JP2022158461A - パワーアシスト付き車両 - Google Patents

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弘人 吉岡
Hiroto Yoshioka
誠一 勅使河原
Seiichi Teshigawara
玄明 千葉
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Abstract

【課題】車両に同伴者の車両に対する位置が限定されず、緊急時に車両が適切に停止するパワーアシスト付き車両を提供する。【解決手段】パワーアシスト付き車両21は、進行方向を変更する機構を有し、面上を移動する移動ユニット2と、移動ユニットを駆動する複数の駆動装置と、車両に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、加速度の方向と、車両の姿勢を計測する少なくとも1つの計測装置34と、車両の周囲を監視する監視装置36,37と、計測装置で計測された加速度の方向に応じて、移動ユニット2の進行方向を制御するとともに、計測装置34で計測された加速度の大きさと車両の姿勢に応じて、駆動装置の各々の補助動力を制御する制御装置とを備える。制御装置は、監視装置36,37の監視結果に基づいて、緊急時に駆動装置のすべてを停止させる。【選択図】図4

Description

本発明は、パワーアシスト付き車両に関する。
特許文献1は、手術台のためのフロアプラットホームを開示する。このフロアプラットホームは、4つのメカナムホイールを有し、平面上をいかなる方向においても移動可能である。メカナムホイールは、手術台に力またはモーメントが与えられると、その力またはモーメントに比例する速度でフロアプラットホームが移動するように駆動される。
特許文献2は、病弱者や荷物等の移動に使用されるパワーアシスト付き搬送装置を開示する。このパワーアシスト付き搬送装置は、駆動輪の回転速度と、ハンドルを操作する力に基づいて、駆動輪に与えるべき走行補助力を制御する。
特許文献3は、医療用のストレッチャーに着脱自在であるストレッチャーの装着ユニットを開示する。このストレッチャーの装着ユニットは、電動モーターを有し、介助者の指令に従って走行する。
特表2017-536150号公報 特開2006-1426号公報 特開2000-107230号公報
上記の従来の車両は、車両の走行を制御するため、車両に同伴者が操作するユーザインタフェースを有する。具体的には、特許文献1のフロアプラットホームは、解除スイッチを有し、人間が解除スイッチを操作しなければ、フロアプラットホームが移動しないようになっている。特許文献2のパワーアシスト付き搬送装置は、電源スイッチと非常停止スイッチを有するコントロールパネルを有する。特許文献3の装着ユニットは、ストレッチャーの前進と後退を指令する前進ボタンと後退ボタンを有する。
しかし、人間が操作するユーザインタフェースに車両の移動を依存する場合、車両に同伴者の車両に対する位置が限定される。また、緊急時に人間がユーザインタフェースを適切に操作しなければ、車両が適切に停止しないおそれがある。
そこで、本発明は、車両に同伴者の車両に対する位置が限定されず、緊急時に車両が適切に停止するパワーアシスト付き車両を提供することを目的とする。
本発明のある態様では、進行方向を変更する機構を有し、面上を移動する移動ユニットと、前記移動ユニットを駆動する複数の駆動装置と、車両に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、前記加速度の方向と、前記車両の姿勢を計測する少なくとも1つの計測装置と、前記車両の周囲を監視する監視装置と、前記計測装置で計測された加速度の方向に応じて、前記移動ユニットの進行方向を制御するとともに、前記計測装置で計測された加速度の大きさと前記車両の姿勢に応じて、前記駆動装置の各々の補助動力を制御する制御装置とを備えるパワーアシスト付き車両が提供される。前記制御装置は、前記監視装置の監視結果に基づいて、緊急時に前記駆動装置のすべてを停止させる。
本発明の態様においては、計測装置の計測結果に応じて、制御装置が移動ユニットの進行方向および移動ユニットを駆動する駆動装置の補助動力を制御する。また、監視装置の監視結果に基づいて、制御装置が緊急時に前記駆動装置のすべてを停止させる。したがって、同伴者が操作するユーザインタフェースが不要である。このため、車両に対する車両の同伴者の位置がユーザインタフェースの近辺に限定されず、車両のどこに同伴者が推進力を与えても、また推進力を与える同伴者が何人いても、駆動装置には補助動力が与えられる。また、緊急時に同伴者の指令がなくても、車両が適切に停止する。さらに、制御装置は、加速度の大きさだけでなく、車両の姿勢に応じて、補助動力を制御するので、移動ユニットが移動する面が傾斜していて車両が傾斜している場合に、車両が誤作動することなく、適切な補助動力を駆動装置に与えることができる。
