JP2022164285A - ロータリーキルンの操業方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ロータリーキルンの操業方法に関する。本発明は、詳しくは、フェロニッケル製錬において原料のニッケル酸化鉱の焼成乾燥処理を行う乾燥・還元用ロータリーキルンの操業に、特に好ましく適用することができる、ロータリーキルンの操業方法に関する。
鉄とニッケルの合金であるフェロニッケル製錬において、原料として用いられるニッケル酸化鉱は、乾燥・還元用ロータリーキルンを用いて水分を除去しながら行われる部分還元工程を経て、熔融・還元を行う電気炉へと装入されている。
ロータリーキルンを用いて行われる上記の焼成乾燥処理においては、ロータリーキルンの排出端に設けられたバーナーで焚かれる重油の他、還元剤としても用いられる石炭が熱源として用いられている。これらの燃料のうち、高価な重油の使用量を抑えるために、還元剤としての石炭を、ロータリーキルンの途中から装入する操業方法も行われている(特許文献1参照)。石炭をロータリーキルンの途中から装入することにより、当該ロータリーキルンの高温部分に石炭を供給して、石炭に含まれる揮発分を効率よく燃焼させることができるからである。
しかしながら、上記の装入方法を採用した場合であっても、尚、ロータリーキルンから排出される石炭には未燃の揮発分が残存する。この揮発分を含む石炭は、ロータリーキルンの下流工程側に設けられる電気炉内に導入される。そして、この不要な揮発分の燃焼によって、電気炉から排出される排ガスの温度が過剰に上昇して、排ガス煙道を損傷させることが問題となっていた。
例えば、電気炉の出力を下げることによって、排ガス温度を低下させることはできる。しかしながら、電気炉の出力を下げることは、プロセス全体の生産性を低下させることになる。従って、実操業において電気炉の出力を低下させずに、上記の排ガス温度の上昇を回避する手段が求められていた。
本発明は、燃料として石炭を用いるロータリーキルンにおいて、未燃のままロータリーキルンから排出される石炭の揮発分を減少させて、下流工程側の他の加熱炉内への揮発分の侵入を抑制し、当該他の加熱炉から排出される排ガス温度の過剰な上昇に起因する下流側の煙道設備等の損傷を防止することを目的とする。
本発明者らは、ロータリーキルンに投入する石炭の粒度分布を最適化することによって、上記課題を解決することができることに想到し、本発明を完成させるに至った。本発明は、具体的には、以下のものを提供する。
(1) 石炭を投入する加熱炉であって、且つ、他の加熱炉が下流工程側に更に連接されているロータリーキルンの操業方法であって、前記石炭の水分率は10重量%以上であって、前記ロータリーキルン内に投入する前記石炭の粒度分布を細粒化する前処理を行う、ロータリーキルンの操業方法。
(1)のロータリーキルンの操業方法によれば、未燃のままロータリーキルンから排出される石炭の揮発分を減少させることができる。これにより、下流工程側の他の加熱炉内への揮発分の不要な侵入を抑制することができる。これにより、下流工程側の他の加熱炉の処理効率を維持したまま、当該加熱炉から排出される排ガスの不要な温度上昇を防ぐことができる。
(2) 前記前処理によって、前記ロータリーキルンへの投入前における前記石炭の粒度分布を、粒径10mm以下の割合が95%以上の分布とする、(1)に記載のロータリーキルンの操業方法。
(2)のロータリーキルンの操業方法によれば、(1)に記載のロータリーキルンの操業方法の奏する上述の効果を、より高い確度で安定的に享受することができる。
(3) ロールクラッシャーを用いて前記前処理を行う、(1)又は(2)に記載のロータリーキルンの操業方法。
(3)のロータリーキルンの操業方法によれば、石炭の粒度分布を簡易な操作で安定的に所定範囲内に維持することができる。これにより、(1)又は(2)に記載のロータリーキルンの操業方法の奏する上述の効果を容易且つ安定的に享受することができる。
(4) 前記ロータリーキルンは、フェロニッケル製錬において、原料のニッケル酸化鉱の部分還元工程を行う乾燥・還元用ロータリーキルンである、(1)から(3)の何れかに記載のロータリーキルンの操業方法。
