JP2022147236A - 接着シート及びこれを用いた硬化物、積層体並びに自動車用外装材 - Google Patents

接着シート及びこれを用いた硬化物、積層体並びに自動車用外装材 Download PDF

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Katsushi Ikeda
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Abstract

【課題】加熱硬化後においても接着剤層の厚みが保持でき、線膨張係数の異なる被着体との接着後における反りの発生を抑制でき、かつ、鋼板やアルミ等の被着体への接着強度が良好であるエポキシ樹脂系の接着シートを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様に係る接着シートは、エポキシ樹脂組成物(a)からなる樹脂層(A)と、エポキシ樹脂組成物(b)からなる樹脂層(B)とを備え、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であり、前記樹脂層(B)が未硬化である。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂を用いた接着シート及びこれを用いた硬化物、積層体並びに自動車用外装材に関する。
近年、地球温暖化の抑制と環境保護の観点より、自動車や航空機等の輸送体における低燃費化を目的として、構造体の軽量化の検討が進んでいる。この軽量化の手法として、一般的に使用されてきた鋼板の代わりに、強度を高くした超高強度鋼板を用いることによる薄肉化や、鋼板に代わる軽量材料であるアルミニウムやCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の材料等の活用について広く検討されている。
しかしながら、これらの材料は軽量化へ寄与する一方、コスト面や強度、耐疲労性や電気特性等の特性については鋼板に劣る等の課題を有していたため、これらの材料が単独で用いられることは少なく、各種特性が代替として使用可能な部分を中心に鋼板からの置き換えが検討されている。この結果、複数の部材を接合して用いることとなり、一般的な溶接技術では接合困難な状況が発生している。
また、このような複数の部材を溶接や金属締結等で接合した場合、接合された部材同士間の電位が異なることで金属腐食(電食)が発生するため、絶縁性の材料を用いた接合が必要となる。
さらに、工場において部材を接合する工程を含む生産ラインで、これまで溶接で接合していた作業の効率化等が期待されている。このように、近年では溶接に代替する接合技術の導入が重要となっている。
この溶接に代替する接合技術の1つとして、液状やフィルム状の構造用接着剤を用いて接合する方法を挙げることができる。なかでも、フィルム状の接着剤は、接着剤を塗布する必要がなく、接着層厚みを均一にできるため、接着剤の塗りムラ等を生じにくいことから接着後の信頼性が高く、さらにこのような工場において部材を接合する工程を含む生産ラインでは特に有用である。
このような構造用接着剤としては、エポキシ系接着剤、第二世代アクリル系接着剤(以下、SGA)、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤等が知られており、なかでも、エポキシ系接着剤は金属やCFRP等の各種部材に対する接着性の高さや、耐熱性の高さ等の点から汎用されている。
例えば、特許文献1では、熱膨張差を有する被着体相互が接着剤層を介して接着された接着構造において、前記接着剤層は2層構造とされ、かつそのうちの少なくとも一方の層が、エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を主成分とし且つ硬化状態で可撓性を有する可撓性エポキシ組成物により形成されている、熱膨張差を有する被着体間の接着構造が提案されている。
特開2004-323639号公報
しかしながら、特許文献1では、まず可撓性エポキシ組成物を第1の被着体に塗布して被着体の耐熱温度より高温で硬化させた後に、別の接着剤にて、可撓性エポキシ組成物の硬化体と第2の被着体とを接着硬化させて熱膨張差を有する被着体間を接着させており、接着剤の塗りムラ等を生じるおそれがある。
そして、被着体の耐熱温度より高温での接着工程が必要となるため、被着体が接着剤の熱分解温度以上となる鋼板やアルミ、ガラス、スーパーエンプラ等の被着体への接着は困難となる。
さらに、構造用接着剤としてエポキシ系接着剤を用いる場合、通常は加熱による接着剤の硬化が必要となる。エポキシ系接着剤を介して複数の材料を積層し、接着剤の加熱硬化を行うと、接着剤の加温に伴う粘度低下が生じることにより流動し、最終的な接着層の厚みが保持できず、各材料の線膨張係数の違いによって積層体に大きな反りが生じてしまい、さらなる改善が求められている。
本発明は、加熱硬化後においても接着剤層の厚みが保持でき、線膨張係数の異なる被着体との接着後における反りの発生を抑制でき、かつ、鋼板やアルミ等の被着体への接着強度が良好であるエポキシ樹脂系の接着シートを提供することを目的とする。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み、線膨張係数の異なる被着体との接着後における反りの発生を抑制でき、かつ、接着強度が良好な接着シートを完成させるに至った。本発明の一態様に係る接着シートは、エポキシ樹脂組成物(a)からなる樹脂層(A)と、エポキシ樹脂組成物(b)からなる樹脂層(B)とを備え、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下である。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
<1>
エポキシ樹脂組成物(a)からなる樹脂層(A)と、エポキシ樹脂組成物(b)からなる樹脂層(B)とを備え、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であり、前記樹脂層(B)が未硬化である、接着シート。
<2>
150℃で50kPa加圧した後の厚み残存率が50%以上である、<1>に記載の接着シート。
<3>
引張伸びが5%以上である、<1>又は<2>に記載の接着シート。
<4>
180℃で20分間熱処理した後、動的粘弾性測定により求められるtanδピークが80℃以上に存在する、<1>~<3>のいずれかに記載の接着シート。
<5>
180℃で20分間熱処理した後、動的粘弾性測定により求められるtanδピークが80℃未満にも存在する、請求項4に記載の接着シート。
<6>
180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)が、80℃未満にtanδピークを有し、前記樹脂層(B)が、80℃以上にtanδピークを有する、<5>に記載の接着シート。
<7>
180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)のtanδピーク温度と、前記樹脂層(B)のtanδピーク温度との差が40℃以上である、<1>~<6>のいずれかに記載の接着シート。
<8>
180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)との25℃における貯蔵弾性率の比率(B)/(A)が10以上である、<1>~<7>のいずれかに記載の接着シート。
<9>
前記エポキシ樹脂組成物(a)が、脂肪族骨格と芳香族骨格を有する2官能エポキシ化合物を含有する、<1>~<8>のいずれかに記載の接着シート。
<10>
前記エポキシ樹脂組成物(b)が、2官能芳香族エポキシ化合物を含有する、<1>~<9>のいずれかに記載の接着シート。
<11>
全体が少なくとも表層と中間層と裏層を有する多層からなり、前記樹脂層(B)が表層及び裏層であり、前記樹脂層(A)が中間層である、<1>~<10>のいずれかに記載の接着シート。
<12>
厚みが100μm以上である、<1>~<11>のいずれかに記載の接着シート。
<13>
前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)との厚み比率(A)/(B)が0.25以上である、<1>~<12>のいずれかに記載の接着シート。
<14>
前記樹脂層(A)の厚みが50μm以上である、<1>~<13>のいずれかに記載の接着シート。
<15>
<1>~<14>のいずれかに記載の接着シートを硬化してなる硬化物。
<16>
<1>~<14>のいずれかに記載の接着シートの一方の面に第1の材料を備え、他方の面に第2の材料を備える積層体であり、当該第1の材料及び当該第2の材料は線膨張係数が互いに異なる、積層体。
<17>
前記第1の材料がアルミニウムを含む、<16>に記載の積層体。
<18>
前記第2の材料が鉄を含む、<16>又は<17>に記載の積層体。
<19>
<16>~<18>のいずれかに記載の積層体を用いた自動車用外装材。
本発明の接着シートは、加熱硬化後においても接着剤層の厚みが保持でき、線膨張係数の異なる被着体との接着後における反りの発生が抑制でき、かつ、鋼板やアルミ等の被着体への接着強度も良好である。
以下、本発明の実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<<接着シート>>
本発明の実施形態の一例に係る接着シート(以下、「本接着シート」と称する)は、エポキシ樹脂組成物(a)からなる樹脂層(A)と、エポキシ樹脂組成物(b)からなる樹脂層(B)とを備える。
本接着シートは、樹脂層(A)と樹脂層(B)を少なくとも1層ずつ有していればよいが、部材との接着性の観点から、全体が少なくとも表層と中間層と裏層を有する多層からなり、樹脂層(B)が表層及び裏層であり、樹脂層(A)が中間層であることが好ましい。
本接着シートは、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であり、樹脂層(B)が未硬化である。樹脂層(A)は、加熱時の樹脂の流動を抑える観点から、完全硬化していることが好ましい。
