JP2022144026A - エンジン用吸気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レゾネータが一体化されたダクトユニットとエアクリーナとから成る吸気装置において、消音効果の向上を図りつつ、全体を堅牢な構造と成して信頼性を高める。【解決手段】ダクトユニット6は前後2枚のシェル状部材21,22を溶着して形成されており、略U型に形成された吸気ダクト23と、吸気ダクト23で囲われた空間に配置されたレゾネータ24,25とを具備する。ダクトユニット6の上端には前後に張り出した受け板16が一体に形成されており、受け板16にエアクリーナ5の本体ケース7が溶着されている。吸気ダクト23は底板23cを有する略U型であるため、空気の流れ抵抗は小さい。レゾネータ24,25は容量を大きくできるため、消音効果は高い。受け板16と本体ケース7とはリブ28,29を介して溶着されているため、広い面積であってもしっかりと加振して強固に接合(固着)できる。【選択図】図6
Description
本願発明は、エンジン(内燃機関)に付属品として設けられる吸気装置に関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンでは、空気を取り込んで浄化するエアクリーナが必要不可欠である。エアクリーナは、エンジンの付属品としては比較的設計の自由性が高く、様々な構造や配置形態が提案されている。
その例として特許文献1には、エアクリーナのダーティ室にレゾネータ付き吸気ダクトを溶着によって一体に設けることが開示されている。特許文献1において、吸気ダクトがどのような状態でダーティ室に溶着されているのかや、空気がどのように流れてエアクリーナのダーティ室に至るのかは、必ずしも明瞭でないが、特許文献1では、レゾネータ付き吸気ダクトがエアクリーナに一体化されているため、吸気装置を全体としてコンパクト化しつつ吸気騒音を抑制できると云える。
さて、吸気騒音の消去効果を向上させるには吸気ダクトをできるだけ長くするのが好ましいが、特許文献1では、吸気ダクトの長さはエアクリーナのダーティ室に規制されておのずと限度があるため、吸気ダクトの長さを長くすることに限度があると云える。
また、レゾネータの消音効果を高めるにはその容積を大きくする必要があるが、特許文献1では、吸気ダクトはヘアピン状に曲がったり蛇行したりしているため、吸気ダクトで囲われた空間の容積も大きくはなく、従って、レゾネータの容積もさほど大きくできず、この面でも消音効果の向上に限度があると云える。
また、特許文献1のように吸気ダクトをヘアピン状に曲げたり蛇行させたりすると、空気が急激に方向変換するため空気の流れ抵抗が増大するおそれや、急激に曲がった部位に空気が衝突して膜振動を発生させるおそれがあり、レゾネータを設けた意義を没却させ兼ねない懸念もある。
更に、吸気ダクトはエアクリーナのダーティ室に強固に固定する必要があるが、特許文献1において溶着の構造は不明であり、吸気ダクトをエアクリーナのダーティ室に強固かつ容易に溶着する構造は示唆されていない。
本願発明は、このような現状を契機に成されたものであり、消音効果に優れてしかも頑丈な構造のレゾネータ付き吸気装置を、容易に製造できる状態で提供せんとするものである。
本願発明はエンジンの吸気装置に関し、この吸気装置は、
「エアクリーナとこれに空気を取り込むダクトユニットとを備え、前記ダクトユニットに、吸気口及び吐出口とを有する吸気ダクトと、前記吸気ダクトの中途部に接続されたレゾネータとが一体に形成されている」
という基本構成において、
「前記吸気ダクトは合成樹脂より成る一対のシェル状部材を接合することによって形成されて、前記一対のシェル状部材のうち一方のシェル状部材又は両方のシェル状部材に、前記吸気ダクトの吐出口が開口すると共に前記エアクリーナを構成する合成樹脂製本体ケースに重なる受け部を一体に設けており、
前記受け部と本体ケースとは、当該受け部と本体ケースとのうちいずれか一方又は両方に形成された細長いリブを介して溶着されている」
という構成になっている。
「エアクリーナとこれに空気を取り込むダクトユニットとを備え、前記ダクトユニットに、吸気口及び吐出口とを有する吸気ダクトと、前記吸気ダクトの中途部に接続されたレゾネータとが一体に形成されている」
という基本構成において、
「前記吸気ダクトは合成樹脂より成る一対のシェル状部材を接合することによって形成されて、前記一対のシェル状部材のうち一方のシェル状部材又は両方のシェル状部材に、前記吸気ダクトの吐出口が開口すると共に前記エアクリーナを構成する合成樹脂製本体ケースに重なる受け部を一体に設けており、