(4)のロータリーキルンの操業方法によれば、(1)から(3)の何れかに記載のロータリーキルンの操業方法の奏する上記効果を享受して、フェロニッケル製錬の製造において生産性の向上に寄与することができる。
(5) 前記他の加熱炉が電気炉である、(1)から(4)の何れかに記載のロータリーキルンの操業方法。
(5)のロータリーキルンの操業方法によれば、ロータリーキルンによる焼成乾燥処理と、電気炉による還元熔解処理を連続的に行う、工業設備において問題となっていた、電気炉から排出される排ガスの過剰な温度上昇に起因する各設備の損傷を防止することができる。
本発明の、ロータリーキルンの操業方法によれば、燃料として石炭を用いるロータリーキルンにおいて、未燃のままロータリーキルンから排出される石炭の揮発分を減少させることができる。又、これにより、下流工程側の他の加熱炉内への揮発分の侵入を抑制して、当該他の加熱炉から排出される排ガス温度の過剰な上昇に起因する下流側の煙道設備等の損傷を防止することができる。
以下、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」の具体的な実施形態について説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で下記以外の形態・態様での実施が可能である。
<フェロニッケル製錬の全体プロセス>
本発明のロータリーキルンの操業方法(以下、単に「ロータリーキルンの操業方法」とも言う。)は、「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において、部分還元処理を施す工程(部分還元工程)を行うロータリーキルン(乾燥・還元用ロータリーキルン)を、特に好ましい実施対象とする操業方法である。但し、「ロータリーキルンの操業方法」の技術的範囲は、このような特定のロータリーキルンでの実施に限定はされない。この「ロータリーキルンの操業方法」は、石炭を燃焼させる加熱炉であり、尚且つ、下流工程側に更に他の加熱炉が連接されている、各種のロータリーキルンにおいて、広く実施することができるプロセスである。
本発明のロータリーキルンの操業方法(以下、単に「ロータリーキルンの操業方法」とも言う。)は、「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において、部分還元処理を施す工程(部分還元工程)を行うロータリーキルン(乾燥・還元用ロータリーキルン)を、特に好ましい実施対象とする操業方法である。但し、「ロータリーキルンの操業方法」の技術的範囲は、このような特定のロータリーキルンでの実施に限定はされない。この「ロータリーキルンの操業方法」は、石炭を燃焼させる加熱炉であり、尚且つ、下流工程側に更に他の加熱炉が連接されている、各種のロータリーキルンにおいて、広く実施することができるプロセスである。
尚、本明細書において「他の加熱炉が下流工程側に更に連接されているロータリーキルン」とは、上流工程側に設置されている加熱炉であるロータリーキルンからの高温の排出物が、その下流工程側に設置されている「他の加熱炉」に投入される態様で両設備が連動して稼働するように設置されていることを意味するものであり、例えば、上記態様で連動して稼働するロータリーキルンと他の加熱炉が、ベルトコンベア等の搬送装置を間に介して連接していても、当然に「他の加熱炉が下流工程側に更に連接されているロータリーキルン」であり、本発明の実施対象である。
上述の「フェロニッケル製錬の全体プロセス」は、ニッケル酸化鉱石(以下単に「鉱石」ともいう)を原料とし、少なくとも、部分還元工程と熔融還元工程を必須の工程とするプロセスである。このプロセスでは、ニッケル品位20重量%程度のフェロニッケルを生産することができる。又、このプロセスにおいては、必要に応じて、上記の部分還元工程に先行する乾燥工程、上記の熔融還元工程に続く脱硫工程も更に行われる。
[部分還元工程]
部分還元工程は、鉱石中の水分(付着水、結晶水分)を完全に除去するとともに部分還元した鉱石(以下「焼鉱」とも言う)を生成する工程である。部分還元工程においては、水分率を20重量%程度にまで乾燥させた鉱石に対して、還元剤(石炭)、及び、必要に応じて熔剤を更に添加し、これらを乾燥・還元用ロータリーキルに投入して、800℃以上900℃以下程度の焼成温度で焼成して焼鉱を得る。
