JP2019166749A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Yoshikatsu Yamaguchi
善功 山口
文恵 亀山
Fumie Kameyama
文恵 亀山
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【課題】長尺のインクジェット記録ヘッドに対しても、吐出口面を適切且つ安定して密閉することが可能なインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置1は、弾性部材で構成され吐出口面に密着可能なキャップ120と、キャップ120を支持するキャップホルダ110と、キャップ120の内部に配されキャップ120の姿勢を規制するキャップストッパ130とを備える。キャップ120とキャップホルダ110とキャップストッパ130は、キャップ120に形成された固定穴121とキャップホルダ110に形成された穴111とにキャップストッパ130に形成された固定軸135が貫通されることによって固定される。キャップ120においては、固定穴121の周囲に他の領域よりも剛性の低い変位吸収領域121aが設けられている。【選択図】図11

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置では、インクを吐出する記録ヘッドをメンテナンスするためのキャップを備えているものがある。キャップは、ゴムなどの弾性部材で形成され、記録ヘッドがスタンバイ状態にあるときにその吐出口面を保護したり、吐出状態を維持するために吐出口から排出されたインクを受容したりする。このようなキャップは、キャップよりも剛性の強いキャップホルダに搭載されて、キャップホルダの昇降に伴って吐出口面に密着したり離間したりする。特許文献1には、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドをカバーする長尺のキャップが開示されている。
特開2017−217905号公報
特許文献1に開示されるような長尺のキャップホルダに長尺のキャップを搭載して位置決めする場合、片側の端部を固定するともう片側の端部でずれが生じ易く、互いの中心を固定すると両端部にずれが生じやすい。そして、このようなずれが含まれた状態で、弾性部材であるキャップを強制的にキャップホルダに固定すると、キャップ自体が変形し吐出口面に対する密閉性が損なわれ、キャップ本来の役割が果せなくなるおそれが生じる。
本発明は上記問題点を解決するために成されたものである。よってその目的とするところは、フルラインタイプのような長尺のインクジェット記録ヘッドに対しても、吐出口面を適切且つ安定して密閉することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
そのために本発明は、(クレームが決定され次第記入します)
本発明によれば、フルラインタイプのような長尺のインクジェット記録ヘッドに対しても、吐出口面を適切且つ安定して密閉することができる。
記録装置が待機状態にあるときの図である。 記録装置の制御構成図である。 記録装置が記録状態にあるときの図である。 (a)〜(c)は、第1カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 (a)〜(c)は、第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 (a)〜(d)は、記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。 記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。 (a)および(b)は、メンテナンスユニットの構成を示す斜視図である。 (a)および(b)は、キャップユニットの構成を示す図である。 キャップストッパの断面図である。 キャップストッパとキャップとキャップホルダとの連結を示す図である。 (a)および(b)は、変位吸収領域を説明するための図である。
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFによって自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ120と離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。
図4(a)〜(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第1カセット5A内の1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。
記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、搬送ローラ7と拍車7bに案内されながら、先端が右に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pの位置から、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。
記録媒体Sは、鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。排出された記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で、排出トレイ13上に保持される。
図5(a)〜(c)は、第2カセット5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内の1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bに給送されて記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字上に湾曲されてプラテン9まで搬送される。
その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
図6(a)〜(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は図4(a)〜(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以後、図4(c)以後の搬送工程について説明する。
記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。
その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外周面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。
その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示した第1面記録の場合と同様である。図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。図1でも説明したように、本実施形態のメンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
図7は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