本接着シートを接合する部材間に挿入して、加熱及び冷却して樹脂層(B)を硬化させることにより、樹脂の流動等を生じることなく、接着強度が良好な状態で部材間を接合することができる。本接着シートは、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であることで加熱時の樹脂の流動が抑えられ、接着層の厚みを保持できるため、線膨張係数の異なる部材同士を接合した場合も線膨張係数差による歪みを緩和でき、反りの発生を抑制できる。
なお、本発明において「未硬化」とは、エポキシ樹脂組成物(b)を完全に硬化させていない状態をいい、さらに熱を照射させ、又はエネルギー線を照射すると、エポキシ樹脂組成物(b)の硬化がさらに進行する状態をいう。
樹脂層(B)が未硬化であるか否かは、例えば、180℃で40分間の熱処理後、又は積算光量で5000mJ/cm2UV照射後においてゲル分率が5質量%以上増大するか否かで確認できる。熱処理後におけるゲル分率の変化が5質量%未満となる場合には、エポキシ樹脂組成物(b)が硬化性でないか、すでに完全硬化している状態である。
(ゲル分率)
本接着シートは、接合する部材層間における樹脂の流動を抑制する観点から、ゲル分率が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。接合する部材界面との濡れ性や反応による接合部材との相互作用を良好にする観点から、ゲル分率は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることがよりさらに好ましい。接着シートのゲル分率は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、本接着シートのゲル分率は、樹脂層(A)及び(B)における主成分樹脂や硬化剤等の各成分の種類や、樹脂層(A)及び(B)の厚み比率等によって調整することができる。
(厚み)
本接着シートの厚みは、接合部材同士の線膨張係数差により発生するせん断応力を吸収する観点から、100μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましい。
また、接着剤層としての引張せん断接着強度は接着剤層の厚みが薄いほど向上することから、本接着シートの厚みは2mm以下が好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。
(樹脂層(A)の厚み)
樹脂層(A)の厚みは、接合部材の種類によって適宜調整することができる。例えば、線膨張係数の異なる部材同士を接合する場合、加熱時の膨張率の差に伴い、本接着シートには高いせん断応力が発生する。このせん断応力を低減する観点より、本接着シートにおける樹脂層(A)の厚みは50μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましく、70μm以上がさらに好ましい。また、接着後の部材のせん断接着性の観点から、1000μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましく、800μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂層(A)の厚みについては、接着シートの断面観察、または後述するゲル分率測定後における残存シートの厚みから算出することができる。
(樹脂層(B)の厚み)
樹脂層(B)の厚みは、接合部材の種類によって適宜調整することができる。被着体との界面密着性の観点から、樹脂層(B)の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。また、加熱硬化時における樹脂流動に伴う被着体及び周辺部材の汚染を低減する観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、60μm以下がよりさらに好ましい。なお、本接着シートに樹脂層(B)が複数存在する場合は、1層ごとの厚みが上記範囲であることが好ましい。
樹脂層(B)の厚みは、接着シートの断面観察、または接着シートの厚みから後述するゲル分率測定後における残存シートの厚みを差し引くことで算出することができる。
(厚み比率)
樹脂層(A)及び樹脂層(B)の厚み比率(A)/(B)は、0.25以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.75以上がさらに好ましく、1以上がよりさらに好ましい。さらには、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.50以上がさらに好ましく、1.6以上がよりさらに好ましく、1.8以上がとりわけ好ましい。なお、本接着シートに樹脂層(A)及び樹脂層(B)が複数存在する場合は、樹脂層(A)の合計厚みと樹脂層(B)の合計厚みとの比が上記範囲であることが好ましい。
(A)/(B)が上記下限値以上であることで、加熱時の樹脂の流動が抑えられるため、接着剤層の厚みが保持でき、線膨張係数の異なる被着体との接着後における反りの発生を抑制できる傾向がある。
(厚み残存率)
本接着シートの厚み残存率は、樹脂の流動を抑制する観点から、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上がよりさらに好ましい。また、接合部材との密着性向上のため若干流動を生じることが好ましいため、厚み残存率は100%未満が好ましく、99.5%以下がより好ましく、99.0%以下がさらに好ましい。
本接着シートの厚み残存率は、本接着シートの厚み(Ta)を測定した後に2枚のSPCC鋼板に挿入し、50kPaで加圧した状態で150℃に加熱し、20分間保持して硬化した後の接着シートの厚み(Tb)を測定し、Tb/Ta×100(%)として算出できる。
(引張伸び)
本接着シートの熱硬化後における引張伸び(%)は、線膨張係数の異なる部材同士を接合する場合の加熱時の膨張率の差に伴うせん断応力を緩和する観点より、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。また、上限については特に制限されるものではないが、剛性の低減による接着強度の低減抑制や変形による部材の位置ずれ等が生じない程度であることが好ましい。これらの観点より、500%以下であることが好ましく、300%以下であることがより好ましく、100%以下であることがさらに好ましい。引張伸びは、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
(tanδピーク)
本接着シートを180℃で20分間熱処理した後、動的粘弾性測定により求められるtanδピークは、接着シートの高温耐熱性と室温でのせん断接着強度の向上に寄与する。
上記の観点から、本接着シートのtanδピークは80℃以上に存在することが好ましく、90℃以上に存在することがより好ましく、100℃以上に存在することがさらに好ましい。上記tanδピークについては、上記範囲において1つ以上のtanδピークが存在することが好ましく、2つ以上存在しても構わない。また、上限については特に限定されるものではないが、tanδピーク温度は、通常ガラス転移温度(Tg)でもあることから、これが高くなるにつれて、完全硬化させるための硬化温度を高く設定する必要が生じやすくなる。生産性の観点からは、接着剤の加熱工程温度を下げることが好ましいことから、tanδピーク温度は300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
当該80℃以上のtanδピークは、エポキシ樹脂組成物(b)に存在することが好ましく、樹脂層(B)に存在することが好ましい。
本接着シートは、80℃未満にもさらに1つ以上のtanδピークが存在することが好ましい。80℃未満にtanδピークがあることで、接合部材として異なる部材を用いた場合における熱膨張差に伴うせん断応力を緩和しやすい。当該80℃未満のtanδピークは、70℃以下にあることが好ましく、60℃以下にあることがより好ましく、50℃以下にあることがさらに好ましく、40℃以下にあることがよりさらに好ましい。下限は特に限定されないが、架橋密度とエポキシ樹脂の構造に起因する接着強度の観点から、-80℃以上であってよく、-40℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。
当該80℃未満のtanδピークは、接着性を損なわずに応力緩和を行う観点から、エポキシ樹脂組成物(a)に存在することが好ましく、樹脂層(A)に存在することが好ましい。
本接着シートのtanδピーク温度を上記範囲に調整するためには、例えば、エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)を構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整したり、エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)を構成する各エポキシ樹脂及び硬化剤に重合や反応によりオレフィン構造等の低Tg成分やベンゼン骨格等の高Tg成分を導入したり、可塑剤や反応性シランオリゴマー、ウレタンオリゴマー等の他の相溶系材料を配合したり、エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)に表面処理や微細化したゴム成分や無機フィラー等を添加したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
本接着シートにおいて、樹脂層(A)と樹脂層(B)とのtanδピーク温度の差は、40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上である。一方、上限値としては、特に制限されるものではないが、通常300℃以下が好ましく、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下、特に好ましくは150℃以下である。上記下限値以上であると、線膨張係数の異なる部材同士を接合した場合も線膨張係数差による歪みを緩和しやすい。
また、動的粘弾性測定により求められる25℃における貯蔵弾性率において、該樹脂層(A)と該樹脂層(B)との貯蔵弾性率比率(B)/(A)は10以上が好ましく、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。一方、上限値としては、特に制限されるものではないが、通常100以下が好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下である。上記下限値以上であると、線膨張係数の異なる部材同士を接合した場合も線膨張係数差による歪みを緩和しやすい。
<エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)>
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)はいずれも、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)は、エポキシ樹脂を主成分樹脂とすることが好ましい。
ここで、本明細書における「主成分」とは、エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)を構成する成分の中で含有量(質量%)が最も高い成分を意味する。エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)中の当該主成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、なかでも70質量%以上、なかでも80質量%以上、なかでも90質量%以上が好ましい(なお、100質量%であってもよい)。
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)は同じであっても異なっていてもよいが、本発明の効果の享受しやすさの点から、異なっていることが好ましい。
(エポキシ樹脂)
次に、エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)に用いることができるエポキシ樹脂について説明する。これらのエポキシ樹脂の中から本接着シートに求められる上記諸物性が得られるよう種類を選択して用いることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン等のビスフェノール類、ビフェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン等の骨格を有する2官能フェノール型エポキシ化合物等の2官能芳香族エポキシ化合物;2官能グリシジルエーテル型エポキシ化合物、2官能グリシジルエステル型エポキシ化合物、2官能グリシジルアミン型エポキシ化合物、2官能線状脂肪族エポキシ化合物等の2官能脂肪族エポキシ化合物;2官能脂環式エポキシ化合物;2官能複素環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等の水添型のエポキシ化合物等を用いることができる。上記エポキシ樹脂のうち1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なかでも、本実施形態におけるエポキシ樹脂として、フェニル骨格(フェノール骨格)、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格のうち少なくとも1つの骨格を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、耐熱性の観点から、フェニル骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の少なくとも1つを有するエポキシ樹脂を用いることがより好ましく、製造の容易さと耐熱性の観点から、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つの骨格を有するエポキシ樹脂を用いることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂の種類及び骨格は、NMR(核磁気共鳴分光法)、IR(赤外分光法)、SEM(走査型電子顕微鏡)分析、IPC(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法、TGA(熱重量分析)、DSC(示差走査熱量測定)及び各種クロマトグラフィー等により確認することができる。
本実施形態におけるエポキシ樹脂は、上記のエポキシ樹脂の中でも、下記に示すエポキシ樹脂前駆体と硬化剤とから得られるものを含有することがさらに好ましい。
(エポキシ樹脂前駆体)
本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体とは、硬化によりエポキシ樹脂を得ることができるエポキシ化合物を1種以上含有するものをいう。当該エポキシ化合物は、分子中にエポキシ基を有する化合物であり、後述する硬化剤及び硬化触媒の少なくとも一方により付加反応又は自己重合反応し、熱硬化性樹脂を構成しうる化合物である。
上記エポキシ化合物として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン等のビスフェノール類、ビフェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン等の骨格を有する2官能フェノール型エポキシ化合物等の2官能芳香族エポキシ化合物;2官能グリシジルエーテル型エポキシ化合物、2官能グリシジルエステル型エポキシ化合物、2官能グリシジルアミン型エポキシ化合物、2官能線状脂肪族エポキシ化合物等の2官能脂肪族エポキシ化合物;2官能脂環式エポキシ化合物;2官能複素環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等の水添型のエポキシ化合物等を用いることができる。
本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体は、上記で例示したエポキシ化合物のうち1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体として、上記で例示したエポキシ化合物を含む1種以上の化合物を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物(a)は、本接着シートの柔軟性の観点から、エポキシ樹脂前駆体として2官能脂肪族エポキシ化合物を少なくとも1種含むことがより好ましく、2官能脂肪族エポキシ化合物と芳香族化合物とを含有することがさらに好ましい。
上記2官能脂肪族エポキシ化合物としては、炭素数2~12のジオールとエピハロヒドリンを反応させた後、蒸留精製した、ジグリシジルエーテル由来の純度が90質量%以上の脂肪族エポキシ化合物を用いることができる。
上記2官能脂肪族エポキシ化合物として、例えば、エチレングリコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコールのグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,8-オクタンジオールのグリシジルエーテル、1,10-デカンジオールのグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールのグリシジルエーテル、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル、トリエチレングリコールのグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールのグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールのグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル等が挙げられる。上記で例示した2官能脂肪族エポキシ化合物のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ樹脂前駆体の低粘化効果が大きく、硬化物の耐熱性低下が少ないという観点から、1,4-ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
上記芳香族化合物として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン等のビスフェノール類、ビフェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン等の骨格を有する化合物が挙げられる。上記で例示した芳香族化合物のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらの中でも、得られるエポキシ樹脂の剛性と耐熱性の観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールFの少なくとも一方を用いることが好ましい。
すなわち、本実施形態におけるエポキシ樹脂組成物(a)のエポキシ樹脂前駆体は、2官能脂肪族エポキシ化合物と、ビスフェノールA及びビスフェノールFの少なくとも一方の化合物と、を含有することがさらに好ましい。
本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体がエポキシ化合物を含む2種以上の化合物を含有する場合、当該エポキシ樹脂前駆体として、当該2種以上の化合物を混合及び/又は反応させたものを用いることが好ましく、当該2種以上の化合物と、重合開始剤とを混合して重合反応させたものを用いることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、エポキシ樹脂前駆体の硬化に用いる硬化剤と同じものを用いることができる。なかでも、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩等の熱重合開始剤が好ましく、ホスホニウム塩がより好ましい。
すなわち、本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体として、上記で例示した2官能脂肪族エポキシ化合物と、芳香族化合物と、重合開始剤とを混合して重合反応させて得られるものを用いることが好ましく、2官能脂肪族エポキシ化合物と、ビスフェノールA及びビスフェノールFの少なくとも一方の化合物と、重合開始剤とを混合して重合反応させて得られるものを用いることがより好ましい。
したがって、本実施形態におけるエポキシ樹脂組成物(a)のエポキシ樹脂前駆体は、脂肪族骨格と芳香族骨格の両方を有する2官能エポキシ化合物を含有することが特に好ましい。
