JP2022154461A - 塗膜及び塗料組成物 - Google Patents

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光 尾田
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Abstract

【課題】成膜性、防食性及び耐ブロッキング性に優れる塗膜を提供する。【解決手段】少なくとも0~25℃及び40~80℃にガラス転移温度を有する塗膜であって、アルキド樹脂を含むことを特徴とする塗膜である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜及び塗料組成物に関し、特には、成膜性、防食性及び耐ブロッキング性に優れる塗膜に関するものである。
建築材として使用される一般の鉄骨は、汎用のさび止めペイントが塗装されているが、近年水系のさび止めペイントへ切り替わってきている。それに伴い塗料規格もJIS K 5621:2021(一般用さび止めペイント)相当品からJIS K 5674:2021(鉛・クロムフリーさび止めペイント)2種へと変化してきている。
特開2014-47385号公報(特許文献1)には、ビニル変性アルキド樹脂を水に溶解または分散させた水溶性防錆剤であって、特定の計算式により計算される計算ガラス転移温度が-20℃~35℃の範囲にある異なる値を有するビニル変性アルキド樹脂を2種以上含有し、かつアクリル樹脂を含有しない、水溶性防錆剤が記載されており、これにより、乾燥性及び耐ブロッキング性に優れ、さらに脱脂性も良好な水溶性防錆剤が提供できるとしている。
特開2008-63567号公報(特許文献2)には、ガラス転移温度(Tg)が異なる2種類以上の重合性単量体を用いて重合したガラス転移温度(Tg)が50℃以上の高Tg樹脂成分と、ガラス転移温度が40℃以下の低Tg樹脂成分からなる水性樹脂分散体であって、水性樹脂分散体の最低成膜温度(MFT)が水性樹脂分散体全体のガラス転移温度(Tg)より10℃以上低いことを特徴とする水性樹脂分散体が記載されており、これにより、良好な成膜性を有し、かつ耐候性と耐ブロッキング性に優れた塗膜を形成し得る水性樹脂分散体が提供できるとしている。
特開2014-47385号公報 特開2008-63567号公報
鋼材の塗装には、成膜性、防食性と耐ブロッキング性との両立が求められているが、成膜性、防食性の付与と、耐ブロッキング性の付与は、トレードオフの関係にあることから、両立が難しい。例えば、特許文献2に記載される技術は、成膜性と耐ブロッキング性に優れる塗膜の形成を目的とするものであるが、改良の余地があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、成膜性、防食性及び耐ブロッキング性に優れる塗膜を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる塗膜を形成することが可能な塗料組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、0~25℃の低温領域と40~80℃の高温領域にガラス転移温度を示す塗膜にアルキド樹脂を配合したことで、成膜性、延いては防食性と、耐ブロッキング性とを両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の塗膜は、少なくとも0~25℃及び40~80℃にガラス転移温度を有する塗膜であって、アルキド樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の塗膜の好適例においては、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含む。
本発明の塗膜の他の好適例においては、前記アルキド樹脂がアクリル変性アルキド樹脂である。
また、本発明の塗料組成物は、アルキド樹脂と、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明の塗料組成物の好適例においては、前記アルキド樹脂がアクリル変性アルキド樹脂である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、成膜助剤を含む。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、成膜助剤として沸点が150~200℃のグリコールエーテルを含む。
本発明の塗膜によれば、成膜性、防食性及び耐ブロッキング性に優れる塗膜を提供することができる。また、本発明の塗料組成物によれば、かかる塗膜を形成することが可能な塗料組成物を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の1つの態様は、少なくとも0~25℃及び40~80℃にガラス転移温度を有する塗膜であって、アルキド樹脂を含むことを特徴とする塗膜である。
塗膜がガラス転移温度を0~25℃の範囲内に有すると、成膜性、延いては防食性を向上させることができる。また、塗膜がガラス転移温度を40~80℃の範囲内に有すると、耐ブロッキング性を向上させることができる。一方、成膜性、防食性の付与と耐ブロッキング性の付与は一般にトレードオフの関係があることから、その両立が困難であったところ、本発明によれば、アルキド樹脂を塗膜に配合することで、成膜性が向上し、塗膜樹脂成分の連続性が向上することで、防食性と耐ブロッキング性の両方において高い性能を有することが可能となる。
本発明の塗膜は、0~25℃の領域と40~80℃の領域にガラス転移温度を有するものであるが、これら以外の領域にガラス転移温度をさらに有していてもよく、例えば0℃未満の低温領域にガラス転移温度を有することもできる。
本発明の塗膜は、低温領域、具体的には0~25℃、好ましくは5~25℃、より好ましくは10~20℃にガラス転移温度を有する。かかる低温領域にガラス転移温度を有する樹脂を用いることで、かかる低温領域にガラス転移温度を有する塗膜を得ることができる。
