JP2022158630A - 色素化合物、該色素化合物を含む着色組成物、及び着色剤 - Google Patents

色素化合物、該色素化合物を含む着色組成物、及び着色剤 Download PDF

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彰洋 三藤
Akihiro Mitsufuji
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Abstract

【課題】溶剤溶解性の乏しいクマリン化合物を、分散技術を利用することなく着色剤として用いて種々の物質を着色する方法、及びその用途に適した着色組成物を提供すること。【解決手段】一般式(1)TIFF2022158630000013.tif4385(式(1)中、R1及びR2は炭素数1乃至6のアルキル基を表す。R3乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基又はアミド基を表す。R7乃至R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。R11は炭素数1乃至10のアルキル基を表す。)で表される色素化合物。【選択図】なし

Description

本発明は着色剤として有用な新規なクマリン化合物に関する。更に詳しくは、色素分散技術を利用することなく、溶剤溶解性の乏しいクマリン化合物を着色剤と為し、種々の物質を着色する方法に関する。
C.I.Disperse Yellow 82、クマリン6等のクマリン化合物は、色相が鮮明で、高発色性を有しており、光や熱等に対して堅牢であることから、黄色~黄緑色の色素として広く使用されており、各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用など幅広い用途での応用研究がなされている。
色素は一般に染料と顔料とに大きく分類される。
顔料は耐光性、耐溶剤性といった堅牢性が高いものの、溶剤に不溶なため取り扱いが難しい。例えば、カラーフィルター等、光学用途への応用を想定した場合、高い透明性の確保が必要不可欠であり、有機溶剤に不溶な顔料を極めて微細化すると共に、溶剤に分散させるための高度な分散技術が必要となる。
一方、染料は、耐光性、耐熱性や酸化性ガス耐性といった堅牢性が悪い反面、溶剤に可溶であるため取り扱い易く、高い着色力、透明性を示すことが知られている。しかしながら、染料であってもその構造によって溶解する溶剤が限定されるため、ある特定の溶剤に対しては乏しい溶解性を示すものがほとんどである。
溶剤溶解性の乏しい染料を用いて物体を着色する方法としては、例えば、通常顔料に適用される高度な分散技術を用いた湿式着色法や、真空蒸着などにより気相から物体上へ染料分子を析出させる乾式着色法などがある。湿式着色法は、溶剤溶解性の乏しい染料を溶剤中に微細に分散するために長時間の分散工程を必要とする上、分散助剤として種々の添加剤を加える必要があり、必ずしも適用範囲が広いとは言えない。また、揮発性の有機溶剤を用いるために、溶剤蒸気の回収設備などの環境負荷低減策を講じる必要がある。乾式着色法は、真空装置のような大型の設備が必要であり、更に気化温度での耐久性に優れる色素は数が限られているため、必ずしも適用範囲が広いとは言えない。
また、溶剤溶解性の乏しい染料に、溶剤と親和性の高い置換基を導入して溶解性を改善することも可能であるが、導入した置換基の影響によって諸特性が必ずしも置換基導入前の染料と同等になるとは限らない。
クマリン化合物も、目的とする用途で汎用的な特定の溶剤に溶解しない場合がある。例えば、カラーフィルター用途に使用する場合、レジスト溶媒として汎用的なプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等に溶解しないため、分散等の処理が必要となり、製造に時間やコストがかかってしまう。また、溶剤溶解性を得るために、PGMEAと親和性の高い置換基を導入する手法も考えられるが、導入した置換基の影響により、置換基導入前のクマリン化合物が有していたカラーフィルター用途における優れた色相を失う欠点がある。
特許文献1乃至4には、様々な色素の可溶性前駆体を製造して利用する手法が記載されているが、クマリン化合物に関するものは記載されていない。特許文献5及び6には、クマリン化合物を着色剤に用いたカラーフィルターに関する記載はあるが、分散剤や分散助剤として種々の添加剤を加えており、更には長時間の分散処理が必要なため、必ずしも適用範囲が広いとは言えない。特許文献7には、溶剤溶解性を向上させるためにクマリン化合物を造塩させた化合物が記載されているが、造塩によって従来の耐久性等の性質を失う欠点がある。また、本発明者らの検討の結果、クマリン化合物C.I.Disperse Yellow 82は、カラーフィルター用途に用いられる汎用的な有機溶剤への溶解性が不十分であった。
特開2007-284665号公報 特開2010-282074号公報 特許第5946174号 特開2013-064065号公報 特開2014-044419号公報 特開2015-091947号公報 特開2019-167488号公報
本発明は、溶剤溶解性の乏しいクマリン化合物を、分散技術を利用することなく着色剤として用いて種々の物質を着色する方法、及びその用途に適した着色組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、クマリン化合物に特定の置換基を導入することにより飛躍的に溶剤溶解性が向上する事を見出し、またその置換基は容易に脱離させることができる性質を利用して、置換基導入前のクマリン化合物の性質を失うことなく物体を着色できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)一般式(1)
Figure 2022158630000001
(式(1)中、R及びRは炭素数1乃至6のアルキル基を表す。R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基又はアミド基を表す。R乃至R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。R11は炭素数1乃至10のアルキル基を表す。)
で表される色素化合物、
(2)R11が炭素数1乃至4のアルキル基である前項(1)に記載の色素化合物、
(3)R乃至Rが水素原子である前項(1)又は(2)に記載の色素化合物、
