JP2022170816A - ガイドワイヤ - Google Patents

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Soichi Futami
昌和 中田
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順二 里▲崎▼
Junji Satozaki
佑珠 ▲高▼田
Yumi Takata
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Abstract

【課題】ガイドワイヤの潤滑性と併用デバイスの通過性とを高次元で両立させる。【解決手段】ガイドワイヤは、コアシャフトと、コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体と、コイル体の外周に設けられたコーティング層とを備える。コーティング層は、膨潤状態において、ガイドワイヤの外周方向に突出する山部を有するように構成されている。コイル体の中心軸を含む断面において、山部の頂点は、線材の一の横断面の中心点を通りかつ中心軸に垂直な第1の仮想直線より基端側の位置であり、かつ、該一の横断面に対して基端側に隣り合う線材の他の横断面の中心点を通りかつ中心軸に垂直な第2の仮想直線より先端側の位置に存在する。【選択図】図3

Description

本明細書に開示される技術は、ガイドワイヤに関する。
カテーテル等の医療用デバイス(以下、「併用デバイス」という。)を人体内の所定の位置に案内するために、ガイドワイヤが用いられる。ガイドワイヤは、コアシャフトと、コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体とを備える。
ガイドワイヤの潤滑性を向上させるため、コイル体の外周には、親水性のコーティング層が設けられる。コーティング層は、人体内において水分を吸収して膨潤する。ガイドワイヤに案内される併用デバイスの屈曲部等において、ガイドワイヤのコーティング層に併用デバイスが押しつけられると、コーティング層がつぶれて表面が平滑になると共に、コーティング層から水分が染み出してコーティング層の平滑な表面と併用デバイスとの間に薄い水分の膜が形成され、その結果、ガイドワイヤと併用デバイスとの間の潤滑性が確保される。
従来、医療用デバイスの潤滑性を向上させるため、基材層を覆うコーティング層の表面を凹凸形状にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-146504号公報
従来のガイドワイヤでは、コーティング層に併用デバイスが押しつけられると、コーティング層がつぶれ、併用デバイスがコイル体の線材に接触し、ガイドワイヤの潤滑性が低下するおそれがある。なお、上記従来の技術のように、コイル体との位置関係を考慮せず、単にコーティング層の表面を凹凸形状にするのみでは、併用デバイスがコイル体の線材に接触することを抑制することができず、やはりガイドワイヤの潤滑性が低下するおそれがある。また、併用デバイスとコイル体の線材との接触を回避するために、コーティング層の厚さを厚くすることも考えられるが、単にコーティング層の厚さを厚くするのみでは、膨潤時におけるコーティング層の厚さが過大となり、併用デバイスの通過性が悪化するおそれがある。このように、従来のガイドワイヤは、潤滑性と併用デバイスの通過性との両立の点で向上の余地がある。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される第1のガイドワイヤは、コアシャフトと、前記コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体と、前記コイル体の外周に設けられたコーティング層とを備える。前記コーティング層は、膨潤状態において、前記ガイドワイヤの外周方向に突出する山部を有するように構成されている。前記コイル体の中心軸を含む断面において、前記山部の頂点は、前記線材の一の横断面の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第1の仮想直線より基端側の位置であり、かつ、前記一の横断面に対して基端側に隣り合う前記線材の他の横断面の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第2の仮想直線より先端側の位置に存在する。
このように、本ガイドワイヤでは、コーティング層は、膨潤状態において、ガイドワイヤの外周方向に突出する山部を有するように構成されているため、コーティング層における山部が効果的に保水機能を発揮し、ガイドワイヤに高い潤滑性を付与する。また、本ガイドワイヤでは、コイル体の中心軸を含む断面において、膨潤状態におけるコーティング層の山部の頂点が、線材の一の横断面の中心点を通りかつ中心軸に垂直な第1の仮想直線より基端側の位置であり、かつ、該一の横断面に対して基端側に隣り合う線材の他の横断面の中心点を通りかつ中心軸に垂直な第2の仮想直線より先端側の位置に存在する。すなわち、膨潤状態におけるコーティング層の山部の頂点は、コイル体の線材間に位置する。コーティング層のうち、線材間に位置する部分は、下地としての線材の存在が小さいため、外周側から応力を受けた際の「遊び」が大きい部分である。そのため、コーティング層の該部分に山部の頂点が存在すると、併用デバイスからの応力を分散させることができる。従って、本ガイドワイヤによれば、コーティング層がつぶれても併用デバイスがコイル体の線材に接触することを効果的に抑制することができる。また、コーティング層のうち、線材間に位置する部分は、下地としての線材の存在が小さいために動きやすいことから、コーティング層の山部の頂点がコイル体の線材間に位置していても、併用デバイスの通過性を良好に維持することができる。以上のことから、本ガイドワイヤによれば、潤滑性と併用デバイスの通過性とを高次元で両立させることができる。