部分還元工程は、鉱石中の水分(付着水、結晶水分)を完全に除去するとともに部分還元した鉱石(以下「焼鉱」とも言う)を生成する工程である。部分還元工程においては、水分率を20重量%程度にまで乾燥させた鉱石に対して、還元剤(石炭)、及び、必要に応じて熔剤を更に添加し、これらを乾燥・還元用ロータリーキルに投入して、800℃以上900℃以下程度の焼成温度で焼成して焼鉱を得る。
この部分還元工程を、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」によって行うことにより、引き続いて行われる熔融還元工程を行う電気炉内に、石炭の揮発分が侵入することを抑制して、電気炉から排出される排ガス温度の過剰な上昇に起因する煙道設備等の損傷を防止することができる。
[熔融還元工程]
熔融還元工程は、部分還元工程で生成した焼鉱を電気炉に投入して、同炉内で熔融還元し、フェロニッケル(メタル)とスラグとを生成させる工程である。この工程で産出されるフェロニッケル熔体は、鉄を主成分とし、炭素質還元剤の設定量に応じて16重量%以上25重量%以下程度の品位でニッケルを含有する。電気炉については図示を省略したが、熔融還元を行う電気炉の具体例としては、公知の「三相交流電極式円形電気炉」を挙げることができる。
熔融還元工程は、部分還元工程で生成した焼鉱を電気炉に投入して、同炉内で熔融還元し、フェロニッケル(メタル)とスラグとを生成させる工程である。この工程で産出されるフェロニッケル熔体は、鉄を主成分とし、炭素質還元剤の設定量に応じて16重量%以上25重量%以下程度の品位でニッケルを含有する。電気炉については図示を省略したが、熔融還元を行う電気炉の具体例としては、公知の「三相交流電極式円形電気炉」を挙げることができる。
<ロータリーキルンの操業方法>
「ロータリーキルンの操業方法」は、上述した通り、「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において部分還元工程を行う、乾燥・還元用ロータリーキルンを操業する方法として、好ましく実施することができる操業方法である。
「ロータリーキルンの操業方法」は、上述した通り、「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において部分還元工程を行う、乾燥・還元用ロータリーキルンを操業する方法として、好ましく実施することができる操業方法である。
[石炭]
又、「ロータリーキルンの操業方法」は、ロータリーキルンに投入する燃料として、一定以上の水分を含む石炭、具体的には、水分率が10重量%以上の石炭を用いる場合に有効な操業方法である。
又、「ロータリーキルンの操業方法」は、ロータリーキルンに投入する燃料として、一定以上の水分を含む石炭、具体的には、水分率が10重量%以上の石炭を用いる場合に有効な操業方法である。
ここで、フェロニッケル製錬工場において還元剤として用いる石炭は、通常、運送中も含めて屋外に保管されていて、水分率が10重量%以上の状態でロータリーキルンに投入されることが一般的な状況となっている。従って、「ロータリーキルンの操業方法」においては、フェロニッケル製錬に通常用いられる石炭を、多くの場合において、そのまま採用することができる。又、水分率が10質量%未満の乾燥した状態の石炭であっても、前処理直後の段階までに、水分率が10重量%以上となるように何らかの加湿処理を施すことによって、本発明の方法を実施するための石炭として用いることができる。
「ロータリーキルンの操業方法」において好適に用いることができる石炭の組成は、水分率が10重量%以上であればよく、水分が10重量%以上15重量%以下、揮発分が25重量%以上40重量%以下、石炭から揮発分が抜けた後の石炭中の炭素(以下、「固定炭素」と言う。)が40重量%以上60重量%以下、灰分が10重量%以上20重量%以下であることが好ましい。尚、本明細書において「石炭に含まれる揮発分」とは、JIS規格の工業分析により測定される値のことを言い、具体的には、空気中、室温で乾燥した試料を用い、空気と接触させずに900℃で7分間加熱したときの質量減少率から、同時に定量した水分を差し引いた値のことを言う。
