JP2022128082A - 表面改質酸化亜鉛粒子、分散液、化粧料、表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法 - Google Patents

表面改質酸化亜鉛粒子、分散液、化粧料、表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽性に優れる表面改質酸化亜鉛粒子を提供する。【解決手段】本発明の表面改質酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の粒子表面が加水分解性の表面処理剤で処理された表面改質酸化亜鉛粒子であって、疑似太陽光照射前後の色差ΔEが4.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面改質酸化亜鉛粒子およびその製造方法、分散液、化粧料に関する。
酸化亜鉛は、紫外線遮蔽性に優れ、ガスバリア性が高く、さらに透明性が高いことが知られている。そのため、酸化亜鉛を形成材料とする粒子(以下、「酸化亜鉛粒子」と称する。)は、紫外線遮蔽やガスバリア等の機能を有するとともに、透明性が必要とされる種々の素材の形成材料として用いられる。このような素材としては、例えば、紫外線遮蔽フィルム、紫外線遮蔽ガラス、化粧料、ガスバリアフィルム等が挙げられる。
上記の種々の素材について、透明性を向上するための方法としては、例えば、形成材料である酸化亜鉛粒子の一次粒子径を小さくする方法が挙げられる。酸化亜鉛粒子の一次粒子径を小さくする方法としては、熱分解法や気相法等の種々の方法が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
酸化亜鉛粒子を化粧料に適用する場合、酸化亜鉛粒子の表面を化粧品の性状に合わせたり、酸化亜鉛粒子の触媒活性を抑えたりするために、表面処理剤で酸化亜鉛粒子の表面処理が行われている。
以下の説明では、表面処理剤で表面処理されて、表面処理剤を表面に有する酸化亜鉛粒子を、表面改質酸化亜鉛粒子と称する。
このような表面改質酸化亜鉛粒子は、そのまま化粧料に配合されたり、分散媒に分散させた分散液の状態で化粧料に配合されたりしている。
油性化粧料やエマルションタイプの油相等に配合する場合には、アルコキシ基を有するシランカップリング剤等で表面処理された酸化亜鉛粒子が用いられる(例えば、特許文献3、4参照)。
特開2002-284527号公報 特開2000-95519号公報 国際公開第2017/130632号 特開2007-51188号公報
しかしながら、表面改質酸化亜鉛粒子のさらなる紫外線遮蔽性の向上が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、紫外線遮蔽性に優れる表面改質酸化亜鉛粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。また、このような表面改質酸化亜鉛粒子を含む分散液、化粧料を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の表面改質酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の粒子表面が加水分解性の表面処理剤で処理された表面改質酸化亜鉛粒子であって、疑似太陽光照射前後の色差ΔEが4.0以下である。
本発明の分散液は、上記の表面改質酸化亜鉛粒子と、分散媒と、を含有する。
本発明の化粧料は、上記の表面改質酸化亜鉛粒子および上記分散液の群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有する。
本発明の表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法は、上記の表面改質酸化亜鉛粒子を製造する方法であって、表面処理剤と、水とを混合して加水分解液を調製する第1の工程と、前記加水分解液と、酸化亜鉛粒子とを混合して第1の混合物を調製する第2の工程と、前記第2の工程で得られた第1の混合物を乾燥する工程と、を有する。
本発明によれば、紫外線遮蔽性に優れる表面改質酸化亜鉛粒子を提供することができる。また、本発明によれば、このような表面改質酸化亜鉛粒子を含む分散液、化粧料を提供することができる。
本発明の表面改質酸化亜鉛粒子およびその製造方法、分散液、化粧料の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。本発明は趣旨を逸脱しない範囲において、数値、量、材料、種類、時間、温度、順番等について、変更、省略、置換、追加等が可能である。
[表面改質酸化亜鉛粒子]
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の粒子表面が加水分解性の表面処理剤で処理された表面改質酸化亜鉛粒子であって、疑似太陽光照射前後の色差ΔEが4.0以下である。
上記色差ΔEは3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。
上記色差ΔEの下限値は0であるが、0.01であってもよく、0.05であってもよく、0.1であってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、上記色差ΔEが4.0以下であるため、紫外線遮蔽性に優れる。
本実施形態における疑似太陽光照射前後の色差ΔEとは、以下の測定方法により測定されたものを意味する。
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを3gと、ポリヒドロキシステアリン酸を3gと、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを94gと、を混合し、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンが完全に溶解された溶液を作製する。
次いで、得られた溶液2.0gと、表面改質酸化亜鉛粒子3.0gと、を混練機(シンキー社製、型番:ARE-310)で均一になるまで混合して混合液を得る。
次いで、得られた混合液を光路長0.5mmとなるように、分光光度計用の組み立て石英セル(GLサイエンス社製、型番:AB20-UV-05)に挟み、組み立てセルを作製する。
次いで、得られた組み立てセルを紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、型番:V-770)にセットし、積分球を用いて、混合液の拡散反射スペクトルを測定し、測定結果から、混合液のL 、a 、b を算出する。
次いで、小型光照射試験装置(岩崎電気社製、型番:EYE SUN-CUBE Xenon)のキセノンランプを用いて、積算光量300kJ/mの疑似太陽光を、上記混合液を含む組み立てセルに照射する。
照射後の組み立てセルを紫外可視近赤外分光光度計に再度セットし、拡散反射スペクトルを上記同様に測定し、測定結果から疑似太陽光照射後の混合液のL 、a 、b 算出する。
次いで、色差ΔE=((L -L +(a -a +(b -b 1/2を算出する。
なお、L 、a 、b 、a 、b は、L表色系色度図における値である。
本測定方法は、疑似太陽光を用いて、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の表面処理状態を評価するための試験である。上記光照射試験装置では、太陽光に近似したキセノン光源が使用されている。そのため、本測定装置によるキセノンランプによる照射は、実際の太陽光に曝されているのと同等とみなすことができる。本測定方法の積算光量300kJ/mの疑似太陽光の照射は、実際の太陽光に約10分曝された場合と同等の紫外線による影響を評価することができる。なお、実施例で作製した表面改質酸化亜鉛粒子の色差ΔEを測定したところ、照射時間が10分の場合と、3時間の場合とで、色差ΔEの測定結果は大きく変化しなかった。そのため、本測定方法では、太陽光による照射時間が約10分であるとみなせる、積算光量300kJ/mで評価した。
本実施形態における測定方法について説明する。
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、紫外線遮蔽を目的とした化粧料に一般的に配合される有機系紫外線吸収剤である。ポリヒドロキシステアリン酸は分散剤であり、本測定では、表面改質酸化亜鉛粒子とt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを溶媒に均一に混合するために添加される。トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、化粧料で使用される一般的な溶媒である。
表面改質酸化亜鉛粒子と、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンとを含む上記混合物が疑似太陽光に曝されたときに、表面処理が不充分であると、酸化亜鉛粒子の光触媒活性や、亜鉛イオンの溶出により、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを変質させ、混合物が変色する。
本発明者等は、上記色差ΔEが4.0以下になるように、酸化亜鉛粒子に表面処理を施せば、表面改質酸化亜鉛粒子の紫外線遮蔽性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者等は、加水分解性の表面修飾剤を、あらかじめ加水分解してから表面処理することにより、上記色差ΔEが4.0以下の表面改質酸化亜鉛粒子が得られることを見出した。
本実施形態において、上記色差ΔEが4.0以下となることにより、表面改質酸化亜鉛粒子の紫外線遮蔽性が向上する理由は不明である。上記色差ΔEが小さくなる理由は、光触媒活性や、亜鉛イオンの溶出が抑制されているためと推測される。しかし、加水分解性の表面修飾剤が酸化亜鉛粒子の表面にどのように修飾しているかを直接測定する方法はない。そのため、あらかじめ加水分解した表面修飾剤がどのように酸化亜鉛粒子の表面に表面修飾することにより、上記色差ΔEが小さくなっているかは不明である。表面修飾剤が酸化亜鉛粒子の表面に均一に、かつ緻密に存在しているためとも推測されるが、それだけでは説明がつかないことがある。
