JP2022131141A - 車両前部構造 - Google Patents

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仁嗣 末廣
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Abstract

【課題】車両前部構造において、アブソーバの下方においてフロントバンパリンフォースの前方にスペースが形成される場合であっても、車両衝突時の荷重をフロントバンパリンフォースに伝達することができる構造を提供する。【解決手段】車両の前部にて車両幅方向に沿って延在するアブソーバ14が配置され、アブソーバ14の車両後方側にて車両幅方向に沿って延在するフロントバンパリンフォース16が配置され、アブソーバ14とフロントバンパリンフォース16との間にて車両幅方向に沿って延在する荷重伝達部材18が配置される。荷重伝達部材18の上部20は、アブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16と接しており、荷重伝達部材18の下部22は、フロントバンパリンフォース16と接し、車両前方側へアブソーバ14の下方まで延在している。【選択図】図4

Description

本開示は、車両前部構造に関し、特に衝突時の荷重を軽減する構造に関する。
特許文献1には、フロントバンパカバーとフロントバンパリンフォースとの間にアブソーバが設けられた車両前部構造が記載されている。この車両前部構造においては、車両の前方から順に、軟質アブソーバ、衝突検知センサ、及び、硬質アブソーバが配置されている。
特開2009-40423号公報
ところで、衝突検知センサの検知精度は、衝突検知センサに隣接するアブソーバの形状及び厚さによって変動し、車両の形状に応じてアブソーバの形状及び厚さを変えると、衝突検知センサの検知精度が低下する可能性がある。これを回避するために、衝突検知センサの検知精度を低下させないようにアブソーバの形状及び厚さを設計し、車種毎にアブソーバの形状及び厚さを変えずに、車種間でアブソーバの形状及び厚さを共通化させることが考えられる。しかし、このような共通化を行うと、車種によってはアブソーバの下方においてフロントバンパリンフォースの前方にスペースが形成される場合がある。その場合、物体と車両との衝突時にアブソーバの下方のスペースに当該物体が潜り込み、衝突荷重がフロントバンパリンフォースに伝達され難くなることがある。
本開示の目的は、車両前部構造において、アブソーバの下方においてフロントバンパリンフォースの前方にスペースが形成される場合であっても、車両衝突時の荷重をフロントバンパリンフォースに伝達することができる構造を提供することにある。
本開示に係る車両前部構造は、車両の前部にて車両幅方向に沿って延在するアブソーバと、前記アブソーバの車両後方側に配置されて車両幅方向に沿って延在するフロントバンパリンフォースと、前記アブソーバと前記フロントバンパリンフォースとの間に設けられ車両幅方向に沿って延在する荷重伝達部材と、前記アブソーバと前記荷重伝達部材との間に設けられた衝突検知センサと、を有し、前記荷重伝達部材の上部は、前記アブソーバ及び前記フロントバンパリンフォースと接しており、前記荷重伝達部材の下部は、前記フロントバンパリンフォースと接し、車両前方側へ前記アブソーバの下方まで延在している、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、荷重伝達部材の上部においては、アブソーバと荷重伝達部材を介して衝撃荷重をフロントバンパリンフォースに伝達することができる。また、荷重伝達部材の下部においては、荷重伝達部材を介して衝突荷重がフロントバンパリンフォースに伝達されるため、車両衝突時にアブソーバの下方においてフロントバンパリンフォースの前方に潜り込んだ物体の荷重をフロントバンパリンフォースに伝達することができる。更に、仮に、車種毎にアブソーバの形状及び厚さを変えずに車種間で共通化した場合であっても、荷重伝達部材の形状及び厚さを調整することで、車体に合わせてアブソーバを配置することができる。これにより、車体の意匠の自由度を確保することができる。
本開示に係る車両前部構造によれば、アブソーバの下方においてバンパリンフォースの前方にスペースが形成される場合であっても、車両衝突時の荷重をバンパリンフォースに伝達することができる。
本実施形態に係る車両の前部の外観を示す斜視図である。 本実施形態に係る車両の前部の分解斜視図である。 本実施形態に係る荷重伝達部材の斜視図である。 図1のA-A断面図であり、衝突試験用の打撃子を車両前部に臨ませた状態を示す図である。 図1のA-A断面図であり、打撃子を打撃した状態を示す図である。 図1のA-A断面図である。 変形例に係る車両の前部の断面図である。
