JP2022170586A - エンジン用軸受メタル - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどの軸を支持する軸受に発生する軸受面の局部的な高面圧化、軸受端部での片当たり程度の増大及び潤滑油温上昇による油膜厚さの低下を防止することが可能な軸受メタルを提供する。【解決手段】コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸とコンロッドが揺動可能となるように接続するための軸受メタルであって、貫通孔の内周面に設置される本体部と、本体部の内周側に形成された軸受層であって、軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、を備え、本体部は、本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、ラティス構造部には、コンロッドの内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている。【選択図】 図3

Description

本開示は、エンジン用の軸受メタルに関し、特に、エンジンが備えるピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどを支持する軸受メタルに関する。
エンジン本体(エンジンフレーム)には、クランクシャフトが設置される貫通孔が形成されている。この貫通孔の内周面には軸受メタル(すべり軸受)が設置されており、クランクシャフトを構成するクランクジャーナル(メインジャーナル)がこの貫通孔に設置された軸受メタルによって摺動可能に支持される。他方、コンロッド(コネクティングロッド)の小端部および大端部にも、その内周面に軸受メタルが設置される貫通孔がそれぞれ形成されている。そして、コンロッドの大端部は、クランクシャフトを構成するクランクピンが軸受メタルを介して大端部の貫通孔に設置されることで、クランクシャフトに連結される。また、コンロッドの小端部は、ピストンピンにより、小端部の貫通孔の内周面に設置された軸受メタルを介してピストンに取り付けられる。
上述したクランクジャーナルや、クランクピン、ピストンピンなど、エンジンが有する各種の軸は、昨今のエンジンの軽量化及び高出力化の流れの中で曲げ剛性が相対的に低くなっている。このため、以前と比べて、軸受部は、(1)軸受面に加わる圧力(軸受面圧)の局部的な高圧化、(2)軸受端部への片当たり程度の増大、(3)潤滑油温上昇による油膜厚さの低下、等が発生しやすい傾向にある。これらが発生すると、軸受面の摩耗、焼き付き、疲労破壊等の原因となり、エンジンの更なる軽量化、高出力化及び長寿命化の妨げとなっている。
この対策として、例えば、特許文献1には、クランクシャフトを軸支する軸受メタル(すべり軸受)の摺動面の軸方向の端部(両端部)にクラウニングを形成することが開示されている。また、特許文献2には、小端部とピストンピンとが摺動する摺動面に弾性潤滑剤としてのフッ素樹脂をコーティングすることで、シリンダ内でピストンが傾くのを防ぐことが開示されている。特許文献3にはピン孔の内周面のうちの特定の領域に複数の凹部を設けることで、潤滑油の量を多くし、小端部での焼き付きを防止することが開示されている。特許文献4では、小端部の壁面に三次元網目構造(ラティス構造)を形成することにより、表面積の拡大による、放熱性の向上とオイルの保持を行うことが開示されている。なお、特許文献5には、上記のラティス構造を有する部品についての開示がある。
国際公開第2008/072548号 特開2007-40137号公報 特開2018-9634号公報 特開2018-168895号公報 特開2015-93461号公報
軸受面圧の局部的な高圧化に対する対策としては、軸受メタルの材料を高強度化する方向で種々の材料が開発されているが、材料のコストアップをまねくという問題がある。また、軸受端部への片当たり程度が増大することに対する対策としては、特許文献1のように、軸受メタルの端部(両端部)にクラウニングやテーパ加工を施すことが考えられるが、加工した面積の分だけ、軸受メタルにおける平行部分(加工以外の部分)の面積が減るため、軸受面圧が上昇して軸受メタルの疲労破壊の一因となり得る。さらに、様々な負荷で運転されるエンジンの場合など、軸側の変形量が一定ではない場合には、予めクラウニング等の加工を行う方法では、上記の片当たりを様々なエンジンの負荷に応じて適切に防止することは難しい。
また、軸受メタルの下側(貫通孔の形成部材)を薄肉構造、切り欠き構造にして柔構造化することも考えられるが、薄肉部分や切り欠き部分の応力集中の制約により、目標とする柔構造を達成するのが難しい場合が考えられる。あるいは、軸受メタルの軸に対する摺動面の背面(本体部)を切り欠き構造にして柔構造化することも考えられる。しかし、軸受メタルを貫通孔に嵌め込む際のメタルクラッシュ(軸受メタルの締まり嵌め)時に切り欠き部が反り返ることによる軸受としての有効面積の減少、軸受メタルと貫通孔の形成部材との接触面積の減少に伴い生じる軸受メタル設置の安定度の低下、及びこの安定度の低下による接触面でのフレッティングの発生などが懸念される。
潤滑油温上昇による油膜厚さの低下に対する対策としては、軸受クリアランスを広げ、潤滑油流量を増加させて熱を奪う方法が考えられるが、軸受クリアランスの増大は油膜形成に不利に働くため、最高油膜圧力の増加や油膜厚さの低下を招くという問題がある。
また、軸受面に潤滑油を供給するために油溝を形成する場合があるが、油溝の端部でキャビテーションエロージョンが発生する場合があり、これによって、軸受寿命の低下やキャビテーションエロージョンで発生した破片による軸受面の損傷を招く場合がある。
本開示は、上述の事情に鑑みて、ピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどの軸を支持する軸受に発生する軸受面の局部的な高面圧化、軸受端部での片当たり程度の増大及び潤滑油温上昇による油膜厚さの低下を防止することが可能な軸受メタルを提供することを目的とする。
本開示に係るエンジン用軸受メタルの一態様は、コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸と前記コンロッドが揺動可能となるように接続するための軸受メタルであって、前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、を備え、前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、前記ラティス構造部には、前記コンロッドの内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている。