本発明の塗膜は、高温領域、具体的には40~80℃、好ましくは45~75℃、より好ましくは50~70℃にガラス転移温度を有する。かかる高温領域にガラス転移温度を有する樹脂を用いることで、かかる高温領域にガラス転移温度を有する塗膜を得ることができる。
本明細書において、塗膜のガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)を用いて、JIS K 7121:2012(プラッスチックの転移温度測定方法)に準拠し、測定を行った。
測定は、塗膜片約10mgを測定用アルミパンに採取し、下記の測定条件でDSC測定を行った。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
本発明の塗膜において、アルキド樹脂は、成膜性、防食性と、耐ブロッキング性の両立の観点から好ましい。また、アルキド樹脂は、油面適正付与の観点からも好ましい。アルキド樹脂は、多塩基酸(好ましくは二塩基酸)と多価アルコールを縮合して得られるポリエステルまたはヒドロキシ酸を自己縮合させて得られるポリエステルであり、乾性油、脂肪酸などで変性することもある。
本発明の塗膜において、アルキド樹脂は、変性されていてもよく、重合性ビニル単量体の反応により変性されたアルキド樹脂であることが好ましく、アクリル変性アルキド樹脂であることがより好ましい。かかる変性アルキド樹脂は、分散安定性の向上の観点から好ましい。また、アクリル変性アルキド樹脂において、アルキド樹脂部分(A)とアクリル変性部分(B)の質量比(A:B)は、50:50~60:40であることが好ましい。
本明細書において、アクリル変性アルキド樹脂とは、重合性ビニル単量体としてアクリル成分(アクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル、アミド及びニトリル等)を用いた変性アルキド樹脂であり、アクリル成分以外の重合性ビニル単量体と一緒に変性を行う場合には、アクリル成分が主成分であり、変性に使用される重合性ビニル単量体におけるアクリル成分の割合は、例えば50質量%以上である。
アルキド樹脂の製造方法としては、例えば、乾性油、半乾性油又はこれらの脂肪酸からなる油脂、多塩基酸、一塩基酸、及び多価アルコールを、公知の方法に従って、不活性ガス雰囲気中、約150~250℃及び約3~10時間の条件下に、脱水縮合反応させてアルキド樹脂を得る方法が挙げられる。
また、変性アルキド樹脂の製造方法としては、例えば、反応性不飽和基(炭素炭素二重結合等)を有するアルキド樹脂と重合性ビニル単量体とを、重合開始剤の存在下、有機溶媒中で公知の方法で重合させた後、塩基性物質で中和して水中に分散又は溶解させて変性アルキド樹脂を得る方法が挙げられる。なお、アルキド樹脂(A)と重合性ビニル単量体(B)の質量比(A:B)は、例えば20~90:80~10であり、好ましくは50:50~60:40である。
アルキド樹脂の合成に使用できる多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸、イタコン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、クロトン酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物等が挙げられる。これら多塩基酸は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の合成に使用できる一塩基酸としては、例えば、安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、メチル安息香酸、バーサチック酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、不乾性油脂肪酸等が挙げられる。これら一塩基酸は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の合成に使用できる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。これら多価アルコールは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の合成に使用できる乾性油、半乾性油又はこれらの脂肪酸からなる油脂としては、例えば、桐油、亜麻仁油、脱水ひまし油、サフラワー油、大豆油、ひまし油、トール油、米糠油及びそれらの脂肪酸、ハイジエン脂肪酸等が挙げられる。これら油脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の変性に使用できる重合性ビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、安息香酸ビニル等の芳香族系重合性不飽和モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシ置換アミドモノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;マレイン酸やフマル酸のジアルキルエステル;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル等のモノマー;(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート、燐酸基含有(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのラクトン付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートへのエチレンオキシドの開環付加物やプロピレンオキシドの開環付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-メチルプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。