JP2022164412A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車の円筒部の端部と端部を支持する支持部分とにおいて、歯車の傾きに起因する摩耗を抑制することができる動力伝達装置を提供する。【解決手段】車両用指針計器1は、ステップモータ6が停止している自然状態において、凸部77の軸方向の先端面77aと凸部77の半径方向の外周面77bとが交差する交差部分78と、支持部76における交差部分78と対向する支持部分79とは、間隔がある。したがって第1歯車である中間歯車70に第2歯車であるマグネットギア634と噛合するトルクに起因して、中間歯車70が第1軸である中間軸72に対して傾斜しても、交差部分78と支持部分79とが接触しにくくなる。【選択図】図7
Description
この明細書における開示は、モータが出力する回転駆動力を複数の歯車によって伝達する動力伝達装置に関する。
車速を表示する回転指針は、ステップモータによって回転駆動される。特許文献1に記載の車両用指針計器では、ステップモータが出力する回転駆動力は、2段歯車機構によって伝達されて、回転指針を回転駆動している。
前述の2段歯車機構では、2段歯車機構の中間に位置する歯車は、筒状のボス部を有する。また歯車を用いて動力を伝達する場合、各歯車には噛合に起因するトルクが作用する。歯車のボス部は回転軸に挿通されているが、噛合に起因するトルクによって歯車が回転軸に対して傾斜するおそれがある。
歯車が傾斜していない状態では、歯車のボス部の先端部の全域が支持部と接触するが、歯車が傾斜すると、歯車のボス部の先端部が支持部と点接触して、接触圧力が上昇する。そして点接触した状態で歯車が回転すると、接触圧力が上昇しているので、点接触した部分が摩耗するおそれが高くなる。
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、歯車の円筒部の端部と端部を支持する支持部分とにおいて、歯車の傾きに起因する摩耗を抑制することができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
ここに開示された動力伝達装置は、外殻を構成するケーシング(60)と、ケーシングに両端部が固定される第1軸(72)と、第1軸の外周に回転可能に設けられる円筒部(71)と、円筒部の外側に一体に設けられる第1歯車(70)と、第1歯車と噛合するように設けられる第2歯車(634)と、第2歯車を回転駆動するモータ(6)と、を含み、ケーシングは、円筒部の軸方向の先端部(74)を支持する支持部(76)を有し、円筒部の先端部には、支持部側に環状に突出する凸部(77)が形成されており、モータが停止している自然状態において、凸部の軸方向の先端面(77a)と凸部の半径方向の外周面(77b)とが交差する交差部分(78)と、支持部における交差部分と対向する支持部分(79)とは、間隔がある動力伝達装置である。
このような動力伝達装置に従えば、モータが停止している自然状態において、凸部の軸方向の先端面と凸部の半径方向の外周面とが交差する交差部分と、支持部における交差部分と対向する支持部分とは、間隔がある。したがって第1歯車に第2歯車と噛合するトルクに起因して、第1歯車が第1軸に対して傾斜しても、交差部分と支持部分とが接触しにくくなる。したがって自然状態において、交差部分と支持部分とが間隔がない構成よりも、傾きに起因する接触圧力の上昇を抑制することができる。これによって第1歯車の傾きに起因する交差部分または支持部分の摩耗を抑制することができる。
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、図1~図8を用いて説明する。本実施形態の車両用指針計器1は、車両内のインストルメントパネルに設置される。車両用指針計器1は、図1に示すように、表示部材2、回転指針4およびステップモータ6を含んで構成されている。以下の説明において「視認側」とは、車室内において運転席の乗員により車両用指針計器1の表示が視認される側を意味し、「反視認側」とは、「視認側」とは反対側を意味する。
本開示の第1実施形態に関して、図1~図8を用いて説明する。本実施形態の車両用指針計器1は、車両内のインストルメントパネルに設置される。車両用指針計器1は、図1に示すように、表示部材2、回転指針4およびステップモータ6を含んで構成されている。以下の説明において「視認側」とは、車室内において運転席の乗員により車両用指針計器1の表示が視認される側を意味し、「反視認側」とは、「視認側」とは反対側を意味する。