本開示に係る軸受メタルの一態様は、コンロッドの大端部に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクピンである軸と前記コンロッドを回転可能に接続するための軸受メタルであって、前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、を備え、前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、前記ラティス構造部には、エンジン本体の内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている。
本開示に係る軸受メタルの一態様は、エンジン本体に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクジャーナルである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、を備え、前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、前記ラティス構造部には、前記エンジン本体の内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている。
本開示に係るエンジン用軸受メタルの幾つかの態様によれば、ピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどの軸を支持する際に、軸受メタルの摺動面(軸受面)に加わる圧力を均一化でき、かつ軸受端部での片当たりを防止できると共に、該摺動面を流れる潤滑油の昇温を抑制して摺動面の油膜厚を保持できる。従って、該摺動面の摩耗、焼き付き、及び疲労破壊等を防止できるため、エンジンの更なる軽量化、高出力化及び長寿命化を実現できる。
一実施形態に係る軸受メタルを備えたコンロッドを一部を断截して示す正面図である。 図1中のA―A線に沿い、一部を拡大して示す側面視断面図である。 図1中のコンロッドの小端部を一部を断截して示す正面視断面図である。 ラティス構造の一例を示す斜視図である。 図1中のB部を拡大して示す正面視断面図である。 図2中のC―C線に沿う断面図である。 別な実施形態に係る軸受メタルを示し、図5に相当する正面視断面図である。 一実施形態に係るクランクシャフトの支持部を示す側面視断面図である。 一実施形態に係る軸受メタルの一部の断面を示す正面視断面図である。 図8中のD―D線に沿う断面図である。 別な実施形態に係る軸受メタルを示し、図9に相当する正面視断面図である。 別な実施形態に係る軸受メタルを示し、図6に相当する断面図である。 図12中のE―E線に沿う断面図ある。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係るコンロッド20を一部を断截して示す正面図である。図2は、図1中のA-A線に沿う側面視断面図である。図3は、図1に示すコンロッド20の小端部22を一部を断截して示す正面視断面図である。図4は、ラティス構造の一例を示す斜視図である。
なお、コンロッド20の小端部22又は大端部24の断面中心を通り、小端部22又は大端部24の軸方向に延在する直線を中心線CLと呼ぶ。また、図1のように、中心線CLが点状に見えるように視認する場合を正面視と呼び、図2のように、中心線CLと、コンロッド20の連接棒26の軸方向(連接棒26の延在方向)に延びる直線とを含む面を視認する場合を側面視と呼ぶ。一実施形態に係る軸受メタル10(10A)がピストンピン孔22aに設置された状態では、軸受メタル10(10A)の中心線CLとピストンピン孔22aの中心線CLとは一致する。また、一実施形態に係る軸受メタル10(10B)がクランクピン32aに設置された状態では、軸受メタル10(10B)の中心線CLとクランクピン32aの中心線CLとは一致する。
図1及び図2に示すように、コンロッド20は、エンジン(内燃機関)が備えるピストン(不図示)の往復運動をクランクシャフト32の回転運動に変換させるための部品である。コンロッド20は、小端部22と、大端部24と、小端部22と大端部24とを連結する連接棒26とを有している。そして、小端部22にピストンピン30(軸)が連結され、大端部24にクランクシャフト32(軸)(図7参照)が連結されることで、コンロッド20を介してピストン(不図示)とクランクシャフト32とが連結される。
後述する図8に示すように、クランクシャフト32は、コンロッド20の大端部24と連結されるクランクピン32a(軸)と、例えば、シリンダブロック、クランクケースといったエンジン本体40に支持されるクランクジャーナル32b(軸)と、を有している。他方、エンジン本体40に形成された主軸受部42には、クランクジャーナル32bを取り付けるための主軸孔42a(貫通孔)が形成されている。
なお、本明細書において、「エンジン本体」とは、エンジンフレーム、クランクケースなどと呼称されるエンジンのケーシングを指す。
(コンロッド20の小端部22に設けられる軸受メタル10(10A)の構成)
図3に示すように、一実施形態に係る軸受メタル10(10A)は、コンロッド20の小端部22に形成されたピストンピン孔22a(貫通孔)に設けられ、ピストンピン30(軸)とコンロッド20が揺動可能となるように接続する。軸受メタル10(10A)は、ピストンピン孔22aを形成する小端部22の内周面に接するように設けられた本体部12と、本体部12の内周側に形成された軸受層14と、を備えている。軸受層14の内周面14aは、ピストンピン30の外周面に対して摺動可能な摺動面を形成する。本体部12は、本体部12の少なくとも一部にラティス構造部16を含んでいる。コンロッド20の内部に潤滑油路が形成され、ラティス構造部16はこの潤滑油路と連通しており、ラティス構造部16には潤滑油路から潤滑油が供給される。
本明細書で、「ラティス構造」とは、以下説明する構造を意味する。即ち、ラティス構造とは、3次元の格子状又は網目状の構造を有し、中空又は中実の複数の柱状体(例えば、円柱状)が所定の連結パターンでつなぎ合わされ、柱状体の間には連続した空間を形成する空洞部が形成されている。該柱状体は断面積が一定の柱状であってもよいし、断面積が変化する柱状であってもよい。空洞部の空隙率(体積密度)を変えることによって、剛性などの材料物性値を任意に調整可能である。
