JP2022171553A - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】サツマイモ等の加熱対象物を、少ない熱量で、急速に高温に加熱することで美味しく焼きあげることができ、簡便でひっくり返すなどの手間をかけなくても焼きムラが生じにくい、加熱調理器を提供する。【解決手段】鍋10の底部11に加熱対象物50を載置するための支持部材21を備え、さらに、耐熱性を有する遮熱板30または耐熱性を有する水平流誘導板41の少なくともいずれか一方を備え、前記遮熱板30は前記加熱対象物50の下方に配し、前記水平流誘導板41は前記加熱対象物50の上方に配する。【選択図】図1

Description

本発明はサツマイモやジャガイモなどの芋類、野菜、肉、魚介類などの略球形や円筒形状で、表面から中心までの厚みが大きい食材を加熱調理するための調理器であって、特に芋類の調理に好適な調理器に関するものである。
20世紀末のダイオキシン問題による規制強化もあり、焚火で焼き芋を焼く風景は市街地では見かけなくなっているが、逆に屋内のキッチンでうまく焼き芋を焼く、こだわりのハウツーの紹介や器具の販売はインターネット上を賑わせており、焼き芋を焼くことの人気は今も根強くある。
一方で、核家族化や少子化、さらにはワンルームマンションやコンビニエンスストアの増加が示すように、より少人数用で簡便で時短の調理を求めるニーズもより高まっている。
従来の家庭用の焼き芋調理器は、金属製や陶器製などの鍋の底部を、例えばガス火などで外部から加熱し、内部の芋を焼いたり蒸したりするものであった。
しかし、その方法では接触伝熱の点では加熱対象物との接触面が小さく、空気対流は空気の熱伝達係数が低く、底部からの輻射熱は輻射体の温度が低いためわずかであり、結果として熱源は強い火力が必要で熱的な効率が悪かった。
しかもそれ以前にそれらすべての伝熱モードでの伝熱は加熱対象物の底面が最大で、加熱対象物の上面では小さいため、鉛直方向では底部が、水平方向では中央が焦げやすいという問題があった。結果として加熱対象物をひっくり返すなどの手間や、その際に容器と加熱対象物の温度低下による熱的なロスもあり、強い火力と、焼きあがるまで多くの時間が必要であった。
また、内周面に多数の貫通孔が設けられた中敷きを備えるという技術が知られる(特許文献1段落番号0004)。
この方法によると、加熱対象物は前記中敷きの上にセットされ、熱源の高温の気流が直接加熱対象物に当たるため熱効率はよく、少ない火力で加熱対象物を調理可能であるが、根本的にこの方法における熱流は上昇する一方向気流のみであるため図2に示すように気流が当たる底部側の伝熱は大きくなるが、上部では渦流が発生するため伝熱は小さくなり、加熱対象物の底面側の伝熱が相対的に大きく、焦げやすい点は変わりない。事実、結果として加熱対象物を途中でひっくり返すことは一般的に大多数の製品取扱説明書に明記されており、宣伝的な資料では前面に出てこないがほぼ必須の手間であった。
さらに屋台の石焼き芋装置を模し、玉砂利などを敷き詰める方法も知られている(特許文献2図1)。
この方法では玉砂利自体が熱抵抗となるため加熱対象物への伝熱面においては鍋底面より確実に温度が低下するなど熱的なロスが増加するというデメリットはあるが、水平方向の熱分布を若干均一化できることと、石の熱放射率は金属よりは高いなどの多少のメリットは考えられるものの、やはり加熱対象物の底面側の伝熱が高い問題は解消できていない。ちなみに、フタを開けずに加熱対象物を反転させる機構も容易に想起されるが、実際の食材は多様な大きさと多様な形であり、それらを確実に反転させるには、装置が複雑化したり大型化し、部品点数が増えるのみでなく、反転し忘れというエラーモードが発生する。もちろん反転の自動化は可能だが、使用頻度はそれほど高くなく、安価で簡便であるべき家庭用調理器の域を外れてしまい好ましくない