(4)R乃至R10がそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、カルボキシ基又はスルホ基である前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の色素化合物、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の色素化合物、有機溶媒及びバインダー樹脂を含有する着色組成物、
(6)前項(5)に記載の着色組成物中において色素化合物の構造を変換する方法であって、有機溶媒に対する構造変換前の色素化合物の溶解度A質量%と有機溶媒に対する構造変換後の色素化合物の溶解度B質量%が、B/A<0.7の関係を満たす色素化合物の構造を変換する方法、及び
(7)前項(6)の方法を用いて着色した着色体、
に関する。
鮮明性及び発色性に優れるクマリン化合物に特定の置換基を導入した本発明の色素化合物は、有機溶媒への溶解性に優れることから、有機溶媒及びバインダー樹脂を併用した着色組成物とすること、及び該着色組成物を用いて着色体を作製することが容易である。また、導入した置換基は着色体作製後に容易に脱離できるため、置換基導入前のクマリン化合物の優れた諸特性を有する着色体が得られる。よって、本発明の化合物は、カラーフィルター用インキやインクジェット用インキ等の幅広い用途に応用できる。
図1は、本発明の色素化合物の熱分析試験の結果を示した図である。 図2は、比較用の化合物の熱分析試験の結果を示した図である。
本発明の色素化合物は、前記一般式(1)で表される。
式(1)中、R及びRは炭素数1乃至6のアルキル基を表す。
式(1)のR及びRが表す炭素数1乃至6のアルキル基は、炭素数1乃至6のアルキル基であれば直鎖状、分岐鎖状又は環状の何れにも限定されず、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
式(1)のR及びRが表す炭素数1乃至6のアルキル基としては、炭素数1乃至6の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数2乃至4の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
式(1)中、R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基又はアミド基を表す。
式(1)のR乃至Rが表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基及びt-ブチル基が挙げられる。
式(1)のR乃至Rが表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
式(1)のR乃至Rが表すアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、iso-プロポキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基及びt-ブトキシ基等が挙げられる。
式(1)のR乃至Rが表すアミド基の具体例としては、アセトアミド基、エチルカルボキサミド基、n-プロピルカルボキサミド基及びi-プロピルカルボキサミド基等が挙げられる。
式(1)のR乃至Rとしては、R乃至Rの全てが水素原子か、又はR乃至Rが水素原子でRがシアノ基が好ましく、R乃至Rの全てが水素原子がより好ましい。
式(1)中、R乃至R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。
式(1)のR乃至R10が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例は、式(1)のR乃至Rが表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じである。
式(1)のR乃至R10が表すハロゲン原子の具体例は、式(1)のR乃至Rが表すハロゲン原子の具体例と同じである。
式(1)のR乃至R10が表すアルコキシ基の具体例は、式(1)のR乃至Rが表すアルコキシ基の具体例と同じである。
式(1)のR乃至R10が表すアミド基の具体例は、式(1)のR乃至Rが表すアミド基の具体例と同じである。
式(1)のR乃至R10としては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、カルボキシ基又はスルホ基が好ましく、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はスルホ基がより好ましく、R及び/又はRが水素原子、塩素原子、メチル基又はスルホ基でそれ以外が水素原子が更に好ましい。
式(1)中、R11は炭素数1乃至10のアルキル基を表す。
式(1)のR11が表す炭素数1乃至10のアルキル基は、炭素数1乃至10のアルキル基であれば直鎖状、分岐鎖状又は環状の何れにも限定されず、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。
式(1)のR11が表す炭素数1乃至10のアルキル基としては、炭素数1乃至4アルキル基が好ましく、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、iso-ブチル基又はt-ブチル基が更に好ましい。
本発明の式(1)で表される色素化合物としては、R及びR、R乃至R、R乃至R10及びR11それぞれの好ましいものの組み合わせのものがより好ましく、より好ましいものの組み合わせのものが更に好ましい。
本発明の式(1)で表される色素化合物は、例えばDyes and Pigments,2000,47,79-89中に記載の公知技術で製造した下記式(4)で表されるクマリン化合物を、式(5)で表される化合物でカルボキシエステル化することにより製造することができる。その合成スキームを以下に示す。尚、下記式(2)乃至(5)中のR乃至R11は、それぞれ上記式(1)中のR乃至R11と同じ意味を表す。
Figure 2022158630000002
上記の合成スキームは、1ステップ目に示した1次縮合工程、2ステップ目に示したカルボキシエステル化工程によって、本発明の式(1)で表される色素化合物を合成する手法である。
