JP2022146138A - 鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法 - Google Patents

鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】土留材として要求される性能を確保しつつ、緊急注水用のバルブを容易に取り付けることができる鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法を提供する【解決手段】土留壁を構成する鋼製の土留材1であって、バルブ6を取付可能な通水孔11aが形成された土留材本体11と、前記通水孔11aを塞ぐように前記土留材本体11に仮固定された補強プレート12と、を有する。通水孔11aの周囲には、ボルト4が挿通可能なボルト孔11cが形成されていてもよく、補強プレート12はボルト孔11cを覆っていることが好適である。【選択図】図2

Description

本発明は、土留壁を構成する鋼製の土留材、及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法に関する。
地表面以下に構造物を構築する場合に行う地盤の掘削に際しては、地下水の遮水及び掘削面の崩壊防止を目的として、土留工が構築される。また、河川、湖沼、港湾等の水域中に構造物を構築する際に、構造物をドライな状態で施工するために、水を遮断することを目的として仮締切工が構築される。
これら土留工や仮締切工としては、鋼管矢板や鋼矢板等の鋼製の土留材を、構造物の周囲の地盤に連続的に並べて打設して構成される土留壁が一般的に用いられている。このような土留壁として、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されるように、上部は仮設の土留壁として用いられ下部は本設の基礎として用いられる鋼管矢板井筒基礎等がある。
特許第6770920号公報 特許第3691707号公報
鋼管矢板井筒基礎を含め、鋼製の土留材を並べて地盤に打設して構成される土留壁からなる土留工や仮締切工においては、ボイリング、ヒービング、盤ぶくれが発生することがある。
ボイリングは、地下水位の高い砂地盤において、土留工や仮締切工の掘削底面が水圧により押し上げられて流動化する現象である。ヒービングは、軟弱な粘性土質地盤において、土留工や仮締切工の掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなって円弧滑りが発生し、掘削底面が持ち上がる現象である。盤ぶくれは、不透水層の下部に被圧帯水層が存在する場合、土留工や仮締切工の内部の掘削後に、掘削底面が持ち上がる現象である。
これらボイリング、ヒービング、盤ぶくれは、土留工や仮締切工の背面地盤の沈下、土留壁の傾斜、土留工や仮締切工の内部の水没、土留壁の崩壊等を引き起こし、躯体の品質や現場作業員の安全に深刻な影響を及ぼすため、これらの現象を確実に防止する必要がある。
土留工や仮締切工の設計段階での事前対策としては、土留壁の根入れ長や剛性の確保、掘削底面の地盤改良、掘削底面に薬液を注入する止水地下水位低下工法による背面地盤地下水位の低下等がある。
しかし、土留工や仮締切工の施工中に上記現象の発生が確認されることもあり、このような場合には上記現象の進行を食い止めて土留めや地盤の変形、滑りを防ぐための緊急対応が必要となる。
緊急対応としては、土留工や仮締切工の背面を掘削して主働土圧を低減させる方法があるが、掘削にある程度の作業時間を要するため、即効性のある方法とは必ずしもいえない。また、立地条件によっては背面の掘削が困難な場合もある。
即効性が高い方法として、土留工や仮締切工の外部から内部に緊急注水を行うことにより、土留壁の内側からも水圧をかけ、土留壁及び掘削底面に作用する力を変化させて、主働土圧の低減を図る方法がある。