本実施形態において、あらかじめ加水分解された表面処理剤を用いることにより、上記色差ΔEが4.0以下となり、表面改質酸化亜鉛粒子の紫外線遮蔽性を向上できるようになったという効果は、多数の要因の複雑な絡み合いによって発現していると推察される。具体的には、酸化亜鉛粒子の形状、比表面積、粒度分布や、加水分解性の表面修飾剤の加水分解度合いや、加水分解性の表面修飾剤の酸化亜鉛粒子に対する付着の具合や、加水分解性の表面修飾剤の酸化亜鉛粒子への付着率等、多数の要因の複雑な絡み合いによって発現していると推察される。そのため、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の特徴を、加水分解性の表面処理剤をあらかじめ加水分解してから表面修飾された酸化亜鉛粒子の表面の状態により、直接特定することは、およそ不可能であると考えられる。
そこで、本発明者等は、様々な検討を行った結果、上記色差ΔEに着目し、あらかじめ加水分解した表面処理剤で、上記色差ΔEが4.0以下となるように酸化亜鉛粒子を表面処理することにより、表面改質酸化亜鉛粒子の紫外線遮蔽性が向上することを見出した。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、下記測定方法で測定した波長360nmにおける全光線透過率が48%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。
波長360nmにおける全光線透過率、すなわち直線透過率と拡散透過率の合計が48%以下である表面改質酸化亜鉛粒子を配合することにより、紫外線遮蔽性に優れた化粧料を得ることができる。
波長360nmにおける全光線透過率の下限は、0%であってもよく、1%であってもよく、10%であってもよく、20%であってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、下記測定方法で測定した波長550nmにおける直線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
波長550nmにおける直線透過率が80%以上である表面改質酸化亜鉛粒子を配合することにより、透明性に優れる化粧料を得ることができる。
波長550nmにおける直線透過率の上限は、100%であってもよく、99%であってもよく、98%であってもよい。
本実施形態では、波長360nmにおける全光線透過率と、波長550nmにおける直線透過率とは、以下の測定方法により測定されたものを意味する。
表面改質酸化亜鉛粒子10gと、シクロペンタシロキサン(ダウ・東レ社製、型番:DOWSIL SH245 Fluid)88gと、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業社製、型番:KF-6106)2gと、を混合して分散液を得る。
次いで、この混合液を、ホモジナイザー(IKA社製、ULTRA-TURRAX(登録商標)シリーズ:T25basic)を用いて、9500rpmで5分間分散処理し、評価用の分散液を得る。
得られた評価用の分散液を、表面改質酸化亜鉛粒子の濃度が0.005質量%となるように、シクロペンタシロキサンで希釈する。この希釈液を光路長が10mmの石英セルに入れ、360nmにおける全光線透過率と、550nmにおける直線透過率とを、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、型番:V-770)を用いて測定する。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、下記測定方法で測定した粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)が1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることが特に好ましい。
d90が1μm以下である表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に配合することにより、透明性と紫外線遮蔽性に優れる化粧料を得ることができる。
d90の下限は、0.05μmであってもよく、0.1μmであってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子のd90とは、以下の測定方法により測定されたものを意味する。
表面改質酸化亜鉛粒子10gと、シクロペンタシロキサン(ダウ・東レ社製、型番:DOWSIL SH245 Fluid)88gと、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業社製、型番:KF-6106)2gと、を混合して分散液を得る。
次いで、この混合液を、ホモジナイザー(IKA社製、ULTRA-TURRAX(登録商標)シリーズ:T25basic)を用いて、9500rpmで5分間分散処理し、評価用の分散液を得る。
得られた評価用の分散液を表面改質酸化亜鉛粒子の含有量が0.1質量%となるように、シクロペンタシロキサンで希釈する。この希釈液を用いて、動的光散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、型番:NANOTRAC WAVE)を用いて、粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)を測定する。なお、粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒径(d10)と、粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)も測定することができる。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、85℃、95%RHの環境に48時間曝露する促進試験後の波長360nmにおける全光線透過率が40%以下であることが好ましい。促進試験後の波長360nmにおける全光線透過率が40%以下である表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に配合することにより、経時安定性に優れた化粧料を得ることができる。
促進試験後の波長360nmにおける全光線透過率の下限は、0%であってもよく、1%であってもよく、10%であってもよく、20%であってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、85℃、95%RHの環境に48時間曝露する促進試験後の波長550nmにおける直線透過率が90%以上であることが好ましい。促進試験後の波長550nmにおける直線透過率が90%以上である表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に配合することにより、経時安定性に優れた化粧料を得ることができる。
促進試験後の波長550nmにおける直線透過率の上限は、100%であってよく、99%であってもよく、98%であってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、85℃、95%RHの環境に48時間曝露する促進試験後のd90が0.3μm以下であることが好ましい。促進試験後のd90が0.3μm以下である表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に配合することにより、経時安定性に優れた化粧料を得ることができる。
d90の下限は、0.05μmであってもよく、0.1μmであってもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、任意に選択できるが、1.5m/g以上であることが好ましく、2.5m/g以上であることがより好ましく、4m/g以上であることがさらに好ましい。また、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、例えば、55m/g以下であってもよく、50m/g以下であることが好ましく、45m/g以下であることがより好ましい。必要に応じて、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、40m/g以下であってもよく、30m/g以下であってもよく、10m/g以下であってもよい。表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積の上記上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積が1.5m/g以上50m/g以下であれば、化粧料に配合した場合に透明性と紫外線遮蔽性に優れる。
化粧料に配合した場合の透明性を高くしたい場合には、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、8m/g以上であることが好ましく、15m/g以上であることがより好ましく、20m/g以上であることがさらに好ましい。
例えば、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、20m/g以上かつ50m/g以下であることが好ましく、20m/g以上かつ48m/g以下であることがより好ましく、20m/g以上かつ46m/g以下であることがさらに好ましい。必要に応じて、20.0m/g以上かつ30.0m/g以下や、20.0m/g以上かつ38.0m/g以下や、20.0m/g以上かつ44.0m/g以下であってもよい。表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積が上記下限値以上であることにより、化粧料に配合されたときに、透明性に優れる化粧料を得ることができる。一方、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積が上記上限値以下であることにより、粒子の表面エネルギーが大き過ぎないため、化粧料に、少ないエネルギーで配合することができる。
一方、化粧料に配合した場合のUVA領域の紫外線遮蔽性を大きくしたい場合には、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は、20m/g未満であることが好ましく、15m/g以下であることがより好ましく、8m/g以下であることがさらに好ましい。
例えば、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積は1.5m/g以上20m/g未満であることが好ましく、1.5m/g以上15m/g以下であることがより好ましく、1.5m/g以上8m/g以下であることがさらに好ましい。表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積が上記下限値以上であることにより、化粧料に配合されたときに、透明性のある化粧料を得ることができる。一方、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積が上記上限値未満であることにより、粒子の表面エネルギーが大きすぎないため、化粧料に、少ないエネルギーで配合することができ、UVA領域の紫外線遮蔽性に優れる化粧料を得ることができる。
