JP2022126585A - 可変色粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】被着体への貼合わせ後に粘着剤層の少なくとも一部を効率よく変色させるのに適した可変色粘着シートを提供する。【解決手段】本発明の粘着シートX(可変色粘着シート)は、粘着剤層10を備える。粘着剤層10は、ベースポリマーと、酸との反応により発色する発色性化合物と、光酸発生剤と、光増感剤とを含有する。光酸発生剤は、330nm以下の第1波長域内に吸収を有し、当該第1波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最長波長として第1吸収波長を有する。光増感剤は、第1吸収波長から長波長側の第2波長域内に吸収を有し、当該第2波長域において上記条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最短波長として第2吸収波長を有する。第1吸収波長と第2吸収波長との差が30nm以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、可変色粘着シートに関する。
有機ELパネルなどのディスプレイパネルは、画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの貼り合わせのために、例えば、透明な粘着シートが用いられる。
また、ディスプレイパネルにおける画素パネルの光出射側(画像表示側)に配置される透明粘着シートとして、同シートの所定箇所に意匠性、光遮蔽性、反射防止性などを付与するための着色部分が予め形成されている粘着シートを用いることが、提案されている。そのような粘着シートは、例えば下記の特許文献1に記載されている。特許文献1には、具体的には、カーボンブラック顔料を含有する着色部分を有する粘着シートが記載されている。
しかしながら、ディスプレイパネルの製造過程において、着色部分が予め形成されている粘着シートを用いる場合、被着体に対する当該粘着シートの貼り合わせの後に、被着体と粘着シートの着色部分との間における異物および気泡の有無を適切に検査できない。ディスプレイパネル製造過程における粘着シートの貼り合わせには、当該貼り合わせ後に被着体と粘着シートとの間における異物および気泡の有無を適切に検査できることが求められる。
一方、ディスプレイパネルの製造過程において、被着体に対する粘着シートの貼り合わせの後に着色可能な成分(事後的着色剤)を含有する粘着シートを用いる場合、当該粘着シートには、事後的であっても充分に着色可能であることが求められる。しかし、そのような粘着シートにおいて、着色性確保のために事後的着色剤を多量に配合することは、当該粘着シートにおいて、着色前の透明性の低下、および、部分的着色後の非着色領域の透明性の低下を招き、好ましくない。
本発明は、被着体への貼合わせ後に粘着剤層の少なくとも一部を効率よく変色させるのに適した可変色粘着シートを提供する。
本発明[1]は、ベースポリマーと、酸との反応により発色する発色性化合物と、光酸発生剤と、光増感剤とを含有する粘着剤層を備え、前記光酸発生剤が、330nm以下の第1波長域内に吸収を有し、当該第1波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最長波長として第1吸収波長を有し、前記増感剤が、前記第1吸収波長から長波長側の第2波長域内に吸収を有し、当該第2波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最短波長として第2吸収波長を有し、前記第1吸収波長と前記第2吸収波長との差が30nm以上である、可変色粘着シートを含む。
本発明[2]は、前記第1吸収波長が310nm以下である、上記[1]に記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[3]は、前記第2吸収波長が340nm以上である、上記[1]または[2]に記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[4]は、前記光酸発生剤が、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.3以上の吸収波長を、300nm以下の波長域に有する、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[5]は、前記光増感剤が、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.2以上の吸収波長を、350nm以上の波長域に有する、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[6]は、前記光増感剤における吸光度0.1以上の前記吸収波長の波長範囲幅が20nm以上150nm以下である、上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明の可変色粘着シートは、粘着剤層が、上記のように、酸との反応により発色する発色性化合物と、光酸発生剤とを含有する。そのため、可変色粘着シートを被着体に貼り合わせた後、粘着剤層の変色予定部分(粘着剤層の少なくとも一部)に対する所定波長の光照射によって、当該部分を局所的に変色させることができる。このような可変色粘着シートでは、貼り合わせ後であって粘着剤層の変色部分形成前に、同シートと被着体との間における異物および気泡の有無を検査できる。
また、本可変色粘着シートでは、粘着剤層が更に光増感剤を含有し、光酸発生剤が、330nm以下の第1波長域において、所定条件での吸光度が0.1以上の吸収波長のうち最長波長として第1吸収波長を有し、増感剤が、第1吸収波長から長波長側の第2波長域内において、同一条件での吸光度が0.1以上の吸収波長のうち最短波長として第2吸収波長を有し、これら第1および第2吸収波長の差が30nm以上である。このような可変色粘着シートでは、光増感剤が、光酸発生剤の上記第1吸収波長より長波長側の第2波長域において、第2吸収波長を含む複数の波長または波長範囲の光を吸収した場合、当該光のエネルギーの少なくとも一部が光増感剤から光酸発生剤に伝播されて、光酸発生剤の酸発生反応が引き起こされる。すなわち、本可変色粘着シートでは、光酸発生剤による酸発生反応を実質的に開始させる光エネルギーの波長範囲が効果的に広がる。このような可変色粘着シートは、粘着剤層の変色に要する光エネルギーの利用効率を高めるのに適し、従って、被着体への貼合わせ後に粘着剤層の少なくとも一部を効率よく変色させるのに適する。光エネルギーの利用効率の向上は、例えば、粘着剤層の変色に要する正味の照射光量を低減すること、および、変色工程に要する工程作業時間を短縮することに、役立つ。
本発明の可変色粘着シートの一実施形態としての粘着シートXは、図1に示すように、粘着剤層10を備える。粘着シートXは、所定の厚さのシート形状を有し、厚さ方向と直交する方向(面方向)に延びる。粘着シートXは、例えば、有機ELパネルなどのディスプレイパネル(画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する)における画素パネルの画像表示側に配置される透明粘着シートとして、用いられる。
粘着剤層10は、粘着性組成物から形成された感圧接着剤層である。粘着剤層10は、透明性(可視光透過性)を有する。粘着剤層10(粘着性組成物)は、ベースポリマーと、光酸発生剤と、酸との反応により発色する発色性化合物と、光増感剤とを含有する。粘着剤層10は、所定の光照射を受けた部分の透明性が事後的に低下可能である。
ベースポリマーは、粘着剤層10において粘着性を発現させる粘着成分である。ベースポリマーは、室温域でゴム弾性を示す。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ゴムポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ポリエーテルポリマー、シリコーンポリマー、ポリアミドポリマー、およびフッ素ポリマーが挙げられる。粘着剤層10における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
アクリルポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体である。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖状または分岐状の炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。そのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、および(メタ)アクリル酸エイコシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、炭素数1~12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルと、炭素数2~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとが併用され、更に好ましくは、メタクリル酸メチルと、アクリル酸2-エチルヘキシルとが併用される。
モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、粘着剤層10において粘着性等の基本特性を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。同割合は、例えば99質量%以下である。
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、および、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。
共重合性モノマーは、好ましくは、水酸基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、および、カルボキシ基含有モノマーからなる群から選択される少なくとも一種を含む。より好ましくは、共重合性モノマーは、水酸基含有モノマーおよび/または窒素原子含有環を有するモノマーを含む。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、好ましくは(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが用いられ、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチルが用いられる。
モノマー成分における水酸基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、および、粘着剤層10における凝集力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーの極性の調整の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。アクリルポリマーの極性は、粘着剤層10における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる。
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-ビニルピラゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルチアゾール、およびN-ビニルイソチアゾールが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンが用いられる。
モノマー成分における、窒素原子含有環を有するモノマーの割合は、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、アクリルポリマーの極性の調整の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸が挙げられる。
モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、酸による被着体の腐食リスクの回避の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
モノマー成分は、他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。他の共重合性モノマーとしては、例えば、酸無水物モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、および芳香族ビニル化合物が挙げられる。
酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有アクリレート、アリルグリシジルエーテル、および(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルが挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが挙げられる。
アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコール類が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、および(メタ)アクリル酸エトキシプロピルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコール類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、および(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールが挙げられる。ハードセグメントを形成するアルコキシ基含有モノマーとしては、好ましくはアクリル酸2-メトキシエチルが用いられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、およびビニルトルエンが挙げられる。オレフィン類としては、例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、およびイソブチレンが挙げられる。ハードセグメントを形成する芳香族ビニル化合物としては、好ましくはスチレンが用いられる。
これら共重合性モノマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
アクリルポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成できる。重合方法としては、例えば溶液重合、塊状重合、および乳化重合が挙げられ、好ましくは溶液重合が挙げられる。重合の開始剤としては、例えば熱重合開始剤が用いられる。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、例えば0.05質量部以上であり、また、例えば1質量部以下である。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ重合開始剤および過酸化物重合開始剤が挙げられる。アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、および、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドが挙げられる。過酸化物重合開始剤としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエ-ト、および過酸化ラウロイルが挙げられる。
