JP7225994B2 - フィルム状接着剤 - Google Patents
フィルム状接着剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7225994B2 JP7225994B2 JP2019054795A JP2019054795A JP7225994B2 JP 7225994 B2 JP7225994 B2 JP 7225994B2 JP 2019054795 A JP2019054795 A JP 2019054795A JP 2019054795 A JP2019054795 A JP 2019054795A JP 7225994 B2 JP7225994 B2 JP 7225994B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- epoxy resin
- curing
- resin composition
- adhesive
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Description
さらに、工場において部材を接合する工程を含む生産ラインで、これまで溶接で接合していた作業の効率化などが期待されている。このように、近年では溶接に代替する接合技術の導入が重要となっている。
このような構造用接着剤としては、エポキシ系接着剤、第二世代アクリル系接着剤(以下、SGA)、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤等が知られており、中でも、エポキシ系接着剤は金属やCFRPなどの各種部材に対する接着性の高さや、耐熱性の高さ等の点から汎用されている。
一般的に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いたフィルム状接着剤と共に構造用部材が同時に加熱及び冷却されるため、加熱及び冷却時の膨張収縮差によって、構造用部材とフィルム状接着剤との界面において応力が発生し、接合後の剥離強度が低下し易いという課題を抱えていた。前記特許文献1~3に示すように、柔軟性部材を構造用部材とフィルム状接着剤との接合部分に配置することにより、線膨張係数差による応力と、剥離モードにおける発生応力を緩和させることができ、剥離強度が向上させることができる。その一方、材料の柔軟性付与により接着剤の凝集力が低下すると、界面密着性や接着剤の剛性に影響されるせん断強度が低下しやすいという課題を有していた。
本発明の実施形態の一例に係るフィルム状接着剤(「本フィルム状接着剤」と称する)は、エポキシ樹脂組成物aからなる樹脂層Aと、エポキシ樹脂組成物bからなる樹脂層Bとを備え、当該樹脂層Bの表裏両側に前記樹脂層Aを備えたフィルム状接着剤である。
また、本フィルム状接着剤を加熱及び冷却して硬化してなるものを「硬化物」とする。硬化物は、硬化の程度に問わず「硬化物」とする。
本フィルム状接着剤は、硬化後における30℃での前記エポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaと、硬化後における30℃での前記エポキシ樹脂組成物bの貯蔵弾性率Ebとが、Ea>Ebの関係にあることが好ましい。
接合する部材間にフィルム状接着剤を挿入させ、その積層状態で加熱し冷却してフィルム状接着剤を硬化させて部材間を接合する場合、部材と接合する側の貯蔵弾性率がより高い、言い換えれば、より剛性が高いと、接着剤の凝集力が高いため、部材との界面において高い密着性を有するとともに、接合する部材と接着剤との間で、加熱時の膨張や冷却時の収縮等に伴って生じる歪が小さくなるため、せん断強度を好適に維持することができる。
本フィルム状接着剤においては、硬化後における25~160℃での前記エポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaと、前記エポキシ樹脂組成物bの面内方向における線膨張係数Kbとの関係が、Ka<Kbであることが好ましい。
中でも、KbはKaよりも20ppm/K以上大きいことが好ましく、その中でも30ppm/K以上、その中でも50ppm/K以上大きいことがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物a,bの硬化後におけるガラス転移温度について、エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度は、エポキシ樹脂組成物bのそれより10~180℃高い方が好ましい。
エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が、エポキシ樹脂組成物bのそれより10℃以上高ければ、エポキシ樹脂組成物bよりエポキシ樹脂組成物aの硬化後における貯蔵弾性率が高くなりやすくなるから好ましい。一方、両者の差が180℃以内であれば、エポキシ樹脂組成物aの硬化後における線膨張係数Kaとエポキシ樹脂組成物bの硬化後における線膨張係数Kbとの差によるカールや反りの発生が抑制されるため好ましい。
かかる観点から、エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度は、エポキシ樹脂組成物bのそれより10℃以上高い方が好ましく、中でも30℃以上、その中も50℃以上高い方がさらに好ましい。一方、両者の差は180℃以下であるのが好ましく、中でも150℃以下、その中も120℃以下であるのがさらに好ましい。
他方、エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度は、-60~150℃であるのが好ましく、中でも-50℃以上或いは130℃以下、その中でも-40℃以上或いは120℃以下であるのがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物a,bはいずれも、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有し、必要に応じてその他の成分を含有するのが好ましく、それぞれ上記物性を備えるように、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を調整するのが好ましい。
次に、エポキシ樹脂組成物a,bに用いることができるエポキシ樹脂について説明する。これらのエポキシ樹脂の中から上記物性に調整できるように種類を選択して用いるのが好ましい。
分子量(Mn)の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定できる。
このような2官能線状脂肪族エポキシ樹脂としては、分子量が200~100000、中でも400以上或いは50000以下、その中でも500以上或いは10000以下のものが特に好ましい。
次に、エポキシ樹脂組成物a,bに用いることができる硬化剤について説明する。これらの硬化剤の中から上記物性に調整できるように種類を選択して用いるのが好ましい。