本実施形態における表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積(単位:m/g)とは、BET法で求めたBET比表面積のことである。
表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積を測定する方法としては、例えば、全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model-1201、マウンテック社製)を用いたBET法が挙げられる。
本実施形態において、「表面処理剤で処理された」とは、表面処理剤が酸化亜鉛粒子に対し、これらの間の相互作用により接触または結合することをいう。接触としては、例えば、物理吸着が挙げられる。また、結合としては、例えば、イオン結合、水素結合、共有結合等が挙げられる。
表面改質酸化亜鉛粒子中における表面処理剤の量は、酸化亜鉛粒子の比表面積と、配合する化粧料の疎水化度に合わせて適宜調整して用いればよい。例えば、表面改質酸化亜鉛粒子中における表面処理剤の量は、酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。表面処理剤の量が上記下限値以上であることにより、親水性の酸化亜鉛粒子を油性の化粧料に配合することができる。また、表面処理剤の量が上記上限値以下であることにより、化粧料に配合した時の酸化亜鉛粒子の紫外線遮蔽性が充分に発揮される。
上記色差ΔEを小さくし、経時安定性を向上させる観点においては、表面処理剤の含有量は、酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、4質量%以上20質量%以下であることが好ましく、6質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。
表面改質酸化亜鉛粒子中における表面処理剤の含有量は、表面処理剤がシランカップリング剤である場合には、例えば、表面改質酸化亜鉛粒子中のSi量を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置で定量分析することで算出することができる。
「酸化亜鉛粒子」
本実施形態における酸化亜鉛粒子(表面処理前)の比表面積は、任意に選択できるが、1.5m/g以上であることが好ましく、2.5m/g以上であることがより好ましく、4m/g以上であることがさらに好ましい。また、酸化亜鉛粒子の比表面積は、50m/g以下であることが好ましく、45m/g以下であることがより好ましい。必要に応じて、酸化亜鉛粒子の比表面積は、40m/g以下であってもよく、30m/g以下であってもよく、10m/g以下であってもよい。
表面処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積と、表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積とは、シランカップリング剤の付着の仕方によって多少前後するが、大きくは変化しない。
そのため、所望の比表面積の表面改質酸化亜鉛粒子を得るためには、所望の比表面積を有する酸化亜鉛粒子を用いればよい。すなわち、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子は、前述の酸化亜鉛粒子の好ましい比表面積の値や範囲と、同様の値や範囲を好ましく有することができる。
処理前の酸化亜鉛粒子のL表色系色度図におけるbは、10以下であることが好ましい。酸化亜鉛粒子のbが上記範囲のものを用いれば、表面改質酸化亜鉛粒子のbも4.0以上かつ18以下となることができるとともに、表面改質酸化亜鉛粒子のbが、表面処理前の酸化亜鉛粒子のbより大きくなる。その結果、化粧料に適用できる程度の黄色度に、抑制することができる。酸化亜鉛粒子のbの下限値は特に限定されず、0であってもよく、1.0であってもよく、1.5であってもよい。
「加水分解性の表面処理剤」
本実施形態の加水分解性の表面処理剤は、加水分解性で、化粧料に使用できるものであれば特に限定されない。本実施形態の「加水分解性」とは、アルコキシ基の加水分解だけでなく、金属石鹸の脱アルカリや、シリコーンのSiHの脱水素も含む。
このような表面処理剤としては、例えば、シラン化合物、シリコーン化合物、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステルおよび有機チタネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
また、界面活性剤を用いてもよい。
表面処理に用いられるシラン化合物としては、例えば、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン等が挙げられる。
アルキルシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フルオロアルキルシランとしては、例えば、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのシラン化合物の中でもアルキルシランが好ましく、特にオクチルトリエトキシシランが好ましい。
これらのシラン化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン化合物としては、例えば、シリコーンオイル、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリエトキシカプリリルシラン等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
これらのシリコーン化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、シリコーン化合物としては、これらのシリコーン化合物の共重合体を用いてもよい。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸石鹸としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ジステアリン酸アルミニウム、ジミリスチン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等が挙げられる。
有機チタネート化合物としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
上記表面処理剤のうち、アルコキシ基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。
「アルコキシ基を有するシランカップリング剤」
アルコキシ基を有するシランカップリング剤としては、任意に選択でき、例えば、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤のうち、化粧料に使用可能なものが好ましく挙げられる。
Si(OR・・・(1)
(Rは、炭素原子数1~18のアルキル基、フルオロアルキル基またはフェニル基、Rは、炭素原子数1~4のアルキル基を示す。)
このようなシランカップリング剤としては、アルキルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、アルキル基を側鎖に有するポリシロキサンおよびアリル基を側鎖に有するポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリプロポキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン(トリエトキシカプリリルシラン)、n-オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシジフェニルシラン-トリエトキシカプリリルシランクロスポリマー、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等の、シロキサン骨格を主鎖とし、分子構造内にアルコキシ基とアクリル基とを有するポリマー型シランカップリング剤等を用いることもできる。
シランカップリング剤としては、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルアルコキシシラン等を用いることもできる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のシランカップリング剤の中でも、分子内にオクチル基を有するシランカップリング剤がより好ましい。具体的には、ナチュラルオイルやエステル油からシリコーンオイルまでの幅広い極性の油相に対応可能な、シランカップリング剤がより好ましい。このようなシランカップリング剤としては、n-オクチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシランおよびジメトキシジフェニルシラン-トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子では、表面改質酸化亜鉛粒子の特性を阻害しない範囲であれば、シランカップリング剤に加えて、化粧料に用いられる表面処理剤であって、シランカップリング剤以外の上記表面処理剤を用いて、酸化亜鉛粒子を表面処理してもよい。
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子によれば、酸化亜鉛粒子の粒子表面が加水分解性の表面処理剤で処理された表面改質酸化亜鉛粒子であって、疑似太陽光照射前後の色差ΔEが4.0以下であるため、紫外線遮蔽性に優れる。
「表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法」
本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法は、上述の表面改質酸化亜鉛粒子を製造する方法であって、表面処理剤と、水とを混合して加水分解液を調製する第1の工程と、前記加水分解液と、酸化亜鉛粒子とを混合して第1の混合物を調製する第2の工程と、前記第2の工程で得られた第1の混合物を乾燥する工程と、を有する。
また、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法は、前記第2の工程の後に、前記第2の工程で得られた第1の混合物に、前記第1の工程で得られた加水分解液を添加して混合し、前記第1の混合物と前記加水分解液とを含む第2の混合物を調製する第3の工程を行い、前記第3の工程で得られた第2の混合物を乾燥する工程と、を有していてもよい。