アクリルポリマーの重量平均分子量は、粘着剤層10における凝集力の確保の観点からは、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。同重量平均分子量は、好ましくは500万以下、より好ましくは300万以下、更に好ましくは200万以下である。アクリルポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができ、例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
粘着性組成物は、ベースポリマーへの架橋構造の導入の観点から、架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、および金属キレート架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
イソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート架橋剤としては、これらイソシアネートの誘導体も挙げられる。当該イソシアネート誘導体としては、例えば、イソシアヌレート変性体およびポリオール変性体が挙げられる。イソシアネート架橋剤の市販品としては、例えば、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー社製)、コロネートHL(へキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー社製)、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体,東ソー社製)、およびタケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,三井化学社製)が挙げられる。
エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、および1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
架橋剤の配合量は、粘着剤層10の凝集力を確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上である。粘着剤層10において良好なタック性を確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対する架橋剤の配合量は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
ベースポリマーに架橋構造が導入される場合、架橋反応を効果的に進行させるために架橋触媒が用いられてもよい。架橋触媒としては、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、およびブチルスズオキシドが挙げられ、好ましくはジラウリン酸ジブチルスズが用いられる。架橋触媒の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば0.0001質量部以上であり、また、例えば1質量部以下である。
架橋触媒が用いられる場合、粘着性組成物から事後的に除去可能な架橋抑制剤が粘着性組成物に配合されてもよい。架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズが用いられる場合、架橋抑制剤としては、好ましくはアセチルアセトンが用いられる。この場合、粘着性組成物においては、アセチルアセトンがジラウリン酸ジブチルスズに配位し、ベースポリマーに対する架橋剤の架橋反応の進行は抑制される。粘着シートXの後述の製造過程において、剥離フィルム(剥離ライナー)上に粘着性組成物が塗布されて塗膜が形成された後、所望のタイミングでの加熱により、アセチルアセトンを揮発させて塗膜から除去できる。これにより、架橋剤の架橋反応を進行させることができる。
架橋抑制剤の配合量は、架橋触媒100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは1000質量部以上である。また、同配合量は、例えば5000質量部以下である。
発色性化合物としては、例えば、ロイコ色素、トリアリールメタン色素、ジフェニルメタン色素、フルオラン色素、スピロピラン色素、およびローダミン色素が挙げられる。発色性化合物は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
ロイコ色素としては、例えば、2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン]、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジプロピルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、および、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドが挙げられる。
トリアリールメタン色素としては、例えば、p,p',p”-トリス-ジメチルアミノトリフェニルメタンが挙げられる。ジフェニルメタン色素としては、例えば、4,4-ビス-ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテルが挙げられる。フルオラン色素としては、例えば、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオランが挙げられる。スピロピラン色素としては、例えば、3-メチルスピロジナフトピランが挙げられる。ローダミン色素としては、例えば、ローダミン-B-アニリノラクタムが挙げられる。
粘着剤層10において良好な着色性を確保する観点からは、発色性化合物としては、好ましくはロイコ色素、より好ましくは2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン]が用いられる。
ベースポリマー100質量部に対する発色性化合物の配合量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。同配合量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
光酸発生剤は、所定の波長または波長範囲の光(第1の光)が照射されることによって励起されて、酸発生反応を引き起こし、酸を発生する。酸発生反応は、例えば、光酸発生剤の分解反応である。第1の光は、光酸発生剤の種類によって異なる。
粘着剤層10中の光酸発生剤は、330nm以下の波長域(第1波長域)内に吸収を有する。当該光酸発生剤は、第1波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最長波長として第1吸収波長λ1を有する。
第1吸収波長λ1は、好ましくは310nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは290nm以下、特に好ましくは280nm以下である。第1吸収波長λ1は、好ましくは220nm以上、より好ましくは230nm以上、更に好ましくは240nm以上、特に好ましくは250nm以上である。第1吸収波長λ1に関するこれら構成は、紫外線領域の光の照射によって光酸発生剤の酸発生反応を効果的に引き起こすのに好ましい。
また、光酸発生剤は、好ましくは、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.3以上の吸収波長を、300nm以下の波長域に有する。前記吸光度は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上である。このような構成は、例えば紫外線領域の光の照射によって光酸発生剤の酸発生反応を効果的に引き起こすのに好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、紫外線照射によって酸を発生するオニウム化合物が挙げられる。オニウム化合物は、例えば、オニウムカチオンとアニオンとのオニウム塩の形態で提供される。オニウムカチオンとしては、例えば、スルホニウムおよびヨードニウムが挙げられる。アニオンとしては、例えば、Cl-,Br-,I-,ZnCl3