より具体的には、例えば無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;ジシアンジアミド、オルト-トリルビグアニド、フェニルビグアニド、パラ-クロロフェニルビグアニド、エチレンビスビグアニド塩酸塩、ウラリルビグアニド塩酸塩、フェニルビグアニドオキサレート等のジシアンジアミド系化合物;三フッ化ホウ素-アミン錯体;ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルテトラミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の三級アミン類;1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルトリアゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)等のウレア化合物等を挙げることができる。但し、これらの中には、共硬化剤及び硬化促進剤として機能する化合物も存在する。
硬化剤は、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、硬化剤と共硬化剤又は硬化促進剤との組み合わせなど二種類以上の化合物を併用してもよい。
このような潜在性硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレアなどをあげることができる。
これらの潜在性硬化剤について、単体で使用してもよく、2種類以上を混合して用いても構わない。
1級アミン、2級アミン、酸無水物、カルボン酸などの活性水素などの官能基を有する硬化剤については、エポキシ基の数と、硬化性を有する官能基との数が等しくなるように配合するのが好ましい。
例えば目安としては、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して0.1~20質量部の割合で硬化剤を配合するのが好ましく、中でも1質量部以上或いは10質量部以下の割合で配合するのがより好ましい。
また、3級アミンやイミダゾール、ジシアンジアミド、ジメチルウレアなどの触媒硬化系となる硬化剤については、少量においても反応が進行するためエポキシ樹脂100質量部に対して1~10質量部程度を配合することが好ましい。
反応促進剤としては、例えばイミダゾール化合物、3級アミン、ジシアンジアミド、ルイス酸、及び有機金属化合物などを挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物a,bは、必要に応じて溶媒を含有することもできる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
エポキシ樹脂組成物a,bは、必要に応じてその他、例えば増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、有機過酸化物、還元剤、ラジカル重合性化合物;酸化防止剤、可塑剤、消泡剤、重合開始剤、無機微粒子、エラストマー等の各種添加剤を含有することができる。
例えば、エラストマーを配合することで、本フィルム状接着剤の粘度とその硬化物の柔軟性や耐衝撃性を調整することができる。また、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤や光重合開始剤等の重合開始剤を配合することで、本フィルム状接着剤を硬化した硬化物の強度を調整することができる。
本フィルム状接着剤は、構造用接着剤として用いる観点から、その厚みは5μm以上2000μm以下であるのが好ましく、中でも10μm以上或いは1500μm以下、その中でも50μm以上或いは1200μm以下、中でも100μm以上或いは1000μm以下であるのがさらに好ましい。
(せん断強度)
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)は20N/mm2以上であるのが好ましく、本フィルム状接着剤はそのような引張せん断接着強度を有することができる。
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)が20N/mm2以上であれば、自動車や航空機などの高い接合強度を必要とする用途に十分な接着強度を得られる観点から、好ましい。但し、引張せん断接着強度(JIS K6850)が大き過ぎると、結果的に材料の剛性が高すぎることが懸念され、応力緩和不足により剥離強度の低下の可能性が生じる。
よって、本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)は20N/mm2以上であるのが好ましく、中でも23N/mm2以上、その中でも25N/mm2以上であるのがさらに好ましい。その一方、60N/mm2以下であるのが好ましく、中でも50N/mm2以下、その中でも40N/mm2以下であるのがさらに好ましい。
本フィルム状接着剤は、硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上であるのが好ましく、本フィルム状接着剤はそのような剥離強度を有することができる。
本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上であれば、自動車や航空機などの高い接合強度を必要とする用途に十分な接着強度を得られる観点から、好ましい。但し、剥離強度(JIS K6854-3)が大き過ぎると結果的に材料の柔軟性が高すぎることが懸念され、材料の凝集力が低下して引張せん断時の材料破壊が生じやすくなり、引張せん断接着強度が低下する可能性が生じる。
よって、本フィルム状接着剤の硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)は20N/25mm巾以上であるのが好ましく、中でも30N//25mm巾以上、その中でも40N//25mm巾以上であるのがさらに好ましい。その一方、400N//25mm巾以下であるのが好ましく、中でも350N//25mm巾以下、その中でも300N//25mm巾以下であるのがさらに好ましい。
本フィルム状接着剤は、例えば、エポキシ樹脂組成物a,bからそれぞれエポキシ樹脂フィルムa,bを作製し、加圧密着させるなどしてフィルム同士を貼り合わせて、樹脂層A/樹脂層B/樹脂層Aの順で積層してなる本フィルム状接着剤を作製することができる。
但し、本フィルム状接着剤の製造方法を、このような製造方法に限定するものではない。
本フィルム状接着剤は、加熱し冷却することで硬化物とすることができる。
よって、加熱温度は60℃以上であるのが好ましく、中でも80℃以上、その中でも100℃以上であるのがさらに好ましい。その一方、中でも250℃以下、その中でも200℃以下であるのがさらに好ましい。
加熱時間は、フィルム状接着剤を構成する組成物の硬化反応が十分に進行する時間であれば特に制限はない。通常は5分以上、200時間以下であり、10分以上、150時間以下であることが好ましい。
他方、部材や接着剤内部における冷却歪みの発生に伴う接着性低下や接着ムラ、外観ムラ、反りなどの低減、冷却時間は40℃/分以下あるのが好ましく、中でも30℃/分以下、その中でも20℃/分以下であるのが好ましい。