本実施形態の表面処理は、乾式で行ってもよく、湿式で行ってもよい。
乾式で表面処理する方法について説明する。
「加水分解液を調製する第1の工程」
本工程においては、表面処理剤と、水とを混合して加水分解液を調製する。このように予め表面処理剤の少なくとも一部が加水分解した加水分解液を用いることにより、上記色差ΔEが小さい表面改質酸化亜鉛粒子を作製することができる。
表面処理剤を予め加水分解することは一般的に行われることであるが、加水分解した表面処理剤で表面処理した表面改質酸化亜鉛粒子の色差ΔEが格段に小さくなることは、当業者の予測の範囲を超えた顕著な効果である。
表面処理剤と水を混合した混合液を、一定の温度で所定の時間保持することで加水分解液を調製してもよい。これにより、表面処理剤の加水分解をより一層促進させることができる。
この処理において、混合液の温度は特に限定されず、表面処理剤の種類によって適宜変更できるが、例えば、5℃以上65℃以下であることが好ましく、30℃以上60℃以下であることがより好ましい。
また、保持時間は特に限定されないが、例えば、10分以上180分以下であることが好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。なお、上記混合液の保持において、混合液を適宜撹拌してもよい。
第1の工程で使用する表面処理剤は、上記と同一物が使用できるため、説明を省略する。
水は化粧料に一般的に使用される水であれば特に限定されず、純水、イオン交換水、蒸留水、精製水、超純水、天然水、等を用いることができる。
本工程では、表面処理剤の加水分解反応を制御するために、水以外の溶媒を混合することが好ましい。上記溶媒は、表面処理剤の加水分解を過度に制御するものでなければ特に制限されず、例えば、アルコール系溶媒を混合することができる。
アルコール系溶媒としては、例えば、炭素数1~4の分岐または直鎖状アルコール化合物が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、アルコール系溶媒に含まれるアルコール化合物は、第1級、第2級および第3級アルコールのいずれであってもよい。また、アルコール系溶媒に含まれるアルコール化合物は、一価、二価および三価アルコールのいずれであってもよい。より具体的には、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、メタンジオール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブチンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、3-メトキシ-1,2-プロパンジオール等が挙げられる。
これらのアルコール系溶媒のなかでも、加水分解反応の制御が容易で、化粧料に混入しても影響が少ない観点において、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
本工程では、表面処理剤の加水分解反応を促進するために、触媒を混合してもよい。
触媒は、酸であってもよく、塩基であってもよい。酸は、分散液中において表面処理剤の加水分解反応を触媒する。一方、塩基は、加水分解された表面処理剤と粒子表面のシラノール基との縮合反応を触媒する。
酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、等の無機酸や酢酸、クエン酸、ギ酸、等の有機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、アミン等が挙げられる。これらの塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記混合液中における表面処理剤の含有量は特に限定されないが、例えば、20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
上記混合液中における水の含有量は特に限定されないが、例えば、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
上記混合液中における溶媒の含有量は特に限定されないが、例えば、20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。これにより、加水分解液中における表面処理剤の含有量を充分に大きくすることができるとともに、充分な量の水を混合液中に含めることができる。その結果、表面処理剤の加水分解反応を効率よく進行させることができる。
上記混合液中における触媒の含有量は特に限定されず、例えば、10ppm以上1000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上800ppm以下であることがより好ましい。これにより、表面処理剤の加水分解反応を充分に促進させることができる。
「第1の混合物を調製する第2の工程」
本工程は、上記加水分解液と、酸化亜鉛粒子とを混合した混合物とすることにより、乾式で、表面処理剤で酸化亜鉛粒子の表面処理を行う工程である。
酸化亜鉛粒子は、上記と同一物が使用できるため、説明を省略する。
上記加水分解液と酸化亜鉛粒子を混合する方法は、酸化亜鉛粒子の表面に表面処理剤が付着される程度の撹拌強度で混合すればよく、特に限定されない。例えば、上記酸化亜鉛粒子と、上記加水分解液をヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等のミキサーに投入し、一定時間、高速で強く撹拌する。表面処理反応を促進する観点においては、撹拌を続けながら、70℃から200℃の温度にて、加熱処理することが好ましい。
上記加水分解液と酸化亜鉛粒子の混合比率は特に限定されないが、後述する第3の工程も合わせて、表面処理剤が酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、1質量%以上20質量%以下となるように混合することが好ましい。混合比率は、5質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。
「第2の混合物を調製する第3の工程」
上記第2の工程の後に、本工程を行ってもよく、行わなくてもよい。
上記第2工程で得られた混合物を60℃から100℃で乾燥し、水分を除去してから本工程を行ってもよい。
本工程では、第2の工程で得られた第1の混合物と、上記加水分解液を混合して混合物とすることにより、表面処理剤で酸化亜鉛粒子の表面処理を行う工程である。
表面処理を2回行うことにより、表面処理剤が粒子表面に均一に付着しやすくなる。なお、表面処理工程は3回行ってもよく、4回行ってもよく、それ以上の回数行ってもよい。
混合方法は、上記第2の工程同様、酸化亜鉛粒子の表面に表面処理剤が付着される程度の撹拌強度で混合すればよい。第2の工程同様、撹拌を続けながら、70℃から200℃の温度にて、加熱処理してもよい。
上記加水分解液と酸化亜鉛粒子の混合比率は特に限定されないが、上述した第2の工程も合わせて、表面処理剤が酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、1質量%以上20質量%以下となるように混合することが好ましい。混合比率は、5質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の工程で混合される表面処理剤と、第3の工程で混合される表面処理剤の質量比率は、特に限定されないが、0.5:1~3:1であることが好ましい。
2回目以降の表面処理工程では、加水分解性の反応基の残存を抑制するために行う工程であるため、表面処理剤の混合比率は少なめにして、加熱等により表面処理を促進させることが好ましい。
「乾燥工程」
本工程は、上記第1の混合物または第2の混合物に残存する水や溶媒を除去するために行われる。
本工程では、上記第1の混合物または第2の混合物を乾燥装置で水や溶媒が除去されるまで加熱すればよい。
乾燥装置は、特に限定されず、例えば、箱型乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、流動層乾燥機、バンド乾燥機、エバポレーター、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、リボコーン、パドルドライヤー、スプレードライヤー、スラリードライヤー、フラッシュドライヤー、ロータリードライヤー等が挙げられる。
乾燥温度や乾燥時間は特に限定されないが、例えば、60℃から130℃で、10分から24時間乾燥すればよい。
「解砕工程」
本工程は、乾燥工程の前に行ってもよく、乾燥工程の後に行ってもよい。本工程を行うことにより、表面改質酸化亜鉛粒子の凝集をほぐしたり、化粧料に配合した時のざらつき感を抑制したりすることができる。すなわち、表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に使用したときの使用感を向上することができる。
解砕工程は、解砕機を用いて解砕処理を行うことができる。解砕機としては、任意に選択でき、例えば、アトマイザー、ハンマーミル、ジェットミル、インペラーミル、ピンミル等が挙げられる。
上記工程により、乾式による本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を作製することができる。
次に、湿式処理による本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子の作製方法について説明する。
本実施形態において「湿式処理」とは、加水分解液に含まれる溶媒も含めて、混合物中に溶媒が合計で40質量%以上存在する状態で表面処理を行うことを意味する。
「加水分解液を調製する第1の工程」
本工程は、上記乾式処理と同一であるため、説明を省略する。
「第1の混合物を調製する工程」
本工程は、上記加水分解液と、酸化亜鉛粒子と、溶媒と、を混合した第1の混合物とすることにより、湿式で、表面処理剤で酸化亜鉛粒子の表面処理を行う工程である。
混合は、表面処理剤を酸化亜鉛粒子表面に均一に処理する観点において、分散機を用いて行うことが好ましい。そのため、分散機を用いた混合について詳細に説明する。
酸化亜鉛粒子は上記と同一物が使用できるため、説明を省略する。
本工程では、上記加水分解液と、溶媒と、酸化亜鉛粒子とを、分散機に入れて混合液とする。これらの材料は同時に入れてもよく、順次入れてもよい。これらの材料を入れる順番は特に限定されない。分散機に入れた後は、そのまま放置して攪拌しなくてもよいが、簡単に攪拌してもよい。また、分散機に入れる前に、あらかじめこれらの材料を混合してから分散機に入れてもよい。