図4は、ラティス構造の一例を示す斜視図である。図4に示すように、中空又は中実の複数の柱状体100が所定の連結パターンでつなぎ合わされた3次元構造を有する。図4は、最小単位の連結パターンの例を示している。柱状体100の間に空洞部caが形成される。複数の連結パターンが連結されていても、各連結パターンに形成された空洞部caは複数の連結パターンに亘って連続した空間を形成する。図4はラティス構造の一例にすぎず、別な例では、柱状体100の長さ、向きや数が変更され、あるいは柱状体100の断面形状が変更される。ラティス構造部16は空洞部caを有するため、周囲の本体部12より低い剛性を有する。
軸受層14は、ピストンピン30、クランクピン32a、クランクジャーナル32b等の軸に対して摺動性を良くするため、例えば、軟質材料で構成される。
図1~3に、小端部22に形成される潤滑油路の一実施形態を示す。図1~3において、連接棒26の内部に連接棒26の軸方向に沿って潤滑油路50が形成されている。また、軸受メタル10(10A)の外周面に接する小端部22の内周面に、軸受メタル10(10A)を囲んで軸受メタル10(10A)の周方向に沿って凹溝52が形成されている。凹溝52は潤滑油路50に連通している。さらに、凹溝52に連通する複数の開口孔54が形成されている。複数の開口孔54は、軸受メタル10(10A)の周方向に沿って分散配置され、軸受メタル10(10A)と交差するように、軸受メタル10(10A)の径方向内側へ延在し、軸受メタル10(10A)の本体部12を貫通してラティス構造部16に連通し、さらに軸受層14の内周面14aに開口している。開口孔54はラティス構造部16に形成された空洞部caに形成された空間に連通している。さらに、内周面14aにおいて、開口孔54の開口を含む領域に凹溝56が形成されている。
一実施形態では、本体部12に形成された開口孔54にラティス構造部16が充填されている。他方、別な実施形態では、本体部12に形成された開口孔54にラティス構造部16は充填されない。
図3に示すように、潤滑油oは、潤滑油路50から凹溝52及びラティス構造部16より外周側の開口孔54を経てラティス構造部16の空洞部caに流入する。空洞部caに流入した潤滑油oは、ラティス構造部16より内周面14a側の開口孔54を経て凹溝56から内周面14a(摺動面)に流入し、内周面14aを潤滑する。
図2に示すように、本体部12の内部において、ラティス構造部16は小端部22の軸方向(中心線CLの延在方向)両端面に達するまで延在する。潤滑油は、凹溝52から開口孔54を介して空洞部caに流入し、空洞部caを軸受メタル10(10A)の軸方向に流れて本体部12の熱を吸収した後、小端部22の軸方向両端面から流出する流路と、凹溝52から開口孔54を通って凹溝56に流出し、軸受メタル10(10A)の摺動面(軸受面。軸受層14の内周面14a)の潤滑に供する流れとの2通りの流路を形成する。これら2通りの流れの各々の流量は、ラティス構造部16の構造や空洞部caの空隙率で調整される。
このような構成によれば、軸受メタル10(10A)は、本体部12の少なくとも一部にラティス構造部16が形成され、ラティス構造部16は、周囲の本体部12よりも低い剛性を有するため、軸受メタル10(10A)が弾性変形可能になる。これによって、ピストンピン30から軸受メタル10(10A)の摺動面に加わる圧力や、ピストンピン30による軸受の軸方向両端部での片当たりに応じて軸受メタル10(10A)が変形できるため、該摺動面に加わる圧力を均一化でき、かつ軸受メタル10(10A)に対する片当たりを抑制できる。
図2に示す実施形態によれば、ラティス構造部16は、小端部22の軸方向両端面に達するまで延在しているため、該両端面まで及ぶラティス構造部16の弾性変形能によって、ピストンピン30の片当たりを効果的に抑制できる。
また、ラティス構造部16は内部に連続した空洞部caを形成し、ラティス構造部16には、コンロッド20に形成された潤滑油路50から潤滑油が供給されるため、空洞部caに潤滑油流路が形成される。こうして、空洞部caを定常的に流れる潤滑油によって軸受メタル10(10A)を冷却できるため、軸受メタル10(10A)の昇温を抑制できると同時に、摺動面14aを流れる潤滑油の昇温を抑制できるため、摺動面14aの油膜厚を保持できる。
これによって、従来のように、ピストンピン孔22aに対する軸受クリアランスを広げて潤滑油量を増やし、冷却機能を受け持たせる必要がなくなるため、軸受クリアランスを軸受油膜特性に最適なクリアランスに設定できる。また、軸受クリアランスの初期値を狭くすることができるので、軸受の許容摩耗量が結果的に増大し、軸受寿命を延ばすことができる。
さらに、ラティス構造部16は3Dプリンタといった三次元造形装置などを用いて製作できるため、想定される軸受面圧及び片当たり状態に応じた任意の剛性分布で製作できる。これによって、強度と柔構造とを両立した軸受メタルを実現できる。
以上から、摺動面14a(軸受面)の摩耗、焼き付き、及び疲労破壊等を防止でき、エンジンの更なる軽量化、高出力化及び長寿命化を達成できる。
なお、上記実施形態では、軸受メタル10(10A)に設けられたラティス構造部16は、小端部22の軸方向の全域及び摺動面14aの周方向全面に設けられているが、別な実施形態では、小端部22の軸方向の領域の一部又は摺動面14aの周方向の一部の領域に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、図2に示すように、ラティス構造部16は、小端部22の軸方向両端面を除き、本体部12に内包されている。他方、別な実施形態では、ピストンピン孔22aの内周面とラティス構造部16との間の本体部12をなくし、ピストンピン孔22aの内周面とラティス構造部16とが直接接するように構成してもよい。
一実施形態では、図1に示すように、ラティス構造部16は、ピストンピン孔22aの断面中心を通り、小端部22の軸方向に延在する中心線CLよりも、コンロッド20の軸方向における大端部側方向にある領域(例えば、図1に示す領域R1)に設けられている。領域R1は、軸受メタル10(10A)の本体部12において、ピストンピン30の片当たりが大きく、片当たりが生じ易い部分である。即ち、ピストンピン30に対する片当たりは、ピストンピン孔22aにおける連接棒26側の方が、その反対側よりも大きい。このように、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部16を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