(2)上記ガイドワイヤにおいて、前記コイル体の前記中心軸を含む前記断面において、前記山部の頂点は、前記中心軸に垂直な方向において、前記線材の横断面と重ならない位置に存在する構成としてもよい。コーティング層のうち、中心軸に垂直な方向においてコイル体の線材の横断面と重ならない位置に存在する部分は、下地としての線材の存在が非常に小さいため、外周側から応力を受けた際の「遊び」が非常に大きい部分である。そのため、コーティング層の該部分に山部の頂点が存在すると、併用デバイスからの応力を効果的に分散させることができる。従って、本ガイドワイヤによれば、コーティング層がつぶれても併用デバイスがコイル体の線材に接触することを効果的に抑制することができる。
(3)本明細書に開示される第2のガイドワイヤは、コアシャフトと、前記コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体と、前記コイル体の外周に設けられたコーティング層とを備える。前記コーティング層は、前記コイル体の外周に設けられた第1のコーティング層と、前記第1のコーティング層の外周に設けられ、前記第1のコーティング層より膨潤性の高い第2のコーティング層とを含む。前記コイル体の中心軸を含む断面において、前記線材の一の横断面の中心点である第1の中心点と、前記一の横断面に対して基端側に隣り合う前記線材の他の横断面の中心点である第2の中心点と、を結ぶ仮想線分の垂直二等分線上の前記第2のコーティング層の厚さは、前記第1の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第1の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さより厚く、かつ、前記第2の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第2の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さより厚い。
このように、本ガイドワイヤでは、コイル体の中心軸を含む断面において、線材の一の横断面の中心点である第1の中心点と、該一の横断面に対して基端側に隣り合う線材の他の横断面の中心点である第2の中心点と、を結ぶ仮想線分の垂直二等分線上の第2のコーティング層の厚さが比較的厚い。そのため、本ガイドワイヤによれば、膨潤状体におけるコーティング層の山部の頂点が、上記第1の仮想直線より基端側の位置であり、かつ、上記第2の仮想直線より先端側の位置に存在する構成を実現することができる。従って、本ガイドワイヤによれば、潤滑性と併用デバイスの通過性とを高次元で両立させることができる。
(4)上記ガイドワイヤにおいて、前記コイル体の前記中心軸を含む前記断面において、前記垂直二等分線上の前記第2のコーティング層の厚さは、前記第1の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さの1.2倍以上であり、かつ、前記第2の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さの1.2倍以上である構成としてもよい。本ガイドワイヤによれば、膨潤状体のコーティング層において、コイル体の線材間に位置する部分の厚さが、線材の直上に位置する部分の厚さに対して、一定割合以上厚い構成を実現することができ、潤滑性と併用デバイスの通過性とをさらに高次元で両立させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガイドワイヤやその製造方法等の形態で実現することができる。
本実施形態におけるガイドワイヤ100の構成を概略的に示す説明図 本実施形態のコーティング層30の詳細構成を示す説明図 本実施形態のコーティング層30の詳細構成を示す説明図 本実施形態のガイドワイヤ100の使用時の状態を示す説明図 比較例のガイドワイヤ100Xにおけるコーティング層30Xの構成を示す説明図 比較例のガイドワイヤ100Xにおけるコーティング層30Xの構成を示す説明図 比較例のガイドワイヤ100Xの使用時の状態を示す説明図 実施例1のガイドワイヤ100の膨潤膜厚測定結果を示す説明図
A.実施形態:
A-1.ガイドワイヤ100の構成:
図1は、本実施形態におけるガイドワイヤ100の構成を概略的に示す説明図である。図1には、ガイドワイヤ100(および後述するコアシャフト10、コイル体20)の中心軸AXを含む縦断面(YZ断面)の構成が示されている。なお、図1では、ガイドワイヤ100の一部分の図示が省略されている。図1において、Z軸正方向側が、体内に挿入される先端側(遠位側)であり、Z軸負方向側が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。図1では、ガイドワイヤ100が全体としてZ軸方向に略平行な直線状となった状態を示しているが、ガイドワイヤ100の少なくとも一部の構成は、湾曲させることができる程度の可撓性を有している。なお、本明細書では、ガイドワイヤ100およびその各構成部材について、先端側の端を「先端」といい、先端およびその近傍を「先端部」といい、基端側の端を「基端」といい、基端およびその近傍を「基端部」という。ガイドワイヤ100における各部の断面の構成は、例えばレーザ顕微鏡を用いて観察することができる。
ガイドワイヤ100は、人体内の所定の位置にカテーテル等の併用デバイスを案内するために、人体内に挿入される長尺状医療用デバイスである。ガイドワイヤ100の全長は、例えば1500mm~3200mm程度である。
ガイドワイヤ100は、コアシャフト10と、コイル体20と、コーティング層30と、先端側接合部51と、基端側接合部56と、中間固定部61とを備える。
コアシャフト10は、中心軸AXに沿って延びる長尺状の部材である。コアシャフト10は、先端側から基端側に向かって順に、細径部11と、第1テーパー部12と、第1太径部13と、第2テーパー部14と、第2太径部15とを有している。細径部11は、コアシャフト10の最先端に位置しており、コアシャフト10の外径が最小の部分である。第1テーパー部12は、細径部11と第1太径部13との間に位置しており、先端側から基端側に向かって外径が拡径したテーパー形状の部分である。第1太径部13は、第1テーパー部12と第2テーパー部14との間に位置しており、細径部11の外径よりも大きな外径を有する部分である。第2テーパー部14は、第1太径部13と第2太径部15との間に位置しており、先端側から基端側に向かって外径が拡径したテーパー形状の部分である。第2太径部15は、コアシャフト10の最基端に位置しており、コアシャフト10の外径が最大の部分である。第2太径部15は、医師等の手技者によって把持される部分である。コアシャフト10の各位置における横断面(XY断面)の形状は、任意の形状を取り得るが、例えば、円形や平板形である。また、コアシャフト10の各部における径および長さは、任意に設定することができる。