表示部材2は、ポリカーボネート樹脂等の透光性基材に遮光性印刷層を積層してなり、全体として平板状である。表示部材2の一面である表示面2aは、視認側に向けて配置されている。図1に示すように、表示部材2において遮光性印刷層の開口した部分には、車両用状態値、本実施形態では車速を表示するための指標20が形成される。指標20は、回転指針4の回転方向に並ぶ数字および目盛である。表示部材2において遮光性印刷層の開口した部分は、警告を発するための警告ランプ21を、回転指針4の回転軸41まわりに形成している。
回転指針4は、回転体であって、アクリル樹脂等の透光性樹脂材料により形成され、指針本体40および回転軸41を有している。指針本体40は、全体として細長針状であり、表示部材2の表示面2aよりも視認側に配置されている。指針本体40の先端40aは、指標20の表す車速値に応じて配置される。
回転軸41は、図1および図2に示すように、指針本体40の基端40bから反視認側へ延出する円柱状である。回転軸41は、表示部材2の表示面2aおよび背面2b間を貫通する指針孔22に挿入されている。回転軸41は、表示部材2の背面2bよりも反視認側にてステップモータ6と連結されている。これによりステップモータ6は、回転軸41の軸線である回転中心線Cまわりに回転指針4を回転駆動することで、指針本体40による車速値の指示を実現する。
次に、ステップモータ6に関して説明する。ステップモータ6は、図2に示すように、表示部材2の背面2bよりも反視認側に配置されている。ステップモータ6は、モータケーシング60、モータ本体63、モータ基板64および光源65,66を備えている。
モータケーシング60は、図3に示すように、一対のケース部材61,62を組み合わせてなり、全体として中空状である。モータケーシング60は、車両用指針計器1の外殻を構成する。各ケース部材61,62は、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等の遮光性樹脂材料により形成され、それぞれカップ状に形成されている。各ケース部材61,62は、それぞれの開口縁部610,620同士を重ね合わせた状態で、スナップフィット嵌合により互いに結合されている。各ケース部材61,62は、指針本体40の回転中心線C上にて底部611,621を貫通する貫通孔612,622を有している。第1ケース部材61は、表示部材2の反視認側にて背面2bと向き合って配置されている。第2ケース部材62は、第1ケース部材61よりも反視認側に配置されている。
モータ基板64は、図2に示すように、ガラスエポキシ基板等のプリント基板に金属配線層を積層してなり、全体として平板状である。モータ基板64は、モータケーシング60よりも反視認側に配置されている。モータ基板64の一面である実装面640は、平面状である。実装面640には、モータケーシング60および光源65,66が保持されている。
モータ本体63は、モータケーシング60内に収容されている。これにより、モータ基板64の実装面640には、モータ本体63がモータケーシング60を介して実装されている。モータ本体63は、駆動源Dからの動力を伝達する動力伝達装置を構成する。モータ本体63は、駆動源D、減速機構Rおよび回転出力機構Oを備えている。
まず、駆動源Dに関して説明する。駆動源Dは、図3に示すように、ヨーク630と二相コイル631a,631bとマグネットロータ632とを組み合わせてなり、指針本体40の回転中心線Cから径方向に外れて配置されている。ヨーク630は、鉄等の磁性金属材料により枠状に形成され、モータケーシング60に固定されている。ヨーク630は、内周側へ突出する一対の磁極630a,630bを有している。一方の磁極630aには、A相のコイル631aが巻装され、また他方の磁極630bには、B相のコイル631bが巻装されている。A,B各相のコイル631a,631bは、モータケーシング60のうち第2ケース部材62を貫通する通孔を通して、モータ基板64の金属配線層に電気接続されている。
マグネットロータ632は、図4および図5に示すように、フェライト等の磁性金属材料により円盤状に形成され、各磁極630a,630bとの間に隙間をあけてヨーク630の内周側に配置されている。マグネットロータ632は、指針本体40の回転中心線Cと実質平行な軸線まわりに回転可能となるように、モータケーシング60によってラジアル支持且つスラスト支持されている。マグネットロータ632の外周部には、磁極としてのN,S極が回転方向に交互に着磁されている。
このような構成の駆動源DにおいてA,B各相のコイル631a,631bには、モータ基板64の金属配線層を介して外部の制御回路から、互いに位相の90度ずれた交流信号が印加される。これにより、それぞれのコイル631a,631bに発生する交流磁束は、ヨーク630からマグネットロータ632の間を通過することで、当該ロータ632を所定の回転位置まで駆動することになる。
