JP2022134247A - チップの製造方法 - Google Patents

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JP2022134247A JP2021033262A JP2021033262A JP2022134247A JP 2022134247 A JP2022134247 A JP 2022134247A JP 2021033262 A JP2021033262 A JP 2021033262A JP 2021033262 A JP2021033262 A JP 2021033262A JP 2022134247 A JP2022134247 A JP 2022134247A
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Abstract

Figure 2022134247000001
【課題】欠けの発生を抑制しつつチップの生産効率を向上させることが可能なチップの製造方法を提供する。
【解決手段】互いに交差する第1分割予定ライン及び第2分割予定ラインによって複数の領域に区画された被加工物を分割して複数のチップを製造するチップの製造方法であって、第1切削ブレードを第1分割予定ラインに沿って被加工物に切り込ませることにより、被加工物の厚さ未満の深さの切削溝を第1分割予定ラインに沿って形成する第1切削ステップと、第2切削ブレードを第2分割予定ラインに沿って被加工物に切り込ませることにより、被加工物を第2分割予定ラインに沿って分割する第2切削ステップと、被加工物に外力を付与することにより、切削溝を起点として被加工物を第1分割予定ラインに沿って分割する分割ステップと、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、被加工物を分割して複数のチップを製造するチップの製造方法に関する。
携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に組み込まれるチップの製造には、シリコン、ヒ化ガリウム、サファイア等でなる各種のウェーハが用いられる。ウェーハは、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の領域に区画されており、各領域にはそれぞれデバイスが形成されている。このウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のチップ(デバイスチップ)が得られる。
上記のウェーハ等の被加工物の分割には、例えば切削装置が用いられる。切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、環状の切削ブレードが装着される切削ユニットとを備えている。切削ブレードを回転させ、チャックテーブルによって保持された被加工物に切り込ませることにより、被加工物が切削、分割される。
切削ブレードで被加工物を分割する際には、切削ブレードの下端が被加工物の裏面(下面)に達するように切削ブレードの切り込み深さを調節して、切削ブレードを被加工物に切り込ませる(フルカット)。このとき、切削ブレードが被加工物の裏面側に接触し、被加工物の裏面側で欠け(チッピング)が生じることがある。この欠けがチップに残存すると、チップの抗折強度(曲げ強度)が低下し、チップの品質が低下する。
そこで、切削ブレードで被加工物を切削する際における欠けの発生を抑制可能なプロセスの開発が進められている。例えば特許文献1には、切削ブレードを被加工物に切り込ませることによって被加工物の裏面に至らない深さの溝を分割予定ラインに沿って形成する工程と、溝に沿って再度切削ブレードを被加工物に切り込ませて被加工物を切断する工程とを含む手法が開示されている。
特開2020-113564号公報
上記のように被加工物を2段階で切削すると、被加工物の裏面側における欠けの発生が抑制される。しかしながら、この方法を用いる場合には、被加工物に設定された全ての分割予定ラインに沿って少なくとも2回ずつ切削ブレードを被加工物に切り込ませる必要がある。その結果、被加工物の加工効率が低下し、チップの生産効率も低下してしまう。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、欠けの発生を抑制しつつチップの生産効率を向上させることが可能なチップの製造方法の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、互いに交差する第1分割予定ライン及び第2分割予定ラインによって複数の領域に区画された被加工物を分割して複数のチップを製造するチップの製造方法であって、第1切削ブレードを該第1分割予定ラインに沿って該被加工物に切り込ませることにより、深さが該被加工物の厚さ未満の切削溝を該第1分割予定ラインに沿って形成する第1切削ステップと、第2切削ブレードを該第2分割予定ラインに沿って該被加工物に切り込ませることにより、該被加工物を該第2分割予定ラインに沿って分割する第2切削ステップと、該被加工物に外力を付与することにより、該切削溝を起点として該被加工物を該第1分割予定ラインに沿って分割する分割ステップと、を含むチップの製造方法が提供される。
なお、好ましくは、該被加工物は、該第1分割予定ラインから進展する欠けが該第2分割予定ラインから進展する欠けよりも生じやすい結晶性ウェーハである。また、好ましくは、該被加工物は、該被加工物の結晶方位を示すオリエンテーションフラットを有し、該第1分割予定ライン又は該第2分割予定ラインの一方は、該オリエンテーションフラットと平行な方向に沿って設定され、該第1分割予定ライン又は該第2分割予定ラインの他方は、該オリエンテーションフラットと垂直な方向に沿って設定される。
また、好ましくは、該第1切削ステップでは、該第1切削ブレードを超音波帯域に属する振動数で該第1切削ブレードの径方向に沿って振動させながら、該被加工物に切り込ませる。また、好ましくは、該第2切削ステップでは、該第2切削ブレードを超音波帯域に属する振動数で該第2切削ブレードの径方向に沿って振動させながら、該被加工物に切り込ませる。
また、好ましくは、該第1切削ステップの実施後、且つ、該分割ステップの実施前に、該第2切削ステップを実施する。また、好ましくは、該チップの製造方法は、該被加工物にテープを貼付するテープ貼付ステップを更に含み、該分割ステップでは、該テープを拡張することによって該被加工物に該外力を付与する。
本発明の一態様に係るチップの製造方法では、切削溝の形成と外力の付与とによって被加工物を第1分割予定ラインに沿って分割するとともに、被加工物の切削によって被加工物を第2分割予定ラインに沿って分割する。本チップの製造方法を用いると、欠けが生じやすい第1分割予定ライン上においては、切削ブレードと被加工物の裏面側との衝突を回避し、被加工物の裏面側における欠けの発生を抑制できる。また、欠けが生じにくい第2分割予定ライン上においては、被加工物が切削ブレードによる1回の切削のみによって分割されるため、被加工物の分割工程を簡略化できる。これにより、欠けの発生を抑制しつつチップの生産効率を向上させることが可能となる。
切削装置を示す斜視図である。 被加工物を示す斜視図である。 切削ユニットを示す分解斜視図である。 切削ユニットを示す断面図である。 テープ貼付ステップにおける被加工物を示す斜視図である。 チャックテーブルによって保持された被加工物を示す一部断面側面図である。 図7(A)は第1切削ステップにおける被加工物の一部を示す断面図であり、図7(B)は切削溝が形成された被加工物の一部を示す断面図である。 第1切削ステップ後の被加工物を示す斜視図である。 図9(A)は第2切削ステップにおける被加工物の一部を示す断面図であり、図9(B)はカーフが形成された被加工物の一部を示す断面図である。 第2切削ステップ後の被加工物を示す斜視図である。 図11(A)は分割ステップにおける被加工物を示す断面図であり、図11(B)は複数のチップに分割された被加工物を示す断面図である。 テープ貼付ステップにおける被加工物を示す斜視図である。 図13(A)は第1切削ステップにおける被加工物の一部を示す断面図であり、図13(B)は切削溝が形成された被加工物の一部を示す断面図である。 テープを収縮させた際の被加工物を示す断面図である。 テープ貼り換えステップにおける被加工物を示す斜視図である。
