JP2022123915A - 画像処理装置及び工作機械 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022123915000001
【課題】工具の状態を把握しやすくする。
【解決手段】画像処理装置は、複数の刃を有する工具を回転可能に保持する保持部と、工具を回転させている際の回転軸と交差する方向から工具を撮像する撮像部502と、を備える撮像装置500の撮像部502で撮像された画像データを処理する画像処理装置であって、撮像された画像データから工具の輪郭位置を検出し、輪郭位置と撮像時の回転角度とを関連付ける処理を行う画像処理部と、関連付けされたデータをフーリエ変換し数値軸において最大値がある数値を工具の刃数と処理するデータ処理部と、を備える。
【選択図】図3

Description

この発明は、画像処理装置及び工作機械に関する。
工作機械は、工具を用いてワークを加工する。たとえば、マシニングセンタは、円周に複数の刃を有する回転工具を回転させながら、ワークに当てて切削を行う。
同じ工具を使って切削を繰り返すと、刃に摩耗や変形が生じて劣化する。刃が劣化した状態で工具を使用し続けると、加工品質が悪くなる。したがって、作業員は、工具の刃の状況を見て継続使用できるかどうかを判断して、刃が劣化していれば工具を交換する。工具は重く、作業員が手に持って刃を観察することは難しいので、何等かの機器を用いて工具の刃を撮像して、撮像によって刃を観察する。
特開平9-192986号公報
特許文献1には、工具の画像データに関する画像処理によって、工具の刃部を特定する技術が開示されている。この技術では、画像中の刃部の濃度だけ他の領域と異なることを前提としている。つまり、画像中の濃度差によって刃部を検出するようになっている。
ただし、一般的な工具の画像において刃部だけ濃度が異なるとは限らない。撮像条件や工具の構造・素材などによっては、そのような画像データは得られない。このように、特許文献1の技術は汎用性が乏しく、実用に適さないこともあると考えられる。
そこで、本発明は、特許請求の範囲に記載の装置等を提供するものである。
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、及びコンピュータプログラム、並びに、それらの組み合わせにより、実現されてもよい。
本発明によれば、工具の状態を把握しやすくなる。
工作機械の構成図である。 工具の正面図である。 撮像ユニットの斜視図である。 撮像部と工具の位置関係を示す斜視図である。 図5(A)は、回転角度αが0度の工具の正面図である。図5(B)は、第1チップのすくい面の撮像位置を示す図である。図5(C)は、第2チップのすくい面の撮像位置を示す図である。図5(D)は、第3チップのすくい面の撮像位置を示す図である。図5(E)は、第4チップのすくい面の撮像位置を示す図である。図5(F)は、第5チップのすくい面の撮像位置を示す図である。 すくい面撮像の例である。 影画像を模式的に示す図である。 関連付けデータのグラフを示す図である。 撮像位置データの構造図である。 撮像角度を正方向に調整したすくい面撮像である。 図11(A)は、撮像部側へ刃先を傾けた状態を示す図である。図11(B)は、撮像部の反対側へ刃先を傾けた状態を示す図である。 図12(A)は、撮像部側へ傾けた刃先と被写界深度の関係を示す図である。図12(B)は、刃先を撮像部側へ傾けたときの工具の移動を示す図である。 図13(A)は、撮像部側と反対の方へ傾けた刃先と被写界深度の関係を示す図である。図13(B)は、刃先を撮像部側と反対の方へ傾けたときの工具の移動を示す図である。 図14(A)は、第1チップのすくい面の撮像位置を示す図である。図14(B)は、第1チップの逃げ面の撮像位置を示す図である。 図15(A)は、第2チップの逃げ面の撮像位置を示す図である。図15(B)は、第3チップの逃げ面の撮像位置を示す図である。図15(C)は、第4チップの逃げ面の撮像位置を示す図である。図15(D)は、第5チップの逃げ面の撮像位置を示す図である。 操作画面の画面図である。 画像処理装置の機能ブロック図である。 メイン処理過程を示すフローチャートである。 等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。 等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。 不等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。 不等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。 変形例1に係る工具撮像処理システムの構成例を示す図である。 変形例2に係る工具撮像処理装置の構成例を示す図である。 変形例3に係る工具撮像処理システムの構成例を示す図である。 FFT(高速フーリエ変換)による解析結果データのグラフを示す図である。 図27(A)は、観察面が被写界深度の範囲に入らない状態を示す図である。図27(B)は、観察面が被写界深度の範囲に入る状態を示す図である。
以下に、図面を参照して実施形態に係る工作機械について説明する。以下の説明では、同一の構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
[実施形態]
本実施形態は、工作機械で使用される工具を撮像する技術に関する。たとえば、マシニングセンタの主軸にフライス工具を取り付けて、切削加工を行うことを想定する。一般的に、切削加工はNC(Numerical Control:数値制御)プログラムで制御される。
図1は、工作機械200の構成図である。
工作機械200は、対象のワークを加工するものである。例えば、工作機械200は、各種の工具を使い分けて加工室内でワークを加工する加工部300と、加工部300を制御する数値制御装置400と、工具の刃先を撮像するために用いられる撮像ユニット500と、撮像ユニット500によって撮像された画像データを処理する画像処理装置600とを備える。
工作機械200がマシニングセンタであれば、加工部300は、主軸、主軸を回転させるサーボモーター、パレット、ATC(Automatic Tool Changer:自動工具交換装置)および工具マガジンなどを含み、フライス削り、中ぐり、穴あけやねじ立てなどの加工を行う。工作機械がターニングセンタであれば、加工部300は、回転軸、回転軸を回転させるサーボモーター、タレット、ATC(自動工具交換装置)および工具マガジンなどを含み、主に旋削加工を行う。
加工部300は、保持部302および変更部306を有する。保持部302には、複数の刃を有する工具が取り付けられ、保持部302はこの工具を回転可能な状態で保持する。マシニングセンタの場合には、主軸が保持部302に相当する。ターニングセンタの場合には、タレットのホルダが保持部302に相当する。保持部302の機構は、工具撮像とワーク加工で使用される。工具撮像のために、加工部300の保持部302を利用する。言い換えれば、ワークを加工する加工部は、工具撮像に用いられる保持部302の機構を共用する。
変更部306は、工具の刃のすくい面又は逃げ面を撮像する際に撮像角度を変更する。すくい面、逃げ面や撮像角度の変更などについては、後述する。マシニングセンタの場合には、サーボモーターを含み主軸を回転させる機構が、変更部306に相当する。ターニングセンタの場合には、モーター(たとえば、サーボモーターあるいはステッピングモーター)を含みタレットのホルダを回転させる機構が、変更部306に相当する。加工部300は、保持部302を移動させるモーター(変更部306と共用でもよい。モーター以外のアクチュエータでもよい。)を備える。
数値制御装置4は、加工部300のサーボモーターやATCなどに対する数値制御を行う装置である。
撮像ユニット500は、撮像部502、シャッター504、第1照明部506、第2照明部508および撮像ユニット500を有する。
