JP2020125471A - フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物並びに硬化物 - Google Patents

フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物並びに硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020125471A
JP2020125471A JP2020013141A JP2020013141A JP2020125471A JP 2020125471 A JP2020125471 A JP 2020125471A JP 2020013141 A JP2020013141 A JP 2020013141A JP 2020013141 A JP2020013141 A JP 2020013141A JP 2020125471 A JP2020125471 A JP 2020125471A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
phenoxy resin
compound
bifunctional
phenoxy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020013141A
Other languages
English (en)
Inventor
一男 石原
Kazuo Ishihara
一男 石原
佐藤 洋
Hiroshi Sato
洋 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Publication of JP2020125471A publication Critical patent/JP2020125471A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

【課題】2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを二段法で反応させる際に、反応が十分に進行し、かつ得られたフェノキシ樹脂が、他材料との貯蔵安定性に優れるフェノキシ樹脂の製造方法、及びその製造方法により得られるフェノキシ樹脂、フェノキシ樹脂組成物、及び硬化物を提供する。
【解決手段】2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを下記式(1)で表されるホスフィン類の存在下に反応させるフェノキシ樹脂の製造方法。
Figure 2020125471

(式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、kは0〜4の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、反応活性に優れ、得られるフェノキシ樹脂が他の成分、特に硬化剤と混合した際の貯蔵安定性に優れるフェノキシ樹脂の製造方法及び該製造方法により得られるフェノキシ樹脂に関する。また、本発明は、このフェノキシ樹脂を用いて得られる樹脂組成物及び硬化物に関する。
エポキシ樹脂は耐熱性、接着性、耐薬品性、耐水性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、塗料、土木、接着、電気材料用途等の分野で広く使用されている。そして種々の方法で高分子量化することで製膜性が付与される。その高分子量化されたエポキシ樹脂は、フェノキシ樹脂と称される。特にビスフェノールA型のフェノキシ樹脂は、主に塗料用ワニスのベース樹脂、フィルム成形用のベース樹脂としてや、エポキシ樹脂ワニスに添加して流動性の調整や硬化物としたときの靭性改良、接着性改良の目的に使用される。また、リン原子や臭素原子を骨格中に有するものは、エポキシ樹脂組成物や熱可塑性樹脂に配合される難燃剤として使用されている。
フェノキシ樹脂の製造方法としては、一般的に、2官能フェノール化合物にアルカリの存在下、エピハロヒドリンを反応させる「一段法」や、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物を触媒の存在下で反応させる「二段法」等が知られている。二段法は一段法に比べて食塩等の副生成物がほとんど生じないため、合成後に精製することが困難なフェノキシ樹脂の製造に適した方法であることが知られている。非特許文献1には二段法によりフェノキシ樹脂を製造する際の触媒として、オニウム塩系化合物類、アルカリ性化合物類等が一般的に使用されることが記載されている。
フェノキシ樹脂を前述したような塗料、土木、接着、電気材料等の分野で用いる場合、主にベース樹脂として使用されるため、エポキシ樹脂や硬化剤を始めとする多材料との混合物として使用することが一般的である。本発明者らの詳細な検討によれば、二段法で製造する際に、上記非特許文献1に記載されているようなオニウム塩系化合物類、アルカリ性化合物類を触媒として使用したフェノキシ樹脂は、他材料と混合した際の貯蔵安定性が不十分となる場合がある。また、リン系化合物としてトリフェニルホスフィンが触媒として使用されることも非特許文献1に記載されているが、トリフェニルホスフィンは二段法の触媒としては活性が不十分であった。
総説エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I エポキシ樹脂技術協会(2003)
本発明の課題は、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを二段法で反応させる際に、反応が十分に進行し、かつ得られたフェノキシ樹脂が他材料との配合した際の貯蔵安定性に優れるフェノキシ樹脂の製造方法及び該製造方法により得られるフェノキシ樹脂、フェノキシ樹脂組成物並びに硬化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物を原料として用いてフェノキシ樹脂を得る際に、特定のホスフィン類の存在下で反応させるフェノキシ樹脂の製造方法により、上記課題を解決し得ることを見出し、発明の完成に至った。
すなわち本発明は、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを触媒の存在下で反応させる重量平均分子量(Mw)が10000〜150000であるフェノキシ樹脂の製造方法であって、該触媒が下記式(1)で表されるホスフィン類であることを特徴とするフェノキシ樹脂の製造方法である。
Figure 2020125471
式(1)において、R及びRはそれぞれ独立には炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜46のアルコキシ基であり、kは0〜4の整数である。
上記2官能エポキシ樹脂1.0モルに対し、上記2官能フェノール化合物を0.95〜1.05モル使用することが好ましく、上記ホスフィン類の使用量は、2官能エポキシ樹脂の使用量の0.001〜5質量%であることが好ましい。
上記2官能エポキシ樹脂の一部又は全部、及び/又は上記2官能フェノール化合物の一部又は全部は、フロオレン環含有化合物であることが好ましい。
上記2官能エポキシ樹脂の一部又は全部、及び/又は上記2官能フェノール化合物の一部又は全部は、リン含有化合物であることが好ましく、得られるフェノキシ樹脂のリン含有率が1〜6質量%であることが好ましい。
得られるフェノキシ樹脂のエポキシ当量は、4000〜200000g/eq.であることが好ましい。
また、本発明は、Mwが10000〜150000のフェノキシ樹脂であって、上記式(1)で表されるホスフィン類を0.001〜5質量%含有することを特徴とするフェノキシ樹脂である。
また本発明は、上記フェノキシ樹脂に硬化成分を配合してなる樹脂組成物である。
上記硬化成分は、エポキシ樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、酸無水物化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤、有機ホスフィン類、ポリイソシアネート化合物、及びブロックイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
上記樹脂組成物は更に充填材が配合されていることが好ましい。
また本発明は、上記樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明の製造方法は、十分な反応速度を有する。また、本発明の製造方法により得られるフェノキシ樹脂は、他の成分、特に硬化剤を配合した際の貯蔵安定性に優れる。このことから、本発明のフェノキシ樹脂の製造方法により得られるフェノキシ樹脂、及びそれを配合した樹脂組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。
本発明のフェノキシ樹脂の製造方法は、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物を上記式(1)で表されるホスフィン類の存在下で反応させる。なお、本明細書において、本発明のフェノキシ樹脂の製造方法を「本発明の製造方法」と称することがある。
本発明のフェノキシ樹脂は、他の成分、特に硬化剤と配合したときに、貯蔵安定性に顕著に優れるという効果を奏する。また、本発明において使用するホスフィン類は、トリフェニルホスフィンと比較して二段法での活性が高いため、反応時間が短くなる。これは上記ホスフィン類のフェニル基のパラ位に置換基があるためだと考えられる。
本発明の製造方法で使用する2官能エポキシ樹脂は、分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であればよい。これらの2官能エポキシ樹脂は1種のみでも複数種を組み合わせて使用してもよい。