-,HSO3
-,BF4
-,PF6
-,AsF6
-,SbF6
-,CH3SO3
-,CF3SO3
-,C4F9HSO3
-,(C6F5)4B-,および(C4H9)4B-が挙げられる。光酸発生剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。光酸発生剤としては、好ましくは、スルホニウムとC4F9HSO3
-とのオニウム塩、および/または、ヨードニウム塩とC4F9HSO3
-とのオニウム塩が挙げられる。
ベースポリマー100質量部に対する光酸発生剤の配合量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。同配合量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。
また、発色性化合物100質量部に対する光酸発生剤の配合量は、好ましくは100質量部以上、より好ましくは200質量部以上、更に好ましくは300質量部以上、特に好ましくは330質量部以上である。同配合量は、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは700質量部以下、更に好ましくは500質量部以下である。
粘着剤層10中の光増感剤は、所定の波長または波長範囲の光(第2の光)を吸収して得たエネルギーを光酸発生剤に与えることにより、光酸発生剤の酸発生反応を引き起こす化合物である。例えば、光増感剤は、光エネルギーの吸収によって基底状態から1重項励起状態に至ると速やかに項間交差を生じて3重項励起状態に至り、その後に再び基底状態に遷移するときに、光酸発生剤にエネルギーを伝播して光酸発生剤を励起する。そして、励起された光酸発生剤が酸を発生する(酸発生反応)。第2の光は、光増感剤の種類によって異なる。
光増感剤は、光酸発生剤の上記第1吸収波長から長波長側の第2波長域内に吸収を有する。当該光増感剤は、当該第2波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最短波長として第2吸収波長λ2(>λ1)を有する。
第2吸収波長λ2は、好ましくは340nm以上、より好ましくは350nm以上である。このような構成は、光酸発生剤の酸発生反応の開始に利用可能な光エネルギーの波長範囲の実質的拡張の観点から好ましい。第2吸収波長λ2は、好ましくは420nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは380nm以下、特に好ましくは360以下である。このような構成は、光増感剤から光酸発生剤への有効なエネルギー伝播の確保の観点から好ましい。
第1吸収波長λ1と第2吸収波長λ2との差λ2-λ1は、30nm以上であり、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、特に好ましくは70nm以上である。差λ2-λ1は、好ましくは150nm以下、より好ましくは120nm以下、更に好ましくは100nm以下である。差λ2-λ1に関するこれら構成は、光酸発生剤の酸発生反応の開始に利用可能な光エネルギーの波長範囲の実質的拡張と、光増感剤から光酸発生剤への有効なエネルギー伝播との両立の観点から、好ましい。
光増感剤は、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.2以上の吸収波長を、350nm以上の波長域に有する。前記吸光度は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上である。このような構成は、例えば近紫外線領域の光の照射によって光酸発生剤の酸発生反応を効果的に引き起こすのに好ましい。
光増感剤において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長の波長範囲幅は、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは40nm、特に好ましくは50nm以上である。このような構成は、光酸発生剤の酸発生反応の開始に利用可能な光エネルギーの波長範囲の実質的拡張の観点から好ましい。前記波長範囲幅は、好ましくは150nm以下、より好ましくは120nm以下である。このような構成は、粘着シートXの透明性を確保するのに好ましい。
光増感剤としては、例えば、アントラセン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物、ピラゾリン化合物、N-アリール-α-アミノ酸化合物、トリアリールアミン化合物、およびオキサゾール化合物が挙げられる。アントラセン化合物としては、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、9-ブロモアントラセン、9-クロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、および9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンが挙げられる。ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、および4-(ジエチルアミノ)安息香酸エチルが挙げられる。ピラゾリン化合物としては、5-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-tert-ブチルスチリル)-1-フェニル-2-ピラゾリン、5-(4-tert-ブチルフェニル)-1-フェニル-3-(4-フェニルフェニル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール、および、1-フェニル-3-(4-イソプロピルスチリル)-5-(4-イソプロピルフェニル)-ピラゾリンが挙げられる。N-アリール-α-アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、およびN-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。光増感剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。光増感剤としては、好ましくはアントラセン化合物が用いられ、より好ましくは、9,10-ジブトキシアントラセンおよび9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンからなる群より選択される少なくとも一つが用いられる。9,10-ジブトキシアントラセンと9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンとの比較において、9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンは、より長いアルキル鎖を有することから、粘着剤層10(粘着性組成物)中での溶解性がより高く、また、より安定であって耐熱性・耐湿性がより高い。光感度については、9,10-ジブトキシアントラセンは、9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンより高い。したがって、光増感剤としての9,10-ジブトキシアントラセンと9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセンとの併用は、粘着剤層10の光増感剤における光感度と安定性とのバランスをとるのに好ましい。併用する場合、9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン100質量部に対する9,10-ジブトキシアントラセンの配合量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、特に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