[粉砕機及び石炭の前処理]
図1は、上述の「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において用いられる乾燥・還元用ロータリーキルンにおいて、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」を実施する場合の、実施態様の一例を、模式的に示す図である。「ロータリーキルンの操業方法」は、上記のように一定以上の水分を含む石炭を、ロータリーキルンへの投入前に、粒度分布が所定範囲の分布となるように細粒化する前処理を必須の工程として行うことを主たる特徴とする操業方法である。
図1は、上述の「フェロニッケル製錬の全体プロセス」において用いられる乾燥・還元用ロータリーキルンにおいて、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」を実施する場合の、実施態様の一例を、模式的に示す図である。「ロータリーキルンの操業方法」は、上記のように一定以上の水分を含む石炭を、ロータリーキルンへの投入前に、粒度分布が所定範囲の分布となるように細粒化する前処理を必須の工程として行うことを主たる特徴とする操業方法である。
図1に示すように、「ロータリーキルンの操業方法」において、ロータリーキルン1に投入する石炭は、粉砕機による前処理によって細粒化される。石炭を粉砕する前処理に用いる粉砕機は、特段限定されず、公知の各種の粉砕機、具体的には、ジョークラッシャー、ジャイレトリ粉砕機、ディスク粉砕機等を、適宜選択して用いることができる。但し、「ロータリーキルンの操業方法」においては、上記の各種機器の中でも、ロールクラッシャー2を用いることが好ましい。ロールクラッシャーとは図3に示すように、互いに逆方向に回転する2本のロール21A、21B間に被粉砕物を通して圧縮による粉砕を行う粉砕機である。
ロールクラッシャー2は、2本のロールのうち、一方のロール21Aの外表面にロール21Aの長手方向に延びる粉砕歯22がロール面の周方向に等間隔に配置されている。2本のロール21A、21Bの中心軸間の距離を調節することにより、対向する2本のロール21A、21Bの各ロール面との隙間C1と、ロール21Aに設けられた粉砕歯22、及びこの粉砕歯22に対向するロール21Bのロール面との隙間C2と、を調節することができる。好ましい一例として、ロールの外径は760mmであり、粉砕歯の高さは7mmである。
例えば、ロールクラッシャー2の粉砕歯22の高さが7mmである場合、2本のロール21A、21Bの各ロール面との隙間C1が9mmとなるように2本のロールの中心軸間の距離を調節することにより、粉砕歯22とこの粉砕歯22に対向するロール21Bのロール面との隙間C2を2mmに調節することができる。上記の大きさに隙間が調節されたロールクラッシャー2に石炭Cを装入すると、粉砕歯22が配置されている箇所を通過する石炭Cは2mmの隙間を通過できる大きさに粉砕され、粉砕歯22が配置されていない箇所を通過する石炭は9mmの隙間を通過できる大きさに粉砕され、細粒化された石炭cとなる。
ロールクラッシャー2は、2本のロール21A、21Bの各ロール面との隙間C1の大きさと、ロール21Aに設けられた粉砕歯22、及びこの粉砕歯22に対向するロール21Bのロール面との隙間C2の大きさとを調節することができる。そして、これらの隙間を最適化することにより、石炭Cを、所望の粒径分布を有した細粒化された石炭cの状態に粉砕することができる。尚、ロールクラッシャー2は、「中心軸間の距離が互いに離間する方向にロールを移動させ、対向する2本のロール21A、21B間の隙間C1と、粉砕歯22とこの粉砕歯22に対向するロール21Bとの隙間C2と、を拡大する機構」を有するものであってもよい。