緊急注水の準備としては、ポンプと送水ホースを用意しておく程度であることが多いが、実際に緊急注水が必要となったときに、揚重機の手配やポンプ電源の確保などに時間を要したり、十分な注水量を確保することができなかったりすると、緊急注水の有効性を十分に発揮できない。
河川、湖沼、港湾等の水域中に構築される仮締切工では、これを構成する鋼管矢板や鋼矢板にガス切断により通水孔をあけ、この通水孔にバルブを取り付けて、仮締切工の外側の河川、湖沼、港湾等から仮締切工の内側に緊急注水用の水を導入可能とすることが行われている。このうち、仮締切工の外側では、鋼管矢板や鋼矢板のガス切断を水中で行うこととなり、作業上のリスクが大きい。鋼管矢板や鋼矢板を打設する前に予め通水孔を形成すると、通水孔による断面欠損が生じ、鋼管矢板に必要な有効断面が不足する問題が生じるため、このような対応も難しい。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、土留材として要求される性能を確保しつつ、緊急注水用のバルブを容易に取り付けることができる鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 土留壁を構成する鋼製の土留材であって、通水孔が形成された土留材本体と、前記通水孔を塞ぐように前記土留材本体に仮固定された補強プレートと、を有する鋼製の土留材。
[2] 前記通水孔の周囲には、ボルトが挿通可能なボルト孔が形成されている、[1]に記載の鋼製の土留材。
[3] 前記ボルト孔の内面には雌ねじが形成されている、[2]に記載の鋼製の土留材。
[4] 前記ボルト孔にはナットが取り付けられている、[2]又は[3]に記載の鋼製の土留材。
[5] 前記補強プレートは、前記ボルト孔を覆うように形成されている、[2]~[4]のいずれかに記載の鋼製の土留材。
[6] 前記補強プレートは、前記土留材本体にタップ溶接されて仮固定されている、[1]~[5]のいずれかに記載の鋼製の土留材。
[7] 前記タップ溶接は、単位溶接長あたり190N/mm以上のせん断力が作用するときに破壊可能である、[6]に記載の鋼製の土留材。
[8] 前記補強プレートの上端部は、前記土留材本体の表面との間に隙間を生じるように形成されている、[1]~[7]のいずれかに記載の鋼製の土留材。
[9] 複数の鋼製の土留材を並べて地盤に打設して構成される土留壁であって、
前記複数の鋼製の土留材のうちの少なくとも一つが、[1]~[8]のいずれかに記載の鋼製の土留材である、土留壁。
なお、上記土留壁には、土留工として用いられるものだけでなく、河川、湖沼、港湾等の水域から水を遮断する仮締切工も含む。
[10] バルブを取付可能な通水孔が形成された土留材を、前記通水孔を塞ぐように補強プレートを仮固定した状態で地盤に打設し、
打設された前記土留材から前記補強プレートを取り外して、前記通水孔に前記バルブを取り付ける、土留壁の施工方法。
本発明の鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法によれば、バルブを取付可能な通水孔が予め土留材(本体)に形成され、この通水孔を塞ぐように補強プレートが仮固定されている。これにより、通水孔及びボルト孔による断面欠損が補われ、設計上土留材に求められる有効断面積が確保されて、鋼製の土留材を地盤に打設する際に土留材に要求される構造性能及び止水性能が損なわれない。
そして、土留材(本体)に通水孔が予め形成されているため、土留材を地盤に打設した後に補強プレートを取り外すだけで、土留材(本体)に形成された通水孔に緊急注水用のバルブを短時間で容易に取り付けることができる。
これにより、例えば、仮締切工の外側の鋼製の土留材に通水孔をあける場合に、水中ガス切断のようなリスクの大きい作業が不要となり、土留材(本体)に仮固定された補強プレートを取り外すだけで土留材に簡単に通水孔を設けることができ、施工時の安全性が高められる。