次に、減速機構Rに関して説明する。減速機構Rは、図4および図5に示すように、マグネットギア634とアイドルギア635とピニオンギア636とを組み合わせてなり、指針本体40の回転中心線Cから径方向に外れて配置されている。マグネットギア634は、ポリアセタール樹脂等の硬質樹脂材料により形成され、平歯車状である。マグネットギア634は、マグネットロータ632と共に一体回転可能となるように、モータケーシング60によってラジアル支持且つスラスト支持されている。
アイドルギア635とピニオンギア636とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の硬質樹脂材料により一体に同軸上に形成され、それぞれ平歯車状である。アイドルギア635とピニオンギア636とは、指針本体40の回転中心線Cと実質平行な軸線まわりに一体回転可能となるように、モータケーシング60によってラジアル支持且つスラスト支持されている。アイドルギア635は、マグネットギア634に噛合することで、当該ギア634の回転を減速する。
次に、回転出力機構Oに関して説明する。回転出力機構Oは、図5に示すように、出力軸637と出力ギア638と回転ストッパ639とを組み合わせてなり、指針本体40の回転中心線C上に配置されている。出力軸637と出力ギア638と回転ストッパ639とは、ポリアセタール樹脂等の硬質樹脂材料により一体に形成されている。出力軸637と出力ギア638と回転ストッパ639とは、指針本体40の回転中心線Cまわりに一体回転可能となるように、モータケーシング60によってラジアル支持且つスラスト支持されている。
出力軸637は、図3に示すように、全体として円筒状である。出力軸637の中心孔637aには、回転指針4のうち回転軸41が同軸上に圧入されている。これにより出力軸637は、回転指針4と共に回転中心線Cまわりに回転することで、回転指針4に回転駆動力を出力する。出力ギア638は、図4および図5に示すように、出力軸637から外周側へ広がる平歯車状である。出力ギア638は、減速機構Rのうちピニオンギア636に噛合することで、当該ギア636の回転を減速する。以上の構成からモータ本体63では、駆動源Dから減速機構Rの減速作用を経ることで増大された回転駆動力が、回転出力機構Oから回転指針4へと与えられる。
回転ストッパ639は、図5に示すように、出力ギア638から視認側へ突出する突片状である。回転ストッパ639は、回転指針4の回転範囲を決める両側の限界位置にて、モータケーシング60の固定ストッパにより係止可能に設けられている。これにより、回転出力機構Oから回転指針4へ回転駆動力が与えられても、回転指針4が回転範囲外への回転を制限されるようになっている。
次に、光源65,66に関して説明する。回転体照明光源65は、図2に示すように、第2ケース部材62の貫通孔622内にて指針本体40の回転中心線C上に配置され、モータ基板64の実装面640に実装されている。回転体照明光源65は、LED(Light Emitting Diode)を主体としてなり、モータ基板64の金属配線層に電気接続されている。回転体照明光源65は、金属配線層を介して外部の制御回路から通電されることで、発光する。回転体照明光源65の発した光は、第2ケース部材62の貫通孔622および出力軸637の中心孔637aを通過して回転指針4の回転軸41に入射されることで、回転指針4の指針本体40へと導かれる。これにより、回転指針4がモータ本体63を通して照明されることで、指針本体40が発光した状態にて視認される。
表示照明光源66は、第2ケース部材62の周囲に複数配置され、モータ基板64の実装面640に実装されている。各表示照明光源66は、LEDを主体としてなり、モータ基板64の金属配線層に電気接続されている。各表示照明光源66は、金属配線層を介して外部の制御回路からそれぞれ必要警告時に通電されることで、発光する。表示照明光源66の発した光は、モータケーシング60の周囲を通過して表示部材2に入射される。これにより、表示部材2が直接的に照明されることで、必要警告時には警告ランプ21が発光した状態にて視認される。
次に、減速機構Rにおけるアイドルギア635およびピニオンギア636の具体的な構成に関して説明する。図6は、図2のアイドルギア635およびピニオンギア636の部分を拡大して、説明のため省略している部分がある。
アイドルギア635およびピニオンギア636は、筒状の円筒部71に一体に形成されており、円筒部71と一体に回転する。円筒部71は、ボス部とも言う。以下、アイドルギア635、ピニオンギア636および円筒部71の全体を示す場合は、中間歯車70と呼ぶ。アイドルギア635およびピニオンギア636は、円筒部71からそれぞれ外周側へ広がる平歯車状である。したがってアイドルギア635およびピニオンギア636は、全体として2段歯車を構成する。アイドルギア635のピッチ円は、ピニオンギア636のピッチ円よりも大きい。またアイドルギア635は、軸方向の視認側に配置されている。