さらに、サツマイモの加熱による化学変化についてみると、酵素であるβ -アミラーゼが、でんぷんの非還元末端基から規則正しく麦芽糖( ブドウ糖2分子が結合) 単位に加水分解する65~75 ℃である時間帯を長くすることで糖化が促進され甘みの多い焼き芋が作られることが知られている(特許文献3段落番号0002)。
または活性酵素の活動温度の下限は65℃、上限は95℃とされる(特許文献4段落番号0027)。
このような条件にて近年はやりの甘みの強いねっとりした焼き芋が製造販売されているものと思料される。
しかるに、破裂寸前の焼き栗、揚げたてのサツマイモ天、および焚火の熾火による古来の焼き芋などの、「ほっくり、ほくほくした甘み」、は独特で格別であることは多くの人が実体験として経験していると思われる。
上記の焼き栗は直火にかけた焙烙や鉄板などの上で生の素材をこまめに転がしながら焼くもので、栗は高温の加熱面に接触したり接近することで伝熱され、まれに水蒸気による内圧上昇で栗自体が破裂するほど、急速な加熱がなされる
また、天ぷらは160~200℃程度の油で揚げるもので、一般に気体よりも熱伝達係数がはるかに高い液体が自由に形を変えて加熱対象物の表面のすべてに接触して熱を伝えるという最も伝熱効率がよい調理法の一つであり、水の沸点である100℃よりはるかに高い高温の油中で数分から10数分程度の短時間で調理される。
また、焚火に於ける火砕物状の「熾き」は昼でも赤く見え、これは赤めて冷やす鉄のA1変態点の723℃に近い温度帯域と推定され、つまり、焼き芋はそれほどの高温で多量の熾きにほぼ全面を接触包囲されて急速加熱がなされる
つまり、サツマイモを急速に高温に加熱することは、公知文献3および4によれば酵素の作用は低減することになるが、前記、焼き栗や天ぷらや焚火の焼き芋のように、格別のほくほく感と甘みが得られることは周知のことであり、望ましい調理条件の一つであることは明白である。
しかし、実はこれも多くの人が実体験として記憶していると思われるが、上記の例のように強い火力を用いると加熱対象物は部分的に焦げやすくなるという問題に直面する。これは、天ぷらのように途中でひっくり返したり、焼き栗のように転がしたりするなどの手間が必要になったり、装置の複雑化、大型化、高価格化、光熱費の増大などの問題をより悪化させる。
実登3034711号公報 実開昭64-55851号公報 実登3197779号公報 実登3170738号公報
本発明は、サツマイモやジャガイモ等の芋類や野菜、肉、魚介類等の略球形や円筒形状で、表面から中心までの厚みが大きい食材(以下、加熱対象物という)であっても、少ない熱量で、急速に高温に加熱することで美味しく焼きあげることができ、簡便でひっくり返すなどの手間をかけなくても焼きムラが生じにくい、ガス火等のいわゆる直火を熱源とする加熱調理器を提供することを目的とする。
目的の主要素である加熱対象物を急速に高温にするためには、第一には加熱対象物の表面をできるだけ高温の物質に接触させることが最も効果的であり、理想的には例えばガス火であれば発生した熱流が周囲の物質との接触や、周囲の空気で希釈されて低温化しないうちに、つまりできるだけ短い流動距離の間に加熱対象物と接触し伝熱することが重要である。
第二には、略円断面をもつ加熱対象物に対して理想は円断面の全方向から加熱すべきで、少なくともおよそ加熱対象物の直径上に対抗する2方向から加熱すべきである。
その理由は、例えば一方向からの加熱の場合、加熱対象物全体に熱が伝わるためには直径分の伝熱距離を熱が伝わらなければならないのに対し、対抗する2方向からの加熱では半径分の伝熱距離でよいので、単純には半分の時間で加熱を完了できることになる。
このことは、加熱対象物をひっくり返せば一見可能であるが、単純には片面ずつで合計2倍の焼き時間が必要であり、短時間で加熱するという目的を満足しない