また、鋼製の土留材に変形や傾斜等の異常が発生した際に、土留材に仮固定された補強プレートを取り外すだけで土留材に簡単に通水孔を設けることができるので、異常発生後の初期段階で早期に緊急注水を開始できる。これにより、土留壁の損傷度が抑えられ、土留壁の復旧に要する手間及びコストが大幅に削減でき、構造物の品質向上を図ることができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法の一例を示す斜視図及び縦断面図である。 図2(a)~図2(c)は、本発明の鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法の一例の概要を示す、縦断面図である。 図3は、本発明の鋼製の土留材の他の一例を示す図である。 図4(a)~図4(c)は、本発明の土留壁の施工方法の一例の詳細を示す、斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法の実施形態について、具体的に説明する。
<鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁の構成>
図1(a)及び図1(b)に、本実施形態の鋼製の土留材1を用いた土留壁5の一例の斜視図及び縦断面図を示す。図1(a)に示すように、本実施形態の土留壁5は、河川、湖沼、港湾等の水域に構造物を構築する際に、構造物をドライな状態で施工するために、水を遮断することを目的として構築される仮締切工であって、複数本の鋼管矢板1、2(うち、鋼管矢板1は、本実施形態の鋼製の土留材)を並べて地盤8に打設して構成されている。土留壁5の掘削側の掘削底面上には、必要に応じて頂版コンクリート8Cが打設されている。
本実施形態の土留壁5を構成する複数本の鋼管矢板1、2のうち、鋼管矢板1には、図1(b)に示すように、土留壁5の掘削側(図1(b)における左側)と水域側(図1(b)における右側)の面にそれぞれ通水孔11a、11bが形成されている。鋼管矢板1のうち土留壁5の掘削側の面に形成される通水孔11aは、土留壁5の水域側の面に形成される通水孔11bよりも低い位置に配置されている。通水孔11a、11bの大きさは、後述するバルブ6のサイズ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば直径500mm以下の円形とすると、鋼管矢板1の強度を確保する観点から好ましい。
本実施形態の土留壁5では、仮締切工の内部の地盤8にボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等の異常が確認された場合に、鋼管矢板1の通水孔11a、11bを通じて、土留壁5の水域側の水Wを土留壁5の掘削側に導入する緊急注水を行うことが可能とされている。具体的には、土留壁5の掘削側の面に形成される通水孔11aに緊急注水用のバルブ6を取り付け、このバルブ6の開度を調整して、導入する水量を制御する。
図2(a)~図2(c)に、本実施形態の鋼管矢板(鋼製の土留材)1の縦断面図を示す。
図2(a)に示すように、鋼管矢板1は、鋼管からなる土留材本体11に、補強プレート12がタップ溶接13により仮固定されて構成されている。なお、本発明において、「仮固定」とは、補強プレート12を土留材本体11に固定した状態では土留材に要求される構造性能及び止水性能が確保され、かつ、補強プレート12を仮固定する仮固定部材(ボルトなど)を取り外した際、もしくは補強プレート12に所定の外力(せん断力)が作用した際に簡単に取り外すことができる状態で補強プレート12が土留材本体11に固定されている状態を指す。
鋼管矢板1の土留材本体11のうち、土留壁5の掘削側と水域側の面には、上述の通水孔11a、11bがそれぞれ形成されている(図2(a)では、通水孔11aのみ図示)。土留材本体11のうち土留壁5の掘削側の面に形成される通水孔11aの周囲には、バルブ6を土留材本体11に固定するためのボルト4(図2(c)参照)を挿通可能なボルト孔11cが複数形成されている。ボルト孔11cの大きさは、バルブ6を固定するボルト4の径に応じて適宜設定すれば良く、例えば直径100mm以下に設定することができる。
