JP2022168819A - 蒸着マスク製造用転写フィルム、蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 - Google Patents

蒸着マスク製造用転写フィルム、蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた解像性を有する蒸着マスク製造用転写フィルム及びその応用を提供する。【解決手段】仮支持体と、50μm以下の平均厚さを有する転写層と、をこの順に含む、蒸着マスク製造用転写フィルム及びその応用。【選択図】図1

Description

本開示は、蒸着マスク製造用転写フィルム、蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法に関する。
蒸着マスクを用いる蒸着法は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)の製造に利用される。蒸着マスクは、蒸着法により形成されるパターンの原版として利用される。蒸着法の代表例として真空蒸着法が知られている。例えば、貫通孔を有する蒸着マスクを用いる真空蒸着法において、気化源から気化した物質は、対象物の上に配置された蒸着マスクの貫通孔を通じて対象物に付着し、パターンを形成する。
特許文献1は、マスク本体2に多数独立の蒸着通孔5からなる蒸着パターン6が設けられた蒸着マスクを開示している。蒸着通孔5は、被蒸着基板側に位置する小孔部5aと、気化源側に位置し、小孔部5aの開口形状よりも大きく形成された大孔部5bとが連通形成されており、マスク本体2の被蒸着基板側に微小凹み50を有する。特許文献1に開示された具体例において、小孔部5aは、平面視で150μmの長さ及び50μmの幅を有する四角形状を有し、大孔部5bは、平面視で300μmの長さ及び150μmの幅を有する四角形状を有する。
特開2020-002470号公報
蒸着マスクを用いて形成されるパターンの解像度の向上(例えば、パターンの大きさの最小化)は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)を含む表示装置における画素密度の向上に寄与できる。しかしながら、小孔部5aの寸法でさえ150μm×50μmであるため、特許文献1に開示された蒸着マスクはパターンの高解像度化に適していないと考えられる。
本開示の一実施形態は、優れた解像性を有する蒸着マスク製造用転写フィルムを提供することを目的とする。本開示の他の一実施形態は、高解像度でパターンを形成可能な蒸着マスクを提供することを目的とする。本開示の他の一実施形態は、優れた解像性を有する転写フィルムを用いる蒸着マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を含む。
<1> 第1面及び上記第1面の反対の位置に第2面を有する金属層を準備することと、仮支持体及び50μm以下の平均厚さを有する転写層をこの順に含む転写フィルムと、上記金属層とを貼り合わせ、上記金属層の上記第1面の上に上記転写層及び上記仮支持体をこの順に配置することと、上記転写層をパターン露光することと、上記転写層に対して現像処理を実施し、レジストパターンを形成することと、上記レジストパターンに覆われていない上記金属層に対してエッチング処理を実施し、上記金属層の上記第1面から上記金属層の上記第2面までのびる貫通孔を形成することと、上記レジストパターンを除去することと、をこの順に含む、蒸着マスクの製造方法。
<2> 上記金属層の上記第1面の粗さRmaxが、0.5μm~5.0μmである、<1>に記載の蒸着マスクの製造方法。
<3> 上記金属層の平均厚さが、30μm~500μmである、<1>又は<2>に記載の蒸着マスクの製造方法。
<4> 上記金属層の上記第2面における上記貫通孔の平均径が、25μm以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の蒸着マスクの製造方法。
<5> 上記転写層の溶融粘度が、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sである、<1>~<4>のいずれか1つに記載の蒸着マスクの製造方法。
<6> 上記転写層が、感光性層を含み、上記転写層の平均厚さに対する上記感光性層の平均厚さの割合が、15%~35%である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の蒸着マスクの製造方法。
<7>前記転写フィルムと前記金属層との貼り合わせによって得られた積層体を加圧することを含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の蒸着マスクの製造方法。
<8> 仮支持体と、50μm以下の平均厚さを有する転写層と、をこの順に含む、蒸着マスク製造用転写フィルム。
<9> 上記転写層の溶融粘度が、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sである、<8>に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<10> 上記転写層が、感光性層である、<8>又は<9>に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<11> 上記転写層が、中間層及び感光性層を含む、<8>又は<9>に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<12> 上記転写層の平均厚さに対する上記感光性層の平均厚さの割合が、15%~35%である、<11>に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<13> 上記感光性層が、ネガ型感光性層である、<10>~<12>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<14> 上記感光性層が、ポジ型感光性層である、<10>~<12>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<15> 上記仮支持体の平均厚さが、50μm以下である、<8>~<14>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<16> 上記仮支持体のヘーズ値が、5%以下である、<8>~<15>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<17> 上記転写層が、熱可塑性樹脂層、中間層及び感光性層を含み、且つ上記感光性層の平均厚さが4.8μm以下である、<8>~<16>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<18> 上記転写層が、感光性層を含み、且つ上記感光性層の平均厚さが10μm以下である、<8>~<16>のいずれか1つに記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
<19> 第1面と、上記第1面の反対の位置に第2面と、上記第1面から上記第2面までのびる貫通孔と、を有する金属層を含み、上記金属層の上記第2面における上記貫通孔の平均径が、上記金属層の上記第1面における上記貫通孔の平均径よりも小さく、上記金属層の上記第2面における上記貫通孔の平均径が、25μm以下である、蒸着マスク。
<20> 上記金属層の上記第1面の粗さRmaxが、0.5μm~5.0μmである、<19>に記載の蒸着マスク。
本開示の一実施形態によれば、優れた解像性を有する蒸着マスク製造用転写フィルムが提供される。本開示の他の一実施形態によれば、高解像度でパターンを形成可能な蒸着マスクが提供される。本開示の他の一実施形態によれば、優れた解像性を有する転写フィルムを用いる蒸着マスクの製造方法が提供される。
図1は、ある実施形態に係る蒸着マスクを示す概略平面図である。 図2は、図1に示される蒸着マスクの貫通孔を拡大して示す概略平面図である。 図3は、図1に示される蒸着マスクの貫通孔を拡大して示す概略断面図である。 図4は、ある実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す概略断面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。以下の実施形態は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
本開示の実施形態について図面を参照して説明する場合、図面において重複する構成要素及び符号の説明を省略することがある。図面において同一の符号を用いて示す構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値として、「~」の前に記載される数値を上限値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、又はアクリル及びメタクリルの両方を表す。
本開示において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はアクリレート及びメタクリレートの両方を表す。
本開示において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル、メタクリロイル又はアクリロイル及びメタクリロイルの両方を表す。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけでなく、所期の目的が達成される場合には他の工程と明確に区別できない工程も包含する。
本開示において、置換及び無置換を記していない基(原子団)は、置換基を有しない基(原子団)及び置換基を有する基(原子団)を包含する。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(すなわち、無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(すなわち、置換アルキル基)を包含する。
本開示において、「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線(活性エネルギー線)が挙げられる。
本開示における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合がある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「透明」とは、波長400nm~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
本開示において、可視光の平均透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置により、溶剤THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本開示において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターを用いて測定した値である。
本開示において、特段の断りがない限り、色相は、色差計(CR-221、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した値である。
本開示において、「アルカリ可溶性」とは、液温が22℃である炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本開示において、「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本開示において、「固形分」とは、溶剤を除いたすべての成分を意味する。
<蒸着マスク製造用転写フィルム>
本開示の一実施形態に係る蒸着マスク製造用転写フィルム(以下、単に「転写フィルム」という場合がある。)は、仮支持体と、50μm以下の平均厚さを有する転写層と、をこの順に含む。50μm超の平均厚さを有する転写層に比べて、50μm以下の平均厚さを有する転写層は、例えば、厚さ方向において均一に感光でき、又は現像後の残渣を低減できる。したがって、本開示の一実施形態によれば、優れた解像性を有する蒸着マスク製造用転写フィルムが提供される。
(仮支持体)
本開示の一実施形態に係る蒸着マスク製造用転写フィルムは、仮支持体を含む。仮支持体は、転写層を支持し、転写層から剥離可能な支持体である。仮支持体の構造は、単層構造又は複層構造であってもよい。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は、伸びを生じないフィルムが好ましい。フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。仮支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。仮支持体として使用されるフィルムには、シワ等の変形及び傷がないことが好ましい。
仮支持体を介してパターン露光できるという観点から、仮支持体は、高い透明性を有することが好ましい。365nmの透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性及び仮支持体の透明性の観点から、仮支持体のヘーズ値は小さい方が好ましい。仮支持体のヘーズ値は、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。仮支持体のヘーズ値の下限は、制限されない。仮支持体のヘーズ値の下限は、0.01%又は0.001%であってもよい。ヘーズ値は、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH400)を用いて測定される。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性及び仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる粗大粒子、異物及び欠陥の数は少ない方が好ましい。仮支持体における直径1μm以上の粒子、異物及び欠陥の数は、50個/10mm以下であることが好ましく、10個/10mm以下であることがより好ましく、3個/10mm以下であることが更に好ましく、0個/10mmであることが特に好ましい。
仮支持体を介するパターン露光における解像性の観点から、仮支持体の平均厚さは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。仮支持体の平均厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。仮支持体の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
好ましい仮支持体としては、例えば、厚さ16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム及び厚さ9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
仮支持体の好ましい態様は、例えば、特開2014-85643号公報の段落0017~段落0018、特開2016-27363号公報の段落0019~段落0026、国際公開第2012/081680号の段落0041~段落0057、国際公開第2018/179370号の段落0029~段落0040及び特開2019-101405号公報の段落0012~段落0032に記載されている。上記した公報は、参照により本明細書に取り込まれる。
ハンドリング性の観点から、仮支持体は、微小な粒子を含む層(以下、本段落において「滑剤層」ともいう。)を含んでいてもよい。滑剤層は、仮支持体の片側又は両側の最外層として配置されることが好ましい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05μm~0.8μmであることが好ましい。滑剤層の平均厚さは、0.05μm~1.0μmであることが好ましい。
(転写層)
本開示の一実施形態に係る蒸着マスク製造用転写フィルムは、50μm以下の平均厚さを有する転写層を含む。転写層は、例えば、蒸着マスク製造用転写フィルムと対象物(例えば、金属層)との貼り合わせを経て、対象物の上に配置される。転写層の構造は、単層構造又は複層構造であってもよい。
転写層の平均厚さは、50μm以下である。転写層の平均厚さが50μm以下であると、解像性が向上する。解像性の観点から、転写層の平均厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。転写性の観点から、転写層の平均厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましい。転写層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
解像性及び凸凹追随性の観点から、転写層の溶融粘度は、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sであることが好ましく、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sであることがより好ましく、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sであることが更に好ましい。転写層の溶融粘度が小さくなると、凸凹への転写層の追随性が向上する傾向がある。転写層の溶融粘度が小さいことは、例えば、蒸着マスク製造用転写フィルムと、低い平滑性を有する対象物との貼り合わせに有利である。本開示において「転写層の溶融粘度」は、転写層を構成する1つ又は2つ以上の層のうち、仮支持体から最も遠い位置にある層の溶融粘度によって規定される。例えば、転写層が複層構造を有する場合には、転写層に含まれる複数の層のうち仮支持体から最も遠い位置にある層の溶融粘度を「転写層の溶融粘度」といい、転写層が単層構造を有する場合には、単一の転写層の溶融粘度を「転写層の溶融粘度」という。転写層の溶融粘度は、例えば、転写層の組成によって調整される。転写層の溶融粘度は、例えば、重合体の種類、重合性化合物の種類、重合体の含有量に対する重合性化合物の含有量の比及び添加剤の種類によって調整される。例えば、重合体の含有量に対する重合性化合物の含有量の比が大きくなると、溶融粘度は小さくなり、重合体の含有量に対する重合性化合物の含有量の比が小さくなると、溶融粘度は大きくなる。本開示において、溶融粘度は、レオメータ(例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製レオメータDHR-2)、20mmΦのパラレルプレート及びペルチェプレート(Gap:約0.5mm)を用いて、以下の条件で測定される。本開示において規定される溶融粘度は、25℃における溶融粘度である。
(1)温度:20℃~125℃
(2)昇温速度:5℃/分
(3)周波数:1Hz
(4)歪み:0.5%