粉砕機としてロールクラッシャー2を用いることにより、例えば、粉砕後の粒径が10mm以下となる石炭の割合が所望の割合を超えるように、隙間C1や隙間C2の大きさを調節することができる。ここで、粒径が10mm以下の石炭とは、目開きが10mmの篩を通過することのできる石炭であることを意味する。具体的に説明すると、例えば、2本のロール21A、21Bの外径が760mmであり、粉砕歯の高さが7mmである場合には、隙間C2の大きさを4mm、3mm、2mmに隙間を狭めていくことにより、粉砕後の石炭cにおいて、粒径が10mm以下となる石炭の粒の割合を70.4%、74.5%、97.3%に増加させることができる。つまり、目開きが10mmの篩を通過することのできる石炭の割合を70.4%、74.5%、97.3%に増加させることができる。
上記の前処理においては、ロータリーキルンへの投入前における石炭の粒度分布が、粒径10mm以下の割合が70%以上の分布となるように粉砕することが好ましく、同割合が95%以上の分布となるように粉砕することがより好ましい。粒径10mm以下の石炭の割合をこのように増加させることにより、電気炉内への揮発分の侵入を抑制して電気炉から排出される排ガスの温度上昇を抑制することができる。尚、本明細書における石炭の粒度分布(%)は、各粒径範囲毎の石炭の相対量(質量比)のことを言うものとする。
尚、例えば、水分率が5重量%程度の乾燥した石炭を粉砕して上記のような粒度分布にまで細粒化した場合には、粉砕後、ロータリーキルンへの投入までの段階での発塵のリスクがあるが、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」においては、石炭の水分率を10重量%以上に限定することによって、細粒化による発塵のリスクを回避しつつ、ロータリーキルン1内に投入される石炭に含まれる揮発分を効果的に燃焼させて、ロータリーキルン1から排出される石炭に含まれる揮発分の割合を減少させることができる。
[ロータリーキルンへの石炭の搬送と投入]
尚、図1に示すように、上述の「前処理」を経て細粒化された石炭cは、パイプコンベア3を経由してホッパー4に貯留される。そして、ホッパー4から定量切り出しされた粒体状の石炭cが、投炭用コンベア5を経由して石炭供給口12からロータリーキルン1に投入される。このロータリーキルン1への粒体状の石炭cの投入量は、ホッパー4による定量切り出し量を必要に応じて調整することによって適切に制御することができる。
尚、図1に示すように、上述の「前処理」を経て細粒化された石炭cは、パイプコンベア3を経由してホッパー4に貯留される。そして、ホッパー4から定量切り出しされた粒体状の石炭cが、投炭用コンベア5を経由して石炭供給口12からロータリーキルン1に投入される。このロータリーキルン1への粒体状の石炭cの投入量は、ホッパー4による定量切り出し量を必要に応じて調整することによって適切に制御することができる。
又、本発明の「ロータリーキルンの操業方法」を実施する場合、ロータリーキルン1への石炭搬送路は、パイプコンベア3で構成することが好ましい。構造的に、密閉構造であり、被運搬物が粉状等の発塵性があるものを運搬することに適しているパイプコンベア3を採用することにより、上記の「前処理」によって細粒化された石炭の発塵による周辺への飛散を、より確実に防止することができる。
[ロータリーキルン]
図1に示すように、ロータリーキルン1は、大型の円筒形状の回転式加熱炉である。又、ロータリーキルン1は、その装入端11から排出端13に向かって下方に傾斜して設けられている。ロータリーキルン1においては、装入端11から原料の乾燥鉱石が装入され、その乾燥鉱石がその回転する胴体部内を排出端13の方向へ移動する。又、ロータリーキルン1においては、通常、排出端13側に重油バーナー等の加熱用のバーナー14が設置されていて、バーナー14で焚かれた化石燃料の燃焼熱が、乾燥鉱石とは逆方向に流れることで、乾燥鉱石を向流加熱する。
図1に示すように、ロータリーキルン1は、大型の円筒形状の回転式加熱炉である。又、ロータリーキルン1は、その装入端11から排出端13に向かって下方に傾斜して設けられている。ロータリーキルン1においては、装入端11から原料の乾燥鉱石が装入され、その乾燥鉱石がその回転する胴体部内を排出端13の方向へ移動する。又、ロータリーキルン1においては、通常、排出端13側に重油バーナー等の加熱用のバーナー14が設置されていて、バーナー14で焚かれた化石燃料の燃焼熱が、乾燥鉱石とは逆方向に流れることで、乾燥鉱石を向流加熱する。