円筒部71は、図6に示すように、全体として円筒状である。円筒部71の中心孔71aには、中間軸72が同軸上に挿通されている。円筒部71は、中間軸72に対して回転可能に設けられる。したがって円筒部71の内径は、中間軸72の外径よりもやや大きい。中間軸72の両端部は、モータケーシング60に固定されている。
アイドルギア635の反視認側には、円筒部71が突出するように延びている。これによって中間歯車70は、断面形状が全体としてX字状に形成されている。またアイドルギア635は、円筒部71の軸方向の中心に配置されている。
アイドルギア635の反視認側には、ヨーク630が配置される。円筒部71の反視認側の端部は、ヨーク630が対向する。ヨーク630には、図6に示すように、中間軸72が挿通する挿通孔73が形成されている。挿通孔73の内径は、中間軸72の外径よりもやや大きい。
歯車は、対象となる歯車と噛合することで、歯の部分にトルクが作用する。歯車に作用するトルクMを用いて、歯車の接線方向荷重Ktおよび歯車の半径方向荷重Krを次式で表すことができる。ここで歯車のピッチ円をDpで示し、歯車の圧力角をαで示す。
Kt=2M/Dp …(1)
Kr=Kt・tanα …(2)
本実施形態では、歯の部分に作用するトルクMは、マグネットロータ632の回転駆動力によって発生する。そしてアイドルギア635とマグネットギア634とが噛合することで接線方向荷重Ktがアイドルギア635に作用する。またピニオンギア636と出力ギア638とが噛合することで接線方向荷重Ktがピニオンギア636に作用する。これらの2つの接線方向荷重Ktは、図6に示すように、中間歯車70を傾ける力となる。
Kr=Kt・tanα …(2)
本実施形態では、歯の部分に作用するトルクMは、マグネットロータ632の回転駆動力によって発生する。そしてアイドルギア635とマグネットギア634とが噛合することで接線方向荷重Ktがアイドルギア635に作用する。またピニオンギア636と出力ギア638とが噛合することで接線方向荷重Ktがピニオンギア636に作用する。これらの2つの接線方向荷重Ktは、図6に示すように、中間歯車70を傾ける力となる。
具体的には、2つの接線方向荷重Ktは、互いに異なる方向であって、対向する方向に作用する。図4に示すように、アイドルギア635とマグネットギア634とが噛合する位置と、ピニオンギア636と出力ギア638とが噛合する位置とが、対向しているからである。換言すると、アイドルギア635、マグネットギア634、ピニオンギア636および出力ギア638の中心が、一直線上に並んでいるからである。
またアイドルギア635とピニオンギア636とは、円筒部71において軸方向にずれた位置に配置されているので、2つの接線方向荷重Ktが相殺されない。また駆動源Dから減速機構Rの減速作用を経ることで回転駆動力が増大されるので、ピニオンギア636に作用する接線方向荷重Kt2は、アイドルギア635に作用する接線方向荷重Kt2よりも大きい。したがって中間軸72の軸方向の中心よりも視認側へ離れた位置の力が大きくなるので、中間歯車70が傾きやすい。
中間歯車70が傾いた場合、円筒部71のヨーク630側の先端部74が、ヨーク630に接触する可能性が高くなる。そしてヨーク630に接触した状態で中間歯車70が回転すると、円筒部71の先端部74が摩耗するおそれがある。
そこで、本実施形態では、図7に示すように、円筒部71のヨーク630側の先端部74の一部に面取り部75を設けている。具体的には、ヨーク630の円筒部71と対向する部分は、円筒部71の軸方向の先端部74を支持する支持部76として機能する。そして、円筒部71の先端部74には、部分的に支持部76側に環状に突出する凸部77が形成されている。本実施形態では、凸部77は土手のように突出し、円環状に形成される。
図7に示すように、駆動源Dが停止している自然状態において、凸部77の軸方向の先端面77aと凸部77の半径方向の外周面77bとが交差する交差部分78と、支持部76における交差部分78と対向する支持部分79とは、間隔がある。
本実施形態では、支持部分79の交差部分78に対向する面は、平坦状である。平坦状とは、湾曲したおらず、平面状と同義である。また凸部77の交差部分78には、面取り部75が形成されている。面取り部75によって、図7にて仮想線で示すように、交差部分78と支持部分79との間に間隔がある。