土留材本体11に形成される通水孔11a、11b及びボルト孔11cは、鋼管矢板1を支持する補強梁(図示せず)等の切梁支保工と干渉しないように、適宜配置すればよい。なお、土留材本体11として、UOE鋼管やスパイラル鋼管等の継目溶接を有する鋼管を用いる場合には、通水孔11a、11b、ボルト孔11cは、鋼管の溶接部を避けるように配置すると、鋼管矢板1の強度が損なわれにくいため好ましい。
ボルト孔11cには、ボルト4を螺合するための雌ねじ(図示せず)が設けられている。この雌ねじは、ボルト孔11cの内面にねじ山を切ることにより形成されていると、鋼管矢板1の地盤8への打設時に支障を生じないため好ましい。あるいは、これに代えて、又はこれに加えて、ボルト孔11c付近に溶接等によりナット(図示せず)を取り付け、このナットにより雌ねじを設けるようにしてもよい。
鋼管矢板1の通水孔11aにバルブ6を固定するに際しては、鋼管矢板1の表面のアールに合うようにフランジ加工された接合管(図示せず)等を介装して、通水孔11aの周囲の鋼管矢板1の表面とバルブ6との間に隙間が生じないようにすることが好ましい。
そして、図2(a)に示すように、鋼管からなる土留材本体11の表面には、通水孔11aを塞ぐと同時に、通水孔11aの周囲に形成されたボルト孔11cも覆うように、補強プレート12がタップ溶接13により仮固定されている。具体的には、補強プレート12の左右両辺が、タップ溶接13により断続的に土留材本体11に仮固定されている。なお、本実施形態では、図4(a)に示すように、タップ溶接13は補強プレート12の左右両辺で同じ高さとなるように配置されている。
図2(a)に示すように、補強プレート12の上端部12tは、土留材本体11の表面との間に隙間を生じるように、予め曲げ成形されている。あるいは、これに代えて、補強プレート12の上端部12tに当て板(図示せず)を溶接等により固定して、この部分の補強プレート12の厚さを大きくしてもよい。これにより、図2(b)に示すように、補強プレート12の上端部12tに土べら落とし3を落とし込むと、土べら落とし3の荷重が補強プレート12の上端部12tを通じて補強プレート12全体に確実に伝わり、タップ溶接13がせん断破壊して、土留材本体11から補強プレート12を取り外すことが可能になっている。
補強プレート12の厚さは、設計上鋼管矢板1に要求される有効断面積を確保できるよう、通水孔11a、11b及びボルト孔11cによる断面欠損を補うことのできる厚さに設定する。
補強プレート12の厚さを50mm以下とし、補強プレート12の上端部12tの、土留材本体11の表面からの突出高さを50mm以下とすると、鋼管矢板1の地盤8への打設時に支障を生じにくいため好ましい。
あるいは、土留材本体11の表面のうち補強プレート12が仮固定される領域の肉厚を、補強プレート12の厚さの分だけ小さくすれば、土留材本体11に仮固定された補強プレート12は上端部12tを除いて鋼管矢板1の表面から突出せず、鋼管矢板1の地盤8への打設時に支障を生じにくいため好ましい。
補強プレート12を土留材本体11に仮固定するタップ溶接13は、設計上鋼管矢板1に入力する荷重に耐えるよう、その強度、有効溶接長及び配置を適宜設定する。具体的には、タップ溶接13に発生する応力が、許容応力度内に収まりかつ必要な安全率を満たすように、出荷先の使用条件に合わせて、タップ溶接13の強度F(N/mm)、断面積A(mm)、有効溶接長の合計ΣL(mm)、および配置のそれぞれを設計する。
タップ溶接13は、単位溶接長あたり190N/mm以上のせん断力が作用するときに破壊可能に構成されていると、補強プレート12の上端部12tに土べら落とし3を落とし込んでタップ溶接13をせん断破壊させ、土留材本体11から補強プレート12を取り外しやすくなるので好ましい。
なお、鋼管矢板1の土留材本体11のうち、土留壁5の水域側の面に形成される通水孔11bは、その周囲にボルト孔11cが形成されていないが、これ以外は、掘削側の面に形成される通水孔11aとほぼ同様に形成されている。