コアシャフト10は、例えば、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金、タングステン等により形成されている。また、コアシャフト10は、他の超弾性合金や線形擬弾性合金により形成されていてもよい。
コイル体20は、線材21を螺旋状に巻回することにより中心軸AXに沿って延びる中空円筒状に形成されたコイル状の部材である。コイル体20は、コアシャフト10を覆うように、コアシャフト10の外周に配置されている。本実施形態では、コイル体20は、コアシャフト10の細径部11と第1テーパー部12と第1太径部13とを覆っている。コイル体20を構成する線材21は、1本の素線からなる単線でもよいし、複数の素線を撚り合せた撚線でもよい。線材21を単線とした場合、コイル体20は単コイルとして構成され、線材21を撚線とした場合、コイル体20は中空撚線コイルとして構成される。また、単コイルと中空撚線コイルとを組み合わせてコイル体20を構成してもよい。線材21の線径やコイル体20におけるコイル平均径(コイル体20の外径と内径の平均径)は、任意に設定することができる。コイル体20は、軸方向に隣り合う線材21間に間隔が設けられた疎巻きコイルであることが好ましい。ただし、コイル体20は、軸方向に隣り合う線材21が互いに密着した密巻きコイルであってもよい。
コイル体20を構成する線材21は、例えば、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金、ピアノ線といった放射線透過材料や、白金、金、タングステン、コバルト合金、ニッケル-クロム系合金またはこれらの合金といった放射線不透過材料により形成されている。また、コイル体20を構成する線材21は、他の超弾性合金や線形擬弾性合金により形成されていてもよい。
先端側接合部51は、コイル体20の先端とコアシャフト10の先端(細径部11)とを接合する部材である。また、基端側接合部56は、コイル体20の基端とコアシャフト10(第1太径部13)とを接合する部材である。また、中間固定部61は、コイル体20の中心軸AX方向の中間部近傍において、コイル体20とコアシャフト10(第1太径部13)とを接合する部材である。先端側接合部51、基端側接合部56および中間固定部61は、例えば、金属ハンダ(Au-Sn合金、Sn-Ag合金、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金等)、ロウ材(アルミニウム合金ロウ、銀ロウ、金ロウ等)、接着剤(エポキシ系接着剤等)等により形成されている。先端側接合部51、基端側接合部56および中間固定部61を形成する材料は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
コーティング層30は、コイル体20の外周に設けられた親水性の樹脂層である。コーティング層30は、コイル体20の少なくとも外周面(外側の表面)を被覆している。なお、本実施形態では、コーティング層30は、先端側接合部51の先端側の表面、および、基端側接合部56の基端側の表面も覆っている。また、コーティング層30が、コアシャフト10の第2テーパー部14や第2太径部15の少なくとも一部の表面を覆っていてもよい。コーティング層30は、人体内において水分を吸収することによって膨潤し、ガイドワイヤ100の潤滑性を向上させる。
A-2.コーティング層30の詳細構成:
次に、コーティング層30の構成について、さらに詳細に説明する。図2および図3は、本実施形態のコーティング層30の詳細構成を示す説明図である。図2および図3には、図1のX1部におけるコーティング層30の縦断面(YZ断面)の構成が拡大して示されている。なお、図2および図3に示す断面には、コイル体20を構成する線材21の複数の横断面が表れている。図2には、通常状態(乾燥状態)のコーティング層30(以下、「コーティング層30d」ともいう。)の構成が示されており、図3には、膨潤状態のコーティング層30(以下、「コーティング層30w」ともいう。)の構成が示されている。本明細書において、膨潤状態とは、コーティング層30を生理食塩水に10秒間以上含浸させた状態を意味する。
図2および図3に示すように、コーティング層30は、内側コーティング層31と、外側コーティング層32とから構成された2層構成を有している。内側コーティング層31は、コイル体20の外周に設けられた層である。また、外側コーティング層32は、内側コーティング層31の外周に設けられた層である。本実施形態では、内側コーティング層31および外側コーティング層32は、共に、全体が連続的に形成された連続体である。ただし、内側コーティング層31は、その一部が不連続に形成された不連続体であってもよい。内側コーティング層31は、特許請求の範囲における第1のコーティング層の一例であり、外側コーティング層32は、特許請求の範囲における第2のコーティング層の一例である。
外側コーティング層32は、内側コーティング層31より膨潤性が高い。本明細書において、コーティング層の膨潤性が高いとは、コーティング層を生理食塩水に含浸させたときに、より大きく膨張する(より多く保水する)ことを意味する。なお、コーティング層の膨潤性の高さを表す指標値としては、レーザ顕微鏡等を用いて測定した膜厚の変化量である膨潤膜厚を用いることができる。外側コーティング層32の膨潤膜厚は、内側コーティング層31の膨潤膜厚の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることがさらに好ましい。コーティング層の膨潤膜厚は、レーザ顕微鏡であるVFXシリーズ(キーエスンス製)、白色コンフォーカル顕微鏡であるOPTELICSシリーズ(レーザーテック製)、光干渉膜厚計であるF40シリーズ(フィルメトリクス製)を用いて測定することができる。特にレーザ顕微鏡であるVFX-8710を用いた場合、所定の親水性コーティングを施した乾燥状態のガイドワイヤ100を観察し、コイル体20からコーティング層30表面までの乾燥膜厚を測定し、その後、生理食塩水を観察部に滴下し、コイル体20およびコーティング層30が10秒以上生理食塩水に浸漬されている状態とした後に、さらにコイル体20およびコーティング層30をレーザ顕微鏡で測定して膨潤膜厚を測定することができる。
