JP2022151988A - 記録装置およびその制御方法 - Google Patents

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友香 岩▲崎▼
Yuka Iwasaki
朗 木田
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Abstract

【課題】 吐出不良の吐出口に対して適切な回復を行うことができる記録装置を提供する。【解決手段】 液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出口面を有する記録手段と、吐出口面と当接可能な開口部を有し、開口部を吐出口面に当接させながら所定方向に移動することで吐出口面をワイピングするワイピング手段と、吐出口面に対して開口部を介して負圧を作用する減圧手段と、複数の吐出口の吐出状態を検出する検出手段と、開口部と吐出口面が当接した状態で減圧手段を駆動した後、ワイピング手段を移動させながら複数の吐出口から液体を吸引する吸引動作を行う制御手段と、を備え、制御手段は、検出手段により吐出不良と検出された第1吐出口に対して、第1吐出口以外の吐出口とは異なる吸引条件で吸引動作を実行する。【選択図】 図6

Description

本発明は、画像を記録する記録装置およびその制御方法に関する。
特許文献1には、バキュームワイパユニットを吐出口列に沿って移動させることにより、吐出口に付着したインクを吸引することで吐出不良を解消する記録装置の構成が開示されている。
特開2018-130936号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、吐出不良の吐出口と、吐出状態が良好な吐出口と、に対して同じ吸引圧をかけるため、吸引圧が弱い場合は吐出不良が解消されず、吸引圧が強い場合は必要以上にインクを吸引してしまう場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされてものであり、吐出不良の吐出口に対して適切な回復を行うことができる記録装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明に係る記録装置は、液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出口面を有する記録手段と、前記吐出口面と当接可能な開口部を有し、前記開口部を前記吐出口面に当接させながら所定方向に移動することで前記吐出口面をワイピングするワイピング手段と、前記吐出口面に対して前記開口部を介して負圧を作用する減圧手段と、前記複数の吐出口の吐出状態を検出する検出手段と、前記開口部と前記吐出口面が当接した状態で前記減圧手段を駆動した後、前記ワイピング手段を移動させながら前記複数の吐出口から液体を吸引する吸引動作を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段により吐出不良と検出された第1吐出口に対して、前記第1吐出口以外の吐出口とは異なる吸引条件で前記吸引動作を実行することを特徴とする。
本発明によれば、吐出不良の吐出口に対して適切な回復を行うことができる記録装置を提供することができる。
インクジェット記録装置の待機状態を示す図である。 インクジェット記録装置における制御系の構成を示すブロック図である。 インクジェット記録装置の記録状態を示す図である。 インクジェット記録装置のメンテナンス状態を示す図である。 (a)および(b)は、回復ユニットの構成を示す斜視図である。 (a)および(b)は、吐出不良の吐出口に対する回復方法を説明する図である。 (a)および(b)は、バキュームワイパの概略構成図である。 (a)および(b)は、キャリッジの移動機構の説明図である。 (a)および(b)は、バキュームワイパの吸引機構の説明図である。 (a)から(d)は、吐出口面とバキュームワイパとの当接に関する説明図である。 バキュームワイピング処理A中の圧力変動を示す図である。 バキュームワイピング処理B中の圧力変動とバキュームワイパの移動速度を示す図である。 バキュームワイピング処理Aの詳細な処理内容を示すフローチャートである。 バキュームワイピング処理Bの詳細な処理内容を示すフローチャートである。 (a)および(b)は、吐出状態の検出手段の一例を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFによって自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7および排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
本実施形態の記録手段である記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッド(ラインヘッド)であり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。即ち、記録ヘッド8は、複数色のインクを吐出可能に構成されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップ(被覆)されている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力および流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する制御手段として機能する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させることで、記録ヘッド8が記録動作に利用できるようにする。
記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。