(コンロッド20の大端部24に設けられる軸受メタル10(10B)の構成)
図5は図1中のB部拡大図(正面視断面図)であり、図6は、図2中のC-C線に沿う断面図である。図1に示すように、一実施形態に係る軸受メタル10(10B)は、コンロッド20の大端部24に形成されたクランクピン孔24a(貫通孔)に設置されたクランクシャフト32の後述するように、(軸)とコンロッドを回転可能に接続するための軸受メタルである。
図5及び図6に示すように、軸受メタル10(10B)は、クランクピン孔24aを形成する大端部24の内周面に接するように設けられた本体部12と、本体部12の内周側に形成された軸受層14と、を備えている。軸受層14の内周面14aは、クランクピン32aの外周面に対して摺動可能な摺動面を形成する。本体部12は、少なくとも一部にラティス構造部16を含んでいる。後述する図8に示すように、エンジン本体40には潤滑油路70が形成され、ラティス構造部16の内部に形成された空洞部caには、潤滑油路70から供給される潤滑油oが、後述するように、クランクピン32aなどに形成された潤滑油路及び内周面14aに形成された凹溝64を介して供給される。
大端部24に形成される潤滑油路は、軸受メタル10(10B)の外周面に接する大端部24の内周面24aに、軸受メタル10(10B)を囲むように軸受メタル10(10B)の周方向に沿って形成された凹溝60を有する。凹溝60は連接棒26に形成された潤滑油路50と連通している。さらに、凹溝60に連通する複数の開口孔62が形成され、複数の開口孔62は、軸受メタル10(10B)の周方向に沿って分散配置され、軸受メタル10(10B)と交差するように、軸受メタル10(10B)の径方向に延在し、軸受メタル10(10B)の本体部12を貫通してラティス構造部16に連通し、さらに軸受層14の内周面14aに開口している。開口孔62はラティス構造部16に形成された空洞部caに形成された空間に連通している。さらに、内周面14aに凹溝64が形成され、内周面14aにおいて、開口孔62は凹溝64が形成された領域に開口している。
図5に示す実施形態では、本体部12に形成された開口孔62に開口孔62にはラティス構造部16が充填されている。他方、別な実施形態では、本体部12に形成された開口孔62にラティス構造部16は充填されない。
図6に示すように、本体部12の内部において、ラティス構造部16は大端部24の軸方向(中心線CLの延在方向)両端面に達するまで延在する。潤滑油oは、潤滑油路70から後述する潤滑油路を経て凹溝64に流入する。その後、潤滑油oは、軸受メタル10(10B)の摺動面(軸受面。軸受層14の内周面14a)の潤滑に供する流れと、凹溝64から開口孔62を経てラティス構造部16の空洞部caに流入し、空洞部caで軸受メタル10(10B)の軸方向に流れて本体部12の熱を吸収した後、大端部24の軸方向両端面から流出する流路と、の2通りの流路を形成する。これら2通りの流れの各々の流量は、ラティス構造部16の構造や空洞部caの空隙率で調整される。
このような構成によれば、軸受メタル10(10B)は、本体部12の少なくとも一部にラティス構造部16が形成され、ラティス構造部16は、本体部12の周囲の部分よりも低い剛性を有するため、軸受メタル10(10B)が弾性変形可能になる。これによって、軸受メタル10(10B)は、クランクピン32aから受ける軸受面圧や、クランクピン32aによる軸受端部での片当たりに応じて変形することができるため、軸受面圧を均一化できると共に、片当たりを抑制できる。さらに、ラティス構造部16に形成された連続した空洞部caに潤滑油を供給することで、空洞部caに潤滑油路を形成でき、これによって、軸受メタル10(10B)の冷却効果を高めることができる。加えて、上述した軸受メタル10(10A)と同様の作用効果を得ることができる。
図6に示す実施形態によれば、ラティス構造部16は、大端部24の軸方向両端面に達するまで延在しているため、該両端面まで及ぶラティス構造部16の弾性変形能によって、クランクピン32aの片当たりを効果的に抑制できる。
なお、本実施形態では、軸受メタル10(10B)に設けられたラティス構造部16は、大端部24の軸方向の全域及び摺動面14aの周方向全面に設けられているが、別な実施形態では、大端部24の軸方向の領域の一部又は摺動面14aの周方向の一部の領域に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、図6に示すように、ラティス構造部16は、大端部24の軸方向両端面を除き、本体部12に内包されている。しかし、別な実施形態では、クランクピン32aの内周面とラティス構造部16との間の本体部12をなくし、クランクピン32aの内周面とラティス構造部16とが直接接するように構成してもよい。
図7は、軸受メタル10(10B)の別な実施形態を示す。この実施形態では、軸受メタル10(10B)が2つ割りで形成され、半円形を有する一対の軸受メタル片を合わせ面25で接触して組み立てられる。この実施形態では、図7に示すように、ラティス構造部16は、軸受メタル10(10B)の周方向において合わせ面25まで延在されていない。そのため、一対の軸受メタル片を合わせ面25を接触させて組み立てるとき、安定した組立てが可能になる。
一実施形態では、軸受メタル10(10B)のラティス構造部16は、大端部24のクランクピン孔24aの断面中心を通る中心線CLよりも、コンロッド20の軸方向における小端部22側方向、例えば、図1中の領域R2に設けられている。
大端部24では領域R2で大端部24に対するクランクピン32aの片当たりが大きく、従って、上記領域で片当たりが生じ易い。このように、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部16を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
(クランクジャーナルに設けられる軸受メタル10(10C)の構成)
図8は、クランクシャフト32の支持部を示す側面視断面図である。図9は、軸受メタル10(10C)の一部を拡大して示す正面視断面図である。図10は、図8中のD-D線に沿う断面図である。