本発明の実施形態に係るパワーアシスト付き車両の基本構成を示す斜視図である。 図1のパワーアシスト付き車両の移動ユニットの概略平面図である。 医療用ストレッチャーに取り付けられた図1のパワーアシスト付き車両の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るパワーアシスト付き車両の側面図である。 図4のパワーアシスト付き車両のブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るパワーアシスト付き車両の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係るパワーアシスト付き車両の側面図である。 図7のパワーアシスト付き車両のブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るパワーアシスト付き車両の側面図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
基本構成
図1に示すように、本発明の実施形態に係るプラットフォーム車両(パワーアシスト付き車両)1は面上を移動する移動ユニット2を有する。移動ユニット2は、サスペンション付き四輪メカナムホイールユニットであり、面上をあらゆる方向に進行することができる。すなわち、移動ユニット2は、進行方向を変更する機構を有する。但し、図において、移動ユニット2の主要進行方向MDが示されている。主要進行方向MDは、移動ユニット2が移動する際に、移動ユニット2が置かれた面に相対的に進行することが多い方向であり、移動ユニット2を利用する用途によっては一義的に定まらないこともある。
図2に示すように、移動ユニット2は、4つのメカナムホイール4、4つのホイール支持ハウジング6、4つのモーター(駆動装置)8、4つのサスペンション10、およびフレーム12を有する。各メカナムホイール4はモーター8の回転軸8aに固定されている。したがって、モーター8は、メカナムホイール4、ひいては移動ユニット2を駆動する。各モーター8はサスペンション10を介してホイール支持ハウジング6に支持されている。したがって、移動ユニット2では、独立懸架方式で4つのメカナムホイール4が支持されている。4つのモーター8を駆動することにより、移動ユニット2は面上をあらゆる方向に進行することができる。メカナムホイールユニットが進行方向を変更する方式は公知であるので、説明を省略する。
4つのホイール支持ハウジング6は剛的なフレーム12に固定されており、4つのホイール支持ハウジング6の相互の位置は不変である。移動ユニット2が主要進行方向MDを有する場合には、メカナムホイール4は、主要進行方向MDに沿って配置すると、モーター8のエネルギーに対する運動効率等が良いため、好ましい。
実施形態に係るプラットフォーム車両1は、人間が横たわる医療用ストレッチャーに取り付けられる。このため、図1に示すように、移動ユニット2が固定されたフレーム12は、ストレッチャーの長尺な下部フレーム14に固定されている。下部フレーム14は、移動ユニット2が移動する面に平行に設けられている。
ストレッチャーの下部フレーム14は、互いに平行な2つのバー14aと、バー14aを連結する連結ロッド14b,14cを有する。連結ロッド14bはバー14aの両端を連結し、連結ロッド14cはバー14aの途中部分を連結する。下部フレーム14は、バー14aに固定されたリンクロッド14dをさらに有する。
移動ユニット2はストレッチャーの下部フレーム14の中央に配置されている。移動ユニット2は、下部フレーム14に着脱自在に取り付けられている。具体的には、移動ユニット2のフレーム12には、下向きに延びる2つのバー16が固定され、バー16にはそれぞれコネクター18が固定されている。各コネクター18には、下部フレーム14のバー14aが固定されている。
図1の構造は、中心軸線Axを通る鉛直な面について鏡像対称である。移動ユニット2が主要進行方向MDを有する場合には、中心軸線Axは主要進行方向MDに沿って向けられている。
図3に示すように、プラットフォーム車両1は医療用ストレッチャー20に取り付けられて、医療用ストレッチャー20を搬送するために使用される。プラットフォーム車両1と医療用ストレッチャー20の組み合わせを、以下、ストレッチャー車両21と呼ぶ。ストレッチャー車両21もパワーアシスト付き車両と考えることができる。