2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールEジグリシジルエーテル、ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールアセトフェノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(例えば、ZX−1201(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)等)、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル、ジヒドロキシジフェニルエーテルジグリシジルエーテル、チオジフェノールジグリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル
、等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ジメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂や、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジブチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メチルレゾルシンジグリシジルエーテル等のベンゼンジオール型エポキシ樹脂や、ジヒドロキシアントラセンジグリシジルエーテル、ヒドロアントラハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビスナフトールフルオレンジグリシジルエーテル、ジフェニルジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
2官能エポキシ樹脂としては、更に、上記2官能エポキシ樹脂の芳香環に水素を添加した2官能エポキシ樹脂や、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ダイマー酸等の種々のジカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、アニリン等のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ポリペンタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘプタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル等の鎖状構造のみからなる(ポリ)アルキレングリコール型エポキシ樹脂や、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の環状構造を有するアルキレングリコール型エポキシ樹脂や、脂肪族環状エポキシ樹脂や、リン含有2官能エポキシ樹脂(例えば、FX−305(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、ジフェニルホスフィニルハイドロキノンジグリシジルエーテル等)等も挙げられる。
フェノキシ樹脂の耐熱性の向上のためには、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスナフトールフルオレンジグリシジルエーテルが好ましく、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスナフトールフルオレンジグリシジルエーテル等のフルオレン環構造を有する2官能エポキシ樹脂がより好ましい。難燃性付与のためには、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル、リン含有2官能エポキシ樹脂が好ましく、リン含有2官能エポキシ樹脂がより好ましい。
本発明の製造方法で使用する2官能フェノール化合物としては、芳香環に結合した水酸基を2個以上有する化合物であればよい。これらの2官能フェノール化合物は、1種のみでも複数種を組み合わせて使用してもよい。
2官能フェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ−t−ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、チオジフェノール、ジヒドロキシスチルベン等のビスフェノール類や、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ−t−ブチルビフェノール等のビフェノール類や、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類や、ジヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロアントラハイドロキノン類等が挙げられる。
フェノキシ樹脂の耐熱性向上のためには、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレンが好ましく、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレンがより好ましい。
2官能フェノール化合物の使用量は、2官能エポキシ樹脂1.00モルに対して、0.9〜1.1モルが好ましく、0.95〜1.05モルがより好ましく、0.96〜1.00モルが更に好ましく、0.97〜0.99モルが特に好ましい。2官能フェノール化合物の配合量がこの範囲内であれば、得られるフェノキシ樹脂の分子量が十分伸長するので好ましい。また、反応性の点では末端基にエポキシ基を多く存在することが望ましいため、2官能フェノール化合物の配合量は1.00モル未満が好ましい。
また、耐熱性を付与するためには、上記2官エポキシ樹脂の一部又は全部として、フルオレン環構造を有する2官能エポキシ樹脂や、上記2官能フェノール化合物の一部又は全部として、フルオレン環構造を有する2官能フェノール化合物を用いることが好ましい。
フルオレン環構造を有する2官能フェノール化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2ーメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4ーメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒド口キシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シク口ヘキシルフェニル)フルオレン。9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類や、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−6−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(1−ヒドロキシ−5−ナフチル)フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類等が挙げられる。これらのフルオレン環構造含有フェノール化合物を1種類又は2種類以上併用してもよい。
フルオレン環構造を有する2官能エポキシ樹脂としては、上記フルオレン環構造を有する2官能フェノール化合物と、5〜20倍モルのエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンとを、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて反応することで得られるジグリシジル化合物が挙げられる。具体的には上記エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスナフトールフルオレンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、難燃性を付与するために、上記2官能フェノール化合物の一部又は全部として、ハロゲンが付加した2官能のハロゲン化フェノール化合物(例えば、テトラブロムビスフェノールA等)や、2官能のリン含有フェノール化合物を用いてもよく、環境面から、2官能のリン含有フェノール化合物が好ましい。
また、難燃性を付与するために、上記2官能フェノール化合物又は2官能エポキシ樹脂の一部又は全部として、リン含有化合物を使用することが好ましい。
2官能のリン含有フェノール化合物としては、例えば、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)−8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン、ジフェニルホスフェニル−1,4−ジオキシナフタリン、1,4−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール、1,5−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール等が挙げられる。これらのリン含有フェノール化合物を1種類又は2種類以上併用してもよい。
2官能エポキシ樹脂としてのリン含有化合物としては、上記リン含有フェノール化合物と、5〜20倍モルのエピハロヒドリンとを、アルカリ触媒を用いて反応することで得られるジグリシジル化合物が挙げられる。具体的には上記エポキシ樹脂、FX−305、ジフェニルホスフィニルハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
2官能のリン含有フェノール化合物を使用して得られたフェノキシ樹脂のリン含有率は、使用目的に応じて適宜調整すればよいが、1〜6質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましく、3〜4.5質量%が更に好ましい。
本発明の製造方法で使用する上記ホスフィン類は、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物との反応の触媒として作用する。
本発明の製造方法において触媒として使用するホスフィン類は、上記式(1)で表される。式(1)において、パラ位にある置換基Rは必須である。