ベースポリマー100質量部に対する光増感剤の配合量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1質量部以上である。同配合量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
また、光酸発生剤100質量部に対する光増感剤の配合量は、好ましくは5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。同配合量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
粘着性組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤が挙げられる。
粘着シートXは、例えば、上述の粘着性組成物(ワニス)を剥離フィルム(第1剥離フィルム)上に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥させることによって、製造できる(図1では、仮想線で示す剥離フィルムL上に粘着シートXが配置されている)。
剥離フィルムとしては、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。当該プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムが挙げられる。剥離フィルムの厚さは、例えば3μm以上であり、また、例えば200μm以下である。剥離フィルムの表面は、好ましくは離型処理されている。
粘着性組成物が架橋剤を含む場合、上述の乾燥と同時に又はその後のエージングによって、架橋反応が進行する。エージング条件は、架橋剤の種類によって適宜設定される。エージング温度は、例えば20℃~160℃である。エージング時間は、例えば、1分から7日である。
エージングの前または後に、第1剥離フィルム上の粘着剤層10の上に更に剥離フィルム(第2剥離フィルム)を積層してもよい。第2剥離フィルムは、表面離型処理が施された可撓性のプラスチックフィルムである。第2剥離フィルムとしては、例えば、第1剥離フィルムに関して上述したプラスチックフィルムが挙げられる。
以上のようにして、剥離フィルムによって粘着面が被覆保護された粘着シートXを製造できる。各剥離フィルムは、粘着シートXを使用する際に必要に応じて粘着シートXから剥がされる。
粘着剤層10の厚さは、被着体に対する充分な粘着性を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。粘着シートXのハンドリング性の観点からは、粘着剤層10の厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
粘着剤層10のヘイズ(粘着剤層10を光照射する前のヘイズ)は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。このような構成は、粘着シートXを被着体に貼り合わせた後に粘着シートXと被着体との間における異物および気泡の有無を検査するのに適する。粘着剤層10のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
粘着剤層10の波長400~700nmでの平均透過率(粘着剤層10を光照射する前の平均透過率)は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。このような構成は、粘着シートXを被着体に貼り合わせた後に粘着シートXと被着体との間における異物および気泡の有無を検査するのに適する。波長400~700nmでの平均透過率は、後記の実施例に関して後述する方法によって測定できる。
粘着シートXが、ガラス板に対する貼り合せを経た後に23℃、剥離角度180°および剥離速度(引張速度)300mm/分の剥離条件での剥離試験において当該ガラス板に対して示す粘着力は、例えば1N/25mm以上であり、また、例えば50N/25mm以下である。
粘着シートXは、図2に示すように、粘着剤層10に加えて基材20を備える基材付き片面粘着シートであってもよい。この場合、粘着シートXは、具体的には、粘着剤層10と、その厚さ方向の一方面側に配置される基材20とを備える。好ましくは、基材20は、粘着剤層10の厚さ方向の一方面に接する。
基材20は、透明な支持体として機能する要素である。基材20は、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、ポリスチレン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、および部分芳香族ポリアミドが挙げられる。基材20において、その透明性と機械的強度とを両立させる観点からは、基材20のプラスチック材料は、好ましくはポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
基材20は透明性を有する。基材20のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。基材20のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。
基材20における粘着剤層10側の表面は、粘着剤層10との密着性を高めるための物理的処理、化学的処理、または下塗り処理が施されていてもよい。物理的処理としては、例えば、コロナ処理およびプラズマ処理が挙げられる。化学的処理としては例えば、酸処理およびアルカリ処理が挙げられる。
基材20の厚さは、基材20が支持体として機能するための強度を確保する観点からは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、粘着シートXにおいて適度な可撓性を実現する観点からは、基材20の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
図2に示す粘着シートXは、例えば、第1剥離フィルムの代わりに基材20を用いること以外は上述の粘着シート製造方法と同様の方法により、製造できる。
図3Aから図3Cは、粘着シートXの使用方法の一例を表す。本方法は、用意工程と、接合工程と、変色部分形成工程とを含む。
まず、用意工程では、図3Aに示すように、粘着シートXと、第1部材31と、第2部材32とを用意する。第1部材31は、例えば、有機ELパネルなどのディスプレイパネルである。第1部材31は、他の電子デバイス、および、光学デバイスであってもよい。
第2部材32は、例えば透明基材である。透明基材としては、透明プラスチック基材および透明ガラス基材が挙げられる。
第2部材32は、例えば透明基材である。透明基材としては、透明プラスチック基材および透明ガラス基材が挙げられる。
次に、接合工程では、図3Bに示すように、粘着シートXを介して第1部材31および第2部材32を接合する。これにより、積層体Wが得られる。積層体Wにおいて、粘着シートXは、第1部材31の厚さ方向一方面に接触するように配置され、第2部材32は、その粘着シートXの厚さ方向一方面に接触するように配置される。
接合工程の後、必要に応じて、部材31,32と粘着シートXとの間における異物および気泡の有無を検査する。検査の結果、許容されない異物または気泡が検出された場合には、部材31,32間を離した後、新たな粘着シートXを用いて接合工程をやり直すことができる。
次に、変色部分形成工程では、図3Cに示すように、積層体Wにおける粘着剤層10を光照射して、粘着剤層10に変色部分11を形成する。具体的には、透明な第2部材32の側から、粘着剤層10における所定領域をマスクするためのマスクパターン(図示略)を介して、粘着剤層10に対して所定波長の光を照射する。これにより、粘着剤層10における当該マスクパターンでマスクされていない部分を変色させる。
本工程での光照射用の光源としては、例えば、紫外線LEDライト、高圧水銀ランプ、およびメタルハライドランプが挙げられる。また、本工程の光照射においては、光源から出射される光線における一部の波長領域をカットするための波長カットフィルターを、必要に応じて用いてもよい。