さらに、急速高温加熱の条件下では、フタを開けたり加熱対象物を一旦加熱減から遠ざけたりするなど、ひっくり返すことによる熱のリークの影響は相対的に大きく、加熱対象物の急速な温度上昇がいったん下降に転じたのちに再上昇することとなるため時間的なロスにつながり、加えて簡便にという本発明の目的にも反する
本発明者は鋭意検討した結果、上記のような困難とも思われる状況下で目的を実現するには、熱気流の流動経路と、熱抵抗を適宜に設計制御すれば可能であるとの結論に至った。
本発明によれば、底部に複数の穴を有する鍋と、前記鍋の底部に加熱対象物を載置するための支持部材を備え、さらに、耐熱性を有する遮熱板または耐熱性を有し、1か所以上の貫通する穴を備えてなる水平流誘導板の少なくともいずれか一方を備え、前記遮熱板は前記加熱対象物の下方に配し、前記水平流誘導板は前記加熱対象物の上方に配してなる、加熱調理器が得られる。
本発明によれば、前記支持部材は、鉛直方向に貫通する複数の穴を有するとともに、前記鍋の内底面から5mm以上50mm以下離れた位置に配してなる、加熱調理器が得られる。
本発明によれば、前記鍋の底部の複数の穴は、各々の穴の直径が1mm以上から15mm以下の円相当の断面積を有する、加熱調理器が得られる。
本発明によれば、前記遮熱板は、内部に気泡を有するセラミック系の焼物または、複数の金属板の少なくとも一部が密着していない複数層構造を有する、加熱調理器が得られる。
本発明によれば、前記水平流誘導板は、前記加熱対象物の上面より例えば0mm以上50mm以下の位置に配されるように、前記鍋の内径より例えば20mm以下の外径をもつ、すなわち、前記鍋の内径より小さく、前記鍋の内径の80%より大きい外径をもつ有底円筒の底部を成し、前記加熱対象物を覆うように、前記底部を上にして前記支持部材上に配してなる加熱調理器が得られる。
本発明によれば、前記有底円筒は、複数の金属板の少なくとも一部が密着していない複数層構造を有し、前記水平流誘導板は1か所以上の貫通する穴を備えてなる、加熱調理器が得られる。
本発明によれば、サツマイモやジャガイモ等の芋類や野菜、肉、魚介類等の略球形や円筒形状で、表面から中心までの厚みが大きい食材といった加熱対象物であっても、少ない熱量で、急速に高温に加熱することで美味しく焼きあげることができ、簡便でひっくり返すなどの手間をかけなくても焼きムラが生じにくい、ガス火等の直火用の加熱調理器を提供することができる。
本発明に係る加熱調理器の一例の断面図である。 従来例における熱流の模式図である。 実施例1における熱流の模式図である。 実施例2における熱流の模式図である。 つま楊枝さし荷重の測定装置を示す説明図で、(a)は装置の上面図、(b )は図(a)に於けるA-A断面の断面図を示す。 つま楊枝さし荷重の測定方法を示す説明図で、(a)は測定装置の上部に測 定される加熱対象物がある状態の断面図、(b)は、つま楊枝が加熱対象物にささっ た状態の断面図を示す。 比較例1と実施例1~3におけるつま楊枝さし荷重FY値の断面分布図であ る。 比較例2と比較例3および実施例4~6におけるつま楊枝さし荷重FY値の 断面分布図である。 比較例4と実施例7における加熱時の加熱対象物の内部温度と周囲温度の時 間プロファイルを示す図である。 ガス火の火力の説明写真で、(a)は最小、(b)は弱火、(c)は中火 、(d)は強火、(e)は最大を示す。 比較例1と実施例3の加熱対象物表面の焼け具合の分布を示す図である。 サツマイモの皮の剥がれ具合を説明する写真で(a)と(b)は加熱後の サツマイモを長手方向の2か所から切り出した別の塊を示す。
図を参照し本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の調理器具の一例で、鍋10の取手13を含む断面図である。
鍋10は例えばアルミや鉄、ステンレスなどの金属やセラミック製であり、鍋10の底部11には多数の穴12が空いており、ここから例えばガス火などの高温の熱流が直接鍋10の底部11の穴12から流入し上昇する。