撮像部12は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を備えたカメラである。撮像部12は、撮像した撮像の画像データを、画像処理装置600に出力する。シャッター504、第1照明部506、第2照明部508についてなど、撮像ユニット500の詳細については、図3に関連して後述する。画像処理装置600は、画像処理部612およびデータ処理部614を有する。画像処理部612およびデータ処理部614については、図17に関連して後述する。撮像ユニット500、保持部302、変更部306、および保持部302を移動させるモーターなどが、工具撮像装置に相当する。
<工具>
図2は、工具100の正面図である。
ここでは、工具100として「正面フライス」の例を示す。正面フライスは、ミーリング加工によってワークの広い平面を効率よく削る場合に使用される。以下、ボディ110に複数のスローアウェイチップを取り付けるスローアウェイ工具の例を示す。スローアウェイチップを単に「チップ」という。実際のチップの形状は、切削に適した曲面を有するが、ここでは簡略化して矩形で示す。なお、スローアウェイ工具でなく、チップがボディ110に溶接された一体型のフライス工具であってもよい。また、ここではフライス工具の例を示しているが、ドリル工具などフライス工具以外の工具100であってもよい。等ピッチ工具の例を示しているが、不等ピッチ工具であってもよい。
径の大きい円柱のボディ110の外周には、等間隔でチップが取り付けられる。つまり、等ピッチでチップが配置される。この例では、5つのチップが取り付けられている。説明の便宜のため、第1チップ121、第2チップ122、第3チップ123、第4チップ124および第5チップ125として区別する。工具100は、保持部302に取り付けられ、保持部302の回転力によって、図示したように反時計回りに回転するものとする。回転することによって、第1チップ121から第5チップ125は、それぞれ接触したワークを削る。図示するように、第1チップ121が進む方の面が、すくい面であり、第1チップ121の外側の面が逃げ面である。第2チップ122から第5チップ125についても、同様である。なお、ボディ110の中心と刃先との距離を「刃先半径」といい、変数rで表す。
切削加工を続けると、チップの刃先の摩耗が進行して徐々に切れにくくなる。同じ工具100を繰り返して使用するとき、作業員は、摩耗の状態をチェックしてこのまま継続して使用できるか、あるいは工具100の交換が必要であるかを判断する。作業員は、刃先の材質や加工方法なども考慮して、刃先の摩耗量やすり減った形によって、刃先へのダメージの程度を判断する。チップの組織に欠陥が生じたり、変質が生じたり、チップの形状が変化したりすることもある。このように劣化したチップを使うと、ワークに傷がつく場合もある。
本実施形態では、すくい面を外周の接線方向から撮像する撮像(以下、「すくい面撮像」)と、ボディ110の中心に向かう方向から逃げ面を撮像する撮像(以下、「逃げ面撮像」)とによって、作業員はチップを観察して刃先の状態を判断する。
刃先の状態に関する判断は、機械加工や工具の特性についての知識を備えた作業員によって行われる。コストや作業効率を考えると、工具100をできるだけ長持ちさせ、交換頻度を少なくすることが望ましい。作業の安全や製品品質を保ちながら、コストを抑えるためには、見極めがシビアになる。したがって、作業員による工具100の観察のしやすさは、工程管理の重要なファクターとなる。フライス工具100以外の工具の場合も同様である。
<作業員による観察方法>
作業員による工具観察の従来方法について説明する。作業員は、顕微鏡を使って、工具100の刃先を観察する。そのため、工具を工作機械200から一旦外して、顕微鏡の設置部にセットする。設置部は、手動による移動と回転が可能な可動域を有している。作業員は、設置部を操作して工具を移動させると共に回転させて、刃先が視野に入るように位置合わせを行う。また、作業員は、顕微鏡のピント合わせの操作も行う。このような操作を行って、作業員は各チップの刃先を観察する。
但し、作業員が工作機械200から工具100を外して顕微鏡で観察し、もう一度工作機械200に戻すのには作業時間がかかる。また、作業負担も大きい。たとえば多量生産の場合には比較的耐久性を予測しやすいので、チップの交換条件を加工回数や加工時間などで定めるようにする方法も考えられる。しかし、少量生産やワークが大きくて失敗したくないときには、慎重に刃先の状態を確認しながら切削加工を進めるので、作業員による工具観察の作業が必要になる。そのため、作業員による工具観察の作業効率を高めることが望まれる。
<撮像ユニット>
図3は、撮像ユニット500の斜視図である。
本実施形態では、工作機械200の内部に設けられた撮像ユニット500を用いて、工具100を保持部302(たとえば、主軸)に取り付けたままで、工具100の刃先を撮像する。
撮像ユニット500は、図示するように、撮像部502、シャッター504、第1照明部506及び第2照明部508を備える。撮像ユニット500の上部に設けられている撮像部502は、下方を撮像する。工具撮像のときに、撮像部502の光軸上に工具100の刃先が来るように、撮像ユニット500がセットされる。
撮像部502で撮像を行うときには、シャッター504が撮像部502の測定用レンズから離れる。第1照明部506は、撮像部502の脇に設けられ、斜め上方から被写体となる刃先に光を当てる。第1照明部506は、撮像用のすくい面撮像および逃げ面撮像を撮像する場合に反射照明として用いられる。第1照明部506は、工具100に対して撮像部502側に設けられ、工具100が回転させられる回転軸(図3、図4参照)と平行で光軸を含む平面に対して交差する方向から刃に光を当てる。この平面と方向とのなす角度は、たとえば5度から20度の範囲内である。第2照明部508は、被写体の影画像を撮像する場合に用いられる。
撮像ユニット500を用いて撮像すれば、いちいち工具100を保持部302から外したり、再び保持部302に取り付けたりする必要がないので、作業効率が良くなる。
<セッティング>
図4は、撮像部502と工具100の位置関係を示す斜視図である。
図示するように撮像部502が工具100の刃先を撮像する位置に、撮像ユニット500をセッティングする。この例では、先にすくい面を撮像することを想定している。
この図では、工具100のボディ110のみを示し、チップは省略する。破線で示した手前の円形面が、ボディ110の正面である。ボディ110の中心線は、保持部302の回転軸と一致する。したがって、工具110の回転軸と保持部302の回転軸は、一致する。ボディ110の正面の中心を空間座標系の原点とする。回転軸の先端に向かう方向をZ軸の正方向とする。また、正面方向から見て反時計回りを、工具100の回転角度αの正方向と定義する。
工具100の刃先付近の撮像範囲を模式的に平面で示す。撮像部502から撮像範囲までの距離は、撮像部502の焦点距離と一致する。撮像範囲に含まれる被写体は、ぼやけることなく鮮明に写る。Y軸の正方向は、光軸の撮像部502へ向かう方向と平行である。
図示するように、回転軸と光軸は、交差している。回転軸と光軸の間の最短距離を「軸間距離」という。軸間距離を、刃先半径r(図2参照)に合わせる。X軸の正方向は、軸間距離に相当する線分の刃先方向と平行である。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直である。なお、光軸は、鉛直方向でなくてもよい。たとえば、光軸が水平方向になるようにセッティングされてもよい。あるいは、鉛直方向または水平方向以外の斜め方向に光軸が向いていてもよい。光軸を回転軸と交わるように平行移動させた線と回転軸がなす角度は、垂直でなくてもよい。つまり、撮像部502は、図4に示した位置よりもZ軸の正方向寄りの位置から被写体を撮像してもよいし、図4に示した位置よりもZ軸の負方向寄りの位置から被写体を撮像してもよい。また、撮像部502は、図4に示した位置よりもX軸の正方向寄りの位置から被写体を撮像してもよいし、図4に示した位置よりもX軸の負方向寄りの位置から被写体を撮像してもよい。図3に示したように、保持部302の回転軸の方向を第1方向という。第1方向と交差する撮像部502の光軸の方向を第2方向という。上述したように、第1照明部506は、工具100に対して撮像部502側に設けられ、工具100が回転させられる回転軸と平行で光軸を含む平面に対して交差する第3方向から刃に光を当てる。