先ず、1ステップ目に示した1次縮合工程では、市販品として入手可能な式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを、有機溶媒や塩基存在下、縮合することにより、式(4)で表されるクマリン化合物を得ることができる。次に、2ステップ目に示したカルボキシエステル化工程では、上記の1次縮合工程で得た式(4)で表されるクマリン化合物と式(5)で表される二炭酸ジアルキル(二炭酸ジ-t-ブチル等)とを有機溶媒や塩基存在下で反応させることにより、上記式(1)で表される本発明の色素化合物を得ることができる。
上記合成スキームの合成方法において用いる有機溶剤は、1ステップ目に示した1次縮合工程では、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロベンゼン及びアセトニトリル等を単独で、もしくは混合して使用することが好ましい。2ステップ目に示したカルボキシエステル化工程では、例えば、水、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサジン、酢酸エチル、エチレングリコール、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン及びベンゾニトリル等を単独で、若しくは混合して使用することが好ましい。
上記1ステップ目に示した1次縮合工程における反応温度は、10乃至120℃が好ましく、15乃至80℃がより好ましい。2ステップ目に示したカルボキシエステル化工程における反応温度は、10乃至150℃が好ましく、20乃至80℃がより好ましい。
上記1ステップ目に示した1次縮合工程及び2ステップ目に示したカルボキシエステル化工程に用いる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基、t-ブトキシカリウム、ピペラジン、ピペリジン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等の有機塩基を単独で、もしくは混合して使用することが好ましい。
以下に、本発明の式(1)で示される色素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2022158630000003
Figure 2022158630000004
Figure 2022158630000005
Figure 2022158630000006
Figure 2022158630000007
本発明の着色組成物は、式(1)で表される色素化合物、有機溶媒及びバインダー樹脂を含有する。
本発明の着色組成物における式(1)で表される色素化合物の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分(本発明の着色組成物が含有する溶媒類以外の全成分)に対して、通常0.0乃至50質量%、好ましくは1乃至20質量%である。
本発明の着色組成物が含有する有機溶媒は、従来公知のものであれば特に限定されないが、油溶性有機溶媒又は水溶性有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。有機溶媒の使用量は、着色組成物の全固形分100質量部に対して好ましくは40乃至10,000質量部、より好ましくは50乃至1,000質量部である。
油溶性有機溶媒の具体例としては、エタノール、ペンタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール及びテトラフルオロプロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールジアセテート等のグリコール誘導体;メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;ブチルフェニルエーテル、ベンジルエーテル及びヘキシルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、乳酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸エチル及びラウリン酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す。)、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチルピロリドン(以下、NMPと略す)及び2-ピロリドン等の極性有機溶媒等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、メトキシブタノール、ペンタノール及びベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリン等のアミン類;2-ピロリドン、NMP、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン等が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有するバインダー樹脂は従来公知のものであれば特に限定されないが、本発明の着色組成物をフォトリソグラフィーの手法に用いる場合は、以下に挙げられる1個以上のカルボキシ基又は水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、あるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これらの側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したもの、さらにアクリレートを付加させたエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は単独でも二種以上組み合わせても良い。
前記のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、エタクリル酸及びけい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸及びメサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタアクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができ、これらは単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