一実施形態に係る軸受メタル10(10C)は、図8に示すように、エンジン本体40の主軸受部42に形成された主軸孔42a(貫通孔)に設置されたクランクシャフト32のクランクジャーナル32b(軸)を回転可能に支持するための軸受メタルである。クランクジャーナル32bが、軸受メタル10(10C)が設置された主軸孔42aに挿通されることで、クランクシャフト32がエンジン本体40に支持される。
図9に示すように、軸受メタル10(10C)は、主軸孔42aの内周面に設置される本体部12と、本体部12の内周側に形成された軸受層14とを備え、軸受層14の内周面14aはクランクジャーナル32bに対して摺動可能な摺動面を形成する。本体部12の少なくとも一部にラティス構造部16が形成され、ラティス構造部16の空洞部caに、エンジン本体40の内部に形成された潤滑油路70から潤滑油が供給可能に構成されている。
軸受メタル10(10C)の外周面に接する主軸受部42の内周面に、軸受メタル10(10C)を囲んで軸受メタル10(10C)の周方向に凹溝72が形成され、凹溝72は潤滑油路70と連通している。また、軸受メタル10(10C)の周方向に沿って分散配置され、凹溝72に連通する複数の開口孔74が形成されている。複数の開口孔74の各々は、軸受メタル10(10C)と交差するように、軸受メタル10(10C)の径方向に延在し、本体部12を貫通してラティス構造部16に連通し、さらに軸受層14の内周面14aに開口している。開口孔74はラティス構造部16に形成された空洞部caに形成された空間に連通している。
図9に示す実施形態では、本体部12に形成された開口孔74にはラティス構造部16が充填されている。他方、別な実施形態では、本体部12に形成された開口孔74にはラティス構造部16は充填されない。
さらに、図10に示すように、軸受層14の内周面14aに内周面14aの周方向に沿って延在する凹溝76が形成され、開口孔74は凹溝76が形成された摺動面14aの領域内に開口している。
図9に示すように、潤滑油路70から供給された潤滑油oは、凹溝72及びラティス構造部16より外周側の開口孔74を経てラティス構造部16の空洞部caに流入する。空洞部caに流入した潤滑油oは空洞部caを巡回した後、ラティス構造部16より内周側の開口孔74に流出し、凹溝76から摺動面14aに流出し、摺動面14aを潤滑する。
図10に示すように、本体部12の内部において、ラティス構造部16は主軸受部42の軸方向(中心線CLの延在方向)両端面に達するまで延在する。潤滑油路70から供給された潤滑油oは、凹溝72から開口孔74を介して空洞部caに流入する。その後、潤滑油oは、空洞部caで軸受メタル10(10C)の軸方向に流れて本体部12の熱を吸収した後、主軸受部42の軸方向両端面から流出する流路と、空洞部caから凹溝76に流出して軸受メタル10(10C)の摺動面(軸受面。軸受層14の内周面14a)の潤滑に供する流れと、の2通りの流路を形成する。これら2通りの流れの各々の流量は、ラティス構造部16の構造や空洞部caの空隙率で調整される。
以下、一実施形態として、軸受メタル10(10A~10C)に供給される潤滑油oの流路を説明する。図8に示すように、潤滑油路70から軸受メタル10(10C)を経て凹溝76に達した潤滑油oは、凹溝76から主軸受部42に形成された潤滑油路80に流入する。クランクピン32aの内部には一端が潤滑油路80に連通する潤滑油路82と、一端が潤滑油路82に連通し、他端が凹溝64に連通する潤滑油路84が形成されている。潤滑油oは、潤滑油路80から潤滑油路82、84及び凹溝64を経て大端部24に設けられた軸受メタル10(10B)のラティス構造部16に達する。さらに、図5に示すように、軸受メタル10(10B)のラティス構造部16の空洞部caから軸受層14の内周面14a(摺動面)に供給される流路と、開口孔62及び凹溝60を経て、連接棒26に形成された潤滑油路50に流入する流路とに分かれる。潤滑油路50に流入した潤滑油oは、上述のように、凹溝52、開口孔54及び凹溝56を経て軸受メタル10(10A)の摺動面(軸受面)14aに供給される。
本実施形態によれば、軸受メタル10(10C)は、本体部12の少なくとも一部にラティス構造部16が形成され、ラティス構造部16は、周囲の本体部12よりも低い剛性を有するため、軸受メタル10(10C)が弾性変形可能になる。これによって、軸受メタル10(10C)は、クランクシャフト32から受ける軸受面圧や、クランクシャフト32による軸受端部での片当たりに応じて変形することができるため、軸受面圧を均一化できると共に、片当たりを抑制でき、さらに、ラティス構造部16に形成された空洞部caに潤滑油を供給することで、潤滑油の冷却効果を高めることができる。加えて、上述の軸受メタル10(10A、10B)と同様の作用効果を得ることができる。
図8~10に示す実施形態によれば、軸受メタル10(10C)のラティス構造部16は、主軸受部42の軸方向両端面に達するまで延在しているため、該両端面まで及ぶラティス構造部16の弾性変形能によって、クランクジャーナル32bの片当たりを効果的に抑制できる。
なお、本実施形態では、軸受メタル10(10C)に設けられたラティス構造部16は、クランクジャーナル32bの軸方向の全域及び摺動面14aの周方向全面に設けられているが、別な実施形態では、クランクジャーナル32bの軸方向の領域の一部又は摺動面14aの周方向の一部の領域に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、図10に示すように、ラティス構造部16は、主軸受部42の軸方向両端面を除き、本体部12に内包されている。しかし、別な実施形態では、主軸孔42aを形成する主軸受部42の内周面とラティス構造部16との間の本体部12をなくし、主軸受部42の内周面とラティス構造部16とが直接接するように構成してもよい。
一実施形態では、ラティス構造部16は、貫通孔14aの断面中心を通る中心線CLよりも、エンジン本体40の下方側に位置する領域に設けられている。例えば、図8で示せば、領域R3及びR4に設けられる。即ち、領域R3及びR4はクランクジャーナル32bの片当たりが大きいために片当たりが生じ易い部分であり、ラティス構造部16をこのような片当たりが生じ易い部位に形成する。このように、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部16を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