(実施形態1)
以下、添付図面を参照して本実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るチップの製造方法に用いることが可能な切削装置の構成例について説明する。図1は、切削装置2を示す斜視図である。なお、図1において、X軸方向(加工送り方向、左右方向、第1水平方向)とY軸方向(割り出し送り方向、前後方向、第2水平方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持又は収容する基台4を備える。基台4の前端側の角部には開口4aが形成されており、開口4aの内部には、昇降機構(不図示)によってZ軸方向に沿って移動(昇降)するカセット支持台6が設けられている。カセット支持台6上には、切削装置2によって加工される複数の被加工物を収容可能なカセット8が搭載される。なお、図1ではカセット8の輪郭を二点鎖線で示している。
図2は、被加工物11を示す斜視図である。被加工物11は、円盤状に形成された結晶性のウェーハであり、互いに概ね平行な表面11a及び裏面11bを備える。例えば被加工物11として、単結晶シリコンウェーハ、ヒ化ガリウム(GaAs)等のIII-V族化合物半導体でなる単結晶ウェーハ、サファイアウェーハ等が用いられる。
被加工物11は、互いに交差するように格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)13a,13bによって、複数の矩形状の領域に区画されている。また、複数の領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等のデバイス15が形成されている。
被加工物11を分割予定ライン13a,13bに沿って分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のチップ(デバイスチップ)が製造される。ただし、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物11にはデバイス15が形成されていなくてもよい。
被加工物11の外周部の一部には、被加工物11の結晶方位を示すオリエンテーションフラット(切り欠き部)17a,17bが設けられている。オリエンテーションフラット17a,17bは、平面視で直線状に形成された被加工物11の外周縁(側面)の一部に相当する。
オリエンテーションフラット17a,17bは、被加工物11の結晶方位と所定の位置関係にある被加工物11の外周部の一部を、直線状に切り落とすことによって形成される。すなわち、オリエンテーションフラット17a,17bは被加工物11の結晶方位に対応して所定の位置に形成されている。そのため、オリエンテーションフラット17a,17bの位置を確認することにより、被加工物11の結晶方位を把握できる。
なお、被加工物11にはオリエンテーションフラット17a,17bの一方のみが設けられていてもよい。また、被加工物11には、オリエンテーションフラット17a,17bの代わりにノッチが設けられていてもよい。
図1に示すように、開口4aの後方には、被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)10が設けられている。搬送ユニット10は、Y軸方向に沿って移動可能に構成されており、被加工物11のカセット8からの搬出と被加工物11のカセット8への搬入を行う。また、搬送ユニット10の開口4a側(カセット8側)の端部には、被加工物11を支持するフレーム21(図5参照)を把持する把持部10aが設けられている。
開口4aと搬送ユニット10との間には、カセット8から搬出された被加工物11、又は、カセット8に搬入される被加工物11が仮置きされる仮置き領域12が設けられている。仮置き領域12には、Y軸方向に沿って互いに概ね平行に配置された一対のガイドレール14が設けられている。一対のガイドレール14は、X軸方向に沿って互いに接近及び離隔するように移動し、フレーム21(図5参照)を挟み込んで被加工物11の位置合わせを行う。
仮置き領域12の近傍には、被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)16が設けられている。例えば搬送ユニット16は、フレーム21(図5参照)の上面側を吸引保持する複数の吸引パッドを備える。
開口4aの側方には、長手方向がX軸方向に沿うように形成された矩形状の開口4bが設けられている。開口4bの内部には、平板状の移動テーブル18aを備える移動ユニット(移動機構)18が設けられている。移動ユニット18は、例えばボールねじ式の移動機構であり、移動テーブル18aをX軸方向に沿って移動させる。また、移動テーブル18aの両側には、X軸方向に沿って伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー20が移動ユニット18の構成要素を覆うように設けられている。
移動テーブル18a上には、被加工物11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)22が設けられている。チャックテーブル22の上面は、水平方向(XY平面方向)と概ね平行な平坦面であり、被加工物11を保持する保持面22aを構成している。保持面22aは、チャックテーブル22の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル22の周囲には、フレーム21(図5参照)を把持して固定する複数のクランプ24が設けられている。
移動ユニット18は、チャックテーブル22を移動テーブル18aとともにX軸方向に沿って移動させる。そして、チャックテーブル22は移動ユニット18によって、被加工物11の搬送が行われる搬送領域Aと、被加工物11の加工が行われる加工領域Bとに位置付けられる。また、チャックテーブル22にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、この回転駆動源はチャックテーブル22をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。
加工領域Bには、被加工物11に切削加工を施す切削ユニット26が設けられている。切削ユニット26には、環状の切削ブレード28が装着される。切削ユニット26は、切削ブレード28を回転させて被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を切削する。
切削ユニット26には、切削ユニット26をY軸方向及びZ軸方向に沿って移動させる移動ユニット(移動機構、不図示)が接続されている。例えば移動ユニットは、Y軸方向に沿って配置されたY軸ボールねじとZ軸方向に沿って配置されたZ軸ボールねじとを備えるボールねじ式の移動機構である。この移動ユニットによって、切削ユニット26に装着された切削ブレード28のY軸方向及びZ軸方向における位置が調節される。
また、切削ユニット26は、純水等の液体(切削液)を供給するノズル(不図示)を備える。切削ブレード28で被加工物11を切削する際には、ノズルから被加工物11及び切削ブレード28に切削液が供給される。これにより、被加工物11及び切削ブレード28が冷却されるとともに、被加工物11の切削によって発生した屑(切削屑)が洗い流される。
チャックテーブル22の移動経路(搬送領域Aと加工領域Bとの間)と重なる位置には、チャックテーブル22によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット30が設けられている。例えば撮像ユニット30は、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラを備える。撮像ユニット30によって取得された画像は、被加工物11と切削ユニット26との位置合わせ等に用いられる。