例えば、内側コーティング層31の形成材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、親水性ウレタン樹脂(例えば、Hydro Thane(三菱ケミカル)、Hydro MED(三菱ケミカル)、Bionate(DSM)、Tecophilic(Lubrizol)、HPU(大日精化))、変性ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンーアクリル酸(ユニチカ)、BONDINE(東京材料))等を用いることができ、特に好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)、親水性ウレタン樹脂(Hydro Thane)を用いることができる。また、外側コーティング層32の形成材料としては、ヒアルロン酸、カルボキシベタイン、ホスホベタイン、スルホベタイン、ポリビニルピロリドン、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコール及びそれらの共重合体等を用いることができ、より好ましくは、ヒアルロン酸、カルボキシベタイン、ホスホベタイン・ジメチルアクリルアミドおよびそれらの共重合体を用いることができる。これらの材料を用いて内側コーティング層31および外側コーティング層32を形成すれば、外側コーティング層32の膨潤性を内側コーティング層31の膨潤性より高くすることができる。
図2に示すように、本実施形態では、通常状態(乾燥状態)のコーティング層30(30d)において、外側コーティング層32の厚さが、コイル体20の線材21の直上の位置に比べて、線材21間の位置において厚くなっている。より詳細には、コイル体20の中心軸AXを含む断面(図2に示す断面)において、コイル体20の線材21の一の(ある1つの)横断面21dの中心点P1(以下、「第1の中心点P1d」という。)と、線材21の上記一の横断面21dに対して基端側に隣り合う他の横断面21pの中心点P1(以下、「第2の中心点P1p」という。)と、を結ぶ仮想線分VL4の垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、上記第1の中心点P1dを通りかつ中心軸AXに垂直な第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adより厚く、かつ、上記第2の中心点P1pを通りかつ中心軸AXに垂直な第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apより厚い。なお、本実施形態では、このような厚さの関係は、コイル体20の中心軸AXを含む任意の断面における、互いに隣り合う任意の2つの線材21の横断面の組について、成り立っている。コイル体20は線材21が螺旋状に巻回された構成であるため、通常状態のコーティング層30(30d)において、外側コーティング層32の厚さが比較的厚い部分は、線材21間に沿って螺旋状に分布している。
なお、通常状態のコーティング層30(30d)におけるコイル体20の中心軸AXを含む断面において、上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adの1.2倍以上、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apの1.2倍以上であることが好ましく、厚さT2adの2倍以上、かつ、厚さT2apの2倍以上であることがさらに好ましい。また、上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adの5倍以下、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apの5倍以下であることが好ましく、厚さT2adの3.5倍以下、かつ、厚さT2apの3.5倍以下であることがさらに好ましい。上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、例えば、1.5μm~4.0μm程度であり、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adおよび上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apは、例えば、0.5μm~2.0μm程度である。
なお、本実施形態では、通常状態のコーティング層30(30d)において、内側コーティング層31の厚さが、コイル体20の線材21の直上の位置に比べて、線材21間の位置において厚くなっている。より詳細には、コイル体20の中心軸AXを含む断面(図2に示す断面)において、上記垂直二等分線VL3上の内側コーティング層31の厚さT1bは、上記第1の仮想直線VL1上の内側コーティング層31の厚さT1adより厚く、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の内側コーティング層31の厚さT1apより厚い。また、本実施形態では、通常状態のコーティング層30(30d)において、コーティング層30全体の厚さが、コイル体20の線材21の直上の位置に比べて、線材21間の位置において厚くなっている。より詳細には、コイル体20の中心軸AXを含む断面において、上記垂直二等分線VL3上のコーティング層30の厚さTbは、上記第1の仮想直線VL1上のコーティング層30の厚さTadより厚く、かつ、上記第2の仮想直線VL2上のコーティング層30の厚さTapより厚い。