凸部77は、ヨーク630との接触面積を減らすために設けられている。また凸部77は、半径方向において軸中心側に配置されている。円筒部71に凸部77がない場合、円筒部71の先端部74の全域が支持部76に接触する。この状態で円筒部71が回転すると、回転半径が大きい外側の部分がよりトルクが発生する。内側の部分のトルクよりも外側の部分のトルクが大きいので、大きいトルクに起因する支持部76との摩擦によって、回転力の減少幅が大きくなる。そこで凸部77を設けて支持部76との接触面積を減らし、かつ凸部77が半径方向の軸中心側に設けることで、トルクの小さい領域で接触させている。
面取り部75は、本実施形態ではC面取りであるが、R面取りであってもよい。また面取り部75は、C面取りの斜面およびR面取りの曲面でなく、支持部76と緩やかに離間する形状であればよく、段差であってもよい。
次に、図8を用いて傾斜時の面取り部75の位置関係に関して説明する。図8では、本実施形態の面取り部75を有する凸部77の形状を実施例として示し、面取り部75を有さない凸部77の形状を比較例として示している。また通常時は、傾斜しておらず、凸部77の先端面77aの全域が支持部76に当接する自然状態を示している。傾斜時は、中間歯車70が傾斜している傾斜状態を示している。傾斜角度は、一例として、どちらも同じ4度としている。
傾斜時の実施例と比較例とを比較すると、実施例の方が凸部77の先端部74の支持部76からの浮き上がり量が少ない。比較例の方が凸部77の交差部分78が直角であるので、より支持部76に力が作用しやすい。これに対して実施例では、交差部分78が面取り部75によって鈍角であるので、より支持部76に力が作用しにくい。したがって凸部77の支持部76に作用する面圧を下げることができ、凸部77の摩耗を抑制することができる。換言すると、面取り部75は、接触面圧を下げる機能を有する。
以上説明したように本実施形態の車両用指針計器1は、ステップモータ6が停止している自然状態において、凸部77の軸方向の先端面77aと凸部77の半径方向の外周面77bとが交差する交差部分78と、支持部76における交差部分78と対向する支持部分79とは、間隔がある。したがって第1歯車である中間歯車70に第2歯車であるマグネットギア634と噛合するトルクに起因して、中間歯車70が第1軸である中間軸72に対して傾斜しても、交差部分78と支持部分79とが接触しにくくなる。したがって自然状態において、交差部分78と支持部分79とが間隔がない構成よりも、傾きに起因する接触圧力の上昇を抑制することができる。これによって中間歯車70の傾きに起因する交差部分78または支持部分79の摩耗を抑制することができる。
また本実施形態では、支持部分79は、平坦状であり、凸部77の交差部分78には、面取り部75が形成されている。これによって凸部77に面取り部75を設けるという簡単な構成で、交差部分78と支持部分79とを離すことができる。換言すると、面取り部75を形成することで、接触面圧を下げることができる。
さらに本実施形態では、凸部77の先端面77aは、平坦状である。これによって凸部77は、平坦状の支持部76によって安定して支持される。
また本実施形態では、中間歯車70およびマグネットギア634はステップモータ6の回転速度を減速する減速機構Rを構成する。中間歯車70はマグネットギア634を減速するので、トルクが作用しやすい位置にある。このような位置にある中間歯車70の円筒部71に面取り部75を設けるので、トルクが作用しやすい位置であっても、トルクによって摩耗することを抑制することができる。
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の第1実施形態では、動力伝達装置を車両用指針計器1に適用した場合について説明しているが、車両用指針計器1に限るものではなく、他の装置であってもよい。
前述の第1実施形態では、支持部分79は、平坦状であり、凸部77の交差部分78には、面取り部75が形成されているがこのような構成に限るものではない。支持部分79に凸部77から離れるように凹となる凹部を設けて、交差部分78と間隔をあける構成であってもよい。
前述の第1実施形態では、中間歯車70に凸部77を設けており、出力ギア638には凸部77を設けていないが、出力ギア638に凸部77を設けて、さらに交差部分78と支持部分79とに間隔がある構成であってもよい。出力ギア638もピニオンギア636と噛合することでトルクが作用して、傾くからである。
前述の第1実施形態では、4つの歯車を有し、2段で減速する構成であったが、このような構成に限るものではない。2つ歯車であってもよく、5つ以上の歯車を有する構成であってもよく、また増速する構成であってもよい。
前述の第1実施形態では、モータはマグネットロータ632を有する構成であったが、このようなモータに限るものではなく、歯車を回転駆動する他の種類のモータであってもよい。