チャックテーブル22の後方には、被加工物11を洗浄する洗浄ユニット(洗浄機構)32が設けられている。例えば洗浄ユニット32は、被加工物11を保持して回転するスピンナテーブルと、スピンナテーブルによって保持された被加工物11に向かって洗浄用の流体を供給するノズルとを備える。洗浄用の流体としては、液体(純水等)と気体(エアー等)とが混合された混合流体等が用いられる。
洗浄ユニット32の上方には、チャックテーブル22と洗浄ユニット32との間で被加工物11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)34が設けられている。例えば搬送ユニット34は、フレーム21(図5参照)の上面側を吸引保持する複数の吸引パッドを備える。
切削ユニット26によって切削された被加工物11は、搬送ユニット34によってチャックテーブル22から洗浄ユニット32に搬送され、洗浄ユニット32によって洗浄される。そして、洗浄後の被加工物11は搬送ユニット16によって一対のガイドレール14上に搬送された後、搬送ユニット10の把持部10aに把持されてカセット8に収容される。
また、切削装置2は、切削装置2に関する各種の情報を表示する表示部(表示ユニット、表示装置)36を備える。さらに、基台4の前端部には、切削装置2に各種の情報を入力するための入力部(入力ユニット、入力装置)38が設けられている。
表示部36としては、各種のディスプレイが用いられる。また、入力部38としては、複数の操作キーを備える操作パネル、マウス、キーボード等が用いられる。なお、切削装置2は、ユーザーインターフェースとして機能するタッチパネルを備えていてもよい。この場合には、タッチパネルが表示部36及び入力部38として機能し、オペレーターはタッチパネルのタッチ操作によって切削装置2に情報を入力できる。
切削装置2を構成する各構成要素(カセット支持台6、搬送ユニット10、ガイドレール14、搬送ユニット16、移動ユニット18、チャックテーブル22、クランプ24、切削ユニット26、撮像ユニット30、洗浄ユニット32、搬送ユニット34、表示部36、入力部38等)はそれぞれ、制御部(制御ユニット、制御装置)40に接続されている。制御部40は、切削装置2の各構成要素の動作を制御する制御信号を生成することにより、切削装置2の稼働を制御する。
例えば制御部40は、コンピュータによって構成され、切削装置2の稼働に必要な演算を行う演算部と、演算部における演算に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)を記憶する記憶部とを備える。演算部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、記憶部は、主記憶装置、補助記憶装置等として機能する各種のメモリを含んで構成される。
上記の切削装置2によって、被加工物11に切削加工が施される。なお、本実施形態では、切削ブレード28を超音波帯域に属する振動数で振動させることが可能な切削ユニット26が用いられる。図3は、切削ユニット26を示す分解斜視図である。
切削ユニット26には、切削ブレード28が装着される。切削ブレード28としては、ワッシャータイプの切削ブレード(ワッシャーブレード)を用いることができる。ワッシャーブレードは、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等でなる砥粒を、金属、セラミックス、樹脂等でなる結合材で固定することによって形成された環状の切刃である。切削ブレード28は、互いに概ね平行な第1面28a及び第2面28bを有する。また、切削ブレード28の中央部には、切削ブレード28を厚さ方向に貫通する円形の開口28cが設けられている。
ただし、切削ブレード28としてハブタイプの切削ブレード(ハブブレード)を用いてもよい。ハブブレードは、アルミニウム合金等の金属でなる環状の基台と、基台の外周縁に沿って形成された環状の切刃とが一体となって構成される。ハブブレードの切刃は、例えば砥粒をニッケルめっき層等の結合材で固定した電鋳砥石によって構成される。
切削ユニット26は、中空の円柱状に形成されたハウジング42を備える。ハウジング42には、Y軸方向に沿って配置された円柱状のスピンドル44が収容されている。スピンドル44の先端部(一端側)はハウジング42から露出しており、スピンドル44の先端部の外周面にはねじ部(雄ねじ)44aが形成されている。また、スピンドル44の基端部(他端側)には、スピンドル44を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
スピンドル44の先端部には、切削ブレード28が装着されるマウント46が固定される。マウント46は、切削ブレード28を支持する円盤状のフランジ部48と、フランジ部48の表面48aの中央部から突出する円柱状の支持軸(ボス部)50とを備える。マウント46には、フランジ部48の中央部及び支持軸50の中央部を貫通する円柱状の開口46aが設けられている。また、支持軸50の先端部の外周面には、ねじ部(雄ねじ)50aが形成されている。
マウント46は、開口46aにスピンドル44の先端部が挿入されるように、スピンドル44に装着される。この状態で、環状の固定ナット52をスピンドル44のねじ部44aに螺合させて締め付けると、マウント46がスピンドル44の先端部に固定される。
また、マウント46には、金属等でなる環状のフランジ(押さえフランジ)54が装着される。フランジ54は、互いに概ね平行な第1面(表面)54a及び第2面(裏面)54b(図4参照)を有する。また、フランジ54の中央部には、フランジ54を厚さ方向に貫通する円柱状の開口54cが設けられている。
切削ブレード28の開口28cとフランジ54の開口54cとにマウント46の支持軸50を順に挿入すると、切削ブレード28及びフランジ54がマウント46に装着される。この状態で、環状の固定ナット56を支持軸50のねじ部50aに螺合させて締め付けると、切削ブレード28及びフランジ54がマウント46に固定される。これにより、切削ブレード28がマウント46のフランジ部48とフランジ54とによって挟持され、スピンドル44の先端部に固定される。
スピンドル44の先端部に切削ブレード28が装着された状態で、スピンドル44に連結された回転駆動源によってスピンドル44を回転させると、切削ブレード28がY軸方向と概ね平行な回転軸の周りを所定の回転数で回転する。
図4は、切削ユニット26を示す断面図である。マウント46のフランジ部48の外周部には、表面48aから突出する環状の凸部48bが、フランジ部48の外周縁に沿って設けられている。また、凸部48bの内側には、フランジ部48を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(スリット)48cが設けられている。例えばフランジ部48には、4つの円弧状の貫通孔48cが、フランジ部48の周方向に沿って概ね等間隔に形成される(図3参照)。
一方、フランジ54の外周部には、第2面54bから突出する環状の凸部54dが、フランジ54の外周縁に沿って設けられている。また、凸部54dの内側には、フランジ54を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(スリット)54eが設けられている。例えばフランジ54には、4つの円弧状の貫通孔54eが、フランジ54の周方向に沿って概ね等間隔に形成される(図3参照)。
フランジ部48の凸部48bの先端面には、切削ブレード28の第1面28a側を支持する環状の支持部材58aが設けられている。また、フランジ54の凸部54dの先端面には、切削ブレード28の第2面28b側を支持する環状の支持部材58bが設けられている。支持部材58a,58bは、合成樹脂等でなり、切削ブレード28と接触して切削ブレード28を挟持する。なお、支持部材58a,58bは、デュロメータータイプDによって測定される硬度が40以上の部材であることが好ましい。
フランジ部48の凸部48bの内側には、振動子60aが設けられている。また、フランジ54の凸部54dの内側には、振動子60bが設けられている。例えば、振動子60a,60bはそれぞれ接着剤によってフランジ部48、フランジ54に固定される。振動子60a,60bは、切削ブレード28を超音波帯域に属する振動数で振動させる振動付与ユニット60を構成する。