図8(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、図8(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。図8(a)は図1に対応し、図8(b)は図7に対応している。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は図8(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10は鉛直方向上方に移動しており、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ120を有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させることにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。また、キャップユニット10は、キャップ120に予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクを不図示の吸引ポンプに吸引させる機能も備えている。
一方、図8(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニットを備えている。
ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。
ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。
一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。バキュームワイパ172cの先端には、不図示の吸引ポンプに接続された吸引口が形成されている。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら吸引口に吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、バキュームワイパ172cに対する吐出口面8aの位置合わせに利用される。
本実施形態では、ブレードワイパユニット171によるワイピング動作を行いバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を行わない第1のワイピング処理と、両方のワイピング処理を順番に行う第2のワイピング処理を実施することができる。第1のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16から引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。この移動により、吐出口面8aに付着するインク等はブレードワイパ171aに拭き取られる。すなわち、ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16から引き出された位置からメンテナンスユニット16内へ移動する際に吐出口面8aをワイピングする。
ブレードワイパユニット171が収納されると、プリントコントローラ202は、次にキャップユニット10を鉛直方向上方に移動させ、キャップ120を記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させる。そして、プリントコントローラ202は、その状態で記録ヘッド8を駆動して予備吐出を行わせ、キャップ120内に回収されたインクを吸引ポンプによって吸引する。
一方、第2のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。これにより、ブレードワイパ171aによるワイピング動作が吐出口面8aに対して行われる。次に、プリントコントローラ202は、再び記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す。続いて、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を図7に示すワイピング位置に下降させながら、平板172aと位置決めピン172dを用いて吐出口面8aとバキュームワイパユニット172の位置決めを行う。その後、プリントコントローラ202は、上述したバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を実行する。プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向上方に退避させ、ワイピングユニット17を収納した後、第1のワイピング処理と同様に、キャップユニット10によるキャップ120内への予備吐出と回収したインクの吸引動作を行う。
図9(a)および(b)は、キャップユニット10の構成を示す図である。図9(a)は斜視図、図9(b)は断面図である。キャップユニット10は、比較的剛性の高いキャップホルダ110、弾性部材で構成されキャップホルダ110に搭載される箱型のキャップ120、キャップ120の姿勢を内側から規制するキャップストッパ130、及び吸収体140を含んでいる。キャップユニット10は、キャップホルダ110に対して、キャップ120、キャップストッパ130、吸収体140がこの順に積層され、キャップホルダ110の底部から複数のビス150が固定されることによって組み立てられる。
図10は、キャップストッパ130の断面斜視図である。キャップストッパ130は、キャップ120の内壁に当接し、弾性部材からなるキャップ120の姿勢を内側から規制する。キャップストッパ130の上面においてy方向の複数箇所には、x方向に延在するリブ131が配されており、キャップ120の±x方向への撓みを規制している。一方、キャップストッパ130の下面におけるy方向の複数個所には、キャップホルダ110に向けて突出し、内側にねじ山が形成されたビス固定軸135が配されている(図11(a)参照)。更に、キャップストッパ130の内部には、記録ヘッド8の吐出口より排出されたインクを導くためのインク流路133と、インク流路133とは別に大気と連通するエア流路134が、y方向に延在するように形成されている。インク流路133は、キャップストッパ130の上面に配された回収口と接続し、吐出口から排出されたインクを回収するための流路となる。
図11は、キャップストッパ130とキャップ120とキャップホルダ110とを連結させる様子を示す図である。図11において、キャップストッパ130とキャップホルダ110は断面図を示し、キャップ120は上面図を示している。
キャップストッパ130における複数のビス固定軸135、キャップ120における複数の固定穴121、キャップホルダ110における複数のビス穴111は、互いに対向するようにx方向及びy方向の同じ位置に設けられている。組み立てを行う際、キャップ120およびキャップホルダ110は穴を一致させた状態で積層され、キャップストッパ130のビス固定軸135がキャップ120の固定穴121とキャップホルダ110のビス穴に貫通される。そしてその状態で、キャップホルダ110の底部からビス150を差し込むことにより、キャップストッパ130、キャップ120、およびキャップホルダ110は互いに締結される。
図において、y方向のほぼ中央にあるビス連結部の一方の側(図の左側)には、キャップストッパ130、キャップ120、キャップホルダ110において、穴136、122、112がそれぞれ設けられている。そして、これら穴136、122、112がz方向に連結することによって、キャップストッパ130のインク流路133に回収されたインクをキャップユニット10から排出するためのインク排出経路が形成される。
一方、ほぼ中央にあるビス連結部の他方の側(図の右側)には、キャップストッパ130、キャップ120、キャップホルダ110において、穴137、123、113がそれぞれに設けられている。そして、これら穴137、123、113がz方向に連結することによって、キャップストッパ130のエア流路134と連結する大気連通経路が形成される。
そして、このようなインク排出経路および大気連通経路を正常に機能させるためには、キャップストッパ130、キャップ120、キャップホルダ110は、互いにずれることなく位置決めされることが求められる。よって、本実施形態においては、インク排出経路および大気連通経路に最も近いy方向中央のビス150を最初に固定し、次にその両側を固定するといった順で複数のビス150を順番に固定していく。