前述の第1実施形態では、歯車は平歯車によって実現されているが、平歯車に限るものではなく、はすば歯車、やまば歯車など他の種類の歯車であってもよい。また円筒部71の先端部74を支持する支持部76は、モータケーシング60に設けられるヨーク630によって実現されているが、ヨーク630に限るものではない。ヨーク630がない構成の場合は、モータケーシング60であってもよく、モータケーシング60に設けられる他の部材であってもよい。また凸部77は、円環状に連続して連なるように構成されているが、このような形状に限るものではない。凸部77は、環状であれば、飛び石のように不連続であってもよく、蛇行して環状に延びる形状であってもよい。したがって凸部77は、たとえば点状のポツ部を環状に配置した構成であってもよい。
1…車両用指針計器 2…表示部材 4…回転指針 6…ステップモータ(モータ)
41…回転軸 60…モータケーシング(ケーシング) 63…モータ本体
64…モータ基板 70…中間歯車(第1歯車) 71…円筒部
72…中間軸(第1軸) 73…挿通孔 74…先端部 75…面取り部
76…支持部 77…凸部 77a…先端面 77b…外周面 78…交差部分
79…支持部分 610…開口縁部 611…底部 612…貫通孔
630…ヨーク 632…マグネットロータ 634…マグネットギア(第2歯車)
635…アイドルギア 636…ピニオンギア 637…出力軸 637a…中心孔
638…出力ギア 639…回転ストッパ 640…実装面 C…回転中心線
D…駆動源 O…回転出力機構 R…減速機構
41…回転軸 60…モータケーシング(ケーシング) 63…モータ本体
64…モータ基板 70…中間歯車(第1歯車) 71…円筒部
72…中間軸(第1軸) 73…挿通孔 74…先端部 75…面取り部
76…支持部 77…凸部 77a…先端面 77b…外周面 78…交差部分
79…支持部分 610…開口縁部 611…底部 612…貫通孔
630…ヨーク 632…マグネットロータ 634…マグネットギア(第2歯車)
635…アイドルギア 636…ピニオンギア 637…出力軸 637a…中心孔
638…出力ギア 639…回転ストッパ 640…実装面 C…回転中心線
D…駆動源 O…回転出力機構 R…減速機構
Claims (4)
- 外殻を構成するケーシング(60)と、
前記ケーシングに両端部が固定される第1軸(72)と、
前記第1軸の外周に回転可能に設けられる円筒部(71)と、
前記円筒部の外側に一体に設けられる第1歯車(70)と、
前記第1歯車と噛合するように設けられる第2歯車(634)と、
前記第2歯車を回転駆動するモータ(6)と、を含み、
前記ケーシングは、前記円筒部の軸方向の先端部(74)を支持する支持部(76)を有し、
前記円筒部の前記先端部には、前記支持部側に環状に突出する凸部(77)が形成されており、
前記モータが停止している自然状態において、前記凸部の軸方向の先端面(77a)と前記凸部の半径方向の外周面(77b)とが交差する交差部分(78)と、前記支持部における前記交差部分と対向する支持部分(79)とは、間隔がある動力伝達装置。 - 前記支持部分の前記交差部分に対向する面は、平坦状であり、
前記凸部の前記交差部分には、面取り部(75)が形成されている請求項1に記載の動力伝達装置。 - 前記凸部の前記先端面は、平坦状である請求項2に記載の動力伝達装置。
- 前記第1歯車および前記第2歯車は、前記モータの回転速度を減速する減速機構(R)を構成する請求項1~3のいずれか1つに記載の動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021069886A JP2022164412A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021069886A JP2022164412A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022164412A true JP2022164412A (ja) | 2022-10-27 |
Family
ID=83742897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021069886A Pending JP2022164412A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | 動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022164412A (ja) |
-
2021
- 2021-04-16 JP JP2021069886A patent/JP2022164412A/ja active Pending
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