凸凹追随性の観点から、転写層(好ましくは感光性層)における重合体(好ましくはアルカリ可溶性樹脂)の全質量に対する重合性化合物(好ましくはエチレン性不飽和化合物)の全質量の比は、0.4以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。転写層(好ましくは感光性層)における重合体(好ましくはアルカリ可溶性樹脂)の全質量に対する重合性化合物(好ましくはエチレン性不飽和化合物)の全質量の比は、1.6以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましく、1.2以下であることが更に好ましい。重合体及び重合性化合物の態様は、後述の転写層の構成要素に関する説明に記載されている。
(転写層の構成要素:感光性層)
転写層は、感光性層を含むことが好ましい。転写層が単層構造を有する場合、転写層は、感光性層であることが好ましい。感光性層は、ネガ型感光性層又はポジ型感光性層であってもよい。ある実施形態において、感光性層は、ネガ型感光性層であることが好ましい。ある実施形態において、感光性層は、ポジ型感光性層であることが好ましい。
感光性層は、重合体を含むことが好ましい。重合体の種類は、制限されない。好ましい重合体としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エッチングレジストに用いられる公知のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂は、バインダーポリマーであることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、後述する重合体Aが挙げられる。
現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性がより優れる点から、重合体Aの酸価は、220mgKOH/g以下であることが好ましく、200mgKOH/g未満であることがより好ましく、190mgKOH/g未満が更に好ましい。現像性がより優れる点から、重合体Aの酸価は、60mgKOH/g以上であることが好ましく、120mgKOH/g以上であることがより好ましく、150mgKOH/g以上であることが更に好ましく、170mgKOH/g以上であることが特に好ましい。酸価は、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量[mg]である。酸価は、例えば、化合物中における酸基の平均含有量から算出される。重合体Aの酸価は、例えば、重合体Aを構成する構成単位の種類及び酸基を含有する構成単位の含有量により調整される。
重合体Aの重量平均分子量は、5,000~500,000であることが好ましい。重量平均分子量を500,000以下にすることは、解像性及び現像性を向上させる観点から好ましい。重合体Aの重量平均分子量は、100,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることが更に好ましく、50,000以下であることが特に好ましい。一方で、重量平均分子量を5,000以上にすることは、現像凝集物の性状、並びに感光層におけるエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御する観点から好ましい。重合体Aの重量平均分子量は、10,000以上であることがより好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。エッジフューズ性とは、転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光層のはみ出し易さの程度をいう。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度をいう。このチップが感光層の上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して、不良品の原因となる。重合体Aの分散度は、1.0~6.0であることが好ましく、1.0~5.0であることがより好ましく、1.0~4.0であることが更に好ましく、1.0~3.0であることが特に好ましい。本開示で重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される値である。また、分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)である。
露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する観点から、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有することが好ましく、芳香族炭化水素基を有する構成単位を有することがより好ましい。芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基及び置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、45質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。上限としては特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。なお、重合体Aを複数種類含有する場合における、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有割合は、重量平均値として求める。
芳香族炭化水素基を有する構成単位を形成する単量体としては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び、重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマー等)が挙げられる。中でも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する構成単位を形成する単量体がスチレンである場合、スチレン由来の構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、20質量%~50質量%であることが好ましく、25質量%~45質量%であることがより好ましく、30質量%~40質量%であることが更に好ましく、30質量%~35質量%であることが特に好ましい。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
置換又は非置換のベンジル基以外のフェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
置換又は非置換のベンジル基を有する単量体としては、置換又は非置換のベンジル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等);ベンジル基を有するビニルモノマー(例えば、ビニルベンジルクロライド、ビニルベンジルアルコール等)が挙げられる。中でもベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する構成単位を形成する単量体がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、50質量%~95質量%であることが好ましく、60質量%~90質量%であることがより好ましく、70質量%~90質量%であることが更に好ましく、75質量%~90質量%であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する構成単位を有する重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第一の単量体の少なくとも1種及び/又は後述する第二の単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する構成単位を有しない重合体Aは、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましく、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
重合体Aにおける第一の単量体由来の構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~30質量%であることが更に好ましい。
第一の単量体由来の構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、10質量%~50質量%であることが好ましい。上記割合を10質量%以上にすることは、良好な現像性を発現させる観点、エッジフューズ性を制御するなどの観点から好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上記含有割合を50質量%以下にすることは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点から、更にはレジストパターンの耐薬品性の観点から好ましく、これらの観点においては、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、27質量%以下が特に好ましい。
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;並びに(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
重合体Aにおける第二の単量体由来の構成単位の含有割合は、重合体Aの全質量を基準として、5質量%~60質量%であることが好ましく、15質量%~50質量%であることがより好ましく、20質量%~45質量%であることが更に好ましい。
また、重合体Aは、アラルキル基を有する構成単位、及び、スチレン由来の構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を含有することが、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り、及び、解像度の悪化を抑制する観点から好ましい。重合体Aとしては、例えば、メタクリル酸とベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体、メタクリル酸とメチルメタクリレートとベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体等が好ましい。
一態様において、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する構成単位を25質量%~40質量%、第一の単量体由来の構成単位を20質量%~35質量%、及び、第二の単量体由来の構成単位を30質量%~45質量%含む重合体であることが好ましい。また、別の態様において、芳香族炭化水素基を有する構成単位を70質量%~90質量%、及び、第一の単量体由来の構成単位を10質量%~25質量%含む重合体であることが好ましい。
重合体Aは、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有してもよい。側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマー、又は側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーを使用することによって、重合体Aの側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入することができる。脂環構造は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸i-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル、及び(メタ)アクリル酸t-オクチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、又はメタクリル酸t-ブチルが好ましく、メタクリル酸i-プロピル又はメタクリル酸t-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、単環の脂肪族炭化水素基を有するモノマー、及び、多環の脂肪族炭化水素基を有するモノマーが挙げられる。また、炭素数(炭素原子数)5個~20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。より具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
感光性層は、重合体Aを、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。感光性層が2種以上の重合体Aを含有する場合には、芳香族炭化水素基を有する重合体Aを2種類混合使用すること、又は、芳香族炭化水素基を有する重合体Aと、芳香族炭化水素基を有しない重合体Aと、を混合使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する重合体Aの含有割合は、重合体Aの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
重合体Aの合成は、上記で説明された単数又は複数の単量体を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
重合体Aのガラス転移温度Tgは、30℃以上135℃以下であることが好ましい。感光性層において、135℃以下のTgを有する重合体Aを使用することによって、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太り又は解像度の悪化を抑制することができる。この観点から、重合体AのTgは、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。また、30℃以上のTgを有する重合体Aを使用することは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。この観点から、重合体AのTgは、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、70℃以上であることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂として、後述する熱可塑性樹脂層の説明で述べるアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の、感光性層の全質量に対する割合は、好ましくは10質量%~90質量%であり、より好ましくは30質量%~70質量%であり、更に好ましくは40質量%~60質量%である。感光性層に対するアルカリ可溶性樹脂の割合を90質量%以下にすることは、現像時間を制御する観点から好ましい。一方で、感光性層に対するアルカリ可溶性樹脂の割合を10質量%以上にすることは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
感光性層は、アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を含有してもよい。アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂としては、液温が22℃である炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g未満である樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル共重合体(但し、スチレン含有率が40質量%以下であるもの)、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及び、ポリアルキレングリコールが挙げられる。
感光性層(好ましくはネガ型感光性層)は、重合性基を有する化合物(すなわち、重合性化合物)を含むことが好ましい。「重合性化合物」とは、重合開始剤の作用を受けて重合する化合物であって、上述した重合体とは異なる化合物を意味する。
重合性基としては、重合反応に関与する基であれば特に制限されず、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、マレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基が挙げられる。重合性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基等のカチオン性重合性基も挙げられる。重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタクリロイル基がより好ましい。
重合性化合物としては、感光性層の感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン性不飽和化合物)が好ましく、一分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(多官能エチレン性不飽和化合物)がより好ましい。また、解像性及び剥離性により優れる点で、エチレン性不飽和化合物が一分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、6つ以下であることが好ましく、3つ以下であることがより好ましく、2つ以下が更に好ましい。
感光性層の感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点で、感光性層は、一分子中に2つ又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、一分子中に2つのエチレン性不飽和基を有する2官能エチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。重合性化合物の全質量に対する2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、剥離性に優れる観点から、20質量%以上であることが好ましく、40質量%超であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されず、100質量%であってもよい。即ち、重合性化合物が全て2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
感光性層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物B1を含有することが好ましい。エチレン性不飽和化合物B1は、上述したエチレン性不飽和化合物のうち、一分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