前記上昇する熱流が穴12の通過時に乱れ、通過後に交じり合い熱分布が水平方向に均一になる効果を得るため、穴12は直径15mmの円相当以下であることが好ましい。なお、直径1mmの円相当以下では穴12の空気抵抗が大きくなり通過流入する熱流が減少する。また、基本的には、穴12が多いほど熱流の通過量は増えるため、穴12の数は多い方が好ましい。
また、鍋10の底部11はガス火等の熱流を効率よく取り込むために、平面である必要はなく、例えば皿をひっくり返したような曲面形状でもよいし、鍋の底部11を共通の底部とし、底部側に開口する有底円筒のような形を有していてもよい。また、穴12の分布は均等とせず、ガス火の火口付近では少なく、火口から離れるにしたがって多くし、より均等に熱流が通過するようにしてもよい。
さらに、鍋10の底部11より上方には、加熱対象物50を保持する部材として支持部材2があるが、少なくも、前記支持部材2と加熱対象物50の間には板状の部材である遮熱板30が配置されるか、または、加熱対象物50の上方に金属製で底部に一個以上の穴を有する水平流誘導板を備えた有底円筒40が底部を上にして配置されている。前記支持部材2は例えば金網やパンチングプレートなどのように鉛直方向に熱流が通過できるような複数の穴を有する。
この構成によれば、熱流は鍋の底部の複数の穴を通過する際に水平方向の速度成分も発生し水平方向に分散するため、鍋内部での水平方向の熱の分布がより均一化する。
なお、熱流の発生源としては、ガス火が好ましいが、例えば、たき火等の同等の熱量を発生させるものであればいずれでも良い。
その後、加熱対象物50付近での基本的な気流は一般的な気流中の球体と同じく図2のように、加熱対象物50の底部に衝突したのち加熱対象物50に沿って上昇するが、加熱対象物50の上部では渦流eにより空圧的には圧力低下、伝熱的には伝熱が低化する。そのため高温の気流が衝突する加熱対象物50の底部は上部よりも急激に加熱され焦げやすい状況となる。
しかし、本発明においては、図3に示すような遮熱板30を加熱対象物50の底部に配することで、気流の衝突を緩和しつつ接触伝熱の熱抵抗でもあるため加熱対象物50の底部が急激に加熱されることはなく、焦げも発生しにくい。
また、渦流eにより加熱対象物50の上部の伝熱が低下し加熱不足となる場合は、図4に示す様に加熱対象物50の上部に、有底円筒40の底部である水平流誘導板41を配することで、水平流誘導板41に熱流が衝突し、上方に向けて流出する際に必ず水平方向の熱流D3、E3、F3などの経路が生じるため、渦流が軽減されることと、複数の底部領域から上昇した熱流が合流して加熱対象物50の上部を通過しやすいことと、熱流は加熱対象物50の表面に沿った最短距離で高温のまま加熱対象物50の上部を通過するため伝熱性が高まり、加熱対象物50の上下方向、水平方向ともに伝熱がより均一化するため、特定の箇所が焦げやすいという問題は生じにくい。
省エネの観点で述べると、熱流は加熱対象物50以外の物体との接触や希釈による温度低下が小さく、より高温のまま効率よく加熱対象物50を加熱することができるため、少ない熱量で調理が可能となる。
なお、本発明は、遮熱板30または有底円筒40の少なくともいずれかを配することで、従来の課題を解決することができるが、両方を備える構成とすることがより好ましい。
本発明の実施例を、図を参照して、以下に説明する。
図1に示した鍋10として、直径は180mm、高さは80mmであり底部11には直径5mmの穴12が約220個、略均等に開いているものを用意した。
鍋10の底部11の上方20mmの位置に加熱対象物50をセットするための支持部材21として目開き12mmの金網がある。
ここで前記鍋10の底部11と加熱対象物50の間隔が5mm以下だと、熱流はガスの円環状の火口の直上でだけ強く加熱対象物50に当たりやすいため局部的に焦げやすくなるが、間隔が5mm以上あれば熱流は底部11の穴12を通過する前の水平成分と通過による渦流により、穴12を通過後に水平方向に広がれるため、熱の分布はより均一化される。
