JP2022161487A - ガラス母材の製造方法及びガラス母材の製造装置 - Google Patents

ガラス母材の製造方法及びガラス母材の製造装置 Download PDF

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和昌 牧原
Kazumasa Makihara
司明 根岸
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Abstract

【課題】OH基濃度が極めて低いガラス母材を効率良く製造する方法、およびガラス母材の製造装置を提供することを目的とする。【解決手段】炉心管と、炉心管の周囲に配置されたヒータとを備え、多孔質ガラス母材を脱水、焼結して透明ガラス化するように構成される、ガラス母材の製造装置である。炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、炉心管におけるヒータの内側部分となる領域においては、溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、ガラス母材の製造方法及びガラス母材の製造装置に関する。
特許文献1には、光ファイバ用のガラス母材の製造における、脱水、焼結工程で、合成石英ガラス(シリカガラス)の炉心管を使用すること、及び、炉心管のOH基含量が1ppm以下であることが記載されている。
特許文献2には、ガラス母材の製造における脱水、焼結工程で使用される炉心管を、複数のシリカガラス管を熱加工により接合して作製してもよいことが記載されている。
特許文献3には、光ファイバ用のガラス母材の製造における脱水、焼結工程で使用される炉心管を、上部、中央部、下部の各部分に3分割されたものを組立てて構成し、中央部分を交換可能とすることが記載されている。
特開2008-31033号公報 特開2017-154946号公報 特開平7-10583号公報
多孔質ガラス母材を脱水、焼結して光ファイバ用のガラス母材を製造する際に用いる焼結炉の炉心管にOH基が含まれていると、そのOH基がガラス母材に取り込まれる。その結果、ガラス母材を線引きして得られる光ファイバの伝送損失が増加する。特に、OH基の吸収波長である1383nmにおける伝送損失が増加する。
上記の理由から、炉心管としては、OH基が含まれないものを用いることが好ましい。
また、炉心管に用いられるシリカガラス管は、無水プロセスで製造することにより、OH基を含まないものを得ることができる。
一方、炉心管は一部の領域のみがヒータで加熱される。そして、炉心管のヒータで加熱された領域(以下、「ヒータ領域」または「加熱領域」とも称する)はその他の領域(以下、「非加熱領域」とも称する)に比べ劣化が著しくなる。
そのため、炉心管は、そのヒータ領域を含む部分を交換可能に形成される場合がある。その場合、炉心管のヒータ領域部分に相当するシリカガラス管と非加熱領域に相当するシリカガラス管とを接続して、炉心管が形成される。そして、使用を経て、ヒータ領域が劣化した場合には、その劣化したヒータ領域を含むシリカガラス管が新しいものに交換される。より詳細には、炉心管から劣化したシリカガラス管部分が切出され、新しいシリカガラス管が接続し直される。
炉心管を形成する際のシリカガラス管の接続は、火処理による溶着により行われる。火処理には、主に酸水素ガスが用いられる。シリカガラス管として、無水プロセスで製造したものを用いた場合でも、この酸水素ガスを用いる火処理により、炉心管の溶着接続部分にOH基が取り込まれてしまう。
そこで、本開示は、OH基濃度が極めて低いガラス母材を効率良く製造する方法、およびガラス母材の製造装置を提供することを目的とする。
本開示のガラス母材の製造方法は、
多孔質ガラス母材を、炉心管と前記炉心管の周囲に配置したヒータとを備える焼結炉を用いて、脱水、焼結して透明ガラス化するガラス母材の製造方法であって、
前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である。
また、本開示のガラス母材の製造装置は、
炉心管と、前記炉心管の周囲に配置されたヒータとを備え、多孔質ガラス母材を脱水、焼結して透明ガラス化するように構成される、ガラス母材の製造装置であって、
前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である。
本開示によれば、OH基濃度が極めて低いガラス母材を効率良く製造することができる。