感光性層中、エチレン性不飽和化合物の含有量に対するエチレン性不飽和化合物B1の含有量の質量比は、解像性がより優れる点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、剥離性の点から、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
エチレン性不飽和化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環等の芳香族複素環、並びに、それらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。なお、上記芳香環は、置換基を有してもよい。エチレン性不飽和化合物B1は、芳香環を1つのみ有してもよく、2つ以上の芳香環を有してもよい。
エチレン性不飽和化合物B1は、現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する点から、ビスフェノール構造を有することが好ましい。ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造、及び、ビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有するエチレン性不飽和化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基の付加数は特に制限されないが、1分子あたり4個~16個が好ましく、6個~14個がより好ましい。ビスフェノール構造を有するエチレン性不飽和化合物B1については、特開2016-224162号公報の段落0072~段落0080に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
エチレン性不飽和化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成株式会社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-500、新中村化学工業株式会社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成株式会社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-1300、新中村化学工業株式会社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-200、新中村化学工業株式会社製)、及び、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物B1としては、引き置き時間線幅変化、現像温度線幅変化、及び、感度の観点から、下記式(Bis)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2022168819000002

式(Bis)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはCであり、BはCであり、n及びnはそれぞれ独立に、1~39の整数であり、かつn+nは2~40の整数であり、n及びnはそれぞれ独立に、0~29の整数であり、かつn+nは0~30の整数であり、-(A-O)-及び-(B-O)-の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。そして、ブロックの場合、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェノール構造側でもよい。一態様において、n+n+n+nは、2~20の整数であることが好ましく、2~16の整数であることがより好ましく、4~12の整数であることが更に好ましい。また、n+nは、0~10の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましく、0~2の整数であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
エチレン性不飽和化合物B1は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。感光性層における、エチレン性不飽和化合物B1の含有量は、解像性がより優れる点から、感光性層の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、転写性及びエッジフュージョン(転写フィルムの端部から感光性層中の成分が滲み出す現象)の点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
感光性層は、上述したエチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物を含有してもよい。エチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。例えば、一分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物、及び、3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、及び、トリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業株式会社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業株式会社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業株式会社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業株式会社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及び、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル株式会社製)、UA-32P(新中村化学工業株式会社製)、及び、UA-1100H(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及び、これらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。一態様において、感光性層は、上述したエチレン性不飽和化合物B1及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、上述したエチレン性不飽和化合物B1及び2種以上の3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。この場合、エチレン性不飽和化合物B1と3官能以上のエチレン性不飽和化合物の質量比は、(エチレン性不飽和化合物B1の合計質量):(3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計質量)=1:1~5:1が好ましく、1.2:1~4:1がより好ましく、1.5:1~3:1が更に好ましい。また、一態様において、感光性層は、上述したエチレン性不飽和化合物B1及び2種以上の3官能のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業株式会社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬株式会社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業株式会社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-520(東亞合成株式会社製)、並びに、アロニックスM-510(東亞合成株式会社製)が挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物B1以外のエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落0025~段落0030に記載の酸基を有するエチレン性不飽和化合物を用いてもよい。
感光性層におけるエチレン性不飽和化合物の含有量に対する重合体(好ましくはアルカリ可溶性樹脂)の含有量の比は、解像性及び直線性の観点から、1.0以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることが更に好ましい。
感光性層におけるエチレン性不飽和化合物は、硬化性、及び、解像性の観点から、(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。感光性層におけるエチレン性不飽和化合物は、硬化性、解像性及び直線性の観点から、(メタ)アクリル化合物を含み、かつ感光性層に含まれる上記(メタ)アクリル化合物の全質量に対するアクリル化合物の含有量が、60質量%以下であることがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物B1を含むエチレン性不飽和化合物の分子量(分布を有する場合は、重量平均分子量(Mw))としては、200~3,000が好ましく、280~2,200がより好ましく、300~2,200が更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。感光性層における重合性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対し、10質量%~70質量%であることが好ましく、20質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることが更に好ましい。
感光性層(好ましくはネガ型感光性層)は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤の種類は重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、及び、光重合開始剤が挙げられる。また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、及び、カチオン重合開始剤が挙げられる。
感光性層(好ましくはネガ型感光性層)は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、可視光線及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、特に制限されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
感光性層(好ましくはネガ型感光性層)は、感光性、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の観点から、光ラジカル重合開始剤として、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、及び、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~段落0042、特開2015-14783号公報の段落0064~段落0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287-53-3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(商品名:みどり化学株式会社製)、ベンゾフェノン、TAZ-111(商品名:みどり化学株式会社製)、IrgacureOXE01、OXE02、OXE03、OXE04(BASF社製)、Omnirad651及び369(商品名:IGM Resins B.V.社製)、及び、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(東京化成工業株式会社製)が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:Omnirad 369、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173、IGM Resins B.V.製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Omnirad 184、IGM Resins B.V.製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad 819、IGM Resins B.V.製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン株式会社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)、及び、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業株式会社製)、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、及び、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上が好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。イオン性光カチオン重合開始剤としては、特開2014-85643号公報の段落0114~段落0133に記載のイオン性光カチオン重合開始剤を用いてもよい。非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落0083~段落0088に記載の化合物を用いてもよい。また、オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0084~段落0088に記載された化合物を用いてもよい。
感光性層は、重合開始剤を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。感光性層における重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、感光性層の全質量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、感光性層の全質量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び、解像性の観点から、色素を含有することが好ましく、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、かつ、酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(単に「色素N」ともいう。)を含有することがより好ましい。色素Nを含有すると、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば仮支持体及び中間層)との密着性が向上し、解像性により優れる。
本開示において、色素が「酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより発色する態様、及び、発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、露光により酸、塩基又はラジカルが感光性層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基又はラジカルにより感光性層内の状態(例えばpH)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。
中でも、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nは、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nとしてラジカルにより極大吸収波長が変化する色素、及び、光ラジカル重合開始剤の両者を含有することが好ましい。
また、露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nは、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
本開示における色素Nの発色機構の例としては、感光性層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素又は塩基反応性色素(例えばロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の観点から、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が、550nm以上であることが好ましく、550nm~700nmであることがより好ましく、550nm~650nmであることが更に好ましい。また、色素Nは、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(株式会社島津製作所製)を用いて、400nm~780nmの範囲で色素Nを含有する溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより、得られる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)、及び、ロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。中でも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
ロイコ化合物としては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有することが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又は、ロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、染料が挙げられる。染料としては、例えば、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業株式会社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業株式会社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業株式会社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業株式会社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン、及び、1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