また、エポキシ樹脂組成物(b)は、本接着シートの剛性と部材との密着性の観点から、2官能芳香族エポキシ化合物を少なくとも1種含むことがより好ましく、2官能フェノール型エポキシ化合物を少なくとも1種含むことがさらに好ましい。なかでも、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFを含むことがよりさらに好ましい。
(平均分子量)
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)におけるエポキシ樹脂前駆体の分子量は、特段の制限はない。
エポキシ樹脂前駆体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)の値で、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。一方、エポキシ樹脂前駆体の分子量は、通常200000以下、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
また、エポキシ樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)は、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。一方、エポキシ樹脂前駆体の数平均分子量は、通常100000以下、好ましくは80000以下、より好ましくは50000以下である。
エポキシ樹脂前駆体の分子量が上記範囲内であることで、硬化剤や各種エポキシ樹脂前駆体中の各成分の溶解性が良好となり、得られる接着剤の粘度等が通常の製造設備で扱いやすい物性になり、接着性が高くなるため好ましい。
(エポキシ基当量)
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)におけるエポキシ樹脂前駆体のエポキシ基当量(又はエポキシ当量)は、JIS K 7236に示された方法により測定することができる。
エポキシ樹脂前駆体のエポキシ基当量は、通常50以上、好ましくは80以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上、特に好ましくは150以上である。一方、エポキシ樹脂前駆体のエポキシ基当量は、通常100000以下、好ましくは10000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは1500以下、特に好ましくは1000以下である。
エポキシ樹脂前駆体のエポキシ当量が上記上限値以下であると、エポキシ基及び反応後に生じる水酸基量が多くなるため、被着体となる第1の材料や第2の材料との相互作用が増大し、硬化後における接着性に優れる傾向がある。
一方、エポキシ樹脂前駆体のエポキシ当量が上記下限値以上であると、架橋密度が低くなり、柔軟性や伸縮性が向上することで積層体における反りの低減効果に優れる傾向がある。
エポキシ樹脂前駆体のエポキシ基当量を調整する方法としては、エポキシ樹脂骨格における重合度を低減させたり、分子量の小さい骨格を導入したりする等の方法により調整することができる。
(硬化剤)
本実施形態における硬化剤としては、熱により反応を開始する熱硬化剤、光により反応を開始する光硬化剤等が挙げられる。
当該硬化剤は、本実施形態の積層体における接着剤の硬化方法に応じて公知の硬化剤を適宜選択すればよい。例えば、光硬化方法を用いる場合は光硬化剤(光重合開始剤)を、熱硬化方法を用いる場合は熱硬化剤(熱重合開始剤)を選択すればよい。なお、光硬化方法とは、活性エネルギー線硬化方法のうち、紫外線、可視光線、赤外線の少なくとも1種を用いる硬化方法である。
本実施形態におけるエポキシ樹脂前駆体を、光を照射し難い環境で硬化させたい場合は熱硬化方法で硬化することが好ましく、本実施形態では、熱硬化剤を用いるか、あるいは熱硬化剤と光硬化剤を併用して用いることが好ましい。
=熱硬化剤=
本実施形態における熱硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤;脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤;酸無水物系硬化剤;アミド系硬化剤;ウレア系硬化剤;第3級アミン;イミダゾール及びその誘導体;有機ホスフィン類;ホスホニウム塩;テトラフェニルボロン塩;有機酸ジヒドラジド;ハロゲン化ホウ素アミン錯体;ポリメルカプタン系硬化剤;イソシアネート系硬化剤;ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
上記のうち、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等は、エポキシ樹脂前駆体と反応することにより、エポキシ樹脂の骨格内に取り込まれる。
そこで、本実施形態におけるエポキシ樹脂に配合される量としては、エポキシ基と活性部(活性水素部、無水酸部)が化学当量(1.0)となる硬化剤当量が最も好ましいが、粘度や反応速度、硬化後の物性の調整のため硬化剤の配合量を調整しても構わない。この場合、エポキシ基に対し、硬化剤の配合量として、化学当量の0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。また、化学当量として、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。
配合量が上記の範囲内であることで、使用時における未反応成分の溶出や架橋密度不足が生じず、エポキシ樹脂の耐熱性や耐湿性が良好となるため好ましい。
また、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤以外の硬化剤については、通常、主にエポキシ樹脂前駆体の自己重合における硬化触媒又は硬化剤の助触媒として作用する。
このような硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂前駆体100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。一方、同硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂前駆体100質量部に対し、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
配合量が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂前駆体の硬化反応が促進される傾向がある。また、配合量が上記上限値以下であると、樹脂複合材において、硬化剤の残留による耐熱性や耐湿性等の物性低下や、使用時における触媒のブリードアウトが生じにくい傾向がある。
‐フェノール系硬化剤‐
上記フェノール系硬化剤として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o-クレゾールノボラック、m-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t-ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,4-ジヒドロキシナフタレン、2,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,8-ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物、ポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が挙げられる。
‐アミン系硬化剤‐
上記アミン系硬化剤として、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等を用いることができる。
脂肪族アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。
ポリエーテルアミン類としては、例えば、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。
脂環式アミン類としては、例えば、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミン類としては、テトラクロロ-p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノアニソール、2,4-トルエンジアミン、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、2,4-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-アミノフェノール、m-アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α-(m-アミノフェニル)エチルアミン、α-(p-アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
‐酸無水物系硬化剤‐
上記酸無水物系硬化剤として、例えば、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、1-メチル-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
‐アミド系硬化剤‐
上記アミド系硬化剤として、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
‐ウレア系硬化剤‐
上記ウレア系硬化剤として、例えば、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、イソホロンビスウレア、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物等が挙げられる。
‐第3級アミン‐
上記第3級アミンとして、例えば、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
‐イミダゾール及びその誘導体‐