以下、図1から図6を参照して、本実施形態に係る車両前部構造について説明する。図1は、本実施形態に係る車両の前部の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る車両の前部の分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る荷重伝達部材の斜視図である。図4から図6は、図1のA-A断面図である。これらの図において適宜示される矢印FRは、車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。
車両前部構造10は、車両前部の最先端に配置されると共に車両幅方向に沿って延在し意匠面を構成するフロントバンパカバー12と、このフロントバンパカバー12の車両後方側に配置されてフロントバンパカバー12に沿って車両幅方向に延在するバンパ緩衝部材としてのアブソーバ14と、このアブソーバ14の車両後方側に配置されて車両幅方向に沿って延在するバンパ補強部材としてのフロントバンパリンフォース16と、を含む。
アブソーバ14は、例えば、ウレタンフォーム等の発泡性材料によって所定の硬度に構成されており、物体との衝突時に車両前後方向に圧縮変形してエネルギーを吸収するようになっている。
フロントバンパリンフォース16は、高剛性部材によって構成されており、図示しない左右一対のフロントサイドメンバに、直接又は他の部材を介して接合されている。
また、アブソーバ14とフロントバンパリンフォース16との間には、車両幅方向に沿って延在する荷重伝達部材18が設けられている。図4に示されるように、荷重伝達部材18の上部20は、アブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16と接しており、荷重伝達部材18の下部22は、車両後方側にてフロントバンパリンフォース16と接し、車両前方側へアブソーバ14の下方まで延在している。
また、アブソーバ14と荷重伝達部材18の上部20との間には、衝突検知センサとして機能する圧力検知チューブ24が設けられている。車両衝突時に圧力検知チューブ24によって衝突が検知されると、ポップアップフード(PUH)26が瞬間的に持ち上がり、歩行者への衝撃が緩和されるようになっている。アブソーバ14には、車両衝突時における歩行者脚部保護のためのエネルギー吸収とポップアップフード26作動とを両立させる最適な厚さd(車両前後方向の厚さ)があり、その厚さdを一定に保つことで、車種毎にアブソーバ14の性能を安定して確保することができる。なお、ポップアップフード26は意匠面を構成する。
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態に係る車両前部構造10の作用及び効果について説明する。
ここでは一例として、振子衝突試験が実行される場合について説明する。振子衝突試験は、打撃子を振子に取り付け、それを規定速度で落下させて車両前部に衝突させる試験である。
図5には、ある高さ(例えば20インチの高さ)に設置された打撃子28を車両前部構造10に衝突させたときの様子が示されている。図5に示す例では、打撃子28の高さは、アブソーバ14の高さに対応している。打撃子28が車両前部構造10に衝突すると、その際の衝突荷重は、車両最外側に配置されたフロントバンパカバー12に加えられる。図5に示す例では、その衝突時における打撃子28の位置はアブソーバ14の位置に対応しており、打撃子28はアブソーバ14の前方にてフロントバンパカバー12に衝突している。そのため、フロントバンパカバー12に加えられた衝突荷重は、その車両後方側に配置されたアブソーバ14に伝達される。衝突荷重はアブソーバ14によって緩衝(つまりエネルギー吸収)された後、圧力検知チューブ24に伝達される。これにより、物体と衝突したことが圧力検知チューブ24によって検知され、ポップアップフード26が持ち上がる。また、衝突荷重は、荷重伝達部材18の上部20を介してフロントバンパリンフォース16に伝達され、車両へのダメージが軽減される。
図6には、別の高さ(例えば16インチの高さ)に設置された打撃子30を車両前部構造10に衝突させたときの様子が示されている。図6に示す例では、衝突時における打撃子30はアブソーバ14よりも低い位置に配置されているため、衝突によって打撃子30はアブソーバ14の下方のスペースに潜り込もうとする。