色素Nとしては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。ロイコ化合物としては、例えば、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、及び、3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び、解像性の観点から、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン、又は、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
色素は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。色素の含有量は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び、解像性の観点から、感光性層の全質量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。また、色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び、解像性の観点から、感光性層の全質量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。
色素Nの含有量は、感光性層に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g又は0.01gを溶かした2種類の溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASF社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、株式会社島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、色素に代えて感光性層3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性層を含有する溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性層に含まれる色素の含有量を算出する。
感光性層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の観点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、メチロール化合物、及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。中でも、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の観点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び/又はエチレン性不飽和化合物等が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、感光性層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100℃~160℃が好ましく、130℃~150℃がより好ましい。ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。これらの中でも、解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の観点から、オキシム化合物を含むことが好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物の中でも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、且つ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。中でも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工株式会社製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物を用いることもできる。
Figure 2022168819000003

熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。感光性層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、1質量%~50質量%が好ましく、5質量%~30質量%がより好ましい。
感光性層は、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、界面活性剤、増感剤、各種添加剤等が挙げられる。他の成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性層は、ラジカル重合禁止剤を含んでいてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。中でも、フェノチアジン、フェノキサジン、又は4-メトキシフェノールが好ましい。の他のラジカル重合禁止剤としては、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性層の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩をラジカル重合禁止剤として使用することが好ましい。
ラジカル重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。感光性層がラジカル重合禁止剤を含む場合、ラジカル重合禁止剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましく、0.02質量%~2.0質量%が更に好ましい。また、ラジカル重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対しては、0.005質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましく、0.01質量%~1.0質量%が更に好ましい。
感光性層は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017、及び、特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載の界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(商品名)L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック(商品名)304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース(商品名)20000(以上、日本ルーブリゾール株式会社製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)、パイオニン(商品名)D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂株式会社製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業株式会社製)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック(商品名)F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-444、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード(商品名)FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム株式会社製)、サーフロン(商品名)S-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC株式会社製)、PolyFox(商品名)PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント(商品名)710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F(以上、株式会社ネオス製)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC株式会社製のメガファック(商品名)DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック(商品名)DS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーを用いることもできる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。
フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。メガファック(商品名)RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、例えば、炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物が使用されてもよい。ただし、環境適性向上の観点から、フッ素系界面活性剤として、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)又はペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の代替材料が使用されることが好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の具体例としては、DOWSIL(商品名)8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越化学工業株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
感光性層は、界面活性剤を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。界面活性剤の含有量は、感光性層の全質量に対し、0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましい。
感光性層は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特に制限されず、公知の増感剤、染料及び顔料を使用できる。増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。感光性層が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、感光性層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。
感光性層は、必要に応じて公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、ヘテロ環状化合物、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、ピリジン類(イソニコチンアミド等)、プリン塩基(アデニン等)、及び、溶剤が挙げられる。感光性層は、各添加剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール、ビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、CBT-1(城北化学工業株式会社、商品名)などの市販品を用いることができる。
ベンゾトリアゾ-ル類及びカルボキシベンゾトリアゾ-ル類の合計含有量は、感光性層の全質量に対し、0.01質量%~3質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。上記含有量を0.01質量%以上にすることは、感光性層に保存安定性を付与するという観点から好ましい。一方で、上記含有量を3質量%以下にすることは、感度を維持し、染料の脱色を抑える観点から好ましい。
感光性層は、可塑剤及びヘテロ環状化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0097~段落0103及び段落0111~段落0118に記載された化合物が挙げられる。
感光性層は、溶剤を含有してもよい。溶剤を含む感光性組成物により感光性層を形成した場合、感光性層に溶剤が残留することがある。
また、感光性層は、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤等の公知の添加剤を更に含有してもよい。
感光性層に含有される添加剤については特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184に記載されており、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
感光性層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。中でも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
感光性層における不純物の含有量は、質量基準で、80ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、2ppm以下が更に好ましい。不純物の含有量は、質量基準で、1ppb以上とすることができ、0.1ppm以上としてもよい。
不純物を上記範囲にする方法としては、組成物の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、感光性層の作製時に不純物の混入を防ぐこと、及び洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
感光性層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性層の全質量に対する含有量としては、質量基準で、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、4ppm以下が更に好ましい。下限は、質量基準で、感光性層の全質量に対して、10ppb以上とすることができ、100ppb以上とすることができる。これら化合物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制できる。また、公知の測定法により定量できる。
感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、0.01質量%~1.0質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。
感光性層は、上述したアルカリ可溶性樹脂の各構成単位に対応する残存モノマーを含む場合がある。残存モノマーの含有量は、パターニング性、及び、信頼性の点から、アルカリ可溶性樹脂全質量に対して、5,000質量ppm以下が好ましく、2,000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存モノマーの含有量は、パターニング性、及び、信頼性の点から、感光性層の全質量に対して、3,000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際のモノマーの残存モノマー量も、上記範囲とすることが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合には、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲にすることが好ましい。
残存モノマーの量は、液体クロマトグラフィー、及び、ガスクロマトグラフィー等の公知の方法で測定できる。
感光性層は、顔料を含む着色層であってもよい。顔料については、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、黒色顔料、白色顔料、黒色及び白色以外の有彩色の顔料の中から選択できる。中でも、黒色系のパターンを形成する場合には、顔料として黒色顔料が好適に選択される。
黒色顔料としては、本開示における効果を損なわない範囲であれば、公知の黒色顔料(有機顔料又は無機顔料等)を適宜選択することができる。中でも、光学濃度の観点から、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン及び黒鉛等が好適に挙げられ、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の観点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたカーボンブラックが好ましい。黒色顔料の粒径は、分散安定性の観点から、数平均粒径で0.001μm~0.1μmであることが好ましく、0.01μm~0.08μmであることがより好ましい。粒径とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を指し、数平均粒径は、任意の100個の粒子について上記の粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値である。
黒色顔料以外の顔料として、白色顔料については、特開2005-007765号公報の段落0015及び段落0114に記載の白色顔料を使用できる。具体的には、白色顔料のうち、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。無機顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが更に好ましく、ルチル型の酸化チタンが特に好ましい。
酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、又は有機物処理が施されていてもよく、二つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性等が改善される。加熱後の感光性層の厚みを薄くする観点から、酸化チタンの表面への表面処理としては、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方が好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方が特に好ましい。
感光性層が着色層である場合、転写性の観点から、感光性層は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を更に含んでいることも好ましい。有彩色の顔料を含む場合、有彩色の顔料の粒径としては、分散性がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下C.I.)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、及びC.I.ピグメント・バイオレット23等が挙げられる。中でも、C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
