JP2022128993A - 回転電機および駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルエンドの温度を正確に測定できる回転電機を提供する。【解決手段】回転電機2は、ロータと、ロータの径方向外側に位置するステータ30と、ステータの温度を測定する温度検出部70と、ステータに冷媒を供給する冷媒供給部10と、を備える。ステータは、ステータコアと、ステータコアに保持されるコイルアセンブリ33と、を有する。コイルアセンブリは、ステータコアから軸方向に突出するコイルエンド33bと、複数のコイル引出線と、複数のコイル引出線の端部同士を電気的に接続し、コイルエンドに配置される少なくとも1つの中性点部材37と、を有する。温度検出部は、コイルエンドの周方向の一部の領域である温度検出領域に配置される。冷媒供給部は、コイルエンドの温度検出領域に向けて開口する冷媒供給孔15a~15cを有する。少なくとも1つの中性点部材は、少なくとも一部が温度検出領域に配置される。【選択図】図7

Description

本発明は、回転電機および駆動装置に関する。
回転電機は、中心軸を中心として回転可能なロータと、ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。従来、回転電機は、例えば特許文献1に示すように、ハイブリッド車や電気自動車等の動力源として用いられる。特許文献1の回転電機は、コイルエンド部に接触配置されてコイル温度を検出する温度検出手段を備える。温度検出手段は、コイルエンド部上の位置に冷媒と直接接触しないように設けられる。
特許第4563475号公報
ステータのコイルのU相、V相およびW相の各相で電流値にばらつきが生じる場合がある。このような場合に、コイルエンドの温度を正確に測定することは難しかった。
本発明は、コイルエンドの温度を正確に測定できる回転電機および駆動装置を提供することを目的の1つとする。
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、前記ステータの温度を測定する温度検出部と、前記ステータに冷媒を供給する冷媒供給部と、を備える。前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに保持されるコイルアセンブリと、を有する。前記コイルアセンブリは、前記ステータコアから軸方向に突出するコイルエンドと、複数のコイル引出線と、複数の前記コイル引出線の端部同士を電気的に接続し、前記コイルエンドに配置される少なくとも1つの中性点部材と、を有する。前記温度検出部は、前記コイルエンドの周方向の一部の領域である温度検出領域に配置される。前記冷媒供給部は、前記コイルエンドの前記温度検出領域に向けて開口する冷媒供給孔を有する。少なくとも1つの前記中性点部材は、少なくとも一部が前記温度検出領域に配置される。
本発明の駆動装置の一つの態様は、上述の回転電機と、前記回転電機に接続される減速装置と、前記減速装置を介して前記回転電機に接続される差動装置と、前記回転電機、前記減速装置および前記差動装置を収容するハウジングと、を備える。前記冷媒供給部は、前記ハウジング内で循環する前記冷媒を前記ステータへ供給する。
本発明の一つの態様の回転電機および駆動装置によれば、コイルエンドの温度を正確に測定できる。
図1は、本実施形態の駆動装置を模式的に示す概略構成図である。 図2は、本実施形態の駆動装置を示す斜視図である。 図3は、本実施形態の駆動装置を示す部分断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。 図4は、本実施形態の駆動装置の一部を示す斜視図である。 図5は、本実施形態のステータの一部を示す斜視図である。 図6は、本実施形態の回転電機の一部を示す斜視図である。 図7は、本実施形態の回転電機の一部を示す正面図である。 図8は、本実施形態の回転電機を模式的に示す概略構成図である。 図9は、本実施形態の回転電機の一部を示す正面図である。 図10は、本実施形態の第1変形例の回転電機の一部を示す正面図である。 図11は、本実施形態の第2変形例の回転電機の一部を示す正面図である。 図12は、本実施形態の第3変形例の回転電機の一部を示す正面図である。
以下の説明では、各図に示す実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
回転電機2は、車両の動力源である。回転電機2は、車軸55を駆動させるモータである。このため回転電機2は、モータ2と言い換えてもよく、回転電機2の中心軸J1は、モータ軸J1と言い換えてもよい。各図に適宜示す中心軸J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向、すなわち、中心軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。周方向のうち、所定の方向を周方向一方側θ1と呼び、周方向一方側θ1とは反対方向を周方向他方側θ2と呼ぶ。図7に示すように本実施形態では、回転電機2を左側(+Y側)から見て、周方向一方側θ1は、中心軸J1回りのうち反時計回りの方向に相当し、周方向他方側θ2は、時計回りの方向に相当する。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。図1に示すように、駆動装置1は、ハウジング6と、インバータユニット8と、回転電機2と、伝達装置3と、を備える。伝達装置3は、減速装置4および差動装置5を含む。すなわち、駆動装置1は、減速装置4と、差動装置5と、を備える。
ハウジング6は、回転電機2、減速装置4および差動装置5を収容する。ハウジング6は、モータ収容部81と、ギヤ収容部82と、隔壁61cと、を有する。モータ収容部81は、内部に後述するロータ20およびステータ30を収容する部分である。ギヤ収容部82は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部82は、モータ収容部81の左側(+Y側)に位置する。モータ収容部81の底部81aは、ギヤ収容部82の底部82aより上側に位置する。隔壁61cは、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とを軸方向に区画する。隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とを繋ぐ。
モータ収容部81の内部およびギヤ収容部82の内部には、オイルOが収容される。ギヤ収容部82の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部81の内部に送られる。モータ収容部81の内部に送られたオイルOは、モータ収容部81の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部81の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動し、オイル溜りPに戻る。
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、回転電機が駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、回転電機が停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部81の内部にオイルOが収容されるとは、回転電機2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部81の内部にオイルOが位置していればよく、回転電機2が停止している際においては、モータ収容部81の内部のオイルOがすべて隔壁開口68を通ってギヤ収容部82に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部81の内部へと送られたオイルOの一部は、回転電機2が停止した状態において、モータ収容部81の内部に残っていてもよい。
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、回転電機2の冷却用として使用される。つまり本実施形態の冷媒は、オイルOである。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
ギヤ収容部82の底部82aは、モータ収容部81の底部81aよりも下側に位置する。そのため、ギヤ収容部82内からモータ収容部81内に送られたオイルOが隔壁開口68を介してギヤ収容部82内に流れやすい。図2に示すように、ギヤ収容部82は、前後方向に延びる。ギヤ収容部82の前側(+X側)の端部は、モータ収容部81の左側(+Y側)の端部に繋がる。ギヤ収容部82の後側(-X側)の端部は、モータ収容部81よりも後側に突出する。