ロータリーキルン1の炉内温度は、特に限定されないが、排出端13における鉱石温度が700℃以上900℃以下程度、且つ、装入端11における排ガス温度が250℃以上400℃以下程度となるように維持することが好ましい。上記温度を上述の各下限温度以上に維持することで、投入した石炭中の揮発分や固定炭素を十分に燃焼させることができる。又、上記温度を上述の各上限温度以下に維持することで、ロータリーキルン1の内壁におけるベコの発生を防ぐことができる。
又、ロータリーキルン1の回転数も、特に限定されないが、0.5rpm以上1.5rpm以下程度の回転数とすることが好ましい。ロータリーキルン1の回転数が0.5rpm未満では、ロータリーキルン1の内部での撹拌力が弱くなり、投入した石炭が原料とする乾燥鉱石の中に埋まっている状態でゆっくりと円周方向を滑りながら、少しずつ装入端11側から排出端13側に移動するようになる。このような場合、石炭表面とロータリーキルン1内の空気との接触が不十分となり、投入した石炭中の揮発分や固定炭素を燃焼させることが困難となる懸念がある。一方、ロータリーキルンの回転数が1.5rpmを超えると、ロータリーキルン1の内部での撹拌力が強くなり、ロータリーキルン1内に装入された原料の乾燥鉱石がロータリーキルン1内で舞い上がり、ダストとして排ガスとともに装入端11から排出されて、排出端13から得られる焼鉱の実収率が低下する懸念がある。
尚、ロータリーキルン1の大きさは、特に限定されないが、フェロニッケル製錬において乾燥・還元用としては、内径4.5m以上6.5m以下程度、全長100m以上150m以下程度のものが好ましく用いられている。内径が4.5m未満、又は、全長が100m未満のロータリーキルンでは、ロータリーキルン内で鉱石を乾燥し、部分的な還元を行うために必要な時間を十分に確保することが困難となり、効果的な処理を行うことができなくなる懸念がある。一方で、内径が6.5m超え、又は、全長が150m超えのロータリーキルンでは、そのロータリーキルンを設置するための設備投資や、維持するための費用が増加してしまい、経済性の観点から好ましくない。
図2は、本発明を好ましい態様で実施することができるロータリーキルンの他の一例であって、石炭を投入するためのスクープフィーダーを有するロータリーキルンの断面構成図である。スクープフィーダーは、ロータリーキルン1Aにおいて乾燥鉱石の移動方向(ロータリーキルン本体の長手方向)の途中の位置に設けられる。図2に示すように、ロータリーキルン1Aは、回転する胴体部15と、その胴体部15を覆う外殻16とから構成されており、胴体部15の所定の位置にスクープフィーダー17が設けられている。
スクープフィーダーを有するロータリーキルン1Aは、胴体部15内に、原料となる乾燥鉱石oが装入されて、その胴体部15の回転に伴って装入端11から排出端13へと乾燥鉱石oが移動する。又、このロータリーキルン1Aにおいては、その胴体部15と外殻16とにより空間部16Rが形成されており、その外殻16に設けられた石炭供給口12Aを介して、空間部16R内に石炭cが装入される。
スクープフィーダー17は、例えばL字形状の管で形成されており、L字形状の曲部を有する先端部171で石炭を掬い上げ、掬い上げた石炭をL字形状の直線部172を構成する管内に通過させて胴体部15の内部に供給する。より具体的には、スクープフィーダー17は、所定の箇所で胴体部15に固定されており、L字形状の曲部を有する先端部171が胴体部15と外殻16とで形成される空間部16R内に位置している。このスクープフィーダー17では、スクープフィーダー17を固定した胴体部15の回転に伴って、空間部16R内に装入された石炭が先端部171を介して掬い上げられてスクープフィーダー17内に取り込まれる。そして、このスクープフィーダー17が胴体部15の回転に伴って胴体部15の上方部に位置したときに、重力の作用によって、スクープフィーダー17内に取り込まれた石炭がL字形状の直線部172を構成する管内を通過して、胴体部15の内部に供給される。
尚、ロータリーキルン1(1A)において、乾燥鉱石の移動方向(ロータリーキルンの本体の長手方向)における石炭供給口12(12A)の設置位置は、ロータリーキルン本体の内部の温度が900℃以上1200℃程度以下となる位置の直上或いはその近傍位置とすることが好ましい。ロータリーキルン1Aにおいて、この位置から石炭を投入することによって、石炭中の揮発分と固定炭素とを効率的に燃焼させることができる。