「溶媒」
溶媒は、表面処理剤と混合可能な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコールや、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステルや、n-ヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの溶媒の中でも、水と混合できる点でアルコールが好ましく、アルコールの中でもエタノールが特に好ましい。
上記混合液中における溶媒の含有量は任意に選択できるが、酸化亜鉛粒子同士の凝集を抑制するため、40質量%以上であることが好ましい。溶媒の含有量の上限値は、特に制限されないが、生産効率の観点において95質量%以下であることが好ましい。
混合液中における酸化亜鉛粒子の含有量は任意に選択できるが、酸化亜鉛粒子同士の凝集の抑制と生産効率の両立の観点から、1質量%以上かつ55質量%以下であることが好ましく、10質量%以上かつ50質量%以下であることがより好ましい。前記含有量は、15質量%以上かつ45質量%以下や、20質量%以上かつ40質量%以下や、25質量%以上かつ35質量%以下等であってもよい。
上記加水分解液と酸化亜鉛粒子の混合比率は特に限定されないが、後述する第3の工程も合わせて、表面処理剤が酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、1質量%以上20質量%以下となるように混合することが好ましい。混合比率は、5質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。
「分散機」
分散機は、酸化亜鉛粒子同士の凝集をほぐしながら表面処理できる程度の分散エネルギーを、混合液に付与できるものであれば、特に限定されない。
このような分散機としては、コロイドミル、ロールミル、超音波分散機、高圧ホモジナイザー、アルティマイザー、回転ミル、遊星ミル、ビーズミル、サンドミル等が挙げられる。分散メディアを必要とする分散装置で使用する分散メディアとしては、例えば、ジルコニア、ガラス、アルミナ、チタニア、窒化ケイ素等所定硬度を有する粒状体を用いることができる。
本工程では、分散機を用いて、上記の混合液を、所定以上のエネルギーで分散処理することにより、表面改質酸化亜鉛粒子を得る。
混合液に付与されるエネルギーは、分散機の大きさに合わせて、適宜調整すればよい。よって分散の条件は適宜選択してよい。例えば、ミル、具体的には、容量が約1Lの容器を用いてビーズミルで、分散処理する場合には、500rpm以上の回転数で、1時間以上かつ10時間以下の時間で分散処理をすることが好ましい。ただし、条件は必要に応じて選択でき、前記条件のみに限定されない。
また、ミル、具体的には、容量が約1Lの容器を用いてビーズミルで分散処理する場合には、混合液に付与される分散エネルギーは、例えば、100W・h/kg以上かつ600W・h/kg以下であることが好ましい。ただし、条件は必要に応じて選択でき、前記条件のみに限定されない。
また、ビーズミルの解砕力がミル内のディスクまたはピン外周のビーズの遠心力に依存することから、ビーズ重量をミル内のビーズの総重量とした場合の前記遠心力と分散時間の積(力積)を計算した場合、0.5×10N・s以上かつ100×10N・s以下となるような分散処理をすることが好ましい。
また、表面改質酸化亜鉛粒子のbが4.0以上かつ18以下となるまで分散処理を行ってもよい。この場合、分散処理中の酸化亜鉛粒子を少量抜き出して、分光色彩計を用いて、その酸化亜鉛粒子のbを測定することにより、分散処理の進行度合を確認してもよい。
分散機で分散する工程における温度は特に限定されないが、例えば、20℃以上かつ45℃以下であることが好ましい。
「第2の混合物を調製する第3の工程」
上記第2の工程の後に、本工程を行ってもよく、行わなくてもよい。
本工程では、第2の工程で得られた第1の混合物と、上記加水分解液を混合して第2の混合物とすることにより、表面処理剤で酸化亜鉛粒子の表面処理を行う工程である。
表面処理を2回行うことにより、表面処理剤が粒子表面に均一に付着しやすくなる。なお、表面処理工程は3回行ってもよく、4回行ってもよく、それ以上の回数行ってもよい。
上記加水分解液と酸化亜鉛粒子の混合比率は特に限定されないが、上述した第2の工程も合わせて、表面処理剤が酸化亜鉛粒子と表面処理剤の合計質量中に、1質量%以上20質量%以下となるように混合することが好ましい。混合比率は、5質量%以上かつ18質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上かつ16質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の工程で混合される表面処理剤と、第3の工程で混合される表面処理剤の質量比率は、特に限定されないが、0.5:1~3:1であることが好ましい。
2回目以降の表面処理工程では、加水分解性の反応基の残存を抑制するために行う工程であるため、表面処理剤の混合比率は少なめにして、加熱等により表面処理を促進させることが好ましい。
本工程は、加水分解性の反応基の残存を抑制するために行う工程であるため、加熱しながら混合することが好ましい。
すなわち、湿式で表面処理する場合には、第2の工程で表面処理剤を酸化亜鉛粒子の表面に均一に付着させ、第3の工程で表面処理をより促進させる。
加熱温度は、表面処理が促進される温度であれば特に限定されず、例えば、40℃以上かつ150℃以下であることが好ましい。必要に応じて、40℃以上かつ80℃以下や、60℃から100℃等であってもよい。
「乾燥工程」
本工程は、上記第2の混合物に残存する水や溶媒を除去するために行われる。本工程では、乾燥装置を用いて乾燥することが好ましい。なお、乾燥する前に固液分離を行う等、乾燥時間が短くなるような処理をしてもよい。乾燥装置は、特に限定されず、例えば、箱型乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、流動層乾燥機、バンド乾燥機、エバポレーター、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、リボコーン、パドルドライヤー、スプレードライヤー、スラリードライヤー、フラッシュドライヤー、ロータリードライヤー等が挙げられる。
乾燥温度は、溶媒を除去できる温度であれば特に限定されず、例えば、50℃以上かつ200℃以下であることが好ましい。60℃以上かつ150℃以下や、70℃以上かつ120℃以下等であってもよい。
「解砕工程」
乾燥後の表面改質酸化亜鉛粒子は、解砕機を用いて解砕処理を行ってもよい。解砕機としては、任意に選択でき、例えば、アトマイザー、ハンマーミル、ジェットミル、インペラーミル、ピンミル等が挙げられる。解砕工程により、例えば、化粧料に配合したときの表面改質酸化亜鉛粒子のざらつき感を抑制することができる。すなわち、表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料に使用したときの使用感を向上することができる。
上記工程により、湿式による本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を作製することができる。
[分散液]
本実施形態の分散液は、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子と、分散媒と、を含有する。本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を用意し、これを分散媒と混ぜて形成してよい。
なお、本実施形態の分散液は、粘度が高いペースト状の分散体も好ましく含むことができる。
分散媒は、表面改質酸化亜鉛粒子を分散できるものであれば、特に限定されない。表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料用途で用いる場合には、分散媒は、化粧料に処方することが可能であれば、特に限定されない。
分散媒としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、オクタデカン等の炭化水素油;イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、安息香酸アルキル(C12-15)等のエステル油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等の疎水性の分散媒が挙げられる。また、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、オクタノール、グリセリン等のアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、1-フェニルプロパン、イソプロピルベンゼン、n-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、o-、m-またはp-キシレン、2-、3-または4-エチルトルエン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド;アセトニトリル等のニトリル;オレイン酸、ホホバ油、オリーブ油、ココナッツオイル、グレープシード油、ヒマシ油、米ぬか油、馬油、ミンク油等のナチュラルオイル等が挙げられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
表面改質酸化亜鉛粒子を化粧料用途で用いる場合には、分散媒は、上記鎖状ポリシロキサン、上記環状ポリシロキサン、上記変性ポリシロキサン、上記炭化水素油、上記エステル油、上記高級脂肪酸、上記高級アルコール、上記ナチュラルオイル、エタノール、グリセリン等が好ましく用いられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の分散液は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、防腐剤、分散剤、分散助剤、安定剤、水溶性バインダー、増粘剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、UV吸収剤等が挙げられる。
本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)は任意に選択されるが、300nm以下(0.3μm以下)であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。d50の上限値は、150nm以下や、100nm以下であってもよい。