図1は、本開示のガラス母材の製造方法に使用する製造装置の一例を示す概略図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のガラス母材の製造方法は、
(1)多孔質ガラス母材を、炉心管と前記炉心管の周囲に配置したヒータとを備える焼結炉を用いて、脱水、焼結して透明ガラス化するガラス母材の製造方法であって、
前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である。
この構成によれば、炉心管において、OH基を含む溶着接続部が、ヒータの内側部分となる領域に存在しないことになる。その結果、ヒータの加熱によって炉心管からOH基が放出されることが抑制される。この抑制により、ガラス母材へOH基が取り込まれなくなり、OH基濃度が極めて低いガラス母材を効率よく製造することができる。
(2)前記炉心管が、加熱領域用シリカガラス管、上部非加熱領域用シリカガラス管及び下部非加熱領域用シリカガラス管を有し、
前記上部非加熱領域用シリカガラス管は、前記加熱領域用シリカガラス管の上端である上部接続部で溶着接続され、
前記下部非加熱領域用シリカガラス管は、前記加熱領域用シリカガラス管の下端である下部接続部で溶着接続されている、ことが好ましい。
この構成によれば、炉心管の経時使用において、ヒータの熱によるダメージが大きい加熱領域用シリカガラス管の交換が容易になる。
(3)前記焼結炉は、前記ヒータと前記ヒータの周囲に配置した断熱材とを収容する炉体を備え、前記炉心管の前記炉体内となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下であることが好ましい。
この構成によれば、炉心管からOH基が放出されること、及び、ガラス母材へOH基が取り込まれることがより抑制される。
(4)前記炉心管を焼結炉にセットしてから、多孔質ガラス母材を脱水焼結するまでの間に、前記炉心管内に露点が-60℃以下のガスを500℃以上1500℃以下の温度で30時間以上吹き流す乾燥工程を含む前処理を実施することが好ましい。
(5)前記前処理は、前記乾燥工程の後に、さらに前記炉心管内に塩素を含むガスを500℃以上1300℃以下の温度で1時間以上吹き流す炉心管の脱水工程を含むことが好ましい。
上記(4)~(5)の構成によれば、シリカガラス管の溶着接続部に主に存在する、炉心管中のOH基量を減らすことができる。したがって、炉心管からOH基がガラス母材へ取り込まれることがさらに抑制される。
本開示の一態様に係るガラス母材の製造装置は、
(6)炉心管と、前記炉心管の周囲に配置されたヒータとを備え、多孔質ガラス母材を脱水、焼結して透明ガラス化するように構成される、ガラス母材の製造装置であって、
前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である。
この構成によれば、炉心管において、OH基を含む溶着接続部が、ヒータの内側部分となる領域に存在しないことになる。その結果、ヒータの加熱によって炉心管からOH基が放出されることが抑制される。この抑制により、ガラス母材へOH基が取り込まれなくなり、OH基濃度が極めて低いガラス母材を効率よく製造することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態に係るガラス母材の製造方法及びガラス母材の製造装置の例を添付図面に基づいて説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔使用装置の概要〕
図1は、本実施形態のガラス母材の製造方法に用いるガラス母材の製造装置(以下、「装置」とも称する)1の概略図である。装置1は、多孔質ガラス母材7を脱水、焼結して透明ガラス化するように構成されている。装置1は、焼結炉5と、昇降装置74とを有する。
焼結炉5は、炉心管2と、ヒータ3と、炉体4とを備える。
炉心管2は、シリカガラスで形成された筒状体である。炉心管2は、その内部に加熱対象である多孔質ガラス母材7が収容される。炉心管2の上端には、上蓋6が取外し可能に装着されている。
ヒータ3は、炉心管2の周囲を囲むように配置されている。ヒータ3の周囲には、断熱材(図示せず)が配置されている。
炉体4は、ヒータ3および断熱材を収容する。
昇降装置74は、多孔質ガラス母材7を昇降させる装置である。昇降装置74は、支持棒72と把持部73を有する。支持棒72は上蓋6の開口部(図示せず)に挿通される。把持部73は、多孔質ガラス母材7の出発ガラスロッド71を把持する。
