JP7095534B2 - 表面処理金属酸化物粒子、分散液、化粧料および表面処理金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents
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これらの金属酸化物粒子を化粧料に適用する場合、金属酸化物粒子の表面状態を化粧品の性状に合わせたり、金属酸化物粒子の触媒活性を抑えたりするために、金属酸化物粒子の表面処理が行われている。このような金属酸化物粒子の表面処理剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ジメチコンやハイドロゲンジメチコン等のシリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン等のアルコキシ基を有するシランカップリング剤等が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
さらに、置換基が異なる表面処理剤を用いることにより、粒子表面の性質を容易に変更可能である。以下の説明では、シランカップリング剤で表面処理した金属酸化物粒子を表面処理金属酸化物粒子と称する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の表面処理金属酸化物粒子は、シランカップリング剤で表面処理された紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子であって、金属酸化物粒子は紫外線遮蔽性を有し、表面処理された金属酸化物粒子の固体29Si CP/MAS-核磁気共鳴(NMR)分光法で測定したスペクトル(以下、「Si CP/MAS-NMRスペクトル」と略記する場合がある。)において、-20ppmから-80ppmの測定範囲におけるスペクトルの積分値を100%としたときに、-20ppmから-50ppmまでの積分値の割合が60%以下である。
化粧料は、一般に水中油型(oil in water:W/O型)または油中水型(water in oil:O/W型)の剤型で用いられる。上記積分値の割合が60%を超える表面処理金属酸化物粒子が油相に配合された化粧料は、表面処理金属酸化物粒子中のOH基数が多いため、肌に塗布されて乾燥される過程で、油相中で表面処理金属酸化物粒子同士が凝集して、肌に所望の紫外線遮蔽性を付与することができなくなる。
本実施形態における金属酸化物粒子は、紫外線遮蔽性を有していれば特に限定されない。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、酸化セリウム粒子等を用いることができる。化粧料に一般的に使用されているため、酸化亜鉛粒子と酸化チタン粒子がより好ましい。UV-A領域の紫外線遮蔽性に優れる点において、酸化亜鉛粒子がさらに好ましい。
本実施形態におけるシランカップリング剤は、化粧料に使用可能なシランカップリング剤であれば特に限定されない。
例えば、シランカップリング剤としては、一般式(3)で表されるシランカップリング剤のうち、化粧料に使用可能なものが挙げられる。
R1Si(OR2)3 …(3)
(R1は、炭素数1~18のアルキル基、フルオロアルキル基またはフェニル基、R2は、炭素数1~4のアルキル基を示す。)
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の表面処理金属酸化物粒子の製造方法は、特に限定されず、表面処理に用いる成分に応じて、乾式処理や湿式処理等公知の方法で適宜実施すればよい。
本実施形態の分散液は、本実施形態の表面処理金属酸化物粒子と、分散媒と、を含有する。
なお、本実施形態の分散液は、粘度が高いペースト状の分散体も含む。
分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、オクタノール、グリセリン等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;ナチュラルオイル、エステル油、シリコーンオイル等が好適に用いられる。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの分散媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
すなわち、上記塗膜の450nmにおける透過率が、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されず、100%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。塗膜の450nmにおける透過率の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
本実施形態の組成物は、本実施形態の表面処理粒子と、樹脂と、分散媒と、を含有してなる。
添加剤としては、例えば、重合開始剤、分散剤、防腐剤等が挙げられる。
本実施形態の一実施形態の化粧料は、本実施形態の表面処理金属酸化物粒子および本実施形態の分散液からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
紫外線、特に長波長紫外線(UVA)を効果的に遮蔽し、粉っぽさやきしみの少ない良好な使用感を得るためには、日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。日焼け止め化粧料における表面処理粒子の含有量の上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
「表面処理金属酸化物粒子の作製」
酸化亜鉛粒子(比表面積S:30m2/g、住友大阪セメント社製)100質量部と、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBE-3083、信越化学社製)8質量部と、純水0.375質量部と、イソプロピルアルコール7.125質量部と、の混合液をヘンシェルミキサー内で混合し、1時間撹拌した。
実施例1の表面処理酸化亜鉛粒子を10質量部と、分散剤(商品名:KF-6028、信越化学社製)を2質量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン(商品名:SH245、東レ・ダウコーニング社製)88質量部とを、攪拌機を用いて4000rpmで撹拌し、実施例1の分散液を得た。