例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送しセンサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。図1でも説明したように、本実施形態のメンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
図4は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図4に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図4における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図4に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
図5(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、図5(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。図5(a)は図1に対応し、図5(b)は図4に対応している。
記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は図5(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10は鉛直方向上方に移動しており、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ部材10aを有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させることにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。また、キャップユニット10は、キャップ部材10aに予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクをポンプ(不図示)に吸引させる機能も備えている。
一方、図5(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニット(ワイピング手段)を備えている。
ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。
ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。
一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。
バキュームワイパ172cの先端には、吸引ポンプ24(図8(b)参照)に接続された吸引口としての開口部26aが形成されている(図6(b)参照)。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら開口部26aに吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、バキュームワイパ172cに対する吐出口面8aの位置合わせに利用される。
本実施形態では、ブレードワイパユニット171によるワイピング動作を行いバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を行わない第1のワイピング処理と、両方のワイピング処理を順番に行う第2のワイピング処理を実施することができる。第1のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図4のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16から引き出す。
そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。この移動により、吐出口面8aに付着するインク等はブレードワイパ171aに拭き取られる。すなわち、ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16から引き出された位置からメンテナンスユニット16内へ移動する際に吐出口面8aをワイピングする。
ブレードワイパユニット171が収納されると、プリントコントローラ202は、次にキャップユニット10を鉛直方向上方に移動させ、キャップ部材10aを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させる。そして、プリントコントローラ202は、その状態で記録ヘッド8を駆動して予備吐出を行わせ、キャップ部材10a内に回収されたインクを吸引ポンプによって吸引する。
一方、第2のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図4のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。これにより、ブレードワイパ171aによるワイピング動作が吐出口面8aに対して行われる。
次に、プリントコントローラ202は、再び記録ヘッド8を図4のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す。続いて、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を図4に示すワイピング位置に下降させながら、平板172aと位置決めピン172dを用いて吐出口面8aとバキュームワイパユニット172の位置決めを行う。その後、プリントコントローラ202は、上述したバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を実行する。プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向上方に退避させ、ワイピングユニット17を収納した後、第1のワイピング処理と同様に、キャップユニット10によるキャップ部材10a内への予備吐出と回収したインクの吸引動作を行う。