多孔質ガラス母材7は、例えば、VAD法により、出発ガラスロッド71の下端からガラス微粒子を軸方向に堆積させて作成される。この多孔質ガラス母材7は、出発ガラスロッド71の上端部が把持部73で把持され、昇降装置74により上下方向に移動可能に吊り下げ支持される。
本実施形態においては、炉心管2は、加熱領域用シリカガラス管21、上部非加熱領域用シリカガラス管22及び下部非加熱領域用シリカガラス管23を有する。上部非加熱領域用シリカガラス管22は、加熱領域用シリカガラス管21の上端である上部接続部24で溶着接続され、下部非加熱領域用シリカガラス管23は、加熱領域用シリカガラス管21の下端である下部接続部25で溶着接続されている。
上部接続部24および下部接続部25は、それぞれ、酸水素ガスを用いた火処理により、複数のシリカガラス間の被接続部分を加熱して、溶融軟化させて互いに接続することにより形成される。
加熱領域用シリカガラス管21、上部非加熱領域用シリカガラス管22、下部非加熱領域用シリカガラス管23は、いずれも、無水プロセスで製造されたものであり、それら自体はOH基を実質的に含有せず、OH基濃度が1ppm以下である。
しかし、上記の酸水素ガスを用いた火処理による溶着接続により、上部接続部24と下部接続部25(以下、「溶着接続部」とも称する)はOH基を含むことになる。
ヒータ3の内側の領域であるヒータ領域H1は、脱水または焼結を行う際に最も高温となる。また、ヒータ領域H1外であっても、炉体4で囲まれた炉体領域H2は、脱水または焼結を行う際に炉体4の外部と比べて高温となる。
そこで、炉心管2は、上部接続部24と下部接続部25とがヒータ3及び炉体4によって直接加熱されないように配置されている。即ち、上部接続部24と下部接続部25とが、ヒータ領域H1および炉体領域H2に位置しないように炉心管2が配置されている。さらに詳細には、上部接続部24と下部接続部25がヒータ3及び炉体4の外側に配置されるようなサイズの加熱領域用シリカガラス管21が使用される。そして、ヒータ3及び炉体4は、上部接続部24と下部接続部25の間に位置するように、炉心管2の周囲に配置される。
ヒータ3が炉心管2の上部接続部24と下部接続部25とを直接加熱しないように配置されるということは、炉心管2におけるヒータ領域H1に位置する部分のOH基濃度が1ppm以下であることを意味する。
炉心管2におけるヒータ領域H1に位置する部分のOH基濃度は、例えば、赤外分光光度計で、近赤外領域に現れるOH基の吸収ピーク高さを測定することによって測定することができる。
加熱領域用シリカガラス管21は、上部非加熱領域用シリカガラス管22及び下部非加熱領域用シリカガラス管23と比較して、高温下に置かれるため、劣化が著しくなる。この劣化の問題に対処するため、加熱領域用シリカガラス管21の管壁の厚さは、上部非加熱領域用シリカガラス管22及び下部非加熱領域用シリカガラス管23の管壁よりも厚いことが好ましい。
炉心管2の上部接続部24と下部接続部25はフッ化水素(HF)溶液でエッチングされていることが好ましい。このエッチングにより、上部接続部24と下部接続部25に含まれるOH基量が少なくなる。
HF溶液によるエッチングは、炉心管2内部の上部接続部24と下部接続部25のみに部分的にHF溶液を塗布することによって行われてもよく、また、炉心管2全体をHF溶液に浸漬することによって行われてもよい。
エッチングに使用するHF溶液の濃度は、特に限定されない。しかし、HF溶液の濃度は、入手し易さの点から5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、濃度が高すぎるとエッチング量にばらつきができることから5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
〔前処理〕
炉心管2が焼結炉5にセットされた後、多孔質ガラス母材7の脱水焼結が開始されるまでの間に、炉心管2内に露点が-60℃以下のガス(以下、単に「乾燥ガス」とも称する)を、500℃以上1500℃以下(炉心管2内のヒータ領域Hの温度)で30時間以上吹き流す乾燥工程を含む前処理を行うことが好ましい。この前処理を行うことにより、上部接続部24と下部接続部25に含まれるOH基量が少なくなる。
乾燥ガスを炉心管2内に吹き流す際のヒータ領域H1の温度は、所要時間を短縮する点からより好ましくは900℃以上1500℃以下であり、所要時間をより短縮するとともに、炉心管2が軟化して変形しやすくなることを抑制する点からさらに好ましくは1100℃以上1400℃以下である。