d50の下限値は、特に限定されず、例えば、20nm以上であってもよく、40nm以上であってもよく、60nm以上であってもよい。
d50の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
また、本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)は、350nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることがさらに好ましい。
d90の下限値は、特に限定されず、例えば、60nm以上であってもよく、80nm以上であってもよく、100nm以上であってもよい。
d90の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
分散液のd50が300nm以下の場合には、この分散液を用いて作製した化粧料を皮膚に塗布した場合に、表面改質酸化亜鉛粒子が均一に分布しやすく、紫外線遮蔽効果が向上するため好ましい。また、分散液のd90が350nm以下の場合には、分散液の透明性が高く、この分散液を用いて作製された化粧料の透明性も高くなるため好ましい。
すなわち、本実施形態の分散液におけるd50とd90が上記範囲であることにより、透明性に優れ、紫外線遮蔽性に優れる分散液を得ることができる。また、この分散液を用いて作製した化粧料も、透明性と紫外線遮蔽性に優れる。
本実施形態の分散液における粒度分布の累積体積百分率の測定方法としては、例えば、動的光散乱式粒径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、型番:NANOTRAC WAVE)を用いた方法が挙げられる。
本実施形態の分散液における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする分散液の特性に応じて適宜調整される。
本実施形態の分散液を化粧料に用いる場合、分散液における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、分散液における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
分散液における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
分散液における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、分散液において、表面改質酸化亜鉛粒子が高濃度に含有される。そのため、分散液を用いて作製する化粧料の処方の自由度を向上することができるとともに、分散液の粘度を取り扱いが容易な範囲に調整することができる。
本実施形態の分散液の製造方法は、特に限定されない。例えば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子と、分散媒とを、公知の分散装置で、機械的に分散する方法が挙げられる。
分散装置は、必要に応じて選択できる。分散装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
本実施形態の分散液は、化粧料の他、紫外線遮蔽機能やガス透過抑制機能等を有する塗料等に用いることができる。
本実施形態の分散液によれば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を含むため、紫外線遮蔽性に優れる。
[組成物]
本実施形態の組成物は、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子と、樹脂と、分散媒と、を含有してなる。本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を用意し、樹脂と分散媒と混ぜて、組成物を用意してもよい。
本実施形態の組成物における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。本実施形態の組成物における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、例えば、10質量%以上かつ40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上かつ30質量%以下であることがより好ましい。
組成物における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、組成物において、表面改質酸化亜鉛粒子が高濃度に含有される。そのため、表面改質酸化亜鉛粒子の特性が充分に得られ、かつ、表面改質酸化亜鉛粒子を均一に分散した組成物が得られる。
分散媒は、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
本実施形態の組成物における分散媒の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
樹脂は、工業用途で一般的に用いられるものであれば特に限定されない。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
本実施形態の組成物における樹脂の含有量は、特に限定されず、目的とする組成物の特性に応じて適宜調整される。
本実施形態の組成物は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、重合開始剤、分散剤、防腐剤等が挙げられる。
本実施形態の組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子と、樹脂と、分散媒とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
また、上述の分散液と、樹脂とを、公知の混合装置で、機械的に混合する方法が挙げられる。
混合装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。
本実施形態の組成物を、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、はけ塗り法、浸漬法等の通常の塗布方法により、ポリエステルフィルム等のプラスチック基材に塗布することにより、塗膜を形成することができる。これらの塗膜は、紫外線遮蔽膜やガスバリア膜として活用することができる。
本実施形態の組成物によれば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を含むため、紫外線遮蔽性に優れる。
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子および本実施形態の分散液の少なくとも一方と、化粧品基剤原料を含有してなる。
ここで、化粧品基剤原料とは、化粧品の本体を形成する諸原料のことであり、油性原料、水性原料、界面活性剤、粉体原料等が挙げられる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
水性原料としては、精製水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
粉末原料としては、有色顔料、白色顔料、パール剤、体質顔料等が挙げられる。
本実施形態においては、化粧品基剤原料は、好ましくは、油性原料、粉末原料、または油性原料および粉末原料を用いることができ、より好ましくは油性原料を用いることができる。
本実施形態の化粧料とは、油性化粧料や、表面改質酸化亜鉛粒子を油相に含むエマルションタイプの化粧料や、表面改質酸化亜鉛粒子を油剤と混合した後に、油剤を除去して成型する粉末固形化粧料等の、その製造過程または最終形態において、表面改質酸化亜鉛粒子が油成分(油相)に含有されている、化粧料を意味してよい。
エマルションタイプの化粧料は、O/W型のエマルションであってもよく、W/O型のエマルションであってもよい。
本実施形態の化粧料は、換言すれば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子および本実施形態の分散液の少なくとも一方が、油成分または油相に含有されていることが好ましい。
油性化粧料やエマルションの油相に用いられる油成分は、化粧料で一般的に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、シリコーンオイル、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、ナチュラルオイル等が挙げられる。
また、本実施形態の化粧料は、その特性を阻害しない範囲で、前記水性原料、界面活性剤、粉末原料等を含んでいてもよい。
本実施形態の化粧料は、例えば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子、または分散液を、乳液、クリーム、サンスクリーン、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー等の化粧品の基剤に、従来通りに配合することにより得られる。
また、本実施形態の化粧料は、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を油相に配合して、O/W型のまたはW/O型のエマルションとし、そのエマルションと化粧料の原料とを配合することにより得られる。
本実施形態の化粧料における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量は、目的とする化粧料の特性に応じて適宜調整される。例えば、表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよい。また、表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。
化粧料における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
以下、化粧料の一例として、日焼け止め化粧料について具体的に説明する。
紫外線を、特に長波長紫外線(UVA)を効果的に遮蔽し、粉っぽさやきしみの少ない良好な使用感を得るためには、日焼け止め化粧料における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、日焼け止め化粧料における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。日焼け止め化粧料における表面改質酸化亜鉛粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
