JP2022122829A - アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法 - Google Patents

アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大型設備でゼオライトにアルカリ土類金属含有させるに当たり、充填したゼオライトに対して高いイオン交換率かつ均一にアルカリ土類金属をイオン交換させることが可能なアルカリ土類金属含有ゼオライトの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法は、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を接触しアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体とする際に、少なくとも下記(1)工程~(3)工程を経ることを特徴とするアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法に関するものである。(1)工程;充填装置内にゼオライト成形体をアルカリ土類金属水溶液の供給方向に長さL(m)まで充填する工程。(2)工程;(1)工程の後、充填装置内にアルカリ土類金属水溶液を供給し、その際の接触時間T(hr)をT≧L×2.5とする工程。(3)工程;(2)工程の後、水系媒体にて洗浄排液のpHが5.5~9.5になるまで洗浄を行う工程。【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法に関するものであり、特に、充填したゼオライト成形体に対して均一かつ高いアルカリ土類金属イオン交換率を達成することが可能であり、中でも大型の設備を用いた循環型イオン交換に適したアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法に関するものである。
中細孔ゼオライトは入口径がおよそ0.5nmのミクロ孔を有し、この細孔径に近接した分子径を持つ分子の有効な反応場となる。そのため、炭化水素の転化反応における高選択性触媒として有用である。中細孔ゼオライトで代表的なMFI型ゼオライトを触媒として用いた例として、トルエンの不均化(例えば、特許文献1参照。)、キシレンの異性化(例えば、特許文献2参照。)、脂肪族炭化水素の芳香族化(例えば、特許文献3参照。)などが挙げられる。
上記触媒活性を満足するために、プロトン型MFI型ゼオライト触媒に対してアルカリ土類金属を導入することで、ゼオライトの酸性能を調整し触媒活性を得る方法が提案されている。ゼオライトにアルカリ土類金属を含有させる方法として、粉末ゼオライトに対する含浸担持法、蒸発乾固法、直接混合法、イオン交換法が挙げられ、具体的には、ZSM-5粉末に対して含浸法によりカルシウム担持を行うことによるキシレン異性化用触媒の製造方法(例えば、特許文献4参照。)、ZSM-5に対してリンおよびカルシウム化合物を含有する水溶液に浸漬し乾燥する工程により軽質オレフィンを生成するための接触式熱分解プロセスのための触媒の製造方法(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。
また、成形加工されたゼオライトに対しアルカリ土類金属を含有させる方法として、例えばZSM-5押出成形物に対し、高温で溶融したアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩溶液を用いて含浸担持する方法(例えば、特許文献6参照。)、プロトン型ZSM-5に飽和水酸化カルシウム水溶液で中和処理したのちに脱イオン水で洗浄することによるジヨードベンゼンのハロゲン移動触媒を製造する方法(例えば、特許文献7参照。)等が提案されている。
特開平11-255677号公報 特開平2-255628号公報 特開平10-33987号公報 特表2010-510047公報 特開平11-192431公報 特開昭55-102440公報 特開昭63-44537公報
しかし、特許文献4,5に提案の方法は、粉末ゼオライトに対してカルシウムを接触させるものであり、ゼオライト成形体への均一なイオン交換・含有に関してはなんら検討されておらず、工業的に成形体として利用する場合には、アルカリ土類金属を含有させたのちにゼオライトを成形加工する工数・工程が必要となり、工程が煩雑になるという課題も有するものであった。
また、特許文献6に提案のゼオライト成形体に対するアルカリ土類金属導入の方法においては、含浸法の場合、洗浄工程を経ないがためにイオン交換サイト以外にアルカリ土類金属が担持した担持触媒となりその性能低下が懸念されると共に、イオン交換法における金属塩量や交換回数について検討されておらず、高いアルカリ土類金属量を達成するために複数回の処理を行う等、煩雑な操作が必要となる。
特許文献7に提案の方法においては、そのイオン交換率については何ら検討されておらず、更には産業的に要求される大型設備での製造、その際の品質の安定性については何ら提案のなされていないものであった。なお、大型設備でのゼオライト成形体のイオン交換を行う場合、アルカリ土類金属溶液を供給する入口部でのイオン交換が優先的に進行するため、それ以外の部位におけるアルカリ土類金属溶液濃度は低いものとなる。この濃度勾配のためにイオン交換率にムラが生じ易いものとなる。
したがって、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体を製造するにあたり、高いアルカリ土類金属イオン交換率、さらには工業生産に適した大型設備でのイオン交換における品質の均一性を兼ね備えた製造方法が求められている。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を接触する際に、特定の条件下でアルカリ土類金属水溶液での処理を行うことにより、高いアルカリ土類金属イオン交換率と均一性とを満足する製造方法となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を接触しアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体とする際に、少なくとも下記(1)工程~(3)工程を経ることを特徴とするアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法に関するものである。