上記イミダゾール及びその誘導体として、例えば、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、及びこれらのイミダゾール類がエポキシ化合物に付加した化合物等が挙げられる。
‐有機ホスフィン類‐
上記有機ホスフィン類として、例えば、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が挙げられる。
‐ホスホニウム塩‐
上記ホスホニウム塩として、例えば、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が挙げられる。
‐テトラフェニルボロン塩‐
上記テトラフェニルボロン塩として、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が挙げられる。
=光硬化剤=
本実施形態における光硬化剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ジアゾニウムカチオンオニウム塩、ヨードニウムカチオンオニウム塩、スルホニウムカチオンオニウム塩等が挙げられる。
光硬化剤の具体例としては、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-[メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、イソプロピルチオキサントン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4-ジベンゾイルベンゼン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2-ベンゾイルナフタレン、4-ベンゾイルビフェニル、4-ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ジベンゾイル、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、o-メチルベンゾイルベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリーアミン、カルバゾール・フェノン系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾイル、トリアリルスルホニウム、ヘキサフルオロホスフェート塩、六フッ化リン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、トリアリルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモン、4-メチルフェニル-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート、(9-オキソ9H-キサンテン-2-イル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-n-アルキル(C10~13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-n-アルキル(C10~13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルホニムトリフルオロスルホネート、トリフェニルスルホニウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルフォネート、(9-オキソ-9H-キサンテン-2-イル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p-アジドベンズアルデヒド、p-アジドアセトフェノン、p-アジド安息香酸、p-アジドベンズアルデヒド-2-スルホン酸ナトリウム塩、p-アジドベンザルアセトフェノン、4,4’-ジアジドカルコン、4,4’-ジアジドジフェニルスルフィド、3,3’-ジアジドジフェニルスルフィド、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ビス-(4’-アジドベンザル)-プロパノン、4,4’-ジアジドカルコン-2-スルホン酸ナトリウム塩、4,4’-ジアジドスチルベン-2,2’-ジスルホン酸ナトリウム塩、1,3’-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-ジスルホン酸ナトリウム塩-2-プロパノン、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-スルホン酸(ナトリウム塩)シクロヘキサノン、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-スルホン酸(ナトリウム塩)4-メチル-シクロヘキサノン、α-シアノ-4,4’-ジベンゾスチルベン、2,5-ビス-(4’-アジドベンザルスルホン酸ナトリウム塩)シクロペンタノン、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸、シンナミン酸、α-シアノシンナミリデンアセトン酸、p-アジド-α-シアノシンナミン酸、p-フェニレンジアクリル酸、p-フェニレンジアクリル酸ジエチルエステル、ポリビニルシンナメート、ポリフェノキシ-イソプロピルシンナミリデンアセテート、ポリフェノキシ-イソプロピル-α-シアノシンナミリデンアセテート、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-4-スルホン酸ナトリウム塩、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-5-スルホン酸ナトリウム塩、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-5-スルホン酸エステル(I)、ナフトキノン(1、2)ジアジド(2)-5-スルホン酸エステル(II)、ナフトキノン(1、2)ジアジド(2)-4-スルホン酸塩、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノントリ(ナフトキノンジアジドスルホン酸)エステル、ナフトキノン-1,2,5-(トリヒドロキシベンゾフェノン)トリエステル、1,4-イミノキノン-ジアジド(4)-2-スルフォアミド(I)、1-ジアゾ-2,5-ジエトキシ-4-p-トリメルカプトベンゼン塩、5-ニトロアセナフテン、N-アセチルアミノ-4-ニトロナフタレン、有機ホウ素化合物、これら以外の光によりカチオンを発生する光酸発生剤、光によりアニオンを発生する光塩基発生剤等が挙げられる。
本実施形態における硬化剤は、上記で例示した硬化剤のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、当該硬化剤は溶媒等と共に錯体を形成していてもよい。また、多量体を形成していてもよい。
当該硬化剤は、本接着シートを用いた積層体の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
エポキシ樹脂組成物(a)における硬化剤としては、低温での硬化性に優れるアミン系硬化剤が好ましく、脂環式アミン類の硬化剤がより好ましい。
また、エポキシ樹脂組成物(b)における硬化剤としては、貯蔵安定性、高温での速硬化性に優れるアミド系硬化剤、ウレア系硬化剤並びにイミダゾール及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アミド系硬化剤とウレア系硬化剤を併用することがより好ましい。また、エポキシ樹脂組成物(b)における硬化剤は、潜在性硬化剤が好ましい。潜在性硬化剤とは、硬化剤をエポキシ樹脂に配合したものが、室温(23℃)で安定に貯蔵でき、熱、光、圧力等により急速に硬化する能力をもつ硬化剤のことをいう。
(溶媒)
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)は、必要に応じて溶媒を含有することもできる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
(その他成分)
エポキシ樹脂組成物(a)及び(b)は、必要に応じてその他の成分、例えば、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、有機過酸化物、還元剤、ラジカル重合性化合物;酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、重合開始剤、無機微粒子、エラストマー等の各種添加剤を含有することができる。
例えば、エラストマーを配合することで、本接着シートの粘度とその硬化物の柔軟性や耐衝撃性を調整することができる。また、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤や光重合開始剤等の重合開始剤を配合することで、本接着シートを硬化した硬化物の強度を調整することができる。
<本接着シートの製造方法>
本接着シートは、例えば、エポキシ樹脂組成物(a)をフィルム状に成膜した後に加熱硬化することにより樹脂層(A)を作製し、さらにその後にエポキシ樹脂組成物(b)から未硬化の樹脂層(B)を作製し、加圧密着させる等してフィルム同士を貼り合わせることにより作製できる。より具体的には、エポキシ樹脂組成物(b)を上記離型フィルムに塗布し、乾燥させて未硬化の樹脂層(B)を作製した後、樹脂層(A)に転写する方法が挙げられる。
また、例えば、エポキシ樹脂組成物(a)をフィルム状に成膜した後に加熱硬化することにより樹脂層(A)を作製し、この樹脂層(A)の少なくとも一方の面にエポキシ樹脂組成物(b)を塗布し、乾燥させることによっても作製できる。
さらにまた、Tダイ等の口金等を用いてエポキシ樹脂組成物(a)及び(b)を2種2層、又は2種3層等の積層した状態で離型フィルム等に押出した後にキャストロール等で成型し、加熱して樹脂層(A)のみを硬化させることにより作製することもできる。
但し、本接着シートの製造方法を、このような製造方法に限定するものではない。
(離型フィルム)
本接着シートは、取扱性を良好にする観点から、最表面に離型フィルムを有していてもよい。離型フィルムは、本接着シートを被着体に貼り付ける際に剥離除去されることが好ましい。