実施例1において、110℃で3時間乾燥する替わりに、110℃で2時間乾燥した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
実施例1で得られた表面処理酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例2の表面処理酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の分散液を得た。
実施例2で得られた表面処理酸化亜鉛粒子を、85℃、90%RHの条件下に72時間静置し、表面処理酸化亜鉛粒子に水を吸湿させた。
次いで、この水を吸湿させた表面処理酸化亜鉛粒子を、120℃で3時間熱処理することで、実施例3の表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
実施例1で得られた表面処理酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、実施例3の表面処理酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の分散液を得た。
実施例1において、110℃で3時間乾燥する替わりに、100℃で1時間乾燥した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
実施例1で得られた表面処理酸化亜鉛粒子を用いる替わりに、比較例1の表面処理酸化亜鉛粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の分散液を得た。
(NMRの測定)
実施例1~実施例3および比較例1で得られた表面処理酸化亜鉛粒子について、固体29Si CP/MAS-核磁気共鳴(NMR)分光法で、-20ppm~-80ppmの範囲のスペクトルを測定した(測定条件:CPMAS法、観測周波数:79.42MHz、観測幅:23.83KHz、コンタクトタイム:5ms、試料回転数:5KHz、測定温度:27℃、パルスディレイ:5s、積算回数:16000)。測定結果を図1に示す。また、図1のうち、実施例1および比較例1を積分した結果を図2に示す。
実施例1~実施例3および比較例1で得られた分散液について、動的光散乱式粒径分布測定装置(型番:LB-550、堀場製作所製)を用いて測定し、累積体積百分率が50%のときの粒径(d50)と、累積体積百分率が90%のときの粒径(d90)とを求めた。
実施例1~実施例3および比較例1で得られた分散液を、それぞれ石英ガラス板上に分散液の厚さが12μmとなるように塗布し、15分間自然乾燥させて塗膜を形成した。
また、実施例3において、吸湿後の表面処理酸化亜鉛粒子であっても、-20ppmから-80ppmの測定範囲におけるスペクトルの積分値を100%としたときに、-20ppmから-50ppmまでの積分値の割合が60%以下となるまで加熱すれば、吸湿前の表面処理酸化亜鉛粒子と、同等の紫外線遮蔽性が得られることが確認された。
Claims (7)
- シランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子であって、
前記金属酸化物粒子は紫外線遮蔽性を有し、
前記表面処理された金属酸化物粒子の固体29Si CP/MAS-核磁気共鳴(NMR)分光法で測定したスペクトルにおいて、-20ppmから-80ppmの測定範囲におけるスペクトルの積分値を100%としたときに、-20ppmから-50ppmまでの積分値の割合が60%以下であり、
前記スペクトルにおいて-40ppm~-50ppmの範囲における最大強度をA、-50ppm~-60ppmの範囲における最大強度をB、-20ppm~-40ppmの範囲における最大強度をC、-60ppm~-80ppmの範囲における最大強度をDと定義した場合に、B>A>C>Dであることを特徴とする表面処理金属酸化物粒子。 - 前記シランカップリング剤が、アルキルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、アルキル基を側鎖に有するポリシロキサン、およびアリル基を側鎖に有するポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理金属酸化物粒子。
- 前記シランカップリング剤が、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、およびジメトキシジフェニルシラン-トリエトキシカプリリルシランクロスポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理金属酸化物粒子。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理金属酸化物粒子と、分散媒と、を含有することを特徴とする分散液。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理金属酸化物粒子および請求項4に記載の分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする化粧料。
- シランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子の製造方法であって、
前記金属酸化物粒子は紫外線遮蔽性を有し、
前記表面処理された金属酸化物粒子の固体29Si CP/MAS-核磁気共鳴(NMR)分光法で測定したスペクトルにおいて、-20ppmから-80ppmの測定範囲におけるスペクトルの積分値を100%としたときに、-20ppmから-50ppmまでの積分値の割合が60%以下を満たしているかを判定する第1の工程を含むことを特徴とする表面処理金属酸化物粒子の製造方法。 - 前記第1の工程において、前記割合が60%を超えていることが確認された場合、前記割合が60%以下となるまで、前記シランカップリング剤と前記金属酸化物粒子の混合物を加熱する第2の工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
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