前記受け部と本体ケースとは、当該受け部と本体ケースとのうちいずれか一方又は両方に形成された細長いリブを介して溶着されている」
という構成になっている。
従って、エアクリーナの本体ケースとダクトユニットの受け部とは、二重壁構造(或いは2枚板構造)を成して接合されている。本願発明において、受け部は枠状に形成することも可能であるし、板状に形成することも可能である。
本願発明は、様々に展開できる。その好適な展開例として請求項2では、
「前記一対のシェル状部材が重なった第1接合面と、前記受け部とエアクリーナの本体ケースとが重なった第2接合面とは、第1接合面が第2接合面の垂線方向に広がる略T形又は略L形の交叉状姿勢を成しており、
前記第2接合面は、当該第2接合面の垂線方向から見て格子状の形態を成した複数のリブによって構成されている」
と云う構成になっている。
「前記一対のシェル状部材が重なった第1接合面と、前記受け部とエアクリーナの本体ケースとが重なった第2接合面とは、第1接合面が第2接合面の垂線方向に広がる略T形又は略L形の交叉状姿勢を成しており、
前記第2接合面は、当該第2接合面の垂線方向から見て格子状の形態を成した複数のリブによって構成されている」
と云う構成になっている。
本願発明において、第2接合面を構成する溶着用のリブは様々な態様を選択できるが、受け部の外周部に沿って延びる部分と、吐出口を囲う部分とを必須として、十字状や格子状の部分を付加するのが好適である。大きさや形状に応じて形態を選択したらよい。
本願発明において、エアクリーナとダクトユニットとの姿勢はエンジンの態様に応じて選択できるが、例えば、エアクリーナの下方にダクトユニットを配置できる。この場合は、シェル状部材(第1接合面)は鉛直状の姿勢になって受け部(第2接合面)は水平状の姿勢になり、両者は、水平方向から見てT型又は逆L型の形態を成し、吐出口は上向きに開口することになる。
本願発明において、吸気ダクトの形態やレゾネータの配置態様は様々に設定できる。実施形態のように吸気ダクトで囲われた空間にレゾネータを配置することも可能であるし、吸気ダクトの両側に分岐した状態でレゾネータを配置することも可能である。
本願発明において、吸気ダクトとレゾネータは一対のシェル状部材を接合して形成されているため、吸気ダクト及びレゾネータの形態や配置箇所はエアクリーナの本体ケースに規制されることは無く、設計の自由性は高い。従って、吸気ダクトの長さを長くしてレゾネータの容積を大きくすることも容易であり、その結果、消音効果を格段に向上できる。
また、受け部と本体ケースとで二重壁が構成されているため頑丈な構造になっているが、受け部と本体ケースとは溶着によって接合(固着)されているため、ボルト締結に比べて部材点数を抑制できると共に、省力化しつつ高いシール性を確保できる。
そして、受け部と本体ケースとをベタ方式で溶着すると、溶着ムラが発生したり、溶着装置が大型化したりするおそれがあるが、本願発明では、受け部と本体ケースとは細長いリブを介して溶着されているため、受け部と本体ケースとを広い面積で重ね合わせつつ、溶着ムラを無くして広い範囲に亙って強固に接合できる。これにより、単位面積当たりの荷重を少なくして、受け部と本体ケースとを容易にかつ強固に固定できる。従って、ダクトユニットの振動やこれに伴う騒音を大幅に抑制できると共に、高い信頼性を確保できる。
特に、自動車用の吸気装置に適用すると、エンジンの振動や走行による振動によってダクトユニットが振れ動くといったことを効果的に抑制できるため、自動車の外部に放散される騒音を大幅に抑制できる。この場合、請求項2に含まれるように、エアクリーナとダクトユニットとを上下に配置して、ダクトユニットが本体ケースで吊支された形態と成して、受け部とシェル状部材とをT型の形態に形成すると、ダクトユニットの重心が本体ケースの中央部の略真下に位置して、ダクトユニットの安定性が高くなるため、振動とこれに起因した騒音の防止効果に優れている。
請求項2のうちT型の形態では、第2接合面が第1接合面を跨ぐ状態になるため、受け部の曲がりがダクトユニットによって阻止されることになり、吸気装置全体として非常に堅牢な構造になる利点がある。また、第2接合面は格子状のリブで構成されているため、広い面積であってもムラなく強固に接合できる利点もある。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図9においてキャブオーバー型バン(例えばワンボックスタイプの軽バン)を表示しているが、本実施形態の吸気装置1は、このキャブオーバー型バンに搭載できる。