は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。Rとしては、メチル基、エチル基、t−ブチル基、又はメトキシ基が好ましく、メチル基又はメトキシ基がより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。Rとしては、Rと同様のものが例示され、好ましい置換基についても同様である。
kは0、1、2、3、又は4であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
上記式(1)で表されるホスフィン類としては、パラ位に置換基があるフェニル基がリン原子に3つ結合している構造であればよく、このフェニル基は、3つとも同一であってもよく異なっていてもよい。
式(1)で表されるホスフィン類としては、例えば、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−キシリル)ホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2−イソプロピル−4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。これらのホスフィン類の中では、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、又はトリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンが好ましい。これらのホスフィン類は、1種のみでも複数種を組み合わせて使用してもよい。
上記ホスフィン類の使用量は、2官能エポキシ樹脂及び2官能フェノール化合物の合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.005〜2質量部がより好ましく、0.01〜1質量部が更に好ましく、0.01〜0.5質量部が特に好ましい。使用する上記ホスフィン類の配合量が少ないとフェノキシ樹脂の分子量が十分大きくならない恐れがある。また、配合量が多いと貯蔵安定性が悪化しやすく、反応後に除去する必要性があるので好ましくない。ホスフィン類の使用量が範囲内であれば、反応時にフェノキシ樹脂の分子量が十分大きくやすく、貯蔵安定性も良好となりやすく、好ましい。また、これらの触媒は、反応開始時に一括して仕込んでもよいし、反応の経時に従って適時分割して仕込んでもよい。
上記ホスフィン類は、有機溶媒又は水で希釈してから用いることができる。有機溶媒としては、原料を溶解するものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、後述する本発明のフェノキシ樹脂の反応時に使用できる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
上記2官能エポキシ樹脂と上記2官能フェノール化合物との反応は、常圧、加圧、減圧いずれの条件で行うこともできる。使用する触媒が分解しない程度の温度範囲で行う。反応温度が高すぎると生成するフェノキシ樹脂が劣化する恐れがあり、低すぎると反応が進まずに目的の分子量にならない恐れがある。そのため反応温度は、反応温度は、50〜240℃が好ましく、80〜230℃がより好ましく、100〜220℃が更に好ましく、120〜200℃が特に好ましい。反応時間は特に限定されないが、0.5〜24時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、2〜12時間が更に好ましく、3〜10時間が特に好ましい。反応時間が好ましい範囲内であれば、生産効率向上の点でも、未反応成分を削減できる点でも好ましい。また、アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで、反応温度を確保することができる。なお、反応熱の除去が必要な場合は、通常、反応熱による使用溶媒の蒸発・凝縮・還流法、間接冷却法、又はこれらの併用により行われる。
本発明の製造方法において、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、原料や反応生成物(フェノキシ樹脂)を溶解し、反応に悪影響のないものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶媒である。有機溶媒としては、例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。使用する溶媒の量は、反応条件に応じて適宜選択することができるが、固形分濃度として35〜95質量%が好ましい。また、反応中に高粘性生成物が生じた場合は反応途中で溶媒を更に加えて反応を継続してもよい。
芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、バレロラクトン、ブチロラクトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
反応終了後、溶媒は必要に応じて蒸留等により除去することもできるし、さらに追加して固形分濃度を調整してもよい。その溶媒としては、フェノキシ樹脂を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶媒である。有機溶媒としては、上記有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明の製造方法において、貯蔵安定性が悪化しない範囲で、上記ホスフィン類と共に、その他の触媒を併用してもよい。その他の触媒としては、通常、二段法の触媒として用いられるものであれば特に制限されない。例えば、アルカリ金属化合物、上記ホスフィン類以外の有機リン化合物、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。これらその他の触媒は、1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、貯蔵安定性の観点からは、樹脂組成物を保管する際等にはその他の触媒を含まないか、上記ホスフィン類よりも少量の配合量としておくことが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩や、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシドや、アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物や、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
上記ホスフィン類以外の有機リン化合物としては、例えば、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。なお、上記式(1)で表されるホスフィン類以外のホスフィン類も、反応生成物であるフェノキシ樹脂に残存する恐れがあるので、これを含まないフェノキシ樹脂を目的とする場合は、その併用は望ましくない。
第3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
環状アミン類としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られるフェノキシ樹脂のMwは、10000〜150000であり、20000〜100000が好ましく、25000〜80000がより好ましく、30000〜60000が更に好ましい。Mwが低いものではフィルム製膜性や伸び性が劣り、Mwが高すぎると樹脂の取り扱い性が著しく悪化する。ここで、MwはGPCの測定によって決定され、GPCの測定方法は、実施例に記載の条件に従う。
このフェノキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、4000〜200000が好ましく、6000〜150000がより好ましく、8000〜100000が更に好ましく、10000〜50000が特に好ましい。エポキシ当量が好ましい範囲内であるとフェノキシ樹脂の分子量が十分大きいことであり、可撓性の観点で好ましい。
本発明のフェノキシ樹脂は、Mwが10000〜150000で、上記式(1)で表されるホスフィン類を0.001〜5質量%含有する。本発明のフェノキシ樹脂は、本発明の製造方法で有利に得ることができる。したがって、好ましいMwやエポキシ当量は、本発明の製造方法で得られるフェノキシ樹脂と同様である。
フェノキシ樹脂中の存在する上記式(1)で表されるホスフィン類は、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。ホスフィン類が多すぎると、硬化剤と配合したときの貯蔵安定性が悪化する恐れがある。
この量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量することができる。なお、測定方法は実施例に記載の条件に従う。
本発明のフェノキシ樹脂は、それ自体で可撓性のある熱可塑性樹脂であり単独で用いることもできるが、硬化成分を配合して熱硬化性の樹脂組成物とすることができる。
硬化成分は、単独で硬化しうる熱硬化樹脂、フェノキシ樹脂の水酸基やエポキシ基等と反応して硬化しうる樹脂又は硬化剤、硬化剤と共に使用されて硬化する樹脂等が挙げられる。
硬化成分としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル酸エステル樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、酸無水物化合物、ポリイソシアネート化合物、及びブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。また、エポキシ樹脂用硬化剤や硬化促進剤等も挙げられる。これらの内、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、酸無水物化合物、ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物が好ましく、2官能以上のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、及び硬化促進剤がより好ましい。これらの硬化成分は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。例えば、樹脂又はモノマーと、その硬化剤又は重合開始剤や硬化促進剤との組み合わせでもよい。