インバータユニット8は、モータ収容部81の後側(-X側)に位置する。インバータユニット8は、軸方向に長い略直方体状である。インバータユニット8の左側(+Y側)の端部は、ギヤ収容部82のうちモータ収容部81よりも後側に突出する部分の上側に位置する。図3に示すように、インバータユニット8は、回転電機2の後側に位置する。インバータユニット8は、インバータケース8aと、制御部8bと、を有する。
インバータケース8aは、軸方向に長い略直方体の箱状である。インバータケース8aは、モータ収容部81の後側(-X側)の壁部に例えばネジで取り付けられる。制御部8bは、回転電機2および後述するオイルポンプ96を制御する。より詳細には、制御部8bは、後述する温度検出部70の検出結果に基づいて、回転電機2およびオイルポンプ96を制御する。制御部8bは、インバータケース8aの内部に収容される。制御部8bは、回転電機2に電力を供給するインバータ8cを有する。すなわち、インバータユニット8は、インバータ8cを有する。
図4に示すように、インバータユニット8は、インバータケース8aの前側(+X側)の壁部から前側に突出する第2バスバー8dを有する。第2バスバー8dは、インバータケース8aの前側の壁部を前後方向に貫通する。図示は省略するが、第2バスバー8dのうちインバータケース8aの内部に位置する部分は、インバータ8cと電気的に接続される。第2バスバー8dは、例えば、3つ設けられる。3つの第2バスバー8dは、左右方向に間隔を空けて並んで配置される。
本実施形態において回転電機2は、インナーロータ型のモータである。図1に示すように、回転電機2は、ロータ20と、ステータ30と、ベアリング26,27と、を有する。ロータ20は、鉛直方向と直交する水平方向に延びる中心軸J1を中心として回転可能である。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。
図3に示すように、ロータ本体24の下側の端部は、モータ収容部81の内部に収容されるオイルOの油面Smよりも上側に位置する。そのため、ロータ20が回転する際に、モータ収容部81の内部に収容されたオイルOが抵抗となることを抑制できる。ロータ本体24の下側の端部は、ロータ20の下側の端部である。
図1に示すように、シャフト21は、中心軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、中心軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部81とギヤ収容部82とに跨って延びる。シャフト21の左側(+Y側)の端部は、ギヤ収容部82の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ロータ20を囲む。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、モータ収容部81の内周面に固定される。図3から図6に示すように、ステータコア32は、ステータコア本体32aと、固定部32bと、を有する。図示は省略するが、ステータコア本体32aは、軸方向に延びる円筒状のコアバックと、コアバックから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。
固定部32bは、ステータコア本体32aの外周面から径方向外側に突出する。固定部32bは、モータ収容部81に固定される部分である。図6に示すように、固定部32bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。固定部32bのうちの1つは、ステータコア本体32aから上側に突出する。固定部32bのうち他の1つは、ステータコア本体32aから後側(-X側)に突出する。固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。図示は省略するが、ステータ30は、貫通孔32cに通されたネジがモータ収容部81に締め込まれることで、ハウジング6に固定される。
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、ステータコア32に保持される。コイルアセンブリ33は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図8に模式的に示すように、本実施形態において複数のコイル31は、スター結線されて複数相の交流回路を構成する。複数のコイル31は、例えば、U相、V相およびW相を含む3相の交流回路を構成する。
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、ステータコア32から右側(-Y側)に突出する部分である。コイルエンド33bは、ステータコア32から左側(+Y側)に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分によって構成される。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分によって構成される。本実施形態においてコイルエンド33a,33bは、中心軸J1を中心とする円環状である。
図7に示すように、コイルエンド33bは、互いに相が異なる少なくとも3つのコイル渡り線部33U,33V,33Wを有する。コイル渡り線部33U,33V,33Wは、周方向に延びる。コイル渡り線部33U,33V,33Wは、周方向に並んで配置される。図7では、コイル渡り線部33Uとコイル渡り線部33Vとが、コイルエンド33bのうち径方向外端部に位置し、コイル渡り線部33Wが、コイルエンド33bのうち径方向内端部に位置する。コイル渡り線部33Uとコイル渡り線部33Wとは、径方向から見て互いの一部同士が重なる。コイル渡り線部33Vとコイル渡り線部33Wとは、径方向から見て互いの一部同士が重なる。特に図示しないが、各コイル渡り線部33U,33V,33Wは、周方向に沿ってそれぞれ複数設けられる。
図5に示すように、コイルアセンブリ33は、コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wと、中性点部材37と、結束部材38と、を有する。コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、コイルアセンブリ33に複数設けられる。コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、コイル31から引き出される。本実施形態においてコイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、コイル31を構成する導線の一部である。コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、それぞれ絶縁チューブ39によって被覆され、コイルエンド33b上を這い回される。
コイル引出線36U,36V,36Wは、後述する第1バスバー100および第2バスバー8dを介してインバータ8cと電気的に接続されるコイル引出線である。コイル引出線36Uとコイル引出線36Vとコイル引出線36Wとには、インバータ8cからそれぞれ位相が異なる交流電流が流される。コイル引出線36Uの先端部は、端子部34Uである。コイル引出線36Vの先端部は、端子部34Vである。コイル引出線36Wの先端部は、端子部34Wである。すなわち、コイルアセンブリ33は、端子部34U,34V,34Wを有する。
端子部34U,34V,34Wは、コイルエンド33bから径方向外側に突出する。本実施形態において端子部34U,34V,34Wは、コイルエンド33bから後側(-X側)斜め上方に突出する。図3に示すように、端子部34U,34V,34Wは、前後方向において中心軸J1よりも後側(-X側)に位置する。端子部34U,34V,34Wは、中心軸J1よりも上側に位置する。端子部34Uと端子部34Vと端子部34Wとは、周方向に沿って間隔を空けて並んで配置される。端子部34Uと端子部34Vと端子部34Wとは、後述する第1バスバー100および第2バスバー8dを介して、インバータ8cと電気的に接続される。端子部34U,34V,34Wの先端部には、それぞれ圧着端子34aが設けられる。端子部34U,34V,34Wは、圧着端子34aを介して第1バスバー100に電気的に接続される。