図6(a)は、吐出不良の吐出口(以下、不吐ノズルとも称する)の検出と、不吐ノズルに対する処理についてのフローチャートを示す。まず、S601にて、後述する吐出不良検出方法により不吐ノズルを検出し、その位置をプリントコントローラ202に記録する。なお、吐出不良の検出は、所定時間毎、所定枚数の記録毎、またはユーザによる指令が入力された場合に実行される。
次に、図6(b)に示す例のように、S602にて、プリントコントローラ202により、不吐ノズル位置の周辺領域として不吐ノズル領域および準備領域を決定する。そして、S603にて、決定された不吐ノズル領域に対して、それ以外の領域よりも吸引量が大きくなるように後述のバキュームワイピング処理AまたはBを実行する。
不吐ノズルを検出するためには、従来知られている種々の方法を用いることができる。例えば、記録ヘッドのすべての吐出口からインクを吐出させてテストパッチを記録し、そのテストパッチ上で画像の抜けがある箇所を光学センサにて判定し、その抜けに対応する吐出口を不吐ノズルとみなすことができる。
本実施形態における吐出状態の検出手段としての一例を、図15を用いて説明する。図15(a)及び(b)は、検出手段としての吐出検査ユニット1700の構成を示す図である。図15(a)は斜視図、同図(b)は側面図をそれぞれ示している。吐出検査ユニット1700は、後述する移動用モータによって±y方向に移動可能である。吐出検査ユニット1700の側面には、自身の移動位置を検知するためのリニアエンコーダセンサ1705が配されている。箱型の吐出検査ユニット1700には、その内部に発光部1701と受光部1702から成る吐出検査用センサ、開口1703、バキュームワイパ172c等が配されている。
LEDである発光部1701より発せられ+x方向に進行する光は受光部1702で受光され、受光部1702の検出値はプリントコントローラ202に送信される。発光部1701から受光部1702に向かう光路の鉛直下方には、吐出されたインク滴を収容する開口1703が設けられ、開口1703の更に下方にはインクを保持するための吸収体1706が収容されている。
以上の構成のもと、本実施形態のプリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を吐出口面8aに対向させた状態で、吐出検査ユニット1700を検査対象の吐出口に位置合わせし、当該吐出口からインクを連続的に吐出させる。すると、吐出された液滴は発光部1701から受光部1702に向かう光路を一部遮断し、受光部1702の検出値(電圧)は吐出動作が行われていない場合に比べて小さく(電圧変化量が大きく)なる。但し、検査対象の吐出口が正常な吐出動作を行えない場合、発光部1701から受光部1702に向かう光路は遮断されなかったり遮断される量が少なかったりして、受光部1702の検出値は吐出動作が行われていない場合に比べて然程変化しない。すなわち、プリントコントローラ202は、このような検出値(電圧値)の変化量の大きさに基づいて、検査対象の吐出口の吐出状態の良否を判断することができる。
しかしながら、本発明はこれに限らず、例えば記録ヘッドの記録素子ごとに各記録素子に対応して設けられた温度検知素子により温度情報を得ることで、吐出状態を検出する構成を採用してもよい。その場合、温度検知素子により検知された温度情報とその温度変化とから、素子基板の内部に設けられた論理回路(検査部)により対応する記録素子からのインク吐出状態を示す判定結果信号を得ることで、不吐ノズルを特定することもできる。
図7から図12を参照しながら、バキュームワイパユニット172の詳細な構成と、バキュームワイパユニット172によるワイピング動作の詳細と、について説明する。バキュームワイパユニット172を用いる回復動作としてのワイピング動作(以下、「バキュームワイピング」あるいは「バキュームワイピング動作」と適宜に称する。)は、上記のように第2のワイピング処理においてブレードワイパユニットによるワイピング動作後に実行される。
まず、図7を参照しながら、バキュームワイパ172cの構成について説明する。図7(a)は、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cを示す図である。図7(b)は、図7(a)のIXb-IXb線断面図である。
バキュームワイパ172cは、吐出口面8aと当接して負圧を作用させることが可能な開口部26aを備え、往方向に移動することにより吐出口面8aを払拭可能な構成となっている。バキュームワイパ172cは、記録ヘッド8の吐出口面8aに当接する弾性部材26と、弾性部材26を支持する支持部材28とを備えている。
支持部材28はz方向に立設され、上端28aaが開口した中空の凸部28aを備えている。支持部材28には、チューブ22を介して吸引ポンプ24(図9参照)が接続されており、プリントコントローラ202の制御に基づく吸引ポンプ24の駆動により凸部28a内が減圧される。また、支持部材28は、z方向に所定範囲内で移動可能に構成されており、バネなどの付勢部材30により矢印A方向に付勢されている。バキュームワイパ172cは、吐出口面8aとの当接によって押し込まれ、付勢部材30の付勢力に抗して矢印B方向に移動することとなる。従って、バキュームワイパ172cと吐出口面8aが当接したときには、バキュームワイパ172cは付勢部材30の付勢力によって吐出口面8aを押圧した状態となる。
弾性部材26は、その内部に支持部材28の凸部28aが挿嵌されている。また、弾性部材26はz方向に立設され、その先端が凸部28aの上端28aaよりも高い位置に位置するように設計されている。なお、バキュームワイパ172cと吐出口面8aが当接するときには、吐出口面8aと弾性部材26が当接し、吐出口面8aと支持部材28は当接しないように、バキュームワイパ172cと記録ヘッド8とのz方向の位置関係が調整されている。
弾性部材26は、例えばゴムなど、吐出口面8aと当接しながら移動しても吐出口面8aや吐出口面8aに設けられた吐出ユニット81(図10(b)参照)を損傷し難い材料により形成されている。また、弾性部材26は、その先端に開口部26aを備えている。この開口部26aは、バキュームワイパ172cが吐出口面8aの吸引準備面8ab(図10(b)参照)に当接したときには、吸引準備面8abによって密閉される。また、開口部26aは、x方向に対して所定角度だけ傾斜するように形成されている。