(1)工程;充填装置内にゼオライト成形体をアルカリ土類金属水溶液の供給方向に長さL(m)まで充填する工程。
(2)工程;(1)工程の後、充填装置内にアルカリ土類金属水溶液を供給し、その際の接触時間T(hr)をT≧L×2.5とする工程。
(3)工程;(2)工程の後、水系媒体にて洗浄排液のpHが5.5~9.5になるまで洗浄を行う工程。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法は、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を接触しアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体とする際に、少なくとも上記(1)工程~(3)工程を経ることにより、品質及びイオン交換率の高いアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体を製造するものである。
本願発明におけるゼオライト成形体とは、ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)と称されるものの成形体であれば如何なるものであってもよく、該ゼオライトとしては、例えばAEL、EUO、FER、HEU、MEU、MEL、MFI、NES型などのゼオライトを挙げることができ、より効率的にイオン交換ゼオライトとすることが可能となることからプロトン型ゼオライトであることが好ましく、中でも軽質炭化水素化合物及び芳香族化合物を選択的に、かつ、長時間にわたって安定的に製造することが可能な触媒を提供できるゼオライト成形体となることから、MFI型ゼオライトを挙げることができ、更には下記(i)~(iv)に示す特性を満足するMFI型ゼオライトであることが好ましい。なお、MFI型ゼオライトとしては、国際ゼオライト学会で定義される構造コードMFIに属するアルミノシリケート化合物を示すものである。
(i)メソ細孔分布曲線がピークを有するものであり、該ピークの半値幅(hw)がhw≦20nm、該ピークの極大値(μ)が10nm≦μ≦20nmであり、該ピークに相当するメソ細孔のメソ細孔容積(pv)が0.05ml/g≦pvであるメソ細孔群を有する。
(ii)回折角を2θとした粉末X線回折測定において0.1~3度の範囲にピークを有さない。
(iii)平均粒子径(PD)がPD≦100nmである。
(iv)細孔径0.3nmから0.8nmの範囲の微分細孔容積値(dVP/d(dP))-ミクロ細孔の分布曲線が、極大値を有するものであり、最も微分細孔容積値(dVP/d(dP))の大きい値を示す細孔径が0.4~0.5nmの範囲にある。
ここでミクロ細孔とは、IUPACで定義されたミクロ細孔であり、これは細孔直径が2nm以下の細孔を示す。また、メソ細孔とは、IUPACで定義されたメソ細孔であり、これは細孔直径が2~50nmの細孔を示すものである。そして、ミクロ細孔およびメソ細孔は、液体窒素温度における一般的な窒素吸着法により測定することができる。また、窒素吸着法で得られた測定結果を解析することにより、ミクロ細孔およびメソ細孔の細孔容積の値、および細孔分布曲線を得ることができる。その解析には、例えば以下の方法を使用することができる。
ミクロ細孔については、Saito-Foley法(AIChE Journal、1991年、37巻、頁429~436)で吸着過程を解析する。例えば、細孔直径が2nm以下に相当する範囲の窒素ガス脱着量を積算するとミクロ細孔の全細孔容積の値を得ることができる。また、最初に、縦軸が単位質量当りの窒素脱着量VP(mL/g)、横軸がミクロ細孔直径dP(nm)とする累積曲線を得てから、縦軸をミクロ細孔からの窒素ガス脱着量のミクロ細孔直径値での微分値(dVP/d(dP))とする微分細孔容積値(dVP/d(dP))-ミクロ細孔の分布曲線とすることにより、ミクロ細孔直径における単位質量当りの窒素脱着量の増加分のピークを得ることができる。
メソ細孔については、Barret-Joyner-Halenda法(Journal of the American Chemical Society、1951年、頁373~380)で脱着過程を解析する。例えば、細孔直径が2nm以上50nm以下に相当する範囲の窒素ガス脱着量を積算するとメソ細孔の全細孔容積の値を得ることができる。
また、最初に、縦軸が単位質量当りの窒素脱着量VP(mL/g)、横軸がメソ細孔直径DP(nm)とする累積曲線を得てから、縦軸をメソ細孔からの窒素ガス脱着量のメソ細孔直径値での微分値(d(VP)/d(DP))とすると、メソ細孔直径における単位質量当りの窒素脱着量の増加分のピークを得ることができる。
そして、PDは、例えば外表面積から以下の式(1)を用いて算出して求めることができる。
PD=6/S(1/2.29×10+0.18×10-6) (1)
(ここで、Sは外表面積(m/g)を示すものである。)
また、式(1)における外表面積(S(m/g))は、液体窒素温度における一般的な窒素吸着法を用い、t-plot法から求めることができる。例えば、tを吸着量の厚みとするときに、tについて0.6~1nmの範囲の測定点を直線近似し、得られた回帰直線の傾きから外表面積を求める方法である。
ゼオライトの粒子径を測定する別の方法としては、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)の写真から任意の粒子を10個以上選んで、その表面積平均直径を求める方法を挙げることができる。