マウント46に切削ブレード28及びフランジ54が装着されると、切削ブレード28は支持部材58a,58bによって挟まれて固定される。そして、切削ブレード28は、第1面28aが振動子60aと対向し第2面28bが振動子60bと対向するように位置付けられる。
振動子60aは、フランジ部48の周方向に沿って設けられた環状の圧電体62aと、圧電体62aを挟むように設けられた一対の電極64aと、圧電体62a及び一対の電極64aを覆う絶縁体66aとを備える。同様に、振動子60bは、フランジ54の周方向に沿って設けられた環状の圧電体62bと、圧電体62bを挟むように設けられた一対の電極64bと、圧電体62b及び一対の電極64bを覆う絶縁体66bとを備える。例えば圧電体62a,62bは、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、リチウムタンタレート等でなる圧電セラミックスによって構成される。
また、マウント46の内部には、配線68a,68bが設けられている。配線68a,68bの一端側はそれぞれ2つに分岐しており、支持軸50の側面で露出している。振動子60aの一方の電極64aは、リード線70aを介して配線68aに接続されている。また、振動子60aの他方の電極64aは、リード線70bを介して配線68bに接続されている。
フランジ54には、開口54cで露出する接続電極72a,72bが設けられている。そして、振動子60bの一方の電極64bは、リード線70c及び接続電極72aを介して、配線68aに接続されている。また、振動子60bの他方の電極64bは、リード線70d及び接続電極72bを介して、配線68bに接続されている。
さらに、切削ユニット26は、振動子60a,60bに交流電圧を供給する電圧供給ユニット74を備える。電圧供給ユニット74は、マウント46の裏面側(ハウジング42側)に設けられた受電部(受電ユニット)76と、ハウジング42の表面側(マウント46側)に配置され受電部76と対向する給電部(給電ユニット)82とを備える。
受電部76は、マウント46の裏面側に設けられた環状のコア78を備える。コア78の表面側(給電部82側)には環状の凹部78aが形成されており、凹部78aの内部には環状のコイル(受電コイル)80が設けられている。コイル80の一端側は配線68aに接続され、コイル80の他端側は配線68bに接続されている。
給電部82は、環状のコア84を備える。例えばコア84は、ボルト(不図示)によってハウジング42の表面側に固定される。コア84の表面側(受電部76側)には環状の凹部84aが形成されており、凹部84aの内部には環状のコイル(給電コイル)86が設けられている。コイル86は、配線88a,88bを介して交流電源90に接続されている。また、交流電源90には、交流電源90から供給される交流電圧の周波数を制御する周波数変換器92が接続されている。
受電部76と給電部82とによって、交流電源90から供給された交流電圧を振動付与ユニット60に伝達するロータリートランスが構成される。そして、切削ブレード28によって被加工物11を加工する際は、交流電源90によって給電部82のコイル86に交流電圧が印加される。このとき、交流電圧の周波数は周波数変換器92によって制御される。
コイル86に印加された交流電圧は、受電部76のコイル80、配線68a,68b、リード線70a,70b,70c,70dを介して、振動子60aの一対の電極64a及び振動子60bの一対の電極64bに供給される。これにより、振動子60aの圧電体62aがマウント46とともに径方向に沿って振動する。また、振動子60bの圧電体62bがフランジ54とともに径方向に沿って振動する。その結果、マウント46とフランジ54とによって挟持された切削ブレード28が、切削ブレード28の径方向に沿って振動する。
なお、交流電源90から供給される交流電圧の周波数は、切削ブレード28が超音波帯域に属する振動数で振動するように、周波数変換器92によって制御される。また、マウント46のフランジ部48には複数の貫通孔48cが設けられており、フランジ54には複数の貫通孔54eが設けられている(図3参照)。これにより、フランジ部48及びフランジ54の径方向における剛性が小さくなり、フランジ部48及びフランジ54が径方向に沿って振動しやすくなる。その結果、切削ブレード28も径方向に沿って振動しやすくなる。
上記の切削装置2で被加工物11を切削することにより、被加工物11が複数のチップに分割される。以下、本実施形態に係るチップの製造方法の具体例について説明する。
まず、図2に示す被加工物11を準備する。ここで、仮に切削ブレード28(図3等参照)を被加工物11に切り込ませて被加工物11を切断すると、切削ブレード28が被加工物11の裏面11b側に接触し、被加工物11の裏面11b側で欠け(チッピング)が発生することがある。この欠けは、切削ブレード28によって形成されたカーフ(切り口)から分割予定ライン13a,13bと交差する方向に沿って進展する。
また、被加工物11の材質や構造によっては、被加工物11の裏面11b側における欠けの生じやすさが、切削ブレード28による切削の方向に応じて異なる。例えば、被加工物11が単結晶シリコンウェーハ、単結晶ヒ化ガリウムウェーハ、サファイアウェーハ等の結晶性ウェーハである場合、分割予定ライン13aから進展する欠けのサイズと分割予定ライン13bから進展する欠けのサイズとが異なる傾向にあることが確認されている。このような欠けの異方性は、結晶性ウェーハの結晶方位に起因しており、結晶性ウェーハの劈開面と分割予定ライン13a,13bとの角度等に依存していると推察される。
本実施形態においては、被加工物11の加工前に、被加工物11と材質及び形状が同一の被加工物(テスト用被加工物)を予め切削ブレード28で複数の方向に沿って切断し、カーフから進展する欠けのサイズを測定する。これにより、被加工物11において欠けが生じやすい方向と生じにくい方向とが特定される。そして、分割予定ライン13aから進展する欠け(第1チッピング)が分割予定ライン13bから進展する欠け(第2チッピング)よりも生じやすくなるように、分割予定ライン13a,13bの向きを設定する。
なお、欠けの生じやすさは、欠けのサイズの平均値に基づいて定義できる。具体的には、切削ブレード28で被加工物11を分割予定ライン13a,13bに沿って切断した場合において、分割予定ライン13aと垂直な方向における第1チッピングの長さの平均値が、分割予定ライン13bと垂直な方向における第2チッピングの長さの平均値よりも大きい場合には、第1チッピングが第2チッピングよりも生じやすいと言える。
本実施形態においては、分割予定ライン13a(第1分割予定ライン)が、オリエンテーションフラット17aと平行で、且つ、オリエンテーションフラット17bと垂直な方向に沿って設定される。また、分割予定ライン13b(第2分割予定ライン)が、オリエンテーションフラット17aと垂直で、且つ、オリエンテーションフラット17bと平行な方向に沿って設定される。
次に、被加工物11にテープを貼付する(テープ貼付ステップ)。図5は、テープ貼付ステップにおける被加工物11を示す斜視図である。テープ貼付ステップでは、被加工物11の裏面11b側にテープ19が貼付される。
例えばテープ19は、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを含む。なお、テープ19は、外力の付与によって拡張(引き延ばし)が可能なテープ(エキスパンドテープ)であることが好ましい。この場合には、後述の分割ステップにおいて、テープ19の拡張によって被加工物11に外力を付与できる。例えば基材は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の樹脂でなる。また、粘着層は、エポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。なお、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