硬化成分は、例えば、エポキシ樹脂を硬化剤で硬化させる樹脂組成物、アクリル酸エステル樹脂をラジカル重合開始剤で硬化させる樹脂組成物、フェノール樹脂、メラニン樹脂等を熱で自己重合させる樹脂成分等や、酸無水物化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物等のフェノキシ樹脂の2級アルコール性水酸基と付加重合する化合物が挙げられる。
硬化成分の配合量は、フェノキシ樹脂/硬化成分(質量比)として、1/99〜99/1が好ましく、10/90〜90/10がより好ましく、25/75〜75/25がさらに好ましい。硬化成分を配合することで、さらに耐熱性に優れた材料を得ることができる。
硬化成分がエポキシ樹脂の場合、従来公知のエポキシ樹脂が使用可能である。なお、エポキシ樹脂とは、少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を指すが、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより好ましい。具体的には、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルアミン化合物、ポリグリシジルエステル化合物、脂環式エポキシ化合物、その他変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、同一系のエポキシ樹脂を2種類以上併用してもよく、また、異なる系のエポキシ樹脂を組み合わせて使用してもよい。
ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、フェノキシ樹脂の原料として使用できる上記2官能エポキシ樹脂や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルノボラック型エポキシ樹脂、スチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の多官能ノボラック型エポキシ樹脂や、アルキレングリコール型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ダイマー酸型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、トリメリット酸型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製)等の脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他変性エポキシ樹脂としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエンゴム誘導体、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム(CTBN)変性エポキシ樹脂、ポリビニルアレーンポリオキシド(例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、トリビニルナフタレントリオキシド等)等が挙げられる。
エポキシ樹脂を配合する場合は硬化剤も含む。硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質のことである。硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が必要に応じて用いられ、1〜80質量部が好ましく、5〜60質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましい。
硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂用硬化剤として知られているものはすべて使用できる。耐熱性を高める観点から好ましいものとして、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類が挙げられる。また吸水性を低下する観点からは、好ましいものとして活性エステル系硬化剤が挙げられる。その他に、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、ベンゾ化合物、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は単独で使用してもよく、同種類を2種類以上併用してもよく、他種類を組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノキシ樹脂の原料として使用できる上記2官能フェノール化合物や、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、トリスヒドロキシフェニルメタンノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール、ナフトールノボラック、スチレン化フェノールノボラック、テルペンフェノール、重質油変性フェノール、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、ポリヒドロキシスチレン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、ベンゼントリオール、トリヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシアセトフェノン等の3価以上のフェノール化合物や、上記リン含有フェノール化合物が挙げられる。これらのフェノール化合物にインデン又はスチレンを反応させたものを硬化剤に用いてもよい。フェノール系硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の活性水酸基のモル比で0.8〜1.5の範囲で用いることが好ましい。
アミド系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。アミド系硬化剤は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.1〜25質量部の範囲で用いることが好ましい。
イミダゾール類としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が挙げられる。イミダゾール類は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.1〜25質量部の範囲で用いることが好ましい。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類される。
活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく、中でも、特許5152445号公報に記載されているような多官能フェノール化合物と芳香族カルボン酸類とを反応させたフェノールエステル類がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、例えば、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。市販品では、エピクロンHPC−8000−65T(DIC株式会社製)等があるがこれらに限定されるものではない。活性エステル系硬化剤は、樹脂組成物中のエポキシ基に対する硬化剤中の活性エステル基のモル比で0.2〜2.0の範囲で用いることが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジシアンジアミド、ダイマー酸等の酸類とポリアミン類との縮合物であるポリアミドアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。アミン系硬化剤は、樹脂組成物中のエポキシ基に対する硬化剤中の活性水素基のモル比で0.5〜1.5の範囲で用いることが好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸等が挙げられる。酸無水物系硬化剤は、樹脂組成物中のエポキシ基に対する硬化剤中の酸無水物基のモル比で0.5〜1.5の範囲で用いることが好ましい。
なお、活性水素基とは、エポキシ基と反応性の活性水素を有する官能基(加水分解等により活性水素を生ずる潜在性活性水素を有する官能基や、同等な硬化作用を示す官能基を含む。)のことであり、具体的には、酸無水物基やカルボキシル基やアミノ基やフェノール性水酸基等が挙げられる。なお、活性水素基に関して、カルボキシル基(−COOH)やフェノール性水酸基(−OH)は1モルと、アミノ基(−NH2)は2モルと計算される。また、活性水素基が明確ではない場合は、測定によって活性水素当量を求めることができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ当量が既知のモノエポキシ樹脂と活性水素当量が未知の硬化剤を反応させて、消費したモノエポキシ樹脂の量を測定することによって、使用した硬化剤の活性水素当量を求めることができる。
また、エポキシ樹脂を配合する場合は必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、第3級アミン類、ホスフィン類、金属化合物、アミン錯塩等が挙げられる。これら硬化促進剤は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
イミダゾール類、第3級アミン類、及びホスフィン類としては、例えば、本発明の製造方法で使用可能な上記触媒と同様のものが挙げられる。
金属化合物としては、例えば、オクチル酸スズ等が挙げられる。