ここで、コーティング層30を通常状態から膨潤状態に移行させると、図3に示すように、コーティング層30を構成する各層は、水分を吸収して膨張する。外側コーティング層32は内側コーティング層31と比べて膨潤性が高いため、外側コーティング層32の膨張量は内側コーティング層31の膨張量より大きい。本実施形態のコーティング層30は、通常状態において上述した構成(膨潤性が比較的高い外側コーティング層32の厚さが、コイル体20の線材21間の位置において比較的厚い構成)を有するため、通常状態から膨潤状態に移行させると、通常状態において外側コーティング層32の厚さが比較的厚かった部分が大きく膨張して山部36を構成する。すなわち、コーティング層30(30w)は、膨潤状態において、ガイドワイヤ100の外周方向に突出する山部36を有するように構成されている。
山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21の直上には位置せず、線材21間に位置する。より詳細には、コイル体20の中心軸AXを含む断面(図3に示す断面)において、山部36の頂点P2は、上記第1の仮想直線VL1より基端側の位置であり、かつ、上記第2の仮想直線VL2より先端側の位置(図3の範囲R1)に存在する。換言すれば、山部36の頂点P2は、第1の仮想直線VL1上および第2の仮想直線VL2上には位置せず、第1の仮想直線VL1上および第2の仮想直線VL2上以外の位置に存在する。なお、本実施形態では、このような山部36の頂点P2の位置の関係は、コイル体20の中心軸AXを含む任意の断面における、互いに隣り合う任意の2つの線材21の横断面の組について、成り立っている。上述したように、コイル体20は線材21が螺旋状に巻回された構成であり、通常状態のコーティング層30(30d)において、外側コーティング層32の厚さが比較的厚い部分は線材21間に沿って螺旋状に分布しているため、膨潤状態のコーティング層30(30w)において、山部36は、その頂点P2が線材21間に沿って螺旋状に延伸するように連続的に形成される。
なお、本実施形態では、膨潤状態のコーティング層30(30w)におけるコイル体20の中心軸AXを含む断面において、山部36の頂点P2は、中心軸AXに垂直な方向(図3の例では、Y軸方向)において線材21の横断面と重ならない位置に存在する。換言すれば、山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21の一の横断面21dの基端側の端点を通りかつ中心軸AXに垂直な第5の仮想直線VL5より基端側の位置であり、かつ、上記一の横断面21dに対して基端側に隣り合う他の横断面21pの先端側の端点を通りかつ中心軸AXに垂直な第6の仮想直線VL6より先端側の位置(図3の範囲R2)に存在する。さらに詳細には、本実施形態では、膨潤状態のコーティング層30(30w)におけるコイル体20の中心軸AXを含む断面において、山部36の頂点P2は、上記垂直二等分線VL3上またはそのごく近傍に位置する。また、山部36は、ガイドワイヤ100の外周方向に突出する部分であることから、山部36の頂点P2は、上述した仮想線分VL4より外周側に位置する。
膨潤状態のコーティング層30(30w)におけるコイル体20の中心軸AXを含む断面において、山部36の頂点P2の位置における外側コーティング層32の厚さT2bは、例えば、4.0μm~16.0μm程度であり、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adおよび上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apは、例えば、1.0μm~6.0μm程度である。
A-3.ガイドワイヤ100の製造方法:
本実施形態のガイドワイヤ100の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、コイル体20を接合部(先端側接合部51、基端側接合部56および中間固定部61)によってコアシャフト10に接合することにより、コーティング層30の形成前のガイドワイヤ100を作製する。該ガイドワイヤ100に対し、必要により洗浄を行う。
次に、上記ガイドワイヤ100に対して、所定の膜形成方法により、膨潤性が比較的低い内側コーティング層31の形成を行う。例えば、膨潤性が比較的低い樹脂材料を用いて内側コーティング層31用の溶液を作製し、該溶液を用いたディップコートにより内側コーティング層31を形成する。次に、内側コーティング層31が形成されたガイドワイヤ100に対して、所定の膜形成方法により、膨潤性が比較的高い外側コーティング層32の形成を行う。例えば、膨潤性が比較的高い樹脂材料を用いて外側コーティング層32用の溶液を作製し、該溶液を用いたディップコートにより外側コーティング層32を形成する。以上の方法により、内側コーティング層31と外側コーティング層32とから構成されたコーティング層30を備えるガイドワイヤ100を作製することができる。
なお、外側コーティング層32の形成の際には、外側コーティング層32の厚さが、コイル体20の線材21の直上の位置に比べて、線材21間の位置において厚くなるようにする。このようにすれば、コーティング層30を通常状態(乾燥状態)から膨潤状態に移行させた際に、コーティング層30の山部36の頂点P2が、コイル体20の線材21の直上には位置せず、線材21間に位置するような構成が実現される。また、膨潤状態におけるコーティング層30の山部36の突出の程度の調整は、例えば、外側コーティング層32や内側コーティング層31の厚さを調整したり、コイル体20の線材21間の間隔を調整したりすることにより実現することができる。
A-4.ガイドワイヤ100の作用効果:
本実施形態のガイドワイヤ100は、上述した構成を有するため、潤滑性と併用デバイスの通過性とを高次元で両立させることができる。以下、この点について説明する。
図4は、本実施形態のガイドワイヤ100の使用時の状態を示す説明図である。ガイドワイヤ100が人体内に挿入されると、コーティング層30が水分を吸収して膨潤する(図3参照)。その後、ガイドワイヤ100に案内されてバルーンカテーテル等の併用デバイスDEが人体内に挿入される。そのとき、例えば併用デバイスDEの屈曲部等において、コーティング層30(30w)に併用デバイスDEが押しつけられると、図4に示すように、コーティング層30がつぶれて表面が平滑になると共に、コーティング層30から水分が染み出してコーティング層30の平滑な表面と併用デバイスDEとの間に薄い水分の膜WAが形成され、その結果、ガイドワイヤ100と併用デバイスDEとの間の潤滑性が確保される。