テープ19の外周部は、SUS(ステンレス鋼)等の金属でなる環状のフレーム21に貼付される。フレーム21の中央部には、被加工物11よりも直径が大きい円柱状の開口21aが、フレーム21を厚さ方向に貫通するように設けられている。被加工物11が開口21aの内側に配置された状態で、テープ19の中央部が被加工物11の裏面11b側に貼付されるとともに、テープ19の外周部がフレーム21に貼付される。これにより、被加工物11がテープ19を介してフレーム21によって支持される。そして、被加工物11はフレーム21によって支持された状態で、図1に示すカセット8に収容される。
切削装置2で被加工物11を加工する際には、まず、搬送ユニット10がカセット8に向かって移動し、カセット8に収容されているフレーム21の端部を把持部10aで把持する。その後、搬送ユニット10はY軸方向に沿ってカセット8から離れるように移動する。これにより、被加工物11がカセット8から引き出され、一対のガイドレール14上に配置される。
一対のガイドレール14は、フレーム21を下側から支持した状態で互いに接近し、フレーム21を挟み込む。これにより、被加工物11の位置合わせが行われる。その後、搬送ユニット16によってフレーム21が吸引保持され、被加工物11が搬送領域Aに位置付けられたチャックテーブル22に搬送される。
図6は、チャックテーブル22によって保持された被加工物11を示す一部断面側面図である。被加工物11は、チャックテーブル22の保持面22a上にテープ19を介して配置される。また、フレーム21が複数のクランプ24によって固定される。この状態で、保持面22aに吸引源の負圧を作用させると、被加工物11がテープ19を介してチャックテーブル22によって吸引保持される。
次に、切削ブレード28を分割予定ライン13aに沿って被加工物11に切り込ませることにより、深さが被加工物11の厚さ未満の切削溝を分割予定ライン13aに沿って形成する(第1切削ステップ)。図7(A)は、第1切削ステップにおける被加工物11の一部を示す断面図である。
第1切削ステップでは、まず、チャックテーブル22を回転させ、分割予定ライン13aの長さ方向をX軸方向に合わせる。また、切削ブレード28の下端が被加工物11の表面11aよりも下方で、且つ、被加工物11の裏面11bよりも上方に配置されるように、切削ユニット26のZ軸方向における位置を調整する。さらに、切削ブレード28が分割予定ライン13aの延長線上に配置されるように、切削ユニット26のY軸方向における位置を調整する。
そして、切削ブレード28を回転させながら、チャックテーブル22をX軸方向に沿って移動させる。これにより、チャックテーブル22と切削ブレード28とがX軸方向に沿って相対的に移動し(加工送り)、切削ブレード28が分割予定ライン13aに沿って被加工物11の表面11a側に切り込む。
図7(B)は、切削溝23が形成された被加工物11の一部を示す断面図である。切削ブレード28を被加工物11に切り込ませると、被加工物11の表面11a側に、深さが被加工物11の厚さ未満の切削溝23が分割予定ライン13aに沿って形成される。そして、同様の手順を繰り返すことにより、全ての分割予定ライン13aに沿って切削溝23が形成される。
なお、切削ブレード28を被加工物11に切り込ませる際には、振動付与ユニット60(図4参照)によって、切削ブレード28を切削ブレード28の径方向に沿って振動させることが好ましい。このとき振動付与ユニット60は、切削ブレード28を超音波帯域に属する振動数で振動させる。例えば、切削ブレード28の振動数は20kHz以上に設定される。振動付与ユニット60から切削ブレード28に振動が付与されると、切削ブレード28は直径が増減するように振動する。なお、切削ブレード28の直径の変動量(直径の最大値と最小値との差)は、例えば約5μmである。
振動する切削ブレード28が被加工物11に切り込むと、切削ブレード28の超音波帯域に属する振動数での振動(超音波振動)により、切削ブレード28の下端部から露出する砥粒が超音波振動に対応する周期で被加工物11に衝突する。これにより、被加工物11の破砕が生じ、切削溝23が形成されやすくなる。
図8は、第1切削ステップ後の被加工物11を示す斜視図である。図8に示すように、被加工物11の表面11a側には、裏面11bに至らない深さの切削溝23が分割予定ライン13aに沿って概ね平行に形成される。
なお、仮に切削ブレード28の切り込み深さ(被加工物11の表面11aと切削ブレード28の下端との高さの差)が被加工物11の厚さ以上に設定されると、切削ブレード28によって被加工物11が切断される(フルカット)。その際、振動する切削ブレード28が被加工物11の裏面11bに衝突し、被加工物11の裏面11b側で欠けが生じる。特に、前述の通り分割予定ライン13aから進展する欠けは分割予定ライン13bから進展する欠けよりも生じやすいため、被加工物11の裏面11bにはサイズの大きな欠けが形成されやすい。
一方、上記の第1切削ステップにおいては、切削ブレード28が被加工物11の裏面11bに達しないように切削ブレード28の切り込み深さが設定される。そのため、振動する切削ブレード28が被加工物11の裏面11bに衝突せず、被加工物11の裏面11b側における欠けの発生が回避される。
特に、被加工物11の破壊靱性値が3.0MPa・m1/2以下である場合には、振動する切削ブレード28の衝突によって被加工物11が破砕されやすく、加工不良が発生しやすい。そのため、このような被加工物11を切削する場合においては、被加工物11をフルカットせず、上記のように切削溝23を形成することが特に好ましい(ハーフカット)。破壊靱性値が3.0MPa・m1/2以下である被加工物11の例としては、単結晶シリコンウェーハ、単結晶ヒ化ガリウムウェーハ、サファイアウェーハ等が挙げられる。なお、被加工物11の破壊靱性値は、日本産業規格JIS R 1607(対応国際規格:ISO 15732)に準拠して測定される。
また、第1切削ステップにおいて切削ブレード28を振動させながら被加工物11に切り込ませると、振動する切削ブレード28が切削溝23の底に衝突し、切削溝23の底から被加工物11の裏面11b側に向かって亀裂(クラック)が形成される。これにより、後の分割ステップにおいて被加工物11が切削溝23に沿って分割されやすくなる。
ただし、亀裂が進展して被加工物11の裏面11bに達すると、被加工物11の裏面11b側に欠け等の加工不良が生じるおそれがある。そのため、切削ブレード28の切り込み深さは、切削溝23の底から進展する亀裂が被加工物11の裏面11bに達しないように設定されることが好ましい。
例えば、切削ブレード28の切り込み深さは、被加工物11の厚さと切削ブレード28の切り込み深さとの差(切削溝23の底と被加工物11の裏面11bとの高さの差)が、振動する切削ブレード28の直径の変動量の1/2以上となるように設定される。これにより、切削溝23の底から進展する亀裂が被加工物11の裏面11bに到達しにくくなり、加工不良の発生が抑制される。
次に、切削ブレード28を分割予定ライン13bに沿って被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を分割予定ライン13bに沿って分割する(第2切削ステップ)。図9(A)は、第2切削ステップにおける被加工物11の一部を示す断面図である。
第2切削ステップでは、まず、チャックテーブル22を回転させ、分割予定ライン13bの長さ方向をX軸方向に合わせる。また、切削ブレード28の下端が被加工物11の裏面11b(テープ19の上面)よりも下方で、且つ、保持面22a(テープ19の下面)よりも上方に配置されるように、切削ユニット26のZ軸方向における位置を調整する。さらに、切削ブレード28が分割予定ライン13bの延長線上に配置されるように、切削ユニット26のY軸方向における位置を調整する。
そして、切削ブレード28を回転させながら、チャックテーブル22をX軸方向に沿って移動させる。これにより、チャックテーブル22と切削ブレード28とがX軸方向に沿って相対的に移動し(加工送り)、切削ブレード28が分割予定ライン13bに沿って被加工物11に切り込む。