感光性層が顔料を含む場合、顔料の含有量は、感光性層の全質量に対して、3質量%を超え40質量%以下であることが好ましく、3質量%を超え35質量%以下であることがより好ましく、5質量%を超え35質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上35質量%以下であることが特に好ましい。
感光性層が黒色顔料以外の顔料(白色顔料及び有彩色の顔料)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料に対して、30質量%以下であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、3質量%~15質量%であることが更に好ましい。
黒色顔料を含む感光性層の製造方法において、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で後述の感光性組成物に導入されることが好ましい。分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とをあらかじめ混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものでもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば市販の分散剤を使用することができる。なお、ビヒクルとは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を指し、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)と、を含む。分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、及びサンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕については、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載を参照することができる。
感光性層の平均厚さは、現像性、及び、解像性の観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが更に好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。感光性層の平均厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
転写層が熱可塑性樹脂層、中間層及び感光性層を含む場合、感光性層の平均厚さは、4.8μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1μm以下であることが最も好ましい。感光性層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
解像性及び凸凹追随性の観点から、転写層の平均厚さに対する感光性層の平均厚さの割合は、10%~50%であることが好ましく、15%~35%であることがより好ましく、20%~30%であることが更に好ましい。
また、密着性により優れる点から、感光性層の波長365nmの光の透過率は、10%以上が好ましく、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、99.9%以下が好ましい。
目的の感光性層が得られる限り、感光性層の製造方法は制限されない。感光性層の形成方法としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤及び溶剤を含有する感光性組成物を調製し、仮支持体等の対象物に感光性組成物を塗布し、感光性組成物の塗膜を乾燥することにより形成する方法が挙げられる。また、感光性層は、感光性組成物を後述する保護フィルム上に塗布し、乾燥することにより形成してもよい。
感光性層の形成に使用される感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、上記の任意成分及び溶剤を含有する組成物が挙げられる。感光性組成物は、感光性組成物の粘度を調節し、感光性層の形成を容易にするため、溶剤を含有することが好ましい。
感光性組成物に含有される溶剤としては、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(メタノール及びエタノール等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン等)、非プロトン性極性溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶剤(テトラヒドロフラン等)、エステル溶剤、アミド溶剤、ラクトン溶剤、並びにこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
感光性組成物は、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。中でも、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種、ケトン溶剤、並びに環状エーテル溶剤の3種を少なくとも含む混合溶剤が更に好ましい。
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落0092~段落0094に記載された溶剤、及び、特開2018-177889号公報の段落0014に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
感光性組成物は、溶剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。感光性組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光性組成物中の全固形分100質量部に対し、50質量部~1,900質量部が好ましく、100質量部~900質量部がより好ましい。
感光性組成物の調製方法は特に制限されず、例えば、各成分を上記溶剤に溶解させた溶液を予め調製し、得られた溶液を所定の割合で混合することにより、感光性組成物を調製する方法が挙げられる。感光性組成物は、感光性層を形成する前に、孔径0.2μm~30μmのフィルターを用いてろ過することが好ましい。
感光性組成物の塗布方法は特に制限されず、公知の方法で塗布すればよい。塗布方法としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布及びインクジェット塗布が挙げられる。
感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。なお、本明細書において、「乾燥」とは、組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、及び、減圧乾燥が挙げられる。上記した方法を単独で又は複数組み合わせて適用することができる。乾燥温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、その上限値としては130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。乾燥時間としては、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
(転写層の構成要素:中間層)
転写層は、中間層及び感光性層を含むことが好ましい。中間層は、転写フィルムと対象物との貼り合わせにおいて転写層と対象物との間に気泡が混入することを抑制し、転写層と対象物との密着性を向上できる。中間層は、表面が粗い対象物への転写層の追随性も向上できる。中間層は、仮支持体と感光性層との間に配置されることが好ましい。すなわち、転写フィルムは、仮支持体と、中間層と、感光性層と、をこの順に含むことが好ましい。中間層の構造は、単層構造又は複層構造であってもよい。中間層としては、例えば、熱可塑性樹脂層及び水溶性樹脂層が挙げられる。中間層が熱可塑性樹脂層及び水溶性樹脂層の両方を含む場合、転写フィルムは、仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、水溶性樹脂層と、感光性層と、をこの順に含むことが好ましい。また、中間層としては、例えば、特開平5-72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も挙げられる。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上する。
まず、熱可塑性樹脂層について説明する。熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する樹脂を意味する。アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
中でも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して30質量%~100質量%であることが好ましく、50質量%~100質量%であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であることが好ましい。酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限は、特に制限されないが、200mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂から適宜選択して用いることができる。例えば、特開2011-95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び、特開2016-224162号公報の段落0053~段落0068に記載のアルカリ可溶性樹脂のうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。
カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、12質量%~30質量%であることが更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、重合可能な基、例えば、付加重合、重縮合又は重付加が可能な基であればよく、エチレン性不飽和基;ヒドロキシ基及びカルボキシ基等の重縮合性基;エポキシ基、(ブロック)イソシアネート基等の重付加反応性基が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましく、1万~10万であることがより好ましく、2万~5万であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を1種単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。アルカリ可溶性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10質量%~99質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、40質量%~80質量%であることが更に好ましく、50質量%~70質量%であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(単に「色素B」ともいう。)を含有することが好ましい。色素Bの好ましい態様は、後述する点以外は、色素Nの好ましい態様と同様である。
色素Bは、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により極大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bとしての酸により極大吸収波長が変化する色素、及び、後述する光により酸を発生する化合物の両者を含有することが好ましい。
色素Bは、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2質量%~6質量%がより好ましく、0.2質量%~5質量%が更に好ましく、0.25質量%~3.0質量%が特に好ましい。色素Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g又は0.01gを溶かした2種類の溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASF社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、株式会社島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含有する溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物(単に「化合物C」ともいう。)を含有してもよい。化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物が好ましい。化合物Cとしては、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び、光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を用いることができる。中でも、光酸発生剤が好ましい。
熱可塑性樹脂層は、解像性の観点から、光酸発生剤を含有することが好ましい。光酸発生剤としては、上述した感光性層が含有してもよい光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は好ましい態様も同じである。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物、及び、オキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、感度、解像性及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含有することがより好ましい。また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
Figure 2022168819000004

熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)を含有してもよい。光ラジカル重合開始剤としては、上述した感光性層が含有してもよい光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。
熱可塑性樹脂層は、光塩基発生剤を含有してもよい。光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤であれば特に制限されず、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、{[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル}シクロヘキシルアミン、ビス{[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}ヘキサン-1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、及び、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、化合物Cを、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性及び現像性の観点から、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂よりも分子量(オリゴマー又はポリマーである場合は重量平均分子量(Mw))が小さいことが好ましい。可塑剤の分子量(重量平均分子量(Mw))は、200~2,000が好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
また、可塑剤は、解像性及び保存安定性の観点から、(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。相溶性、解像性及び隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、かつ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含有することがより好ましい。可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述した感光性層に含有されるエチレン性不飽和化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
転写フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層と感光性層とが直接接触して積層される場合、熱可塑性樹脂層及び感光性層がいずれも同じ(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。同じ(メタ)アクリレート化合物を熱可塑性樹脂層及び感光性層がそれぞれ含有することで、層間の成分拡散が抑制され、保存安定性が向上するためである。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
また、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、解像性、隣接する層との密着性及び現像性の観点から、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
更に、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