日焼け止め化粧料は、必要に応じて、疎水性分散媒、表面改質酸化亜鉛粒子以外の無機微粒子や無機顔料、親水性分散媒、油脂、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、栄養剤、酸化防止剤、香料等を含んでいてもよい。
疎水性分散媒としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
化粧料に含まれる表面処理粒子以外の無機微粒子や無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(アパタイト)、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、γ-酸化鉄、チタン酸コバルト、コバルトバイオレット、酸化ケイ素等が挙げられる。
日焼け止め化粧料は、さらに有機系紫外線吸収剤を少なくとも1種含有していてもよい。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤としては、例えば、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、1-(4’-イソプロピルフェニル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオン、5-(3,3’-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAメチルエステル等が挙げられる。
アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-2-プロパノールフェニルサリシレート等が挙げられる。
ケイ皮酸系紫外線吸収剤としては、例えば、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、ジ-パラメトキシケイ皮酸-モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。
シリコーン系ケイ皮酸紫外線吸収剤としては、例えば、[3-ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル-1-メチルプロピル]-3,4,5-トリメトキシシンナメート、[3-ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル-3-メチルプロピル]-3,4,5-トリメトキシシンナメート、[3-ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル]-3,4,5-トリメトキシシンナメート、[3-ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルブチル]-3,4,5-トリメトキシシンナメート、[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルブチル]-3,4,5-トリメトキシシンナメート、[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル-1-メチルプロピル]-3,4-ジメトキシシンナメート等が挙げられる。
上記以外の有機系紫外線吸収剤としては、例えば、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、5-(3,3’-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。
本実施形態の化粧料によれば、本実施形態の表面改質酸化亜鉛粒子を含むため、紫外線遮蔽性に優れる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
「表面改質酸化亜鉛粒子の作製」
(加水分解液を調製する第1の工程)
オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、製品名:KBE-3083)40.0gと、純水8.0gと、0.1mol/Lの塩酸0.8gと、エタノール51.2gと、を60℃で90分混合し、加水分解液を得た。
(第1の混合物を調製する第2の工程)
得られた加水分解液4gと、比表面積が36.4m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)25gと、エタノール71gと、を混合した。
次いで、この混合液を、ビーズミルを用いて分散させた。分散条件は、回転数を1300rpm、温度を20℃、分散時間を40分とした。分散処理後、ビーズを除去し、第1の混合物を得た。
(第2の混合物を調製する第3の工程)
得られた第1の混合物100gと、上記加水分解液3.0gと、を50℃で30分混合し、第2の混合物を得た。
(乾燥工程)
得られた第2の混合物を固液分離し、100℃で3時間乾燥し、ジェットミルで粉砕して、実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
「表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積の測定」
実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積を、全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model-1201、マウンテック社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
「表面改質酸化亜鉛粒子の疑似太陽光照射前後の色差ΔEの測定」
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを3gと、ポリヒドロキシステアリン酸を3gと、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを94gと、を混合し、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンが完全に溶解された溶液を作製した。
次いで、得られた溶液2.0gと、実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子3.0gと、を混練機(シンキー社製、型番:ARE-310)で均一になるまで混合して混合液を得た。
次いで、得られた混合液を光路長0.5mmとなるように、分光光度計用の組み立て石英セル(GLサイエンス社製、型番:AB20-UV-05)に挟み、組み立てセルを作製した。
次いで、得られた組み立てセルを紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、型番:V-770)にセットし、積分球を用いて、混合液の拡散反射スペクトルを測定し、測定結果から、混合液のL 、a 、b を算出した。
次いで、小型光照射試験装置(岩崎電気社製、型番:EYE SUN-CUBE Xenon)のキセノンランプを用いて、積算光量300kJ/mの疑似太陽光を、上記混合液を含む組み立てセルに照射した。
照射後の組み立てセルを紫外可視近赤外分光光度計に再度セットし、拡散反射スペクトルを同様に測定し、測定結果から、疑似太陽光照射後の混合液のL 、a 、b 算出した。
次いで、色差ΔE=((L -L +(a -a +(b -b 1/2を算出した。結果を表1に示す。
「分散液の作製」
実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子10gと、シクロペンタシロキサン(ダウ・東レ社製、型番:DOWSIL SH245 Fluid)88gと、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業社製、型番:KF-6106)2gと、を混合して混合液を得た。
次いで、この混合液を、ホモジナイザー(IKA社製、ULTRA-TURRAX(登録商標)シリーズ:T25basic)を用いて、9500rpmで5分間分散処理し、実施例1の分散液を得た。
「粒度分布による分散性の評価」
実施例1の分散液において、表面改質酸化亜鉛粒子の含有量が0.1質量%となるように、シクロペンタシロキサンで希釈して測定液を作製した。
この測定液を用いて、動的光散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、型番:NANOTRAC WAVE)を用いて、粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒径(d10)と、粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)と、粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)を測定した。結果を表2に示す。
「分散液の透明性と紫外線遮蔽性の評価」
実施例1の分散液において、表面改質酸化亜鉛粒子の濃度が0.005質量%となるように、シクロペンタシロキサンで希釈した。
この希釈液を光路長が10mmの石英セルに入れ、360nmにおける全光線透過率(直線透過率+拡散透過率)(%)と、550nmにおける直線透過率(%)を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、型番:V-770)を用いて測定した。結果を表2に示す。
360nmにおける透過率が低いことは、紫外線遮蔽性が高いことを示す。このため、360nmにおける透過率は、低いことが好ましい。
550nmにおける透過率が高いことは、透明性が高いことを示す。このため、550nmにおける透過率は、高いことが好ましい。
「表面改質酸化亜鉛粒子の経時安定性の評価」
実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子を、磁製蒸発皿に入れ、ポリイミドフィルムを被せ、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例1の表面改質酸化亜鉛粒子を用いて、上記同様に分散液を作製した。得られた分散液を用いて、上記同様に粒度分布と、透明性と、紫外線遮蔽性を測定した。結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1の混合物を調製する第2の工程において、比表面積が36.4m/gの酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、比表面積が19.2m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)を用い、加水分解液4g、エタノール71gを用いる替わりに、加水分解液2.4g、エタノール72.6gを用い、実施例1の第2の混合物を調製する第3の工程において、加水分解液3gを用いる替わりに、加水分解液を1.6g用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