乾燥ガスを炉心管2内に吹き流す際の時間は、OH基量を十分少なくする点からより好ましくは40時間以上120時間以下であり、OH基量を十分少なくするとともに、乾燥ガスの使用量を抑える点からさらに好ましくは50時間以上100時間以下である。
乾燥ガスは、水分を含まず、不活性なものであれば特に限定されないが、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。その中でも比較的安価で取扱いが簡易等であることから、Nが好ましい。
乾燥ガスが炉心管2内に吹き流される際の流量は、特に限定されない。しかし、乾燥ガスの当該流量は、炉心管内の流れを停滞させない点から5L/分以上100L/分以下であることが好ましく、炉心管内のガスの流れを促進するとともに乾燥ガスの使用量を抑制する点から10L/分以上50L/分以下がより好ましく、炉心管内のガスの流れをより促進させ、乾燥ガスの使用量をより抑制する点から10L/分以上35L/分以下がさらに好ましい。
前処理は、HF溶液でのエッチング処理と併用してもよい。併用する場合は、エッチング処理の終了後に行うことが好ましい。
前処理は、乾燥工程の後に、さらに塩素を含むガス(以下、「塩素含有ガス」とも称する)を500℃以上1300℃以下(炉心管2内のヒータ領域H1の温度)で1時間以上吹き流す炉心管の脱水工程(以下、「炉心管脱水工程」とも称する)を含むことが好ましい。この炉心管脱水工程を含むことにより、上部接続部24と下部接続部25に含まれるOH基量がさらに少なくなる。
塩素含有ガスを炉心管2内に吹き流す際の温度は、所要時間を短縮する点からより好ましくは900℃以上1300℃以下であり、所要時間をより短縮するとともに、炉心管2が軟化して変形しやすくなることを抑制する点からさらに好ましは1000℃以上1250℃以下である。
塩素含有ガスを炉心管2内に吹き流す際の時間は、OH基量を十分少なくする点からより好ましくは2時間以上30時間以下であり、OH基量を十分少なくするとともに、塩素含有ガスの使用量を抑える点からさらに好ましくは2時間以上20時間以下である。
塩素含有ガスは、特に限定されないが、実質的に純粋な塩素ガス(Cl)でもよく、Clと他のガスとの混合ガスであってもよい。
実質的に純粋なClとはCl濃度が98質量%以上のものを意味する。
また、他のガスとの混合ガスである場合は、他のガスとしては、水分を含まず、不活性なものであれば特に限定されないが、N、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。その中でも比較的安価で取扱いが簡易等であることから、Nが好ましい。
塩素含有ガスを炉心管2内に吹き流す際の流量としては、特に限定されない。しかし、塩素含有ガスの当該流量は、炉心管内の塩素含有ガスの流れを停滞させない点から0.1L/分以上20L/分以下であることが好ましく、炉心管内の塩素含有ガスの流れを促進するとともに塩素含有ガスの使用量を抑制する点から0.2L/分以上10L/分以下がより好ましく、炉心管内の塩素含有ガスの流れをより促進させ、塩素含有ガスの使用量をより抑制する点から0.2L/分以上5L/分以下がさらに好ましい。
〔装置1を用いたガラス母材の製造方法の概要〕
次に、上記の装置1を用いてガラス母材を製造する方法について説明する。まず、多孔質ガラス母材7が、昇降装置74に把持されて炉心管2内における脱水を開始する位置に配置される。この後に、ヒータ3を昇温させることにより炉心管2内の昇温が開始される。
炉心管2の下部のガス導入管(図示せず)より、Clとヘリウムガス(He)との混合ガスが導入される。炉心管2内のヒータ領域H1が1000℃~1350℃(好ましくは、1100℃~1250℃)の温度範囲に保持されながら、多孔質ガラス母材7が所定の速度で下方に移動される。また、炉心管2内に導入されたClやHeおよび脱水された水分が上部の排気管(図示せず)より排出される。多孔質ガラス母材7が最終の下端位置に到達した時点で、脱水処理が終了する。
次いで、多孔質ガラス母材7が上方に引き上げられ、焼結を開始する位置に戻される。その状態で、炉心管2内のヒータ領域H1が1400℃~1600℃に昇温される。この昇温と同時に、特定比率のClとHe、または、Heのみがガス導入管から導入される。多孔質ガラス母材7は、再度、所定の速度で下方に移動される。多孔質ガラス母材7が最終の下端位置に到達した時点で、透明ガラス化が終了し、ガラス母材が得られる。
本開示の装置1を用いたガラス母材の製造方法は、炉心管2の溶着接続部がヒータ領域H1の外に配置され、炉心管2におけるヒータ領域H1に位置する部分のOH基濃度が1ppm以下であることにより、OH基を含む溶着接続部からOH基の放出が抑制される。この抑制により、OH基がガラス母材へ取り込まれなくなる。