該MFI型ゼオライトは、イオン交換サイトがゼオライト内部に集中するという特色を持つことから、一般的なゼオライトに比べてイオン交換が進行しにくい。しかし、本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法によれば、MFI型ゼオライト、更にはその成形体であっても効率的にアルカリ土類金属イオン交換を行うことが可能となる。
そして、ゼオライトは、アルカリ土類金属水溶液と接触する際における圧損等の課題を回避し、その後の工業利用の際に成形加工工程を簡略化できることからゼオライト成形体とするものである。ゼオライト成形体とする際にはバインダーを配合していてもよく、十分な成形性およびゼオライト成形体の破壊強度を発現するものとなることから、バインダーとしては、例えばシリカバインダーが挙げられる。また、ゼオライト成形体の形状については制限がなく、特に効率よくイオン交換のなされたアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体を得ることが可能となることから円柱状との形状を有するゼオライト成形体であることが好ましい。
本発明におけるアルカリ土類金属水溶液としては、例えばカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属又はその塩を純水、蒸留水、イオン交換水、上水、工業用水等の水系媒体に溶解した水溶液を挙げることができ、特にカルシウム水溶液であることが好ましい。また、アルカリ土類金属塩である場合、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩等を挙げることができ、特にイオン交換の効率に優れ、その使用量を削減した製造方法となることから水酸化カルシウムであることが好ましい。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法における(1)工程は、充填装置内にゼオライト成形体をアルカリ土類金属水溶液の供給方向に長さL(m)まで充填する工程である。
その際の充填装置としては、ゼオライト成形体を充填することが可能な形状を有する装置であればよく、その断面形状は円形のみならず、三角、四角、五画、六画等の多角形状であってもよい。また、その材質としては、アルカリ土類金属イオンのイオン交換を阻害しないものであることが好ましく、例えばガラス製、ポリ塩化ビニル製、ステンレス製等を挙げることができる。そして、工業的に適した生産性での製造が可能となることから充填装置は大型充填装置であることが好ましく、特に20l以上の容量を有する大型充填装置であることが好ましい。また、長さLは充填装置容量とのバランスにより決定されるものであり、1m以上であることが好ましい。
また、充填装置としては、効率的なイオン交換を可能とすることから縦型のものであることが好ましい。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法における(2)工程は、上記(1)工程の後、充填装置内にアルカリ土類金属水溶液を供給し、その際の接触時間T(hr)をT≧L×2.5とし、接触する工程である。ここで、T<L×2.5である場合、アルカリ土類金属水溶液の接触が不十分となり、得られるゼオライト成形体はイオン交換が不十分となり均一なゼオライト成形体の製造が困難となる。
そして、アルカリ土類金属水溶液は、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の調製が可能であればその濃度等に制限はなく、中でもアルカリ土類金属イオンと交換効率とアルカリ土類金属飽和濃度のバランスに優れ効率的な製造を可能とすることから、10~200mmol/lが好ましく、さらに10~50mmol/lであることが好ましい。また、アルカリ土類金属水溶液のゼオライト成形体との接触は、均質かつ効率的な製造を可能とすることから循環型とすることが好ましい。ゼオライトと接触する際に用いるアルカリ土類金属水溶液の量に制限はなく、中でもより効率的な製造を可能とすることからゼオライト:アルカリ土類金属水溶液(体積比)=1:1~1:5の範囲とすることが好ましい。1:1を下回る場合はゼオライト成形体を浸漬させるに不十分であり、1:5を上回る場合は効率的な循環が困難となる。また、充填装置内にアルカリ土類金属水溶液を供給する方法や方向等に制限はなく、中でも簡便な装置で再現よくアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造を可能となることから充填装置における下部の位置より供給することが好ましい。そして、特にイオン交換のムラが少なく効率的なイオン交換を達成することが可能となることから、充填装置における下部及び上部の位置より供給することが好ましく、更に下部供給と上部供給を切り替え、送液方向を切り替えることが好ましい。
アルカリ土類金属水溶液をゼオライト成形体に接触する際の流通線速度は、充填装置の径、ポンプの流速等より適宜選択可能であり、特に装置の割れ、ゼオライト粉化等を抑制できることから、5~40cm/minが好ましく、特に5~30cm/minであることが好ましい。また、接触の際の温度は、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の調製が可能であれば制限はなく、中でも効率的なイオン交換が可能なことから、20~60℃の範囲が好ましく、特に25~45℃の範囲であることが好ましい。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法における(3)工程は、上記(2)工程の後、水系媒体にて洗浄を行い、洗浄排液のpHが5.5~9.5になるまで洗浄を行う工程である。