また、50mm以上では他の空隙から流入する空気による希釈と、周囲の構造物との接触による冷却のため熱流の温度が低下することと、大型化を招くため好ましくない。
熱源としてのガス火はカセットコンロを用い、図10(e)のように調整つまみが最大時の火力を最大とし、図10(a)のように調整つまみが最小付近でこれ以上弱くしたら消えてしまう寸前の火力を最小とし、図10(c)のように最大と最小の中間を中火とし、図10(d)のように最大と中火の中間を強火とし、図10(b)のように最小と中火の中間を弱火とした。
次に、図5をもとに加熱対象物の焼け具合の評価方法を説明する
荷重計71の上面である荷重面には、該荷重面と垂直になるようにつま楊枝72をとがり部を上にして固定してある。さらに中央に穴の開いた板状の水平ストッパー73が支柱74の上に水平に固定されている。前記水平ストッパー73の中央の穴を通ってつま楊枝72は上に向けて水平ストッパー73の上面よりも突き出しており、その突き出し量は12mmである
この状態で図6(a)に示すように加熱対象物50の断面をつま楊枝72に対して上方から下方に向かって対面させ押し付ければ、つま楊枝72が加熱対象物50に刺さっていくときの抵抗力がデジタル秤(荷重計)71に伝わり表示されつつ、図6(b)に示すように加熱対象物50は水平ストッパー73に突き当たって止まる。その過程における最大荷重をつま楊枝さし荷重FYとした。
測定位置は、加熱対象物50を垂直断面でカットしその断面における底部をゼロとした直径上を、加熱対象物50の最上部に向けて測定を行った。前記底部とは、加熱対象物50を加熱調理した際の上下方向の下部を指し、支持部材2または遮熱30に対面していた側でもある。
次に遮熱板30としてアルミ箔を10層となるように折りたたんだものを加熱対象物50と支持部材2の間にセットしたものを実施例1とし、加熱対象物50の上方10mmの位置に水平流誘導版4をセットしたものを実施例2とし、加熱対象物50の下に遮熱板30、加熱対象物50の上方10mmの位置に水平流誘導41の両方をセットしたものを実施例3とした。また、遮熱板30と水平流誘導板41を備えた有底円筒40は用いずに、支持部材2の上に直接加熱対象物50をセットしたものを比較例1とした。なお、前記有底円筒40はアルミ箔で成形し、その底部である水平流誘導板4にはφ10mmの穴が3か所空いている。また、上記アルミ箔の厚みは一般的な10μm以下のものではなく、腰の強い約50μmのものを用いた。
上記の条件にて、加熱対象物50としては直径約5cmのジャガイモを用い、カセットコンロの弱火にて15分加熱した。その後、断面のつま楊枝さし荷重であるFY値と、ジャガイモの表面の焦げの状況から加熱の均一さの評価を行った。
楊枝さし荷重FY値の測定結果を図7に示す。
実施例1,2,3はいずれもジャガイモの断面の全箇所で楊枝さし荷重FY値は低い値を示し、十分に加熱され火が通った目安である2.5Nを下回った。しかし、比較例1はジャガイモの垂直断面に於いて加熱源に近い底部のFY値は実施例と同様に低いが、上部は未加熱品に近く10Nを超える箇所もあり伝熱が不十分であったことが明確である。
つまり、実施例1~3ではいずれも断面のFY値が低く全体が十分に加熱されているということは、ジャガイモの表面の上下または左右から平均的に熱が伝わりやすかったことと、ジャガイモの上部で発生する渦流による伝熱の低下が起きにくかった結果と考えられ、半径距離分の伝熱時間で中心部まで伝熱される作用により短時間で、弱火程度の火力にて調理が完了できたことを示している。
参考として図11に実施例3と比較例1の加熱後のジャガイモの外観を示す。