前記の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシ-3-メチル-ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール-モノ(メタ)アクリレート、2-(2-ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
尚、本明細書における「(メタ)アクリレート」との記載はアクリレート及びメタクリレートの両者を意味する。
また、前記の他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、o-クロルスチレン、m-クロルスチレン、p-クロルスチレン及びp-メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボルニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イル=(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-メチル=(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びtert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート及びアリロキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート及び3-アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及び安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル及びメタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-(メタ)アクリロイルフタルイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド及びマレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn-ブチルアクリレート、ポリn-ブチルメタクリレート及びポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができ、これらは単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体も有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、及びアクリル酸、アクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のACA-200M(ダイセル製)、ORGA-3060(大阪有機化学製)、AX3-BNX02(日本触媒製)、UXE-3024(日本化薬製)、UXE-3000(日本化薬製)、ZGA-287H(日本化薬製)、TCR-1338H(日本化薬製)、ZXR-1722H(日本化薬製)、ZFR-1401H(日本化薬製)、ZCR-1642(日本化薬製)も使用することができる。
本発明の着色組成物が含有するバインダー樹脂(共重合体)を製造する場合は、重合開始剤を使用する。ここで共重合体を合成するときに使用される重合開始剤の具体例としては、α,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、t-ブチルパーオクトエート、ジ-t-ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用割合は、共重合体の合成に使用する全ての単量体の合計に対して、0.01乃至25質量%である。また、共重合体を合成する場合は、下記で説明する有機溶剤を使用するのが好ましいが、使用する単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有するものを使用する。共重合体を合成するときの反応温度は50乃至120℃が好ましく、より好ましくは80乃至100℃である。また、反応時間は1乃至60時間が好ましく、より好ましくは3乃至20時間である。共重合体の好ましい酸価は10乃至300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10乃至200(mgKOH/g)である。酸価もしくは水酸基価の下限値を前記とすることにより、現像性に優れた着色組成物が得られる。共重合体の重量平均分子量(Mw)は2,000乃至400,000が好ましく、3,000乃至100,000がより好ましい。重量平均分子量を前記の範囲とすることにより、感度及び現像性等に優れた着色組成物が得られる。
尚、ここでいう酸価はJIS K-2501に準じた方法で、水酸基価はJIS K-1557に準じた方法でそれぞれ測定した値を意味し、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した値を意味する。
バインダー樹脂は、本発明の着色組成物に単独で又は二種以上を混合して使用することができる。本発明の着色組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、通常1乃至99質量%、好ましくは10乃至98質量%、より好ましくは30乃至97質量%である。
本発明の着色組成物は、式(1)で表される色素化合物、有機溶媒及びバインダー樹脂以外の成分(以下、「その他の成分」と記載する)を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば分散剤、樹脂類、硬化剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、表面調整剤、消泡剤、防腐・防黴剤、pH調整剤及び式(1)で表される色素化合物以外の色素等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を着色組成物の用途や用法に合せて特に制限なく用いることができる。
本発明の着色組成物が含有し得る分散剤としては、油溶性有機溶媒と併用し得る分散剤、水溶性有機溶媒や水と併用し得る分散剤又はその他の樹脂系分散剤等が挙げられる。
油溶性有機溶媒と併用し得る分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートのアンモニウム塩、ポリオキシアルキルエーテル燐酸エステル塩等公知のアニオン界面活性剤、ビニルナフタレン誘導体、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、又はこれらの塩等の高分子分散剤等が挙げられる。