本工程では、粘着剤層10において光照射を受けた部分で、光酸発生剤の酸発生反応が引き起こされて酸が発生し、当該酸との反応によって発色性化合物が発色する。酸発生反応を引き起こす光には、光酸発生剤を直接に励起する上述の第1の光の少なくとも一部と、光増感剤を励起する上述の第2の光の少なくとも一部とが、含まれる。酸発生反応が引き起こされることにより、粘着剤層10の光照射部分が、発色性化合物の発色に応じて、例えば暗色に着色する。すなわち、粘着剤層10に変色部分11が形成される。
例えば以上のようにして、部材間の接合に粘着シートXを使用できる。第1部材31が有機ELパネルなどのディスプレイパネルである場合、当該パネルが備える画素パネル上に形成された金属配線に対応する(即ち対面する)パターン形状で変色部分11を設けることにより、当該金属配線での外光反射を抑制できる。
粘着シートXは、粘着剤層10が、上述のように、酸との反応により発色する発色性化合物と、光酸発生剤とを含有する。そのため、粘着シートXを被着体(本実施形態では部材31,32)に貼り合わせた後、粘着剤層10の変色予定部分に対する所定波長の光照射によって、粘着剤層10を局所的に変色させることができる。被着体に貼り合わせた後に粘着剤層10に変色部分11を形成できる粘着シートXによると、貼り合わせ後であって粘着剤層10の変色部分11形成前に、粘着シートXと被着体との間における異物および気泡の有無を検査できる。
また、粘着シートXでは、粘着剤層10が更に光増感剤を含有し、光酸発生剤が、330nm以下の第1波長域において、所定条件での吸光度が0.1以上の吸収波長のうち最長波長として第1吸収波長λ1を有し、増感剤が、第1吸収波長λ1から長波長側の第2波長域内において、同一条件での吸光度が0.1以上の吸収波長のうち最短波長として第2吸収波長λ2を有する。そして、これら吸収波長λ1,λ2の差λ2-λ1は、30nm以上であり、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、特に好ましくは70nm以上である。このような粘着シートXでは、光増感剤が、光酸発生剤の第1吸収波長λ1より長波長側の第2波長域において、第2吸収波長λ2を含む複数の波長または波長範囲の上述の第2の光を吸収した場合に、当該光のエネルギーの少なくとも一部が光増感剤から光酸発生剤に伝播されて、光酸発生剤の酸発生反応が引き起こされる。すなわち、粘着シートXでは、光酸発生剤による酸発生反応を実質的に開始させる光エネルギーの波長範囲が効果的に広がる。このような粘着シートXは、粘着剤層10の変色に要する光エネルギーの利用効率を高めるのに適し、従って、被着体への貼合わせ後に粘着剤層10の少なくとも一部を効率よく変色させるのに適する。光エネルギーの利用効率の向上は、例えば、粘着剤層10の変色に要する正味の照射光量を低減すること、および、変色工程に要する工程作業時間を短縮することに、役立つ。
以上のように、粘着シートXは、被着体への貼合わせ後に粘着剤層10の少なくとも一部を効率よく変色させるのに適する。
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〔実施例1〕
〈ベースポリマーの調製〉
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)63質量部と、メタクリル酸メチル(MMA)9質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)13質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)15質量部と、重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部と、溶媒としての酢酸エチル233質量部とを含む混合物を、60℃で7時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリルポリマーを含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液中のアクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、120万であった。
〈ベースポリマーの調製〉
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)63質量部と、メタクリル酸メチル(MMA)9質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)13質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)15質量部と、重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部と、溶媒としての酢酸エチル233質量部とを含む混合物を、60℃で7時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリルポリマーを含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液中のアクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、120万であった。
〈粘着性組成物の調製〉
アクリルポリマーを含有するポリマー溶液に、アクリルポリマー100質量部あたり、架橋剤としてのイソシアネート架橋剤(商品名「タケネートD110N」,キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の75%酢酸エチル溶液,三井化学社製)0.25質量部(固形分換算量)と、架橋触媒としてのジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL-1」,1質量%酢酸エチル溶液,東京ファインケミカル社製)0.01質量部(固形分換算量)と、架橋抑制剤(架橋触媒に対する配位子)としてのアセチルアセトン3質量部と、発色性化合物としてのロイコ色素(商品名「S-205」,2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン],山田化学工業社製)2質量部と、光酸発生剤(商品名「SP-056」,スルホニウムとC4F9HSO3 -とのオニウム塩,ADEKA社製)7質量部と、光増感剤(商品名「アントラキュアー UVS-1331」,9,10-ジブトキシアントラセン,川崎化成工業社製)2質量部を加えて混合し、粘着性組成物を調製した。
アクリルポリマーを含有するポリマー溶液に、アクリルポリマー100質量部あたり、架橋剤としてのイソシアネート架橋剤(商品名「タケネートD110N」,キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の75%酢酸エチル溶液,三井化学社製)0.25質量部(固形分換算量)と、架橋触媒としてのジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL-1」,1質量%酢酸エチル溶液,東京ファインケミカル社製)0.01質量部(固形分換算量)と、架橋抑制剤(架橋触媒に対する配位子)としてのアセチルアセトン3質量部と、発色性化合物としてのロイコ色素(商品名「S-205」,2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン],山田化学工業社製)2質量部と、光酸発生剤(商品名「SP-056」,スルホニウムとC4F9HSO3 -とのオニウム塩,ADEKA社製)7質量部と、光増感剤(商品名「アントラキュアー UVS-1331」,9,10-ジブトキシアントラセン,川崎化成工業社製)2質量部を加えて混合し、粘着性組成物を調製した。
〈粘着剤層の形成〉