図5および図8に示すように、コイル引出線37U,37V,37Wは、中性点部材37を介して先端部が互いに接続されるコイル引出線である。中性点部材37は、コイル引出線37Uの先端部とコイル引出線37Vの先端部とコイル引出線37Wの先端部とを、中性点として電気的に接続する。つまり中性点部材37は、複数のコイル引出線37U,37V,37Wの端部同士を電気的に接続する。図5に示すように、コイル引出線37U,37V,37Wおよび中性点部材37は、コイルエンド33bの左側(+Y側)を向く面上を周方向に沿って這い回される。すなわち、コイル引出線37U,37V,37Wおよび中性点部材37は、コイルエンド33bに配置される。中性点部材37は、コイルアセンブリ33に少なくとも1つ設けられる。特に図示しないが、本実施形態では中性点部材37が、コイルエンド33b上に周方向に等ピッチで4つ設けられる。すなわち、コイル引出線37U,37V,37Wおよび中性点部材37の組は、複数設けられる。
複数の中性点部材37のうち少なくとも1つは、コイルエンド33bの中心軸J1よりも上側に位置する部分に配置される。図7に示す中性点部材37は、コイルエンド33bの上端部に配置される。中性点部材37は、軸方向から見て、周方向においてコイル渡り線部33Uとコイル渡り線部33Vとの間に配置される。また中性点部材37は、軸方向から見て、コイル渡り線部33Wの径方向外側に配置される。
図5に示すように、結束部材38は、絶縁チューブ39で被覆されたコイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wとコイルエンド33bとをまとめて結束する環状の部材である。結束部材38は、さらに中性点部材37を結束してもよい。結束部材38は、複数設けられる。図5では、コイル引出線37U,37V,37Wとコイルエンド33bとを結束する2つの結束部材38を示す。結束部材38は、例えば、紐であってもよいし、プラスチック製のバンドであってもよい。結束部材38により結束されたコイルアセンブリ33の一部は、ワニス等により一体的に固められる。
図1に示すように、ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側(-Y側)に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部81のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部に保持される。
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側(+Y側)に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁61cに保持される。
図4および図7に示すように、回転電機2は、第1バスバー100と、端子台110と、冷媒供給部10と、温度検出部70と、を有する。すなわち、駆動装置1は、第1バスバー100と、端子台110と、冷媒供給部10と、温度検出部70と、を備える。第1バスバー100は、端子部34U,34V,34Wが接続されるバスバーである。本実施形態において第1バスバー100は、例えば、3つ設けられる。3つの第1バスバー100の一端部は、端子部34U,34V,34Wのそれぞれに接続される。3つの第1バスバー100の他端部は、3つの第2バスバー8dのうちインバータケース8aの外部に突出した部分のそれぞれに接続される。
端子台110は、第1バスバー100を保持する部材である。端子台110は、軸方向に延びる。本実施形態において端子台110は、ステータコア本体32aの外周面のうち後側(-X側)かつ上側の部分に支持される。本実施形態において第1バスバー100および端子台110は、モータ収容部81の内部のうちステータ30とインバータユニット8との前後方向の間に位置する部分に設けられる。冷媒供給部10および温度検出部70については、後述する。
図1に示すように、伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部82に収容される。伝達装置3は、回転電機2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。回転電機2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
減速装置4は、回転電機2に接続される。減速装置4は、回転電機2の回転速度を減じて、回転電機2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、回転電機2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
第1のギヤ41は、シャフト21の左側(+Y側)の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、中心軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、中心軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
回転電機2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
差動装置5は、減速装置4を介して回転電機2に接続される。差動装置5は、回転電機2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、中心軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、回転電機2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
リングギヤ51の下側の端部は、ギヤ収容部82内のオイル溜りPの油面Sgよりも下側に位置する。これにより、リングギヤ51の下側の端部は、ギヤ収容部82内のオイルOに浸漬される。本実施形態においてオイル溜りPの油面Sgは、差動軸J3および車軸55よりも下側に位置する。
駆動装置1には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOを回転電機2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部81の内部とギヤ収容部82の内部とに跨って設けられる。
なお、本明細書において「油路」とは、オイル(冷媒)の経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、リザーバ93が設けられる。リザーバ93は、ギヤ収容部82内に設けられる。
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、リザーバ93でオイルOを受ける経路である。リザーバ93は、上側に開口する。リザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、回転電機2の駆動直後などオイル溜りPの油面Sgが高い場合等には、リザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
シャフト供給経路91bは、リザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、オイルOがシャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、リザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部81内の下部領域に溜る。モータ収容部81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPからステータ30の上側まで引き上げられてステータ30に供給される。すなわち、本実施形態において駆動装置1は、ステータ30に上側からオイルOを供給する油路として第2の油路92を備える。第2の油路92には、オイルポンプ96と、クーラー97と、冷媒供給部10と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、を有する。
第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cは、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、オイルポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97から上側に延びる。第3の流路92cは、モータ収容部81の壁部に設けられる。図6に示すように、第3の流路92cは、ステータ30の上側においてモータ収容部81の内部に開口する供給口92caを有する。供給口92caは、モータ収容部81の内部にオイルOを供給する。
オイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。図1に示すように、オイルポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92cおよび冷媒供給部10を介して、オイルOを回転電機2に供給する。
クーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。クーラー97には、第2の流路92bおよび第3の流路92cが接続される。第2の流路92bおよび第3の流路92cは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、図示しないラジエータで冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管97jが接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管97jを通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。なお、冷却水用配管97jの経路中には、インバータユニット8が設けられる。冷却水用配管97jを通過する冷却水は、インバータユニット8を冷却する。
冷媒供給部10は、第2の油路92の一部を構成する。冷媒供給部10は、モータ収容部81の内部に位置する。冷媒供給部10は、ステータ30の上側に位置する。図6に示すように、冷媒供給部10は、ステータ30によって下側から支持され、回転電機2に設けられる。冷媒供給部10は、例えば、樹脂材料から構成される。冷媒供給部10は、ハウジング6内で循環するオイルOをステータ30へ供給する。
なお、以下の説明においては、ある対象に対して、軸方向におけるステータ30の中心に近い側を「軸方向内側」と呼ぶ場合があり、軸方向におけるステータ30の中心から遠い側を「軸方向外側」と呼ぶ場合がある。
本実施形態において冷媒供給部10は、上側に開口し、鉛直方向に沿って視て略矩形枠状に延びる樋状である。すなわち、本実施形態の冷媒供給部10は、リザーバである。冷媒供給部10は、オイルOを貯留する。本実施形態において冷媒供給部10は、第3の流路92cを介してモータ収容部81内に供給されたオイルOを貯留する。すなわち、本実施形態において第3の流路92cは、冷媒供給部10にオイルOを供給する供給油路に相当する。本実施形態において冷媒供給部10は上側に開口する樋状であるため、冷媒供給部10の上側において第3の流路92cからオイルOを流出させることで、冷媒供給部10に容易にオイルOを供給できる。図6に示すように、冷媒供給部10は、第1油路部11と、第2油路部12と、一対の第3油路部13A,13Bと、第1固定部18と、支持リブ16a,16bと、を有する。第1油路部11、第2油路部12および一対の第3油路部13A,13Bはそれぞれ、冷媒供給部10の流路の一部つまり流路部を構成する。第1油路部11、第2油路部12および一対の第3油路部13A,13Bはそれぞれ、ステータ30の径方向外側に位置する。すなわち、冷媒供給部10は、ステータ30に対して径方向外側に配置されて内部にオイルOの通る流路部を有する。
第1油路部11および第2油路部12は、軸方向に延びる。第1油路部11と第2油路部12とは、前後方向に間隔を空けて配置される。第2油路部12は、鉛直方向に沿って視て第1油路部11との間で中心軸J1を挟む。第1油路部11は、中心軸J1よりも前側に位置する。第2油路部12は、中心軸J1よりも後側に位置する。
一対の第3油路部13A,13Bは、前後方向に延びる。一対の第3油路部13A,13Bは、軸方向に間隔を空けて配置される。一対の第3油路部13A,13Bは、それぞれ第1油路部11と第2油路部12とを繋ぐ。本実施形態において一対の第3油路部13A,13Bのうち一方の第3油路部13Aは、第1油路部11の右側の端部と第2油路部12の右側の端部とを繋ぐ。本実施形態において一対の第3油路部13A,13Bのうち他方の第3油路部13Bは、第1油路部11の左側の端部と第2油路部12の左側の端部とを繋ぐ。第1油路部11、第2油路部12および一対の第3油路部13A,13Bは、それぞれ上側に開口する横断面略U字状の樋状である。
第1油路部11は、ステータコア32の上側に位置する。本実施形態において第1油路部11は、複数の固定部32bのうちステータコア本体32aの外周面から上側に突出する上側の固定部32bの前側に位置する。
第1油路部11は、供給口92caの下側に位置する。これにより、第1油路部11は、供給口92caからモータ収容部81内に供給されるオイルOを受ける。すなわち、供給油路としての第3の流路92cは、冷媒供給部10のうち中心軸J1よりも前側(+X側)に位置する部分にオイルOを供給する。本実施形態において供給口92caは、第1油路部11の軸方向両側の端部よりも軸方向内側に離れた位置に配置される。
第1油路部11は、ステータ30に上側からオイルOを供給する第1オイル供給口17aを有する。つまり冷媒供給部10は、第1オイル供給口17aを有する。本実施形態において第1オイル供給口17aは、冷媒供給部10の底壁のうち第1油路部11に位置する部分を鉛直方向に貫通する貫通孔である。第1オイル供給口17aは、例えば、円形状である。第1オイル供給口17aは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第1オイル供給口17aは、ステータコア32の上側に離れて位置する。第1オイル供給口17aは、ステータコア32に向けて開口する。第1油路部11に供給されたオイルOの一部は、第1オイル供給口17aを介して第1油路部11の下側に流出し、ステータコア32に上側から供給される。このように本実施形態において第1オイル供給口17aは、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
本実施形態において第1オイル供給口17aは、第1油路部11が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。本実施形態において第1オイル供給口17aは、例えば、3つ設けられる。
第2油路部12は、ステータコア32の上側に位置する。本実施形態において第2油路部12は、上側の固定部32bの後側に位置する。そのため、第1油路部11と第2油路部12とは、上側の固定部32bを前後方向に挟んで配置される。第2油路部12の前後方向の寸法は、第1油路部11の前後方向の寸法よりも小さい。第2油路部12の下側の端部は、第1油路部11の下側の端部よりも下側に位置する。
第2油路部12には、第1固定部18が設けられる。第1固定部18は、第2油路部12のうち軸方向の中心よりも左側寄りの部分に設けられる。第1固定部18は、第2油路部12から上側に突出する。第1固定部18の後側の端部は、第2油路部12よりも後側に突出する。本実施形態において第1固定部18は、略直方体状である。第1固定部18は、第1固定部18を軸方向に貫通する貫通孔18aを有する。図示は省略するが、貫通孔18aには、モータ収容部81に締め込まれるネジが通される。貫通孔18aに通されるネジによって、第1固定部18は、ハウジング6に固定される。なお、貫通孔18aには、軸方向両側に開口する円筒状の金属部材が埋め込まれてもよい。この場合、第1固定部18を固定するネジは、当該金属部材に通される。
第2油路部12は、ステータ30に上側からオイルOを供給する図示しない第2オイル供給口を有する。つまり冷媒供給部10は、第2オイル供給口を有する。本実施形態において第2オイル供給口は、冷媒供給部10の底壁のうち第2油路部12に位置する部分を鉛直方向に貫通する貫通孔である。第2オイル供給口は、例えば、円形状または矩形状である。
第2オイル供給口は、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第2オイル供給口は、ステータコア32の上側に位置する。第2オイル供給口は、ステータコア32に向けて開口する。第2油路部12に供給されたオイルOの少なくとも一部は、第2オイル供給口を介して第2油路部12の下側に流出し、ステータコア32に上側から供給される。このように本実施形態において第2オイル供給口は、ステータコア32に上側からオイルOを供給する。
本実施形態において第2オイル供給口は、第2油路部12が延びる方向である軸方向に沿って複数設けられる。本実施形態において第2オイル供給口は、例えば、6つ設けられる。