次に、図8を参照しながら、バキュームワイパ172cを搭載したキャリッジ172bの移動機構について説明する。図8(a)は、キャリッジ172bが位置する平板172aの開口部172aaの一方の端部近傍の拡大図である。図8(b)は、キャリッジ172bの移動機構の概略構成図である。
本実施形態では、キャリッジ172bを含むキャリッジ172bの移動機構が、バキュームワイパ172cの移動手段として機能している。バキュームワイパユニット172では、バキュームワイパ172cが搭載されたキャリッジ172bがy方向に延在する一対のガイドレール172eの摺動可能に設けられている。
このキャリッジ172bは、プリントコントローラ202の制御に基づいて駆動するバキュームワイプモータ32によってy方向に往復移動する。具体的には、平板172aにおける開口部172aaの一端から他端へ向かう往方向への移動と、他端から一端へ向かう復方向への移動を行う。なお、バキュームワイピング動作を実行しないときには、図8(b)のように、キャリッジ172bは開口部172aaの一方の端部に位置することとなる。このように、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cは、キャリッジ172bを介してy方向で往復移動可能な構成となっている。
本実施形態では、バキュームワイピング動作は、キャリッジ172bを介してバキュームワイパ172cが往方向(所定方向)へ移動するときのみに行われる。バキュームワイプモータ32は、ギア34を介してプーリ36と接続されている。プーリ36は、開口部172aaの他方の端部側に位置し、一方の端部側に位置するアイドラプーリ38との間にベルト40が張設されている。従って、ベルト40はバキュームワイプモータ32の駆動によって回動する。
ベルト40はy方向に延在するように配置されている。また、ベルト40にはキャリッジ172bが固定されている。従って、ベルト40の回動によりキャリッジ172bはガイドレール172eに沿って移動することとなり、ベルト40の回動方向によってキャリッジ172bの移動方向が決定される。また、バキュームワイプモータ32には、バキュームワイプモータ32の回転量および回転方向などを検知可能なロータリーエンコーダ33が接続されている。プリントコントローラ202は、このロータリーエンコーダ33による検知結果に基づいて、キャリッジ172bの移動方向や移動量などを検知する。
次に、図9を参照しながら、バキュームワイパ172cの吸引機構について説明する。図9(a)は、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとチューブ22を介して接続された吸引機構の概略構成図である。図9(b)は、図9(a)の吸引機構を模式的に示す構成図である。
キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cは、流路としてのチューブ22を介して吸引ポンプ24などにより構成される吸引機構に接続されている。吸引機構は、吸引ポンプ24と、吸引ポンプ24を駆動する吸引モータ42と、所定の容量の幾を収容可能であって吸引ポンプ24により内部空間を減圧可能なバッファタンク44とを備えている。また、バッファタンク44と流路46を介して接続される廃インクタンク48と、バッファタンク44内の圧力を測定可能な圧力センサ50(圧力検知手段)とを備えている。
吸引ポンプ24は、バッファタンク44と廃インクタンク48とを接続する流路46に設けられている。吸引ポンプ24を駆動する吸引モータ42は、プリントコントローラ202により制御される。そして、プリントコントローラ202の制御により吸引モータ42によって吸引ポンプ24を駆動して、バッファタンク44内を減圧する。このとき、プリントコントローラ202は、圧力センサ50によってバッファタンク44内の圧力を監視し、所定の圧力に達すると吸引モータ42を介して吸引ポンプ24を停止することとなる。
また、バッファタンク44はバルブ52を介してチューブ22に接続されている。従って、バルブ52を開けるとバッファタンク44はチューブ22を介してバキュームワイパ172cと連通し、バルブ52を閉めるとバッファタンク44はチューブ22を介してバキュームワイパ172cとの連通状態が解除される。バキュームワイピングによりバキュームワイパ172cから吸引されたインクや異物などは、チューブ22やバッファタンク44などを介して廃インクタンク48に集められる。
また、バルブ52が開いた状態(バッファタンク44がバキュームワイパ172cと接続された状態)において、チューブ22内(流路内)の圧力はバッファタンク44と同等の圧力状態となる。そのため、圧力センサ50によって実質的にチューブ22内やチューブ22と接続されたバキュームワイパ172cにおける圧力値を検知可能となる。
なお、吸引ポンプ24は、チューブ(不図示)を介してキャップユニット10に接続されており、キャップ部材10a内に回収されたインクを吸引可能となっている。従って、バルブ52の開閉処理により、吸引ポンプ24を駆動するとバキュームワイパ172cまたはキャップユニット10のうち一方から択一的に吸引されることとなる。
図10(a)は、バキュームワイピング開始時に、バキュームワイパ172cに記録ヘッド8の吐出口面8aが当接した状態を示す図である。図10(b)は、バキュームワイピング開始時に、バキュームワイパ172cと当接する吐出口面8aにおける吸引準備面8ab近傍を示す図である。図10(c)は、バキュームワイパ172cが吸引準備面8abに当接した状態を示す図である。図10(d)は、図10(c)に示す状態からバキュームワイパ172cを所定量だけ往方向に移動した状態を示す図である。なお、図10(c)(d)では、バキュームワイパ172cを簡素化して示している。
<バキュームワイピング処理A(負圧制御)>