水溶性有機溶媒や水と併用し得る分散剤としては、界面活性剤の他、高分子分散剤を好適に使用することができる。高分子分散剤の具体例としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、アクリル酸塩-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
また、その他の樹脂系分散剤としては、ポリウレタン樹脂系、ポリカルボン酸系、ポリアミド樹脂系及びポリエステル樹脂系等の分散剤が挙げられる。樹脂系分散剤の具体例としては、例えば、ED211(楠本化成製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製)ソルスパース71000(アビシア製)等である。
これらの分散剤類は、本発明の着色組成物が含有する式(1)で表される色素化合物及び任意に含有し得る式(1)で表される色素化合物以外の色素に対して、通常500質量%以下、好ましくは10乃至450質量%、より好ましくは80乃至400質量%が用いられる。
本発明の着色組成物が含有し得る樹脂類としては、例えばポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系及びポリアクリル系の樹脂等が挙げられ、これらは従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
本発明の着色組成物が含有し得る硬化剤としては、ラジカル重合の場合は光重合モノマー、イオン硬化の場合はエポキシ樹脂、その他にメラミン硬化剤等が挙げられる。これらの具体例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9-ビス〔4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP-1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA-30(日本化薬製)、UA-33H(新中村化学製)、UA-53H(新中村化学製)、M-8060(東亞合成製);チオール系重合モノマーとして、TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)、DPMP(堺化学製);エポキシ樹脂としては、日本化薬製品のNC―6000、NC-3000、EOCN-1020、XD-1000、EPPN-501H、BREN-S、NC-7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、サイラエースS510(チッソ製)、TEPIC(日産化学工業製)等;メラミン硬化剤としてはメチロール化メラミンやMw-30(三和ケミカル製)等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を混合して使用することができる。これらの含有量は、着色組成物の全固形分100質量部に対して通常80質量部以下、好ましくは5乃至30質量部である。
本発明の着色組成物が含有し得る光重合開始剤としては、露光光源として一般的に用いられる超高圧水銀灯から射出される紫外線に充分感度を有するものが好ましく、ラジカル重合性の光ラジカル開始剤、イオン硬化性の光酸発生剤もしくは光塩基発生剤等が挙げられる。光重合では、より少ない露光エネルギーで硬化をさせるような増感剤と呼ばれる重合促進剤の成分を組み合わせて使用することができる。使用できる光重合開始剤は特に制限は無いが、具体例としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2-ブトキシエチル-4-メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、メチルアミノメチルベンゾエート、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリブロモメチル)-6-(4’-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1,3-ベンゾジオキソラン-5-イル)-1,3,5-s-トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-o-アセタート、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、ジアゾナフトキノン系開始剤、また市販のカヤキュアーDMBI、カヤキュアーBDMK、カヤキュアーBP-100、カヤキュアーBMBI、カヤキュアーDETX-S、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬製)、ダロキュアー1173、ダロキュアー1116(いずれもメルクジャパン製)、イルガキュアー907(BASFジャパン製)、イルガキュアー369(BASFジャパン製)、イルガキュアー379EG(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE-01(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE-02(BASFジャパン製)、イルガキュアーPAG103(BASFジャパン製)、TME-トリアジン(三和ケミカル製)、ビイミダゾール(黒金化成製)、STR-110、STR-1(いずれもレスペケミカル製)等が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有し得る熱重合開始剤としては、アゾ系化合物や有機過酸化物系のものがあるが、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、過酸化ジ-t-ブチル、ジベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
これらの光重合開始剤や熱重合開始剤は、必要に応じて単独又は二種以上組み合わせて使用することができる。これら開始剤の含有量は、着色組成物の固形分を100質量部に対して通常50質量部以下、好ましくは1乃至25質量部である。
本発明の着色組成物が含有し得る表面調整剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物等の公知のノニオン系、ポリシロキサン系あるいはポリジメチルシロキサン系の界面活性剤が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン系、アセチレン系の公知の消泡剤が挙げられる。