すなわち、キャブオーバー型バンは、前席2aが配置された前室(運転室)2とその後方の荷室空間3とを有しており、前席2aの下方の空間にエンジン4が配置されているが、本実施形態の吸気装置1は、前席2aの後部下方のうち助手席に寄った部位(車体のサイドメンバー(アンダーフレーム)とフロアとアンダーボデー(外板)とで囲われた空間)に配置されている(運転席の側に配置してもよい。)。
なお、エンジン4は、クランク軸を車両の前後方向に向けた縦置きで配置されており、シリンダボア軸線を水平の側に近づくように大きくスラントさせている。また、吸気側面を上向きにして配置している。図6(B)に示す4aはミッションケース、4bはドライブシャフトである。
以下では、方向を特定するため前後左右の文言を使用するが、この方向は車両の前後・左右方向と同じである。すなわち、運転者から見た前後左右の方向と同じである。各図に、適宜方向を表示している。
(1).概要
図1に示すように、吸気装置1は、エアクリーナ5と、その下方に大半が配置されたダクトユニット6とを備えており、エアクリーナ5は、図4に明示するように、下部に位置してダーティ室を有する合成樹脂製の本体ケース7と、クリーン室を構成して本体ケース7に上から重なる合成樹脂製のカバーケース8と、両者で挟まれるフィルタエレメント9とを備えている。
図1に示すように、吸気装置1は、エアクリーナ5と、その下方に大半が配置されたダクトユニット6とを備えており、エアクリーナ5は、図4に明示するように、下部に位置してダーティ室を有する合成樹脂製の本体ケース7と、クリーン室を構成して本体ケース7に上から重なる合成樹脂製のカバーケース8と、両者で挟まれるフィルタエレメント9とを備えている。
カバーケース8は下向きに開口したトレー状の形態を成しており、各コーナー部が略C型のクリップ10によって本体ケース7に固定されている。従って、本実施形態のカバーケース8は着脱式である。そこで、カバーケース8の開口縁の外側には囲い状の縁体11aを一体に形成し、縁体11aにクリップ10を弾性に抗して引っ掛けている。また、カバーケース8の側面に、浄化した空気の排出口12が突設されている。なお、カバーケース8は、その一側部を支点にして回動する開閉式であってもよい。
エアクリーナ5の本体ケース7は上向きに開口した箱状の形態を成しており、開口縁の外側にはカバーケース8と同様の縁体11bが一体に形成されており、クリップ10の下端が縁体11bの箇所に係止されている。また、本体ケース7の外側面と内角部には、車体フレームに固定するためのブラケット部13を一体に形成している。ブラケット部13は、防振グロメットを備えたボルト14とによって車体フレーム(図示せず)に固定される。
図8に示すように、本体ケース7の底板7aのうち1つのコーナー部に流入口15が空いている一方、図6に示すように、ダクトユニット6は、請求項に記載した受け部の例として、本体ケース7の底板7aが重ね固定される受け板16を備えており、受け板16に、本体ケース7の流入口15と連通する吐出口17を形成している。受け板16と本体ケース7の底板7aとは、振動溶着等の溶着によって固定(接合)されている。
図8に示すように、本体ケース7を構成する底板7aの下面に、その周囲と流入口15とを囲うと共に前後左右に交叉した溶着用下向きリブ18が形成されている一方、ダクトユニット6の受け板16にも、本体ケース6の溶着用下向きリブ18に対応した溶着用上向きリブ19が形成されている。
但し、ダクトユニット6の受け板16には、溶着用上向きリブ19の他に補強用の補助リブ20の群も形成されており、溶着用上向きリブ19と補助リブ20の群とが格子状の形態を成している。図6において、溶着用上向きリブ19をハッチングで表示しているが、この図から理解できるように、溶着用上向きリブ19には溝を形成している。
図8では表示していないが、本体ケース7の溶着用下向きリブ18にも溝が形成されている(図6の溶着用上向きリブ19は、実際よりも幅広に表示している。)。なお、図7では溶着用上向きリブ19の一部のみを表示しており、溶着用上向きリブ19の一部と補助リブ20の全部は省略している。受け板16と本体ケース7とを溶着するリブ18,19の形態は、様々に変更できる。
(2).ダクトユニット
図4,5に示すように、ダクトユニット6は、左シェル状部材21と右シェル状部材22との一対のシェル状部材から成っており、両シェル状部材21,22を重ねて振動溶着等によって接合することによって中空に形成されて、吸気ダクト23と、第1及び第2のレゾネータ24,25とを備えている。従って、両シェル状部材21,22には、吸気ダクト23を形成する膨出部とレゾネータ24,25を形成する膨出部とが形成されている。既述の受け板16は、右シェル状部材22の上端に一体成形されている。