×印は焦げを表し、×印が密な箇所ほど焦げが強いことを示す。比較例1では底面に網が食い込むほど強く焼けた焦げが見られるが、上面は色の変化もなく皮にしわの発生も見られないことからほぼ生の状態に近く、底部側だけが強く加熱されたことを表している。
一方、実施例3のジャガイモの外観は全体的に適度に焦げ、皮のしわも全体的に発生しており、それは全体がより均一に加熱された結果であり、ひっくり返さなくても、簡便にセットするのみで焼きムラの少ない調理が可能であったことがわかる。
実施例4~6について説明する。
加熱対象物50の上面と水平流誘導板41の距離Hを実施例4では0mm、実施例5では25mm、実施例6では50mm、比較例2では75mm、比較例3では100mmとして他は実施例3と同条件で調理した。加熱対象物50と火力は実施例3と同じく、直径約5cmのジャガイモを用い、カセットコンロの弱火にて15分加熱した。
その結果を図8に示す。
実施例4、実施例5、実施例6ではいずれも全測定点でFY値は低く略均等に加熱されたものとみなすことができる。しかし、比較例2と比較例3はジャガイモの垂直断面の上部にFY値がやや高い部分が残り上部の伝熱が弱かったと考えられる。
この原因は、水平流誘導板41がH=0~50mm間に於いては、ジャガイモの上部の渦流の発生を阻害するかのようにジャガイモの上部に水平方向の熱流を誘導し、上部での伝熱を高めているのに対し、Hが50mmを超えるとジャガイモの周囲では水平よりも垂直方向の気流の要素が大きくなるため、渦流が発生しやすくなり、上部の伝熱が悪化したためと考えられる。
実施例7について説明する。
実施例3と同様の構成で、加熱対象物50の上面と水平流誘導板41の距離Hを10mmとし、火力は弱火で30分加熱を行なったものを実施例7とした。比較例4として実施例7と同様の構成で火力は最小にて90分の加熱を行なった。
加熱対象物50は紅あずま種のサツマイモとし、直径は約50mm長さ約260mmのものを長手方向に1/2にカットし、それぞれを実施例7と比較例4に用いた。
また、前記サツマイモの中心部に接触式の温度計を差し、加熱中の温度変化を測定した。その結果を図9に示す。
実施例7に於いて加熱開始後の周囲温度は1分程度で最高温度である250℃に到達し、サツマイモの内部温度は10分で水の沸点である100℃を超え、18分で水の沸点を大幅に超える120℃に達しており、急速に高温に到達していることが判る。
一方、比較例4では周囲温度、内部温度ともに徐々に昇温し酵素の活性作用があるとされる65℃から90℃である時間が長く保たれた。調理後のFY値はいずれの断面も1~2Nと十分に低く、火が通った状態であった。
この2つのサツマイモを10人に食べ比べてもらったところ10人中10人ともに、急速に高温まで加熱した実施例7のサツマイモがほっくりし、低温で長時間保持した比較例4の芋はしっとりしていると答え、急速に高温に加熱することでほっくりとした焼き芋が得られることが確認できた。
なお、サツマイモの皮は当然生では剥がれないが、程よく焼けると浮いて剥がれる。しかし、さらに強く焼かれると、糖分がしみ出して焦げ皮と内部が干からびて固着した、ぶ厚い層ができて剥がれなくなってしまう。
つまり、程よく焼けた部分だけが皮を剥がしやすいことを踏まえ、実施例7と同条件で焼いたサツマイモを長手方向から2か所切り出し、その皮を剥がした状態を参考として図12に示す。
その結果を見ると、長手方向(a)(b)によらず、および、全周きれいにサツマイモの皮81が剥がれており、サツマイモの実82全体がより均一に加熱されたことを示している。
なお、上記実施例においては加熱対象物50として芋類を用いて説明したが、これらに限定されるものではなく、他にも野菜や肉類や魚介類なども調理可能であり、例えば肉類であれば直火のあぶり焼きのように高温で調理できるので皮目などの表面はカリッと香ばしく仕上げることができる。