図5および図6は、比較例のガイドワイヤ100Xにおけるコーティング層30Xの構成を示す説明図である。図5には、通常状態(乾燥状態)におけるコーティング層30X(30Xd)の構成が示されており、図6には、膨潤状態におけるコーティング層30X(30Xw)の構成が示されている。
図5および図6に示すように、比較例のコーティング層30Xは、単一の層から構成されている。比較例のコーティング層30Xの膨潤性は、上述した実施形態のコーティング層30を構成する外側コーティング層32の膨潤性と略同一である。また、比較例のコーティング層30Xでは、通常状態における厚さが、各位置において略一定である。そのため、コーティング層30Xの外周面の形状は、コイル体20の線材21の外周面の形状と同様となっている。ただし、コイル体20の線材21間の隙間にコーティング層30Xが入り込む関係上、上記垂直二等分線VL3上のコーティング層30Xの厚さTbは、上記第1の仮想直線VL1上のコーティング層30Xの厚さTadより若干厚く、かつ、上記第2の仮想直線VL2上のコーティング層30Xの厚さTapより若干厚い。上記第1の仮想直線VL1上および上記第2の仮想直線VL2上の位置における比較例のコーティング層30Xの厚さTad,Tapは、該位置における上述した実施形態のコーティング層30の厚さTad,Tapと略同一である。
比較例のコーティング層30Xは、通常状態においてこのような構成を有するため、通常状態から膨潤状態に移行させると、図6に示すように、ガイドワイヤ100Xの外周方向に突出する山部36が形成される。しかしながら、比較例のコーティング層30Xは、単層構成であり、かつ、厚さが略一定であるため、山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21の直上に位置することとなる。すなわち、山部36の頂点P2は、上記第1の仮想直線VL1および上記第2の仮想直線VL2上に位置する。なお、膨潤状態において、比較例のコーティング層30X(30Xw)の山部36の頂点P2の位置での厚さTad,Tapは、上述した実施形態のコーティング層30(30w)の山部36の頂点P2の位置での厚さTbより薄い。
図7は、比較例のガイドワイヤ100Xの使用時の状態を示す説明図である。上述した実施形態と同様に、比較例においても、ガイドワイヤ100Xが人体内に挿入されると、コーティング層30Xが水分を吸収して膨潤する(図6参照)。その後、ガイドワイヤ100Xに案内されて併用デバイスDEが人体内に挿入される。そのとき、例えば併用デバイスDEの屈曲部等において、コーティング層30X(30Xw)に併用デバイスDEが押しつけられると、図7に示すように、コーティング層30Xがつぶれる。
ここで、比較例では、図6に示すように、膨潤状態におけるコーティング層30X(30Xw)の山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21の直上に位置する。コーティング層30Xのうち、線材21の直上に位置する部分は、線材21が下地として機能するため、外周側から応力を受けた際の「遊び」が小さく、併用デバイスDEからの応力を柔らかく受け止めることができない。その結果、比較例では、図7に示すように、コーティング層30Xがつぶれて併用デバイスDEがコイル体20の線材21に接触し、潤滑性が低下するおそれがある。
なお、比較例において、併用デバイスDEとコイル体20の線材21との接触を回避するために、コーティング層30Xの厚さを厚くすることも考えられる。しかしながら、コーティング層30Xの厚さを単純に厚くすると、膨潤時において、コーティング層30Xにおけるコイル体20の線材21の直上に位置する部分(山部36)の厚さが過大となり、併用デバイスDEの通過性が悪化するおそれがある。
これに対し、本実施形態のガイドワイヤ100では、コーティング層30は、膨潤状態において、ガイドワイヤ100の外周方向に突出する山部36を有するように構成されている。そのため、コーティング層30における山部36が効果的に保水機能を発揮し、ガイドワイヤ100に高い潤滑性を付与する。
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、コイル体20の中心軸AXを含む断面において、膨潤状態におけるコーティング層30の山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21の一の横断面21dの第1の中心点P1dを通りかつ中心軸AXに垂直な第1の仮想直線VL1より基端側の位置であり、かつ、該一の横断面21dに対して基端側に隣り合う他の横断面21pの第2の中心点P1pを通りかつ中心軸AXに垂直な第2の仮想直線VL2より先端側の位置に存在する。すなわち、膨潤状態におけるコーティング層30の山部36の頂点P2は、コイル体20の線材21間に位置する。コーティング層30のうち、線材21間に位置する部分は、下地としての線材21の影響が小さい部分であるため、外周側から応力を受けた際の「遊び」が大きい部分である。そのため、コーティング層30の該部分に山部36の頂点P2が存在すると(換言すれば、該部分におけるコーティング層30の体積が大きいと)、併用デバイスDEからの応力を分散させることができる。従って、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、コーティング層30がつぶれても併用デバイスDEがコイル体20の線材21に接触することを効果的に抑制することができる。
また、コーティング層30のうち、線材21間に位置する部分は、下地としての線材21の存在が小さいために動きやすいことから、コーティング層30の山部36の頂点P2がコイル体20の線材21間に位置していても、併用デバイスDEの通過性を良好に維持することができる。
以上のことから、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、潤滑性と併用デバイスDEの通過性とを高次元で両立させることができる。