但し、弾性部材であるキャップ120においては、ある程度の寸法のずれが発生し、温度や湿度などに起因して剛性や大きさが変化する場合がある。この場合、上述したようなy方向の中央の位置で、キャップ120をキャップホルダ110やキャップストッパ130と最初に固定すると、y方向の端部の位置ほどずれ量が大きくなる。すなわち、キャップホルダ110のビス穴111やキャップストッパ130のビス固定軸135に対し、キャップ120の固定穴121がy方向にずれてしまう。
但し、キャップ120自体が弾性部材であるため、キャップ120全体を伸縮させることによって、キャップ120の固定穴121を、ビス穴111やビス固定軸135に位置合わせすることはできる。しかしながら、このような伸縮はキャップ120全体の形状や姿勢に影響を及ぼし、吐出口面に対する密閉性を劣化させてしまうおそれが生じる。このような状況に鑑み、本実施形態ではキャップ120の固定穴121の周辺に上記伸縮の影響を吸収可能な変位吸収領域を設ける。
図12(a)および(b)は、変位吸収領域を説明するための図である。いずれの図もキャップ120における端部2つ分の固定穴121の周辺の拡大図であり、図12(a)は上方から見た断面斜視図、図12(b)は下方から見た断面斜視図である。本実施形態において、キャップ120の固定穴121を囲う領域には、他の領域と同じ弾性部材で形成された円形の凸部が配され、この部分における弾性部材の厚みは他の領域の厚みよりも薄くなっている。以下、本実施形態では、このような凸形状の薄肉領域を変位吸収領域121aと称す。
このような変位吸収領域121aを設けることにより、固定穴121に貫通するビス固定軸135が固定穴121を多少引っ張ったとしても、その影響は周囲の変位吸収領域121aの伸び縮みによって吸収され、更に外側の領域への影響を抑えることができる。すなわち、固定穴121が±y方向に多少引っ張られたとしても、キャップ120における変位吸収領域121aよりも外側の領域が移動したり変形したりする量は少なく、キャップ120全体の箱型形状を維持し、吐出口面に対する密閉性を確保することができる。
なお、本実施形態では、図11に示すように、ビス固定軸135を貫通させるための7つの固定穴121のすべてに変位吸収領域121aを設けたが、最初に固定する中央の固定穴121については変位吸収領域121aを設けなくても良い。また、中央の固定穴121を最初に固定する場合、端部の固定穴121ほど位置ずれ量が大きくなり易いため、端部に位置する変位吸収領域121aほど位置ずれの影響を多く吸収できるように、凸形状を高くしたり幅を大きくしたり厚みを薄くしたりしても良い。
また、変位吸収領域121aは、必ずしも図12(a)および(b)に示したような凸型の円形状を有していなくても良い。例えば、凸型の円形状は固定穴121を中心に、2重3重に形成されていても良い。また、凸型部は固定穴121の全周に配する必要は無く、固定穴121がずれることが懸念される±y方向にのみ配されていても良い。
更に、変位吸収領域121aは、その領域の肉厚が他の領域よりも薄い平面であっても良い。弾性部材の肉厚が他よりも薄い領域が固定穴121の周囲に設けられているだけであっても、固定穴121の移動の影響をその薄肉部の伸縮によって吸収し、外側の領域に対する影響を少なく抑えることができるという効果は得られるからである。反対に、変位吸収領域121aは、他の領域と同じ肉厚を有しながら凸形状となる領域としても良い。この場合であっても、固定穴121の移動の影響を凸形状の変形によって吸収し、外側の領域に影響を及ぼさないようにすることはできる。
いずれにしても、キャップ120の固定穴121の周囲に、固定穴121の移動の影響を吸収しキャップ120の他の領域の移動や変形を抑えることが可能な領域が用意されていれば、そのような領域は本発明の変位吸収領域として機能させることができる。
1 インクジェット記録装置
8 記録ヘッド
8a 吐出口面
10 キャップユニット
110 キャップホルダ
111 ビス穴
120 キャップ
121 固定部
121a 変位吸収領域
130 キャップストッパ
135 ビス固定軸
136 インク回収穴
そのために本発明は、インクを吐出する吐出口が所定の方向に配列されている吐出口面を有するフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドと、弾性部材で構成され前記吐出口面に当接することが可能なキャップと、前記キャップを支持し前記吐出口面に対し、前記キャップを当接、離間することが可能なキャップホルダと、前記キャップの内部に配され前記キャップの姿勢を規制するキャップストッパと、を備え、前記キャップと前記キャップホルダと前記キャップストッパは、前記キャップに形成された固定穴と前記キャップホルダに形成された穴とに前記キャップストッパに形成された固定軸を貫通することによって固定されるインクジェット記録装置であって、前記キャップは、前記固定穴の周囲に他の領域よりも剛性の低い変位吸収領域が設けられていることを特徴とする。

Claims (8)

  1. インクを吐出する吐出口が所定の方向に配列されている吐出口面を有するフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドと、
    弾性部材で構成され前記吐出口面に当接することが可能なキャップと、
    前記キャップを支持し前記吐出口面に対し、前記キャップを当接、離間することが可能なキャップホルダと、
    前記キャップの内部に配され前記キャップの姿勢を規制するキャップストッパと、
    を備え、
    前記キャップと前記キャップホルダと前記キャップストッパは、前記キャップに形成された固定穴と前記キャップホルダに形成された穴とに前記キャップストッパに形成された固定軸を貫通することによって固定されるインクジェット記録装置であって、
    前記キャップは、前記固定穴の周囲に他の領域よりも剛性の低い変位吸収領域が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記変位吸収領域は、前記弾性部材の厚みが前記キャップにおける他の領域の厚みよりも薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記変位吸収領域は、前記弾性部材が凸型に変形していることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記変位吸収領域は、前記固定穴を囲う円形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記固定穴は前記所定の方向に複数配され、前記複数の固定穴のうち前記所定の方向における中央の固定穴の一方の側に、前記キャップに排出されたインクを排出するための穴が配され、他方の側に前記キャップの内部を大気に連通させるための穴が配されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記固定穴は前記所定の方向に複数配され、前記複数の固定穴のうち前記所定の方向における中央の固定穴には前記変位吸収領域が設けられていないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記固定穴は前記所定の方向に複数配され、前記複数の固定穴のうち前記所定の方向における端部の固定穴に対応する前記変位吸収領域ほど、剛性が低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記キャップと前記キャップホルダと前記キャップストッパは、前記固定軸を貫通した後に前記固定軸にねじを差し込むことによって締結されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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