また、その際に飛散しがちな肉汁や脂分などは遮熱板30上と有底円筒40内に付着範囲が限定されるため、細かな形状で掃除しにくく、かつ肉汁や脂分などが焼き付くと極めて掃除しにくい網などの支持部材21やガスコンロの火口や五徳まわりはもちろん、鍋10の内面や調理テーブルまわりは汚れないため、掃除の手間を大幅に低減することができる。
さらに遮熱板30と有底円筒40は、1000℃を超えるガスの炎に直接触れないことと、強度的には穏やかな気流程度に耐えればよいため、アルミの薄板など強度と耐熱性は低いが、安価で使い捨ても可能な素材にて単独で構成したり、またはより薄いアルミ箔を遮熱板30および有底円筒40の表面に配して使用することで、遮熱板30と有底円筒40自体の掃除も大幅に低減できる。
また、本発明の基本構成は、深鍋など特殊ではない汎用的な形状の鍋でよく、取っ手を除いては特に鍋の外部への突き出しもなく、内部の造作のみのため空間ロスは最小限であり、および単純な部品にて構成することができるため安価であり、収納スペースも必要最小限で済むためコンパクトである。
本発明によれば、加熱対象物を、少ない熱量で、急速に高温に加熱することで美味しく焼きあげることができ、簡便でひっくり返すなどの手間をかけなくても焼ムラが生じにくい、直火用の加熱調理器を提供することができる。
以上、本発明を実施例を用いて詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 鍋
11 底部
12 穴
13 取っ手
21 支持部材
22 穴
30 遮熱板
40 有底円筒
41 水平流誘導板
42 穴
50 加熱対象物
71 デジタル秤
72 つま楊枝
73 水平ストッパー
74 支柱
81 サツマイモの皮
82 サツマイモの実
e 渦流
H 食材上部と水平流誘導板の距離
A1、B1、C1、D1、E1、F1 従来例における熱流の経路
C2、D2 本発明の遮熱板における熱流の経路
D3、E3、F3 本発明の水平流誘導板における熱流の経路

Claims (6)

  1. 底部に複数の穴を有する鍋と、前記鍋の底部に加熱対象物を載置するための支持部材を備え、さらに、耐熱性を有する遮熱板または耐熱性を有し、1か所以上の貫通する穴を備えてなる水平流誘導板の少なくともいずれか一方を備え、前記遮熱板は前記加熱対象物の下方に配し、前記水平流誘導板は前記加熱対象物の上方に配してなることを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記支持部材は、鉛直方向に貫通する複数の穴を有するとともに、前記鍋の内底面から5mm以上50mm以下離れた位置に配してなることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記鍋の底部の複数の穴は、各々の穴の直径が1mm以上から15mm以下の円相当の断面積を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の加熱調理器。
  4. 前記遮熱板は、内部に気泡を有するセラミック系の焼物または、複数の金属板の少なくとも一部が密着していない複数層構造を有するものであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理器。
  5. 前記水平流誘導板は、前記鍋の内径より小さく、前記鍋の内径の80%より大きい外径をもつ有底円筒の底部を成し、前記加熱対象物を覆うように、前記底部を上にして前記支持部材上に配することを特徴とする請求項1ないし請求項4のずれかに記載の加熱調理器。
  6. 前記有底円筒は、複数の金属板の少なくとも一部が密着していない複数層構造を有し、前記水平流誘導板は1か所以上の貫通する穴を備えてなることを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。

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