これら重合性ビニル単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性アルキド樹脂の製造方法に使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキシド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,2-ビス(4,4-ジt-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の有機過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。これら重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて2-メルカプトエタノール、n-オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン等の連鎖移動剤を使用することもできる。
変性アルキド樹脂の製造方法に使用できる有機溶媒としては、水と混合し得る極性をもつ有機溶剤が好ましく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、t-アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が使用でき、さらに必要に応じてキシレン、トルエン等の芳香族有機溶剤やヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤等も併用できる。
変性アルキド樹脂の製造方法に使用できる塩基性物質としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。これら塩基性物質は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗膜において、アルキド樹脂は、構造的に不均一で非晶性成分が多く、ガラス転移温度を示さない場合が多いが、0℃未満の低温領域にガラス転移温度を有する場合もある。
本発明の塗膜中において、アルキド樹脂の量は、1~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが更に好ましい。アルキド樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗膜は、アクリル樹脂を含むことが好ましく、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含むことが更に好ましい。アクリル樹脂は、ガラス転移温度が設計しやすいため、好適である。このような低温領域にガラス転移温度を有するアクリル樹脂と高温領域にガラス転移温度を有するアクリル樹脂を併用することで、0~25℃及び40~80℃にガラス転移温度を有する塗膜を製造することができる。以下では、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂をアクリル樹脂(a)と称し、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂をアクリル樹脂(b)と称する場合がある。
アクリル樹脂(a)のガラス転移温度は、0~25℃が好ましく、5~20℃が更に好ましい。一方、アクリル樹脂(b)のガラス転移温度は、40~80℃が好ましく、50~75℃が更に好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度は、アクリル樹脂を構成する単量体の種類や量を変更することにより調整することが可能である。
本明細書において、樹脂のガラス転移温度は、塗膜と同様に、DSC(示差走査型熱量計)を用いて、JIS K 7121:2012(プラッスチックの転移温度測定方法)に準拠し、測定を行った。
測定は、樹脂片約10mgを測定用アルミパンに採取し、下記の測定条件でDSC測定を行った。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類の重合体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル、アミド及びニトリル等から選択されるアクリル成分の1種又は複数種を重合させて得られる重合体が挙げられ、更には、アクリル成分と、例えば、スチレン等の非アクリル成分とを重合させて得られる重合体も含まれる。アクリル樹脂がアクリル成分と非アクリル成分とから構成される場合、アクリル樹脂を構成するアクリル成分の割合は、通常、50質量%より大きい。
アクリル成分としては、アクリル酸やメタクリル酸の他、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体や、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の官能基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等のアミド系モノマー;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体等もアクリル成分に含まれる。
非アクリル成分としては、スチレンの他、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ビニルバーサチック酸等のカルボキシル基含有単量体;メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系モノマー;マレイン酸アミド等のアミド系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体;ジアルキルフマレート、アリルアルコール、ビニルピリジン、ブタジエン等が挙げられる。
本発明の塗膜において、アクリル樹脂は、変性されていてもよいが、アルキド変性されたものは除かれる。