ストレッチャー20は、上述の下部フレーム14、ベッド22、2つの側壁24、および2つのリンク機構26を有する。ベッド22には人間が横たわる。側壁24はベッド22の両側に取り付けられている。医療用ストレッチャー20は、搬送される人間の足を前にし、頭部を後ろにして移動させるのが原則であるため、主要進行方向MDは図3に示す方向となる。
側壁24には貫通孔24a,24bが形成されており、同伴者はいずれかの貫通孔24a,24bに指を差し込んで側壁24をハンドルとして使用し、ストレッチャー車両21に推進力を与えることができる。但し、同伴者が力を与える場所は、側壁24に限定されない。
リンク機構26の下端は、下部フレーム14に取り付けられたリンクロッド14dに取り付けられ、リンク機構26,27の上端はベッド22に取り付けられている。リンク機構26,27の各々は、複数のアームと、これらのアームを連結するロッドピンを有しており、リンク機構26,27を調整することにより、移動ユニット2が移動する走行面28からのベッド22の高さおよびベッド22の姿勢を変更することができる。
ストレッチャー車両21は、さらに4つのキャスター30を有する。キャスター30は下部フレーム14の2つのバー14a(図1参照)の両端に支柱32を介して取り付けられている。キャスター30も走行面28の上をあらゆる方向に移動可能である。
移動ユニット2は、小型であり、ストレッチャー車両21の高さに比べて、小さい高さを有する。したがって、多くのタイプの既存のストレッチャー20の下部に移動ユニット2を取り付けることができる。
また、移動ユニット2では、独立懸架方式で4つのメカナムホイール4が支持されている。したがって、メカナムホイール4の移動に伴う振動がストレッチャー20のベッド22に伝達されにくく、走行面28に段差があっても衝撃がベッド22に伝達されにくく、さらにメカナムホイール4の破損のおそれが少ない。
後述する本発明の様々な実施形態では、ストレッチャー車両21の走行を制御するために、ストレッチャー車両21に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、加速度の方向と、車両の姿勢を計測する計測ユニットと、ストレッチャー車両21の周囲を監視する監視装置が設けられている。
第1の実施形態
図4に示すように、第1の実施形態に係るストレッチャー車両21は、計測ユニットとしての単一のIMU(慣性計測装置)34と、監視装置としてのライダー装置36,37を有する。
IMU34は、図示しないが、3軸の角度と角速度と角加速度を計測する3つのジャイロスコープと、3軸の加速度を計測する3つの加速度センサーを有する。IMU34は移動ユニット2に搭載されている。図2に示すように、IMU34は、ストレッチャー車両21を上から見た場合、移動ユニット2の中心、ひいてはストレッチャー車両21の中心に配置されている。IMU34は、ストレッチャー車両21に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、加速度の方向と、ストレッチャー車両21の姿勢(移動ユニット2の傾斜角)を計測することができる。
ライダー装置36,37は、プラットフォーム車両1のフレーム12の前端(主要進行方向MD側の端部)と後端(反対側の端部)に取り付けられている。ライダー装置36,37は、仮想線の矢印で示すように、移動ユニット2が移動する走行面28に平行な方向に沿ってストレッチャー車両21の周囲を監視する2次元ライダー装置である。ライダー装置36,37は、走行面28に平行な方向だけでなく、3次元にストレッチャー車両21の周囲を監視する3次元ライダー装置であってもよい。ライダー装置36,37が少なくとも移動ユニット2が移動する面に平行な方向に沿ってストレッチャー車両21の周囲を監視することで、ストレッチャー車両21の周囲の異常を検知することができる。
フレーム12の前端に取り付けられたライダー装置36は、主要進行方向MDを中心にした視野角を監視し、フレーム12の後端に取り付けられたライダー装置36は、主要進行方向MDと反対方向を中心にした視野角を監視する。
ライダー装置36,37の数は限定されない。例えば、フレーム12の前端に取り付けられたライダー装置36だけを設けて、主要進行方向MDを中心にした視野角を主に監視してもよい。あるいは、走行面28に平行な方向の視野角が360度の2次元または3次元のライダー装置を1つだけフレーム12のいずれかの位置に取り付けてもよい。