図9(B)は、カーフ(切り口)25が形成された被加工物11の一部を示す断面図である。切削ブレード28を被加工物11に切り込ませると、被加工物11には表面11aから裏面11bに至るカーフ25が分割予定ライン13bに沿って形成され、被加工物11が分割される。そして、同様の手順を繰り返すことにより、全ての分割予定ライン13bに沿ってカーフ25が形成される。
なお、第2切削ステップにおいても第1切削ステップと同様に、振動付与ユニット60(図4参照)によって切削ブレード28を切削ブレード28の径方向に沿って振動させてもよい。これにより、被加工物11が容易に分割される。なお、切削ブレード28の振動数や切削ブレード28の直径の変動量は、第1切削ステップと同様に設定できる。
図10は、第2切削ステップ後の被加工物11を示す斜視図である。図10に示すように、被加工物11には、表面11aから裏面11bに至るカーフ25が分割予定ライン13bに沿って概ね平行に形成される。
上記の第2切削ステップでは、切削ブレード28が被加工物11の裏面11bに達するように切削ブレード28の切り込み深さが設定されるため、切削ブレード28が被加工物11の裏面11bに衝突する。しかしながら、前述の通り、分割予定ライン13bから進展する欠けは分割予定ライン13aから進展する欠けよりも生じにくい。そのため、被加工物11の裏面11b側において被加工物11の品質に影響を与えるようなサイズの大きい欠けは形成されにくい。
また、上記の第2切削ステップは、被加工物11が分割予定ライン13aに沿って分割されていない状態で実施される。そのため、被加工物11の切削時に被加工物11の配置が変動しにくく、被加工物11を分割予定ライン13bに沿って正確に切削することが可能となる。
なお、上記では第1切削ステップと第2切削ステップとで同一の切削ブレード28を用いる場合について説明した(図7(A)及び図9(A)参照)。ただし、第1切削ステップで用いられる切削ブレード(第1切削ブレード)と第2切削ステップで用いられる切削ブレード(第2切削ブレード)とは、同一の切削ブレードであってもよいし、径や材質が異なる別々の切削ブレードであってもよい。
次に、被加工物11に外力を付与することにより、切削溝23を起点として被加工物11を分割予定ライン13aに沿って分割する(分割ステップ)。例えば、テープ19が外力の付与によって拡張可能なエキスパンドテープである場合には、テープ19を拡張することによって被加工物11に外力を付与できる。
図11(A)は、分割ステップにおける被加工物11を示す断面図である。分割ステップでは、まず、必要に応じてテープ19からフレーム21を剥離して取り外す。その後、テープ19を径方向外側に向かって引っ張って拡張する。これにより、被加工物11に対し、被加工物11の径方向外側に向かう外力が付与される。
被加工物11に外力が付与されると、被加工物11が切削溝23を起点として破断する。具体的には、切削溝23の底から被加工物11の裏面11bに達する亀裂(クラック)27が形成され、被加工物11が分割予定ライン13aに沿って分割される。すなわち、切削溝23は被加工物11の分割起点(分割のきっかけ)として機能する。
図11(B)は、複数のチップ(デバイスチップ)29に分割された被加工物11を示す断面図である。被加工物11を分割予定ライン13aに沿って分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のチップ29が製造される。また、テープ19を拡張すると、隣接するチップ29の間に隙間が形成され、チップ29をテープ19からピックアップしやすくなる。
なお、分割ステップは、被加工物11が分割予定ライン13bに沿って複数の個片に分割された状態(図10参照)で実施される。そのため、テープ19を拡張した際に各個片に外力が付与されやすく、各個片が切削溝23に沿って破断しやすい。その結果、被加工物11が切削溝23に沿って確実に分割される。
以上の通り、本実施形態に係るチップの製造方法では、切削溝23の形成と外力の付与とによって被加工物11を分割予定ライン13aに沿って分割するとともに、カーフ25の形成によって被加工物11を分割予定ライン13bに沿って分割する。本チップの製造方法を用いると、欠けが生じやすい分割予定ライン13a上においては、切削ブレード28と被加工物11の裏面11b側との衝突を回避し、被加工物11の裏面11b側における欠けの発生を抑制できる。また、欠けが生じにくい分割予定ライン13b上においては、被加工物11が切削ブレード28による1回の切削のみによって分割されるため、被加工物11の分割工程を簡略化できる。これにより、欠けの発生を抑制しつつチップ29の生産効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更できる。
(実施形態2)
実施形態1において説明したチップの製造方法に含まれる各ステップの順番は、被加工物11の分割が可能な範囲内で適宜変更できる。例えば、第1切削ステップと分割ステップとを実施した後に、第2切削ステップを実施することもできる。
具体的には、まず、被加工物11にテープ19を貼付する(テープ貼付ステップ)。図12は、テープ貼付ステップにおける被加工物11を示す斜視図である。なお、本実施形態では、被加工物11の表面11a側にテープ19が貼付される。これにより、被加工物11の表面11a側に形成されているデバイス15がテープ19によって覆われて保護される。
次に、切削ブレード28を被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11に切削溝23を分割予定ライン13aに沿って形成する(第1切削ステップ)。図13(A)は、第1切削ステップにおける被加工物11の一部を示す断面図である。
本実施形態では、被加工物11の表面11a側(テープ19側)がチャックテーブル22によって保持される。そして、切削ブレード28を分割予定ライン13aに沿って被加工物11の裏面11b側に切り込ませる。その結果、被加工物11の裏面11b側に切削溝23が分割予定ライン13aに沿って形成される。なお、切削ブレード28を被加工物11に切り込ませる際には、振動付与ユニット60(図4参照)によって切削ブレード28を振動させてもよい。
図13(B)は、切削溝23が形成された被加工物11の一部を示す断面図である。被加工物11が全ての分割予定ライン13aに沿って切削されると、被加工物11の裏面11b側には、深さが被加工物11の厚さ未満の切削溝23が分割予定ライン13aに沿って形成される。
次に、被加工物11に外力を付与することにより、切削溝23を起点として被加工物11を分割予定ライン13aに沿って分割する(分割ステップ)。例えば、テープ19を拡張することによって被加工物11に外力を付与する(図11(A)参照)。被加工物11に外力が付与されると、被加工物11が切削溝23を起点として破断し、分割予定ライン13aに沿って複数の個片に分割される(図11(B)参照)。
なお、被加工物11を複数の個片に分割した後には、被加工物11の配置をテープ19の拡張前の状態に戻す処理を行うことが好ましい。例えば、テープ19を加熱することによって収縮(シュリンク)させ、テープ19の径を拡張前と同等にする。
図14は、テープ19を収縮させた際の被加工物11を示す断面図である。テープ19を収縮させると、テープ19に貼付された被加工物11の配置が分割ステップの実施前の状態に戻る。これにより、後の第2切削ステップにおいて被加工物11を分割予定ライン13bに沿って切削しやすくなる。
次に、被加工物11に貼付されたテープを貼り換える(テープ貼り換えステップ)。図15は、テープ貼り換えステップにおける被加工物11を示す斜視図である。テープ貼り換えステップでは、まず、被加工物11の裏面11b側及びフレーム21にテープ31が貼付される。なお、テープ31の形状や材質はテープ19と同様である。例えばテープ31は、樹脂でなる基材と、基材上に設けられた紫外線硬化型の樹脂(粘着層)とを備える。
その後、被加工物11の表面11a側及びフレーム21からテープ19(図14等参照)を剥離する。これにより、テープの貼り換え完了し、被加工物11はテープ31を介してフレーム21によって支持される。なお、テープ19を剥離すると、前述の第1切削ステップにおいて発生してテープ19に付着した切削屑が、テープ19とともに除去される。これにより、被加工物11に切削屑が残存しにくくなる。