図5(A)は、回転角度αが0度の工具100の正面図である。
撮像ユニット500をセッティングした時点で、工具100の向きは任意であるが、初期化処理においてある向きにおける工具100の回転角度αを0度であると定義する。この例では、回転角度αが0度のときに撮像範囲に刃先が入っていないので、撮像部502で撮像しても刃先は写らない。なお、ボディ110の正面の中心位置(X,Y,Z)は、(0,0,0)である。図5(B)~図5(F)の場合も同様に、ボディ110の正面の中心位置(X,Y,Z)は、(0,0,0)である。
図5(B)は、図5(A)の状態から保持部302を31度正方向に回転させた状態を示している。この例で、保持部302を31度正方向に回転させると、第1チップ121の刃先が撮像範囲に入る。したがって、撮像部502で撮像すると第1チップ121の刃先がすくい面撮像に写る。つまり、第1チップ121の撮像位置は、工具100の回転角度α:31度で特定される。
この例における工具100は、均等間隔で5枚のチップを有する。したがって、隣り合うチップ同士の回転角度αの差を示す刃間角度γは、360度/5=72度である。よって、保持部302を72度正方向に回転させると、次のチップを撮像することができる。
図5(C)は、図5(B)の状態から保持部302を72度正方向に回転させた状態を示している。保持部302を72度正方向に回転させると、第2チップ122の刃先が撮像範囲に入る。したがって、撮像部502で撮像すると第2チップ122の刃先がすくい面撮像に写る。つまり、第2チップ122の撮像位置は、工具100の回転角度α:103度で特定される。
図5(D)は、図5(C)の状態から保持部302を72度正方向に回転させた状態を示している。保持部302を72度正方向に回転させると、第3チップ123の刃先が撮像範囲に入る。したがって、撮像部502で撮像すると第3チップ123の刃先がすくい面撮像に写る。つまり、第3チップ123の撮像位置は、工具100の回転角度α:175度で特定される。
図5(E)は、図5(D)の状態から保持部302を72度正方向に回転させた状態を示している。保持部302を72度正方向に回転させると、第4チップ124の刃先が撮像範囲に入る。したがって、撮像部502で撮像すると第4チップ124の刃先がすくい面撮像に写る。つまり、第4チップ124の撮像位置は、工具100の回転角度α:247度で特定される。
図5(F)は、図5(E)の状態から保持部302を72度正方向に回転させた状態を示している。保持部302を72度正方向に回転させると、第5チップ125の刃先が撮像範囲に入る。したがって、撮像部502で撮像すると第5チップ125の刃先がすくい面撮像に写る。つまり、第5チップ125の撮像位置は、工具100の回転角度α:319度で特定される。
図5(B)~図5(F)に示した各チップの撮像位置は、演算処理で自動的に判定できる。本実施形態では、保持部302を何度回転させると、何番目の刃先が撮像範囲に入るかを予め求めておく。
図6は、すくい面撮像の例である。
被写体の下側が、工具100の正面に相当する。すくい面撮像には、刃先が最も張り出した状態でチップのすくい面が写る。この例で、おおよそ破線より右側にチップが写っている。被写体の右側が、チップの逃げ面に相当する。作業員は、刃先をチップのすくい面側から見ることによって、摩耗量を把握しやすい。第1チップ121~第5チップ125について、図6と略同様のすくい撮像を得ることができる。
この例では、すくい面撮像の左下端を、撮像座標系の原点とする。右方向がx座標軸の正方向であり、上方向がy座標軸の正方向である。撮像座標系の原点に相当する空間座標系の位置(3次元のオフセット値)は、セッティング後の初期化処理において特定される。したがって、撮像座標系の撮像位置に3次元のオフセット値を加えることによって、撮像位置に相当する空間座標系の位置(X値,Y値,Z値)を求めることができる。
図7は、影画像を模式的に示す図である。
すくい面撮像を撮像する前に、各チップの撮像位置を求める処理を行う。この処理では、まず工具100の回転角度αの一周に渡る影画像を撮像して、工具100の輪郭を抽出する。影画像を撮像する場合には、第1照明部506を消灯し、第2照明部508を点灯する。そして、所定間隔(たとえば、1度)の角度で、撮像部502によって撮像された影画像を得る。たとえば、工具100の回転角度αが0度、1度、2度、・・・359度の順に撮像して、各撮像によってそれぞれ角度に対応する影画像が得られる。
影画像における撮像範囲(図4参照)は、すくい面撮像の場合と同様である。黒い範囲が、チップを含む工具100の影である。この影のエッジが、工具100の輪郭を示す。
影画像が得られると、工具100の輪郭のうち、所定高さにおける輪郭位置を計測する。影画像の撮像座標系の所定高さにおけるエッジの座標に3次元のオフセット値を加えることによって、空間座標系の輪郭位置(X値,Y値,Z値)が求められる。工具100の回転角度αが変わっても輪郭位置のZ値とY値は変わらないので、X値のみ求めれば足りる。X値は、回転軸から所定高さの工具100の縁までの距離を示す。所定高さは、たとえばチップの最下端やボディ110の正面を基準とする。
工具100の各回転角度と輪郭位置は関連付けられる。各回転角度と輪郭位置を関連付けるデータを「関連付けデータ」という。刃先が最も張り出した位置で撮像された影画像の場合に、輪郭位置のX値は工具100の刃先半径r(図2参照)と一致する。チップが無いところで撮像された影画像の場合には、輪郭位置のX値はボディ半径と一致する。
図8は、関連付けデータのグラフを示す図である。
横軸は、工具100の回転角度αを示す。縦軸は、輪郭位置(X値)を示す。つまり、工具100の回転角度系列の輪郭位置(X値)を表している。図示するように、チップが張り出す回転角度αにおいて、輪郭位置の値が大きくなっている。この例では、5つのチップが張り出す回転角度αに対応する5つの輪郭位置(X値)の極大値が見られる。
このような関連付けデータに基づいて、各チップの撮像位置を算出する。ここまで、等ピッチの例を示したが、不等ピッチについても撮像するものとする。先に等ピッチ工具の場合について説明し、後で不等ピッチ工具の場合について説明する。
等ピッチ工具の場合には、チップの数、つまり刃の数を求める。工具100の回転角度αを独立変数とし、各回転角度αにおける輪郭位置(X値)を従属変数とする関数に対するFFT(高速フーリエ変換)によって、保持部302の一周(360度)に含まれる周期の数を特定する。この例では、周期の数「5」が求められる。周期の数は、工具100の外周に含まれる刃の数に相当する。外周上に刃が周期的に配置されているからである。FFTは、フーリエ変換の例である。そして、一周(360度)を刃の数で除して、隣り合う刃同士の回転角度αの差を示す刃間角度γを求める。
図26は、FFTによる解析結果データのグラフを示す図である。
FFTは、音声分析や振動測定などで用いられる解析手法である。FFTでは、音声などの時系列データを複数の周波数成分に分解し、それらの大きさをスペクトルとして表す。本実施形態では、回転角度系列の輪郭位置に応用する。通常行われる時系列データの解析では、サイクル数/秒で周波数を表すが、この例ではサイクル数/一周(360度)を周波数と定義する。つまり、1周が1秒に相当するものとする。実際に変更部306が保持部302を回転させる速度とは一致しないが、解析の上では問題ない。この図では、縦軸にスペクトルを示す。横軸に上述のように定義した周波数を示す。この周波数は、等ピッチ工具に含まれる刃の数と一致する。この例では、周波数が5のときに最大のスペクトルを示す。つまり、一周(360度)に5つのサイクルが含まれていることを意味する。これにより、等ピッチ工具が5つの刃を有することがわかる。
また、図8の関連付けデータにおいて、最大の輪郭位置(X値)を特定し、最大の輪郭位置(X値)を示す回転角度αを求める。この回転角度αによって、刃先が最も張り出したすべり面撮像が得られる撮像位置を特定できる。この例では、回転角度αが31度のときに、輪郭位置(X値)の最大値を示す。つまり、図5(B)に示したように回転角度αが31度になった状態で、輪郭位置が回転軸から最も離れる。