本発明の塗膜中において、アクリル樹脂の量は、5~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることが更に好ましい。アクリル樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗膜中において、アクリル樹脂(a)とアクリル樹脂(b)の質量比(a:b)は、55~75:25~45であることが好ましく、60~70:30~40であることが更に好ましい。
本発明の塗膜は、防錆顔料を含むことが好ましい。防錆顔料としては、例えば、亜鉛粉末、酸化亜鉛、メタホウ酸バリウム、珪酸カルシウム、リン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛アルミニウム、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、バナジン酸/リン酸混合顔料等が挙げられ、リン酸亜鉛が特に好適である。これら防錆顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗膜中において、防錆顔料の量は、1~8質量%であることが好ましい。
本発明の塗膜は、体質顔料を含んでもよい。体質顔料としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これら体質顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗膜中において、体質顔料の量は、例えば1~40質量%である。
本発明の塗膜は、着色顔料、光輝顔料等の、塗料業界において通常使用されている他の顔料を含んでもよい。具体的には、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス、ガラスフレーク等の光輝顔料等が挙げられる。これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗膜中において、着色顔料の量は、例えば1~10質量%であり、光輝顔料の量は、例えば1~10質量%である。
本発明の塗膜には、その他の成分として、他の樹脂、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、乾燥剤、可塑剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
本発明の塗膜は、成膜助剤を含有しないことが好ましい。成膜助剤を含有しない塗膜であれば、耐水性、特に初期耐水性に優れる。なお、成膜助剤の詳細については、後述の本発明の塗料組成物の説明において記載する。
本発明の塗膜の膜厚は、例えば10~40μmであり、好ましくは15~25μmである。
本発明の塗膜は、防食性と耐ブロッキング性を付与するための塗装に適している。また、本発明の塗膜は、油面適性を有するため、防錆油、圧延油等の油が表面に付着している被塗物への塗装や、鋼材表面に見られるような黒皮が表面に付着している被塗物(例えば黒皮鋼板)への塗装にも適している。本発明の塗膜を有する塗装物を本発明の塗装物とも称する。
被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄鋼、亜鉛めっき鋼(例えばトタン板)、錫めっき鋼(例えばブリキ板)、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属又は合金を少なくとも一部に含む金属系基材が好適に挙げられる。特に、本発明の塗膜は、条鋼、鋼板、鋼管等の鋼材への塗装に適している。
これら基材は、防錆油、圧延油等の油が付着している場合や黒皮が表面に付着している場合も多い。通常、黒皮が付着した基材は、黒皮の隙間等に油分が多く存在しており、高い油面適性が求められる。
被塗物の具体例としては、各種建築材料の他、建築物や構築物といった構造物やそれらの部材が挙げられる。なお、本明細書において、建築物とは、人間が居住又は滞在する目的で建築された構造物を意味し、例えば住宅やビル、工場等が挙げられ、構築物とは、人間が居住又は滞在する目的以外のために建設された構造物を意味し、例えば橋梁、タンク、プラント配管、煙突等が挙げられる。建築物や構築物の部材としては、例えば屋根や壁等が挙げられる。
また、被塗物は、各種表面処理、例えば酸化処理やプライマー処理が施されていてもよいし、その表面の少なくとも一部に旧塗膜(塗装を行う際に既に形成されている塗膜)が存在していてもよい。
本発明の別の態様は、アルキド樹脂と、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含むことを特徴とする塗料組成物である。本発明の塗料組成物を用いて塗装を行うことにより、上述した本発明の塗膜を形成させることができる。
本発明の塗料組成物において、アルキド樹脂は、上述の本発明の塗膜の説明において記載したとおりである。具体的には、アルキド樹脂は、変性されていてもよく、重合性ビニル単量体の反応により変性されたアルキド樹脂であることが好ましく、アクリル変性アルキド樹脂であることがより好ましい。
本発明の塗料組成物において、アルキド樹脂は、エマルションの形態で配合されてもよいし、ディスパージョンの形態で配合されてもよい。