但し、複数のライダー装置36,37を設けることが好ましい。単一のライダー装置の場合、リンク機構26,27に隠された死角がありうるが、複数のライダー装置を設けることにより、システム全体にとって死角を減少させることができる。
図5は、ストレッチャー車両21のブロック図である。ストレッチャー車両21は、メイン制御装置40、記憶装置42、および4つのモーター駆動回路44をさらに有する。
メイン制御装置40は、例えばCPUであり、記憶装置42に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作し、プラットフォーム車両1の走行に関する制御を実行する。
記憶装置42は、メイン制御装置40が準拠するコンピュータプログラムを記憶する。記憶装置42は、例えばROM、ハードディスク、SSDである。
また、記憶装置42には、ライダー装置36,37の過去の監視結果が記憶されている。また、記憶装置42には、ストレッチャー車両21が主に利用される場所の最新の地図情報が記憶されてもよい。プログラムと監視結果と地図情報とは、1つの記憶装置42に記憶されている必要性はなく、別個の記憶装置に記憶されていてもよい。
4つのモーター駆動回路44は、メイン制御装置40の指令を受けて4つのモーター8をそれぞれ駆動する。
メイン制御装置40は、コンピュータプログラムに従って、IMU34で計測された加速度(ストレッチャー車両21に同伴者が与えた加速度)の方向に一致するように、移動ユニット2の進行方向を制御する。移動ユニット2は走行面28上をあらゆる方向に進行可能なメカナムホイールユニットである。したがって、同伴者の意図に沿って、移動ユニット2の進行方向を制御することができる。
また、メイン制御装置40は、コンピュータプログラムに従って、IMU34で計測された加速度の大きさとストレッチャー車両21の姿勢(移動ユニット2の傾斜角)に応じて、モーター8の各々の補助動力を制御するよう、モーター駆動回路44に指令を供給する。したがって、同伴者が与えた力が小さくても、モーター8の補助動力がストレッチャー車両21に与えられ、ストレッチャー車両21は推進させられる。
メイン制御装置40は、同伴者が加速すれば、進行方向に関与するモーター8も加速し、同伴者が定速で移動すれば、進行方向に関与するモーター8も低速で回転し、同伴者が減速すれば、進行方向に関与するモーター8も減速するように、モーター駆動回路44を制御する。また、メイン制御装置40は、ベッド22に横たわる人間に大きな衝撃を与えないように、急発進および急制動をなるべく避けるようにモーター8の補助動力を制御する。
さらに、メイン制御装置40は、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、緊急時にモーター8のすべてを停止させ、ストレッチャー車両21を制動する。具体的には、メイン制御装置40は、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、ストレッチャー車両21の周囲に同伴者がいない場合には、モーター8のすべてを停止させる。したがって、万一、ストレッチャー車両21の同伴者がストレッチャー車両21から離れた場合、ストレッチャー車両21が適切に停止し、不測の事故を防止することができる。
メイン制御装置40は、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、ストレッチャー車両21の同伴者と、それ以外の何か(例えば、通りすがりの人間、移動ユニット2の進行方向にある障害物)を区別することができる。具体的には、ライダー装置36,37の過去の監視結果において、ストレッチャー車両21に対する位置がほとんど変わらない物体は、わずかに人間の脚がストレッチャー車両21に対して動いたとしても、同伴者である。
メイン制御装置40は、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、移動ユニット2の進行方向に移動の障害がある場合には、モーター8のすべてを停止させる。メイン制御装置40は、移動ユニット2の進行方向に移動の障害がある場合、ストレッチャー車両21の同伴者が障害に気付かなくても、ストレッチャー車両21を適切に停止させる。したがって、ストレッチャー車両21の衝突事故を防止することができる。「障害」とは、通りすがりの人間および動物、例えば病院内を移動している医療器具ワゴンなどの物体、例えば止まっているごみ箱、医療器具ワゴンなどの物体、ならびにストレッチャー車両21からの落下物を含む。上記のように、メイン制御装置40は、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、ストレッチャー車両21の同伴者と、それ以外の何かを区別することができる。また、メイン制御装置40は、ストレッチャー車両21が主に利用される場所の最新の地図情報を参照し、ライダー装置36,37では認識されているが地図情報にない物体を障害であると判断してもよい。