図4,5に示すように、ダクトユニット6は、左シェル状部材21と右シェル状部材22との一対のシェル状部材から成っており、両シェル状部材21,22を重ねて振動溶着等によって接合することによって中空に形成されて、吸気ダクト23と、第1及び第2のレゾネータ24,25とを備えている。従って、両シェル状部材21,22には、吸気ダクト23を形成する膨出部とレゾネータ24,25を形成する膨出部とが形成されている。既述の受け板16は、右シェル状部材22の上端に一体成形されている。
図5,7では、両シェル状部材21,22の溶着面(重合面)をハッチングで表示している(従って、ハッチングは断面の表示ではない。)。両シェル状部材21,22の溶着面にも溝(図示せず)が形成されている。
図1や図4,5に示すように、吸気ダクト23は、上端に吸気口26が上端に開口して空気が下向きに流れる第1縦長部23aと、既述の吐出口17が上端に開口して空気が上向きに流れる第2縦長部23bと、これら両縦長部23a,23bの下端に繋がって空気が水平方向に流れる底部23cとを有している。従って、吸気ダクト23は側面視で略U形の形態を成して、両縦長部23a,23bと底部23cとで囲われた空間にレゾネータ24,25が配置されている。第1縦長部23aと底部23cとが連接したコーナー部に、水を排出するドレン部27を下向きに突設している。
第2縦長部23bの上端は受け板16に開口しているので、第2縦長部23bは必然的にエアクリーナ5よりも下方に配置されているが、第1縦長部23aの上端の吸気口26はエアクリーナ5の上端とほぼ同じ高さになっている。例えば図2から理解できるように、吸気口26はエアクリーナ5のカバーケース8に向けて略水平方向(横向き方向)に開口している。
従って、第1縦長部23aの上半部はエアクリーナ5の前方に配置されているが、レゾネータ24,25はエアクリーナ5の下方に配置されているため、第1縦長部23aの下半部は、エアクリーナ5の下方に入り込むように曲げられている。
第1縦長部23aは緩い角度で曲げられており、また、第1縦長部23aと底部23cとの連接部の曲率半径もできるだけ大きくして湾曲している。更に、底部23cと第2縦長部23bとの連接部は大きく湾曲していると共に、第2縦長部23b自体も車体の外側に向けて膨れるように湾曲している。
第1レゾネータ24は第1縦長部23aに寄せて配置されており、その下端が第1連通路28を介して底部23cと連通している。他方、第2レゾネータ25は、第2縦長部23bを外向きに湾曲させたことによって形成された凹所に収まった状態になっており、その下端部が第2連通路29を介して第2縦長部23bの下部と連通している。第1レゾネータ24が第2レゾネータ25よりも大きい容積になっているが、両者を等しい容積に設定したり、第2レゾネータ25を第1レゾネータ24より大きい容積に設定したりすることも可能である。
図2に示すように、第1レゾネータ24の後部下端には、エア抜きポート30を下向きに突設している。図5,7に示すように、レゾネータ24,25の内部には、正面視で格子状に交叉した縦横の内部リブ31が形成されている。内部リブ31は、主として補強目的で設けている。
既述のとおり、受け板16は右シェル状部材22の上端に一体成形されており、右シェル状部材22を構成するプレートの前後両側に張り出している。そして、例えば図1,2,6に示すように、第1レゾネータ24が受け板16よりも下方に配置されて、右シェル状部材22のプレート部と受け板16とに、受け板支持リブ32の群が一体に接続されている。従って、受け板16が右シェル状部材22に安定した状態に保持されており、その結果、ダクトユニット6は全体として堅牢な構造になっている。
また、図2~4(特に図2参照)に示すように、左シェル状部材21の第1縦長部23aと右シェル状部材22の第1縦長部23aとには、第1レゾネータ24に連続した水平状の吸気ダクト用リブ33が一体に形成されており、前後の吸気ダクト用リブ33が互いに接合されている。また、図6,7に示すように、右シェル状部材22には、第1縦長部23aと受け板16とに繋がった第1サイドリブ34と、第2縦長部23bと受け板16とに繋がった第2サイドリブ35とを設けている。
(3).まとめ