本明細書において、樹脂エマルションとは、水を必須成分として含み、必要に応じて水に溶解あるいは分散可能な有機溶剤を含む水性媒体中で樹脂が分散している乳濁液(エマルション)であり、樹脂ディスパージョンとは、水を必須成分として含み、必要に応じて水に溶解あるいは分散可能な有機溶剤を含む水性媒体中で樹脂が分散している分散液(ディスパージョン)である。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中におけるアルキド樹脂の量は、1~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが更に好ましい。アルキド樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、アクリル樹脂を含むことが好ましく、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂、即ちアクリル樹脂(a)と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂、即ちアクリル樹脂(b)とを含むことが更に好ましい。本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂は、上述の本発明の塗膜の説明において記載したとおりである。具体的には、アクリル樹脂(a)のガラス転移温度は、0~25℃が好ましく、5~20℃が更に好ましい。一方、アクリル樹脂(b)のガラス転移温度は、40~80℃が好ましく、50~75℃が更に好ましい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂は、エマルションの形態で配合されてもよいし、ディスパージョンの形態で配合されてもよい。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中におけるアクリル樹脂の量は、5~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることが更に好ましい。アクリル樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物中において、アクリル樹脂(a)とアクリル樹脂(b)の質量比(a:b)は、55~75:25~45であることが好ましく、60~70:30~40であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物は、防錆顔料を含むことが好ましい。防錆顔料の具体例は、上述の本発明の塗膜の説明において記載したとおりであり、リン酸亜鉛が特に好適である。これら防錆顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中における防錆顔料の量は、1~8質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、体質顔料、着色顔料、光輝顔料等の、塗料業界において通常使用されている他の顔料を含んでもよい。これら顔料の具体例は、上述の本発明の塗膜の説明において記載したとおりである。これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中における体質顔料の量は、例えば1~40質量%である。また、本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中における着色顔料の量は、例えば1~10質量%であり、光輝顔料の量は、例えば1~10質量%である。
本発明の塗料組成物中において、塗膜形成成分の量は、例えば50~70質量%であり、55~65質量%であることが好ましい。本明細書において、塗膜形成成分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分である。本明細書においては、塗料組成物を130℃で60分間乾燥させた際に残存する成分を塗膜形成成分として取り扱う。
本発明の塗料組成物は、水系塗料組成物であることが好ましい。本明細書において、水系塗料組成物とは、主溶媒として水を含有する塗料組成物である。本発明の塗料組成物中において、水の量は、10~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
本発明の塗料組成物は、成膜助剤を含むことが好ましい。ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂のようなガラス転移温度が高い樹脂を含む塗料組成物には、成膜性の観点から、成膜助剤を配合することが好ましい。成膜助剤は、一般に、成膜性の付与を目的として配合される有機溶剤であり、塗膜形成成分に該当しない。成膜助剤としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノiso-ブチルエーテル、エチレングリコールモノtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノiso-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert-ブチルエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、沸点が150~200℃のグリコールエーテルが好ましく、ジエチレングリコールジエチルエーテル及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを含むことがより好ましい。成膜助剤の使用により成膜性を向上できるものの、塗膜の速乾性・乾燥性を低下させる傾向にある。また、塗膜中に成膜助剤が残存することで、十分な初期耐水性が得られないといった課題もある。しかし、成膜助剤として沸点が150~200℃のグリコールエーテル、特にはジエチレングリコールジエチルエーテル及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを用いることで、他の成膜助剤と比べて塗膜の速乾性・乾燥性及び初期耐水性を向上させることができる。
本発明の塗料組成物中において、成膜助剤の量は、例えば1~10質量%である。成膜助剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、成膜助剤を多く配合しすぎると、塗膜の速乾性・乾燥性や初期耐水性の低下、更には耐ブロッキング性の低下を引き起こすといった課題があったが、成膜助剤として沸点が150~200℃のグリコールエーテル、特にはジエチレングリコールジエチルエーテル及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを用いることで、かかる課題を解決することが可能である。このため、本発明の塗料組成物が成膜助剤として沸点が150~200℃のグリコールエーテル、特にはジエチレングリコールジエチルエーテル及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルを含む場合、沸点が150~200℃のグリコールエーテル、特にはジエチレングリコールジエチルエーテル及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルの含有量(併用の場合は合計含有量)は、広い範囲で設定することが可能であり、例えば1~10質量%である。