離型フィルムの厚みは、好ましくは1~500μmであり、より好ましくは5~300μmであり、さらに好ましくは10~200μmであり、よりさらに好ましくは20~150μmである。なお、本接着シートに離型フィルムが複数存在する場合は、1層ごとの厚みが上記範囲であることが好ましい。離型フィルムの厚み(平均厚み)は、マイクロメーターによって測定され、それらの算術平均により求められる。
離型フィルムの基材としては、紙、樹脂、金属等を原料とした薄いシート状のものが挙げられる。
特に、安価で、加工しやすく、また廃棄やリサイクルしやすい点から、紙や樹脂等のシートが好ましく、透明性の点から、樹脂がより好ましい。
紙としては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙、スーパーカレンダードクラフト紙等の表面にシリコーンコート処理されたものを用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド又はポリカーボネートを主成分とするフィルムを用いることができる。これらの表面にシリコーン樹脂離型剤、メラミン系樹脂離型剤、フッ素系離型剤等を塗布して剥離強度を調整してもよい。
また、外観、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の点から、離型フィルムは、ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを含むことが好ましい。本発明の要旨を越えない限り、上記樹脂フィルムは単層構成であっても2層以上の多層構成であってもよい。
なお、「主成分樹脂」とは、基材を構成する樹脂の中でも最も含有量の多い樹脂を意味し、具体的には50質量%以上、なかでも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂をいう。
上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。ポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族グリコールとからなるポリエステルであってもよく、1種以上の他の成分をさらに共重合させた共重合ポリエステルであってもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
一方、共重合ポリエステルの他の成分として用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、p-オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。
代表的なポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合させて得られるポリエチレンテレフタレート、2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとを重縮合させて得られるポリエチレンナフタレート等が例示される。
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、機械的強度の観点から延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。また、ポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
離型フィルムは、樹脂層(B)を樹脂層(A)へ転写しやすく、かつ、樹脂層(B)の製膜時の離型フィルムへの濡れ性を高める観点から、表面に微小な凹凸が形成されたマット状のフィルムであることが好ましい。フィルムをマット状にする方法は特に限定されず、充填剤を含有する剥離層を表面に設ける方法、サンドブラスト処理(サンドマット処理)等が挙げられる。
<硬化物>
本接着シートは、加熱し冷却することで樹脂層(B)も硬化した硬化物とすることができる。
硬化処理時の加熱温度は60℃以上であることが好ましい。但し、加熱温度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の分解や酸化劣化により接着特性や信頼性が低下する可能性がある。
よって、加熱温度は60℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。その一方、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。
加熱時間は、接着シートを構成する組成物の硬化反応が充分に進行する時間であれば特に制限はない。通常は5分間以上、200時間以下であり、10分間以上、150時間以下であることが好ましい。
また、硬化処理時の冷却は生産性等の観点から、冷却速度は0.1℃/分以上であることが好ましく、より好ましくは0.5℃/分以上、さらに好ましくは1℃/分以上である。
他方、部材や接着剤内部における冷却歪みの発生に伴う接着性低下や接着ムラ、外観ムラ、反り等の低減、冷却時間は40℃/分以下あることが好ましく、より好ましくは30℃/分以下、さらに好ましくは20℃/分以下である。
<積層体>
線膨張係数が互いに異なる第1の材料及び第2の材料の間に本接着シートを積層することで、加熱硬化後の反りの発生を抑制できる。
すなわち、本発明の一実施形態に係る積層体は、本接着シートの一方の面に第1の材料を備え、他方の面に第2の材料を備える積層体であり、当該第1の材料及び当該第2の材料は線膨張係数が互いに異なる。
本実施形態における第1及び第2の材料は、線膨張係数が互いに異なるものであれば特に限定されない。
当該第1及び第2の材料として、例えば、金属、樹脂、ガラス等をそれぞれ用いることができる。これらの材料のうち1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
上記金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、マグネシウム等の金属及びこれらのうち1種以上の金属を含む合金を用いることができる。
また、上記樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合)樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノアミド樹脂、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、PEI(ポリエーテルイミド)樹脂、PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
さらに、上記樹脂に補強繊維を添加した繊維強化樹脂を用いることもできる。当該補強繊維としては、例えば、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等の無機繊維;ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維、ポリアセタール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の有機繊維;セルロース系繊維等の天然繊維等を用いることができる。
上記第1及び第2の材料の組み合わせとしては、第1及び第2の材料がそれぞれ金属である場合、特には、第1又は第2の材料がアルミニウム又は鉄を含む場合、さらには、第1の材料がアルミニウムを含み、かつ、第2の材料が鉄を含む場合に、本発明を好適に用いることができる。
また、第1及び第2の材料がそれぞれ金属である場合、当該第1の材料と第2の材料との線膨張係数差が2×10-6[1/K]以上である場合、特には、当該線膨張係数差が5×10-6[1/K]以上である場合に、本発明を好適に用いることができる。
当該第1の材料と第2の材料との線膨張係数差の上限は特に限定されないが、1×10-4[1/K]以下である場合、特には、9×10-5[1/K]以下である場合、より特には、7×10-5[1/K]以下である場合に、本発明を好適に用いることができる。
本実施形態における第1及び第2の材料の厚みは、それぞれ0.1~10mmであることが好ましく、0.3~5mmであることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、軽量性と剛性の両立が可能となり、自動車用途等の使用において、なかでも自動車用外装材として好ましく用いられる。
<積層体の製造方法>
本発明の一実施形態における積層体は、第1の材料及び第2の材料の層間に本接着シートを積層して貼着した後、加熱及び冷却して接着剤層を硬化させることによって作製することができる。
積層方法は、公知の方法であってよい。例えば、本接着シートを第1の材料に載せて貼着したあと、本接着シートの他方の面に第2の材料を載せて貼着する方法が挙げられる。
本接着シートの硬化処理時の加熱温度は60℃以上であることが好ましい。但し、加熱温度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の分解や酸化劣化により接着特性や信頼性が低下する可能性がある。
よって、加熱温度は60℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。その一方、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。
加熱時間は、接着シートを構成する組成物の硬化反応が充分に進行する時間であれば特に制限はない。通常は5分間以上、200時間以下であり、10分間以上、150時間以下であることが好ましい。
また、硬化処理時の冷却は生産性等の観点から、冷却速度は0.1℃/分以上であることが好ましく、より好ましくは0.5℃/分以上、さらに好ましくは1℃/分以上である。
他方、部材や接着剤内部における冷却歪みの発生に伴う接着性低下や接着ムラ、外観ムラ、反り等を低減する観点から、冷却時間は40℃/分以下あることが好ましく、より好ましくは30℃/分以下、さらに好ましくは20℃/分以下である。
本実施形態の積層体は、線膨張係数の異なる複数の材料を積層した反りの少ない積層体であることから、例えば、強度の向上及び軽量化が求められ、かつ、比較的面積の大きい材料を使用する必要がある自動車用、航空機用、車両用等の外装材として、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<樹脂層(A)の材料>