なお、本実施形態では、コイル体20の中心軸AXを含む断面において、山部36の頂点P2は、中心軸AXに垂直な方向において、コイル体20の線材21の横断面と重ならない位置に存在する。コーティング層30のうち、中心軸AXに垂直な方向においてコイル体20の線材21の横断面と重ならない位置に存在する部分は、下地としての線材21の影響が非常に小さい部分であるため、外周側から応力を受けた際の「遊び」が非常に大きい部分である。そのため、コーティング層30の該部分に山部36の頂点P2が存在すると、併用デバイスDEからの応力を効果的に分散させることができる。従って、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、コーティング層30がつぶれても併用デバイスDEがコイル体20の線材21に接触することをさらに効果的に抑制することができ、ガイドワイヤ100の潤滑性をさらに効果的に向上させることができる。
また、本実施形態のガイドワイヤ100では、コーティング層30は、コイル体20の外周に設けられた内側コーティング層31と、内側コーティング層31の外周に設けられ、内側コーティング層31より膨潤性の高い外側コーティング層32とを含んでいる。通常状態において、コイル体20の中心軸AXを含む断面において、上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adより厚く、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apより厚い。本実施形態のガイドワイヤ100は、このような構成を有するため、膨潤状体におけるコーティング層30の山部36の頂点P2が、上記第1の仮想直線VL1より基端側の位置であり、かつ、上記第2の仮想直線VL2より先端側の位置に存在する構成を実現することができる。従って、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、上述したように、潤滑性と併用デバイスDEの通過性とを高次元で両立させることができる。
なお、通常状態において、コイル体20の中心軸AXを含む断面において、上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bは、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adの1.2倍以上であり、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apの1.2倍以上であることが好ましい。このような構成とすれば、膨潤状体のコーティング層30において、コイル体20の線材21間に位置する部分の厚さが、線材21の直上に位置する部分の厚さに対して、一定割合以上厚い構成を実現することができ、潤滑性と併用デバイスDEの通過性とをさらに高次元で両立させることができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態におけるガイドワイヤ100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、コーティング層30が内側コーティング層31と外側コーティング層32との2層構成であるが、コーティング層30が、内側コーティング層31と外側コーティング層32との間に1つまたは複数の他の層が配置された3層以上の構成であってもよい。
上記実施形態では、膨潤状態のコーティング層30(30w)におけるコイル体20の中心軸AXを含む断面において、山部36の頂点P2が、上記垂直二等分線VL3上またはそのごく近傍に位置しているが、山部36の頂点P2は、上記第1の仮想直線VL1上および上記第2の仮想直線VL2上以外の位置であれば、他の位置に存在していてもよい。
上記実施形態では、膨潤状態のコーティング層30(30w)において、山部36が螺旋状に連続的に形成されるが、山部36が離散的に形成されてもよい。
上記実施形態では、山部36の頂点P2が上記第1の仮想直線VL1より基端側の位置であり、かつ、上記第2の仮想直線VL2より先端側の位置に存在するという関係が、コイル体20の中心軸AXを含む任意の断面における、互いに隣り合う任意の2つの線材21の横断面の組について成り立っているが、該関係が、コイル体20の中心軸AXを含む少なくとも1つの断面における、互いに隣り合う2つの線材21の横断面の少なくとも1つの組について成り立っていればよい。同様に、上記実施形態では、上記垂直二等分線VL3上の外側コーティング層32の厚さT2bが、上記第1の仮想直線VL1上の外側コーティング層32の厚さT2adより厚く、かつ、上記第2の仮想直線VL2上の外側コーティング層32の厚さT2apより厚いという関係が、コイル体20の中心軸AXを含む任意の断面における、互いに隣り合う任意の2つの線材21の横断面の組について、成り立っているが、該関係が、コイル体20の中心軸AXを含む少なくとも1つの断面における、互いに隣り合う2つの線材21の横断面の少なくとも1つの組について成り立っていればよい。
以下では、上述した本発明の内容をより明確にするために、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
まず、コアシャフト10と、コイル体20と、先端側接合部51と、基端側接合部56と、中間固定部61とを備えるガイドワイヤ100(コーティング層30形成前のガイドワイヤ100)を作製し、該ガイドワイヤ100に対して、イソプロピルアルコール(IPA)を染み込ませた不織布を用いて表面を擦過させて洗浄を行った。
次に、ポリビニルアルコール(分子量2600、ケン化度98%以上、三菱ケミカル製 製品名NH26-S)を5%濃度で熱水で溶解した後、架橋剤としてポリカルボジイミド(日清紡製 製品名:カルボジライト)を0.16%添加して、内側コーティング層31用の溶液を得た。得られた溶液を用いて、上述したコーティング層30形成前のガイドワイヤ100に対してディップコートを行い、70℃、1時間の加熱乾燥を行うことにより、内側コーティング層31が形成されたガイドワイヤ100を得た。