片面が離型処理されている厚さ38μmの基材フィルム(商品名「MRF#38」,ポリエステルフィルム,三菱樹脂社製)の離型処理面上に、粘着性組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、132℃で3分間の加熱によって、乾燥させた。これにより、基材フィルム上に厚さ25μmの粘着剤層を形成した。次に、基材フィルム上の粘着剤層に、片面が離型処理されている厚さ38μmの剥離フィルム(商品名「MRE#38」,ポリエステルフィルム,三菱樹脂社製)の離型処理面を貼り合わせた。その後、60℃で24時間、エージング処理し、粘着剤層中の架橋反応を進行させた。以上のようにして、実施例1の粘着シートを作製した。実施例1の粘着シートにおける粘着剤層の組成について、単位を質量部として表1に示す(後記の実施例および比較例についても同様である)。
片面が離型処理されている厚さ38μmの基材フィルム(商品名「MRF#38」,ポリエステルフィルム,三菱樹脂社製)の離型処理面上に、粘着性組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、132℃で3分間の加熱によって、乾燥させた。これにより、基材フィルム上に厚さ25μmの粘着剤層を形成した。次に、基材フィルム上の粘着剤層に、片面が離型処理されている厚さ38μmの剥離フィルム(商品名「MRE#38」,ポリエステルフィルム,三菱樹脂社製)の離型処理面を貼り合わせた。その後、60℃で24時間、エージング処理し、粘着剤層中の架橋反応を進行させた。以上のようにして、実施例1の粘着シートを作製した。実施例1の粘着シートにおける粘着剤層の組成について、単位を質量部として表1に示す(後記の実施例および比較例についても同様である)。
〔実施例2〕
粘着性組成物の調製において、光酸発生剤として「SP-140」(ヨードニウム塩とC4F9HSO3 -とのオニウム塩,ADEKA社製)7質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例2の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において、光酸発生剤として「SP-140」(ヨードニウム塩とC4F9HSO3 -とのオニウム塩,ADEKA社製)7質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例2の粘着シートを作製した。
〔実施例3〕
粘着性組成物の調製において、光酸発生剤として「Irgacure PAG203」(非イオン性の光酸発生剤,BASF社製)7質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例3の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において、光酸発生剤として「Irgacure PAG203」(非イオン性の光酸発生剤,BASF社製)7質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例3の粘着シートを作製した。
〔実施例4〕
粘着性組成物の調製において、光増感剤として「アントラキュアー UVS-581」(9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン,川崎化成工業社製)2質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例4の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において、光増感剤として「アントラキュアー UVS-581」(9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン,川崎化成工業社製)2質量部を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例4の粘着シートを作製した。
〔実施例5〕
粘着性組成物の調製において、光増感剤として、「アントラキュアー UVS-1331」(9,10-ジブトキシアントラセン,川崎化成工業社製)0.2質量部と、「アントラキュアー UVS-581」(9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン,川崎化成工業社製)2質量部とを併用したこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例5の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において、光増感剤として、「アントラキュアー UVS-1331」(9,10-ジブトキシアントラセン,川崎化成工業社製)0.2質量部と、「アントラキュアー UVS-581」(9,10-ジ(カプリロイルオキシ)アントラセン,川崎化成工業社製)2質量部とを併用したこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、実施例5の粘着シートを作製した。
〔比較例1~3〕
粘着性組成物の調製において光増感剤を用いなかったこと以外は、実施例1の粘着シートと同様にして比較例1の粘着シートを作製し、実施例2の粘着シートと同様にして比較例2の粘着シートを作製し、実施例3の粘着シートと同様にして比較例3の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において光増感剤を用いなかったこと以外は、実施例1の粘着シートと同様にして比較例1の粘着シートを作製し、実施例2の粘着シートと同様にして比較例2の粘着シートを作製し、実施例3の粘着シートと同様にして比較例3の粘着シートを作製した。
〔比較例4〕
粘着性組成物の調製において、光増感剤として「KAYACURE EPA」(4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル,日本化薬社製)を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、比較例4の粘着シートを作製した。
粘着性組成物の調製において、光増感剤として「KAYACURE EPA」(4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル,日本化薬社製)を用いたこと以外は実施例1の粘着シートと同様にして、比較例4の粘着シートを作製した。
<吸収スペクトル>
実施例1~5および比較例1~4で用いた光酸発生剤および光増感剤の吸収スペクトルを測定した。測定用の試料は、濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液として調製した。本測定では、分光光度計(商品名「紫外可視近赤外分光光度計V-750」,日本分光社製)を使用し、光路長を10mmとした。各光酸発生剤および各光増感剤の吸収スペクトルを、図4に示す。図4において、曲線S1(二点鎖線)は、光酸発生剤「SP-056」の吸収スペクトルを表し、曲線S2(粗い破線)は、光酸発生剤「SP-140」の吸収スペクトルを表し、曲線S3(細かい破線)は、光酸発生剤「Irgacure PAG203」の吸収スペクトルを表し、曲線S4(実線)は、光増感剤「アントラキュアー UVS-1331」の吸収スペクトルを表し、曲線S5(一点鎖線)は、光増感剤「KAYACURE EPA」の吸収スペクトルを表し、曲線S6(曲線S4より細い実線)は、光増感剤「アントラキュアー UVS-581」の吸収スペクトルを表す。また、光酸発生剤の各吸収スペクトル(曲線S1,S2,S3)の330nm未満の波長域(第1波長域)において、吸光度が0.1以上の吸収波長のうちの最長波長を、第1吸収波長λ1(nm)として表1に示す。光増感剤の各吸収スペクトル(曲線S4,S5,S6)の、上記第1吸収波長λ1から長波長側の波長域(第2波長域)において、吸光度が0.1以上の吸収波長のうちの最短波長を、第2吸収波長λ2(nm)として表1に示す(実施例4,5における第2吸収波長λ2としては、「アントラキュアー UVS-581」の第2吸収波長λ2を示す)。第2吸収波長λ2と第1吸収波長λ1との差λ2-λ1(nm)も、表1に示す。