本実施形態は以上の構成であり、空気は、吸気ダクト23を上から下向きに流れたのち、第2縦長部23bにおいて上向きに方向変換してエアクリーナ5の本体ケース7に流入するが、吸気ダクト23はレゾネータ24,25を抱き込んだ略U型になっているため、スペースを有効利用しつつ長さを長くできる。そして、吸気ダクト23は略U型であるため、特許文献1のようなヘアピン形状や蛇行形状に比べて流れ抵抗は著しく抑制される。また、レゾネータ24,25は、シェル状部材21,22を前後方向に膨らませて形成しているため、ダクトユニット6の高さを高くすることなく必要な容積を確保できる。
本実施形態は以上の構成であり、空気は、吸気ダクト23を上から下向きに流れたのち、第2縦長部23bにおいて上向きに方向変換してエアクリーナ5の本体ケース7に流入するが、吸気ダクト23はレゾネータ24,25を抱き込んだ略U型になっているため、スペースを有効利用しつつ長さを長くできる。そして、吸気ダクト23は略U型であるため、特許文献1のようなヘアピン形状や蛇行形状に比べて流れ抵抗は著しく抑制される。また、レゾネータ24,25は、シェル状部材21,22を前後方向に膨らませて形成しているため、ダクトユニット6の高さを高くすることなく必要な容積を確保できる。
そして、長い長さの吸気ダクト23に2つのレゾネータ24,25が接続されているため、レゾネータ24,25の機能をフルに発揮させて、振動と騒音の抑制効果を格段に向上できる。また、空気は第2縦長部23bおいて上向きに流れるため、空気に砂粒や水が混入していても、それら砂粒や水がエアクリーナ5の本体ケース7に流入することを防止又は著しく抑制できる。従って、フィルタエレメント9の耐久性を向上できる。
構造面について述べると、吸気ダクト23とレゾネータ24,25とはシェル状部材21,22を膨らませることによって形成されているため、これらがリブ効果を発揮して、ダクトユニット6の堅牢性を大きく高めている。
そして、ダクトユニット6は受け板16を有し、この受け板16がエアクリーナ5における本体ケース7の底板7aに溶着によって固定されているため、ボルト・ナットのようなファスナやシール材は不要であり、それだけ部材点数を抑制できると共に作業性・シール性も向上できる。また、ダクトユニット6は本体ケース7に規制されることなく形状等を設定できるため、既述のとおり、吸気ダクト23やレゾネータ24,25は、高い消音効果を発揮する状態に形成できる。
そして、ダクトユニット6の受け板16と本体ケース7の底板7aとは広い面積で重なっているが、リブ18,19を介して溶着されているため、広い面積でありながらしっかりと加振して強固に溶着(固着)できる。従って、ダクトユニット6と本体ケース7とを強固に固定できる。
また、シェル状部材21,22と受け板16とはT型を成して交叉していると共に、右シェル状部材19と受け板16とは受け板支持リブ32によって連結されているため、受け板16は前後方向の曲がりも左右方向の曲がりも阻止されており、このため、エアクリーナ5の本体ケース7とダクトユニット6とからなる構造体は、極めて頑丈になっている。従って、エンジン4の振動や自動車の走行による振動等によってダクトユニット6が脱落するような不具合は生じない。
更に、本実施形態では、受け板16と右シェル状部材22とが受け板支持リブ32の群で繋がっているため、ダクトユニット6は軽量でありながら堅牢な構造になっている。この場合、受け板16が右シェル状部材22の前後両側に張り出して、受け板16と右シェル状部材22とで側面視T型になっているため、ダクトユニット6はバランス良く本体ケース7で吊支されている。
これに加えて、受け板16と後部シェル状部材22とは受け板支持リブ32の群によって前後からも連結されているため、ダクトユニット6は前後方向に揺すられる振動に対しても強い抵抗を発揮する。従って、自動車の走行によってダクトユニット6に前後方向のモーメントが作用しても、ダクトユニット6がエアクリーナ5に対して前後に振れ動くことはなく、高い強度を保持できる。
図9に示すワンボックスタイプの軽バンでは、既述のとおり、エアクリーナは車体のサイドメンバーとフロアとアンダーボデーとで囲われた空間に配置されており、この空間は上下幅が限られた狭い空間になっているが、本実施形態では、レゾネータ24,25がエアクリーナ5の下方において左右方向に膨れて必要な容積を確保していることにより、吸気装置の高さをできるだけ低くできるため、高い騒音防止効果を保持した状態で軽バンにも容易に適用できる。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、実施形態のようにシェル状部材の上端に受け板を設ける場合、2枚のシェル状部材の合わせ面に空気の吐出口を形成すると共に、2枚のシェル状部材の上端に逆方向に張り出したヒサシ状部をそれぞれ形成し、2枚のヒサシ状部を互いに接合して受け板と成すことが可能である。