第3油路部13Aは、ステータコア32よりも右側に位置する。第3油路部13Aは、コイルエンド33aの上側に位置する。第3油路部13Bは、ステータコア32よりも左側に位置する。第3油路部13Bは、コイルエンド33bの上側に位置する。本実施形態において、第3油路部13Aと第3油路部13Bとは、軸方向において略対称に配置される点を除いて、ほぼ同様の構成である。そのため、以下の説明においては、第3油路部13Aと第3油路部13Bとを代表して、第3油路部13Aについてのみ説明する場合がある。
第3油路部13Aは、底壁部13Aaと、一対の側壁部13Ab,13Acと、を有する。底壁部13Aaは、前後方向に延びる。底壁部13Aaは、板面が鉛直方向を向く板状である。底壁部13Aaの前側の端部は、第1油路部11の右側の端部に繋がる。底壁部13Aaの後側の端部は、第2油路部12の右側の端部に繋がる。底壁部13Aaのうち前後方向の中央部は、軸方向から見て、コイルエンド33aの上側の外周面に沿って上側に凸となる円弧状に湾曲する。底壁部13Aaの後側の端部は、底壁部13Aaの前側の端部よりも下側に位置する。
側壁部13Abは、底壁部13Aaの軸方向内側(左側)の縁部から上側に突出する。側壁部13Acは、底壁部13Aaの軸方向外側(右側)の縁部から上側に突出する。一対の側壁部13Ab,13Acは、前後方向に延びる。一対の側壁部13Ab,13Acは、板面が軸方向を向く板状である。側壁部13Abの前側の端部は、第1油路部11の右側の端部と繋がる。側壁部13Abの後側の端部は、第2油路部12の右側の端部と繋がる。
側壁部13Abは、前後方向の中央部に第2固定部13Adを有する。第2固定部13Adは、上側に突出する。第2固定部13Adは、第2固定部13Adを軸方向に貫通する貫通孔13Agを有する。貫通孔13Agは、軸方向に沿って視て、上側の固定部32bの貫通孔32cと重なる。貫通孔32cと貫通孔13Agとは、同心に配置される。貫通孔13Agの内径は、貫通孔32cの内径よりも大きい。
図示は省略するが、第2固定部13Adは、貫通孔13Agに埋め込まれる金属部材を有する。当該金属部材は、軸方向両側に開口する円筒状の部材である。当該金属部材の内側および貫通孔13Agには、ステータコア32をモータ収容部81に固定するネジが右側から通される。ステータコア32をモータ収容部81に固定するネジは、ステータコア32とともに、第2固定部13Adをモータ収容部81に共締めして固定する。このように本実施形態では、第1固定部18および第2固定部13Adがモータ収容部81に対してネジ止めされることで、冷媒供給部10がハウジング6に固定される。これにより、冷媒供給部10を強固に固定できる。
側壁部13Acの前側の端部は、第1油路部11の右側の端部と繋がる。側壁部13Acの後側の端部は、第2油路部12の右側の端部と繋がる。側壁部13Acの前側の端部は、第1油路部11に向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Aiである。側壁部13Acの後側の端部は、第2油路部12に向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Ajである。本実施形態において湾曲部13Ai,13Ajは、鉛直方向に沿って視て、一様な曲率半径で円弧状に湾曲する。
湾曲部13Aiは、上側に突出する凸部13Aeを有する。図示は省略するが、凸部13Aeの上側の端部は、例えば、モータ収容部81の内壁面のうち上側に位置する面と接触する。これにより、第3油路部13Aに流入するオイルOが湾曲部13Aiを乗り越えることを抑制でき、オイルOが第3油路部13Aから漏れることを抑制できる。
第3油路部13Aは、ステータ30に上側からオイルOを供給する第3オイル供給口14a,14b,14cを有する。第3オイル供給口14a,14b,14cは、前後方向に並んで複数設けられる。本実施形態において第3オイル供給口14a,14b,14cは、底壁部13Aaを鉛直方向に貫通する貫通孔である。第3オイル供給口14a,14b,14cは、例えば、円形状である。第3オイル供給口14a,14b,14cは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、第3オイル供給口14a,14b,14cは、コイルエンド33aの上側に位置する。第3油路部13Aに供給されたオイルOの一部は、第3オイル供給口14a,14b,14cを介して第3油路部13Aの下側に流出し、コイルエンド33aに上側から供給される。このように本実施形態において第3オイル供給口14a,14b,14cは、コイルエンド33aに上側からオイルOを供給する。
本実施形態において各第3オイル供給口14a,14b,14cは、それぞれ、軸方向に並んで複数設けられる。本実施形態において各第3オイル供給口14a,14b,14cは、それぞれ2つずつ、計6つ設けられる。詳しくは、第3オイル供給口14a,14b,14cのうち、第3オイル供給口14aは、底壁部13Aaの前側部分に配置され、第3オイル供給口14bは、底壁部13Aaの後側部分に配置され、第3オイル供給口14cは、底壁部13Aaの前後方向の中央部に配置される。
第3油路部13Aは、軸方向外側(右側)に突出するベアリングオイル供給部13Afを有する。ベアリングオイル供給部13Afは、第3油路部13Aの前後方向の中央部に位置する。ベアリングオイル供給部13Afは、ベアリング26の上側に位置する。ベアリングオイル供給部13Afは、凹溝部13Ahと、図示しないベアリングオイル供給口と、を有する。すなわち、冷媒供給部10は、凹溝部13Ahと、ベアリングオイル供給口と、を有する。凹溝部13Ahは、底壁部13Aaの上側の面のうち軸方向外側の縁部に設けられる。凹溝部13Ahは、下側に窪み、前後方向に延びる。ベアリングオイル供給口は、凹溝部13Ahの溝底面に設けられる。ベアリングオイル供給口は、底壁部13Aaを鉛直方向に貫通する貫通孔である。ベアリングオイル供給口は、ベアリング26の上側に位置する。ベアリングオイル供給口は、凹溝部13Ah内のオイルOをベアリング26に上側から供給する。そのため、冷媒供給部10を介して、ベアリング26に潤滑油としてオイルOを供給できる。
第3油路部13Bは、底壁部13Baと、一対の側壁部13Bb,13Bcと、を有する。側壁部13Bbは、側壁部13Abと異なり第2固定部13Adを有しない。側壁部13Bcの前側の端部は、第1油路部11に向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Biである。側壁部13Bcの後側の端部は、第2油路部12に向かって湾曲して滑らかに繋がる湾曲部13Bjである。湾曲部13Biは、上側に突出する凸部13Beを有する。凸部13Beの上側の端部は、凸部13Aeの上側の端部よりも下側に位置する。図示は省略するが、凸部13Beの上側の端部は、例えば、モータ収容部81の内壁面のうち上側に位置する面と接触する。これにより、第3油路部13Bに流入するオイルOが湾曲部13Biを乗り越えることを抑制でき、オイルOが第3油路部13Bから漏れることを抑制できる。
第3油路部13Bは、ベアリングオイル供給部13Bfを有する。ベアリングオイル供給部13Bfは、凹溝部13Bhと、図示しないベアリングオイル供給口と、を有する。ベアリングオイル供給部13Bfのベアリングオイル供給口は、ベアリング27に上側からオイルOを供給する。そのため、冷媒供給部10を介して、ベアリング27に潤滑油としてオイルOを供給できる。第3油路部13Bは、第3油路部13Aと同様に、複数の第3オイル供給口15a,15b,15cを有する。第3油路部13Bに設けられた第3オイル供給口15a,15b,15cは、コイルエンド33bに上側からオイルOを供給する。第3油路部13Bの第3オイル供給口15a,15b,15cは、本発明の冷媒供給孔に相当する。このため本実施形態では、第3オイル供給口15a,15b,15cを冷媒供給孔15a,15b,15cと呼ぶ場合がある。すなわち、冷媒供給部10は、冷媒供給孔15a,15b,15cを有する。冷媒供給孔15a,15b,15cは、冷媒供給部10に複数設けられる。
第3油路部13Bは、ガイド壁部13Bdを有する。ガイド壁部13Bdは、底壁部13Baの上側の面から上側に突出する。より詳細には、ガイド壁部13Bdは、底壁部13Baの上側の面のうち凹溝部13Bhの軸方向内側(右側)の縁部から上側に突出する。ガイド壁部13Bdは、湾曲部13Biから後側に直線状に延びる。ガイド壁部13Bdの後側の端部は、ベアリングオイル供給部13Bfのベアリングオイル供給口よりも前側に位置する。ガイド壁部13Bdは、第1油路部11から第3油路部13Bに流入したオイルOを後側に案内する。