以上のように、メイン制御装置40は、IMU34の計測結果に応じて、移動ユニット2の進行方向および移動ユニット2を駆動するモーター8の補助動力を制御する。また、ライダー装置36,37の監視結果に基づいて、メイン制御装置40が緊急時にモーター8のすべてを停止させる。したがって、ストレッチャー車両21には、同伴者が操作するユーザインタフェースが不要である。このため、ストレッチャー車両21の同伴者の車両に対する位置がユーザインタフェースの近辺に限定されず、ストレッチャー車両21のどこに同伴者が推進力を与えても、また推進力を与える同伴者が何人いても、モーター8には補助動力が与えられる。
また、緊急時に同伴者の指令がなくても、ストレッチャー車両21が適切に停止する。さらに、メイン制御装置40は、加速度の大きさだけでなく、ストレッチャー車両21の姿勢(移動ユニット2の傾斜角)に応じて、補助動力を制御するので、移動ユニット2が移動する走行面28が傾斜していてストレッチャー車両21が傾斜している場合に、ストレッチャー車両21が誤作動することなく、適切な補助動力をモーター8に与えることができる。
さらに、この実施形態では、図5に示す制御関連のすべての要素が移動ユニット2に搭載されている。したがって、これらの要素間の配線が容易である。また、ストレッチャー20へのIMU34および/またはライダー装置36,37の取り付け作業が不要である。
第2の実施形態
図6は第2の実施形態に係るストレッチャー車両21を示す。図6以降の図面においては、既に説明した構成要素を示すために同一の符号が使用され、それらの構成要素については詳細には説明しない。
第2の実施形態においては、ライダー装置36,37は、ストレッチャー20の下部フレーム14の長手方向の両端に固定されている。「両端」は、必ずしも下部フレーム14の最前端と最後端でなくてもよく、リンク機構26,27の前方と後方の位置であればよい。下部フレーム14の前端に取り付けられたライダー装置36は、主要進行方向MDを中心にした視野角を監視し、下部フレーム14の後端に取り付けられたライダー装置37は、主要進行方向MDと反対方向を中心にした視野角を監視する。
ライダー装置36,37の数は限定されない。例えば、下部フレーム14の前端に取り付けられたライダー装置36だけを設けて、主要進行方向MDを中心にした視野角を主に監視してもよい。あるいは、走行面28に平行な方向の視野角が360度の2次元または3次元のライダー装置を1つだけ下部フレーム14のいずれかの位置に取り付けてもよい。
但し、複数のライダー装置36,37を設けることが好ましい。単一のライダー装置の場合、リンク機構26,27に隠された死角がありうるが、複数のライダー装置を設けることにより、システム全体にとって死角を減少させることができる。特に、この実施形態では、リンク機構26,27の前方と後方にライダー装置36,37が配置されるので、システム全体にとって死角がほとんどない。
この実施形態では、ライダー装置が下部フレーム14の長手方向の少なくとも一端、例えば移動ユニット2の主要進行方向MDの一端に固定されていることにより、移動ユニット2の主要進行方向MDに移動の障害がある場合、車両が適切に停止する。
IMU34は、第1の実施形態と同様に、ストレッチャー車両21を上から見た場合、移動ユニット2の中心に配置されている。IMU34は、第1の実施形態と同様に、移動ユニット2に搭載してもよいが、この実施形態では、ストレッチャー20のベッド22の下面に取り付けられている。
図5のブロック図はこの実施形態でも同じく適用される。但し、IMU34とライダー装置36,37はストレッチャー20に搭載されるので、ストレッチャー20へのこれらの取り付け作業が必要であり、これらとメイン制御装置40を有線または無線で接続することが必要である。
第3の実施形態
図7は第3の実施形態に係るストレッチャー車両21を示す。
第3の実施形態に係るストレッチャー車両21は、監視装置としてのライダー装置36,37に加えて、監視装置としてのRGB-D(Red Green Blue - Depth)カメラ46,47を有する。RGB-Dカメラ46,47は、ブラケット48,49を介して、ストレッチャー20のベッド22の長手方向の両端に固定されている。「両端」は、必ずしもベッド22の最前端と最後端でなくてもよく、リンク機構26,27の前方と後方の位置であればよい。ベッド22の前端に取り付けられたRGB-Dカメラ46は、主要進行方向MDを中心にした視野角を監視し、ベッド22の後端に取り付けられたRGB-Dカメラ47は、主要進行方向MDと反対方向を中心にした視野角を監視する。