次に、切削ブレード28を分割予定ライン13bに沿って被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を分割予定ライン13bに沿って分割する(第2切削ステップ)。第2切削ステップでは、切削ブレード28を分割予定ライン13bに沿って被加工物11に切り込ませる(図9(A)参照)。これにより、被加工物11には表面11aから裏面11bに至るカーフ25が分割予定ライン13bに沿って形成され(図9(B)参照)、被加工物11が複数のチップ29に分割される。
分割ステップの後に第2切削ステップを実施すると、分割ステップにおいて被加工物11を破断させた際に生じた屑が、第2切削ステップにおいて被加工物11に供給される切削液によって洗い流される。これにより、チップ29に屑が残存しにくくなる。
なお、第2切削ステップを実施した後に、第1切削ステップと分割ステップとを実施することもできる。その他、本実施形態において説明を省略した事項については、実施形態1と同様に実施できる。
次に、本発明に係るチップの製造方法によって製造されたチップを評価した結果について説明する。
(実施例1)
本実施例では、比較例1に係るチップと実施例1に係るチップとを製造し、両者を比較した。まず、チップの製造に用いる被加工物11(図2参照)を準備した。被加工物11としては、オリエンテーションフラット17a,17b(図2参照)を有する単結晶ヒ化ガリウムウェーハ(直径4インチ、厚さ150μm)を用いた。そして、オリエンテーションフラット17aと平行な52本の分割予定ライン13aを、1.6mm間隔で設定した(図2参照)。また、オリエンテーションフラット17bと平行な58本の分割予定ライン13bを、1.6mm間隔で設定した(図2参照)。
また、被加工物11と材質及び形状が同一のテスト用ウェーハ(単結晶ヒ化ガリウムウェーハ)を準備し、テスト用ウェーハを切削ブレード28(図3等参照)で切削した。なお、テスト用ウェーハには、被加工物11と同様に分割予定ライン13a,13bを設定した。そして、切削ブレード28を分割予定ライン13a,13bに沿ってテスト用ウェーハに切り込ませることにより、テスト用ウェーハを分割した(フルカット)。なお、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
上記のフルカットにより、テスト用ウェーハを複数のチップ(テスト用チップ)に分割した。そして、テスト用チップの裏面側(下面側)を観察し、切削ブレード28によって形成されたカーフ(切り口)から進展した欠けのサイズ(チッピングサイズ)を測定した。具体的には、テスト用チップの裏面側において分割予定ライン13aに沿って形成されたカーフから進展した欠け(第1チッピング)の、分割予定ライン13aと垂直な方向における長さを測定した。同様に、テスト用チップの裏面側において分割予定ライン13bに沿って形成されたカーフから進展した欠け(第2チッピング)の、分割予定ライン13bと垂直な方向における長さを測定した。
なお、チッピングサイズの測定は、テスト用ウェーハの分割によって得られた2600個のテスト用チップから、9個のテスト用チップを選択して行った。具体的には、選択された9個のテスト用チップに形成された第1チッピング及び第2チッピングを観察し、チッピングサイズの最小値(最小チッピングサイズ)、チッピングサイズの最大値(最大チッピングサイズ)、チッピングサイズの平均値(平均チッピングサイズ)を測定した。第1チッピングと第2チッピングの最小チッピングサイズ、最大チッピングサイズ、平均チッピングサイズはそれぞれ、表1の通りであった。
Figure 2022134247000002
表1に示すように、分割予定ライン13aに沿って形成されたカーフから進展する第1チッピングの平均チッピングサイズは、分割予定ライン13bに沿って形成されたカーフから進展する第2チッピングの平均チッピングサイズよりも2倍以上大きかった。この結果より、テスト用ウェーハ及び被加工物11は、分割予定ライン13aから進展する欠けが分割予定ライン13bから進展する欠けよりも生じやすい結晶性ウェーハであることが確認された。
次に、被加工物11を分割することによって、欠け評価用のチップを製造した。具体的には、2枚の被加工物11をそれぞれ異なる加工条件で分割することにより、比較例1に係るチップと実施例1に係るチップとを形成した。
比較例1に係るチップは、切削ブレード28で被加工物11を分割予定ライン13a,13bに沿って切断することによって形成した(フルカット)。なお、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
一方、実施例1に係るチップは、実施形態1において説明した第1切削ステップ、第2切削ステップ、分割ステップを順に実施することによって形成した。具体的には、まず、切削ブレード28を振動させつつ被加工物11に切り込ませることにより、分割予定ライン13aに沿って切削溝23を形成した(図7(A)及び図7(B)参照)。なお、切削ブレード28は、振動数が41kHz、切削ブレード28の直径の変動量が5μmになるように振動させた。また、切削ブレード28の切り込み深さ(切削溝23の深さ)は135μm、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
次に、切削ブレード28を振動させずに被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を分割予定ライン13bに沿って切断した(フルカット、図9(A)及び図9(B)参照)。なお、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
その後、テープ19を引っ張り、テープ19を半径方向外側に拡張した(図11(A)及び図11(B)参照)。なお、テープの拡張速度は100mm/s、テープ拡張量は25mmに設定した。これにより、被加工物11に外力を付与し、切削溝23を起点として被加工物11を複数のチップ(実施例1に係るチップ)に分割した。
そして、比較例1に係るチップと実施例1に係るチップそれぞれについて、チップの裏面側(下面側)において分割予定ライン13aから進展した欠け(第1チッピング)のサイズ(チッピングサイズ)を測定した。具体的には、比較例1に係る9個のチップに形成された第1チッピングを観察し、最小チッピングサイズ、最大チッピングサイズ、平均チッピングサイズを測定した。同様に、実施例1に係る9個のチップに形成された第1チッピングを観察し、最小チッピングサイズ、最大チッピングサイズ、平均チッピングサイズを測定した。両チップのチッピングサイズは、それぞれ表2の通りであった。
Figure 2022134247000003
表2に示すように、実施例1に係るチップの平均チッピングサイズは6.9μmであり、比較例1に係るチップの平均チッピングサイズ(22.4μm)の30%程度であることが確認された。この平均チッピングサイズの大幅な低減は、被加工物11を第1切削ステップ及び分割ステップによって分割することにより、分割予定ライン13a上において切削ブレード28と被加工物11の裏面11bとの接触が回避されたことに起因していると推察される。
(実施例2)
本実施例では、外力の付与によって被加工物をチップに分割した場合における、分割率(分割の成功率)を評価した。まず、分割評価用の被加工物11を準備した。実施例で用いた被加工物11の材質、寸法、形状等は、実施例1で使用した被加工物11(単結晶ヒ化ガリウムウェーハ)と同じである。また、被加工物11には、実施例1と同様に分割予定ライン13a,13bを設定した。
次に、被加工物11を複数のチップに分割した。具体的には、2枚の被加工物11をそれぞれ異なる手順で分割することにより、比較例2に係るチップと実施例2に係るチップとを形成した。