支持リブ16aは、冷媒供給部10の底壁のうち第1油路部11に位置する部分から下側に突出する。本実施形態において支持リブ16aは、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。支持リブ16aは、例えば、3つ設けられる。支持リブ16aは、下側を向く支持面16cを有する。支持面16cは、ステータコア本体32aの外周面に沿って湾曲し、ステータコア本体32aの外周面に接触する。
支持リブ16bは、冷媒供給部10の底壁のうち第2油路部12に位置する部分から下側に突出する。本実施形態において支持リブ16bは、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。支持リブ16bは、例えば、3つ設けられる。支持リブ16bは、下側を向く支持面16dを有する。支持面16dは、ステータコア本体32aの外周面に沿って湾曲し、ステータコア本体32aの外周面に接触する。これにより、冷媒供給部10は、支持リブ16a,16bを介して、ステータコア32の上側に支持される。
図6において破線の矢印で示すように、第3の流路92cから供給口92caを介して第1油路部11に供給されたオイルOは、第1油路部11の長さ方向両側、すなわち軸方向両側に分岐して流れる。
第1油路部11に供給されたオイルOの一部は、第1オイル供給口17aを介してステータコア32に上側から供給される。第1油路部11に供給されたオイルOの他の一部は、第3油路部13A,13Bに流入する。
第3油路部13A,13Bに流入したオイルOの一部は、第3オイル供給口14a,14b,14c,15a,15b,15cを介してコイルエンド33a,33bに上側から供給される。第3油路部13A,13Bに流入したオイルOの他の一部は、凹溝部13Ah,13Bhに流入し、各ベアリングオイル供給口を介してベアリング26,27に上側から供給される。第3油路部13A,13Bに流入したオイルOのさらに他の一部は、第2油路部12の軸方向両端部から第2油路部12に流入する。
第2油路部12に流入したオイルOは、第3油路部13A,13Bのそれぞれから軸方向内側に流れる。第2油路部12に流入したオイルOは、第2オイル供給口を介してステータコア32に上側から供給される。
冷媒供給部10からステータ30およびベアリング26,27に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部81内の下部領域に溜る。モータ収容部81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部82に移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30およびベアリング26,27に供給する。
図7に示すように、回転電機2は、ステータ30の温度を測定する温度検出部70を備える。温度検出部70は、例えばサーミスタ等である。温度検出部70の種類は、ステータ30の温度を検出可能であれば、特に限定されない。温度検出部70は、例えば、一方向に延びる棒状である。本実施形態において温度検出部70は、コイルエンド33bに配置され、周方向に延びる。温度検出部70の検出結果は、温度検出部70から延びる図示しないケーブルを介して、制御部8bに送られる。ケーブルは、例えば、温度検出部70からコイルエンド33bに沿って這い回され、インバータケース8a内に引き込まれて、制御部8bと接続される。
本実施形態では、例えば、温度検出部70により測定されたステータ30の温度に基づいて、駆動装置1の駆動を制御する。ステータ30の温度に基づいた駆動装置1の制御とは、例えば、オイルポンプ96によって回転電機2に送られるオイルOの流量制御を含む。制御部8bは、例えば、ステータ30の温度が所定の温度よりも高い場合に、オイルポンプ96から回転電機2に送られるオイルOの流量を増加させることで、回転電機2の温度を低下させる。これにより、回転電機2の温度が高くなり過ぎることを抑制でき、駆動装置1に不具合が生じることを抑制できる。
本実施形態では温度検出部70が、コイルエンド33bに複数設けられる。複数の温度検出部70は、周方向の位置が互いに異なる。また、少なくとも2つの温度検出部70は、径方向の位置が互いに異なる。本実施形態では、温度検出部70が、3つのコイル渡り線部33U,33V,33Wにそれぞれ配置される。すなわち、温度検出部70が3つ設けられる。複数の温度検出部70は、U相のコイル渡り線部33Uに配置される温度検出部70Uと、V相のコイル渡り線部33Vに配置される温度検出部70Vと、W相のコイル渡り線部33Wに配置される温度検出部70Wと、を含む。各温度検出部70U,70V,70Wは、各コイル渡り線部33U,33V,33Wが延びる向きに沿ってそれぞれ延びる。
ここで、図8は、本実施形態の回転電機2を模式的に示す概略構成図である。本実施形態の駆動装置1は、回転電機2のコイルアセンブリ33から生じる熱を利用して、車両の車室を暖房したり、冬季にバッテリを温めてパフォーマンスを向上させたりすることが可能である。詳しくは、例えば車両の走行時には、回転電機2の出力トルクを同一に維持しつつ励磁電流およびトルク電流の比を変更し、回転電機2におけるエネルギ損失を増大させ、コイルアセンブリ33の発熱を促す。また、例えば車両の停止時には、図8に示すように、ステータ30に対するロータ20の周方向の停止位置に応じて、3相のうち所定の2相(図8ではU相およびV相)の各コイル31にインバータユニット8から電力を供給することで電流値Iu,Ivを高め、ロータ20を回転させずにコイルアセンブリ33の発熱を促す。
本実施形態によれば、各温度検出部70U,70V,70Wが、3相の各コイル渡り線部33U,33V,33Wに配置されるため、例えば回転電機2の停止時に、コイルアセンブリ33の発熱を利用する場合などにおいて、ロータ20の周方向の停止位置に係わらず、コイルエンド33bの温度を正確に測定することができる。すなわち、UVW各相において、オイルOが安定供給される箇所に温度検出部70U,70V,70Wを配置することで、各相の冷却状態による測定ばらつきを軽減し易い。また、温度検出部70が複数設けられることで、コイルエンド33bの温度のうち最も高い温度をより好適に精度よく検出しやすい。これにより、制御部8bによる駆動装置1の制御をより好適に行うことができる。具体的に、制御部8bは、例えば、複数の温度検出部70U,70V,70Wのうち最も高い温度を検出した温度検出部70の検出結果を採用することで、より精度よく得られたステータ30の温度に基づいて、好適に駆動装置1を制御できる。
図7に示すように、コイルエンド33bは、温度検出領域Aを有する。温度検出領域Aは、コイルエンド33bの周方向の一部の領域である。本実施形態では温度検出領域Aが、コイルエンド33bのうち上側部分に配置される。温度検出領域Aは、第3油路部13Bの下側に位置する。温度検出領域Aは、第3油路部13Bと鉛直方向に対向する。本実施形態において温度検出領域Aとは、複数の温度検出部70のうち、周方向両端に位置する一対の温度検出部70U,70V間の周方向領域を指す。より詳細には、温度検出領域Aとは、3つの温度検出部70U,70V,70Wのうち、最も周方向一方側θ1に位置する温度検出部70Vの周方向一方側θ1の端部と、最も周方向他方側θ2に位置する温度検出部70Uの周方向他方側θ2の端部との間の周方向領域を指す。このため、3つの温度検出部70U,70V,70Wは、すべて温度検出領域Aに配置される。すなわち温度検出部70は、温度検出領域Aに複数設けられる。
複数の中性点部材37のうち、少なくとも1つの中性点部材37は、少なくとも一部が温度検出領域Aに配置される。本実施形態では、4つの中性点部材37のうち最も上側に位置する上側の中性点部材37の全体が、温度検出領域Aに配置される。具体的に、上側の中性点部材37は、温度検出領域Aの周方向中央部に位置する。例えば、上述したコイルアセンブリ33の発熱を促すために、図8に示すステータ30のU相、V相およびW相の各相のコイル31で電流値Iu,Iv,Iwがばらつくような場合でも、中性点部材37を流れる電流値にはばらつきが生じにくい。本実施形態のように温度検出部70が、中性点部材37が位置する温度検出領域Aに配置されていることで、つまり温度検出部70が中性点部材37近傍に配置されていることにより、コイルエンド33bの温度を正確に測定することができる。
図7に示すように、第3油路部13Bの冷媒供給孔15a,15b,15cは、コイルエンド33bの温度検出領域Aに向けて開口する。本実施形態によれば、冷媒供給部10から温度検出領域Aに向けて安定してオイルOが供給される。このため、例えばオイルOの流量などの影響によりオイルOの供給状態が不安定となって測定温度の変動幅が大きくなるような不具合を、本実施形態によれば抑制し易い。したがって、温度検出部70を用いたより正確な温度管理が可能となり易い。