図11は、バキュームワイピング処理Aを行う場合の、バッファタンク44内の圧力値の変動を示すグラフである。図13は、バキュームワイピング処理Aの処理内容を示すフローチャートである。
バキュームワイピング処理Aが開始されると、まず、記録ヘッド8を図4に示すワイピング位置よりも上方に退避させ(S1602)、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す(S1604)。所定位置とは、記録ヘッド8がワイピング位置まで下降した際に、バキュームワイパ172cが吸引準備面8abに当接し、かつ、往方向へ移動することで、各吐出ユニット81における吐出口をバキュームワイピングすることが可能な位置とする。
その後、プリントコントローラ202により記録ヘッド8を図4に示すワイピング位置まで降下させる(S1606)。このとき、キャリッジ172bは、開口部172aaの一方の端部に位置し、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cは、吐出口面8aの吸引準備面8abに当接する(図10(a)参照)。また、このとき、バキュームワイパ172cは、付勢部材30の付勢力に抗して矢印C方向に移動するとともに、当該付勢力によって吸引準備面8abに所定の圧力で当接することとなる。
次に、プリントコントローラ202によりバキュームワイプモータ32を駆動して、バキュームワイパ172cを吐出口面8aに当接した状態で、キャリッジ172bを往方向に所定量だけ移動させる(S1608)。その後、バルブ52を開いた状態とし、吸引ポンプ24とバキュームワイパ172cが連通した状態で、吸引モータ42を駆動し、吸引ポンプ24によりバッファタンク44内の圧力が設定値(第1の負圧値)となるまで吸引(負圧チャージ)する(S1610)。これにより、バッファタンク44と連通するバキュームワイパ172c内部も第1の負圧値まで減圧された状態となる。本実施形態では、設定値(第1の負圧値)は所定の負圧値(第3の負圧値)よりも強い負圧値に設定されている。
ここで、記録ヘッド8がワイピング位置に下降することにより、吐出口面8aと当接するバキュームワイパ172cは、図10(c)のように、弾性部材26の先端(上端)面26b(天面)全体で吸引準備面8abに当接する。この状態では、吸引準備面8abと当接する先端面26bの単位面積あたりの付勢力は低く、弾性部材26の開口部26aや吸引準備面8abの微小な凹凸に追従できない場合がある。このため、バッファタンク44の負圧チャージ時に、バキュームワイパ172cと吸引準備面8abとの間から外気が流入し易くなり、適切な負圧値に維持されない場合がある。
本実施形態では、バキュームワイパ172cが吸引準備面8abに当接した状態で、キャリッジ172bを往方向に所定量だけ移動することで、図10(d)のように、弾性部材26の先端面26bが、そのエッジで吸引準備面8abと当接することとなる。このため、吸引準備面8abの先端面26bとの当接面積が小さくなり、吸引準備面8abと当接する先端面26bの単位面積あたりの付勢力が高くなる。これにより、弾性部材26の開口部26aや吸引準備面8abの微小な凹凸に追従することができるようになり、バッファタンク44の負圧チャージ時に、バキュームワイパ172cと吸引準備面8abとの間から外気の流入が抑制される。
従って、キャリッジ172bを往方向に移動させる所定量とは、吸引準備面8abに対して弾性部材26が、先端面26bの全体で当接した状態から、先端面26bのエッジで当接した状態となるまでの移動量となる。また、所定量は、バキュームワイパ172cにおける弾性部材26の形状および材質などによって異なり、例えば、実験的に求められる。
負圧チャージによりバッファタンク44内を設定値(第1の負圧値)まで減圧すると、プリントコントローラ202により吸引モータ42を停止し、吸引ポンプ24による吸引を停止する(S1612)。その後、プリントコントローラ202によりバキュームワイパ172cが吐出口面8aに当接した状態でキャリッジ172bを往方向に移動させて、吐出口面8aに配置された吐出ユニット81の各吐出口に対してバキュームワイピングを行う(S1614)。なお、S1614におけるバキュームワイパ172cの移動速度については、処理条件に応じて設定された一定の移動速度で実行される。
バキュームワイパ172cの往方向への移動中は、バキュームワイパ172cが準備領域まで移動したかどうかの判定をプリントコントローラ202により行う(S1616)。バキュームワイパ172cが準備領域に入ったと判定されると、吸引モータ42を駆動して吸引ポンプ24による吸引を再開する(S1618)。なお、このS1618における処理中も、バキュームワイパ172cは往方向への移動を継続し、準備領域に続いて不吐ノズル領域を移動する。
その後、バッファタンク44内の圧力が設定値(第2の負圧値)に達したか否かを判定し(S1620)、設定値(第2の負圧値)に到達したと判定されると、吸引ポンプ24を停止し(S1622)、S1624に進む。なお、第2の負圧値は、第1の負圧値よりも強い負圧値に設定されている。S1624では、バキュームワイパ172cが不吐ノズル領域を出たか否かの判定をプリントコントローラ202により行う。
ここで、吐出口面8aには、吐出ユニット81、枠部82、封止部83および配線封止部84が設けられている。吐出ユニット81は封止部83上に配置されており、吐出ユニット81に接続される配線は配線封止部84により封止されている。封止部83は、吐出ユニット81および枠部82に対して凹形状となっている。また、配線封止部84は、吐出ユニット81および枠部82に対して凸形状となっている。さらに、各吐出ユニット81は、バキュームワイパ172cの移動方向(y方向)に対して傾斜して配置されている。
また、バキュームワイパ172cは付勢部材30により吐出口面8aに押圧されている。このため、バキュームワイパ172cは、上記した吐出口面8aの凹凸にある程度は追従することができる。しかしながら、吐出ユニット81は、移動方向に複数配設されているため、その移動速度などに応じて追従できない箇所が発生し、バキュームワイパ172cの開口部26aから外気が流入してしまう。