本フィルム状接着剤を部材に積層し、本フィルム状接着剤が未硬化又は硬化の状態の積層体として提供することができる。
この際、前記部材の片側又は両側に本フィルム状接着剤を積層してもよいし、また、2つの部材間に本フィルム状接着剤を挿入した状態に積層するようにしてもよい。
本フィルム状接着剤は、接合する部材間に挿入して、加熱及び冷却することにより、前記接合部材間を接合することができる。
本フィルム状接着剤は、剥離強度とせん断強度の両方を兼ね備えることができ、しかも、貯蔵弾性率Eaの高い樹脂層Aを表裏側に配置するように設計したことにより、鋼材などの構造材料との接合強度を高めることができる。よって、各種用途、中でも特に構造用接着剤として好適に利用することができる。また、フィルム状接着剤であるから、接着剤を塗布する工程及び装置が不要であるから、工場において部材を接合する生産ラインで特に好適に用いることができる。
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER828」(三菱ケミカル(株)製、数平均分子量370)を20質量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER1001」(三菱ケミカル(株)製、数平均分子量900)を80質量部とを、80℃に加熱して混合した。その後、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DYCY7」(三菱ケミカル(株)製、融点209℃)6質量部と、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」(ナカライテスク社製、融点159℃)1質量部とを混合してエポキシ樹脂組成物aを作製した。
作製したエポキシ樹脂フィルムaを160℃で60分硬化させて、動的粘弾性測定した結果、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)が115℃であり、TMA測定における25~160℃での線膨張係数が94ppm/Kであった。また、硬化後における30℃での貯蔵弾性率(E’)は1850MPaであった。
次に説明するエポキシ樹脂100質量部に、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド「DYCY7」6質量部と、硬化促進剤としての3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素「DCMU」1質量部を混合してエポキシ樹脂組成物bを作製した。
作製したエポキシ樹脂フィルムbを160℃で60分硬化させて、動的粘弾性測定した結果、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)が25℃であり、TMA測定における25~160℃での線膨張係数が202ppm/Kであった。また、硬化後における30℃での貯蔵弾性率(E’)は6.8MPaであった。
前記エポキシ樹脂フィルムbの両面に、前記エポキシ樹脂フィルムaをそれぞれ貼り合わせた後、ハンドローラーで加圧密着させることによりフィルム状接着剤を作製した。
得られたフィルム状接着剤は、樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)からなる厚み150μmであった。このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
前記エポキシ樹脂フィルムbを3層重ねて貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
前記エポキシ樹脂フィルムaを3層重ねて貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
前記エポキシ樹脂フィルムaの両面に、前記エポキシ樹脂フィルムbをそれぞれ貼り合わせた以外は、実施例1と同様に行い、樹脂層B(厚み50μm)/樹脂層A(厚み50μm)/樹脂層B(厚み50μm)からなるフィルム状接着剤を作製した。
このフィルム状接着剤を用いて各種物性評価を行った結果を表1に示した。
実施例、比較例で作製したサンプルについて、物性等の測定及び評価は下記に示す方法により実施した。
冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度の評価方法は、JIS-K 6854-3に準拠して実施した。すなわち、実施例・比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ200mmにカットした。幅25mm×長さ250mm×厚み0.5mmの冷間圧延鋼板(「SPCC」とも称する)をエタノールで脱脂洗浄した後、このSPCC2枚の間に、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、剥離シロを50mmとして離型フィルムを挿入した状態で恒温槽に投入し、160℃で60分間加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
〇(good):剥離強度が40N/25mm巾以上
△(usual):剥離強度が20N/25mm巾以上40N/25mm巾未満
×(poor):剥離強度が20N/25mm巾未満
冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度の評価方法は、JIS-K 6850に準拠して実施した。すなわち、実施例・比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ12.5mmにカットした。幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの冷間圧延鋼板(SPCC)をエタノールで脱脂洗浄した後、このSPCC2枚の間に、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、恒温槽に投入して160℃で60分加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
〇(good):引張せん断強度が20N/mm2以上
×(poor):引張せん断強度が20N/mm2未満
ガラス転移温度及び貯蔵弾性率の測定方法は、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)により、引張治具を使用して測定温度-100~250℃、周波数10Hz、昇温速度3℃/minにより測定した結果から、tanδピークによるガラス転移温度(Tg)と30℃における貯蔵弾性率(E’)を読み取った。
実施例および比較例で作製したフィルム状接着剤を幅25mm×長さ12.5mmにカットし、カットした前記フィルム状接着剤を挿入し、恒温槽に投入して160℃で60分加熱し、循環式オーブンで冷却速度1~20℃/分で徐冷しながら50℃まで冷却してフィルム状接着剤を硬化させて剥離試験片を作製した。