本発明の塗料組成物には、その他の成分として、他の樹脂、有機溶剤、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、乾燥剤、可塑剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
本発明の塗料組成物の最低造膜温度(MFT)は、常温成膜性や耐ブロッキング性の観点から、5~30℃であることが好ましい。本発明の塗料組成物は、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂のようにガラス転移温度が高い樹脂を含むものであるが、例えば、成膜助剤を適宜配合することで最低造膜温度を低く設定することが可能である。
本明細書において、最低造膜温度とは、塗料組成物を乾燥させたとき、き裂のない均一な塗膜が形成される最低温度であり、JIS K 6828-2:2003に準拠して測定される。
本発明の塗料組成物は、せん断速度0.1(1/s)における粘度が1~1000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000(1/s)における粘度が0.05~10(Pa・s、23℃)であることが好ましい。本明細書において、粘度は、レオメーター(例えば、TAインスツルメンツ社製レオメーターARES)を用い、液温を23℃に調整した後に測定される。
本発明の塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装など)等が利用できる。
本発明の塗料組成物の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
本発明の塗料組成物により塗装できる対象は、特に限定されるものではなく、例えば、上述の本発明の塗膜の説明において記載されるような被塗物が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(塗料組成物の調製)
塗料中のアクリル樹脂であるアクリル樹脂(a)とアクリル樹脂(b)、それぞれのアクリル樹脂分散体の合成は下記のように行った。
<アクリル樹脂分散体 a-1>
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下装置および窒素導入管を備えた反応器中に、イオン交換水21.0質量部、及びポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)オルキルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬株式会社製;アクアロンKH-10)0.3質量部を仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.16質量部を加えた。
続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、スチレン14.1質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、n-ブチルアクリレート26.2質量部、メタクリル酸0.9質量部、イオン交換水31質量部、及びポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)オルキルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬株式会社製;アクアロンKH-10)0.6質量部の混合物a-1を、3時間かけて滴下した。
滴下終了後、これをさらに2時間80℃に保持した後、40℃に降温した。
次いで25質量%アンモニア水0.2質量部でpH8.5に調整し、消泡剤0.02質量部、防腐剤0.02質量部、加熱残分48質量%になるようにイオン交換水を加え、アクリル樹脂分散体a-1を得た。
なお、分散体a-1中に含まれる樹脂は、ガラス転移点Tgが-5.0℃であった。
<アクリル樹脂分散体a-2~a-5、b-1~b-5>
上記混合物a-1を表1に示す配合の混合物a-2~a-5、b-1~b-5に変更した以外は上記アクリル樹脂分散体a-1の合成例と同様に、アクリル樹脂分散体a-2~a-5、b-1~b-5を調製し、表1に示すガラス転移点Tgを有するアクリル樹脂を合成した。
Figure 2022154461000001
表1中の各成分の量は、質量部で示される。加熱残分は、塗膜形成成分と同義であり、その量は質量%で示される。
表1中のアクリル樹脂のガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)を用いて、JIS K 7121:2012(プラッスチックの転移温度測定方法)に準拠し、測定を行った。
測定は、樹脂片約10mgを測定用アルミパンに採取し、下記の測定条件でDSC測定を行った。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
<アルキド樹脂>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、大豆油脂肪酸52.9質量部、トリメチロールプロパン7.4質量部、ペンタエイスリトール10.8質量部、無水フタル酸18質量部、無水マレイン酸0.3質量部、及びキシレン5質量部を入れ、窒素雰囲気下で加熱撹拌し、240℃で5時間反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にエチレングリコールモノn-ブチルエーテル9.5質量部を入れ、混合して加熱残分85質量%、油長66(計算値)、樹脂酸価13mgKOH/g(計算値)、及び数平均分子量2700のアルキド樹脂の樹脂溶液1を得た。