アミン錯塩としては、例えば、3フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ジエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素イソプロピルアミン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、3フッ化ホウ素ベンジルアミン錯体、3フッ化ホウ素アニリン錯体、又はこれらの混合物等の3フッ化ホウ素錯体類等が挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分100質量部に対して、0.01〜15質量部が必要に応じて使用され、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜8質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が更に好ましい。硬化促進剤を使用することにより、硬化温度を下げることや、硬化時間を短縮することができる。
硬化成分としてのアクリル酸エステル樹脂をラジカル重合開始剤で硬化させる樹脂組成物には、(メタ)アクリレート系化合物の熱硬化性樹脂組成物や光硬化性樹脂組成物が挙げられる。(メタ)アクリレート系化合物は、粘度調整や硬化成分として用いられる分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートである。(メタ)アクリレート系化合物の一部は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。この場合の樹脂組成物は、(メタ)アクリレート系化合物と、熱重合開始剤、光重合開始剤、又はその両方を必須成分とする。
これらの(メタ)アクリレート系化合物としては、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系化合物を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロへキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフロフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物にポリイソシアネート化合物を反応させ、さらに(メタ)アクリレートと反応することで得られる。エポキシアクリレートは、エポキシ化合物と(メタ)アクリレートの反応で得られる。
(メタ)アクリレート系化合物の重合開始剤として使用できる化合物としては、加熱や活性エネルギー線光の照射等の手段により、ラジカルを発生させるものであれば特に限定せずに使用することができる。
重合開始剤としては、例えば、加熱により硬化させる場合は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等のアゾ系、過酸化物系開始剤等の通常のラジカル熱重合に使用できるものはいずれも使用することができる。
また、ラジカル重合を光ラジカル重合によって行う場合は、ベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキサイド類等の通常の光ラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。
これらの重合光開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。さらには、光ラジカル重合開始剤に対しては、第3級アミン類化合物、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の促進剤等と組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物の3〜5量体等や、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応物等が挙げられる。
酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水クロレンド酸、ベンゼンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレンビス(トリメリット酸無水物)、メチルシクロヘキセニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。更に、これらの酸無水物化合物と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、粘度調整用として有機溶媒又は反応性希釈剤を使用することができる。これらの有機溶媒又は反応性希釈剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合してもよい。
有機溶媒としては、例えば、本発明の製造方法で使用可能な上記有機溶媒と同様のものが挙げられる。また、その他にも、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、パインオイル等のアルコール類や、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類や、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類等が挙げられる。
反応性希釈剤としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル類や、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の二官能グリシジルエーテル類や、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル類や、ネオデカン酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類や、フェニルジグリシジルアミン、トリルジグリシジルアミン等のグリシジルアミン類が挙げられる。
これらの有機溶媒又は反応性希釈剤は、不揮発分として90質量%以下で使用することが好ましく、その適正な種類や使用量は用途によって適宜選択される。例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、1−メトキシ−2−プロパノール等の沸点が160℃以下の極性溶媒であることが好ましく、その使用量は不揮発分で40〜80質量%が好ましい。また、接着フィルム用途では、例えば、ケトン類、酢酸エステル類、カルビトール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を使用することが好ましく、その使用量は不揮発分で30〜60質量%が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の耐衝撃性等の物性向上を目的に、信頼性を低下させない範囲で、公知の充填材を使用することができる。
充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、硫酸バリウム、炭素等の充填材や、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、セラミック繊維等の繊維状充填材や、微粒子ゴム等が挙げられる。
これらの中でも、硬化物の表面粗化処理に使用される過マンガン酸塩の水溶液等の酸化性化合物により、分解または溶解しないものが好ましく、特に溶融シリカや結晶シリカが微細な粒子が得やすいため好ましい。また、充填材の配合量を特に大きくする場合には溶融シリカを使用することが好ましい。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高めつつ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に使用する方がより好ましい。さらに球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。
なお、充填材は、シランカップリング剤処理やステアリン酸等の有機酸処理を行ってもよい。一般的に充填材を使用する理由としては、硬化物の耐衝撃性の向上効果や、硬化物の低線膨張性化が挙げられる。
難燃助剤として作用し難燃性が向上させる場合は、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。熱伝導性を向上させる場合は、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、溶融シリカ、結晶シリカが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、溶融シリカ、結晶シリカがより好ましい。導電ペースト等の用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填材を使用することができる。
充填材の配合量は、硬化物の低線膨張性化や難燃性を考慮した場合、高い方が好ましい。樹脂組成物中の全固形分に対して、1〜98質量%が好ましく、3〜90質量%がより好ましく、5〜80質量%がさらに好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。配合量が多いと積層板用途として必要な接着性が低下する恐れがあり、さらに硬化物が脆く、十分な機械物性を得られなくなる恐れがある。また配合量が少ないと、硬化物の耐衝撃性の向上等、充填材の配合効果がでない恐れがある。
また、充填材は、その粒径が大き過ぎると硬化物中にボイドが残留しやすくなり、小さ過ぎると凝集しやすくなり分散性が悪くなる。平均粒子径(D50)は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜1.5μmがより好ましく、0.1〜1μmがさらに好ましい。充填材の平均粒子径がこの範囲であれば、樹脂組成物の流動性を良好に保てる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