実施例1~5および比較例1~4で用いた光酸発生剤および光増感剤の吸収スペクトルを測定した。測定用の試料は、濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液として調製した。本測定では、分光光度計(商品名「紫外可視近赤外分光光度計V-750」,日本分光社製)を使用し、光路長を10mmとした。各光酸発生剤および各光増感剤の吸収スペクトルを、図4に示す。図4において、曲線S1(二点鎖線)は、光酸発生剤「SP-056」の吸収スペクトルを表し、曲線S2(粗い破線)は、光酸発生剤「SP-140」の吸収スペクトルを表し、曲線S3(細かい破線)は、光酸発生剤「Irgacure PAG203」の吸収スペクトルを表し、曲線S4(実線)は、光増感剤「アントラキュアー UVS-1331」の吸収スペクトルを表し、曲線S5(一点鎖線)は、光増感剤「KAYACURE EPA」の吸収スペクトルを表し、曲線S6(曲線S4より細い実線)は、光増感剤「アントラキュアー UVS-581」の吸収スペクトルを表す。また、光酸発生剤の各吸収スペクトル(曲線S1,S2,S3)の330nm未満の波長域(第1波長域)において、吸光度が0.1以上の吸収波長のうちの最長波長を、第1吸収波長λ1(nm)として表1に示す。光増感剤の各吸収スペクトル(曲線S4,S5,S6)の、上記第1吸収波長λ1から長波長側の波長域(第2波長域)において、吸光度が0.1以上の吸収波長のうちの最短波長を、第2吸収波長λ2(nm)として表1に示す(実施例4,5における第2吸収波長λ2としては、「アントラキュアー UVS-581」の第2吸収波長λ2を示す)。第2吸収波長λ2と第1吸収波長λ1との差λ2-λ1(nm)も、表1に示す。
〈光照射前の透過率〉
実施例1~5および比較例1~4の各粘着シートの粘着剤層について、以下のようにして、波長400~700nmでの平均透過率を調べた。
実施例1~5および比較例1~4の各粘着シートの粘着剤層について、以下のようにして、波長400~700nmでの平均透過率を調べた。
まず、測定用サンプルを作製した。具体的には、粘着シートから剥離フィルム(MRE♯38)を剥がした後、同シート(基材フィルム,粘着剤層)の粘着剤層側をイーグルガラス(厚さ0.55mm,松浪硝子社製)に貼り合わせた。これにより、イーグルガラスと粘着剤層と基材フィルムとを順に備える測定用サンプルを作製した。次に、測定用サンプルにおける粘着剤層の、波長400~700nmでの平均透過率を、透過率測定装置(商品名「U4150形分光光度計」,日立ハイテクサイエンス社製)によって測定した。本測定では、装置内において、サンプルのイーグルガラスが光源側に位置し且つ同サンプルの基材フィルムがディテクター側に位置するようにサンプルを配置した状態で、透過率測定を実施した。また、本測定では、イーグルガラスのみについて同一条件で測定して得られた透過率スペクトルをベースラインとして用いた。測定された粘着剤層の光照射前の平均透過率T0(%)を、表1に示す。
<着色性>
実施例1~5および比較例1~4の各粘着シートの粘着剤層について、以下のようにして、紫外線照射による着色性を調べた。
実施例1~5および比較例1~4の各粘着シートの粘着剤層について、以下のようにして、紫外線照射による着色性を調べた。
まず、評価用のサンプルを作製した。具体的には、粘着シートから剥離フィルム(MRE♯38)を剥がした後、同シート(基材フィルム,粘着剤層)の粘着剤層側をイーグルガラス(厚さ0.55mm,松浪硝子社製)に貼り合わせた。これにより、イーグルガラスと粘着剤層と基材フィルムとを順に備えるサンプル(第1のサンプル)を作製した。
次に、サンプルに対して紫外線(UV)を照射した。具体的には、23℃および相対湿度50%の環境下において、サンプルにおける粘着シート(粘着剤層)に対して基材フィルム側からUVを照射した(第1のUV照射)。これにより、粘着剤層中のロイコ色素と光酸発生剤とを反応させて、当該粘着剤層を着色させた。UV照射では、クォークテクノロジー社製のUV-LED照射装置(型番「QEL-350-RU6W-CW-MY」)における波長365nmのUV-LEDランプを光源として使用し、波長320~390nmの範囲での照射積算光量を2000mJ/cm2とした。
次に、サンプルにおいて着色した粘着剤層の、波長400~700nmでの平均透過率を、透過率測定装置(商品名「U4150形分光光度計」,日立ハイテクサイエンス社製)によって測定した(第1の透過率測定)。本測定では、装置内において、サンプルのイーグルガラスが光源側に位置し且つ同サンプルの基材フィルムがディテクター側に位置するようにサンプルを配置した状態で、透過率測定を実施した。また、本測定では、イーグルガラスのみについて同一条件で測定して得られた透過率スペクトルをベースラインとして用いた。測定された平均透過率T1(%)を表1に示す。
一方、実施例1~5および比較例1~4の粘着シートごとに、第1のサンプルと同様に第2のサンプルを作製した。次に、第2のサンプルをUV照射した(第2のUV照射)。照射条件は、波長320~390nmの範囲での照射積算光量を2000mJ/cm2に代えて8000mJ/cm2としたこと以外は、上述の第1のUV照射と同じである。次に、第2のサンプルにおいて着色した粘着剤層の、波長400~700nmでの平均透過率を、透過率測定装置によって測定した(第2の透過率測定)。測定条件は、上述の第1の透過率測定と同じである。測定された平均透過率T2(%)を表1に示す。
S 粘着シート(可変色粘着シート)
10 粘着剤層
11 変色部分
20 基材
31 第1部材
32 第2部材
10 粘着剤層
11 変色部分
20 基材
31 第1部材
32 第2部材
Claims (6)
- ベースポリマーと、酸との反応により発色する発色性化合物と、光酸発生剤と、光増感剤とを含有する粘着剤層を備え、
前記光酸発生剤が、330nm以下の第1波長域内に吸収を有し、当該第1波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最長波長として第1吸収波長を有し、
前記光増感剤が、前記第1吸収波長から長波長側の第2波長域内に吸収を有し、当該第2波長域において、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.1以上の吸収波長のうち、最短波長として第2吸収波長を有し、
前記第1吸収波長と前記第2吸収波長との差が30nm以上である、可変色粘着シート。 - 前記第1吸収波長が310nm以下である、請求項1に記載の可変色粘着シート。
- 前記第2吸収波長が340nm以上である、請求項1または2に記載の可変色粘着シート。
- 前記光酸発生剤が、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.3以上の吸収波長を、300nm以下の波長域に有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
- 前記光増感剤が、試料濃度1.0×10-5質量%のアセトニトリル溶液について光路長10mmの条件で測定される吸光度が0.2以上の吸収波長を、350nm以上の波長域に有する、請求項1から4のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
- 前記光増感剤における吸光度0.1以上の前記吸収波長の波長範囲幅が20nm以上150nm以下である、請求項1から5のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
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2021
- 2021-12-06 JP JP2021197644A patent/JP2022126585A/ja active Pending
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