また、ヒアルロン酸ナトリウム(分子量約100万)を0.8wt%で、水:N-メチルピロリドン=85:15の混合溶液に溶解させて、外側コーティング層32用の溶液を得た。得られた溶液を用いて、上述した内側コーティング層31が形成されたガイドワイヤ100に対してディップコートを行い、120℃、1時間の加熱乾燥を行うことにより、外側コーティング層32を形成した。これにより、内側コーティング層31と外側コーティング層32とから構成されたコーティング層30を備えるガイドワイヤ100を得た。
[膜形状評価方法]
膨潤膜厚の測定として、コーティング層30が形成された実施例1のガイドワイヤ100を生理食塩水に20秒間浸漬させた後、レーザ顕微鏡(キーエンス製 VFX-8710)を用いて透明膜・断面のレーザ測定を行った。図8は、実施例1のガイドワイヤ100の膨潤膜厚測定結果を示す説明図である。図8において、最も白い部分は、レーザ反射が最も大きい部分であり、コイル体20を構成する各線材21の最表面に該当する。その上部に波打つように観測されている部分は、生理食塩水によって膨潤したコーティング層30(30w)である。コーティング層30(30w)において、コイル体20の各線材21の最表面(反射が最も大きい部分)の中間の位置に、上方に突出する山部36が形成されている。図8に示す実施例1では、コイル体20の線材21の直上の位置でのコーティング層30(30w)の厚さTaは5.80μmであり、山部36の位置(コイル体20の線材21間の位置)でのコーティング層30(30w)の厚さTbは12.40μmであった。
[潤滑性評価方法]
ガイドワイヤ100の併用デバイスであるバルーンカテーテル(Kamui 3.00mm×15mm 朝日インテック製)の先端部105mmから基端側を外径30mmの円柱に1周巻き付け、冠動脈における屈曲部を再現した。この状態のバルーンカテーテルに、実施例1のガイドワイヤ100を挿入した際の潤滑性を評価した。その結果、実施例1のガイドワイヤ100挿入時の抵抗が非常に少なく、高い潤滑性を示すことが確認された。
さらに過酷な試験として、上記バルーンカテーテルに対して、ガイドワイヤ100の挿入および抜去を50回繰り返して、潤滑性の変化を評価した。その結果、実施例1において50回の挿入および抜去の繰り返し後においても、抵抗値に変化が見られず、高い潤滑性が維持された。
上記の観測結果と評価結果より、ガイドワイヤ100において、コイル体20の線材21間の位置でのコーティング層30(30w)の山部36が、併用デバイスであるバルーンカテーテルに押し付けられた際に変形し、コイル体20の線材21の頂点に水膜を提供することによって高い潤滑性が維持されることが観察された。
本発明は上記の実施例の条件に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な基材・コーティング剤を選択することができる。
10:コアシャフト 11:細径部 12:第1テーパー部 13:第1太径部 14:第2テーパー部 15:第2太径部 20:コイル体 21:線材 30:コーティング層 31:内側コーティング層 32:外側コーティング層 36:山部 51:先端側接合部 56:基端側接合部 61:中間固定部 100:ガイドワイヤ AX:中心軸 DE:併用デバイス WA:膜

Claims (4)

  1. ガイドワイヤであって、
    コアシャフトと、
    前記コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体と、
    前記コイル体の外周に設けられたコーティング層と、
    を備え、
    前記コーティング層は、膨潤状態において、前記ガイドワイヤの外周方向に突出する山部を有するように構成され、
    前記コイル体の中心軸を含む断面において、前記山部の頂点は、前記線材の一の横断面の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第1の仮想直線より基端側の位置であり、かつ、前記一の横断面に対して基端側に隣り合う前記線材の他の横断面の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第2の仮想直線より先端側の位置に存在する、
    ガイドワイヤ。
  2. 請求項1に記載のガイドワイヤであって、
    前記コイル体の前記中心軸を含む前記断面において、前記山部の頂点は、前記中心軸に垂直な方向において、前記線材の横断面と重ならない位置に存在する、
    ガイドワイヤ。
  3. ガイドワイヤであって、
    コアシャフトと、
    前記コアシャフトの外周に線材が螺旋状に巻回されたコイル体と、
    前記コイル体の外周に設けられたコーティング層と、
    を備え、
    前記コーティング層は、
    前記コイル体の外周に設けられた第1のコーティング層と、
    前記第1のコーティング層の外周に設けられ、前記第1のコーティング層より膨潤性の高い第2のコーティング層と、
    を含み、
    前記コイル体の中心軸を含む断面において、前記線材の一の横断面の中心点である第1の中心点と、前記一の横断面に対して基端側に隣り合う前記線材の他の横断面の中心点である第2の中心点と、を結ぶ仮想線分の垂直二等分線上の前記第2のコーティング層の厚さは、前記第1の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第1の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さより厚く、かつ、前記第2の中心点を通りかつ前記中心軸に垂直な第2の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さより厚い、
    ガイドワイヤ。
  4. 請求項3に記載のガイドワイヤであって、
    前記コイル体の前記中心軸を含む前記断面において、前記垂直二等分線上の前記第2のコーティング層の厚さは、前記第1の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さの1.2倍以上であり、かつ、前記第2の仮想直線上の前記第2のコーティング層の厚さの1.2倍以上である、
    ガイドワイヤ。
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