その際の水系媒体としては、上記したものを挙げることができる。そして、洗浄とは充填装置内に水系媒体を供給することにより行うことができる。その際には循環としてもよい。洗浄は、洗浄後の洗浄排水のpHが5.5~9.5の範囲になるまで継続するものである。ここで、洗浄排水のpHが9.5を越える場合、洗浄が不十分であり得られるゼオライト成形体は、イオン交換以外のアルカリ土類金属として結晶外にアルカリ土類金属塩を含むものとなる。一方、5.5未満である場合、得られるゼオライト成形体はイオン交換が不十分なものとなる。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法は、(3)工程の後、乾燥、焼成等の工程を経てもよく、特に効率的なアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法となることから(4)工程として、100~120℃、10~18時間乾燥した後、530~570℃、4~8時間で焼成を行う工程を経るものであることが好ましい。
本発明のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法は、大容量での製造であってもイオン交換のむらが小さく、ほぼ均一なイオン交換率を示すアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造が可能となるものである。
そして、得られるアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体は、酸性能の調整という目的においては、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の全アルカリ土類金属の平均イオン交換率が10~100%であることが好ましく、さらに、最低限の酸性能を発現するためには20~60%であることが好ましい。
また、均一なアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体となることからイオン交換率のムラは小さいものであることが好ましく、その際のムラは、例えばムラ係数=(最大のアルカリ土類金属のイオン交換率-最小のアルカリ土類金属のイオン交換率)/全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率、として定義することができる。そして、該ムラ係数を算出する際には、アルカリ土類金属水溶液を下部又は上部の一定の送液方向より供給する際には、例えば供給入口部10重量%に相当するアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体のアルカリ土類金属のイオン交換率、供給出口部10重量%に相当するアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体のアルカリ土類金属のイオン交換率より、簡易的に最大のアルカリ土類金属のイオン交換率、最小のアルカリ土類金属のイオン交換率、全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率、として算出することができる。また、アルカリ土類金属水溶液を送液方向を切り替えて供給する際には、例えば供給入口部10重量%と中央部10重量%と供給出口部10重量%に相当するアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体のアルカリ土類金属のイオン交換率より、簡易的に最大のアルカリ土類金属のイオン交換率、最小のアルカリ土類金属のイオン交換率、全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率、として算出することができる。なお、この際の供給入口と供給出口との表現は、一方を入口とした際には、もう一方を出口と便宜上表現したものである。該ムラ係数としては、0.5以下であることが好ましく、値としてより小さいものであることが好ましい。
さらに、アルカリ土類金属のイオン交換率に優れ、経済性に優れるものとなることから、前記(1)工程で用いたアルカリ土類金属水溶液中の70重量%以上に相当するアルカリ土類金属イオンをイオン交換したものであることが好ましく、このような高効率を達成する際には、アルカリ土類金属塩水溶液として水酸化カルシウム水溶液を用いることが好ましい。
本発明により得られるアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体は、化学物質の製造用触媒、排ガス等の浄化触媒、特に芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン等、特に、ベンゼン、トルエン、キシレンを脂肪族炭化水素から製造する際の触媒として用いることができる。
本発明は、化学物質の製造用触媒、排ガスの浄化触媒等として有用なアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体を効率的に製造する方法に関するものである。
以下、本発明の具体的例示を実施例として説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により用いたゼオライト、ゼオライト成形体、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体は以下の方法により測定・定義した。
~細孔分布、細孔直径、及び外表面積の測定~
ゼオライトの細孔分布、及び、細孔直径は窒素吸着測定により測定した。
窒素吸着測定には、一般的な窒素吸着装置((商品名)BELSOAP-max、日本ベル社製)を用い、吸着側は相対圧(P/P)0.025間隔で測定した。脱着側は、相対圧0.05間隔で測定した。外表面積は、t-plot法により、吸着層の厚み(t=0.6~1.0nm)の範囲を直線近似して求めた。細孔分布曲線の解析には日本ベル社製のBELMaster(ver.2.3.1)を用いた。