又、石炭供給口12(12A)の設置位置は、上述した位置の中でも、特には、「排出端13からロータリーキルンの全長の2/10の長さだけ離れた位置」から「排出端13からロータリーキルンの全長の5/10の長さだけ離れた位置」とすることが、より好ましい。石炭を投入する位置が、「排出端13からロータリーキルンの全長の2/10の長さだけ離れた位置」よりも排出端13に近い場合、投入された石炭のロータリーキルン1内での滞留時間が短くなることにより、石炭の昇温時間が足りず昇温不十分となり、石炭中の揮発分や固定炭素を燃焼させることが困難となる懸念がある。一方、「排出端13からロータリーキルンの全長の5/10の長さだけ離れた位置」よりも装入端11に近い場合では、ロータリーキルン1内の温度の低い箇所に石炭が投入されることになるため、水分が完全に除かれていない鉱石層の中に石炭が分散し、その石炭の表面が水分を含んだ鉱石で覆われてしまうことにより、排出端13に向かう移動の過程で昇温しても、石炭と空気との接触を十分に行わせることができず、石炭中の揮発分や固定炭素を燃焼させることが困難となる懸念があるからである。
以下、試験操業による実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
フェロニッケル製錬において、内径4.8m、長さ105mのロータリーキルン(乾燥・還元用ロータリーキルン)を用いて、乾燥鉱石に対する焼成乾燥処理を行った。1.5rpmの回転数で回転しているロータリーキルン内への石炭の投入は、排出端からロータリーキルン本体の全長の2/10の長さだけ離れた位置に設けられるスクープフィーダーを介して行った。ここで、石炭の粒度分布は以下のように調節した。先ず、外径が760mmの一対のロールを有するロールクラッシャーにおいて、一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールのロール面との隙間を2mmに調節し、当該ロールを110rpmの速さで回転させ、ここに下記の表1に記載の流動分布を有する石炭(水分15重量%)を装入して粉砕した。
フェロニッケル製錬において、内径4.8m、長さ105mのロータリーキルン(乾燥・還元用ロータリーキルン)を用いて、乾燥鉱石に対する焼成乾燥処理を行った。1.5rpmの回転数で回転しているロータリーキルン内への石炭の投入は、排出端からロータリーキルン本体の全長の2/10の長さだけ離れた位置に設けられるスクープフィーダーを介して行った。ここで、石炭の粒度分布は以下のように調節した。先ず、外径が760mmの一対のロールを有するロールクラッシャーにおいて、一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールのロール面との隙間を2mmに調節し、当該ロールを110rpmの速さで回転させ、ここに下記の表1に記載の流動分布を有する石炭(水分15重量%)を装入して粉砕した。
粉砕された石炭からサンプルを抜き取り、目開きが10mmの篩を用いて篩分けを行い、粉砕した石炭の粒径分布を調査したところ、粒径が10mm以下の石炭の割合が97.3%となっていた(表2参照)。
次いで、得られた石炭は、エプロンフィーダを用いてロータリーキルンの長手方向の中央部に設けられているスクープフィーダーまで搬送し、そのスクープフィーダーを介して、3.6t/hの投入速度で1.5rpmの回転数で回転しているロータリーキルン内へ投入した。この位置におけるロータリーキルン内の温度は1200℃であった。
上記の手順で、乾燥鉱石の乾燥・還元処理を行い焼鉱とした後、未燃焼の揮発分を含む石炭とともに電気炉に装入し、500kwh/Dry-tonの電力を投入することにより、この焼鉱を還元、熔解してフェロニッケルを生成させた。このとき、電気炉から排出される排ガスの温度を排ガス煙道入口で調査したところ、812℃であった(表2参照)。
[実施例2]