防腐・防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン-1-オキサイド、ジンクピリジンチオン-1-オキサイド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、1-ベンズイソチアゾリン-3-オンのアミン塩等の公知の防腐・防黴剤が挙げられる。
pH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類等の公知のpH調整剤が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有し得る式(1)で表される色素化合物以外の色素としては、有機顔料、無機顔料及び染料等が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有し得る有機顔料に特に制限はないが、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、キサンテン系等の顔料;酸性染料、塩基性染料、直接染料等をそれぞれの沈澱剤で不溶化したレーキ顔料、染付けレーキ顔料等が挙げられる。より具体的にはカラーインデックスで、例えば、ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79;ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、4、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50;ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、122、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279;ピグメントオレンジ43、71、73;ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214;ピグメントグリーン7、36、58、59、60、61、62、63等が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有し得る無機顔料に特に制限はないが、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、アンチモン白、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドニウムエロー、カドニウムレッド、亜鉛、マンガン紫、コバルト紫、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。
本発明の着色組成物が含有し得る染料に特に制限はなく、酸性染料、塩基性染料、直接染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、反応染料、分散染料等が挙げられる。有機溶媒を併用する場合は、有機溶媒に可溶なものが好ましいが、有機溶媒に不溶な染料でも分散体とする事で適宜使用することができる。有機溶媒に不溶な染料はよく知られた処方として、例えば酸性染料の場合は、有機アミン化合物(例えばn-プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等)を反応させアミン塩染料に変性するか、又はそのスルホン酸基に同有機アミン化合物を反応させてスルホンアミド基を有する染料等に変性することが知られている。それらアミン変性した染料も本発明の着色組成物に使用可能である。その具体的な染料としては、カラーインデックスで、例えばC.I.ナンバーのアシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、80、83、86、87、90、92、96,103、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、243、249、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324、335、340;ベーシックブルー7、11、15、26;ソルベントブルー2、3、4、5、6、23、25、35、37、38、43、55、59、67、72、124;ベーシックバイオレット10;アシッドバイオレット17、49;ソルベントバイオレット4、5、14;ベーシックレッド1、10、29;アシッドレッド91、92、97、114、138、151、289;ソルベントレッド45、49、127;アシッドイエロー17、23、25、29、38、40、42、76;ソルベントイエロー4、14、15、24、76、81、82、94、98、162;ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;アシッドグリーン9、16等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、式(1)で表される色素化合物、有機溶媒及びバインダー樹脂とその他の成分を、ディゾルバーやホモミキサー等により混合撹拌して製造される。顔料や溶解性の低い染料を併用する場合は、適当な分散剤を用いてペイントシェーカー等の分散機により分散体を得て、着色組成物に加えて混合してもよく、調製した着色組成物から異物等を取り除くためにフィルター等で精密ろ過をする事もできる。
本発明の色素化合物は、着色組成物として各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用着色組成物に用いられる。着色組成物は、例えば普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、プラスチック基板などの被着色材料に用いられる。また、本発明の着色組成物を被着色材料に付与する方法としては、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの各種印刷方法あるいはスピンコーター、ロールコーターなどによる塗工方法が挙げられる。
次に、本発明の式(1)で表される色素化合物を、化学的手段、光分解的手段及び/又は熱的手段を用いて、下記のスキームにより示されるように脱カルボキシエステル化させることにより上記式(4)で表される色素化合物(クマリン化合物)へと構造を変換する方法について説明する。