これに対して、本実施形態では、バッファタンク44とともにバキュームワイパ172cの内部を設定値(第1の負圧値または第2の負圧値)まで減圧するように設定している。そのため、開口部26aから外気が流入しても、開口部26aにおいて吐出口などに作用する負圧が急激に低下することは抑制される。しかしながら、バキュームワイパ172cの移動に伴って、バキュームワイパ172cおよびバッファタンク44内の負圧値は徐々に弱くなってしまう。
そこで、本実施形態では、バキュームワイパ172cの往方向への移動中に、バッファタンク44内の圧力が所定の負圧値(第3の負圧値または第4の負圧値)に達したか否かを判定する。バキュームワイパ172cが準備領域または不吐ノズル領域に位置する場合は、バッファタンク44内の圧力が第4の負圧値に達したか否かを判定する(S1626)。一方、バキュームワイパ172cが準備領域および不吐ノズル領域のいずれでもない領域に位置する場合は、バッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したか否かを判定する(S1634)。なお、第4の負圧値は第2の負圧値よりも弱い負圧値であり、第3の負圧値は第1の負圧値よりも弱い負圧値である。
S1626において、圧力センサ50により測定したバッファタンク44内の圧力が第4の負圧値に達したとプリントコントローラ202により判定されると、吸引モータ42を駆動して吸引ポンプ24による吸引を再開する(S1628)。なお、このS1628による処理中も、バキュームワイパ172cは往方向に移動している。その後、バッファタンク44内の圧力が第2の負圧値に達したか否かを判定し(S1630)、第2の負圧値に達したと判定されると、吸引ポンプ24を停止し(S1632)、S1624に進む。
同様に、S1634において、圧力センサ50により測定したバッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したとプリントコントローラ202により判定されると、吸引モータ42を駆動して吸引ポンプ24による吸引を再開する(S1636)。なお、このS1636による処理中も、バキュームワイパ172cは往方向に移動している。その後、バッファタンク44内の圧力が第1の負圧値に達したか否かを判定し(S1638)、第2の負圧値に達したと判定されると、吸引ポンプ24を停止する(S1640)。
このように、本実施形態では、吸引ポンプ24の駆動および停止を制御して、バッファタンク44内の圧力を所定範囲内(第3の負圧値と第1の負圧値との間、または第4の負圧値と第2の負圧値との間)に維持するように制御される(図11参照)。
S1616において、バキュームワイパ172cが準備領域に入ったと判定された場合は、S1624にて、バキュームワイパ172cが不吐ノズル領域を出たか否かをプリントコントローラ202により判定する。その後、S1642にて、バキュームワイパ172cが予め設定されたバキュームワイピング終了位置まで移動したか否かをプリントコントローラ202により判定する。
一方S1616において、バキュームワイパ172cが準備領域に入っていないと判定された場合も、S1642にて、バキュームワイパ172cが予め設定されたバキュームワイピング終了位置まで移動したか否かをプリントコントローラ202により判定する。S1616、S1624、S1634及びS1642においては、それぞれ、ロータリーエンコーダ33による検知結果に基づいてプリントコントローラ202がキャリッジ172bの位置及びバキュームワイパ172cの位置を判定する。
S1642において、バキュームワイパ172cがバキュームワイピング終了位置まで移動していないと判定されると、S1616に戻る。一方、S1642において、バキュームワイパ172cがバキュームワイピング終了位置まで移動したと判定されると、バキュームワイピング処理Aを終了する。
バキュームワイピング処理Aが終了すると、プリントコントローラ202により記録ヘッド8を上方に移動させる。そして、バキュームワイパ172cが吐出口面8aから離間した後、プリントコントローラ202により、キャリッジ172bを復方向に移動して開口部172aaの一方の端部に位置させる。
このように、バキュームワイピング処理Aを行うことで、吐出状態が良好な吐出口と比較して、吐出不良の吐出口に対して強い負圧による吸引が行われる。従って、すべての吐出口に対して一律の負圧による吸引を行う場合と比較して、吐出不良の吐出口に対してより強力な回復を行うことができ、吐出不良の吐出口以外の、吐出状態が良好な吐出口からは必要以上にインクを吸引しない構成を実現することができる。
また、吐出不良の吐出口に対して強い負圧で吸引が実行できるよう、バキュームワイパ172cの移動方向において不吐ノズル領域よりも上流における準備領域において吸引ポンプ24の駆動を再開させる。これにより、バキュームワイパ172cの移動や吸引動作を止めることなく、吐出不良の吐出口に対して適切な回復を行うことができる。従って、吐出不良の吐出口と対向する位置においてバキュームワイパ172cを停止する場合と比較して、バキュームワイピング処理に要する時間を短縮し、回復動作のスループットを向上することができる。
<バキュームワイピング処理B(移動速度制御)>
図12は、バキュームワイピング処理Bを行う場合の、バッファタンク44内の圧力値の変動とバキュームワイパ172cの移動速度の変動を示すグラフである。図14は、バキュームワイピング処理Bの処理内容を示すフローチャートである。
S1702~S1712までは、図13におけるS1602~S1612までの処理と同じ処理を行う。その後、プリントコントローラ202によりバキュームワイパ172cが吐出口面8aに当接した状態でキャリッジ172bを往方向に移動させて、吐出口面8aに配置された吐出ユニット81の各吐出口に対してバキュームワイピングを行う(S1714)。ここで、S1714におけるバキュームワイパ172cの移動は第1の移動速度で実行される。
バキュームワイパ172cの往方向への移動中は、バキュームワイパ172cが準備領域まで移動したかどうかの判定をプリントコントローラ202により行う(S1716)。バキュームワイパ172cが準備領域に入ったと判定されると、バキュームワイパ172cの移動速度を第2の移動速度に変更する(S1718)。ここで、第2の移動速度は、第1の移動速度よりも小さい値である。なお、このS1718による処理中も、バキュームワイパ172cは往方向への移動を継続し、準備領域に続いて不吐ノズル領域を移動する。その後、S1720では、バキュームワイパ172cが不吐ノズル領域を出たか否かの判定をプリントコントローラ202により行う。
S1720の判定にて否となった場合、バキュームワイピング処理AにおけるS1626と同様に、バキュームワイパ172cの往方向への移動中に、バッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したか否かを判定する(S1724)。また、バキュームワイパ172cが準備領域および不吐ノズル領域のいずれでもない領域に位置する場合においても、バッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したか否かを判定する(S1732)。第3の負圧値は、S1710でチャージされる第1の負圧値よりも弱い負圧値である。
S1724において、圧力センサ50により測定したバッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したとプリントコントローラ202により判定されると、吸引モータ42を駆動して吸引ポンプ24による吸引を再開する(S1726)。なお、このS1726による処理中も、バキュームワイパ172cは往方向に移動している。その後、バッファタンク44内の圧力が第1の負圧値に達したか否かを判定し(S1728)、第1の負圧値に達したと判定されると、吸引ポンプ24を停止する(S1730)。
同様に、S1732において、圧力センサ50により測定したバッファタンク44内の圧力が第3の負圧値に達したとプリントコントローラ202により判定されると、吸引モータ42を駆動して吸引ポンプ24による吸引を再開する(S1734)。なお、このS1734による処理中も、バキュームワイパ172cは往方向に移動している。その後、バッファタンク44内の圧力が第1の負圧値に達したか否かを判定し(S1736)、第1の負圧値に達したと判定されると、吸引ポンプ24を停止する(S1738)。
このように、バキュームワイピング処理Bにおいても、吸引ポンプ24の駆動および停止を制御して、バッファタンク44内の圧力を所定範囲内(第3の負圧値と第1の負圧値との間)に維持するように制御される(図12参照)。
S1716において、バキュームワイパ172cが準備領域に入っていないと判定された場合であって、S1720の判定においてYESになった場合、S1722にて、バキュームワイパ172cの移動速度を第1の移動速度に変更する。その後、S1740にて、バキュームワイパ172cが予め設定されたバキュームワイピング終了位置まで移動したか否かをプリントコントローラ202により判定する。
一方S1716において、バキュームワイパ172cが準備領域に入っていないと判定された場合も、S1740にて、バキュームワイパ172cが予め設定されたバキュームワイピング終了位置まで移動したか否かをプリントコントローラ202により判定する。S1716、S1724、S1732及びS1740においては、それぞれ、ロータリーエンコーダ33による検知結果に基づいてプリントコントローラ202がキャリッジ172bの位置及びバキュームワイパ172cの位置を判定する。
S1740において、バキュームワイパ172cがバキュームワイピング終了位置まで移動していないと判定されると、S1716に戻る。一方、S1740において、バキュームワイパ172cがバキュームワイピング終了位置まで移動したと判定されると、バキュームワイピング処理Bを終了する。
バキュームワイピング処理Bが終了すると、プリントコントローラ202により記録ヘッド8を上方に移動させる。そして、バキュームワイパ172cが吐出口面8aから離間した後、プリントコントローラ202により、キャリッジ172bを復方向に移動して開口部172aaの一方の端部に位置させる。
このように、バキュームワイピング処理Bを行うことで、吐出状態が良好な吐出口と比較して、吐出不良の吐出口に対する吸引時間を長くすることができる。従って、すべての吐出口に対して一律の吸引時間で吸引を行う場合と比較して、吐出不良の吐出口に対してより強力な回復を行うことができ、吐出状態が良好な吐出口からは必要以上にインクを吸引しない構成を実現することができる。
また、吐出不良の吐出口に対して長い吸引時間で吸引が実行できるよう、バキュームワイパ172cの移動方向において不吐ノズル領域よりも上流における準備領域において、バキュームワイパ172cの移動速度を小さくする。これにより、バキュームワイパ172cの移動や吸引動作を止めることなく、吐出不良の吐出口に対して適切な回復を行うことができる。従って、吐出不良の吐出口と対向する位置においてバキュームワイパ172cを停止してから移動速度を変更する場合と比較して、バキュームワイピング処理に要する時間を短縮し、回復動作のスループットを向上することができる。
本実施形態では、バキュームワイピング処理Aとバキュームワイピング処理Bのどちらも実行可能な記録装置において、どちらかを選択して実行する構成を説明した。バキュームワイピング処理Aは、バキュームワイパ172cの移動速度を変更しないため、バキュームワイピング処理Bよりも回復時間を短縮することができる。したがって、例えば回復動作のスループットを優先させたい場合は、バキュームワイピング処理Aを選択するとより効果的である。
一方、バキュームワイピング処理Bは、吸引ポンプ24により発生させる負圧値を変更しないため、吸引ポンプ24を駆動する際の駆動音をバキュームワイピング処理Aに比べて抑制できる場合がある。したがって、吸引ポンプ24の駆動音を抑制したい場合は、バキュームワイピング処理Bを選択するとより効果的である。
