JP2009208988A - 酸化チタンナノチューブを用いた機能性材料 - Google Patents

酸化チタンナノチューブを用いた機能性材料 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化チタンナノチューブ材料に対する撥水性・親水性の付与、特定の化学物質やタンパク質の固定化、水や有機溶媒中の分散性の制御性付与など様々な機能が施された新規な機能性材料を提供する。
【解決手段】所定温度・所定時間・所定圧力の条件下で、酸化チタン若しくはチタン酸塩を水熱合成処理することによって得られる酸化チタンナノチューブ構造体に、酸化チタンナノチューブ構造体に、シランカップリング剤を修飾させ、構造体表面に自己組織化膜を構築する。そして、シランカップリング剤の種別によって、酸化チタンナノチューブの性状を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、酸化チタンナノチューブを用いた機能性材料に関し、特に、水熱合成法によって得られた酸化チタンナノチューブに対して、シランカップリング剤を用いて表面改質を施した機能性材料に関するものである。
酸化チタンは、顔料、塗料、吸着剤、化粧材料または電子材料等として広く用いられており、最近では新たに色素増感太陽電池の多孔質電極や光触媒、触媒担体等の材料として注目されている。特に、酸化チタンナノチューブは、その特異な形状(ナノサイズの中空円筒形状)から、半導体や光触媒、紫外線吸収材(UV吸収材)等の機能性材料としての利用が期待されている応用性の高い材料の1つである(特許文献1,特許文献2)。
かかる酸化チタンナノチューブの製法として、環境汚染の原因物質や取扱いに危険を伴う高濃度のアルカリを用いることなく、穏やかな条件下で、チタン酸塩から安全かつ簡易にナノチューブ形状の酸化チタン構造体を製造する方法が知られている(特許文献3)。これは、原料となるチタン酸塩の粉末を単なる水に加えて一定時間の加熱処理(水熱処理)を行うという非常に簡易な操作により、高濃度のアルカリ水溶液を使用することなく、ナノチューブ形状の酸化チタン構造体を容易に作製することができるものである。
しかしながら、かかる酸化チタンナノチューブの実用を目指し、そのナノチューブ表面に対して化学的な改質を施し、様々な機能を付加する技術は現状見当たらない状況である。
また一方で、酸化チタンは効率の良いUV光吸収材料であるため日焼け止め化粧品や、UV吸収塗料、建築材あるいは繊維素材等への利用が進められている。しかしUV光を吸収することによって発現する強力な酸化還元能力によって周囲の有機物を分解してしまうという酸化チタン特有の問題点があり、材料の耐久性保持という面から酸化チタンをそのまま材料中へ添加することは難しいのが実情である。これの対処法として、現状では酸化チタン表面を無機物によってコーティングしている。しかしこの場合には、周囲の有機物との親和性が悪くなるという問題がある。
特開2003−251194号公報 特開2003−168495号公報 特開2006−044992号公報
本発明は、酸化チタンナノチューブの表面を化学修飾によって改質し、酸化チタンナノチューブ材料に対する撥水性・親水性の付与、特定の化学物質やタンパク質の固定化、水や有機溶媒中の分散性の制御性付与など様々な機能が施された新規な機能性材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、酸化チタンナノチューブが紫外線吸収材料として機能する場合に、周囲の化合物を分解してしまうという欠点を克服すべく、紫外光を吸収するが周囲は分解しないという新しい機能を備えた紫外線吸収材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の機能性材料は、酸化チタンナノチューブ構造体に、有機無機ハイブリッド化合物を修飾させ、構造体表面に自己組織化膜を構築したことを特徴とする。
かかる機能性材料は、有機無機ハイブリッド化合物を用いて、酸化チタンナノチューブの表面を化学修飾することによって表面改質し、酸化チタンナノチューブ材料に対して、撥水性・親水性の付与、特定の化学物質やタンパク質の固定化、水や有機溶媒中の分散性の制御性付与など様々な機能を施すことが可能である。
言い換えると、酸化チタンナノチューブの表面を有機物にて覆うことにより、そこへ任意の官能基を提示させることができるため、有機材料あるいは無機材料との相性を目的に応じて自在に変化させることが可能である。
なお、自己組織化膜に関して、従来から様々な研究がなされており、それらの知見を活用することによって、有機無機ハイブリッド化合物で修飾した酸化チタンナノチューブ表面をさらに違った化合物で修飾し、単層修飾だけでは発現できない新規な機能を構築することもできる。
ここで、有機無機ハイブリッド化合物とは、有機系化合物と金属・セラミックス等の無機系化合物が2種類以上分子レベルで複合化されたものであり、これらが組み合わさることによってそれぞれが単独に材料として用いられる場合に比べて優れた性質・機能の発現が期待される化合物群を指す。この有機無機ハイブリッド化合物として、好適には、シランカップリング剤が用いられる。なお、後述するように、シランカップリング剤の種別によって、酸化チタンナノチューブの性状を制御可能である。
ここで、シランカップリング剤とは、分子内に有機材料と反応結合する官能基,および無機材料と反応結合する官能基を同時に有する有機ケイ素化合物で、図3に示すようにケイ素原子に1つの有機官能基と2−3の無機物と反応する加水分解基を持っている構造を有しており、これによって無機物表面を修飾できる化合物である。
具体的には、RSiX (X:ケイ素原子に結合している加水分解性基でアルコキシ基,アセトキシ基,クロル原子など; R:有機官能基、この部分にエポキシ基,ビニル基,アミノ基などの有機材料と反応結合する官能基を導入できる) という構造式で書くことができる。具体的な化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プロピルブトキシシラン、イソプロピルブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン等のアルキル側鎖を有するもの、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの末端にエポキシ基を有するもの、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するもの、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、クロロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、IS−3000等の様々な官能基を有するものが挙げられる。
また、酸化チタンナノチューブ構造体は、酸化チタン若しくはチタン酸塩を水熱合成処理することによって得られる酸化チタンナノチューブ構造体が好ましい。所定条件下で水熱合成処理を行うことにより、酸化チタンやチタン酸塩の材料に何も手を加えない状態で表面に水酸基が十分量提示されている酸化チタンナノチューブを得ることが可能である。
適切な時間・温度、比較的高圧な条件下での水熱合成処理を行うことにより、酸化チタンナノチューブが軟凝集状態となり、酸化チタンナノチューブ表面に自己組織化膜を構築するための最適な状態となる。そのため、酸化チタンナノチューブ表面の水酸基を介して直接的な化学修飾が可能であり、結果として酸化チタンナノチューブ表面の改質が可能となる。
また、本発明の機能性材料は、上記の表面修飾された酸化チタンナノチューブ構造体に対して、その表面に提示された官能基に基づいて、第2の表面修飾を行うことにより生成されることを特徴とする。
例えば、酸化チタンナノチューブ構造体をシランカップリング剤で表面修飾(第1の表面修飾)した後に、その表面に提示された官能基を足がかりに、更なる表面修飾(第2の表面修飾)を行うことにより、より高機能化された機能性材料を生成できるのである。
また、上記の酸化チタンナノチューブ構造体は、アナターゼ型酸化チタンナノチューブであることが好ましい。別の観点からは、上記の酸化チタンナノチューブ構造体は、OH基が構造体表面に整列しているものが好ましい。
アナターゼ型酸化チタンナノチューブが好ましい理由は、表面にOH基が整列して露出しているため、このOH基を利用して機能性材料を創製できるからである。すなわち、水酸基を足がかりとして化学修飾を行うことで表面の改質を自由に行うことができ、材料表面の特性を自由に制御することが可能である。
また、上記の水熱合成処理における処理温度は110〜150度で、水熱合成処理の処理時間は10〜100時間であることが好ましい態様である。アナターゼ型酸化チタンを温度110〜150度、10〜100時間にて所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液中にて水熱合成処理を行い、後処理として酸処理、水洗を経た後、十分に乾燥させることで、酸化チタンナノチューブ表面にOH基が露出した酸化チタン系ナノチューブを得ることができる。
また、上記の本発明の機能性材料は、紫外線吸収材として好適に用いられる。
従来、UV吸収材料として利用する場合には、UV光を吸収する際に発現する強力な酸化還元能力によって周囲の有機物を分解してしまうという酸化チタン特有の問題点があり、材料の耐久性保持という面から酸化チタンをそのまま化粧品や塗料中へと添加することは難しいとされている。本発明の機能性材料は、酸化チタンナノチューブ表面に多数存在する水酸基を利用して、これをシランカップリング剤のような有機無機ハイブリッド化合物にて修飾して表面に自己組織化膜を構築することにより、UV光を吸収するが周囲は分解しないといった、独特な紫外線吸収能を備える。
具体的には、シランカップリング剤による酸化チタンナノチューブ表面修飾時において、有機溶媒中で加熱還流を行うことによって、酸化チタンナノチューブ表面の結合ネットワークが効率的に進行し、UV光を照射しても自己分解しないといった紫外線吸収材を得ることができる。従って、本発明の機能性材料を紫外線吸収材として利用した場合には、そのまま化粧品や塗料中へと添加することができることとなる。
また、上記の本発明の機能性材料は、分散材として好適に用いられる。
本発明の機能性材料は、酸化チタンナノチューブの表面を修飾する際に、表面の官能基を親水性官能基で修飾すれば水に効率よく分散させることができる。また、酸化チタンナノチューブの表面を修飾する際に、表面の官能基を疎水性官能基で修飾すれば有機溶媒に効率よく分散させることができる。さらに、有機溶媒については、表面に修飾させる官能基の種類によって、分散度合いを変化させることができる。
すなわち、本発明の機能性材料は、シランカップリング剤の種別を変化させることにより、水だけでなく任意の有機溶媒における分散性を制御できるのである。このような分散性の制御が行えることは、工業的な製造工程において利便性を有し、UV光吸収材としての利用範囲を拡大できることにつながる。
また、上記の本発明の機能性材料は、タンパク質検知センサとして好適に用いられる。
本発明の機能性材料をタンパク質検知センサとして利用することで、従来の一本の単層カーボンナノチューブを用いたバイオセンサと同レベルの検出速度の高い応答速度を有しているバイオセンサを作製することができる。
また、上記の本発明の機能性材料は、色素増感太陽電池として好適に用いられる。
本発明の機能性材料を色素増感太陽電池として利用することで、紫外光によって酸化チタンに蓄えられる電子等のエネルギーを表面修飾分子へと伝達でき、あるいはその逆も可能で、エネルギーの蓄積、伝播に応用できる材料を得ることが可能となる。
また、上記の本発明の機能性材料は、シランカップリング剤の種別を変化させることにより、濡れ性を制御することができる。
また、上記の本発明の機能性材料は、シランカップリング剤の官能基を金属イオン捕集可能な官能基とすることにより、材料に金属コーティングすることができる。
本発明の機能性材料に、金属イオンを捕集する性質をもつ官能基(イミダゾール等)を表面に提示することによって、無電解メタライゼーションによる金属コーティングが可能となる。これにより、半導体−絶縁体−伝導体をナノオーダーで積層可能となる。
本発明は、酸化チタンナノチューブ表面に存在する水酸基に対して、シランカップリング剤などの有機無機ハイブリッド化合物を用いて表面修飾し、その表面の性状をさまざまに変化させることができるといった効果を有する。
また、本発明は、UV光は吸収するが周囲の有機物は分解しない独特な性質を有することから、紫外線吸収材として本機能性材料を添加した場合に、商品の耐久性能低下を回避でき、化粧品や塗料、繊維素材分野において安全に添加できるといった効果を有する。
さらに、本発明は、半導体材料や光触媒機能材料としても使用されている酸化チタンナノチューブ材料の表面改質に応用でき、これによって流体デバイス、生体センサや高効率色素増感太陽電池など、酸化チタンナノチューブ材料が有する機能を強化あるいは新規機能の創成といった効果を有する。
以下、本発明の酸化チタンナノチューブを用いた機能性材料の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
(酸化チタンナノチューブの調製)
アナターゼ型酸化チタンを温度110〜150℃、10〜100時間にて、10Mの水酸化ナトリウム水溶液中にて水熱合成を行い、後処理として酸処理、水洗を経た後、100℃で2時間乾燥させることで水酸基が表面に露出した酸化チタンナノチューブを得る。図1に、水酸基が表面に露出した酸化チタンナノチューブの代表的構造図を示す。上記の酸化チタンナノチューブの調製過程において、反応場の圧力を高圧(0.279MPa以上)に保ちながら水熱合成処理をおこなう。高圧下(0.279MPa以上)で水熱合成処理を行った酸化チタンナノチューブは、低圧下(0.279MPa以下)で合成したものより、比較的チューブ長さが短く、凝集しにくい(軟凝集状態)高結晶性の酸化チタンナノチューブを合成することができる。
図2は、水熱合成処理によって生成した酸化チタンナノチューブのTEMイメージで、(1)は
0.279MPa, (2)0.325MPaの圧力にて合成したものを示している。図2のTEMイメージから、高圧下(0.325MPa)で水熱合成処理を行った酸化チタンナノチューブは、低圧下(0.279MPa)で合成した酸化チタンナノチューブよりも、軟凝集状態であることが確認できる。この軟凝集状態は、低圧力下での生成物のような高密度凝集状態に比べて、自己組織化膜を酸化チタンナノチューブ表面により高密度で構築することを可能にするため、反応場の圧力制御は重要な因子になる。
(シランカップリング剤による酸化チタンナノチューブ粉末の表面修飾)
上記の酸化チタンナノチューブの調製の方法にて合成した酸化チタンナノチューブ(500mg)を脱水トルエン(10mL)に懸濁し、得られた懸濁液に、シランカップリング剤(n−プロピルトリメトキシシラン:500μL、あるいはイミダゾールシランIS−3000,
4wt% アゾールシランinメタノール溶液; 2mL)およびトリエチルアミン(50μL)を添加した後、室温あるいは加熱還流条件にて12時間攪拌する。その後、室温まで放冷したのち遠心分離(14900xg,
4℃, 10分)を行う。
未反応物質を除去するために、得られた沈殿画分を脱水トルエン(10mL)に再懸濁し、再度室温あるいは加熱還流条件下、6時間攪拌した。室温まで放冷したのち遠心分離(14900xg, 4℃, 10分)を行った。得られた沈殿画分をヘキサンにて3回洗浄(ヘキサン(10mL)にて再懸濁、遠心分離という一連の操作を3回繰り返す)し、得られた沈殿画分を回収、120℃の温風乾燥機中にて2時間乾燥させることで表面修飾された酸化チタンナノチューブを得る。
本修飾の結果、酸化チタンナノチューブ表面は、図3に示すように、Ti−O−Si結合にて覆われていると考えられる。
(シランカップリング剤による酸化チタンナノチューブの表面修飾)
まず、酸化チタンナノチューブ表面を洗浄するためにアセトン、エタノール、再度アセトン中に5分ずつ浸漬する。次に表面のアセトンを乾燥させるために、120℃の温風乾燥機中にて10分間放置する。室温まで放冷した後、n−プロピルトリメトキシシラン(500μL)およびトリエチルアミン(50μL)を含むトルエン(10mL)中に、室温にて2時間あるいは加熱還流条件下12時間浸漬することによって化学修飾を行う。
未反応物質を除去するために反応後の酸化チタンナノチューブ膜をトルエン(10mL)中に室温あるいは加熱還流条件下6時間浸漬、引き続いてアセトンにて洗浄する。その後、120℃の温風乾燥機中にて2時間乾燥させることで、酸化チタンナノチューブの表面修飾が完了する。
(表面修飾された酸化チタンナノチューブのUV照射耐性試験)
実施例1の表面修飾方法にて生成した酸化チタンナノチューブに対して、1mWのUV光を15cm上方から24時間照射した。ここで、粉末の表面修飾酸化チタンナノチューブについては熱重量および示差熱分析(TG−DTA)を、ガラス基板上に薄膜化した表面修飾酸化チタンナノチューブについては滴下した水滴の濡れ角測定を行っている。
測定結果を図4〜9に示す。
図4は、室温下、n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾を行った酸化チタンナノチューブのDTA測定結果を示している。図4のDTA測定結果に示されるように、UV光照射時間が長くなるに従って、表面のシランカップリング剤が分解され、24時間後にはほぼ未修飾の状態にまで戻っていることが確認できる。
また、このことは、薄膜化した表面修飾酸化チタンナノチューブへの濡れ角測定でも確認できる(図5を参照)。図5は、n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾(室温下)した薄膜状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験における濡れ角測定結果の写真(左:UV照射後, 右:UV照射前)を示している。図5に示されるように、表面修飾直後の濡れ角は、131度と疎水性であったのに対し(写真右:UV照射前)、UV光を24時間照射後は、その値が約5度(写真左:UV照射後)と、未修飾状態の場合と同等の値にまで親水性となることがわかる。
次に、加熱還流条件下、n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾を行った酸化チタンナノチューブのTGおよびDTA測定結果を図6および図7に示す。図6や図7に示されるように、加熱還流条件下でn−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾を行った酸化チタンナノチューブの場合には、UV光を24時間まで照射しても、グラフに全く変化は見られなかった。これはUV光照射によっても、シランカップリング剤は分解を受けていないということを示している。また濡れ角測定を行ったところ、UV光の照射前後で角度に変化は見られず、表面修飾直後の疎水性を示したままである。
以上の内容から、加熱還流条件下にて修飾操作を行うことによって、修飾剤を分解しないといった特異な性質を有する酸化チタンナノチューブに改質できることが理解できる。
この理由は、以下のように推察できる。つまり、シランカップリング剤による酸化チタン表面への化学修飾は、図3のような縮合機構にて進行する。本反応は一般的には室温下においても進行するが、その結合を完全にするためには今回のような加熱還流条件が必須であると予想される。つまり、加熱還流することにより完全なTi−OおよびSi−O間結合ネットワークが構築されるが、室温ではこのネットワークが不十分となり完全な自己組織化を構築できない部分が残存する。
このため、UV照射によって自身の分解が進むと推察する。また、Ti−OおよびSi−Oの各結合間バンドギャップはそれぞれ3eV,9eVと見積もられ、これらは絶縁体のバンドギャップに相当する。よって紫外光の吸収によって生じた電子あるいはホールはこれらの結合を飛び越えることはできず、表面が有機化合物で覆われているにもかかわらず自身の分解を抑え、かつ紫外光を吸収することのできる特異な性質を示すと推察する。同様の結果は、加熱還流下、シランカップリング剤としてIS−3000を用いて表面修飾を行った場合のTGおよびDTA測定からも確認できる(図8および図9を参照)。
以上述べたように、どのような構造を有しているシランカップリング剤であっても、加熱還流操作を行うことによって完全な自己組織化を構築でき、修飾剤を分解しない特異な性質を持った酸化チタンナノチューブを調製できることがわかる。
(酸化チタンナノチューブの水分散液の調製と粒径分布測定)
実施例1で述べたシランカップリング剤による酸化チタンナノチューブ粉末の表面修飾方法に従って、加熱還流条件下、IS−3000にて表面修飾した、あるいは未修飾の酸化チタンナノチューブ (100mg)を超純水(15mL)に縣濁し、超音波処理(20kHz,15minを4回)を行う。その後、遠心分離(14900xg, 4℃,
10分)を行い、得られた上清を酸化チタン水分散液とする。
このように調製した水溶液中には、修飾酸化チタンナノチューブが1180ppm、未修飾酸化チタンナノチューブが3440ppmの濃度にて分散している。本結果より、表面修飾することによって溶解度は多少低下するものの、それでもなお水溶液へと高い濃度にて溶解させることが可能であることが分かった。また表面修飾に用いるシランカップリング剤の種類によって水溶液への溶解性を変化させることが可能であることが考えられる。なお、本水溶液は数ヶ月間経過して場合でも、沈殿の生成は確認されていない。
本水溶液を用いて、光散乱(DLS)測定を行い、粒径分布を確認した結果を図10および図11に示す。これらのグラフから、修飾酸化チタンナノチューブでは94.7nm、未修飾酸化チタンナノチューブでは50.9nmの大きさにて分散していることが確認されている。これは水熱合成にて作成された酸化チタンナノチューブそれぞれ単独の長さと同程度である。よって、未修飾の酸化チタンナノチューブおよびIS−3000にて表面修飾された酸化チタンナノチューブは、水溶液中において単分散をしていると予想される。
また、本水溶液の透過率測定を行ったところ、図12に示すように、紫外光領域の吸収が確認されている。これらの結果より、IS−3000にて表面修飾した酸化チタンナノチューブについても、未修飾の酸化チタンナノチューブと同等のUV吸収能力を有していることが判明した。つまり、表面をシランカップリング剤で覆うことによっても、酸化チタンが元来有するUV吸収能力は全く低下しないということが確認できた。
次に、表面修飾された酸化チタンナノチューブのUV照射に対する色素分解能力について図20を参照して説明する。
メチレンブルー水溶液(0.02wt%)に基板を浸漬し、そこへUV光を24時間照射する。その後、水溶液の吸光度を測定した。なお、比較対照としてUV光を照射しない条件も行っている。ここで、利用基板は、ガラス基板上に薄膜化した酸化チタンナノチューブをn−propyltrimethoxysilaneにて修飾、あるいは未修飾の酸化チタンナノチューブである。
図20のグラフから確認されるように、未修飾酸化チタンでは、24時間のUV照射で色素に由来する吸収ピークはほとんど消失している。一方、修飾した酸化チタンナノチューブでは、UV光の照射・非照射でほとんど吸収ピークに差は見られなかった。つまり色素の分解は完全に抑えられていることがわかる。このことから、酸化チタンナノチューブ表面に修飾を施すことによって、酸化チタンの持つ有機化合物の分解活性を完全に抑制することができたと推察する。
すなわち、本発明の修飾した酸化チタンナノチューブでは、UV光は吸収するが周囲の有機物は分解しない独特な性質を有することが理解できる。
(酸化チタンナノチューブの有機溶媒分散液の調製)
実施例1で述べたシランカップリング剤による酸化チタンナノチューブ粉末の表面修飾方法に従って、加熱還流条件下、n−プロピルトリメトキシシランあるいはIS−3000にて表面修飾した酸化チタンナノチューブ (30mg)を有機溶媒(酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、5mL)に縣濁し、超音波処理(20kHz,15 min
を4回)を行う。その後、遠心分離(14900xg, 4℃, 10分)を行い、得られた上清を酸化チタン有機溶媒分散液とする。
このように調製した場合、酢酸エチル溶液中には、n−プロピルトリメトキシシラン修飾酸化チタンナノチューブが960ppm、IS−3000修飾酸化チタンナノチューブが260ppmの濃度にて、イソプロピルアルコール溶液中には、n−プロピルトリメトキシシラン修飾酸化チタンナノチューブが1940ppm、IS−3000修飾酸化チタンナノチューブが1320ppmの濃度にて、またメチルエチルケトン溶液中には、n−プロピルトリメトキシシラン修飾酸化チタンナノチューブが400ppm、IS−3000修飾酸化チタンナノチューブが120ppmの濃度にて分散分散している。なお、本水溶液は数ヶ月間経過して場合でも、沈殿の生成は確認されていない。
また、これらの溶液の透過率測定を行ったところ、n−プロピルトリメトキシシラン修飾酸化チタンナノチューブについては、すべての有機溶媒において紫外光領域の吸収が確認されている。
図13〜15に、様々な有機溶媒に対する表面修飾酸化チタンの溶解性試験の結果を示す。これによると表面修飾する際のシランカップリング剤の有機基を変化させることによって、有機溶媒への溶解性を変化させられるということが確認できる。例えば、未修飾酸化チタンナノチューブ(blankに相当)の場合には透過率測定結果、300nm付近での吸収が確認できない。このことは酸化チタンナノチューブが溶解していないということを示している。
これに対し、n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾を行った酸化チタンナノチューブ(C3に相当)やIS−3000にて表面修飾を行った酸化チタンナノチューブ(IS−3000に相当)ではいくつかの溶媒について、300nm付近において明らかな吸収が確認できる。これは表面修飾し酸化チタンナノチューブ表面に有機基が提示されたことによって、有機溶媒との親和性が高くなり、溶解(単分散) するようになったためと推察する。
また、シランカップリング剤の種類によっても溶解性に違いを持たせることができる。例えば、図13の酢酸エチルや図15のメチルエチルケトンに対する溶解性試験では、アルキル基で覆われたC3で高い溶解性を示す一方で、イミダゾール基や水酸基が表面に提示されたIS−3000では、未修飾酸化チタンナノチューブと同様にほとんど分散していないことが確認できる。それに対して、図14に示したイソプロピルアルコールへの溶解試験では、C3およびIS−3000共に高い溶解性を示すことが確認できる。
以上から、表面修飾するシランカップリング剤の種類を変えることによって、溶解性に大きな変化を持たせることが可能であることが示された。
(酸化チタンナノチューブ膜の濡れ性の制御)
実施例5では、酸化チタンナノチューブ膜の濡れ性の制御する例として、超撥水性を付与する場合の表面修飾方法について説明する。まず、ガラス基板上に膜状化した酸化チタンナノチューブ膜の膜表面を洗浄するためにアセトン、エタノール、再度アセトン中に5分ずつ浸漬する。次に、膜表面のアセトンを乾燥させるために100℃の温風乾燥機中にて、10分間放置する。その後、室温まで放冷した後、2%のn−プロピルトリメトキシシランおよび0.2%のトリエチルアミンを含むトルエン溶液中に室温にて2時間浸漬することによって、酸化チタンナノチューブ膜の膜表面に修飾を行う。
未反応物質を除去するために反応後の酸化チタンナノチューブ膜をトルエンおよびアセトン中に5分ずつ浸漬し、その後、100℃の温風乾燥機中にて1時間乾燥させることで、超撥水性が付加された酸化チタン系ナノチューブの合成を完了する。
通常、水熱合成処理にて生成された酸化チタン系ナノチューブは、チューブ表面にOH基が露出していることから親水性を示す。その濡れ角は、図16−1に示すように約5°程度である。
これに対して、n−プロピルトリメトキシシランを用い、酸化チタンナノチューブ膜の膜表面を修飾したものは、図16−2に示すように、膜表面の特性が超撥水性状態となっていることが確認される。
また、n−プロピルトリメトキシシランに替わって(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランを表面修飾剤として用いることで、図16−3に示すような膜表面の特性が準撥水性状態となっていることが確認される。
さらに、3−アミノプロピルトリメトキシシランを表面修飾剤とすることで、濡れ角が測定できないような超親水性を発現させることにも可能である。以上より、酸化チタンナノチューブ表面の濡れ性を制御できることが理解できる。
(タンパク質検知センサ)
次に、実施例6として、低分子化合物-タンパク質間相互作用を検出するバイオセンサについて説明する。まず、実施例6のバイオセンサの作製手順について説明する。両端にITO膜をコーティングしたガラス板に厚さ約50μm、幅10mm×10mmにて酸化チタンナノチューブをスキージング法により塗布し、乾燥炉中にて100℃、2時間乾燥させたものをセンサ基板とする。本基板表面を洗浄するためにアセトン、エタノール、再度アセトン中に5分ずつ浸漬させる。
次に、表面のアセトンを乾燥させるために100℃の温風乾燥機中にて、10分間放置する。その後、室温まで放冷した後、2%の3−glycidoxypropyltrimethoxysilane
および0.2%のトリエチルアミンを含むトルエン溶液中に室温にて2時間浸漬することによって、シランカップリング剤による表面修飾を行う。未反応物質を除去するために反応後の酸化チタンナノチューブ膜をトルエンおよびアセトン中に5分ずつ浸漬し、その後、100℃の温風乾燥機中にて1時間乾燥させる。
引き続いて室温まで放冷した後、0.25%のN−(5-amino-1-carboxypentyl)iminodiacetic
acid 水溶液中に室温にて12時間浸漬し、タンパク質と相互作用する官能基の導入を行う。反応後の基板を水中に浸漬することで未反応物質を除去する。
また、本基板を0.1Mの硫酸ニッケル水溶液に室温にて、10分浸漬、その後、10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて洗浄することによって、低分子化合物-タンパク質間相互作用を検出するバイオセンサの制作を完了する。
本バイオセンサと定電流直流電源を接続し、センサに常に一定電流(10μA)が流れるように設定し、センサに印加される電圧を測定する装置を作製する。図17に、作製するバイオセンサの概略構成図を示す。
この条件下で、濃度3μMのターゲットタンパク質(N−末端にHis−tag配列を有する直鎖状二量体6-アミノヘキサン酸分解酵素(His−EII))を、マイクロピペットを用いて3μLセンサ基板上に滴下する。タンパク質は電解質(10mMのリン酸緩衝液(pH7.0))に溶解させているため、本リン酸緩衝液のみも同一の本バイオセンサ基板上に滴下させ、その電圧履歴の差異を検出し、バイオセンサとしての機能を確認した。
測定された電圧の時間履歴を図18に示す。リン酸緩衝液を滴下(時間0s)させた場合、センサ電極間の抵抗が低下するため一定電流の条件では、電圧値は急激に低くなる。その後、溶液の蒸発に伴って徐々に電圧が初期値へと回復する。
一方、タンパク質を含む溶液を滴下させると、ターゲットのタンパク質は電子を取り込む働きをするため、センサ電極間の抵抗値は増大することになる。これは、一定電流の条件下では、初期電圧値への回復を早める働きとなる。そこで、これらの差異をとれば、タンパク質の結合による電圧変化が確認でき、本実施例によって低分子化合物-タンパク質間相互作用(図19に概念図を参照)の検出が可能であることが示されたことになる。
また、タンパク質の結合による電圧変化は、200秒程度で終了していることから、本バイオセンサの検出速度は約200秒ということができる。これは、従来の一本の単層カーボンナノチューブを用いたバイオセンサと同レベルの検出速度であり、本実施例の酸化チタンナノチューブ膜の厚み50μmが、単層カーボンナノチューブと比べ極めて厚いことを考慮すると高い応答速度を有しているといえる。
今後、酸化チタンナノチューブ膜の薄膜化、滴下液量の最適化などを工夫することによって、更なる検出速度の高速化が期待できる。
実施例7では、酸化チタンナノチューブに対し、シランカップリング剤などで第1の表面修飾後に、その表面に提示された官能基を介して、第2の表面修飾を行うことにより生成される機能性材料について、具体例を説明する。
実施例7は、酸化チタンナノチューブに対して、シランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて表面修飾後、色素を結合させて粉末の色あいを変えるというものである。
実施例1と同様に、水熱合成処理によって生成した酸化チタンナノチューブ(500mg)を脱水トルエン(10mL)に懸濁し、得られた懸濁液に、シランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:500μL)およびトリエチルアミン(50μL)を添加した後、室温あるいは加熱還流条件にて12時間攪拌する。その後、室温まで放冷したのち遠心分離(14900xg,
4℃, 10分)を行う。
未反応物質を除去するために、得られた沈殿画分を脱水トルエン(10mL)に再懸濁し、再度室温あるいは加熱還流条件下、6時間攪拌した。室温まで放冷したのち遠心分離(14900xg, 4℃, 10分)を行った。得られた沈殿画分をヘキサンにて3回洗浄(ヘキサン(10mL)にて再懸濁、遠心分離という一連の操作を3回繰り返す)し、得られた沈殿画分を回収、120℃の温風乾燥機中にて2時間乾燥させることで表面修飾された酸化チタンナノチューブを得る。
本修飾の結果、表面にアミノ基が提示された表面修飾酸化チタンナノチューブを得る。
次に、上記の表面修飾酸化チタンナノチューブに対して、色素を結合させて粉末の色あいを変えることを試みる。
先ず、本酸化チタンナノチューブ(10mg)と、ビリルビン(1.2mg)と、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.2mg)と、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド ナトリウム塩(1.1mg)を、100mM・pH7.3のリン酸カリウム緩衝液(6mL)に懸濁し室温にて12時間攪拌した。
次に、遠心分離(14900xg, 4℃, 10分)を行った後、未反応物質を除去するために水(10mL)にて再懸濁し2時間攪拌する。また、遠心分離(14900xg,
4℃, 10分)後、メタノール(10mL)にて再懸濁し2時間攪拌する。遠心分離後、さらに2回メタノールを溶媒とした上記洗浄操作を繰り返す。その後、さらに溶媒をクロロホルムに変えて、同様の操作を4回行い、徹底的に未反応物質を除去する。
そして、得られた沈殿画分を回収、120℃の温風乾燥機中にて2時間乾燥させることで、ビリルビン色素にて表面修飾された酸化チタンナノチューブを得る。
このようにして得られた酸化チタンナノチューブは緑色を呈しており、様々な有機溶媒や水に懸濁することによっても、色の変化や退色は見られないことを確認している。なお、原料である酸化チタンナノチューブおよび3−アミノプロピルトリメトキシシランにて表面修飾された酸化チタンナノチューブは白色である。
以上のことから、酸化チタンナノチューブに対し、シランカップリング剤で表面修飾(第1の表面修飾)した後に、その表面に提示された官能基を足がかりに更なる修飾(第2の表面修飾)が可能であり、これによってより高機能化でき、応用範囲も広がることが理解できる。
実施例7では、酸化チタンナノチューブ表面に色素分子を修飾したが、他の高分子側鎖を導入して、吸水作用や保湿作用を付与したUV吸収材料への応用も可能である。
本発明は、様々な産業分野へと応用展開できる可能性がある。例えば、本発明の機能性材料は、半導体材料や光触媒機能材料としても使用されている酸化チタンナノチューブ材料の表面改質方法として利用できる。これによって高効率色素増感太陽電池や無機物表面の超撥水加工、光応答性流体進路制御技術、沸騰伝熱を利用した高性能排熱デバイス、あるいは生体センサへの適用などへと応用でき、酸化チタンナノ材料がもつ機能の強化だけでなく、新規機能の創成が可能である。
また、本発明の機能性材料を利用した紫外線吸収材料は、酸化チタンナノチューブの有する高いUV光吸収能力を保持したまま、周囲の有機物は分解しないといった特有の機能を有することから、これまで酸化チタンを添加することにより商品の耐久性能が低下してしまうということが大きな問題となっていた化粧品や塗料、繊維素材関連分野に有用である。
さらに、本発明の機能性材料は、酸化チタンナノチューブの表面に高分子側鎖を導入して吸水作用や保湿作用を付与した紫外線吸収材料への応用も可能である。従って、化粧品、塗料のみならず、高分子素材、繊維、建築材料分野と広範囲に適用できる。
また、酸化チタンナノチューブ材料の表面濡れ角制御は、自動車用ガラスの超撥水面加工や光応答性流体進路制御技術、沸騰伝熱を利用した高性能排熱デバイスへの適用、などが考えられる。その他に、OH基に修飾する媒体を変えることで様々な機能を有する多機能なデバイス、DNAセンサやタンパク質−タンパク質間および低分子化合物−タンパク質間相互作用検出センサなどを創成することができる。
酸化チタンナノチューブの代表的構造図 水熱合成処理によって生成した酸化チタンナノチューブのTEMイメージで、(1)は0.279 MPa, (2)0.325 MPaの圧力にて合成したものである。 酸化チタンナノチューブへの化学修飾例の説明図 n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾(室温下)した粉末状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験におけるDTA測定結果のグラフ n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾(室温下)した薄膜状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験における濡れ角測定結果の写真(左:UV照射後, 右:UV照射前) n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾(加熱還流下)した粉末状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験におけるTG測定結果のグラフ n−プロピルトリメトキシシランにて表面修飾(加熱還流下)した粉末状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験におけるDTA測定結果のグラフ IS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した粉末状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験におけるTG測定結果のグラフ IS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した粉末状酸化チタンナノチューブに対するUV照射耐性試験におけるDTA測定結果のグラフ 未修飾酸化チタンナノチューブ水分散液の粒径分布測定(DLS測定)結果のグラフ IS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した酸化チタンナノチューブ水分散液の粒径分布測定(DLS測定)結果のグラフ 未修飾あるいはIS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した酸化チタンナノチューブ水分散液の透過率測定結果のグラフ n−プロピルトリメトキシシランあるいはIS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した酸化チタンナノチューブの酢酸エチル分散液の透過率測定結果のグラフ n−プロピルトリメトキシシランあるいはIS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した酸化チタンナノチューブのイソプロピルアルコール分散液の透過率測定結果のグラフ n−プロピルトリメトキシシランあるいはIS−3000にて表面修飾(加熱還流下)した酸化チタンナノチューブのメチルエチルケトン分散液の透過率測定結果のグラフ 酸化チタンナノチューブ膜上の水滴の写真図 超撥水性を示す酸化チタンナノチューブ膜上の水滴の写真図 準撥水性を示す酸化チタンナノチューブ膜上の水滴の写真図 バイオセンサの概略構成図 測定された電圧の時間履歴グラフ 低分子化合物-タンパク質間相互作用の概念図 酸化チタンナノチューブの色素分解能力の説明図

Claims (15)

  1. 酸化チタンナノチューブ構造体に、有機無機ハイブリッド化合物を修飾させ、前記構造体表面に自己組織化膜を構築したことを特徴とする機能性材料。
  2. 酸化チタン若しくはチタン酸塩を水熱合成処理することによって得られる酸化チタンナノチューブ構造体に、有機無機ハイブリッド化合物を修飾させ、前記構造体表面に自己組織化膜を構築したことを特徴とする機能性材料。
  3. 酸化チタンナノチューブ構造体に、シランカップリング剤を修飾させ、前記構造体表面に自己組織化膜を構築したことを特徴とする機能性材料。
  4. 酸化チタン若しくはチタン酸塩を水熱合成処理することによって得られる酸化チタンナノチューブ構造体に、シランカップリング剤を修飾させ、前記構造体表面に自己組織化膜を構築したことを特徴とする機能性材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの機能性材料に対して、前記酸化チタンナノチューブ構造体表面に提示された官能基に基づいて、第2の表面修飾を行うことにより生成される機能性材料。
  6. 前記酸化チタンナノチューブ構造体は、アナターゼ型酸化チタンナノチューブであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機能性材料。
  7. 前記酸化チタンナノチューブ構造体は、OH基が構造体表面に整列しているものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機能性材料。
  8. 前記水熱合成処理における処理温度が110〜150度で、処理時間が10〜100時間であることを特徴とする請求項2又は4に記載の機能性材料。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の機能性材料を用いた紫外線吸収材。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の機能性材料を用いた分散材。
  11. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の機能性材料を用いたタンパク質検知センサ。
  12. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の機能性材料を用いた色素増感太陽電池。
  13. 請求項3乃至8のいずれかの機能性材料の性状を制御する方法であって、前記シランカップリング剤の種別を変化させることにより、濡れ性を制御する方法。
  14. 請求項3乃至8のいずれかの機能性材料の性状を制御する方法であって、前記シランカップリング剤の種別を変化させることにより、水もしくは有機溶媒における分散性を制御する方法。
  15. 請求項3乃至8のいずれかの機能性材料の性状を制御する方法であって、前記シランカップリング剤の官能基を金属イオン捕集可能な官能基とすることにより、金属コーティングする方法。
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