RGB-Dカメラ46は、下向きかつベッド22の外向き(ベッド22の前方に向けて)斜めに撮影する。RGB-Dカメラ47は、下向きかつベッド22の外向き(ベッド22の後方に向けて)斜めに撮影する。この実施形態では、リンク機構26,27の前方と後方にRGB-Dカメラ46,47が配置されるので、カメラ46,47の視野角にはリンク機構26,27が存在しない。
RGB-Dカメラ46,47の数は限定されない。例えば、ベッド22の前端に取り付けられたRGB-Dカメラ46だけを設けて、主要進行方向MDを中心にした視野角を主に監視してもよい。但し、複数のRGB-Dカメラ46,47を設けることが好ましい。複数のRGB-Dカメラを設けることにより、撮影可能な範囲を増加させることができる。
図8は、この実施形態に係るストレッチャー車両21のブロック図である。このストレッチャー車両21は、図5と同じ構成要素に加えて、RGB-Dカメラ46,47をさらに有する。
IMU34とライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47はストレッチャー20に搭載されるので、ストレッチャー20へのこれらの取り付け作業が必要であり、これらとメイン制御装置40を有線または無線で接続することが必要である。
メイン制御装置40は、ライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47の監視結果に基づいて、緊急時にモーター8のすべてを停止させ、ストレッチャー車両21を制動する。具体的には、メイン制御装置40は、ライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47の監視結果に基づいて、ストレッチャー車両21の周囲に同伴者がいない場合には、モーター8のすべてを停止させる。したがって、万一、ストレッチャー車両21の同伴者がストレッチャー車両21から離れた場合、ストレッチャー車両21が適切に停止し、不測の事故を防止することができる。
メイン制御装置40は、ライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47の監視結果に基づいて、ストレッチャー車両21の同伴者と、それ以外の何か(例えば、通りすがりの人間、移動ユニット2の進行方向にある障害物)を区別することができる。RGB-Dカメラの使用により、メイン制御装置40は、ストレッチャー車両21の周囲の物を適切に特定することができる。例えば、人工知能を利用して、RGB-Dカメラ46,47の撮影結果から、ストレッチャー車両21の周囲の物を、同伴者、通りすがりの人間、動物、例えば病院内を移動している医療器具ワゴンなどの物体、例えば止まっているごみ箱、医療器具ワゴンなどの物体、ならびにストレッチャー車両21からの落下物などに分類することができる。
メイン制御装置40は、ライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47の監視結果に基づいて、移動ユニット2の進行方向に移動の障害がある場合には、モーター8のすべてを停止させる。メイン制御装置40は、移動ユニット2の進行方向に移動の障害がある場合、ストレッチャー車両21の同伴者が障害に気付かなくても、ストレッチャー車両21を適切に停止させる。したがって、ストレッチャー車両21の衝突事故を防止することができる。
この実施形態によれば、RGB-Dカメラ46,47によって車両の周囲の物体を適切に認識し、メイン制御装置40は必要に応じて、車両を停止することができる。換言すれば、メイン制御装置40は、ライダー装置36,37が何かを検知しても、移動ユニット2の進行に支障がない場合には、車両を進行させ続けることができる。
この実施形態では、RGB-Dカメラ46,47が移動ユニット2の上方から下向きかつベッド22の外向きに斜めに撮影することで、ストレッチャー車両21の周囲の異常を適切に検知することができる。また、RGB-Dカメラがベッド22の長手方向の一端、例えば移動ユニット2の主要進行方向MDの一端に固定されていることにより、移動ユニット2の主要進行方向MDに移動の障害がある場合、車両が適切に停止する。
この実施形態は、第2実施形態のストレッチャー車両21において、RGB-Dカメラ46,47をストレッチャー20のベッド22に取り付けたものであるが、第1実施形態のストレッチャー車両21において、RGB-Dカメラ46,47をストレッチャー20のベッド22に取り付けてもよい。