窒素吸着測定の吸着過程をSaito-Foley法(AIChE Journal、1991年、37巻、頁429~436)により解析し、横軸が細孔ミクロ直径の常数、縦軸が窒素ガスの脱着量の微分値であるミクロ細孔の細孔分布曲線を得た。
そして、窒素吸着測定の脱着過程をBarret-Joyner-Halenda法(Journal of the American Chemical Society、1951年、頁373~380)にて解析し、横軸が細孔直径の常数、縦軸が窒素ガスの脱着量の微分値であるメソ細孔の細孔分布曲線を得た。メソ細孔の全細孔容積は、2nm以上50nm以下の範囲の窒素ガス脱着量を積算することにより求めた。
そして、メソ細孔からの窒素ガス脱着量のメソ細孔直径値での微分値(d(V/m)/d(D))のピークの内、最大のピークをガウス関数の強度近似で解析し、そのガウス関数の中心値(μ)から標準偏差の2倍(2σ)の範囲(=μ±2σ)内の直径を有するメソ細孔を均一メソ細孔と定義した。均一メソ細孔の細孔容積は、中心値(μ)を基準として±2σの範囲の窒素ガス脱着量を積算して求めた。
~平均粒子径の測定~
外表面積から前記の式(1)を用いて平均粒子径を算出した。式(1)中、Sは外表面積(m/g)であり、PDは平均粒子径(m)である。式(1)における外表面積(S(m/g))は、液体窒素温度における窒素吸着法によりt-plot法から求めた。
~SiO/Alモル比の測定~
ゼオライトのSiO/Alモル比は、ゼオライトをフッ酸と硝酸の混合水溶液で溶解し、これを一般的なICP装置((商品名)OPTIMA3300DV,PerkinElmer社製)による誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)で測定し、求めた。
~粉末X線回折の測定~
X線回折測定装置(スペクトリス社製、(商品名)X’pert PRO MPD)を用い、管電圧45kV、管電流40mAとしてCuKα1を用いて、大気中において測定した。0.04~5度の範囲を0.08度/ステップ、200秒/ステップで分析した。また、ダイレクトビームの吸収率で補正したバックグラウンドを除去している。
ピークの有無の確認は目視で行うことができるほか、ピークサーチプログラムを利用してもよい。ピークサーチプログラムは、一般的なプログラムが利用できる。例えば、横軸が2θ(度)、縦軸が強度(a.u.)の測定結果をSAVITSKY&GOLAYの式とSliding Polynomialフィルターで平滑化した後、2次微分を行ったときに、3点以上連続する負の値がある場合、ピークが存在すると判断した。
~酸量の測定方法~
酸量の測定は一般的なNH-TPD装置((商品名)BELCATII、マイクロトラック・ベル株式会社製)とガス分析装置((商品名)BELMass、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。試料は顆粒状にしたのち、セルに入れ、ヘリウム雰囲気下で10℃/分で500℃まで昇温し、1時間保持した。その後100℃まで降温し、0.2%アンモニアガスを30分間導入した。10℃/分で700℃まで昇温し、脱離するアンモニアをガス分析装置で分析した。弱酸由来の脱離量を除いた残りの脱離量から試料の酸量を算出した。
~アルカリ土類金属イオン交換率の定量方法~
アルカリ土類金属含有量の測定はICP装置((商品名)Optima 8300 パーキンエルマー株式会社製)を用いた。試料を100mlポリメスフラスコに精秤した後、フッ酸、硝酸および超純水を添加し一晩静置溶解させた。メスアップ後、試料を分取しICP-AESを測定し、検量線からアルカリ土類金属含有量を算出した。算出したアルカリ土類金属含有量とNH-TPDにより算出した原料ゼオライトの酸量から、イオン交換率を算出した。
~アルカリ土類金属イオン交換率のムラ係数の算出方法~
(充填容器下部からの供給(送液方向一定)の場合)
充填装置に充填したゼオライト成形体のアルカリ土類金属水溶液供給入口部10重量%と出口部10重量%に相当するアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体のアルカリ土類金属のイオン交換率より、最大のアルカリ土類金属のイオン交換率、最小のアルカリ土類金属のイオン交換率、全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率を求め、ムラ係数(=(最大のアルカリ土類金属のイオン交換率(入口部10重量%のアルカリ土類金属のイオン交換率)-最小のアルカリ土類金属のイオン交換率(出口部10重量%のアルカリ土類金属のイオン交換率))/全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率)とした。
(充填容器の上部、下部からの切り替え供給(送液方向切り替え)の場合)
充填装置に充填したゼオライト成形体のアルカリ土類金属水溶液供給入口部10重量%と中央部10重量%と出口部10重量%に相当するアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体のアルカリ土類金属のイオン交換率より、最大のアルカリ土類金属のイオン交換率、最小のアルカリ土類金属のイオン交換率、全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率を求め、ムラ係数(=(最大のアルカリ土類金属のイオン交換率-最小のアルカリ土類金属のイオン交換率)/全体のアルカリ土類金属の平均イオン交換率)とした。
該ムラ係数が0.5以下である場合、ムラが低く、均一性に優れる、また、その値の小さいものを特に優れる、と判断した。
調製例1(原料ゼオライトの調製)
特開2013-227203号に記載の方法により、MFI型ゼオライトの製造を行った。