土留壁5の水域側の面に形成される通水孔11bも、掘削側の面に形成される通水孔11aと同様に、土留材本体11にタップ溶接により仮固定される補強プレート(図示せず)により塞がれていることが好ましい。土留壁5の水域側の面に形成される通水孔11bを覆う補強プレートは、掘削側の面に形成される通水孔11aを覆う補強プレート12と同様に構成すればよいが、通水孔11bの周囲にボルト孔11cが形成されない分だけ、補強プレート12よりも小さくしてもよい。
図3に、本実施形態の変形例の鋼製の土留材(鋼管矢板)1Aを示す。この鋼管矢板1Aでは、補強プレート12を土留材本体11に仮固定するタップ溶接13の高さが、補強プレート12の左右両辺で互い違いとなるように配置されている。これにより、土べら落とし3から補強プレート12の上端部12tにかかるせん断力が、補強プレート12の左右に分かれることなく、タップ溶接13の各々に効率的に伝達され、各タップ溶接13に作用するせん断力が大きくなる。よって、土べら落とし3の重量が小さく、入力するエネルギーが小さくても、タップ溶接13を確実にせん断破壊させ、土留材本体11から補強プレート12を取り外しやすくなる。
<土留壁の施工方法>
以下、本実施形態の土留壁5の施工方法について説明する。
まず、図1(a)に示すように、上述の鋼管矢板(鋼製の土留材)1、2を並べて地盤8に打設して土留壁5を構築し、土留壁5を補強梁(図示せず)等の切梁支保工)で補強して、仮締切工とする。このとき、土留壁5を構成する複数本の鋼管矢板1、2のうち、鋼管矢板1には、図1(b)に示すように、土留壁5の掘削側と水域側の面にそれぞれ通水孔1a、1bが形成されているものを用いる。
鋼管矢板1を地盤8に打設する際には、通水孔11a、11bを塞ぐように土留材本体11に補強プレート12がタップ溶接13により仮固定された状態で、通水孔11a、11bがそれぞれ、仮締切工の内側(掘削側)と外側(水域側)に向くように、打設を行う。
次に、土留壁5の掘削側の土砂を掘削して除去し、掘削底面上が帯水している場合にはポンプにより排水する。
さらに、鋼管矢板1の掘削側の通水孔11aを塞ぐように土留材本体11にタップ溶接13により仮固定されている補強プレート12(図4(a)参照)を取り外す。具体的には、図2(a)、図2(b)及び図4(b)に示すように、補強プレート12の上端部12tと土留材本体11との隙間に土べら落とし3を落とし込み、土べら落とし3の荷重を補強プレート12の上端部12tを通じて補強プレート12に伝える。これにより、補強プレート12の上側の部分を仮固定するタップ溶接13がせん断破壊して、補強プレート12の上側の部分が土留材本体11の表面から浮きあがるように曲げ変形する。このとき、補強プレート12の下側の部分を仮固定するタップ溶接13には、せん断力に加えて、補強プレート12の面と垂直方向に引張力も作用して、順次破断していく。図4(c)に示すように、全てのタップ溶接13が破断することにより、土留材本体11から補強プレート12が取り外される。
そして、図2(c)に示すように、鋼管矢板1の掘削側の通水孔11aにバルブ6をあてがい、通水孔11aの周囲に形成されるボルト孔11cにボルト4を螺合させることにより、鋼管矢板1の通水孔11aにバルブ6を取り付ける。
その後、鋼管矢板1の水域側の通水孔11bを塞ぐ補強プレート(図示せず)を、掘削側の通水孔11aを塞ぐ補強プレート12と同様の方法により土留材本体11から取り外す。鋼管矢板1の水域側に取り付けられる補強プレートは水中に位置するが、補強プレートの上端部に土べら落とし3を落とし込むことにより安全かつ容易に取り外すことができ、水中でのガス切断等のリスクの大きい作業が不要である。
最後に、必要に応じて掘削底面に頂版コンクリート8Cを敷設することで、本実施形態の土留壁5の施工方法が終了する。