さらに、最大の輪郭位置を基準として、他の刃先の撮像位置を求める。他の刃先の撮像位置は、最大の輪郭位置を示す回転角度αに刃間角度γの自然数倍を加えて求める。刃の数がn個であれば、γ、2γ、・・・(n-1)γを加えると、残りn-1個の刃先の撮像位置の角度が求められる。
不等ピッチ工具の場合には、回転角度系列の輪郭位置(X値)における極大値を特定して、それぞれの極大値を示す回転角度αによって、各刃の撮像位置を特定する。具体的には、工具100の回転角度αを独立変数とし、各回転角度αにおける輪郭位置(X値)を従属変数とする関数の導関数の値(微分値)が正から負に切り替わるときの回転角度αを特定する。工具100の回転角度αを独立変数とし、各回転角度αにおける輪郭位置(X値)を従属変数とする関数は、たとえば、離散データに近似する連続関数を求める既存の関数近似の手法によって求められる。あるいは、各回転角度αにおける輪郭位置(X値)をその前と後の回転角度αにおける輪郭位置(X値)と比較して、前と後の回転角度αにおける輪郭位置(X値)のいずれよりも大きい場合に、その回転角度αにおける輪郭位置(X値)が極大値であると判定してもよい。このようにして求められた撮像位置は、撮像位置データに格納される。
図9は、撮像位置データの構造図である。
撮像位置データには、各刃の撮像位置が設定される。撮像位置は、工具100の回転角度αで特定される。図9に示した工具100の回転角度αは、図5(B)~図5(F)に示した通りである。図9に示した第1刃~第5刃は、第1チップ121~第5チップ125に相当する。
<撮像角度の変更>
作業者は、まずは上述のように決めた撮像位置で刃先を観察することができる。但し、刃を真横から見ただけでは、刃先の状況を判断しきれない場合がある。そのような場合には、刃を少し傾けて見ることによって、刃先の状況をとらえやすくなる。
また、たとえば図6のすくい面撮像では、第1照明部506からすくい面に当たった光の反射が撮像部502の方に向いていないので刃先が暗く見づらくなっている。このような場合には、作業員が工具100を少し回転させて、すくい面への光の当たり方を変えて見やすくする。
図10は、撮像角度を正方向に調整したすくい面撮像である。
工具100の回転角度αを正方向に少し回転させると、刃先が撮像部502の方に少し持ち上げられた状態となる。おおよそ破線より右側にチップが写っている。すくい面の角度が変わるので、第1照明部506からすくい面に当たった光の反射を撮像部502が受けて、刃先が明るく写るようになる。このように、作業員が保持部302を任意に微小回転させることができれば、すくい面の傾きを変えて反射光の強さを調節し撮像を見やすくすることができる。
図11(A)は、撮像部502側へ刃先を傾けた状態を示す図である。この図では、工具100の回転角度αを+5度調整している。このとき調整のために回転させる撮像角度をθで表す。この例で、撮像角度θは+5度である。このように傾ければ、刃先を手前に起こした向きで撮像することができる。
図11(B)は、撮像部502の反対側へ刃先を傾けた状態を示す図である。この図では、工具100の回転角度αを-5度調整している。この例で、撮像角度θは-5度である。このように傾ければ、刃先を奥へ寝かせた向きで撮像することができる。
したがって、真横から見て判断できる摩耗量だけでなく、斜めから見た刃先の減り具合を把握できる。作業員の着眼点やその時の刃先の状況によって、作業員による刃先の観察に適した角度は違ってくるので、作業員が任意に撮像角度を変えることができれば判断しやすくなる。ただし、工具100の撮像角度の調整が大きくなると、撮像部502の焦点から刃先が離れるという問題がある。
図12(A)は、撮像部502側へ傾けた刃先と被写界深度の関係を示す図である。
図示するように、刃先が、r×sin(θ)[r:刃先半径、θ:撮像角度]だけ撮像部502の方へ近づく。その結果、刃先が被写界深度の範囲から外れることがある。刃先が被写界深度から外れると、すくい面撮像における刃先の像がぼやけて、見づらくなる。
図12(B)は、刃先を撮像部502側へ傾けたときの工具100の移動を示す図である。
本実施形態では、このように刃先の像がぼやけることを防ぐために、工具100全体を第2方向(図3参照)上において撮像部502から遠ざけて、刃先が被写界深度の範囲におさまるようにする。具体的には、ボディ110の正面の中心位置を(0,-r×sinθ,0)に移す。制御部620(図17参照)がモーターに対して、Y軸方向に-r×sinθの距離だけ保持部302を移動させるように指示して、モーターは、制御部620の指示に従って、保持部302をY軸方向に-r×sinθの距離だけ移動させる。こうすれば、刃先は撮像部502の焦点距離に位置するので、すくい面撮像において鮮明な像として写る。
図13(A)は、撮像部502側と反対の方へ傾けた刃先と被写界深度の関係を示す図である。
図示するように、刃先が、r×sin(θ)[r:刃先半径、θ:撮像角度]だけ撮像部502の方へ遠のく。この場合も、刃先が被写界深度から外れて、すくい面撮像における刃先の像がぼやけて、見づらくなる。
図13(B)は、刃先を撮像部502側と反対の方へ傾けたときの工具100の移動を示す図である。
この場合には、工具100全体を撮像部502から近づけて、刃先が被写界深度におさまるようにする。つまり、ボディ110の正面の中心位置を(0,-r×sinθ,0)に移して、刃先が撮像部502の焦点距離に位置するようにする。制御部620(図17参照)がモーターに対して、Y軸方向に-r×sinθの距離だけ保持部302を移動させるように指示して、モーターは、制御部620の指示に従って、保持部302をY軸方向に-r×sinθの距離だけ移動させる。
このようにすれば、撮像部502と刃先の距離を一定に保ち、工具100を回転させた場合の撮像のピントずれを防ぐ。ユーザは、ワンステップでピントの合った撮像を得ることができるので、ピント合わせのための操作が不要になる。また、刃先を撮像部502側と反対の方へ傾けると、図示したように右上方の第1照明部506から放たれる照射光に対してすくい面が正対するようになる。したがって、反射光の向きを光軸方向から離れさせ、撮像におけるすくい面の明度を低めることができる。このように照明方向によって影響を受ける撮像の見やすさを、工具を回転させることによって調整できる。
続いて、刃の逃げ面の撮像について説明する。
図14(A)は、第1チップ121のすくい面の撮像位置を示している。図14(B)は、第1チップ121の逃げ面の撮像位置を示している。
逃げ面を撮像する場合には、すくい面の撮像位置を基準として、工具100を90度正方向に回転させる。つまり、第1チップ121の逃げ面の撮像位置は、第1チップ121のすくい面の撮像位置に相当する回転角度α:31度に90度を加えた回転角度α:121度になる。また、工具100をY軸方向に刃先半径rだけ撮像部502から遠ざけ、さらにX軸方向に刃先半径rだけ光軸へ近づける。つまり、ボディ110の正面の中心位置を(r,-r,0)に移して、第1チップ121の刃先が光軸上の焦点距離に位置するようにする。制御部620(図17参照)がモーターに対して、X軸方向にrの距離とY軸方向に-rの距離と保持部302を移動させるように指示して、モーターは、制御部620の指示に従って、保持部302をX軸方向にrの距離とY軸方向に-rの距離と移動させる。これにより、撮像部502において、第1チップ121の逃げ面と正対した撮像を撮像することができる。
図15(A)は、第2チップ122の逃げ面の撮像位置を示している。ボディ110の正面の中心位置は、図14(B)と同様に(r,-r,0)である。第2チップ122の逃げ面の撮像位置を特定する回転角度αは、第2チップ122のすくい面の撮像位置に相当する回転角度α:103度に90度を加えた193度になる。
図15(B)は、第3チップ123の逃げ面の撮像位置を示している。ボディ110の正面の中心位置は、図14(B)と同様に(r,-r,0)である。第3チップ123の逃げ面の撮像位置を特定する回転角度αは、第3チップ123のすくい面の撮像位置に相当する回転角度α:175度に90度を加えた265度になる。