テトラプロピルアンモニウム(以降、TPAと略記する場合がある。)水酸化物と水酸化ナトリウムの水溶液に不定形アルミノシリケートゲルを添加して懸濁させた。得られた懸濁液にMFI型ゼオライトを種晶として加え原料組成物とした。その際の種晶の添加量は、原料組成物中のAlとSiOの重量に対して、0.7重量%とした。
該原料組成物の組成は以下のとおりである。
SiO/Alモル比=48、TPA/Siモル比=0.05、Na/Siモル比=0.16、OH/Siモル比=0.21、HO/Siモル比=10。
得られた原料組成物をステンレス製オートクレーブに密閉し、115℃で攪拌しながら4日間結晶化させ、スラリー状混合液を得た。結晶化後のスラリー状混合液を遠心沈降機で固液分離した後、十分量の純水で固体粒子を洗浄し、110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を1mol/lの塩酸中に分散し、ろ過、乾燥させた。空気下、550℃で1時間焼成後、600℃、50%の水蒸気で2時間のスチーム処理を含む焼成処理を行った。得られた粉末を1mol/lの塩酸中に分散し、ろ過、洗浄し、MFI型ゼオライトを得た。
得られたMFI型ゼオライトは、平均粒子径は38nm、SiO/Alモル比は55、メソ細孔の全細孔容積0.45ml/gであった。また、ミクロ細孔分布曲線は、細孔径0.4125nmに最も大きい微分細孔容積値を有する極大値を持つものであった。そして、メソ細孔分布曲線における均一メソ細孔のピークの半値幅は16nm、中心値は15nmであった。また、その均一メソ細孔の細孔容積は0.40ml/gであり、メソ細孔の全細孔容積に占める均一メソ細孔の細孔容積の割合は89%であった。また、得られたMFI型ゼオライトの粉末X線回折では、0.1~3度の範囲にピークは存在せず、メソ細孔が不規則に連結していることが示された。また、得られたMFI型ゼオライトの酸量は、0.24mmol/gであった。
調製例2
調製例1で得られたMFI型ゼオライト100重量部に対して、シリカ(日産化学工業社製、(商品名)スノーテックスN-30G)43重量部、セルロース4重量部、純水21重量部を加え混練した。そして、混練物を直径1.5mm、長さ1.0~7.0mm(平均長さ3.5mm)の円柱状の成形体とした。これを100℃で1晩乾燥し、円柱状のMFI型ゼオライト成形体を得た。また、得られたMFI型ゼオライト成形体の酸量は、0.20mmol/gであった。
実施例1
調製例2により得られたMFI型ゼオライト成形体9.6kgを、内径10cmの大型充填容器に充填した。充填長さLは2mであった。別途、水酸化カルシウム28.6gを純水32.0lに溶解させ12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を調製した。耐薬品性ポリオレフィンホースを用いて循環ポンプと大型充填容器下部を接続し、水酸化カルシウム水溶液を流通線速度26cm/minで循環させた。循環開始から30分後に水溶液槽に28.6gの水酸化カルシウムを再度加え、合計6時間循環させた。水酸化カルシウム水溶液をすべて抜き出した後、同じ流通線速度で純水32.0lを1時間循環したのち、洗浄液をすべて抜き出してpHを測定した。その後、洗浄排液のpHが9.3になるまで繰り返し洗浄を行った。洗浄後、ゼオライト成形体を充填容器の水溶液供給入口部10wt%と出口部10wt%に分けて磁性皿に別途採取し、残りのゼオライト成形体と同時に10℃/minの昇温速度で110℃まで昇温し一晩乾燥させた。その後550℃で、5時間焼成を行い、カルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は35%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は22%、全体の平均カルシウムイオン交換率は29%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.46であり、用いた水酸化カルシウムの有効利用率は71wt%であった。結果を表1に示す。
実施例2
MFI型ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後に加え、合計16時間循環させたのち、洗浄排液のpHが9.3となるまで純水で洗浄した以外は、実施例1と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は45%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は27%、全体の平均カルシウムイオン交換率は36%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.48、有効利用率は90wt%であった。結果を表1に示す。
実施例3
ゼオライト成形体を0.4m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後に加え、合計1時間循環させたのち、洗浄排液のpHが8.8となるまで純水で洗浄した以外は、実施例1と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は34%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は27%、全体の平均カルシウムイオン交換率は31%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.20、有効利用率は76wt%であった。結果を表1に示す。
実施例4
ゼオライト成形体を1m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後、60分後、90分後に加え、合計6時間循環させたのち、洗浄排液のpHが9.4となるまで純水で洗浄した以外は、実施例1と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は65%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は47%、全体の平均カルシウムイオン交換率は56%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.31、有効利用率は72wt%であった。結果を表1に示す。