樹脂層(A)の材料としては、以下の方法により得られたエポキシ樹脂組成物(a-1)を用いた。
[エポキシ樹脂前駆体(α)の製造]
以下の方法で調製した、ビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体をエポキシ樹脂前駆体(α1)とした。
すなわち、撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め45℃に加熱した1,6-ヘキサンジオール141.8質量部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51質量部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならないように時間をかけてエピクロロヒドリン244.3質量部を滴下した。80~85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。ここへ22質量%水酸化ナトリウム水溶液528.0質量部を加え、45℃で4時間激しく撹拌した。23℃まで冷却して水相を分離除去し、減圧下で加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル283.6質量部を得た。
この粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルは、オールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力1300Pa、170~190℃の留分を主留分とすることで、ガスクロマトグラフィ法によるジグリシジル体純度が97質量%、全塩素量が0.15質量%、エポキシ当量が116g/eqである1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを127.6質量部得た。
得られた2官能エポキシ化合物(1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)100質量部、ビスフェノールF(フェノール性水酸基当量:100g/eq)69.3質量部、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド(30質量%メチルセロソルブ溶液)0.13質量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、165~170℃で5時間、重合反応を行うことで、エポキシ当量が1000g/eq、数平均分子量が3000であるビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体であるエポキシ樹脂前駆体(α1)を得た。
[エポキシ樹脂組成物(a-1)の製造]
ポリ容器中に、エポキシ樹脂前駆体(α1)を100gと硬化剤として「ST-14」(三菱ケミカル社製、活性水素当量:85)9.5gを配合し、自転公転式撹拌機により5分間撹拌することでエポキシ樹脂組成物(a-1)を得た。
<樹脂層(B)の材料>
樹脂層(B)の材料としては、以下の方法により得られたエポキシ樹脂組成物(b-1)~(b-4)を用いた。
[エポキシ樹脂組成物(b-1)]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER828」(三菱ケミカル社製)15gに、メチルエチルケトン(MEK)に溶解したビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1256B40」(三菱ケミカル社製、固形分60質量%)100g、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DICY7」6gと、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1.5g、MEK10gを配合し、自転公転式撹拌機により5分間撹拌することでエポキシ樹脂組成物(b-1)を得た。
[エポキシ樹脂組成物(b-2)]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER828」(三菱ケミカル社製)45gに、MEKに溶解したビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1256B40」(三菱ケミカル社製、固形分60質量%)50g、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DICY7」6gと、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1.5g、MEK30gを配合し、自転公転式撹拌機により5分間撹拌することでエポキシ樹脂組成物(b-2)を得た。
[エポキシ樹脂組成物(b-3)]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER807」(三菱ケミカル社製)15gに、MEKに溶解したビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1256B40」(三菱ケミカル社製、固形分60質量%)100g、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DICY7」6gと、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1.5g、MEK10gを配合し、自転公転式撹拌機により5分間撹拌することでエポキシ樹脂組成物(b-3)を得た。
[エポキシ樹脂組成物(b-4)]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jER807」(三菱ケミカル社製)45gに、MEKに溶解したビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1256B40」(三菱ケミカル社製、固形分60質量%)50g、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DICY7」6gと、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1.5g、MEK30gを配合し、自転公転式撹拌機により5分間撹拌することでエポキシ樹脂組成物(b-4)を得た。
<実施例1>
エポキシ樹脂組成物(a-1)を離型PETフィルム「SPPET100-O1BU」(三井化学東セロ社製、100μm)で挟み込み、60℃で加温した加熱式二軸ロールに導入してフィルム状に成型した。成型した樹脂フィルムを40℃で12時間熱処理した後に80℃で4時間熱処理させることにより、離型PETフィルム層間において硬化した厚み103μmのフィルム(A)を作製した。また、作製したエポキシ樹脂組成物(b-1)を、マット状離型PETフィルム「LSM-100X」(リンテック社製、100μm)上に塗布し、25℃で12時間後に80℃で1時間熱処理をして溶剤を揮発させて、離型PETフィルム上に膜状に成型し、厚み34μmのフィルム(B)を2枚作製した。フィルム(A)の片面の離型PETフィルムを剥離し、剥離した面側にハンドローラーを用いてフィルム(B)を貼り合わせた。その後、フィルム(A)のもう片面の離型PETフィルムを剥離し、同様にハンドローラーを用いてもう1枚のフィルム(B)を貼り合わせることにより接着シートを作製した。
<実施例2>
フィルム(B)の材料をエポキシ樹脂組成物(b-2)とし、フィルム(B)の厚みを28μmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で接着シートを作製した。
<実施例3>
フィルム(B)の材料をエポキシ樹脂組成物(b-3)とし、フィルム(B)の厚みを26μmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で接着シートを作製した。
<実施例4>
フィルム(B)の材料をエポキシ樹脂組成物(b-4)とし、フィルム(B)の厚みを35μmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で接着シートを作製した。
<比較例1>
フィルム(A)の厚みを25μmとし、フィルム(B)の厚みを176μmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で接着シートを作製した。
<比較例2>
フィルム(A)の厚みを30μmとし、フィルム(B)の材料をエポキシ樹脂組成物(b-2)とし、フィルム(B)の厚みを77μmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で接着シートを作製した。
<比較例3>
実施例1において作製したフィルム(A)のみにより接着シートを作製した。
<比較例4>
エポキシ樹脂組成物(b-1)を、マット状離型PETフィルム「LSM-100X」(リンテック社製、100μm)上に塗布し、25℃で12時間後に80℃で1時間熱処理をして溶剤を揮発させて、離型PETフィルム上に膜状に成型し、厚み34μmの接着シートを作製した。
<比較例5>
エポキシ樹脂組成物(b-2)を、マット状離型PETフィルム「LSM-100X」(リンテック社製、100μm)上に塗布し、25℃で12時間後に80℃で1時間熱処理をして溶剤を揮発させて、離型PETフィルム上に膜状に成型し、厚み28μmの接着シートを作製した。
<比較例6>
エポキシ樹脂組成物(b-3)を、マット状離型PETフィルム「LSM-100X」(リンテック社製、100μm)上に塗布し、25℃で12時間後に80℃で1時間熱処理をして溶剤を揮発させて、離型PETフィルム上に膜状に成型し、厚み26μmの接着シートを作製した。
<比較例7>
エポキシ樹脂組成物(b-4)を、離型PETフィルム「SPPET100-O1BU」(三井化学東セロ社製、100μm)で挟み込み、60℃で加温した加熱式二軸ロールに導入してフィルム状に成型した。成型した樹脂フィルムを40℃で12時間熱処理させることにより、厚み35μmの接着シートを作製した。
<比較例8>
実施例1で作製した接着シートに対し、180℃で40分間の熱処理を実施し、硬化した接着シートを作製した。
<評価方法>