図15(C)は、第4チップ124の逃げ面の撮像位置を示している。ボディ110の正面の中心位置は、図14(B)と同様に(r,-r,0)である。第4チップ124の逃げ面の撮像位置を特定する回転角度αは、第4チップ124のすくい面の撮像位置に相当する回転角度α:247度に90度を加えた337度になる。
図15(D)は、第5チップ125の逃げ面の撮像位置を示している。ボディ110の正面の中心位置は、図14(B)と同様に(r,-r,0)である。第5チップ125の逃げ面の撮像位置を特定する回転角度αは、第5チップ125のすくい面の撮像位置に相当する回転角度α:319度に90度を加えた49度(409度)になる。
<ユーザインターフェース>
作業員が工具撮像に関する操作を行うためのユーザインターフェースについて説明する。
図16は、操作画面の画面図である。
作業員による操作を受け付ける操作画面は、スライドバー701と、「開始」ボタン702と、「次へ」ボタン703と、「不等ピッチ工具」のチェックボックス704とを含む。操作画面は、後述する表示部(図17参照)に表示される。
撮像対象の工具100が等ピッチ工具である場合には、作業者は「不等ピッチ工具」のチェックボックス704をOFF(チェックマーク無し)にしたまま「開始」ボタン702にタッチする。この操作によって、等ピッチ工具の撮像が開始される。一方、撮像対象の工具100が不等ピッチ工具である場合には、作業者は「不等ピッチ工具」のチェックボックス704をON(チェックマーク有り)にして、「開始」ボタン702にタッチする。この操作によって、不等ピッチ工具の撮像が開始される。
撮像が開始されると、刃先を映した撮像が1つずつ表示される。刃先の撮像角度θを変更させる場合には、作業者はスライドバー701を操作する。スライドバー701が指す撮像角度θで撮像された撮像が表示される。これにより、作業者は所望の向きで刃先を観察することができる。
次の刃先の撮像に移る場合には、作業者は「次へ」ボタン703にタッチする。これにより、次の刃先が映し出される。この例では、各刃先のすくい面を順に映した後で、各刃先の逃げ面を順に映す。
<機能ブロック>
図17は、画像処理装置600の機能ブロック図である。
画像処理装置600は、演算部610、記憶部630、入力部650、表示部660及び通信部670を有する。
演算部610は、画像処理装置600全体の制御を司るコントローラである。例えば、演算部610は、記憶部630に記憶される制御プログラム638を読み出して実行することにより、画像処理部612、データ処理部614、表示指示部616、受付部618および制御部620としての処理を実行する。また、演算部610は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算部610は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現することができる。
記憶部630は種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部630は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部630には、演算部610が実行する制御プログラム638の他、工作機械200で使用する種々のデータ等が格納される。例えば、記憶部630は、画像データ632、関連付けデータ634、撮像位置データ636および制御プログラム638を記憶する。
入力部650は、データや操作信号の入力に利用するキーボード、マウス及びタッチパネル等の入力手段である。表示部660は、データの出力に利用するディスプレイ等の出力手段である。
通信部670は、データ通信を可能とするためのインタフェース回路(モジュール)である。例えば、通信部670は、撮像部502とデータ通信を実行することができる。
画像処理部612は、撮像された画像データ632から工具100の輪郭位置を検出し、輪郭位置と撮像時の回転角度αとを関連付ける処理を行う。データ処理部614は、関連付けデータ634をフーリエ変換し数値軸(スペクトル軸)において最大値がある数値(周波数)を工具100の刃数と処理する。表示指示部616は、表示部660に画面表示を指示する。受付部618は、入力部650に対するユーザ操作を受け付ける。制御部620は、主に、保持部302を移動させる制御と保持部302を回転させる制御を行う。制御部620は、たとえば変更部306に対して撮像角度を変更させる制御を行い、モーターに対して、すくい面又は逃げ面が撮像部502の被写界深度の範囲内に入る位置に保持部302を移動させる制御を行う。
<処理過程>
図18は、メイン処理過程を示すフローチャートである。
メイン処理を開始する段階で、保持部302に工具100が取り付けられており、保持部302は、工具100を回転可能に保持している。また、図4に示したように、撮像ユニット500がセッティングされている。
表示指示部616は、「回転工具」ボタンと「旋削工具」ボタンを含む工具種選択画面を、表示部660に表示させる。撮像対象の工具が回転工具(たとえば、フライス工具)である場合に、作業員は「回転工具」ボタンをタッチする。また、撮像対象の工具が旋削工具である場合に、作業員は「旋削工具」ボタンをタッチする。このようにして、受付部618は、工具種選択画面における工具種選択を受け付ける(S10)。
受付部618が「回転工具」ボタンのタッチを受け付けた場合には、S12以降の処理によって回転工具の撮像を行う。受付部618が「旋削工具」ボタンのタッチを受け付けた場合には、S12以降の処理を行わない。旋削工具の撮像については、省略する。
制御部620は、初期化処理を行う(S12)。初期化処理によって、工具100の回転角度αの基準(工具100の回転角度αの0度に相当する保持部302の向き)と、工具100の位置基準(ボディ110の正面の中心を空間座標系の原点(0,0,0)とするときの工具位置)とを設定する。また、図6に関連して説明したように、撮像座標系と空間座標系の変換に用いられるオフセット値も算出される。
表示指示部616は、操作画面(図16)を表示部660に表示させる(S14)。受付部618が「開始」ボタン702のタッチを受け付けたときに、「不等ピッチ工具」のチェックボックス704がOFFであれば(S16のN)、等ピッチ工具処理が実行される(S18)。等ピッチ工具処理については、図19と図20に関連して後述する。一方、受付部618が「開始」ボタン702のタッチを受け付けたときに、「不等ピッチ工具」のチェックボックス704がONであれば(S16のY)、不等ピッチ工具処理が実行される(S20)。不等ピッチ工具処理については、図21と図22に関連して後述する。
図19と図20は、等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。
画像処理部612は、図7に関連して説明したように、撮像された影画像の画像データから工具100の輪郭位置を検出し、輪郭位置と撮像時の回転角度とを関連付ける処理を行う(S30)。この処理によって、関連付けデータ634が生成される。
データ処理部614は、図8と図26に関連して説明したように、関連付けデータ634をフーリエ変換し数値軸(スペクトル軸)において最大値がある数値(周波数)を工具100の刃数と処理する(S32)。たとえば、図26に例示したFFTによる解析結果データにおいて最大のスペクトルを示した周波数が、4.9や5.1のように自然数でない場合には、5のように近似する自然数を採用する。最大のスペクトルを示した周波数の少数第一位を四捨五入すれば、刃数を表す自然数が得られる。
第1照明部506を点灯し、撮像部502は撮像を開始する。また、表示指示部616は、撮像部502によって撮像された撮像を表示部660に表示させる(S34)。たとえば、撮像部502が動画を撮像して、表示指示部616は、撮像された動画をそのまま続けて表示部660に表示させてもよい。あるいは、表示部660に撮像を表示するタイミングで撮像部502が静止画を撮像して、表示指示部616は、撮像された静止画を表示部660に表示させてもよい。
変更部306は、工具100を最初の刃のすくい面の撮像位置に合わせる(S36)。最初の刃のすくい面の撮像位置は、関連付けデータ634における最大の輪郭位置(X値)を示す回転角度(以下、「最大値の回転角度」という。)によって特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を最大値の回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、工具100の回転角度αが最大値の回転角度に合うように、保持部302を回転させる。このようにして、最初の刃のすくい面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
すくい面撮像が表示されている状態で、受付部618がスライドバー701の操作を受け付けると(S38のY)、変更部306は、すくい面の撮像角度θを変更する(S40)。制御部602は、保持部302の回転角度を撮像角度θに応じて増減させるように変更部306に指示し、変更部306は保持部302を回転させて、図11(A)、図11(B)、図12(A)および図13(A)に例示したように、撮像角度θに応じて工具100の回転角度αを増減させる。
また、モーターは、すくい面の撮像角度θに応じて保持部302を移動させる(S42)。具体的には、図12(B)および図13(B)に関連して説明したように、制御部602は、保持部302をY軸方向に-r×sinθの距離だけ移動させるようにモーターに指示し、モーターは、Y軸方向の-r×sinθの変位となるように保持部302を移動させる。この移動によって、刃先と撮像部502の距離が、焦点距離と一致するように保たれる。このようにして、撮像角度θを調整したときに鮮明なすくい面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S44)、未だ全刃のすくい面の撮像を終えていなければ(S46のN)、隣の刃のすくい面の撮像に移る。そのため、変更部306は、工具100を隣の刃のすくい面の撮像位置に合わせる(S48)。隣の刃のすくい面の撮像位置は、図8に関連して説明したように、最大値の回転角度に順次刃間角度γを加えて特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を、刃間角度γが加えられた回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、刃間角度γが加えられた回転角度に工具100の回転角度αが合うように、保持部302を回転させる。このようにして、隣の刃のすくい面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S44のY)、全刃のすくい面の撮像を終えていれば(S46のY)、図20に示したS60の処理に移る。
図20に示した処理では、逃げ面を撮像する。変更部306は、工具100を、最初の刃の逃げ面の撮像位置に合わせる(S60)。最初の刃のすくい面の撮像位置は、関連付けデータ634における最大値の回転角度に90度を加えた角度(たとえば図14(B)では、31度+90度=121度)によって特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を、90度加算された回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、90度を加算された回転角度に工具100の回転角度αが合うように、保持部302を回転させる。
モーターは、逃げ面の撮像に合うように保持部302を移動させる(S62)。具体的には、モーターは、図14(B)に関連して説明したように、制御部602は、保持部302をX軸方向のrの距離とY軸方向の-rの距離と移動させるようにモーターに指示し、モーターは、X軸方向の+rの変位となりY軸方向の-rの変位となるように、保持部302を移動させる。このようにして、最初の刃の逃げ面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
逃げ面撮像が表示されている状態で、受付部618がスライドバー701の操作を受け付けると(S64のY)、変更部306は、逃げ面の撮像角度θを変更する(S66)。すくい面の撮像角度θを変更する場合と同様に、制御部602は、保持部302の回転角度を撮像角度θに応じて増減させるように変更部306に指示し、変更部306は保持部302を回転させて、撮像角度θに応じて工具100の回転角度αを増減させる。
また、モーターは、逃げ面の撮像角度θに応じて保持部302を移動させる(S68)。撮像角度θを増やした場合も減らした場合も、刃先は撮像部502から遠のく。遠のく距離は、r×(1-cosθ)で求められる。したがって、制御部602は、保持部302をY軸方向のr×(1-cosθ)の距離だけ移動させるようにモーターに指示し、モーターは、Y軸方向の+r×(1-cosθ)の変位となるように保持部302を移動させる。この移動によって、刃先と撮像部502の距離が、焦点距離と一致するように保たれる。したがって、逃げ面が撮像部502の被写界深度の範囲内に入る。このようにして、撮像角度θを調整したときに鮮明な逃げ面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S70のY)、未だ全刃の逃げ面の撮像を終えていなければ(S72のN)、隣の刃の逃げ面の撮像に移る。そのため、変更部306は、工具100を隣の刃の逃げ面の撮像位置に合わせる(S74)。隣の刃の逃げ面の撮像位置は、図15に例示したように、関連付けデータ634における最大値の回転角度+90度に順次刃間角度γを加えて特定される。たとえば図15(A)では、31度+90度+72度=193度によって逃げ面の撮像位置が特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を、このように算出される回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、このように算出される回転角度に工具100の回転角度αが合うように、保持部302を回転させる。このようにして、隣の刃の逃げ面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S70のY)、全刃の逃げ面の撮像を終えていれば(S72のY)、等ピッチ工具処理を終え、さらにメイン処理を終える。
図21と図22は、不等ピッチ工具処理過程のフローチャートである。
S80に示した処理は、等ピッチ工具処理の場合(図19のS30)と同様である。
データ処理部614は、図8に関連して説明したように、関連付けデータにおける輪郭位置の極大値を特定する。この例では、5つの極大値が特定され、その中に1つ最大値が含まれている(S82)。
S84~S96に示した処理は、等ピッチ工具処理の場合(図19のS34~S46)と同様である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S94)、未だ全刃のすくい面の撮像を終えていなければ(S96のN)、隣の刃のすくい面の撮像に移る。そのため、変更部306は、工具100を、隣の刃のすくい面の撮像位置に合わせる(S98)。隣の刃のすくい面の撮像位置は、関連付けデータ634における次の極大の輪郭位置(X値)を示す回転角度(以下、「極大値の回転角度」という。)によって特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を次の極大値の回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、次の極大値の回転角度に工具100の回転角度αが合うように、保持部302を回転させる。このようにして、隣の刃のすくい面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S94のY)、全刃のすくい面の撮像を終えていれば(S96のY)、図22に示したS110の処理に移る。