熱可塑性樹脂層は、可塑剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。可塑剤の含有量は、解像性、隣接する層との密着性及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対し、1質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、厚さ均一性の観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、上述した感光性層が含有してもよい界面活性剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。熱可塑性樹脂層は、界面活性剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。界面活性剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の全質量に対し、0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~3質量%であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、特に制限されず、上述した感光性層が含有してもよい増感剤が挙げられる。熱可塑性樹脂層は、増感剤を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、及び、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%~5質量%の範囲であることが好ましく、0.05質量%~1質量%の範囲であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて公知の添加剤を含有してもよい。また、熱可塑性樹脂層については、特開2014-85643号公報の段落0189~段落0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
熱可塑性樹脂層の平均厚さは、隣接する層との密着性の観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、現像性及び解像性の観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。熱可塑性樹脂層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
目的の熱可塑性樹脂層が得られる限り、熱可塑性樹脂層の製造方法は制限されない。熱可塑性樹脂層の製造方法としては、例えば、上記の成分と溶剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物を調製し、仮支持体等の対象物に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、熱可塑性樹脂組成物の塗膜を乾燥することにより形成する方法が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物の粘度を調節し、熱可塑性樹脂層の形成を容易にするため、溶剤を含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物に含有される溶剤としては、熱可塑性樹脂層に含有される上記成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されない。熱可塑性樹脂組成物に含有される溶剤としては、上述した感光性組成物が含有してもよい溶剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。熱可塑性樹脂組成物に含有される溶剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。熱可塑性樹脂組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物中の全固形分100質量部に対し、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の調製及び熱可塑性樹脂層の形成は、上述した感光性組成物の調製方法及び感光性層の形成方法に準じて行えばよい。例えば、熱可塑性樹脂層に含有される各成分を上記溶剤に溶解させた溶液を予め調製し、得られた溶液を所定の割合で混合することにより、熱可塑性樹脂組成物が調製した後、得られた熱可塑性樹脂組成物を仮支持体の表面に塗布し、熱可塑性樹脂組成物の塗膜を乾燥させることにより、熱可塑性樹脂層が形成される。また、後述する保護フィルム上に、感光性層及び水溶性樹脂層を形成した後、水溶性樹脂層の上に熱可塑性樹脂層を形成してもよい。
次に、水溶性樹脂層について説明する。水溶性樹脂層は、水溶性樹脂を含むことが好ましい。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及び、これらの共重合体等の樹脂が挙げられる。水溶性樹脂層に含有される水溶性樹脂は、複数層間の成分の混合を抑制する観点から、感光層に含有される重合体A、及び、熱可塑性樹脂層に含有され熱可塑性樹脂(例えば、アルカリ可溶性樹脂)のいずれとも異なる樹脂であることが好ましい。
水溶性樹脂層は、酸素遮断性、並びに、複数層を塗布する際及び塗布後の保存の際における成分の混合を抑制する観点から、ポリビニルアルコールを含有することが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含有することがより好ましい。
水溶性樹脂層は、水溶性樹脂を1種単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
水溶性樹脂層における水溶性樹脂の含有量は、特に制限されないが、酸素遮断性、並びに、複数層を塗布する際及び塗布後の保存の際における成分の混合を抑制する観点から、水溶性樹脂層の全質量に対し、50質量%~100質量%であることが好ましく、70質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることが更に好ましく、90質量%~100質量%であることが特に好ましい。
また、水溶性樹脂層は、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。
水溶性樹脂層の平均厚さは、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.5μm~3μmであることがより好ましい。水溶性樹脂層の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、複数層を塗布する際及び塗布後の保存の際における成分の混合を抑制でき、また、現像時の水溶性樹脂層の除去時間の増大を抑制できるためである。水溶性樹脂層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
目的の水溶性樹脂層が得られる限り、水溶性樹脂層の製造方法は制限されない。水溶性樹脂層は、例えば、水溶性樹脂及び任意の添加剤を含有する水溶性樹脂層形成用組成物を調製し、熱可塑性樹脂層又は感光性層に塗布し、水溶性樹脂層形成用組成物の塗膜を乾燥することにより形成される。水溶性樹脂層形成用組成物は、水溶性樹脂層形成用組成物の粘度を調節し、水溶性樹脂層の形成を容易にするため、溶剤を含有することが好ましい。
水溶性樹脂層形成用組成物に含有される溶剤としては、水及び水混和性の有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
転写層は、他の層を更に含んでいてもよい。他の層としては、例えば、屈折率調整層(コントラストエンハンスメント層)が挙げられる。コントラストエンハンスメント層については、国際公開第2018/179640号の段落0134に記載されている。また、他の層については、特開2014-85643号公報の段落0194~段落0196に記載されている。これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
(保護フィルム)
転写フィルムは、保護フィルムを含むことが好ましい。例えば、転写フィルムは、仮支持体と、転写層と、保護フィルムと、をこの順に含むことが好ましい。
保護フィルムを構成する材料としては、樹脂フィルム及び紙が挙げられ、強度及び可撓性の観点から、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及び、ポリカーボネートフィルムが挙げられる。中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又は、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
保護フィルムの平均厚さは、1μm~100μmであることが好ましく、5μm~50μmであることがより好ましく、5μm~40μmであることが更に好ましく、15μm~30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
保護フィルムの転写層に面する表面(以下、単に「保護フィルムの表面」ともいう。)の算術平均粗さRaは、解像性により優れる点から、0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが更に好ましい。保護フィルムの表面のRa値が上記範囲であることにより、転写層及び形成されるレジストパターンの厚さの均一性が向上する。保護フィルムの表面のRa値の下限は特に制限されないが、0.001μm以上が好ましい。
保護フィルムの表面のRa値は、以下の方法で測定される。3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて保護フィルムの表面を測定し、保護フィルムの表面プロファイルを得る。測定・解析ソフトウェアとしては、MetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、上記解析ソフトウェアにてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、算術平均粗さを算出し、保護フィルムの表面のRa値を得る。
保護フィルムは、例えば、保護フィルムと転写層との貼り合わせによって転写フィルムに導入される。保護フィルムと転写層との貼り合わせは、例えば、公知のラミネーターを用いて実施される。ラミネーターとしては、例えば、真空ラミネーター及びオートカットラミネーターが挙げられる。ラミネーターは、ゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができる装置であることが好ましい。
<蒸着マスク>
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクは、第1面と、上記第1面の反対の位置に第2面と、上記第1面から上記第2面までのびる貫通孔と、を有する金属層を含み、上記金属層の上記第2面における上記貫通孔の平均径が、上記金属層の上記第1面における上記貫通孔の平均径よりも小さく、上記金属層の上記第2面における上記貫通孔の平均径が、25μm以下である。貫通孔の寸法は、蒸着マスクを用いて形成されるパターンの解像度を大きく左右すると考えられる。例えば、貫通孔の寸法が小さくなると、マスクを用いて形成されるパターンの寸法は小さくなる。例えば、本開示の一実施形態に係る蒸着マスクを用いる蒸着法において、蒸着マスクは、金属層の第2面を対象物に向けて対象物の上に配置され、気化源から金属層の第1面に到達した物質は、金属層の第1面から第2面へ向かう方向に沿って貫通孔を移動し、対象物に付着する。金属層の第2面における貫通孔の平均径が金属層の第1面における貫通孔の平均径よりも小さく、金属層の第2面における貫通孔の平均径が25μm以下であると、気化源から金属層の第1面に到達した物質が貫通孔に進入しやすくなり、従来技術に比べて高解像度でパターンが形成される。したがって、本開示の一実施形態によれば、高解像度でパターンを形成可能な蒸着マスクが提供される。
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクは、金属層を含む。金属層の構造は、単層構造又は複層構造であってもよい。金属層に含まれる金属元素としては、例えば、Cu、Ni、Fe、Cr、Mn及びCoが挙げられる。金属層の一部又は全部は、合金であってもよい。合金としては、例えば、Ni-Co合金及びFe-Ni合金が挙げられる。金属層は、Cu、Ni、Fe、Cr、Mn及びCoからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、Cu、Fe及びNiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むことがより好ましく、Cuを含むことが更に好ましい。金属層は、金属元素以外の元素を含んでいてもよい。金属元素以外の元素としては、例えば、B、C、N、O、P、S及びClが挙げられる。金属層は、金属基板であってもよい。好ましい金属基板としては、銅基板が挙げられる。
金属層は、第1面と、第1面の反対の位置に第2面と、を有する。金属層の第1面の粗さRmaxは、0.5μm~5.0μmであってもよい。金属層の第2面の粗さRmaxは、0.5μm~5.0μmであってもよい。金属層の第1面の粗さRmaxは、金属層の第2面の粗さRmaxと同じであっても異なっていてもよい。本開示において、対象面の粗さRmaxは、3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社製)を用いて測定される。まず、対象面の表面プロファイルを得る。測定・解析ソフトウェアとしては、MetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、測定・解析ソフトウェアを用いてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、対象面の粗さRmaxを得る。なお、対象面の粗さRmaxは、基準長さにおける粗さ曲線の最大高さに対応する。
金属層は、第1面から第2面までのびる貫通孔を有する。金属層は、複数の貫通孔を有してもよい。貫通孔の深さは、金属層の厚さに対応する。貫通孔は、通常、金属層の内面によって画定される。貫通孔は、1つ又は2つ以上の面によって画定されてもよい。断面視で観察される貫通孔を画定する面は、直線又は曲線であってもよい。貫通孔の数、形状及び配置は、例えば、目的のパターンに応じて決定される。第1面から第2面までのびる貫通孔は、第1面に開口を形成し、そして、第2面に開口を形成する。第1面に形成された開口の径は、後述される第1面における貫通孔の径に対応し、そして、第2面に形成された開口の径は、後述される第2面における貫通孔の径に対応する。平面視で観察される貫通孔(具体的には開口)の形状としては、例えば、円形、楕円形及び四角形が挙げられる。平面視で観察される貫通孔の形状は、四角形であることが好ましく、正方形又は長方形であることがより好ましい。平面視で観察される貫通孔の形状が多角形(例えば、四角形)である場合、多角形の複数の角の一部又は全部は丸くなっていてもよい。
金属層の第2面における貫通孔の平均径(以下、「貫通孔の平均径D2」という場合がある。)は、金属層の第1面における貫通孔の平均径(以下、「貫通孔の平均径D1」という場合がある。)よりも小さい。言い換えると、貫通孔の平均径D1は、貫通孔の平均径D2よりも大きい。例えば、貫通孔の平均径D1が貫通孔の平均径D2より大きいと、気化源から金属層の第1面に到達した物質が金属層の第1面に形成された開口から貫通孔に進入しやすくなる。この結果、例えば、生産性及びパターンの精度が向上する。貫通孔の平均径D1に対する貫通孔の平均径D2の比(すなわち、D2/D1)は、0.8以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましい。パターンの高解像化の観点から、貫通孔の平均径D1に対する貫通孔の平均径D2の比(すなわち、D2/D1)は、0.01上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましい。
金属層の第2面における貫通孔の平均径(すなわち、貫通孔の平均径D2)は、25μm以下である。貫通孔の平均径D2が25μm以下であると、高解像度でパターンが形成される。パターンの高解像度化の観点から、貫通孔の平均径D2は、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。貫通孔の平均径D2の下限は、制限されない。貫通孔の平均径D2は、5μm、1μm又は0.1μmであってもよい。
「貫通孔の平均径D2」<「貫通孔の平均径D1」の関係が満たされる限り、貫通孔の平均径D1は制限されない。パターンの高解像度化の観点から、貫通孔の平均径D1は、15μm~100μmであることが好ましく、20μm~50μmであることがより好ましく、20μm~30μmであることが更に好ましい。貫通孔の平均径D1の下限は、8μm又は10μmであってもよい。
本開示において、貫通孔の平均径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られる画像に基づいて測定される10個の貫通孔の径の算術平均によって算出される。本開示において、貫通孔の径は、平面視で観察される貫通孔(具体的には開口)の輪郭線上の任意の2点を結ぶ直線の最大値によって定義される。貫通孔の平均径D2は貫通孔の平均径D1よりも小さいため、金属層の第1面の平面視において、金属層の第1面に形成された開口の輪郭線の内側に金属層の第2面に形成された開口の輪郭線が観察されることがある。貫通孔の平均径D1及び貫通孔の平均径D2は、上記のような観察に基づいて算出されてもよい。
「貫通孔の平均径D2」<「貫通孔の平均径D1」の関係が満たされる限り、貫通孔の径は、第1面から第2面に向かう方向に沿って連続的に又は非連続的に変化してもよい。貫通孔の径は、第1面から第2面に向かう方向に沿って漸次縮小することが好ましい。
蒸着マスクの製造過程における貫通孔の解像性の観点から、金属層の平均厚さは、30μm~500μmであることが好ましく、40μm~400μmであることがより好ましく、50μm~300μmであることが更に好ましい。金属層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる断面観察で測定される5か所の厚さの算術平均によって算出される。
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクは、必要に応じて、金属層以外の構成要素を含んでいてもよい。金属層以外の構成要素としては、例えば、枠体が挙げられる。枠体は、蒸着マスクを補強し、又は蒸着マスクの取扱性を向上できる。枠体は、平面視において貫通孔の周りに配置されていてもよく、又は平面視において金属層の外周に配置されていてもよい。枠体の成分としては、例えば、金属が挙げられる。金属としては、例えば、Fe-Ni合金(例えば、インバー)及びFe-Ni-Co合金(例えば、スーパーインバー)が挙げられる。