また、炉心管2が、加熱領域用シリカガラス管21、上部非加熱領域用シリカガラス管22及び下部非加熱領域用シリカガラス管23で形成されたことにより、ヒータの熱によるダメージが大きい加熱領域用シリカガラス管21の交換が容易になる。
また、炉心管2の溶着接続部が、炉体領域H2の外に配置され、炉心管2における炉体領域H2に位置する部分のOH基濃度が1ppm以下であることにより、OH基を含む溶着接続部からOH基の放出がより抑制される。
また、多孔質ガラス母材7を脱水焼結する前に、炉心管2内に、乾燥工程を含む前処理を実施することにより、炉心管2の溶着接続部に主に存在する、炉心管2中のOH基量を減少させることができる。このOH基量の減少により、OH基がガラス母材へ取り込まれることがさらに少なくなる。
また、前記前処理が乾燥工程の後にさらに炉心管脱水工程を含むことにより、炉心管2の溶着接続部に主に存在するOH基量をさらに減少させることができる。
〔実験例〕
上述した装置1を用いる方法で製造したガラス母材について、OH基濃度の評価を行った。OH基濃度の評価としては、光ファイバの伝送損失の値を用いた。
具体的には、下記表1に示す各種条件に基づいてそれぞれガラス母材を製造した。各ガラス母材を線引して光ファイバを製造し、光ファイバの伝送損失を測定した。
下記表1は、炉心管2の溶着接続部とヒータ3及び炉体4との位置関係と、乾燥工程の有無と、炉心管脱水工程の有無と、炉心管2のヒータ領域H1におけるOH基濃度(ppm)と、伝送損失の評価結果と、の関係を示す。
炉心管2としては、溶着接続部が、1)ヒータ領域H1外で炉体領域H2内にあるもの、2)炉体領域H2外にあるもの、3)ヒータ領域H1内にあるもの、の3種類を用いた。
表1の試験例No.1~3は、上記1)の炉心管を使用した。表1の試験例No.4~6は、上記2)の炉心管を使用した。表1の試験例No.7は、上記3)の炉心管を使用した。試験例No.1~6は実施例であり、試験例No.7は比較例である。
試験例に用いた炉心管2は、いずれも、加熱領域用シリカガラス管21と上部非加熱領域用シリカガラス管22及び下部非加熱領域用シリカガラス管23とを溶着接続した後に、その溶着接続部をHF溶液(5質量%)でエッチングしたものである。
試験例No.1、4及び7については、乾燥工程および炉心管脱水工程を含む前処理は行わなかった。試験例No.2及び5については、乾燥工程のみを含む前処理を行なった。試験例No.3及び6については、乾燥工程および炉心管脱水工程を含む前処理を行った。乾燥工程および炉心管脱水工程を含む前処理は、初めに、乾燥工程を実施し、乾燥工程の実施の終了後に、炉心管脱水工程を実施した。
乾燥工程では、ヒータ3で炉心管2内のヒータ領域H1の温度が1300℃となるように実施した。また、乾燥ガスとしてNを15L/分で50時間吹き流した。
炉心管脱水工程では、ヒータ3で炉心管2内のヒータ領域H1の温度が1200℃となるように実施した。また、塩素含有ガスとして実質的に純粋なClを0.3L/分で5時間吹き流した。
なお、各試験例について、エッチング処理後の炉心管2のヒータ領域H1におけるOH基濃度を、以下の方法で測定した。
OH基濃度は、従来公知の方法を用いて測定することができる。例えば、赤外吸収スペクトルにおけるSi-OHにおけるO-H伸縮振動を観測することで、算出することができる。O-H伸縮振動に対応する波数3670cm-1における吸収ピークIと、ベースライン上のベースI0とを用いて、下記式(1)のLambert-Beerの式により算出することができる。
OH=α/εt・・・(1)
上記式(1)において、吸光度αは「α=Log10(I0/I)」により求められる。モル吸光係数εは、G.Stephensonらの論文(G.Stephenson,et al.,Trans. Br. Ceram.Soc.,59, 397(1960))に記載されている値「ε=77.5L/mol・cm」を用いることができる。サンプル厚さtは、ノギス等で測定可能である。
測定結果は下記の表1に示される通りである。
多孔質ガラス母材7は、VAD法で製造された外径160mm、長さ800mmのコアおよびクラッドの一部からなるものが用いられた。脱水処理において、いずれの試験例においても、炉心管2内は、塩素系ガスを3vol%含有するHe雰囲気とした。また、ヒータ3によって炉心管2内のヒータ領域H1の温度を1150℃に昇温させて多孔質ガラス母材7を下方に移動させた。引き続き行われる焼結処理では、炉心管2内をHe100%の雰囲気とした。また、ヒータ3によって炉心管2内のヒータ領域H1の温度を1550℃に昇温して多孔質ガラス母材7を下方に移動させた。