また、本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の難燃性の向上を目的に、信頼性を低下させない範囲で、公知の各種難燃剤を使用することができる。使用できる難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。環境に対する観点から、ハロゲンを含まない難燃剤が好ましく、特にリン系難燃剤が好ましい。これらの難燃剤は単独で使用してもよく、同一系の難燃剤を2種類以上併用してもよく、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、特性を損ねない範囲で、その他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、ハジキ防止剤、可塑剤、顔料、顔料分散剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、本発明以外のフェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等が挙げられる。相溶性の面からは本発明以外のフェノキシ樹脂が好ましく、低誘電特性面からはポリフェニレンエーテル樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、カップリング剤を配合してもよい。カップリング剤を配合することにより、基材との接着性やマトリックス樹脂と無機フィラーとの接着性を向上させることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、カップリング剤の配合量は、樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜2.0質量%程度とするのが好ましい。カップリング剤の配合量が少な過ぎると、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂と無機フィラーとの密着性の向上効果を十分に得ることができない。一方、カップリング剤の配合量が多過ぎると得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトする恐れがある。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤や、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤や、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤や、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシランカップリング剤や、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
また、顔料としては、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料や、酸化チタン、金属箔状顔料、防錆顔料等の無機顔料が挙げられる。紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等が挙げられる。離型剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。これらのその他の添加剤の配合量は、樹脂組成物中の全固形分に対して、0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。フェノキシ樹脂、硬化成分、さらに必要により各種添加剤の配合された樹脂組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。硬化物としては、積層物、注型物、成型物、接着層、絶縁層、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。硬化物を得るための方法としては、公知の樹脂組成物と同様の方法をとることができ、注型、注入、ポッティング、ディッピング、ドリップコーティング、トランスファー成形、圧縮成形等や樹脂シート、樹脂付き銅箔、プリプレグ等の形態とし積層して加熱加圧硬化することで積層板とする等の方法が好適に使用される。樹脂組成物の硬化方法は、樹脂組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、硬化温度は80〜300℃で、硬化時間は10〜360分間である。この加熱は80〜180℃で10〜90分間の一次加熱と、120〜200℃で60〜150分間の二次加熱との二段処理で行うことが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が二次加熱の温度を超える配合系においては、さらに150〜280℃で60〜120分間の三次加熱を行うことが好ましい。このような二次加熱、三次加熱を行うことで硬化不良を低減することができる。樹脂シート、樹脂付き銅箔、プリプレグ等の樹脂半硬化物を作製する際には、通常、加熱等により形状が保てる程度に樹脂組成物の硬化反応を進行させる。樹脂組成物が溶媒を含んでいる場合には、通常、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶媒を除去するが、樹脂半硬化物中に5質量%以下の溶媒を残量させてもよい。
本発明のフェノキシ樹脂又は、他の成分、特に硬化成分を配合した本発明の樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れる。そのため本発明の樹脂組成物、塗料、電気・電子材料、封止材料、注型材料、炭素繊維強化樹脂や、導電ペースト、接着剤、絶縁材料等の様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。用途の一例としては、プリント配線基板、フレキシルブル配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、樹脂付き金属箔、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、回路基板用絶縁材料、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板、レジストインキが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。分析方法、測定方法を以下に示す。
(1)エポキシ当量: JIS K 7236規格に準拠して測定を行い、単位は「g/eq.」で表した。具体的には、電位差滴定装置を用い、溶媒としてシクロヘキサノンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いた。なお、溶媒希釈品(樹脂ワニス)は、不揮発分から固形分換算値としての数値を算出した。
(2)不揮発分: JIS K 7235規格に準拠して測定した。乾燥温度は200℃で、乾燥時間は60分とした。
(3)リン含有率: 試料に硫酸、塩酸、過塩素酸を加え、加熱して湿式灰化し、全てのリン原子をオルトリン酸とした。硫酸酸性溶液中でメタバナジン酸塩及びモリブデン酸塩を反応させ、生じたリンバナドモリブデン酸錯体の420nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線により求めたリン含有率を%で表した。
(4.1)重量平均分子量(Mw): GPC測定により求めた。具体的には、本体(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはTHFを用い、1mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を用いた。測定試料は固形分で0.05gを10mLのTHFに溶解し、0.45μmのマイクロフィルターでろ過したものを50μL使用した。標準の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製、A−500,A−1000,A−2500,A−5000,F−1,F−2,F−4,F−10,F−20,F−40、F−80、F−128)より求めた検量線より換算して、Mwを求めた。なお、データ処理は、東ソー株式会社製GPC−8020モデルIIバージョン6.00を使用した。なお、リン含有フェノキシ樹脂の場合は、(4.2)の測定方法を用いた。
(4.2)重量平均分子量(Mw): GPC測定により求めた。具体的には、本体(東ソー株式会社製、HLC−8320GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgel SuperH−H、SuperH2000、SuperHM−H、SuperHM−H)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液はDMF(20mM臭化リチウム含有品)を使用し、0.3mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を使用した。測定試料は固形分で0.1gを10mLのDMFに溶解し、0.45μmのマイクロフィルターでろ過したものを20μL使用した。標準ポリエチレンオキシド(東ソー株式会社製、SE−2、SE−5、SE−8、SE−15、SE−30、SE−70、SE−150)より求めた検量線より換算して、Mwを求めた。なお、データ処理は東ソー株式会社製GPC−8020モデルIIバージョン6.00を使用した。
(5)ホスフィン類含有率、その他含有率: HPLCの測定より求めた。具体的には、本体(アジレント・テクノロジー株式会社製、HP1200シリーズ)にカラム(インタクト株式会社製、Cadernza CD−C18、4.6mmφ×100mmL)を使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液には水/THF/アセトニトリル=60/20/20(容量比)を用い、検出器はUV検出器(検出波長:280nm)を用いた。フェノキシ樹脂ワニス0.1gを精秤し、THFに溶解し、全量を10mLにして、5μLを注入した。測定毎にTHF/アセトニトリル=50/50(容量比)でカラムの洗浄を行った。予めホスフィン類で作成した検量線を用いて定量を行った。ピークが無かった(検出されなかった)場合は、「ND」と表した。なお、式(1)で表されるホスフィン類の含有率は、「ホスフィン類含有率」で表し、それ以外のホスフィン類の含有率は、「その他含有率」で表した。