比較例2に係るチップは、被加工物11に切削溝を分割予定ライン13a,13bに沿って形成した後、被加工物11に外力を付与することによって形成した。具体的には、まず、切削ブレード28を振動させつつ被加工物11に切り込ませることにより、分割予定ライン13a,13bに沿って切削溝23(図7(B)参照)を形成した。すなわち、比較例2においては、分割予定ライン13aに沿う切削溝23(図8参照)に加えて、更に、分割予定ライン13bに沿う切削溝23を形成した。これにより、被加工物11には切削溝23が格子状に形成された。
なお、切削ブレード28は、振動数が41kHz、切削ブレード28の直径の変動量が5μmになるように振動させた。また、切削ブレード28の切り込み深さ(切削溝23の深さ)は135μm、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
その後、テープ19を引っ張り、テープ19を半径方向外側に拡張した(図11(A)及び図11(B)参照)。なお、テープの拡張速度は100mm/s、テープ拡張量は25mmに設定した。これにより、被加工物11に外力を付与し、切削溝23を起点として被加工物11を分割予定ライン13a,13bに沿って複数のチップ(比較例2に係るチップ)に分割した。
一方、実施例2に係るチップは、実施形態1において説明した第1切削ステップ、第2切削ステップ、分割ステップを順に実施することによって形成した。具体的には、まず、切削ブレード28を振動させつつ被加工物11に切り込ませることにより、分割予定ライン13aに沿って切削溝23を形成した(図7(A)及び図7(B)参照)。なお、切削溝23を形成する際の加工条件は、比較例2と同様である。
次に、切削ブレード28を振動させずに被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を分割予定ライン13bに沿って切断した(フルカット、図9(A)及び図9(B)参照)。なお、切削ブレード28の回転数は30000rpm、加工送り速度(チャックテーブル22の移動速度)は10mm/sに設定した。
その後、テープ19を引っ張り、テープ19を半径方向外側に拡張した(図11(A)及び図11(B)参照)。なお、テープの拡張の条件は、比較例2と同様である。これにより、被加工物11に外力を付与し、切削溝23を起点として被加工物11を分割予定ライン13aに沿って複数のチップ(実施例2に係るチップ)に分割した。
そして、分割後の被加工物11を観察し、被加工物11が分割予定ライン13a,13bに沿って適切に分割されているか否かを確認した。具体的には、隣接するチップとの間に隙間が形成されているチップ(分割済みチップ)の数をカウントした。そして、チップの総数(2600個)に対する分割済みチップの数を、分割率(分割の成功率)として算出した。比較例2に係るチップと実施例2に係るチップとの分割率は、それぞれ表3の通りであった。
Figure 2022134247000004
表3に示すように、実施例2に係る方法によって被加工物11を分割すると、チップの分割率が比較例2よりも大幅に向上した。この分割率の向上は、被加工物11が分割予定ライン13bに沿って複数の個片に分割された状態(図10参照)で、被加工物11に外力を付与することにより、各個片に外力が付与されやすくなったことに起因していると推察される。
以上の評価結果より、本発明に係るチップの製造方法を用いることにより、被加工物11の欠けの発生が効果的に抑制されるとともに、被加工物11の分割率が大幅に向上することが確認された。
11 被加工物
11a 表面
11b 裏面
13a,13b 分割予定ライン(ストリート)
15 デバイス
17a,17b オリエンテーションフラット(切り欠き部)
19 テープ
21 フレーム
21a 開口
23 切削溝
25 カーフ(切り口)
27 亀裂(クラック)
29 チップ(デバイスチップ)
31 テープ
2 切削装置
4 基台
4a,4b 開口
6 カセット支持台
8 カセット
10 搬送ユニット(搬送機構)
10a 把持部
12 仮置き領域
14 ガイドレール
16 搬送ユニット(搬送機構)
18 移動ユニット(移動機構)
18a 移動テーブル
20 防塵防滴カバー
22 チャックテーブル(保持テーブル)
22a 保持面
24 クランプ
26 切削ユニット
28 切削ブレード
28a 第1面
28b 第2面
28c 開口
30 撮像ユニット
32 洗浄ユニット(洗浄機構)
34 搬送ユニット(搬送機構)
36 表示部(表示ユニット、表示装置)
38 入力部(入力ユニット、入力装置)
40 制御部(制御ユニット、制御装置)
42 ハウジング
44 スピンドル
44a ねじ部(雄ねじ)
46 マウント
46a 開口
48 フランジ部
48a 表面
48b 凸部
48c 貫通孔(スリット)
50 支持軸(ボス部)
50a ねじ部(雄ねじ)
52 固定ナット
54 フランジ(押さえフランジ)
54a 第1面(表面)
54b 第2面(裏面)
54c 開口
54d 凸部
54e 貫通孔(スリット)
56 固定ナット
58a,58b 支持部材
60 振動付与ユニット
60a,60b 振動子
62a,62b 圧電体
64a,64b 電極
66a,66b 絶縁体
68a,68b 配線
70a,70b,70c,70d リード線
72a,72b 接続電極
74 電圧供給ユニット
76 受電部(受電ユニット)
78 コア
78a 凹部
80 コイル(受電コイル)
82 給電部(給電ユニット)
84 コア
84a 凹部
86 コイル(給電コイル)
88a,88b 配線
90 交流電源
92 周波数変換器

Claims (7)

  1. 互いに交差する第1分割予定ライン及び第2分割予定ラインによって複数の領域に区画された被加工物を分割して複数のチップを製造するチップの製造方法であって、
    第1切削ブレードを該第1分割予定ラインに沿って該被加工物に切り込ませることにより、深さが該被加工物の厚さ未満の切削溝を該第1分割予定ラインに沿って形成する第1切削ステップと、
    第2切削ブレードを該第2分割予定ラインに沿って該被加工物に切り込ませることにより、該被加工物を該第2分割予定ラインに沿って分割する第2切削ステップと、
    該被加工物に外力を付与することにより、該切削溝を起点として該被加工物を該第1分割予定ラインに沿って分割する分割ステップと、を含むことを特徴とするチップの製造方法。
  2. 該被加工物は、該第1分割予定ラインから進展する欠けが該第2分割予定ラインから進展する欠けよりも生じやすい結晶性ウェーハであることを特徴とする請求項1記載のチップの製造方法。
  3. 該被加工物は、該被加工物の結晶方位を示すオリエンテーションフラットを有し、
    該第1分割予定ライン又は該第2分割予定ラインの一方は、該オリエンテーションフラットと平行な方向に沿って設定され、
    該第1分割予定ライン又は該第2分割予定ラインの他方は、該オリエンテーションフラットと垂直な方向に沿って設定されることを特徴とする請求項2に記載のチップの製造方法。
  4. 該第1切削ステップでは、該第1切削ブレードを超音波帯域に属する振動数で該第1切削ブレードの径方向に沿って振動させながら、該被加工物に切り込ませることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のチップの製造方法。
  5. 該第2切削ステップでは、該第2切削ブレードを超音波帯域に属する振動数で該第2切削ブレードの径方向に沿って振動させながら、該被加工物に切り込ませることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のチップの製造方法。
  6. 該第1切削ステップの実施後、且つ、該分割ステップの実施前に、該第2切削ステップを実施することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のチップの製造方法。
  7. 該被加工物にテープを貼付するテープ貼付ステップを更に含み、
    該分割ステップでは、該テープを拡張することによって該被加工物に該外力を付与することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のチップの製造方法。
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