実施例2の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例2の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の分散液を得た。
実施例2の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例2の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1の混合物を調製する第2の工程において、比表面積が36.4m/gの酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、比表面積が4.7m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)を用い、加水分解液4g、エタノール71gを用いる替わりに、加水分解液1.2g、エタノール73.8gを用い、実施例1の第2の混合物を調製する第3の工程において、加水分解液3gを用いる替わりに、加水分解液を0.8g用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
実施例3の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例3の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の分散液を得た。
実施例3の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例3の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例3の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
(第1の混合物を調製する第2の工程)
実施例1の第1の工程で得られた加水分解液7gと、比表面積が38.7m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)25gと、エタノール68gと、を混合した。
次いで、この混合液を、ビーズミルを用いて分散させた。分散条件は、回転数を1300rpm、温度を20℃、分散時間を40分とした。分散処理後、ビーズを除去し、第1の混合物を得た。
(乾燥工程)
得られた第1の混合物を固液分離し、100℃で3時間乾燥し、実施例4の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
実施例4の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例4の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の分散液を得た。
実施例4の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例4の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例4の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1の第1の工程で得られた加水分解液42gと、比表面積が39.4m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)250gと、をヘンシェルミキサーに投入して、1時間撹拌して混合した。
次いで、この混合物を、80℃で1時間乾燥した。
乾燥した表面改質酸化亜鉛粒子250gと、実施例1の第1の工程で得られた加水分解液28gと、をヘンシェルミキサーに投入して、1時間撹拌して混合した。
得られた混合物をジェットミルで粉砕し、この粉砕粉を100℃で3時間乾燥することで、実施例5の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
実施例5の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例5の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の分散液を得た。
実施例5の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例5の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例5の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1の第1の工程で得られた加水分解液69gと、比表面積が39.4m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)250gと、をヘンシェルミキサーに投入して、1時間撹拌して混合した。
得られた混合物をジェットミルで粉砕し、この粉砕粉を100℃で3時間乾燥することで、実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の分散液を得た。
実施例6の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
比表面積が39.4m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)100gをヘンシェルミキサーに投入した。酸化亜鉛粒子をヘンシェルミキサーで酸化亜鉛粒子を撹拌しながら、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE-3083、信越化学社製)5g、純水0.375g、およびイソプロピルアルコール7.125gの混合液を添加した。これらの混合物をヘンシェルミキサー内で混合し、1時間撹拌して混合した。
次いで、得られた混合物をジェットミルで粉砕し、この粉砕粉を100℃で3時間乾燥することにより、比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子を得た。
比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子の比表面積と色差ΔEを実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた表面改質酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の分散液を得た。
比較例1の分散液の粒度分布と透明性と紫外線遮蔽性を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子を実施例1同様に、85℃、95%RHの環境に48時間曝露した。曝露後の比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子を、実施例1同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例5で用いた比表面積39.4m/gの酸化亜鉛粒子(住友大阪セメント社製)、すなわち、表面処理されていない酸化亜鉛粒子を比較例2として、色差ΔEを実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
Figure 2022128082000001
Figure 2022128082000002
表1および表2の結果から、実施例1~実施例6の表面改質酸化亜鉛粒子は、比較例1の表面改質酸化亜鉛粒子と比較して、色差ΔEが小さく、紫外線遮蔽性に優れることが確認された。また、湿式で表面処理された表面改質酸化亜鉛粒子は、d90が小さく、透明性に優れ、紫外線遮蔽性に優れることが確認された。また、湿式で加水分解液との混合工程を2回行うことで、より透明性と紫外線遮蔽性に優れた表面改質酸化亜鉛粒子が得られることが確認された。また、実施例1~実施例3を比較することにより、表面処理剤の量を増やすことにより、促進試験後も表面改質酸化亜鉛粒子の劣化が抑制されることが確認された。
本発明は、紫外線遮蔽性に優れる表面改質酸化亜鉛粒子を提供できる。本発明の表面改質酸化亜鉛粒子は、紫外線遮蔽性に優れ、透明性も従来と同等以上であるため、化粧料に用いられた場合の工業的価値は大きい。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛粒子の粒子表面が加水分解性の表面処理剤で処理された表面改質酸化亜鉛粒子であって、
    疑似太陽光照射前後の色差ΔEが4.0以下である、表面改質酸化亜鉛粒子。
  2. 波長360nmにおける全光線透過率が48%以下である、請求項1に記載の表面改質酸化亜鉛粒子。
  3. 前記表面処理剤は、アルコキシ基を有するシランカップリング剤が加水分解されたものである、請求項1または2に記載の表面改質酸化亜鉛粒子。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の表面改質酸化亜鉛粒子と、分散媒と、を含有する、分散液。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の表面改質酸化亜鉛粒子および請求項4に記載の分散液の群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有する、化粧料。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の表面改質酸化亜鉛粒子を製造する方法であって、
    表面処理剤と、水とを混合して加水分解液を調製する第1の工程と、
    前記加水分解液と、酸化亜鉛粒子とを混合して第1の混合物を調製する第2の工程と、
    前記第2の工程で得られた第1の混合物を乾燥する工程と、を有する、表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法。
JP2021026403A 2021-02-22 2021-02-22 表面改質酸化亜鉛粒子、分散液、化粧料、表面改質酸化亜鉛粒子の製造方法 Pending JP2022128082A (ja)

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