比較例1について、エポキシ系接着剤(ボンドクイックメンダー、コニシ株式会社製)を用いて硬化物層上に40mm×40mmの金属製治具を接着した後、温度23℃、湿度50%RHで約1時間放置した。建研式接着剥離試験機(株式会社井谷衡機製作所製、商品名「BA-450D」)を用いて硬化物層とコンクリート平板との引張接着強度(温度23℃、湿度50%RH、引張速度300mm/min)を測定した。測定結果を表1に示す。引張接着強度が0.60N/m以上である場合を良好であると評価した。
Figure 2022173840000001

Claims (14)

  1. ジエン系重合体及びポリビニルアルコールを含有する組成物Aと、
    イソシアネート化合物を含有する組成物Bと、を備え、
    前記ジエン系重合体が、塩素原子を含む共役ジエン系単量体を単量体単位として有さない、組成物セット。
  2. 前記ポリビニルアルコールの含有量が前記ジエン系重合体100質量部に対して固形分で10~100質量部である、請求項1に記載の組成物セット。
  3. 前記イソシアネート化合物の含有量が前記ジエン系重合体100質量部に対して10~200質量部である、請求項1又は2に記載の組成物セット。
  4. 前記ジエン系重合体のガラス転移温度が-10℃以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物セット。
  5. 前記ジエン系重合体が、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、及び、天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物セット。
  6. 前記ポリビニルアルコールのケン化度が75.0~90.0mol%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物セット。
  7. 金属水酸化物の含有量が前記ジエン系重合体100質量部に対して30質量部未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物セット。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物セットにおける前記組成物A及び前記組成物Bの混合物である、硬化性組成物。
  9. 請求項8に記載の硬化性組成物である、接着剤組成物。
  10. 請求項8に記載の硬化性組成物の硬化物。
  11. 請求項8に記載の硬化性組成物を含有する、土木補修・補強材。
  12. 請求項8に記載の硬化性組成物を含有する、止水材。
  13. 請求項8に記載の硬化性組成物を含有する、剥落防止材。
  14. 請求項8に記載の硬化性組成物を含有する、表面被覆材。
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