なお、本発明は、バキュームワイピング処理Aとバキュームワイピング処理Bのどちらか一方のみ実行可能な記録装置に対しても適用可能である。吐出不良の吐出口に対する吸引条件を、吐出不良の吐出口以外の、吐出不良でない吐出口に対する吸引条件とは異ならせることで、適切な回復が実現できればよい。
なお、上述した実施形態において、「インク」は広く解釈されるべきものである。従って、「インク」の概念は、記録媒体上に付与されることによって画像、模様、パターン等を形成する液体の他、記録媒体の加工、インクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)等に供され得る付随的な液体をも含み得る。
1 インクジェット記録装置
8 記録ヘッド(記録手段)
8a 吐出口面
24 吸引ポンプ(減圧手段)
26a 開口部
172c バキュームワイパ(ワイピング手段)
202 プリントコントローラ
1700 吐出検査ユニット(検出手段)

Claims (11)

  1. 液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出口面を有する記録手段と、
    前記吐出口面と当接可能な開口部を有し、前記開口部を前記吐出口面に当接させながら所定方向に移動することで前記吐出口面をワイピングするワイピング手段と、
    前記吐出口面に対して前記開口部を介して負圧を作用する減圧手段と、
    前記複数の吐出口の吐出状態を検出する検出手段と、
    前記開口部と前記吐出口面が当接した状態で前記減圧手段を駆動した後、前記ワイピング手段を移動させながら前記複数の吐出口から液体を吸引する吸引動作を行う制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記検出手段により吐出不良と検出された第1吐出口に対して、前記第1吐出口以外の吐出口とは異なる吸引条件で前記吸引動作を実行することを特徴とする記録装置。
  2. 前記ワイピング手段と前記減圧手段を接続する流路と、
    前記流路内の圧力を検知する圧力検知手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記第1吐出口に対する前記吸引動作では、前記第1吐出口以外の前記吐出口に作用する負圧値よりも強い負圧値で吸引することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記制御手段は、前記吸引動作において作用させる負圧値が所定範囲内となるように前記減圧手段の駆動と停止を制御し、
    前記所定方向において前記第1吐出口よりも上流の準備領域に位置する状態において前記減圧手段を駆動し、前記圧力検知手段により検知した負圧値が所定の設定値に到達したら前記減圧手段を停止することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1吐出口に対する前記吸引動作では、前記第1吐出口以外の前記吐出口に対する前記吸引動作における前記ワイピング手段の移動速度よりも小さい移動速度で吸引することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記制御手段は、前記所定方向において前記第1吐出口よりも上流の準備領域に位置する状態において前記移動速度を変更することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記吸引動作において作用させる負圧値が所定範囲内となるように前記減圧手段の駆動と停止を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の記録装置。
  7. 前記制御手段は、前記吸引動作において前記ワイピング手段の前記所定方向の移動を途中で停止しないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記流路に設けられ所定の容量を有するバッファタンクを備え、
    前記圧力検知手段は前記バッファタンクの内部の圧力を検知することを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
  9. 液体を吐出する複数の吐出口が形成された吐出口面を有する記録手段と、
    前記吐出口面と当接可能な開口部を有し、前記開口部を前記吐出口面に当接させながら所定方向に移動することで前記吐出口面をワイピングするワイピング手段と、前記吐出口面に対して前記開口部を介して負圧を作用する減圧手段と、を備える記録装置の制御方法であって、
    前記複数の吐出口の吐出状態を検出する検出工程と、
    前記開口部と前記吐出口面が当接した状態で前記減圧手段を駆動した後、前記ワイピング手段を移動させながら前記複数の吐出口から液体を吸引する吸引動作を行う制御工程と、を有し、
    前記制御工程は、前記検出工程において吐出不良と検出された第1吐出口に対して、前記第1吐出口以外の前記吐出口とは異なる吸引条件で前記吸引動作を実行することを特徴とする制御方法。
  10. 前記記録装置は、前記ワイピング手段と前記減圧手段を接続する流路と、前記流路内の圧力を検知する圧力検知手段と、を備え、
    前記制御工程は、前記第1吐出口に対する前記吸引動作では、前記第1吐出口以外の前記吐出口に作用する負圧値よりも強い負圧値で吸引することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
  11. 前記制御工程は、前記第1吐出口に対する前記吸引動作では、前記第1吐出口以外の前記吐出口に対する前記吸引動作における前記ワイピング手段の移動速度よりも小さい移動速度で吸引することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
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