実施例5
MFI型ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、191.9mmol/lの酢酸カルシウム水溶液を合計6時間循環させたのち、洗浄排液のpHが5.9となるまで純水で洗浄した以外は、実施例1と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体の出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は31%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は22%、全体の平均カルシウムイオン交換率は27%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.33、有効利用率は8wt%であった。結果を表1に示す。
比較例1
MFI型ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後に加え、合計3時間循環させたのち、洗浄排液のpHが9.0となるまで純水で洗浄した以外は、実施例1と同様に行いMFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたMFI型ゼオライト成形体の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は44%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は19%、全体の平均カルシウムイオン交換率は31%であった。入口部と出口部のムラ係数は0.80と大きく不均一なイオン交換であり、有効利用率は77%であった。結果を表1に示す。
比較例2
MFI型ゼオライト成形体を高さ1mまで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後、60分後、90分後、120分後、150分後、180分後、210分後に加え、合計6時間循環させたのち、2回純水で洗浄を行い排液のpHが9.9であった以外は、実施例1と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体の入口部10wt%のカルシウムイオン交換率は137%、出口部10wt%のカルシウムイオン交換率は110%、全体の平均カルシウムイオン交換率は124%であり、イオン交換サイト外へのカルシウムの担持が確認された。入口部と出口部のムラ係数は0.22、有効利用率は77wt%であった。結果を表1に示す。
Figure 2022122829000001
実施例6
調製例2により得られたMFI型ゼオライト成形体9.6kgを、内径10cmの大型充填容器に充填した。充填長さLは2mであった。別途、水酸化カルシウム28.6gを純水32.0lに溶解させ12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を調製した。耐薬品性ポリオレフィンホースを用いて循環ポンプと大型充填容器上部および下部を接続し、水酸化カルシウム水溶液を流通線速度26cm/minで循環させた。循環開始から30分後に水溶液槽に28.6gの水酸化カルシウムを再度加え、合計6時間循環させた。このとき、0~30分の間は充填容器上部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、30~360分の間は下部より水酸化カルシウム水溶液を供給した。水酸化カルシウム水溶液をすべて抜き出した後、同じ流通線速度で純水32.0lを1時間循環したのち、洗浄液をすべて抜き出してpHを測定した。その後、洗浄排液のpHが9.3になるまで繰り返し洗浄を行った。洗浄後、ゼオライト成形体を充填容器の上部10wt%と中央部10wt%と下部10wt%に分けて磁性皿に別途採取し、残りのゼオライト成形体と同時に10℃/minの昇温速度で110℃まで昇温し一晩乾燥させた。その後550℃で、5時間焼成を行い、カルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の上部10wt%のカルシウムイオン交換率は41%、中央部10wt%のカルシウムイオン交換率は34%、下部10wt%のカルシウムイオン交換率は38%、全体の平均カルシウムイオン交換率は38%であった。ムラ係数は0.17であり、用いた水酸化カルシウムの有効利用率は95wt%であった。結果を表2に示す。
実施例7
ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後、60分後、90分後に加え、0~60分の間は充填容器上部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、60~360分の間は下部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、合計6時間循環させたのち、洗浄排液のpHが9.4となるまで純水で洗浄した以外は、実施例6と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の上部10wt%のカルシウムイオン交換率は74%、中央部10wt%のカルシウムイオン交換率は74%、下部10wt%のカルシウムイオン交換率は75%、全体の平均カルシウムイオン交換率は74%であった。ムラ係数は0.01であり、用いた水酸化カルシウムの有効利用率は93wt%であった。結果を表2に示す。
実施例8
ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、6.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後に加え、0~30分の間は充填容器上部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、30~360分の間は下部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、合計6時間循環させたのち、洗浄排液のpHが8.9となるまで純水で洗浄した以外は、実施例6と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の上部10wt%のカルシウムイオン交換率は20%、中央部10wt%のカルシウムイオン交換率は16%、下部10wt%のカルシウムイオン交換率は22%、全体の平均カルシウムイオン交換率は19%であった。ムラ係数は0.35であり、用いた水酸化カルシウムの有効利用率は97wt%であった。結果を表2に示す。
比較例3
ゼオライト成形体を2m(長さL)まで充填し、12.1mmol/lの水酸化カルシウム水溶液を循環させ、同量の水酸化カルシウムを30分後に加え、0~30分の間は充填容器上部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、30~180分の間は下部より水酸化カルシウム水溶液を供給し、合計3時間循環させたのち、洗浄排液のpHが9.2となるまで純水で洗浄した以外は、実施例6と同様に行いカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体を得た。
得られたカルシウムイオン交換MFI型ゼオライト成形体は、充填容器の上部10wt%のカルシウムイオン交換率は42%、中央部10wt%のカルシウムイオン交換率は21%、下部10wt%のカルシウムイオン交換率は47%、全体の平均カルシウムイオン交換率は37%であった。ムラ係数は0.71と大きく不均一なイオン交換であり、用いた水酸化カルシウムの有効利用率は93wt%であった。結果を表2に示す。
Figure 2022122829000002
本発明は、アルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法に関するものであり、特に大型設備でゼオライト成形体にアルカリ土類金属をイオン交換させるに当たり、充填したゼオライト成形体に対して高い交換率かつ均一にアルカリ土類金属を含有させることが可能なアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法を提供するものであり、工業的にも有用なものである。

Claims (9)

  1. ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を接触しアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体とする際に、少なくとも下記(1)工程~(3)工程を経ることを特徴とするアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
    (1)工程;充填装置内にゼオライト成形体をアルカリ土類金属水溶液の供給方向に長さL(m)まで充填する工程。
    (2)工程;(1)工程の後、充填装置内にアルカリ土類金属水溶液を供給し、その際の接触時間T(hr)をT≧L×2.5とする工程。
    (3)工程;(2)工程の後、水系媒体にて洗浄排液のpHが5.5~9.5になるまで洗浄を行う工程。
  2. ゼオライト成形体を構成するゼオライトがプロトン型ゼオライトであり、前記(2)工程におけるアルカリ土類金属水溶液がアルカリ土類金属塩水酸化物水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
  3. ゼオライト成形体が、円柱状の形状を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
  4. 前記(2)工程におけるアルカリ土類金属水溶液が、10~200mmol/lの濃度範囲のものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
  5. 前記(2)工程において、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を供給する際に循環型として供給することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のアルカリ土類金属含有ゼオライト成形体の製造方法。
  6. 前記(2)工程において、アルカリ土類金属水溶液を接触する際に、充填装置の下部より供給することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
  7. 前記(2)工程において、ゼオライト成形体にアルカリ土類金属水溶液を供給する際に、供給方向を変更することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のアルカリ土類金属含有ゼオライト成形体の製造方法。
  8. 充填装置が、径10cm以上、長さL1m以上を有する大型充填装置であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
  9. さらに、下記(4)を経ることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のアルカリ土類金属イオン交換ゼオライト成形体の製造方法。
    (4)工程;(3)工程の後、100~120℃、10~18時間乾燥した後、500~600℃、4~8時間で焼成を行う工程。
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