Figure 2022158630000008
化学的手段とは、酸または塩基などの触媒により、式(1)で表される色素化合物を式(4)で表される色素化合物へと変換する方法である。触媒として好ましくは、酸であり、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、乳酸、クエン酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、p-トルエンスルホン酸及びサリチル酸等が挙げられる。
光分解的手段とは、外部からの光によって式(1)で表される色素化合物を式(4)で表される色素化合物へと変換する方法である。光分解的手段に用いられる光源は、式(1)で表される色素化合物が吸収を有する光を発するものであれば特に限定されないが、具体的には、高圧水銀灯、低圧水銀灯、タングステンランプ、LEDランプ及びレーザー光源等が挙げられる。
熱的手段とは、式(1)で表される色素化合物を含有する着色組成物を無溶媒あるいは溶媒の存在下で50乃至300℃に加熱する方法であり、加熱温度としては70乃至250℃が好ましく、100乃至230℃がより好ましい。
式(1)で表される色素化合物を式(4)で表される色素化合物へと構造変換する方法については、上記化学的手段、上記光分解的手段又は熱的手段を2つ以上併用することもできる。
これらの内、塗膜の脱溶剤方法としても一般的に用いられている熱的手段は、塗膜の脱
溶剤と式(1)で表される色素化合物の脱カルボキシエステル化を同時に行なうことができる点で好ましい。熱的手段は空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは導電性支持体側から加熱することによって行なわれ、加熱温度は、加熱時間や電磁波照射の有無、分解触媒の存否等の他の条件にもよるが、塗膜に用いられる溶剤の沸点以上であることが好ましい。
塗膜には、式(1)で表される色素化合物を含有する上記着色組成物を使用することもできる。例えば、式(1)で表される色素化合物を含有する着色組成物を用いた塗膜等により着色された着色体に、上記化学的手段、光分解的手段及び/又は熱的手段を用いて脱カルボキシエステル化することにより、式(4)で表される色素化合物へと変換された着色体を得ることができる。
式(1)で表される色素化合物の上記有機溶媒に対する溶解度A質量%と式(1)で表される色素化合物を脱カルボキシエステル化した後の色素化合物の上記有機溶媒に対する溶解度B質量%は、B/A<0.7の関係を満たすことが好ましく、B/A<0.6の関係を満たすことがより好ましく、B/A<0.5の関係を満たすことが更に好ましい。
式(1)で表される色素化合物の上記有機溶媒に対する溶解度は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。
式(1)で表される色素化合物を脱カルボキシエステル化した後の色素化合物の上記有機溶媒に対する溶解度は、0.5質量%未満であることが好ましい。
尚、溶解度A質量%及びB質量%は溶媒種によって変動するため、それぞれ単独の好ましい溶解度の組み合わせが好ましいとは限らない。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準であり、また反応温度は内温である。
熱分析試験は、示差熱熱重量同時測定装置「エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製 TG/DTA6200」により測定し評価した。また、実施例中、合成によって得られた化合物は、液体クロマトグラフィー-質量分析装置「Waters製 ACQUITY UPLC(登録商標)/LCT Premier XE」(以下、LC-MSと略記)によって同定した。液体クロマトグラフィー測定条件は以下の通りである。
カラム;Inertsil ODS-2(5μm、3.0mm×250mm)
移動相;A液;5mM酢酸アンモニウム水、B液;アセトニトリル
グラジエント(B液);50%→(25分間)→90%→(5分間)→99%
観測波長;254nm、カラム温度;40℃、流量;0.4ml/mim
実施例1(上記具体例のNo.1で表される色素化合物の合成)
(工程1-1)
500ml四つ口フラスコに、4-(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒド(東京化成工業社製)7.7部、(2-ベンゾイミダゾリル)アセトニトリル(東京化成工業社製)6.6部、ピペリジン(東京化成工業社製)3.4部及びエタノール122部を入れ、76℃で2時間攪拌した。その後、反応液を10℃まで冷却し、析出した結晶をろ取した。
次に、ろ取した結晶を500ml四つ口フラスコに全量投入し、エタノール120部及び15%塩酸70部を入れ、室温で15時間攪拌した。析出した結晶をろ取、洗浄、乾燥することにより、下記式(100)で表される中間体化合物を12.0部得た。
Figure 2022158630000009
(工程1-2)
200ml四つ口フラスコに、工程1-1で得られた中間体化合物(100)4.0部、二炭酸ジ-t-ブチル(東京化成工業社製)3.1部、トリエチルアミン1.5部、4-ジメチルアミノピリジン(東京化成工業社製)0.1部及びジメチルスルホキシド40部を入れ、60℃で3時間攪拌した。反応液に水5部を添加し、析出した結晶をろ取、洗浄、乾燥することにより、本発明のNo.1で表される色素化合物4.4部の淡黄色結晶を得た。
前記で得られたNo.1で表される色素化合物の極大吸収波長及びLC-MSの測定結果は以下のとおりであった。
極大吸収波長:409nm(メタノール)
LC-MS測定値:保持時間;18.4分間、計算値(Exact Mass)433.20;、実測値([M+H]+);434.2
(熱分析試験)
5μLのアルミパン容器に、実施例1で得られたNo.1で表される色素化合物又は工程1-1で得られた式(100)で表される中間体化合物を5mg秤取り、それぞれ熱分析により熱重量減少率の測定を行なった。結果を図1及び図2に示した。
熱分析のプログラム条件:
開始温度:30℃、 終点温度500℃、
昇温レート10℃/10mim、 ホールド時間0mim
図1の結果から、本発明のNo.1で表される色素化合物は、180℃付近に24.2%の質量減少が観測された。これは、No.1で表される化合物のカルボキシエステル基の脱離に伴う質量減少率の理論値23.1%とほぼ一致する。