上記工程のうち、土留壁5の掘削側の土砂を掘削して除去した後、掘削底面に頂版コンクリート8Cを打設するまでの間が、仮締切工の内部の地盤8にボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等の異常が発生しやすい。本実施形態では、鋼管矢板1の土留材本体11に通水孔11a、11bが予め形成されているため、鋼管矢板1を地盤8に打設した後に補強プレート12を取り外すだけで、土留材本体11に形成された通水孔11aに緊急注水用のバルブ6を短時間で容易に取り付けることができる。よって、異常発生時には、初期段階で早期に緊急注水を開始でき、土留壁5の損傷度が抑えられ、土留壁5の復旧に要する手間及びコストが大幅に削減でき、構造物の品質向上を図ることができる。
なお、上記実施形態の鋼製の土留材及びこれを用いた土留壁、並びに土留壁の施工方法では、河川、湖沼、港湾等の水域に構造物を構築する際に、構造物をドライな状態で施工するために、水を遮断する仮締切工を例に挙げて説明した。このような仮締切工としては、例えば鋼管矢板井筒基礎があるが、本発明はこれに限定されることなく、水域中又は地下水位以下の施工現場を締め切るために設置される各種土留壁に適用可能である。
また、上記実施形態では、鋼製の土留材として鋼管矢板を用いたが、本発明が適用される鋼製の土留材は鋼管矢板に限らず、例えば鋼矢板等を用いることも可能である。また、上記実施形態では、土留材本体11に形成されたボルト孔11cにボルト4を螺合させることによって通水孔11aにバルブ6を取り付けたが、通水孔11aへのバルブ6の取り付け方は上記実施形態には限らず、例えば土留材本体11に係止突起を形成し、この係止突起にバルブを係止することによって通水孔11aにバルブ6を取り付けてもよい。さらに、上記実施形態では、タップ溶接13によって補強プレート12を土留材本体11に仮固定したが、土留材本体11への補強プレート12の仮固定方法も上記実施形態に限らず、仮固定部材としてボルトなどを用いて補強プレート12を土留材本体11に仮固定してもよい。その際、仮固定部材としてのボルトを螺合させるボルト孔として、バルブ6を取り付けるためのボルト孔11cを用いてもよい。
1、1A、2 鋼管矢板(鋼製の土留材)
3 土べら落とし
4 ボルト
5 土留壁
6 バルブ
8 地盤
11 土留材本体
11a、11b 通水孔
11c ボルト孔
12 補強プレート
12t 上端部
13 タップ溶接
W 水

Claims (10)

  1. 土留壁を構成する鋼製の土留材であって、
    通水孔が形成された土留材本体と、
    前記通水孔を塞ぐように前記土留材本体に仮固定された補強プレートと、
    を有する鋼製の土留材。
  2. 前記通水孔の周囲には、ボルトが挿通可能なボルト孔が形成されている、請求項1に記載の鋼製の土留材。
  3. 前記ボルト孔の内面には雌ねじが形成されている、請求項2に記載の鋼製の土留材。
  4. 前記ボルト孔にはナットが取り付けられている、請求項2又は3に記載の鋼製の土留材。
  5. 前記補強プレートは、前記ボルト孔を覆うように形成されている、請求項2~4のいずれかに記載の鋼製の土留材。
  6. 前記補強プレートは、前記土留材本体にタップ溶接されて仮固定されている、請求項1~5のいずれかに記載の鋼製の土留材。
  7. 前記タップ溶接は、単位溶接長あたり190N/mm以上のせん断力が作用するときに破壊可能である、請求項6に記載の鋼製の土留材。
  8. 前記補強プレートの上端部は、前記土留材本体の表面との間に隙間を生じるように形成されている、請求項1~7のいずれかに記載の鋼製の土留材。
  9. 複数の鋼製の土留材を並べて地盤に打設して構成される土留壁であって、
    前記複数の鋼製の土留材のうちの少なくとも一つが、請求項1~8のいずれかに記載の鋼製の土留材である、土留壁。
  10. バルブを取付可能な通水孔が形成された土留材を、前記通水孔を塞ぐように補強プレートを仮固定した状態で地盤に打設し、
    打設された前記土留材から前記補強プレートを取り外して、前記通水孔に前記バルブを取り付ける、土留壁の施工方法。
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