また、領域R3及びR4のように、ラティス構造部16は軸受メタル10(10C)の軸方向両端部側に形成されていてもよい。あるいは少なくとも一方の端部側に形成されてもよい。即ち、ラティス構造部16は、軸受メタル10(10C)の摺動面14aにおいてクランクジャーナル32bの片当たりを受ける領域に設けられる。
このようにラティス構造部16をクランクジャーナル32bの片当たりが生じ易い部分に設けると、ラティス構造部16は、クランクジャーナル32bが曲がることにより受ける片当たりの方向に、その片当たりの大きさに応じて弾性変形する。即ち、ラティス構造部16は、図8に示すように、クランクジャーナル32b(鎖線)が曲がるのに応じて弾性変形する。また、摺動面14aも、ラティス構造部16の弾性変形に伴って弾性変形する。これによって、クランクジャーナル32bの片当たりによって、摺動面14aにおける油膜圧力が局部的に高くなり、もしくは油膜厚さが局部的に薄くなる領域が生じるのを抑制することが可能となる。
また、軸受メタル10(10C)においては、片当たりが大きくなる部位はエンジンの種類によって異なる。従って、別な実施形態では、エンジンの種類に応じて片当たりが大きくなる部位を計算で予測し、予測した部位にラティス構造部16を設けるようにする。
図11は、軸受メタル10(10C)の別な実施形態を示す。この実施形態では、軸受メタル10(10C)が2つ割りで形成され、半円形を有する一対の軸受メタル片を合わせ面25で接触して組み立てられる。この実施形態では、図11に示すように、ラティス構造部16は合わせ面25まで延在されていない。そのため、一対の軸受メタル片を合わせ面25を接触させて組み立てるとき、安定した組立てが可能になる。
図12は、さらに、別な実施形態に係り、図6に相当する断面図である。図13は、図12中のE-E線に沿う断面図である。
この実施形態においては、大端部24の内周面14aに設けられた軸受メタル10(10B)において、軸受層14の内周面14aに凹溝64が形成され、さらに、凹溝64の内側領域において、軸受層14が除去されてラティス構造部16が露出する切欠部14bが形成されている。切欠部14bによって、ラティス構造部16が内周側に露出している。潤滑油oは、潤滑油路70から前述の潤滑油路80、82及び84等を通って摺動面14aに供給され、さらに、凹溝64から切欠部14bを通ってラティス構造部16の空洞部caに供給される。空洞部caに供給された潤滑油oは、一部が軸受メタル10(10B)の軸方向両端面から流出し、一部が凹溝60に流出する。
また、ラティス構造部16は、第1空隙率P1を有する第1ラティス構造部16(16a)と、第1空隙率P1よりも大きい第2空隙率P2を有する第2ラティス構造部16(16b)と、を有する。そして、第2ラティス構造部16(16b)は切欠部14bに面するように配置され、内周側に露出している。
図13に示された実施形態では、切欠部14bを除く凹溝64の底面(図13に示す領域R5)に軸受層14が形成されている。軸受層14は一定の厚さで形成される。他方、別な実施形態では、凹溝64の底面に軸受層14を形成せずに、本体部12が内周側に露出するようにしてもよい。
また、図13に図示した実施形態では、凹溝64の断面はラティス構造部16(16b)に向かって底面が滑らかに深くなる円弧形状を有している。
こうして、切欠部14bに面して大きな空隙率を有する第2ラティス構造部16(16b)が配置されているため、摺動面14aから第2ラティス構造部16(16b)に流入する潤滑油量を増加できる。従って、軸受メタル10(10B)の摺動面(軸受面)14aを流れる潤滑油量を増加できるため、摺動面14aを流れる潤滑油oの昇温を抑制でき、かつ摺動面14aの油膜厚を有効に保持できる。
さらに、切欠部14bの大きさや形状又は切欠部14bから露出する第2ラティス構造部16(16b)の空隙率を調整することで、凹溝64に流入する潤滑油oの油量を調整できるため、軸受メタル10(10B)の冷却効果を向上でき、かつ凹溝64の周辺で起こるキャビテーションを抑制できる。これによって、軸受メタル10(10B)の摺動面14aの焼き付き防止及び長寿命化を実現できる。
図13に示す実施形態では、切欠部14bの配置領域と第2ラティス構造部16(16b)の配置領域が一致しているため、摺動面14aから第2ラティス構造部16(16b)に流入する潤滑油量を増加できると共に、凹溝64の周辺におけるキャビテーションの抑制効果をさらに向上できる。
上記実施形態は、切欠部14bを軸受メタル10(10B)に設けた実施形態であるが、この実施形態は、軸受メタル10(10A、10C)にも適用できることは言うまでもない。
図1~図11示す各実施形態について説明すると、ピストンピン孔22a、クランクピン孔24a、クランクジャーナル32b等の貫通孔は真円状の断面形状となるような筒状の形状を有している。また、エンジンは多気筒のエンジンであり、クランクシャフト32は、複数のクランクピン32aと複数のクランクジャーナル32bを有している。また、V型エンジンでもあり、各クランクピン32aには、V型の各バンクの各々の気筒内のピストン(不図示)に連結される2つのコンロッド20が連結されるようになっている。
なお、図1~図11に示す各実施形態では、小端部22と連接棒26とが一体的に製造(造形)されており、連接棒26と大端部24とがボルト90で締結されるよう構成されているが、大端部24、小端部22、又は連接棒26の少なくとも2つが一体的に製造されても良い。
本開示に係る軸受メタルは上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
1)一実施形態に係るエンジン用軸受メタル(10)は、コンロッド(20)の小端部(22)に形成された貫通孔(22a)に設置されたピストンピン(30)である軸と前記コンロッド(20)が揺動可能となるように接続するための軸受メタル(10(10A))であって、前記貫通孔(22a)の内周面に設置される本体部(12)と、前記本体部(12)の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面(14a)が形成された軸受層(14)と、を備え、前記本体部(12)は、前記本体部(12)の少なくとも一部に形成されたラティス構造部(16)を含み、前記ラティス構造部(16)には、前記コンロッド(20)の内部に形成された潤滑油路(50)から潤滑油(o)が供給されるように構成されている。