上記の各試験例の方法で製造したガラス母材を線引きすることにより、外径125μmの光ファイバを形成した。これらの光ファイバの波長1383nmにおける伝送損失を測定した。光ファイバの伝送損失は、カットバック法により測定した。波長1383nmにおける伝送損失の評価の基準値は0.4dB/kmとし、この基準値以下となったものをA、この基準値を超えたものをBとした。評価結果は下記の表1に示される通りである。
Figure 2022161487000002
上記の表1から以下のことが分かった。
試験例No.1~6と試験例No.7を比較すると、炉心管2の溶着接続部が加熱領域(ヒータ領域H1、炉体領域H2)外にあることにより、最終的に得られる光ファイバは伝送損失の値が小さいものとなった。
また、試験例No.1とNo.2、試験例No.4とNo.5をそれぞれ比較すると、乾燥工程を含む前処理を行った例は、当該前処理を行わないものと比較して、最終的に得られる光ファイバの伝送損失の値が小さいものとなった。
さらに、試験例No.2とNo.3、試験例No.5とNo.6をそれぞれ比較すると、脱水工程を含む前処理を行った例は、当該前処理を行わないものと比較して、最終的に得られる光ファイバの伝送損失の値が小さいものとなった。
さらに、試験例No.1とNo.4、試験例No.2とNo.5、試験例No.3とNo.6をそれぞれ比較すると、炉心管2の溶着接続部が炉体領域外にあるものは炉体領域内にあるものと比較して、最終的に得られる光ファイバの伝送損失の値が小さいものとなった。
1 ガラス母材製造装置
2 炉心管
3 ヒータ
4 炉体
5 焼結炉
6 上蓋
7 多孔質ガラス母材
21 加熱領域用シリカガラス管
22 上部非加熱領域用シリカガラス管
23 下部非加熱領域用シリカガラス管
24 上部接続部
25 下部接続部
71 出発ガラスロッド
72 支持棒
73 把持部
74 昇降装置
H1 ヒータ領域
H2 炉体領域

Claims (6)

  1. 多孔質ガラス母材を、炉心管と前記炉心管の周囲に配置したヒータとを備える焼結炉を用いて、脱水、焼結して透明ガラス化するガラス母材の製造方法であって、
    前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
    前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である、ガラス母材の製造方法。
  2. 前記炉心管が、加熱領域用シリカガラス管、上部非加熱領域用シリカガラス管及び下部非加熱領域用シリカガラス管を有し、
    前記上部非加熱領域用シリカガラス管は、前記加熱領域用シリカガラス管の上端である上部接続部で溶着接続され、
    前記下部非加熱領域用シリカガラス管は、前記加熱領域用シリカガラス管の下端である下部接続部で溶着接続されている、請求項1に記載のガラス母材の製造方法。
  3. 前記焼結炉は、前記ヒータと前記ヒータの周囲に配置した断熱材とを収容する炉体を備え、
    前記炉心管の前記炉体内となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である、請求項1又は請求項2に記載のガラス母材の製造方法。
  4. 前記炉心管を焼結炉にセットしてから、多孔質ガラス母材を脱水焼結するまでの間に、
    前記炉心管内に露点が-60℃以下のガスを500℃以上1500℃以下の温度で30時間以上吹き流す乾燥工程を含む、前処理を実施する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガラス母材の製造方法。
  5. 前記前処理は、前記乾燥工程の後に、さらに前記炉心管内に塩素を含むガスを500℃以上1300℃以下の温度で1時間以上吹き流す炉心管の脱水工程を含む請求項4に記載のガラス母材の製造方法。
  6. 炉心管と、前記炉心管の周囲に配置されたヒータとを備え、多孔質ガラス母材を脱水、焼結して透明ガラス化するように構成される、ガラス母材の製造装置であって、
    前記炉心管は、複数のシリカガラス管が溶着接続された溶着接続部を有し、
    前記炉心管における前記ヒータの内側部分となる領域においては、前記溶着接続部がなく、OH基濃度が1ppm以下である、
    ガラス母材の製造装置。
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