また、冷媒供給孔15a,15b,15cは、冷媒供給部10のうちステータ30の径方向外側に配置される第3油路部13Bつまり流路部に対して形成されている。例えば本実施形態と異なり、冷媒供給孔が温度検出領域Aに向けて軸方向から開口する場合と比べて、本実施形態では、温度検出領域Aを含むコイルエンド33b全体を効率よく冷却することができる。また、冷媒供給部10がステータ30から軸方向に突出する突出量を小さく抑えて、回転電機2を軸方向においてコンパクト化できる。
また、各冷媒供給孔15a,15b,15cは、各温度検出部70U,70V,70Wに向けて開口する。具体的に、前側(+X側)に位置する冷媒供給孔15aは、周方向一方側θ1に位置する温度検出部70Vに向けて開口する。後側(-X側)に位置する冷媒供給孔15bは、周方向他方側θ2に位置する温度検出部70Uに向けて開口する。前後方向において冷媒供給孔15a,15b間に位置する冷媒供給孔15cは、周方向において温度検出部70V,70U間に位置する温度検出部70Wに向けて開口する。より詳細には、冷媒供給孔15aは、温度検出部70Vの鉛直方向上側に位置する。冷媒供給孔15bは、温度検出部70Uの鉛直方向上側に位置する。冷媒供給孔15cは、温度検出部70Wの鉛直方向上側に位置する。本実施形態によれば、各温度検出部70U,70V,70Wに対するオイルOのかかり方が均等化され、各温度検出部70U,70V,70Wが安定して温度を測定できる。
また、複数の温度検出部70U,70V,70Wは、軸方向から見て、中性点部材37を囲むように配置される。本実施形態では、各温度検出部70U,70V,70Wと中性点部材37との間の距離が、互いに同じである。本実施形態によれば、各温度検出部70U,70V,70Wが、中性点部材37近傍の温度をばらつき少なく測定できる。
また、温度検出部70の少なくとも一部は、コイルエンド33bに埋め込まれる。つまり温度検出部70は、コイルエンド33bに埋め込まれる。温度検出部70をコイルエンド33bに挿し込んで少なくとも一部を埋め込むことで、温度検出部70を容易にコイルエンド33bに対して保持させることができる。本実施形態では、温度検出部70が、コイルエンド33bに挿し込まれて、ほぼ全体がコイルエンド33bに埋め込まれる。本実施形態によれば、温度検出部70に直接オイルOがかかることが抑制される。オイルOが温度検出部70による測定に影響を及ぼすことが抑えられる。
また本実施形態では、図9に示すように軸方向から見て、複数の冷媒供給孔15a,15b,15cのうち周方向両端に位置する一対の冷媒供給孔15a,15bと、各冷媒供給孔15a,15bに対向する一対の温度検出部70U,70Vとを繋ぐ一対の仮想線VL1,VL2間に位置する冷媒供給領域Bに、各温度検出部70U,70Vの少なくとも一部と、中性点部材37の少なくとも一部とが配置される。図示を省略するが、この冷媒供給領域Bには、冷媒供給孔15cおよび温度検出部70Wも配置されている。本実施形態によれば、オイルOが安定して供給されかつ中性点部材37が位置する冷媒供給領域Bに、複数の温度検出部70U,70V,70Wが配置される。このため、各温度検出部70U,70V,70Wによって中性点部材37近傍の温度をばらつき少なく測定できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。なお、変形例の図示においては、前述の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
図10は、前述の実施形態で説明した回転電機2の第1変形例を示す部分正面図である。この第1変形例では、冷媒供給部10が、ステータ30にオイルOを供給する一対のパイプ19A,19Bを有する。すなわち、冷媒供給部10は、内部にオイルOの通る流路部として、パイプ19A,19Bを有する。一対のパイプ19A,19Bは、それぞれ軸方向に延び、前後方向に互いに間隔をあけて配置される。パイプ19A,19Bは、ステータ30に対して径方向外側に配置される。パイプ19A,19Bは、ステータコア32およびコイルエンド33a,33bの上側に位置する。パイプ19A,19Bは、鉛直方向から見て、ステータコア32およびコイルエンド33a,33bと重なる。
一対のパイプ19A,19Bのうち、前側(+X側)に位置するパイプ19Aは、コイル渡り線部33Vの上側に配置される。後側(-X側)に位置するパイプ19Bは、コイル渡り線部33Uの上側に配置される。
パイプ19Aは、コイルエンド33bの温度検出領域Aに向けて開口する複数の冷媒供給孔19aa,19abを有する。冷媒供給孔19aa,19abは、パイプ19Aの下側部分に配置され、パイプ19Aの周壁をパイプ径方向に貫通する。複数の冷媒供給孔19aa,19abは、第1冷媒供給孔19aaと、第2冷媒供給孔19abと、を含む。第1冷媒供給孔19aaは、コイル渡り線部33Vおよび温度検出部70Vに向けて開口する。第2冷媒供給孔19abは、コイル渡り線部33Wおよび温度検出部70Wに向けて開口する。第2冷媒供給孔19abの開口面積は、第1冷媒供給孔19aaの開口面積よりも小さい。具体的に、例えば第2冷媒供給孔19abの開口面積は、第1冷媒供給孔19aaの開口面積の略半分である。なおこれに限らず、特に図示しないが、例えば第1冷媒供給孔19aaの開口面積と第2冷媒供給孔19abの開口面積とを同じにして、第1冷媒供給孔19aaの数を第2冷媒供給孔19abの数の2倍などとしてもよい。
パイプ19Bは、コイルエンド33bの温度検出領域Aに向けて開口する複数の冷媒供給孔19ba,19bbを有する。冷媒供給孔19ba,19bbは、パイプ19Bの下側部分に配置され、パイプ19Bの周壁をパイプ径方向に貫通する。複数の冷媒供給孔19ba,19bbは、第1冷媒供給孔19baと、第2冷媒供給孔19bbと、を含む。第1冷媒供給孔19baは、コイル渡り線部33Uおよび温度検出部70Uに向けて開口する。第2冷媒供給孔19bbは、コイル渡り線部33Wおよび温度検出部70Wに向けて開口する。第2冷媒供給孔19bbの開口面積は、第1冷媒供給孔19baの開口面積よりも小さい。具体的に、例えば第2冷媒供給孔19bbの開口面積は、第1冷媒供給孔19baの開口面積の略半分である。なおこれに限らず、特に図示しないが、例えば第1冷媒供給孔19baの開口面積と第2冷媒供給孔19bbの開口面積とを同じにして、第1冷媒供給孔19baの数を第2冷媒供給孔19bbの数の2倍などとしてもよい。
パイプ19Aの内部を流れるオイルOの一部は、第1冷媒供給孔19aaを介してパイプ19Aの外部に噴出され、コイルエンド33bの上側からコイル渡り線部33Vおよび温度検出部70Vに向けて供給される。また、パイプ19Aの内部を流れるオイルOの他の一部は、第2冷媒供給孔19abを介してパイプ19Aの外部に噴出され、コイルエンド33bの上側からコイル渡り線部33Wおよび温度検出部70Wに向けて供給される。パイプ19Bの内部を流れるオイルOの一部は、第1冷媒供給孔19baを介してパイプ19Bの外部に噴出され、コイルエンド33bの上側からコイル渡り線部33Uおよび温度検出部70Uに向けて供給される。また、パイプ19Bの内部を流れるオイルOの他の一部は、第2冷媒供給孔19bbを介してパイプ19Bの外部に噴出され、コイルエンド33bの上側からコイル渡り線部33Wおよび温度検出部70Wに向けて供給される。この第1変形例によれば、パイプ19A,19Bからステータ30に効率よくオイルOを供給でき、ステータ30の冷却効率を向上できる。また、パイプ19A,19Bから各相のコイル渡り線部33U,33V,33WにオイルOを均等に供給できる。このため、各温度検出部70U,70V,70Wが、温度検出領域Aの温度すなわち中性点部材37近傍の温度を、ばらつき少なく測定できる。
図11は、前述の実施形態で説明した回転電機2の第2変形例を示す部分正面図である。この第2変形例では、コイルエンド33bのコイル渡り線部33U,33V,33Wの配置が、前述の実施形態と異なる。図11に示すように、各コイル渡り線部33U,33V,33Wは、周方向に向かうに従い、径方向内側または外側に位置するように延びる。図示の例では、各コイル渡り線部33U,33V,33Wが、周方向一方側θ1へ向かうに従い径方向内側に位置する。コイル渡り線部33Uとコイル渡り線部33Vとは、径方向から見て互いの一部同士が重なる。コイル渡り線部33Vとコイル渡り線部33Wとは、径方向から見て互いの一部同士が重なる。特に図示しないが、コイル渡り線部33Wとコイル渡り線部33Uとは、径方向から見て互いの一部同士が重なる。