このような構成によれば、上記ラティス構造部は、本体部の周囲の部分よりも低い剛性を有するため、軸受メタルが弾性変形できるようになる。これによって、ピストンピン(軸)から軸受メタルの摺動面(軸受面)に加わる圧力や、ピストンピンによる軸受端部での片当たりに応じて軸受メタルが変形できるため、摺動面に加わる圧力を均一化でき、かつ軸受メタルに対する片当たりを抑制できる。
また、ラティス構造部は内部に連続した空洞部を形成し、この空洞部にコンロッドの内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給され、潤滑油が空洞部を流れる潤滑油流路を形成できるため、空洞部を流れる潤滑油によって軸受メタルを冷却できる。こうして、軸受メタルの昇温を抑制でき、同時に軸受メタルの摺動面を流れる潤滑油の昇温を抑制できるため、該摺動面の油膜厚を保持できる。
また、従来のように、軸受クリアランスを広げて潤滑油量を増やし、冷却機能を受け持たせる必要がなくなるため、軸受クリアランスを軸受油膜特性に最適なクリアランスに設定できる。また、軸受クリアランスの初期値を狭くすることができるので、軸受の許容摩耗量が結果的に増大し、軸受寿命を延ばすことができる。
さらに、ラティス構造部は3Dプリンタといった三次元造形装置などを用いて製作できるため、想定される軸受面圧及び片当たり状態に応じた任意の剛性分布で製作できる。これによって、強度と柔構造とを両立した軸受メタルを実現できる。
以上から、本開示に係る軸受メタルの一態様によれば、摺動面(軸受面)の摩耗、焼き付き、及び疲労破壊等を防止できるため、エンジンの更なる軽量化、高出力化及び長寿命化を達成できる。
2)別な態様に係る軸受メタル(10)は、1)に記載の軸受メタル(10(10A))であって、前記ラティス構造部(16)は、前記貫通孔(22a)の断面中心を通る中心線(CL)よりも、前記コンロッド(20)の軸方向における大端部(24)側方向に設けられている。
このような構成によれば、ラティス構造部は、軸受メタルに対するピストンピンの片当たりが大きい部分など、片当たりが生じ易い部分に設けられる。即ち、ピストンピン(軸)の片当たりは、小端部の貫通孔における大端部側の方が、その逆側よりも大きい。従って、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
3)さらに別な態様に係る軸受メタル(10)は、コンロッド(20)の大端部(24)に形成された貫通孔(24a)に設置されたクランクシャフト(32)のクランクピン(32a)である軸と前記コンロッド(20)を回転可能に接続するための軸受メタル(10(10B))であって、前記貫通孔(24a)の内周面に設置される本体部(12)と、前記本体部(!2)の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面(14a)が形成された軸受層(14)と、を備え、前記本体部(12)は、前記本体部(12)の少なくとも一部に形成されたラティス構造部(16)を含み、前記ラティス構造部(16)には、エンジン本体(40)の内部に形成された潤滑油路(70)から潤滑油(o)が供給されるように構成されている。
このような構成によれば、上記ラティス構造部は、本体部の周囲の部分よりも低い剛性を有するため、軸受メタルが弾性変形可能になる。これによって、軸受メタルは、クランクピン(軸)から受ける軸受面圧や、クランクピンによる軸受端部での片当たりに応じて変形することができるため、軸受面圧を均一化できると共に、片当たりを抑制できる。さらに、ラティス構造部の連続した空洞部に潤滑油を供給することで、該空洞部に潤滑油路を形成でき、これによって、軸受メタルの冷却効果を高めることができる。加えて、(1)の構成を有する軸受メタルと同様の作用効果を得ることができる。
4)さらに別な態様に係る軸受メタルは、3)に記載の軸受メタル(10(10B))であって、前記ラティス構造部(16)は、前記貫通孔(24a)の断面中心を通る中心線(CL)よりも、前記コンロッド(20)の軸方向における小端部(22)側方向に設けられている。
このような構成によれば、ラティス構造部は、軸受メタルに対するクランクピンの片当たりが大きい部分など、片当たりが生じ易い部分、即ち、コンロッドの軸方向における小端部側方向に設けられる。このように、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
5)さらに別な態様に係る軸受メタル(10)は、エンジン本体(40)に形成された貫通孔(42a)に設置されたクランクシャフト(32)のクランクジャーナル(32b)である軸を回転可能に支持するための軸受メタル(10(10C))であって、前記貫通孔(42a)の内周面に設置される本体部(12)と、前記本体部(12)の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面(14a)が形成された軸受層(14)と、を備え、前記本体部(12)は、前記本体部(12)の少なくとも一部に形成されたラティス構造部(16)を含み、前記ラティス構造部(16)には、前記エンジン本体(40)の内部に形成された潤滑油路(70)から潤滑油(o)が供給されるように構成されている。
このような構成によれば、上記ラティス構造部は、本体部の内部の周囲の部分よりも低い剛性を有するため、軸受メタルが弾性変形可能になる。これによって、軸受メタルは、クランクシャフト(軸)から受ける軸受面圧や、クランクシャフトによる軸受端部での片当たりに応じて変形することができるため、軸受面圧を均一化できると共に、片当たりを抑制でき、さらに、ラティス構造部の空洞部に潤滑油を供給することで、潤滑油の冷却効果を高めることができる。加えて、(1)又は(3)の構成を有する軸受メタルと同様の作用効果を得ることができる。
6)さらに別な態様に係る軸受メタル(10)は、5)に記載の軸受メタル(10(10C))であって、前記ラティス構造部(16)は、前記貫通孔(42a)の断面中心を通る中心線(CL)よりも、前記エンジン本体(40)の下方側に設けられている。
このような構成によれば、ラティス構造部は、クランクケースに形成された貫通孔に設置された軸受メタルの本体部における、クランクジャーナル(軸)の片当たりが大きい部分など、片当たりが生じ易い部分、即ち、貫通孔の断面中心を通る中心線よりも、前記クランクケースの下方側に設けられる。このように、片当たりが生じやすい部位にラティス構造部を形成することで、軸受面圧の均一化効果及び片当たり抑制効果等を効果的に発揮させることができる。