第4の実施形態
図9は第4の実施形態に係るストレッチャー車両21を示す。
第4の実施形態においては、RGB-Dカメラ46,47は、移動ユニット2の長手方向の両端に固定されている。具体的には、RGB-Dカメラ46,47は、移動ユニット2のホイール支持ハウジング6に固定されたブラケット51,52に固定されており、移動ユニット2が移動する走行面28に平行な方向に沿って撮影する。したがって、ストレッチャー車両21の周囲の異常を適切に検知することができる。
移動ユニット2の前端に取り付けられたRGB-Dカメラ46は、主要進行方向MDを中心にした視野角を監視し、移動ユニット2の後端に取り付けられたRGB-Dカメラ47は、主要進行方向MDと反対方向を中心にした視野角を監視する。この実施形態では、RGB-Dカメラ46,47が、ストレッチャー20の下部フレーム14の下方に配置されており、移動ユニット2の前方と後方に配置されるので、カメラ46,47の視野角にはリンク機構26,27も移動ユニット2の部品も存在しない。
RGB-Dカメラ46,47の数は限定されない。例えば、移動ユニット2の前端に取り付けられたRGB-Dカメラ46だけを設けて、主要進行方向MDを中心にした視野角を主に監視してもよい。但し、複数のRGB-Dカメラ46,47を設けることが好ましい。複数のRGB-Dカメラを設けることにより、撮影可能な範囲を増加させることができる。
図8のブロック図はこの実施形態でも同じく適用される。この実施形態では、図8に示す制御関連のすべての要素が移動ユニット2に搭載されている。したがって、これらの要素間の配線が容易である。また、ストレッチャー20へのIMU34、ライダー装置36,37および/またはRGB-Dカメラ46,47の取り付け作業が不要である。
この実施形態は、第1実施形態のストレッチャー車両21において、RGB-Dカメラ46,47を移動ユニット2に取り付けたものであるが、第2実施形態のストレッチャー車両21において、RGB-Dカメラ46,47を移動ユニット2に取り付けてもよい。
変形例
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
例えば、上記の実施形態においては、プラットフォーム車両1はストレッチャー20に取り付けられている。しかし、本発明に係るプラットフォーム車両は、手術台、搬送台車、スチールラック、本棚など、他の物体に取り付けてもよい。搬送台車、スチールラック、本棚などに移動ユニット2を利用する場合には、上記の通り、主要進行方向MDは、一義的に定まらないこともある。
上記の実施形態では、ストレッチャー20にキャスター30および支柱32が設けられているが、これらは省略してもよい。
上記の実施形態では、移動ユニット2は、四輪メカナムホイールユニットである。しかし、移動ユニット2はこれに限定されず、進行方向を変更する機構を有する他の移動ユニット、例えば四輪車、三輪車、またはクローラーであってよい。
上記の実施形態では、計測ユニットとして単一のIMU34が使用されているが、IMU34の代わりに、複数の別個の加速度装置および/または複数の別個のジャイロスコープを設けて、ストレッチャー車両21に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、加速度の方向と、車両の姿勢を計測してもよい。但し、上記の実施形態では、単一のIMU34によって、加速度の方向の大きさと、加速度の方向と、車両の姿勢を計測するので、複数の別個の加速度装置および/または複数の別個のジャイロスコープを設ける場合に比べて、加速度の方向と車両の姿勢を演算する必要がない上、ストレッチャー車両21にかかる負荷を軽減することができる。
上記の実施形態では、監視装置として、2次元または3次元のライダー装置36,37が使用されているが、ライダー装置36,37の代わりに、それぞれ別方向を監視する多数の1次元のライダー装置を設けてもよい。但し、上記の実施形態では、2次元または3次元のライダー装置36,37を設けることにより、多数の1次元ライダー装置36,37を設ける場合に比べて、ストレッチャー車両21にかかる負荷を軽減することができる。
第3および第4の実施形態では、ライダー装置36,37とRGB-Dカメラ46,47が設けられている。しかし、第3および第4の実施形態でライダー装置36,37を省略してもよい。
ストレッチャー車両21に音発生装置を設けて、メイン制御装置40は、ライダー装置および/またはRGB-Dカメラの監視結果に基づいて、緊急時に音発生装置を駆動してもよい。例えば、警報音を発生するベルでもよいし、ストレッチャー20からの落下物またはストレッチャー車両21の進行の障害となる具体的な物が発見されたことを音声で同伴者に知らせるスピーカーでもよい。