<アクリル変性アルキド樹脂>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、25質量部の樹脂溶液1を入れ、加熱下に撹拌し、110℃に達してから、スチレン2.1質量部、メチルメタクリレート2.1質量部、n-ブチルメタクリレート7.7質量部、アクリル酸1.4質量部、及び重合開始剤(日油株式会社製:ナイパーBMT-K40)1質量部を予め混合して得られた混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を110℃に保持したまま、更に重合開始剤(日油株式会社製ナイパーBMT-K40)0.7質量部及びエチレングリコールモノn-ブチルエーテル2質量部の混合物を1時間かけて滴下し、引き続き110℃で2時間撹拌を続けて反応させた後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にジメチルエタノールアミン2.2質量部を加えて攪拌し、更にイオン交換水56.1質量部を入れ、混合して加熱残分35質量%、油長40(計算値)、反応成分の含有量60質量%(計算値)、アクリル部のTg50℃(計算値)、樹脂酸価39mgKOH/g(計算値)、及び数平均分子量3600のアクリル変性アルキド樹脂(水系樹脂)の樹脂溶液2を得た。
<顔料、添加剤など>
上記樹脂以外に顔料として、防錆顔料、体質顔料、着色顔料をそれぞれ添加し、添加剤成分として成膜助剤、分散剤、防腐剤、消泡剤、増粘剤などを添加し、分散用の溶媒として水を添加し、よく混合・分散し塗料組成物を得た。
実施例1~10及び比較例1~7の塗料組成物の配合処方の詳細は、表2及び表3に示される。
(評価方法)
上記で得た塗料組成物の常温成膜性や、塗膜の防錆性、耐ブロッキング性については、下記のように評価した。また、塗膜のガラス転移温度について、下記のように測定した。
<常温成膜性>
上記で得た塗料組成物について、JIS K 6828-2:2003に準拠して測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:最低造膜温度(MFT)≦10℃
○:10℃<MFT≦20℃
△:20℃<MFT≦30℃
×:30℃<MFT
<防錆性>
塗料組成物を鉄板上に乾燥膜厚30μmとなるように塗装・乾燥を行った後、塗膜にクロスカットを入れて、試験板を作製した。作製した試験板を、JIS K 5600-7-9:2006の方法に従って、サイクル腐食試験をサイクルDの条件で評価を実施し、カット部の切り込みから2mmを超えて錆が発生するまでのサイクル数を評価した。
◎:51サイクル以上
○:36サイクル~50サイクル
△:21サイクル~35サイクル
×:20サイクル以下
<耐ブロッキング性>
上記<防錆性>で作製した2枚の試験板の塗装した塗面同士が接触するように重ね合わせ、24時間40℃の環境下で一定圧力の加重をかけ、取り出し後、塗膜剥離の有無を、以下の4段階の荷重で評価した。
◎:1.5MPaの荷重をかけても塗膜剥離が発生しない。
○:1.0MPaの荷重をかけても塗膜剥離が発生しない。
△:0.5MPaの荷重をかけても塗膜剥離が発生しない。
×:0.1MPaの荷重をかけても塗膜剥離が発生しない。
<ガラス転移温度>
塗膜のガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)を用いて、JIS K 7121:2012(プラッスチックの転移温度測定方法)に準拠し、測定を行った。
測定は、塗膜片約10mgを測定用アルミパンに採取し、下記の測定条件でDSC測定を行った。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
評価結果および測定結果は、表2、表3に示す。
Figure 2022154461000002
Figure 2022154461000003
表2及び表3中の塗料組成、塗膜形成成分及び合計の量は、質量部で示される。また、注釈は以下のとおりである。
※1 K-WHITE #140W、テイカ(株)製
※2 沈降性バリウム100、堺化学工業(株)製
※3 酸化チタン「R-32」、堺化学工業(株)製
※4 ブチルセロソルブ、三菱ケミカル(株)製
※5 DISPERBYK-194N、ビックケミージャパン(株)製
※6 Proxel AM、アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製
※7 ノプコNXZ、サンノプコ(株)製
※8 プライマルRM-8W、ローム&ハース社製

Claims (7)

  1. 少なくとも0~25℃及び40~80℃にガラス転移温度を有する塗膜であって、アルキド樹脂を含むことを特徴とする塗膜。
  2. ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含むことを特徴とする請求項1に記載の塗膜。
  3. 前記アルキド樹脂がアクリル変性アルキド樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜。
  4. アルキド樹脂と、ガラス転移温度が0~25℃であるアクリル樹脂と、ガラス転移温度が40~80℃であるアクリル樹脂とを含むことを特徴とする塗料組成物。
  5. 前記アルキド樹脂がアクリル変性アルキド樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の塗料組成物。
  6. 成膜助剤を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の塗料組成物。
  7. 成膜助剤として沸点が150~200℃のグリコールエーテルを含むことを特徴とする請求項6に記載の塗料組成物。
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