実施例及び比較例で作製したサンプルについて、物性等の測定及び評価は下記に示す方法により実施した。
(ガラス転移温度及び貯蔵弾性率測定)
フィルム(A)及びフィルム(B)の各材料におけるガラス転移温度及び貯蔵弾性率の測定方法は以下のように行った。比較例3~7で作製した単層のフィルムサンプルを180℃で20分間熱処理し、その後、それぞれのサンプルより離型PETフィルムを剥離し、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)により、引張治具を使用して測定温度-100~250℃、周波数10Hz、昇温速度3℃/分により測定した結果から、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)と25℃における貯蔵弾性率(E’)を読み取った。
(ゲル分率)
実施例及び比較例で作製したサンプルから離型PETフィルムを剥離し、残った接着シートを0.3~0.5gの範囲内で切り出したものを測定サンプルとした。測定サンプルを金網に設置し、その金網をアセトンに浸漬させた状態で23℃条件下において48時間静置した。その後、アセトンから金網を取り出し、真空乾燥させた。サンプルの浸漬前の質量に対する、浸漬後の質量の割合をゲル分率とした。
(引張せん断接着強度)
冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度の評価方法は、JIS-K6850に準拠して実施した。実施例及び比較例で作製したサンプルを幅25mm×長さ12.5mmにカットしたものを測定サンプルとした。幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの冷間圧延鋼板(SPCC)をエタノールで脱脂洗浄した後、このSPCC2枚の間に測定サンプルを挿入しクランプを用いて圧着した状態で、恒温槽に投入して160℃で60分間加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却して接着シートを硬化させて剥離試験片を作製した。作製した剥離試験片を、引張試験機「INTEXCO 2050X」(インテスコ社製)を用いて5mm/分の速度により試験数n=5で引張せん断試験を実施した。
(引張伸び)
接着シートの引張伸びについては、実施例及び比較例で作製したサンプルを180℃で20分間熱処理した後、幅10mm×長さ150mmの短冊状に切り出すことにより引張試験片を作製した。作製した剥離試験片を、引張試験機「INTEXCO 205X」(インテスコ社製)を用いて100mm/分の速度により試験数n=5で引張試験を実施し、標線間100mmとした際の伸び量を計測することにより計測した。
(厚み残存率)
マイクロメーターを用いて、実施例及び比較例で作製した接着シートの厚み(Ta)を測定した。
次に、幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの2枚のSPCCの間に接着シートを挿入し、50kPaで加圧した状態で150℃に加熱し、20分間保持して硬化させた。硬化後の積層体の厚みからSPCC鋼板2枚分の厚みを差し引くことにより接着シートの残存厚み(Tb)を測定した。
上記接着シートの厚み(Ta)及び接着シートの残存厚み(Tb)から、Tb/Ta×100(%)として厚み残存率を算出した。
(Fe/Al反り)
反り評価については、被着体として幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmのアルミニウム板(A5052P、線膨張係数23.7×10-6[1/K])、及び、幅25mm×長さ150mm×厚み1.6mmのSPCC(冷間圧延鋼板、線膨張係数12×10-6[1/K])を標準試験片として用いた。
アルミニウム板全面に、実施例及び比較例で作製したサンプルを設置した後に鋼板の中央になるように設置し、クランプを用いて圧着させ、熱風乾燥炉にて180℃、20分間加熱して熱処理させた後、自然放冷しクランプを外して試験片を作製した。この試験片を、アルミニウム板が下になるようにSUS(ステンレス鋼)の上にのせた。ABSデジマチックインジケータ(ミツトヨ社製「ID-SX」)を用いて当該試験片とSUSの合計厚みを角4点と中央1点について測定し、下記の式(1)に基づいて反り量を求めた。
反り量=(中央1点の厚み)-(角4点の平均の厚み) ・・・(1)
Figure 2022147236000001
実施例1~4の接着シートは、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であることにより、加圧接着後における樹脂の流動が生じにくく、加熱硬化後においても接着剤層の厚みが保持されていた。また、引張せん断接着強度にも優れており、接着強度も良好であった。これらの接着シートは、線膨張係数の異なるアルミニウム板とSPCCとを接着した後における反りの発生も抑制できた。
一方、比較例1及び2の接着シートは、ゲル分率が30質量%未満であるため、加圧接着後における樹脂の流動が起こり、接着剤層の厚み残存率が小さくなった。
比較例3の接着シートは、ゲル分率が99質量%であるため、接着強度が低くなった。
比較例4~7の接着シートはゲル分率が0質量%であるため、接着強度が低く、線膨張係数の異なるアルミニウム板とSPCCとを接着した後における反りも低くならなかった。比較例8の接着シートは、接着層(B)が硬化しているため、接着することができなかった。
上記のように、実施例1~4の接着シートを用いて、線膨張係数の異なる複数の材料を接着した積層体は、積層した反りの少ない積層体であることから、自動車用外装材として好適に用いることができる。
本接着シートは、これを用いて線膨張係数の異なる複数の材料を接着した場合、得られる積層体は反りの少ないことから、各種の積層体に好適に用いることができ、なかでも、自動車用、航空機用、車両用等の外装材用途に有用である。

Claims (19)

  1. エポキシ樹脂組成物(a)からなる樹脂層(A)と、エポキシ樹脂組成物(b)からなる樹脂層(B)とを備え、ゲル分率が30質量%以上95質量%以下であり、前記樹脂層(B)が未硬化である、接着シート。
  2. 150℃で50kPa加圧した後の厚み残存率が50%以上である、請求項1に記載の接着シート。
  3. 引張伸びが5%以上である、請求項1又は2に記載の接着シート。
  4. 180℃で20分間熱処理した後、動的粘弾性測定により求められるtanδピークが80℃以上に存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の接着シート。
  5. 180℃で20分間熱処理した後、動的粘弾性測定により求められるtanδピークが80℃未満にも存在する、請求項4に記載の接着シート。
  6. 180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)が、80℃未満にtanδピークを有し、前記樹脂層(B)が、80℃以上にtanδピークを有する、請求項5に記載の接着シート。
  7. 180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)のtanδピーク温度と、前記樹脂層(B)のtanδピーク温度との差が40℃以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の接着シート。
  8. 180℃で20分間熱処理した後の接着シートにおいて、前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)との25℃における貯蔵弾性率の比率(B)/(A)が10以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の接着シート。
  9. 前記エポキシ樹脂組成物(a)が、脂肪族骨格と芳香族骨格を有する2官能エポキシ化合物を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の接着シート。
  10. 前記エポキシ樹脂組成物(b)が、2官能芳香族エポキシ化合物を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の接着シート。
  11. 全体が少なくとも表層と中間層と裏層を有する多層からなり、前記樹脂層(B)が表層及び裏層であり、前記樹脂層(A)が中間層である、請求項1~10のいずれか1項に記載の接着シート。
  12. 厚みが100μm以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の接着シート。
  13. 前記樹脂層(A)と前記樹脂層(B)との厚み比率(A)/(B)が0.25以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の接着シート。
  14. 前記樹脂層(A)の厚みが50μm以上である、請求項1~13のいずれか1項に記載の接着シート。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の接着シートを硬化してなる硬化物。
  16. 請求項1~14のいずれか1項に記載の接着シートの一方の面に第1の材料を備え、他方の面に第2の材料を備える積層体であり、当該第1の材料及び当該第2の材料は線膨張係数が互いに異なる、積層体。
  17. 前記第1の材料がアルミニウムを含む、請求項16に記載の積層体。
  18. 前記第2の材料が鉄を含む、請求項16又は17に記載の積層体。
  19. 請求項16~18のいずれか1項に記載の積層体を用いた自動車用外装材。
JP2021048404A 2021-03-23 2021-03-23 接着シート及びこれを用いた硬化物、積層体並びに自動車用外装材 Pending JP2022147236A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116041282A (zh) * 2022-12-15 2023-05-02 上海树脂厂有限公司 一种脂肪族环氧稀释剂的制备方法
WO2023190322A1 (ja) * 2022-03-28 2023-10-05 三菱ケミカル株式会社 接着シート

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