(6)ガラス転移温度(Tg): IPC−TM−650 2.4.25.c規格に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量測定の2サイクル目に得られたDSCチャートの補外ガラス転移開始温度(Tig)で表した。示差走査熱量測定装置は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のEXSTAR6000 DSC6200を使用した。測定試料は、樹脂フィルムをパンチングし、積層、アルミニウム製カプセルにパッキングして使用した。測定は、10℃/分の昇温速度で室温から280℃までを2サイクル行った。
(7)貯蔵安定性: 樹脂組成物について、25℃で24時間放置した後の状態を目視で観察し、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
○:ゲル化せずに流動性があるもの
×:ゲル化し流動性をもたなくなったもの
以下の実施例で使用したエポキシ樹脂、硬化剤、触媒、及び溶媒は以下の通りである。
[2官能エポキシ樹脂]
A1:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポトートYD−128、エポキシ当量186)
A2:3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールのエポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、YX−4000、エポキシ当量186)
[2官能フェノール化合物]
B1:ビスフェノールA(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、水酸基当量:114)
B2:9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製、BPF、フェノール性水酸基当量175)
B3:10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光化学株式会社製、HCA−HQ、フェノール性水酸基当量162、リン含有率9.5%)
[触媒]
C1:トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン(試薬)
C2:トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(試薬)
C3:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、製品名:キュアゾール2E4MZ)
C4:トリフェニルホスフィン(試薬)
C5:トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン(試薬)
C6:トリ−n−オクチルホスフィン(試薬)
C7:トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン(試薬)
C8:トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフィン(試薬)
C9:トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン(試薬)
[溶媒]
S1:シクロヘキサノン
S2:シクロペンタノン
S3:メチルエチルケトン
S4:ジエチレングリコールジメチルエーテル
[硬化成分]
D1:ポリメリックMDI(BASF INOAC ポリウレタン株式会社製、ルプラネートM5S、イソシアネート当量132)
実施例1
撹拌装置、温度計、窒素ガス導入装置、冷却管、油水分離器及び滴下装置を備えたガラス製反応容器に、室温下で、A1を624部、B1を376部、S1を375部仕込み、窒素ガスを流し撹拌しながら145℃まで昇温し、C1を1.0部添加した後、165℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行った。希釈溶媒としてS2を375部、S3を750部使用して希釈混合して、不揮発分40%のフェノキシ樹脂ワニス(1)を得た。
得られたフェノキシ樹脂ワニスを離型フィルム(ポリイミドフィルム製)に溶剤乾燥後の厚みが60μmになる様にローラーコーターにて塗布し、180℃で20分間乾燥した後、離形フィルムから得られた乾燥フィルムをはがした。この乾燥フィルム2枚を重ねて、真空プレス機を使用して、真空度0.5kPa、乾燥温度200℃、プレス圧力2MPaの条件で60分間プレスして、厚さ100μmのフェノキシ樹脂フィルム(1)を得た。なお、厚み調整のために、厚さ100μmのスペーサーを使用した。 また、得られたフェノキシ樹脂ワニス100部に対して、D1を15部配合して、樹脂組成物(1)を得た。
実施例2
1.0部のC1の代わりに2.0部のC2を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(2)、フェノキシ樹脂フィルム(2)、及び樹脂組成物(2)を得た。
実施例3
A1を520部にし、C1を4.5部とし、376部のB1の代わりに480部のB2を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(3)、フェノキシ樹脂フィルム(3)、及び樹脂組成物(3)を得た。
実施例4
A1の代わりにA2を521部、C1を4.5部とし、B1の代わりに479部のB2を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(4)、フェノキシ樹脂フィルム(4)、及び樹脂組成物(4)を得た。
実施例5
A1の代わりにA2を525部、B1の代わりに475部のB2を、1.0部のC1の代わりに4.5部のC2を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(5)、フェノキシ樹脂フィルム(5)、及び樹脂組成物(5)を得た。
実施例6
A1を539部にし、C1を1.5部にし、376部のB1の代わりに461部のB3を、375部のS1の代わりに375部のS4を、375部のS2と750部のS3の代わりに1125部のS1を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(6)、フェノキシ樹脂フィルム(6)、及び樹脂組成物(6)を得た。
実施例7
C1を1.5部にし、624部のA1の代わりに540部のA2を、376部のB1の代わりに460部のB3を、375部のS1の代わりに375部のS4を、375部のS2と750部のS3の代わりに1125部のS1を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(7)、フェノキシ樹脂フィルム(7)、及び樹脂組成物(7)を得た。
実施例8
1.0部のC1の代わりに1.0部のC7を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(8)、フェノキシ樹脂フィルム(8)、及び樹脂組成物(8)を得た。
実施例9
1.0部のC1の代わりに1.0部のC8を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(9)、フェノキシ樹脂フィルム(9)、及び樹脂組成物(9)を得た。
比較例1
1.0部のC1の代わりに0.1部のC3を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(H1)、フェノキシ樹脂フィルム(H1)、及び樹脂組成物(H1)を得た。
比較例2
1.0部のC1の代わりに5.0部のC4を使用し、反応時間を10時間から24時間にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(H2)、フェノキシ樹脂フィルム(H2)、及び樹脂組成物(H2)を得た。
比較例3
1.0部のC1の代わりに0.5部のC5を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(H3)、フェノキシ樹脂フィルム(H3)、及び樹脂組成物(H3)を得た。
比較例4
1.0部のC1の代わりに1.0部のC6を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(H4)、フェノキシ樹脂フィルム(H4)、及び樹脂組成物(H3)を得た。
比較例5
1.0部のC1の代わりに1.0部のC9を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、フェノキシ樹脂ワニス(H5)、フェノキシ樹脂フィルム(H5)、及び樹脂組成物(H5)を得た。
フェノキシ樹脂ワニスを用いてエポキシ当量、リン含有率、ホスフィン類含有率、その他含有率、及びMwを、フェノキシ樹脂フィルムを用いてTgをそれぞれ測定し、樹脂組成物を用いて貯蔵安定性を確認した。その結果を表1及び表2に示す。なお、表中の「−」は未測定を表す。
Figure 2020125471
Figure 2020125471
表1及び表2からわかるように、上記式(1)で表されるホスフィン類を用いた実施例1〜9は反応活性が高くフェノキシ樹脂の分子量が大きくなり、かつフェノキシ樹脂又はその樹脂組成物の貯蔵安定性に優れる。一方、比較例1〜5では反応活性と、フェノキシ樹脂又はその組成物の貯蔵安定性の両方を満足するものはなかった。

Claims (12)

  1. 2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを触媒の存在下で反応させる重量平均分子量が10000〜150000であるフェノキシ樹脂を製造する方法であって、該触媒が下記式(1)で表されるホスフィン類であることを特徴とするフェノキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2020125471
    (式(1)において、R及びRはそれぞれ独立には炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、kは0〜4の整数である。)