図22のS110~S122に示した処理は、等ピッチ工具処理の場合(図20のS60~S72)と同様である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S120のY)、未だ全刃の逃げ面の撮像を終えていなければ(S122のN)、隣の刃の逃げ面の撮像に移る。そのため、変更部306は、工具100を、隣の刃の逃げ面の撮像位置に合わせる(S124)。隣の刃の逃げ面の撮像位置は、関連付けデータ634における次の極大値の回転角度に90度を加えて特定される。制御部602は、保持部302の回転角度を、特定された回転角度に合わせるように変更部306に指示し、変更部306は、特定された回転角度に工具100の回転角度αが合うように、保持部302を回転させる。このようにして、隣の刃の逃げ面撮像が表示部660に動画あるいは静止画として表示される。このとき、撮像角度θは0度である。
受付部618が「次へ」ボタン703のタッチを受け付けた場合に(S120のY)、全刃の逃げ面の撮像を終えていれば(S122のY)、不等ピッチ工具処理を終え、さらにメイン処理を終える。
[変形例1]
図23は、変形例1に係る工具撮像処理システムの構成例を示す図である。
実施形態では、工作機械200が画像処理装置600を含む形態を示したが、画像処理装置600を工作機械200と別に設けるようにしてもよい。画像処理装置600は、工作機械200と通信を行って実施形態と同様に動作するようにしてもよい。撮像ユニット500、保持部302、変更部306、および保持部302を移動させるモーターなどが、工具撮像装置に相当する。
[変形例2]
図24は、変形例2に係る工具撮像処理装置804の構成例を示す図である。
実施形態および変形例1では、工作機械200が、工具撮像装置である例を示したが、工具撮像装置は、工作機械200以外の装置であってもよい。たとえば、単に作業員が工具の刃を観察するために使用する工具撮像装置800であってもよい。工具撮像装置800は、加工部302に代えて機構部802を有する。機構部802は、保持部302と変更部306を含む。さらに機構部802は、保持部302を移動させるモーターなども含む。この例では、工具撮像装置800と画像処理装置600が、一体の工具撮像処理装置804に含まれる。
[変形例3]
図25は、変形例3に係る工具撮像処理システムの構成例を示す図である。
変形例2で説明したように、工具撮像装置800が工作機械200以外の装置である場合に、画像処理装置600を工具撮像装置800と別に設けるようにしてもよい。画像処理装置600は、工具撮像装置800と通信を行って実施形態と同様に動作するようにしてもよい。
[その他の変形例]
実施形態では刃先を焦点距離に合わせる例を示したが、制御部620は、すくい面の少なくとも一部が撮像部502の被写界深度の範囲に入るように保持部302を移動させる制御を行うようにしてもよい。つまり、すくい面の一部が被写界深度の範囲に入らなくても、必要なすくい面の領域が被写界深度の範囲に入っていれば足りる形態も考えられる。たとえば、すくい面の中心を焦点距離に合わせるようにしてもよい。ただし、すくい面の全体が被写界深度の範囲に入るようにすることが好ましい。
図27(A)は、観察面が被写界深度の範囲に入らない状態を示す図である。図27((B)は、観察面が被写界深度の範囲に入る状態を示す図である。
この例におけるチップの刃先は、図示するように鋭角であるものとする。作業員は特にすくい面の一部を観察したいと想定する。観察したい面を「観察面」といい、図27(A)および図27(B)では、観察面に相当する点(観察点)を黒丸で示す。図27(A)に示すように、当初観察面は被写界深度の範囲に含まれていないと想定する。このような場合には、図27(B)に示した状態になるように、1回転近く正方向に保持部302と工具100を回転させ(あるいは負方向に保持部302と工具100をわずかに回転させ)、さらに保持部302と工具100をわずかに左側へ移動させる。これにより、観察面が被写界深度の範囲に入るようになり、観察面にピントを合わせて撮像できるようになる。また、撮像中の観察面が横にずれないように保たれる。
第1方式として、ユーザ操作によって、保持部302と工具100の回転量を決め、さらにユーザ操作によって、保持部302と工具100の移動量を決めてもよい。受付部618は、スライドバー701(図16)の操作を受け付けて、変更部306は、その操作により指示された回転量に応じてすくい面の撮像角度θを変更する。具体的には、制御部602が、保持部302の回転角度を撮像角度θに応じて増減させるように変更部306に指示し、変更部306は保持部302を回転させる。また、操作画面(図16)に移動用のスライドバーを設け、受付部618は、移動用のスライドバーの操作を受け付けて、モーターは、その操作により指示された移動量に応じて保持部302を移動させる。具体的には、制御部602が、移動量に応じて保持部302を移動させるようにモーターに指示し、モーターはその指示に従って保持部302を移動させる。
第2方式として、制御部602の処理によって、保持部302と工具100の回転量を決め、さらに制御部602の処理によって、保持部302と工具100の移動量を決めてもよい。
図27(A)に示すように、観察面を示す点とボディ110の中心とを結ぶ直線を「直線A」という。観察面を示す点を光軸と平行に撮像面まで下ろした点(「直交点」という。)とボディ110の中心とを結ぶ直線を「直線B」という。観察面を示す点と直交点とを結ぶ直線を「直線C」という。直線Aと直線Bと直線Cは、直角三角形を描く。この例の場合、ボディ110の中心で直線Aと直線Bとがなす角度は、6.5度である。撮像角度θが-6.5度(=353.5度)になるように工具100を回転させれば、観察面を示す点が被写界深度の範囲の中央に来る。ただし、回転に伴って観察面を示す点がX軸の正方向にわずかに変位する。直線Bの長さは、直線A×cos6.5度であるので、観察面を示す点のX軸方向の変位は、直線Aの長さ×(1-cos6.5度)で算出できる。図27(B)では、撮像角度θが-6.5度(=353.5度)になるように保持部302と工具100を回転させると共に、X軸の負方向に直線Aの長さ×(1-cos6.5度)だけ保持部302と工具100を左側へ移動させる。つまり、ボディ110の正面の中心位置を(-直線Aの長さ×(1-cos6.5度),0,0)とする。観察位置(たとえば、直交点)を1点決めておき、工具の刃の基準の位置(たとえば、観察面を示す点)を撮像から特定すれば、制御部602は、上述した三角形の関係から撮像角度θの回転量および移動量を算出できる。工具の刃の基準の位置は、観察面を示す点以外であってもよい。直線Aの長さ、直線Bの長さおよび直線Aと直線Bとがなす角度を予め決めておき、制御部602は、その値を用いて撮像角度θの回転量および移動量を算出するようにしてもよい。直線Aの長さおよび直線Bの長さは、たとえば0.7×軸間距離から1.3×軸間距離までの範囲内の所定距離でもよい。直線Aと直線Bとがなす角度は、たとえば2度から10度までの範囲内の所定角度でもよい。
第3方式として、ユーザ操作によって、保持部302と工具100の回転量を決め、制御部602の処理によって、その回転量に応じて保持部302と工具100の移動量を決めてもよい。保持部302と工具100の移動量を求める方法は、第2方式の場合と同様でもよい。
また、制御部620は、逃げ面の少なくとも一部が撮像部502の被写界深度の範囲に入るように保持部302を移動させる制御を行うようにしてもよい。つまり、逃げ面の一部が被写界深度の範囲に入らなくても、必要な逃げ面の領域が被写界深度の範囲に入っていれば足りる形態も考えられる。たとえば、逃げ面の中心を焦点距離に合わせるようにしてもよい。ただし、逃げ面の全体が被写界深度の範囲に入るようにすることが好ましい。
第1照明部506に代えて、撮像部502と同軸の照明部を用いるようにしてもよい。
[ロボットアーム付き自動運搬車]