また、エアクリーナとダクトユニットとは水平方向に重なっていてもよい。この場合は、受け板は本体ケースの底面に接合してもよいし、本体ケースの側面に接合してもよい。エアクリーナの形式に応じて受け板の接合位置を選択したらよい。
また、溶着用のリブの形態としては、前後左右の格子形状には限らず、斜め格子形状や蜘蛛の巣状など、様々な態様を採用できる。リブの群は全体として連続している必要はないのであり、例えば、受け板の周囲を囲う環状部の内側に独立した部分が配置されていてもよい。レゾネータの個数は2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよい。実施形態のように吸気ダクトが底部を備えている場合、吸気ダクトで囲われた内側と底部の下方とにそれぞれレゾネータを配置することも可能である。
本願発明は、エンジンの吸気装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 吸気装置
4 エンジン
5 エアクリーナ
6 ダクトユニット
7 本体ケース
7a 底板
8 カバーケース
9 フィルタエレメント
15 本体ケース7の空気流入口
16 受け部の一例としての受け板
17 吐出口
18 溶着用下向きリブ
19 溶着用上向きリブ
21 左シェル状部材
22 右シェル状部材
23 吸気ダクト
24,25 レゾネータ
26 吸気口
4 エンジン
5 エアクリーナ
6 ダクトユニット
7 本体ケース
7a 底板
8 カバーケース
9 フィルタエレメント
15 本体ケース7の空気流入口
16 受け部の一例としての受け板
17 吐出口
18 溶着用下向きリブ
19 溶着用上向きリブ
21 左シェル状部材
22 右シェル状部材
23 吸気ダクト
24,25 レゾネータ
26 吸気口
Claims (2)
- エアクリーナとこれに空気を取り込むダクトユニットとを備え、前記ダクトユニットに、吸気口及び吐出口とを有する吸気ダクトと、前記吸気ダクトの中途部に接続されたレゾネータとが一体に形成されている構成であって、
前記吸気ダクトは合成樹脂より成る一対のシェル状部材を接合することによって形成されて、前記一対のシェル状部材のうち一方のシェル状部材又は両方のシェル状部材に、前記吸気ダクトの吐出口が開口すると共に前記エアクリーナを構成する合成樹脂製本体ケースに重なる受け部を一体に設けており、
前記受け部と本体ケースとは、当該受け部と本体ケースとのうちいずれか一方又は両方に形成された細長いリブを介して溶着されている、
エンジン用吸気装置。 - 前記一対のシェル状部材が重なった第1接合面と、前記受け部とエアクリーナの本体ケースとが重なった第2接合面とは、第1接合面が第2接合面の垂線方向に広がる略T形又は略L形の交叉状姿勢を成しており、
前記第2接合面は、当該第2接合面の垂線方向から見て格子状の形態を成した複数のリブによって構成されている、
請求項1に記載したエンジン用吸気装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021044860A JP2022144026A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | エンジン用吸気装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021044860A JP2022144026A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | エンジン用吸気装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022144026A true JP2022144026A (ja) | 2022-10-03 |
Family
ID=83453690
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021044860A Pending JP2022144026A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | エンジン用吸気装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022144026A (ja) |
-
2021
- 2021-03-18 JP JP2021044860A patent/JP2022144026A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240201 |