一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールとの隙間を3mmに調節した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、粉砕して得られた石炭の粒径分布、及び、電気炉から排出される排ガスの温度は、下記表2に記載する通りであった。
一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールとの隙間を3mmに調節した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果、粉砕して得られた石炭の粒径分布、及び、電気炉から排出される排ガスの温度は、下記表2に記載する通りであった。
[実施例3]
一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールとの隙間を4mmに調節した以外は、実施例1と同様にして行った。その結果、粉砕して得られた石炭の粒径分布、及び、電気炉から排出される排ガスの温度は、下記表2に記載する通りであった。
一方のロールに設けられた粉砕歯(高さ7mm)と、他方のロールとの隙間を4mmに調節した以外は、実施例1と同様にして行った。その結果、粉砕して得られた石炭の粒径分布、及び、電気炉から排出される排ガスの温度は、下記表2に記載する通りであった。
表2に示す結果から、ロータリーキルン内に投入される石炭を細粒化することにより、ロータリーキルンから排出される石炭に含まれる揮発分を減少させて、電気炉から排出される排ガスの温度上昇を抑制できることがわかる。特に実施例1においては、排ガスの温度上昇が実施例2に比して48℃、更には、実施例3に比して86℃抑制することができていることがわかる。このように、本発明のロータリーキルンの操業方法は、ロータリーキルン内で揮発分を効果的に燃焼させて、電気炉から排出される排ガスの温度上昇を抑制することができることが確認された。
1 ロータリーキルン
11 装入端
12、12A 石炭供給口
13 排出端
14 バーナー
15 胴体部
16 外殻
16R 空間部
17 スクープフィーダー
171 先端部
172 直線部
2 ロールクラッシャー
21(21A、21B) ロール
22 粉砕歯
3 パイプコンベア
4 ホッパー
5 投炭用コンベア
11 装入端
12、12A 石炭供給口
13 排出端
14 バーナー
15 胴体部
16 外殻
16R 空間部
17 スクープフィーダー
171 先端部
172 直線部
2 ロールクラッシャー
21(21A、21B) ロール
22 粉砕歯
3 パイプコンベア
4 ホッパー
5 投炭用コンベア
Claims (5)
- 石炭を投入する加熱炉であって、且つ、他の加熱炉が下流工程側に更に連接されているロータリーキルンの操業方法であって、
前記石炭の水分率は10重量%以上であって、
前記ロータリーキルン内に投入する前記石炭の粒度分布を細粒化する前処理を行う、ロータリーキルンの操業方法。 - 前記前処理によって、前記ロータリーキルンへの投入前における前記石炭の粒度分布を、粒径10mm以下の割合が95%以上の分布とする、
請求項1に記載のロータリーキルンの操業方法。 - ロールクラッシャーを用いて前記前処理を行う、
請求項1又は2に記載のロータリーキルンの操業方法。 - 前記ロータリーキルンは、フェロニッケル製錬において、原料のニッケル酸化鉱を乾燥するとともに部分還元を行うロータリーキルンである、
請求項1から3の何れかに記載のロータリーキルンの操業方法。 - 前記他の加熱炉が電気炉である、
請求項1から4の何れかに記載のロータリーキルンの操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021069684A JP2022164285A (ja) | 2021-04-16 | 2021-04-16 | ロータリーキルンの操業方法 |
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2021
- 2021-04-16 JP JP2021069684A patent/JP2022164285A/ja active Pending
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