工具撮像処理装置804は、ロボットアーム付き自動搬送車であってもよい。ロボットアーム付き自動搬送車は、駆動部によって本体下部に設けられた車輪を回転させて走行し、本体に取り付けられたロボットアームの先端に設けられた向き変更および回転が可能な把持部(保持部の例)で工具を把持し、ロボットアームの動作で工具の位置、向きや回転角度を自在に変更できる。ロボットアーム付き自動搬送車の本体に工具撮像用カメラを固定させ、工具撮像用カメラと工具の位置関係が実施形態や変形例の場合と同様になるように、ロボットアームを動かして工具を撮影すれば、工具撮像処理装置804としての機能を実現できる。
[フーリエ変換を用いない変形例]
フーリエ変換を用いずに工具の刃数を求めてもよい。
輪郭を検出し点群データを集め、360°回転させて集めた点(図8に示した関連付けデータ)において、データ処理部614は、角度軸において複数の極大値を算出する。次に、データ処理部614は、複数の極大値の中から最大値と最小値とを算出する。データ処理部614は、最大値と最小値以外の極大値について、最大値と最小値のどちらに近い値であるか、分類する。最大値は所定値の例であり、最小値よりも最大値に近いということは所定値と関連性が高いことの例である。つまり、データ処理部614は、複数の極大値から所定値を選択し、さらに所定値と関連性が高い極大値を選択する。そして、データ処理部614は、最大値(1個)と最大値側に近い極大値の数(α個)とを合計して、刃の数(1+α個)として算出する。つまり、データ処理部614は、所定値と関連性が高い極大値の数(所定値を含み、所定値と関連性が高い極大値の数(1+α個))を前記工具の刃数と処理する。
[まとめ]
複数の刃を有する工具100(図2参照)が、工作機械200(画像撮像装置の例)の保持部302(図1参照、たとえば主軸やタレットのホルダ)において回転可能に保持される。工作機械200(画像撮像装置の例)の撮像部502は、図4に例示するように工具100を回転させている際の回転軸と交差する方向から工具100を撮像する位置に設置される。
画像処理装置600は、図7に例示した影画像や図6に例示したすくい面撮像など、撮像部5で撮像された画像データを処理する。画像処理装置600は、画像処理部612とデータ処理部614を有する(図1および図17参照)。
図7に関連して説明したように、画像処理部612は、影画像から工具100の輪郭位置を検出する(図19のS30)。図7と図8に関連して説明したように、画像処理部612は、輪郭位置と撮像時の回転角度とを関連付けるデータを生成する(図19のS30)。
図26に関連して説明したように、データ処理部614は、関連付けされたデータをフーリエ変換し数値軸(スペクトル軸)において最大値がある数値(周波数)を工具100の刃数と処理する(図19のS32)。
撮像部502は、図5(B)に例示するように、輪郭位置が回転軸から最も離れる回転角度の撮像位置で工具100の刃を撮像する(図19のS36)。
撮像部502は、図5(B)に例示したように第1チップ121(第1の刃の例)を撮像した際の回転角度α:31度から、360度を刃数(この例で5枚)で割った角度(72度)分回転させた回転角度において、図5(C)に示したように第2チップ123(第1の刃の隣の第2の刃の例)を撮像する(図19のS48)。
撮像部502は、図14(A)に例示したように刃(第1のチップ121)のすくい面の撮像位置を基準として刃(第1のチップ121)の逃げ面を撮像する。図14(B)に例示したように、保持部302は、撮像部502の光軸と垂直の方向に、刃先半径r(刃先と回転軸との距離)だけ光軸へ近づけられ、光軸の方向に、刃先半径rだけ撮像部502から遠ざけられる(図20のS62)。また、図14(A)の回転角度α:31度から図14(B)の回転角度α:121度に回したように、刃を撮像部502の方に90度回転させた回転角度とする。(図20のS60)。
マシニングセンタで主軸を保持部302とする場合、主軸は、ワークの加工の際にも使用される。ターニングセンタのタレットのホルダを保持部302とする場合、タレットのホルダは、ワークの加工の際にも使用される。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態および上記変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
本開示の全請求項に記載の画像処理装置及び工作機械は、機械要素の他、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、及びプログラムとの協働などによって、実現される。
100 工具、110 ボディ、121 第1チップ、122 第2チップ、123 第3チップ、124 第4チップ、125 第5チップ、200 工作機械、300 加工部、302 保持部、306 変更部、400 数値制御装置、500 撮像ユニット、502 撮像部、504 シャッター、506 第1照明部、508 第2照明部、600 画像処理装置、610 演算部、612 画像処理部、614 データ処理部、616 表示指示部、618 受付部、620 制御部、630 記憶部、632 画像データ、634 関連付けデータ、636 撮像位置データ、638 制御プログラム、650 入力部、660 表示部、670 通信部、701 スライドバー、702 「開始」ボタン、703 「次へ」ボタン、704 チェックボックス、800 工具撮像装置、802 機構部、804 工具撮像処理装置

Claims (7)

  1. 複数の刃を有する工具を回転可能に保持する保持部と、前記工具を回転させている際の回転軸と交差する方向から前記工具を撮像する撮像部と、を備える工具撮像装置の前記撮像部で撮像された画像データを処理する画像処理装置であって、
    撮像された前記画像データから前記工具の輪郭位置を検出し、前記輪郭位置と前記撮像時の回転角度とを関連付ける処理を行う画像処理部と、
    前記関連付けされたデータをフーリエ変換し数値軸において最大値がある数値を前記工具の刃数と処理するデータ処理部と、を備える画像処理装置。
  2. 前記撮像部は、前記輪郭位置が前記回転軸から最も離れる回転角度の撮像位置で前記工具の刃を撮像することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記撮像部は、第1の刃を撮像した際の回転角度から、360度を前記刃数で割った角度分回転させた回転角度において、第1の刃の隣の第2の刃を撮像することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記撮像部は、刃のすくい面の撮像位置を基準として、前記保持部を、前記撮像部の光軸と垂直の方向に、刃先と前記回転軸との距離分前記光軸へ近づけ、前記光軸の方向に、前記距離分前記撮像部から遠ざけ、前記撮像部の方に90度回転させた回転角度の撮像位置で、当該刃の逃げ面を撮像することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
  5. 複数の刃を有する工具を回転可能に保持する保持部と、前記工具を回転させている際の回転軸と交差する方向から前記工具を撮像する撮像部と、を備える工具撮像装置の前記撮像部で撮像された画像データを処理する画像処理装置であって、
    撮像された前記画像データから前記工具の輪郭位置を検出し、前記輪郭位置と前記撮像時の回転角度とを関連付ける処理を行う画像処理部と、
    前記関連付けされたデータから角度軸において極大値を算出し、算出された複数の極大値から所定値を選択し、所定値と関連性が高い極大値とを選択し、所定値と関連性が高い極大値の数を前記工具の刃数と処理するデータ処理部と、を備える画像処理装置。
  6. 前記刃のすくい面又は逃げ面を撮像する際に撮像角度を変更する変更部と、
    前記変更部で前記撮像角度が変更された場合に、前記すくい面又は前記逃げ面が前記撮像部の被写界深度の範囲内に入る位置に前記保持部を移動させる制御を行う制御部と、を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 請求項1または6に記載の画像処理装置と、
    前記工具撮像装置と、
    前記保持部の機構を共用し、ワークを加工する加工部と、を備える、工作機械。
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