仮に、本実施形態に係る荷重伝達部材18の下部22が設けられていないとすると、破線30Aが指し示すように、打撃子30は、アブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16の下方に潜り込む。アブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16によって衝突荷重が受け止められないため、衝突荷重は車両後方側へ伝達され、その結果、車両へのダメージが増大する。振子試験では、振子のストロークが増大するほど、そのダメージが増大する。
これに対して、本実施形態では、荷重伝達部材18の下部22がアブソーバ14の下方まで延在しているため、破線30Bが指し示すように、アブソーバ14の下方に潜り込もうとする打撃子30は下部22と衝突し、衝突荷重が下部22に受け止められる。これにより、打撃子30がアブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16の下方に潜り込むことを阻止し、車両へのダメージを軽減することが可能となる。また、衝突荷重は、下部22を介してフロントバンパリンフォース16に伝達されて軽減される。これにより、車両へのダメージが軽減される。なお、歩行者との衝突時における歩行者保護の観点から、下部22は、アブソーバ14よりも車両前方側に突出しないように配置されている。
以上のように、本実施形態に係る車両前部構造10によれば、アブソーバ14の下方においてフロントバンパリンフォース16の前方にスペースが形成される場合であっても、車両衝突時の荷重をフロントバンパリンフォース16に伝達することが可能となり、その結果、車両へのダメージを軽減することが可能となる。
また、近年、フロントバンパ周りには、歩行者保護や軽衝突による自車へのダメージ軽減等の要求が増えている。その要求を満たすために、上述したように、フロントバンパリンフォース16の前方に、衝撃吸収材であるアブソーバ14と衝突検知センサである圧力検知チューブ24とが配置される。
プラットフォーム共通化によってフロントバンパリンフォース16の位置が一定の位置に定まると、車種毎に意匠の自由度を確保するためには、アブソーバ14の形状及び厚さを車種毎に変える必要がある。そのため、開発工数が増大し、また、アブソーバ14本来の要求性能を満たさない可能性がある。これとは逆に、歩行者保護やポップアップフード26作動の観点から、車種毎にアブソーバ14の形状及び厚さを変えずに、その形状及び厚さを車種間で共通化すると、車種毎に意匠の自由度を確保するためには、フロントバンパリンフォース16の形状及び位置を車種毎に設計する必要がある。また、車種間でアブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16を共通化すると、車種毎の意匠の自由度を犠牲にすることになる。
本実施形態によれば、車種間でアブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16を共通化した場合であっても、荷重伝達部材18の形状及び厚さを調整することで、車体の意匠の自由度を確保しつつ、その意匠を有する車体に合わせてアブソーバ14及びフロントバンパリンフォース16を配置することが可能となる。
以下、図7を参照して、変形例について説明する。図7は、変形例に係る車両の前部の断面図である。
変形例においては、フロントバンパリンフォース16の車両前方側にアブソーバ14が配置され、アブソーバ14の車両前方側に荷重伝達部材32が配置されている。荷重伝達部材32は、例えばフロントバンパカバー12に設置されている。変形例においても、荷重伝達部材32の下部がアブソーバ14の下方に延在して配置されており、これにより、上述した実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
10 車両前部構造、12 フロントバンパカバー、14 アブソーバ、16 バンパリンフォース、18 荷重伝達部材、20 荷重伝達部材の上部、22 荷重伝達部材の下部、24 圧力検知チューブ、26 ポップアップフード。

Claims (1)

  1. 車両の前部にて車両幅方向に沿って延在するアブソーバと、
    前記アブソーバの車両後方側に配置されて車両幅方向に沿って延在するフロントバンパリンフォースと、
    前記アブソーバと前記フロントバンパリンフォースとの間に設けられ車両幅方向に沿って延在する荷重伝達部材と、
    前記アブソーバと前記荷重伝達部材との間に設けられた衝突検知センサと、
    を有し、
    前記荷重伝達部材の上部は、前記アブソーバ及び前記フロントバンパリンフォースと接しており、
    前記荷重伝達部材の下部は、前記フロントバンパリンフォースと接し、車両前方側へ前記アブソーバの下方まで延在している、
    ことを特徴とする車両前部構造。
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