  2. 上記2官能エポキシ樹脂1.0モルに対し、上記2官能フェノール化合物を0.95〜1.05モル使用する請求項1に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  3. 上記ホスフィン類の使用量が、2官能エポキシ樹脂及び2官能フェノール化合物の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部である請求項1又は2に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  4. 上記2官能エポキシ樹脂及び/又は上記2官能フェノール化合物の一部又は全部が、フロオレン環含有化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  5. 上記2官能エポキシ樹脂及び/又は上記2官能フェノール化合物の一部又は全部が、リン含有化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  6. 得られるフェノキシ樹脂のリン含有率が1〜6質量%である請求項5に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  7. 得られるフェノキシ樹脂のエポキシ当量が4000〜200000g/eq.である請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
  8. 重量平均分子量が10000〜150000のフェノキシ樹脂であって、下記式(2)で表されるホスフィン類を0.001〜5質量%含有することを特徴とするフェノキシ樹脂。
    Figure 2020125471
    (式(2)において、R及びRはそれぞれ独立には炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、kは0〜4の整数である。)
  9. 請求項8に記載のフェノキシ樹脂に硬化成分を配合してなる樹脂組成物。
  10. 上記硬化成分が、エポキシ樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、酸無水物化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤、有機ホスフィン類、ポリイソシアネート化合物、及びブロックイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1つである請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 更に充填材が配合されている請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
JP2020013141A 2019-02-06 2020-01-30 フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物並びに硬化物 Pending JP2020125471A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019019460 2019-02-06
JP2019019460 2019-02-06

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020125471A true JP2020125471A (ja) 2020-08-20

Family

ID=72083581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020013141A Pending JP2020125471A (ja) 2019-02-06 2020-01-30 フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物並びに硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020125471A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022172863A1 (ja) * 2021-02-10 2022-08-18 昭和電工株式会社 溶着フィルム及び接合体
JP7359639B2 (ja) 2019-10-23 2023-10-11 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物及び硬化物

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008208315A (ja) * 2007-02-28 2008-09-11 Toto Kasei Co Ltd ノンハロゲン難燃性接着剤およびそれを用いたフレキシブルプリント配線板用材料
JP2015157907A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 三菱化学株式会社 エポキシ化合物及びその製造方法、エポキシ化合物含有組成物並びに硬化物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008208315A (ja) * 2007-02-28 2008-09-11 Toto Kasei Co Ltd ノンハロゲン難燃性接着剤およびそれを用いたフレキシブルプリント配線板用材料
JP2015157907A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 三菱化学株式会社 エポキシ化合物及びその製造方法、エポキシ化合物含有組成物並びに硬化物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7359639B2 (ja) 2019-10-23 2023-10-11 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物及び硬化物
WO2022172863A1 (ja) * 2021-02-10 2022-08-18 昭和電工株式会社 溶着フィルム及び接合体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7359639B2 (ja) フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物及び硬化物
TWI400264B (zh) An epoxy resin, a hardened resin composition and a hardened product thereof
JP6025952B1 (ja) ビニルベンジル化フェノール化合物、当該ビニルベンジル化フェノール化合物の製造方法、活性エステル樹脂、当該活性エステル樹脂の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物、層間絶縁材料、プリプレグ、およびプリプレグの製造方法
TWI786271B (zh) 含磷之苯氧基樹脂、含磷之苯氧基樹脂的樹脂組成物、及硬化物
JP2016532759A (ja) 熱硬化性樹脂組成物及びその用途
JP6022230B2 (ja) 高分子量エポキシ樹脂、それを用いた樹脂組成物および硬化物
JPWO2006129480A1 (ja) エポキシ樹脂硬化性組成物
WO2022244728A1 (ja) 樹脂組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、樹脂付きフィルム、樹脂付き金属箔、金属張積層板及び配線基板
TW201930386A (zh) 環氧化合物、組成物、硬化物及積層體
JP2020125471A (ja) フェノキシ樹脂及びその製造方法、その樹脂組成物並びに硬化物
JP7244427B2 (ja) リン含有フェノキシ樹脂、その樹脂組成物、及び硬化物
JP6090765B2 (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、および硬化性樹脂組成物
JP2006036801A (ja) 高分子量エポキシ樹脂組成物、その組成物を用いたフィルム、及びその硬化物
JP6809871B2 (ja) 原料、活性エステル樹脂、熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物、層間絶縁材料、プリプレグ、およびプリプレグの製造方法
JP7277126B2 (ja) フェノキシ樹脂、その樹脂組成物、その硬化物、およびその製造方法。
JP7325201B2 (ja) リン含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物
JPWO2010052877A1 (ja) フェノール樹脂混合物、エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物、及び硬化物
TW202214736A (zh) 改質苯氧基樹脂、其製造方法、樹脂組成物、硬化物、電氣電子電路用積層板
JP7211829B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
WO2022123994A1 (ja) エポキシ樹脂組成物、その硬化物及び積層体
JP4509539B2 (ja) エポキシ樹脂組成物シート
KR102662809B1 (ko) 인 함유 페녹시 수지, 그 수지 조성물, 및 경화물
JP2022150653A (ja) フェノキシ樹脂、その樹脂組成物、その硬化物及びその製造方法。
TW202313753A (zh) 改質環氧樹脂、樹脂組成物、硬化物、電氣電子電路用積層板、及改質環氧樹脂的製造方法
JP5268233B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、並びにその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230929

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240319