7)さらに別な態様に係る軸受メタル(10)は、1)乃至6)の何れかに記載の軸受メタル(10)であって、前記軸受層(14)は、前記ラティス構造部(16)が内周側に露出する切欠部(14b)が形成され、前記ラティス構造部(16)は、第1空隙率(P1)を有する第1ラティス構造部(16(16a))と、前記第1空隙率(P1)よりも大きい第2空隙率(P2)を有する第2ラティス構造部(16(16b))と、を含み、前記第2ラティス構造部(16(16b))は前記切欠部(14b)に面して配置され、内周側に露出するように構成されている。
このような構成によれば、上記切欠部に面して空隙率が大きい第2ラティス構造部が配置されているため、軸受メタルの軸受面を流れる潤滑油量を増加できる。これによって、軸受メタルの冷却効果を増大できると共に、軸受メタルの摺動面(軸受面)を流れる潤滑油の昇温も抑制できるため、該摺動面の油膜厚を保持できる。また、切欠部の形状若しくは大きさ又は第2ラティス構造部の空隙率を調整することで、凹溝に流入する潤滑油の油量を調整できるため、軸受メタルの冷却効果を向上でき、かつ凹溝の周辺で起こるキャビテーションを抑制できる。これによって、軸受メタルの摺動面の焼き付き防止及び長寿命化を実現できる。
10(10A、10B、10C) 軸受メタル
12 本体部
14 軸受層
14a 内周面(摺動面)
14b 切欠部
16 ラティス構造部
16(16a) 第1ラティス構造部
16(16b) 第2ラティス構造部
20 コンロッド
22 小端部
22a ピストンピン孔
24 大端部
24a クランクピン孔
25 合わせ面
26 連接棒
30 ピストンピン(軸)
32 クランクシャフト
32a クランクピン(軸)
32b クランクジャーナル(軸)
40 エンジン本体
42 主軸受部
42a 主軸孔
50、70、80、82、84 潤滑油路
52、56、60、64、72、76 凹溝
54、62、74 開口孔
90 ボルト
100 柱状体
CL 中心線
P1 第1空隙率
P2 第2空隙率
R1、R2、R3、R4 ラティス構造部16が配置される領域
ca 空洞部
o 潤滑油

Claims (7)

  1. コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸と前記コンロッドが揺動可能となるように接続するための軸受メタルであって、
    前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
    前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、
    を備え、
    前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、
    前記ラティス構造部には、前記コンロッドの内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている
    エンジン用軸受メタル。
  2. 前記ラティス構造部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線よりも、前記コンロッドの軸方向における大端部側方向に設けられている
    請求項1に記載のエンジン用軸受メタル。
  3. コンロッドの大端部に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクピンである軸と前記コンロッドを回転可能に接続するための軸受メタルであって、
    前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
    前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、
    を備え、
    前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、
    前記ラティス構造部には、エンジン本体の内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている
    エンジン用軸受メタル。
  4. 前記ラティス構造部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線よりも、前記コンロッドの軸方向における小端部側方向に設けられている請求項3に記載のエンジン用軸受メタル。
  5. エンジン本体に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクジャーナルである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
    前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
    前記本体部の内周側に形成された軸受層であって、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面が形成された軸受層と、
    を備え、
    前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に形成されたラティス構造部を含み、
    前記ラティス構造部には、前記エンジン本体の内部に形成された潤滑油路から潤滑油が供給されるように構成されている
    エンジン用軸受メタル。
  6. 前記ラティス構造部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線よりも、前記エンジン本体の下方側に設けられている請求項5に記載のエンジン用軸受メタル。
  7. 前記軸受層は、前記ラティス構造部が内周側に露出する切欠部が形成され、
    前記ラティス構造部は、第1空隙率を有する第1ラティス構造部と、前記第1空隙率よりも大きい第2空隙率を有する第2ラティス構造部と、を含み、
    前記第2ラティス構造部は前記切欠部に面して配置され、内周側に露出するように構成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載のエンジン用軸受メタル。
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