1 プラットフォーム車両(パワーアシスト付き車両)
2 移動ユニット
8 モーター(駆動装置)
20 医療用ストレッチャー
21 ストレッチャー車両(パワーアシスト付き車両)
22 ベッド
28 走行面
34 IMU(慣性計測装置、計測ユニット)
36,37 ライダー装置(監視装置)
40 メイン制御装置(制御装置)
46,47 RGB-D(Red Green Blue - Depth)カメラ(監視装置)

Claims (12)

  1. 進行方向を変更する機構を有し、面上を移動する移動ユニットと、
    前記移動ユニットを駆動する複数の駆動装置と、
    車両に同伴者が与えた加速度の方向の大きさと、前記加速度の方向と、前記車両の姿勢を計測する少なくとも1つの計測装置と、
    前記車両の周囲を監視する監視装置と、
    前記計測装置で計測された加速度の方向に応じて、前記移動ユニットの進行方向を制御するとともに、前記計測装置で計測された加速度の大きさと前記車両の姿勢に応じて、前記駆動装置の各々の補助動力を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記監視装置の監視結果に基づいて、緊急時に前記駆動装置のすべてを停止させる
    ことを特徴とするパワーアシスト付き車両。
  2. 前記制御装置は、前記監視装置の監視結果に基づいて、前記車両の周囲に同伴者がいない場合には、前記駆動装置のすべてを停止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト付き車両。
  3. 前記制御装置は、前記監視装置の監視結果に基づいて、前記移動ユニットの進行方向に移動の障害がある場合には、前記駆動装置のすべてを停止させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーアシスト付き車両。
  4. 前記監視装置は、少なくとも前記移動ユニットが移動する面に平行な方向に沿って前記車両の周囲を監視する少なくとも1つのライダー装置を有する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパワーアシスト付き車両。
  5. 前記ライダー装置は、2次元ライダー装置または3次元ライダー装置である
    ことを特徴とする請求項4に記載のパワーアシスト付き車両。
  6. 前記計測装置と前記ライダー装置と前記制御装置が前記移動ユニットに取り付けられている
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のパワーアシスト付き車両。
  7. 前記移動ユニットに取り付けられ、前記移動ユニットが移動する面に平行に設けられた長尺なフレームをさらに備え、
    前記ライダー装置は、前記フレームの長手方向の少なくとも一端に固定されている
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のパワーアシスト付き車両。
  8. 前記監視装置は、少なくとも1つのRGB-D(Red Green Blue - Depth)カメラを有する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のパワーアシスト付き車両。
  9. 前記RGB-Dカメラは、少なくとも前記移動ユニットが移動する面に平行な方向に沿って撮影する
    ことを特徴とする請求項8に記載のパワーアシスト付き車両。
  10. 前記計測装置と前記RGB-Dカメラと前記制御装置が前記移動ユニットに取り付けられている
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のパワーアシスト付き車両。
  11. 前記移動ユニットに取り付けられ、前記移動ユニットの上方に配置され、前記移動ユニットが移動する面に平行に設けられた長尺な物体をさらに備え、
    前記RGB-Dカメラは、少なくとも前記物体の長手方向の一端に固定され、下向きかつ物体の外向きに斜めに撮影する
    ことを特徴とする請求項8に記載のパワーアシスト付き車両。
  12. 前記計測装置は、前記車両を上から見た場合、前記車両または前記移動ユニットの中心に配置された単一の慣性計測装置である
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のパワーアシスト付き車両。
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