そして、熱膨張計「DL1500」(ULVAC社製)を用いて、測定温度-100℃~250℃、昇温速度10℃/minで加熱して面内方向における熱膨張率を測定し、この結果に基づき、25℃~160℃における面内方向における線膨張係数を測定した。
一方、比較例1のように、貯蔵弾性率が低いエポキシ樹脂組成物bのみを積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、せん断強度が不足する結果となった。また、比較例2のように、貯蔵弾性率が高いエポキシ樹脂組成物aのみを積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、剥離強度が不足する結果となった。さらに、比較例3のようにエポキシ樹脂組成物aとエポキシ樹脂組成物bの積層構成を変更して積層させて得られたフィルム状接着剤を用いた場合、せん断強度が不足する結果となった。
Claims (14)
- ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物aからなる樹脂層Aと、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物bからなる樹脂層Bとを備え、当該樹脂層Bの表裏側に前記樹脂層Aを備えたフィルム状接着剤であって、
硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaと、硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物bの貯蔵弾性率Ebとが、Ea>Ebの関係にあることを特徴とするフィルム状接着剤。 - 硬化後における30℃でのエポキシ樹脂組成物aの貯蔵弾性率Eaが1000MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム状接着剤。
- 硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaと、エポキシ樹脂組成物bの面内方向における線膨張係数Kbとの関係が、Ka<Kbであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム状接着剤。
- 硬化後における25~160℃でのエポキシ樹脂組成物aの面内方向における線膨張係数Kaが1.0ppm/K以上である請求項3に記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂組成物bが2官能脂肪族エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂組成物a及びbが硬化剤を含有し、当該硬化剤がジシアンジアミド系化合物又はウレア化合物である、請求項1~5のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が、前記エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度よりも10℃以上高い、請求項1~6のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂組成物aの硬化後におけるガラス転移温度が50~300℃である、請求項1~7のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂組成物bの硬化後におけるガラス転移温度が-60~150℃である、請求項1~8のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 厚みが5μm~2000μmである請求項1~9のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対する引張せん断接着強度(JIS K6850)が20N/mm2以上である請求項1~10のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 硬化後における冷間圧延鋼板(SPCC)に対するT型剥離強度(JIS K6854-3)が20N/25mm巾以上である請求項1~11のいずれかに記載のフィルム状接着剤。
- 請求項1~12のいずれかに記載のフィルム状接着剤が硬化してなる硬化物。
- 請求項1~12のいずれかに記載のフィルム状接着剤を備えた積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019054795A JP7225994B2 (ja) | 2019-03-22 | 2019-03-22 | フィルム状接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019054795A JP7225994B2 (ja) | 2019-03-22 | 2019-03-22 | フィルム状接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020152862A JP2020152862A (ja) | 2020-09-24 |
JP7225994B2 true JP7225994B2 (ja) | 2023-02-21 |
Family
ID=72557930
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019054795A Active JP7225994B2 (ja) | 2019-03-22 | 2019-03-22 | フィルム状接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7225994B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022139384A1 (ko) * | 2020-12-21 | 2022-06-30 | 주식회사 포스코 | 셀프 본딩용 전기 강판 및 이를 포함하는 적층체 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000144072A (ja) | 1998-11-10 | 2000-05-26 | Hitachi Chem Co Ltd | 電子部品用両面接着フィルム、半導体搭載用有機基板および半導体装置 |
JP2001131501A (ja) | 1999-11-04 | 2001-05-15 | Hitachi Chem Co Ltd | 三層接着フィルム、半導体チップ搭載用基板及び半導体装置 |
JP2013064078A (ja) | 2011-09-20 | 2013-04-11 | Fujimori Kogyo Co Ltd | 接着シート |
JP2018087270A (ja) | 2016-11-28 | 2018-06-07 | 阪本薬品工業株式会社 | エポキシ樹脂組成物 |