図1、図2及び図3を参照して蒸着マスクの構造を説明する。図1は、ある実施形態に係る蒸着マスクを示す概略平面図である。図2は、図1に示される蒸着マスクの貫通孔を拡大して示す概略平面図である。図3は、図1に示される蒸着マスクの貫通孔を拡大して示す概略断面図である。蒸着マスク100は、第1面10Fと、第1面10Fの反対に位置する第2面10Rと、貫通孔10Hと、を有する金属層10を含む。金属層10の第1面は、図1及び図2を見ている観察者を向いている。金属層10の第1面10F及び金属層の第2面10Rは、互いに反対方向を向いている。図1及び図2に示されるように、貫通孔10Hは、金属層10により形成された格子状のパターンによって画定されており、そして、平面視で観察される貫通孔10Hの形状は、四角形である。図2において貫通孔10Hの輪郭線が2重に観察される理由は、金属層10の第1面10Fに形成された開口(具体的には、図3における開口10FA)の輪郭線の内側に、金属層10の第2面10Rに形成された開口(具体的には、図3における開口10RA)の輪郭線が観察されるためである。図3に示されるように、貫通孔10Hは、金属層10の第1面10Fから金属層10の第2面10Rまでのびている。貫通孔10Hは、金属層10の第1面10Fに開口10FAを形成し、そして、金属層10の第2面10Rに開口10RAを形成している。貫通孔10Hは、金属層10の内面によって画定されており、貫通孔10Hを画定する金属層10の内面は、曲線である。金属層10の第2面10Rにおける貫通孔10Hの平均径は、金属層10の第1面10Fにおける貫通孔10Hの平均径よりも小さい。貫通孔10Hの径は、第1面10Fから第2面10Rに向かう方向に沿って漸次縮小している。
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクは、蒸着法を用いるパターンの製造方法に好ましく適用される。蒸着法において、蒸着マスクは、金属層の第2面を対象物に向けて対象物の上に配置されることが好ましい。金属層の第2面が対象物に面すると、気化源から金属層の第1面に到達した物質が貫通孔に進入しやすくなる。貫通孔に進入した物質は、金属層の第1面から第2面へ向かう方向に沿って貫通孔を移動し、対象物に付着する。貫通孔を通過した物質が対象物の上に堆積することで、パターンが形成される。パターンが形成される対象物としては、例えば、ガラス基板及び樹脂フィルムが挙げられる。蒸着法の種類、蒸着法の条件及び蒸着される物質の種類は、例えば、目的のパターンに応じて決定される。好ましい蒸着法としては、例えば、真空蒸着法が挙げられる。本開示の一実施形態に係る蒸着マスクの好ましい用途としては、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)の製造方法が挙げられる。
<蒸着マスクの製造方法>
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法は、第1面及び上記第1面の反対の位置に第2面を有する金属層を準備すること(以下、「準備工程」という場合がある。)と、仮支持体及び50μm以下の平均厚さを有する転写層をこの順に含む転写フィルムと、上記金属層とを貼り合わせ、上記金属層の上記第1面の上に上記転写層及び上記仮支持体をこの順に配置すること(以下、「貼り合わせ工程」という場合がある。)と、上記転写層をパターン露光すること(以下、「露光工程」という場合がある。)と、上記転写層に対して現像処理を実施し、レジストパターンを形成すること(以下、「現像工程」という場合がある。)と、上記レジストパターンに覆われていない上記金属層に対してエッチング処理を実施し、上記金属層の上記第1面から上記金属層の上記第2面までのびる貫通孔を形成すること(以下、「エッチング工程」という場合がある。)と、上記レジストパターンを除去すること(以下、「除去工程」という場合がある。)と、をこの順に含む。既述のとおり、転写層の平均厚さが50μm以下であると、解像性が向上する。したがって、本開示の一実施形態によれば、優れた解像性を有する転写フィルムを用いる蒸着マスクの製造方法が提供される。
(準備工程)
準備工程では、第1面及び第1面の反対の位置に第2面を有する金属層を準備する。金属層の態様は、上記「蒸着マスク」の項に記載された金属層の態様(ただし、貫通孔の態様を除く。)と同じである。金属層は、公知の金属基板(市販品を含む。)であってもよい。金属層は、公知の方法(例えば、鋳造法、鍛造法、スパッタリング法及びめっき法)によって製造されてもよい。
準備工程において、金属層は、基材の上に配置された状態で準備されてもよい。言い換えると、準備工程は、基材と、基材を向く第2面及び第2面の反対に位置する第1面を有する金属層と、をこの順に含む積層体を準備してもよい。基材の成分としては、例えば、ガラス及び重合体が挙げられる。重合体としては、例えば、ポリイミド、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、トリ酢酸セルロース、ポリスチレン及びポリカーボネートが挙げられる。基材は、ガラス基板又は樹脂フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
(貼り合わせ工程)
貼り合わせ工程では、仮支持体及び50μm以下の平均厚さを有する転写層をこの順に含む転写フィルムと、金属層とを貼り合わせ、金属層の第1面の上に転写層及び仮支持体をこの順に配置する。
転写フィルムの態様は、上記「蒸着マスク製造用転写フィルム」の項に記載された蒸着マスク製造用転写フィルムの態様と同じである。
転写フィルムと金属層との貼り合わせは、公知の方法によって実施されてもよい。貼り合わせ工程では、転写フィルムと金属層とを圧着させることが好ましい。例えば、転写フィルムと金属層とを重ね合わせ、ロール等の手段を用いて加圧及び加熱を施すことによって転写フィルムと金属層とを貼り合わせることが好ましい。貼り合わせ工程では、ラミネーター、真空ラミネーター及び生産性を高めることができるオートカットラミネーターといった公知のラミネーターが使用されてもよい。ラミネート温度は、例えば、70℃~130℃であることが好ましい。転写フィルムが保護フィルムを含む場合、貼り合わせ工程は、保護フィルムの除去後に実施される。
(加圧工程)
転写フィルムと金属層とを貼り合わせた後、加圧工程を実施してもよい。例えば、転写フィルムと金属層との貼り合わせによって得られた積層体を加圧してもよい。加圧される積層体は、金属層と、転写層と、仮支持体と、をこの順に含む積層体であることが好ましい。加圧される積層体は、金属層と、転写層と、をこの順に含む積層体であってもよい。例えば、貼り合わせ工程の後に仮支持体が剥離されると、金属層と、転写層と、をこの順に含む積層体が形成される。加圧工程においては、転写フィルムと金属層との貼り合わせによって得られた積層体をオートクレーブで加圧処理してもよい。例えば50℃、0.5MPa、60分間の加圧処理を行うことができる。積層体を加圧処理することで転写層と金属層との密着性を向上させることができ、金属層の表面の凸凹に対する転写層の追随性が改良する。加圧工程は、露光工程の前に実施されることが好ましい。
(露光工程)
露光工程では、転写層をパターン露光する。「転写層をパターン露光する」とは、転写層への光の照射によって、転写層に露光部及び非露光部を形成することを意味する。露光部と非露光部との位置関係は、例えば、目的のレジストパターンの形状に応じて決定される。
転写層をパターン露光する光は、転写層から金属層へ向かう方向に沿って転写層に照射されることが好ましい。転写層をパターン露光する光は、365nm及び405nmからなる群より選択される少なくとも1種の波長を含むことが好ましい。
光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びLED(Light Emitting Diode)が挙げられる。
露光量は、5mJ/cm~200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~100mJ/cmであることがより好ましい。
露光方式としては、例えば、接触露光方式及び非接触露光方式が挙げられる。接触露光方式としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。非接触露光方式としては、例えば、プロキシミティ露光方式、レンズ系又はミラー系のプロジェクション露光方式及び露光レーザーを用いるダイレクト露光方式が挙げられる。レンズ系又はミラー系のプロジェクション露光では、必要な解像力及び焦点深度に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機が使用されてもよい。ダイレクト露光方式では、転写層に対して直接描画が実施されてもよく、又はレンズを介して転写層に縮小投影露光が実施されてもよい。露光工程は、大気下、減圧下又は真空下で実施されてもよい。露光工程は、光源と転写層との間に水といった液体を介在させて実施されてもよい。
露光工程は、仮支持体の剥離前又は仮支持体の剥離後に実施されてもよい。露光工程が仮支持体の剥離前に実施される場合、転写層は仮支持体を介して露光されてもよい。フォトマスクを用いる露光工程では、フォトマスクを転写層に接触させた状態で転写層をパターン露光してもよく、又はフォトマスクを転写層に接触させずに転写層に近づけた状態で転写層をパターン露光してもよい。フォトマスクと転写層との接触によるフォトマスク汚染の防止及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避けるために、仮支持体を剥離せずに転写層をパターン露光することが好ましい。転写層が仮支持体を介してパターン露光された場合、仮支持体は、露光工程後、かつ、現像工程前に剥離されることが好ましい。
(現像工程)
現像工程では、転写層に対して現像処理を実施し、レジストパターンを形成する。現像工程を経て形成されるレジストパターンの解像度は、後述のエッチング工程を経て形成される貫通孔の解像度を左右し、さらに、貫通孔の解像度は、蒸着マスクを用いて形成されるパターンの解像度を左右すると考えられている。既述のとおり、50μm以下の平均厚さを有する転写層は、高い解像性を示すことができる。したがって、50μm以下の平均厚さを有する転写層は、高解像度でパターンを形成可能な蒸着マスクの提供に貢献できる。
レジストパターンは、転写層の露光部又は非露光部の除去によって形成される。転写層がネガ型感光性層を含む場合、通常、現像処理によって転写層の非露光部が除去され、転写層の露光部によりレジストパターンが形成される。転写層がポジ型感光性層を含む場合、通常、現像液によって転写層の露光部が除去され、転写層の非露光部によりレジストパターンが形成される。
現像処理は、例えば、現像液を用いて実施される。現像液としては、例えば、公知の現像液(例えば、特開平5-72724号公報に記載の現像液)が挙げられる。現像液としては、pKa=7~13の化合物を0.05mol/L~5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。アルカリ水溶液系の現像液に含まれるアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド及びコリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。現像液は、水溶性の有機溶剤を含んでもよい。現像液は、界面活性剤を含んでもよい。好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像液の温度は、20℃~40℃であることが好ましい。
現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像並びにディップ現像が挙げられる。シャワー現像とは、対象物に現像液をシャワーにより吹き付ける現像方式である。好ましい現像方式としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0195に記載の現像方式が挙げられる。
現像工程の後に残存する現像液及び残渣は、公知の方法によって除去されることが好ましい。現像液及び残渣の除去方法としては、例えば、シャワー処理及びAirKnife(エアナイフ)処理が挙げられる。シャワー処理では、対象物に対して水及び洗浄剤といった液体がシャワーにより吹き付けられる。残渣は、ブラシを用いて除去されてもよい。
(エッチング工程)
エッチング工程では、レジストパターンに覆われていない金属層に対してエッチング処理を実施し、金属層の第1面から金属層の第2面までのびる貫通孔を形成する。
エッチング処理は、公知の方法であってもよい。エッチング処理としては、例えば、ウェットエッチング及びドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)が挙げられる。エッチング処理としては、例えば、特開2017-120435号公報の段落0209~段落0210に記載の方法及び特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載の方法も挙げられる。
エッチング処理は、ウェットエッチングであることが好ましい。ウェットエッチングでは、通常、エッチング液が使用される。エッチング液の種類は、エッチングの対象に合わせて酸性又はアルカリ性のエッチング液から選択されてもよい。酸性のエッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸性成分を含む水溶液が挙げられる。酸性のエッチング液としては、例えば、上記酸性成分と、塩化第2鉄、フッ化アンモニウム及び過マンガン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の塩との混合水溶液も挙げられる。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分であってもよい。アルカリ性のエッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン及び有機アミンの塩(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ成分を含む水溶液が挙げられる。アルカリ性のエッチング液としては、例えば、上記アルカリ成分と、塩(例えば、過マンガン酸カリウム)との混合水溶液も挙げられる。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分であってもよい。
金属層の第2面における貫通孔の平均径(すなわち、貫通孔の平均径D2)は、25μm以下であることが好ましい。金属層の第2面における貫通孔の平均径は、金属層の第1面における貫通孔の平均径(すなわち、貫通孔の平均径D1)よりも小さいことが好ましい。例えば、エッチング特性(例えば、等方性)は、貫通孔の平均径D1と貫通孔の平均径D2との間に差を生じさせると考えられる。エッチング工程を経て形成される貫通孔の好ましい態様は、上記「蒸着マスク」の項に記載された貫通孔の好ましい態様と同じである。
(除去工程)
除去工程では、レジストパターンを除去する。除去方法としては、例えば、薬品処理を用いてレジストパターンを除去する方法が挙げられる。除去液を用いてレジストパターンを除去する方法が好ましい。
除去液としては、例えば、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分と、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又はこれらの混合溶剤と、を含む除去液が挙げられる。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物及び第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
レジストパターンは、除去液へのレジストパターンを含む積層体の浸漬によって除去されてもよい。除去液の温度は、30℃~80℃であることが好ましく、50℃~80℃であることがより好ましい。浸漬時間は、1分間~30分間であることが好ましい。浸漬法において、除去液は撹拌されていてもよい。
レジストパターンは、例えば、除去液を用いるスプレー法、シャワー法又はパドル法によって除去されてもよい。
(他の工程)
本開示の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法は、必要に応じて、他の工程を更に含んでいてもよい。蒸着マスクの金属層が基材の上に形成される場合、本開示の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法は、基材を除去することを含んでいてもよい。
図4を参照して蒸着マスクの製造方法を説明する。図4は、ある実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す概略断面図である。図4(a)に示されるように、第1面10F及び第1面10Fの反対に位置する第2面10Rを有する金属層10を準備する。図4(b)に示されるように、転写フィルム(図示省略)と金属層10とを貼り合わせ、金属層10の第1面10Fの上に転写層20を配置する。転写層20の平均厚さは、50μm以下である。図4(c)に示されるように、転写層20をパターン露光し、次に、転写層20に対して現像処理を実施することで、レジストパターン21を形成する。図4(d)に示されるように、レジストパターン21に覆われていない金属層10に対してエッチング処理を実施することで、貫通孔10Hを形成する。エッチング処理の過程で、等方性エッチング(すなわち、金属層10の深さ方向へ進行するエッチングに加えて、金属層10の深さ方向に直交する方向へ進行するエッチング)が起こり、図4(d)に示されるような断面形状を有する貫通孔10Hが形成されると考えられる。図4(e)に示されるように、レジストパターン21を除去することで、蒸着マスク100を得る。金属層10に形成された貫通孔10Hは、金属層10の第1面10Fから金属層10の第2面10Rまでのびている。貫通孔10Hは、金属層10の第1面10Fに開口10FAを形成し、そして、金属層10の第2面10Rに開口10RAを形成している。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に制限されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「%」とは「質量%」を意味し、「部」とは「質量部」を意味する。
<仮支持体1の製造>
以下の手順により、厚さ16μmのポリエステルフィルムと、厚さ40nmの粒子含有層と、を含む仮支持体を製造した。
(粒子含有層形成組成物1)
下記に示す配合で、各成分を混合し、粒子含有層形成組成物1を得た。粒子含有層形成組成物1を調製後、6μmフィルター(F20、マーレフィルターシステムズ株式会社製)にてろ過し、続いて、2x6ラジアルフロースーパーフォビック(ポリポア株式会社製)を用いて、膜脱気した。
・アクリルポリマー(AS-563A、ダイセルファインケム株式会社製、固形分27.5質量%):167質量部
・ノニオン系界面活性剤(ナロアクティーCL95、三洋化成工業株式会社製、固形分100質量%):0.7質量部
・アニオン系界面活性剤(ラピゾールA-90、日油株式会社製、固形分1質量%に水で希釈):114.4質量部
・カルナバワックス分散物(セロゾール524、中京油脂株式会社製、固形分30質量%):7質量部
・カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2、日清紡ケミカル株式会社製、固形分10質量%に水で希釈)20.9部
・マット剤(スノーテックスXL、日産化学株式会社製、固形分40質量%、平均粒子径50nm):2.8質量部
・水:690.2質量部
(押出成形)
特許第5575671号公報に記載のクエン酸キレート有機チタン錯体を重合触媒としたポリエチレンテレフタレートのペレットを、含水率50ppm以下に乾燥させた後、直径30mmの1軸混練押出し機のホッパーに投入し、280℃で溶融して押出した。この溶融体(メルト)を、濾過器(孔径2μm)を通した後、ダイから25℃の冷却ロールに押出し、未延伸フィルムを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
(延伸及び塗布)
固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚さ16μmのポリエステルフィルムと厚さ40nmの粒子含有層とを含む仮支持体を得た。
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を75℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.4倍、延伸速度を1300%/秒として実施した。
(b)塗布
縦延伸したフィルムの片面に、粒子含有層形成組成物1を、製膜後40nmの厚さとなるように、バーコーターで塗布した。
(c)横延伸
上記縦延伸と塗布を行ったフィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
予熱温度:110℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:50%/秒
(熱固定及び熱緩和)
縦延伸及び横延伸を終えた後の二軸延伸フィルムを下記条件で熱固定した。
熱固定温度:227℃
熱固定時間:6秒
熱固定した後、テンター幅を縮め、下記条件で熱緩和した。
熱緩和温度:190℃
熱緩和率:4%
(巻き取り)
熱固定及び熱緩和の後、両端をトリミングし、端部に幅10mmで押出し加工(ナーリング)した後、張力40kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は6300mであった。得られたフィルムロールを仮支持体1とした。仮支持体1のヘーズ値は0.2であった。なお、ヘーズ値はヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて全光ヘーズ値として測定した。また、150℃、30分加熱による熱収縮率は、MD(搬送方向、Machine Direction)側で1.0%であり、TD(フィルムの面上において搬送方向と直交する方向、Transverse Direction)側で0.2%であった。また、粒子含有層の膜厚は断面TEM写真から測定し、40nmであった。粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径を、株式会社日立ハイテクノロジーズ製HT-7700型透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、上述の方法で測定したところ、50nmであった。
<実施例1>
(転写フィルムの製造)
以下の手順により、仮支持体1と、熱可塑性樹脂層と、水溶性樹脂層と、感光性層と、保護フィルムと、をこの順に含む転写フィルムを製造した。感光性層は、ネガ型感光性層である。
表1の「熱可塑性樹脂層」の欄に記載された成分を含む組成物Aを準備した。スリット状ノズルを用いて仮支持体1の上に組成物Aを塗布した後、80℃及び2分間の条件で組成物Aを乾燥することで、熱可塑性樹脂層を形成した。熱可塑性樹脂層の厚さは、表1に記載されている。
表1の「水溶性樹脂層」の欄に記載された成分を含む組成物Bを準備した。スリット状ノズルを用いて熱可塑性樹脂層の上に組成物Bを塗布した後、90℃及び2分間の条件で組成物Bを乾燥することで、水溶性樹脂層を形成した。水溶性樹脂層の厚さは、表1に記載されている。
表1の「感光性層」の欄に記載された成分を含む組成物Cを準備した。スリット状ノズルを用いて水溶性樹脂層の上に組成物Cを塗布した後、80℃及び2分間の条件で組成物Cを乾燥することで、感光性層を形成した。感光性層の厚さは、表1に記載されている。
最後に、感光性層の上に保護フィルム(16KS40、東レ株式会社製、厚さ:16μm)を設けた。
<実施例2~7及び比較例1~2>
表1の記載に従って転写層の構成を変更したこと以外は、実施例1に準ずる手順によって転写フィルムを製造した。
<評価>
実施例及び比較例で製造された各転写フィルムを用いて、以下の2つの項目を評価した。
(解像性)
第1面及び第1面の反対の位置に第2面を有する金属層として、銅基板を準備した。第1面及び第2面は、互いに逆方向を向いている。銅基板の第1面の粗さRmaxは、0.80μmである。銅基板の第2面の粗さRmaxは、0.90μmである。銅基板の平均厚さは、50μmである。
転写層から保護フィルムを剥離した。ロールラミネーターを用いて、100℃の温度、0.5MPaの線圧及び4m/分の線速度(ラミネート速度)という条件で転写フィルムと銅基板とを貼り合わせ、銅基板の第1面の上に、転写層(すなわち、感光性層、水溶性樹脂層及び熱可塑性樹脂層)及び仮支持体1をこの順に配置した。銅基板の第1面は、感光性層に接触している。
転写層から仮支持体1を剥離した後、露出した転写層の表面に露光マスクを密着させた。露光マスクは、複数の正方形の遮光部を有する。各遮光部の寸法は、縦5μm×横5μm~縦100μm×横100μmの範囲で5μm単位で変化している。高圧水銀灯露光機(MAP-1200L、株式会社大日本科研製、主波長:365nm)を用いて、転写層に対して光を照射した。露光量は、現像後に得られるレジストパターン形状がフォトマスクのパターン形状を再現する露光量に調整された。
28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として使用して現像を行い、レジストパターンを得た。現像では、具体的に、シャワー処理を30秒間行い、AirKnife(エアナイフ)処理を行った現像液を除去した後、純水で30秒間シャワー処理をして、更にAirKnife処理を行った。
光学顕微鏡を用いて、ホールパターン(すなわち、レジストパターンによって画定された開口)を観察した。残渣のないホールパターンの寸法の最小値Xに基づいて、以下の基準に従って解像性を評価した。評価結果を表1に示す。
A:X≦縦15μm×横15μm
B:縦15μm×横15μm<X≦縦25μm×横25μm
C:縦25μm×横25μm<X
(凸凹追随性)
上記「解像性」の項に記載された方法に従って、転写フィルムと銅基板とを貼り合わせた。光学顕微鏡を用いて、転写フィルムと銅基板との貼り合わせによって得られた積層体を観察した。250μm×250μmの面積内で観察される気泡の個数Yを数え、以下の基準に従って凸凹追随性を評価した。評価結果を表1に示す。
A:Y<5個
B:5個≦Y≦10個
C:10個<Y
Figure 2022168819000005

表1に示される次の略号は、それぞれ、以下の意味を有する。以下の略号に関する説明は、後述の表2に示される略号に準用される。
「M/B」:重合体の全質量に対する重合性化合物の全質量の比
「重合体1」:メタクリル酸ベンジル(BzMA)/メタクリル酸(MAA)/アクリル酸(AA)=78/14.5/7.5、Mw=14000、固形分=40質量%
「A-DCP」:新中村化学工業株式会社製のNKエステルA-DCP、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
「8UX-015A」:大成ファインケミカル株式会社製の8UX-015A、UV硬化型ウレタンクリレート
「TO-2349」:東亞合成株式会社製のアロニックスTO-2349
「CBT-1」:城北化学工業株式会社製のCBT-1、カルボキシベンゾトリアゾール
「F-552」:DIC株式会社製のメガファックF-552、フッ素系界面活性剤、固形分=30質量%(メチルエチルケトン溶液)
「MEK」:メチルエチルケトン
「PVA」:株式会社クラレ製のPVA205、ポリビニルアルコール
「PVP」:株式会社日本触媒製のK-30、ポリビニルピロリドン
「F-444」:DIC株式会社製のメガファックF-444、フッ素系界面活性剤
「MeOH」:メタノール
「重合体2」:スチレン(St)/メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)=52/19/29、Mw=60000、固形分=30質量%
「BPE-500」:新中村化学工業株式会社製のNKエステルBPE-500、(2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン
「アロニックスM-270」:東亞合成株式会社製のアロニックスM-270、ポリプロピレングリコールジアクリレート
「4G」:新中村化学工業株式会社製のNKエステル4G、ポリエチレングリコールジメタクリレート
「B-IMD」:黒金化成株式会社製B-CIM(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
「EAB-F」:三洋貿易株式会社より入手された4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
「フェニドン1%MEK溶液」:1質量%のフェニドンを含むメチルエチルケトン溶液
「化合物A」:富士フイルム和光純薬株式会社製のN-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン
「LCV」:東京化成工業株式会社製のロイコクリスタルバイオレット、ラジカルにより発色する色素
「MMPGAc」:1-メトキシ-2-プロピルアセテ-ト
「MFG」:1-メトキシ-2-プロパノール
表1は、実施例の転写フィルムの解像性が、比較例の転写フィルムの解像性よりも優れていることを示している。
<実施例101>
以下の手順により、実施例1で製造された転写フィルムを用いて蒸着マスクを製造した。金属層として、上記「解像性」の項に記載された銅基板を準備した。上記「解像性」の項に記載された方法に従って、転写フィルムと銅基板とを貼り合わせ、銅基板の第1面の上に、転写層(すなわち、感光性層、水溶性樹脂層及び熱可塑性樹脂層)及び仮支持体1をこの順に配置した。銅基板の第1面は、感光性層に接触している。上記「解像性」の項に記載された方法に従って、銅基板の上にレジストパターンを形成した。ただし、実施例101で使用された露光マスクは、縦20μm×横20μmの複数の正方形の遮光部を有するものである。銅エッチング液(Cu-02、関東化学株式会社製)を用いてレジストパターンに覆われていない銅層に対して25℃及び60秒間の条件でエッチング処理を実施し、銅基板に貫通孔を形成した。貫通孔は、銅基板の第1面から銅基板の第2面に向かってのびている。4質量%水酸化ナトリウム溶液を用いてレジストパターンを除去し、蒸着マスクを得た。得られた蒸着マスクにおいて、銅基板の第1面における貫通孔の平均径は、28.0μmであり、銅層の第2面における貫通孔の平均径は、7.0μmである。
<実施例102~107>
以下の対応関係に従って転写フィルムの種類を変更したこと以外は、実施例101と同じ手順によって蒸着マスクを製造した。
(1)実施例2で製造された転写フィルム:実施例102
(2)実施例3で製造された転写フィルム:実施例103
(3)実施例4で製造された転写フィルム:実施例104
(4)実施例5で製造された転写フィルム:実施例105
(5)実施例6で製造された転写フィルム:実施例106
(6)実施例7で製造された転写フィルム:実施例107
<実施例201>
上記「解像性」の項に記載された方法に従って、実施例1で製造された転写フィルムと銅基板とを貼り合わせた。続いて、転写フィルムと銅基板との貼り合わせによって得られた積層体に対して、オートクレーブ(チヨダエレクトリック株式会社製TBR-200)において50℃、0.5MPaで60分間の加圧処理を行った。上記のような方法によって加圧処理された積層体を用いて、仮支持体1の剥離からレジストパターンの形成までの工程を実施した点以外は、上記「解像性」の項に記載された方法に従って解像性を評価した。評価結果を表2に示す。
上記「解像性」の項に記載された方法に従って、実施例1で製造された転写フィルムと銅基板とを貼り合わせた。続いて、転写フィルムと銅基板との貼り合わせによって得られた積層体に対して、オートクレーブ(チヨダエレクトリック株式会社製TBR-200)において50℃、0.5MPaで60分間の加圧処理を行った。上記のような方法によって加圧処理された積層体を用い、かつ、以下の基準を採用した点以外は上記「凸凹追随性」の項に記載された方法に従って凸凹追随性を評価した。評価結果を表2に示す。
AA:Y<1個
A:Y<5個
B:5個≦Y≦10個
C:10個<Y
Figure 2022168819000006

<実施例301及び実施例302>
熱可塑性樹脂層及び感光性樹脂層の少なくとも一方の厚さを表3の記載に従って変更したこと以外は、実施例1に準ずる手順によって転写フィルムを製造した。
<実施例303及び実施例304>
熱可塑性樹脂層及び水溶性樹脂層を形成せず、表3に示す厚さの感光性樹脂層を仮支持体上に形成させたこと以外は、実施例1に準ずる手順によって転写フィルムを製造した。
<実施例305及び実施例306>
感光性層の厚さを表4の記載に従って変更したこと以外は、実施例301に準ずる手順によって転写フィルムを製造した。
なお、解像性の評価基準は以下のように変更した。
AA:X≦縦10μm×横10μm
A:縦10μm×横10μm<X≦縦15μm×横15μm
B:縦15μm×横15μm<X≦縦25μm×横25μm
C:縦25μm×横25μm<X
<評価>
実施例301~実施例306で製造された各転写フィルムを用いて、実施例201と同様にして、解像性及び凹凸追随性を評価し、評価結果を表3に示す。
Figure 2022168819000007


Figure 2022168819000008


10:金属層
10F:金属層の第1面
10FA:金属層の第1面に形成された開口
10H:貫通孔
10R:金属層の第2面
10RA:金属層の第2面に形成された開口
20:転写層
21:レジストパターン
100:蒸着マスク

Claims (20)

  1. 第1面及び前記第1面の反対の位置に第2面を有する金属層を準備することと、
    仮支持体及び50μm以下の平均厚さを有する転写層をこの順に含む転写フィルムと、前記金属層とを貼り合わせ、前記金属層の前記第1面の上に前記転写層及び前記仮支持体をこの順に配置することと、
    前記転写層をパターン露光することと、
    前記転写層に対して現像処理を実施し、レジストパターンを形成することと、
    前記レジストパターンに覆われていない前記金属層に対してエッチング処理を実施し、前記金属層の前記第1面から前記金属層の前記第2面までのびる貫通孔を形成することと、
    前記レジストパターンを除去することと、をこの順に含む、
    蒸着マスクの製造方法。
  2. 前記金属層の前記第1面の粗さRmaxが、0.5μm~5.0μmである、請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
  3. 前記金属層の平均厚さが、30μm~500μmである、請求項1又は請求項2に記載の蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記金属層の前記第2面における前記貫通孔の平均径が、25μm以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記転写層の溶融粘度が、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 前記転写層が、感光性層を含み、前記転写層の平均厚さに対する前記感光性層の平均厚さの割合が、15%~35%である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  7. 前記転写フィルムと前記金属層との貼り合わせによって得られた積層体を加圧することを含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  8. 仮支持体と、
    50μm以下の平均厚さを有する転写層と、をこの順に含む、
    蒸着マスク製造用転写フィルム。
  9. 前記転写層の溶融粘度が、1.0×10Pa・s~1.0×10Pa・sである、請求項8に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  10. 前記転写層が、感光性層である、請求項8又は請求項9に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  11. 前記転写層が、中間層及び感光性層を含む、請求項8又は請求項9に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  12. 前記転写層の平均厚さに対する前記感光性層の平均厚さの割合が、15%~35%である、請求項11に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  13. 前記感光性層が、ネガ型感光性層である、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  14. 前記感光性層が、ポジ型感光性層である、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  15. 前記仮支持体の平均厚さが、50μm以下である、請求項8~請求項14のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  16. 前記仮支持体のヘーズ値が、5%以下である、請求項8~請求項15のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  17. 前記転写層が、熱可塑性樹脂層、中間層及び感光性層を含み、且つ前記感光性層の平均厚さが4.8μm以下である、請求項8~請求項16のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  18. 前記転写層が、感光性層を含み、且つ前記感光性層の平均厚さが10μm以下である、請求項8~請求項16のいずれか1項に記載の蒸着マスク製造用転写フィルム。
  19. 第1面と、前記第1面の反対の位置に第2面と、前記第1面から前記第2面までのびる貫通孔と、を有する金属層を含み、
    前記金属層の前記第2面における前記貫通孔の平均径が、前記金属層の前記第1面における前記貫通孔の平均径よりも小さく、
    前記金属層の前記第2面における前記貫通孔の平均径が、25μm以下である、
    蒸着マスク。
  20. 前記金属層の前記第1面の粗さRmaxが、0.5μm~5.0μmである、請求項19に記載の蒸着マスク。
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