一方で、図2の結果から、式(100)で表される中間体化合物は、250℃付近で分解するまで質量減少は観測されなかった。
(No.1で表される色素化合物の脱カルボキシエステル化物の作製)
サンプル瓶に、実施例1で得られたNo.1で表される色素化合物を100mg秤取り、200℃に加温した定温乾燥オーブン(アドバンテック社製、型番:DRN320DB)で30分間加温する熱的手段を施すことによって脱カルボキシエステル化物を得た。
前記で得られた脱カルボキシ化物の極大吸収波長及びLC-MSの測定結果は以下のとおりであった。
極大吸収波長:438nm(メタノール)
LC-MS測定値:保持時間;12.2分間、計算値(Exact Mass)333.15;、実測値([M+H]+);334.1
また、上記中間体化合物(100)の極大吸収波長及びLC-MSの測定結果は以下のとおりであった。
極大吸収波長:438nm(メタノール)
LC-MS測定値:保持時間;12.2分間、計算値(Exact Mass)333.15;、実測値([M+H]+);334.1
以上のことから、No.1で表される色素化合物に熱的手段を施すことによって得た脱カルボキシエステル化物は、上記中間体化合物(100)と同一構造であると言える。
(各種溶剤への溶解度試験)
サンプル瓶に実施例1で得られたNo.1で表される色素化合物又は比較対象として上記で得られたNo.1で表される色素化合物の脱カルボキシエステル化物を10.0mg秤取り、有機溶媒を少しずつ添加して色素化合物又は脱カルボキシエステル化物が完全に溶解した時の質量を測定することにより、各化合物の溶剤への溶解度(質量%)を算出した。No.1で表される色素化合物の溶解度A質量%と脱カルボキシエステル化物の溶解度B質量%の値から、B/Aの値を算出した。表1に結果を示した。尚、表1中の有機溶媒は、溶解性試験に用いた有機溶媒であり、PGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PGMEはプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
Figure 2022158630000010
表1の結果より、本発明の式(1)で表される色素化合物(No.1で表される色素化合物)は、式(100)で表される中間体化合物よりも有機溶媒への溶解性が向上しており、また、脱カルボキシエステル化物よりも有機溶媒への溶解性が高いことは明らかである。即ち、式(1)で表される色素化合物は、脱カルボキシエステル化物よりも取り扱いが容易であることを意味する。
合成例A(バインダー樹脂の合成)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部及びα,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥し、バインダー樹脂を得た。得られたバインダー樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は18,000であり、JIS K2501に準じて測定した酸価は152(mgKOH/g)であった。
実施例2、比較例1(着色組成物及び着色体の作製)
実施例1で得られたNo.1で表される色素化合物、式(100)で表される中間体化合物、有機溶媒としてγ-ブチロラクトン及びバインダー樹脂として合成例Aで得られたバインダー樹脂を表2に記載の組成比で混合し、超音波で15分間処理することにより、本発明の着色組成物及び比較用の着色組成物をそれぞれ作製した。
Figure 2022158630000011
実施例2及び比較例1で得られた着色組成物をガラス基板にスピンコートした後、80℃で10分間及び200℃で10分間乾燥して溶剤を除去すると同時にカルボキシエステル基を脱離させることにより、本発明及び比較例の着色体の作製を試みた。実施例2で得られた着色組成物を用いた場合は良好な外観の着色体が得られたが、比較例1の着色組成物を用いた場合は、着色組成物中に不溶解分として残存していた式(100)で表される色素化合物が表面に析出しており、良好な外観の着色体を得ることはできなかった。
産業上の利用の可能性
鮮明性及び発色性に優れるクマリン化合物に特定の置換基を導入した本発明の色素化合物は、有機溶媒への溶解性に優れることから、有機溶媒及びバインダー樹脂を併用した着色組成物とすること、及び該着色組成物を用いて着色体を作製することが容易である。また、導入した置換基は着色体作製後に容易に脱離できるため、置換基導入前のクマリン化合物の優れた諸特性を有する着色体が得られる。よって、本発明の化合物は、カラーフィルター用インキやインクジェット用インキ等の幅広い用途に応用できる。

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 2022158630000012
    (式(1)中、R及びRは炭素数1乃至6のアルキル基を表す。R乃至Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基又はアミド基を表す。R乃至R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。R11は炭素数1乃至10のアルキル基を表す。)
    で表される色素化合物。
  2. 11が炭素数1乃至4のアルキル基である請求項1に記載の色素化合物。
  3. 乃至Rが水素原子である請求項1又は2に記載の色素化合物。
  4. 乃至R10がそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、カルボキシ基又はスルホ基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の色素化合物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の色素化合物、有機溶媒及びバインダー樹脂を含有する着色組成物。
  6. 請求項5に記載の着色組成物中において色素化合物の構造を変換する方法であって、有機溶媒に対する構造変換前の色素化合物の溶解度A質量%と有機溶媒に対する構造変換後の色素化合物の溶解度B質量%が、B/A<0.7の関係を満たす色素化合物の構造を変換する方法。
  7. 請求項6の方法を用いて着色した着色体。
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