JP2019011445A (ja) | 2017-06-30 | 2019-01-24 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | エポキシ接着剤 |
WO2019026577A1 (ja) | 2017-08-02 | 2019-02-07 | バンドー化学株式会社 | 光学透明粘着シート、積層体、及び、貼り合わせ構造物 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05295340A (ja) * | 1992-04-24 | 1993-11-09 | Toyoda Gosei Co Ltd | 接着剤組成物 |
JP3871082B2 (ja) * | 1997-03-28 | 2007-01-24 | 日立化成工業株式会社 | フィルム状接着剤及び回路板の製造法 |
JPH11124557A (ja) * | 1997-10-23 | 1999-05-11 | Shigeru Koshibe | 柔軟性接着体 |
-
2019
- 2019-03-22 JP JP2019054795A patent/JP7225994B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000144072A (ja) | 1998-11-10 | 2000-05-26 | Hitachi Chem Co Ltd | 電子部品用両面接着フィルム、半導体搭載用有機基板および半導体装置 |
JP2001131501A (ja) | 1999-11-04 | 2001-05-15 | Hitachi Chem Co Ltd | 三層接着フィルム、半導体チップ搭載用基板及び半導体装置 |
JP2013064078A (ja) | 2011-09-20 | 2013-04-11 | Fujimori Kogyo Co Ltd | 接着シート |
JP2018087270A (ja) | 2016-11-28 | 2018-06-07 | 阪本薬品工業株式会社 | エポキシ樹脂組成物 |
JP2019011445A (ja) | 2017-06-30 | 2019-01-24 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | エポキシ接着剤 |
WO2019026577A1 (ja) | 2017-08-02 | 2019-02-07 | バンドー化学株式会社 | 光学透明粘着シート、積層体、及び、貼り合わせ構造物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020152862A (ja) | 2020-09-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5964980B2 (ja) | 構造用接着剤およびその接合への適用 | |
EP2223966B1 (en) | Epoxy adhesive compositions with high mechanical strength over a wide temperature range | |
EP2104721B1 (en) | High strength epoxy adhesive and use thereof | |
US10280346B2 (en) | One-part curable adhesive composition and the use thereof | |
US6884854B2 (en) | Composition of epoxy resin, low glass transition temperature copolymer, latent hardener and carboxy-terminated polyamide and/or polyamide | |
JP5969217B2 (ja) | 両面接着テープ | |
EP2986656B1 (en) | Multiple accelerator systems for epoxy adhesives | |
EP1730210A2 (en) | Polycarboxy-functionalized prepolymers | |
WO2012042543A2 (en) | Adhesive composition and uses thereof | |
US20230058263A1 (en) | Two-part thermal conductive epoxy adhesive composition | |
JP7225994B2 (ja) | フィルム状接着剤 | |
CN116490584A (zh) | 粘接剂、不同种材料粘接用粘接剂、粘接片和不同种材料粘接用粘接片 | |
JP2022147236A (ja) | 接着シート及びこれを用いた硬化物、積層体並びに自動車用外装材 | |
JP7318252B2 (ja) | 積層シート | |
JP2023121771A (ja) | 接着剤 | |
JP5495285B2 (ja) | プリプレグとその製造方法 | |
WO2023013595A1 (ja) | 接着剤組成物および接着剤組成物の製造方法 | |
JP2017088736A (ja) | 鋼材とfrp材の接着方法 | |
WO2023190322A1 (ja) | 接着シート | |
WO2023033075A1 (ja) | 接着剤組成物 | |
Antonino et al. | Effects of core–shell and reactive liquid rubbers incorporation on practical adhesion and fracture energy of epoxy adhesives | |
JP6371443B2 (ja) | 両面接着テープ | |
JP2017082144A (ja) | 熱硬化性多層接着シート、および接着方法 | |
JP6695757B2 (ja) | 接着シート | |
WO2023157838A1 (ja) | 接着剤組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210929 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220823 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220824 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221006 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230110 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230123 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7225994 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |