JP2022127067A - 円偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムであって、
透過軸方向に沿って測定したポリヨウ素イオンI5 -のラマン信号強度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)I5 - MIN/MAXは、0.85以上である、偏光フィルム。
〔2〕 視感度補正単体透過率Tyが43.0%以上である、〔1〕に記載の偏光フィルム。
〔3〕 前記透過軸方向に沿って測定したポリヨウ素イオンI3 -のラマン信号強度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)I3 - MIN/MAXは、0.86以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の偏光フィルム。
〔4〕 〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の偏光フィルムと、
波長550nmにおける面内位相差値Re(550)が130nm以上150nm以下である位相差層と、を含む、円偏光板。
本実施形態の偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系フィルム」ということがある。)にヨウ素が吸着配向しているものである。偏光フィルムは、透過軸方向に沿って測定したポリヨウ素イオンI5 -のラマン信号強度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)I5 - MIN/MAXが0.85以上である。
偏光フィルムは、その片面又は両面に保護フィルムを積層した偏光板として、後述する円偏光板又は表示装置等に適用することができる。保護フィルムは、反射防止特性、防眩特性、ハードコート特性等を有するものであってもよい(以下、当該特性を有する保護フィルムを「機能性保護フィルム」ということがある。)。保護フィルムが機能性保護フィルムではない場合、偏光板の片面には、反射防止層、防眩層、ハードコート層等の表面機能層が設けられていてもよい。偏光板が偏光フィルムの片面にのみ保護フィルムを有する場合、表面機能層は、当該保護フィルム上に設けられてもよく、偏光フィルム上に設けられてもよい。
円偏光板は、偏光フィルム又は偏光板に第1位相差層(位相差層)を積層したものである。第1位相差層は、波長550nmにおける面内位相差値Re(550)が130nm以上であり、135nm以上であってもよく、140nm以上であってもよく、また、150nm以下であり、145nm以下であってもよく、140nm以下であってもよい。第1位相差層は、いわゆるλ/4板であることが好ましい。第1位相差層において、波長450nmにおける面内位相差値Re(450)と上記Re(550)との比Re(450)/Re(550)は1.0未満であり、波長650nmにおける面内位相差値Re(650)と上記Re(550)との比Re(650)/Re(550)は1.0超である、いわゆる逆波長分散性であることが好ましい。
Nx>Ny≒Nz (n1)
[式(n1)中、
Nxは、第2位相差層の面内における遅相軸方向の屈折率を表し、
Nyは、第2位相差層の面内であって遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
Nzは、第2位相差層の厚み方向の屈折率を表し、
Ny≒Nzは、Ny=Nzである場合を含む。]
[式(n2)中、Nx、Ny、及びNzは、上記と同じ意味を表し、
Nx≒Nyは、Nx=Nyである場合を含む。]
原料偏光フィルムは、偏光フィルムに湿熱処理を施す前のフィルムである。原料偏光フィルムは、PVA系フィルムにヨウ素が吸着配向しているものであり、原料偏光フィルムのI5 - MIN/MAXは、偏光フィルムのI5 - MIN/MAXよりも小さい。
偏光フィルムの片面又は両面に積層される保護フィルムは、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から形成されたフィルムが用いられる。
第1位相差層、第2位相差層、及び第3位相差層(以下、これらをまとめて「位相差層」ということがある。)は、延伸フィルムであってもよく、重合性液晶化合物の硬化物層であってもよく、上記硬化物層と配向膜とを含むものであってもよい。
第1粘着剤層、第2粘着剤層、及び粘着剤層(以下、これらをまとめて「粘着剤層」ということがある。)は、粘着剤を用いて形成された層である。本明細書において粘着剤とは、それ自体を被着体に張り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。粘着剤としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等のベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。粘着剤層の厚みは3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、7μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、また、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよい。
接着剤層は、接着剤中の硬化性成分を硬化させることによって形成することができる。接着剤層を形成するための接着剤としては、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤であって、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤等の水系接着剤、紫外線硬化型接着剤等の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。接着剤層の厚みは、接着剤の種類に応じて選定されるが、例えば0.05μm以上であり、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、通常20μm以下であり、15μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよい。
剥離フィルムは、粘着剤層に対して剥離可能に設けられ、粘着剤層の表面を被覆保護するために用いられる。剥離フィルムとしては、樹脂を用いて形成された基材フィルムに離型処理が施されたフィルムを挙げることができる。基材フィルムをなす樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアレート等を挙げることができる。また、基材フィルムに施される離型処理としては、公知の離型処理を行えばよいが、フッ素化合物やシリコーン化合物等の離型剤を基材フィルムにコーティングする方法が好ましい。
(原料偏光フィルムの作製)
長尺状のポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で周速度の異なるロール間にて6倍に一軸延伸し、長手方向に吸収軸を有する長尺状の原料偏光フィルムを得た。原料偏光フィルムの厚みは12μmであった。
単体透過率(%)=(MD+TD)/2
偏光度(%)={(MD-TD)/(MD+TD)}×100
に基づいて各波長における単体透過率及び偏光度を算出した。
長尺の原料偏光フィルムから、透過軸方向の長さが200mm、吸収軸方向の長さが300mmである長方形状の原料偏光フィルムを切り出した後、切り出した原料偏光フィルムの一方の面に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、切り出した原料偏光フィルムと同サイズに切り出した第1の保護フィルム(トリアセチルセルロースフィルム、厚み32μm、凸版印刷社製、商品名:25KCHCN-TC)を貼合し、他方の面に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、切り出した原料偏光フィルムと同サイズに切り出した第2の保護フィルム(トリアセチルセルロースフィルム、厚み25μm、富士フイルム社製、商品名:ZRF25SL)を貼合して原料偏光板を得た。原料偏光板の層構造は、第1の保護フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤/原料偏光フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤/第2の保護フィルムであり、原料偏光板は可撓状態にあった。
可撓状態にある原料偏光板に対して、温度85℃、相対湿度85%に設定されたオーブンに17時間保持して湿熱処理を行い、偏光板を得た。得られた偏光板の層構造は、第1の保護フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤層/偏光フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤層/第2の保護フィルムであった。得られた偏光板について、上記原料偏光フィルムについて行った手順と同様の手順で、視感度補正単体透過率Tyを算出したところ、46.3%であった。この偏光板を構成する偏光フィルムの視感度補正単体透過率Tyも同様の値である。
第1位相差層として、ネマティック液晶化合物が重合硬化した硬化物層と配向膜との積層構造体を準備した。波長λnmにおける面内位相差値をRe(λ)とするとき、第1位相差層の面内位相差値Re(550)は140nmであり、Re(450)/Re(550)は1.0未満であり、Re(650)/Re(550)は1.0超であった。
第2位相差層として、棒状液晶化合物が重合硬化した硬化物層と配向膜との積層構造体を準備した。第2位相差層は、その面内においてNz>Nx=Ny(Nx,Ny,Nzは、上記した式(n1)において説明した意味を表す。)の関係を満たしており、波長550nmにおける面内位相差値Re(550)は0.6nmであり、波長550nmにおける厚み方向の位相差値Rth(550)は-69.6nmであった。
3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製)70部、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製)20部、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製)10部、カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100、サンアプロ株式会社製)固形分量として2.25部(50%プロピレンカーボネート溶液として配合した。)、1,4-ジエトキシナフタレン2部を混合し、脱泡して紫外線硬化型接着剤を調製した。
偏光板に代えて湿熱処理を行う前の原料偏光板を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で粘着剤層付き円偏光板(2)を得た。粘着剤層付き円偏光板(2)の層構造は、原料偏光板〔第1の保護フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤層/原料偏光フィルム/ポリビニルアルコール系接着剤層/第2の保護フィルム〕/アクリル系粘着剤層/第1位相差層/紫外線硬化型接着剤層/第2位相差層/アクリル系粘着剤層/剥離フィルムであった。
粘着剤層付き円偏光板(1)及び粘着剤層付き円偏光板(2)について、次の評価を行った。
<ラマン信号強度の測定>
実施例1で作製した偏光板、及び、比較例1で用いた原料偏光板から、偏光フィルムの透過軸方向の長さが10mm、吸収軸方向の長さが5mmとなるように試験片を切り出した。この試験片において、ミクロトームを用いて偏光フィルムの厚み方向に平滑断面を形成した。平滑断面は、偏光フィルムの透過軸方向に約4mmの長さとなるように形成した。
装置:日本分光製NRS-5100
励起波長:532nm
対物レンズ:100倍
グレーティング:1800 l/mm(1mm幅に1800本の溝がある)
(評価用サンプルの作製)
各粘着剤層付き円偏光板を、偏光フィルムの吸収軸方向の長さが20mm、透過軸方向の長さが80mmとなるように切り出した。切り出した粘着剤層付き円偏光板から剥離フィルムを除去して露出した粘着剤層を、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、商品名「マイホイル(登録商標)」)のマット面に貼り付け、円偏光板の偏光板側にアクリル系粘着剤層を介して、洗浄したコーニングガラスに貼合して、評価用サンプルを得た。なお、アルミニウム箔は、有機EL表示装置の画像表示素子に備えられる金属電極等のように、入射光を反射させる部材を想定したものであり、コーニングガラスは、表示装置の最表面に配置される透明部材を想定したものである。
次に、評価用サンプル(1)及び(2)を、温度105℃に設定したオーブンで1時間保持した後、オーブンから取り出した評価用サンプル(1)及び(2)をコーニングガラス側から目視で観察し、偏光フィルム又は原料偏光フィルムのスジ状のムラの状態を、次の基準で評価する外観評価を行った。結果を表1に示す。
A:スジ状のムラが視認されない。
B:スジ状のムラが非常に視認されにくい。
C:スジ状のムラが視認されにくい。
D:スジ状のムラが非常に目立つ。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムであって、
透過軸方向に沿って測定したポリヨウ素イオンI5 -のラマン信号強度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)I5 - MIN/MAXは、0.85以上である、偏光フィルム。 - 視感度補正単体透過率Tyが43.0%以上である、請求項1に記載の偏光フィルム。
- 前記透過軸方向に沿って測定したポリヨウ素イオンI3 -のラマン信号強度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)I3 - MIN/MAXは、0.86以下である、請求項1又は2に記載の偏光フィルム。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の偏光フィルムと、
波長550nmにおける面内位相差値Re(550)が130nm以上150nm以下である位相差層と、を含む、円偏光板。
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