各温度検出部70U,70V,70Wは、各コイル渡り線部33U,33V,33Wが延びる向きに沿ってそれぞれ延びる。具体的に、温度検出部70U,70V,70Wは、周方向一方側θ1へ向かうに従い径方向内側に位置する。この第2変形例では、各温度検出部70U,70V,70Wの径方向位置が、互いに同じである。3つの温度検出部70U,70V,70Wのうち、温度検出部70Uは最も周方向一方側θ1に位置し、温度検出部70Wは最も周方向他方側θ2に位置し、温度検出部70Vは、周方向において温度検出部70U,70W間に配置される。具体的に、温度検出部70Vは、温度検出領域Aの周方向中央部に配置され、かつ温度検出部70U,70V,70Wの中で最も上側に位置する。
第2変形例において、冷媒供給部10の冷媒供給孔15aは、温度検出部70Uに向けて開口する。冷媒供給孔15cは、温度検出部70Vに向けて開口する。冷媒供給孔15bは、温度検出部70Wに向けて開口する。そして、温度検出部70Vは、軸方向から見て、中性点部材37と重なって配置される。この第2変形例によれば、温度検出部70Vが、中性点部材37近傍の温度を安定して測定できる。
図12は、前述の実施形態で説明した回転電機2の第3変形例を示す部分正面図である。なお図12では、コイルエンド33bの外形の図示および中性点部材37の図示等を省略している。この第3変形例では、温度検出領域Aに温度検出部70が複数設けられ、複数の温度検出部70は、第1温度検出部70Aと、第2温度検出部70Bと、を含む。第1温度検出部70Aは、3つのコイル渡り線部33U,33V,33Wのうち一対のコイル渡り線部33U,33W間に配置される。第2温度検出部70Bは、上記一対のコイル渡り線部33U,33Wの組とは異なる組で構成される一対のコイル渡り線部33V,33W間に配置される。各温度検出部70A,70Bは、周方向に延びる。なお、一対のコイル渡り線部33U,33V間には、温度検出部70は配置されていない。
第3変形例において、冷媒供給部10の冷媒供給孔15cは、第1温度検出部70Aに向けて開口する。冷媒供給孔15bは、第2温度検出部70Bに向けて開口する。またステータ30は、絶縁シート71を有する。絶縁シート71は、コイルエンド33bに複数設けられる。複数の絶縁シート71は、第1温度検出部70Aとコイル渡り線部33Uとの間に配置される絶縁シート71と、第2温度検出部70Bとコイル渡り線部33Wとの間に配置される絶縁シート71と、を含む。この第3変形例によれば、少なくとも第1温度検出部70Aと第2温度検出部70Bの2つの温度検出部70が設けられることにより、例えば回転電機2の停止時に、コイルアセンブリ33の発熱を利用する場合などにおいて、ロータ20の周方向の停止位置に係わらず、コイルエンド33bの温度を正確に測定することができる。このため、前述の実施形態のように温度検出部70が各コイル渡り線部33U,33V,33Wに配置される構成に較べ、第3変形例では温度検出部70の数を削減できる。しかしながら、第3変形例で示した第1温度検出部70A及び第2温度検出部70Bに加えて、一対のコイル渡り線部33U,33V間に温度検出部70が配置されていてもよい。
前述の実施形態および各変形例では、温度検出部70が温度検出領域Aに複数設けられる例を挙げたが、これに限らない。温度検出部70は、温度検出領域Aに1つ設けられてもよい。この場合、温度検出領域Aとは、1つの温度検出部70の周方向両端間の周方向領域を指す。
ハウジング6内を循環する冷媒は、オイルOに限らない。冷媒は、例えば、絶縁液であってもよいし、水であってもよい。冷媒が水である場合、ステータ30の表面に絶縁処理を施してもよい。
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車軸55を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。
本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1…駆動装置、2…回転電機、4…減速装置、5…差動装置、6…ハウジング、10…冷媒供給部、15a,15b,15c,19aa,19ab,19ba,19bb…冷媒供給孔、20…ロータ、30…ステータ、31…コイル、32…ステータコア、33…コイルアセンブリ、33b…コイルエンド、33U,33V,33W…コイル渡り線部、37…中性点部材、37U,37V,37W…コイル引出線、70,70U,70V,70W…温度検出部、70A…第1温度検出部、70B…第2温度検出部、A…温度検出領域、J1…中心軸

Claims (10)

  1. 中心軸を中心として回転可能なロータと、
    前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
    前記ステータの温度を測定する温度検出部と、
    前記ステータに冷媒を供給する冷媒供給部と、を備え、
    前記ステータは、
    ステータコアと、
    前記ステータコアに保持されるコイルアセンブリと、を有し、
    前記コイルアセンブリは、
    前記ステータコアから軸方向に突出するコイルエンドと、
    複数のコイル引出線と、
    複数の前記コイル引出線の端部同士を電気的に接続し、前記コイルエンドに配置される少なくとも1つの中性点部材と、を有し、
    前記温度検出部は、前記コイルエンドの周方向の一部の領域である温度検出領域に配置され、
    前記冷媒供給部は、前記コイルエンドの前記温度検出領域に向けて開口する冷媒供給孔を有し、
    少なくとも1つの前記中性点部材は、少なくとも一部が前記温度検出領域に配置される、
    回転電機。
  2. 前記冷媒供給部は、前記ステータに対して径方向外側に配置されて内部に前記冷媒の通る流路部を有し、
    前記冷媒供給孔は、前記流路部に対して形成されている、
    請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記温度検出部は、前記温度検出領域に複数設けられ、
    前記冷媒供給孔は、前記冷媒供給部に複数設けられ、
    各前記冷媒供給孔は、各前記温度検出部に向けて開口する、
    請求項1または2に記載の回転電機。
  4. 前記温度検出部は、前記温度検出領域に複数設けられ、
    前記コイルエンドは、互いに相が異なり、周方向に並んで配置される少なくとも3つのコイル渡り線部を有し、
    前記温度検出部は、3つの前記コイル渡り線部にそれぞれ配置される、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機。
  5. 前記温度検出部は、前記温度検出領域に複数設けられ、
    複数の前記温度検出部は、第1温度検出部と、第2温度検出部と、を含み、
    前記コイルエンドは、互いに相が異なる少なくとも3つのコイル渡り線部を有し、
    前記第1温度検出部は、前記3つのコイル渡り線部のうち一対のコイル渡り線部間に配置され、
    前記第2温度検出部は、前記一対のコイル渡り線部の組とは異なる組で構成される一対のコイル渡り線部間に配置される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の回転電機。
  6. 前記温度検出部は、前記温度検出領域に複数設けられ、
    複数の前記温度検出部は、軸方向から見て、前記中性点部材を囲むように配置される、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の回転電機。
  7. 前記温度検出部は、前記温度検出領域に複数設けられ、
    各前記温度検出部と前記中性点部材との間の距離が、互いに同じである、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の回転電機。
  8. 前記温度検出部は、軸方向から見て、前記中性点部材と重なって配置される、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の回転電機。
  9. 前記温度検出部は、前記コイルエンドに埋め込まれる、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の回転電機。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の回転電機と、
    前記回転電機に接続される減速装置と、
    前記減速装置を介して前記回転電機に接続される差動装置と、
    前記回転電機、前記減速装置および前記差動装置を収容するハウジングと、を備え、
    前記冷媒供給部は、前記ハウジング内で循環する前記冷媒を前記ステータへ供給する、
    駆動装置。
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